1: 2016/04/02(土) 01:38:28.14 ID:HFB1ZHcF.net
-とある病室-

??「うーん…この辺かしら?」

花陽「……え?」

??「あっ……どうも」

??「あなたが、小泉花陽さんよね…?」

花陽「う、うん……そうだけど」

花陽「えーっと……どちら様…?」

??「私……?」

??「私は……ほら、この格好を見て分からないかしら?」

花陽「黒いローブに、おおきな鎌…?」

??「うふふ……分かったかしら…?」

花陽「そんなもの持ち込んじゃ、看護婦さんに怒られちゃうよ…?」

??「ヴェエエ…!?」

2: 2016/04/02(土) 01:39:09.49 ID:HFB1ZHcF.net
??「私の姿はあなたにしか見えないから大丈夫よ」

花陽「なーんだ……じゃあ、安心だね…♪」

??「……って、そうじゃなくて!」

花陽「…………?」キョトン

??(この子、本当に分かってなさそうね……)

??「私の正体……それは、死神よ」

花陽「ああ、そっか…♪」

??(あれ…?なんで驚かないのかしら、この子……)

花陽「でも……死神さんにしては、可愛いね…?」

??「な、何言ってんのよ…///」

3: 2016/04/02(土) 01:39:54.95 ID:HFB1ZHcF.net
花陽「死神ってのは分かったけど……」

??「なにか……?」

花陽「死神さんって呼ぶのも、あまり可愛くないから……」

花陽「あなたの本当のお名前が知りたいかな…♪」

??「私の名前……?」

花陽「うん、よかったら教えて…♪」

??「私の名前は……真姫よ」

花陽「真姫ちゃんか……素敵な名前だね…♪」

真姫「私、死神なのに……名前を聞かれるとは思ってなかったわ」

花陽「こうして出逢えたのも、何かの縁だからね…♪」

真姫「あなたって、変わった子ね……」

5: 2016/04/02(土) 01:40:35.61 ID:HFB1ZHcF.net
花陽「それで、その……死神さんが私のところに来たって事は……」

真姫「ええ……とても言いにくいのだけど……」

真姫「あなたは、近いうちに氏ぬことになってるわ」

花陽「えへへ……そっか……」

真姫「あまり、驚かないのね…?」

花陽「ほら……見ての通り、花陽はずっと入院してるの」

真姫「…………」

花陽「病気でね……花陽ももう長くないんだろうなって、覚悟はしてたんだぁ」

真姫「そっか……」

花陽「真姫ちゃん、悲しそうな顔しないで…?」

真姫「わ、私は別に…///」

真姫「大体、なんで死神の私が慰められてるのよ///」

7: 2016/04/02(土) 01:41:18.07 ID:HFB1ZHcF.net
花陽「花陽、いつ氏んじゃうのかなぁ…?」

真姫「それは……言えない規則になってるのよ」

真姫「明日かもしれないし、一週間後かもしれない……」

花陽「そっか……」

花陽「それまで、真姫ちゃんは花陽のそばにいてくれるの…?」

真姫「え、ええ……一応そういう事になってるわ」

花陽「じゃあ、その間……花陽のお友達になってくれないかな…?」

真姫「えっ……?」

花陽「ダメ……かな?」

真姫「別にダメじゃないけど……」

真姫「死神がそんなこと頼まれるなんて、前代未聞よ?たぶん……」

花陽「じゃあ……これから短い間だけどよろしくね、真姫ちゃん…♪」

真姫「う、うん…///」

8: 2016/04/02(土) 01:42:02.77 ID:jKaMJHLj.net
花陽「ふんふ~ん♪」チョロロ

真姫「何してるの?花陽」

花陽「お花にね、水をあげてるんだよ…♪」

真姫「ふぅーん……」

真姫(自分がもうすぐ氏んじゃうかもしれないのに、健気な子ね……)

