266: ◆llXLnL0MGk 2013/08/02(金) 13:55:41.27 ID:+t4qVEgy0


モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ



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??「次元超越体、第65535次世界へ接近中!」

??「入電! 第18782次世界の連合艦隊、次元超越体の拠点へ進軍を開始しました!」

??「第37564次世界のスーパーロボット軍団も発進しました!」

??「それでも一部の次元超越体は第65535次世界へ到達する可能性が高いな……SC-01は出せるか?」

??「はい、マイシスターと共に待機状態に入っています」

??「よし、SC-01を第65535次世界へ転送! 座標はSF-92-60-85!」

??「了解! 転送、開始します!」

??「SC-01、任務だ。第65535次世界へ転送後、出現しうる次元超越体を迎撃せよ。尚、
   第65535次世界は平行世界への理解が浅い。よって現地の住人との過剰接触は認められない」

??『……復唱。第65535次世界へ転送、次元超越を迎撃。住人との過剰接触は不可』

??『任務了解。SC-01、発進します』

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それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。


それと同じ日に、宇宙から地球を侵略すべく異星人がやってきました。
地球を守るべくやってきた宇宙の平和を守る異星人もやってきました。

異世界から選ばれし戦士をが悪のカリスマが
突然超能力に目覚めた人々が未来から過去を変えるためにやってきた戦士が。
他にも隕石が降ってきたり、先祖から伝えられてきた業を目覚めさせた人がいたり。

それから、それから――


「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。

・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。





267: 2013/08/02(金) 13:57:24.20 ID:+t4qVEgy0
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――憤怒の街。

