1: 2016/01/06(水) 17:33:12.99 ID:HF5rk15R.net
ガチャッ

花陽「ただいま~。うぅ、寒かったぁ・・・」

仕事が終わり午後8時、ようやく安らぎの我が家に帰宅です♪

花陽「まずはストーブの電源を入れて・・・。ご飯が炊けるまでには・・・、まだ時間がありますね」

なら、やることはひとつ!
もちろん、仕事終わりの一杯です!

143: 2016/01/12(火) 18:40:50.80 ID:YaXZ9G71.net
以前レスでこれ以外書いてるものとありましたが、この際なんで前作貼っておきます。
よろしければ暇つぶしにどうぞ。

凛「晩秋の流れ星」

2: 2016/01/06(水) 17:36:11.52 ID:HF5rk15R.net
花陽「今日は前から気になってたお酒が手に入ったから、それを飲んでみようと思います!」

花陽「『醸し人九平次 human 純米大吟醸 2014』これ飲んでみたかったんです!」

出先でたまたま見つけて、つい衝動買いしちゃったんだよね・・・。

花陽「お酒もアイドルグッズと同じで一期一会。その瞬間を逃すと二度と出会えないこともあるもんね・・・」

だから衝動買いも仕方ないんです。うん、花陽は悪くないです。

花陽「おつまみは・・・、お酒を見つけたのが嬉しくて何も考えてなかったです・・・」

冷蔵庫の中には、お野菜とパックの佃煮、それからホッケの干物・・・。

花陽「うーん、このなかだとやっぱりホッケかな・・・?」

魚焼きグリルを温めてから、ホッケさんを優しく入れてっと。
今日も楽しい晩酌になりそうです♪

6: 2016/01/06(水) 17:42:49.69 ID:HF5rk15R.net
花陽「さあ、準備できました♪」

テーブルにはこんがりと焼けたホッケと、お酒の瓶、それからワイングラス。
この醸し人九平次はワイングラスで飲むお酒らしいんですよね。

花陽「日本酒にワイングラスって、なんだか不思議な感じだけど、ラベルもお洒落だし結構合いますね・・・」

こうしてみるとホッケだけが浮いて見えます・・・。
やっぱりチーズとかの方がよかったかな?

花陽「まあ、とりあえずは飲んでみましょう!」

チーズなら近くのコンビニでも買えるし、飲んでみてから考えたほうがいいよね?
ゆっくりとグラスにお酒を注いで・・・。

花陽「それでは、いただきます♪」チビリ

花陽「・・・これは、人気なのもわかりますね、美味しいです!少し酸味が目立つけど、香りも甘みもバランスがいいですねし、後に残るほのかな渋みもいいですね・・・」チビチビ

ラベルに『2014』ってあるから、多分古酒なんだろうけど、全くそんな感じがしないフレッシュな味わいです!
さて、次はホッケを一口・・・。

花陽「・・・見た目ではミスマッチだったけど、意外と悪くないですね。甘さが残るお酒じゃないから、お魚とも合うのかな?」

寒空の下、コンビニまで向かう必要はなさそうです。

7: 2016/01/06(水) 17:50:17.04 ID:HF5rk15R.net
花陽「そういえば、最近はこういったお洒落なラベルの日本酒も増えてきたよね・・・」チビリ

獺祭の人気が出てきた頃から、ラベルや味も女性向きの日本酒が増えてきた気がします。

花陽「スパークリング日本酒や低アルコールなんかも最近人気だよね」チビチビ

好みや場面に合わせて、幅広くいろいろな日本酒を選べる時代になってきました。

花陽「まさに日本酒新時代って感じですね。このお酒もそれをリードしてるもののひとつだよね・・・」チビリ

時代が変われば人も変わる、時代が変わればお酒も変わる。
私だって昔から変わったんだから、これは当然のことかもしれませんね。

ピーピーピー!

花陽「あ、ご飯炊けたみたい!お酒の残りも・・・、蒸らし時間にちょうどよさそうだね♪」

部屋中に充満したご飯の匂い、美味しいおつまみ、美味しいお酒・・・。

花陽「これが、今日という日を生き抜いたごほうびです・・・」

9: 2016/01/06(水) 17:58:26.53 ID:HF5rk15R.net
花陽「そういえば、年末の課長ったらありえなかったんですよ・・・!」

うちの課の課長は、もう信じられないほど非常識な人なんですけど、やっぱり年末も非常識だったんです!

花陽「会社中のみんなが最後の一週間は早出に残業の繰り返しで、すっごく一生懸命仕事してるのに一人だけ一週間毎日遅刻ですよ!」

社長を含めた全社員の中で、一番出社が遅いのがうちの課長なんです!

花陽「課長以外の課員がみんな仕事してるのに、4時間経っても会社に来なかった時はさすがに呆れましたよ・・・」

もういっそ出社しなくてもいいのに・・・。

思い出したらなんだかイライラしてきました・・・。

花陽「もう!こういう時こそお酒ですよね!課長のことなんて忘れましょう!」ゴクゴク

ああ、荒んだ心にお酒が染みる・・・。

12: 2016/01/06(水) 18:14:04.45 ID:HF5rk15R.net
花陽「・・・まぁ、せっかく新しい年を迎えたんです。去年のことは水に流してあげましょう」

これでも私は心が広いんですよ?
伊達に長年凛ちゃんと付き合ってるわけじゃありません。
・・・凛ちゃんを貶してるわけじゃないですよ?

花陽「・・・とにもかくにも、新しい一年です!始めるにあたって、目標でも決めましょう」

いわゆる今年の抱負、ってやつです。

花陽「でも、目標かぁ・・・、何がいいんだろう?」

今はただのしがない会社員だし、『ラブライブ!優勝!』みたいな大きな目標って無いんだよね・・・。
でも、やっぱり目標は大きいほうがいいし・・・。

花陽「・・・ここはやっぱり、あれしかないかな」

自己目標にするだけなら問題ないもんね!
なら、やっぱり私の目標は・・・

花陽「・・・今年こそは彼氏を作ります!!」



・・・口にしたらなんだか悲しくなってきました。

花陽「はぁ・・・、こんな目標しか思いつかない自分が情けない・・・」

時代が変われば人も変わる、あの頃がなんだか懐かしいです・・・。

花陽「・・・明日もお仕事だし、ご飯を食べて早めに寝ましょう」

窓を叩く風に、早く春が来ることを願いながら、私の冬の夜は過ぎていくのでした・・・。

39: 2016/01/07(木) 17:08:45.16 ID:jsO/qoXL.net
ガチャッ

花陽「ただいま~。うぅ、寒かったぁ・・・」

仕事が終わり午後8時、ようやく安らぎの我が家に帰宅です♪

花陽「まずはストーブの電源を入れて・・・。ご飯が炊けるまでには・・・、まだ時間がありますね」

なら、やることはひとつ!
もちろん、仕事終わりの一杯です!

40: 2016/01/07(木) 17:09:41.98 ID:jsO/qoXL.net
花陽「たまたま目に入ったものが、すっごく魅力的に見えることって・・・ありますよね?」

本やCDでもタイトルや見た目が好みで、つい買っちゃったりするよね?
いわゆるジャケ買いってやつです。
それは日本酒だって同じことで・・・

と、いうわけで今日はジャケ買いならぬ、ラベル買いしてきたこのお酒!

花陽「『五凛 山田錦 純米酒』つい買っちゃったんだよね・・・」

だって、凛ちゃん×5だよ!?
・・・パラダイスかな?

花陽「おつまみはどうしようかな・・・。そういえば、あれがそろそろいい感じになってるはずだよね」

冷蔵庫からタッパーを取り出して、中身を確認・・・。

花陽「うん!いい漬かり具合です!おつまみはタラコの味噌漬けで決まりだね」

このタラコの味噌漬けは、生の助子(たらこ)を味噌、味醂、砂糖、酒を合わせたもので三日ほど漬けて作りました!
助子は白子と違ってスーパーでも安く手に入るし、調理も簡単だからおススメです♪
味噌を流したタラコを薄くスライスして・・・っと。

今日も楽しい晩酌になりそうです♪

41: 2016/01/07(木) 17:16:53.68 ID:jsO/qoXL.net
花陽「さぁ、準備できましたよ♪」

一升瓶とお猪口、それから小皿にはタラコ・・・。うん、やっぱりこれだよね!
お洒落なのもいいけど、日本酒には渋い風景のほうが似合います。

花陽「さっそくお酒から頂きましょう♪」チビリ

花陽「・・・なかなか、いいじゃないですか!上品な甘みと酸味もいいし、何よりお米の旨みを感じます!後味が辛めだから口からスッと消えていくのもいい感じ!」

ただの純米酒だから香りはあまり感じないんだけど、そこもいいですね。

花陽「変に匂いがあると料理に合わせづらいけど、これはどんな料理にも合いそうなお酒だね・・・」チビリ

飲みやすさと味のバランス、そしてなにより旨みを兼ね備えた、ちょっぴり濃い目の食中酒って感じかな?

