1: 2011/12/25(日) 23:33:45.33 ID:1yfOM/hB0
12/24 上条の部屋


上条「まさか土御門のやつがパーティーなんてやるとはなー」

禁書「楽しみなんだよ!」

上条「お前、ミサとかはいいのかよ……」ハァ

禁書「それは今日の夜遅い時間だから大丈夫かも」

上条「そーですかい。けど、なーんか嫌な予感するんだよな」

禁書「嫌な予感?」キョトン

上条「あぁ。ものすごく不幸なことがありそうな……」

禁書「それはいつもの事かも」

上条「……否定できないのが悲しい」

禁書「それに、とうまが出ないとそれはそれで不幸なことになると思うよ?」

上条「なんで?」

禁書「『なっ、まさかカミやん、他の女の子と既に約束を!?』 『今すぐ氏刑やー!!!』 みたいな感じに」

上条「………………」ガクッ

禁書「まぁそういう事だから、ここは素直に行くべきだと思うんだよ!」ニコ
混乱

2: 2011/12/25(日) 23:35:20.24 ID:1yfOM/hB0

上条「お前はただ食い物目当てなだけだろ……」

禁書「うん!」

上条「はぁ……仕方ねえ。じゃあ行くとしますか」


第七学区


禁書「あっ、ほらとうま。立派なクリスマスツリーがあるんだよ!」

上条「おー、こりゃ学園都市で一番でかいって言われてるやつだな。ちょうどここら辺が学園都市の中心なんだよ」

禁書「うんうん、こんな科学サイドどっぷりの街にまともなクリスマスがあるのかってちょっと心配してたけど、安心したんだよ!」

上条「まぁ、クリスマスくらいはいくら学園都市でもそれなりに祝うだろ」

禁書「あっ、とうま知ってる? あのクリスマスツリーの頂点についてる星の事」

上条「ん? 何か特別なのか?」

禁書「あれはイエス=キリストの誕生を知らせた星でね、ベツレヘムの星っていうんだよ」

上条「べ、ベツレヘムの星……?」ゾゾッ

禁書「うん! まぁ本当にそんな星があるのかは曖昧で、宵の明星とか彗星とかいくつか説があるんだけど……ってとうま?」

上条「い、いや何でもない。ちょっと嫌な事をな…………」

3: 2011/12/25(日) 23:36:03.49 ID:1yfOM/hB0

禁書「大丈夫? あっ、でもイギリスなんかはベツレヘムの星の代わりに天使を頂点に置いたり……」

上条「て、天使…………」ゾゾッ

禁書「……ごめん。ちょっととうまには良い思い出はないかもね」

上条「はい…………」


禁書「うぅー、それにしても今日はすっごく冷えるかも」ブルブル

上条「そりゃ12月だしなー。けどイギリスだって寒いだろ?」

禁書「そこら辺は私はよく分からないんだよ」

上条「あー、そういえばそうなんだっけ」

禁書「でもさ、とうま」ジッ

上条「ん?」

禁書「女の子が冷えるね、って言ったら何かないのかな?」

上条「はい?」

禁書「だ、だから……ほら! 私の手とかすっごく冷たくなってるんだよ!」

上条「おっ、それならカイロあるぞ。ほれ」スッ

4: 2011/12/25(日) 23:36:37.32 ID:1yfOM/hB0

禁書「とうまああああああああああああああああ!!!!!」ガブッ!!

上条「いぎゃあああああああ!!! おまっ、何してんだよ!!!」

禁書「とうまはいつでもどんな時でもとうまなんだね!!!」ガリガリ!!

上条「いててててててててて!!! 意味分かんねえよ!!!」

禁書「もう……私はこうしたいんだよ」


ギュッ


上条「へっ……?」

禁書「え、えと……パーティーの会場に行くまでなんだよ///」

上条「……お、おう」

禁書「///」



美琴「何か見てはいけないものを見てる気がする」

美琴「落ち着け落ち着け。これは幻想よ」

美琴「…………むぅ」

6: 2011/12/25(日) 23:37:24.88 ID:1yfOM/hB0


上条「ん? ありゃ御坂か?」

禁書「ホントだ。こんな所で一人で何してんだろ」

上条「おーい御坂。何してんだお前?」

美琴(手は繋いだまま……ね)

美琴「別に。私がどこで何してようが関係無いでしょ」ムスッ

上条「お、おう……そうだな……」

上条(何かいつも以上に機嫌悪いな……)

禁書「……ふーん」ニヤ

美琴「……何よその目は」

禁書「べっつにー。ほらとうま。短髪は何だか機嫌が悪いみたいだし、早く行こっ」グイッ

美琴「なっ……早く……イクですって!?」

禁書「……一体何を想像してるのかな」ジト

上条「お、おいそんな引っ張んなってインデックス。そうだ、それなら御坂も一緒にどうだ?」

8: 2011/12/25(日) 23:38:16.96 ID:1yfOM/hB0

美琴「へっ?」

上条「これからクリスマスパーティーに行くことになっててさ。一緒に行こうぜ」

禁書「と、とうま!?」

上条「いや、だってせっかくのクリスマスなのにそんな不機嫌でいちゃ勿体無いだろ」

美琴「わ、私も行ってもいいの……?」

上条「おう、もちろん!」ニカッ

美琴「それじゃ、行ってみようかな……///」モジモジ

禁書「むぅ……」

禁書(で、でもまだ手を繋いでるっていうアドバンテージは保ったままなんだよ!)

美琴「………………」チラチラ

上条「ん? あー、お前も手冷たいのか?」

美琴「ッ!!」コクコク

禁書「えっ!?」

上条「ったく、仕方ねえなぁ。ほら」ギュッ

美琴「あ、ありがとう///」

10: 2011/12/25(日) 23:39:41.23 ID:1yfOM/hB0
禁書「とうまああああああああああああああ!!!!!」ガブッ!!

上条「あぎゃあああああああああああ!!!!! 今度は何なんだよ!?」

禁書「私の時と対応があまりにも違うんだよ!!!」

上条「だ、だからそれで気を付けるようにしたんじゃねえか!!」

禁書「むううううううううううううううう!!!」ゴリゴリ

美琴「ちょ、ちょっとアンタ何やってんのよ!!」

上条「いててててててて!!! ああもう、不幸だああああああああああああああ!!!!!」


周り「「コイツ殴りてえ……!!」」

11: 2011/12/25(日) 23:40:35.36 ID:1yfOM/hB0



パーティー会場


ガヤガヤ……


上条「おー、意外と人は沢山いるんだな……」


青ピ「遅いでカミやーん! こっちはまさかついにカミやんがフラグ回収したんじゃないかと心配……して…………」

土御門「まったく、ヒヤヒヤさせないで欲しい……にゃー…………?」

上条「な、何だよ」

禁書・美琴「??」キョトン


青ピ・土御門「「なんじゃそりゃああああああああああああああああ!!!!!」」


上条「は、はぁ!?」

青ピ「その両手に花状態は何やって聞いてるんやああああああああ!!!」ビシィ!!

12: 2011/12/25(日) 23:41:11.04 ID:1yfOM/hB0
禁書「あっ!」パッ

美琴「わっ!」パッ

禁書・美琴(手を離すのすっかり忘れてた…………)

土御門「カミやーん? この寂しさを紛らわすためのパーティーで面白いことしてくれるにゃー?」ゴゴゴ

上条「ま、待てって!! これは……」

青ピ「問答無用やああああああああああああ!!!!!」


ガン!! ゴン!! バキン!!!


数十分後


上条「いててててて。まだ痛むぞ……」

美琴「ほら、動かないでよ。やりづらいでしょ」

禁書「むむむ……そのくらい放っておけば大丈夫なんだよ」

美琴「ふふふ、そうやって油断してるとバイ菌とか入って色々と大変な事になんのよ」ニヤ

禁書「ていうか、短髪はただそうやっていたいだけなんだよ!!」ビシッ

美琴「な、何のことよ!!」バシャ

13: 2011/12/25(日) 23:41:43.50 ID:1yfOM/hB0

上条「いってえええええええええ!! ちょ、消毒液ぶっかけるのは止めろって!!」ヒリヒリ

美琴「わ、悪かったわね! そういえば、さっきプレゼントを回収されたけど何のつもりなのかしら」

禁書「私としてはきっちりプレゼントを持ってきてる所に突っ込みたいんだけど……」

美琴「う、うっさいわよ!」

上条「あれはプレゼント交換するためだろ」

美琴「プレゼント交換?」キョトン

禁書「一度みんなからプレゼントを集めてから、ランダムに配るんだよ」

美琴「えっ!?」ギョッ

上条「つか知らなかったんだな」

禁書「短髪はそういうパーティーに出たことがないほど寂しい人だったんだね」

美琴「余計なお世話よ!! つかマズイ!!!」

上条「何が?」

美琴「あ、あのプレゼントは……。と、とにかく、何とか取り戻せないの!?」

上条「いや、たぶんもう無理じゃねえか? ほら、そろそろ配り始めるみたいだぞ?」

美琴「いっ!?」

14: 2011/12/25(日) 23:42:31.74 ID:1yfOM/hB0


土御門『それでは皆さんお待ちかね、プレゼント交換タイムだにゃー!!!』

土御門『プレゼントは様々だが、高額なものになると、なんとイギリス女王から数千万クラスのものまであるぜよ!!』


「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」


上条「あの人は何やってんだよ……」

美琴「ヤバイヤバイヤバイ!!!」ガタガタ

禁書「短髪は何をそんなに慌ててるんだよ」ハァ


土御門『それじゃあ……念動使い(テレキネシスト)によるプレゼント交換だぜい!!!』

フワッ

上条「ま、まさかそれで一斉に飛ばすんじゃ……!!!」

土御門「GO!! だにゃー」

15: 2011/12/25(日) 23:43:02.85 ID:1yfOM/hB0


ビュン!!!


