1: 2017/02/09(木) 00:12:35.469 ID:87aNsBWE0.net
お嬢様「執事、今日のお昼ご飯は?」

執事「キャビアとトリュフとフォアグラの混ぜご飯でございます」

お嬢様「またそれなの? もう飽きてしまったわ」

お嬢様「私、いつもとは違うものが食べたい!」

執事「ならばフードコートに行くのはいかがでしょう?」

お嬢様「フードコート?」
5: 2017/02/09(木) 00:15:12.039 ID:87aNsBWE0.net
執事「フードコートとは、ショッピングモールやスーパーマーケットなどにある食事スペースです」

執事「スペース内にはいくつかの飲食店が立ち並び、客は好きな店を選び」

執事「好きな席で食事することができるのです」

お嬢様「まぁ、面白そう!」

お嬢様「ならば執事、フードコートに行きますわよ!」

執事「かしこまりました」

6: 2017/02/09(木) 00:18:06.367 ID:87aNsBWE0.net
―ショッピングモール―

執事「この一帯では一番大きいショッピングモールです」

執事「あちらに、フードコートのラインナップが書いてありますな」

お嬢様「ふうん、どれどれ……」

お嬢様「こ、これは……ッ!」


・銀だこ ・幸楽苑 ・丸亀製麺

・リンガーハット ・ファーストキッチン ・ミスタードーナツ


お嬢様「ふむふむ、なるほど……」

お嬢様「主食、軽食、甘味と全てが揃った、なかなかのラインナップですわね」

執事「麺類が三種類もあり、どれにするか迷ってしまいますね」

8: 2017/02/09(木) 00:20:13.925 ID:87aNsBWE0.net
お嬢様「じゃあまず、醤油ラーメンを食べて、それから釜玉うどん、野菜たっぷりちゃんぽん」

お嬢様「アボカドバーガー食べて、タコ焼き食べて、ポンデリングで締め、といきましょう」

執事「全店回るんですか」

お嬢様「もちろんよ。金に糸目はつけませんわ」

執事「さすがお嬢様」

10: 2017/02/09(木) 00:23:16.891 ID:87aNsBWE0.net
―フードコート―

お嬢様「……!?」

お嬢様「これがフードコート……? まるで荒れ果てた廃墟ですわ! スラム街ですわ!」

執事「店も営業している様子がありません。おかしいですね……」



ザザザッ!

荒くれ者「なんだ、てめぇら!?」

ならず者「よそ者がフードコートになんの用だぁ!?」

12: 2017/02/09(木) 00:25:54.943 ID:87aNsBWE0.net
お嬢様「メシを食べにきたんですのよ」

荒くれ者「メシだぁ!?」

お嬢様「だってフードコートはご飯を食べるところでしょう?」

荒くれ者「ぐへへへ、あいにくここはそんなところじゃねえよ!」

ならず者「逆に俺らがてめえを食べてやるぜぇ! 下半身でな!」

14: 2017/02/09(木) 00:28:44.466 ID:87aNsBWE0.net
荒くれ者「ヒャッハーッ!」ガバッ

ならず者「いただきまぁす!」ガバッ

執事「お嬢様に手出しはさせん」ササッ


バキィッ! ドカァッ!