花陽「はい、真姫ちゃんもお花に水あげて…♪」

真姫「わ、私はいいわよ……」

花陽「…………」シュン

真姫「…………」チラッ

真姫「わ、分かったわよ……あげればいいんでしょ?」チョロロ

花陽「えへへ……真姫ちゃん、お花に水あげるの似合ってるよ…♪」

真姫「私は死神なのよ…?もう…///」

9: 2016/04/02(土) 01:42:50.91 ID:0U9dvM5+.net
花陽「花陽が氏んだら、お花も寂しがっちゃうかな……」

真姫「そうね……」

花陽「…………」グスン

真姫(な、泣いちゃった……どうしよう)

真姫「花陽……泣かないで」

花陽「うん……ごめんね、真姫ちゃん」フキフキ

真姫「別に謝らなくていいわよ……」

花陽「そうだ……花陽が氏んだら、真姫ちゃんがこのお花貰ってくれる…?」

真姫「えっ……」

花陽「ダメ……かな?」

真姫「うん、わかったわ……」

真姫「花陽が氏んだら、私がこの花を持っていく」

花陽「ありがとう……真姫ちゃん…♪」

真姫「べ、別にお礼なんていいわよ…///」

10: 2016/04/02(土) 01:43:35.78 ID:0U9dvM5+.net
-1日目・夜-

花陽「お星様が綺麗だね、真姫ちゃん……」

真姫「うん、ほんと綺麗ね……」

花陽「真姫ちゃんのお家は、どこにあるの…?」

真姫「うーん…ここから見えないぐらい遠くかしら」

花陽「ふぅーん、そっかぁ……」

真姫「…………」

花陽「真姫ちゃんのお家からも、このお星様見える…?」

真姫「あまり見えないかな……」

花陽「そうなんだ……ちょっと寂しいね」

真姫「うん……」

11: 2016/04/02(土) 01:44:22.56 ID:vNmEK2LU.net
花陽「げほっ、げほっ……」

真姫「大丈夫…?花陽……」

花陽「うん、大丈夫……」

真姫「私といっぱいお話なんかするから、疲れちゃったんじゃない…?」

花陽「そ、そうかな…?」

花陽「花陽、今日はもうお休みするね……」

真姫「うん……ゆっくりお休み……」

花陽「真姫ちゃんは、夜お眠りするの…?」

真姫「睡眠をとる必要性はないけど、眠ることはできるわよ」

花陽「じゃあ、その……一緒に寝たいな…///」

真姫「えっ……///」

12: 2016/04/02(土) 01:45:14.93 ID:TIh+duXs.net
花陽「えへへ……冗談だよ…♪」

真姫「もう……死神をからかうんじゃないの///」

花陽「…………」

真姫「花陽……手を合わせて、何をお祈りしてるの…?」

花陽「明日も無事に目覚めて、真姫ちゃんの笑顔が見れますように…♪」

真姫「な、なに言ってるのよ///」

花陽「おやすみ……真姫ちゃん…♪」

真姫「うん……おやすみ、花陽……」

花陽「…………」スヤスヤ

真姫(しかし……こんな人間も、いるのね……)

真姫(私は近いうち、この子の魂を切り離さなければならない……)

真姫(死神の仕事も、楽じゃないわね……)

真姫(おやすみ、花陽……)

