ぐだ男「おうち帰る」 マシュ「は?」【前編】
310: 2017/09/19(火) 08:56:28.70 ID:+f7COWIx0
BB(んふふー。地道な情報操作の賜物ですねー。あの四人は今日一日ダイハードですよ)

マシュ(なんてことを……後であの四人にリンチされていても庇いきれませんよ?)

BB(ウッソでしょ、庇う気ですか? 氏にたいんですか?)ガーン!

マシュ(氏ぬような目に遭うとわかっていてこんな愚策用意したんですか?)ガーン!

BB(……これ以上話し合っても見解の相違で殴り合うだけですね)

BB(というわけで)

マシュ(というわけで?)

BB(センパイと! ベタベタします! 無意味に!)

マシュ(どういうわけでッ!?)ガビーンッ!



マシュBB「センパーイ! 手、繋いでください! 手!」

ぐだ男「お前やることなすこと突拍子もないな」

マシュBB「いいじゃないですか、ほら! エスコートですよエスコート!」

ぐだ男「はいはい」ギュッ

マシュBB「できれば恋人繋ぎでお願いします!」

マシュBB「いや絶対恋人繋ぎでお願いします!」

ぐだ男「……何を企んでる?」

マシュBB「疑心暗鬼はよくないと思うんです。私がいつも何かを企んでいると思ったら大間違いですよ!」

ぐだ男(胡散臭ぇー。アラフィフのおっさんより胡散臭いよ)

311: 2017/09/19(火) 09:03:16.24 ID:+f7COWIx0
マシュ(ちょっ……BBさん! 肉体の主導権をこっちによこしてください! 恥ずかしいです!)

BB(あっはっはー! 別にいいじゃないですか! 感覚は全部、どちらの人格にも共有させてるんですから)

BB(ああっ、しゅごいいい……センパイの体温と、私たちの体温が恋人繋ぎから段々混ざり合って……)ハァハァ

マシュ(無駄に工口く言わないでください!)

BB(……でも嬉しいんでしょう?)

マシュ(はい!)

マシュ(……ああ、いや……えーと……)

マシュ(ああーーー! もーーー!)ジタバタ



ぐだ男「お前顔真っ赤だぞ。大丈夫か?」

マシュBB「……私は大丈夫です。私は」

ぐだ男「マシュは大丈夫じゃないんだな……」

マシュBB「なんか無駄に汗ばんできたので、向こうについたら冷たい麦茶とか欲しいです」

ぐだ男「わかった」

312: 2017/09/19(火) 09:17:30.44 ID:+f7COWIx0
マシュBB「……正直、手を繋いだ程度で尻尾フリフリするワンコな後輩の方が思考回路工口いと思うんですよね」

ぐだ男「お前それマシュに聞こえるように言ってる?」

マシュBB「……えへっ」キャルーンッ

ぐだ男「BBのそういう都合の悪い質問をされたときに雑に誤魔化すところを俺は一番信用していない」

マシュBB「さ、流石にマスターですね……デオンさんも似たようなこと言ってましたよ……!」

マシュBB「でもそれは置いといて! ねえ! 多分私よりもマシュさんの方が工口いって点には賛成でしょう!?」

ぐだ男「追い詰められたときに仲間を巻き込んでメガンテするクセも修正しろ。すぐにだ」

マシュBB「ずるいー! こっちの非を指摘するだけ指摘して全然答えになってないー!」

マシュ(聞きたくもないので別にいいですッ!)

313: 2017/09/19(火) 09:35:32.37 ID:+f7COWIx0
マシュ(しかし……恋人繋ぎしているというのに、お二人ともまったくいつも通りですね)

BB(まあ再三、マスターと私は関係を調整しましたからね。仲間である以上の関係はないって、お互いに位置づけたりして)

マシュ(……わざわざそんなことを……)

BB(私は私で好きな人いますしねぇ)

マシュ(……こうは思ってはいけないのでしょうが、それでもこうやって気安く触れ合える関係はちょっと羨ましいです)

BB(ほう。なるほど)

BB(そんな無神経な言葉を吐いちゃう悪い子にはおしおきしてくれましょう)

マシュ(えっ)



マシュBB「うりゃっ」ギュウ

ぐだ男「痛っ! なんで急に握力強くしてんだよ!」

マシュBB「急に! 急にマスターの手を握り潰したくなって! 急に!」

ぐだ男「お前本当に自由だなぁ! こ、この……大人しくやられてたまるか!」ギュウ

マシュBB「フハハハハハハー! サーヴァントの力は不活性だとは言え、デミサーヴァントに勝てるものかー!」ギュウウ!

ぐだ男「負けるわけにはいかないんだよーーー!」ギュウウウ!

マシュBB「ぐうおおおおおおあああああ!」ギュウウウウ!

ぐだ男「うおおおおおおおおおおおおお!」ギュウウウウウ!

マシュ「……せ、先輩……痛い、です……!」カタカタ

ぐだ男「うおおおおおおお……?」

ぐだ男「……」

ぐだ男「……ゑ?」

マシュ「うう……」フルフル

ぐだ男「……」

ぐだ男「BB! 貴様ァーーーッ!」ガビーンッ!

314: 2017/09/19(火) 09:44:52.64 ID:+f7COWIx0
BB(はいバトンタッチー。後はよろしこー。また後で来ますねー)

マシュ(BBさんーーーっ!?)ガビーンッ!

マシュ(……)

マシュ(……い、いえ。大丈夫です。BBさんにできて私にできない道理はありません)

マシュ(そう。この程度……先輩と手を繋ぐ程度、どうとでも!)



マシュ「あ、あの……先輩。見ての通り、BBさんから一方的に肉体の主導権を返されましたので……」

マシュ「ひ、引き続きエスコートをお願いしますね?」ニコォ

ぐだ男「……」

マシュ「先輩?」

ぐだ男「うおっ? お、おおん……んん……」アタフタ

マシュ「……」

マシュ「なんでっ! BBさんのときは普通で! 私のときだけテンパってるんですかッ!」ガビーンッ!

ぐだ男「い、いや。だってさっきまでは相手がBBだったし……BBだぞ?」

ぐだ男「多少ぞんざいに扱ったところで普段の言動と行動からしてもお釣りがくる、あのBBだぞ?」

ぐだ男「で、でもお前……マシュの場合はさ……大事にしないといけないじゃないか……」カァァ

マシュ(やめてーーー! お願い、さっきみたいに飄々としててくださいよ先輩ーーー!)

マシュ(なんかこっちまで氏ぬほど恥ずかしくなってきちゃいますからーーー!)カァァ

315: 2017/09/19(火) 09:53:41.34 ID:+f7COWIx0
ぐだ男「そ、その……手、ごめんな。大丈夫か?」スッ……

ガシィッ

マシュ「手! 離そうとしたら! 許しませんからねッ!」

ぐだ男「えっ」

マシュ「じゃないとカルデアに帰り次第、先輩とBBさんはデキてるって根も葉もない噂をバラ撒いてやります!」

ぐだ男「ええっ!?」ガビーンッ!

マシュ「なので絶対に私の手を! 離さないでください! 絶対にッ!」



BB(プスー。クスクスクス。必氏ー!)プギャー!

マシュ(黙っていてください!)

BB(噂をバラ撒くとか、そんなのできないくせにー。技術とか以前に良心的にー!)クスクスクス

マシュ(ああーーーッ!)プンスカ!

317: 2017/09/19(火) 16:10:58.50 ID:+f7COWIx0
カルデア

BB(やっぱり気になるんですよねー。体をマシュさんに任せた後はポップコーンとコーラを持って巌窟王さんの鑑賞会です)

イシュタル「ん? あ。BBじゃない」

BB「あ。配布の方のイシュタルさん」

イシュタル「遅かったわね。もう裁判は終わっちゃったわよ」

BB「は?」

ナーサリー「ぐすっ……まさかこの事件にあんな裏があったなんて驚きだったのだわ」エグエグ

BB「ナーサリーさんまでっ!?」ガビーンッ!

ナーサリー「まさかアンジーを襲ったのが●●●(ネタバレ防止のため伏字)で」

イシュタル「しかも襲われている最中にアンジーは●●●を守るために●●を●●●かったなんて」グスン

ナーサリー「裁判終盤の最原の覚悟ももう素晴らしかったのだわ! ●●●を●●ためにあえて自分で●●●を●●て――」

BB「ぎゃあああああああああああッ!」ガビビーンッ!


なんかいつの間にか巌窟王のモニターがカルデア中で流行ってた。
そしてBBの本体は致命的なネタバレを食らい、少し寝た。その後、ネタバレを食らったことを思い出し、泣いた

318: 2017/09/19(火) 16:27:06.70 ID:+f7COWIx0
マシュ「……」

マシュ「なんか先ほどからBBさんの元気がありません」

ぐだ男「本体の方に何かあったのかもな。打たれ弱いから殴っていいのは殴られたときだけだ」

ぐだ男「そら。家。ついたぞ」

マシュ「……ん……」

ぐだ男「……」

二人(どのタイミングで手を離せばいいのかわからない……!)

ぐだ男(まさか家の中に入るまで、か……そんなバカな……鍵を取り出せないな……)

ぐだ男(いや、鍵が入ってるポケットは空いてる方の手の側だ。問題はない)

ぐだ男(問題があるとしたら恥ずかしいこと!)

マシュ(勢い任せで手を繋ぐべきじゃなかったのかもしれません……!)

マシュ(な、なんかもう、緊張からか唇がカサカサに……!)

マシュ(リップが欲しいです、凄く!)

319: 2017/09/19(火) 17:08:02.11 ID:+f7COWIx0
二人(扉の前まで手を繋いで来ちゃったよ)

ぐだ男(……)

ぐだ男(いや。もう考えるのをやめよう。相手はマシュだ! 俺の相棒のマシュなんだ!)

ぐだ男(手を繋ぐ程度ならなんでもない!)

ぐだ男「よーし、マシュ。それじゃあこのまま家に入るぞ!」

マシュ「はい! マシュ・キリエライト、吶喊します!」

ぐだ男「いいか。俺が鍵を開けた後、一、二の三で中に入り一発かますぞ」

ぐだ男「ただいまー! とな!」

マシュ「完璧な作戦です! やはり私のマスターは世界一のマスターですね!」

ぐだ男「鍵は開けた。行くぞ。一、二の三!」


ガチャアアアンッ!


二人「ただいまーーー!」

部屋「」ガラーンッ

ぐだ男「誰もいねぇーーーッ!」ガビーンッ!

BB(ちょっと意識を取り戻したら、なんですかこのノリ)

マシュ(勢いで誤魔化さないとやってられなくって……!)

320: 2017/09/19(火) 17:35:39.37 ID:+f7COWIx0
やっと手を離した

置手紙「」ポツン

ぐだ男「……置手紙がテーブルの上にある」

ぐだ男「どらどら」

ぐだ男「……」

ぐだ男「……」汗ブワッ

マシュBB「どうしたんですか?」

ぐだ男「え、あ、あの……」

ぐだ男「今日、両親、帰ってこん」

マシュBB「へえ」

ぐだ男「なんか実家帰るって……」

マシュBB「急ですね。昨日のこともありますし、明らかに気を使われてます」

ぐだ男(もうコイツ、監視について隠すつもり毛頭ないな)

マシュBB「……」カァァ

マシュBB「……あっつ! この部屋暑くないですか!?」

ぐだ男「……BB。多分だが……言いづらいんだけどさ」

ぐだ男「マシュの心拍数が上がってるだけだ」

マシュBB「むっつり工口娘」

マシュ「不名誉なこと言わないでくださいッ!」ガァッ

ぐだ男(スイッチもう頻繁に切り替わるようになってるなー)

321: 2017/09/19(火) 17:59:57.54 ID:+f7COWIx0
ぐだ男「ひとまず休むか。何か飲み物出すよ。テレビのリモコン渡すから適当にくつろいでくれ」

マシュBB「はいはーい。ぬるいジュースはお断りですよー」

ぐだ男「厚かましいヤツめ」スタスタ

マシュBB「さてと。この時間だとニュース以外何もやってないと思うけど」ピッ


テレビ『ご覧ください! 現在、ホテルはテ口リストにより占拠されております!』

テレビ『しかしホテルの中ではテ口リスト側に何らかのトラブルが起こっている様子です!』

テレビ『ここから見えるのはホテルのロビーだけですが、そこら中に大量の血や脂肪由来の油がぶちまけられており――』


ピッ


マシュBB「センパーイ! 後で何か映画借りてきましょうよー! 何もやってなくてつまらないですー!」

ぐだ男「後でなー」

マシュ(……まあ、先輩には見せられないですけど……)

BB(休日ですもの。休んでいてもらわないと、ね?)

322: 2017/09/19(火) 18:13:52.60 ID:+f7COWIx0
エリザ「さあ。言いなさい。あなたたちが時限爆弾を仕掛けたってのはもう割れてるの。どこに仕掛けたの?」

グチャバリッ!


覆面1「……ひ、ぎ、い……」ガタガタ

茨木「あー。ダメだぞエリザ。舌が縦に真っ二つに裂けておるではないか。拷問しても喋らせようがない」

ジャック「ていうか何をしたらこんな愉快なことになるの?」

エリザ「口の中に包丁を突っ込んでアッパーしただけだけど……?」キョトン

デオン「キョトンとするな。だけって言うほど小さいことでもないぞ」

エリザ「えー。いいじゃない。どうせホテルからは誰も逃げられないように陣地作成で閉じ込めてるんだから」

エリザ「使い物にならないヤツは趣味で拷問して、それ以外は普通に拷問すればいいのよ!」キラキラキラ!

ジャック「趣味って言っちゃったよ」

デオン「今更だからどうとも思わないけどな」

茨木「白百合の騎士は真っ黒だなぁ?」

デオン「ん。こっちのヤツは比較的口が無事じゃないか。こっちを使おう」グイッ

茨木「それもう主要な内臓くらいしか残ってないように見えるが」

デオン「いや? 氏んだふりしているだけだ。意識もハッキリしてる。ほら、白目の辺りを触るとわかりやすい」

ペタッ

覆面2「いぎっ……」

デオン「な?」

茨木「な? じゃないが」

エリザ「しょうがないわねー。趣味じゃない拷問に切り替えるとしましょうか」

覆面2「ひ、い……頃して……頃して……!」ガタガタ

デオン「何を勘違いしているんだ?」

ジャック「あなたたちに生かす価値がないのは確かだけど、頃すつもりも毛頭ないよ?」

茨木「安心しろ! 全員生きてここを出られるぞ!」キラキラキラ

エリザ「じゃあ尻に玩具を入れるわよー! せーのっ!」

覆面2「あ、ぎ、が……!」ガタガタ

覆面2「ぎゃああああああああああッ!?」


最終的な氏亡者はゼロだった。めでたしめでたし

324: 2017/09/19(火) 20:12:58.97 ID:+f7COWIx0
マシュ(……あの四人が今どういうことをしているのか、わかりませんか?)

BB(私にはわかります。元気にやっているようですね。マスターの理念に従って、誰一人として殺さずに事態を収める気のようです)

マシュ(よかった。それなら大事には至らなそうです)

※既に至っています

ぐだ男「冷えた麦茶を持ってきたぞー」

マシュBB「あ。ありがとうございまーす!」

マシュBB「いやぁー。ずっと体が熱かったから、やっとコレでクールダウンでき」

マシュBB「ぶへぁーーーッ!」ブーーーッ!

ぐだ男「ぷふっ……! めんつゆだ」プルプル

マシュBB「げっふ……ごほっごほっ……せ、センパイぃぃぃ!」

ぐだ男「これで監視の件はチャラにしてやる。助けられたのは事実だが、無許可はダメだ。無許可は」ニヤニヤ

マシュBB「よくもだましたアアアアア! だましてくれたなアアアア!」ガシィッ

ぐだ男「ぐえええええ! やめろ! 首を締め上げるな!」ジタバタ

マシュ(本当に仲がいいですね……)

326: 2017/09/19(火) 20:28:30.34 ID:+f7COWIx0
仕切り直し

マシュBB「ふーん、だ!」

ぐだ男「そう怒るなって。これで色々チャラにしてやったんだからさ」

マシュBB「それはそれ! これはこれです!」

マシュBB「私は人間をいじくるのは大好きですが、人間に弄られるのは大嫌いなんですよ!」

ぐだ男「クズヤロー」

マシュBB「……自覚はありますが、もうちょっと歯に衣着せるとか……」

ぐだ男「俺は出来る限りお前のことを庇ってやるが、いつか庇いきれないほどのリンチ受けるぞ?」

マシュ(その忠告、もうちょっと早ければ……)

BB(覚悟の上です!)

マシュ(潔い!)ガビーンッ!

ぐだ男「で。何か映画借りたいんだっけか? 近くにレンタルビデオ屋があるからそこに……」

ぐだ男「……」

ぐだ男「……やっちまった。有効期限が切れてるに決まってるじゃないか」

マシュBB「ん。ああ……そっか。何年かぶりの帰郷ですものね」

ぐだ男「……うちに何本か映画のディスクあるから、それでなんとか暇を潰そう」

マシュBB「あーあ。センパイとデートできる口実ができたと思ったのになー」ニコニコ

ぐだ男「心にもないことをノータイムで口から垂れ流す技術は大したものだと思うよ」

マシュBB「流石にちょっとも動揺させられないと思うと女としての自信失くしちゃうんですけどー!」プンスカ!

327: 2017/09/19(火) 20:38:56.49 ID:+f7COWIx0
マシュBB「……あ。そうだ。じゃあこうしましょう」

ぐだ男「あ? またロクでもないことをマシュに吹き込む気か?」

ぐだ男「流石にそうそう何度も俺は引っかからな――」

マシュ「……先輩とデートできる口実が、できたと思ったのですが……」カァァ

ぐだ男「」

マシュ「……」

マシュ「だからっ! なんでっ! 私のときだけ本気で狼狽えるんですかッ!」

ぐだ男「お前が慣れないこと言うからだろ……!」

ぐだ男「あー……あーあーあー……!」

ぐだ男「……映画取ってくる!」

マシュ「あ、先輩……!」

ぐだ男「……」

ぐだ男「マシュが望むのならどこにだって連れて行くよ」

マシュ「……」

ぐだ男「えーとファミリー向けのヤツは……」

マシュ「……」

BB(どこにでもって、なんです? ピンク色の城みたいな休憩所的なところでも?)クスクスクス

マシュ(もーーー!)プンスカ!

328: 2017/09/19(火) 20:55:29.61 ID:+f7COWIx0
BB(今更なんですが、やっぱり私がいなくってもマシュさんってどうとでもできるのでは?)

BB(ていうかむしろ私が邪魔ですよね?)

マシュ(……わかってるくせに、そんなことを言うんですね)

BB(ふふっ。グレートデビルもちょっとは天使的なこと言いますよ)

BB(今ここでチャンスをあげましょうか? あなたが消えろと言えば綺麗さっぱり、私の人格データを消去してあげますよ)

マシュ(それは……)

BB(こうやって選択肢を投げかけておいた方が、後悔は大きくできそうですしね)

マシュ(……私があなたを切り離せないってことを計算に入れた発言ですね)

マシュ(凄まじく卑劣です)

BB(あなたに一番必要なものですよ)

マシュ(欠けていることは認めますが必要だとは思いません)

マシュ(……でも私は……)

BB(すりーとぅーわん、どばーーーんっ! タイムアーーーップ!)

マシュ(早いですよ! 確かに消えろなんて言うつもりなかったですけど!)ガビーンッ!

BB(ふふふ……私に任せておいてください……!)

マシュ(……不安です)

BB(誰だってそうですよ。初めてはいつだって)

BB(……私に身を委ねていれば、人生で一番幸せな夜になります)

BB(安心なんてできなくってもね)

マシュ(……)

BB(さあ。マシュさんは陥落しましたよ。あとはあなたが堕ちればすべてカタがつきます)

BB(楽しみにしてくださいよ。セ、ン、パ、イ)

330: 2017/09/19(火) 21:20:35.12 ID:+f7COWIx0
数時間後

マシュBB「ううっ……えぐっ……ロボとーちゃん最高すぎるでしょ……!」エグエグ

ぐだ男「……」ドンビキ

マシュBB「え。なんです? なんで引いてるんですか?」

ぐだ男「いや、すまない。お前にまだ映画で泣く、みたいな普通の女の子の感性が残ってることにビックリして」

マシュBB「いくら何でも失礼すぎやしません!?」ガビーンッ!

ぐだ男「だから悪かったって……なんか詫びに作るからさ」

マシュBB「おや。もうそんな時間……外も暗いですね、確かに」

ぐだ男「時間がかかるから、なんなら風呂入ってきてもいいぞー」

マシュ「……」ギクリ

BB(……ふむ。この段階で仕掛けると食事と被ります。惜しいですが、まだです。まだ)

マシュ(了解……)

マシュBB「ふふっ! それじゃあお湯お先にいただきまーす!」

ぐだ男「おーう」

331: 2017/09/19(火) 21:28:01.01 ID:+f7COWIx0
マシュBB「ふー……いいお湯でした!」ツヤツヤ

ぐだ男「……」

ぐだ男「よかった。お前のことだからスケスケのネグリジェでも持ってきてるんじゃないかと心配してたんだが」

ぐだ男「普通のパジャマだ……普通の……!」

マシュBB「普通で悪かったですね?」

ぐだ男「いや、いい。とてもいい。お前が普通のことをしているってだけで泣くほど感動する」

ぐだ男「ほら。今日はハンバーグだ。ジャックのために何回も試行錯誤したから、俺の作れるヤツの中では一番の自信作だぞ?」

マシュBB「わあ!」

マシュ(実際、マスターの作るハンバーグは美味しいですよ)

BB(……へえ。そんな特技が……)

BB(ま、どうせエミヤさんには負けるんでしょうけどね)

マシュ(あれと比較するのはいくら何でも残酷すぎますが……)

マシュ(これはこれで美味しいんです。先輩にしか出せない味ですから)

マシュBB「じゃあ遠慮なく……!」

ぐだ男「おう。盛り付けたらすぐに食っていいぞ。ちょっとしたデザートも用意してる」

ぐだ男「コンビニスイーツだけど」

BB(彼氏力高ァ)

マシュ(……BBさん?)

