1:HAM ◆HAM/FeZ/c2 2012/01/14(土) 23:38:49 ID:KftohT1A
コンコン

ガチャリ

男「やあ、おはよう」

少女「…」

男「気分はどうかな」

少女「…普通」

男「そうか、何よりだ」

少女「そう」

少女「あなた、誰??」

男「私は…」

少女「…先生、ね」

男「…」

少女「名札があるもの」

男「ははは、そうか」

2: 2012/01/14(土) 23:44:23 ID:KftohT1A
少女「ここはどこ??」

男「病院だよ」

少女「私はどうしてここにいるの??」

男「ん…」

少女「病気??」

男「うん、ある意味では、そうかな」

男「君は、昨日の記憶はあるかい??」

少女「…」

少女「わからないわ」

男「そう、昨日の記憶を取り戻すために、君はここにいるんだ」

3: 2012/01/14(土) 23:50:46 ID:KftohT1A
少女「治るの??」

男「治すさ」

少女「…そう」

男「少しずつでいい、ゆっくり治していこう」

少女「…」

少女「記憶喪失ということ??」

男「そうだね」

少女「でも私は、自分の名前はわかるわ」

男「うん」

男「ある時から、君の記憶は蓄積されなくなってしまっているんだよ」

少女「ちくせきって??」

男「つまり記憶が溜まらない、毎日忘れていく、ということさ」

4: 2012/01/14(土) 23:57:57 ID:KftohT1A
少女「毎日リセットされているということ??」

男「そのようだね」

少女「…」

少女「私がこの病院に入ってから、何日経っているの??」

男「3ヶ月ほどだ」

少女「3ヶ月…」

男「病院に入る前の記憶はあるかな」

少女「白い家に住んでいたわ」

男「うんうん」

少女「犬を飼っていたわ」

男「うんうん」

6: 2012/01/15(日) 00:02:24 ID:/YgAECtM
男「他には??」

少女「近くに湖があって」

男「うん」

少女「よくボートに乗って遊んだわ」

男「うん」

少女「これ、毎日私は同じことを話しているの??」

男「ん、いや、少しずつ内容は変わってきているよ」

少女「でも、3ヶ月経っても先生の顔を覚えていないわ」

男「そうか」

少女「ごめんなさいね」

7: 2012/01/15(日) 00:07:33 ID:/YgAECtM
男「気分はどう??」

少女「普通よ」

男「食事は摂れるかな」

少女「…ええ」

男「じゃあ、持ってこさせよう」

少女「…」

少女「3ヶ月経っても、昨日の記憶がない、かあ」

男「焦る必要はない」

少女「先生は毎日大変じゃないの」

少女「同じ事の繰り返しで」

男「同じじゃないさ」

9: 2012/01/15(日) 00:11:10 ID:/YgAECtM
少女「日記でもつけた方がいいのかしら」

男「日記なら、そこにある」

男「読んでみるといい」

少女「…」

ガチャリ

男「食事を摂りながら、読んでみたらどうかな」

少女「ええ」

男「じゃあ、1時間したらまた来よう」

少女「…」コクン

バタン

10: 2012/01/15(日) 00:16:14 ID:/YgAECtM
助手「どうですか、彼女は」

男「うん、昨日と変わらないようだ」

助手「そうですか…」

助手「食事を運んできますね」

男「ああ、頼む」



男「ふぅ」

助手「せ、先生…」

男「ん、どうした」

助手「彼女が、彼女が、私のことを、少し覚えているようです…」

男「なにっ!!」

11: 2012/01/15(日) 00:22:38 ID:/YgAECtM
バタバタバタ

ガチャリ

少女「っ」

男「君、さっき来た人を」

少女「先生、ドアはもう少し静かに開けるものじゃないかしら」

男「あ、ああ、すまない」

少女「さっきの人??あの人がどうかしたの??」

男「あの人を覚えているかい」

少女「ええ、この病院の人でしょう」

男「そうか…そうか!!」

少女「??」

12: 2012/01/15(日) 00:26:13 ID:/YgAECtM
男「彼女は私の助手なんだが、君が記憶を蓄積できなくなってから出会っているんだ」

少女「??」

男「つまり、わずかだが、記憶が蓄積されたらしい」

少女「それって、よいことなの??」

男「ああ、勿論だ」

少女「治る??」

男「治すさ」

少女「ふふふ」

少女「でも相変わらず、先生のことは思い出せないわ」

男「ううむ」

13: 2012/01/15(日) 00:30:05 ID:/YgAECtM
男「まあ、焦らず行こう」

少女「ええ」

男「なんにせよ、いい兆候だ」

男「さて、食事の邪魔をしてしまったな。ゆっくり食べるといい」

少女「はあい」

男「ではまたあとで」

少女「…」

バタン

男「ふふふ…前進だ、これは大いなる前進だ」

男「…前進、なんだ…」

14: 2012/01/15(日) 00:34:53 ID:/YgAECtM
少女「ふう」カチャリ

少女「ごちそうさま」

少女「…」

少女「あ、日記を見るのを忘れていたわ」

ゴソゴソ

少女「これかしらね」

少女「…」

少女「私の字…のようねえ」

少女「あまりうまくないわね」ペラペラ

16: 2012/01/15(日) 14:31:10 ID:/YgAECtM
 6月16日
 明日の私へ
 日記をつけることにした。
 ここは病室みたい。私は記おくがちくせき(?)されないんだって。
 昨日のことが思い出せないみたい。
 先生は私に親切にしてくれるけれど、思い出せない。
 この部屋はヒマよ。でも、おねがいすると先生は色々と用意してくれるわ。

 6月17日
 明日の私へ
 食べたものをメモしておくことにしようかしら。
 今日の朝はクロワッサンとコーンスープと紅茶。
 お昼はカレーライスとミルク。
 夜はまだよ。
 運動しないと太っちゃう。
 ランニングしたいと言ったら、先生にダメって言われた。
 外に出たいのに。

 P.S. 夜はぶた肉のいためものとおみそしるだったわ。

17: 2012/01/15(日) 14:44:11 ID:/YgAECtM
少女「これ、3ヶ月前からずっと書いているのかしら」

少女「全部読むのは時間がかかりそうね…」ペラペラ

 6月18日
 明日の私へ
 日記に食べたもののことが書いてあるわって言ったら、先生にやめてくれって言われた。
 毎日メニューを考えるのは大変みたい。
 今日のメニューは昨日とちがったけど、もう書かない方がいいみたいね。
 でも日記に書いたせいでもうカレーが食べられないのはいやだなあ。

 6月19日
 明日の私へ
 毎日この日記をちゃんと見るように、表紙にメモでもはろうかしら。
 「必ず見ること!!」とかどうかしら。
 「よう注意!!」の方がいいかしら??
 もちろん赤のマジックでね。
 明日は先生をこまらせないように、自主的(?)に日記を読むこと!!

 6月20日
 昨日の私へ
 「よう注意!!」は、しっぱいのようね。
 こわくて、先生に言われるまで手に取りたくなかったもの。

 明日の私へ
 日記は毎日まくら元においておくこと!!

