836: ◆tsGpSwX8mo 2013/08/13(火) 01:18:07.20 ID:EbLDMp7uo


モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ



宝の番人、穂乃香は洞窟の前の切り株の上に座り、腕を組んで寝ていた。

穂乃香は夢を見ていた。

夢の中の穂乃香は、今よりとても小さい。どうやら昔の夢を見ているようだ。

そして、その穂乃香の前には、今はなき父が立っていた。

父は穂乃香に言った。

「穂乃香。私はもう長くない」

「はい」

「これからはそなたが宝を守るのだ」

「はい」

父の言葉に穂乃香は淡々と返事をする。

「そうだ、穂乃香。宝は絶対に触れてはいけないぞ」

「なぜですか?」

穂乃香が聞き返す。

「あれはとても危険なものだからだ。だから、何人たりとも近づけてはいけない」

「危険?武器か何かなのですか?」

脇においてある刀をちらりと見て言う。

娘の問いに父は躊躇うように答えた。

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それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。


それと同じ日に、宇宙から地球を侵略すべく異星人がやってきました。
地球を守るべくやってきた宇宙の平和を守る異星人もやってきました。

異世界から選ばれし戦士をが悪のカリスマが
突然超能力に目覚めた人々が未来から過去を変えるためにやってきた戦士が。
他にも隕石が降ってきたり、先祖から伝えられてきた業を目覚めさせた人がいたり。

それから、それから――


「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。

・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。





837: 2013/08/13(火) 01:19:23.53 ID:EbLDMp7uo
「わからない」

父の答えに娘は困惑した。

「わからない?」

「そうだ、わからない。私もただ危険なものだから、絶対に近づいてはいけない、としか言われていない。私の父もそうだった。一体宝がどんなものなのか解らないようだった。恐らく祖父も、曾祖父もだ」

娘は不安そうに声をあげた。

「そんな訳の解らないものを守っていかなければならないのですか?」

「あぁ、そうだ」

父は悔しそうに顔をしかめた。

「悲しいがそれが定めなのだ。だが、あれが世に放たれれば大変なことになる」

そう言うと、父は穂乃香の頭に手をのせた。

「すまない、穂乃香。お前をこんな目に遭わせてしまって。あの宝さえ、あれさえなければ、お前は全うな人生を歩むことができたはず……」

やめて。

そんな悲しいこと、言わないで。

今まで培ってきた決心が、覚悟が鈍る。

宝を守れなくなる。

838: 2013/08/13(火) 01:22:15.85 ID:vjmvqjiXo
「うぅっ、ゲホッゲホッ」

父が苦しそうに咳をした。その背中を穂乃香はさすってやる。

背中をさすりながら、穂乃香は思った。

お父さん。

氏なないで。

私を一人にしないで。

だが、そんな穂乃香の本音はついぞ口に出せなかった。

「最後に穂乃香、聞いてくれ。お前は…………」

839: 2013/08/13(火) 01:23:25.43 ID:vjmvqjiXo
そこで穂乃香の意識は覚醒した。

周囲に人の気配を察したからだ。

穂乃香が視線を向けると、そこには眼鏡をかけた穂乃香と同じくらいの年の女の子がいた。

「あ、人だ!」

その女の子は穂乃香を見ると、穂乃香の元へ駆け寄った。

「どうも、こんにちは!アタシはアコっていうもんです」

アコという名前らしい少女は、元気な声で自己紹介をした。

「は、はぁ……」

困惑気味の穂乃香をよそに、アコは元気な声を出す。

「えぇっと、アタシはこの樹海にあるっていう宝を探してやって来たんやけど、きみ、何処にあるか知らない?」

またか。

穂乃香は内心ため息をついた。

こいつも噂に引かれてやって来たバカの一人というわけか。

840: 2013/08/13(火) 01:24:21.74 ID:vjmvqjiXo
どういうわけか、ここにある宝の情報がどこからか漏れていたらしい。

それだけならまだよかった。ただの昔話ですんだのだ。

だが、時代が時代だ。昔話を信じてやって来るものもいるのだろう。

やって来るものも、倍以上に増えた。父の代には人など全然来なかったのに。

それでも、穂乃香が全員切って森から生還者を出さなかったおかげで、最近は人が来なかったのだが、時間の経過とともにまた人が来るようになる。

「いやぁ、本当に苦労したでぇ。だだっ広い森の中を一人であるいて。その上化け物がいるなんて噂もあるし。でもよかった、化け物なんていなかったし、いたのはあんた一人だけ……ん?もしもーし?聞いとんのかー?」

