1: 2014/10/09(木) 20:54:02.73 ID:9h2z9wNM.net
希「と言っても何も考えてないんやけどね」

海未「希? 何か言いましたか?」

凛「海未ちゃん~、今日の練習はすっごく上手くいったし、午後はお休みにしようよ~」

海未「ううん・・・まぁそうですね。思っていたよりも三人の息があってましたし」

希「そやね。みんなのダンス、キレッキレやったで♪」

凛「やったぁ!! じゃあどこ行く!? 凛はラーメン屋さんが良い!!」

海未「ラーメンは昨日食べたでしょう・・・」

希「うちはスピリチュアルなとこ行きたい!!!」

海未凛「「すぴりちゅある??」」

希「ご、ごめん・・・ノリで言ってみただけなん」カアア

海未「いいじゃないですか。今日はそれにしましょう」

2: 2014/10/09(木) 20:58:11.43 ID:zR+i4W5I.net
凛「でもスピリチュアルなところって?」

希「ん~、そうやねぇ・・・」

海未「まずは神田明神が思い浮かびますが・・・」

凛「じゃあお参りに行こうよっ!!」

希「な、なんかごめんな。付き合ってもろて・・・」テクテク

海未「いつも練習で使わせてもらっていますから、ご挨拶したいと思っていたところです」テクテク

凛「凛も今度のライブが上手くいきますよーにって、お願いしたかったにゃ」テクテク

希「それならよかった。・・・ところで最近、この男坂って人多いなぁ」

海未「元から観光客の人は多かったですが・・・」

凛「なんか同年代の人が増えた気がするよね~」

希「まぁ、参拝客が増えるのは良いことやんな、きっと・・・」テクテク

4: 2014/10/09(木) 21:02:57.91 ID:zR+i4W5I.net
凛「とうちゃくー!」

海未「いつ来ても、ここの空気は良いですね」

希「何か感じるん?」

凛「街の中だけど、ここだけ空気が綺麗な気がするにゃ」

海未「この一画は特に静かですしね」

希「そっか・・・ふふ♪」

凛「みてみて、かわいい絵馬がたくさんあるよ!」

海未「わぁ、絵を書いている人が多いんですね。色付きの物もたくさんあります」

おばあちゃん観光客たち「ライブ・・・? UR・・・? なんか同じお願いばっかりね・・・」

凛「凛たちも書いていこうよ!!」

海未「そうですね。お参りが終わったら書きましょうか」

希「じゃあ拝殿にいこか」テクテク

6: 2014/10/09(木) 21:06:16.11 ID:zR+i4W5I.net
海未「さて、参拝もできましたし」

希「かわいい絵馬も書いたし」

凛「おなかがすいたにゃ」

海未「え・・・」

希「じゃあ、そこで甘酒でも飲んでく?」

凛「いこー!!」ダダダッ


店員さん「はい、甘酒みっつ」

希「このしょうがの粉がちょっと好きなんよ」サッサッ

凛「ふぅーっ、ふぅーっ ・・・ずずっ、あっつ!」

海未「うーん、素朴な味がします」

希「市販の味とはまた違って、お米の味やんな」

凛「お米・・・かよちん・・・」

海未「もう禁断症状が出てきたのですか?」

7: 2014/10/09(木) 21:09:57.56 ID:zR+i4W5I.net
客「」ガラッ

店員さん「いらっしゃいませ」

客「あれっ、希ちゃん?」

希「A子ちゃん! こんにちは♪」

海未「希、この方は?」

希「クラスメイトのA子ちゃんや。こっちは・・・」

A子「μ’sの海未ちゃんと凛ちゃん。学院で知らない人はいないわよ。会えてうれしいわ♪」

凛「よ、よろしくお願いします」ペコリ

A子「きゃあ、やっぱりかわいい!! 今日は練習で神田明神に来たの?」

希「まぁ、そんな感じや」

海未「今は練習も終わって、すぴりちゅあるを探しに来たのです」

A子「・・・あんた、教室の外でもそんなことやってるのね」

希「ちゃ、ちゃうねん」カアアッ