BB(いや、取らないですけどね?)

332: 2017/09/19(火) 21:38:19.87 ID:+f7COWIx0
数十分後

マシュBB「……ふはー……美味しかったー!」

ぐだ男「ん。そうか。そりゃよかった」

ぐだ男「……マシュはどうだったよ。感覚は共有してるんだろ?」

マシュ「あ、は、はい! とても! いつも通り美味しかったです!」

ぐだ男「よかった」

ぐだ男「んじゃあ食器をカタしてくるから。布団はまだ後でいいだろ?」

マシュBB「んー。すぐに寝っ転がりたいですー」

ぐだ男「ソファにでも転がってろ。牛になりたきゃな」

マシュBB「あーい」ステステ

ぐだ男「……」

ぐだ男(やっと……やっと平和を手に入れた!)

ぐだ男(茨木には噛まれ、デオンには両親を酒で潰され、ジャックと逃避行し、エリザとToLoveるダークネスした昨日までとは違う!)

ぐだ男(今度こそ! 今度こそ俺は平穏無事な日常を取り戻したぞ!)

ぐだ男(BBがいるのが不安だが、マシュがいれば滅多なことは起こらないだろう!)

ぐだ男(マシュがいれば!)




BB(って、思ってるんでしょうねぇ……)

BB(……今の内ですね。ふふふ)

マシュ(……はい)

BB(BBちゃんによるマジカルメイクアーーーップ!)キラリーンッ!

333: 2017/09/19(火) 21:46:13.55 ID:+f7COWIx0
ぐだ男「おーっし。食器もカタしたし、次は布団でも敷くかー」

ぐだ男「寝るかどうかは置いといて、そろそろ寝っ転がれる場所くらいは欲しくなるころだろうし……」

ぐだ男「ん」


ゴソゴソ


ぐだ男「寝室から何か音が……」

ぐだ男「ああ、そっか。監視してたんだもんな。布団の場所くらいは知ってるに決まってる」

ぐだ男「……前までは全員、俺と一緒に寝ることを注文してたけど……今日は相手がマシュだしな」

ぐだ男「流石に今日は別室で寝るか、さもなくばソファで寝るかだな」

マシュ「せ、せんぱーい……ちょっと来てくれませんかー?」

ぐだ男「お? どうしたマシュ。ファブリーズが欲しいんならすぐに持ってくるけど」ガチャリッ

ベビードール着用マシュ「……あ、あの……」



ぐだ男「」

ぐだ男「」

ぐだ男「……!?!?」

マシュBB「感想はどうしたんですか? セーンパァーイ?」ニヤニヤ

ぐだ男「BBィーーーッ!」ズガァァァァンッ!

334: 2017/09/19(火) 21:52:37.50 ID:+f7COWIx0
ぐだ男(うっ……この匂いは……!)

マシュBB「あーっはっはっはっは! 迂闊に部屋に来てしまったあなたが悪いんですよ!」

マシュBB「そう! この部屋に充満しているのは媚薬効果のあるお香です!」

マシュBB「キアラさんプロデュースなので効果には保証付き! 抗える人間など誰一人として」

ぐだ男「いや俺は大丈夫だけど」

マシュBB「えっ」

ぐだ男「防毒の加護があるし……」

マシュBB「あっ」

マシュBB「……いけない。強力にしすぎた。前のジャックさんの睡眠薬とは違って完全に毒にカウントされちゃいましたね」

マシュ(詰め甘すぎです!)

マシュBB「でもまあ、ははっ! こんなものは最初からダメ押しに過ぎないですしね!」

マシュBB「本番はこれからですよ、セーンパーイ!」

ぐだ男「おい。おい。何のつもりだ。マシュはどうした?」

マシュ「ええっと……一応、無理やりってわけじゃないんですけど」

ぐだ男「な、なにィ……?」

BB(おや。私が強要してこんなことをしていると思っていた。信用がないですねー……)

マシュ(まあ実際この状況見たら……)

BB(あ、違うか。私に信用がないんじゃなくって、マシュさんが信用されすぎなんですね)

マシュ(……)

335: 2017/09/19(火) 21:58:19.50 ID:+f7COWIx0
マシュBB「……ねえセンパーイ。このベビードールってぇー、肩紐の部分をちょっとズラすとー」

マシュBB「簡単に下に下がっちゃうんですよー?」スルッ

ぐだ男「何ィーーー!?」ガビーンッ!


ダッ


ぐだ男「や、やらせんぞ! マシュのためにもそんなことはさせたりしない!」ガシィッ

マシュBB「ははっ! 退室せずに私の方に来る……と、思いましたよ! 計算通りです!」

マシュBB「その勇者的思考回路がアダになる!」

ぐだ男「えっ?」

マシュ「せ、先輩……!」グイッ

ぐだ男「うわっ」グラッ


バターンッ


BB(さあ……溺れる夜の始まりです)

BB(ちょっとずつちょっとずつ。確実に。マスターの理性を終わらせてあげます)

340: 2017/09/20(水) 19:47:32.08 ID:r91pMgOq0
虚構殺人遊戯 才囚学園

巌窟王「……」

最原「……アンジーさん。まだ眠ってるね。いつ起きるのかな」

巌窟王「そうそう遠くはあるまい。モノクマの処置は、悔しいが適確だったからな」

巌窟王「無駄にサイボーグ化などはされていないことは東条も確認している」

最原「それがこの学園ではありえそうだから怖いんだよね……」

巌窟王「……」

巌窟王「最原。一つ聞かせろ」

最原「なに?」





巌窟王「どの時点で気付いた? 今回の犯人を俺が頃す気だと」

最原「……」

341: 2017/09/20(水) 19:51:52.14 ID:r91pMgOq0
最原「疑似学級裁判の序盤」

巌窟王「そんなに最初か」

最原「一番最初に『あれっ』て思ったのは、普段はそんなことは滅多にしない巌窟王さんがヒントを与えるようなことを言ったとき」

最原「前回、前々回の学級裁判だと『自分自身でも本当にわからないこと』を純粋な興味で暴いた結果、議論が発展した、みたいなパターンだったから」

巌窟王「それだけか?」

最原「まだあるよ。これが一番の理由かな」

最原「犯人がアンジーさんの口の中に酒瓶を突っ込み、ヒルの許容限界を超えた血液を吸い出させた……」

最原「このトリック、よくよく考えると被害者がアンジーさんってところに致命的な穴がある」

最原「サーヴァントの巌窟王さんならまず最初に気付いたはずだ」

巌窟王「……」

最原「……令呪で呼べたはずなんだよ。だって、酒で溺氏させないために、アンジーさんの意識はハッキリしてたはずなんだから」

最原「荒縄で雁字搦めにされていようと関係ないんだ」

342: 2017/09/20(水) 19:58:59.35 ID:r91pMgOq0
巌窟王「……見事、と言ったところか。あのシャーロック・ホームズがお前のことを知ったら頭を撫でたがるだろうな」

最原(たまに巌窟王さんって変な冗談言うな……)

巌窟王「俺が気付いていたはず、というところまで推理の中に入っていたな」

最原「じゃないと犯人を殺そうと思うくらい怒らないと思って」

巌窟王「……アイツは我がマスターの理念を踏みにじった」

巌窟王「やり方こそは歪んでいたかもしれないが、意志自体は間違っていない。それにも関わらずな」

巌窟王「しかも『アンジーは巌窟王を呼ばない』という点を考慮に入れて凶行に及んだのだ」

巌窟王「これで犯人に怒らなければ、何が復讐者か」

最原「最後の令呪。これを失ったら今度こそ巌窟王さんは生き返れない。だから……」

巌窟王「……犯人も、アンジーも大馬鹿者だ」

343: 2017/09/20(水) 20:10:27.07 ID:r91pMgOq0
巌窟王「アンジーが氏ねば、どうせこの空間での現界の維持はできなくなる。どっちにしても消えるというのに」

最原「消える前に他のマスターと契約すれば消えない、みたいなこと言ってたけど」

巌窟王「……」

最原「……まあ僕たちにはいらない知識、だよね」

アンジー「ん……!」

巌窟王「む」

最原「アンジーさんっ!」

アンジー「う、う、うう……!」ガタガタ

巌窟王「……もう容態は安定したはずだが」

最原「違う。これは体じゃなくって心の方の問題だ……!」

最原「凄くうなされてる!」

アンジー「か、神様……!」ガタガタ

巌窟王「アンジー! 俺はここにいるぞ!」

アンジー「……ルチャの……女神様……」

巌窟王「……」




巌窟王「は?」

アンジー「ルチャの神様が愉快な腰つきで無理やり迫ってくるよおおおお……!」エグエグ

巌窟王「」

最原「ど、どんな夢かはまったくわからないけど、ありえないほどうなされてる!」ガビーンッ!

344: 2017/09/20(水) 20:15:47.65 ID:r91pMgOq0
某ルチャの女神『オーレッ! あなたもマスターたるもの、強くなくっちゃいけませーん!』

某ルチャの女神『その心意気、覚悟。資格は充分です! 我が加護を受けて超高校級のルチャドーラとして覚醒するのデース!』

アンジー「いやだああああ……いやだよおおおお……! 他の神様信仰したくないよおおお……!」ガタガタ

アンジー「もう高さ足りてるよおおおお……!」エグエグ

巌窟王「」

最原「アンジーさん! しっかりして! アンジーさーーーん!」

巌窟王「……」ズーン

最原「巌窟王さん! 頭抱えてないで誰か呼んできて……巌窟王さん! 巌窟王さーーーんっ!」



その後、アンジーがあと十回『ルチャの女神様いやだ』とうわごとを繰り返したあたりで彼女は目を覚ました。
ついでに何故かケツァルコアトルの加護を手に入れていたが、本気でいらなかったので捨てた。


巌窟王は身内の不祥事を心の底からアンジーに謝ったようだ。めでたしめでたし

345: 2017/09/20(水) 20:23:27.66 ID:r91pMgOq0
夕ご飯食べてから本編します。

綺麗なチケットだろ……? 使えないんだぜ? まだ

346: 2017/09/20(水) 20:50:13.22 ID:r91pMgOq0
ぐだ男家

ぐだ男(前回までのあらすじ)

ぐだ男(ベビードールを着たマシュに組み敷かれた)

ぐだ男(もう何がなんだかわからない)

ぐだ男「……」

ぐだ男「もう知らん。寝る」スヤァ

マシュBB「はいビンター!」パシィンッ

ぐだ男「痛ェ」

マシュBB「据え膳食わぬは男の恥という言葉を思い出してください!」

ぐだ男「お前が出してる据え膳はタバスコ入りなんだよ! 食えるかッ!」

マシュ「そ、そこまで……イヤですか……?」

ぐだ男「あ、いや、マシュのことは全然……」

ぐだ男「ああもう紛らわしい!」

マシュBB「とか言いながら、今日はずっと、どっちの人格が出ているかは百発百中で当ててるんですよ」

マシュBB「愛の成せる業ですね! そんなに私のことが好きなんですか?」

マシュ「……そ、そうなんですか? 先輩はBBさんに叶わぬ恋を?」

ぐだ男「うおーーー! もうシームレスに人格が切り替わってるーーー!」ガビーンッ!

347: 2017/09/20(水) 20:55:32.94 ID:r91pMgOq0
ぐだ男「BBの笑顔はBBの笑顔でわかりやすいんだよ!」

ぐだ男「マシュはマシュでなんか声が優しくて安心する! だけだ! それだけ!」

ぐだ男「ってことで、離してくれませんかね。ピタリ賞的なアレで……」

マシュ「ダメです」

マシュBB「当然ダメです」

マシュ「絶対にダメです」

ぐだ男「ち、ちくしょう……! 俺に一体何をする気だ……?」

マシュBB「ぶっちゃけこのまま私たちに食べられちゃってください!」

ぐだ男「食べ物が不足してたんなら後で買ってくるから……」

マシュ「いいえ。残念ですが性的な意味で、です」

ぐだ男「……」

マシュ「ごめんなさい……」

ぐだ男「謝るくらいなら言わなきゃよかったのにさぁ……!」

349: 2017/09/20(水) 21:05:33.09 ID:r91pMgOq0
ぐだ男「……」

ぐだ男「BB! お前! マシュになんか吹き込んだろ!」

マシュBB「何を根拠に?」

ぐだ男「いくら何でも行動が突飛すぎる!」

マシュBB「うーん……まあ確かに吹き込んだっちゃ吹き込みましたが」

マシュBB「突飛ではないですよ。伏線はいくらでもありました」

ぐだ男「え。そうだっけ?」

マシュBB「時間は大体去年の年末、冠位時空神殿ソロモン攻略戦に遡ります」

ぐだ男(お前そんときいなかっただろ)

マシュBB「私はそのときいなかったですけどね!(泣)」

ぐだ男「泣くな鬱陶しい!」

350: 2017/09/20(水) 21:12:32.79 ID:r91pMgOq0
マシュBB「人理焼却式ゲーティアとの対戦。マシュさんの脱落。ドクター・ロマンの決氏の宝具」

マシュBB「まあなんやかんやあったものの、人理焼却は阻止され、世界は御覧の通り元通りとなりました!」

マシュBB「その際、氏んだと思われていたマシュさんも何故か蘇生しており……」

マシュBB「あなたたちはどこまでも続く蒼天の下、その偉業と勝利の美酒を噛み締めたのです」

マシュBB「……」

マシュBB「で? だから何?」

ぐだ男「は? いや、だから何って……それで終わりだろ?」

ぐだ男「いや、亜種特異点の発生はまだ止まってないけど、おおよそそれで全部終了したはずだ」

マシュBB「これで? いやいや……終わってないですよ。一つ重大な忘れ物をしていたはずです!」

マシュBB「なんかもう、さらっと流されちゃってマシュさん自身も気付くの遅れてたんですけどね!」

ぐだ男「あー……?」

351: 2017/09/20(水) 21:18:16.26 ID:r91pMgOq0
マシュBB「……別にそれのために辛い闘いを耐えてきたわけじゃありません」

マシュBB「あなたちは純粋に、生きたかっただけ! 最後の最後まで足掻いてただけ!」

マシュBB「でも『あって当たり前のもの』を度外視していい理由にはならないんですよねぇ!」

ぐだ男「それは?」

マシュBB「戦いを生き残ったあなたたちの幸せ」

マシュBB「……具体的に言うと集大成がないんですよ! キスとか告白だとかだとか色々あるでしょうに!」

ぐだ男「あー……」

ぐだ男(具体例は素直にうなずきたくないが、言いたいことはわかる)

ぐだ男「……俺はマシュが生きてたってわかったときは凄く嬉しかった」

ぐだ男「俺自身も生きててよかったって、本当に思えたんだ」

ぐだ男「ということをマシュ本人にもキチンと伝えたんだが、まだ足りなかったか?」

マシュ「……」

マシュBB「話が早くて助かります」ニコォ

352: 2017/09/20(水) 21:32:32.18 ID:r91pMgOq0
ぐだ男「……当たり前か。お前本当に氏にかけてたもんなあ。あの終局特異点は本当に危なかった」

ぐだ男「報酬が足りないって言われたら『そらそうだ』としか言えないって」

ぐだ男「……」

ぐだ男「で、その話がなんで今に繋がるんだ?」

マシュBB「終局特異点攻略直後は、まあ別にそれでもよかったのです」

マシュBB「ですが、それから数か月、カルデアで過ごしていく内にマシュさんの脳内にはモヤモヤが溜まっていきました」

マシュBB「そして私がこの旅行で、そのモヤモヤの正体を言語化してあげたのです!」

ぐだ男「モヤモヤの正体……」

マシュBB「いい子ちゃんすぎてつまらない」

ぐだ男「……え? それが正体?」

マシュBB「結構重要ですよ、これは」

マシュBB「ていうかこの旅行の最中、ずっとそうでした」

マシュBB「あとのことはマシュさん本人から聞けばいいと思います」

353: 2017/09/20(水) 21:38:55.78 ID:r91pMgOq0
マシュ「私は……私の性格をこれと言って悪いとは言えません」

マシュ「言えませんが、ちょっと寂しいとは思うんです」

ぐだ男「ずっと一緒だったんだから寂しがる要素なんて」

マシュ「……先輩がかかずらっているサーヴァントのみなさんは大体全員問題児です」

ぐだ男「ん……!?」

マシュ「この旅行の最中だけじゃなくって、ずっと前から思ってました!」

マシュ「『あれ? もしかして、私って先輩から手のかからない子だと思われているのでは』って!」

マシュ「いえ、確かにBBさんの言う通り、言語化のされていないモヤモヤした気持ちだったのですが!」

ぐだ男「待て。待て。マシュ、待って」アタフタ

マシュ「もうこの際言わせていただきます。後戻りはできないので!」

マシュ「手のかからない良い子である旨味が薄すぎるんですよッ! 先輩、私はもっと構ってほしいんです!」

ぐだ男「……ま、マジで……?」

マシュBB「マジです」

354: 2017/09/20(水) 21:44:15.51 ID:r91pMgOq0
マシュ「これは……これだけは本当に訊ねたくなかったのですが」

マシュ「……覚悟を決めるために聞かせてください」

ぐだ男「……な、なに?」




マシュ「先輩。私のこと、妹か何かだと思ってません?」

ぐだ男「」

マシュBB「……答えてくださいよぉ。イエスかノーかで」ニヤニヤ

ぐだ男「え、えーと、それは……!」

ぐだ男「……」

マシュBB「……」

マシュBB「はいギルティ。荒療治の必要ありですね」

ぐだ男「な、なにっ!?」

マシュ「先輩……私だって……私だって……!」

マシュ「先輩の全部が欲しいんです」シュルリ

ぐだ男「」

357: 2017/09/21(木) 19:05:13.48 ID:JJTmOlHz0
ぐだ男(薄暗闇の中、ヤケクソ気味のマシュが服を脱いだ)

ぐだ男(というかマシュが着ている服はボディラインが完全に透けて見えるベビードールだけだったのだけど)

ぐだ男(つまり今ので全裸になっちゃったんだけど。肌色やら肌色やら肌色やらでわけがわからなくなってきた)

ぐだ男(大きくて形のいい胸とか、すべすべしてて思わず手が吸い込まれそうなくびれとか、吸い付きたくなる鎖骨とか……)

ぐだ男(……し、思考を止めるな! 今俺がかけるべき言葉は一つ!)

ぐだ男「マシュ!」

マシュ「なんですか?」

ぐだ男「俺は服を着たままやりたいです!」

ぐだ男(ちがあああああう! そうじゃない! 服を着てくれと言いたかったんだ俺は!)

マシュ「わかりました」セッセッ

ぐだ男(それでいいのか後輩!)ガビーンッ!

マシュBB「それでいいんですかマシュさん……」

ぐだ男(BBにすら言われちゃったよ!)