禁書「わっ!」パシッ

美琴「おっと!」パシッ

上条「うぎゃあああああああああああああ!!!!!」サッ


ドガァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!


美琴「……えらく巨大なモンが飛んできたわねアンタ」

禁書「プレゼントを避けるのはちょっと失礼なんだよ」

上条「こんなもん受け止めたら氏にますからね!? ったく、何なんだよこれ……って剣!?」

禁書「これは聖ジョージが使ったとされる名剣、アスカロンだね。総重量は200kgくらいあったかも」

上条「完全に氏ぬとこだったじゃねえか!!! 誰だよこんなもんプレゼントしてる奴は!!!」

美琴「た、確かに変わり者ね……。ってそうだ、私のプレゼント!!」キョロキョロ

禁書「手に持ってるんだよ」

美琴「これじゃなくて!! オリジナルの方よ!!!」

16: 2011/12/25(日) 23:43:34.40 ID:1yfOM/hB0

上条「そういやインデックスはどんなモン貰ったんだ?」

禁書「性魔術に関する本なんだよ」

上条「…………は?」

禁書「えっと、題名は『工口メイド厳選――』」ペラ

上条「土御門ォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」ダダッ!!


イキナリナニスルニャー!! ウルセエエエエエエエエエエ!!


バキッ!! ドカッ!!


禁書「?? そうだ、短髪は何貰ったの?」

美琴「どうする……この人数の中私のプレゼントを見つけるのは簡単じゃないし…………」ブツブツ

禁書「聞いてないんだよ。それじゃあ開けちゃうよー?」


ビリッ


禁書「……カエルのパンツ?」

17: 2011/12/25(日) 23:44:14.75 ID:1yfOM/hB0

美琴「へっ……? ってゲコ太!?」キラッ

禁書「ぷぷぷ、短髪にはお似合いなんだよ」ニヤニヤ

美琴「う、うるさいわね!! ったく誰のプレゼントよこれ!!!」アセアセ

禁書「あれ、何か名前が書いてあるんだよ」

美琴「しかも使用済み!? どういうつも……り…………」

禁書「えっと、『みさかみこと』? あれ、これって…………」



白井「わたくしとした事が一生の不覚ですの!! まさか誤ってお姉様の下着をプレゼントとして入れてしまうとは……!!!」

佐天「あたしとしては何で御坂さんの下着を持っているのか激しく突っ込みたいところなんですけど……」

初春「会場内の防犯カメラの解析終わりました!! えっと、白井さんのプレゼントはあっちの方に飛んでいって……」

白井「でかしましたわ初春!! それでわたくしのプレゼントはどこに!?」

初春「………………」ガクブル

佐天「初春?」キョトン

白井「どういたしましたの初春!? 早くアレを回収しなければ大変な事に……!!!」

18: 2011/12/25(日) 23:44:47.82 ID:1yfOM/hB0


美琴「なぁーにを回収しないといけないんですってー?」ニコ


白井「お、おおおおおおおお姉様!?」ビクッ!!

佐天「あれ、御坂さんじゃないですかー! 予定があるって、このパーティーの事だったんですか!!」

美琴「あ、あはは、まぁそんなとこ。そ・れ・で!?」ゴゴゴ

白井「」

美琴「初春さん、これは黒子のプレゼントって事で間違いないのね?」ニコ

初春「は、はい!! その通りです!!!」ビクッ

白井「う、初春ゥゥうううううううううう!!!!!」

美琴「……覚悟はいいかしら?」ゴゴゴゴゴ

白井「お、お姉様誤解ですの!! これは……」


バチバチバチィィィィィィィィ!!!!!


白井「あばばばばばばばばばばばばばば」ビリビリ!!

19: 2011/12/25(日) 23:45:38.39 ID:1yfOM/hB0



上条「ったく、土御門のやつ……。なんかインデックス達ともはぐれちまったし……」スタスタ

海原「おや、これはこれは」ニコ

上条「おっ、海原光貴か」

海原「偽物の方ですけどね」

上条「お前も来てたなんて意外だな。元気でやってんのか?」

海原「えぇ。そちらも自分との約束は守ってもらえているでしょうか?」

上条「あぁ、もちろん」

海原「それは安心しました。あっ、そうだ……」ゴソゴソ

上条「ん、どうしたんだ?」

海原「これを受け取ってもらえませんか?」スッ

上条「これってペアリング? お、お前まさか……」ゾゾッ

海原「ち、違いますからね!? そういう意味ではありませんよ!!」

上条「じゃ、じゃあ何なんだよ」

20: 2011/12/25(日) 23:46:41.35 ID:1yfOM/hB0

海原「いえ、実は先程のプレゼント交換でこれを受け取りましてね。しかし――自分には必要のないものですし」

上条「へっ? いやいや、お前これ御坂にでもやれば……」

海原「それは自分の役目ではないので」ニコ

上条「……?」

海原「それでは、そろそろ失礼します。その指輪、有意義に使ってあげてください」

上条「お、おう……」


スタスタ……


上条「といっても、俺にもあげる相手とかいないんだけど……」


美琴「あああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


上条「うおっ、ビックリした。何だよいきなり」ビクッ

美琴「ア、アンタ!! そ、そのペアリング……!!!」ガクガク

上条「おー、さっき他の奴から貰ってなー。といっても俺にも渡す相手がいないわけなんだけど……」

21: 2011/12/25(日) 23:47:22.19 ID:1yfOM/hB0


上条「……あちゃー」

上条(こりゃ海原から受け取らないほうが良かったな……)

美琴「な、何よその反応は!! 私がそういうの買うのがおかしいっていうの!?」ムカッ

上条「い、いやいやちげーよ!! ったく、ほら」スッ

美琴「……え?」

上条「お前これを取り戻したかったんだろ? ちゃんと渡すつもりだった相手に渡してやれよ」ニカッ

美琴「……あ、えっと…………」

美琴「な、ななな…………!!」

上条「にしてもこれってチタンか? なんか模様みてえのも描かれてるし……」

美琴「そ、それ私のなの!!!」

上条「……え? マジで?」

美琴「///」コクン

22: 2011/12/25(日) 23:48:04.54 ID:1yfOM/hB0



キィィィィィィィン



上条「つっ!!」ズキッ

上条(なんだ? いきなり頭痛が…………)

美琴「………………」スタスタ

上条「御坂? おいこの指輪は……」

美琴「それはまだアンタが持ってて。私はやる事があるから」

上条「は?」


ゴトゴト……ガチャガチャ……


上条「……え?」

上条(何だ……? みんな一斉に後片付けなんか始めて……)

