1: 2015/03/22(日) 23:07:07.17 ID:waXYxuJ70.net
――試合会場――
しほ「……何故、僚機を見捨てたの」
みほ「何故? 言っている意味がわかりません」
しほ「あの時、崖下に滑り落ちた戦車の一番近くにいたのはあなたの戦車」
しほ「何故助けに行かなかったのか、と聞いているのよ」
みほ「……」
みほ「私の戦車はフラッグ車です」
みほ「助けに行っていたら撃破されていました」
みほ「お母さんは黒森峰が負けても良いの?」
しほ「……何故、僚機を見捨てたの」
みほ「何故? 言っている意味がわかりません」
しほ「あの時、崖下に滑り落ちた戦車の一番近くにいたのはあなたの戦車」
しほ「何故助けに行かなかったのか、と聞いているのよ」
みほ「……」
みほ「私の戦車はフラッグ車です」
みほ「助けに行っていたら撃破されていました」
みほ「お母さんは黒森峰が負けても良いの?」
2: 2015/03/22(日) 23:11:40.84 ID:waXYxuJ70.net
しほ「人の命には代えられないわ」
みほ「……」
しほ「無事だったから良かったけど……」
しほ「次からはちゃんと――」
みほ「助けませんよ」
しほ「……ッ!」
みほ「西住流に敗北はありません」
みほ「お母さんの教えでしょう?」
しほ「みほ……」
みほ「それじゃあ、優勝の表彰式の時間だから」スタスタ…
しほ「あ……」
しほ「……」
みほ「……」
しほ「無事だったから良かったけど……」
しほ「次からはちゃんと――」
みほ「助けませんよ」
しほ「……ッ!」
みほ「西住流に敗北はありません」
みほ「お母さんの教えでしょう?」
しほ「みほ……」
みほ「それじゃあ、優勝の表彰式の時間だから」スタスタ…
しほ「あ……」
しほ「……」
3: 2015/03/22(日) 23:17:11.52 ID:waXYxuJ70.net
まほ「……どうした、みほ」
みほ「別に、なんでもないよお姉ちゃん」
まほ「お母様になにか言われたのか?」
みほ「……」
みほ「川に落ちた戦車」
みほ「なんで助けなかったのかって」
まほ「……そうか」
みほ「おかしいよね、私はフラッグ車なのに」
みほ「10連覇のかかった大事な大会」
みほ「お母さん、なにを考えてるんだろう」
まほ「……」
みほ「別に、なんでもないよお姉ちゃん」
まほ「お母様になにか言われたのか?」
みほ「……」
みほ「川に落ちた戦車」
みほ「なんで助けなかったのかって」
まほ「……そうか」
みほ「おかしいよね、私はフラッグ車なのに」
みほ「10連覇のかかった大事な大会」
みほ「お母さん、なにを考えてるんだろう」
まほ「……」
5: 2015/03/22(日) 23:21:48.56 ID:waXYxuJ70.net
――西住邸――
しほ「まほ、わかっているわね」
まほ「……はい、お母様」
しほ「みほは変わってしまった」
まほ「……」
しほ「みほに戦車道をやらせるべきではなかったのかも知れないわ」
しほ「今日、もう一度みほと話して……」
しほ「それでもみほの心が変わらなかったら」
まほ「……はい」
しほ「まほ、わかっているわね」
まほ「……はい、お母様」
しほ「みほは変わってしまった」
まほ「……」
しほ「みほに戦車道をやらせるべきではなかったのかも知れないわ」
しほ「今日、もう一度みほと話して……」
しほ「それでもみほの心が変わらなかったら」
まほ「……はい」
7: 2015/03/22(日) 23:25:03.47 ID:waXYxuJ70.net
みほ「なんですか、話って」
しほ「……」
まほ「……」
みほ「戦車道の練習時間を削るほどの話なんですか?」
しほ「……」