358: 2017/09/21(木) 19:24:48.15 ID:JJTmOlHz0
ぐだ男「……マシュ……一つ聞かせてくれ」

ぐだ男「俺はお前にとっていいマスターじゃなかったのか?」

マシュ「最高のマスターです。今も、過去も、未来でだって」

マシュ「……ただ今までの私はあまりにも欲しがりませんでした」

マシュ「いつもいつも先輩はたくさんの素敵なサーヴァントのみなさんに言い寄られて……」

マシュ「マスターはそれらの願いに出来る限り応えてました」

マシュ「それを見て度々思ってたんです。『私の取り分が妙に少ないな』って」

ギュッ

ぐだ男(マシュが体を押し付けるように抱き着いてきた)

ぐだ男(俺も薄いTシャツとかスウェットパンツとかだけなので、もうほとんどダイレクトにお互いの体温が伝わる)

マシュ「……で、ふと気づいたんです。ジークフリートさんの話を聞いて、フッと」

マシュ「求められたらそれなりに応えるけど、求められなければ何もしない」

ぐだ男「……」

マシュ「先輩はそこまで割り切ってません。求められてなくっても、見るに見かねたらやるときはやる人です」

マシュ「でもそういう傾向は、ちょっとはありました」

マシュ「本当に遅くなりましたよ。私に対しての先輩の対応が妙に冷たい理由は……」

ぐだ男「……お前が言ってなかったからだ」

マシュ「だからもう黙るのはやめにしたんです。私だって欲しい。できれば身も心も全部」

ぐだ男(冷たくした気はないんだけどなぁ……)

ぐだ男(……いや。マシュがそう思ったのなら、その気がなくとも意味はないか)

ぐだ男(かなり悔しいな……)

359: 2017/09/21(木) 19:39:22.21 ID:JJTmOlHz0
ぐだ男「……そう思い始めたのは多分、デミサーヴァントの力が使えなくなってきてからだろ」

マシュ「……」

ぐだ男「俺さぁ。安心してたんだよ。ちょっと肩の荷が下りた気分だったんだ」

マシュ「足手纏いがいなくなって、ですか?」

ぐだ男「お前がいて心強いと思ったことは何度もあるけど、足手まといなんて思ったことは一度たりともないよ」

ぐだ男「亜種特異点に初めて行ったとき、隣にマシュがいなくってさぁ」

ぐだ男「『あ、俺がしくじってもマシュは大丈夫だな』って」

マシュ「え……」

ぐだ男「最悪の場合は別のヤツをレイシフトさせればいいんだしさ。どんな裏技でもダヴィンチちゃんならできるだろ」

マシュ「先輩。先輩は私たちにとって唯一の人です! なのに、そんな……」

マシュ「自分のことを『代わりがいる』なんて悲しい目で見てたんですか!?」

ぐだ男「いつか言ったはずなんだけどなぁ。本当はさ、世界には俺みたいなヤツはいくらでもいるんだって」

ぐだ男「あの場にいたのが俺以外でも、多分お前の手を取ってたよ」

マシュ「そんなこと……」

ぐだ男「話を脱線させたな。あのな、俺は別にデミサーヴァントの力が使えないお前を冷遇してたわけじゃない」

ぐだ男「今までお前に頼り過ぎてたんだよ。だからちょっと修正しようと思っただけだ」

マシュ「……」

360: 2017/09/21(木) 19:50:49.90 ID:JJTmOlHz0
ぐだ男「終局特異点での戦いが終わって、お前がサーヴァントの力使えなくなって」

ぐだ男「初めて気付いた。やっぱりアレ、仮に偶然だろうと常人がやっていい偉業じゃない」

ぐだ男「俺はずっと隣にマシュがいたから救われてたけど、それもやっぱり異常だったよなって」

ぐだ男「ずーっとお前頼り。ずーっと……ずーっと……」

ぐだ男「……かっこ悪いだろ。そんなのさ」

マシュ「先輩……! 私は、先輩の役に立ちたくて! 立ちたいのに!」

マシュ「なのにサーヴァントの力が使えなくって……どんどん先輩が離れて行っちゃう気がして……!」

マシュ「それでも先輩に頼ってほしかっただけなのに……!」ポロッ

ぐだ男「泣くなよ。俺が悪かったんだ」

ぐだ男「お前は頼られたくって構われたかった。で、俺はお前にこれ以上頼りたくなかった。それだけだ」

ぐだ男「……話し合えば簡単にわかった道理なのになぁ。全然マシュのこと見てなかったよ」

ぐだ男「ゲーティア倒して油断しきってたのかなぁ」

361: 2017/09/21(木) 20:04:37.60 ID:JJTmOlHz0
ぐだ男「ごめん。本当にごめん。マシュのことを忘れたことなんて一度もないよ」

ぐだ男「ただちょっと休んでほしかっただけだ」

マシュ「……先輩」

ぐだ男「つっても裏方で相変わらず頑張ってるんだけどさ。上手くいかないなぁ」

ぐだ男「まだお前に頼ってる。頼りたくないのにさ」

ぐだ男「……頼らざるを得ないくらい、お前の存在はでかいんだ」

マシュ「先輩……!」

ぐだ男(安心させるために、マシュの背中に手を回す)

ぐだ男(……やっぱり小さくて柔らかい。出来る限り守ってやりたいと思う)

ぐだ男(現実はまったく逆だけど)

ぐだ男「……」

ぐだ男(まあここまで本気で腹割って話し合ったんだから、もうこんな強引な手は取らないだろう!)

ぐだ男「と、いうわけでマシュ! こんなことをしなくっても、俺はお前のことを大事に」

マシュ「……ん……!」


チュッ

362: 2017/09/21(木) 20:19:30.04 ID:JJTmOlHz0
ぐだ男「……?」

ぐだ男(キスされているという事実に気付いたのは、マシュが顔を離したときだった)

ぐだ男(随分と長い間、唇が触れ合っていたような気もする)

マシュ「……確かに。私は離れて行ってしまう先輩を繋ぎとめるために賭けに出ました」

マシュ「本音を聞いた以上、もうこの行動に大した意味はないのかもしれません」

マシュ「が」

ぐだ男「が?」

マシュ「……もう本当に、純粋な好奇心で」

マシュ「先輩と一緒になりたくなってしまいました」

ぐだ男「」

マシュ「……先輩、どうか私を愛してください」

マシュ「お願いです。私を存分に使ってください」

マシュ「代わりなんていません。あなただけです。あなただけがマシュ・キリエライトを好きにできます」

マシュ「地球上でただ一人、あなただけが」

ぐだ男「」





ぐだ男(計算を間違ったーーーッ!)ガビーンッ!

ぐだ男「待て。マシュ。待て。待ってく――」

マシュ「んんっ……!」


チュッ……ジュプッ


ぐだ男「んんっ……!?」

363: 2017/09/21(木) 20:29:08.58 ID:JJTmOlHz0
BB(ぶ……ひゃははっ……ひーっひーっ……!)ガタガタ

BB(ヴァーーーッカですねぇ、センパイ! あなたの中に悪性なんてこれっぽっちもないんですから!)

BB(本音をぶちまけたらそれこそ本気にされちゃって当たりまえじゃないでーすかー!?)ゲラゲラゲラ!

マシュ(先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩)

マシュ(先輩を癒す先輩を慰める先輩を解き放つ先輩を愛す先輩に愛される先輩を先輩と先輩に)

BB(……)

BB(……流石にちょっと背中押しすぎちゃったかなー……?)ガタガタ

365: 2017/09/22(金) 17:51:31.30 ID:N77FKkIM0
BB(……んん。同じ肉体をシェアしてるから多少はわかりますね)

BB(これは深い悲しみ。マスターの持つ空虚さに気付いてあげられなかった罪悪感)

BB(……あと多少の利己心。『私なら彼を助けてあげられる』という慢心と願望)

BB(これですよ。ちょっと背中を押しただけで両方ともに崖の下に落ちて行っちゃうんだからなー)

BB(いやー、本当楽しくて楽しくて仕方ないなぁ!)プププ

ぐだ男(実はマシュを拒む理由は何もない)

ぐだ男(いや、正直な話、マジでマシュのことは妹に近い何かだと思っていたが)

ぐだ男(くれるというものを拒む理由が俺には微塵もない!)

ぐだ男(強いて言うなら、そう。問題がたった一つ。マシュでも俺でもない第三者)

ぐだ男(BBがマシュの中でゲラゲラ笑っているんだと思うと本当に悔しくて憎らしくて仕方ない!)

ぐだ男(ふざけやがってぇ! 後で覚えてやがれよ!)


ジュ……プッ……


マシュ「ん……ぷはっ……んんっ……!」

ぐだ男(……それはさておいて何回ディープな方のキスをするんですかね!)

ぐだ男(ぐ、ぐう……思考が纏まらない……というか纏める方が確実に無理だコレ……)

ぐだ男(ていうかもう現実感がない。夢か何かだと言われたら信じてしまうだろうな)

366: 2017/09/22(金) 18:10:24.67 ID:N77FKkIM0
ぐだ男「あの、マシュ。忘れてないか? お前の中には今BBがっ……!?」ゾクッ

ぐだ男(Tシャツの中に手を入れられた。直で背中をなぞられる)

ぐだ男(どっちの汗かはもうわからないが、汗ばんでペタペタしていた。不快ではないけども)

マシュ「そんなことを気にしている余裕はもうありません」

マシュ「ちゃんとわかってもらいたいんです。私にとってあなたは替えがきかないんだってことを」

ぐだ男(あまりにも高く買いすぎだと思う。他にいいヤツなんていくらでも……)

ぐだ男(……)

ぐだ男(……一瞬、ゲーティアに吹き飛ばされたマシュの背中がフラッシュバックした)

ぐだ男(あー。これだなぁ。あのときのと同じ絶望感を味わうのが怖いんだなぁ)

ぐだ男(だよなぁ。逆の立場になったら凄く怖いものなぁ)

ぐだ男(残されるヤツの悲しさを俺はよく知ってる)

ぐだ男(……もう替えがいるなんてこと、気軽に言えないんだな)

ぐだ男(……)

ぐだ男(とかなんだとか考えている内にTシャツ脱がされてるんだけどッ!?)ガビーンッ!




BB(あともうちょっとー。あと少しー。ルンルン)キャピキャピ

367: 2017/09/22(金) 18:26:39.89 ID:N77FKkIM0
ぐだ男(落ち着け。まだ慌てるような時間じゃあわわわ)

ぐだ男(考えろ。考えるんだ。このままBBに笑われながら取り返しの付かない行為をするのは、こう……)

ぐだ男(マジで氏んだ方がいい屈辱だ! 一生ネタにされるぞ!)

BB(ちぃ。観測者の存在がそのまま観測対象に影響を与えてしまう。観測者効果クソ食らえです)

BB(私はただ単に、今まで後輩だと思って見下して来ていた女の子に、センパイがよがる姿をドミノピザ片手に見ていたいだけなのに!)

ぐだ男(とか思っているんだろうな。わかるわかる。ざっけんなボケッ!)

ぐだ男(俺とマシュの関係を見世物にしてんじゃねーよ!)

BB(と、辛うじて残った理性で考えているのでしょうが、それもいつまで続きますかね?)

マシュ「先輩……あの……」

ぐだ男「ん?」

マシュ「……ごめんなさい、首筋。痕が残っちゃいました、ね」ニヘラ

ぐだ男「……あ」

ぐだ男(首筋吸われてたッ!?)ガビーンッ

ぐだ男(……いや、なんか気持ちいいなー、とは思ってたが!)

BB(思考回路は順調に鈍ってますねー。フレーフレーマシュさーん! あと少し、もう少しー!)

368: 2017/09/22(金) 18:36:56.37 ID:N77FKkIM0
マシュ「……あ、先輩……!」

マシュ「よかった。先輩も愉しんでくれていたようで」ニコリ

ぐだ男(どこに意識を向けて言っているのかはあえて語るまい)

ぐだ男(というか俺がそれを考えたくない)

マシュ「……もう、遊びは終わりでいいですよね。充分です」

マシュ「私の方も準備はできてますから……」

ぐだ男(どこの準備が完了だって?)

ぐだ男(……いや、これも考えるべきじゃないな!)

マシュ「先輩。先輩。先輩」

ぐだ男(うおおおおおおおお! もうダメだーーー!)

ぐだ男(ていうか俺も我慢の限界だよチクショウ!)

BB(計算通り。ダメだ……まだ笑うな……堪えるんアハハハハハハハハハ!)ゲタゲタ



……ドォーーンッ


ぐだ男&BB(んっ?)

BB(爆発音? どこから……?)

ぐだ男(……あっ)

BB(……まずい。あのテログループ、いくら何でも時限爆弾まで渡すのはやりすぎました)

ぐだ男(突破口が見えたぞ!)キュピーンッ!

369: 2017/09/22(金) 18:43:07.25 ID:N77FKkIM0
ぐだ男「マシュ。ストップだ。今、何か聞こえなかったか?」

マシュ「え?」

ぐだ男「……いや。聞こえたぞ。今の音は……ホテルの方角からか!?」

BB(おそらく適当にこじつけ言っているだけでしょうが、残念なことにこればっかりは的中でしょうね)

ぐだ男「悪いマシュ! ちょっとテレビを見てくる!」

マシュ「あ、先輩!」

ぐだ男「服を着こんで着こんで」サッサッ

ぐだ男「おーし! マシュもゆっくり来いよ! ゆっくりな!」ダッ

マシュ「あ……」

マシュ「……」

マシュ「……ッ!?!?」

BB(あ、いけない。こっちも正気に戻っちゃいました)

マシュ(え、え……私……今まで一体何を……?)

マシュ(……あ、やだ。私、濡れて……い、いやあっ……!)

BB(はいはーい。ここから先はバトンタッチー。ちょっと休んでてくださいな)

BB(よくできました)

マシュ(あうううううう……!)

370: 2017/09/22(金) 18:53:08.09 ID:N77FKkIM0
ちょっと時間は遡る

エリザ「やーっと見つけた! 時限爆弾まで仕掛けるなんて正気とは思えないわ!」

デオン「人をあそこまで『生かしたまま』壊せるお前が言うのなら実際正気じゃないんだろうな」

茨木「アレを思い出したぞ。ほら、亜種特異点の新宿でファントムが作ってたあの人形」

ジャック「あー。あれと同じくらい心壊れちゃったよねー。生きてるけど」

エリザ「……え? 別にいいんじゃないの? 愛があれば奇跡は起こるものだし」

エリザ「もし仮に奇跡を起こせないのなら、愛を受けてなかったってことでしょ?」

エリザ「それなら心と体が生きていようと、氏んでいるのと変わりないじゃない?」

茨木「要は生きてる価値なしと言っているのだな」

デオン「それを決めるのはお前じゃない」

デオン「……が、まあどうでもいい。実際エリザのお陰でここまでたどり着けたわけだしな」

デオン「さて。ここまで来れたのは僥倖だが……」

デオン「……どうやって処理するのか考えてなかったな」

全員「あ」

371: 2017/09/22(金) 18:59:54.97 ID:N77FKkIM0
エリザ「うーん、爆発物処理班を呼ぶ? 今からでも外に待機している警察とか呼び込めるけど」

エリザ「私の陣地作成を一時的に解除すれば」

茨木「それは難しいであろうなぁ? 外にいる警察はそもそも『ここに爆発物がある』という発想すらないに違いない」

茨木「吾らが情報を流してなかったからな?」

ジャック「私たちで解体できる?」

デオン「……む……これは……無理だな。絶対に無理だ」

ジャック「根拠は?」

デオン「桜のマークが刻印されてる」

茨木「BB製か」

エリザ「アイツの頭脳を上回る自信があるのならやってもいいけど?」

ジャック「無理ー」

茨木「残る手段は一つしかあるまいよ」

デオン「我々サーヴァント四騎の誰かが、自己犠牲覚悟で爆弾を処理する……」

デオン「まあ簡単に言えば爆弾を抱え込んで爆発を抑え込むなり、爆発の及ばない遠くまで抱えて走るなり、だな」

エリザ「それ大丈夫?」

茨木「氏にはしない。魔術的な要素は一切ない、極めて現実的な爆弾のようだな?」

372: 2017/09/22(金) 19:02:58.77 ID:N77FKkIM0
デオン「と言っても大怪我はする。ということで、もしものときのために治療スキルのあるジャックは除外だ」

ジャック「わーい」

デオン「あとの三騎で、じゃんけんで決めるか。誰が犠牲になるか」

エリザ「うえー。負けたくないー」

茨木「時間も惜しい。さっさとやるぞ」



じゃーんけーん!

373: 2017/09/22(金) 19:07:57.26 ID:N77FKkIM0
ホテル屋上

エリザ「……ねえ。みんな。マスターに伝えてくれる?」

デオン「……」

ジャック「ううっ……」エグエグ

茨木「……エリザ……」

エリザ「私はね? あなたたちと一緒に戦えて……マスターに召喚されて……」

エリザ「人理を救えて、心の底から誇りに思うわって!」



バサァッ


デオン(エリザは竜の羽を大きく広げ、空へ空へと飛んでいく)

デオン(カウントダウンはもう、残り三分もないだろう)

デオン(それにも関わらず、エリザは尚も笑顔だった)

デオン(胸を打つような笑顔だった)



エリザ(私は……カルデアのアイドル、エリザベート・バートリー)

エリザ(マスターの敵を、打ち滅ぼす者よ)



ドカァァァァァァァンッ!

374: 2017/09/22(金) 19:11:26.11 ID:N77FKkIM0
ヒュウウウウウッ


ベシャッ


エリザ「ぐえっ」

デオン「おかえりエリザ」

エリザ「じ、氏ぬぅーーー……治療、早く……」

ジャック「はぁい」テキパキテキパキ

茨木「……」

茨木「これ流石にマスターにバレるであろうなぁ?」

デオン「仕方ない、と考えよう」

デオン「疲れた。しかも夜風が冷える。中に入るぞ」

エリザ「お風呂入りたーい」

茨木「火薬臭いから当然よな?」



数十分後、マスターがホテルに到着した

376: 2017/09/22(金) 20:09:30.20 ID:N77FKkIM0
ホテル周辺

ぐだ男「……なるほど。事情はわかった」

デオン「すまないが、私たちはベストの選択しかしていないと断言しよう」

デオン「エリザの拷問技術があったからこそ時限爆弾を発見できたんだ」

エリザ「……ねえー。もう抜糸していいー? これ見栄え最悪なんだけど」

ジャック「いいよー。元から軽傷だったし」

ぐだ男「……BB。何か釈明は?」

マシュBB「釈明? さて、そんなことをする必要は特にありませんね」

マシュBB「カルデアのサーヴァントたちの活躍によって、世界からまた一つゴミが減った」

マシュBB「しかも誰一人として氏なずに。これをハッピーエンドと呼ばずに何と呼びましょう?」

茨木「コイツ……白々と……」

ジャック「一番のゴミはBBの思考回路だよねー」

ぐだ男「お前らなあ……」

ぐだ男「……」

ぐだ男「反省してないヤツに怒っても無駄だな」

ぐだ男「なら代わりにいい点を見よう。俺がいない間、よく頑張った」

ぐだ男「集団を引っ張ったのはデオンで、爆発物の処理はエリザだったな」

デオン「……ふふっ。当然さ。私は騎士だからね」

エリザ「まあ爆発物の処理に関してはじゃんけんで負けた結果だけど」

377: 2017/09/22(金) 20:18:15.57 ID:N77FKkIM0
ぐだ男「茨木は……多分暴走しがちなメンバーにブレーキかけてたんだろうな。少しずつ」

茨木「ん。まあ、な。といっても本当に最低限だぞ?」

ぐだ男「最低限でもブレーキ役いなかったらそれこそ本当に氏人出てたぞ」

ぐだ男「ジャック。お前は治療役か。見栄えは確かに最悪だが、よくやった」

ジャック「えへへー」

ぐだ男「BB……」

マシュBB「はいはい。お叱りは受けますよっと」

ぐだ男「経過はどうあれテログループが一個消えた。結果はまあ上々と言えなくもないし、別にいいだろ」

マシュBB「……おや」

ぐだ男「でもさあ……だけどさあ……」

ぐだ男「今度の今度こそホテルが営業停止になっちゃったけど、どうするの?」

全員「……」

378: 2017/09/22(金) 20:28:45.89 ID:N77FKkIM0
デオン「ふっ。またマスターの家にお世話になるな」キラキラキラ

ぐだ男「受け入れるわけねーだろ」

デオン「!?」ガビーンッ

ぐだ男「流石に五人は無理だ。五人は。うちの広さ知ってるだろ?」

茨木「確かにこの人数で押し掛けるのは無理よな」

ジャック「私たちは一度も行ったことないから知らないんだけど」

エリザ「……無理ねえ。あのお母さまも流石にいい顔しないでしょう」

ぐだ男「……BB。尻ぬぐいくらいはできるだろ?」

マシュBB「当然、と言いたいところですが!」

ぐだ男「おい」

マシュBB「替えの宿は! ありません!」

ぐだ男「おいおいおいおいおいおい!」

デオン「マシュ。本当に、本当にすまないのだが」

エリザ「私たちの憂さ晴らしのために犠牲になってちょうだい」

ジャック「恨まないでね? 恨むならBBと一体化しちゃった不運を恨んでね?」ギャランッ

茨木「宴の始まりよ。派手にぶちあげるぞ」ゴキンッ!

ぐだ男「待てェ! 落ち着けお前ら! マシュには何の罪もないだろ!?」

BB(やっぱり私は庇ってくれないんですね?)

マシュ(これに関しては仕方ないかと!)

379: 2017/09/22(金) 20:34:33.56 ID:N77FKkIM0
マシュBB「だっていらないじゃないですか」

デオン「一応私たちはサーヴァントだが、元人間だぞ。出来る限り閉鎖された空間で、誰の目も憚ることなく休みたいこともある」

マシュBB「そんな時間はないですし」

エリザ「はあ? そんな時間はないって……」

エリザ「あっ」

ジャック「……ん!?」

茨木「……なるほど。そういうことか」

ぐだ男「ん? どうかしたか?」

デオン「……すっかり忘れていたぞ」

デオン「私たちは明日帰国だ」

ぐだ男「……えっ?」

380: 2017/09/22(金) 20:44:03.78 ID:N77FKkIM0
ぐだ男「ちょっと待て、今計算するぞ」

ぐだ男「最初の日に茨木、次にデオン、次にジャック、次にエリザ、次にマシュ……」

ぐだ男「俺は一週間の休みを貰ってたんだ。あと二日残ってるぞ」

デオン「私たちはそうじゃない。ちょっとだけ短かったんだ」

マシュ「流石にマスターの休みをガッツリ全部奪うわけにはいかないので……」

ジャック「あー……まだ遊びたかったなー」

茨木「よりによって最終日がこれか」

エリザ「私、爆発しかしてないわよ!」

茨木「嘘吐けェ! 明らかに一番好き勝手やっておっただろう!」ガァ!

