1:◆UYOMNZkX3A 2014/05/02(金) 22:33:13.44 ID:70HQWxCDO
八幡「ぼっち11年目、か……」
八幡「(俺のぼっちデビューは、小5の初冬ごろだしな)」
八幡「(8月で21歳になった俺、ぼっち歴が人生の半分を占めていることになる)」
八幡「(……何がどうして俺はこんな計算を解いてしまったんだ、余計虚しくなってきた)」
八幡「(恐らく、この寒さが思考回路に不具合を生じさせ
ピュゥゥゥー
八幡「うぅぅ……さぶっ」
八幡「(季節は秋から冬へ移る頃。落ち葉が街の道路を覆い尽くす)」
八幡「(喉を渇かせるカラッカラの外気と、冷たさで身体を縮こませるような北風がダブルで俺をいじめてきやがる……」
八幡「冬うぜぇ……」ボソリ
八幡「(俺のぼっちデビューは、小5の初冬ごろだしな)」
八幡「(8月で21歳になった俺、ぼっち歴が人生の半分を占めていることになる)」
八幡「(……何がどうして俺はこんな計算を解いてしまったんだ、余計虚しくなってきた)」
八幡「(恐らく、この寒さが思考回路に不具合を生じさせ
ピュゥゥゥー
八幡「うぅぅ……さぶっ」
八幡「(季節は秋から冬へ移る頃。落ち葉が街の道路を覆い尽くす)」
八幡「(喉を渇かせるカラッカラの外気と、冷たさで身体を縮こませるような北風がダブルで俺をいじめてきやがる……」
八幡「冬うぜぇ……」ボソリ
3: 2014/05/02(金) 22:36:45.40 ID:70HQWxCDO
八幡「(こういう身も心も乾いた状態には、あったか~いMAXコーヒーが必要だ)」
八幡「(あまーい香りとテイストが心と喉を潤し、食道を伝って全身を温める)」
八幡「……買うか」
八幡「(そうと決まれば、コカ・コーラの自販機~っと……)」キョロキョロ
八幡「(!! あの赤い筐体、間違いない!)」スタコラサッサ
八幡「ん?」
「……………………」ボーッ
八幡「(なんだよ、先に買う奴いるのかよ……早くしてくれ」
「えっ……………」
4: 2014/05/02(金) 22:39:16.85 ID:70HQWxCDO
「あ……すみません」チラリ
八幡「」
八幡「(声出しちまったあああああああああ悪いのはどの口だ!!)」
八幡「あ、だいじょぶ、すよ。ゆっくり選んでください……」
「ごめんなさい、すぐに買いますから」
八幡「はい……」
「…………………」ボーッ
八幡「…………………」
「…………………」キョロキョロ
八幡「っ………………」
「…………………」ボーッ
八幡「前言撤回」
「え?」チラリ
6: 2014/05/02(金) 22:42:31.36 ID:70HQWxCDO
八幡「急いで買ってくれませんか! 俺も寒いもんで、早く温かいコーヒーが飲みたいんだよ!」
「あ、えっと、」クルッ
「本当にごめんなさい……」ペコリ
八幡「いや、謝罪とかいいんで。早く買って(去って)くれれば」
「わかりまし……」ジッ
「……あら?」
八幡「?」
「あなた………比企谷、くん?」
八幡「は? ……なんで俺の名前を……」
「あ、メガネ取って、髪下ろせば分かるかしら」スチャ スル
八幡「!?」
「……思い出してくれた、かしら?」
八幡「……雪ノ、下……?」
7: 2014/05/02(金) 22:47:46.17 ID:70HQWxCDO
・・・・・・・・
ピッ ガコン
八幡「……ほれ」スッ
雪乃「ありがとう……」
八幡「自販機での買い方知らないとか、現代人失格だろ」
雪乃「あなた、それを大昔の天皇陛下に言ってみなさい。即氏よ」
八幡「お前天皇陛下じゃねぇしな」
雪乃「っ………」
雪乃「でも、助かったわ。私も寒かったから温かいものを飲みたかったのよ」
八幡「あのままだと永遠に買えず、凍氏してたろうな」
雪乃「そしたら、そうなる前に諦めてコンビニで買うわよ。本気でそんなこと考えてるの?」
八幡「お前さ、ジョークって知ってる?」
8: 2014/05/02(金) 22:50:39.52 ID:70HQWxCDO
雪乃「んくっ………」ゴク
八幡「おいユキペディア、俺が反論した途端に飲んでスルーするの止めてくれ」
雪乃「ふふっ……少し噴き出しそうだったじゃない」
八幡「こんなこと言わせるからだろうが」
八幡「(うっわ懐かしいな、こんなやりとり)」
雪乃「あ、言い忘れてたけれど、お久しぶりね」
八幡「おう、今さらだな」
雪乃「高校卒業以来……よね?」
八幡「そうだな、2年半前か」
雪乃「もうそんなに経つのね……」
八幡「歳を取るごとに、時間の経過が早く感じていく一方だな」
9: 2014/05/02(金) 22:56:17.55 ID:70HQWxCDO
雪乃「言うことがおじさんみたいよ。老けたのね」
八幡「うっせ、思ったこと呟いただけだろ」
雪乃「ふふ、でも性格や口調はあの頃から変わらず、ね」
雪乃「あと、その腐った目。あの頃より腐敗が進行したかしら?」
八幡「腐ってねぇし、約三年間じゃそんなに変わらないだろ……」
雪乃「……そうね」
八幡「(……さて、どうしたものか)」
八幡「あー、ところでさ」
雪乃「?」
八幡「せっかく、二十歳を超えて偶然再会したんだ」
