1: 2017/02/09(木) 00:12:35.469 ID:87aNsBWE0.net
お嬢様「執事、今日のお昼ご飯は?」
執事「キャビアとトリュフとフォアグラの混ぜご飯でございます」
お嬢様「またそれなの? もう飽きてしまったわ」
お嬢様「私、いつもとは違うものが食べたい!」
執事「ならばフードコートに行くのはいかがでしょう?」
お嬢様「フードコート?」
執事「キャビアとトリュフとフォアグラの混ぜご飯でございます」
お嬢様「またそれなの? もう飽きてしまったわ」
お嬢様「私、いつもとは違うものが食べたい!」
執事「ならばフードコートに行くのはいかがでしょう?」
お嬢様「フードコート?」
5: 2017/02/09(木) 00:15:12.039 ID:87aNsBWE0.net
執事「フードコートとは、ショッピングモールやスーパーマーケットなどにある食事スペースです」
執事「スペース内にはいくつかの飲食店が立ち並び、客は好きな店を選び」
執事「好きな席で食事することができるのです」
お嬢様「まぁ、面白そう!」
お嬢様「ならば執事、フードコートに行きますわよ!」
執事「かしこまりました」
執事「スペース内にはいくつかの飲食店が立ち並び、客は好きな店を選び」
執事「好きな席で食事することができるのです」
お嬢様「まぁ、面白そう!」
お嬢様「ならば執事、フードコートに行きますわよ!」
執事「かしこまりました」
6: 2017/02/09(木) 00:18:06.367 ID:87aNsBWE0.net
―ショッピングモール―
執事「この一帯では一番大きいショッピングモールです」
執事「あちらに、フードコートのラインナップが書いてありますな」
お嬢様「ふうん、どれどれ……」
お嬢様「こ、これは……ッ!」
・銀だこ ・幸楽苑 ・丸亀製麺
・リンガーハット ・ファーストキッチン ・ミスタードーナツ
お嬢様「ふむふむ、なるほど……」
お嬢様「主食、軽食、甘味と全てが揃った、なかなかのラインナップですわね」
執事「麺類が三種類もあり、どれにするか迷ってしまいますね」
執事「この一帯では一番大きいショッピングモールです」
執事「あちらに、フードコートのラインナップが書いてありますな」
お嬢様「ふうん、どれどれ……」
お嬢様「こ、これは……ッ!」
・銀だこ ・幸楽苑 ・丸亀製麺
・リンガーハット ・ファーストキッチン ・ミスタードーナツ
お嬢様「ふむふむ、なるほど……」
お嬢様「主食、軽食、甘味と全てが揃った、なかなかのラインナップですわね」
執事「麺類が三種類もあり、どれにするか迷ってしまいますね」
8: 2017/02/09(木) 00:20:13.925 ID:87aNsBWE0.net
お嬢様「じゃあまず、醤油ラーメンを食べて、それから釜玉うどん、野菜たっぷりちゃんぽん」
お嬢様「アボカドバーガー食べて、タコ焼き食べて、ポンデリングで締め、といきましょう」
執事「全店回るんですか」
お嬢様「もちろんよ。金に糸目はつけませんわ」
執事「さすがお嬢様」
お嬢様「アボカドバーガー食べて、タコ焼き食べて、ポンデリングで締め、といきましょう」
執事「全店回るんですか」
お嬢様「もちろんよ。金に糸目はつけませんわ」
執事「さすがお嬢様」
10: 2017/02/09(木) 00:23:16.891 ID:87aNsBWE0.net
―フードコート―
お嬢様「……!?」
お嬢様「これがフードコート……? まるで荒れ果てた廃墟ですわ! スラム街ですわ!」
執事「店も営業している様子がありません。おかしいですね……」
ザザザッ!
荒くれ者「なんだ、てめぇら!?」
ならず者「よそ者がフードコートになんの用だぁ!?」
お嬢様「……!?」
お嬢様「これがフードコート……? まるで荒れ果てた廃墟ですわ! スラム街ですわ!」
執事「店も営業している様子がありません。おかしいですね……」
ザザザッ!