18: 2012/01/15(日) 14:48:28 ID:/YgAECtM
少女「楽しそうね、私」

ガチャリ

男「食事はすんだかい??」

少女「先生」

男「お、日記を読んでいるね」

少女「ええ」

男「君の字だ。覚えはあるかな」

少女「ええ、字はなんとなく」

少女「でも内容は、私には書いた覚えがないの」

男「そうか」

少女「いつか思い出せるかしら??」

男「きっと、ね」

20: 2012/01/15(日) 14:51:27 ID:/YgAECtM
少女「私はいつも、どんな毎日を過ごしているの??」

男「ん…」

少女「壁にスケジュールでも貼っておくといいのに」

男「一度それをしたらね、次の日君が破いてしまったんだ」

少女「どうして??」

男「毎日同じことをしたくない!!って叫んでね」

少女「そう」

男「今日の私は今日だけのものなのよ!!って」

少女「へえ」

21: 2012/01/15(日) 14:56:05 ID:/YgAECtM
男「さて、すまないが日記は少し中断して、検査しなければならないことがあるんだ」

少女「ええ」

男「今からする質問に答えてくれ」

男「わからないことに対してはわからないと言ってくれていいからね」

少女「はあい」

男「じゃあまず、君の最も古い記憶はなにかな」

少女「ええと…パパと公園で遊んでいるところよ」

男「何歳くらい??」

少女「3つか4つだったかしら」

男「ふむ」

男「じゃあ次に、君がパパに叱られた記憶について…」

22: 2012/01/15(日) 14:59:55 ID:/YgAECtM


男「この絵は何に見える??」

少女「…牛さん」

男「じゃあ、これは??」

少女「アイスクリームかしら」

男「じゃあ、これ」

少女「??」

少女「さっきも似たような絵がなかったかしら」

男「どうかな」

少女「飛行機??」

男「ふうむ」

23: 2012/01/15(日) 15:03:21 ID:/YgAECtM


男「白、空、丸い」

少女「…月」

男「赤、山脈、巨大」

少女「ううん…マグマ」

男「弱い、青、海」

少女「…クラゲかなあ」

男「灰色、ジャングル、夜」

少女「んーと、ハイエナ」

男「黒、庭、小さい」

少女「…蟻」

男「赤、家、暗い」

少女「…わからない」

25: 2012/01/15(日) 22:35:32 ID:/YgAECtM


男「よし、今日の分はこれで終了だ。お疲れ様」

少女「これで何がわかるの??」

男「君の症状についてのデータになる」

少女「昨日も同じことをしたのかしら」

男「ああ、そうだね」

少女「まったく同じデータ??」

男「すまないが、それは言えないんだ」

少女「ふうん」

男「じゃあ、日記の続きでも読んだらどうかな」

男「君の日々の記録が記されているから」

少女「ええ、面白いわ」

26: 2012/01/15(日) 22:39:22 ID:/YgAECtM
男「まあ、ゆっくり読むといい」

少女「ええ」

男「なにかあれば、そこの壁にコールボタンがあるからね」

少女「はあい」

バタン

少女「さ、続き続き」ペラペラ

 6月21日
 明日の私へ
この日記は漢字が少ないわ。
もう少し漢字を書けるようになったほうがいいわね。
漢字じてんを用意してもらおうかしら。
それにしても、この日記を先生は読みたがっているみたいね。
でもはずかしいから、ダメって言ってるけど。
ねてる間に読んだりしてないかしら。だいじょうぶかしら。

27: 2012/01/15(日) 22:43:58 ID:/YgAECtM
 6月22日
 昨日の私へ
 漢字辞典、ありがとう。