八幡「……呑み、行かないか?」
雪乃「ナンパはお断り」
八幡「ナンパじゃねぇって……。プチ同窓会、って感じで」
雪乃「……しょうがないわね、いいわよ」フフッ
10: 2014/05/02(金) 22:59:51.99 ID:70HQWxCDO
・・・・・・・・・
居酒屋
ワイワイ ガヤガヤ サケガノメルゾ
ハナキンバンザイ アサマデコース
八幡「んぐっ、ぷはぁぁぁぁぁーー、染みるなああぁぁぁぁ」
雪乃「ちょっと、うるさいわね」
八幡「ビールはな、年がら年中旨く飲める炭酸飲料なんだよ」
雪乃「そんなに美味しいかしら?」
八幡「飲んだことないのか?」
雪乃「一度、挑戦してみたけれど……ただの苦いスパークリング酒ね」
八幡「馬鹿だな、この苦味が良いんだよ。あとこののど越し」
雪乃「将来、酒に溺れなきゃいいけど。あ、もう既に溺れてるのかしら」
八幡「ビール一杯ごときでこの言われようか」
雪乃「ふふ……」クスッ
11: 2014/05/02(金) 23:01:51.71 ID:70HQWxCDO
八幡「お前、普段は酒飲まないの?」
雪乃「極たまに……ね」
八幡「なら頼めばいいだろ。なに可愛こぶってカルピスなんか飲んでんだよ」
雪乃「どこが可愛こぶってるように見えるかしら?」
八幡「特にあれだ、ストロー使ってるあたりな! こんな細いグラス、直接飲めや」
雪乃「……何よ、ならどうしろというのよ」ムッ
八幡「すいませーん」
店員「はいはい!なにしやしょう!」
八幡「カルピスサワーひとつ」
店員「がってん承知!」
雪乃「ち、ちょっと」
八幡「……つまりな、お前も酒を飲めってことだ」
12: 2014/05/02(金) 23:04:10.57 ID:70HQWxCDO
・・・・・・・・
店員「お待たせしましたぁ!カルピスサワーでっす!」ゴトッ
雪乃「っ………………」ジトー
八幡「そ、そう睨むなよ……」
八幡「(久々にこいつの鋭い視線浴びると、心折れちゃいそう)」
雪乃「はぁ……わかったわ、飲めばいいんでしょ?」
八幡「お? 高校時代に比べてノリ良くなったな」
雪乃「いいえ、単純に売られた喧嘩を買っただけ」ギロッ
八幡「すいませんでした」
雪乃「……ほら」スッ
八幡「ん?」
雪乃「だから……その、グラスとグラスを交わすでしょう?」
八幡「……あぁ、カンパイ」
雪乃「……乾杯」
カキン
13: 2014/05/02(金) 23:06:16.68 ID:70HQWxCDO
八幡「んぐ…………」グービ グービ
雪乃「んっ………」ゴキュ
八幡「てゃーーーーー!!ええなぁ!」
雪乃「あなた、酒を飲むとまるでテンションが違うのね」
八幡「ああ、なんかビールを飲むときだけこんな感じなんだよ」
八幡「(絶対、親父の遺伝だよな)」
雪乃「……なんだかコレ、普通のカルピスと違うわね」カラン
八幡「そりゃな、酒を混ぜてるわけだし」
雪乃「意外と、」
八幡「ん?」
雪乃「……美味しいじゃない」ニコッ
八幡「…………」
八幡「あ、よっ、よかったな」
八幡「(あぶねぇ……いまの笑顔に見惚れてた……)」
14: 2014/05/02(金) 23:08:42.78 ID:70HQWxCDO
八幡「と、ところで、どうだ大学は」
雪乃「どうって?」
八幡「いや、なんだ。楽しいとか、友達できたとか」
雪乃「また喧嘩売ってるの?」ニッコリ
八幡「ちげぇよ! 今のは例えとして挙げただけだろうが」
雪乃「クスッ……そうね、興味のある講義を選んで受講が出来るから、その点では楽しい、かしら?」
八幡「そか、良かったな」
雪乃「そうね……でも」
八幡「でも?」
雪乃「総合的に言えば、高校時代の方が……」
八幡「……実は俺も、」
雪乃「疲れやすかったわ」
八幡「楽しかっ……は!?」
15: 2014/05/02(金) 23:10:39.02 ID:70HQWxCDO
雪乃「何かおかしなこと口走ったかしら?」
八幡「いやお前、脈絡的にそこは『高校時代が楽しかった』って繋がるだろ」
雪乃「決めつけはよくないわ。中学時代の失敗を教訓に、その癖直したんじゃないの?」
八幡「お前、思い出したくのない過去を……!」
雪乃「冗談よ」
八幡「あ?」
雪乃「……正直に言うと、楽しかったわ」
雪乃「特に……あなたが奉仕部に入ってきた辺りから」
八幡「っ………………」
17: 2014/05/02(金) 23:14:57.92 ID:70HQWxCDO
雪乃「直後に由比ヶ浜さんも入部し、私たち三人で依頼を解決させるためにお互いが手助けしあった」
雪乃「私、それまで他人とまともに協力し合うなんてこと、した試しが無かったから……」
雪乃「奉仕部で過ごした日々は、今となっては貴重な経験ばかりね」
八幡「……俺も、そんな感じだな」
雪乃「そう。卒業してから気づくのよね」
八幡「確かに」グービ
雪乃「ふふ、久々に会ったら、珍しく考えが一致したわね」
八幡「そうだな。あの頃は『青春なんて欺瞞だ』なんてほざいてたけど」
八幡「……充分、青春とやらを謳歌してたんだよな」
八幡「俺も、お前も」
雪乃「……そうね」
19: 2014/05/02(金) 23:18:58.53 ID:70HQWxCDO