荒くれ者「なんだ、てめぇら!?」
ならず者「よそ者がフードコートになんの用だぁ!?」
12: 2017/02/09(木) 00:25:54.943 ID:87aNsBWE0.net
お嬢様「メシを食べにきたんですのよ」
荒くれ者「メシだぁ!?」
お嬢様「だってフードコートはご飯を食べるところでしょう?」
荒くれ者「ぐへへへ、あいにくここはそんなところじゃねえよ!」
ならず者「逆に俺らがてめえを食べてやるぜぇ! 下半身でな!」
荒くれ者「メシだぁ!?」
お嬢様「だってフードコートはご飯を食べるところでしょう?」
荒くれ者「ぐへへへ、あいにくここはそんなところじゃねえよ!」
ならず者「逆に俺らがてめえを食べてやるぜぇ! 下半身でな!」
14: 2017/02/09(木) 00:28:44.466 ID:87aNsBWE0.net
荒くれ者「ヒャッハーッ!」ガバッ
ならず者「いただきまぁす!」ガバッ
執事「お嬢様に手出しはさせん」ササッ
バキィッ! ドカァッ!
荒くれ者「ぎゃぴっ!」
ならず者「ぐげぇっ!」
お嬢様「お見事ですわ、執事」
ならず者「いただきまぁす!」ガバッ
執事「お嬢様に手出しはさせん」ササッ
バキィッ! ドカァッ!
荒くれ者「ぎゃぴっ!」
ならず者「ぐげぇっ!」
お嬢様「お見事ですわ、執事」
17: 2017/02/09(木) 00:31:38.130 ID:87aNsBWE0.net
荒くれ者「ぐ……!」
ならず者「つ、つええ……」
お嬢様「さぁ、あなたたち、私をフードコートの責任者のところに連れていきなさい」
お嬢様「なんでこんなことになってるのかを問い詰めてあげなくては!」
荒くれ者「うぐ……分かったよ……連れていくよ……」
荒くれ者「フードコートの王のところにな!」
ならず者「つ、つええ……」
お嬢様「さぁ、あなたたち、私をフードコートの責任者のところに連れていきなさい」
お嬢様「なんでこんなことになってるのかを問い詰めてあげなくては!」
荒くれ者「うぐ……分かったよ……連れていくよ……」
荒くれ者「フードコートの王のところにな!」
18: 2017/02/09(木) 00:34:30.798 ID:87aNsBWE0.net
荒くれ者「王!」
フードコート王「どうした、何があった?」
荒くれ者「実はよそ者が来て、フードコートの責任者に会いたいと……」
フードコート王「どんな奴だ?」
荒くれ者「ドレスを着たいかにもなお嬢様と、そのお供の二人組です」
フードコート王「通せ」
……
お嬢様「あなたがこのフードコートの責任者?」
フードコート王「そうだ」
フードコート王「どうした、何があった?」
荒くれ者「実はよそ者が来て、フードコートの責任者に会いたいと……」
フードコート王「どんな奴だ?」
荒くれ者「ドレスを着たいかにもなお嬢様と、そのお供の二人組です」
フードコート王「通せ」
……
お嬢様「あなたがこのフードコートの責任者?」
フードコート王「そうだ」
20: 2017/02/09(木) 00:37:33.616 ID:87aNsBWE0.net
お嬢様「私、フードコートに来るのは初めてなのだけれど」
お嬢様「食事をするどころかいきなり襲われて、これじゃまるでスラム街ですわ!」
お嬢様「これは一体どういうことなの?」
フードコート王「……お嬢ちゃん、どうやらあんたは何も知らないようだな」
お嬢様「え?」
フードコート王「フードコートの哀しみと屈辱に満ちた歴史を……」
お嬢様「えええ!?」
フードコート王「少し長くなるが、話してやろう」
お嬢様「食事をするどころかいきなり襲われて、これじゃまるでスラム街ですわ!」
お嬢様「これは一体どういうことなの?」
フードコート王「……お嬢ちゃん、どうやらあんたは何も知らないようだな」
お嬢様「え?」
フードコート王「フードコートの哀しみと屈辱に満ちた歴史を……」
お嬢様「えええ!?」
フードコート王「少し長くなるが、話してやろう」
21: 2017/02/09(木) 00:40:34.824 ID:87aNsBWE0.net
フードコート王「かつてフードコートは、開放感のある食事スペースとして隆盛を極めていた」
フードコート王「飯時になれば、フードコートが賑わわない日はなかったほどだ」
フードコート王「ところが……だんだんとフードコートで食事をするのは低俗、という風潮が生まれ始めた」
フードコート王「フードコート利用者は軽蔑されるようになっていったんだ」
お嬢様「なんですって……!?」
フードコート王「そして一年前、ついにあの法律が可決されてしまう」
お嬢様「あの法律……ってなんですの?」