13: 2016/04/02(土) 01:45:51.02 ID:38PSvMpJ.net
-2日目・朝-

花陽「うーん……」

真姫「花陽、おはよう」

花陽「あっ……おはよう、真姫ちゃん…♪」

花陽「今日もいい天気だねぇ…♪」

真姫「そうね……」

花陽「…………」

真姫「また、お祈りしてるの…?」

花陽「これはお祈りというか……」

花陽「今日も無事にお日様を迎えられた事に、感謝してるの…♪」

真姫「ふ、ふぅん……」

花陽「真姫ちゃんはお日様、好き…?」

真姫「私はあまり好きじゃないわね……」

花陽「そっか……」

14: 2016/04/02(土) 01:46:31.85 ID:38PSvMpJ.net
真姫「私たち死神は、永遠に近い時間を生きるもの……」

真姫「無事に朝を迎えられた喜びというのは、ちょっと分からないわ……」

花陽「真姫ちゃん……」

真姫「花陽は一日を生きるのに必氏なのに、ね……」

花陽「でも……生き続けなければならないのも、また……」

花陽「悲しみや苦しみをずっと背負い続けなければならないんだよね……」

真姫「花陽……」

花陽「えへへ……ちょっと生意気なこと言っちゃって、ごめんね」

真姫「いや……ありがとう、花陽……」

15: 2016/04/02(土) 01:47:10.08 ID:wbebY2df.net
花陽「いつもは目覚めると一人ぼっちだから……」

花陽「真姫ちゃんがいるのってちょっと嬉しいな…♪」

真姫「普通は死神なんかがいたら、怖いものよ」

花陽「そうかなぁ…?」

花陽「花陽は真姫ちゃんのこと、全然怖いと思わないよ…?」

真姫「そ……そう…?」

真姫「それはそれで、死神としては不名誉な気が……」

花陽「でも、真姫ちゃんは真姫ちゃんでいいと思うよ…♪」

真姫「あ、ありがとう…///」

ズキッ

真姫(何だろう。心なしか、胸がちょっと痛んだ気が……)

16: 2016/04/02(土) 01:47:46.99 ID:wbebY2df.net
真姫「…………」ジーッ

花陽「ま、真姫ちゃん…?」

花陽「そんなに見つめられると、照れちゃうんだけど…///」

真姫「べ、別に花陽を見つめてなんか…///」

真姫「ただ……あなたの魂の色が綺麗だなと思ってね」

花陽「私の魂……?」

真姫「とても白く輝いているわよ…♪」

真姫「こんな綺麗な魂には、なかなかお目にかかれないわね」

花陽「白く、輝く……?」ゴクリ

真姫「花陽……?」

花陽「それって、炊き立ての白いご飯みたいだねぇ…♪」キラキラ

真姫「…………」

17: 2016/04/02(土) 01:48:32.33 ID:wbebY2df.net
花陽「…………♪」モグモグ

真姫「ほんと、幸せそうに食べるわね……」

花陽「うん、花陽しあわせ~♪」モグモグ

真姫「…………」

花陽「真姫ちゃんは、ご飯とか食べないの?」

真姫「食事をする必要はないわね……一応、食べることはできるけど」

花陽「じゃあ、真姫ちゃんも食べて…♪」

真姫「えっ……?別に私はいいわよ」

花陽「せっかくだから真姫ちゃんと一緒に食べたいの…」

花陽「はい、あーん…♪」

真姫「あ、あーん…///」パクッ

花陽「おいしい…?」

真姫「まぁ、悪くないわね…///」

花陽「えへへー…♪」

真姫(あんなに嬉しそうにしちゃって…変なの///)

18: 2016/04/02(土) 01:49:07.20 ID:wbebY2df.net
花陽「花陽ね、退院したら美味しいものいっぱい食べたいんだぁ…♪」

真姫「そう……」

花陽「カレーライス、ハンバーグ、麻婆豆腐……♪」

真姫「…………」

花陽「でも……花陽もうすぐ氏んじゃうんだよね……」

真姫「花陽……」

花陽「…………」

真姫「そんな悲しい顔しないで、花陽……」

花陽「うん……ごめんね、真姫ちゃん……」

19: 2016/04/02(土) 01:49:58.42 ID:wbebY2df.net
真姫「ねぇ、花陽……」

花陽「なぁに…?真姫ちゃん」

真姫「私、こういう時どうしてあげたらいいのか分からない……」

真姫「花陽は、どうしたら哀しまないでいてくれる…?」

真姫「どうしたら、涙を流さないでいてくれる…?」

花陽「真姫ちゃん……ありがとね」

花陽「じゃあ、よかったらなんだけど……」

真姫「なに…?私に出来る事なら、するわよ…?」

花陽「その……頭をナデナデして欲しいなって…///」

真姫「こ……こうでいいの?」ナデナデ

花陽「うん……すごくホッとする///」

真姫「…………///」ナデナデ

真姫(何だろう……私もすごく安心する……変な感じね)