八幡「……そういや、由比ヶ浜とは今でも会うのか?」グービ
雪乃「連絡は来るけれど、大学が忙しくて会えてないの」
八幡「そうなんか……」
八幡「(俺なんて、卒業式の日に由比ヶ浜から告白され、フッて以来会ってないな……)」
八幡「(……元気かな、あいつ)」
八幡「……会いたいか? 由比ヶ浜に」
雪乃「……ええ」
八幡「ふっ」
雪乃「なによ」
八幡「いや……お前、丸くなったなぁと思ってな」
雪乃「そ、そうかしら?」ペタペタ
八幡「顔じゃねぇよ、性格面の方」
雪乃「……そ」ホッ
20: 2014/05/02(金) 23:21:01.85 ID:70HQWxCDO
八幡「ああ。あの頃のお前は、ここまで素直な気持ちを表に出さなかった」
雪乃「……実感は無いわね」
八幡「まあ自分の変化は主観的じゃそうそう気づかないからな」グービ
雪乃「……比企谷くんは、素直な女の子は好き、かしら?」
八幡「ぶふぉっ!」
雪乃「ひゃっ! ちょっと、汚いわよ……」
八幡「お前が突然そんなこと訊いたりするからだろ!」
雪乃「い、いいから答えてちょうだい」
八幡「……嫌いじゃねぇよ」
雪乃「そう……嫌いじゃない、のね」
21: 2014/05/02(金) 23:23:00.55 ID:70HQWxCDO
雪乃「んくっ……」ゴキュッ
八幡「おかわりするか?」
雪乃「あなた視力低下したの? まだ半分くらい残ってるのだけれど」
八幡「俺がもう空っぽなんだよ」
雪乃「酒豪アピールかしら」
八幡「そんなんじゃない。注文はまとめてする方が効率的だろ? 客にとっても店側にとっても」
雪乃「あら、更生して良い消費客になったのね」
八幡「元が迷惑な客みたいな言い方じゃねぇか」
雪乃「そうだったでしょう? ほら奉仕部の活動で、確か……そう、あの時よ」
八幡「いつのことだよ」
22: 2014/05/02(金) 23:25:17.78 ID:70HQWxCDO
1時間後
・・・・・・・・・・
雪乃「んくっ、んむっ……」グービ グービ
八幡「あらららららま」
雪乃「ぷはぁ、ヒック……」
八幡「おいおい、俺より飲みっぷり良いじゃねぇか」
雪乃「あらぁ、あなたが大したことないだけでしょう?」
八幡「くっ、こいつ……」
雪乃「ちょっと比企なんとかくん、あなたビール飲むわよね?」
八幡「は!? 俺まだ半分くらい残ってんですけど」
雪乃「まとめて頼んだ方が効率的だって、さっき言ってたじゃないのよぉ」
八幡「いや、お前のほっそいグラスと中ジョッキじゃ、あからさまに量ちがうだろうが!」
23: 2014/05/02(金) 23:28:43.61 ID:70HQWxCDO
雪乃「問答無用。すみませーん」
八幡「お前、ちょっと酔っぱらってるだろ?」
雪乃「そんなわけないでしょう? たかがカルピスサワー2杯ごときでー」
八幡「いや、俺お前の酒の強さ知らんから、2杯がたかがなのか計り知れないんだが」
雪乃「うるさいわね、男のくせに。そっちから誘っておいて」
八幡「あのさぁ、俺はお前を心配して
店員「はい!なにしやしょう!」
雪乃「カルピスサワーと生中、あーとーはー枝豆!」
店員「がってん承知!」
八幡「(なんか今のこいつを見ると、平塚先生を思い出すんですがこれは……)」
八幡「(なんか波乱の予感……いや、悪寒が……)」ブルルッ
24: 2014/05/02(金) 23:33:57.43 ID:70HQWxCDO
2時間後
・・・・・・・・
雪乃「で、くっさい香水を付けた先輩が言ってきたの」
雪乃「『あんた、モテてるからって調子のってんじゃないわよ』って」
雪乃「だから私は言い返してやったわ」
雪乃『そんな化粧ベタ塗りに悪臭ともいえる香水を多量にまとってたら、そりゃあ男も寄らないわよ』
雪乃『モテようと、おめかしの一つもしない私に負けるなんて、情けないわねあなた』
八幡「お、おう……」グビ
雪乃「そしたらその女、突然泣き出したかと思ったら逃げちゃって。もう心の中で嘲笑ってやったわ!」
雪乃「それでその先輩、翌日になったら化粧薄くして登校してきたの(笑) 真に受けてるこの女、と思ったわね(笑)」クスクス
八幡「(こいつ、酔っぱらうとこんな喋るのか……こえぇ……)」
25: 2014/05/02(金) 23:37:16.38 ID:70HQWxCDO
3時間後
・・・・・・・・・
雪乃「ヒックー……ねぇ、ヒック谷くんっ」
八幡「なんかリズミカルな呼び方だな、なんだよ」
雪乃「あなた、今夜は何時までいられるのかひら?」
八幡「あ? まぁ、まだ21時廻ったとこだし、終電までいることはできるが」
雪乃「そう、そしたら他の店行きましょっ」
八幡「ファッ!? んな酔っぱらってんのに、はしごする気かよ!」
雪乃「だって……せっかく、久々に会えたのよ?」
八幡「あ、会えた……?」
雪乃「なに困惑してんのよ、気持ち悪い」
八幡「(だめだ、酔っぱらってるときのコイツ絡みづれええぇぇ!!)」
26: 2014/05/02(金) 23:40:38.70 ID:70HQWxCDO
・・・・・・・・・・
カラオケボックス
雪乃『見つめるたび ドキドキしてる!