フードコート王「フードコート弾圧法……通称『フー圧法』だ」
フードコート王「飯時になれば、フードコートが賑わわない日はなかったほどだ」
フードコート王「ところが……だんだんとフードコートで食事をするのは低俗、という風潮が生まれ始めた」
フードコート王「フードコート利用者は軽蔑されるようになっていったんだ」
お嬢様「なんですって……!?」
フードコート王「そして一年前、ついにあの法律が可決されてしまう」
お嬢様「あの法律……ってなんですの?」
フードコート王「フードコート弾圧法……通称『フー圧法』だ」
22: 2017/02/09(木) 00:43:47.957 ID:87aNsBWE0.net
フードコート王「フー圧法により、あらゆる飲食店はフードコートからの撤退を義務付けられ」
フードコート王「フードコート利用者、通称『フー民』は人権を剥奪された」
フードコート王「それどころか、フードコートから出ることすら許されなくなった」
フードコート王「出れば、武装した店員によって即座に始末される」
フードコート王「フードコートとその利用者は、一般社会から完全に隔離されたってわけだ」
お嬢様「なんてことなの……!」
執事「申し訳ありません、お嬢様。私も知りませんでした」
フードコート王「無理もない。上流階級には縁のない話だからな」
フードコート王「フードコート利用者、通称『フー民』は人権を剥奪された」
フードコート王「それどころか、フードコートから出ることすら許されなくなった」
フードコート王「出れば、武装した店員によって即座に始末される」
フードコート王「フードコートとその利用者は、一般社会から完全に隔離されたってわけだ」
お嬢様「なんてことなの……!」
執事「申し訳ありません、お嬢様。私も知りませんでした」
フードコート王「無理もない。上流階級には縁のない話だからな」
23: 2017/02/09(木) 00:46:54.858 ID:87aNsBWE0.net
フードコート王「フー民には重い労役が課せられ、今や一日一日を生き抜くのがやっとだ」
お嬢様「労役? どのような?」
フードコート王「ウォーターサーバーへの紙コップ補充と、ダスター洗濯、テーブル拭き、床磨きだ」
お嬢様「なんてひどい!」
執事「古代エジプトのピラミッド建設、古代中国の万里の長城建設に匹敵する重労働ですね」
フードコート王「隔離され、差別され、こんな生活をするうちに、フー民はみんな荒んじまった」
フードコート王「信じられないだろうが、あの荒くれ者やならず者だって、元は善良な人間だったんだ」
お嬢様「まぁっ……」
お嬢様「労役? どのような?」
フードコート王「ウォーターサーバーへの紙コップ補充と、ダスター洗濯、テーブル拭き、床磨きだ」
お嬢様「なんてひどい!」
執事「古代エジプトのピラミッド建設、古代中国の万里の長城建設に匹敵する重労働ですね」
フードコート王「隔離され、差別され、こんな生活をするうちに、フー民はみんな荒んじまった」
フードコート王「信じられないだろうが、あの荒くれ者やならず者だって、元は善良な人間だったんだ」
お嬢様「まぁっ……」
24: 2017/02/09(木) 00:50:10.997 ID:87aNsBWE0.net
執事「飲食店が撤退したというが、フー民は食事はどうしているのだ?」
フードコート王「さすがに先進国が自国民を餓氏させたとあっちゃ、国際的な非難を浴びかねないからな」
フードコート王「一応、メシのための材料は外から送られてくるぜ」
フードコート王「ただし……」
お嬢様「ただし?」
フードコート王「これを食べてみな」
お嬢様「これはタコ焼きですわね! いただきます!」モグッ
フードコート王「さすがに先進国が自国民を餓氏させたとあっちゃ、国際的な非難を浴びかねないからな」
フードコート王「一応、メシのための材料は外から送られてくるぜ」
フードコート王「ただし……」
お嬢様「ただし?」
フードコート王「これを食べてみな」
お嬢様「これはタコ焼きですわね! いただきます!」モグッ
26: 2017/02/09(木) 00:53:30.152 ID:87aNsBWE0.net
お嬢様「はふっ、はふっ」
お嬢様「――う!?」
お嬢様「なにこれ、中身はイカじゃないの!」
フードコート王「その通り、タコじゃないんだ」
お嬢様「こんなのイカサマじゃない!」
フードコート王「俺たちみてえな非国民はパチモンを食ってろってことさ」
お嬢様「――う!?」
お嬢様「なにこれ、中身はイカじゃないの!」
フードコート王「その通り、タコじゃないんだ」
お嬢様「こんなのイカサマじゃない!」