8: 2014/10/09(木) 21:14:23.93 ID:zR+i4W5I.net
A子「ちょうどいいわ。希ちゃんに相談したいことがあったんだけど」

希「また失せ物探しとか?」

A子「うん。でも、ちょっと違うわ。実は最近、美術部の部室で物がなくなるの・・・」

海未「えっ・・・!?」

凛「ど、どろぼうさん・・・?」

A子「分からないわ。でも消えるのは、お菓子だけなの。それも毎日」

希「・・・人が盗んでいるとは、考えていないということ?」

A子「部室の鍵は先生が持っているし、鍵を開けるときは、複数の部員も一緒にいるわ」

海未「しかし、先生が勝手に入ってお菓子を盗んでるとは考えにくいですし・・・」

凛「部員なら部活中に食べられるから、毎日隠れて盗る必要がないよね・・・」

希「つまり、密室に、外部の者が侵入しているということやね」カード ピラッ

希「わかった。この件、引き受けましょう」

海未凛「「ええ~っ!?!?」」

12: 2014/10/09(木) 21:24:49.49 ID:zR+i4W5I.net
希「大丈夫。この件、大事にはならんよって、カードが告げとるん」

海未「で、でも、希のことが心配です!!」

凛「凛たちも付いて行くにゃ! 安全なのなら、いいでしょ?」

海未「そうですよ! 一人でなんて、絶対行かせませんよ?」

希「二人とも・・・」カード ピラッ

希「・・・分かった。一緒に調べてくれる?」ニコッ

凛「やったぁ! 凛、がんばるよ!」

海未「任せてくださいっ!」

A子「・・・ふふ、あんた達、本当に良いグループね♪」

A子「それじゃ、よろしく頼むわね。必要なことがあったら、いつでも連絡して」スクッ スタスタ ゴチソウサマデシター

13: 2014/10/09(木) 21:25:48.67 ID:zR+i4W5I.net
店員さん「はい、甘酒まんじゅうとお茶です」

凛「えっ・・・?」

店員さん「さっきの子が、三人にって。甘酒のお金もいただいてます」

海未「気を遣わせてしまったでしょうか・・・」

希「まぁ、ここはありがたくいただいとこか」

凛「そうだよ♪ いただきまーす!」モグモグ

海未「凛ったら・・・。ところで希、犯人の見当は付いているのですか?」

希「いんや、まったく」モグモグ

海未「さっきの意味ありげなカードは何だったのですか・・・」

希「ふふふ。凛ちゃんは、どう思うかな?」

凛「美術部の部室は4階だから、外からは無理だよ。ドアの鍵を開けて入るしかなくない?」

海未「顧問の先生が怪しいというのですか? 私にはどうもその線は考えられません」

凛「ん~~、他にも秘密の合鍵があるとか、針金でチョチョイっと出来る人がいるとか・・・」

海未「なるほど。鍵は知られている一つではないと言うのですね」

14: 2014/10/09(木) 21:36:20.06 ID:zR+i4W5I.net
希「海未ちゃんはどう思う?」

海未「私は小動物の可能性を考えます」

凛「猫さんとか、ねずみさんとか?」

海未「はい。換気用のダクトで各教室は繋がっていますから、彼らにとっては密室とは言えない状況です」

凛「でもそういうのが入らないように、換気口は蓋がしてあるはずじゃない?」

海未「ムム。それなら、例の部室は画材やら石膏像やら、よく分からないもので溢れかえっていますよね」

海未「その陰に隠れて見つからないよう穴が、壁に開いてしまっているのかもしれませんよ?」

凛「たしかに、あの部室には、ねずみさんの隠れる場所はいくらでもあるよね」

希「・・・もしも。もしもやで。犯人が恐ろしい、例の・・・」

海未凛「っ・・・」ゴクリ・・・

希「・・・Gの付く虫さんだったとしたら、海未ちゃん、うちのこと守ってくれる?」

海未「おおおおお恐ろしいことを言わないでくださいっ!!!」

凛「なんなんだにゃ希ちゃんはっ!? 希ちゃんは一体誰が犯人だと思ってるの??」

