1: 2009/03/25(水) 00:53:26.03 ID:I7n2wGZn0
妹「何度目ですか?」

兄「3回…目」

妹「私は大学に今年合格しました」

兄「…そうだね」

妹「悔しくないんですか?」

兄「…」

妹「あまり失望させないでください」

4: 2009/03/25(水) 00:55:19.01 ID:I7n2wGZn0
妹「同じ大学に行く約束をしたと思ったのですが?」

兄「…」

妹「私の方が先に行くことになりましたね」

兄「…」

妹「何とか言ったらどうです?」

兄「ど、どうせ…俺、ダメなんだ…」
兄「3回も…ダメだったし…」

妹「諦めないでください」

11: 2009/03/25(水) 00:56:45.96 ID:I7n2wGZn0
兄「でも…もう無理だよ…」

妹「同じ大学に行くという約束をしたのは嘘だったんですか?」

兄「…」

妹「私は約束を守りました」

兄「…」

妹「これからどうするんです?」

14: 2009/03/25(水) 00:57:59.97 ID:I7n2wGZn0
兄「もう…いいや…疲れたよ」

妹「簡単に諦めないでください」

兄「妹も知ってるだろ?…俺、無理なんだよ」

妹「そんなこと聞きたくないです」

兄「もう、ほっといてくれ…」

妹「約束しました」

18: 2009/03/25(水) 00:59:40.94 ID:I7n2wGZn0
兄「俺は、約束を平気で破るような人間なのさ…」

妹「それでいいんですか?」

兄「ああ…。妹は大学に行って将来、自分のやりたいことをしてくれ」
兄「俺、できる限り応援するから」

妹「今のあなたに応援されたくないです」

兄「…。じゃあ俺は何も言わないから、もうほっといてくれ」

妹「いい加減にしてください」

24: 2009/03/25(水) 01:01:18.60 ID:I7n2wGZn0
兄「俺だっていい加減にしたいさ、でも、無理なんだよ」

妹「何度も無理って言わないでください」

兄「もう…俺フリーターでもいいからさ」

妹「やめてください」

兄「いいだろ…俺の人生だ。もし嫌なら二度と妹の前に現れないからさ」
兄「迷惑はかけない。誓うよ」

妹「なんでそんなこと言うんですか」

28: 2009/03/25(水) 01:04:48.72 ID:I7n2wGZn0
兄「元から頭の良さが違ったんだろうな…」
兄「はは、やっぱ俺ダメなんだよ」

妹「それは甘えです」

兄「ごめんな。もう、家族には迷惑かけないからさ」
兄「こんな俺…、ただでさえお世話になってる身なのにさ、申し訳ないよ」

妹「そういうことを聞いてるんじゃないです」

兄「ごめん。迷惑かけないよ、だから…」
兄「そうだな、もう家には帰らないで働くよ」
兄「父さん、母さん、妹は本当の家族のようにしてくれて…嬉しかった」

妹「だからそういうことを聞いてません」

30: 2009/03/25(水) 01:07:15.62 ID:I7n2wGZn0
兄「そうだな、早いほうがいいか。今から母さんたちに報告しにいくよ」
兄「俺、もう二度とやっかいにならないからさ」

妹「勝手なこと言わないでください」

兄「ごめんな。でももう大丈夫だ、二度と現れない」

妹「いい加減にしてください。怒ります」

兄「はは、いいよ。いくらでも罵ってくれ」
兄「こんなのと家族として過ごしてた、なんて虫唾が走っただろ?」
兄「でもこれきりだ、大丈夫。大丈夫だ」

35: 2009/03/25(水) 01:09:54.87 ID:I7n2wGZn0
妹「に、兄さんは…」

兄「ん?」

妹「兄さんは!本当にお世話になってると思ってるなら…」
妹「そんなこと言わないでください!」

兄「…でも、事実だ」

妹「め、迷惑かけないとか、もう二度と会わないとか、それって」
妹「それって、なんですか!」

兄「文字通り、俺がいても迷惑がかかるだけだからだよ」

40: 2009/03/25(水) 01:12:45.11 ID:I7n2wGZn0
妹「わ、私たち、家族じゃ、家族じゃないんですか!」

兄「家族…て俺が言えた立場じゃないから…」
兄「こんなによくしてもらって…。本当に嬉しいけど…」
兄「でも、俺はやっかいになってる身だからさ。やっぱり」

妹「私たち家族じゃないって言うんですか!」

兄「本当の家族のようにしてもらって嬉しかった。心の底から感謝してるんだ」

妹「そういうこと言ってるんじゃないんです!」

45: 2009/03/25(水) 01:15:41.05 ID:I7n2wGZn0
兄「じゃあどういうことかな。俺馬鹿だからさ、迷惑かけたくないってのしか思いつかなかった」

妹「そ、そうやってすぐ迷惑かけたくないとか、そうやって」
妹「家族だったら…家族だったら迷惑かけて当然じゃないんですか!」

兄「…本当の家族なら、そうなのかな」
兄「ごめん、俺にはちょっとわからない…」

妹「もういいです!とにかく家に来てください!」

兄「ああ…。出て行く準備もしなくちゃな」

妹「もう…黙っててください!」

兄「すまない…」

49: 2009/03/25(水) 01:16:55.25 ID:I7n2wGZn0
ところでさ、書き溜めてないし引越し準備もあるんで
たまーにいきなりいなくなるかも
でも書いてるとどんどん書いちゃうからそんなこともないかも

53: 2009/03/25(水) 01:19:30.59 ID:I7n2wGZn0
妹「座ってください」

兄「…」

父「兄、大学に落ちたのをそんなに攻めているのか?」

母「そんなに、思いつめないで、ね」

兄「…」

父「長い人生のうちで考えたら大した時間じゃないんだぞ?」

兄「…かも、しれない…です」

55: 2009/03/25(水) 01:22:16.68 ID:I7n2wGZn0
父「なら、そんなに考え込まないでくれ」
父「いや、確かに苦しいのかもしれない」
父「だけどな、この苦しみを乗り越えたとき、後で思うときが来るはずだよ」
父「ああ、あのときの苦しみは無駄じゃなかった。あのときがあるから今がある、とね」
父「だから、諦めずに…もう一度」