 先生にいらない紙をいっぱいもらって、漢字の練習をしてみたわ。
 でも、辞典で覚えた漢字を明日の私は覚えているのかな??

 明日の私へ
 今日覚えた漢字を使ってみたんだけど、読める??
 読めたら少し、記憶が蓄積されたってことにならないかしら。わくわく。
 胡椒 胡桃 胡瓜 (←全部違うものよ!!)

少女「…読めない」

少女「き、き、お、くが…イチゴ??せき??」

少女「全部…全部…あう??」

少女「…もう」

ピンポーン

28: 2012/01/15(日) 23:02:02 ID:/YgAECtM
男「早速どうしたんだい??」

少女「読めない」

男「じゃあ辞典を使ったらいい」

少女「どうやって使うの??」

男「ここに画数索引があるから…」

少女「ふむふむ」

男「振り仮名を振っておいたら??」

少女「いいの、明日の私も困ったらいいんだわ」

男「はは、そうか」

30: 2012/01/15(日) 23:07:02 ID:/YgAECtM
6月23日
 昨日の私へ
 全然読めなかったわ。おかげで私はきっと毎日漢字辞典と格闘することになりそうね。
 ここから先はフリガナを振ることにしない??じゃないと読めないもんね。

少女「あら、この日の私は優しいのねえ」

 明日の私へ
 お昼に飲んだ薬が苦くってテンションが低いわ。
 こんなの、毎日飲んでるのかしら。すごいのね、私って。
 気持ち悪い…
 でも先生は、よくなるためだから我慢しなさいって…

少女「げ、薬飲むの」

少女「やだなあ、やだなあ」

 6月24日
 昨日の私へ
 そのお薬、本当によくなるためのものなのかしら。
 私ここまで読んで考えたんだけれど、本当に私は記憶喪失なのかしら。
 この病院、少しアヤシイ気がするんだけど…気のせいかしら。
 もしかしたらそのお薬が、記憶喪失の原因で、私は拉致されてるんじゃないかしら。
 どう、いい推理じゃない??

 明日の私へ
 今日のお薬は、内緒で飲んだふりをしてみようかな。
 なーんて思ったけど、ちょっと怖いわ。やめとく。
 明日の私は、この続きを考えてみて、お願い。

31: 2012/01/15(日) 23:13:13 ID:/YgAECtM
 6月25日
 昨日の私へ
 あの眼鏡の先生は、じゃあ、悪者なの??
 優しそうな人だったけれど…
 もしかしたら、毎日違う人がやってきていて、私を混乱させようとしていたりして。

 明日の私へ
 一応先生の特徴を書いておくわね。
 眼鏡をかけていて、少しひげがあるわ。髪は黒くて、少し長い方ね、多分。
 年は30才くらいかしら。大人の人の年ってわかりにくいわねえ。
 
 P.S. 今日もお薬はちゃんと飲んだわ。飲まないっていうのも、少し怖いの。

少女「先生の特徴かあ」

少女「…合ってるから、ちゃんと同じ人みたいねえ」

少女「…なんだか推理小説を読んでいるみたい」

32: 2012/01/15(日) 23:17:54 ID:/YgAECtM
 6月26日
 昨日の私へ
 先生は先生よ。間違いなさそうね。
 やっぱりそんな陰謀(?)はないみたいよ。

 明日の私へ
 今日は少しだけお庭に出たわ。ほんのちょっとの時間だったけれど…
 今までの私はお散歩はさせてもらったのかしら。
 もしそうじゃなかったら、私だけ、ごめんなさい。

 6月27日
 昨日の私へ
 ずるい!!私は先生に頼んでみたけれど、
 「昨日出たから、今日はダメ」って言われたわ。昨日の私と今日の私は違うのに!!
 ずるい!!もう!!

 明日の私へ
 あんまり腹が立ったから、今日はお薬を内緒で飲んだふりをしてみたわ。
 今のところ何にも変化はないけど。
 ああ、もう!!私も外に行きたい!!バカ!!