15: 2014/10/09(木) 21:45:15.90 ID:zR+i4W5I.net
希「そうやねぇ、うちの考えは・・・」

希「お菓子に羽が生えて、飛んでってしまったのかもしれんよ? 食べられたくない~~って」

凛「えっ、お菓子に羽・・・?」

海未「・・・希っ! ふざけるのもいい加減にしてください!」

希「ごめんごめん♪ そこまでふざけたつもりやなかったんやけど」

希「そんなら明日、美術部の部室に行ってみる?」

希「もしかしたらピッキングの痕とか、ネズミの入る穴が見つかるかもしれんし」

海未「そうですね。百聞は一見にしかず、です」

凛「明日は日曜日だし、練習は今日みたいに頑張って午前中に終わらせちゃおう!!」

希「ふふ、凛ちゃん、やる気まんまんやね♪」

16: 2014/10/09(木) 21:46:11.14 ID:zR+i4W5I.net
ゴチソウサマデシター

アリガトウゴザイマシター

凛「えへへ。明日、楽しみだな~~。リリホワ不思議探偵団だよっ!」テクテク

海未「なんですかそれは・・・」テクテク

凛「海未ちゃん風に言うと、リリホワ・スピリチュアルアロー・ハンターだよっ!!」ダダッ

海未「待ちなさい凛っ!! それのどこが私風なんですかっ!!! 」ダダダッ

希「ありゃりゃ、乗り遅れてもうた」ポツーン テクテク

希「ふふ、うちも明日、楽しみやなぁ・・・」

希「・・・二人とも、ありがとな」

17: 2014/10/09(木) 21:56:54.50 ID:zR+i4W5I.net
~翌日~

希「なんやあっさり、鍵貸してもらえたなぁ・・・」テクテク

海未「これも人徳というものです」

凛「海未ちゃんは先生から絶大な信頼を得てるんだね・・・?」

海未「生徒会の雑用で職員室にはよく行きますからね。自然と顔が利くようになるんです」ドヤァ


海未「さ、着きましたよ」

希「美術準備室・・・実質は美術部の部室というわけやね」

海未「ええ。普段は鍵が掛かっており、授業中に生徒が立ち入ることはないそうです」

希「たしかに、うちらもここに入ったことがあるのは、部活の時間だけやね」


凛「ん~~、でも、鍵穴に不自然な傷跡は無いみたい。ピッキングなら相当の腕だけど・・・」

希「それが分かる凛ちゃんは何者や・・・」

凛「・・・かよちんの物は、凛の物なんだにゃ?」

海未「凛・・・あなた・・・」ゾッ

凛「海未ちゃんだって、凛のこと言えないでしょ?」

海未「穂乃果は鍵を掛けるということをしませんから。私も開ける必要がありません」

希「えっ、リリホワって・・・大丈夫なん? ・・・大丈夫なん!?」カタカタ

20: 2014/10/09(木) 22:04:24.47 ID:zR+i4W5I.net
海未「ふふふ、冗談ですよ。いつも希にからかわれてる仕返しです♪」

凛「そうにゃそうにゃ♪♪」

希「もぉお~!! 二人とも、迫真の演技やったよ・・・。じゃあ、入ろか」ガチャリ ガラッ


凛「うわ~~・・・いつ来ても、ここはとんでもない物の量だね~~・・・」スタスタ

海未「これは思った以上に大変そうですね・・・。壁の穴を見つけるというのは、難しいかもしれません」

希「物をどかそうにも、どかす先がないやんな・・・」テクテク


凛「窓は一個だね。でもやっぱり、外から入れる高さじゃないよ。足場も無いし・・・」

凛「あっ、換気口、みつけたよ!」


海未「他の教室と同じ、スリットの付いた蓋がネジ留めされていますね。これでは鼠は入れませんか」

希「そうやねぇ・・・ん?」

海未「希、なにか見つけましたか?」

希「いや、この蓋、最近開いたような跡が・・・」

21: 2014/10/09(木) 22:14:27.39 ID:zR+i4W5I.net
凛「え!? ホントだ・・・。壁と蓋の間の塗装が切れてるし、というか、周りの床に少し砂が・・・?」