兄「あの、父さん」

父「ん?大丈夫。予備校は兄が行きたいところならどこへでも行かせてやる」
父「だから」

兄「もう、終わりにしようと」

父「え?」
母「ど、どうしたの?」

58: 2009/03/25(水) 01:24:22.59 ID:I7n2wGZn0
兄「俺、ここを出て行きます」

父「な、何を言ってるんだ!どうして、いきなり」

母「そ、そうよ!何で?急にどうしたのよ?何か不満があった?」

兄「いえ、父さん、母さん、妹は本当に俺に優しくしてくれました」
兄「家族ってこういうものなんだなって…少しわかった気がします」

母「じゃ、じゃあなんで!」

兄「でも…ごめんなさい。やっぱり俺、本当の家族になりきれなかった…」

60: 2009/03/25(水) 01:26:46.81 ID:I7n2wGZn0
母「そんな…」

兄「これ以上、迷惑はかけられません…」

父「…」

バシン

兄「え?!か、母さん?!」

母「あ、兄!あなた、あなた!家族じゃないとか、迷惑がとか」
母「いい加減にしなさい!」

63: 2009/03/25(水) 01:28:35.77 ID:I7n2wGZn0
兄「でも…」

母「でもじゃないでしょ!家族なら、家族なら…」
母「迷惑かけるのが当然じゃないの!」
母「うぅ…。そんな、そんな悲しいこと…うぅぅ…」

妹「お母さん、しっかりして」

母「うぅ…」

兄「お、俺…」

65: 2009/03/25(水) 01:31:35.56 ID:I7n2wGZn0
父「兄」

兄「はい…」

父「確かに私たちは血が繋がった家族じゃないかもしれない」
父「だがな、だが…。ありきたりな言葉だが、家族として過ごしてきたはずだ」
父「少なくとも私たちはそうだった」

兄「…」

父「逆にそうされることで、兄が戸惑ってしまったのかもしれないが…」

71: 2009/03/25(水) 01:35:47.63 ID:I7n2wGZn0
兄「でも、もう…」

父「迷惑をかけるのはもう嫌だ、と?」

兄「…やっぱり、そう思ってしまって…」

父「なあ兄。私たちはお前が浪人してもそれが迷惑だなんてちっとも思ってないんだぞ?」
父「がんばれと、常に応援してたんだ」
父「母さんなんかな…今までのお前の受験前日なんて、眠れなかったんだぞ?」

母「…」

父「お前だけじゃなく、妹の受験に関してもそうだった。これがどういう意味かわかるか?」

兄「…」

父「家族なんだよ。息子のことを心配する、普通の母親だったんだよ」

75: 2009/03/25(水) 01:37:49.58 ID:I7n2wGZn0
母「ぅぅぅ…ぅぅ」

兄「母さん…」

父「それでも、まだ出て行きたいなんて言うのか?」

兄「でも…やっぱ…」

父「なあ、後1回だけチャレンジしてみないか?大学受験」

兄「え?」

81: 2009/03/25(水) 01:41:42.07 ID:I7n2wGZn0
父「これ以上迷惑かけたくないって気持ちがあるかもしれないが」
父「それでも、私たちは兄が出て行ってしまうとつらいんだよ…」
父「だから、もう一度だけ受験してみてはどうだろう」

兄「でも、自信もないし…」

父「私はな、兄がこんな中途半端な気持ちで物事から逃げ出してほしくないんだ」
父「迷惑かけたくないから、とかどうせダメだから、とかそんな理由で逃げて欲しくない」
父「後1回、最後のチャンスだ。それで区切りをつけたらどうだろう?」

兄「…」

83: 2009/03/25(水) 01:44:49.35 ID:I7n2wGZn0
父「氏ぬ気でがんばりなさい。その結果がどうなろうと、私たちは攻めないから」

兄「俺…」

妹「私との約束守ってください」

兄「妹…」

父「妹もこういっている。私たちもそう願っている。後は兄がどうしたいかだけなんだが…」

兄「…やり、ます…」
兄「迷惑、またかけちゃう…けど。やります…」
兄「氏ぬ気でがんばります…。ぐす、だから…」

母「馬鹿…迷惑かけて当然じゃない。家族…なんだもの」

兄「ぐす、母さん…」

88: 2009/03/25(水) 01:47:36.83 ID:I7n2wGZn0
父「よし!この話はここまでだ!」
父「妹の合格祝いと兄の新たな挑戦のため、お祝いだ!」

妹「私、ケーキ買ってきます」

母「じゃあ私は最高の料理を作るわよ」

父「ははは!頼んだぞ!な、兄。今日は休もう」

兄「ぐす…は、い…」

父「泣くな泣くな!こっちも…泣きたく、なるだろう…」

妹「男2人が泣かないでください。恥ずかしいです」

91: 2009/03/25(水) 01:51:05.49 ID:I7n2wGZn0
兄(俺は馬鹿だった…。あんなに優しい、家族が…いたのに)
兄「(そのことに気づかないで、独りよがりなことばっか考えて…)
兄(絶対、絶対合格してやる!)

兄「よし!」

カリカリ
カリカリ

兄(まずは基礎だ。基礎をしっかりしよう)

93: 2009/03/25(水) 01:52:05.55 ID:I7n2wGZn0
トントン

兄「…」

カリカリ

トントン

妹「あの、兄さん」

兄「…」

カリカリ

トントン

妹(集中、してるんですね…。がんばってください)

兄「…」

96: 2009/03/25(水) 01:54:20.01 ID:I7n2wGZn0
兄(よし、大分今日は進めたな)

兄「ふぅ…」

兄(3時間も…集中してたのか。こんなに俺ができるなんてな)

トントン

妹「あの、兄さん」

兄「妹?いいよ入って」

ガチャ

妹「お邪魔します」

100: 2009/03/25(水) 01:55:44.47 ID:I7n2wGZn0
妹「先ほども着たんですが」

兄「え?全然気づかなかった…」

妹「集中してるんですね」

兄「集中、か…」

妹「これ、差し入れです。クッキーと紅茶」

兄「ありがとう」

103: 2009/03/25(水) 01:58:30.70 ID:I7n2wGZn0
妹「兄さんは約束忘れてませんよね?」

兄「約束?ああ、妹と同じ大学に入る約束…」

妹「ええ。プレッシャーかけるようで悪いですが」

兄「いや、大丈夫。なんか吹っ切れたからさ」

妹「そうですか。それはよかったです」

兄「こんな雑念なしで勉強できるのなんて始めてだ」

妹「私でよければなんでも協力します。勉強もわからないところがあれば聞いてください」

104: 2009/03/25(水) 02:00:51.97 ID:I7n2wGZn0
兄「ありがとう」

妹「何だか兄さんじゃないみたいです」

兄「え?そうか?」

妹「ええ。いつもすぐ後ろ向きになってましたから」

兄「そうだった、かもな」

妹「期待してますね」

兄「ああ、ベストを尽くす」

妹「それでは、お邪魔しました」

兄「ああ、ありがとう」

110: 2009/03/25(水) 02:05:14.47 ID:I7n2wGZn0
兄(今日は模試だな)

試験管「はじめてください」

兄「…」

兄(これは、うーん…)
兄(こっちの問題は、見たことあるけど…)
兄(全然できないな…)