20: 2016/04/02(土) 01:50:33.79 ID:wbebY2df.net
花陽「ゲホゲホッ」

真姫「花陽、大丈夫…?」

花陽「うん……大丈夫だよ」

花陽「でもちょっと、お休みするね……」

真姫「うん……」

花陽「ねぇ、真姫ちゃん……」

真姫「なぁに…?」

花陽「花陽が起きたら…またお話、しようね……」ニコッ

真姫「うん、いいわよ…♪」

花陽「おやすみ、真姫ちゃん……」

真姫「おやすみ……」

21: 2016/04/02(土) 01:51:29.12 ID:wbebY2df.net
【真姫の日記】

花陽は長い時間、目を覚まさなかった……

呼吸が止まってるんじゃないかと思い顔を近づけてみた

静かな寝息を肌で感じ、少しばかり安心した

……死神がこんなことを思うのはおかしいのだけど

花陽と出会い、私の中で何かが少しずつ変わっているみたい

この調子で、最後まで任務を全うすることが出来るのか……

少し不安になってきてる

23: 2016/04/02(土) 01:52:24.31 ID:wbebY2df.net
-3日目・昼-

花陽「うーん……」ガバッ

真姫「あ、花陽……」

花陽「真姫ちゃん……」ダキッ

真姫「ど、どうしたの…?花陽……」

花陽「長い、とても長い夢を見てたの」

真姫「どんな…?」

花陽「ひとりぼっちで檻に閉じ込められちゃう夢……」

真姫「そう……」

花陽「とても寂しくて怖かった……」ギュッ

真姫「よしよし……」ナデナデ

真姫「私も、その……」

花陽「真姫ちゃんも……?」

真姫「いや、何でもないわ……」

花陽「…………?」

真姫(これ以上花陽に好意を寄せたら、いけないわね)

真姫(そのぶん、別れの時がつらくなるから……)