海未「・・・こんな部屋ではありますが、掃除は平日に毎日行われているはずです」

希「お菓子は毎日消えとる・・・。昨日から今までの間にも、ここが開いたのかもしれない・・・?」


海未「で、でも、待ってください!! 一体どんな鼠が、ネジを4つも外して蓋を開けられるんです!?」

凛「素手でこのネジを開けるのは無理だよ・・・道具を使えるほど、ねずみさんは器用でお利口かな?」

希「万が一、本当のネズミが開けたとして、わざわざ蓋を閉めていくやろうか・・・」


海未「・・・穴の直径は15センチ程度。お菓子ならここを通ることは可能かもしれません」

凛「ま、まさか、海未ちゃんまでお菓子が自分で歩いてったなんて言わないよね・・・?」

海未「まさか。それよりは、まだ鼠の可能性を信じます。しかし、それも有り得ないことです」

海未「ただ、何らかの方法でこの穴を利用し、お菓子を盗むことはできるかもしれないということです」

23: 2014/10/09(木) 22:24:10.95 ID:zR+i4W5I.net
希「・・・」

凛「希ちゃん?」

希「・・・もう少し、手がかりを探してみよ? 他にも何かあるかもしれんし」

凛「そうだね。でも、この狭い部屋にこれ以上なにかあるかと言うと・・・」

海未「元から、教室の半分の広さしかない部屋ですしね」

希「これだけ物があると、あまり動きまわれない、か」


海未「正直、困りました・・・」

海未「ドアにしろ換気口にしろ、使用されたのを否定する証拠も、確実に肯定する証拠もありません」

海未「物陰にある鼠の穴など、ちゃんと探すなら大がかりな掃除が必要になるでしょう」

凛「具体的な方法は分からないけど、状況的にはどれも可能だよね。やっぱり捜査って難しい・・・」

24: 2014/10/09(木) 22:25:06.81 ID:zR+i4W5I.net
凛「捜査、か・・・。ねぇ、張り込みしてみない?」

希海未「「ええっ!?」」

凛「お菓子は毎日なくなるんでしょ? ここで待ってたら、犯人が現れるかもよ?」

海未「で、でも、危険ではありませんか?」

希「だめ!!! 二人にもしものことがあったら、私・・・」

海未「希、落ち着いて・・・」


凛「・・・大丈夫。三人で隠れてればいいんだよ。もし犯人が来ても、見てるだけで何もしない」

凛「それならいいでしょ?」

25: 2014/10/09(木) 22:36:11.49 ID:zR+i4W5I.net
希「だめだよ・・・何が起こるか、分からないんだよ・・・?」

海未「・・・しかし、この方法が上手くいけば、一気に事態を解決できます」

希「海未ちゃんまで!」

海未「希、現状あまり良い手がないのは事実です。今日数時間だけ、暗くなるまでの間だけです」


凛「希ちゃん、この件は大事にはならないって言ってたよね。だから凛は、安心してるんだ♪」

凛「それに、この学院にそんなに悪い人がいるとは思えないよ。ね、お願い・・・」ギュッ

海未「希、私も同じ気持ちです。お願いします・・・」ギュッ


海未「それに、あなたは初めから気付いていたのでしょう? 犯人は一般的な窃盗犯ではありません」

海未「この部室には、お菓子よりも価値のある物は、いくらでもあるからです」ソコノキンコヤアイポッドナドデス

海未「お金が目当ての犯人であれば、毎日危険を犯してお菓子だけを盗むはずがない」

26: 2014/10/09(木) 22:37:07.32 ID:zR+i4W5I.net
希「・・・。はぁ・・・分かった。でも、暗くなってきたら終わりやで」

海未「希!」

希「それに、何があっても絶対に犯人に見つからないようにすること。ええな?」

凛「うん!! ありがと、希ちゃん!」


凛「凛ね~~、このロッカーなら三人くらい入れるなって思ってたんだ♪」ガチャ

希「うお、紙やら資料やらぎっしりやんな・・・」

海未「ふむ・・・美術部には悪いですが、中身はこちらの机に出してしまいましょう」

凛「よ~し、手分けしてやろう!」

27: 2014/10/09(木) 22:51:23.85 ID:zR+i4W5I.net
希「ふう~~、結構時間かかったな・・・これ、ちゃんと戻してから帰らんとあかんよ?」

海未「分かっています。明るいうちに、ちゃんと戻してから帰りましょう」

凛「うへぇ、またあれを・・・それじゃあ早速、入ろう?」ギシッ

希「ふふ、なんだかワクワクするやんな♪」ギシッ

海未「あれだけ心配していた人が言うセリフですか・・・」ギシッ


凛「じゃあ扉、閉めるね」キイイ~ パフンッ!

希「あうっ!」ビクッ

海未「えっ・・・?」

希「ご、ごめ、うちの・・・」

28: 2014/10/09(木) 22:53:08.56 ID:zR+i4W5I.net
凛「・・・希ちゃんのおっOいが邪魔で、扉が閉まらないんだぁああ!!!」パフンッ!パフンッ!パフンッ!