荒くれ者「ぎゃぴっ!」

ならず者「ぐげぇっ!」


お嬢様「お見事ですわ、執事」

17: 2017/02/09(木) 00:31:38.130 ID:87aNsBWE0.net
荒くれ者「ぐ……!」

ならず者「つ、つええ……」

お嬢様「さぁ、あなたたち、私をフードコートの責任者のところに連れていきなさい」

お嬢様「なんでこんなことになってるのかを問い詰めてあげなくては!」

荒くれ者「うぐ……分かったよ……連れていくよ……」

荒くれ者「フードコートの王のところにな!」

18: 2017/02/09(木) 00:34:30.798 ID:87aNsBWE0.net
荒くれ者「王!」

フードコート王「どうした、何があった?」

荒くれ者「実はよそ者が来て、フードコートの責任者に会いたいと……」

フードコート王「どんな奴だ?」

荒くれ者「ドレスを着たいかにもなお嬢様と、そのお供の二人組です」

フードコート王「通せ」

……

お嬢様「あなたがこのフードコートの責任者?」

フードコート王「そうだ」

20: 2017/02/09(木) 00:37:33.616 ID:87aNsBWE0.net
お嬢様「私、フードコートに来るのは初めてなのだけれど」

お嬢様「食事をするどころかいきなり襲われて、これじゃまるでスラム街ですわ!」

お嬢様「これは一体どういうことなの?」

フードコート王「……お嬢ちゃん、どうやらあんたは何も知らないようだな」

お嬢様「え?」

フードコート王「フードコートの哀しみと屈辱に満ちた歴史を……」

お嬢様「えええ!?」

フードコート王「少し長くなるが、話してやろう」

21: 2017/02/09(木) 00:40:34.824 ID:87aNsBWE0.net
フードコート王「かつてフードコートは、開放感のある食事スペースとして隆盛を極めていた」

フードコート王「飯時になれば、フードコートが賑わわない日はなかったほどだ」

フードコート王「ところが……だんだんとフードコートで食事をするのは低俗、という風潮が生まれ始めた」

フードコート王「フードコート利用者は軽蔑されるようになっていったんだ」

お嬢様「なんですって……!?」

フードコート王「そして一年前、ついにあの法律が可決されてしまう」

お嬢様「あの法律……ってなんですの?」

フードコート王「フードコート弾圧法……通称『フー圧法』だ」

22: 2017/02/09(木) 00:43:47.957 ID:87aNsBWE0.net
フードコート王「フー圧法により、あらゆる飲食店はフードコートからの撤退を義務付けられ」

フードコート王「フードコート利用者、通称『フー民』は人権を剥奪された」

フードコート王「それどころか、フードコートから出ることすら許されなくなった」

フードコート王「出れば、武装した店員によって即座に始末される」

フードコート王「フードコートとその利用者は、一般社会から完全に隔離されたってわけだ」

お嬢様「なんてことなの……!」

執事「申し訳ありません、お嬢様。私も知りませんでした」

フードコート王「無理もない。上流階級には縁のない話だからな」

23: 2017/02/09(木) 00:46:54.858 ID:87aNsBWE0.net
フードコート王「フー民には重い労役が課せられ、今や一日一日を生き抜くのがやっとだ」

お嬢様「労役? どのような?」

フードコート王「ウォーターサーバーへの紙コップ補充と、ダスター洗濯、テーブル拭き、床磨きだ」

お嬢様「なんてひどい!」

執事「古代エジプトのピラミッド建設、古代中国の万里の長城建設に匹敵する重労働ですね」

フードコート王「隔離され、差別され、こんな生活をするうちに、フー民はみんな荒んじまった」

フードコート王「信じられないだろうが、あの荒くれ者やならず者だって、元は善良な人間だったんだ」

お嬢様「まぁっ……」

24: 2017/02/09(木) 00:50:10.997 ID:87aNsBWE0.net
執事「飲食店が撤退したというが、フー民は食事はどうしているのだ?」

フードコート王「さすがに先進国が自国民を餓氏させたとあっちゃ、国際的な非難を浴びかねないからな」

フードコート王「一応、メシのための材料は外から送られてくるぜ」

フードコート王「ただし……」

お嬢様「ただし?」

フードコート王「これを食べてみな」

お嬢様「これはタコ焼きですわね! いただきます!」モグッ

26: 2017/02/09(木) 00:53:30.152 ID:87aNsBWE0.net
お嬢様「はふっ、はふっ」

お嬢様「――う!?」

お嬢様「なにこれ、中身はイカじゃないの!」

フードコート王「その通り、タコじゃないんだ」

お嬢様「こんなのイカサマじゃない!」

フードコート王「俺たちみてえな非国民はパチモンを食ってろってことさ」

28: 2017/02/09(木) 00:56:27.273 ID:87aNsBWE0.net
お嬢様「でも、今のタコ焼き……じゃなかったイカ焼き、なんで熱々でしたの?」