ぐだ男「じゃあお前ら、このまま空港に……」

マシュBB「ってことになりますかねぇ?」

マシュBB「まあ帰るのは明日の早朝ですから、マシュさんはまだセンパイの家に泊まれますが」

マシュ「……あ、の。先輩……」

ぐだ男「マシュ?」

マシュ「……はぐらかされてしまいましたけど、今度『自分には替えがきく』なんて悲しいことを言ったら」

マシュ「どんな状況であったとしても、絶対に先輩のその空虚さを奪い尽くします」

マシュ「……絶対ですよ?」

ぐだ男「……」

ぐだ男(おっかねぇー……! 強くなったなぁ、マシュ)

ぐだ男(BBのせいだと思うとムカつくが、アイツの闇とマシュの光があわさって最強に見える)

381: 2017/09/22(金) 20:48:39.76 ID:N77FKkIM0
エリザ「……」

デオン「……」

ジャック「……」

茨木「……」

四騎(マスターの首筋に痕がついてる……)

デオン「チッ。走り回っていたから決定的な瞬間を見逃したな」

エリザ「後でBBに録画データを譲ってもらいましょうか?」

茨木「絶対ボられるぞ」

ジャック「いざってときにはナイフで脅すから大丈夫だよー」

BB(実はそのときの録画はしてなかったりして……)

BB(ふふ。弱みは私だけが握る予定でしたからねぇ)

マシュ(……やっぱりBBさんは意地悪です)

BB(積極的なだけです! 誰よりも!)

382: 2017/09/22(金) 20:56:34.97 ID:N77FKkIM0
マシュBB「じゃ、四人は空港近くの24時間営業のファミレスにかけこんでいてください」

マシュBB「朝になったらそっちで合流です」

デオン「いいだろう」

デオン「……帰ったら諸々覚えておけよ、BB」

エリザ「逃げ切れるとは思わないことね?」

マシュBB「……ふふっ」

マシュBB「じゃ、さっさと帰りましょうか。センパイ!」ギュッ

ぐだ男「ああ」

マシュBB「……二回戦の用意はできてますよ?」

マシュ(できてませんが!?)ガビーンッ!

ぐだ男「胃が取れそうになるから勘弁してくれ……」

ぐだ男「それとなBB。お前、俺とマシュが快楽に溺れた場合はな?」

マシュBB「うん?」

ぐだ男「感覚を共有しているお前の方まで快楽に溺れる羽目になるだろ? それはいいのか?」

マシュBB「……」

マシュBB「あっ」

ぐだ男「今まで気付いてなかったんかいッ!」ガビーンッ!

マシュBB「い、いえ。実際共有しているのは感覚だけですし」

マシュBB「私が処O失うわけじゃないですしぃ……」アタフタ

ぐだ男「うーん、どうしよう。急にやる気が湧いてきた。お前相手ならいくらでもやれそうだ」

マシュBB「い、意地悪ぅ!」

マシュ「ていうかダメですよ、何言ってるんですか先輩!」

マシュ「仕返しのためだけの行為なんて、それこそ不健全です!」

ぐだ男「話がややこしくなるからいい加減に体の共有を切ってくれよぉ……!」

383: 2017/09/22(金) 21:01:00.99 ID:N77FKkIM0
数時間後 ぐだ男家

ぐだ男「マシュとBBは寝たか」

prrrrr!

ぐだ男「……あいよ」

ガチャリンコ

BB『本体の方は眠らないんですよ』

ぐだ男「知ってる。そろそろ来るだろうなと思ってた」

BB『さて。サーヴァントたちとの休日、振り返ってみたら如何でしたか?』

ぐだ男「……」

ぐだ男「お前にこんなことを言うのは甚だ不本意だが、楽しかったよ」

ぐだ男「いつか見せたいと思ってたしな。俺の故郷」

BB『……ふふふ。そうでしょう? そうでしょうとも』

BB『最後の最後にドデカい思い出を作ってあげたかったんだけどなー残念だなー』

ぐだ男「お前な……」

384: 2017/09/22(金) 21:10:47.65 ID:N77FKkIM0
ぐだ男「別にマシュの体を借りる形でなくっても、お前もこっちに来ればよかったのにさ」

BB『……御冗談を。私は裏からすべてを操るタイプの黒幕が一番似合ってます』

ぐだ男「そうかい」

ぐだ男「……寂しくなったらいつでも言えって。お前もため込むタイプだろ」

BB『非常に申し訳ないんですが、センパイ相手にぶちまける気はないんですよ』

BB『そういうのができるのはたった一人だけ。その一人はもう二度と会えないんですが』

ぐだ男「救えないヤツだ」

BB『ええ。自覚はありますとも』

ぐだ男「……願うだけならしてやるよ。いつかお前が、どんな形でもいいから救われればいいなって」

BB『反吐が出るほどのお人よしですね』

ぐだ男「自覚はある」

BB『……まあ、でも、あなたの存在が、ちょっとした暇潰しになってることは伝えておきます』

BB『あなたがいれば、元から救いなんていりませんよ』

ぐだ男「愛の告白か?」

BB『ドロドロに溶かしますよ?』

ぐだ男「……なんかもう話せば話すほどギスギスしてくるからやめよう。不毛だ」

385: 2017/09/22(金) 21:21:44.90 ID:N77FKkIM0
BB『ていうかそんなクソ軽口がポンポン叩けるくせに、なんでマシュさんに対してはこう……』

BB『遠慮しすぎでは?』

ぐだ男「お前はお前! マシュはマシュ!」

ぐだ男「第一、あそこまで抵抗したのはお前の存在があったからだって!」

ぐだ男「裏でゲラゲラゲラゲラ笑ってる姿が幻視できるようだったぞ!」

BB『一生ネタにして笑いものにした挙句、結婚スピーチでもツラツラどんなプレイしたのか述べてやろうと思ったのに』

ぐだ男「鼻毛むしるぞッ!」ウガァ

BB『美少女に鼻毛なんて生えませんー!』

BB『……え? あ、イシュタルさん。どうかしましたか?』

ぐだ男「お?」

BB『は? ケツァルコアトルさんが? 抜け駆け? 勝手に加護を?』

BB『いや何してんですかあなたたち! 無駄に干渉したら巌窟王さんに怒られちゃいますよ!?』

ぐだ男「……もう切るか?」

BB『ごめんなさい! こっちが急に忙しくなっちゃったので!』

BB『それでは!』


ガチャリンコ ツーツー


ぐだ男「……」

ぐだ男「明日で終わり、か」

386: 2017/09/22(金) 21:32:21.83 ID:N77FKkIM0
ファミレス

デオン「……楽しかったな」

茨木「そうだな。異論はない。禍根もな」

ジャック「私たちはもっと遊びたかったよ」

エリザ「そんなこと言ったらキリがなくなっちゃうわよ……?」

エリザ「……」

エリザ「……ッ!?」ガビーンッ

デオン「どうした?」

エリザ「茨木ッ! アンタ、確かTOKI●のサイン欲しいからって酒呑にサイン色紙とペン貰ってたわよね!?」

茨木「持っていたが……会えず終いだったので真っ白だぞ」

エリザ「それを今すぐ貸しなさい! 今すぐッ!」

デオン「どうした。一体何が……」チラッ

デオン「……」

デオン「何ィ!? 安室奈美●! 安室奈●恵がいるじゃないか!」ガビーンッ!

茨木「ああ、あのマーリンの次として無駄に有名になった……」

エリザ「不名誉なこと言わないで! 元から有名よ! 何の罪もないマーリンを刺頃したくなっちゃうわ!」

ジャック「マーリンかわいそう」

エリザ「あ、ちょ、来た。こっち来てる! 安室奈美●こっちに来て……キャーーー!」



こっちはこっちで旅行の最後を楽しんでいた

387: 2017/09/22(金) 21:32:50.71 ID:N77FKkIM0
続きは明日!

389: 2017/09/23(土) 19:11:12.55 ID:8iFdA6Ic0
巌窟王の学級日誌
最近アンジーの夢見がすこぶる悪い。
理由はわかっている。カルデアにいる神性持ちサーヴァントがこぞってアンジーに加護を与えようとするため起こる副作用だ。

『日系のツインテ美少女が有料で八極拳叩き込もうとしてくる』とか『喋るクマのぬいぐるみ携えた巨O美女が弓術教え込もうとしてくる』とか『口リな外見した双子の美少女がバイザー付けたデカい女の人に乗って追ってくる』とか、悪夢の内容は様々だ。

あまりにも不憫すぎるのでBBに苦情を送った後で、入間に助けを求めた。

普段は酷い言動のせいで勘違いされがちだが、彼女は面倒見がいい。強く頼めば断らない。
それと、最初は魔術の存在を一切認めていなかったが、俺の力を正しく認識した後はそのすべてを解析しにかかっている。黄金の脳細胞だとかなんだとかは戯言に等しいが、豪語するだけのことはある。

『対症療法になっちまうが、ひとまず夢なんか見ようがない世界に行けば問題ないはずだ。俺様に任せておけ』

と、言っていたが、もしかして三階の隠し部屋の奥にあった妙な機械を使うつもりなのだろうか。
楽しみにしておこう。

390: 2017/09/23(土) 19:18:43.27 ID:8iFdA6Ic0
巌窟王「ふむ。なるほど。確かにこれならばアンジーも夢は見ないだろうな」

巌窟王「……む? 入間め。ケアレスミスだな、これは。仕方ない、俺が修正しよう」

巌窟王「卒業アルバム作りのために培ったノウハウが生きたな」カタカタカタ

巌窟王「む? 入間か。クハハ、お前のミスを俺が今修正してやったところだぞ! 喜べ!」

巌窟王「……ん? 何故泣く? そこまで嬉しかったか?」オロオロ

391: 2017/09/23(土) 19:23:28.92 ID:8iFdA6Ic0
早朝のぐだ男家

ぐだ男「……」

ぐだ男「なんか巌窟王が余計なことをする夢を見た気がする……」

マシュ「あ、先輩。起こしてしまいましたか」

ぐだ男「マシュ。もう出るのか?」

マシュ「ええ。本当は書置きを残してこっそり出るつもりだったのですが」

ぐだ男「……二日後、またカルデアでな。やることはまだまだ残ってるぞ」

マシュ「はい。わかっています、マイマスター」

マシュ「……じゃ、行きますね」

ぐだ男「おう。じゃあな」


ガチャリンコ


ぐだ男「……見送りするまでもないよな。すぐ会えるんだし」

393: 2017/09/24(日) 07:13:32.92 ID:fUQobVMC0
ファミレス

マシュBB「みなさーん! お待たせしました、BBちゃんの到着ですよー!」

デオン「マシュ。マスターとの二人きりの夜、楽しんできたかい?」キラキラキラ

エリザ「ふふっ。ちょっとは大人になったのかしら、マシュ」キラキラキラ

茨木「魔酒よ。ドリンクバーというものは余程飲まない限り元が取れないらしいな?」キラキラキラ

ジャック「マシュー! 会いたかったー!」キラキラキラ

マシュBB「わー。みんな清々しいほどにBBちゃんを無視。凄い笑顔ですね」

デオン「お前はもう消えろ。用は済んだはずだ」

エリザ「本当に。本当にイヤだけど、必要とあらば土下座だってしてやるわ。消えて」

マシュBB「うーん、そんな無駄に覚悟を決められましても」

ジャック「え? 何? 感謝されたいの? ありがとうBBがいてくれて助かった消えてお願いだから」

茨木「しっしっ」

マシュBB「なんかもうみんなBBちゃんのこと好きなんじゃないかって思えてきました」

394: 2017/09/24(日) 07:27:18.08 ID:fUQobVMC0
デオン「BB。一緒に旅行できて一瞬『楽しいな』と思ったことは認めてやる」

デオン「認めてやるがそれは錯覚だと思うことにしたぞ。昨日の仕打ちでな」

マシュBB「別に悪意があったわけじゃないんですけどねぇ」

茨木「悪意ゼロであんなことができるのなら根っから邪悪なのであろうな。わかるわかる」

ジャック「……もしかして酒呑童子のこと思い出してる?」

茨木「いやエリザの昨日の所業思い出してた」

エリザ「何故ェ!?」ガビーンッ

マシュBB「何故とか言ってのけるあたりが一番、ね……?」ニコリ

エリザ「困ったような笑顔をこっちに向けないで! 何が『ね?』よ!」

395: 2017/09/24(日) 07:41:51.06 ID:fUQobVMC0
マシュBB「確かに時限爆弾とか銃の正規品とかを流したのはやりすぎかなーって思いましたけど」

マシュBB「ここまでしないと焚きつけられないと思ったんですよ! 仕方ないじゃないですか!」

デオン「何が仕方ない、だ」

ジャック「……正規品?」

茨木「ジャック? どうかしたか?」

ジャック「いや……あの人たちと戦っている間、アサシンの方のエミヤに銃の写真を送ってアドバイスを貰ったりしてたんだけど」

ジャック「あの人たちが持ってた銃の中に正規品なんて一つもなかったよ?」

マシュBB「えっ?」

デオン「……BBから配布されたものを更に売って資金にでも変えたんじゃないか?」

茨木「だとしたら問題だが……BB。絶対に黙っていろ。一応、汝も仲間なのだからな」

マシュBB「うーん、まあそれは当然ですが、気になりますね。後で本体の方に諸々調べさせてみます」

396: 2017/09/24(日) 08:16:14.66 ID:fUQobVMC0
カルデア

BB「むう……消えた正規品の銃、か……」

BB「確かに売ればかなりの金にはなりますが、一体どこに消えたんでしょうね」

BB「……ん? あれ。エリザさんのせいで顔が半壊してたから解析が遅れましたが、これって……」

BB「昨日ホテルを襲ったの全員木っ端の構成員じゃないですか。バイト感覚で社会に楯突いてるタイプの」

BB「じゃあ正規品じゃなかったのは銃だけじゃなくって構成員も……」

BB「……そういえば彼らが狙ってた政治家、今の居場所は……」カタカタ




BB「……あっ! 空港!? 嘘でしょ!?」

400: 2017/09/24(日) 16:44:43.78 ID:fUQobVMC0
空港

BB(ちょっとマシュさん! 人格交代! 大変なことがわかっちゃいました!)

マシュ(……今ちょっと取り込み中なのですが)

BB(いいから!)

マシュBB「みなさん! あの正規品の銃の居所がわかっ……」

マシュBB「あれ。茨木さんだけですか?」

茨木「BBか」

マシュBB「あれ? なんで縛られて……あれ。私も。あれ?」


ズドォンッ!

キャー!


テ口リストA「静かにしろ。見せしめにされたいか?」

マシュBB「……」

マシュBB「あの。もしかして遅すぎました?」

茨木「吾らが空港に入った途端コレよ」

マシュ(カルデアのBBさんと私の中のBBさんで人格が独立しているって割にはこういうこと起こりますよね)

BB(だって実際に二つの人格を同時起動させてると滅茶苦茶頭痛くなるんですもの。片方はスリープさせてますよ)

401: 2017/09/24(日) 16:56:13.51 ID:fUQobVMC0
茨木「吾はいざというときに他の人質たちの盾になれるから、あえて人質の中に紛れ込んでおる」

マシュBB「マシュさんは?」

茨木「鈍くさいから普通に捕まった」

マシュBB「マシュさん……」

茨木「まあ魔術とは何の所縁もない連中が相手だから、どんなに武装しようが吾らは問題ない。ないのだが」

マシュBB「一つ。空港を占拠しているから、どう少なく見積もっても人数が昨日とはケタ違い」

マシュBB「二つ。人質の救助が終わっていないので下手に動くと今度こそ氏人が出る」

マシュBB「三つ。ここ明らかに『見せしめスタジオ』ですよねー。彼らの要求にちょっとでも陰りが出たらそれでもアウト」

マシュBB「……それ以前に、この状況自体が私たちにとってはアウトです」

茨木「一歩間違えたらテレビに映るぞ。化粧に気合は入れてきたか?」

マシュBB「んなわけないでしょう。私たち本当はここにいちゃいけないし、ここにいることがバレてもいけないんですよ」

マシュBB「ダヴィンチちゃんに怒られるー……」ガクリ

茨木「こうなってくると哀れよの。安心しろ、吾らもちょっとは庇ってやる。ちょっとは」

マシュBB「誇張でもなんでもなくマジでちょっとでしょうね」

402: 2017/09/24(日) 17:15:24.01 ID:fUQobVMC0
茨木「というかなんでこんなことが起こった? 空港の占拠なんて一朝一夕の計画性ではできん」

茨木「にも関わらずヤツらの目的は例の政治家の身柄。昨日とまったく同じだ」

茨木「ここにいる人質はついでの札に過ぎん」

マシュBB「まあー簡単に言っちゃえば、昨日のテロが上手く行くなんてこの人たちもさらさら思ってなかったってことですよ」

マシュBB「まさかあそこまで徹底的に大失敗するとか思ってないし、爆弾に至ってはあんな方法で処理されると思ってなかったんです」

茨木「陽動……?」

マシュBB「というより演出ですねぇ。昨日のヤツは上手く行けば『テロ対政治家の戦いに罪のない市民が犠牲になった』的な結果になるはずだったんです」

マシュBB「その後、失敗したテロを生き残った政治家を改めて本気でこの人たちが頃す」

マシュBB「そういう筋書き。まあ下処理がエリザさんたちのせいで全部ぶち壊しになっちゃいましたが」

茨木「今回もぶち壊すぞ」ニヤァ

マシュBB「……」

BB(センパイを呼びましょう。今回ばかりはサーヴァントだけだと荷が重すぎます)

マシュ(そんな……)

BB(……私もイヤですけどね。今日ばっかりは)

403: 2017/09/24(日) 18:41:52.49 ID:fUQobVMC0
ぐだ男家

ぐだ男「ふんふんふーん……」ルンルン

母「あら。上機嫌ね」

ぐだ男「ああ。だって当然だろ。一年以上ぶりに友達に会うんだからさ!」

ぐだ男「お母さんたちにも会いたかったけど、それと同じくらい友達にも会いたかったんだ」

ぐだ男(世界を救う理由の半分くらいは、自分が元いた世界を取り戻すことだったからな)

ぐだ男(アイツらとの思い出が無ければ、あそこまで強くなれていない)

ぐだ男(過去があるから今がある。あの偉業は、あらゆる意味で一人では絶対に成し得ないものだ)

ぐだ男(カルデアでの人間関係も大事だけど、こっちも大事だもんな。だから楽しいんだ)



prrrr!



ぐだ男「……電話?」

ガチャリンコ

ぐだ男「はいこちらぐだ男」

BB『……本当にすみません、センパイ。今回はネタ抜きで謝らせてもらいます』

ぐだ男「……」

ぐだ男「何があった?」

BB『まだ気づいてないんですね。テレビでも見ればわかるかと』

BB『私たちは今羽田空港です』

ぐだ男「……」

404: 2017/09/24(日) 18:48:21.05 ID:fUQobVMC0
数分後

ぐだ男「わかった。今回ばかりは俺がいないと氏人なしで事を収めるのには苦労するって話だな」

BB『……いっそイヤだ、と突っぱねてくれればこちらもどれだけ救われたか』

ぐだ男「なんだ。知ってたのか。今日俺が何をするのか」

BB『そちらのカレンダーにマスターの筆跡で予定が書いてありましたからね』

BB『余程楽しみにしていたんだろうなって、マシュさんと二人で話してました』

ぐだ男「流石に人命には代えられないさ。じゃ、空港行くな」

ぐだ男「お母さん! 携帯貸して!」

母「いいけど、どこに行くの?」

ぐだ男「友達のところ」

母「気を付けていってらっしゃいね」

ぐだ男「ああ! 行ってきます!」

405: 2017/09/24(日) 19:02:29.71 ID:fUQobVMC0
BB(……ふと思うことがあるんですよねー)

マシュ(突然なんです?)

BB(いや、マスターって人理焼却事件に巻き込まれたとき、その時点で過去がなくなっちゃったんじゃないかって)

BB(確かに彼の、どんなサーヴァントでも使役できるコミュ力は大したものですが)

BB(それと引き換えに、それ以前の人間関係が途絶えがちになってしまった)

BB(……私たちと仲良くしないと生き残れないから無理に仲良くしているんじゃないかって)

BB(そう思ったことありません?)

マシュ(……)

マシュ(少し前ならそう思ったかもしれません。でも、もう先輩との絆は本物です)

マシュ(百歩譲ってそうだったとしても、私たちでそれを補えばいい話です)

BB(奪ってばかりな気がしますけどねぇ。茨木さん、デオンさん、ジャックさん、エリザさんなんか顕著ですよ)

BB(マスターと一緒に戦っているんだから、マスターに甘えて当然、みたいに思ってます。確実に)

BB(彼に一体何を与えられるっていうんですか。生きる権利?)

BB(彼自身も言っていましたが、人理焼却事件は彼以外の誰かがあそこにいても解決してましたよ)

BB(あんな辛いことしなくっても、他の誰かが英雄になってくれたはずです)

マシュ(……BBさんは、このまま彼が故郷に残った方がいいと考えてるんですか?)

BB(多少は)

マシュ(絶対にイヤです)

BB(……マシュさんも大概、意地悪です)

マシュ(先輩自身、絶対にそう言うはずです。絶対にカルデアに帰ってきます)

BB(あなたの思い込み……いや、願望である可能性は?)