希「あんっ! あうっ、やめっ・・・!!」

海未「くっ・・・気持ちは分かりますが凛、落ち着きなさい」ゴソゴソ


希「ちょ、海未ちゃんまで何して・・・んんっ!!」

海未「仕方が無いでしょう・・・あなたのおっOいを横に寄せて、奥行きを減らすのです」グイッグイッ

希「で、でも目が怖っ・・・うあっ!」

凛「全く希ちゃんは仕方ないなぁ・・・何で捜査におっOいなんか持って来たんだよ・・・」グイッグイッ

(中略)アンッ! アアッ!

海未「よし、これで閉まるでしょう。凛」

凛「うん」キイイ~ ガチャン!

30: 2014/10/09(木) 23:03:55.49 ID:zR+i4W5I.net
海未「ふふ、よく頑張りましたね、希・・・」ギシッ

希「ハァ、ハァ・・・二人とも、ここを出たらワシワシMAXやからな・・・覚えとれよ・・・」

凛「希ちゃんがふざけておっOいなんか膨らませてるから悪いんだよ? 凛たちを見習いなよ」ツーン

希「オドリャア、そんな言い訳が通じると思うとんのかいコラァワレェ!! ええか、」キシッ・・・

海未「!!」

海未(待って! 希!!)

希凛(!?)


海未(か、換気口です!!! ・・・まさか、本当に・・・!?)

ネジ1「」キュルキュルキュル・・・ カランッ!

希海未凛「っ!!」ビビクッ

凛(ううう嘘・・・! 何かが、ネジを外してる!!?)

ネジ2「」キュルキュルキュル・・・ カランッ!

31: 2014/10/09(木) 23:08:00.12 ID:zR+i4W5I.net
海未(た、確かにダクトの中に何かいます!!!)

海未(スリットから手を伸ばして、ネジを外しているんです・・・!!)


ネジ3ネジ4「「」」キュルキュルキュルキュルキュル・・・ カランッ! コロン!

希海未凛「・・・ごくっ」ドキドキドキ・・・





蓋「」ガランッ!! ドサッ・・・


凛「っ・・・うっ・・・!」ビクビクビク!

希(凛ちゃん・・・)ギュッ

海未(・・・何が、出て来る・・・!?)キッ


?「」スタッ


希海未凛「!?!?!?」

35: 2014/10/09(木) 23:24:51.28 ID:zR+i4W5I.net
小人1「みゃー」トコトコ

小人2「にゃー」トコトコ


希(・・・海未ちゃん、あれが見える?)

海未(見えます・・・が、あれは・・・?)

凛(妖精さん、だ・・・)


小人3「みゃー」トコトコ

小人4「にゃー」トコトコ


凛(あ、あいつら、絵を勝手に描き進めてるよ!!?)

海未(えっ、ま、まさか・・・!?)

希(すごいスピードや・・・10秒くらいで建物ひとつ描き切りよった・・・)

36: 2014/10/09(木) 23:25:32.93 ID:zR+i4W5I.net
小人5「みゃー」トコトコ ゴソゴソ

小人6「にゃー」トコトコ ゴソゴソ


海未(お、お菓子も確かに、持って行きましたっ・・・!)

凛(ちょっと部屋の片付けとかもしてない・・・?)

希(・・・)


小人7「みゃー」トコトコ クルッ! ジイイーッ・・・


希「!! しまっ・・・た」

海未「希・・・」

凛「・・・いま、目が合ったね」


小人たち「にゃー」サアアアッ


蓋「」ガチャン!