フードコート王「俺たちみてえな非国民はパチモンを食ってろってことさ」
28: 2017/02/09(木) 00:56:27.273 ID:87aNsBWE0.net
お嬢様「でも、今のタコ焼き……じゃなかったイカ焼き、なんで熱々でしたの?」
フードコート王「そりゃもちろん、ついさっき俺が焼いたからだよ」
お嬢様「あっ、あなた、まさか――」
フードコート王「そう、俺はタコ焼き屋の店員だったのさ」
フードコート王「もっともフー圧法に反対したせいで、ここに隔離されちまったがね」
フードコート王「今や大好きなタコ焼きを焼くことも許されず、ここで静かに朽ちるのを待つ身さ」
お嬢様「……」ワナワナ…
執事「お嬢様?」
フードコート王「そりゃもちろん、ついさっき俺が焼いたからだよ」
お嬢様「あっ、あなた、まさか――」
フードコート王「そう、俺はタコ焼き屋の店員だったのさ」
フードコート王「もっともフー圧法に反対したせいで、ここに隔離されちまったがね」
フードコート王「今や大好きなタコ焼きを焼くことも許されず、ここで静かに朽ちるのを待つ身さ」
お嬢様「……」ワナワナ…
執事「お嬢様?」
29: 2017/02/09(木) 01:00:34.077 ID:87aNsBWE0.net
お嬢様「許せません! 許せませんわ!」
お嬢様「フー圧法ですって? 誰が考えたか知らないけど、こんなふざけた法律、断じて許せません!」
お嬢様「戦いましょう、執事!」
執事「お嬢様ならそうおっしゃると思っていました」
フードコート王「しかし、戦うったって、どうやって?」
お嬢様「このフードコートに、フー民は何名ぐらいいらっしゃるの?」
フードコート王「ざっと3000人だ」
お嬢様「なら、その3000名で決起して、挙兵するのよ!」
お嬢様「このショッピングモールを解放すれば、きっと全国のフードコートも呼応して」
お嬢様「フー圧法を撤廃させるという革命を起こせるはずですわ!」
お嬢様「フー圧法ですって? 誰が考えたか知らないけど、こんなふざけた法律、断じて許せません!」
お嬢様「戦いましょう、執事!」
執事「お嬢様ならそうおっしゃると思っていました」
フードコート王「しかし、戦うったって、どうやって?」
お嬢様「このフードコートに、フー民は何名ぐらいいらっしゃるの?」
フードコート王「ざっと3000人だ」
お嬢様「なら、その3000名で決起して、挙兵するのよ!」
お嬢様「このショッピングモールを解放すれば、きっと全国のフードコートも呼応して」
お嬢様「フー圧法を撤廃させるという革命を起こせるはずですわ!」
31: 2017/02/09(木) 01:03:31.853 ID:87aNsBWE0.net
フードコート王「革命……ねえ」
フードコート王「だが、このショッピングモールにはフードコートを隔離するため」
フードコート王「武装した店員が5000は配備してある」
フードコート王「倍近い戦力差をどう埋める?」
お嬢様「戦いは数ではないわ……士気の高さで決まるのですわ!」
お嬢様「私が演説を行い、フー民の士気を高めれば、勝機はあります!」
フードコート王「……なんか、あんたの話を聞いてたら、本当にできそうな気がして来たぜ」
フードコート王「ここはいっちょ、あんたに託してみるか!」
フードコート王「だが、このショッピングモールにはフードコートを隔離するため」
フードコート王「武装した店員が5000は配備してある」
フードコート王「倍近い戦力差をどう埋める?」
お嬢様「戦いは数ではないわ……士気の高さで決まるのですわ!」
お嬢様「私が演説を行い、フー民の士気を高めれば、勝機はあります!」
フードコート王「……なんか、あんたの話を聞いてたら、本当にできそうな気がして来たぜ」
フードコート王「ここはいっちょ、あんたに託してみるか!」
33: 2017/02/09(木) 01:08:25.780 ID:87aNsBWE0.net
ザワザワ…… ガヤガヤ……
お嬢様「フードコート民、通称フー民の皆さん、こんにちは」
お嬢様「わたくし、今日初めてフードコートに来たのですけど」
お嬢様「皆様の惨状を知って、大変憤っておりますわ!」
お嬢様「フードコートという食事を楽しむためのスペースが」
お嬢様「低俗などという理由で弾圧されるなど、断じてあってはなりません!」
お嬢様「皆さん、戦うのよ!」
お嬢様「立てよ、フー民!!!」
ワアァァァァァ……!
執事「さすがお嬢様……天性のカリスマ性をお持ちだ」
フードコート王「3000の気持ちを一つにまとめやがった!」
フードコート王(まるで百年戦争時、イギリスからオルレアンを救ったジャンヌ・ダルクのようだ!)