マシュ(ありません。必ず果たされる現実です)

マシュ(私はマスターを信じています)

BB(信心……あまりにも残酷ですね。その願いが重圧になってるかもしれないのに)

BB(……ま、私が言うことじゃありませんが)

マシュ(……)

406: 2017/09/24(日) 19:16:56.75 ID:fUQobVMC0
空港の片隅

デオン「ふむ。まずいな。あのテ口リストグループ、空港内に散っていた人質になっていない人間を虱潰しに探している」

エリザ「広いところに集めて交渉材料を増やすつもりなのねー。せせこましいことだわ」

ジャック「私たちだけなら逃げ切れるけど」

ジャック「……ていうかそろそろ仕掛ける?」

デオン「さて……人質の方は茨木がなんとかするだろうが、それにも限度があるだろうしな」

エリザ「かと言ってこうやってドブネズミみたいにコソコソするのもねぇ」

デオン「何か不都合が?」

エリザ「端的に言うわ。飽きた」

エリザ「即氏させること前提なら人質は全員助けられると思うけど?」

デオン「マスターに怒られたくなかったらやめておけ」

ジャック「……でも飽きたっていうのは確かに、私たちも同じかな」

ジャック「やっちゃおうよ、もう」ジャバジャバ

デオン「仕方ない。確かにザコ相手にここまで神経質になるのもバカらしいしな」

デオン「ところでジャック。その手で振ってるペットボトルはなんだ?」

ジャック「……」ニヤァ

407: 2017/09/24(日) 19:30:21.55 ID:fUQobVMC0
ジャック「さっきそこのアイスクリーム屋で盗んで来たドライアイスを、自販機で買ったミネラルウォーターのペットボトルに入れたもの」

エリザ「ああ。それってアレでしょ? 簡易的な」

ジャック「フラグメントグレネード」ブンッ!


ボォンッ!


グァァァ!


ジャック「タイミングを見計らって、破裂する直前で目と鼻の先に投げれば」

デオン「普通に失明するな。くだらない小細工だが、結構威力は出るだろう」

デオン「おっと。いけない」

テ口リストB「ひ、ひいい……目! 目がぁ……!」

テ口リストC「な、何ッ!? なんだ!? 一体何が起こっ――」


ブンッ グサッ


テ口リストC「……え?」ボタッ

テ口リストC「え。な、に? 棒が、俺の腹から出て……来……」

バタリッ

エリザ「棒じゃなくって投擲した私の槍なんだけど」

テ口リストB「あぎいいいい!」ジタバタ

デオン「始めるか」バキィッ

テ口リストB「ぎゃんっ」

エリザ「うわっ……筋力Aのくせにサッカーボールキック? 氏ぬわよ?」

デオン「自分の身を振り返って物を言え。そっちの方が氏亡率高いだろう」

エリザ「いいのよ別に。ジャックがいれば」


ズポォッ


ヒュパッ


エリザ「ほらー。抜いた途端に傷口が元通りー」

ジャック「いえいいえーい!」

デオン「先を急ごう」

エリザ「はいはーい。またまた一方的な蹂躙の始まりね」

ジャック「バレないように一人ずつ確実に仕留めてこー!」

408: 2017/09/24(日) 19:44:49.70 ID:fUQobVMC0
マシュBB「……まずいですね。痺れ切らして、あの三人が動き出しました。ハッキングした監視カメラから覗いた限りやりすぎです」

茨木「そうであろうなぁ。吾もあっちに行けばよかったなぁ、と考えて来たところよ」

茨木「明らかな格下相手にビクビクするのもバカらしい、とでも思ったのであろうな?」

マシュ「これ、もしも気付かれたら人質が……」

茨木「さて。どうであろうな。アイツらが相手にしているのは今は警察」

茨木「警察からの攻撃だ、という確信を得たら確かに人質を頃すであろうが」

マシュBB「実際には全然そんなことはないわけですからね。確認作業に手間取って、人質をどうこうするという発想に至るのはもう少し先ですよ」

茨木「仮に人質をどうこうする、ということになったら吾がどうにかするしな」

茨木「くくく。吾を人間の盾に使うとは……あの三人も随分と不遜よな」

マシュ「先輩……」

409: 2017/09/24(日) 19:57:35.29 ID:fUQobVMC0
ぐだ男「さて。空港に辿り着いたはいいが」

ぐだ男「当然だが中に入れないぞ! どうしたらいい?」

BB『人払いします! その隙にセンパイは中へ!』

BB『おそらく入口には見張りのテ口リストがいますが、それは自力でなんとかしてください!』

ぐだ男「無茶なことを言う!」

ぐだ男「……で、人払いって具体的には何をする気だ?」

BB『センパイ。私は告白します。実は、センパイのことを監視していました。ドローンとか使って!』

ぐだ男(『とか』って……)

BB『ちなみにそのドローン、自爆機能付きです』

ぐだ男「えっ」





警察「ん? なんだ? 何かがこっちに飛んで――」


ドカァァァンッ!


キャァァァァ!


ぐだ男「」

410: 2017/09/24(日) 20:02:01.76 ID:fUQobVMC0
BB『後でテログループに全部罪を押し付けるので大丈夫ですよ』

ぐだ男「ふざけんな!」

ぐだ男「……ああ、でも確かに人がどんどん逃げていく!」

BB『さあ! センパイ!』

ぐだ男「わかってる! 俺のサーヴァントたちに人頃しをさせたりしない!」

ぐだ男「ましてや、せっかく守った現代の人たちを!」ダッ

警察「ん? キミ! 爆発が起こっている、そっちの方向に行くのは危険だ!」

警察「早くこっちに戻ってきぶへぁっ!」ガツンッ

ぐだ男「ドローンが警察の人の顔に当たったーーー!」ガビーンッ

BB『爆発しないから大丈夫ですよー!』

ぐだ男「本当ごめんなさい!」

412: 2017/09/25(月) 18:17:12.68 ID:jVL+MJmq0
ぐだ男「よし! 空港の中に侵入成功!」

BB『センパイ! 三時の方向!』

ぐだ男「あいあい!」バッ


ズドォンッ


テ口リストD「!?」ガビーンッ

ぐだ男「BB! このまんま逃げて空港内で撒くぞ!」

BB『えっ。倒すんだと思いました』

ぐだ男「えっ」

BB『えっ……ガンドくらい撃てますよね?』

ぐだ男「あれ礼装ないと撃てねぇーよ! それより早く逃走経路!」

テ口リストD「……」グッ

ぐだ男「あ、やべ。遅かった」


ガンッ


??????「ふいー。間に合った間に合った。キミー、こんなところに来ちゃダメだよー。危ないよー」

ぐだ男「……んっ? なんか聞き覚えのある声が……」

BB『あ。件の渦中にいる政治家さんですね。やっぱり捕まってませんでしたか』

ぐだ男「はっ?」

413: 2017/09/25(月) 18:21:42.04 ID:jVL+MJmq0
アストルフォ?「いやー。たまたまボクがここを通りがかったからいいものを。一歩間違えたら脳天ずばーんだよ」

ぐだ男「……」

ぐだ男「アストルフォか? ちょっと歳食ってるように見えるけど……」

アストルフォ「あれ? キミ、ボクのこと知ってるの?」

ぐだ男「は?」

BB『別に言う必要はなかったので今まで言ってませんでしたが、その人がテ口リストと対立してた政治家さんです』

ぐだ男「どう見てもアストルフォなんだけど……」

BB『聖杯戦争の歴史は結構長いですからねー。一体くらいは受肉したサーヴァントもいるでしょう』

BB『ついでに、当然ながら現代の人との基礎スペックが桁違いですので、社会の中心に食い込むことも間々ありますって』

ぐだ男「ちょっと待って。ちょっと待って。わかった。コイツがカルデアのアストルフォじゃないことはわかったが」

ぐだ男「だからってよりにもよってなんで政治家!? コイツに政治任せたら世界滅ぶぞ!」ガビーンッ!

アストルフォ「えへへー。それほどでもー」

ぐだ男「褒めてないッ!」

414: 2017/09/25(月) 18:28:49.13 ID:jVL+MJmq0
アストルフォ「いやー。とある聖杯戦争で受肉した後、なんやかんやあってフランスの政治家にまで祭り上げられちゃったんだけどさー」

以下トルフォ「これが中々楽しくってやめられなくなっちゃってー」テレテレ

ぐだ男「世も末だ……」

トルフォ「で、まあ対テロ法案とか大胆な外交政策だとか色々ぶち上げている内に、変なのに絡まれるようになっちゃってね」

トルフォ「まあ大体自力でなんとかしてたんだけど」ウン

ぐだ男「自力で……なんとか……」

BB『もう思考が追い付いてませんね』

トルフォ「理性蒸発してたからさー。生前と同じように宝具がどんどんあっちゃこっちゃに流れちゃってさー」

トルフォ「今ではもうちょっと頑丈で怪力のある普通の人だよ。参っちゃうよね、あっはっは」

ぐだ男「あっはっは……」

ぐだ男「……投げ出したくなってきた」ズーン

BB『頑張ってー! 負けないでー!』

415: 2017/09/25(月) 18:33:52.73 ID:jVL+MJmq0
ぐだ男「ま、まあいい。それはいい。どうでもいい!」

ぐだ男「アストルフォ。俺はとある組織の魔術師の端くれだ。ちょっとした事情があってサーヴァントたちがテロに巻き込まれてる」

トルフォ「昨日と同じ子たちだね」

ぐだ男「で、そいつらの暴走を止めるためにここに来た! できれば力を貸してほしい!」

トルフォ「いいよ!」グッ

ぐだ男「……」

ぐだ男「やっぱコイツ、アストルフォだな……なんかの間違いだと思いたかった……」

BB『この軽さとチャラさは完全に唯一無二のものですよね』

416: 2017/09/25(月) 18:40:37.20 ID:jVL+MJmq0
トルフォ「まあ……かと言って、ボクがそうそう軽率に動くわけにもいかないんだけどね」

トルフォ「あの人たちの目的はボクの身柄だから。そこを押さえたら計画が第二段階に入っちゃう」

ぐだ男「第二段階?」

トルフォ「ボクの身柄を交渉材料にして『実在しない裏金をさも実在しているかの口調で要求する』みたいな」

トルフォ「そのくらいのことはすると思うな。実在してないものは用意できないから、ボクもろとも人質は皆頃しになるかな」

ぐだ男「今日新月だったっけ」

BB『いえ、普通に月は出るはずですよ』

トルフォ「失礼な人たちだなあ……」

ぐだ男「……まあそこはわかった。アストルフォはアストルフォなりに、出来る限りでいい。協力してくれ」

トルフォ「うん、そのつもりだよ! さて、それじゃあ……」

トルフォ「正々堂々と恰好いい名乗りを上げて、人質のいるホールにバーンとォ! 登場しようか!」バァーンッ

ぐだ男「やっぱりお前アストルフォだったわ」

BB『軽率に動くわけにはいかないとわかっている上での発言ですからタチ悪い……』

418: 2017/09/25(月) 19:46:01.93 ID:jVL+MJmq0
ぐだ男「……」

ぐだ男「いや。名乗りを上げるのはまあともかくとして」

ぐだ男「人質が集められているホールに行くっていうのは賛成だな」

トルフォ「名乗りを上げる部分はー?」

ぐだ男「ちょっと黙っててくれ」

トルフォ「はーい」

ぐだ男「人質を全員解放してしまえば、ひとまずは余裕ができるわけだし」

ぐだ男「後は俺がちょいちょい手綱を引いて行けば、少なくとも誰も氏なないはずだ」

BB『もうテログループの心配しかしてませんよね』

ぐだ男「だってアイツら、俺がいない場所で、弱くて大量の敵を見かけると――」





エリザ「ボエエエエエエエエ!」


ガラガラガラッ


ぐだ男「……敵だけじゃなくってフィールド使って遊び始めるんだもん……!」エグエグ

BB『ホールへの最短ルートがエリザさんの歌声のせいで崩壊。別のルートを指示します』

ぐだ男「頼む……」

トルフォ「いやー。いつの世もサーヴァントってみんなとんでもないよねー」

ぐだ男「お前もとんでもないサーヴァントの筆頭なんだけど……」

419: 2017/09/25(月) 19:57:31.62 ID:jVL+MJmq0
テ口リストE「……!? ……!」ビクンビクン

エリザ「あらら。私の歌声で絶頂しちゃったみたいね」

デオン「両耳から血が出てるが……」

ジャック「ありえないほど出てるね……もしかして頭蓋骨割れてない?」

エリザ「さて。じゃあ次。ジャック、このあたりをテープとかビニールとか使って密封して。おびき寄せられたヤツ使って次の実験するから」

ジャック「はーい!」ペタペタ

ジャック「できた!」

デオン「流石に俊敏Aだな。あっと言う間だ」

デオン「……で、何をする気だ?」

エリザ「何人かおびき寄せられたタイミングで防火シャッターを落として。それで完全に密室の完成だから」

エリザ「あとコレ、一応渡しておくわね。酸素補給缶」

デオン「ああ、よくアイドルとかが使っているアレか」

デオン「……」

デオン「お前、まさか」

ジャック「あ、やばい。私たち外出てていい?」


ドタドタドタッ


テ口リストF&G&H「見つけたぞ!」ゾロッ

エリザ「あ、来ちゃった! ほら、早くシャッター降ろして!」

デオン「く、くそ……!」

ジャック「巻き込まれ決定ー」

420: 2017/09/25(月) 20:03:36.29 ID:jVL+MJmq0
ガラガラガラガシャンッ

テ口リストE「なんのつもりかは知らんが、防火シャッターを下ろしたところで……!」

エリザ「すううううう……!」

テ口リストG「貴様たちの逃げ場がなくなっただけ……?」

エリザ「すうううううううううう……!」

テ口リストH「……な、なんかおかしいぞ。だ、段々耳が痛く……いや……」

エリザ「すうううううううううううう……!」

テ口リストE「い、息苦し……!」


バタバタバタッ


ジャック「耳痛いー!」キィィィン!

デオン「それはそうだ。エリザがこの空間の空気を全部吸ってるんだからな!」キィィィィン!

デオン「気圧が急激に下がれば耳も痛くなるさ……」

デオン「ていうかもう全員気絶したぞ! いい加減にしろ!」

エリザ「ふうううっ! あー、竜の肺活量って凄いわねー。やればできるものだわ」

エリザ「うーん、殺さずの縛りプレイも中々面白いものね。次もコレやってみる?」

デオン「選択肢の一つとしてはいいかもしれないが……」

ジャック「しばらくはいいよ。次行こう? 次。私たち、面白いこと思いついちゃった!」キラキラキラ

デオン「じゃあ次はジャックの番だな」

421: 2017/09/25(月) 20:10:00.44 ID:jVL+MJmq0
BB『げぇ。マジですね。あの三人、明らかにこの状況を楽しんでます』

ぐだ男「遊び始めただろ? しかも相手の人権を完全無視する方向で」

ぐだ男「デオンは隣にマリーとかがいれば真面目なヤツなんだけどな」

BB『……エスカレートして人を頃し始めるまで、あとどのくらいだと思います?』

ぐだ男「大丈夫だ。余程のことがない限り、そんなタイムリミットは存在しない」

トルフォ「聞いてる限り急いだ方がいいっぽいけどね」

トルフォ「いやー。流石に弱い者イジメはダメでしょ」

ぐだ男「相手の自業自得ではあるんだけどな……限度ってものがある」

BB『さあ。あと少しでホールですよ! そこに人質が集められてます!』

422: 2017/09/25(月) 20:26:17.14 ID:jVL+MJmq0
トルフォ「それにしても凄いね……キミがあのカルデアのマスターか」

ぐだ男「あ、れ……言ってないよな?」

トルフォ「なんとなくわかった!」ドヤァ!

ぐだ男(そういえば理性蒸発ってたまに直感スキルに似た働きするんだったか)

トルフォ「キミはともかくとして、サーヴァントの方は問題だらけみたいだけどね」

ぐだ男(お前が言うな、と言ってもコイツは別人だから仕方ないな……)

トルフォ「まあ英霊なんてみんな曲者揃いだからさー。根気よく付き合ってあげてね」

トルフォ「そしたらきっとそれなりに応えると思うからさ。聖杯戦争の先輩からのアドバイスだよっ!」

ぐだ男「言われなくとも」

BB(……)

BB(……みんななんで、こんなプレッシャーかけるようなことバンバン言っちゃうんですかねー)

BB(イヤなら投げ出せばいい、くらいは言ってもいい気がしますが)

423: 2017/09/25(月) 20:42:58.01 ID:jVL+MJmq0
BB『……おっと。それ以上進むと危ないですね! 再度の迂回を推奨します!』

ぐだ男「はあ? 何言って……」

ムワッ

ぐだ男「……この匂い、まさか」

BB『可燃性のガスです! 逃げてくださーい!』

ぐだ男「誰がこんな無茶なことを――」


ドカァァァァンッ!


ぐだ男「ぎゃあああああああ!」

トルフォ「あー、ダメだ。もうこの道使えないね。凄い爆発だったもん」

BB『まあ私のドローンの方が火力出ますけどね』

ぐだ男「お前の父ちゃんマイケル・ベイ!?」ガビーンッ!



ジャック「きゃははははは……」



ぐだ男「……遠くからジャックの声が聞こえる……アイツの仕業か」

424: 2017/09/25(月) 20:54:18.48 ID:jVL+MJmq0
BB『段々エスカレートしてきてますよ。本当に氏人は出ないんですよね?』

ぐだ男「お前、わかってて言ってるだろ。アイツらは指示なしにそんなことしないよ」

BB『……もうちょっと疑うこと覚えましょうよ。つまらないです』

ぐだ男「そりゃ悪かったな。次のルートを教えろBB」

BB『了解』

トルフォ「ふぅん……へぇ……」

トルフォ「なるほど。伊達に世界救ってない、か」ニヤニヤ

ぐだ男「ええい、値踏みするような目で見ないでくれ」

トルフォ「あ、ごめんごめん。じゃあ早く行こうか」

425: 2017/09/25(月) 21:03:12.27 ID:jVL+MJmq0
ぐだ男(考えてみるに、明らかに手心加えてるな)

ぐだ男(わざわざガス爆発とかさせなくってもナイフでグサリで全部ケリが付く)

ぐだ男(大丈夫。まだヤツらは冷静さを失ってない)

BB『あっ! センパイ! それ以上進むと――!』

ぐだ男「えっ?」

ボチャンッ

ビリビリビリッ


ぐだ男「ぎゃあああああ! びーりーびーりーすーるー!」ビリビリ!

トルフォ「おっと。気を付けなよー!」グイッ

ぐだ男「あ、ありがとうアストルフォ……」

ぐだ男「……なんだここ! 道に水たまりがいっぱい……壁や天井には、刀傷?」

トルフォ「トイレの水を出しっぱにした上に、防火スプリンクラーを破壊。あと壁や天井の電気のコードを千切って引っ張って道に敷き詰めてるんだね」

BB『わっかりやすーいトラップですね。おそらくデオンさんがやったものと推測されます』

トルフォ「水に触れたらビリビリするよ。多分、誰かに助けられない限り延々と」



ギャァァァァァ!
タズゲデェェェェ!


ぐだ男「どこからか助けを求める声が……」

ぐだ男「デオンのヤツが一番エグくないか!?」ガビーンッ!

426: 2017/09/25(月) 21:12:39.96 ID:jVL+MJmq0
ぐだ男「イモータルカオスブリゲイドより阿鼻叫喚なんだけど! 今更だが、殺さずの誓いを守っている上でもコレは酷いぞ!」

BB『しかも楽しんでやってますし』

ぐだ男「アイツらー……絶対合流したら説教かましてやるー……!」

BB『……』

BB『ねえセンパイ。もうここで止まっちゃいましょうよ』

ぐだ男「あ?」

BB『だってもうルートがほぼ途絶えてますし、なによりも下手したら巻き込まれますよ』

BB『……ねえ。本当に、あの人たちについていけると思ってます? 曲がりなりにも兵器ですよ?』

BB『仮に心を持っていたとしても、結局のところは使い魔。あなたとは価値観が違うバケモノの集まりです』

ぐだ男「……」

BB『ここで止まることも一つの選択だと思いますが』

ぐだ男「BB。何を怒ってる?」

BB『は?』

ぐだ男「いや……気のせいかもしれないんだが、お前がなんかイラついてるように見えて」

BB『……』

BB『ダブるんですよ……!』

ぐだ男「?」

BB『……いえ、なんでもないです。ただ、止まってほしいだけです』

BB(私の好きな『先輩』とダブって見えて、凄くイライラしますので)

427: 2017/09/25(月) 21:18:40.39 ID:jVL+MJmq0
ぐだ男「お前が何にイラついてるのかは知らんが、とにかく俺は先に進むぞ」

ぐだ男「アイツらは余程のことが起こらない限りは絶対にキレたりしないが」

ぐだ男「……お前から聞いた話だと、多分遠くない未来にプッツンする」

BB『え?』

ぐだ男「あのな。茨木はいくらなんでも無関係の人間の盾になることを素直に了承するようなヤツじゃないんだよ」

ぐだ男「本当に守っているのは……!」

BB『……ああっ! なるほど!』

BB『え、でも仮にそうなったとして、そんな簡単にプッツン来ます?』

ぐだ男「アイツもアイツで結構好かれてるからな。指一本でも触れたら一瞬だぞ」

BB『あらー』




ぐだ男「BB。絶対にマシュを守れ。血が一滴でも流れたら、アイツらすぐに本気になるからな!」

BB『オーダーを了承。全力で遂行しますとも』

428: 2017/09/25(月) 21:19:41.99 ID:jVL+MJmq0
続きは明日!