ネジ「」キュルルルルル ピタッ

38: 2014/10/09(木) 23:35:12.51 ID:zR+i4W5I.net
希海未凛「・・・」ガチャ キイイイ~ スタスタ


凛「・・・凛、子供の頃に童話で読んだことがあるよ。あれはコロボックルだよ」

海未「ころぼっくる・・・?」

希「・・・アイヌ民族に伝わる小人の妖精や。たしか童話のシリーズが昔に流行ったんよ」


海未「・・・私には、座敷童のように見えました」

海未「彼らは、見様によっては人に益のあることもしていましたから・・・」

希「・・・」


凛「希ちゃんは、どう思うの・・・?」

希「分からん・・・いま二人が挙げたものは、同じものなのかもしれん・・・」

希「・・・とにかく言えるんは、もうあの子達は現れないやろうってことだけや」

海未「たしかに・・・」

凛「そんな気がするね・・・」

39: 2014/10/10(金) 00:06:15.02 ID:QXvPyj03.net
希「・・・ひとまず、ロッカーの中身戻して、鍵を先生に返そか」テクテクテク

海未「ええ・・・」

凛「うん・・・」


~帰り道~

希「A子ちゃんには、お菓子は先生が片付けたって言うておくわ」

希「美術部には悪いけど、先生からもお菓子は持ち込むなって言うてもらう」

凛「うん・・・」

海未「そうですね。本来お菓子は学校に持ち込み禁止ですから」


凛「ねぇ希ちゃん、がっかりしてる・・・?」

希「え・・・?」

海未「先程から、元気がありませんよ」

希「・・・うん。そうかも」

40: 2014/10/10(金) 00:09:04.15 ID:rT0YOK2n.net
希「うちな、小さい頃はあの子らとよく遊んどったんよ」

凛「えぇえええ!?」

海未「・・・希なら、有り得る話かもしれません」

希「・・・ふふ。でもな、その内にああいう子たちが見えんようになってしまって」

希「今日は数年ぶりの再会だったってわけや。でもすっかり、嫌われてしもうとったな・・・あはは」


凛「そんなこと、ないんじゃない?」

凛「・・・希ちゃんが嫌われるはず、ないよ!!! だって、凛は希ちゃんのこと大好きだもん・・・!!」

海未「凛・・・。 希、あなた、年上なんですからしっかりしてください!」

海未「古今東西、大人になればああいったものは見えなくなると話が決まっています」

海未「彼らはきっと、あなたの為を思って姿を消したのでしょう。それはあなたのことが好きだからです」

凛「そうだよッ!! 凛たちがいるから、希ちゃんにはもう付いてなくて良いと思ったんだよッ!!!」グスッ

希「凛ちゃん・・・ありがと・・・ごめんな・・・」ギュッ

41: 2014/10/10(金) 00:09:47.98 ID:rT0YOK2n.net
希「海未ちゃんも、ありがとうな・・・。ウチ、ほんまどうかしとったわ・・・」ギュッ

海未「許しませんよ・・・彼らよりもずっと、私のほうがあなたを好きに決まっています・・・!」

海未「私はあなたのこと、離しませんよ・・・」ギュッ

凛「凛もだよッ!!!!」ギュッ


希「海未ちゃん、凛ちゃん・・・」ポロポロ

海未「・・・全く、しっかりしてと言っているのに」ポロポロ

凛「うええ~~ん!!!」ポロポロ グウウウ~~

凛「もうっ!!! 希ちゃんのせいでおなか鳴った!!! ラーメン食べに行くッ!!!」ポロポロ

海未「あはは、そうしましょっか」ポロポロ

希「うん・・・」ポロポロ

42: 2014/10/10(金) 00:10:31.35 ID:rT0YOK2n.net
希(その日に食べたラーメンの味は、しょっぱかったけど、これまでで一番おいしかった)

希(私はこれからも色んな物に出会ったり、失ったりするかもしれないけど)

希(このラーメンの味は、一生忘れないと思う)


おわり

57: 2014/10/11(土) 19:37:04.81 ID:iFgt2fyg.net
2-a. サンドイッチ


凛「希ちゃんっ、明日は練習お休みだよっ! すぴりちゅあるやらない??」ドシンッ!