試験管「終わりです」

113: 2009/03/25(水) 02:06:16.02 ID:I7n2wGZn0
兄「ただいま」

妹「おかえりなさい。模試どうでした?」

兄「…いまいち」

妹「まだ5月です。最初からうまくなんて行きませんよ」

兄「ああ、これからもっと勉強しなくちゃな」

妹「ええ、その意気です」

115: 2009/03/25(水) 02:08:31.98 ID:I7n2wGZn0
兄(模試が帰ってきたな)
兄(えーと…)

兄「…」

兄(E判定…か。まあまだ最初だ。これにめげずがんばらなくちゃな)

118: 2009/03/25(水) 02:10:20.42 ID:I7n2wGZn0
妹「模試の判定どうでした?」

兄「Eだった…」

妹「そうですか」

兄「確かにテストできたと思えなかったからな」

妹「しっかり模試で解けなかったところは復習しましょう」

兄「ああ、そうだな」

妹「模試は自分の弱点を見つけるところに意味があるんです」

兄「さっそく見直すよ」

124: 2009/03/25(水) 02:14:27.54 ID:I7n2wGZn0
妹「兄さん、参考書は何を使ってますか?」

兄「えーとこれとこれと…」

妹「私とほとんど同じですね。その参考書を何回もやるといいですよ」

兄「まあ妹と一緒に前買ったのそのままだからね」

妹「兄さんはたぶん今までいろいろ参考書に手を出しすぎてたのではと思います」

兄「書店行くとつい、こっちがよさそうとか思って」

妹「我慢して同じ参考書を繰り返してください。実力がつきます」

兄「ああわかった、ありがと」

妹「いえ、お安い御用です」

129: 2009/03/25(水) 02:16:34.83 ID:I7n2wGZn0
妹「兄さん」

兄「ん?」

妹「息抜きはしてますか?」

兄「うーん、あまりしてない…と思う」

妹「適度な息抜きは必要です。無理にしても効率は上がりません」

兄「なるほど」

妹「特に眠いのに我慢して無理に勉強しないでください。意味はありません」

兄「へぇ」

135: 2009/03/25(水) 02:19:33.55 ID:I7n2wGZn0
妹「規則正しい生活リズムが良い結果を生みます」
妹「やはり人間は早寝早起きがいいんです」
妹「ですからこれからは私がしっかり起こしてあげます」

兄「え、そんな、悪いよ」

妹「いいんです」

兄「だって妹大学生だろ。大学生は朝寝坊できたり、夜遅くまで遊んだりするんじゃないか?」

妹「兄さんが合格するほうがよっぽど大事です」

兄「…ありがとう」

妹「応援してます」

138: 2009/03/25(水) 02:21:15.50 ID:I7n2wGZn0
兄「なあ妹」

妹「どうしました?」

兄「やっぱ大学って楽しいか?」

妹「…ええ」

兄「そう、か…。俺も…必ず」

妹「ええ、一緒に通いましょう」

兄「ああ、絶対だ」

143: 2009/03/25(水) 02:22:43.97 ID:I7n2wGZn0
妹「ねえ兄さん」

兄「ん?」

妹「これからは、息抜きに私と喋ってくれていいんですよ」

兄「最近結構喋ってるけど。毎回じゃ悪いしね」

妹「いいんです」

兄「でも、サークルとかあるでしょ?」

妹「まだ入ってません」

146: 2009/03/25(水) 02:24:23.72 ID:I7n2wGZn0
兄「え?だって沢山あるだろ?」

妹「沢山あります」

兄「じゃあさ、興味あるところ1つくらいあるんじゃないか?」

妹「わかりません」

兄「わからないって…探さなかったの?」

妹「ええ」

兄「なんで?」

妹「兄さんと探す予定です」

149: 2009/03/25(水) 02:25:53.46 ID:I7n2wGZn0
兄「え?何で俺?」

妹「兄さんは来年同じ大学に通います。それまで待ってるんです」

兄「おいおい、そんな…悪いじゃん」

妹「いいんです。私が好きで入ってないんですから」

兄「迷惑ばかり…」

妹「その話はもういいんです」

兄「ごめん…」

151: 2009/03/25(水) 02:27:31.18 ID:I7n2wGZn0
兄「なあ妹」

妹「なんですか?」

兄「あの、何か大学いる以外いつも家にいるけど、何かないのか?」

妹「何か、とは?」

兄「遊びとかさ」

妹「特には」

兄「でも…」

152: 2009/03/25(水) 02:28:44.64 ID:I7n2wGZn0
妹「私が好きで家にいるんです」

兄「そう、か?」

妹「そうです。だから気にしないでください」

兄「ああ…」

妹「息抜きのときは話しかけてくれればいいので。もちろん話したいときでいいので」

兄「ああ、いつもありがとな」

妹「大したことじゃないです」

153: 2009/03/25(水) 02:31:08.88 ID:I7n2wGZn0
兄「妹は彼氏できたか?」

妹「…何でそんなこと聞くんですか?」

兄「大学って言ったらやっぱさ、恋人といろいろ遊ぶのが楽しいのかなって」
兄「後さ、大体の人が大学でできたりするじゃん?」

妹「気になりますか?」

兄「ああ。俺も彼女作って楽しみたいなーって思ってるからさ」

妹「兄さんには一生できないと思います」

兄「ひ、酷いね」

154: 2009/03/25(水) 02:32:54.32 ID:I7n2wGZn0
兄「で、どう?やっぱできた?」

妹「さあ」

兄「さあって何だよー。教えてくれよ」

妹「教えません、絶対」

兄「まあいるんだろうな。妹くらいかわいいとさ。いいなーキャンパスライフ」

妹「いいから勉強してきてください」

兄「え、今休憩入ったばかり」

妹「いいから」

兄「…はい」

156: 2009/03/25(水) 02:35:50.96 ID:I7n2wGZn0
兄「大学の授業ってどう?」

妹「どう、とは?」

兄「面白い?」

妹「普通です」

兄「普通…。普通といわれてもわからない…」

妹「来ればわかります」

兄「確かに…」

妹「受かればいいんです」

兄「そうだな」

159: 2009/03/25(水) 02:38:45.39 ID:I7n2wGZn0
兄「ねえ、何でそういえば俺と同じ大学目指したんだ」

妹「何でそんなこと聞くんですか?」

兄「いや、俺はさ…VIP先生が書いた本に影響されてさ、それでVIP先生の講義聞きたいなと思ってなんだけど」
兄「妹からは理由聞いてなかったからさ」

妹「似たようなものです」

兄「そう?やっぱ好きな先生がいるの?」

妹「教えません」

兄「そういわずに」

妹「知る必要ないです」

163: 2009/03/25(水) 02:41:50.69 ID:I7n2wGZn0
兄「俺はだから3浪してまで受けてるわけだけど…」
兄「去年急に妹が俺と同じところ目指すって言ってびっくりしたよ」
兄「しかも絶対一緒に受かろうって約束して…」