フードコート王「そりゃもちろん、ついさっき俺が焼いたからだよ」

お嬢様「あっ、あなた、まさか――」

フードコート王「そう、俺はタコ焼き屋の店員だったのさ」

フードコート王「もっともフー圧法に反対したせいで、ここに隔離されちまったがね」

フードコート王「今や大好きなタコ焼きを焼くことも許されず、ここで静かに朽ちるのを待つ身さ」

お嬢様「……」ワナワナ…

執事「お嬢様?」

29: 2017/02/09(木) 01:00:34.077 ID:87aNsBWE0.net
お嬢様「許せません! 許せませんわ!」

お嬢様「フー圧法ですって? 誰が考えたか知らないけど、こんなふざけた法律、断じて許せません!」

お嬢様「戦いましょう、執事!」

執事「お嬢様ならそうおっしゃると思っていました」

フードコート王「しかし、戦うったって、どうやって?」

お嬢様「このフードコートに、フー民は何名ぐらいいらっしゃるの?」

フードコート王「ざっと3000人だ」

お嬢様「なら、その3000名で決起して、挙兵するのよ!」

お嬢様「このショッピングモールを解放すれば、きっと全国のフードコートも呼応して」

お嬢様「フー圧法を撤廃させるという革命を起こせるはずですわ!」

31: 2017/02/09(木) 01:03:31.853 ID:87aNsBWE0.net
フードコート王「革命……ねえ」

フードコート王「だが、このショッピングモールにはフードコートを隔離するため」

フードコート王「武装した店員が5000は配備してある」

フードコート王「倍近い戦力差をどう埋める?」

お嬢様「戦いは数ではないわ……士気の高さで決まるのですわ!」

お嬢様「私が演説を行い、フー民の士気を高めれば、勝機はあります!」

フードコート王「……なんか、あんたの話を聞いてたら、本当にできそうな気がして来たぜ」

フードコート王「ここはいっちょ、あんたに託してみるか!」

33: 2017/02/09(木) 01:08:25.780 ID:87aNsBWE0.net
ザワザワ…… ガヤガヤ……


お嬢様「フードコート民、通称フー民の皆さん、こんにちは」

お嬢様「わたくし、今日初めてフードコートに来たのですけど」

お嬢様「皆様の惨状を知って、大変憤っておりますわ!」

お嬢様「フードコートという食事を楽しむためのスペースが」

お嬢様「低俗などという理由で弾圧されるなど、断じてあってはなりません!」

お嬢様「皆さん、戦うのよ!」

お嬢様「立てよ、フー民!!!」


ワアァァァァァ……!


執事「さすがお嬢様……天性のカリスマ性をお持ちだ」

フードコート王「3000の気持ちを一つにまとめやがった!」

フードコート王(まるで百年戦争時、イギリスからオルレアンを救ったジャンヌ・ダルクのようだ!)

34: 2017/02/09(木) 01:10:38.989 ID:87aNsBWE0.net
一時間後――

お嬢様「フー民の皆さま、準備はよろしいかしら?」

お嬢様「右手に紙コップを!」ジャキンッ

お嬢様「左手にダスター(ふきん)を!」ジャキンッ


お嬢様「いざ突撃ーっ!!!」




ワァァァッ!!!

35: 2017/02/09(木) 01:13:29.745 ID:87aNsBWE0.net
―ショッピングモール―

店員A「……ん? フードコートの方角が騒がしいな」

店員B「なぁに、どうせまた仲間内で乱闘でもやってるんだろ」

店員A「そうに違いない。下劣なフー民どもに反乱を起こす勇気なんてあるわけないしな」

店員B「い、いや待て!」


ドドドドド……!


店員A「――は、反乱だーっ!!!」

36: 2017/02/09(木) 01:16:25.767 ID:87aNsBWE0.net
店員A「くっ、試食用の爪楊枝を撃て撃てーっ!」ガガガガガッ

店員B「薄汚いフー民どもが!」ガガガガガッ

お嬢様「重ねた紙コップでガード!」キキキキキンッ

お嬢様「さあ、石を包んだダスターを投げつけるのよ!」

フードコート王「うおりゃ!」ブンッ

荒くれ者「喰らえ!」ブンッ

ならず者「フー民をなめるな!」ブンッ

ドガガガガッ!