土御門「カミやん、そっちのテーブルクロスしまってくれにゃー」

上条「お、おい土御門? パーティーは……」

24: 2011/12/25(日) 23:48:42.38 ID:1yfOM/hB0

土御門「ん、パーティーはもう終わりですたい」

上条「まだ始まってほとんど経ってねえじゃねえか!!」

土御門「うん。でもおしまい」

上条「お、お前昨日までは年に一度のクリスマスだから派手にやりたいって……」

土御門「そんな事言ったかにゃー? それにカミやん……」


土御門「クリスマスって何ですたい?」キョトン


上条「…………え」ゾクッ

土御門「さっきからカミやんおかしいぜい?」

上条「そ、そっか! あのなー、確かに独り身にクリスマスってのは寂しいかもしんねえけど、そうやって現実逃避すんのは……」

土御門「だから何を言ってるんだにゃー? じゃあ俺は忙しいからこの辺で」スタスタ

上条「あっ、おい土御門!!」

上条「……ウソだろ」

27: 2011/12/25(日) 23:50:00.86 ID:1yfOM/hB0



上条「インデックス!!!」

禁書「あっ、とうま! もう、一体どこに行ってたんだよ!」

上条「全部後だ!! それよりインデックス、明日はクリスマスでキリストの誕生日だったよな!?」


禁書「――クリスマスって何かな?」キョトン


上条「………………」

禁書「それに、イエス=キリストの誕生日には諸説あるけど、世界的にそれが明日だって決められてるわけないんだよ」ハァ

上条「な、んだよ、これ……! そ、そっか! みんなして俺をからかってるんだな!?」

美琴「ほらアンタら何サボってんのよ。片付けた片付けた」スタスタ

上条「御坂! いくら科学サイドだからって、クリスマスくらいは分かるだろ!?」

美琴「何よそれ。意味分かんないこと言ってないで、早く手伝いなさいって」

青ピ「カミやーん!! 何でカミやんはいつ見ても女の子が近くに居るんやあああああああ!!!」

上条「青ピ!! お前はクリスマスの一週間も前から彼女欲しい彼女欲しいって喚いてたじゃねえか!!!」

青ピ「ん? クリスマスっちゅうのはよう分からへんけど、彼女はいつでも募集中やでー!!」ニカッ

28: 2011/12/25(日) 23:50:46.55 ID:1yfOM/hB0

上条「………………」

禁書「とうま? ほら、私達も片付け手伝お?」

上条「一体…………」

禁書「――とうま?」

上条「何が……どうなってんだよ…………!!!!!」

37: 2011/12/26(月) 00:11:22.47 ID:srbWdH7j0

第七学区


ゴトゴト……ガチャガチャ……


上条(どこもかしこもクリスマスの飾り付けを片付けてやがる……)

上条「何かの能力……? いや、それとも魔術……」ブツブツ

禁書「とうま、どうしたの?」

美琴「さっきから変よ」

上条「………………」

上条(念のため他の連中にも聞いてみたけど、誰もクリスマスについて知らない)チラッ

美琴「ちょ、ちょっと、いきなりそんな哀れみの目で見ないでくんない?」

禁書「むしろ私達はとうまの方が心配なんだよ」

上条(そういえば、前にも御使堕し《エンゼルフォール》で全世界の人間の中身が入れ替わっちまった事もあったな……)

上条(じゃあ今回は全世界の人間がクリスマスの事を忘れちまってんのか?)

上条(いや、そんなもんじゃねえ。コイツらの口ぶりからすると、まるで『最初からクリスマスがなかった』事になってるみてえだ)

上条(俺に影響がないのはたぶんこの右手のお陰だろうな……。けど、俺一人で何ができる? 御使堕し《エンゼルフォール》の時に協力してくれた土御門まで今回は完全に術中だ……)

38: 2011/12/26(月) 00:12:04.89 ID:srbWdH7j0



上条の部屋



禁書「何とかカナミンの時間に間に合ったんだよ!」

上条「……インデックス、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

禁書「うーん、できれば後にしてほしいかも」

上条「た、頼むって!」

禁書「むぅ、何かな?」

上条「御使堕し(エンゼルフォール)については聞いてるよな? ああいうのってそんなにポンポン起きちまうもんなのか?」

禁書「そんなわけないんだよ。あれは本当に稀な例」

上条「そ、そうなのか……?」

禁書「うん。例えば学園都市の運動会で、ローマ正教の魔術師が使徒十字(クローチェディピエトロ)を使おうとしたよね?」

上条「あぁ」

禁書「あれはその範囲内であれば何をしてもローマ正教にとって都合が良くなるものなんだけど、それでもちゃんと範囲が決められているんだよ」

上条「……って事は?」

39: 2011/12/26(月) 00:12:41.11 ID:srbWdH7j0

禁書「そういう人の心や世の中の理に干渉する魔術の範囲が、御使堕し(エンゼルフォール)みたいに地球全域っていうのは、普通じゃまずありえないんだよ」

上条「!!! そっか、サンキュ、インデックス!!!」ダダッ!!

禁書「??」キョトン


プルルルルルルルルルルルルルル、ガチャ


神裂『上条当麻ですか? 学園都市から電話なんて珍しいですね』

上条「神裂、今日はクリスマスイヴだよな!?」

神裂『ええ、そうですね。明日は十字教徒にとっては大切な日です』

上条「………………」

神裂『上条当麻?』

上条「おっしゃああああああああああああああああ!!!!! 」

神裂『ッ!?』


『はっ、女教皇(プリエステス)!! 今上条さんの声が聞こえたんですけど!!!』

『おおう、さすがは女教皇……! 頑張るのよな五和!!』

40: 2011/12/26(月) 00:13:26.81 ID:srbWdH7j0


神裂『あまり大声で話さないでください……耳が…………』

上条「悪い悪い!! いやー、俺も心細くてさ……」

神裂『はぁ……』

上条「とにかく、今こっちで大変な事が起きてんだ! 力貸してくれ!!」

神裂『大変なこと?』


上条説明中


神裂『なるほど……』

上条「神裂はクリスマスの事をちゃんと認識できてるし、たぶんそっちまで効果は届いてないと思うんだ」

神裂『そうですね……。ですが、そちらに乗り込むとしても正確な効果範囲を知っておきたい所ですが……』

上条「効果範囲……そうだ!!」ダダッ!!


上条「インデックス! ちょっとチャンネル変えるぞ!!」ピッ

禁書「ああああああああ!!!」ガーン

41: 2011/12/26(月) 00:14:09.72 ID:srbWdH7j0


『今日はクリスマスということもあり、街は大変な賑わいを見せており……』

『クリスマス特別企画!! あの有名人の過ごし方とは!?』

『クリスマスデートの人気スポットとは!?』


上条「これは……!!!」

禁書「もう、私はカナミンを観てたのに!!」

上条「インデックス、この放送観て何とも思わないのか!?」

禁書「え? 人気のデートスポット? と、とうま……もしかして私と……?///」

上条「………………」

上条(外部の放送局だと普通にクリスマスの事を流してる。つまりそこまで効果は広がってないってことだ)

上条(けど、ここの人間にはクリスマスの情報は伝わらない。ここのクリスマス用の飾り付けなんかも全部片付けられちまったようだし、インデックスも都合よくクリスマスの部分にだけは反応しなかった)

禁書「と、とうま?」ドキドキ

上条「悪い、インデックス。カナミン観てたんだっけな」ピッ

禁書「ふぇ? い、いや、今はそれよりもさっきの話……///」

43: 2011/12/26(月) 00:15:05.54 ID:srbWdH7j0

上条「よし、これなら……ッ!!」ダダッ!!

禁書「とうま!?」


上条「神裂! たぶん効果範囲は学園都市全域だ!!」

神裂『ッ!! 本当ですか!?』

上条「あぁ、外部のテレビの放送局はクリスマスについて流してる! それに比べて学園都市は、どの学区の情報を調べてもクリスマスの『ク』の字すら出てこねえ!! 飾り付けなんかも皆無だ!!」