まほ「……」
みほ「……」
しほ「みほ……」
みほ「この間の全国大会の話なら聞きませんよ」
しほ「……ッ!」
まほ(みほ……)
しほ「……」
まほ「……」
みほ「戦車道の練習時間を削るほどの話なんですか?」
しほ「……」
まほ「……」
みほ「……」
しほ「みほ……」
みほ「この間の全国大会の話なら聞きませんよ」
しほ「……ッ!」
まほ(みほ……)
8: 2015/03/22(日) 23:29:02.47 ID:waXYxuJ70.net
みほ「あのことはもう過去のことです」
みほ「今はただ、11連覇に向けて練習をするだけです」
しほ「いいえ、みほ」
しほ「戦車道は勝つことが全てではないのよ」
みほ「勝つこと以外になんの意味があるんですか」
まほ「みほ、それは……」
みほ「なに? お姉ちゃんもお母さんと同じ意見なの?」
まほ「そ、それは……」
みほ「今はただ、11連覇に向けて練習をするだけです」
しほ「いいえ、みほ」
しほ「戦車道は勝つことが全てではないのよ」
みほ「勝つこと以外になんの意味があるんですか」
まほ「みほ、それは……」
みほ「なに? お姉ちゃんもお母さんと同じ意見なの?」
まほ「そ、それは……」
10: 2015/03/22(日) 23:34:38.51 ID:waXYxuJ70.net
まほ「みほはあの時言っていたな」
まほ「私はフラッグ車だった、と」
まほ「なら……」
まほ「自分の戦車がフラッグ車でなかったら助けに行っていたのか?」
みほ「……戦略上、必要だと判断したらそうしてたよ」
まほ「戦略上……?」
みほ「黒森峰、西住流の勝利に繋がると判断したら助けてた」
まほ「……氏んでいたかもしれなかった」
みほ「そうだね、危なかったかも」
まほ「なら助けに行くべきだった!」ガタッ
みほ「……」
みほ「落ち着いてよ、お姉ちゃん」
みほ「西住流の娘らしくないよ」
しほ「……」
まほ「私はフラッグ車だった、と」
まほ「なら……」
まほ「自分の戦車がフラッグ車でなかったら助けに行っていたのか?」
みほ「……戦略上、必要だと判断したらそうしてたよ」
まほ「戦略上……?」
みほ「黒森峰、西住流の勝利に繋がると判断したら助けてた」
まほ「……氏んでいたかもしれなかった」
みほ「そうだね、危なかったかも」
まほ「なら助けに行くべきだった!」ガタッ
みほ「……」
みほ「落ち着いてよ、お姉ちゃん」
みほ「西住流の娘らしくないよ」
しほ「……」
11: 2015/03/22(日) 23:38:37.37 ID:waXYxuJ70.net
しほ「みほ」
みほ「……」
しほ「戦車道は言葉の通り道なのよ」
しほ「人には外してはならない道があるの」
しほ「あの時は助けに行くべきだった」
しほ「あれで負けていても誰も責めたりはしないわ」
みほ「それがなんだっていうんですか?」
しほ「え……?」
みほ「確かに誰も責めたりはしないと思う」
みほ「もしかしたら美談として扱われるかもね」
みほ「でもそれはほんの少しの間だけだよ」
みほ「……」
しほ「戦車道は言葉の通り道なのよ」
しほ「人には外してはならない道があるの」
しほ「あの時は助けに行くべきだった」
しほ「あれで負けていても誰も責めたりはしないわ」
みほ「それがなんだっていうんですか?」
しほ「え……?」
みほ「確かに誰も責めたりはしないと思う」
みほ「もしかしたら美談として扱われるかもね」
みほ「でもそれはほんの少しの間だけだよ」
13: 2015/03/22(日) 23:41:33.94 ID:waXYxuJ70.net
みほ「あと10年20年経ってから」
みほ「そのことを知らない世代になって……」
みほ「その人たちが大会を振り返ったら」