辛うじて生き延びていた幼い兄妹が、街中を逃げ回っていた。

妹「お兄ちゃん、もう疲れた……」

兄「頑張れ! もうすぐヒーローが来てくれるかも知れないんだぞ!」

たった一筋の希望を求めて、ただただ、逃げ回っていた。しかし、

『ウォラアアアア!コンノクソガキャアアアアアアア!!』

『イッピキノコラズクチクシテヤル!』

『ヤッテヤル!ヤッテヤルゾォ!!』

逃げた先に、大量のカース。絶対絶命だ。

妹「お、お兄ちゃん……」

兄「あ、あああ……」

『カースノハンゲキハコレカラダァ!!』

一体のカースが兄妹に向けて拳を振り下ろす。

兄妹「「ひぐっ!?」」



バチッ



グギャアアアアアア!?』

振り下ろされたカースの拳は、突如現れた光の柱によって弾き返された。

兄「えっ……えっ……!?」

妹「何……何これ……」

やがて柱が消え、その位置にはメカニカルな衣装を身に纏った女性が立っていた。

268: 2013/08/02(金) 13:59:23.06 ID:+t4qVEgy0

??「……転送完了。第65535次世界と確認。座標、SF-92-60-85と……ん? ……転送座標のズレを確認。
   バグでありましょうか……」

女性は突っ立ったままブツブツと呟いている。

やがて顔を上げ、目の前の異形に気がつく。

『テンメェナニモンダァァ!?』

??「……検索完了。『カース』第65535次世界にのみ出現する謎多き存在……」

兄「あっ、あの……」

兄が女性に話しかける。

??「……あなた方は……民間人、でありますか?」

兄「えっ、う、うん……ねえ、お姉さんは……ヒーロー……なの?」

兄の問いに、女性は静かに首を振る。

??「いえ、私はヒーローではありません。しかし……」

女性が指をパキンと鳴らすと、何も無かった上空に突如飛行機が現れた。

??「異形に襲われる民間人を見頃しにしろという指令は受けていないであります。……マイシスター!」

女性の号令に従い、飛行機から黒い塊が二つ投下された。

女性が手に取ったそれは、大型のライフルとガトリング砲だった。

??「シュート!」

ガトリング砲は勢いよく弾丸を吐き出し、一体のカースを蜂の巣にしていく。

『ガァッ!? パ、パワーガチガイスギルゥ!!』

そして露出した核に女性は懐から取り出したナイフを一本投げ込む。

ナイフは見事核に突き刺さり、カースが一体消滅した。

『ウ、ウワアアアアアアアアアア!!』

269: 2013/08/02(金) 14:00:52.02 ID:+t4qVEgy0

『カースハモウ!ジンルイナンカニマケナイィ!!』

もう一体のカースのパンチを大ジャンプでかわすと、すかさずライフルを構えて三発発射した。

全く同じ箇所に三回撃ち込まれた弾丸は、玉突き事故のように核の目前まで迫った。

??「もう一発……!」

もう一度ジャンプし、先に撃ち込んだ弾丸の尻目掛けてもう一発。

次々に押し出された弾丸が、ついにカースの核を撃ち抜いた。

『ナンノセイカモ……エラレマセンデシタァァァァァァア!!』

『ウウウウ、ウオアアアアアアアア!!』

残ったカースが泥を飛ばして攻撃してくる。

??「マイシスター!」

女性の号令で飛行機から投下された巨大な鉄板が、泥を防ぐ盾になった。

??「マイシスター、もう一度!」

次に飛行機から投下されたのは、巨大なバズーカ。

??「ふっ!」

鉄板を足場に大ジャンプすると、女性はカースに向けてバズーカを発射した。

『グワアアアアアアアアアアアア!!!』

爆風で泥が吹き飛び、核がむき出しになる。

着地した女性はバズーカを地面に置くと、懐から拳銃を取り出した。

??「フィニッシュ、であります」

拳銃から発射された弾丸は、カースの核を一撃で砕いた。

『ギャギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』

270: 2013/08/02(金) 14:02:13.08 ID:+t4qVEgy0

付近のカースが全滅した事を確認すると、女性は兄妹に向き直る。

??「今のうちに安全な所へ避難を。建物の中ならまだ外よりは安全でしょう」

妹「う、うん!」

兄「ありがとう、お姉ちゃん!」

兄妹の避難を確認した女性に、一つ、迫る影があった。

??「……カース、いえ、この反応は……」

偽泰葉「……何者ですか、あなたは」

現れたのは、『憤怒』のカースドヒューマン、岡崎泰葉。――の、偽者だった。

??「あなた方とは過剰接触を避けるよう指示されているので、お答えできません」

偽泰葉「ならそこをどいてくださいよ。過剰接触はいけないんで……しょうっ!?」

言いながら近くのコンクリート片を投げつける泰葉。しかし、女性はそれを片手ではしと受け止めた。

??「私がどけば、あの民間人達を頃すつもりでしょう」

偽泰葉「そうですよ。それがどうかしました…かァッ!?」

今度は停めてあった自動車を投げつけた。しかし、自動車は女性の目の前で真っ二つになって崩れた。

偽泰葉「!?」

女性の手には、刃状の光を放ち続ける筒が、いつの間にか握られていた。恐らくはこれで両断したのだろう。

??「ならば捨て置けません。こちらにも事情がありますので、戦闘力だけ奪わせていただきます」

そう、彼女は来たるべき任務の為に、少しでも弾薬を温存しておかなければならないのだ。

それを、先ほどの戦闘で少々消費してしまった。猶予はあまり無い。

偽泰葉「そうですか。出来るといいですね……ふぅんっ!」

271: 2013/08/02(金) 14:03:01.99 ID:+t4qVEgy0

??「マイシスター、回収!」

泰葉が飛び込んで来ると同時に、飛行機がバズーカやガトリング、ライフルを上空から回収した。

偽泰葉「はぁぁぁ!」

泰葉の拳をガードで受け止める女性。

??(これは……常人の力ではないであります。先ほどの怪力を見ても、やはり……ならば!)

女性はガードしていない手で光の刃を振るい、泰葉の左腕を斬りおとした。

偽泰葉「しまっ……!?」

地面に落ちた左腕が、黒い泥となって消える。

偽泰葉「チィッ! ここでやられては面白くありません、見逃してあげますよ、腹立たしい!!」

捨て台詞を吐いて、泰葉はどこかへ去った。

光の刃を収納した女性は、左腕の腕時計のような機械を展開しはじめた。

??「……司令室、応答願います」

亜季「こちらSC-01、大和亜季。司令室、応答願います」

司令室『こちら司令室。SC-01、いや亜季。無事に転送出来たようだな』

亜季「転送直後、カースとの交戦で一部弾薬を消耗しました。補充を要請するであります」

司令室『分かった。マイシスターの弾薬データをアップデートしておこう』

亜季「感謝します。それともう一つ。転送された座標が元の位置とずれているようであります」

司令室『何? それはすまない、後で確認しておく。とりあえず亜季は次元超越体に警戒しておいてくれ』

亜季「了解。通信を終了するであります」

機械を閉じると、亜季は背中から機械の翼を展開し、街の外へと向かった。

翼から少量上がる黒煙にも気付かずに。

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272: 2013/08/02(金) 14:03:54.66 ID:+t4qVEgy0
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カイ「いやー、なんとか塩と水分けてもらえて助かったよ。ね、ホージロー」