24: 2016/04/02(土) 01:53:20.63 ID:ZCPqcPNT.net
花陽「ん~~…やっぱりご飯は美味しいよぉ…♪」モグモグ

真姫「…………」ジーッ

花陽「真姫ちゃん、どうかした……?」キョトン

真姫「いや……花陽の食べる姿を見たら、安心して……」

花陽「えへへ……///」

花陽「真姫ちゃんにはちょっと心配かけちゃったかな」

真姫「べ、別にそんなに心配してないわよ///」

花陽「はい…真姫ちゃん、トマトどうぞ…♪」

真姫「と…トマト…?」キラキラ

花陽「はい、あーん…♪」

真姫「あ、あーん…」パクッ

花陽「真姫ちゃん、おいしい?」

真姫「うん、すごくおいしいわ…♪」ニコッ

花陽「真姫ちゃんはトマト好きなんだねぇ…♪」

真姫「はっ……つい素が出ちゃったわ///」

25: 2016/04/02(土) 01:54:06.85 ID:CDIm+Hqm.net
花陽「…………」ペラッ

真姫「花陽、何を読んでるの?」

花陽「これ?小説……恋愛小説だよ…♪」

真姫「ふぅーん……面白いの?」

花陽「うん……甘くて、胸がドキドキしちゃう…♪」

真姫「そう……」

花陽「あの……真姫ちゃん」

真姫「ん…?なぁに?」

花陽「真姫ちゃんは、好きな人とかいるの…?」

真姫「うーん……とくに、いないわね……」

花陽「そっか……」

26: 2016/04/02(土) 01:54:41.07 ID:OueKYVmI.net
花陽「花陽もね……素敵な恋愛に憧れてたんだぁ……」

真姫「そっか……」

花陽「…………」

真姫「……花陽?」

花陽「な、なぁに?真姫ちゃん」

真姫「我慢せずに、泣いてもいいのよ…?」

花陽「う、うん……ごめんね、真姫ちゃん」グスン

真姫「よしよし……」ナデナデ

花陽「ねぇ、真姫ちゃん…?」

真姫「なぁに……?」

花陽「どうして真姫ちゃんは、こんなに花陽に優しいの…?」

真姫「えっ……?」

27: 2016/04/02(土) 01:55:21.87 ID:TwfTN6gK.net
花陽「あまり優しくされたら、花陽…///」

真姫「…………」

真姫「ごめんなさい……」

花陽「えっ……?」

真姫「私も、どうしてだか分からないの……」

真姫「ただ……花陽が悲しんでいると、とても胸が苦しくなる……」

花陽「真姫ちゃん……」

真姫「花陽……」ダキッ

花陽「ま、真姫ちゃん…///」ギュッ

真姫「ご、ごめんなさい……私ったら、つい……」パッ

花陽「あっ……」シュン

28: 2016/04/02(土) 01:56:15.45 ID:Cwoci1/c.net
-3日目・夕暮れ-

花陽「また、夜が来るね……」

真姫「そうね……」

花陽「…………」ギュッ

真姫「どうしたの…?花陽……」

花陽「花陽、夜が来るのが怖い……」

真姫「花陽……」ダキッ

花陽「真姫ちゃん…///」ギュー

真姫「…………///」

花陽「なんだか不思議……」

真姫「……何が?」

花陽「真姫ちゃんに抱きしめられてると、不安がどこか消えちゃうみたい」

真姫「そ、そう…?」

花陽「うん……♪」ギュー

30: 2016/04/02(土) 01:57:02.94 ID:GauJDPD3.net
真姫(花陽の温かさが伝わってくる……不思議な感じ……)

真姫(出来る事なら、ずっとこのまま……)

花陽「ねぇ、真姫ちゃん……」

真姫「なぁに?花陽……」

花陽「もっと……強く抱きしめて……全部忘れちゃうぐらい……」

真姫「わかったわ……」ギュッ

花陽「えへへ……花陽、しあわせ…♪」ギュー

真姫「私も……」

花陽「えっ……真姫ちゃんも…?」

真姫「私も、その……しあわせ…♪」ギュ

花陽「ほんと…?花陽、嬉しいなぁ…♪」ギュ

31: 2016/04/02(土) 01:57:58.11 ID:zmu4WcZu.net
花陽「あ、見て……真姫ちゃん」

真姫「あっ……」

花陽「今日の星空は、なんだかとても綺麗に見える……」

真姫「ええ、ほんとね……」

☆彡

花陽「あっ……流れ星だ」

真姫「あら、本当……」

花陽「…………」

真姫「花陽、なにかお願い事をしているの…?」

花陽「うん……♪」

真姫「ねぇ……何をお願いしたの?」

花陽「うーん……恥ずかしいから、内緒ね…♪」

花陽(出来るだけ長い時間、真姫ちゃんと花陽が一緒にいられますように……)

32: 2016/04/02(土) 01:58:45.87 ID:qKPUKVoc.net
真姫「花陽、そろそろお休みしよっか……」

花陽「やだ……」

真姫「えっ……?」

花陽「眠ったらまた一人になっちゃう……」

花陽「真姫ちゃんと離れたくないよぉ……」

真姫「花陽……」ダキッ

花陽「…………」ギュー

真姫「…………」ナデナデ

花陽「……ごめんね、真姫ちゃん」

花陽「花陽……真姫ちゃんのこと困らせちゃってるよね」

真姫「そ、そんなことは……」

真姫(私だって、出来る事なら花陽とこのまま……)