神裂『なるほど……分かりました。これから然るべき準備をした後、そちらへ向かいます』

上条「悪いな、大切な日に」

神裂『あなたが謝ることではありません。むしろ、十字教徒としてそのような事態は看過できません』

上条「そっか……じゃあ頼むぞ」


ピッ


二時間後


上条「もう着いた!? イギリスからここまで!?」

神裂『はい、魔術なら何でもありですよ』

44: 2011/12/26(月) 00:15:34.94 ID:srbWdH7j0

上条「そ、そっか……。じゃあ俺はどうすればいい?」

神裂『いえ、あなたはあくまで一般人ですのでそこで……』

ステイル『いいや神裂、あの右手は役に立つだろう』

神裂『ステイル!!』

上条「ステイルも来てたのか」

ステイル『あの子にまで危害が加わっているんだ。当然だろう』

ステイル『それより、君の右手は魔術においてはジョーカーとなる存在だ。ここは協力してほしいね』

神裂『何を言っているのですか!!』

ステイル『あぁ、もちろんインデックスには護衛を付けるよ。僕のルーンも一緒にね』

神裂『そういう問題ではありません!! 彼は一般人なのですよ!?』

上条「いいよ、神裂」

神裂『なっ!!』

上条「俺もこんな事した犯人を放っておいてのんびりなんてできねえからな」

神裂『……ですが』

ステイル『よし、決まりだ。それじゃあ今から言う場所に来てくれ』

45: 2011/12/26(月) 00:16:03.70 ID:srbWdH7j0



第七学区



上条「人払いはやってんのか」スタスタ

ステイル「あぁ、ちゃんと効果があるかどうか若干不安だったけどね。しかしクリスマスというのに、また随分と殺風景だね。イギリスとは大違いだよ」

神裂「そういう術式なのですから仕方ないでしょう。しかし上条当麻、やはりあなたのような一般人にまで迷惑をかける訳には……」

上条「大丈夫だって。俺も何か役に立ちてえんだ。せっかくこんな右手を持ってんだしさ」

神裂「……はぁ、あなたはいつもそうですね」

ステイル「では話を始めるよ。まずはこの術式なんだが、予想以上に強力なものだね」

上条「そりゃ、クリスマスを否定とかって、十字教的にも結構マズイだろ?」

神裂「もちろんです」

ステイル「まぁ僕達はここに入る際に強力な結界を張って、何とか受け流せたんだけどね」

神裂「やはりあなたの報告通り、範囲はこの学園都市のみのようです。ちょうど外へのゲート上から魔術的効果を確認しました」

ステイル「他のゲートからも入ってみたけど、どこも同じ感じだね。グルッと綺麗にここ学園都市だけ魔術の支配下に置かれている」

上条「何でわざわざこんな科学の街を……」

46: 2011/12/26(月) 00:16:26.85 ID:srbWdH7j0

神裂「そこまではまだ分かりません。ですが、これほどの術式を組めるとなると敵もかなりの実力者です」

上条「強いのか?」

ステイル「どうだかね。確かにこの術式は大したものだけど、必ずしもそれが戦闘能力とイコールにはならないさ」

神裂「用心に越した事はないでしょう」

ステイル「それと、解析班からの報告によると、どうやら犯人は複数人いるらしい」

上条「複数……」

神裂「これほどの魔術です。不自然ではないでしょう」

上条「それじゃあ、これから俺らでその発動してる奴等を何とかするって事か?」

ステイル「いや、君には君の役割がある」

上条「役割?」

神裂「この術式は何か一つ、核となるようなものが必要なようです」

ステイル「ちょうど、僕の魔女狩りの王(イノケンティウス)のようにね」

上条「つまり、術者を倒さなくても、その核を何とかすれば術式は消える?」

神裂「はい。しかし、核を狙うにしても問題がありまして」

ステイル「まず核の正体を掴めていない。それにこれだけの魔術だ、核もそれだけ強力な魔術的防御が施されていると考えるのが普通だろう」

47: 2011/12/26(月) 00:16:50.20 ID:srbWdH7j0

上条「……そこで幻想頃し(イマジンブレイカー)か」

ステイル「あぁ、君の右手はそういうものにはうってつけの代物だろう?」

神裂「術者は私達必要悪の教会(ネセサリウス)で倒します。あなたは万が一に備えて、術式の核を探して壊して欲しいのです」

上条「よし、分かった!」

ステイル「と言っても、そこまでは期待していないよ。ほとんどヒントなしで探さなければいけないんだからね」

神裂「ですが、魔術の核というものは、その術式と密接な関係にあることがほとんどです。ステイルのルーン文字なんかが分かりやすいですね」

上条「って事は、クリスマスを否定するようなものを探せばいいって事か……」

ステイル「まぁ、その前に僕達が犯人を全員倒してしまえばいい話だ。そこまで気負う必要はないさ」

神裂「はい、私達に任せてください」

上条「あぁ……頼む。俺もできる限りやってみるけどさ」



とある道路



魔術師B「へぇ、アンタらが侵入者か?」ニヤ

神裂(探し始めて三十分。意外とあっさり見つかりましたね……)

48: 2011/12/26(月) 00:17:29.89 ID:srbWdH7j0

神裂「こちらも複数という事はバレているようですね」

魔術師B「当たり前だろ。あれだけ派手に侵入しといてさ」

神裂「では、我々の目的も分かっていますね?」チャキ

魔術師B「うん、まぁね。でもアンタら、ここに来る時はもっと大勢いなかった? 今は二人みたいだけど」

神裂(聖人である私を見ても微動だにしない……? それに、こちらの動きは筒抜けというわけですか)

神裂「一度に大量の戦力を失うリスクは避けたいものです。それにここは学園都市ですので、それほど大勢の魔術師は受け入れられませんよ」

魔術師B「ふーん、色々面倒なんだねぇ」

神裂「……では、話も終わりのようですし、拘束させてもらいますがよろしいですね?」

魔術師B「実はさ、俺らってわざとアンタらに見つかるようにしてやったんだよ」

神裂「ッ!? まさか、罠……!?」キョロキョロ

魔術師B「はは、違う違う。ただ単にアンタらがどんな人間か見てみたかったんだよ」

神裂「……?」

50: 2011/12/26(月) 00:18:09.45 ID:srbWdH7j0
魔術師B「アンタってすごく美人だね」

神裂「はい……?」

魔術師B「やっぱ彼氏とかいるの? そりゃいるよね、俺らみたいなキモオタじゃないんだし。そんだけ見た目良ければ仮に腐女子でも男は寄ってくるだろうね。
     あぁ、ゴメン、アンタのようなリア充筆頭みたいな人は腐女子なんて言葉も知らないか。つか腐女子でも普通に可愛くて彼氏いる奴もいるし、そういう人達も俺らのことなんざ見向きもしないよな。
     やっぱ見た目って大切だよね。良く中身の方が大切だって言う女もいるけど、それでもやっぱり最低ラインってのは存在するんだよ。じゃあその最低ラインを越えられない人間はどうしたらいいんだろうね?
     そりゃ俺だって見た目とか気を付けたよ。明らかにスイーツ(笑)なファッション雑誌とか買って勉強してみたよ。でも、そうやって頑張ったって結局『頑張ってるみたいだけどそれでもヒドイwwww』とかで終わったんだよ。
     こんな救いようのないブサメンが頑張っちゃってるのってやっぱ痛々しいんだよね。でもアンタみたいな人には理解できないだろうね。ブサメンの気持ちはブサメンにしか分からないんだから」


神裂「」



とある路地裏



ステイル「……はぁ。君達の場合、外見だけじゃなくて中身も相当問題あると思うけどね」

魔術師C「それは知ってるよ。でもさ、中身を磨いた所で俺らに彼女ができると思う?」

ステイル「それは…………」

魔術師C「俺らも最初は女の言う、中身のほうが大事っていうのを信じて頑張ったよ。でもさ、結局この外見は打ち消せなかった」

ステイル「………………」

魔術師C「それでさ、俺らはもう諦めたんだ。彼女を作るという事をね」

51: 2011/12/26(月) 00:25:36.39 ID:srbWdH7j0

魔術師B「アンタってすごく美人だね」

神裂「はい……?」

魔術師B「やっぱ彼氏とかいるの? そりゃいるよね、俺らみたいなキモオタじゃないんだし。そんだけ見た目良ければ仮に腐女子でも男は寄ってくるだろうね。
     あぁ、ゴメン、アンタのようなリア充筆頭みたいな人は腐女子なんて言葉も知らないか。つか腐女子でも普通に可愛くて彼氏いる奴もいるし、そういう人達も俺らのことなんざ見向きもしな
     いよな。やっぱ見た目って大切だよね。良く中身の方が大切だって言う女もいるけど、それでもやっぱり最低ラインってのは存在するんだよ。
     じゃあその最低ラインを越えられない人間はどうしたらいいんだろうね?そりゃ俺だって見た目とか気を付けたよ。明らかにスイーツ(笑)なファッション雑誌とか買って勉強してみたよ。
     でも、そうやって頑張ったって結局『頑張ってるみたいだけどそれでもヒドイwwww』とかで終わったんだよ。
     こんな救いようのないブサメンが頑張っちゃってるのってやっぱ痛々しいんだよね。でもアンタみたいな人には理解できないだろうね。
     ブサメンの気持ちはブサメンにしか分からないんだから」


神裂「」



とある路地裏



ステイル「……はぁ。君達の場合、外見だけじゃなくて中身も相当問題あると思うけどね」

魔術師C「それは知ってるよ。でもさ、中身を磨いた所で俺らに彼女ができると思う?」

ステイル「それは…………」

魔術師C「俺らも最初は女の言う、中身のほうが大事っていうのを信じて頑張ったよ。でもさ、結局この外見は打ち消せなかった」

52: 2011/12/26(月) 00:26:51.15 ID:srbWdH7j0
ステイル「………………」

魔術師C「それでさ、俺らはもう諦めたんだ。彼女を作るという事をね」

ステイル「それがどう神聖なクリスマスを冒涜するという結論に達するのかな」

魔術師C「クリスマスは街中がカップルで溢れかえる。無いんだよ、リアルに俺らの居場所なんて」

ステイル「そんな事は……」

魔術師C「黙れイケメン。いいよな、イケメンは例えクリスマスに一人で街を歩いてても、周りは『彼女との待ち合わせ場所に行くんだな』とか勝手に思ってくれる。
     それどころか、ちょっと寂しい雰囲気を流した途端、女の子の方から寄ってくるんだろ? SNSとかでちょっと寂しいとか呟けばそこでもすぐに女が群がってくるんだろ?
     まぁけど、リア充どもからしたら、街でブサメンが一人でいても見向きもしないのかもな。自意識過剰ってのは分かってんだよ、誰も俺らの事なんてそこまで見てないんだよな。
     それでも俺らはあんなカップルだらけの街に一人で突入できるような強靭なメンタルを持ってるわけじゃないんだよ。だからクリスマスは家に引きこもるしかないんだよ。
     俺らが何をした? もう彼女なんて分不相応なものは望んでない。それなのに何でこんなに引け目を感じて引きこもらなきゃいけないんだよ。何なんだよクリスマスって!!!!!」