花陽「・・・あ、タラコも忘れちゃいけないよね」

漬かり具合はどうかな?
控えめに一口・・・

花陽「・・・!こ、これは・・・お酒、お酒!」ゴクリ

それからタラコをもう一口。

花陽「はあぁぁ・・・、なんですかこれ・・・最っ高の組み合わせじゃないですか!」

花陽「タラコの濃厚な味もさることながら、それをお酒が美味しく洗い流してくれてます!」チビチビ

普通の塩タラコじゃ、この感覚は味わえません!
・・・これは人をダメにするやつだね。

42: 2016/01/07(木) 17:24:41.80 ID:jsO/qoXL.net
花陽「そういえばこの五凛って、天狗舞と同じ酒蔵さんなんだよね」

天狗舞とは違うコンセプトで、別ブランドとして作ったのが五凛みたいです。

花陽「天狗舞はどっしりとした味と風味で飲み手を選ぶ感じだけど、五凛は万人受けしそうな味ですね」チビリ

同じ酒蔵でもここまで違うとは思わなかったです。
やっぱり日本酒は奥が深いね。

ピーピーピー!

花陽「あ、ご飯炊けたみたい!お酒の残りも・・・、蒸らし時間にちょうどよさそうだね♪」

部屋中に充満したご飯の匂い、美味しいおつまみ、美味しいお酒・・・。

花陽「これが、今日という日を生き抜いたごほうびです・・・」

43: 2016/01/07(木) 17:29:36.23 ID:jsO/qoXL.net
花陽「そういえば、少し前に隣の課に新人さんが入ったんだけど、その子が結構変わった子なんだよね・・・」

中途半端な時期に入社したと思ったら、留年しての秋卒だったみたいです。

花陽「せっかくだからその子と先輩と一緒に飲みに行ったんですよ、一軒目は普通に楽しく終わって、さあ二件目!って場面で事件は起こったんです・・・」

花陽「次のお店をどうするか先輩と話してたら、その子がいきなり『今日は帰ります』って言い出したんです」

もしかして、楽しくなかったのかな?
それとも、もう酔っ払っちゃって辛いのかな?
って心配になって理由を聞いてみたら・・・。

花陽「『もう帰って寝ないと明日のプリ○ュアの時間に起きられないので』って言うんですよ。さすがにビックリしました・・・」

先輩はご立腹でしたけど、私はちょっぴり羨ましくなっちゃいました。

花陽「場面に関わらず、自分を貫けるって素敵なことだよね・・・社会人としてはどうかと思うけど」

でも周りに合わせるだけじゃ疲れちゃうもんね、私ももっと自分を出して行かなくっちゃ!

花陽「だけど会社で自分を出しても、近くにいるのはあの課長だから・・・」

・・・あれ?
課長の顔を思い出したらなんだかイライラしてきました・・・。

花陽「もう!こういう時こそお酒ですよね!課長のことなんて忘れましょう!」ゴクゴク

ああ、荒んだ心にお酒が染みる・・・。

44: 2016/01/07(木) 17:34:53.56 ID:jsO/qoXL.net
花陽「・・・このお酒、ゴクゴク飲んでも美味しい・・・」

お酒も人も一期一会、このラベルとの出会いに感謝です。

花陽「だって凛ちゃんが五人だもんね・・・、凛ちゃんだけで戦隊物ができちゃうよね」チビチビ

獣人戦隊ネコリンジャー!とかいいかも・・・

花陽「えへへ、こんなこと考えてるってバレたら凛ちゃんに怒られちゃうかな?」

でも、五色の猫耳を付けて戦う五人の凛ちゃんなんて素敵だなぁ、って思っちゃいますよね?
・・・なんて考えてたら凛ちゃんに会いたくなってきちゃいました。

花陽「連休には凛ちゃんと飲む予定だし、それまで我慢我慢!」

楽しみがあれば、辛いことでも頑張れるんです!

花陽「うん!今週も残り少し!ご飯を食べて、頑張っていきましょう!」

窓を叩く冷たい風に、早く春が来ることを願いながら、私の冬の夜は過ぎていくのでした・・・。

54: 2016/01/08(金) 17:13:57.13 ID:mJdpxe/m.net
ガチャッ

花陽「ただいま~。うぅ、寒かったぁ・・・」

仕事が終わり午後8時、ようやく安らぎの我が家に帰宅です♪

花陽「まずはストーブの電源を入れて・・・。ご飯が炊けるまでには・・・、まだ時間がありますね」

なら、やることはひとつ!
もちろん、仕事終わりの一杯です!

55: 2016/01/08(金) 17:15:10.83 ID:mJdpxe/m.net
花陽「今日は会社の先輩から薦められた国産ウイスキーを飲んでみます!」

ウイスキーだとバーボンが好きだけど、たまには目線を変えてみるのもいいよね。

花陽「『ニッカ フロム・ザ・バレル』シンプルなラベルがカッコいいね」

先輩いわくこのお酒は、二種類の熟成ウイスキーをブレンドして再貯蔵したものみたいです。
アルコール度数は51.4度・・・

花陽「先輩が言ってたとおり、かなり高めだね・・・」

さすがにストレートはやめたほうがよさそうだね。やっぱりロックがいいかな?
そして問題はおつまみですよ・・・

花陽「実は、ウイスキーって何を合わせていいかよくわからないんだよね・・・」

普段飲まないからかもしれないけど、なんとなくウイスキーのおつまみは既製品になっちゃうイメージです。
おつまみは手作り派の私としては少し悔しい・・・。

花陽「・・・とりあえずベーコンでも焼いてみようかな」

冷蔵庫に入ってたベーコンを食べやすい大きさに切ってフライパンに投入!
すると、すぐにパチパチという音と美味しそうな匂いがしてきます。

花陽「これは・・・卵も追加ですね♪」

手抜きでも手作りは手作り!これでいいんです!
ベーコンの上に卵を落として・・・っと。

今日も楽しい晩酌になりそうです♪

56: 2016/01/08(金) 17:23:38.94 ID:mJdpxe/m.net
花陽「さぁ、準備できましたよ♪」

シンプルなボトルと無骨なロックグラス、それから半熟のベーコンエッグ。

花陽「・・・こうして見ると案外悪くないね」

さて、冷めちゃう前に飲み始めましょう!
氷の入ったグラスにウイスキーを注いで・・・。

花陽「いただきます♪」チビリ

花陽「ふぅ・・・、なんだか落ち着く味わいですね。度数が高い割に刺激は控えめで、味わいもまろやかな感じです」チビリ

これなら慣れればストレートでも飲めるかも。

花陽「あと、安いウイスキーにありがちな変な匂いがしないのもいいですね。これは先輩が薦めるのもわかるかも・・・」チビチビ

これが2000円台前半で買えるんだから驚きです。
続いてベーコンエッグを一口・・・。

花陽「・・・平凡な感じだけど、やっぱり合いますね。ベーコンの脂や黄身のコクを、ウイスキーがスッキリと流してくれる感じです」チビリ

ベーコンだって燻製肉だし、やっぱり洋酒との相性は良いよね。

57: 2016/01/08(金) 17:29:36.97 ID:mJdpxe/m.net
花陽「そうそう、このウイスキーを探すのに実は結構いろんな酒屋さんを周ったんだよね・・・」

なかなか見つからないから、途中でおかしいと思って店員さんに話を聞いてみたら、原因がわかったんです。

花陽「なんでも、某朝ドラがきっかけの国産ウイスキーブームで原酒が不足しちゃって、一部の国産ウイスキーが品薄になってるらしいんだよね」

中には終売になったものまであって、このフロム・ザ・バレルも一時は終売が噂されてたらしいです。

花陽「いろんな人がいろんなきっかけでお酒にふれるのはいいことだけど、ここまで来ると好きな人は困っちゃうよね・・・」チビチビ

いきなりのブームで終売になったりしたら、それが好きで飲んでた人には堪らないです。
でも、それもどうしようもないことで・・・、私が普段飲んでるお酒だっていつなくなるかわからないってことだよね。

花陽「・・・これからはお酒に感謝の気持ちを忘れないようにしなきゃね」チビリ

ピーピーピー!