妹「…」

兄「あ、あはは。まあ俺がダメだったわけだけど」

妹「今年は大丈夫ですから。私もサポートしますし」

兄「ああ。ありがとう。でも何でVIP大なんだ?」
兄「妹ならT大もいけたと思うんだけど」

妹「だから、兄さんと似たような理由です」

兄「うーん?…うーん」

妹「いいから勉強に戻ってください」

兄「ああ、そろそろ戻るか」

165: 2009/03/25(水) 02:43:22.12 ID:I7n2wGZn0
妹「兄さん」

兄「ん?」

妹「前に私がVIP大学受けた理由聞いてきましたよね?」

兄「ああ、それが?」

妹「一つ教えます。それは」

兄「それは?」

妹「兄さんが頼りないからです。だから一緒の大学で私がサポートするべきかな、と」

168: 2009/03/25(水) 02:45:43.46 ID:I7n2wGZn0
兄「お、おいおい!」

妹「何か不安で…。単位もろくにとれなそうだし」

兄「く…」

妹「だから、私が一緒に行ってあげて、単位取得を手伝ってあげようと思ったわけです」

兄「そ、そんな頼りないかな!」

妹「ええ」

兄「ぅ…。でも、そんな理由で!」

妹「安心してください。嘘です」

兄「ちょ」

妹「兄さんのために行くわけないですから」

兄「シュン…」

172: 2009/03/25(水) 02:49:43.75 ID:I7n2wGZn0
兄「彼女ができた」

妹「…そうですか。どんな方ですか?」

兄「かわいくて優しくて、いつも弁当を作ってくれるような子」

妹「なるほど、予備校の方ですか」

兄「いや違うけど。それでな、俺と喋ってるといつも楽しそうにしてくれるんだ」
兄「俺もつい嬉しくなっちゃってさー。彼女といると時間があっという間なんだ」

妹「今受験中なのに、ずいぶん余裕ですね。約束なんてどうでもいいんでしょうね」

兄「お、おいおい。ちゃんと守るって」

妹「どうでしょうか。そんな、彼女と楽しんでいるような…」

兄「いや夢の話だけど」

妹「は?」

175: 2009/03/25(水) 02:52:25.50 ID:I7n2wGZn0
兄「楽しい大学生活を送っている夢を見てな」
兄「その夢の中でその彼女と過ごしてたんだ」
兄「楽しかったなー。正夢かなー」

妹「まだ受かってません」

兄「あーでもなんか、やる気出るよなあ。あんなかわいい子」

妹「なるほど、兄さんはそういう子がタイプですか」

兄「え?ああ、まあそうかなあ。夢に出るくらいだもんなあ」

妹「私なんかかわいくない、と」
妹「夢の子とは対照的ですものね」

兄「お、おいおい。そんなこと言ってないぞ。妹もかわいいさ」

178: 2009/03/25(水) 02:55:25.98 ID:I7n2wGZn0
妹「嘘はいいです。すみませんね、楽しそうに喋ってあげれなくて」

兄「ちょ、い、いきなりどうした?普段の妹ぽくないぞ」

妹「兄さんは普段の私がどう映ってるんですか」

兄「え、そうだな。冷静で何を言ってもクールに受け流して、マイペースで」

妹「よくわかりました」

兄「当たってるでしょ?」

妹「もう兄さんの邪魔はしませんので」

兄「え、お、おーい妹さん?」

183: 2009/03/25(水) 02:57:36.59 ID:I7n2wGZn0
兄「ねえ妹」

妹「はい。クールでマイペースな妹ですが」

兄「い、いやもうそれいいから」

妹「なんですか?」

兄「8月の模試がそろそろなんだけど、対策はどうするべきかな?」

妹「対策ですか」

186: 2009/03/25(水) 02:59:54.91 ID:I7n2wGZn0
妹「模試のための対策に時間は割かないでください」

兄「え?」

妹「考えてもみてください。模試はあくまで目安であり、弱点を探すためにやるのです」
妹「決して模試がよかったからといって、合格するわけではありません」

兄「確かに」

妹「だから普段どおりの勉強をしておくこと。これが対策です」

兄「ありがとう、流石妹だよ」

妹「お礼を言われるべきことじゃありません。模試、がんばってください」

兄「ああ、がんばる」

188: 2009/03/25(水) 03:01:53.08 ID:I7n2wGZn0
兄(あれから結構勉強したんだ。偏差値も上がっているはず)

試験官「はじめてください」

兄(…。これは、あれかな)
兄(んで、これは…)

試験官「やめてください」

兄(前よりは、できたな)

192: 2009/03/25(水) 03:03:18.92 ID:I7n2wGZn0
兄「ただいま」

妹「おかえりなさい。一応、模試はどうでした?」

兄「ああ、前回よりできたよ」

妹「よかったですね。努力が報われてきているんです」

兄「ありがとう。妹のおかげだよ」

妹「大げさです」

兄「はは」

195: 2009/03/25(水) 03:04:59.52 ID:I7n2wGZn0
妹「兄さん模試も終わっ一段落ついたことですし、出かけませんか?」

兄「出かける?どこへ?」

妹「VIP大に行こうと思ってます」

兄「VIP大…」

妹「どうしますか?」

兄「…行こう」

198: 2009/03/25(水) 03:07:27.11 ID:I7n2wGZn0
妹「着きました」

兄「ああ…」

妹「受験の時来ただけだと思うので、案内しますよ」

兄「頼むよ」

兄(受験のとき以外はじっくり見たことがないからな…)

199: 2009/03/25(水) 03:09:26.73 ID:I7n2wGZn0
妹「まずここが大講義室です」

兄「へぇ、でかいな」

妹「1,2年生のころは比較的よく使われる場所です」
妹「つまり一般教養と呼ばれる学科によらず、みんな取る科目の講義ですね」

兄「なるほどー」

妹「さ、次いきましょう」

201: 2009/03/25(水) 03:11:25.70 ID:I7n2wGZn0
妹「ここが第一食堂。主に貧乏学生が集まります」
妹「メニューを見てください。ほら、安いんです」

兄「ほんとだ、すごい安い」

妹「量が多くて安いから人気なんです」

兄「いいなあ、こういう所。食べてみたい」

妹「後で学内の食堂でお昼ご飯食べましょう」

203: 2009/03/25(水) 03:14:07.04 ID:I7n2wGZn0
妹「さて、ここが生協です。学校で必要な大抵のものはここで買えます」
妹「入ってみましょう」