少女「あらあら、荒れてるわねえ」

少女「でも、いいなあ、外に出れるのかあ」

少女「お昼頃になったら、先生に頼んでみようかなあ」

33: 2012/01/15(日) 23:24:06 ID:/YgAECtM
 6月28日
 昨日の私へ
 いやな気持ちになるのはわかるけど、薬はちゃんと飲まないとダメよ。
 今日の私はすごく気分が悪いの。
 やっぱりお薬は私に必要なものみたいね。

 明日の私へ
 今日はちゃんとお薬を飲んだけれど、明日の私もちゃんと飲んでね。
 じゃないと次の日、大変なことになるから。
 おどしじゃあないわよ。
 くらくらしてるの。じしょを引く元気もないもの。かんじもしんどいくらいよ。
 今日は早めにねることにするわ。

少女「あら、陰謀説は早くもなくなったみたいね」

少女「薬かあ…やだなあ」

34: 2012/01/15(日) 23:29:48 ID:/YgAECtM
 6月29日
 昨日の私へ
 あなたがしっかりと薬を飲んでくれたおかげで気分が良いわ。
 もうこれからの私は、薬を飲まないでいる、なんて馬鹿なことはしないでね。
 あなただけ辛い思いをしていると思うと、私が今日を楽しむのは悪い気がしちゃうわ。

 明日の私へ
 私、思ったんだけど、ここにはほとんど娯楽(?)がないの。
 だから、食べたいものを先生にリクエストするべきね。
 だって私が食べられる食事は、3回しかないの。たった3回よ!?
 たとえ先生が「昨日も食べたじゃないか」なんて言っても、関係ない!!
 だから私は、今日はカレーライスをリクエストしたわ。とってもおいしかった!!

少女「カレーかあ」

少女「確かに私、カレー好きだものね」

少女「昨日食べたって記憶がなければ、毎日でも美味しいでしょうね」

少女「私のお昼は…なんだろう」

少女「リクエストしてみようかしら」

37: 2012/01/15(日) 23:37:42 ID:/YgAECtM
 6月30日
 昨日の私へ
 あなたの言った通り、先生は「昨日も食べたじゃないか」って呆れていたわ。
 でも私が食べたいんだもの。いいわよね。
 カレーライスはおいしかった。すごくおいしかったわ。
 やっぱり食べたいものを食べるのが一番よね。

 明日の私へ
 新しい月ね。
 7月と言うともう暑いようだけど、ここはエアコンが効いているからわからないわ。
 夏らしいこととか、してみたらいいんじゃないかしら。
 ちなみに私は「6月らしいこと」をしたわ。
 なんだと思う??
 わからなかったら先生に聞いてみて。

少女「6月らしいこと、かあ」

少女「なんだろう」

少女「結婚式ごっことか??」

38: 2012/01/15(日) 23:43:07 ID:/YgAECtM
 7月1日
 昨日の私へ
 ジューンブライドっていうから、結婚式の真似事でもしたのかしら。
 そう思って、先生に聞いてみたら、なんてことない。
 テルテル坊主を作ったのね。
 「もう梅雨は明けたよ」って先生がおっしゃったのに、意地になって作ったそうね。
 お馬鹿さん!!

 P.S. 別に馬鹿にしてるんじゃないのよ。面白かっただけ。

 明日の私へ
 ねえ、私ふと思ったのだけど、私の「最後の記憶」って、なんなのかしら。
 記憶が蓄積されなくなった直前には、一体なにがあったのかしら。
 先生は教えてくれないの。
 「君が思い出すことが重要なんだ」なんて言われたけれど。
 少し怖い。

少女「最後の記憶…」

少女「パパやママは…どうしているのかしら」

40: 2012/01/15(日) 23:49:44 ID:/YgAECtM
ガチャリ

男「また、コールボタンを押したね」

少女「…」

男「どうしたの??」

少女「私のパパとママは、どうしているの??」

男「…」

男「パパとママがどういう人たちだったかは、覚えている??」

少女「…ええ」

男「どんな人たちだった??」

少女「ママは…とても優しい人」

41: 2012/01/15(日) 23:53:55 ID:/YgAECtM
少女「料理が上手で、美人で、だけど少し太ってきたことを気にしていて…」

男「うん」

少女「そう、お花を飾るのがとても好きだったわ」

男「うん」

少女「パパは…」

少女「パパは少し、厳しい人だった」

男「…」

少女「だけど私が学校で頑張ったら、いつもいっぱいほめてくれた」

男「…」

少女「厳しいけど、優しい人だった」


42: 2012/01/16(月) 00:10:24 ID:uiULMk7A
少女「珍しい外国のコインを集めるのが好きで、よく見せてもらったわ」

男「そうか」

少女「でも…ぼんやりとしか、思い出せないの」

男「いや、それだけ思い出せたら、十分さ」

少女「いやよ」

男「どうして」

少女「大事なのに、好きなのに、どうしてはっきり思い出せないの??」

男「それは…」

少女「どうして会いに来てくれないの??」

男「…それは…」

46: 2012/01/16(月) 19:52:04 ID:uiULMk7A
正直VIPだとすぐ落ちるんです
知ってくれてる人がいると嬉しいけど、調子乗らんよう気をつけますww