花陽「あ、ご飯炊けたみたい!お酒の残りも・・・、蒸らし時間にちょうどよさそうだね♪」

部屋中に充満したご飯の匂い、美味しいおつまみ、美味しいお酒・・・。

花陽「これが、今日という日を生き抜いたごほうびです・・・」

58: 2016/01/08(金) 17:34:35.93 ID:mJdpxe/m.net
花陽「そういえば、去年の忘年会のときの課長ったら・・・もうイライラしちゃいましたよ!」

年末で仕事が忙しくなる少し前に、取引先と合同で忘年会をしたんです。

花陽「最初は若手のグループで飲んでたんだけど、一応課長にお酌しておこうと思って、お偉方がいるテーブルに行ったんです。そしたら話してる内容が聞こえちゃって・・・」

その内容がなんていうか・・・もう・・・

花陽「『俺はわざと小泉に嫌われようとしてるんだ。俺が反面教師となってあいつが成長できるなら、俺は本望だよ』とか自慢げに言ってるんですよ!」

花陽「仕事ができる人が言うならカッコいいですけど、後に一週間毎日遅刻する課長じゃ言い訳にしか聞こえませんよ!なんだかお酌しに行った私がバカみたいじゃないですか!?」

思い出したらなんだかイライラしてきました・・・。

花陽「もう!こういう時こそお酒ですよね!課長のことなんて忘れましょう!」ゴクゴク

ああ、荒んだ心にお酒が染みる・・・。

59: 2016/01/08(金) 17:40:46.87 ID:mJdpxe/m.net
花陽「この前、去年のことは水に流そうと思ったけど、やっぱりまだ無理かも・・・」

ごめんなさい・・・、花陽は心の狭い子です。

花陽「でも、悪いのは課長だもんね、私は悪くないよね?」

グラスの中で揺れる氷に問いかけても、何も答えてくれません。

花陽「あんなのただの言い訳だもん、本気で思ってるわけないです・・・」チビリ

そう呟いて口に含んだウイスキーはちょっぴり苦く感じられました。

花陽「はぁ・・・、慣れないお酒だから酔っ払っちゃったのかな?明日もあるし、ご飯を食べてもう寝ようかな・・・」

窓を叩く冷たい風に、早く春が来ることを願いながら、私の冬の夜は過ぎていくのでした・・・。

78: 2016/01/10(日) 15:56:17.57 ID:Hyyd8MzV.net
凛「はぁ、思ったより遅くなっちゃったにゃ・・・」

部活が終わったらすぐに来るつもりだったのに、なんで今日に限って教頭先生がいたりするのかな・・・。

凛「話は長いし、気付いたらお説教になってるし・・・もう散々だったよ」

お料理のお手伝いをするつもりだったけど、多分もう全部出来ちゃってるよね。
なんて、考えてるうちに目的の部屋は目の前で・・・

ピンポーン!

呼び鈴を鳴らすと、すこし遠くから『はーい』って、声が聞こえて・・・

ガチャッ

花陽「いらっしゃい、凛ちゃん!お仕事お疲れ様♪」

エプロン姿のかよちんがお出迎え。
今日はかよちんの部屋にお泊りだにゃ♪

80: 2016/01/10(日) 16:04:08.70 ID:Hyyd8MzV.net
部屋に入ると、お料理のいい匂い・・・。これは、お肉かな?

凛「そうだ、かよちん!今日は凛もお料理手伝おうと思ってたんだけど・・・」

花陽「ありがとう、凛ちゃん。でも、もうすぐ出来るから大丈夫だよ」

やっぱり手遅れだったにゃ。

花陽「準備は花陽にまかせて、凛ちゃんはシャワーでも浴びててよ。顧問っていっても、一緒に運動してきたんでしょ?」

凛「あ、うん・・・、じゃあお言葉に甘えて・・・」

花陽「脱衣所に凛ちゃんのパジャマも用意してあるからね」

・・・将来かよちんをお嫁にもらう男がいたら、そいつはきっと幸せ者だ。
そんなことを考えながら、凛はシャワーへ向かいました。

81: 2016/01/10(日) 16:11:52.56 ID:Hyyd8MzV.net
~~~~~~


花陽「あ、おかえり!ちょうど準備できたところだよ」

シャワーを浴びて、髪を拭きながら部屋に戻ると、エプロンを外してパジャマ姿のかよちんが、テーブルにグラスと缶ビールを並べてるところだった。
他にもテーブルにはビール用のおつまみに枝豆が並べられていた。
ほんと出来る子だにゃ・・・。

凛「わるいにゃあ、なにからなにまで・・・」

花陽「ふふ、それは言わないお約束だよ。さ、座って座って」

かよちんの向かいに座ると、すかさずグラスにビールを注いでくれる。
お返しとばかりに、凛もかよちんにお酌して・・・、なんだか新婚さんみたいだにゃ。

花陽「それじゃ・・・」

凛「さっそく・・・」

りんぱな「かんぱーい!」

カツンとグラスを合わせてから、ゴクゴクとビールを一気飲み!

凛「ぷはぁ!やっぱり運動してシャワーを浴びた後のビールは最高だにゃ!」

花陽「凛ちゃん、なんだかおじさんみたい」

凛「だって美味しいんだもん!」

82: 2016/01/10(日) 16:20:26.69 ID:Hyyd8MzV.net
さてさて、ビールには枝豆だよねっ!

凛「この枝豆、美味しいにゃ・・・」

花陽「スーパーで買ってきた冷凍品だよ?」

凛「えぇ!?そうなの?凛が茹でたらこんなにシャキシャキしてないのに・・・」

冷凍枝豆っておつまみで結構買うんだけど、茹でるとふにゃふにゃになっちゃうんだよね。

花陽「自然解凍してから、軽く熱湯をかけて温めれば食感が悪くならないよ。それで、荒塩を振ったのがこれ」

凛「にゃるほど・・・」

勉強になるにゃ。

83: 2016/01/10(日) 16:30:58.46 ID:Hyyd8MzV.net
~~~~~~

花陽「私はそろそろ日本酒にしようと思うんだけど、凛ちゃんはどうする?まだビールもあるよ?」

最初に用意してあったビールと枝豆がなくなった頃、かよちんが立ち上がりながらそう言った。

凛「凛も日本酒にしようかな。次のおつまみは日本酒に合わせて作ってあるんでしょ?」

花陽「えへへ、ばれちゃってるね。じゃあ、お酒とおつまみ用意するね」

しばらくして、かよちんが台所から一升瓶を持って戻ってきた。

花陽「凛ちゃん、日本酒は甘めが好きだっていってたよね?」

凛「うん、甘いほうが凛は飲みやすくて好きだなぁ」

84: 2016/01/10(日) 16:35:21.16 ID:Hyyd8MzV.net
花陽「そんな凛ちゃんのために、今日はこのお酒を用意しました!」

花陽「『花陽浴 八反錦 純米吟醸 無濾過生原酒』です!」

そう言って、かよちんが誇らしげに花陽浴の瓶を掲げる。

凛「・・・かよちん、いろんな意味で恥ずかしくない?」

花陽「・・・恥ずかしいです」

自分と似た名前のお酒を凛のために用意って・・・、ちょっと勘違いしちゃいそうだよ。
こんなこと、男の人の前ではやっちゃダメだからね!

花陽「でも、このお酒ほんとに美味しいんだよ!?きっと凛ちゃんも気に入ると思うな」

凛「まぁ、かよちんがそう言うんならそうなんだろうけど・・・」

白米好きのかよちんは日本酒にも結構こだわってて、そのかよちんが言うなら間違いないんだろう。

花陽「あわせるおつまみは豚の角煮だよ!今持ってくるから待っててね!」

瓶をテーブルに置いて、かよちんが台所に向かう。
・・・あれは多分逃げた感じだにゃ。

85: 2016/01/10(日) 16:48:34.45 ID:Hyyd8MzV.net
花陽「おまたせ~」

かよちんがお盆に角煮を乗っけて戻ってきた。

凛「あれ?この角煮、色が白いんだね?」

テーブルに置かれた角煮は煮汁も身も色が付いてなかった。

花陽「うん、日本酒に合わせて、生姜を利かせた昆布出汁で煮込んだんだ。このタレに付けて食べるんだよ」

そう言いながらタレの入った小皿を、凛の前に置いてくれた。

花陽「こっちはカツオ出汁をベースに、醤油とお酒と味醂を加えて煮切って作りました!砂糖を入れてもよかったんだけど、やっぱりお酒が甘めだからね」

花陽「普通の角煮だと合わせるのはビールか焼酎って感じだけど、これなら日本酒にも合うと思うよ!」

たしかに角煮って言うと、ビールや焼酎なんかのイメージかもしれない。
味付けでどれだけ変わるのか、少し楽しみかも・・・。


またかよちんとお互いにお酌して・・・。

りんぱな「かんぱーい!」

本日二回戦開幕だにゃ!

