1: 2016/01/16(土) 21:37:37.004 ID:S6+WFUfi0.net
雫「夢じゃないよね?」

聖司「飛行機を1日早くしたんだ、乗れよ」

聖司「あっ、ちょい待ち、それじゃ寒いぞ、さあ乗った」

雫「私、コート取ってくる」

聖司「時間がないんだ。さあ乗って」

ギィ

聖司「しっかりつかまってr」

警官A「はいそこの自転車止まってー」

2: 2016/01/16(土) 21:40:25.001 ID:S6+WFUfi0.net
聖司「え」

警官B「うん、そこの自転車に乗ってる君」

聖司「え、あの…」

警官A「自転車そこに止めてくれる?」

聖司「はい…」ガタ

警官A「君も」

雫「あ、はい」スタ

警官B「いやー朝は冷えるねー」

聖司「はあ」

警官A「おじさん達も自転車でパトロールだからさ、この時期辛いんだよねぇ」

聖司「…」

警官A「なんで止められたか、わかる?」

3: 2016/01/16(土) 21:42:46.526 ID:S6+WFUfi0.net
聖司「えっと、どういうことでしょう」

警官B「君たち見たところ中学生みたいだけど…ニュースとか見ないかな」

雫「あの…何か」

警官B「自転車の二人乗り、禁止ってのは聞いたことあると思うんだけどね」

聖司「!?」

警官A「だからおまわりさん達も呼び止めたわけだよ」

4: 2016/01/16(土) 21:46:36.943 ID:S6+WFUfi0.net
雫「そういえば…」

警官B「で…君達どこに行こうとしてたの?」

聖司「それは…」

警官A「君達付き合ってるとか?」

雫「うぇ!?」

警官A「ああいやね?別にどういう関係でもいいんだけどね」

警官A「こんな朝早い時間に外にいる子供を見ると声をかけないわけにはいかないわけだよ」

警官B「夜遊びでもやってるとやっぱり問題でしょ?」

聖司「…はい」

警官A「それとこれは君達のためでもあるんだよ」

5: 2016/01/16(土) 21:50:50.905 ID:S6+WFUfi0.net
警官A「最近怖い人に追いかけられたり襲われたりする事案も報告されててね」

警官B「少しでも犯罪を未然に防ぐ為に必要なことだからさ」

聖司「く…」

聖司(まずい…もうすぐ朝日が出ちまう…こんなところで止まってるわけには)ウズウズ

警官B「どうしたの?どこか具合悪い?」

聖司「え、いや、その」

雫「聖司…」

聖司「う…(雫に警官に説教されて情けない姿を晒すなんて…)」

6: 2016/01/16(土) 21:54:04.207 ID:S6+WFUfi0.net
警官B「こっちもさ、君の態度が悪いとちょっと対応を考えないといけないよ?」

聖司「いや、そうじゃなくて…」

警官B「で?どこに行こうとしてたの?」

聖司「それはこの子と朝…!」

警官A「朝?」

聖司(まずい…ここで雫に行き先をばらすわけには…)

聖司「朝練!そう、朝練に行くんです!」

8: 2016/01/16(土) 21:57:16.209 ID:S6+WFUfi0.net
警官A「朝練ね…」

聖司「僕、細身ですけどこう見えて運動部なんですよ!だからトレーニングに公園に」

警官A「公園すぐそこだよ?わざわざ自転車で?それも二人だけで私服のまま」

聖司「」

警官B「おじさん達も何度もこういうこと経験してるからさ、嘘ついてる子くらいすぐわかるんだよ?」

10: 2016/01/16(土) 21:59:45.901 ID:S6+WFUfi0.net
雫「聖司…」

聖司「うぐ」

警官A「とりあえずさ、もう少し話を」

聖司(こうなったら…!)

ダッ

警官B「!?」

聖司「雫、乗れ!」

雫「え、え?」

聖司「早くしろ!」

11: 2016/01/16(土) 22:03:28.958 ID:S6+WFUfi0.net
警官A「ちょっと君!?」

雫「あー、もう!」ガタ

聖司「行くぞ!」ガシャ

バターン

警官A「おい、こっちの自転車なぎ倒していったぞ!」

警官B「ど、どうします?」

警官A「パトカー呼べ!」

警官B「はい!」カチャ

警官B「こちら○×団地前!二人乗りをしていた学生二人に職務質問中制止を振り切り凸凹通り方面へ逃走!至急応援を!」

12: 2016/01/16(土) 22:06:37.380 ID:S6+WFUfi0.net
シャー

雫「ちょっと聖司!どういうつもり!?」

聖司「ああでもしないと遅れちまうだろ!」

雫「遅れるって何に!?」

雫「それに逃げたら余計まずいことになるんじゃないの!?」

聖司「雫!お前の好きな物語だとあの警官は魔王の手下だ!」

雫「!?」

聖司「そして俺はその手下から姫を救い出す正義の騎士だ!そうだろ!」

雫「なにを言ってるの…?」

13: 2016/01/16(土) 22:08:43.621 ID:S6+WFUfi0.net
聖司(急げ…急げ…!)