お嬢様「フードコート民、通称フー民の皆さん、こんにちは」
お嬢様「わたくし、今日初めてフードコートに来たのですけど」
お嬢様「皆様の惨状を知って、大変憤っておりますわ!」
お嬢様「フードコートという食事を楽しむためのスペースが」
お嬢様「低俗などという理由で弾圧されるなど、断じてあってはなりません!」
お嬢様「皆さん、戦うのよ!」
お嬢様「立てよ、フー民!!!」
ワアァァァァァ……!
執事「さすがお嬢様……天性のカリスマ性をお持ちだ」
フードコート王「3000の気持ちを一つにまとめやがった!」
フードコート王(まるで百年戦争時、イギリスからオルレアンを救ったジャンヌ・ダルクのようだ!)
34: 2017/02/09(木) 01:10:38.989 ID:87aNsBWE0.net
一時間後――
お嬢様「フー民の皆さま、準備はよろしいかしら?」
お嬢様「右手に紙コップを!」ジャキンッ
お嬢様「左手にダスター(ふきん)を!」ジャキンッ
お嬢様「いざ突撃ーっ!!!」
ワァァァッ!!!
お嬢様「フー民の皆さま、準備はよろしいかしら?」
お嬢様「右手に紙コップを!」ジャキンッ
お嬢様「左手にダスター(ふきん)を!」ジャキンッ
お嬢様「いざ突撃ーっ!!!」
ワァァァッ!!!
35: 2017/02/09(木) 01:13:29.745 ID:87aNsBWE0.net
―ショッピングモール―
店員A「……ん? フードコートの方角が騒がしいな」
店員B「なぁに、どうせまた仲間内で乱闘でもやってるんだろ」
店員A「そうに違いない。下劣なフー民どもに反乱を起こす勇気なんてあるわけないしな」
店員B「い、いや待て!」
ドドドドド……!
店員A「――は、反乱だーっ!!!」
店員A「……ん? フードコートの方角が騒がしいな」
店員B「なぁに、どうせまた仲間内で乱闘でもやってるんだろ」
店員A「そうに違いない。下劣なフー民どもに反乱を起こす勇気なんてあるわけないしな」
店員B「い、いや待て!」
ドドドドド……!
店員A「――は、反乱だーっ!!!」
36: 2017/02/09(木) 01:16:25.767 ID:87aNsBWE0.net
店員A「くっ、試食用の爪楊枝を撃て撃てーっ!」ガガガガガッ
店員B「薄汚いフー民どもが!」ガガガガガッ
お嬢様「重ねた紙コップでガード!」キキキキキンッ
お嬢様「さあ、石を包んだダスターを投げつけるのよ!」
フードコート王「うおりゃ!」ブンッ
荒くれ者「喰らえ!」ブンッ
ならず者「フー民をなめるな!」ブンッ
ドガガガガッ!
店員AB「ぐああああっ……!」
店員B「薄汚いフー民どもが!」ガガガガガッ
お嬢様「重ねた紙コップでガード!」キキキキキンッ
お嬢様「さあ、石を包んだダスターを投げつけるのよ!」
フードコート王「うおりゃ!」ブンッ
荒くれ者「喰らえ!」ブンッ
ならず者「フー民をなめるな!」ブンッ
ドガガガガッ!
店員AB「ぐああああっ……!」
38: 2017/02/09(木) 01:19:27.084 ID:87aNsBWE0.net
お嬢様「食品売り場は制圧しましたわ!」
フードコート王「まさかここまでうまくいくとは……さすがジャンヌ・ダルク」
お嬢様「まぁっ」ポッ…
執事「しかし、浮足立っていた敵も、少しずつこちらの奇襲に対応しつつあります」
執事「お嬢様、このままでは包囲されます。いかがいたしましょう?」
お嬢様「知れたことよ。このまま一気に店長室を目指すのですわ!」
フードコート王「まさかここまでうまくいくとは……さすがジャンヌ・ダルク」
お嬢様「まぁっ」ポッ…
執事「しかし、浮足立っていた敵も、少しずつこちらの奇襲に対応しつつあります」
執事「お嬢様、このままでは包囲されます。いかがいたしましょう?」
お嬢様「知れたことよ。このまま一気に店長室を目指すのですわ!」
39: 2017/02/09(木) 01:23:17.493 ID:87aNsBWE0.net
店員C「数ではこっちが勝ってるんだ! 押しまくれ!」
お嬢様「ふん、こちらの最終兵器の前には数など無意味よ!」
お嬢様「荒くれ、ウォーターサーバーから放水!!!」
荒くれ者「へい!」
ドジャァァァァァ……!!!