47: 2012/01/16(月) 19:55:49 ID:uiULMk7A
少女「この日記に、パパの話もママの話も全然出てこないの」

男「…」

少女「それは、どうして??」

少女「昨日までの私は、思い出すことさえできなかったの??」

少女「もう…いないの??」

男「今の君に、会うことがとても難しいからだよ」

少女「??」

男「正直に話そう」

男「今の君の症状は、とても珍しいんだ」

少女「…ええ」

48: 2012/01/16(月) 20:00:54 ID:uiULMk7A
男「この施設には、部外者が入れない」

男「それほど重要な研究施設なんだ」

少女「研究…」

男「君は患者であると同時に、大事な研究対象なんだ」

少女「…そんな…」

男「いや、すまない、言い方がうまく選べない」

男「少し、落ち着いて話そう」

ピピッ

男「すまないが、コーヒーを持ってきてくれ」

ピピッ

49: 2012/01/16(月) 20:07:23 ID:uiULMk7A
少女「…」ズズ

男「これまでの君には、色々な考え方を聞かされた」

少女「…」ズズ

男「私は悪の組織のトップで、君が『私にとって不都合な記憶』を取り戻すことを心配している」

少女「…」

男「君はクローンであり、私が作り出したものだ」

少女「…」

男「私は少女趣味があり、君を閉じ込めて、夜な夜な好き勝手に君を弄んでいる」

少女「…っ!!」

男「全部、嘘さ」

男「そんなことはあり得ない」

50: 2012/01/16(月) 20:12:33 ID:uiULMk7A
少女「でも研究対象って」

男「ああ、そうだ、言い方が悪かった」

少女「…」

男「君を救いたい」

男「それは医者としての私の本心だ」

少女「そう」

男「だが、君を研究することで、君の症状を研究することで、救われる人たちがいるんだ」

少女「他にも、同じ症状の人がいるの??」

男「そうじゃない、必ずしもそうじゃないんだが…」

51: 2012/01/16(月) 20:19:21 ID:uiULMk7A
男「君の脳に、『一日分だけ記憶を消去するプログラム』があるとしよう」

少女「プログラム??」

男「ああ、例えだけどね、実際になにかが入っているわけではないんだが」

少女「??」

男「まあいい」

男「そのプログラムを解析できたとしたら、世界中の様々な病気の治療に生かすことができる、ということさ」

少女「たとえば??」

男「たとえば…そうだな」

男「脳の一部に、ある負荷がかかっている人がいるとしよう」

男「ずっと、一日中、頭痛に悩まされている人だ」

少女「ええ、実際にいるわね」

52: 2012/01/16(月) 20:24:14 ID:uiULMk7A
男「その脳に同じプログラムを書くことができれば、『痛み』を忘れることができるかもしれない」

少女「…ふうん」

男「その負荷を忘れることができるかもしれない」

少女「…ふうん??」

男「研究とは、そういうことさ」

男「病気の解析は、他の病気の治療にもつながるのさ」

少女「…あんまりわからないわ」

男「はは、少し難しかったかな」

54: 2012/01/16(月) 20:29:07 ID:uiULMk7A
男「たとえばこういう話は知っているかい??」

男「蚊に刺されたとき、君は痛みを感じる??」

少女「…」

少女「いいえ、かゆいけど、痛くはないわ」

男「じゃあ注射を刺されたら??」

少女「痛い」

男「だろうね」

男「私も注射は嫌いだ」

少女「あはは、変なの、先生が注射嫌いだなんて」

男「でも、蚊の針を応用して、痛みのほとんどない注射を作った人もいるんだ」

少女「本当!?」

55: 2012/01/16(月) 20:36:04 ID:uiULMk7A
男「まあ病気とは言えないが、蚊に刺されるということを解析、応用すれば医療に役立つんだ」