君にもっと近づきたいよ!
甘い予感 とけちゃう前に気づいてね
甘い予感~♪』
八幡「(コイツがカラオケ行こうだなんて言うとは思わなんだ……)」ガクッ
八幡「しかも唄うめぇし……」ボソッ
雪乃『なにか言ったかしら?』グワーン
八幡「ハウリングうっさ! マイクで訊いてくんなよ!」
雪乃「ふふっ。ほら、あなたも次の曲入れなさい!」
八幡「あーへいへい、入れとくから……」
八幡「(こんなノリノリな雪ノ下、見たことねぇや……違和感ハンパなっ)」
雪乃『読みかけのストーリー 続きは後にして~♪』
27: 2014/05/02(金) 23:42:49.42 ID:70HQWxCDO
・・・・・・・・・
八幡『せーかいーにひーとーつだーけーのはーなー』
雪乃『ちょっと、本気出して唄ってほしいのだけれど』グワーン
八幡『だああ!ハウリングうっせぇんだって! しょうがないだろ、酒回ってんだから』
雪乃『それにしても、歌詞をスティックリーディングしすぎよ』
八幡『スティ……ああ、棒読みか。ルー語とか古すぎんよ』
雪乃『あなたの唄っているその歌こそもっと古いじゃないの。2003年よ?』
八幡『んなこた言ったって、知っている曲はこんな感じの有名なやつとアニソンくらいなんだよ』
雪乃『あ、ほら二番始まるわよっ』
八幡『あっ!? こ、こまったーよおーにわらーいながーらー』
28: 2014/05/02(金) 23:44:40.41 ID:70HQWxCDO
2時間後
・・・・・・・・・
カラオケ店員「アランドロン オダイバキター」
八幡「もうくったくただわ……」
雪乃「ふふっ、楽しかったわ、ありがと」
八幡「お前、居酒屋であんだけ呑んだのに、よくカラオケでも更に呑めたな……」
雪乃「勢いづいちゃったのよ、しょうがないでしょ?」
八幡「やれやれ……お前の方がとんだ酒豪だわ」
雪乃「あ……なんだか、足がおぼついて……」ヨロヨロ
八幡「あーあ、お前やっぱり飲み過ぎなんだよ……」
雪乃「うう……」
29: 2014/05/02(金) 23:47:12.03 ID:70HQWxCDO
八幡「……お前、家は高校時代のマンションのまんまか?」
雪乃「えぇ、そうよ……」
八幡「(こっからそう遠くないな……しょうがない)」
雪乃「比企谷くん、もう一軒!」ピシッ
八幡「いたっ、行くわけねぇだろうが」
雪乃「ええー……」
八幡「お前はもう帰って寝た方が良い。ただ、いまのお前は一人で帰れそうにないくらい泥酔している」
雪乃「そ、しょんなことないわよ」
八幡「呂律も回ってねぇじゃないのさ……」
八幡「(こんなに可愛かったっけ、コイツ?)」
30: 2014/05/02(金) 23:49:35.65 ID:70HQWxCDO
八幡「(…………………よし、)」
八幡「ほら」スッ
雪乃「??」
八幡「……こっからそんな距離もないし、おぶってってやるから」
雪乃「……下心あるでしょう?」
八幡「なに急に酔い覚めたような口調になんだよ。ビックリした」
雪乃「気になったのよ」
八幡「ねぇって! ただおぶって送ったら真っ直ぐ帰るだけだ」
雪乃「本当にそうかしら。ま、いっか」
ギュッ
八幡「!!」ドキッ
雪乃「……家まで、お願いしゅるわ……」ムワッ
八幡「(あ、だめだ、一瞬ドキッとしたけど酒臭さに揉み消されたわ)」
32: 2014/05/02(金) 23:59:12.16 ID:70HQWxCDO
八幡「じゃ、行くぞ?」
雪乃「ええ……」ギュッ
八幡「……………………」ノッシ ノッシ
雪乃「もしエOチなことしたら、大声あげるわよ?」
八幡「だから、するかっつーの! こんな寒空の下!」
雪乃「なによ、あなたが大声出さなくたっていいでしょう」
八幡「そんなこと訊いてくるからだろ……。あのな、絶対にスケベなことはしないから、絶対にだ!」
雪乃「……それだとまるで遠回しに、私は女としての魅力が無いみたいな言い方よね」シュン
八幡「じゃ、どうしたらいいんだよ!?」
33: 2014/05/03(土) 00:08:07.76 ID:TVqHr+eDO
八幡「……別に、お前に魅力を感じないとは言ってないだろ」
雪乃「っ……………」
八幡「その……だな、久々にお前と会ってみたら、少し色っぽくなったなぁと思った」
八幡「艶めきが上がったというか……更に女性っぽさが露になってたように見えたな」
雪乃「…………………」
八幡「ま、もともと校内で一番の美少女だったしな。容姿は」
八幡「……だから、なんつーか」
八幡「お前はあの頃よりも、魅力が増してる。」
雪乃「……すぅ……すぅ…………」