兄「へぇー、ほんとだ、文房具から教科書…雑誌とか漫画も売ってるのか」

妹「ええ、ほらこれ見てください」

兄「これは…」

妹「VIP先生の本ですね。兄さんが入学したら、サイン貰うといいです」

兄「サイン…か、欲しいな」

妹「そう、そのためにも合格しましょう」

兄「ああ、もちろん」

205: 2009/03/25(水) 03:16:17.42 ID:I7n2wGZn0
妹「ふぅ、大体周りましたね」

兄「広いなー。驚いたよ」

妹「ここは主に文型キャンパスになってます」
妹「他には理系のキャンパスがいくつか点在してますので、総合ではもっと大きいです」

兄「ひゃー、すごい」

妹「どうですか?やる気はますます出ましたか?」

兄「ああ。なんか、やっぱどうしても入りたい!」

妹「その意気です。さあ、帰りましょう」

209: 2009/03/25(水) 03:19:40.49 ID:I7n2wGZn0
兄「妹今日はありがとう」

妹「いえ、それでやる気が出てくれたなら私も嬉しいです」

兄「あそこで妹と一緒に講義受けたりしたら…なんて想像しちゃったよ」

妹「…」

兄「はは、まだ受かってもいないのにな」
兄「でも妹と今日一緒に歩いてさ、何か同じ大学に通うのって楽しいんだろうなって思っちゃったよ」

妹「…意外ですね」

兄「意外なもんか、ほんとそう思ったよ」

妹「私はクールですけどね」

兄「お、おいおい」

妹「ふふ、冗談です」

210: 2009/03/25(水) 03:21:22.32 ID:I7n2wGZn0
兄(模試が…返ってきたな)
兄(結果は…)

妹「どうでした?」

兄「…E判定…」

妹「そう…ですか」

兄「なんで…だ。やっぱ…俺」

妹「そんなこと言わないでください」

兄「でも…」

213: 2009/03/25(水) 03:23:00.33 ID:I7n2wGZn0
妹「夏からが勝負とはよく言ったものです」

兄「それは…現役でしょ…」

妹「兄さんは今まで気持ちが篭ってなかったんです」
妹「でも今回は違う。だから兄さんにとっては今回が初受験です」

兄「…」

妹「だから、夏のがんばりが今後を左右すると思ってください」
妹「それに…ちょっと見せてください」

兄「ああ…」

215: 2009/03/25(水) 03:25:25.75 ID:I7n2wGZn0
妹「ほら、しっかりと見てください」

兄「え?」

妹「同じE判定でも、前回のと比べると」

兄「えーと」

妹「ほら、全体的な偏差値自体は5伸びてます。得意科目の偏差値に至っては10伸びてます」

兄「ほんとだ」

妹「つまり、伸びてないわけじゃないんです。同じE判定でもかなり違うんです」

兄「ああ…よかった…」

218: 2009/03/25(水) 03:27:21.08 ID:I7n2wGZn0
妹「前にも言いましたが、判定ばかり気にしないでください」

兄「ああ、完全に忘れてたな…」

妹「判定じゃなく、どこが伸びたか。何が苦手なのか。そこを意識してください」

兄「ああ、わかった」

妹「さて、さっそく復習しましょう。こういうのはすぐやったほうがいいんです」

兄「オーケー。じゃあ行ってくる」

妹「はい、がんばってください」

220: 2009/03/25(水) 03:30:32.59 ID:I7n2wGZn0
兄(せっかくVIP大に行ってやる気も出たし、実力も伸び始めてるんだ)
兄(妹が言うとおりに、夏勉強しまくってがんばるぞ!)

カリカリ

兄「…」

カリカリ

兄「…」

しこしこ

兄「ふぅ…」

225: 2009/03/25(水) 03:34:20.02 ID:I7n2wGZn0
妹「兄さん今日は予備校夜までずっとですよね」

兄「ああ、がんばってくるよ」

妹「あの…これ」

兄「ん?弁当箱?」

妹「作ったんでよければ食べてください」

兄「妹が?どうしたの急に」

妹「え、と。がんばって欲しい、ので…」

兄「ありがとう。嬉しいよ」

妹「これから必要なときは毎回作りますね」

兄「そんな、悪いよ」

妹「いいんです。さ、行ってらっしゃい」

兄「ああ、弁当ありがとな!」

230: 2009/03/25(水) 03:36:40.57 ID:I7n2wGZn0
塾工「なあ兄」

兄「はい」

塾工「お前また今年もVIP大一本にするのか?」

兄「その予定ですが」

塾工「前にも言ったがな、やはり他の大学も受けておくべきだ」

兄「いえ興味ないんで。では」

塾工「だから待てって!いつもそうやって話を聞かない」

231: 2009/03/25(水) 03:38:10.94 ID:I7n2wGZn0
兄「だってほんとに興味ないんで」

塾工「お前そうやって毎年失敗してるじゃないか」

兄「…」

塾工「俺鼻、VIP大に受かるためのアドバイスとして、他の大学を受けるべきと言ってるんだ」

兄「え?VIP大に行くため?」

塾工「ああそうだ。VIP大は試験が最後にあるだろ?その前に試験を一つも受けないなんてな、無謀すぎる」

235: 2009/03/25(水) 03:41:16.41 ID:I7n2wGZn0
兄「でも他の大学の対策なんて時間の無駄じゃ…」

塾工「対策はもちろんVIP大を重点的にやるんだ」
塾工「だけどな、本番前に試験慣れというのは必要なんだ」
塾工「それとな、大体の私立はVIP大の試験問題をちょっと優しくしたとか、そういう問題が多いんだ」

兄「え?そうなんですか?」

塾工「ああ、やっぱVIP大の問題はいい問題が多くてな。私立がそれと似た問題を出してくるとかよくある」
塾工「だから、本番前の練習に打ってつけだったりする」

兄「それは、言われてみればそうですね」

塾工「逆に今までお前はなぜそうしてこなかったのかと…」
塾工「人の話はちゃんと聞くべきだと思うぞ」

兄「…。今度からそうします」

塾工「ああ、とりあえず今日の話は考えとけよ」

238: 2009/03/25(水) 03:42:54.95 ID:I7n2wGZn0
兄「なあ妹」

妹「はい」

兄「妹はVIP大しか受けてないよな?」

妹「ええ、もちろん」

兄「あのさ…。俺今度VIP大以外も受けてみようと思うんだ」

妹「な、なんでですか!」

兄「いや、かくかくしかじか」

239: 2009/03/25(水) 03:44:44.20 ID:I7n2wGZn0
妹「なるほど…。確かに練習は必要かもしれません」

兄「でしょ。だからVIP大以外にいくつか受けようと思ってるんだ」

妹「でも、でも…。VIP大以外は行かないんですよね?」

兄「ああもちろん。あくまで練習だから」

妹「ええ、当然です。VIP大が目標なんですから」

244: 2009/03/25(水) 03:47:01.05 ID:I7n2wGZn0
兄(まあ私立なら科目数も少ないし、VIP大対策をしてればそのまま対策になるな)
兄(特別意識せず、あくまでVIP大対策をいままでどおりしていこう)
兄(まあその前に基礎力だけどね)