430: 2017/09/26(火) 18:33:53.23 ID:JcDAdJUt0
ぐだ男「……んー? 待てよ。BB。ルートがほぼ途絶えたって?」

BB『ええ。まあ無理すれば押し通れないこともないですが』

ぐだ男「ということは、ホール側からも誰も出てこれないってことだよな」

ぐだ男「目的は敵勢力の分断か? 遊んでいる割には意外と考えてるじゃないか」

ぐだ男「だが分断させたとしても、小さくなった方の勢力を一瞬で刈り取る係が必要になるな」

BB『一騎くらいはこちらに残っている可能性……あると思います』

ぐだ男「ていうかお前のハッキングで見通せないのか?」

BB『凄まじい速さで、あっちに行ったりこっちに行ったり』

BB『残念なことにカメラ越しだと彼女たちの動向が見切れないんですよ。敵を襲うときくらいしか』

ぐだ男「エリザは鈍足だが、デオンとジャックは俊敏がありえないレベルだからな」

BB『それと、おそらく彼女たちの目的はきっとそれで合っていますが』

BB『人質の逃走ルートすら潰してしまうって点を完全に失念してますね』

ぐだ男「……不自然に失念しすぎだな。何か勝算でもあるのか?」

ぐだ男「いや。よそうか。とにかくルートがほぼ途絶えたのなら何か考えないと!」

トルフォ「頑張ってねー!」

ぐだ男「お前も知恵貸せッ!」

431: 2017/09/26(火) 18:42:39.17 ID:JcDAdJUt0
茨木「……」

マシュ「茨木さん。どうしました。先ほどから何か、眉間に皺を寄せてますけど」

茨木「……いや……大したことではないのだが……」



娘「……怖いよぉ……」

おばちゃん「大丈夫……大丈夫だからね……」

サラリーマン的な男「くそっ……なんで俺がこんな目に……」



茨木「……人間、弱くないか?」

マシュ「え?」

茨木「鬼からすれば確かにどれも有象無象だが、それにしても弱すぎるであろう」

茨木「吾の一番知っている人間はもっと強かったぞ」

マシュ「……先輩が強いんです」

432: 2017/09/26(火) 18:50:12.88 ID:JcDAdJUt0
茨木「……別に、吾が協力してやったのは、マスターと吾の利害が一致していた。ただそれだけの理由よ」

茨木「最初から人類史がそこまで素晴らしいものだとは思っておらんわ」

茨木「おらなんだが……」

マシュBB「それにしても失望するレベルで見苦しいほど弱い、ですか?」

茨木「……守ったところで、ゲーティアのような人類悪なぞいなくとも人は氏ぬ」

茨木「心底と言うには浅いが、多少はな」

マシュ「……そんなことは……」

茨木「やっぱりくだらんな。迷う気も失せるわ。そのときが来れば吾は……」

マシュ「茨木さん?」

茨木「……今はなんでもない。今はな」

マシュ「……」

マシュ(先輩……早く来てください。大惨事が起こる前に……!)

433: 2017/09/26(火) 19:13:02.77 ID:JcDAdJUt0
分断の外側 ぐだ男サイド

デオン「……」

ぐだ男「……」

トルフォ「……」

BB『……』

デオン「何故マスターがここにッ!?」ガビーンッ!

デオン「いや、それよりお前! お前! 少し歳食ってるがまさか!」

トルフォ「え? 彼もボクのこと知ってるの?」

ぐだ男「俺のサーヴァントはみんなお前のこと知ってるぞ」

トルフォ「照れるなー」テレテレ

ぐだ男「で? デオン。お前、どうした?」

デオン「えっ。な、何のこと? 私はいつも通りだけど」アセアセ

ぐだ男「返り血拭いてから物を言え」

BB『バケツひっくり返した感じでドロッドロですね。頭からつま先まで』

デオン「……」

デオン「コロシテナイ、ヨ?」ガチガチ

ぐだ男「そうか。血を拭け」

434: 2017/09/26(火) 19:22:32.70 ID:JcDAdJUt0
五分後

デオン「ここまで圧勝だと逆に楽しいなって……思って……」グスグス

デオン「敵をなます斬りにしまくってたら、本当タガが外れてきて……」

ぐだ男「俺たちがお前を見つけた一瞬、お前こっちのことを一瞬だけ『新しい獲物』だと誤認してたからさ」

ぐだ男「お前の凄い表情がガッツリ見えちゃったよ」

デオン「マスター。令呪で命令してくれ。『自害しろ』と」

ぐだ男「しないしない。仲間が増えて嬉しいよ、デオン」

ぐだ男「じゃあ手札も揃ったし、そろそろ先に進むか?」

トルフォ「どうする気?」

ぐだ男「道がないなら作るのみ、だ!」

436: 2017/09/26(火) 20:40:17.13 ID:JcDAdJUt0
トルフォ「キミ随分と個性的なサーヴァント引き連れてるんだなぁ」

トルフォ「戦い方見てる限り、酷い趣味してるみたいだし。カルデアって悪の秘密組織なの?」

デオン「……現地で出会ったサーヴァントを味方に付けるのはキミの専売特許だが」

デオン「よりにもよってコイツにだけは見られたくなかったな」

ぐだ男「酷い趣味してるわけじゃなくって、友達と同じ遊びしてたら意外とハマっただけの話だ」

ぐだ男「コイツ自身は結構真面目だぞ」

トルフォ「ふぅん」

BB『センパイ。ちょっとは疑問に思わないんですか?』

ぐだ男「なにが?」

BB『自分は本当にサーヴァントとやっていけるのかどうか、とか』

BB『残念なことに一般人とは完全に価値観が剥離してますし』

デオン「……」

ぐだ男「そこに疑いは持たないようにしてる」

ぐだ男「デオンはいいヤツだ。俺はそれを知ってる」

デオン「マスター……!」

ぐだ男「BB。解析頼む。目標は……わかるよな?」

BB『わかってますよーっと』

BB(……ちょっとだけ到着が遅れるようにしてあげましょう)

BB(辿り着くころにはちょうど大惨事、ですよ。ふふっ)

BB(あなたは一度、夢から覚めるべきです)

437: 2017/09/26(火) 20:58:25.30 ID:JcDAdJUt0
テ口リストたち「ざわ……ざわ……」

茨木「……さっきからアイツら騒がしいな」

マシュ「それもそうでしょうね。警察でもテ口リストでもない第三者が『何故か』攻撃してきてるんですから」

マシュ「しかも昨日に引き続き」

茨木「つくづく運がない。吾らを二度も敵に回すとは……」

茨木「む……空気が危うくなってきたな。そろそろか?」

マシュ「えっ?」

BB(警察と彼らの会話の傍受に成功)

BB(ひとまず引っかけてみることにしたようですね。人質はまだ大量にいますし)

BB(この攻撃をやめなければ人質を一人頃す、って方向に纏まりかけてます)

マシュ(そんなことをしても無駄なのに!)

マシュBB「そういえばイバラギンさん。ずっと気になってたのですが」

マシュBB「どうも旅行サーヴァントのみなさん、人質への対応がおざなりですよね。なにか勝算でも?」

茨木「最悪の場合は吾が全部どうにかするということで纏まった」

マシュBB「具体的には?」

茨木「全員問答無用で食い頃す。容赦なしだ」

BB(……なるほど。やっぱり。最終手段のセーフティは手加減なしの大蹂躙)

BB(だからみんな人質に関しては放置気味だったんですね)

マシュ(そんなことにならないよう祈っておきたいのですが)

BB(届くわけありませんよ。そんなに簡単に)

マシュ(先輩が来てくれればなんとかしてくれます!)

BB(……届く距離にいる誰かに祈っても、現実に敗れるだけです)

BB(絶対に)

440: 2017/09/27(水) 20:21:56.97 ID:X44oVm7N0
BB『そこです! そこの壁を延々と攻撃していればおそらく向こう側に抜けられます!』

BB『その後、また突き当ったら再度壁に攻撃! これを合計三回繰り返せば安全に先に進めると断言します!』

デオン「なるほど。わかりやすい。筋力Aと怪力スキル持ちが両方協力すればなんとかなるかもしれないな」

トルフォ「えー。手の甲が裂けちゃうよー」

デオン「誰が素手でやれと言った? ちゃんと食事処からスプーンを拝借してきた」スッ

ぐだ男「それはそれで気が長ぇーよッ!」ガビーンッ!

ぐだ男「……ん。そうだ。近くに食事処があったのなら、もう一つ拝借したいものがあるな」

トルフォ「え? なになに?」

ぐだ男「いや、俺一人で大丈夫だ。もう分断の外側の連中はデオンが全員斬ったんだろ?」

デオン「当然。私は敵には容赦しないからね」

ぐだ男「じゃあちょっと取ってくるから壁の破壊は任せた」

ぐだ男「ときにBB」

BB『はい? なんです?』

ぐだ男「……本当にここでいいのか?」

BB(……ちっ。気付かれた、か。でも)

BB『ええ。もちろん』

ぐだ男「そうか。ならきっと意味はあるんだろうな」

BB(……こういうときの私の言葉は絶対に信用すると思いましたよ)

BB(意味はある、か。それ『何かを隠しているな』って思ってる人間の物言いですよ)

441: 2017/09/27(水) 20:33:47.59 ID:X44oVm7N0
ぐだ男(さっきからのBBの様子は何か変だが……決定的に俺をハメようとしている様子はない)

ぐだ男(おそらくここも最短ルートではないだけで向こう側に抜けること自体はできるだろう)

ぐだ男(……ジャックとエリザが何かを仕掛けるとしたら、俺たちが行くことがそもそもできない場所の分断が終了してから……)

ぐだ男(つまりホールを挟んだ向こう側の道を全部塞ぐか壊すかした後だろう)

ぐだ男(間に合うか間に合わないか、で言ったらほぼ確実に間に合わないだろうな。BBが非協力的だし)

ぐだ男「……」

ぐだ男「マスター失格だな。よりによって自分のサーヴァントを恐れてどうする」

ぐだ男「信じるっきゃねーだろ。最後の最後に物を言うのは、信じる心だ」

442: 2017/09/27(水) 21:04:57.69 ID:X44oVm7N0
ホール

茨木「……ひ、ふ、み、よ……」

茨木「結構多いな。さてどうしたものか」

マシュ(茨木さんは何を数えているのでしょうか)

BB(ああ、アレは多分、人質の中に紛れ込んだテログループの仲間を数えてるんですよ)

マシュ(えっ)

BB(乗り物のジャックとかでもメジャー級に使われる戦略ですよね。人質の中に共犯者って)

マシュ(……どうやって見分けてるんでしょうか)

BB(火薬の臭いでもしてるのでは? おそらく人質内で暴動が起こったときの保険でしょうから、銃くらいは持ってるでしょう)

マシュ(どこからどこまで計画的ですね)

BB(これを全部処理するとなるとおそらく、勢い余って茨木さんも何人か頃しますね)

マシュ(……楽しみにしてませんか?)

BB(いえ。流石の私も人が氏ぬ様を見るのは結構気分悪いですよ)

BB(それ自体はグロいですし。楽しみにしていることがあるとすれば別のことです)

マシュ(それってもしかして)

BB(……)

BB(後半の分断も終了。ホール完全に孤立)

BB(分断の向こう側をジャックさんに任せ、エリザさんがこちらに来ます)

マシュ(……!)

443: 2017/09/27(水) 21:11:56.15 ID:X44oVm7N0
エリザside

エリザ「相変わらずこういうときにアンタの霧は便利ねー」

ジャック「あんまり休日にこの霧は使いたくないんだけどねー。曲がりなりにも宝具だから」

ジャック「出来る限りさっきのガス爆発みたいに安く済ませたかったんだけどー!」

エリザ(もう霧の向こう側に隠れてジャックの姿がまったく見えないわ)

ジャック「じゃあこっちの人たちは氏なない程度に解体するから、エリザは先行ってていいよー!」

エリザ「はーい。裏方は任せたわよー!」

エリザ「……さて、行きましょうか」

エリザ「……茨木、いい子でお留守番してるといいのだけど」ニヤァ

444: 2017/09/27(水) 21:18:12.77 ID:X44oVm7N0
エリザ「……どういうふうに登場しようかしら。やっぱりBGMは必須よねー」

エリザ「アカペラで納得してくれるといいのだけど」



ジリリリリリリンッ!



エリザ「ん? 公衆電話がひとりでに鳴り始めたわ」

エリザ「このタイミングだと、アレよね。やっぱり」ガチャリンコ

BB『絶対に! ぜーーーったいにやめてください! 本当に!』

エリザ「……」


ガチャリンコ


エリザ「興が削がれちゃったわ。この方法での登場はまた今度にしましょう」スタスタ

445: 2017/09/27(水) 21:27:37.46 ID:X44oVm7N0
ジャック「さてと。それじゃあ楽しい楽しいお片付けの時間だね」

ジャック「えーっと、確かデオンに言われたな……どこを切り落とせばいいんだっけ……」

ジャック「あ、思い出した! 銃が使えなくなるから人差し指だけでOKなんだよね!」

ジャック「どんどん狩ってこー! おかあさんがいないから、ある程度は好きにやっていいって言ってたし」

ぐだ男「ほう」

ジャック「……」

ジャック「えっ」

デオン「ジャック。すまない。本当にすまない。こんなタイミングに合流させてしまって」

トルフォ「……ジャック・ザ・リッパー……どこかで会ったことあったっけな……?」

トルフォ「ま、いいや。オイタはそこまでだよ」

ぐだ男「ジャック。霧を解除。頼む」

ジャック「うん」



フッ


ぐだ男「お前も血塗れかよ……」

ジャック「え? 血? なんのこと? これ全部イチゴシロップだよ。かき氷を浴びるように食べたから」ケロリ

ぐだ男「頼むから嘘を吐かないでくれ」

ジャック「ごめんなさい」

448: 2017/09/28(木) 19:18:21.32 ID:m4Wdo8ib0
ぐだ男「……ハンカチじゃ足りないな。全然」ヌグイヌグイ

ジャック「きゃはは。くすぐったーい」

ぐだ男「なー。ジャック。俺がいない間、誰も殺さなかったよな?」

ジャック「うん。それはもちろん。だっておかあさん言ってたでしょ」

ジャック「グロいのは苦手って」

BB『え。そんな理由?』

ぐだ男「もうちょいゴチャっとした理由あるけどわざわざ人に言う話じゃないかなって」

ぐだ男「俺自身のこだわり的なアレだし」

BB『ふーん』

ぐだ男「さて。ジャック。エリザと別れたのはいつだ?」

ジャック「うーんとね、十分前くらい」

ぐだ男「やっと先回りできそうだな。アイツの性格なら返り血をそのままにして大一番に臨むわけがない」

449: 2017/09/28(木) 19:37:13.08 ID:m4Wdo8ib0
ぐだ男「……っていうかここにジャックいるじゃん! ジャックに俺の言葉を伝言してもらえばそれで全部解決だ!」

ジャック「あー。それなんだけどね? 私たち、まだ残飯処理が終わってないから先に行けないよ」

ジャック「なんか『氏ねない程度に解体』したら……」

ジャック「……」

ジャック「『氏なない程度に解体』したら生き残った人たちが全員隠れちゃって」

ぐだ男「訂正すんな。多分最初に言ったヤツが正しいんだろ」

トルフォ「この子完全に病気じゃん」

デオン「お前はもう少し発言に気を付けろ」

トルフォ「おっと。ごめんごめん」

ぐだ男「……わかった。ジャックはできるだけ早めに終わるよう、かつ後遺症がそこまで残らない程度に続けていてくれ」

ジャック「はーい!」

ぐだ男「じゃあデオン! 先に行ってジャックの代わりにエリザに伝言だ!」

ぐだ男「これで最悪の事態は避けることができるはず!」

デオン「了解した。じゃあ超特急で行くよ!」ギュンッ

ぐだ男「やっぱり最優のセイバークラスだな。俊敏はアサシンに譲るが、このまま行けばエリザを止められる!」

BB(……と、困るのでちょっと足止め)ポチッ


ドカァァァァァァンッ!


デオン「ぐああああああああああああ!?」ガラガラガラ!

BB『おや。謎の爆発が起こってデオンさんが瓦礫の下敷きに』

ぐだ男「デオーーーーンッ!」ガビーンッ!

450: 2017/09/28(木) 19:52:20.28 ID:m4Wdo8ib0
ぐだ男「……BB。一つ聞きたい」

BB『はい? なんです?』

ぐだ男「なんで今のが爆発だと思った? 大きな音が響いただけで爆炎は見えなかったぞ?」

BB『……』

BB『……さあ。先に進みましょう、センパイ。今行けばまだ間に合いますよ?』クスクス

ぐだ男「お前、やっぱり何か企んでやがるな?」

BB『否定はしませんが、マスターに誓って、あなたに不利益な行動は取っていませんよ』

ぐだ男「有難迷惑って知ってるか?」

トルフォ(ふむ……振り回されがちだけど、裏切りとは無縁に見えるな)

トルフォ(面白い。本当に面白いマスターだ……)

451: 2017/09/28(木) 20:00:13.99 ID:m4Wdo8ib0
カツン

茨木「……ちっ。考えが纏まる前に来たか」

カツンッ

マシュ「心強い味方ではあるのですが、ね」

カツンッ

マシュBB「……さて。ショータイム、ってヤツですかね」

マシュBB「センパイが辿り着くまであと五分ちょっと。充分すぎますね」


カツンッ


テ口リストA「なんだ貴様は!」

エリザ「あら。訊くの。訊いてしまうのね? ふふっ……ダメ。答えてあげないわ」

エリザ「でも流石にそれでは可哀想だからあえて言わせてもらうわね」

エリザ「エリザベート・バートリーだコノヤローーーーッ!」ブンッ


グサァッ


テ口リストA「ギャアアアアアアアア! 腕があああああああ!」

マシュ「普通に答えてますし何故キレたのかわかりませんし攻撃が唐突すぎますしツッコミが追い付きませんしーーー!」ガビーンッ!

エリザ「マシュー! 元気ー! 助けに来たわよー!」キラキラキラ!

BB(悪意ゼロ%の笑顔でしょ……? 演技じゃないんですよ、アレで)

マシュ(知ってます! だからタチ悪いんです!)

453: 2017/09/29(金) 06:50:28.90 ID:HYxzvQ9X0
茨木「……ふむ。そろそろ出番だな」

マシュ「えっ」

茨木「おねえちゃーーーん! 怖いよー! 助けてー!」ビェェェンッ!

マシュ「えっ」

テ口リストEX「……」

テ口リストEX「動くんじゃねぇ! コイツがどうなってもいいのか!」グイッ

茨木「きゃあっ」

マシュ(きゃあ!?)ガビーンッ!

エリザ「えっ。茨木?」

テ口リストEX「くくく……お前が何者なのかは知らんが、コイツと知り合いらしいな」

テ口リストEX「指一本でも動かしてみろ! コイツの脳天に風穴を開けてストロー刺されたくなかったらな!」

茨木「お姉ちゃああああん……助けてぇぇぇ……お願い、動かないでえええ」グスグス

エリザ「……」

マシュ「……」

BB(……)

BB(こんなもの)

マシュ(これは……なんという……)

454: 2017/09/29(金) 06:56:51.19 ID:HYxzvQ9X0
マシュ&BB(まともに取り合う価値のない三文芝居です)

マシュ(確かに大した演技力ですが、茨木さんのことをよく知っている私たちからしたら普通にバレバレです)

BB(というかお姉ちゃんって……お姉ちゃんって……ぷぷぷ)

BB(まあおそらく『他の関係のない誰かが人質になる前に自分が』とか考えた末の行動でしょうから間違ってはいませんが)

BB(それにしてもアレ……本当笑っちゃうくらい演技力が無駄に高ァ……あははっ!)

マシュ(笑っちゃダメですよ……)

BB(ま、解説する気も失せますが、茨木さんが普段絶対取らないような言動で動かないで、と言っているのなら)

BB(真意はまったくの逆。実際のところ『どんどん動け。躊躇うな』って言ってるも同義です)

BB(エリザさんもそこに気付くはず)

エリザ「え、えと……」アタフタ

マシュ「……」

マシュ(あ、あれ? 気付いてないような?)

BB(は? そんなバカな。流石に彼女も気付くはず……?)

エリザ「あ、あの。あわわ……どうしよう。どうしたらいいのかしら」オロオロ

マシュ「……!?」

BB(気付いてねぇーーーッ!)ガビーンッ!

マシュ(そういえば彼女、おふざけがあんまり通じない人でしたーーーッ!)

460: 2017/09/29(金) 17:04:54.60 ID:HYxzvQ9X0
茨木「うええええん、お姉ちゃああああ……あ、あれ?」

茨木「あ、あの……やっぱりちょっとは動いてもいいかなーって……?」アタフタ

マシュ(茨木さんも予想外すぎて素に戻りかけてる!)

エリザ「この卑怯者! 大体、こんなことをして何が目的よ!」

テ口リストい「我々の目的は――」

エリザ「うおりゃああああああッ!」ブンッ

テ口リストい「ぎゃあああああああ! ふ、太ももがーーーッ!」ブシュウウウ!

エリザ「……あなたたちの主張はよくわかったわ。やっぱり生粋のクソ野郎どもじゃない」ギリィッ

マシュ(まだ一ッ言たりとも喋ってませんでしたが!?)ガビーンッ!

BB(そして卑怯者と罵ってる割には普通に動いてるんですよね。これ茨木さんを抱き込んでるヤツ以外は普通に攻撃するノリですよ)

テ口リストEX「な、なんだコイツは!?」ガーンッ!

マシュ(私が聞きたいくらいです……!)

461: 2017/09/29(金) 17:21:00.18 ID:HYxzvQ9X0
エリザ「茨木! 何をしているの! 目を覚ましなさい!」

エリザ「あなたなら一瞬でそこのクソ野郎を灰にできるでしょう!?」

エリザ「ていうか狂スロットが扱ってない限りは頭蓋骨で銃弾を弾けるじゃないアンタ!」

エリザ「ほーら! がんばれ! がんばれ! 負けるな! 応援ソング唄うから!」フレーフレー!