花陽「おやすみ……真姫ちゃん」

真姫「おやすみ……花陽」

33: 2016/04/02(土) 01:59:28.68 ID:Z/D3+mLd.net
【真姫の日記】

……気づいちゃった

やっぱり私は、花陽のことが好きなんだ……

心のどこかで秘かに生まれた想いが、もう溢れそうになってる

抱きしめると温かくて

笑顔がとても愛しくて

どうしてこんなに好きになっちゃったんだろう……

34: 2016/04/02(土) 02:00:12.62 ID:Oc48aZpe.net
-4日目・朝-

花陽「すぅー…すぅー…」

真姫「…………」ジーッ

花陽「んっ……」パチッ

花陽「ま、真姫ちゃん……?///」

真姫「あ、花陽……お、おはよう」

花陽「おはよう……///」

花陽「その……真姫ちゃん、何してたの…?」

真姫「えっ……その……花陽の寝顔をね、見てたの」

花陽「もしかしてずっと見てたの…?恥ずかしいよぉ…///」

真姫「か、可愛かったからつい…///」

花陽「か、可愛いって…///」

花陽「真姫ちゃんのほうがずっと可愛いよ…?///」

真姫「そ、そんな事ないわよ///」

35: 2016/04/02(土) 02:00:59.37 ID:hMWX2lO+.net
花陽「…………」カキカキ

真姫「花陽、何を書いてるの?」

花陽「家族と友達に残すお手紙だよ」

真姫「そっか……」

花陽「今までお世話になったお礼ぐらいはしたいからね……」

真姫「花陽はえらいわねぇ」

花陽「そ…そんなことないよ///花陽に出来る事ってこれぐらいだし……」

真姫「…………」

花陽「あっ……真姫ちゃんにも、お手紙書くね…♪」

真姫「わ、私にも……?」

花陽「うん…♪」

真姫「あ、ありがと……///」

36: 2016/04/02(土) 02:01:41.29 ID:hMWX2lO+.net
真姫(花陽、どんなこと書いてるのかしら……)チラッ

花陽「ピャア…!?」

花陽「真姫ちゃん、覗いちゃ駄目ぇ…///」ペシペシ

真姫「ヴェエエ……ご、ごめんなさぁい///」

花陽「真姫ちゃんは、いい子にテレビでも見ててね…♪」ナデナデ

真姫「こ、子供じゃないのよ?もう…///」

花陽「…………」カキカキ

真姫「…………」

花陽「…………」ウルッ

真姫「花陽…?大丈夫?」

花陽「ご、ごめんね…?想い出を振り返ってたら、つい泣けてきて……」グスン

真姫「よしよし……」ナデナデ

花陽「うぅ……真姫ちゃぁん……」ギュー

37: 2016/04/02(土) 02:02:34.44 ID:hMWX2lO+.net
真姫「やっぱり……怖い…?」

真姫(当たり前よね……まだこんなに若いんだもの……)

花陽「怖いってのもあるんだけど……」

花陽「残った人を悲しませてしまうのが、すごく悲しいの……」

真姫「花陽……」

真姫「あなたは、本当に優しい子なのね……」

花陽「真姫ちゃんは……」

真姫「えっ……?」

花陽「真姫ちゃんは、花陽がいなくなっても大丈夫……?」

真姫「そ、そんなはず……」

花陽「えっ……?」

真姫「そんなはずないでしょう…?」

真姫「寂しい……すごく寂しいわよ……!」

真姫「私、花陽がいなくなったら駄目になっちゃうかもしれない……」ポロポロ

花陽「真姫ちゃん……」ギュッ

38: 2016/04/02(土) 02:03:20.93 ID:hMWX2lO+.net
花陽「花陽ね、ずっと怖かったんだ……」

真姫「何が……?」

花陽「花陽のこの胸の想いを真姫ちゃんに伝えちゃったら」

花陽「真姫ちゃんを悲しませることになるんじゃないかって……」

真姫「花陽……」

花陽「でもやっぱり、この想いをちゃんと伝えようと思う……」

真姫「…………」ドキドキ

花陽「は、花陽は真姫ちゃんのことが好きです…///」

真姫「ありがとう、花陽…私、すごく嬉しいわ///」ダキッ

花陽「えへへ……花陽、言っちゃった///」ギュッ

39: 2016/04/02(土) 02:03:58.32 ID:hMWX2lO+.net
真姫「私も正直……想いを言葉にするのが怖かった……」

真姫「この想いを伝えてしまったら、もう後戻りできない気がして……」

花陽「真姫ちゃん……」

真姫「でも……花陽が勇気を出して想いを告白してくれたから……」

真姫「私も、ちゃんと想いを花陽に伝えようと思う……」

花陽「…………」ドキドキ

真姫「私も……花陽のことが好きです///」

花陽「真姫ちゃん…///」

花陽「花陽…もう嬉しくて嬉しくて、どうにかなっちゃいそう…///」ダキッ

真姫「うふふ……私も同じ気持ちよ///」ギュ

40: 2016/04/02(土) 02:04:38.94 ID:hMWX2lO+.net
花陽「ゲホッゲホッ……」

真姫「大丈夫…?花陽……」

花陽「うん、大丈夫……ゲホゲホッ」

真姫「ほら、無理しないで少しお休みしましょ……」

花陽「う、うん……」

花陽「……ねぇ、真姫ちゃん」

真姫「なぁに…?花陽」

花陽「その……花陽と一緒に寝てくれないかな…///」

真姫「い、一緒に…?///」

花陽「おねがい…///」

真姫「わ、わかったわ……一緒に寝ましょうね///」

花陽「わーい、真姫ちゃん大好き…♪」ギュッ

真姫「もう…花陽ったら、甘えん坊さんなんだから///」ナデナデ

花陽「えへへ……///」

41: 2016/04/02(土) 02:05:26.82 ID:hMWX2lO+.net
-4日目・夜-

真姫「んっ……」ガバッ

真姫(外が暗い……もう夜か……結構眠ってしまったみたいね)