しこしこ


兄「ふぅ…。やるか」

252: 2009/03/25(水) 04:08:36.15 ID:I7n2wGZn0
妹「ねえ兄さん」

兄「ん?」

妹「明日、出かけませんか?」

兄「いいけど、どこへ?」

妹「行くあてはありませんが、どこかぶらぶらと」

兄「息抜きになるし、行こうか」

妹「じゃあ明日好きなときに呼んでください。合わせますので」

兄「うん、わかった」

254: 2009/03/25(水) 04:11:24.25 ID:I7n2wGZn0
兄「妹でかけようか」

妹「はい、ではいきましょう」

てくてく

兄「あぁ、紅葉が綺麗だな」

妹「ええ、心が安らぐと思いまして」

兄「そうだね、確かに落ち着いた気持ちに慣れるよ」

257: 2009/03/25(水) 04:15:18.46 ID:I7n2wGZn0
妹「何だか…兄さんとはほとんどこうして2人で出かけたことないですね」

兄「そうだっけ?」

妹「ええ、VIP大を案内した以外は、今まで息抜きのためという理由ではなかったと思います」

兄「そうか…」

妹「今まで大学受験に追われてましたからね、仕方がないですよ」

兄「でも、今は受験なのに何か気持ちに余裕があるかも…」

妹「それはいいことです」

260: 2009/03/25(水) 04:17:25.86 ID:I7n2wGZn0
妹「兄さんさえよければ、私はいつでもお付き合いしますよ」
妹「外に出ることも重要だと思うので」

兄「そうだね。じゃあ今度息抜きに出かけたくなったときは誘おうかな」

妹「はい。ぜひお願いしますね」

兄「でも彼氏に変な誤解されない?大丈夫?」

妹「…余計なことは言わなくていいです」

兄「わ、わかったよ」

272: 2009/03/25(水) 04:21:46.02 ID:I7n2wGZn0
俺もNGはしといた
引越し準備しながらまったりやるね

275: 2009/03/25(水) 04:24:47.85 ID:I7n2wGZn0
妹「そろそろまた模試ですね」

兄「ああ、今度がラストかな」

妹「そうですね。それが終わったらセンター試験ですから」

兄「ああ。センター試験も大事だしな」
兄「とりあえず、今できることを着実にこなしていくよ」

妹「それが一番いいと思います」

279: 2009/03/25(水) 04:28:13.74 ID:I7n2wGZn0
兄「参考までに聞きたいんだけど、この時期は何をしてた?」

妹「私は今までの参考書をもう一度やり直しながら、過去問に少し取り掛かりました」

兄「なるほどね」

妹「ただ、過去問はもう少し遅めでもいいと思います。自分がまだ基礎が完璧じゃないというならそっちが優先です」

兄「了解。ほんとに頼りになるよ」

妹「褒めても何も出ませんよ」

兄「はは、本心さ」

280: 2009/03/25(水) 04:30:11.14 ID:I7n2wGZn0
妹「さて、そろそろ帰りましょうか」

兄「ああ、そうだな。これでまたしばらくがんばれそうだ」

妹「よかったです。そのための外出だったんですから」

兄「何か、いろいろありがとな」

妹「それは合格した後言ってください」

兄「はは、そうするよ」

281: 2009/03/25(水) 04:31:44.98 ID:I7n2wGZn0
兄「行ってきます」

妹「がんばってください」

兄「ああ。がんばる」

兄(12月の模試。これが実質ラストだ)
兄(とにかく今もてる全ての力をぶつけてこよう)

試験官「はじめてください」

兄「…」

283: 2009/03/25(水) 04:33:28.98 ID:I7n2wGZn0
兄「ただいま」

妹「おかえりなさい。どうでした?」

兄「割と、できたと思う」

妹「そうですか。今までがんばってきましたからね、当然ですよ」

兄「ああ、自分でも伸びてるのがわかるよ」

妹「さあ、油断せず、気負わずにあと少しがんばりましょう」

兄「そうだな」

286: 2009/03/25(水) 04:36:01.75 ID:I7n2wGZn0
兄(模試が返ってきた…)

妹「どう、でした?」

兄「…」

妹「兄さん?」

兄「あ、いや…C判定…」

妹「や、やったじゃないですか」

兄「まあ、でもCだからなんとも言えないけど」

289: 2009/03/25(水) 04:39:25.33 ID:I7n2wGZn0
妹「今までEだったんです。すごい成長してますよ」

兄「そう、かな」

妹「ええ、兄さんの場合後1ヶ月で相当伸びると思います」
妹「今までとは勉強の仕方や気持ちが全然違うんですから」

兄「Cなら50%だから、可能性は全然あるよな」

妹「ええ。後は今回の模試からわかった自分の苦手分野を克服して、過去問対策をするだけです」

兄「ああ…なんか希望が見えてきた。よーし、やるぞ!」

妹「その意気です」

293: 2009/03/25(水) 04:41:56.61 ID:I7n2wGZn0
兄(さて、過去問を解いてみるか)
兄(…。今までとは、全然違う…)
兄(解き方が、なんとなく見えてくる)
兄(これは…もしかして、いけるかも…)
兄(よし!がんばるぞ!)

どぴゅっ

兄「ふぅ…」

296: 2009/03/25(水) 04:44:24.17 ID:I7n2wGZn0
妹「そろそろセンター試験ですね」

兄「ああ、遂にここまできた」

妹「過去問はやってますか?」

兄「ああ、最近はじめたよ」

妹「過去問を解く上で重要なことはわかっていますか?」

兄「えーととりあえずセンターの傾向に慣れる、つまり簡単な問題を素早く解くことに慣れるのが重要なのかなって」

妹「そうですね、もちろんそれもあります」

298: 2009/03/25(水) 04:47:45.32 ID:I7n2wGZn0
妹「後は時間配分に気をつけてください」
妹「どうしてもわからない問題でも解きたいと思ってしまい、無駄に時間を費やすことが多いと思います」
妹「でも、そんなときはスパっとそこの問題は飛ばしてどんどん進めてください」
妹「それで全部解き終わって時間があまってたら、戻ればいいんです」

兄「なるほど。確かに1問のせいで他の問題が解けなくなったら意味ないもんな」

妹「ええ。ただ注意して欲しいのは、マークミスです」
妹「その問題を飛ばしたら、その部分のマークはしっかりとあけておいてください」

兄「当たり前だけど、重要だな」

妹「マークミスで泣く受験生も多いんです。だから、落ち着いてしっかりとマークしていってください」

兄「ああ、わかった」

302: 2009/03/25(水) 04:50:17.34 ID:I7n2wGZn0
妹「後特に国語なんですが、悩みすぎてもしょうがないです」
妹「選択肢でどっちが正解かわからないような、そんな選択肢が出てきたら思い切ってどっちかに決めてください」
妹「こればかりは諦める必要があると思います」