87: 2016/01/10(日) 17:02:43.66 ID:Hyyd8MzV.net
やっぱり、まずはお酒からだよね・・・。

凛「・・・」チビリ

口に含むと、最初にキリッとした味を感じてから、甘みや酸味が後を追いかけてきて・・・。

凛「美味しいにゃ・・・。ただ甘いだけじゃなくて、なんだかサッパリした感じなんだね」チビリ

花陽「甘みだけじゃなくて酸味もあるし、生原酒だからちょっぴり炭酸感があるんだよね。それでサッパリしてるように感じるんだと思うよ」

なるほど、最初に感じたキリってした味は炭酸だったんだね。

花陽「多分、何日か置いておくと酸化したり、炭酸が抜けたりして、もっと重いお酒になるんじゃないかな?」チビチビ

凛「お酒って味が変わるの?」

花陽「うん。お酒、特に生のお酒は生き物だからね。栓を抜いたら刻一刻と味が変わるんだよ」

凛「そうなんだ、知らなかったにゃ」

花陽「中には『開封してから○日後に飲んでください』って書いてあるお酒もあったりするんだから」

・・・お酒って奥が深いにゃ。

88: 2016/01/10(日) 17:14:16.26 ID:Hyyd8MzV.net
おっと、せっかくかよちんが作ってくれたんだから、角煮も忘れちゃいけないよね!
ちょこんと、タレをつけてパクりと一口!

凛「~~!!お酒にも合うし、これすっごく美味しいにゃ!」チビチビ

花陽「えへへ、ありがと♪」チビリ

凛「角煮っていうとコッテリのイメージなのに、すごくサッパリしてるにゃ!」

それに、タレが後付けだから自分の好みのしょっぱさにできるのもいい感じ!

花陽「実は、よく行く居酒屋さんの角煮がこんな感じで、それを真似して作ってみたんだ」

花陽「今度、一緒にその居酒屋さんにも行こう?店長さんにも凛ちゃんのこと紹介したいし・・・」

凛「うん、かよちんがよく行くお店なら凛も紹介してほしいにゃ」

花陽「約束だよ?」

また、凛とかよちんの約束がひとつ増えました。

89: 2016/01/10(日) 17:19:43.38 ID:Hyyd8MzV.net
花陽「そういえば、最近学校はどうなの?」チビチビ

凛は今、中学校の先生をやってるんだにゃ!
・・・凛が先生なんて似合わないとか思うかもしれないけど、これでもちゃんとお仕事してるんだよ?

凛「実は・・・年末から先輩が産休を取ることになって、いまは代理で担任をやってるんだにゃ」

花陽「へぇ、すごいじゃん!」

凛「すごくなんかないよ、もう毎日大変だもん!運動部の子たちがフォローしてくれるから本当に助かってるよ」

あの子達がいなかったら、凛はとっくに先生を辞めてるかもしれない。
ほんと、感謝してもしきれないよ。

花陽「でも、フォローしてくれるってことは、凛ちゃんが好かれてるってことでしょ?」

凛「それはそうかもだけど・・・」

花陽「花陽は凛ちゃんみたいな可愛い先生がいたら、すっごく嬉しいけどなぁ・・・」

凛「にゃ!?か、かわいい・・・!?」

そんな、かわいいだなんて・・・、もしかしてかよちんもう酔っ払ってるのかにゃ?
ここは話を逸らして・・・

凛「そんな話より、かよちんは最近お仕事どうなの?」

花陽「・・・」

91: 2016/01/10(日) 17:35:30.60 ID:Hyyd8MzV.net
凛「ほら?例の課長さんと上手くいってるのかなぁ・・・って」

花陽「課長・・・ふふふ・・・課長はね・・・」

なんだかかよちんが不気味な感じで笑ってる・・・。
なんだか悪い予感が・・・。

花陽「聞いてよ凛ちゃん!もう課長ったらひどいんだよ!?」ドンッ!

凛「は、はいっ!?」

かよちんがテーブルに手をついて、身を乗り出して話し始める。

花陽「昨日も信じられないようなことをするんだよ!?もう最低だよ!!」

凛「そ、そうなんだぁ・・・あはは・・・」

もしかして、地雷を踏んじゃった?
なんだか長い夜になりそうだにゃ・・・。

93: 2016/01/10(日) 17:41:24.01 ID:Hyyd8MzV.net
~~~~~~

花陽「ん・・・あれ・・・?」

気付かないうちに寝ちゃってたのかな?
時計に目をやると、午前二時を回ってました。

凛「すぅ・・・すぅ・・・」

目の前では凛ちゃんが寝てて・・・。
凛ちゃんに課長の愚痴を話し始めたところまでは覚えてるんだけど・・・。

花陽「何を話したかすら覚えてないです・・・」

完全に飲みすぎですね・・・。
とりあえずテーブルを片付けて、凛ちゃんをベッドで寝かせないと・・・。

花陽「まだ一杯分くらい残ってますね・・・」

片付けようと思って持った一升瓶には、ちょっぴりお酒が残っていて・・・。
それに目の前には凛ちゃんの寝顔・・・

花陽「無防備な凛ちゃんがいけないんだからね・・・」

おもむろに残りのお酒をグラスに注いで・・・

花陽「・・・凛ちゃんを、花陽のおつまみにしちゃいます♪」

愛らしい凛ちゃんの寝顔を眺めながらの一杯は、とっても甘いものでした・・・。

108: 2016/01/11(月) 17:05:51.90 ID:/qrK5cdw.net
ガラガラッ

「いらっしゃい、嬢ちゃん今日はひとりかい?」

花陽「・・・一人です」

「好きな場所に座りな」

せっかくの祝日ですから、今日は気分を変えて外飲みです!

109: 2016/01/11(月) 17:08:20.76 ID:/qrK5cdw.net
ここはお年を召した大将が一人で切り盛りしている小さな居酒屋さんで、最近よく通ってるお店なんです。
日本酒の種類も多いし、お料理も美味しいんですよ!
・・・大将がマイペースだから、お客さんが多いとなかなか料理が出てこないこともあったりするんだけど、そこも含めてアットホームないいお店です。

「ほら、お通しだ」

大将がカウンター越しにお通しを差し出してくれます。

花陽「これは、牛蒡と・・・なんですか?」

「山牛蒡の味噌漬けと、鮭白子の燻製だ。日本酒にはもってこいだぞ」

大将がへへっ、っと笑います。
見るからにお酒に合いそう・・・。
そういえば初めてこのお店に入ったときも、お通しの美味しさに驚いたような覚えがあります。

110: 2016/01/11(月) 17:14:44.77 ID:/qrK5cdw.net
「酒はどうする?」

花陽「う~ん、どうしよう・・・」

このお店の品揃えは、山形の地酒を中心に常時80種ほど・・・、いつもメニューを見ながら悩んじゃいます。
そして、目に入ったのは期間限定のこのお酒・・・。

花陽「『出羽桜 桜花吟醸 さらさらにごり』をお願いします」

「あいよ」

今日も楽しい晩酌になりそうです♪

111: 2016/01/11(月) 17:22:13.97 ID:/qrK5cdw.net
~~~~~~

「ほい、桜花のにごりだ」

しばらくして大将がお酒の入ったグラスを差し出してくれました。

花陽「ありがとうございます」

受け取ったグラスには白く濁った日本酒。・・・魅力的です。

花陽「それではいただきます♪」チビリ

花陽「はぁ・・・、美味しいお酒ですね・・・。酸味はほとんど無くて、優しい甘みと、にごりらしいまろやかさを感じます・・・」チビチビ

「癒し系な酒だろ?」

大将の言うとおり癒されるお酒です。

112: 2016/01/11(月) 17:30:05.07 ID:/qrK5cdw.net
お酒が来るまで我慢してたお通しも食べてみましょう!
まずは山牛蒡から・・・

花陽「ん~!大将、これ良いですね!日本酒のおつまみには最高ですよ!」チビチビ

「そうだろ?正月に田舎から持って帰ってきたんだ」

味噌の味わいと牛蒡の苦味が日本酒に合います!

「いっぱい持ってきたから、少し分けてやるよ」

花陽「ほんとうですか!?嬉しいです!」

やましい気持ちがあって通ってるわけじゃないけど、常連になるとこんなことがあったりもするんだよね。

113: 2016/01/11(月) 17:37:33.31 ID:/qrK5cdw.net
さてさて、お次は鮭の白子ですよ!
二切れしかないから、とりあえずチビッと一口・・・。

花陽「こっちもいいですね!燻製の香りが白子の臭みを上手く消してます!」チビチビ

それでいて旨みはしっかり残ってるから、これが日本酒に合わないわけありません!