店員C「うっ、うわぁぁぁっ!」
店員D「流されるぅぅぅ!」
お嬢様「ふん、こちらの最終兵器の前には数など無意味よ!」
お嬢様「荒くれ、ウォーターサーバーから放水!!!」
荒くれ者「へい!」
ドジャァァァァァ……!!!
店員C「うっ、うわぁぁぁっ!」
店員D「流されるぅぅぅ!」
42: 2017/02/09(木) 01:26:47.367 ID:87aNsBWE0.net
―店長室―
店長「――な、なんだと!? フー民が反乱を起こしただと!?」
店長「店員どもは何をやっているのだ!」
副店長「ほとんどがアルバイトのため、士気は上がらず、敗走を繰り返しております……」
店長「この店長室が落とされたら、このショッピングモールはオシマイだ!」
店長「すみやかに親衛店員を出動させろ!」
副店長「はっ!」
店長「――な、なんだと!? フー民が反乱を起こしただと!?」
店長「店員どもは何をやっているのだ!」
副店長「ほとんどがアルバイトのため、士気は上がらず、敗走を繰り返しております……」
店長「この店長室が落とされたら、このショッピングモールはオシマイだ!」
店長「すみやかに親衛店員を出動させろ!」
副店長「はっ!」
44: 2017/02/09(木) 01:31:01.125 ID:87aNsBWE0.net
親衛店員A「お客様用の割り箸で作った割り箸マシンガンを撃てーっ!」
親衛店員B「輪ゴムの弾幕で敵を近づけるな!」
ガガガガガ……! ガガガガガ……!
荒くれ者「ちっくしょう!」
お嬢様「どうしたの?」
荒くれ者「親衛店員が手強くて、これ以上進めません!」
ならず者「どうしやしょう!?」
お嬢様「……心配いらないわ」
お嬢様「――執事!」
執事「はっ」
親衛店員B「輪ゴムの弾幕で敵を近づけるな!」
ガガガガガ……! ガガガガガ……!
荒くれ者「ちっくしょう!」
お嬢様「どうしたの?」
荒くれ者「親衛店員が手強くて、これ以上進めません!」
ならず者「どうしやしょう!?」
お嬢様「……心配いらないわ」
お嬢様「――執事!」
執事「はっ」
45: 2017/02/09(木) 01:35:09.580 ID:87aNsBWE0.net
お嬢様「あの手強い人達をやっつけなさい!」
執事「かしこまりました」
執事「はああああああっ!」
ドカッ! バキッ! ガッ!
親衛店員A「ぐほっ!」
「うげぇっ!」 「ぐはぁっ!」 「うぎゃっ!」
親衛店員B「くそっ!」チャキッ
フードコート王「お前の相手は俺だ!」
フードコート王「卍固め(オクトパスホールド)!」ガキッ
親衛店員B「いだだだだだだっ!」
お嬢様「タコ焼き屋らしい得意技ですわ!」
執事「かしこまりました」
執事「はああああああっ!」
ドカッ! バキッ! ガッ!
親衛店員A「ぐほっ!」
「うげぇっ!」 「ぐはぁっ!」 「うぎゃっ!」
親衛店員B「くそっ!」チャキッ
フードコート王「お前の相手は俺だ!」
フードコート王「卍固め(オクトパスホールド)!」ガキッ
親衛店員B「いだだだだだだっ!」
お嬢様「タコ焼き屋らしい得意技ですわ!」
46: 2017/02/09(木) 01:38:16.728 ID:87aNsBWE0.net
―店長室―
副店長「大変です! 親衛店員が全滅しました!」
店長「なんだと!? あのエリート集団が!?」
ガチャッ!
店長「!」
お嬢様「動かないで!」
店長「ぐっ!」
お嬢様「動くと紙コップの散弾をお見舞いしますわよ!」
店長「くそっ……降伏する……!」ガクッ
こうして、このショッピングモールはフードコート軍によって制圧された。
副店長「大変です! 親衛店員が全滅しました!」
店長「なんだと!? あのエリート集団が!?」
ガチャッ!