ステイル「」



とある道路



魔術師B「だから俺らは魔術サイドから最も遠い場所にある、ここ学園都市に来た。クリスマスから逃げたかったんだ」

神裂「でも、ここにもクリスマスを祝うという概念は存在した」

魔術師B「そうだよ!! だからここだけでもクリスマスに安心して息を吸える場所にしたんだ!!!」

53: 2011/12/26(月) 00:27:43.82 ID:srbWdH7j0

神裂「ですが、それでは今日この日を楽しみにしてきた者の気持ちが……」

魔術師B「それは大丈夫さ。ここの人間は、『最初からクリスマスなんてものはなかった』と思ってる。今日と明日が過ぎれば術式も解除するさ」

神裂「それでも!!! 当人が知らなければそれで良しなどとは思えません!!!」

魔術師B「……分かってんだよ。俺らの方が悪人なんだって事くらいさ」

神裂「………………」

魔術師B「でも魔術師なんてそんなもんだろ? ただ自分の望みのためだけに魔術を使う。アンタだって魔法名持ってるだろ」

神裂「……私の魔法名は『救われぬ者に救いの手を』です」

魔術師B「大層なもんだね」


神裂「――私は、あなた達も救いたい」


魔術師B「………………」

神裂「一緒に考えましょう、解決法を」


魔術師B「じゃあさ、アンタ俺の彼女になってよ」



55: 2011/12/26(月) 00:28:22.60 ID:srbWdH7j0

神裂「なっ――!!」ギョッ

魔術師B「やっぱさ、俺みたいなブサメンでもアンタみたいな美人の彼女ができるっていうのを見せつけるっていうのが良いと思うんだよなー」

神裂「そ、それは…………」

魔術師B「やっぱそれは無理かー。そりゃそうか」

神裂「………………」


神裂「……い、いいですよ」


魔術師B「……ホント?」

神裂「はい……それで少しでもあなた達みたいな者を救えるのならば……」

魔術師B「………………」


魔術師B「――ぶっ、あはははははははははははははは!!!!!」


神裂「……?」

魔術師B「冗談だよジョーダン! だから俺らはもう彼女とか諦めてるんだって」

神裂「で、ですがそれでは……!!」

58: 2011/12/26(月) 00:29:15.08 ID:srbWdH7j0

魔術師B「いやー、ホント心まで聖人みたいな人なんだねぇ。ちょいビビったわ」

魔術師B「でもさ、それこそアンタみたいな人はちゃんと良い人見つけるべきだよ。こんなろくでもない奴じゃなくてさ」ニヤ

神裂「……結局分かり合えないのですか」

魔術師B「アンタ、必要悪の教会(ネセサリウス)の人間なんだろ? それなら魔術師の対処方法なんて一つしかない事くらい分かってるだろ」


魔術師B「――力で抑えつけろよ」



とある路地裏



ステイル「どうやら僕には君達の事は一生かかっても理解できそうにないよ。悪いけど、燃やし尽くすことにする。あの子まで巻き込んだことは許すつもりはないしね」スッ

魔術師C「あー、大切な女の子の為にってやつ? かっくいー! その子も惚れる事間違いなしだね!」ニヤニヤ

ステイル「…………それはないね」

魔術師C「ん?」


ステイル「――あの子が僕に振り向くことはもう二度と無いんだよ。彼女にはもう既に相手がいるんだ」

59: 2011/12/26(月) 00:30:00.81 ID:srbWdH7j0
魔術師C「…………それでもその子の為に戦うんだ?」

ステイル「そんな事はどうでもいいからね。例え彼女が誰と共に過ごそうとも、僕は彼女の為に生きて氏ぬ。そう決めているんだ」

ステイル「だから、恋人ができないって点では君らと同類みたいなものなんじゃないか? 誰もこんな男を相手にするつもりはないだろうし、僕もそうだ」

魔術師C「……はぁ、イケメンでその性格とか、一番質悪いパターンじゃんか」

ステイル「……?」

魔術師C「よし、じゃあ勝負しよう最悪のイケメン君。結局はそれしかないんだよ」

ステイル「一応言っておくけど、勝負っていうのはつまり頃し合いって事になるけど?」


ゴォォォォォォォォォォ!!!!!


魔術師C「あっちっち!! なんか炎ってまさに魔術師って感じだね」

ステイル「随分余裕だね」

魔術師C「そりゃそうさ。俺らはその気になればいつでも勝てる状態だし」

ステイル「なに……?」

魔術師C「まず最初っから間違ってんだよ。アンタら、結界を張って何とかこの術式に耐えているみたいだけど……」


魔術師C「今の出力が最大だとは限らないだろう?」

63: 2011/12/26(月) 00:30:48.44 ID:srbWdH7j0


第七学区


キィィィィィィィィィン!!!


上条「つぅ……!!!」ズキッ

上条(ま、た……!! 今度は何だ!?)

上条「とりあえず、ステイル達に連絡を……」


プルルルルルルルルルルルルル、ガチャ


ステイル『なんだい? 君から電話とは気色悪い』

上条「う、うるせえな! 非常時なんだから仕方ねえだろ!!」

ステイル『非常時?』

上条「あぁ、今また術式が発動した時と同じような感覚がしたんだ! 何かあったんじゃねえか!?」

ステイル『……術式?』

上条「………………」

64: 2011/12/26(月) 00:31:50.28 ID:srbWdH7j0

上条(まさか…………)

ステイル『何を黙っているんだい上条当麻。それだけなら切るよ』

上条「……明日は何の日か知ってるか?」

上条(まさか…………ッ!!!)

ステイル『君の留年確定日とかかい? それならおめでとう、そしてさようなら』ピッ


ツー、ツー……


上条「………………」


プルルルルルルルルルルルルル、ガチャ


神裂『もしもし、上条当麻ですか? どうしました?』

上条「神裂、明日は何の日だっけ?」

神裂『明日……ですか? そういえばあの子はカナミンというものの再放送がどうのこうのと……』

上条「……そっか、そうだったな。悪い、ありがとう」

神裂『?? えぇ……』

65: 2011/12/26(月) 00:32:58.48 ID:srbWdH7j0

ピッ


上条「やられた」

上条(どういう事だよ……アイツらは結界を張って身を守ってたんじゃねえのか…………!!)

上条(そういえばさっきの頭痛……最初の時よりも酷くなってた気がする。って事は……)

上条「威力が……上がったのか…………ッ!!」ゾクッ

上条(どうする……? 確かステイル達はまだ学園都市の外に仲間を残していたはずだ。そいつらに協力してもらうか?
   けどそんなのんびりしてていいのか!? 外からの協力者のことは犯人にもバレてるだろうし、焦ってもっとデカイ事をしてくる可能性もある!!)

上条(俺にできることはなんだ。こっちの武器は幻想頃し《イマジンブレイカー》だけ……)


『君には君の役割がある』


上条「――――そうか」

上条(ステイルも神裂も、別に直接戦って負けたわけじゃねえ! この術式にやられたんだ!!)

上条(それなら、この右手でそいつさえ消しちまえばいい……!! これだけの術式、すぐに再発動なんてできねえはずだし、その間に魔術師達も捕まえられる)

上条(けど、肝心の核はどこにある……? ヒントは《クリスマスを否定するもの》だけ……)

上条「くそ……考えろ…………!!」

66: 2011/12/26(月) 00:33:51.30 ID:srbWdH7j0
終盤の見直ししてくる


>>61
なぜバレたし

71: 2011/12/26(月) 00:54:48.02 ID:srbWdH7j0

上条(そういえば大覇星祭の時も、霊装の場所を探し当てるのに苦労したな…………ん?)

上条(――待てよ、この術式の効果範囲は学園都市全域。ステイル達もちょうど綺麗に学園都市だけを囲うように発動してるって言ってた)

上条(魔女狩りの王《イノケンティウス》も、使徒十字《クローチェディピエトロ》も、核からあまり離れると効果がでない。
   学園都市は円形だ。つまり、綺麗に囲うとするなら、使徒十字《クローチェディピエトロ》みてえに効果範囲も円形じゃなければならないんじゃないか?)