兄「オーケー。結構それは聞く話だもんね」

妹「後これがもっとも重要なことなんですが」

兄「…ああ」

妹「名前と受験番号はちゃんと書いてください」

303: 2009/03/25(水) 04:52:41.11 ID:I7n2wGZn0
兄「それは、もちろん」

妹「油断はしないでくださいね。それで泣く受験生もいるんです」

兄「ああ」

妹「いいですか、開始直後にすぐ書くのと。終わる前に必ずもう一回チェックしてくださいね」

兄「わかった、必ずする」

妹「どのミスより、悲しいミスだと思うので注意してください」

305: 2009/03/25(水) 04:53:53.39 ID:I7n2wGZn0
妹「後は特にないですね。本番がんばるのみです」

兄「ああ、ありがとう妹。本番前のあと数日、しっかり過去問対策しておくよ」

妹「ええ、がんばってください」

兄「よし、やるか」


兄「ふぅ…」

311: 2009/03/25(水) 04:59:18.31 ID:I7n2wGZn0
兄(遂に本番当日だ…。流石に今年はいつも以上に緊張するな)

母「がんばってね。応援してるから」

父「ああ、ベストを尽くせばきっと大丈夫」

妹「兄さん、これ」

兄「みんなありがとう。弁当もありがとうな」

妹「がんばってください」

兄「ああ、じゃあ行ってきます」

315: 2009/03/25(水) 05:01:55.93 ID:I7n2wGZn0
兄(大丈夫、今までがんばったんだ)
兄(落ち着いて…落ち着いて…)

兄「すぅー、はあー」

試験官「はじめてください」

カリカリ

318: 2009/03/25(水) 05:03:48.98 ID:I7n2wGZn0
兄(うん、今年は例年通りの難易度みたいだな)
兄(傾向としては大きな変化はない)
兄(後は、着実に解いていこう)

試験官「時間です。鉛筆をおいてください」

兄(何とか全部解いたな)
兄(今日の科目はこれで終了か)

320: 2009/03/25(水) 05:05:10.07 ID:I7n2wGZn0
兄「ただいま」

妹「どうでした?」

兄「ああ、たぶん今日の科目は大丈夫」

妹「そうですか。とりあえずよかったですね。後は油断せず明日もがんばりましょう」

兄「ああ。がんばるよ」

322: 2009/03/25(水) 05:06:53.09 ID:I7n2wGZn0
兄「行ってきます」

兄(よし、今日も落ち着いてがんばるぞ)


試験官「やめてください」

兄「ふぅー」
兄(大丈夫だと、思う。かなりできたしな)

325: 2009/03/25(水) 05:08:30.51 ID:I7n2wGZn0
兄「ただいま」

妹「お帰りなさい。どうでした?」

兄「ああ、何とかなりそうだ」

妹「よかったです」

兄「まあ、結果が出ないことにはね。1次試験パスしてるといいんだけど」

妹「大丈夫ですよ。きっと、大丈夫です」

兄「ああ、ありがとう」

328: 2009/03/25(水) 05:09:23.63 ID:I7n2wGZn0
ごめん寝る
朝残ってたら書きます

445: 2009/03/25(水) 13:15:06.34 ID:7DdAPhS+0
妹「兄さん、1次試験の結果が来たようです」

兄「き、きたか」

妹「…」

兄「頼むぞ…」

妹「…」

兄「えーと」

447: 2009/03/25(水) 13:16:18.33 ID:7DdAPhS+0
兄「…」

妹「兄さん…どうでした?」

兄「…」

妹「兄さん、どうだったんですか?」

兄「…」

妹「ねえ、兄さん!」

449: 2009/03/25(水) 13:21:13.92 ID:7DdAPhS+0
兄「い、いや…通過、だって」

妹「それじゃあ」

兄「ああ、今まで1次すら通ったことなかったのに…」

妹「やりましたね。おめでとうございます」

兄「妹!」

だきっ

妹「に、に、兄さん?!」

451: 2009/03/25(水) 13:23:56.25 ID:7DdAPhS+0
兄「ありがとう。妹のおかげでここまでこれたよ」

妹「いいいえ、兄さんのがんばりがあってこそ。そ、それより離してください」

兄「あ、ああごめん。嬉しくてつい」

妹「お、驚いたんですから」

兄「ごめんって。にしても俺…通過したのかあ」

妹「ええ、とりあえずおめでとうございます。ですがこれからが本番です」

兄「ああ、わかってる。ようやくスタートラインに立てたんだ」
兄「これからは二次試験対策がんばるよ」

妹「その意気です」

458: 2009/03/25(水) 13:36:00.23 ID:7DdAPhS+0
兄「妹、二次試験対策に関して何かアドバイスはあるかな?」

妹「そうですね、今の兄さんには特に言うことはないと思います」

兄「そうか」

妹「しいて言うなら、やはり今までの基礎的なことをもう一度見直してみることでしょうか」
妹「もちろん全部見直す暇はないので、過去問を解いて間違いが多かった部分を重点的に復習するんです」

兄「なるほど、ありがとう。妹のアドバイスはいつも的確ですばやい」

妹「何だか的確なことを言い過ぎると合意確立が増す、みたいな言い方ですね」

兄「ええ、5%に」

妹「…ネタでも笑えません」

兄「自重します」

462: 2009/03/25(水) 13:46:26.17 ID:7DdAPhS+0
兄(今日はVIP大試験の前の練習として選んだ大学の受験日だ)
兄(まあ、気楽に行こう)

兄「じゃあ行ってくる」

妹「行ってらっしゃい。これ、お弁当です」

兄「ああ、ありがとう」

467: 2009/03/25(水) 13:55:30.71 ID:7DdAPhS+0
試験官「はじめてください」

兄(そういえばセンター試験以外の試験は受けたことなかったな)
兄(とりあえず気楽に、練習と思ってやろう)

試験官「時間です。鉛筆を置いてください」

兄「ふぅ」

兄(難関大学と聞いてたが、結構できたな)

470: 2009/03/25(水) 14:00:40.46 ID:7DdAPhS+0
兄「ただいま」

妹「お帰りなさい。一応どうでした?」

兄「そうだね、割とできたと思う」

妹「そうですか。それじゃあ後はVIP大のみですね」

兄「ああ」

妹「練習はいい感じだったみたいですし、大丈夫ですよ」

兄「ありがとう。さあ、もうひとがんばりだ」

668: 2009/03/26(木) 01:03:27.32 ID:VOYlbXrpO
兄(今日はついにVIP大の試験だ)

妹「兄さん…」

兄「…行ってくるよ」
妹「はい。…頑張って下さい」

兄「ああ。全力を尽くすよ」

676: 2009/03/26(木) 01:15:32.17 ID:VOYlbXrpO
兄(今日で全てが決まる)
兄(自分を信じてやるしかない)