花陽「はぁ……はぁ……」

真姫「は、花陽……!?」

花陽「ま…真姫ちゃん……」

真姫「花陽……大丈夫…?」

花陽「ごめんね……真姫ちゃん、花陽そろそろ駄目みたい……」

真姫「そんな……」

花陽「真姫ちゃん……あのね…お願いがあるの……」

真姫「な、なぁに…?花陽……」

花陽「花陽、最後はベッドの上じゃなくて……」

花陽「綺麗な星空の下で……」

真姫「花陽……うん、わかったわ……」ダキッ

真姫「私にしっかりつかまっててね……花陽」

花陽「えへへ……真姫ちゃんにお姫様抱っこされるなんて……」

花陽「花陽……夢の中にいるみたい……」

42: 2016/04/02(土) 02:06:00.81 ID:hMWX2lO+.net
バサッバサッバサッ……

真姫「どう…?花陽、綺麗でしょ…?」

花陽「すごい……私たちの街があんなに小っちゃく……」

花陽「空のお星様には……手を伸ばせば届きそう……」

真姫(花陽の鼓動……どんどん弱まってる……)

花陽「真姫ちゃんには……最後までワガママ聞いてもらっちゃって……」

花陽「ごめんね……?」

真姫「これぐらい……全然かまわないわよ……」

花陽「真姫ちゃん……好き……」

真姫「私も好きよ、花陽……」

花陽「真姫ちゃん……」チュッ

真姫「ヴェエエ……///」

花陽「えへへ……花陽の初めてのキス……///」

花陽「真姫ちゃんにあげられて……よかった……」

真姫「は、花陽……」

43: 2016/04/02(土) 02:06:46.73 ID:hMWX2lO+.net
【真姫の日記】

私にキスをすると、間もなく花陽の鼓動は小さく小さくなっていき

そして止まってしまった……

私は花陽を病院のベッドに戻した

花陽の魂を体から切り離すと、それはゆっくり天へと昇って行った……

さよなら、花陽……

……私が生まれて初めて愛した人

44: 2016/04/02(土) 02:07:34.09 ID:hMWX2lO+.net
【花陽の手紙】

真姫ちゃんへ

このお手紙を読んでるって事は、花陽はもう旅立っちゃった後かな…?

真姫ちゃん、悲しんだりしてない…?

花陽はそれだけがすごい心配です

花陽は真姫ちゃんに出逢えて、本当に幸せでした

真姫ちゃんの笑顔が大好きでした

花陽がいなくなっても真姫ちゃんはずっと笑顔でいてね

さよならは、寂しくなっちゃうから言わないね

またね、真姫ちゃん……

45: 2016/04/02(土) 02:08:19.87 ID:hMWX2lO+.net
-死神界-

真姫(不思議なものね……)

真姫(花陽がいなくなって、こうして手紙を読んでも……)

真姫(なんだか心がフワフワしてる感じで、実感が湧いてこない……)

真姫(私の涙って、もう枯れちゃったのかな……)

フワッ

真姫「あれ……?」

真姫(私のローブに、何か付いてる……?)

真姫(これって……アップリケ…?)