シャー

聖司(!見えた…!)

キィッ

雫「どこなの?ここ…」

聖司「やった!まにあ…」

警官C「はい君、おとなしくして」ザッ

聖司「」

14: 2016/01/16(土) 22:12:03.979 ID:S6+WFUfi0.net
聖司「え、いつの間に…」

警官D「あのさ、自転車とパトカー、どっちが早いか分かるでしょ?」

雫「…」

警官C「じゃあ乗ってくれるかな?もちろん君も」

雫「…あ、はい」

バタン

聖司(何でこんなことに…)

ブロロロ…

聖司「あ、朝日…」

聖司(はは…まさかパトカーの中から見ることになるなんてな…)

15: 2016/01/16(土) 22:16:57.807 ID:S6+WFUfi0.net
雫「ねえ…聖司が見せたかったものって…これ?」

聖司「あ、ああ…」

雫「…別に…必氏になってまで見るものじゃ…ないと思う」

聖司「…」

ブロロロ…

杉村「ふあ~あ、冬の朝は辛くて体が重いな…ん?」

杉村(あれは…雫と天沢!?)

杉村「なんでパトカーに乗ってるんだよ……は、まさか…朝帰り!?」

杉村「まじかよ…そこまで進んでたのかあいつらの関係…」

杉村「…」

杉村「…みんな、いつの間にか大人になるんだな」

16: 2016/01/16(土) 22:21:48.488 ID:S6+WFUfi0.net
翌日の学校

ザワザワ…

雫「うう…みんなの視線が痛いよ」ガタ

夕子「ちょっと雫!もう学校中噂になってるよ!?天沢君と朝帰りしたって!」

雫「夕子まで…だからそんなんじゃないってば」

夕子「もうびっくりよ!ウブな振りしてやることやってるんだってクラス中言ってるよ?」

雫「うわ、なにそれ…最悪」

夕子「本当に大丈夫?」

雫「大丈夫じゃないよ…警察署でお説教、お父さん達が来てまたお説教よ」

夕子「あ、それと…天沢君、職員室に呼ばれてるって…。まだ出てきてないみたい」

雫「そうなの…?」

17: 2016/01/16(土) 22:25:30.379 ID:S6+WFUfi0.net
キーンコーンカーン

雫「やっと昼休みだ、友達に捕まってなかなか行けなかったし…聖司、大丈夫かな」タッタッ

聖司「…」ガラ

雫「あ、聖司…」

聖司「…雫、今大丈夫か?」

雫「う、うん…」

聖司「また屋上行くか…」

雫「…」

18: 2016/01/16(土) 22:31:10.093 ID:S6+WFUfi0.net
雫「それで…話は?」

聖司「…春からの向こうでの修行…白紙になった」

雫「え!?」

聖司「俺が警察署にいる間…じいちゃんが向こうの先生と電話しててさ…昨日のことうっかり口滑らせたんだ」

聖司「じいちゃんは「若気の至りだ」って庇ってくれたんだけどさ…もうカンカンで」

聖司「そんな不良はウチに来てもらわなくて結構って…大変だよ」

雫「職人の夢…諦めるの?」

聖司「まさか。確かに今回は本当に落ち込んだけど、絶対に諦めないさ」

19: 2016/01/16(土) 22:36:10.551 ID:S6+WFUfi0.net
雫「…うん!私、いっぱい応援するからね!」

聖司「ありがとう…雫」

雫「あ、そうだ聞いてよ!夕子たちったら面白がってさ…」

聖司「へえ」





夕子「雫、授業終わったらすぐ飛んでいくんだから…。よっぽど「彼」のことがすきなのね」

夕子「…羨ましいな」

杉村「…は、原田」

夕子「え、なに?」

杉村「ちょっと…話があるんだけどさ」


終わり

引用: 天沢聖司「奇跡だ!本当に会えた!」