八幡「(そりゃねーぜーー!!【江頭風に】)」
34: 2014/05/03(土) 00:12:24.49 ID:TVqHr+eDO
・・・・・・・・
県内某高層ビル
八幡「(てか、雪ノ下の住むマンションだけど……)」
雪乃「すぅ……すぅ……」
八幡「おーい起きろー」ユスユス
雪乃「んんぅ……ほえ、な、何かしら……?」
八幡「ほえ?じゃねぇよ。正面玄関はどうやって開けるんだよ」
雪乃「あ、そこのテンキーに暗証番号を入力するのよ」
八幡「番号はよ」
雪乃「えっと……確か、4649……」
八幡「4649な?」ポチポチ…
ブブーー
雪乃「というのは冗談よっ」
八幡「そりゃそうだろうな!」
八幡「(あからさまに嘘っぱちな番号、夜露氏苦!!)」
35: 2014/05/03(土) 00:15:49.90 ID:TVqHr+eDO
雪乃「ふふ、8782よ」
八幡「8782な?」ポチポチ…
八幡「お、開いたな」
雪乃「『ヤなやつ』って覚えるといいわよ」
八幡「欲してもいない豆知識、どうもありがとう」
八幡「(くそっ、完璧に覚えちまった。使い道ねぇよ……)」
八幡「(……本当に、無いんだよな?)」
雪乃「ほら、閉まっちゃうわよ」
八幡「あっ、おとと……」ノシノシ
ウィーーン
八幡「で、何階だっけ?」
雪乃「それくらい自分で思い出してちょうだい」
八幡「は!? 覚えてねぇよ!」
36: 2014/05/03(土) 00:18:12.99 ID:TVqHr+eDO
・・・・・・・・
ガチャ
八幡「はいはい、お邪魔しますよー」
雪乃「ただいま」
八幡「電気……おい、照明のスイッチどこだ」
雪乃「酔っぱらってる私が確実な答えを言うとでも?」
八幡「なに開き直ってんだこの野郎……! あーあったあった」パチッ
雪乃「うっ、まぶし……」
八幡「どうせすぐ暗い寝室に着くんだから、我慢しろ」
雪乃「んん……」
37: 2014/05/03(土) 00:22:27.27 ID:TVqHr+eDO
八幡「………………」ノッシ ノッシ
八幡「(今さらだけど俺、すごい偉業に取りかかってんのな)」
八幡「(自販機の前でばったり、高校卒業から2年半後に雪ノ下と再会して)」
八幡「(そのあと居酒屋で酒を酌み交わ……してはないが、でも、一緒に呑んで)」
八幡「(酔っぱらった雪ノ下を、こうして家までおぶって送ってきてしまった……)」
八幡「(なんだよ、この10年以上前の月9ドラマ的展開は)」
八幡「(まさかこいつを、寝室まで運ぶなんてな……)」
八幡「(……てことはやはり、このあと俺はコイツと……)」
ゴンッ
八幡「いだっ!!」
38: 2014/05/03(土) 00:24:40.30 ID:TVqHr+eDO
雪乃「馬鹿ね、なにドアも開けないでリビングに入ろうとしてるのよ……」クスッ
八幡「いつつ……てか、お前をおぶってるから開けらんねぇんだよ」
雪乃「わかった開けるわ、ほら」ガチャ
八幡「えーと、お前の寝室はどこだ」
雪乃「入ってすぐ左の引き戸のところよ」
八幡「ん?ああこれか。開けてくれ」
雪乃「……入るの?」
八幡「しょうがないだろ、ベッドまで運び終わったらそこで初めて任務が完了するんだ」
雪乃「…………そう」
雪乃「それならほら、入って」ガラッ
39: 2014/05/03(土) 00:27:08.34 ID:TVqHr+eDO
八幡「う……」ドキッ
八幡「(……やばい、雪ノ下の匂いでいっぱいだわこの部屋)」
八幡「(ついに、入っちゃうんだな……こいつの寝室に)」
ヨテヨテ……
八幡「どれだよベッドは……」
雪乃「右向け右」
八幡「あ? あ、あのデカいはんぺんみたいなやつか」
雪乃「その例えを用いた意味がわからないから、スルーするわ」
八幡「ありがとさん……ほれ、降りろ」
雪乃「ええ、ありがと……」スッ
八幡「(さて……どうするか……)」
八幡「(ここで俺が理性をぶち壊してコイツを押し倒し、一夜を過ごしたらどうなるだろう)」
45: 2014/05/03(土) 00:56:44.44 ID:TVqHr+eDO
八幡「(俺の気持ちはどうなのかって?」
八幡「(……そりゃ当然、一緒に寝たいさ)」
八幡「(俺が卒業式の日に由比ヶ浜からの告白を断った理由は、当時から雪ノ下のことが意中にあったからだ)」
八幡「(いまでもその気持ちは残っている。なんなら、あの頃から未だに薄れてすらいない)
八幡「(だから勇気を振り絞って、呑みに誘った。あのまま別れたくないと、素直にそう思ったから)」
八幡「(結果的にとんとん拍子のごとく、ここまで来たが……)」