『キンキン』

山道を歩くのは、ウェンディ族の反逆者カイと、その相棒ホージロー。

追っ手が自分を狙うのなら、巻き込まれる人間がいない場所にいればいい。

そう考えたカイはこうして人気の少ない場所を移動し、たまに民家で塩と水を分けてもらっていた。

カイ「……ヨリコ様、どうしちゃったんだろ」

少し俯き、寂しそうにかつての主の名を口にした。その時、

??「うわわわわああああああああ!」

カイ「!?」

『キン!?』

突然、どこからともなく声がした。それも相当焦ったような。

周囲を見渡しても声の主は見えない。

カイ「あ、あれ……? どこ……?」

??「そこの人ー! どいて下さいー!!」

声はどんどん近づいてくる。

『キキィンキン!』

カイ「えっ、上? ……」

??「うわああー!!」

見上げたカイの目に映った光景は、まさに『親方、空から女の人が!』状態であった。

カイ「えっ、ちょっ、待っ」

ごつっ

カイ・??「「ふぎゃっ!」」

二人は互いの顔面に直撃し、そのままぶっ倒れてしまった。

『キン!キンキンキン!?キキン!?』

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273: 2013/08/02(金) 14:04:51.88 ID:+t4qVEgy0
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やがて目を覚ましたカイは、落ちてきた女性、亜季と話していた。

亜季「海中に住むウェンディ族、でありますか……資料には無いでありますな」

カイ「んー、イマイチよく分からないんだけどさ、平行世界って何?」

亜季は「自分はこことは別の平行世界からやってきた戦闘サイボーグだ」と言っていた。

しかし、その肝心の平行世界をカイは知らなかったのだ。

亜季「うーん、分かりやすく申し上げますと。全ての物事には無限に近い、いくつもの可能性があります」

カイ「ふんふん」

亜季「例えばカイ殿がウェンディ族から離反しない可能性、ウェンディ族が地上人と友好的に接触した可能性、
  そもそもウェンディ族が生まれない可能性……それらの可能性を体現した世界が平行世界であります」

カイ「……じゃあ、平行世界ってすごいたくさんあるんだね」

亜季「ええ。我々はこの世界を第65535次世界と呼んでいます。これでも番号はまだまだ若い方でありますよ」

カイ「ろ、ろくまん……そ、それで、次元超越体……だっけ、それをやっつける為に亜季さんは来た、と」

予想外に大きな数字が出てきて面食らうも、カイは気になっていた部分を確認する。

亜季「そうです。次元の壁を容易く越え、世界そのものを食らう化け物。それが今、この第65535次世界に迫っているのであります」

カイ「そんな化け物が……ん? でもそれ、話しちゃって大丈夫なの? 過剰接触は確か……」

亜季「それはお互い様でありますよ。カイ殿も他人を巻き込めないと言いながら、私に話してくれたではありませんか」

カイ「あ……そっか……」

亜季「……カイ殿は、これからもお一人……いえ、ホージロー殿とお二人だけで戦うおつもりですか?」

カイ「えっ……う、うん、そうだね……ウェンディ族の問題なわけだし……」

トーンを落として答えるカイの肩を、亜季がはしと掴む。

274: 2013/08/02(金) 14:05:39.17 ID:+t4qVEgy0
カイ「わっ……亜季さん?」

亜季「それは違うであります。カイ殿を始末したウェンディ族は、地上人を凶刃にかけようとするでしょう。
  それは最早、ウェンディ族だけの問題では無いのであります」

カイ「…………そう、だね……突然の事で混乱してて、そんな簡単な事も分からなくなってた……」

亜季「人々を巻き込みたくなければ、自分の手で護り、戦えばいい話であります」

カイ「……うん、そうだね。ありがとう、亜季さん。吹っ切れたよ」

亜季「亜季、でいいでありますよ。こんなにお互いの内をさらけ出して話した私たちはもう、トモダチでしょうから」

カイ「うん、分かった。じゃあ、あたしの事もカイでいいよ、亜季」

亜季「了解であります、カイ」

二人が笑いあい、固く握手したその直後。

ピピピッ ピピピッ

カイ「わわっ、何?」

『キン?』

亜季「司令室からの通信であります。失礼……はい、こちら第65535次世界、SC-01、大和亜季」

亜季は腕時計を展開し、通信を開始する。

司令室『亜季、緊急だ。第18782次世界の連合艦隊、第37564次世界のスーパーロボット軍団、
   ならびに第00999次世界の魔法騎士部隊、第01549次世界の武装ニンジャ隊等の活躍により、
   次元超越体のマザーを削除確認。各世界で活動する次元超越体も次々消滅している。我々の勝利だ!』