少女「すごいのね」

男「それに近いことを、私はしようとしている…のかな」

少女「そう」

男「そして、どのようなアプローチで君の症状が和らぐか、それがとても大事なんだ」

男「そしてこの研究に、部外者のアプローチは極力ほしくない」

少女「…」

男「わかってもらえたかな」

少女「でも、やっぱり、会いたい」

男「…そうだね、そうだろうね」

56: 2012/01/16(月) 20:41:57 ID:uiULMk7A
男「君の病気を治すことができれば…」

少女「できれば??」

男「つまり、君が昨日の記憶を取り戻すことができれば、それは叶うかもしれない」

少女「本当!?」

男「今の君はまだ興奮状態なんだ」

少女「落ち着いてるわ」

男「そうじゃない、君の病気が、だ」

少女「…」

男「それを、その日を楽しみに待っていてほしい」

少女「…」

男「なんて、残酷な言葉かもしれないがね」

少女「…」

57: 2012/01/16(月) 20:57:20 ID:uiULMk7A
少女「…待つ」

男「うん??」

少女「いつかの『私』は、きっと、パパとママに会えるのね」

男「…ああ、約束する」

少女「なら、私は待つわ」

男「…強いな」

少女「パパもママも、すぐに忘れる私よりも、病気が治った私の方がいいわよね」

男「…うん」

少女「私、頑張れって、日記に書く」

男「…そうかい」

少女「先生も、頑張ってね」

男「ああ、もちろんだ」

58: 2012/01/16(月) 21:08:28 ID:uiULMk7A
男「すまない、少し長く話しすぎたかな」

男「疲れはない??」

少女「大丈夫よ。それより…」

男「??」

少女「お腹がすいたわ」

男「ああ、そうか」

男「何が食べたい??」

少女「カレーライス!!」

60: 2012/01/16(月) 21:14:45 ID:uiULMk7A
男「またか」

少女「えへへ、もしかして私、毎日カレーを食べてる??」

男「それは、言えない約束なんだ」

少女「??」

男「楽しみがなくなるからって、日記に書いていないメニューについては君に教えられないんだ」

少女「私が約束したの??」

男「そう」

少女「なら、聞かない」

男「はは、わかった」

61: 2012/01/16(月) 21:24:23 ID:uiULMk7A
少女「ねえ、この日記には、今日までのことが毎日書かれているのよね」

男「ああ」

少女「いつも、何時間くらいで読み終わるかしら??」

男「そうだね…いつも読み終わるのは14時くらいかな」

少女「じゃあ、そのあとは私の自由時間ね??」

男「別に無理せず、全部読まなくたって…」

少女「そうはいかないの」

少女「7月の私も、8月の私も、全部私なの」

少女「私が読まなきゃ、ダメじゃない??」

男「…そうかい」

62: 2012/01/16(月) 21:32:13 ID:uiULMk7A
男「まあ、無理しないように」

男「昼食を持ってこよう、少し待っていてくれるかな」

少女「はあい」

ガチャリ

男「…」

助手「どうでしたか」

男「やはり…真実を言えない、というのは辛いものだな」

助手「ここのところ毎日ですからね」

男「快方に向かっているのか、そうではないのか…」

助手「辛い役回りですね」

男「仕方がない、私が選んだことだ」

63: 2012/01/16(月) 21:38:16 ID:uiULMk7A
少女「さ、続きでも読もうかしら」

 7月2日
 昨日の私へ
 私の病気は、きっと治る。
 そして、そのことがきっと、世界中の人の助けになるわ。
 だから、私は私で一生懸命、治すの。
 先生は一生懸命、治してくれるから、きっと。

 明日の私へ
 7月よ。7月らしいことをするわ。
 そうね…とりあえず私は夏服を買ってもらったわ。
 クローゼットに私のお気に入りの服が入っているけれど、一つ新しいのがあるはず。
 私の好きな色のワンピースよ。
 気に言ってくれるといいのだけれど…

64: 2012/01/16(月) 21:44:47 ID:uiULMk7A
少女「いいわね」

少女「服かあ…」

 7月3日
 昨日の私へ
 さすが私、いいセンスをお持ちのようね。
 そのワンピースを早速着てみたわ。なんだか気分がよくなったみたい。

 明日の私へ
 私、思ったんだけど、先生って素敵だと思わない??
 私、今日は『恋』をしてみることにしたわ。
 今日一日、先生と私は恋人よ。うふふ。
 先生ったら、顔赤くしちゃって、本当にもう可愛いんだから。