上条(使徒十字《クローチェディピエトロ》と同じ感じなら、魔術効果は核から円形に広がる。って事は――――)

上条「核の場所は……学園都市の中心付近…………? くそ、あくまで予想だけど、とにかく行ってみるか!!」ダダッ!!



第七学区・学園都市の中心地付近


タッタッタ……


上条「はぁはぁ……!! ここら辺、だな。そういえばパーティーに行く途中にインデックスと一緒に通ったな。学園都市で一番でかいクリスマスツリーもある」

上条(探すのは『クリスマスを否定するもの』……か。じゃあツリーなんかは真逆だな)

上条(どこだ……どこにある…………!?)キョロキョロ

72: 2011/12/26(月) 00:55:22.51 ID:srbWdH7j0

数十分後


上条(くそ!! どこにも見つからねえ!!! 俺の考えが何か間違ってたのか……!?)

上条「……日も落ちてきたな。暗くなっちまうと余計探しづらいじゃねえか。それにイルミネーションとかもねえから、いつもより暗く感じるし……」


上条「――――あれ?」


上条(待てよ……俺は何か見落としてねえか……? そもそも何でイルミネーションとかが消えた?)

上条(それは術式によって《初めからクリスマスがなかった》事になったからだ。それに関連して、クリスマス用の飾り付けは術式が発動した瞬間から全部片付けられた)


上条「じゃあ何で――――ここにはまだクリスマスツリーなんかが残ってるんだ?」


上条「学園都市で一番でかいツリーだぞ? こんなもん、真っ先に片付けられなきゃならねえもんだろ」

上条「それがまだ残ってる理由……それは…………」


『あっ、とうま知ってる? あのクリスマスツリーの頂点についてる星の事』

『ん? 何か特別なのか?』

『あれはイエス=キリストの誕生を知らせた星でね、ベツレヘムの星っていうんだよ』

73: 2011/12/26(月) 00:55:57.62 ID:srbWdH7j0


上条「ッ!!!」バッ

上条(星が……濁ってる…………ッ!!!!!)

上条「あれが核かッ!!!!!」


パチパチパチパチ!!!


上条「ッ!?」クルッ


魔術師A「ご名答」ニヤ


上条「……魔術師か」

魔術師A「よく気付いたね、あれが核だって」

上条「あれはキリストの誕生を知らせた星で、その日がクリスマスになったんだろ? だから、その星の光を消しちまえば……」

魔術師A「そうそう。まぁさすがにキリスト自体を無かった事にするなんて事は無理だから、誕生の時をあやふやにするってだけなんだけどね」

上条「何で……何でこんな事をしたんだ!!!」

魔術師A「……あーあー。そういう質問が出るあたり、やっぱりお前も俺らとは違うんだな」ハァ

74: 2011/12/26(月) 00:56:41.34 ID:srbWdH7j0

上条「何の話だ……?」

魔術師A「お前、今日の予定言ってみろよ」

上条「そんなの何の意味が……」

魔術師A「いいからいいから」

上条「……今日はクリスマスパーティーに誘われたから、インデックスと御坂と一緒に行って…………」

魔術師A「ああもういい、爆発しろよ」


ドガァァァァァァァァァァァァァ!!!!!


上条「ッ!!」キュイン!!

魔術師A「それが幻想頃し(イマジンブレイカー)ってやつか」チッ

上条(何だ……急に爆発が…………!! 量子変速《シンクロトロン》……いや、相手は魔術師、能力じゃねえ……!!)

77: 2011/12/26(月) 00:58:50.56 ID:srbWdH7j0

上条「お前らは何がしたいんだよ!!!」

魔術師A「俺らはただ今日と明日を普通に過ごしたいだけだ」

上条「は……?」

魔術師A「イヴにしたって、クリスマス当日にしたって、お前らみたいなリア充にとっては楽しい日かもしれないよな」


魔術師A「だが俺らにとってはただひたすら辛いんだよ!!!!!」


上条「………………」

魔術師A「何でこんな思いをしなくちゃいけないんだ!? リア充がそんなに偉いのか!? 何でこの日に一人だと寂しい奴認定されなきゃいけないんだ!?
     イエス=キリストの誕生日はいつから交尾の日になった!? どいつもこいつも宗教とか全く興味ないくせに、何クリスマスとかバレンタインとか都合のいい時だけここぞとばかりに
     乗っかってんだよォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

上条「みんながみんな寂しい奴だって思ってるわけじゃねえだろ!!」

魔術師A「ああそうかもしれないな!! だがもう既にこの世界がそういう風潮に侵されちまってんだよ!!!」

上条「だからって他の人達の幸せまで奪っちまってもいいのか!? お前だって子供の頃は毎年クリスマスを楽しみにしてきたはずだ!!!
   25日の朝に、枕元にプレゼントが置いてあるのを見て喜んだはずだ!!! そういう幸せまで子供達から奪っちまうことになるんだぞ!!!」

魔術師A「分かってる……分かってんだよそんな事くらい!!! だがクリスマスだけを残して、この風潮だけを消し去る事なんてできると思うか!?」

上条「それは……ッ!!」

78: 2011/12/26(月) 01:00:27.64 ID:srbWdH7j0

魔術師A「――もういい、来いよリア充」

上条「くっ……」ギリッ

魔術師A「俺は非リアの幸せの為に戦う。それならお前はそれ以外の奴等の為に戦えばいい話だろ。所詮俺らとお前は――」


上条「――ふざけんな」


魔術師A「なに……?」

上条「お前らの言うリア充ってのが、みんながみんな最初からリア充だったと本気で思ってんのかよ?」

魔術師A「………………」

上条「その中には、頑張って頑張って自分を変えた奴だっているだろ!! 外見でも、内面でも、努力して磨いたんだろ!!!」

魔術師A「黙れ…………」

上条「その途中で悩んだかもしれない、苦しんだかもしれない、悲しんだかもしれない。大切に想っている人が振り向いてくれないかもしれないと恐れたかもしれない!!
   それでも逃げずに、自分と向き合って、まだ見ぬ幸せに向かって一生懸命走ってやっと掴んだ大切なものを、テメェらはぶち壊そうとしてんだぞ!!!」

魔術師A「黙れ…………ッ!!」ギリッ

上条「テメェらだって本当は分かってんだろ!? そうやってクリスマスに苦しむのだって、独り身が辛いと思うのだって、結局はリア充に憧れてるからだろ!?
   こういう日は大切な人と二人で過ごして、幸せな時間を共有して、思い出に残るような一日にしたいって思ってんだろ!?」

81: 2011/12/26(月) 01:03:24.80 ID:srbWdH7j0
上条「それなら他人を引っ張り落とすような真似をする必要なんかねえじゃねえか!!! 逃げずに自分と向き合って、頑張って頑張って自分を高めて!!!
   そうやってテメェらの望む『幸せ』っつーのを掴めばいいじゃねえか!!!!!」

魔術師A「黙れェェえええええええええええええええええええええ!!!!!」


ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!

キュイン!!!


魔術師A「く、そがァァ……!!」

上条「たった一つだけ答えろ」


上条「テメェはリア充になりたくねえのかよ? テメェら、ずっと待ってたんだろ? クリスマスを奪わなくて済む、リア充の敵に回らなくても済む、そんな誰もが笑って誰もが望む最っ高に最っ高な
   幸福な結末(ハッピーエンド)ってヤツを! ずっと待ちこがれてたんだろ、こんな展開を! 寂しさを紛らわす場つなぎじゃねえ! クリスマスが終わるまでの時間稼ぎじゃねえ!
   他の何者でもなく他の何物でもなく! テメェのその手で、たった一人の彼女を作ってみせるって誓ったんじゃねえのかよ!? ずっとずっとリア充になりたかったんだろ!
   絵本みてえに映画みてえに、クリスマスは恋人と過ごす、そんなリア充になりたかったんだろ!だったらそれは全然終わってねえ!! 始まってすらもねえ!!
   ちっとぐらい長いプロローグで絶望してんじゃねえよ!! 手をのばせば届くんだ! いい加減始めようぜ――――魔術師!」