亜季「な、なんと! では、私は……」

司令室『ああ、お前の任務は終了した。ただちに帰還してくれ』

亜季「了か……あっ」

言葉を切り、亜季はふとカイの方を見やる。

275: 2013/08/02(金) 14:06:34.25 ID:+t4qVEgy0

カイ「……あたしは大丈夫だから、亜季は帰りなよ」

『キン……』

カイはそう言って、寂しげに笑っていた。

亜季「…………」

司令室『どうした、亜季?』

少しの逡巡のすえ、亜季が口を開く。

亜季「……申し訳在りませんが、帰還任務よりも優先すべき事案が発生した為、命令を拒否します!」

司令室『……なっ、なにぃ!?』

カイ「……亜季……?」

突然の発言に、司令室もカイも呆気に取られる。

司令室『お、おい亜季! どういう事だ! 何なんだ、優先すべき事案とは!』

亜季「それは…………それは、トモダチのお手伝いであります。では、通信を終了します」

にこっと笑って、亜季は強引に通信を終了させた。

カイ「亜季……いいの?」

心配そうにたずねるカイに、亜季はまた笑って答えてみせた。

亜季「私の仕事は終わりました。有給休暇とでも思って、もう少しこの第65535次世界に滞在するであります。なにより……」

カイ「……なにより?」

亜季「トモダチが困っていれば、手伝うのは当たり前でしょう?」

カイ「……!! ありがとう、亜季!」

『キッキン!』

亜季「これからもよろしくお願いするであります、カイ、ホージロー!」

カイ「うん!」

二人は手を取り合うと、仲良く歩き出していった。

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276: 2013/08/02(金) 14:07:29.03 ID:+t4qVEgy0
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??「通信、途絶えました」

??「…………見れば分かる」

??「どうしますか? 今ならまだ強引にこちらへ転送させることも出来ますが」

??「……いや、好きにさせてやれ。あ、マイシスターの弾薬データアップデートは定期的にな」

??「はっ、了解しました」

??「…………見たかよ、通信切れる直前」

??「何を……でしょうか」

??「あいつ、俺たちに初めて笑顔見せやがった」

??「……そういえば」

??「それほど魅力的なモンを見つけたんだろ。無理矢理引き離すのも酷だ」

??「そう……ですね」

??「よし、全員! 亜季の無事を祈って敬礼!」

??「「「「はっ!!」」」」

続く

277: 2013/08/02(金) 14:09:30.52 ID:+t4qVEgy0
・大和亜季

職業(?)
戦闘サイボーグ

属性
サイボーグヒーロー

能力
多数の火器を使用した複合戦闘術

詳細説明
平行世界の平和を管理する機関から第65535次世界へ転送された戦闘サイボーグ。
到着してほどなく任務がなくなってしまい、トモダチになったカイの手助けをすると決める。
サイボーグは半分人間なので普通にお腹が減ったり体調不良になったりもする。

関連アイドル
カイ(トモダチ)

関連設定
マイシスター
次元超越体

・マイシスター
亜季をアシストする小型のステルス無人輸送飛行機。
亜季の指示に応じて搭載してある火器は武具を投下、回収する。
普通自動車くらいの大きさで、内部に人間が乗り込むことは不可能。
スパ○ボDのブラン○ュネージュをイメージしてもらうと分かりやすい。

・次元超越体
次元の壁を乗り越えて世界そのものを食らう化け物。
ヒーローたちが戦う第65535次世界にも魔の手を伸ばそうとしたが、
各世界連合軍の活躍でマザーが討たれ、完全に全滅した。まあ出オチ。

・イベント追加情報
偽泰葉の一体が損傷、逃走しました。しかし戦闘力はそこまで下がっていません。

カイが亜季と合流、山奥引きこもりをやめました。

278: 2013/08/02(金) 14:12:14.12 ID:+t4qVEgy0
以上です
カイくんに友達を作りたかったんです
どうした軍曹言葉遣いが変だぞしてないか心配……
では失礼しました

279: 2013/08/02(金) 14:13:14.89 ID:Y5RKnTkW0
乙です
丁度書き上げたので嘘つきと本音イベント時間軸でアバクーゾ討伐投下




【次回に続く・・・】



引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part5