八幡「(……ここで俺は、雪ノ下のことを抱いてしまってもい
ギュウゥ……
八幡「!!」
雪乃「………………」ギュウゥ
ドクンドクンドクンドクンドクン……
47: 2014/05/03(土) 00:58:48.89 ID:TVqHr+eDO
八幡「……おい、雪ノ下」
雪乃「……何、かしら……」ギュ…
八幡「どうしたんだ、急に」
雪乃「……私、酔っぱらっちゃってるのよ……」
八幡「ほう……酔っぱらってる、ねぇ……」
八幡「(俺がさっき、雪ノ下が泥酔していると知りながら押し倒さなかったのには、もちろん理由がある)」
雪乃「……比企谷くん……、帰らないで……」
八幡「どうして、そんなことを」
雪乃「……いまの私は、酔いでどうにかしちゃっ
八幡「お前、酔い覚めてるだろ?」
雪乃「!!」
110: 2014/05/19(月) 23:28:46.63 ID:0+CLDRzDO
八幡「お前、酔い覚めてるだろ?」
雪乃「!!」
八幡「(刹那、俺の背中を抱き締める雪ノ下の肩が跳ねたように感じた)」
八幡「(突然の言葉に驚いたか、抱き締めていた腕の力が弱まり、少しばかり窮屈で無くなった)」
雪乃「……何を、突然言い出すかと思えば」
八幡「図星だろ?」
雪乃「………………」
八幡「(互いの呼吸音だけが微かに部屋中で響くだけの、暗黙な虚無のひと時)」
八幡「(そんな沈黙を破り裂いたのは、彼女が口で素早く空気を肺に取り込んだ直後のことだ)」
111: 2014/05/19(月) 23:39:39.38 ID:0+CLDRzDO
雪乃「……自分でも解せないの」
八幡「?」
雪乃「私が泥酔しているから、あなたに突然抱きついてしまったのか」
雪乃「……それとも、あなたを求めているからなのか」
雪乃「…………私が」
八幡「その真意は、お前自身にしか解らないことだ」
雪乃「そうね……」
八幡「(そう言うと、雪ノ下の腕は俺から剥がれていった)」
八幡「(だが直後、今度は俺の背中の裾をそっと摘ままれた)」
112: 2014/05/19(月) 23:47:02.29 ID:0+CLDRzDO
雪乃「……もう一点、解らないことがあるの」
八幡「なんだ?」
八幡「(俺は振り返らず、簡潔に問いただした)」
雪乃「なんて云うのかしら……」
雪乃「……身体が、ぽわぽわするの」
八幡「(今度は問うこともせず、黙って言葉の続きを促した)」
雪乃「……おそらくこの症状は、酔いからきたものかもしれない」
雪乃「初めてお酒を飲んだときも、こんな感じになったから」
113: 2014/05/20(火) 00:01:21.56 ID:a+w9uqXDO
雪乃「……でも、きっと。あくまでも推測でしかないのだけれど、」
雪乃「これは、お酒を飲んだことによって感じる虚ろな気分とは……」
雪乃「似て非なるもの……かもしれない、と」
八幡「(俺はそれを聞き、つい反射的に後ろをチラと向いた)」
八幡「(明かりの無い空間に長いこといるため、暗くても彼女の顔色を窺えた)」
八幡「(俯き、振り返った俺には気づいていない)」
八幡「(目は閉じられ、唇をきゅっと噛みしめていて、漏れ聞こえる呼吸は、少しばかり早く感じられた)」
115: 2014/05/20(火) 00:12:02.73 ID:a+w9uqXDO
雪乃「……どうしてあなたは、私の酔いが覚めていると思ったの?」
八幡「そんなの、お前の言動を確認すれば分かる」
八幡「(あんなに多く酒を呑んだのは初めてなのか、居酒屋やカラオケでは、呂律が回っていなかった)」
八幡「(尚且つ、俺のよく知る雪ノ下とは甚だ別人とも云える、明るくて……やや活発めな女の子、という感じの口調であった)」
八幡「(正しく、酒を呑むと人が変わるってやつだよな)」
116: 2014/05/20(火) 00:24:11.21 ID:a+w9uqXDO
八幡「(けれど、コイツの家に到着した辺りからだろうか)」
八幡「(おぶっていると後ろから聞こえたのは、俺が思うこれぞ雪ノ下雪乃という、無愛想で冷静な口調だった)」
八幡「(……ただ一つ違ったことは、声に柔らかさと優しさを含んでいたことであった)」
八幡「(ただ、それをコイツに説明するとなると長ったらしくなってしまう)」
八幡「(だから俺は、偽りの無い素直な理由を、簡潔にして伝えた)」
117: 2014/05/20(火) 00:34:34.32 ID:a+w9uqXDO
八幡「……きょう一日、お前のことだけをずっと見続けてきたからな」
雪乃「!!」
八幡「……それが理由だ」
雪乃「………………//」キュウゥ