 「私は今しか知らない」
 「貴方の今に閃きたい」
 私の頃し文句よ♪なんてね。

少女「恋人…恋人って…」

ガチャリ

少女「!!!!!!」

男「やあ、進んだかな」

65: 2012/01/16(月) 21:53:23 ID:uiULMk7A
少女「あ、えと、えっと」

男「食事、持ってきたよ」コト

少女「ああ、えへへ、はい」

男「どうしたの??顔赤くしちゃって」

少女「っ!!」

少女「なんでも、なんでもないです、はい」

男「どうして敬語になってるの??」

少女「いえ、問題ないです!!なんでもないんです!!」

男「…ふうん」

66: 2012/01/16(月) 22:03:00 ID:uiULMk7A
少女「貴方の、今に、閃きたい…」ボソッ

男「!!」

少女「あ、いえ、なんでもないんです、なんでも」

男「それは、聞いたことのある台詞だね」

少女「あ、あの」

男「日記に書いてあったのかな??」

少女「…ええ」

少女「あの、その日の私は、先生と一体何を…」

男「ダメ、言えない約束なんだ」

少女「そっか」

男「ははは、心配しなくても大丈夫だよ」

少女「心配って…」

男「ほら、冷めるよ」

69: 2012/01/17(火) 21:32:01 ID:dgM7hKME
少女「なんか誤魔化されちゃったわ」ペラペラ

少女「恋か…いいなあ…」

少女「私は、いろんなことを楽しんできたのね…」ペラペラ

少女「ん??」

 7月27日
 昨日の私へ
 いいなあ。私も絵を描くのは好きよ。
 広い高原で、風を感じながら、油絵を描いてみたいわ。
 でも今日は別のことをしてみたい気分なの…

 明日の私へ
 そう思ってたのに、今日の先生はひどいの。
 無理やり水泳をやらされたわ。
 私、泳ぐの苦手なのに…
 本当は楽器が弾いてみたいって言ったのに、全然聞いてくれないの。
 日記にはそんな先生の様子は書かれていなかったのに…
 今日は機嫌が悪いのかしら。私の運が悪いのかしら。

少女「先生が無理やり??」

少女「そんな様子はないのに、変ねえ」

70: 2012/01/17(火) 21:44:06 ID:dgM7hKME
 7月28日
 昨日の私へ
 今日の先生は無理やりに何かをさせるなんてこと、なかったわ。
 一体どうしちゃったのかしら。
 慰めにはならないでしょうけど、残念だったわね。本当に。

 明日の私へ
 今日の先生は、やけに優しい感じだったわ。
 「昨日はすまなかった」って何度も言ってた。覚えてないのに、ね。
 「いつもとは違うアプローチを試してみたんだ」って言ってたけど…
 症状は別によくなってないみたい。残念。
 昨日できなかった楽器を弾かせてもらったわ。
 なんだか、当ててみて??

少女「いつもと違うアプローチ、か」

少女「そんなこともあるのねえ」

少女「私が弾きたい楽器と言えば、もちろん…」

71: 2012/01/17(火) 21:47:53 ID:dgM7hKME
 7月29日
 昨日の私へ
 楽器ね。そういえば考えたことなかったわね。
 私が弾きたい楽器と言えば、バイオリンしかないわ。
 私も弾きたくなっちゃったけど、どうしようかしら。
 でも昨日の私が弾いているから、私は違うことをしようかな。

 明日の私へ
 今日の私はお料理をしたわ。
 お昼ごはんを先生と一緒に作ったの。
 先生は「料理なんて作ったの、何年振りだろう」なんて言ってたわ。
 私はママと料理を作ったことがある気がしたの。
 でも、それはずっと前のことで、昨日の記憶ではない、みたいね。