店員AB「ぐああああっ……!」

38: 2017/02/09(木) 01:19:27.084 ID:87aNsBWE0.net
お嬢様「食品売り場は制圧しましたわ!」

フードコート王「まさかここまでうまくいくとは……さすがジャンヌ・ダルク」

お嬢様「まぁっ」ポッ…

執事「しかし、浮足立っていた敵も、少しずつこちらの奇襲に対応しつつあります」

執事「お嬢様、このままでは包囲されます。いかがいたしましょう?」

お嬢様「知れたことよ。このまま一気に店長室を目指すのですわ!」

39: 2017/02/09(木) 01:23:17.493 ID:87aNsBWE0.net
店員C「数ではこっちが勝ってるんだ! 押しまくれ!」


お嬢様「ふん、こちらの最終兵器の前には数など無意味よ!」

お嬢様「荒くれ、ウォーターサーバーから放水!!!」

荒くれ者「へい!」


ドジャァァァァァ……!!!


店員C「うっ、うわぁぁぁっ!」

店員D「流されるぅぅぅ!」

42: 2017/02/09(木) 01:26:47.367 ID:87aNsBWE0.net
―店長室―

店長「――な、なんだと!? フー民が反乱を起こしただと!?」

店長「店員どもは何をやっているのだ!」

副店長「ほとんどがアルバイトのため、士気は上がらず、敗走を繰り返しております……」

店長「この店長室が落とされたら、このショッピングモールはオシマイだ!」

店長「すみやかに親衛店員を出動させろ!」

副店長「はっ!」

44: 2017/02/09(木) 01:31:01.125 ID:87aNsBWE0.net
親衛店員A「お客様用の割り箸で作った割り箸マシンガンを撃てーっ!」

親衛店員B「輪ゴムの弾幕で敵を近づけるな!」

ガガガガガ……! ガガガガガ……!


荒くれ者「ちっくしょう!」

お嬢様「どうしたの?」

荒くれ者「親衛店員が手強くて、これ以上進めません!」

ならず者「どうしやしょう!?」

お嬢様「……心配いらないわ」

お嬢様「――執事!」

執事「はっ」

45: 2017/02/09(木) 01:35:09.580 ID:87aNsBWE0.net
お嬢様「あの手強い人達をやっつけなさい!」

執事「かしこまりました」


執事「はああああああっ!」

ドカッ! バキッ! ガッ!

親衛店員A「ぐほっ!」

「うげぇっ!」 「ぐはぁっ!」 「うぎゃっ!」


親衛店員B「くそっ!」チャキッ

フードコート王「お前の相手は俺だ!」

フードコート王「卍固め(オクトパスホールド)!」ガキッ

親衛店員B「いだだだだだだっ!」


お嬢様「タコ焼き屋らしい得意技ですわ!」

46: 2017/02/09(木) 01:38:16.728 ID:87aNsBWE0.net
―店長室―

副店長「大変です! 親衛店員が全滅しました!」

店長「なんだと!? あのエリート集団が!?」


ガチャッ!


店長「!」

お嬢様「動かないで!」

店長「ぐっ!」

お嬢様「動くと紙コップの散弾をお見舞いしますわよ!」

店長「くそっ……降伏する……!」ガクッ



こうして、このショッピングモールはフードコート軍によって制圧された。

47: 2017/02/09(木) 01:41:45.215 ID:87aNsBWE0.net
執事「やりましたね、お嬢様」

お嬢様「ええ」

お嬢様「だけど、まだ戦いが終わったわけじゃないわ」

お嬢様「執事、このフードコートが解放された事実を、ツイッターとかで流すのよ!」

お嬢様「そうすれば、全国のフー民が立ち上がるはずですわ!」

執事「かしこまりました」

49: 2017/02/09(木) 01:44:43.516 ID:87aNsBWE0.net
お嬢様たちによるフードコート解放の余波はたちまち全国に広がり、
全国のスーパーマーケットやショッピングモールでフー民が決起し、勝利を収めた。