花陽「これどうやって作るんですか?」

もし自分でも作れそうなら、ぜひおつまみのレパートリーに・・・。

「わりいな、こっちは企業秘密だ」

花陽「残念です・・・」

常連になっても、ダメなものはダメみたいです・・・。

114: 2016/01/11(月) 17:39:27.84 ID:/qrK5cdw.net
~~~~~~

花陽「大将・・・、もう一杯・・・」

「嬢ちゃん、飲みすぎだぞ。明日は仕事なんだろ?」

花陽「もう、せっかく飲んでるのに仕事のことなんて言わないでくださいよ・・・」

私にとっての安らぎの時間は、お酒と共にあるんです。

「しかたねぇな、これ飲んだらちゃんと帰れよ?」

そう言いながら、お酒と一緒にお水を差し出してくれる大将は優しい人です。

「会社員ってのが色々あるのもわかるけどな、毎日頑張って働いてるからこそ、旨い酒が飲めるってもんだ。明日からもしっかりと働いて、また旨い酒を飲みに来な」

花陽「・・・がんばります」チビリ

大将にこういわれたら、頑張らないわけにいかないですよね?
美味しいお酒を糧に、明日からも頑張っていきましょう!

118: 2016/01/11(月) 18:50:40.39 ID:/qrK5cdw.net
すみません、レスが付かないとつまらなかったかなって不安になってしまうものでつい・・・。

129: 2016/01/12(火) 16:52:39.58 ID:YaXZ9G71.net
ガチャッ

花陽「ただいま~。うぅ、寒かったぁ・・・」

仕事が終わり午後8時、ようやく安らぎの我が家に帰宅です♪

花陽「まずはストーブの電源を入れて・・・。ご飯が炊けるまでには・・・、まだ時間がありますね」

なら、やることはひとつ!
もちろん、仕事終わりの一杯です!

130: 2016/01/12(火) 16:53:39.31 ID:YaXZ9G71.net
花陽「はぁ・・・、結局買っちゃいました・・・」

偶然立ち寄った百貨店の日本酒コーナーで、とあるお酒を見つけたんだけど・・・。

花陽「ネットではプレミアが付いちゃって買えないお酒が、定価販売されてると欲しくなるよね?」

まあ、定価でも高かったんだけどね・・・。
この際、値段のことは気にしないことにしましょう!
と、いうわけで、本日はこのお酒です!

花陽「『獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分』言わずと知れた超人気銘柄です!」

この磨き二割三分は、精米歩合23%、つまりはお米の77%を削って残った部分のみで作られたお酒です。
今は更に精米を追及した『磨き その先へ』もあるんだけど、それでも今の日本酒の中ではトップクラスの高精米です。

花陽「合わせるおつまみは、数の子の出汁漬けにしましょう!」

お正月に売れ残った数の子が特売になってたんで、つい買ってきちゃいました。
数の子は塩抜きしてから、濃い目に仕上げたカツオ出汁に漬け込んであります。
ちょっぴり醤油も入れてるけど、味じゃなくて香りをつける程度かな?
タッパーを開けると、お出汁のいい香りが・・・。

今日も楽しい晩酌になりそうです♪

131: 2016/01/12(火) 17:00:15.43 ID:YaXZ9G71.net
花陽「さぁ、準備できましたよ♪」

四合瓶にお猪口、それから数の子の小皿も並べて、準備万端です!

花陽「高いお酒だもんね、こぼさないように慎重に注いで・・・」

酒の一滴は、血の一滴。
そんな言葉を思い出します。

花陽「それでは、いただきます♪」チビリ

花陽「・・・なんですか、これ?苦味や渋みが全くがありません!主張しすぎない香りと甘み、その奥で確かに感じられる旨み、とっても上品にまとまってます!」チビチビ

さすがは現代日本酒界をリードするお酒。
飲みやすさで言えば、今まで飲んだ中でもトップクラスです!

花陽「日本酒は苦手だけど、これなら飲めるって人がいるのも納得だね・・・」チビリ

さてさて、この辺で数の子さんも一口・・・。

花陽「・・・大正解です!お出汁とお醤油の香り、棘の無い自然な塩気・・・、上品なお酒に合いますね」チビチビ

逆に、味が濃かったり、香りが強かったり、主張の強いおつまみとは相性が悪いかもしれません。

134: 2016/01/12(火) 17:11:38.34 ID:YaXZ9G71.net
花陽「それにしても、本当に雑味のないお酒ですね・・・」チビリ

これぞ高精米ならでわの味です。
透き通った綺麗なお酒、って表現がぴったりかな?

花陽「でも、若干綺麗すぎる気もしますね。良く言えば、この上なく綺麗でお上品なお酒。悪く言えば、味も旨みも物足りないお酒って感じかな?」

お酒は嗜好品、個人の好みが色濃く出るものです。
本当に美味しいお酒なんだけど、その辺は好みに左右されるかもしれません。

ピーピーピー!

花陽「あ、ご飯炊けたみたい!お酒の残りも・・・、蒸らし時間にちょうどよさそうだね♪」

部屋中に充満したご飯の匂い、美味しいおつまみ、美味しいお酒・・・。

花陽「これが、今日という日を生き抜いたごほうびです・・・」

135: 2016/01/12(火) 17:16:46.63 ID:YaXZ9G71.net
花陽「そういえば、先日会社の新年会があったんですよ・・・」

この真冬に、東京湾で屋形船だなんて、うちの会社も頭がおかしいです・・・。

花陽「でも、会社よりも頭がおかしい人がいたんですよね・・・」

・・・そう、うちの課の課長です!

花陽「課長はあまり社内行事には参加しないんですけど、今回は珍しく参加するって言い出したんです」

正直課長は社内ではあまり好かれてないし、これを機に他の課の人たちと仲良くなってくれたらいいなぁ、って思ってたんですけど・・・。

花陽「課長はそんな私の気持ちを裏切ったんです・・・!」

いえ、本当はわかっていたんです、課長がそういう人だって・・・
信じた私がバカだったんです・・・。

136: 2016/01/12(火) 17:20:51.29 ID:YaXZ9G71.net
花陽「・・・集合場所でいくら待っても課長が来ないんですよ!」

冷静に考えればわかることだったんです・・・、なんせ課長は遅刻の常習犯なんですから!

花陽「電話しても全然出ないし、総務には『監督不行き届きだ』って怒られるし、もう散々でした・・・」

そもそも、部下の私が監督不行き届きって言われるのもおかしいですよね?
結局、船側から『これ以上待てない』と言われて、課長を置いて出航したんですけど、課長と連絡が付いたのはそれから30分ほど後のことでした。
そして、電話越しに課長は悪びれもせずに、こう言ったんです・・・。

『ごめん、寝てた』

花陽「寝てた、じゃないですよ!!課長のおかげで私は散々怒られたんですよ!?もしかしたら何かあったのかもって心配までしたのに、これじゃバカみたいじゃないですか!」

思い出したらなんだかイライラしてきました・・・。

花陽「もう!こういう時こそお酒ですよね!課長のことなんて忘れましょう!」ゴクゴク

ああ、荒んだ心にお酒が染みる・・・。

137: 2016/01/12(火) 17:26:00.12 ID:YaXZ9G71.net
花陽「・・・今年の冬は暖かいと思ってたけど、今日はさすがに冷えますね」チビリ

それもそのはず、今朝カーテンを開けて外を見たら雪が降ってたもんね。

花陽「雪を見るといろいろ思い出しちゃうよね。雪が降る中踊ったこととか、ライブを観に行って帰宅難民になったこととか・・・」

今となってはいい思い出です。

花陽「積もりさえしなければ、雪も綺麗でいいんだけどね」チビチビ

首都圏で雪が積もると、会社に行くのにも一苦労だもんね。

花陽「今日も結局朝だけだったし、今年は積もらないでくれるといいんだけど・・・」

まあ、積もったら積もったで、雪見酒に興じるのも良いかもしれないですね。

花陽「さてと、そろそろご飯を食べて〆にしようかな?ちゃんと体を温めてから寝なくっちゃね」

窓を叩く冷たい風に、早く春が来ることを願いながら、私の冬の夜は過ぎていくのでした・・・。

138: 2016/01/12(火) 17:27:16.92 ID:YaXZ9G71.net
なんだかいろいろとすみません・・・。

日本酒初心者の方には、この獺祭や花陽浴、鍋島がお勧めです。
辛口なら、景虎やばくれんを是非。

148: 2016/01/13(水) 16:48:51.74 ID:sDy7Y3Zs.net
ガチャッ

花陽「ただいま~。うぅ、寒かったぁ・・・」

仕事が終わり午後8時、ようやく安らぎの我が家に帰宅です♪

花陽「まずはストーブの電源を入れて・・・。ご飯が炊けるまでには・・・、まだ時間がありますね」

なら、やることはひとつ!
もちろん、仕事終わりの一杯です!

149: 2016/01/13(水) 16:50:11.05 ID:sDy7Y3Zs.net
花陽「日本酒って、いろいろな名前がありますよね?」

かっこいい名前だったり、可愛い名前だったり、難しすぎて読めない名前だったり・・・。

花陽「探すといろいろあるもので、花陽浴や凛、小鳥のさえずりといった感じに、メンバーの名前に近いお酒もあるんだよね」

そんな中から、今日はこのお酒を飲んでみます!

花陽「『雪ほのか 純米吟醸 初しぼり 無濾過本生 おりがらみ』我らがリーダー穂乃果ちゃんです!」

穂乃果ちゃんのお酒は、凛ちゃんと並んで遭遇が高い気がします。
○○ほのかって語呂がいいもんね。

花陽「あわせるおつまみはほうれん草のおひたしにしましょう」

たまにはお野菜も食べないと体に悪いもんね?
かつお出汁をとってから、ほうれん草を茹でて・・・っと。

今日も楽しい晩酌になりそうです♪

150: 2016/01/13(水) 17:00:40.89 ID:sDy7Y3Zs.net
花陽「さぁ、準備できましたよ♪」

さっそくお酒を注いでみましょう!
おりがらみだから、全体に滓が周るように攪拌してから、透明なグラスに注いで・・・っと。

花陽「それでは、いただきます♪」チビリ

花陽「・・・うん、美味しい!フルーティーな感じの甘みが目立つけど、後に引きずるような甘さじゃないね。おりがらみらしいまろやかな感じも良いです!」チビチビ

出羽桜のにごりと同じく、癒し系と言えるお酒ですね。

花陽「味的には、こっちのほうが甘めで女性向きな感じかな?」チビリ