魔術師A「………………」

魔術師A「…………うるせえよ」ボソッ

上条「なんだと?」

魔術師A「俺は――――」

83: 2011/12/26(月) 01:04:52.20 ID:srbWdH7j0


禁書「あー、とうま! こんな所にいた!! もう、そろそろ晩御飯なんだから帰ってきてほしいかも!」

上条「えっ、インデックス!? お前何でこんなとこに……!!」

禁書「とうまを探しに来たんだよ! ほら、帰ろ?」ギュッ

上条「ちょ、ちょっと待てって! 俺は今大事な話を……」


美琴「なっ、アンタら何してんのよ!!」


上条「今度は御坂!?」

禁書「何って?」キョトン

美琴「そ、その手よ!! それじゃまるで……その、恋人みたいじゃない!!」

禁書「えっ/// で、でもそんなの短髪には関係ないかも!!」

美琴「それなら私がこうしても関係ないわよね!?」ギュッ

上条「お、おい御坂右手は止めろって!!!」

禁書「むぅぅ……!!!」


魔術師A「そんなコピペみてえな説教聞いたって――――」プルプル

85: 2011/12/26(月) 01:05:42.91 ID:srbWdH7j0


小萌「あー!! こんなとこにいやがりましたね上条ちゃん!!」

上条「小萌先生!?」

小萌「まったく、出席状況が酷すぎて補習確定だっていうのに女の子二人連れてデートとは、随分といいご身分なのですよ!!」プンスカ

結標「あら、あなたそんなに切羽詰っているの? それなら残骸(レムナント)の時のお礼も兼ねて、少しくらいなら勉強とか見てあげても……」

美琴「それは私の役目よ!!」キッ

結標「そ、そう……」

禁書「えっ、とうまは短髪と二人でお勉強会とかするの!?」

上条「お、お前らちょっと待った!! だから俺は今大事な話を……!!」

美琴「ふん、だってアンタじゃここの勉強なんて分からないでしょ?」ニヤ

禁書「むむっ、英語なら完璧なんだよ!!!」

小萌「そういえばシスターちゃんはイギリス生まれでしたねー」

結標「なら適任じゃない」

美琴「英語くらい私だって完璧よ!!」

禁書「使える言語数なら私の方が上なんだよ!!」

87: 2011/12/26(月) 01:07:13.26 ID:srbWdH7j0

美琴「コイツがやってるのは英語くらいじゃない!!」

禁書「こもえ! 今すぐ外国語の授業を変えるんだよ! もっとアフリカの奥地とかで使ってる言語とか!!」

小萌「そんな事できるわけないですー!!」

上条「だああああああああ!!! 何の話してんだよ!!!」


魔術師A「大体、そんなのは綺麗事なんだよ。現実じゃ――――」ピクピク


姫神「む。いつも通りのハーレム状態」ヒョコ

上条「今度は姫神!?」

姫神「両手は塞がれてるみたいだから……私は背中にくっつく」ギュッ

上条「いっ!?」

禁書「ああああああ!!! 何やってんだよあいさ!!!」

姫神「ふふふ。旧ヒロインは消え行く運命」

美琴「くっ、そこ離れなさいよ!!」

姫神「あなた達は両手を取ってる」

御坂妹「じゃあ前は頂きます、とミサカは最も良いポジションを確保します」ギュッ

89: 2011/12/26(月) 01:08:19.82 ID:srbWdH7j0

上条「うおっ、御坂妹!?」

美琴「妹の分際で何やってんのよコラァァ!!!」

御坂妹「ここを先に確保しなかったお姉様のミスです、とミサカは勝ち誇ります」フッ

禁書「ちょ、さすがにそれは見過ごせないんだよクールビューティー!!!」

美琴「なっ、アンタ私は短髪って呼ぶくせに、妹はそれとかどういうつもりよ!!!」

上条「どうでもいいからお前らいい加減離れろっての!!!!!」


魔術師A「つまり、俺の言いたいことはだな――――」ビキビキ


レッサー「う、浮気ですか!? ロシアでは互いに愛を確かめ合ったのに!!!」

上条「何でレッサーがここにいるんだよ!!!」

美琴「なっ、アンタ今の言葉はどういう事よ!!!」

禁書「私もじっくり聞きたいかも!!!」

上条「俺は何も知らねえよ!!!」

小萌「あわわわわわ! ケンカはダメなのですよー!!」

結標「これはまた、すごい状態ね」

90: 2011/12/26(月) 01:09:00.18 ID:srbWdH7j0
>>88
それ書いたのも俺だったりする

92: 2011/12/26(月) 01:09:51.58 ID:srbWdH7j0

姫神「上条君が背中の感触について突っ込んでくれないと。『当ててんのよ』っていうセリフが言えない」

御坂妹「くっ、胸ばかりはお姉様のせいで……」

美琴「何か言ったかしら妹ォォ!!!」

神裂「あなたはいつも凄まじい状態でいますね」

風斬「わわっ、危ないからみなさん一旦離れましょうよ!」

雲川「ふん、私だって既に彼とは深い関係だけど」ムスッ

吹寄「上条!! 貴様こんなとこで何やってんのよ!!」


ブチッ!!


魔術師A「テメェにだけは何も言われたくねえって事だァァああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」



ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!



上条「ごっ、がああああああああああああああ!!!!!」ズサァァァ

禁書「とうま!?」

94: 2011/12/26(月) 01:11:02.44 ID:srbWdH7j0
魔術師A「テメェは敵だ!!! 俺らの絶対的な敵なんだよクソがァァ!!!!!」ギロ

上条「く、そ……大丈夫か、みんな」ゲホッ

美琴「なっ、アンタ以外誰も怪我なんてしてないわよ!! 一体どうしたのよ!?」

上条「……え?」

上条(ウソだろ……今の爆発の規模だと、どう考えても周りの人達だってただで済むわけは……)

魔術師A「俺の術式は、俺がリア充だと認識した相手にしか危害を与えない。安心しろよ、お前の大切な女の子達は傷つけたりしねえよ」


魔術師A「――だがお前は氏ね!!!」


ドガァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!


上条「ぐっ――!!」キュイン!!

上条(どうやらあの魔術師やこの爆発も、インデックス達には認識できてねえみてえだな……。ならとにかく核の破壊が先だ!! けど、あのツリーの上の星まで相当な高さがある……!!)


ドガァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!


魔術師A「忌々しい右手だなぁオイ!!!」

上条(よじ登るか? いや、それだとその隙に狙われる!! やっぱ俺だけじゃ……)

97: 2011/12/26(月) 01:12:33.51 ID:srbWdH7j0

上条「――そうだ!! 結標!!」

結標「え?」

上条「お前の座標移動(ムーブポイント)で俺を…………あっ!!」

上条(ダメだ!! そういや俺はこの右手のせいでテレポートできねえ!!!)

魔術師A「氏ねリア充!!!!!」


ドガァァァァァァァァァァァァ!!!!!


キュイン!!


上条「はぁはぁ……!!」

上条(くっそ……こんなのいつまでも防げるわけねえぞ……!!)

結標「さっきから何やってるのかしら? ていうか何か言いかけなかった?」

上条「いや、それはもういい…………待てよ」ハッ

上条(そういえば結標の能力は白井のと違って、手で触れる必要のないテレポートだ。それなら――!!)

上条「結標!! お前の能力でツリーの星をここまでテレポートさせてくれ!!!」

99: 2011/12/26(月) 01:14:37.49 ID:srbWdH7j0
結標「……何の事を言ってるの?」

上条「ッ!!」

魔術師A「ははははははははははははははは!!!!!」

魔術師A「確かにあの星はクリスマスを否定しているけどな、否定するってことはその存在を認めているわけになるんだ」


魔術師A「つまり、お前以外にツリーや星は認識できねえんだよ!!!」ニヤ


ドガァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!



上条「あ……がっ…………ッ!!!」ドサァァァ

魔術師A「終わりだリア充」ギロ

上条「――――まだ諦めねえよ」ググッ


上条「テメェらみてえに諦めたりしねえよ!!!」


魔術師A「こ、の……いい加減くたばれ!!!」ビキッ


ドガァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!

100: 2011/12/26(月) 01:15:38.72 ID:srbWdH7j0


上条「ちっ……!!」キュイン!!

上条(何かねえか……!! 何か逆転できるものは……!!!)ゴソゴソ


カチャ……


上条「…………ん? ポケットの中に……」

魔術師A「もうテメェはとっくに詰んでるんだよ!!!」

上条「……それはどうだかな」

魔術師A「なに?」

上条「俺は、僅かな可能性にもかけるぞ」


上条「――――御坂!!!!!」


美琴「な、何よ!! アンタ一体どうなって……」

上条「これを見てくれ、御坂」スッ

美琴「そ、それって私のペアリング…………///」

101: 2011/12/26(月) 01:16:28.01 ID:srbWdH7j0

魔術師A「ぶっ、はははははははははは!!! 何をするかと思いきや、そんなもんで目を覚まさせようとでも思ってんのか?」

上条「これはただのペアリングじゃねえ。御坂が勇気を出して、誰か大切な人に渡したかったクリスマスプレゼントだ」

魔術師A「………………」

上条「みんながみんな、クリスマスって言われてツリーの上の星を想像すると思うか? 個人個人からすれば、そんなモンよりもこういう想いの詰まったモンの方がずっと強いに決まってる!!」

魔術師A「ふん、そんな思い付きで上手くいくわけねえだろ、くだらねえ」

美琴「…………つけて」

上条「……へ?」

美琴「これ、つけて」

上条「御坂……」

魔術師A「ははは、残念。どうやらお前の思惑は外れたようだな。お前一人じゃ、あの星には届かない。お前の負けだ」

上条「――どの指にはめればいい?」

魔術師A「あ?」

美琴「えっと、左手の薬指……///」

上条「分かった」スッ

魔術師A「…………オーケー、オーケー」

102: 2011/12/26(月) 01:17:39.85 ID:srbWdH7j0

魔術師A「テメェはどうあっても俺をブチギレさせたいようだなァァあああああああああああああああああああああああ!!!!!」


ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!