八幡「(雪ノ下はさっきよりも強く、背中の裾を握ってきた)」
八幡「(こんなことを言われて、恥ずかしさを堪えるためなのだろうか)」
八幡「(俺だって、今どき月9でも出ないようなこんなクッサい台詞を吐いたおかげで、なんだろちょっと氏にたくなってきたかも)」
118: 2014/05/20(火) 00:42:57.71 ID:a+w9uqXDO
雪乃「よく平気で、そんな恥ずかしいこと言えたわね」
八幡「暗いし、お前の顔が見えないから、辛うじてな」
雪乃「……そ」トン
八幡「(コイツも吹っ切れたのか、背中に顔を預けてきた)」
八幡「(頭だというのに、背中に伝わる感触は柔らかく感じた)」
八幡「(それと同時に、俺の抑えていた理性も限界寸前まで来ていた)」
八幡「(……猛烈に、雪ノ下のことを抱きしめたいと思ってしまった)」
120: 2014/05/20(火) 00:53:32.25 ID:a+w9uqXDO
雪乃「……3年ぶりに偶然ふと再会して、たった一夜でこんなに密接するとはね」
八幡「意外だな」
雪乃「……悪い気はしない、かも……」ボソッ
八幡「なんつった?」
雪乃「……ふふ、なんでもないわ」
八幡「……なあ」
雪乃「なに?」
八幡「…………そろそろ、お前と向き合いたい」
雪乃「……私も」
八幡「(雪ノ下の言葉を合図に俺は身体ごと振り返り、正面から彼女の顔と向き合った)」
八幡「(彼女の濡れた瞳を見るのは、随分と久しぶりに感じる)」
八幡「(ここに到着してから、時間の流れが止まったように長く感じていたから)」
121: 2014/05/20(火) 01:02:16.58 ID:a+w9uqXDO
雪乃「っ………………」
八幡「(こうして見つめ合うのは、初めてかもしれない)」
八幡「(コイツも緊張してるのか、二人して口ごもってしまう)」
八幡「(これはあれだな、あの曲の歌詞にもあったように『見つめ合うと素直におしゃべりできない』ってやつそのものだな)」
八幡「(……まあ今の俺にとっては、おしゃべりよりも、彼女のトロンとした瞳をただ見ていたかった)」
八幡「(……綺麗な目してるよな、コイツ)」
八幡「(対して彼女は俺の目を見て『腐葉土よりも腐った厭らしい目ね』とか思ってるんだろうか。思ってるんだろうな)」
122: 2014/05/20(火) 01:11:15.70 ID:a+w9uqXDO
八幡「(暗闇でも輝いて見える雪ノ下の瞳を堪能して、俺は彼女をそっときゅっと抱き寄せた)」
八幡「(それに応じるよう、雪ノ下も優しく抱き返してくれた。それが何よりも堪らなく嬉しい)」
八幡「(気づけば俺の抱きしめる力は益々強くなり、そっときゅっと、ではなくもはや『がっとぐいっと』という表現が相応しい)」
雪乃「ち、ちょっと……少し、苦しい……」
八幡「あ、わ、わりい……」
八幡「(ですよねー)」
八幡「(つい、抱き寄せていた彼女をすかさず離してしまった)」
八幡「(……やばい、物足りない)」
123: 2014/05/20(火) 01:18:33.76 ID:a+w9uqXDO
八幡「(もう一度抱きしめたい! という欲にまみれていたが、そんなにがっつくと流石に気持ち悪がられるだろうと思い、躊躇ってしまう)」
八幡「(それに、さっきは締め技ばかりに強く抱いてしまったせいで、雪ノ下に苦しい思いをさせてしまった)」
八幡「(いつものように――つっても三年前の高校時代だけど――俺のことをジトっと睨んでいるんだろうな……)」
八幡「(そう思い、彼女の目を確認してみた)」
124: 2014/05/20(火) 01:24:42.10 ID:a+w9uqXDO
八幡「――すると、」
雪乃「……比企谷くん、」
八幡「はい……」
雪乃「…………もう、おしまいなの?」
八幡「はい…………はっ?」
八幡「(返ってきたのは意外な言葉だった)」
八幡「(その返事の真意を確認するついでに、彼女の目を見返す)」
八幡「(……寂しそうに潤んだ瞳が、上目遣いで俺に向けられていた)」
雪乃「…………比企谷くん?」
八幡「(――――もう無理だ)」
八幡「(やはり俺の理性をここまで抑えるのは間違っている)」
125: 2014/05/20(火) 01:35:27.62 ID:a+w9uqXDO
八幡「なあ、雪ノ下」
雪乃「……?」
八幡「…………つまりは、そういうことだよな?」
雪乃「……何を言いたいの? はっきり明確にしてほしいわね」
八幡「だから、その……」
八幡「……今から、ヤる……んだよな?」
雪乃「……ヤるなんて表現、好きじゃないわ」