さて、このへんでおひたしを一口・・・

花陽「・・・これが日本酒と合わないわけないですよね?お出汁の香りと旨みを吸ったほうれん草・・・お酒が進みます」チビチビ

おひたしには鰹節をかけるのが一般的かもしれませんが、私は最後に海苔をかけるのが好みです。
これが結構合うんだよね・・・。

151: 2016/01/13(水) 17:12:00.68 ID:sDy7Y3Zs.net
花陽「それにしても、よく名前とマッチしたお酒ですね・・・」チビリ

『雪ほのか』という名前は、このおりがらみのお酒にぴったりです!
薄く濁ったお酒は、ほのかに降る雪を表してるように見えて、とても綺麗です。

花陽「これが普通の濁り酒だったりしたら、ほのかじゃなくて吹雪だもんね・・・」

なんとなく、穂乃果ちゃんなら吹雪も似合いそうって思ったけど、それはこのお酒とは関係ありません。

ピーピーピー!

花陽「あ、ご飯炊けたみたい!お酒の残りも・・・、蒸らし時間にちょうどよさそうだね♪」

部屋中に充満したご飯の匂い、美味しいおつまみ、美味しいお酒・・・。

花陽「これが、今日という日を生き抜いたごほうびです・・・」

152: 2016/01/13(水) 17:18:19.46 ID:sDy7Y3Zs.net
花陽「そういえば、この前の休日のことなんですけど・・・」

そう、私がのんびりお料理をしながら、休日を満喫してる時のことでした。

花陽「・・・いきなり課長から電話がかかってきたんですよ」

休日+課長って時点で悪い予感しかしなかったんですけど、もし仕事の話だったら困るので一応電話を取ったんです。
どうせ下らない内容だと思いましたけど、案の定でした。

花陽「『家のパソコンをWindows10にアップデートしたら、いきなり動かなくなった!助けろ!』って・・・それくらい自分でなんとかしてくださいよ!」

花陽「結局、丸一時間かけて全部やり方を教えて、元のWin7に戻させましたけど・・・せっかくの休日が台無しですよ」

そもそも、量販店で買ったメーカー物を使ってるんだから、コールセンターにでも電話すればいいんです!
なんで私が被害を受けなきゃいけないんですか・・・?

花陽「課長に時間外手当を請求したくなりましたよ・・・」

思い出したらなんだかイライラしてきました・・・。

花陽「もう!こういう時こそお酒ですよね!課長のことなんて忘れましょう!」ゴクゴク

ああ、荒んだ心にお酒が染みる・・・。

153: 2016/01/13(水) 17:24:06.66 ID:sDy7Y3Zs.net
花陽「はぁ・・・、みんな元気にしてるかな?」チビリ

メンバーの名前の入ったお酒を飲んでると、やっぱりみんなのことを思い出します。
今はそれぞれ忙しくしていて、全員で集まれることは滅多にないです。

花陽「またみんなで一緒に飲みたいなぁ・・・」チビチビ

一人でお酒を飲むのも悪くないけど、やっぱり気の知れた仲間たちと一緒に飲むのは楽しいものです。
飲みなれた銘柄でも、みんなの一緒に飲むだけで少し美味しく感じるんだよね。

花陽「またみんなと楽しむためにも、明日のお仕事も頑張らなくちゃだよね!ご飯を食べて、張り切っていきましょう♪」

窓を叩く冷たい風に、早く春が来ることを願いながら、私の冬の夜は過ぎていくのでした・・・。

162: 2016/01/14(木) 16:54:00.55 ID:uEJSuvr1.net
ガチャッ

花陽「ただいま~。うぅ、寒かったぁ・・・」

仕事が終わり午後8時、ようやく安らぎの我が家に帰宅です♪

花陽「まずはストーブの電源を入れて・・・。ご飯が炊けるまでには・・・、まだ時間がありますね」

なら、やることはひとつ!
もちろん、仕事終わりの一杯です!

163: 2016/01/14(木) 16:54:42.89 ID:uEJSuvr1.net
花陽「今日は辛口のお酒を飲んじゃいます!」

最近、甘口や旨口といわれるようなお酒ばかり飲んでたもんね。
そろそろ辛口酒が恋しくなる頃合いです。

花陽「『越乃景虎 超辛口』これ、いいお酒なんだよね」

スーパーや居酒屋でもお馴染みの、有名銘柄ですね。
超辛口というと、この景虎か、くどき上手の黒ばくれんを思い浮かべる人も多いんじゃないかな?

花陽「最近急に寒くなってきたし、ここはやっぱり熱燗ですね・・・」

やっぱり日本の冬といえば燗酒ですよね?
そして、合わせるおつまみは、鰆のお刺身です!

花陽「でもただお刺身にするだけじゃ、芸が無いよね・・・」

パックから鰆の柵を取り出してみると、どうやら皮付きみたいです。

花陽「鰆、皮付き、とくればやることは決まってるよね!」

皮目に軽く塩胡椒をして、取り出したのはどのご家庭にもあるガスバーナー!
鰹のたたきを作る感じで強めに焼き目をつけてから、氷水でしっかりと締めて・・・。

うん!今日も楽しい晩酌になりそうです♪

164: 2016/01/14(木) 17:02:37.53 ID:uEJSuvr1.net
花陽「さぁ、準備できましたよ♪」

せっかく燗をつけたんだから、ぬるくなる前に飲みましょう!
お猪口に注ぐと、ふわりと湯気が踊ります。

花陽「それでは、いただきます♪」チビリ

花陽「・・・さすがは景虎、安心と信頼の味です。暖めることで冷やで飲むよりも旨みを感じさせながらも、超辛口らしいキレでしっかりとまとめてくれますね」チビチビ

ばくれんと比較すると、旨みは景虎、香りはばくれんといったところでしょうか?
そして、そのどちらも併せ持つのが大信州といった印象です。まあ、このあたりは好みですよね?
さてさて、続いて鰆のたたきを一口・・・。

花陽「う~ん!やっぱり寒鰆は脂が乗ってて美味しいですね!炙ることで香ばしさも出せるし、皮目の美味しさを最大限に活かせます!」チビリ

鰆の香ばしさと甘みを、キリッと辛い燗酒で流す・・・。
最高です!

165: 2016/01/14(木) 17:11:55.91 ID:uEJSuvr1.net
花陽「魚に春と書いてサワラですけど、関東圏ではどちらかというと冬の魚のイメージですね」チビリ

脂の乗り、それから流通量、共に春より冬って感じです。

花陽「今年はサンマやブリが不発みたいですから、ちょっぴり心配だったんだけど、サワラは好調みたいでよかったです」チビチビ

私的には、サワラは最も日本酒に合うお魚の中の一種だと思います!
煮てよし焼いてよし生でよしで調理法も選ばないし、白身ほど淡白でもなければ他の青魚のような臭みもない。
そしてなによりお酒の邪魔をしない、適度な甘みと旨みが魅力的です。

花陽「寒い中、漁に出てくれる漁師さんに感謝だね・・・」チビリ

ピーピーピー!

花陽「あ、ご飯炊けたみたい!お酒の残りも・・・、蒸らし時間にちょうどよさそうだね♪」

部屋中に充満したご飯の匂い、美味しいおつまみ、美味しいお酒・・・。

花陽「これが、今日という日を生き抜いたごほうびです・・・」

166: 2016/01/14(木) 17:21:02.95 ID:uEJSuvr1.net
花陽「そういえば、この前先輩に言われて知ったんですが、どうやら私は会社的には社内ニートになってるらしいです・・・」

先輩によると会社で自動集計してる成績表に私の名前はあるけど、毎月金額欄が空欄になってるらしいんですよ。
つまりは、何も売り上げの無い事務のパートさんみたいな扱いです。

花陽「一応ちゃんと担当も持ってるし、毎月の売り上げもあります。成績的にもそこそこ優秀なはずなんです」

これはおかしいと思って、いろいろと調べてみたんです。
そしたら・・・

花陽「どうやら、私の売り上げは全部課長に吸収されてるらしいんですよね・・・」

もう、課長にも会社にも呆れて何もいえないですよ・・・。

花陽「課長は売り上げ成績だけはいいって話は聞いてたけど、私と二人分だもんね。そりゃ悪いはずないですよ・・・」

思い出したらなんだかイライラしてきました・・・。

花陽「もう!こういう時こそお酒ですよね!課長のことなんて忘れましょう!」ゴクゴク

ああ、荒んだ心にお酒が染みる・・・。

168: 2016/01/14(木) 17:26:48.61 ID:uEJSuvr1.net
花陽「それにしても、本当にいいお酒ですね・・・」チビリ

これが、一升瓶を買って2000円でお釣りがくるお酒なんだから驚きです。
値段の手ごろさと入手のしやすさから、辛口好きの人には家飲みに最適のお酒かもしれません。

花陽「以前『酒ほど値段と味が比例しないものはない』と聞いたことがありますが、まったくその通りですね」チビチビ

高くてまずいお酒もあれば、安くて美味しいお酒もある。
そして、どのお酒を美味しく感じるかも、人それぞれなんですよね。

花陽「『お酒は人生と一緒』とも聞きましたね。そう、長い時間をかけて、自分が最高だと思える一本を探すんです・・・」

私もいつか最高の一本に出会いたいものです。

花陽「さあ、明日も美味しいお酒を飲むためにも、ご飯を食べてお仕事に備えましょう!」

窓を叩く冷たい風に、早く春が来ることを願いながら、私の冬の夜は過ぎていくのでした・・・。

177: 2016/01/15(金) 17:01:12.16 ID:tp8gN6eI.net
ガチャッ

花陽「ただいま~。うぅ、寒かったぁ・・・」

仕事が終わり午後8時、ようやく安らぎの我が家に帰宅です♪

花陽「まずはストーブの電源を入れて・・・。ご飯が炊けるまでには・・・、まだ時間がありますね」

なら、やることはひとつ!
もちろん、仕事終わりの一杯です!

178: 2016/01/15(金) 17:02:05.01 ID:tp8gN6eI.net
花陽「うう、失敗しました・・・」

お酒を切らしているのをすっかり忘れていました・・・。
会社帰りに一本買って来ようと思ってたのに、どうしてこんな大事なことをわすれてたんだろう。

花陽「気付いたときには、部屋はもうすぐそこ。近くにあるのはコンビニだけで・・・」

と、いうわけで今日はコンビニで買ってきたお酒です!

花陽「『上善如水 純米 白こうじ』かわいらしいラベルがいいですね」

このお酒も今やスーパーやコンビニで手軽に買える銘柄です。

花陽「お酒は忘れちゃったけど、おつまみの材料はちゃんと用意してますよ!今日は水炊きにします♪」

水炊きとは言っても、さすがに今から鶏がらで出汁をとるのは面倒だから、スープの素で代用します。