上条「くっ!!」キュイン!!

美琴「もう一つの方、ちょうだい!!」

上条「分かった」スッ

魔術師A「もう氏ねよクソがァァああああああああああああああ!!!!!!」


ドガァァァァァァァァァァァァァ!!!!!


上条(くそ、避けられねえ――!!)


グイッ!!


上条「ッ!!!」

美琴「磁力で引っ張ったのよ。大丈夫?」

上条「…………え?」

103: 2011/12/26(月) 01:18:41.42 ID:srbWdH7j0


美琴「それで、私はアンタをあの星まで飛ばせばいいのかしら?」ニッ


上条「御坂!!!!!」

魔術師A「ば、かな…………!!!」

美琴「さっさと行くわよ!! また磁力使うから、下手にその右手振り回さないこと!!」

上条「分かった、頼む!!!」

魔術師A「くっ、させるかああああああああああああああああ!!!!!」


キィィィィィィィィン!!!!!


上条「ぐぅ……!!!」ズキィィ!!!

上条(また術式の威力を上げたのか……ッ!!!)

上条「御坂、大丈夫か!?」


美琴「――うん、大丈夫。私の想いは、何にだって消せやしない!!」

105: 2011/12/26(月) 01:19:26.34 ID:srbWdH7j0


魔術師A「…………あ……………あ…………!!!」ガクガク

美琴「そんじゃ――飛んでけええええええええええええええええええ!!!!!」ビリビリ!!


ビュン!!!


上条(すげえ……一気に星が目の前だ。これなら――届く!!!!!)

上条「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」ゴォ!!!

魔術師A「や、やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」



パキィィィィィィィィィン!!!!!



107: 2011/12/26(月) 01:22:25.03 ID:srbWdH7j0


とある病院


カエル「せっかくのクリスマスイヴの夜だっていうのに、君は相変わらずのようだね?」ハァ

上条「……返す言葉も無いです」

カエル「じゃ、とりあえず年越しはここだね」

上条「………………」ガクッ

カエル「まぁ、それでも早いほうだと思うよ? その怪我じゃ」

上条「は、はい……ありがとうございます…………」

カエル「どういたしまして。それじゃ、僕は戻るとするよ。僕も僕なりのクリスマスを楽しみたいしね?」


バタン


上条「……不幸だ」


プルルルルルルルルルルル……


上条「ん、電話……? もしもし?」

109: 2011/12/26(月) 01:23:49.09 ID:srbWdH7j0
神裂『突然すみません、神裂です』

上条「おお、どうした?」

神裂『今回の事件について今後の移行を』

上条「あー、犯人は全員捕まったんだっけ?」

神裂『はい。あの術式さえなければそう難しくはありませんでしたよ』

上条「……で、どうなるんだアイツら?」

神裂『決して軽い罪ではありませんよ。理由はともかく、イエス=キリストに関わることですから』

上条「そうだよな……」

神裂『――――ですが』

上条「ん?」

神裂『何でもウチの最大主教(アークビショップ)がえらく気に入りましてね。「実にユニークな術式なりけるのよ!!」とか何とか』

上条「え…………」

神裂『もしかすると、仲間に引き入れる、という展開にもなりかねない状況です』

上条「……はは、まぁでもそれほど酷い事にならなくて良かったよ」ホッ

神裂『……そうですね。私も今回は色々と考えさせられましたよ。皆が祝うような日の裏では、同時に苦しんでいる者もいるのですね……』

110: 2011/12/26(月) 01:24:38.71 ID:srbWdH7j0

上条「あぁ……そうだな」

神裂『――では、私はまだ事後処理が残っていますので、この辺りで失礼します。どうぞお大事に』

上条「おう、わざわざありがとうな」


ピッ


上条「……まっ、とりあえず後は向こうに任せるか」


ガラッ!!


禁書「とうま、大丈夫!?」

上条「インデックス? それに御坂も……」

美琴「う、うん……///」モジモジ

上条「ん?」

禁書「とうま、ごめんね。私、全然役に立たなくて……」

上条「……はは、別にお前が気にすることじゃねえっての。なっ?」ナデナデ

禁書「とうま……」

111: 2011/12/26(月) 01:25:44.64 ID:srbWdH7j0


美琴「ちょ、ちょっと、私が見てる前でそういうのはどうなのかしら……?」ムスッ

上条「へ?」

禁書「え?」

美琴「だ、だってその指輪!」ビシッ

上条「ん、あぁこれか……」

禁書「なっ、何なのかなそれは!? しかも左手の薬指!?」


姫神「どういう事なのか。詳しく説明してほしい」ヒョコ

御坂妹「お姉様が同じ物をつけている事も詳しく、とミサカは詰め寄ります」ズイッ


上条「なっ、お前らどっから出てきた!?」

禁書「それよりとうま!! どういう事なのかな!?」

美琴「ど、どういう事って……それを付けてくれてるって事はつまりそういう事でしょ///」ゴニョゴニョ

上条「あぁ、そうだそうだ! すっかり忘れてたわ」


上条「ほら、これは返しとくな」スッ

112: 2011/12/26(月) 01:28:50.95 ID:srbWdH7j0


美琴「…………は?」ポカン

他三人「「???」」

上条「ったくよー、お前ぶっちゃけこれ見せた時にはもう目覚めてただろ?」

美琴「ッ!!」ドキッ

上条「まぁでも気を強く保つには、確かに相手にこの指輪を付けてもらうのを“想像”した方がいいかもな」

美琴「…………え?」

上条「そこら辺はやっぱ自分だけの現実(パーソナルリアリティ)の強さがでるよなー。でもさすがの俺も“相手役”ってのはさすがに恥ずかったぞ? あの状況じゃ仕方ねえけどさ」アハハ

美琴「………………」

上条「――でさでさ、実際の所それ誰にやるんだ? お前がそこまで想う奴ってのにもかなり興味あるんだけどな」ニヤニヤ

美琴「………………」ビキッ

上条「そうだ、何か手伝えることがあったら何でも言ってくれよ! お前には今回の件以外でも、助けられっぱなしなんだからさ!!」ニカッ

美琴「………………」ビキビキッ!!!


114: 2011/12/26(月) 01:30:32.65 ID:srbWdH7j0


禁書「あ、あいさ、これからミサあるんだけど、一緒に行かない?」アセアセ

姫神「うん。すぐ行こう」

御坂妹「では、ミサカも体の検査がありますので、と戦略的撤退を表明します」ダダッ!!


……バタン


上条「ん、何だアイツら急に…………」

美琴「ふふ……ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」バチバチ

上条「……み、御坂さん? な、何かお体から青白い電気がバチバチって…………」

美琴「こ、の………………」プルプル



美琴「クソバカァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」ビリビリ!!!

上条「不幸だああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」



ビリビリィィィィィィ!!! ズガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!

116: 2011/12/26(月) 01:31:46.20 ID:srbWdH7j0
めでたしめでたし

118: 2011/12/26(月) 01:32:10.82 ID:i19OZROh0
イイシメカタ

119: 2011/12/26(月) 01:35:52.92 ID:Nht9wftI0


さすが上条さん

120: 2011/12/26(月) 01:36:25.10 ID:srbWdH7j0
ホントはイヴの夜に投下したかったけど、間に合わなかった

ちなみに>>1は上琴好きってわけじゃないです
どっちかってーと上イン派?

127: 2011/12/26(月) 01:59:38.14 ID:srbWdH7j0

美琴「な、ななな…………!!」

上条「にしてもこれってチタンか? なんか模様みてえのも描かれてるし……」

美琴「そ、それ私のなの!!!」

上条「……え? マジで?」

美琴「///」コクン

上条「……あちゃー」

上条(こりゃ海原から受け取らないほうが良かったな……)

美琴「な、何よその反応は!! 私がそういうの買うのがおかしいっていうの!?」ムカッ

上条「い、いやいやちげーよ!! ったく、ほら」スッ

美琴「……え?」

上条「お前これを取り戻したかったんだろ? ちゃんと渡すつもりだった相手に渡してやれよ」ニカッ

美琴「……あ、えっと…………」

引用: 上条「クリスマスがなくなった!?」