希「うおっ! どうしたん、急に??」


海未「凛は先日の妖精を見て以来、すぴりちゅあるに目覚めたようですね」

凛「うん!! それに明日は、かよちんが遊んでくれないんだ~~・・・」

希「なんや~~、うちのモテ期が来たんかと思ったら、そういうことか」クスクス

凛「さみしい凛を、なぐさめて?」スリスリ


海未「かく言う私も、最近すぴりちゅあるに興味が湧いてきました。明日はご一緒しても?」

凛「もちろんっ!! 探偵団は三人一緒だよ!!」

希「ふふふ、うちの趣味を分かってくれる仲間ができて嬉しいわ~♪♪」


希「そんなら明日は、パワースポット巡りに行こか?」

凛「わーい!!」

58: 2014/10/11(土) 19:40:21.84 ID:iFgt2fyg.net
海未「その、ぱわーすぽっと、とは?」

凛「テレビでやってたよっ! 行くと運気が上がるって、OLの人とかに人気なんだって!!」

希「軽いブームみたいのんは、あるみたいやね。有名なとこは行列ができとるし・・・」


希「まぁ、運気が上がるとかはよく分からへんけど、行くと何となく、いい気分になれる場所かな?」

海未「ほう、それはいいですね。ストレスの多い社会人は、癒しを求めて集まるのかもしれません」


凛「それで、どこ行くっ!???」ガタンッ!ガタンッ!

海未「凛、少し落ち着きなさい・・・」


希「そやなぁ・・・。神社が二連続になってまうけど、明治神宮とかが、一番有名かな?」

海未「たしかに有名ですが、私は行ったことがありません。そこにしましょうか?」

凛「凛もないよ!! そうしよう!」

希「ふふ、それじゃあ明日、よろしくな♪」

59: 2014/10/11(土) 19:44:43.38 ID:iFgt2fyg.net
■明治神宮■

凛「わぁ~~、広い神社だねぇ。原宿のイメージと大違い!!」テクテク

海未「そうですね。背の高い木がズラッと並んでいますし、先ほどの喧騒が嘘のような静けさです」

希「駅前は相変わらず、土日はメチャ混みやんなぁ・・・」

凛「凛はいっつも竹下通りのほうに行っちゃうから、反対側がこうなってたなんて驚きだよ」


海未「見てください。この鳥居、こんなに大きいのに木で出来ていますよ?」

凛「すごい、ほんとに立派だね・・・えっ、この木、樹齢1500年だったんだって!?」

希「ほんま!? それは知らんかった・・・想像もつかん年月やね・・・」


?「・・・希ぃい!!」ダダダッ ダキッ


希「うおっ、え、えりちっ!? どないしたん、こんなところで!?」

絵里「ああ、すごいわ。こんな偶然・・・いや、これは運命ね。その服、すごく似合ってるわよ、希」

希「あ、ありがとう・・・?」

60: 2014/10/11(土) 19:46:45.58 ID:iFgt2fyg.net
にこ「・・・ちょっとぉ、こんな所で花園ごっこしないでくれる? 毎日会ってるのにさ・・・」スタスタ

真姫「絵里は目立つんだから、落ち着きなさいよね・・・」テクテク

海未「にこ! 真姫!」

凛「まきちゃ~~ん!!」ダキッ スリスリ チョッ、ヤメナサイヨッ!!


にこ「それにしても、まさか、あんたたちと会うなんてね~~」

海未「我々は、ぱわーすぽっと、というものを体験しに来たのです。あなたたちは?」

真姫「表参道と原宿で、服を見ていたの。三人ともセンスが違うから、いつも一日がかりよ・・・」

凛「それでも一緒に回るなんて、仲が良いんだにゃ~♪」ダキッ ダカラハナレナサイッテ!!