みほ「残るのは黒森峰が10連覇を逃したってことだけ」
みほ「黒森峰と西住流が負けたってことだけなんだよ?」
みほ「お母さんはそれでいいの?」
しほ「……」
まほ「……」
みほ「そのことを知らない世代になって……」
みほ「その人たちが大会を振り返ったら」
みほ「残るのは黒森峰が10連覇を逃したってことだけ」
みほ「黒森峰と西住流が負けたってことだけなんだよ?」
みほ「お母さんはそれでいいの?」
しほ「……」
まほ「……」
14: 2015/03/22(日) 23:44:17.47 ID:waXYxuJ70.net
まほ「みほ、それは……」
しほ「もういいわ」
まほ「お母様」
しほ「みほの気持ちはわかったわ」
しほ「話はこれで終わりよ」
みほ「……そう」
みほ「じゃあ、私は練習に行ってくるね」スクッ
しほ「ええ」
しほ「行ってらっしゃい、みほ」
みほ「行ってきます」
しほ「もういいわ」
まほ「お母様」
しほ「みほの気持ちはわかったわ」
しほ「話はこれで終わりよ」
みほ「……そう」
みほ「じゃあ、私は練習に行ってくるね」スクッ
しほ「ええ」
しほ「行ってらっしゃい、みほ」
みほ「行ってきます」
16: 2015/03/22(日) 23:45:18.18 ID:waXYxuJ70.net
まほ「お母様……」
しほ「仕方ないのよ、まほ」
しほ「これもみほの為なの」
まほ「……」
しほ「仕方ないのよ、まほ」
しほ「これもみほの為なの」
まほ「……」
17: 2015/03/22(日) 23:50:40.19 ID:waXYxuJ70.net
――学園艦――
みほ「これで満足?」
まほ「……」
みほ「私を黒森峰から追い出して」
まほ「お母様はみほのことを心配して……」
みほ「戦車道のない大洗女子に転校させた?」
まほ「……」
みほ「私を一人ぼっちにさせて?」
みほ「ねえ……」
みほ「お姉ちゃんも一緒に来てよ」
まほ「え……」
みほ「これで満足?」
まほ「……」
みほ「私を黒森峰から追い出して」
まほ「お母様はみほのことを心配して……」
みほ「戦車道のない大洗女子に転校させた?」
まほ「……」
みほ「私を一人ぼっちにさせて?」
みほ「ねえ……」
みほ「お姉ちゃんも一緒に来てよ」
まほ「え……」
19: 2015/03/22(日) 23:53:51.23 ID:waXYxuJ70.net
みほ「一人は寂しいよ」
まほ「え……」
まほ「……」
まほ「わ、私には黒森峰の隊長という……」
みほ「冗談だよ、お姉ちゃん」
まほ「え……」
みほ「お姉ちゃんがお母さんに逆らえるわけないもんね?」
まほ「……」
みほ「それじゃあね、お姉ちゃん」
みほ「さようなら」
まほ「あ……」
おしまい
まほ「え……」
まほ「……」
まほ「わ、私には黒森峰の隊長という……」
みほ「冗談だよ、お姉ちゃん」
まほ「え……」
みほ「お姉ちゃんがお母さんに逆らえるわけないもんね?」
まほ「……」
みほ「それじゃあね、お姉ちゃん」
みほ「さようなら」
まほ「あ……」
おしまい
20: 2015/03/22(日) 23:54:58.57 ID:5HxXYjKad.net
oh...
22: 2015/03/23(月) 00:03:47.40 ID:MYvSNkIur.net
秋山どのがどんな態度とるのか気になる
26: 2015/03/23(月) 00:16:11.29 ID:mCxZgepb0.net
このみほの下でウサギさんは上手く育つかな?
コメント
コメント一覧 (1)
esusokuhou
が
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