「フードコート・レコンキスタ」の始まりである。


世論もフードコート側に傾き、もはやフー圧法撤廃は時間の問題と思われた。



ところが――

50: 2017/02/09(木) 01:48:18.162 ID:87aNsBWE0.net
―首相官邸―

大富豪「何をやっておるのだ、総理!」

大富豪「これではフードコートやフードコート民などという下劣な存在を潰し」

大富豪「全国のフードコートを最高級レストランに入れ替える計画が台無しではないか!」

総理「も、申し訳ありません!」

大富豪「もういい、貴様はあてにならん!」

大富豪「こうなれば、ワシ自ら“フードコートのジャンヌ・ダルク”とかいうたわけた女を説き伏せ」

大富豪「フー圧法を再び推し進めてくれるわ!」

51: 2017/02/09(木) 01:52:46.920 ID:87aNsBWE0.net
―フードコート―

執事「お嬢様……」

お嬢様「なぁに?」

執事「それが、フードコート弾圧法を推し進めていた方がこちらにいらっしゃり」

執事「お嬢様と話をしたいとおっしゃってるのですが……」

お嬢様「あら、ちょうどいい。私も首謀者と話をしたかったところなのよ」

執事「それが……その……」

お嬢様「?」

お嬢様(執事がうろたえるなんて、珍しいわね)

53: 2017/02/09(木) 01:56:02.618 ID:87aNsBWE0.net
大富豪「……失礼する」

大富豪「んん!?」

大富豪「お前は!?」

お嬢様「お父様!?」

大富豪「ま、まさか……お前が“フードコートのジャンヌ・ダルク”!?」

お嬢様「お父様がフー圧法の元凶だったの!?」

大富豪「なぜ……こんなことを……」

お嬢様「それはこっちのセリフよ! なんでこんなことしたの、お父様!」

大富豪「そ、それは……」

54: 2017/02/09(木) 02:00:09.553 ID:87aNsBWE0.net
大富豪「お前は昔から食いしん坊だった。食べるのが大好きな娘だった」

大富豪「だから……お前のために高級レストランをたくさん作りたかった」

大富豪「しかし、それには土地が足りない」

大富豪「そこでまずフードコート民を弾圧し、全国のフードコートを潰そうと考えたのだ……」

お嬢様「そう……全て私のためだったのね……」

お嬢様「お父様の……バカァ!!!」


バキィッ!


大富豪「ぶげぁっ!」

56: 2017/02/09(木) 02:03:23.401 ID:87aNsBWE0.net
お嬢様「見て、この元通りになったフードコートの光景を!」

大富豪「……!」


ワイワイ…… ガヤガヤ……


お嬢様「食事を楽しむ家族、勉強している学生、サボってる会社員、井戸端会議に夢中なおばさん」

お嬢様「スイーツに舌鼓をうつお姉さん、水ばかり飲んでるケチ、昼間から酒をかっくらってるおっさん……」

お嬢様「みんなが同じ場所にいるわ」

お嬢様「こんな自由で平等な食事スペースが他にあるかしら? ――いやない!」

お嬢様「フードコートは自由と平等の象徴なのよ!」

お嬢様「そして私は、そんなフードコートが大好きなのよ!」

大富豪「!!!」ガーン

58: 2017/02/09(木) 02:06:39.025 ID:87aNsBWE0.net
大富豪「ワシは……間違っておったのだな……」

大富豪「お前の気持ちも知らず、フードコート及びフードコート民を絶滅させようなどと……」

大富豪「今すぐ、フードコート弾圧法は撤廃させよう……」

お嬢様「ありがとう……お父様」

大富豪「君にも迷惑をかけた」

執事「いえ……」



フードコート王「……どうやら話し合いは終わったみたいだな」

フードコート王「そんなお二人に、とっておきの料理を用意したぜ!」

60: 2017/02/09(木) 02:12:16.507 ID:87aNsBWE0.net
フードコート王「出来たてほやほやの特製たこ焼きを用意した!」

フードコート王「さあ、食ってくれ!」

大富豪「うむ……」モグッ

お嬢様「いただきます」モグッ

大富豪「う、うまい……!」ハフハフッ

お嬢様「まぁ、おいしい! うまいですわ!」ハフハフッ


執事「ジャンヌ・ダルクは戦いの後、残念ながら、炎に焼かれて命を落としましたが――」

執事「お嬢様は炎に焼かれたタコ焼きでほっぺたを落としたようですね」







―おわり―

61: 2017/02/09(木) 02:18:33.972 ID:ZXSDXpeAr.net
執事さんいいとこ持ってったか

62: 2017/02/09(木) 02:22:32.438 ID:Xv7MAjUm0.net
面白かったわ
乙です

引用: お嬢様「フードコートに行きますわよ!」執事「かしこまりました」