1: 2013/06/20(木) 13:53:31.15 ID:gE9qMPfw0
結衣「あ、う、ううん。なんでもないよ。あはは……」

八幡「……?変なやつだな」

八幡に話し掛けられ、机に入っていた紙を慌てて隠す。

葉山たちがお喋りしている間に、もう一度紙を取り出す。

四つに折られているその紙を開くと……やっぱり見間違いじゃなかった。

その紙には、殴り書きしたような文字が、こう並んでいた。


  調子に乗るな ブス 氏ね 消えろ

6: 2013/06/20(木) 14:18:31.31 ID:gE9qMPfw0
と、みんなとお喋りしてた三浦が、不意にこちらに話しをふってくる。

三浦「忘れ物と言えば、さっきの紙なんだったの?」

結衣「えっ、えと、き、昨日もらったプリント忘れて帰っちゃったみたいで……」

葉山「おいおい、気を付けなきゃ駄目じゃないか」

結衣「あ、あはは……」

7: 2013/06/20(木) 14:19:45.67 ID:gE9qMPfw0
全身に走る悪寒を堪え、なんとか笑ってごまかせた。

だけど気を抜くと今にも体が震え、その場に崩れ落ちそうになってしまう。

それほどの私に対する悪意、憎悪、嫌悪感があの紙から、文字から伝わってきた。

私は、何かしてしまったのだろうか。

これほどの感情を誰かに芽生えさせてしまう何かを、知らず知らずのうちに……

9: 2013/06/20(木) 14:23:37.35 ID:gE9qMPfw0
1限目終了後

八幡「由比ヶ浜」

結衣「っ!な、なに?どうしたのヒッキー……」

八幡「……どうかしたか由比ヶ浜。なんかぼーっとして。授業中もなんか……」

結衣「え?あ、ご、ごめんね。なんだかまだ目が覚めてないみたいで……」

八幡「ったく。ちゃんと寝なきゃ駄目だろうが」

結衣「う、うん、そうだね。ごめんね。それで、何?何か用事があったんじゃ……?」

八幡「用事って……2限目は移動教室だぞ。早く行かなきゃ葉山たちが待ってるぞ」

結衣「あ、そ、そうだった……ごめんね」

11: 2013/06/20(木) 14:26:09.65 ID:gE9qMPfw0
2限目も終わって教室に戻り、3限目の準備を始めようとしたその時。

結衣「……あれ?あれ……あれ?」

戸部「ん?どうした結衣?」

結衣「ノートがない……おかしいな、確かに持ってきたのに……」

海老名「結衣が忘れ物なんて珍しいこともあるものね、三浦ならまだしも」

三浦「おい!」

葉山「今日の由比ヶ浜はうっかりさんだな」


みんなは私が忘れたのだと思ってるみたい……確かにその可能性もあり得ただろう。
なくなったノートが一冊だったなら。

12: 2013/06/20(木) 14:29:53.70 ID:gE9qMPfw0
今日持ってきたノート、そのすべてがなくなっている。
そっか……やっぱり……。
信じたくなかったけど、これが『いじめ』なんだな……。
先生がみんなの前で言ってた。
いじめられたら、すぐに誰かに相談しなさい、って。
でも……そんなのできない。
家族や、友達に心配かけたくない。
私は、我慢しなきゃいけないんだ。

13: 2013/06/20(木) 14:30:30.19 ID:gE9qMPfw0
次の日も、その次の日も、新しいノートを買うたびに、なくなった。

なくなってないと思ったら中がぼろぼろで、とてもじゃないけど使える状態じゃなくなってた。

最初はどうして教科書じゃなくてノートばかり、と思ったけど、最近理由がわかった気がする。

教科書だったら、怪しまれるからだ。

教科書は買うのに手続きがいるから、何度もなくなって何度も買いなおせば先生に怪しまれる。

そうしていじめがばれるのを避けるために、ノートなんだ。

私のお小遣いも減らせるし、いじめもばれにくい。

よく考えてるな……。

14: 2013/06/20(木) 14:32:01.52 ID:gE9qMPfw0
今日は、特に酷かった。

私が一人でお手洗いに行き、個室に入ると、水をかけられた。

びっくりして悲鳴を上げたのと、数人の笑い声が聞こえたのは同時だった。


雪乃「ゆ、由比ヶ浜さん!?どうしたの!?そんなずぶ濡れで……!」

結衣「あ、えと、手を洗う時に蛇口を思いっきり捻っちゃって……」

雪乃「とにかく着替えなさい!そのままじゃ風邪を引くわ」

結衣「うん、そうだね……」

15: 2013/06/20(木) 14:34:09.15 ID:gE9qMPfw0
その日一日、私だけ体操服で過ごした。

みんな制服の中で一人だけ体操服で居るのはすごく恥ずかしくて、多分顔は真っ赤だったと思う。

そんな私の様子を見ていじめっこたちは喜んでるんだろうなと思うと、すごく悔しくて、悲しかった。

放課後、ヒッキーにゆきのんにしたのと同じ説明をしてる時、涙を堪えるので一生懸命だった。

ドジなんだから、と笑いながらぐしょ濡れの制服を干してくれるゆきのんの後ろ姿を見てると、

我慢できなくなって、トイレに駆け込んで泣いた。

でも、トイレに入るとあの時のあの瞬間を思い出してしまって、もっともっと涙が止まらなかった。

33: 2013/06/20(木) 14:51:54.20 ID:gE9qMPfw0
翌日

今日の体育は水泳。
授業を終え、着替えようとすると、下着がなくなってた。
仕方ないから、そのまま制服を着て放課後まで過ごした。


雪乃「ねぇ由比ヶ浜さん」

結衣「ッ……な、なに……?ゆきのん……」

雪乃「ど、どうしたの?そんなにびっくりして……」

結衣「な、なんでも……ない、よ……なんでもないから……」

雪乃「……?」


誰かに話しかけられる。
たったそれだけのことが怖かった。

38: 2013/06/20(木) 15:21:36.36 ID:gE9qMPfw0
ごめん。書いてたらトラウマで辛くなってきた
荷が重かったようだ……
あとは任せたぜ……お前ら……

引用: 結衣「……!!」八幡「由比ヶ浜、どうした?」