茨木「たかが人間がそんなことするかァッ!」ガァ!

エリザ「何言ってんの人間じゃないでしょアンタ!」

テ口リストEX「ん? ん? ええ……?」

BB(まずいですね。段々と演技が剥がれてバレかけてますよ)

マシュ「ちょ、エリザさんそこまでに……!」バッ

BB(あ、ダメ! この緊迫状況でそんな迂闊に動いたら――!)


バァンッ!


エリザ「……」

茨木「……あ?」

茨木(銃声……? 吾の後ろから?)

茨木(いや……それよりなんだ、エリザのあの顔は。感情がゴッソリ抜け落ちたような……)

茨木(……)

茨木「魔酒?」

462: 2017/09/29(金) 17:34:52.55 ID:HYxzvQ9X0
テ口リストろ「動くな、と言ったはずだ。ほら友達の片方がこんなふうに氏んじゃうから」

茨木「……」

茨木(ああ、そうか。拘束されている間、吾と喋っていたものな。これで関係がバレない方がおかしい、か)

エリザ「……」

エリザ「茨木。もういいわ。おふざけはおしまい」

茨木「あいわかった」

茨木「……そもそも人命を念頭において行動するなど七面倒くさかったのだ」

テ口リストEX「何を言って……」



ボォゥッ!



テ口リストEX「え、あ、なに……景色が歪んで……」

茨木「おーおー。よく燃えよるわ。完璧に火だるまになっておる」

エリザ「じゃ、これを復讐の狼煙として始めましょうか」

テ口リストEX「……あ、ひ、い、ぎ、あぎゃあああああああああ!?」ボオオオオオ!

エリザ「……マシュが傷つくの、結構トラウマものなのよ。特にあの終局特異点を経てからはね」

エリザ「あなたたちは私の逆鱗に触れた」

茨木「食う価値もない。氏ね」

テ口リストは「な、な、な……!?」ガタガタ

テ口リストは(バカな……俺たちは夢でも見ているのか……?)

テ口リストは(人の四肢が簡単に切り落とされたり、人体がキャンプファイアーみたいに燃えあがったり……!?)

463: 2017/09/29(金) 17:38:56.72 ID:HYxzvQ9X0
マシュ(……頭が、グラグラします)

BB(まー。ギリギリのところで致命傷を逸らしたとはいえ、銃弾が頭のすぐ傍を通れば脳震盪くらい起こしますって)

BB(私に感謝してくださいよ。監視カメラのお陰で視野角が広がってた私が、直前で肉体の主導権を奪った結果ですので)

BB(肩から大袈裟に血が出てますが、この程度なら問題ありませんし)

マシュ(……ん? 熱い、んですけど。何か起こってます?)

BB(……)

BB(いえ? 不自然なことは何も?)

464: 2017/09/29(金) 17:52:39.46 ID:HYxzvQ9X0
テ口リストろ「ああああああ! あああ、あああああ!」ガクガク

エリザ「黙らせたかったから下顎を取ってあげたのだけど……ふふっ。いい表情で泣くわねぇ」

エリザ「じゃ、特別扱いはこれでお終い。あとは足を刈るからゆっくり氏んでね?」ザシュッ

茨木「……お前はいい。お前もいい」クンクン

娘「あ、あ、あ……!?」ガタガタ

おばちゃん「お、お願い! この子だけは……この子だけは……!」ガタガタ

茨木「お前もお前も違う。だからいい」

サラリーマン的な男「や、やめてくれ……頼む、殺さないで……!」ガタガタ

茨木「あ、お前はダメだ」ガッ

サラリーマン的な男「ひ、い、やめっ……やめろ! 離せ!」

茨木「誤魔化せると思ったか? 火薬臭いぞ。しかも、ほら。人質を縛るロープを自前で解けるように刃物も渡されてるな?」

茨木「つまり氏ね」ゴオッ!

サラリーマン的な男「ひ、あ、熱……ああああああああああああああ!」ボォォォォ!



マシュ(……凄い熱いです……)モゾッ

テ口リストは「はっ……!?」

テ口リストは(あ、あの子……氏んでない? 生きてる?)

テ口リストは(よ、よかった! これで俺たちが裁かれる理由はなくなる! 早く教えてあげないと)ダッ

エリザ「……」

エリザ「近づくな」

テ口リストは(氏にたくない氏にたくない氏にたくない氏にたくないィィィ……!)

エリザ「マシュに近づくなっつってんのよ、下郎」

465: 2017/09/29(金) 18:15:49.77 ID:HYxzvQ9X0
グサァッ! ビシャッ


マシュ(……なにか温かいものが顔にかかったような……)

マシュ(ん。やっと周りが見えてきました)

マシュ「……エリザ、さん……?」

エリザ「あ。マシュー! よかったー! ねえ、血がいっぱい出てるわよ! 大丈夫!?」

エリザ「ううん、大丈夫なわけないわよね! 痛いわよね! ごめんなさい、私が茨木の演技を見抜けなかったから」エグエグ

マシュ「え、そ、そんな……私の方こそ、うっかり動いてしまって……」

マシュ「……」

マシュ「……!?」

エリザ「もう大丈夫よ。マシュ。あなたを傷つける人間は、今から全部いなくしてあげるから」

エリザ「私たちが処理するから。ね?」

マシュ「な……な……!?」

マシュ(人が焼け焦げたもの。人が千切れたもの。人が、人が、人が……)

マシュ(血だらけで、灰だらけ。見渡す限り地獄のような惨劇しか見えない)

マシュ(人質は全員無事。でも、みんなエリザさんや茨木さんのことを心底怯え切った目で見ている)

マシュ(……人質の中に紛れ込んだテログループの人を、狩ったんだ……! 酷い方法で!)

466: 2017/09/29(金) 18:28:29.32 ID:HYxzvQ9X0
マシュ「なんで、こんな酷いことを……!」

エリザ「……」

エリザ「なんで? マシュに酷いことしたからよ? 当然じゃない?」

マシュ「当然じゃないです! やられたからやり返すなんていうのは子供の理屈です! 明らかに、これは……!」

エリザ「別にいいじゃない。あれ確実に世界にいらない類の人種だし」

マシュ「それを決めることができる人間なんていません! エリザさん!」

エリザ「……本気で言ってる?」

マシュ「え?」

エリザ「ねえ。忘れたの? この世界を救ったのは私たち。主にあなたとマスターよ?」

エリザ「なら、この現代の人間の命は全部あなたたちのものだとは思わない?」

マシュ「……」

マシュ「何を、言って……!」

エリザ「人の命は同じ重さを持っている、って点に関しては納得してあげてもいいわ」

エリザ「でも人の命の価値には明確に差があるの。私にとっては、私とマスターとマシュの命が一番重いわ」

マシュ「――!」

エリザ「だから、剪定するの。私の大事なあなたちを守るため。ガーデニングでも害虫駆除は基本でしょ?」ニコニコ

467: 2017/09/29(金) 18:40:25.90 ID:HYxzvQ9X0
マシュ「……ダメ、です。そんなの……やめて……お願い、止まってください……!」

マシュ「私は、大事な友人のあなたたちに、こんなことしてほしくないんです!」

エリザ「あ、そう? ごめんなさい。でもやめないわ」

エリザ「だってあなた、最初から私がこういう英霊だって知ってたでしょ?」

エリザ「それでも仲良くなってくれたんでしょ?」

マシュ「……」

エリザ「どれだけヤンチャしても、怒ったあとは仲直りできる。そういうあなただから私は悪を成せるの」

エリザ「……ていうかむしろマシュの方が私たちの友情を舐めてるわね」

エリザ「こんな軽めの拷問程度で収まる怒りじゃないのよ。だって、本当にあなたが大事なんだもの」

マシュ「……!」

エリザ「さ。続けましょう! 出てきなさいよ! まだ遠くまで行ってないことはわかってる!」

エリザ「全員を一人ずつ一人ずつ炙り出して、絶対的な苦痛を与えてやるわ!」

エリザ「私たちの怒りを思い知れ。私たちを舐めたことを後悔しなさい。私たちのことを未来永劫忘れるな!」

エリザ「私は……私は……!」






ぐだ男「……令呪を持って我がサーヴァントに命ず」

エリザ「え?」

ぐだ男「落ち着け、エリザベート・バートリー」キィンッ!

エリザ「……ッ!」

マシュ「せ……!」

BB(……センパイ)

474: 2017/09/30(土) 08:55:55.16 ID:O+xFKZqK0
エリザ「……子イヌ。なんでここに」

ぐだ男「まー。来るだろ。来ないと思ってたお前の神経にビックリ仰天だ」

ぐだ男「……随分と派手にやったなバケモン。可愛くっても所詮は血に飢える殺人鬼か?」

エリザ「……」

ぐだ男「茨木。お前もだ。わざわざ見た目が酷くなるような処理しやがって」

茨木「不満か?」

ぐだ男「当然だろ。というか聞くまでもないことだ」

ぐだ男「で。BB。俺がもうちょっと早くここに辿り着いていれば、この惨劇ももうちょっとマシになってたと思うが……」

ぐだ男「……やっぱりコレだな。お前が俺に見せたかったものって」

マシュBB「おや。おやおやおや。何故そう思うんです? なにか根拠でも?」ニヤニヤ

ぐだ男「ついさっきここに来たエリザは置いといて、だ」

ぐだ男「ずっとお前と一緒にいたはずの茨木が、俺がここに来た瞬間に意外そうな顔をした」

ぐだ男「つまり、お前は俺に対して人質の状況を事細かに報告してたのに対して、茨木に対しては全然情報を渡してなかったということだ」

ぐだ男「確かに正規品の銃がこんな形で流れたのは予想外だったんだろうが」

ぐだ男「……途中からそれを利用した悪だくみをし始めたんだろ?」

マシュBB「すべて推測ですよぉ」ニヤニヤ

ぐだ男「ニヤニヤ笑いを浮かべながらの台詞だとは思えないな」

ぐだ男「……まあ流石にマシュは俺がここに来ることは知ってただろうけどさ」

ぐだ男「なあマシュ、それとなくはぐらかされてたからわかんなかっただろ? 茨木の方に情報が流れてないことに気づきもしなかった」

マシュ「……あ、ああっ! そういえば!」

マシュ「BBさんと当たりまえみたいに喋っていたから、茨木さんも当然聞こえているものだと思っていましたが……」

マシュ「聞こえるわけありません! だって意思疎通はすべて脳内で行ってたんですから!」

マシュBB「ああっれー。そういえば茨木さんに情報行ってませんでしたねー」ニヤニヤ

マシュBB「いやー。うっかりうっかり。そういえば口にしてませんでしたね。実はセンパイ、私が呼んだんですよ」ニヤニヤ

茨木「この女……」

475: 2017/09/30(土) 09:07:43.86 ID:O+xFKZqK0
エリザ「目的は何? 私たちの醜態を子イヌに見せること?」

マシュBB「……」

マシュBB「超ビックリ! 頭の悪いエリザさんの回答がなんと大正解!」

マシュBB「あははっ! 最初は完全に善意だったんですけど、なんか無警戒で前のめりすぎるセンパイを見てる内にイライラしてきちゃって!」

マシュBB「なので上手い感じに立ち回りました。彼の夢を覚ますために」

エリザ「……なに? コイツが私たちにどんな夢見てたっていうの?」

マシュBB「信用できる。信頼できる。自分の言うことをわかってくれる。きっと相互理解できる、みたいな」

マシュBB「そういう甘っちょろい願望全部ぶち壊そうと思ったんですよ」

マシュBB「だぁってー。本当に彼、このままじゃいつか氏んでしまいますもの? この程度の気遣いは普通にしますってぇー!」ニヤニヤ

エリザ「なるほど。あなたのやりたいことはわかったわ。地獄に堕ちなさい」

マシュBB「私は氏にましぇぇーーーんっ! みんなのことを! 愛しているからーーー!」ビェェェン!

マシュBB「……で? で? センパイ、どうです? この惨状!」

マシュBB「みぃーんな、あなたの大好きなサーヴァントたちがやったことですよ! キチンと目を逸らさず受け止めてくださいよぉ」

マシュBB「吐き気がするでしょ? 怖いでしょ? それが普通なので別に全然かまわないのですが!」ニヤニヤ

マシュBB「ああ、そうそう。もしもカルデアを辞めたくなったら私にご相談を! 後腐れなくカルデアから除籍させてあげますので――」

ぐだ男「まずは口を閉じろ。マシュの顔でBBの表情をされると本当に気持ち悪い」

ぐだ男「……何度も言わせないでくれ」

マシュBB「……ふふふ」

476: 2017/09/30(土) 09:13:53.40 ID:O+xFKZqK0
ぐだ男「お前の大迷惑な企みはよぉーっくわかった」

ぐだ男「……そうか。なるほど。確かにこれは目を逸らしたくなるレベルだな」

ぐだ男「俺の方にこの刃が向けられる可能性も、まあ確かにあるだろうさ」

ぐだ男「……」

ぐだ男「まあまだ先だろうけど」

マシュBB「……え」

ぐだ男「気付いてないのか? どちらかというと、ハメられたのはお前の方だぞ」

ぐだ男「勝ったつもりになってペラペラ喋りやがって。油断しすぎだギーク」

エリザ「……ぷぷぷー! ああ、なるほど。ハメる側になると面白いわね、本当!」

マシュBB「えっ。えっ?」

茨木「なあ。BB。気付いてなかったのか?」






茨木「吾ら、誰も頃してないぞ。まだ誰も」

マシュBB「……」

マシュBB「なんだってぇーーー!?」ガビーンッ!

477: 2017/09/30(土) 09:21:57.92 ID:O+xFKZqK0
マシュBB「ば、バカな……いや、えっ!? 待って! 氏んでない!?」

マシュBB「最初に茨木さんが火だるまにしたヤツは」

茨木「燃えたのは表面だけだぞ。すぐ病院に担ぎ込めば助かる」

マシュBB「エリザさんが散々バラバラにしたヤツは!?」

エリザ「ん? まだ氏なないわよ。残り数十年の命を一生病院のベッドの上で過ごすことにはなるだろうけど」

マシュBB「その他もろもろ! まさか、全員!? いやいや一人くらいは――!」

ぐだ男「何度も言わせるなBB。誰も氏んでない。なんなら今からお前が確認しろ」

ぐだ男「確かにエリザのキレっぷりは本物だったし、このまま行けば本当に氏んでたかもしれんが……」

ぐだ男「決定的に脳天を叩き潰されたり、心臓をエグられたヤツが一人もいない」

ぐだ男「全部手遅れだと思って自分の企みを駄々流しにしたお前だけが、この空間で唯一のバカだ」

マシュBB「」

ぐだ男「……まあお前の一番の敗因は……」

ぐだ男(俺の遅れを五分ちょっとくらいに設定したことだろうな)

ぐだ男(本当ならもっと遅れさせることもできただろう)

ぐだ男(だがそれはできなかった。コイツ自身の『遅れさせると被害が広がり過ぎるかも』という良心が邪魔したから)

ぐだ男(……意地悪なくせに不必要に優しいところが最悪の欠点で、お前の最高なところだよ)

ぐだ男「……修正されたら困るから言わないけど」

マシュBB「そ、そんなぁーーー!」ガビーンッ!

478: 2017/09/30(土) 09:30:53.83 ID:O+xFKZqK0
マシュBB「……バカ、な……エリザさん、茨木さん……!」

マシュBB「なんで口を挟まなかったんですか? もっと早い段階で『誰も頃してない』とセンパイに弁明していれば……!」

茨木「自分がここまで醜態を晒すこともなかった、か?」

エリザ「さっき茨木のやったことの焼き直しだったから、二度目は間違えないわよ」

マシュBB「え?」

エリザ「信頼できる誰かが普段は絶対に言わないことを言ったときは、演技してるんでしょ?」

茨木「マスターはエリザのことを『バケモン』と呼んだ。どんな状況に陥ろうが、マスターはこんなことは言わないのだ」

エリザ「まー。事実ではあるんだけど、結構心が抉られる一言だから」

エリザ「……優しいマスターがこんなことを言うのなら、何かあると思って黙ってるわよ。私も」

ぐだ男「状況が状況だったとは言え、ごめんな」

エリザ「いいのよ。だってあなたは私のことを信じてくれるんでしょう?」

エリザ「……それなりに応えて当然じゃない」

マシュBB「……ば、か、な……!?」ガタガタ

479: 2017/09/30(土) 09:51:04.04 ID:O+xFKZqK0
マシュ(……BBさん。何故こんなマネを。一歩間違えたら本当に氏人が出てたんですよ?)

BB(それは……それは……!)

BB(……)

マシュ(まさか、さっきまで言ってたこと、本気で言ってたんですか?)

マシュ(先輩は故郷に残った方がいいって)

BB(当然じゃないですか! エリザさんもジャックさんも茨木さんも、デオンさんですら!)

BB(センパイから奪うことしかしてなかったんですよ! 彼の安全を思えば引きはがした方がいいに決まっているでしょう!)

マシュ(そんなものは単なる善意の押し付けです!)

BB(願望を押し付けているあなたと何が違うんですかッ!)

マシュ(それは……!)

BB(……失礼。あまりにも感情的になりすぎました)

BB(ちっ。人間に絆されましたか)

BB(また私は……人間に……!)

480: 2017/09/30(土) 10:06:29.79 ID:O+xFKZqK0
ぐだ男「……なあBB。俺はお前のことも信じてるぞ」

マシュBB「……!」

ぐだ男「ただ、善意から生まれた行動だったとしても迷惑なら突っぱねるし」

ぐだ男「悪意から生まれた行動だったとしても有用なら乗っかるだけだ」

ぐだ男「……お前自身の人格に関しては修正させる気も起こらない」

マシュBB「……」

ぐだ男「ただ誰かを犠牲にして俺を助ける計画ならやめてくれ」

ぐだ男「どうしても必要になったと感じたとしても事前に俺に相談してくれ」

マシュBB「許容できませんか? いつか絶対にそういう状況に陥るとしても?」

ぐだ男「……『誰かを犠牲にして助かる計画』は、一度やったらクセになりそうで怖いんだよ」

ぐだ男「クセになって、繰り返して、その先に待ち受けているものは多分……」

ぐだ男「……お前自身が滅ぶ未来だ」

マシュBB「傲慢ですね。あなたのために私が身を捧げることなんてありませんよ」

ぐだ男「本当に?」

マシュBB「……いえ、絶対とは言えませんが……!」

マシュBB「……くだらない。未来の予測なんてものを不自由な人間が語らないでください」

マシュBB「もうこの舞台に意味はなくなりました。私も本気で協力しますので、全部制圧しきっちゃいましょう」

ぐだ男「おう」

BB(確かにセンパイは、あのセンパイに似ています。多少はね)

BB(だからと言って、私があなたのために身を捧げるなんてことがあるわけが……)

BB(……)

BB(……マシュさん? もしかして笑ってます?)

マシュ(……ずっとあなたのことを、何を考えているのかわからない変な人だと思っていましたが)

マシュ(そこまで変な人じゃありませんでした。実はずっと理解できる人なのかも)

BB(……ふん)

481: 2017/09/30(土) 10:15:15.38 ID:O+xFKZqK0
ぐだ男「と、言っても、すぐに制圧できると思うぞ」

ぐだ男「ちょっと待ってろ」グイグイ


ベシャッ


トルフォ「」チーン

マシュ「何故か血塗れのアストルフォさんが出てきたーーーッ!?」ガビーンッ!

BB(あ、いやこれケチャップですね。さっきセンパイが食堂から持ってきた)

ぐだ男「流石に自分の身を犠牲にする狂信的テ口リストがそんな数集まるとは思えない」

ぐだ男「何人かは裏金目的の打算的な連中だろう」

ぐだ男「と、いうわけで……エリザ。この通りに叫んでくれ」ゴニョゴニョゴニョ

エリザ「ん? んん……」

エリザ「あー! あー! 薄汚いテログループのみんなー! この通り、あなたたちの目的だった政治家は既に氏んでいるわー!」

エリザ「これから先、何をどうしようが絶対に、あなたたちの要求は通らないってこと!」

エリザ「もう意地を張る理由もなくなったでしょう! 私たちは逃げる連中を相手にするほど暇じゃないし……」

エリザ「さっき『なんかの事故で空いた穴』が北の方にあるから、そこから通って逃げていく分には何もしないわー!」

エリザ「……あと、三十秒くらいで蹂躙を再開するから、氏にたいのなら残ってもいいけど?」

コソコソッ

エリザ「……あ。本当。気配がいくつか消えていったわね」

茨木「まあ逃げる道中で、キレた狂信者タイプの人間が仲間割れを引き起こすであろうが……」

茨木「流石にそれを止める義理はあるまい? 吾らが守るのはマスターの理念のみ」

ぐだ男「うん。流石にそこまでは強要しないよ」

ぐだ男「じゃ、やるか。魔術はできるだけ無しな」

エリザ「りょうかーい」

茨木「あー。不満だ。吾の出番が少なかったぞ、結局」

BB(……)

485: 2017/09/30(土) 15:04:12.36 ID:O+xFKZqK0
二時間後

マシュBB「制圧、完全終了。もはやあらゆる敵勢力は撃退されたか放逐できたと考えていいでしょう」

マシュBB「エクストラミッションクリア。お疲れ様でした」

エリザ「ふあーあ……あー、眠い。疲れちゃったー」

茨木「まあ朝っぱらからこんなことやっていれば、さもありなんと言ったところか」

ジャック「結局、氏人は誰も出なかったね」

ぐだ男「……」

ぐだ男「ん? 何か忘れてるような?」



ドカァァァァンッ!