店長「!」
お嬢様「動かないで!」
店長「ぐっ!」
お嬢様「動くと紙コップの散弾をお見舞いしますわよ!」
店長「くそっ……降伏する……!」ガクッ
こうして、このショッピングモールはフードコート軍によって制圧された。
47: 2017/02/09(木) 01:41:45.215 ID:87aNsBWE0.net
執事「やりましたね、お嬢様」
お嬢様「ええ」
お嬢様「だけど、まだ戦いが終わったわけじゃないわ」
お嬢様「執事、このフードコートが解放された事実を、ツイッターとかで流すのよ!」
お嬢様「そうすれば、全国のフー民が立ち上がるはずですわ!」
執事「かしこまりました」
お嬢様「ええ」
お嬢様「だけど、まだ戦いが終わったわけじゃないわ」
お嬢様「執事、このフードコートが解放された事実を、ツイッターとかで流すのよ!」
お嬢様「そうすれば、全国のフー民が立ち上がるはずですわ!」
執事「かしこまりました」
49: 2017/02/09(木) 01:44:43.516 ID:87aNsBWE0.net
お嬢様たちによるフードコート解放の余波はたちまち全国に広がり、
全国のスーパーマーケットやショッピングモールでフー民が決起し、勝利を収めた。
「フードコート・レコンキスタ」の始まりである。
世論もフードコート側に傾き、もはやフー圧法撤廃は時間の問題と思われた。
ところが――
全国のスーパーマーケットやショッピングモールでフー民が決起し、勝利を収めた。
「フードコート・レコンキスタ」の始まりである。
世論もフードコート側に傾き、もはやフー圧法撤廃は時間の問題と思われた。
ところが――
50: 2017/02/09(木) 01:48:18.162 ID:87aNsBWE0.net
―首相官邸―
大富豪「何をやっておるのだ、総理!」
大富豪「これではフードコートやフードコート民などという下劣な存在を潰し」
大富豪「全国のフードコートを最高級レストランに入れ替える計画が台無しではないか!」
総理「も、申し訳ありません!」
大富豪「もういい、貴様はあてにならん!」
大富豪「こうなれば、ワシ自ら“フードコートのジャンヌ・ダルク”とかいうたわけた女を説き伏せ」
大富豪「フー圧法を再び推し進めてくれるわ!」
大富豪「何をやっておるのだ、総理!」
大富豪「これではフードコートやフードコート民などという下劣な存在を潰し」
大富豪「全国のフードコートを最高級レストランに入れ替える計画が台無しではないか!」
総理「も、申し訳ありません!」
大富豪「もういい、貴様はあてにならん!」
大富豪「こうなれば、ワシ自ら“フードコートのジャンヌ・ダルク”とかいうたわけた女を説き伏せ」
大富豪「フー圧法を再び推し進めてくれるわ!」
51: 2017/02/09(木) 01:52:46.920 ID:87aNsBWE0.net
―フードコート―
執事「お嬢様……」
お嬢様「なぁに?」
執事「それが、フードコート弾圧法を推し進めていた方がこちらにいらっしゃり」
執事「お嬢様と話をしたいとおっしゃってるのですが……」
お嬢様「あら、ちょうどいい。私も首謀者と話をしたかったところなのよ」
執事「それが……その……」
お嬢様「?」
お嬢様(執事がうろたえるなんて、珍しいわね)
執事「お嬢様……」
お嬢様「なぁに?」
執事「それが、フードコート弾圧法を推し進めていた方がこちらにいらっしゃり」
執事「お嬢様と話をしたいとおっしゃってるのですが……」
お嬢様「あら、ちょうどいい。私も首謀者と話をしたかったところなのよ」
執事「それが……その……」
お嬢様「?」
お嬢様(執事がうろたえるなんて、珍しいわね)
53: 2017/02/09(木) 01:56:02.618 ID:87aNsBWE0.net
大富豪「……失礼する」
大富豪「んん!?」
大富豪「お前は!?」
お嬢様「お父様!?」
大富豪「ま、まさか……お前が“フードコートのジャンヌ・ダルク”!?」
お嬢様「お父様がフー圧法の元凶だったの!?」
大富豪「なぜ……こんなことを……」
お嬢様「それはこっちのセリフよ! なんでこんなことしたの、お父様!」
大富豪「そ、それは……」
大富豪「んん!?」
大富豪「お前は!?」
お嬢様「お父様!?」
大富豪「ま、まさか……お前が“フードコートのジャンヌ・ダルク”!?」
お嬢様「お父様がフー圧法の元凶だったの!?」
大富豪「なぜ……こんなことを……」
お嬢様「それはこっちのセリフよ! なんでこんなことしたの、お父様!」
大富豪「そ、それは……」
54: 2017/02/09(木) 02:00:09.553 ID:87aNsBWE0.net
大富豪「お前は昔から食いしん坊だった。食べるのが大好きな娘だった」
大富豪「だから……お前のために高級レストランをたくさん作りたかった」
大富豪「しかし、それには土地が足りない」
大富豪「そこでまずフードコート民を弾圧し、全国のフードコートを潰そうと考えたのだ……」
お嬢様「そう……全て私のためだったのね……」
お嬢様「お父様の……バカァ!!!」
バキィッ!