少女「やっぱりバイオリンかあ」

少女「いいないいな、私も弾きたいなあ」ペラペラ

72: 2012/01/17(火) 22:00:21 ID:dgM7hKME
少女「ううん、いつの私も、症状はよくなっていないみたいね…」ペラペラ

少女「私は、どうしてこの病気にかかったのかしら…」ペラペラ

少女「…」ペラペラ

少女「私は、どうして、この病気に…」ペラペラ

―――

助手「今日も彼女は、同じように日記を読んでいますか??」

男「ああ、いつもの通りだ」

助手「彼女が元に戻れる日は、来るのでしょうか」

男「わからない」

男「私は彼女を治す、必ず治す、そう思っているが…」

助手「いる、が??」

73: 2012/01/17(火) 22:19:50 ID:dgM7hKME
男「本当にそれが彼女のためになるのかと、最近思う」

助手「しかし、彼女を研究することで救われる人々が世界には大勢います」

男「ああ、もちろんそれはわかっている」

男「わかってはいるが…」

助手「彼女が治るということは、つまり両親のことを思い出すということですから、ね」

男「ああ、それを私は危惧している」

助手「確かに、彼女には辛いかもしれません」

男「辛いだろう、辛いに決まっている、まだ幼い少女なんだ」

助手「先生…」

男「私なら思い出したくないね」

男「思い出させたくない、とも言える」

男「矛盾しているようだが、それが私の本心だろう」

74: 2012/01/17(火) 22:24:34 ID:dgM7hKME
男「…食事を下げてくる」

助手「薬を…」

男「ああ、わかっているよ」

―――

ガチャリ

男「食事はすんだかな」

少女「ええ、だいぶ前に終わったわ」ペラペラ

男「日記はだいぶ進んだようだね」

少女「ええ、面白いわ」ペラペラ

男「これが今日の分の薬だ、飲みなさい」コト

少女「はあい」

75: 2012/01/17(火) 22:35:48 ID:dgM7hKME
男「苦いが、君のための薬なんだ」

少女「わかってます、ちゃんと飲むわ」クッ

男「えらいな」

少女「ねえ、先生…」

男「ん??」

少女「苦っ」

少女「私は、この病気を治すべきよね??」

男「…」

少女「ね??」

76: 2012/01/17(火) 23:00:51 ID:dgM7hKME
男「ああ、そうだね」

少女「そうしたら私は退院できるのかしら??」

男「ああ、きっと」

少女「本当に??」

男「…」

少女「先生、嘘はつかないで」

男「…きっと、病気を治すことが君の幸せにつながるさ」

少女「…そう」

男「そして、世界中の人を救うことに、なると思う」

少女「そうしたら先生はヒーローね??」

男「はは」

77: 2012/01/17(火) 23:11:31 ID:dgM7hKME
少女「読み終わったら、また呼びます」

男「ああ、ゆっくり読むといい」

バタン

少女「…」ペラペラ

少女「私は料理をしたり、絵を描いたり」ペラペラ

少女「お菓子を食べたり、楽器を弾いたり」ペラペラ

少女「素敵な妄想をしたり、恋をしたり…」ペラペラ

少女「これって、幸せなんじゃないのかしら…」

78: 2012/01/17(火) 23:16:52 ID:dgM7hKME
 8月16日
 昨日の私へ
 今日はなんだか体が重い気がするわ。
 昨日の私がたくさん食べたせいよ。
 どうしてくれるの!?太っちゃう!!
 
 …なんてね。

 明日の私へ
 今日の私は運動をさせてもらったわ。
 なんだか体を動かしたい気分だったの。
 先生も『身体の方は一切問題がない』っておっしゃっていたから。
 マット運動もボール遊びもバレエもやらせてもらったわ。
 でも一人でやることしかできなかったの。
 ここに他にも友だちがいるといいのだけれど。

少女「運動かあ」

少女「私もそういえば運動不足な気がするわ」

少女「友だち…友だちは、いたのかしら」

少女「今、どうしているのかしら」

79: 2012/01/17(火) 23:25:04 ID:dgM7hKME
 8月17日
 昨日の私へ
 今日はなんだか体が重い気がするわ。
 昨日の私がたくさん運動したせいよ。
 どうしてくれるの!?筋肉痛になっちゃう!!
 
 …なんてね。真似してみたの。

 明日の私へ
 今日の私も運動をさせてもらったわ。
 鼓動が速くなる感覚って、最高ね。
 呼吸が苦しくなる感覚も、最高ね。
 なんだか、生きているっていう実感が持てるの。
 それって、幸せじゃない??

少女「生きている…」

少女「私は、生きているのね」

少女「当り前か…でも…」

少女「それが、なんだか幸せだということは、わかる気がするわ」

80: 2012/01/17(火) 23:33:14 ID:dgM7hKME
少女「…」ペラペラ

男「一心不乱に読んでいるようだ」

少女「…」ペラペラ

助手「さあ、今日は一体どんな無理難題が飛び出すでしょうね」

少女「…」ペラペラ

男「笑い事じゃないぞ」

男「今日だけママになってくださいと言われた時は最悪だった」

少女「…」ペラペラ

助手「先生のママ姿は一生忘れられませんね」

男「忘れろ!!」

少女「…」ペラペラ

81: 2012/01/17(火) 23:43:19 ID:dgM7hKME
少女「…ふぅ」

少女「これで、最後ね」

 9月5日
 昨日の私へ
 写真に撮られるのを嫌がったっていう気持ち、私もわかるわ。
 今の私が本物なのよね。今の私だけ、というか。
 自分の知らない自分を見るっていうのは、なんだか気持ちが悪いもの。
 写真なんかに撮らなくたって、この日記を見れば私がなにをしたかわかるもの。

 明日の私へ
 ねえ、私は昨日の記憶を思い出したいの??
 それとも思い出したくないの??

 私は、思い出したくない気がするの。
 思い出したら、この日記を読んでも新鮮だと思えないわ。
 先生にももう会えないわ。
 昨日の私にも、明日の私にも会えないわ。
 それって、幸せかしら??

 今日の私はずっとそんなことを考えていたの。
 でもつまらない一日だったとは思わないわ。
 あなたはあなたの、素敵な一日をすごしてね。
 だってそれはあなたにしかない権利なんだもの。

82: 2012/01/17(火) 23:47:46 ID:dgM7hKME
少女「…」

少女「私は、幸せ、かもしれないわね…」

少女「今日の私は今日の私だけのもの…」

少女「さあ、なにをしようかしら」

ピンポーン

男「そら、お嬢様がお呼びだ」

助手「今日はなんでしょうねえ」

男「昨日みたいなのも少し寂しいけれど、な」

助手「先生も楽しんでますね」

男「ははは」

ガチャリ

少女「ねえ、先生、今日はね…」



★おしまい★

84: 2012/01/18(水) 02:02:57 ID:3TNZEFNA
良かった
ちょっと物悲しい話だな

85: 2012/01/18(水) 05:03:44 ID:nBV1wQGY

引用: 少女「貴方の今に閃きたい」