そこに出汁要員としてお肉と長ネギを少し入れて、少し煮込んでから具材を足して・・・。

うん!今日も楽しい晩酌になりそうです♪

179: 2016/01/15(金) 17:08:27.52 ID:tp8gN6eI.net
花陽「さぁ、準備できましたよ♪」

テーブルには缶のお酒が二本と、小さな土鍋。
・・・やっぱり瓶じゃないとしっくりきませんね。

花陽「まあ、とりあえずは飲んでみましょう!それではいただきます♪」チビリ

花陽「上善如水ってこんなお酒も造れたんですね・・・美味しいです!まさにフルーティーな甘口で、日本酒が苦手な人をターゲットにしてる感じがしますね」チビチビ

味の方向性としては花陽浴に少し似ています。
後味に渋みがあったり、香りが物足りない気もするけど、コンビニで手軽に買えることを考えれば及第点です。
さあ、次は水炊きの鳥さんにポン酢をつけて一口・・・。

花陽「はぁ・・・癒されます・・・。お酒との相性もいいし、作るのも簡単だし、日本の冬にお鍋は欠かせないよね・・・」チビリ

一人鍋だとあまり具材が入らないから、鶏肉と長ネギ、それと白菜だけですが、これもなかなかいいものです。

180: 2016/01/15(金) 17:14:33.68 ID:tp8gN6eI.net
花陽「久しぶりにコンビニのお酒コーナーを見たんだけど、結構いろいろと置いてるんだね」

今日見ただけでも、吉乃川、出羽桜、あさ開、八海山、奥の松等々・・・有名な銘柄なら割と揃ってるんだよね。

花陽「あれだけあるなら、うっかりお酒を切らしちゃっても安心だよね」

コンビニならでわの飲みきりサイズもあるし、これからはもしもの時のお供になりそうです。

ピーピーピー!

花陽「あ、ご飯炊けたみたい!お酒の残りも・・・、蒸らし時間にちょうどよさそうだね♪」

部屋中に充満したご飯の匂い、美味しいおつまみ、美味しいお酒・・・。

花陽「これが、今日という日を生き抜いたごほうびです・・・」

181: 2016/01/15(金) 17:26:16.74 ID:tp8gN6eI.net
花陽「そうそう、今日も課長はやっぱり課長だったんですよ・・・」

今日の課長は大遅刻だったんですけど、まあその辺はあの課長ですから通常営業って感じかな?
結局私は課長が出社する前に外回りに出たんです。

花陽「電車に乗るために最寄の駅に向かったんですけどね・・・」

その駅前には某コーヒーショップがあるんです。
何かの直感なのか、虫の知らせなのか、どういうわけか私はそのお店をチラリと見たんですよ。
そしたら・・・

花陽「窓際の席で優雅に課長が朝ごはん食べてるんですよ!もう信じられません!部下が外回りに行く時間だって言うのに呑気になにやってるんですか!?」

寝坊しても急いで会社に来るのならまだ許せます。
でもコーヒーショップで朝ごはんはさすがに・・・

ああ、思い出したらなんだかイライラしてきました・・・。

花陽「もう!こういう時こそお酒ですよね!課長のことなんて忘れましょう!」ゴクゴク

ああ、荒んだ心にお酒が染みる・・・。

183: 2016/01/15(金) 17:34:32.01 ID:tp8gN6eI.net
花陽「そういえば、いつのまにかコンビニに熱燗ってなくなっちゃったんですね・・・」

私が小さい頃は、温かい飲み物のコーナーにワンカップが置いてあった気がします。

花陽「あれも飲んでみたかったんだけどなぁ・・・」

冬の飲み会の後、ちょっと飲み足りないなぁ・・・。
って、時になんか最適だと思うんですよね。

花陽「粉雪が舞う帰り道、温かいワンカップを片手に雪見酒・・・とかやってみたかったです」

それも、今となっては叶わぬ夢です。

花陽「さてと、明日働けば今週もおしまいです!凛ちゃんと飲みに行く約束もあるし、ご飯を食べて頑張っちゃいます!」

窓を叩く冷たい風に、早く春が来ることを願いながら、私の冬の夜は過ぎていくのでした・・・。

192: 2016/01/16(土) 23:12:22.79 ID:elM1wDB0.net
握り寿司って素敵ですよね?
江戸時代に華屋与兵衛によって屋台寿司が商業的に大成して以来、人々に愛され続けてきました。
まさに日本を代表するファストフードです。

そしてなによりご飯ものでありながら、おつまみとしても立派に成立します。
お酒好きな人なら、お寿司屋さんで飲むって人も多いんじゃないかな?

凛「・・・ねぇ、かよちん。やっぱり凛たちちょっと場違いじゃないかにゃ?」

花陽「そう?大丈夫なんじゃないかと思うけど・・・」

そんなわけで、今私たちはお寿司屋さんに来ています!

193: 2016/01/16(土) 23:13:39.55 ID:elM1wDB0.net
きっかけは数日前、凛ちゃんからの一本の電話でした。

凛「もうすぐかよちんお誕生日でしょ?お祝いになにかご馳走するにゃ!」

凛「どこでも好きなお店でいいよ。あ、でも居酒屋さんじゃなくて、できればちゃんとしたお店でご馳走したいにゃ」

居酒屋以外、と言われると結構困るんだよね。
正直、最近入るお店は居酒屋さんばかりだし、多分二人ともお酒飲むだろうし・・・。

そこで思い出したのが、近所で評判のお寿司屋さんでした。
魚嫌いの凛ちゃんもお寿司は食べれるし、居酒屋さんじゃないし、なによりお寿司はお酒に合います!

そんな経緯でお店が決まり、お仕事の後に凛ちゃんと待ち合わせ、そして今に至ります。

194: 2016/01/16(土) 23:20:02.81 ID:elM1wDB0.net
凛「凛、カウンターのお寿司屋さんなんて初めてだよ・・・」

凛ちゃんが不安そうに店内を見回します。
10席ほどのカウンターには一組の老夫婦と私たちだけです。

凛「かよちんはなんでそんなに落ち着いてるの?」

花陽「私は・・・ほら、慣れてるから?」

会社帰りに一人で飲みに行ったりしてるうちに、いつのまにか慣れちゃってたんだよね。
一人だとカウンターの方が落ち着くし・・・。

花陽「それに、街のお寿司屋さんって感じの雰囲気だから、心配すること無いんじゃないかな?」

テレビで見る高級なお店みたいな感じじゃなくて、もっと丸くてやわらかい感じです。

195: 2016/01/16(土) 23:22:29.67 ID:elM1wDB0.net
「お嬢さんの言うとおりですよ、うちは銀座の店なんかじゃないから、そっちのお嬢さんも気楽に楽しんでいってください!」

すると、私たちの話を聞いていたのか、カウンター越しにご主人がそう声を掛けてくれました。
親しみやすそうなご主人です。

「お飲み物はどうしますか?なにかお酒飲まれますか?」

凛「凛はとりあえずビールをお願いします」

花陽「私は・・・」

壁に掛けてあるお勧めのお酒メニューには、結構な種類が書いてあります。
飲んでみたいけどちょっと高めのお酒もあったりして・・・。

凛「かよちん、心配しないで好きなの飲んでいいんだよ?今日は凛がご馳走しちゃうんだから!」

凛ちゃんが胸を張ってそういいます。
う~ん、それならこのお酒にしようかな・・・?

花陽「『十四代 中取り純米吟醸 愛山』をお願いします」

ちょっと高いけど、今日は凛ちゃんの言葉に甘えちゃいます!

196: 2016/01/16(土) 23:28:48.55 ID:elM1wDB0.net
凛ちゃんと乾杯して、まずはお酒を一口・・・。

花陽「このお酒、美味しい・・・」チビリ

華やかな香りと、強めながらやわらかい甘さ、そしてそれらをまとめる酸味。
さすが十四代、といった感じです。

花陽「バランスよくまとまった、優しくてきれいな感じのするお酒ですね・・・」チビチビ

凛「ぷはぁ!ビールおかわりお願いしまーす!・・・ねえかよちん、そのお酒そんなに美味しいの?」

早々とビールを飲み終えて2杯目を注文した凛ちゃんが、興味深そうに私のグラスに目を向けます。

花陽「うん、美味しいよ。凛ちゃんも一口飲む?」

凛「ありがと~♪」チビリ

凛「確かに美味しい・・・、でも凛はもうちょっと甘いほうがいいかな?」

花陽「確かに、凛ちゃんの好みとは少し違うかもね」

凛ちゃんの好みはもっと甘くてフルーティーな感じだもんね。

214: 2016/01/17(日) 09:09:33.86 ID:F+CYX4go.net

「おまたせしました~。こちら生ビールと十四代の愛山、それからお刺身盛り合わせになります」

程なくして、女将さんがお酒とお刺身を持ってきてくれました。
お刺身はご主人に予算と好みを伝え、おススメのもので作ってもらいました!

「右から〆サバ、ヒラメの昆布〆、マカジキの焼き漬けです」

カウンター越しにご主人がお魚の説明をしてくれます。

「しっかりと骨が残ってないかも確認したから、お嬢さんも安心して食べて大丈夫だよ」

凛「ありがとうございます!」

お刺身はどれもすごく美味しそうです!
ただ切っただけじゃなく、一仕事してあるのもお寿司屋さんならでわですね。

凛「それでは、かよちんの25歳最後の一日を祝しまして・・・」

花陽「・・・」

凛ちゃんがビールジョッキを持ちながらそんなことを言い出します。
なんだか祝われてるんだかよくわからないけど・・・、まあいいや。

りんぱな「かんぱーい!」

197: 2016/01/16(土) 23:31:28.72 ID:elM1wDB0.net
「おまたせしました~、こちら生ビールです」

さて、凛ちゃんの2杯目も来たことだし、そろそろお刺身を食べてみましょう!
まずはマカジキから・・・。

花陽「・・・これ、すっごく美味しいです!」

「はは、ありがとうございます」

私の反応に、ご主人が嬉しそうに笑います。

花陽「これ、炙ってから漬けにしてるんですか?」

「そうだよ。脂の強い場所はね、その方が香ばしさが出て美味しいんですよ」

花陽「なるほど・・・」チビリ

炙りの香ばしさと、漬けにしたことでより濃厚になった脂、そしてほのかに感じるマカジキ特有の香り・・・。
これは最高に日本酒に合います!
これだけでも、このお店に入って良かったと思える逸品です。

凛「かよちんかよちん!〆サバも美味しいよ!全然生臭くないんだにゃ!」

花陽「ほんとっ?じゃあ食べてみようかな」

一手間加えられたお刺身は本当に美味しくて、私たちはあっという間にお刺身を平らげたのでした・・・。

198: 2016/01/16(土) 23:35:54.49 ID:elM1wDB0.net
~~~~~~