デオン「私だ! 私のことを忘れないでくれ!」

ぐだ男「あ! デオン! やっと瓦礫から脱出できたのか!」

デオン「ああ! 本当に! 本当に苦労したけどね!」

デオン「『あ、この崩壊の仕方だと下手を打てばさらに下に落ちるなー』って思いながら命懸けのパズルゲーさ!」

マシュBB「デオンさん、もう全部終わっちゃいましたよ。無駄な努力ご苦労さま――」

デオン「氏ねええええええええッッ!」ブンッ

ガシッ

ジャック「ストップストップー。はいどうどうー」

デオン「離せー! 離せー! もうコイツは絶対に生かしておけない! ぶった斬ってやるぅーーー!」ビエエエン!

エリザ「コイツ斬ったところで本体はノーダメージだし、マシュが傷つくだけよ!」

デオン「うわああああああ……!」エグエグ

ぐだ男「あー……やっぱり一日たりとも平和な休日なんてなかったなー……」

486: 2017/09/30(土) 15:09:04.11 ID:O+xFKZqK0
ぐだ男「じゃ、後のことはアストルフォとBBに任せて……」

ぐだ男「俺たちはさっさと逃げるぞ」

デオン「BBはともかくとして、アストルフォが何かの役に立つのか?」

ぐだ男「信じられないかもしれないがヤツはいまや政治家だ。手柄は全部アイツのものになる手筈になってる」

マシュBB「人質のみなさんの目撃証言はすべて心神耗弱による妄言として処理されます。魔術の秘匿はキッチリと」

エリザ「そんなガバガバな情報処理で大丈夫なの?」

マシュBB「まー、なんとかしますよ。ていうかアストルフォさんの力が予想以上に大きくて、隠蔽作業は想定以上に楽になるかと」

ぐだ男「アイツ、俺たちより危険だぞ。権力持ったアホの子って」

デオン「……深く考えるのはよそう」

ジャック「そだね」

487: 2017/09/30(土) 15:17:54.75 ID:O+xFKZqK0
デオン「そういえば、なんだが。私たちが倒したヤツらの中にはすぐにでも治療が必要なヤツが何人かいたはずだ」

デオン「そいつらはどうしたんだ? 放置?」

エリザ「比較的に無事な人質の人に頼んで外に運び出してもらったわ。随分と前にね」

ジャック「そんなことよりさー。飛行機が欠航だらけだけど、どうやって私たちカルデアに帰るの?」

マシュBB「……」

マシュBB「よし。飛行機盗みましょう。それで一気にカルデアまで帰りましょう」

エリザ「ええーーー!? イヤよそんなコソ泥みたいなマネー!」

ぐだ男「普通のコソ泥は飛行機盗んだりしねーよ。後でちゃんと返す計画もキッチリ立てとけよ、BB」

マシュBB「それはもちろん!」

ぐだ男「……」

ぐだ男「いや。もう、いいや。BB。頼みがある」

マシュBB「ん?」







ぐだ男「俺もその飛行機に乗せて行ってくれ」

マシュ「……え」

ぐだ男「ちょうどいいや。この際、一緒に帰ろう」

マシュ「……」

マシュBB「いいんですか? あと一日、休みが残ってますけど」

ぐだ男「いい。もう充分楽しんださ」

デオン「……マスター……」

488: 2017/09/30(土) 15:25:40.62 ID:O+xFKZqK0
トルフォ「帰っちゃうの?」ドロォッ!

ぐだ男「おぎゃ!?」ガビーンッ!

トルフォ「残念だなー。キミとはもうちょっと話したかったんだけど」

デオン「……何故コイツはケチャップ塗れなんだ?」

ぐだ男「色々と事情があって……ていうかもう拭いてもいいんだよ! ビックリするわ!」

トルフォ「あのさー。本当に手柄は全部ボクが貰っちゃっていいの?」

トルフォ「魔術の秘匿的な問題で、まあ確かにサーヴァントのことに関しては隠さないとだけど」

トルフォ「せめてキミだけは代表として勲章くらいは受け取っておくべきじゃない?」

ぐだ男「……俺たちは正義の味方じゃない」

ぐだ男「いやまあ、正義の味方そのものとか、正義の味方志望とかは俺たちの仲間にはいるけどさ」

ぐだ男「俺たちは人理の礎、カルデアだ。人類史を守ることが使命であって、人類のゴタゴタに関わるのは専門外なんだよ」

ぐだ男「だから別にいいんだ」

トルフォ「ふぅん。そっか……」

トルフォ「……楽しかったよ、カルデアのマスター。キミのことは忘れない」

ぐだ男「うん」

489: 2017/09/30(土) 15:36:19.49 ID:O+xFKZqK0
ぐだ男「じゃ、BB。帰るぞ」

マシュ「本当にこれでいいのですか、マスター」

マシュ「せっかくの故郷への帰還だったのに。そのほとんどの時間を私たちのために潰してしまっていたのに」

ぐだ男「……」ワッシワッシ

マシュ「わ! 頭を急に撫でないでください! わ、わ……!」

ぐだ男「いいんだよ。カルデアだって俺の故郷だ」

ぐだ男「……っと、そうだ。アストルフォ、最後の頼みなんだが」

ポイッ

ぐだ男「それ、俺のお母さんに返しておいてくれ。住所はまあ、後でBBに電話させて教えるからさ」

トルフォ「はいはーい」

マシュ(……カルデアも故郷、か)

BB(嬉しいです? 彼の過去を上書きして)

BB(第一の故郷を蔑ろにさせて)

マシュ(……BBさん。私たちはもっとポジティブに物事を考えてもいいと思うのです)

マシュ(自分たちよりもっと大切なものがあるはずだ。そっちを優先させた方がきっと彼のためになる)

マシュ(そう考えるのはわかります。でも私たちだって、彼のことを大事に思って、思われて……)

マシュ(……きっとそれでいいんです)

BB(……まだ全部を納得できたわけではありませんが)

BB(もっとポジティブに、ですか)

BB(……そうですね。きっと、多少はズルくなってもいいでしょう)

BB(あなたも、私も)

490: 2017/09/30(土) 15:40:49.82 ID:O+xFKZqK0
トルフォ「……ふー。行っちゃった。もうちょっと強欲でも合格ラインを突破してたのは変わらなかったのにさー」

トルフォ「よし。国に帰ったらあの裏金を右から左に動かして、こっそりカルデアを支援しよう!」

トルフォ「こういうときのために用意した裏金だしねー! ふんふーん!」


裏金は普通に実在してた。
そしてこの裏金のお陰で資金不足は多少改善された。めでたしめでたし

491: 2017/09/30(土) 15:49:07.45 ID:O+xFKZqK0
マシュBB「どうせ盗むんならデカい飛行機の方がいいでしょう! というわけで、これ一機全部貸し切りますよ!」

ぐだ男「ジャンボすぎる!」ガビーンッ!

ジャック「ビジネス! ビジネス席座っても大丈夫!?」キラキラキラ

エリザ「きゃっほーーーう! 一番乗りよー!」

デオン「……」ソワソワ

茨木「別に一緒になってはしゃいでも構わんと思うが。どうせこの場にいるヤツらは汝の本性知っておるしな?」

デオン「む、むう……! しかし……」

ぐだ男「行こう。デオン」

デオン「……」

デオン「ああ! そうだな! 後でマリー様には言わないでくれよ!」

デオン「無駄に席を倒して思いっきり寝転ぶぞーーー!」ダッ

マシュBB「それでは、全員が乗り込み次第すぐにでも出発しますよー! 時間ないですしー!」

492: 2017/09/30(土) 15:56:46.76 ID:O+xFKZqK0
マシュBB「……自動操縦装置をハッキング。その他、管制システムの方も乗っ取り成功」

マシュBB「行けます。それでは、快適な空の旅をお楽しみください」

ジャック「……CAとかがいないから食べ物の調達は全部自分たちでやんないと、だね」

エリザ「ビジネス席に座っても従業員がいないのなら寒々しいわね……」

デオン「席の間隔! 席の間隔が広いぞ! 凄い席を倒せる!」キラキラキラ

茨木「デオンを見習え二人とも。涙が出てきそうなレベルの喜びようだぞ」

ぐだ男「……」

ぐだ男(……次に帰れるのはいつになるかな)

ぐだ男(ま、いつでもいいか。故郷が二つあるっていうのはきっと、幸せなことだしな)




キィィィィン……!

493: 2017/09/30(土) 16:01:15.97 ID:O+xFKZqK0
ザザッ……ザザザザッ……!



ぐだ男「……んん……ハッ! 夢か!」

ぐだ男「……ん? どんな夢見てたっけな。なんか南国風で黄色い服着た褐色の女の子が出てきたような気がするけど……」

ぐだ男「静かだなー。みんなこの飛行機のあっちゃこっちゃをまだ探索してんのかなー」

ぐだ男「……BBはコクピットかな?」スクッ


スタスタスタ

494: 2017/09/30(土) 16:11:44.74 ID:O+xFKZqK0
コクピット

マシュBB「……特に異常はなし、と」

マシュBB「時差含めた計算をすると、向こうに着くときには昼でしょうか」

マシュBB「時差ボケ緩和のために寝ておくべきでしょうか」


ガチャリンコ


ぐだ男「……よう。ここにいたか」

マシュBB「あ、センパイ。どうかしましたか?」

ぐだ男「いや、特に何か用があるってわけじゃないんだが……」

ぐだ男「……」

マシュBB「……」

ぐだ男「俺は幸せだぞ。マシュや、アイツらと一緒に人理を修復できて」

マシュBB「なんだ。釘を刺しにきたんですか。わざわざご苦労さまです」

ぐだ男「茶化すなって」

BB(余計なことをするなって言われるのかな。まあ慣れっこですけど)

BB(……ぶっちゃけわかってましたしね)

ぐだ男「ありがとな」

マシュBB「?」

ぐだ男「この旅行の全部、楽しかったよ。お前のお陰でさ」

ぐだ男「まあアレだ。俺の幸せの中にはさ。マシュやアイツらと人理を修復できた分ももちろんあるが」

ぐだ男「お前と出会えたことも含まれてるってことだ」

マシュBB「――!」

ぐだ男「そこら辺忘れるなよ。お前がどれだけ意地悪かは知っているが、それでもさ……」

ぐだ男「感謝はしてる。心の底からな」

マシュBB「……」

495: 2017/09/30(土) 16:26:11.55 ID:O+xFKZqK0
マシュBB「……カルデアも故郷、と言いましたね?」

ぐだ男「おう」

マシュBB「……いいんですか、それで。あそこには意地悪で小悪魔な私もいるんですよ」

マシュBB「訂正なんて認めませんよ。私、調子に乗っちゃいますよ?」

ぐだ男「あんまり調子に乗られるのは困るが……」

ぐだ男「あそこが俺の故郷って言葉を訂正する気はないよ」

ぐだ男「お前も俺の大事な仲間だ。BB」

マシュBB「ふ、ふふ……ふふふふふふ……!」

マシュBB「……あ、ダメ。ちょっと……笑いすぎて涙が……」

マシュBB「ふふふふふ……!」

マシュBB「……う、う……っ!」

ぐだ男「……」

ぐだ男(単純な話だったんじゃないのか)

ぐだ男(コイツは俺に氏なれたり、俺に捨てられたりするのが怖かったんじゃないか)

ぐだ男(いや……あるいは、俺が俺のサーヴァントたちに愛想をつかす瞬間を見たくなかったんじゃないか)

ぐだ男(だからそうなる前に自分から捨てられてしまえばいいって考えたんじゃないのか)

ぐだ男(嫌われる前に嫌われてしまおう、みたいな心理自体はありがちだ。誰にだってある)

ぐだ男(殺される前に自分で氏を選ぶ人間のように、理由がすべて自分にあるのなら、まだ納得できるから)

ぐだ男(納得できる事柄である限りは、自分を慰めることは容易だから)

496: 2017/09/30(土) 16:38:41.79 ID:O+xFKZqK0
ぐだ男(……コイツの好きな人っていうのが俺だったらよかったのになぁ)

ぐだ男(それなら迷わずに抱き寄せて、もっと強引に大丈夫だって言えたのに)

ぐだ男(……ない物ねだりだな。俺はもうこれ以上は何もできん)

ぐだ男「……外出てる。笑い終わったら呼べよ、BB」

マシュBB「待って」

ぐだ男「……?」

マシュBB「……その……」


ギュッ


マシュBB「……服の裾を掴むくらいなら、構わないですよね?」

ぐだ男「好きにしろ。そのくらいならお安い御用だ」

マシュBB「もうちょっと傍にいてください。この程度なら……まだ私たちはただの友人ですから」

ぐだ男「そうだな。俺じゃどうあってもお前の特別になれん」

マシュBB「……それでも好きですよ。私の一番好きな人の次に。ある程度は、ね」

ぐだ男(あー、くそ。何が悲しくて『他に好きな人がいますので宣言』を間近で聞かなければならないんだ)

BB(……ちょっと元気出てきました。センパイのその複雑そうな、不器用な対応を見てると本当に……)

マシュ(愛しいですか?)

BB(……)

BB(まさか、ですよ)

497: 2017/09/30(土) 16:39:50.87 ID:O+xFKZqK0
休憩します!

498: 2017/09/30(土) 18:08:37.07 ID:O+xFKZqK0
数時間後 カルデア

BB「さぁて。後は……」

BB「……巌窟王さん、どうやって呼び戻そう」

イシュタル「未だに脱出の糸口が見つからないものね」

ナーサリー「ただ誰一人として未だに欠けていないのは凄いと思うのだわ。そこら辺だけは褒めていいと思うの」

BB「んんー? いや待って。外の世界の真実をやっとのこと見つけたみたいよ?」

イシュタル「あー? でもコレって……アレよね。ピカッと光って記憶をアレするアレ……」

BB「……っと。そろそろですね。席外しまーす!」

イシュタル「はいはーい! こっちはこっちで任せといてー!」

499: 2017/09/30(土) 18:14:47.19 ID:O+xFKZqK0
同時刻 飛行機内

ぐだ男「カルデアの上空に辿り着いたのはいいが、滑走路なんてモンはあそこにはないぞ」

エリザ「どうやって降りる気? パラシュート?」

マシュBB「え? いや、どうって……決まってるじゃないですか」

マシュBB「普通に飛び降りますよ。生身で」

ぐだ男「え」

マシュBB「それじゃあ、ドアを開けまーす。気圧差で外にすべて吹っ飛ぶのでご注意くださーい!」

マシュBB「これにて、旅行は終了です! お疲れさまでした」ニカッ

ぐだ男「ま、待て。冗談だよな? 冗談だと言ってくれ」

デオン「マスター。大変言いにくいことだが、コイツは狂ったことこそ素面で言う」

ジャック「大体嘘は吐いてないよね。こういうとき」



ポチッ

ビュオオオオオオオッ!


ぐだ男「ぎゃああああああああ……」ヒューッ

茨木「魔酒は任せろ。エリザはマスターを」

エリザ「了解。任せなさい」バサッ

デオン「じゃ、私は一足先に落ちていくよ。後は任せた」

500: 2017/09/30(土) 18:18:08.98 ID:O+xFKZqK0
ぐだ男「あああああああ……あぐっ!」ガシッ

エリザ「大丈夫ー? このまま滑空してカルデアに降りていくわよー」

ぐだ男「……おお。ありがとうエリザ」

ぐだ男「……今日は晴れてるなー。珍しい」

エリザ「いつもはパッとしない曇り空か、さもなくば吹雪ですものね」

エリザ「綺麗だわ」

ぐだ男「ああ」

ぐだ男「……そういえばマシュは?」

エリザ「茨木がどうにかしてるわ。鬼種の魔って魔力放出みたいなことできるんでしょ?」

ぐだ男「マシュの身が心配だなぁ……」

501: 2017/09/30(土) 18:34:02.25 ID:O+xFKZqK0
ぐだ男(こうして俺たちの奇妙で賑やかしい旅は終わった)

ぐだ男(BBの気遣いやらなにやらのせいで無駄に引っ掻き回されたことは事実だが、あんまり責める気にはなれない)

ぐだ男(実際にかなり楽しかったからだ)

ぐだ男「……あー……空を飛ぶって気持ちいいー……」

ぐだ男(さて。どうやって言い訳しようか。まあBBが怒られることは確定だが)

ぐだ男(……庇うとか、ある程度はこっちで泥を被るとか言ったしな。力は尽くそう)

ぐだ男(滑空している途中、空中で茨木に抱え上げられるマシュを見た)

ぐだ男「あれは……なんだ?」

エリザ「マシュの体が光ってるわね」

エリザ「なんか、大事なものが出て行ってるような……」

エリザ「……ああ、やっとマシュの体からBBが出て行ったのね」

ぐだ男「……なるほどな」

ぐだ男(お疲れ様。BB)

502: 2017/09/30(土) 18:45:56.48 ID:O+xFKZqK0
マシュ「……ちょっと寂しい気もしますね」

茨木「まったく。今まで散々振り回されてきたであろう。その感想は人が好すぎるというものだ」

マシュ「ただ意地悪なだけな人じゃないと身に染みてわかりましたので」

茨木「酔狂よなあ」

茨木「ところで、門はどの方角に行けばいいのだ?」

マシュ「九時の方向。ただエリザさんと衝突しないように気を付けてください」

茨木「心得た」

茨木「……楽しかったぞ。魔酒」

マシュ「私もです」

503: 2017/09/30(土) 18:51:28.62 ID:O+xFKZqK0
ゲート前

ジャック「あ。遅いよー、みんなー!」

デオン「私たちが速すぎただけだがな?」

ぐだ男「はー……戻ってきたな。カルデア。なんかもう懐かしい」

マシュ「ふふっ。そうですね。これだけ長くカルデアを離れたのは、もういつぶりでしょうか」

エリザ「ああ、レイシフトとかしてたものね。むかしも結構な頻度でカルデアから離れてたかしら」

茨木「さて。それじゃあ、元気よくぶちかますぞ?」

ぐだ男「おう! それじゃあ!」

ぐだ男「ジャック。そこのインターホンを鳴らしてくれ」

ジャック「はーい」ピンポーン

504: 2017/09/30(土) 18:56:09.73 ID:O+xFKZqK0
ダヴィンチ「……さて。色々とヤンチャをしでかした件については、それなりに説教しようと思っていたのだけど」

ダヴィンチ「今日のところは見逃してあげようか。裏金……じゃなくて出所不明の献金が大量に入ってご機嫌だしね」

ダヴィンチ「はいはーい! 今ゲートを開けるよー!」


ポチリッ

バシュウウウウッ!


ぐだ男(俺たちは帰る)

ぐだ男(俺たちの故郷……カルデアへ)

ぐだ男(そして、ここから続けていくんだ)

ぐだ男(俺たちの旅は、まだ終わっていない……!)






現代悪童旅情 東京


旅行終了

505: 2017/09/30(土) 18:59:50.01 ID:O+xFKZqK0
虚構殺人遊戯 才囚学園


巌窟王「……おい。最原。ライターかマッチは持っているか?」フー

最原「やめたんじゃなかったっけ? アンジーさんがマネするからって」

巌窟王「今は吸ってないとやっていられん」

最原「……悪いんだけど、持ってないよ……」

巌窟王「……そうか……」

才囚学園生徒一同「……」ズーン

巌窟王「……全員酷い顔をしているな」

最原「それはそうだよ。だって、外の世界が、あんな……」

最原「……」ズーン

巌窟王「……」

巌窟王「帰れないかもしれんな。俺は」ズーン

506: 2017/09/30(土) 19:02:52.38 ID:O+xFKZqK0
カルデア

BB「ふいー。帰った帰った。私の人格もようやく一つに統合されましたし、本腰入れて巌窟王さんの脱出計画に取り掛かれますね!」

BB「みなさーん! BBちゃんが戻ってきましたよー!」キラキラキラ!

ナーサリー「……」ズーン

イシュタル「……」ズーン

BB「……え。なに? 粘菌でも生えそうなくらいジメッとした空気なんですけど……」

ナーサリー「残念。巌窟王の冒険は、ここで終わってしまったのだわ」

BB「は?」

イシュタル「あー……もうダメ。流石に女神にも限界あるっての……」ブツブツ

BB「え? え?」

BB「……あ、あれ? 巌窟王さんは?」

イシュタル&ナーサリー「もう戻ってこない」

BB「……」





BB「えっ」



NEXT


巌窟王「旅行先間違えた」 アンジー「神様ですか?」

507: 2017/09/30(土) 19:04:51.58 ID:O+xFKZqK0
これにて赤の章、現代悪童旅情『東京』は終了!

お疲れ様でしたー。HTML依頼出してきます

509: 2017/09/30(土) 19:37:07.21 ID:O+xFKZqK0
ちなみにSS内に出してて私が持っていないサーヴァントは主にケツァル……某ルチャの女神と巌窟王です。
こっちも氏ぬほど課金したんよ

510: 2017/09/30(土) 19:38:30.71 ID:O+xFKZqK0
ああ、いや他にもいたかもしれないけど割愛。

黒の章は後日! やる!

511: 2017/09/30(土) 19:58:55.88 ID:fxxEzL2Y0

引用: ぐだ男「おうち帰る」 マシュ「は?」