真姫(ローブにあいてた穴が、可愛いアップリケで補修してある……)

真姫「花陽ったら、いつのまにこんなものを……」ポロポロ

真姫「花陽ぉ……」グスン

47: 2016/04/02(土) 02:10:00.35 ID:hMWX2lO+.net
-死神BAR『CHUN(・8・)CHUN』-

真姫「マスター、レッド・アイをもう一杯」

ことり「真姫ちゃん、まだ飲むのぉ…?」

真姫「いいのよぉ……ヒック……」

ことり「あまり飲みすぎると、良くないよぉ…?」

真姫「うるさぁい……私は、飲まなきゃやってられないのよぉ……」

ことり「花陽ちゃん……だっけ?」

ことり「忘れられないのは分かるけど、あまり自暴自棄になっちゃ駄目だよ?」

真姫「うん……分かっちゃいるんだけどねぇ……」

真姫「そう簡単に心変わりなんて無理なのよっ」ゴクゴク

ことり「真姫ちゃんってば、案外不器用なんだねぇ……」

真姫「ふんっ……放っておいてちょうだい」モグモグ

49: 2016/04/02(土) 02:10:49.24 ID:hMWX2lO+.net
真姫「花陽ぉ……ヒック……」

花陽「真姫ちゃん…♪」

真姫「…………!?」

花陽「真姫ちゃん、久しぶり…♪」

真姫「なんで花陽が…?」

真姫「あ~……わかった、これは夢ね……そうに違いないわ」

真姫「花陽、ちゅっちゅ~♪」ダキッ ペロペロ

花陽「ぴゃっ…ピャアア…!?///」

希「ちょっと真姫ちゃん、落ち着いて……」ガシッ

真姫「ん~……?」

50: 2016/04/02(土) 02:11:40.13 ID:hMWX2lO+.net
-30分後-

希「少しは酔いが醒めたかな?真姫ちゃん」

真姫「は、花陽……!本物の花陽なの……?」

花陽「うん……花陽だよ…♪」

真姫「希…これってどういう事…?」

希「この子……花陽ちゃんは、今日から新しく死神として働くことになったんよ」

真姫「ほ、本当なの…?花陽……」

花陽「新人で分からない事だらけだけど…よろしくね、真姫ちゃん…♪」

真姫「花陽ぉ……逢いたかった……」ダキッ

花陽「真姫ちゃん……花陽もずっと逢いたかったよ……」ギュー

51: 2016/04/02(土) 02:12:25.12 ID:hMWX2lO+.net
希「それでね……これからの話なんやけど」

希「真姫ちゃんと花陽ちゃんはこれから二人一組で仕事して貰うからね」

まきぱな「えっ……?」

希「これは上官としての命令やん…?」

希「二人とも、それでええかな…?」

花陽「は、花陽はもちろん良いですよ…!」

真姫「わ、私も……///」

希「じゃ、これからは二人で協力して頑張るんよ…♪」

花陽「はい……!」

真姫「の、希……その……ありがとね///」

希「ん~?うちは別に何もしとらんよ?ほな、またね~♪」

52: 2016/04/02(土) 02:13:19.55 ID:JDag8ozJ.net
真姫「花陽……♪」ダキッ

花陽「真姫ちゃん……♪」ギュー

真姫「くんくん……花陽の匂いがする……本当に夢じゃないのね」

花陽「匂い嗅いじゃ駄目ぇ…///真姫ちゃんのエOチ///」ペシペシ

真姫「いたたっ……ごめんなさい、だって信じられなくて……///」

花陽「えへへ……それは花陽もだけどね…♪」

真姫「もう一度……花陽の顔をよく見せて……」

花陽「う、うん……///」ドキドキ

真姫「この一年間……あの夜のキスを忘れたことはなかったわ」

花陽「えへへ……///」

真姫「今度は私から……」チュッ

花陽「んっ……///」

53: 2016/04/02(土) 02:14:25.24 ID:TT7JbHOM.net
花陽「あっ……真姫ちゃん、夜が明けるよ…♪」

真姫「あ、ほんとね……」

花陽「綺麗だね……」

真姫「ほんと、綺麗ね……」

花陽「真姫ちゃん、お日様は好き…?」

真姫「うーん、そうね……前はあまり好きじゃなかったけど」

真姫「今こうして花陽と一緒に見る朝日は、大好きよ…♪」



おわり

54: 2016/04/02(土) 02:16:33.86 ID:U3QDTw3t.net

55: 2016/04/02(土) 02:20:09.89 ID:5Lrc96AX.net
おつおつ

57: 2016/04/02(土) 03:23:33.17 ID:YRcMBFyn.net
癒されたわぁ
キスが魂を切り取る儀式だったのかな

引用: 【SS】死神真姫ちゃん【まきぱな】