お刺身が終われば、次はメインのお寿司ですよね!
これもご主人に予算を伝えて、お任せで握ってもらいました。

マグロ、コハダ、アナゴなどなど・・・
やっぱりどのネタも一手間加えられていて、とっても美味しかったです。

あ、お酒は凛ちゃんと二人で『正雪 純米大吟醸 備前雄町』をいただきました。
凛ちゃん好みの甘くてフルーティーな感じだけど、その中にも深みのある味わいの美味しいお酒でした。

199: 2016/01/16(土) 23:38:27.33 ID:elM1wDB0.net
「お嬢さんたち、まだお腹に余裕ある?」

握りを一通り食べ終わった頃、ご主人がそう尋ねました。

凛「え?う~ん、まだ食べられるけど・・・」

花陽「私も腹八分目って感じです」

「それはよかった、これはうちからのサービスです」

花陽「いいんですか?」

凛「うわぁ、うれしいにゃぁ」

そういって差し出されたのは2種類の細巻き。
片方は鉄火巻きで、もう片方は・・・

花陽「これ、ひもきゅうですか?」

「よくわかったね。お酒がまだ残ってるみたいだったから、よければつまみにどうぞ」

ひもきゅうは赤貝のヒモとキュウリを巻いた細巻きです!
前に接待でお寿司屋さんに入ったときに食べたことあるけど、これお酒に合うんだよね。

200: 2016/01/16(土) 23:42:41.39 ID:elM1wDB0.net
せっかくのご好意です、遠慮なくいただきましょう!

りんぱな「いただきます」パクッ

赤貝独特の風味と食感、そして柔らかな酢飯を香り豊かな海苔が包み込んで・・・。

花陽「はあぁ、これはお酒が進みます・・・」チビチビ

凛「細巻きがこんなにお酒に合うなんて、意外だにゃ・・・」チビリ

細巻きとお酒は本当に相性がよく、結構残っていたはずのお酒はこの細巻きを食べ終わる頃には、すっかり空になっていました・・・。

201: 2016/01/16(土) 23:48:15.03 ID:elM1wDB0.net
~~~~~~

凛「ん~!よく食べたにゃ~!」

花陽「そうだねぇ、凛ちゃんご馳走様です♪」

お店を出るとお酒で火照った体に、冷たい風が染みます・・・。

凛「お会計も思ったより安かったし、よかったにゃ」

二人でつまんで飲んで14000円ほど・・・、高い居酒屋さんに入ったと思えばいい金額です。

花陽「家からも近いし、これは通っちゃうかも・・・」

凛「一人で通ったりしないで、ちゃんと凛も誘ってよね?」

花陽「うん、また二人で来よっか?」

今度は、花陽が凛ちゃんにご馳走しないと、だしね。

花陽「凛ちゃんはこれからどうする?もう一軒いく?あ、今度はちゃんと割り勘で」

さすがに二軒目までご馳走になるわけにはいきません。

202: 2016/01/16(土) 23:49:43.75 ID:elM1wDB0.net
凛「う~ん、どうしようかな・・・」

凛ちゃんがチラリと時計を見て、考える素振りを見せます。

凛「・・・ねぇ、今から凛の家に来ない?お酒も用意してあるんだ、鍋島だったかな?それの純米大吟醸なんだけど・・・」

凛「それに今からお店に入ると、飲んでるうちに日付変わっちゃいそうだし・・・、やっぱり二人でお祝いしたいなって・・・」

花陽「凛ちゃん・・・」

花陽はいい友達を持ちました・・・。

花陽「ありがとう凛ちゃん!それじゃ、今日は凛ちゃんのお部屋にお邪魔しちゃおうかな?」

凛「うん!そうと決まれば早く行くにゃ~!」

温かな凛ちゃんの手に引っ張られながら、26歳もいい年になれば良いな、なんて考えたのでした・・・。

203: 2016/01/16(土) 23:50:45.70 ID:elM1wDB0.net
これで終わりになります。

お目汚し失礼しました。
こんな文章を読んでくださってありがとうございます。

今回はただお酒を飲むりんぱなを書きたいだけでした。
グダグダでしたが、個人的には満足です。

204: 2016/01/16(土) 23:55:51.20 ID:d0W6WCrR.net
乙!勉強になりました


3rdシリーズも持ってるで(ニッコリ

引用: 花陽(25)「冬のはなよ酒」