八幡「じゃあなんだよ、え……エOチする、の方がいいか?」
雪乃「ド直球じゃない……もう少しオブラートに包めた表現は出来ないのかしら?」
八幡「はっきり明確にしろと指図したのはお前だろうが……」
八幡「(言った俺としては、くっそ恥ずかしいねんぞ……)」
127: 2014/05/20(火) 01:44:57.87 ID:a+w9uqXDO
雪乃「……いいわ、私から言うわね」
八幡「?」
雪乃「その…………」
雪乃「……今夜は……甘えても、良い、かしら…………?//」
八幡「…………ああ」
八幡「(顔が熱い、全身から汗が止まらない……ついでにロマンティックも止まらない)」
八幡「(こんなに照れたのはかつて経験したことがない。ついキョドってしまう」
八幡「(雪ノ下の顔色も、暗闇だからはっきりとは見えないが、おそらく真っ赤だろう)」スッ
雪乃「っ!」
八幡「(気になったので、彼女の頬に右手を添え、指で温度を感じ取ってみた)」
129: 2014/05/20(火) 01:54:54.58 ID:a+w9uqXDO
雪乃「あ…………」
八幡「(柔らかく、絹のようにすべすべとした感触が気持ち良く心地よい)」
八幡「(思った通り、彼女の顔は上気していて熱かった)」
八幡「(蛇足且つ当たり前のことだが俺の股間も熱くなってたりするヨ……まあ、この後の展開で主役級の扱いになることだしいっか)」
八幡「(顔に添えた手を、そのまま彼女の頭へ移動させ、軽く撫でる)」
雪乃「ん………」
八幡「(気持ち良さそうに目を瞑り、撫でやすくするためか、少し俯いて頭を俺に向けた)」
130: 2014/05/20(火) 02:02:37.59 ID:a+w9uqXDO
八幡「(彼女の髪の毛に触れたのは初めてで、とにかくゾクゾクしてしまった変態こそが俺です)」
八幡「(いまや俺は、彼女のどこに触れても、心が満たされ鼓動が速くなる)」
八幡「(そして、両手を彼女の肩に乗せた)」
八幡「(いよいよキスをしようと思い、ゆっくりと顔を近づけたその時」
雪乃「待って」
八幡「(焦らされた。気分はご馳走を目の前にした犬のようだワン)」
132: 2014/05/20(火) 02:08:39.27 ID:a+w9uqXDO
八幡「なんだ、どうした?」
雪乃「お願い、というと少し変かもしれないけれど……」
八幡「?」
雪乃「その…………優しく、してね?」
八幡「(……心が締め付けられた)」
八幡「(雪ノ下の、あまりに無垢な可愛さのせいだ)」
八幡「同じくそれは、俺からも頼む」
雪乃「……ふふ、どうかしら」
八幡「おい」
八幡「(ったく生意気な奴)」
八幡「(そして俺は、無礼な彼女の口を唇で塞いだ)」
八幡「(……つまり、不意にキスをした)」
134: 2014/05/20(火) 02:23:28.69 ID:a+w9uqXDO
雪乃「!!」
八幡「(………この背徳心たるや、とても興奮してしまう)」
雪乃「んむっ…………」
八幡「………ぷは」
雪乃「……ひどいわ、いきなり……キス、してくるなんて」
八幡「お前がいらぬこと言うから、塞いでやった」
雪乃「もう……」
八幡「…………雪ノ下」
雪乃「?」
八幡「……もう一度、してもいいか?」
雪乃「…………ええ」
八幡「んっ……」
八幡「(俺は雪ノ下の舌を貪り、言葉の糸を絡ませた)」
八幡「(互いの濡れた唇から吐き出される煙は、夜闇の部屋に消えていった――)」
そして、彼女に酔いしれた俺は深く溺れていった。
135: 2014/05/20(火) 02:24:29.01 ID:a+w9uqXDO
雪乃『あなたが、悪いんだから――――』
136: 2014/05/20(火) 02:26:06.70 ID:a+w9uqXDO
ガッツリ書いてしまった
ちなみにここから先は、なかなかドロドロとしたシリアスな展開となるのでご注意しつつも、楽しみにしていてください
おやすみなせう
ちなみにここから先は、なかなかドロドロとしたシリアスな展開となるのでご注意しつつも、楽しみにしていてください
おやすみなせう
138: 2014/05/20(火) 02:31:10.19 ID:6567dR/30
ふぅ
ドロドロシリアスいいね
ドロドロシリアスいいね
149: 2014/05/20(火) 17:07:02.32 ID:LwsjO/4Vo
いいとこでサクッと切り上げるとこに
才能を感じるわ
続き楽しみに待ってるぜ
才能を感じるわ
続き楽しみに待ってるぜ
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