一人で喋るアコに向かっていう。

「宝ならありますよ」

「ほんまに?!」

アコが身を乗り出すように聞いてきた。

841: 2013/08/13(火) 01:25:03.13 ID:vjmvqjiXo
「ええ。この洞窟の奥に」

「ほんまに?!」

アコは気が動転しているのか、同じことを二回言った。

「ありがとう、そんじゃ、行ってくるわ」

スキップでもしそうな陽気さで、アコは洞窟に入ろうとした。

だが、それは宝の番人が許さない。

842: 2013/08/13(火) 01:25:56.37 ID:vjmvqjiXo
「綾瀬流『力戦奮刀』!」

刀を一本だけ抜いた穂乃香はアコに向かって刀をつき出す。

『疾風怒刀』が高速で移動し敵を切り刻む技なら、「力戦奮刀」は高速で突進し敵を貫く技だ。

この技で、アコの体に風穴を開ける……はずだった。

運良くアコが石を躓き、派手に転んだのだ。

「いったぁ!」

と声をあげるアコの頭上すれすれを、番人の刀が通過する。

「へ?」

アコが上を向くと、そこには次の技の構えをとる穂乃香の姿があった。

「ひ、ひええええええぇ!!!」

アコは、そのまま目にも止まらぬスピードで逃げ去っていった。

「くっ」

穂乃香が視線を向けた先にはもう、アコの姿はなかった。

「………逃がしたか」

穂乃香が敵を取り逃がすなどはじめてだ。

追いかけようか。いや、やめよう。追っている途中で誰かが宝のもとに言ってしまったらと思うと、穂乃香は動くことはできなかった。

穂乃香は刀を鞘に納めると、切り株の上に座り直した。

843: 2013/08/13(火) 01:27:16.26 ID:vjmvqjiXo
座って、穂乃香は思案する。

あの子も、この前来た奴等も、今まで来た奴等も、本当に哀れなものだ。

一族のものにも良くわかっていないものを取りに来て氏ぬような目に遭うなんて。

そうして、穂乃香は再び眠りについた。

844: 2013/08/13(火) 01:27:48.67 ID:vjmvqjiXo
ちなみに、アコがこの誰一人として生きては帰れなかった樹海の、初の生還者となった。

845: 2013/08/13(火) 01:29:10.45 ID:vjmvqjiXo
宝 文字通り『とんでもない』お宝。これが世に放たれれば大変なことになるらしい。この宝がなんなのか、もはや綾瀬一族にもわかるものはいない。

綾瀬流剣術 速さに重点をおいた剣術。極めればその速度は音速の域に達するという。

綾瀬一族 代々宝を守ってきた一族。もはや、宝がなにか知るものはいないが、遺伝子に『宝を守る』使命が刻まれているため、だれもこの使命に抗うことはできない。

846: 2013/08/13(火) 01:30:34.30 ID:vjmvqjiXo
これで投下終了です。
宝が何なのかは自分でも良くわかりません。あと、アコのしゃべり方に違和感があったらすいません。

847: 2013/08/13(火) 01:34:51.70 ID:hkuvh11W0
乙です
亜子ちゃんラッキーすぎるww
正体不明の宝か…『これを手に入れるための友情と努力がお宝d(ry』なものでは無いと思うけど…
パンドラの箱…?

848: 2013/08/13(火) 01:39:40.22 ID:w9IJRjyU0
乙ー

アコちゃん強運すぎるww

神が残した古代の遺産の一つ封印された系かな?
方舟や初代リヴァイアサンみたいな?
パンドラの箱や聖柩みたいな?




【次回に続く・・・】



引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part5