大富豪「ぶげぁっ!」
大富豪「だから……お前のために高級レストランをたくさん作りたかった」
大富豪「しかし、それには土地が足りない」
大富豪「そこでまずフードコート民を弾圧し、全国のフードコートを潰そうと考えたのだ……」
お嬢様「そう……全て私のためだったのね……」
お嬢様「お父様の……バカァ!!!」
バキィッ!
大富豪「ぶげぁっ!」
56: 2017/02/09(木) 02:03:23.401 ID:87aNsBWE0.net
お嬢様「見て、この元通りになったフードコートの光景を!」
大富豪「……!」
ワイワイ…… ガヤガヤ……
お嬢様「食事を楽しむ家族、勉強している学生、サボってる会社員、井戸端会議に夢中なおばさん」
お嬢様「スイーツに舌鼓をうつお姉さん、水ばかり飲んでるケチ、昼間から酒をかっくらってるおっさん……」
お嬢様「みんなが同じ場所にいるわ」
お嬢様「こんな自由で平等な食事スペースが他にあるかしら? ――いやない!」
お嬢様「フードコートは自由と平等の象徴なのよ!」
お嬢様「そして私は、そんなフードコートが大好きなのよ!」
大富豪「!!!」ガーン
大富豪「……!」
ワイワイ…… ガヤガヤ……
お嬢様「食事を楽しむ家族、勉強している学生、サボってる会社員、井戸端会議に夢中なおばさん」
お嬢様「スイーツに舌鼓をうつお姉さん、水ばかり飲んでるケチ、昼間から酒をかっくらってるおっさん……」
お嬢様「みんなが同じ場所にいるわ」
お嬢様「こんな自由で平等な食事スペースが他にあるかしら? ――いやない!」
お嬢様「フードコートは自由と平等の象徴なのよ!」
お嬢様「そして私は、そんなフードコートが大好きなのよ!」
大富豪「!!!」ガーン
58: 2017/02/09(木) 02:06:39.025 ID:87aNsBWE0.net
大富豪「ワシは……間違っておったのだな……」
大富豪「お前の気持ちも知らず、フードコート及びフードコート民を絶滅させようなどと……」
大富豪「今すぐ、フードコート弾圧法は撤廃させよう……」
お嬢様「ありがとう……お父様」
大富豪「君にも迷惑をかけた」
執事「いえ……」
フードコート王「……どうやら話し合いは終わったみたいだな」
フードコート王「そんなお二人に、とっておきの料理を用意したぜ!」
大富豪「お前の気持ちも知らず、フードコート及びフードコート民を絶滅させようなどと……」
大富豪「今すぐ、フードコート弾圧法は撤廃させよう……」
お嬢様「ありがとう……お父様」
大富豪「君にも迷惑をかけた」
執事「いえ……」
フードコート王「……どうやら話し合いは終わったみたいだな」
フードコート王「そんなお二人に、とっておきの料理を用意したぜ!」
60: 2017/02/09(木) 02:12:16.507 ID:87aNsBWE0.net
フードコート王「出来たてほやほやの特製たこ焼きを用意した!」
フードコート王「さあ、食ってくれ!」
大富豪「うむ……」モグッ
お嬢様「いただきます」モグッ
大富豪「う、うまい……!」ハフハフッ
お嬢様「まぁ、おいしい! うまいですわ!」ハフハフッ
執事「ジャンヌ・ダルクは戦いの後、残念ながら、炎に焼かれて命を落としましたが――」
執事「お嬢様は炎に焼かれたタコ焼きでほっぺたを落としたようですね」
―おわり―
フードコート王「さあ、食ってくれ!」
大富豪「うむ……」モグッ
お嬢様「いただきます」モグッ
大富豪「う、うまい……!」ハフハフッ
お嬢様「まぁ、おいしい! うまいですわ!」ハフハフッ
執事「ジャンヌ・ダルクは戦いの後、残念ながら、炎に焼かれて命を落としましたが――」
執事「お嬢様は炎に焼かれたタコ焼きでほっぺたを落としたようですね」
―おわり―
61: 2017/02/09(木) 02:18:33.972 ID:ZXSDXpeAr.net
執事さんいいとこ持ってったか
乙
乙
62: 2017/02/09(木) 02:22:32.438 ID:Xv7MAjUm0.net
面白かったわ
乙です
乙です
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