試験管「はじめてください」

兄(よし、やるぞ!)
カリカリ


試験管「やめてください」

兄(やれることはやった…)

684: 2009/03/26(木) 01:26:35.77 ID:VOYlbXrpO
兄「ただいま」

妹「お帰りなさい。どうでした?」

兄「やれることはやったよ。後は結果を待つだけさ」

妹「そうですか。なら大丈夫です。兄さんは受かりますよ」

兄「ありがとう。俺もそう祈ってるよ」

690: 2009/03/26(木) 01:31:46.97 ID:VOYlbXrpO
兄(今日はついにVIP大の合格発表だ)

妹「兄さん、今日ですね」

兄「ああ…。今日で全てわかる…」

妹「私も一緒にいきます」

兄「わかった。じゃあ行こう」

妹「はい、行きましょう」

698: 2009/03/26(木) 01:35:14.73 ID:VOYlbXrpO
聞いてくれ、モニタが何故さっき壊れてパソコン使えん

703: 2009/03/26(木) 01:38:39.97 ID:VOYlbXrpO
兄「ついたな。流石に人が多い」

妹「人気ですからね。さあ、掲示板を見に行きましょう」

兄「そうだな。ドキドキする」

妹「…私も、ですから」

715: 2009/03/26(木) 01:59:51.10 ID:VOYlbXrpO
兄「さて、俺の番号は…」

妹「…神様、お願いします、どうか…」

兄「えーと…」

妹「…兄さん、どうでした…」

兄「…」

728: 2009/03/26(木) 02:17:00.15 ID:VOYlbXrpO
妹「ねえ、ありましたか?」

兄「…」

妹「兄さん?」

兄「あれ?はは、おかしいなあ」

妹「え?」

兄「ない、みたいなんだけど…。はは、は…」

749: 2009/03/26(木) 02:25:03.41 ID:VOYlbXrpO
兄「はは、ははは…」
妹「か、貸してください!」
妹「……」
妹「そ、そうだ補欠!補欠にあればまだ…」
妹「…」

兄「落ちた…」

766: 2009/03/26(木) 02:31:51.62 ID:JnwXYkH90
ちょwwwwww

776: 2009/03/26(木) 02:34:50.45 ID:VOYlbXrpO
とぼとぼ

兄「…」

とぼとぼ

妹「…」

とぼとぼ

兄「…」

794: 2009/03/26(木) 02:41:15.14 ID:VOYlbXrpO
ガチャ

母「お、お帰り!どうだった?!」

兄「…」

母「まさか…」

妹「笑って下さい。また落ちました」

母「え…」

だっだっだっ

母「あ、兄!」

803: 2009/03/26(木) 02:44:39.60 ID:VOYlbXrpO
兄「…」

ガチャ

妹「…」

兄「…」

妹「ねえ、兄さん」

兄「…」

妹「また浪人ですか?」

816: 2009/03/26(木) 02:48:57.96 ID:VOYlbXrpO
妹「約束はどうしたんです?」

兄「…」

妹「また破るんですか?」

兄「…」

妹「一緒に大学行こうと約束しました」

兄「…」

妹「何か言ったらどうです」

825: 2009/03/26(木) 02:52:08.67 ID:VOYlbXrpO
兄「…妹」

妹「なんです」

兄「…ごめん、約束守れなくて」

妹「裏切られました。期待していました」

兄「すまない…」

妹「謝っても仕方ないです」
妹「これからどうするんですか?」

838: 2009/03/26(木) 02:57:00.01 ID:VOYlbXrpO
兄「考えたんだ」

妹「何をです?考えて何か変わりますか?」
兄「俺、滑り止め大行こうと思う」

妹「え!?」

兄「また浪人してもさ、受かるかわからないし、迷惑かけちゃうからさ」
兄「もちろん学費は必氏でアルバイトして、少しでも自分払うようにする」
兄「だから」

妹「な、何ですかそれ!」

853: 2009/03/26(木) 03:01:28.65 ID:VOYlbXrpO
兄「え?」

妹「い、一緒の大学行こうって約束しておいて!」

兄「だからごめんてあやま」

妹「ごめんで済ませないでください!」
妹「何が滑り止め大行く、ですか!」
妹「勝手なことばかりしないでください!」
兄「で、でもいつまでも浪人してても先に進まないし…」

871: 2009/03/26(木) 03:06:23.36 ID:VOYlbXrpO
妹「迷惑です!そういうの」

兄「迷惑…?」

妹「お父さんもお母さんも本当は迷惑がってるんです」

兄「え?」

妹「それでも、どうしてもVIP大に行きたいと言うから応援してあげてたのに…」
妹「正直家族全員迷惑してます」

890: 2009/03/26(木) 03:10:50.62 ID:VOYlbXrpO
兄「そ、そんな…でもVIP大じゃなくても大学に通えるなら迷惑じゃ…」

妹「うんざりです。そういう思い込み」
妹「このまま滑り止め大に行くなら別に構いません」
妹「ただ家族全員失望していることは忘れないでください」

ガチャ

兄「…」

903: 2009/03/26(木) 03:15:09.15 ID:VOYlbXrpO
妹(せっかく、せっかく合格して兄さんと同じ大学に通えると思ったのに…)
妹(何で…神様…)
妹(兄さん他の大学行くなんて言うから…)
妹(さっきはきつく家族全員失望してるなんて嘘を…)

妹(兄さん…好きなんです…)

918: 2009/03/26(木) 03:18:58.98 ID:VOYlbXrpO
妹(…私のわがまま、ですね…)
妹(兄さんは約束を守るため、あんなに努力していた…)
妹(それなのに、私酷いことばかり…)

妹(うん、明日謝って、滑り止め大に行くの祝ってあげよう!)
妹(つらいけど…兄さん頑張ったんだから!)

927: 2009/03/26(木) 03:21:57.45 ID:VOYlbXrpO
トントン

妹「兄さん、おはようございます」

トントン

妹「兄さん?寝てるんですか?」

妹「入りますね」

ガチャ

妹「兄さん、昨日は」
ギイ
ギイ

妹「…え?にい…さん?」

ギイ
ギイ

~fin~

929: 2009/03/26(木) 03:22:48.31 ID:jinxtPa50
うそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

933: 2009/03/26(木) 03:23:10.19 ID:Zv+n+PC4O
氏んだ

951: 2009/03/26(木) 03:25:03.37 ID:VOYlbXrpO
はい、今回もこんなエンドでした
今まで見てくれてありがとう
実はハッピーエンドの話も前書いたことあるんで、暇なら探してみてください
それじゃあまたどこかで
バイバイ!

955: 2009/03/26(木) 03:25:14.54 ID:N/vFWT0RO
ぬわーーーっ!!

引用: 妹「また浪人ですか」