62: 2014/10/11(土) 19:51:47.55 ID:iFgt2fyg.net
希「・・・ん? にこっち、それ、随分大きなカメラ持っとるんやね」

にこ「あんたこそ、そんなデカい抱っこちゃんくっ付けて、平然としてんじゃないわよ・・・」

にこ「このカメラは、家の片付けをしてたら出てきたの。古いけど、道具としてはいい物なのよ」


にこ「昔、結構ハマったんだけど、すっかり忘れてたわ。懐かしくて、またやろうかと思ってね」

真姫「買い物の休憩がてら、被写体を探して歩いてきたってわけ」

絵里「希、あなたも今日の記念に、撮ってもらったらどう?」

にこ「何の記念よ・・・。でもこれだけ揃ってるんだから、是非みんなを撮らせてほしいわ」

凛「わーい! みんなで写真撮ろう!!」

海未「ええ。そういうことでしたら!」


真姫「・・・」

にこ「真姫ちゃん、どうかした?」

真姫「あ・・・。あのね、にこちゃん。今度、9人揃ったのを撮ってほしいの」

にこ「・・・ふふ。もっちろん、お安い御用にこっ☆」

63: 2014/10/11(土) 19:55:12.58 ID:iFgt2fyg.net
海未「ふふ、嵐のような一団でしたね・・・」

凛「BiBiはみんなキャラが濃いにゃあ・・・」

希「あはは、うちらも、なかなかのもんやと思うけどな♪」クスクス


凛「あっ、見て! 結婚式やってる!」

海未「白無垢ですね。とても綺麗です・・・」

希「和風の結婚式いうんも、厳かな雰囲気があっていいもんやねぇ・・・」

凛「海未ちゃんと希ちゃんは、和装も似合いそうだよね」


凛「あと、かよちんも絶対似合うなぁ・・・。あぁ~、きっと、とってもかわいいにゃあ~・・・」

海未「あ、それ言っちゃいます? それなら私も、ことりと穂乃果に着せたいですね」

凛「なんで二人なのっ!? それなら真姫ちゃんだって、凛のお嫁さんなんだからっ!!!」

希「おかしいおかしいおかしい!! え、リリホワって・・・大丈夫なん?・・・大丈夫なん!?」

64: 2014/10/11(土) 20:00:28.78 ID:iFgt2fyg.net
海未「ふふふ、冗談ですよ。いつも希にからかわれている仕返しです♪」

凛「そうにゃそうにゃ~♪♪」

希「もぉおっ! 二人とも、迫真の演技やったよ・・・。それじゃ、拝殿に行こ?」テクテク


海未「さて、参拝も終わりましたし」

希「きれいな花嫁さんも見れたし」

凛「おなかがすいたにゃ♪」

海未「え・・・」


希「・・・ふふふ。そう来ると思って、軽い食事を持ってきたんよっ!」ジャーン

凛「わぁああ!! やったぁあっ!!!」ピョーン

海未「まぁ。すみません希、気が回らなくて・・・。次は私も何か用意します」

希「ええんよ。うちがしたくてした事やから♪ ほな、代々木公園に行こか~」

海未凛「「は~い!!!」」

66: 2014/10/11(土) 20:05:01.21 ID:iFgt2fyg.net
■代々木公園■

海未「いつ来ても、ここは、何というか、自由ですよね・・・」

凛「ダンス、楽器、ボール、ジョギング、自転車、ドッグラン・・・」

希「サークル、家族連れ、観光客・・・国籍もいろいろやんな・・・」


希「お、あそこの人たち、μ’sのダンス踊っとる」

凛「最近結構いるよね~~ 凛たちも人気が出てきたにゃ♪」

海未「な、なんか恥ずかしいですっ! 早く行きましょう!!」


凛「あ、あそこのベンチが空いてるよ」

希「はい、二人ともコレ敷いてな」

海未「ありがとうございます」

67: 2014/10/11(土) 20:06:09.28 ID:iFgt2fyg.net
凛「わぁ、サンドイッチ!! かわいい~♪」

海未「こんなにいろいろな具材を作るのは、大変だったでしょうに」

希「ふふ、実は昨日、気付いたら帰りのスーパーで買うとったんよ」

希「今日は初めて、うちの趣味に友達が付き合ってくれるって考えたら・・・」

希「自分でも気付かないくらい、楽しみにしとったみたいなん。・・・はずかしいやんな!」ジタバタ


海未「・・・やっぱり、次回は私が作ってきます! 私も作りたくて、たまらないんですっ!!」

凛「それじゃあ凛は、その次の番だねっ!!」

希「えっ、二人とも・・・」

希「・・・うんっ! 楽しみにしてる!!!」


おわり (2-a.サンドイッチ)

68: 2014/10/11(土) 20:07:52.48 ID:iFgt2fyg.net
2-b. ナイト・クルージング


凛「あぁあ~~~、やっと終わったぁあ~~・・・」ガチャ

海未「凛!! どうだったのです!?」

花陽「ふふ、大丈夫だったよ。 凛ちゃん、がんばったね♪」ニコニコ

凛「かよちんと真姫ちゃんのおかげだよ~~~ありがと~~~~!!!!」ギュウウウウ

花陽「凛ちゃん、くすぐったいよぉ~~」クスクス

海未「よかった・・・。あとはにこだけですね」


にこ「あああぁ~~~、終わったあああぁ~~・・・」ガチャ

海未「にこ!! どうだったのです!?」

希「ふふふ、バッチリや♪ にこっち、がんばったなあ」

にこ「・・・まぁ、今回は、あんたと絵里のおかげよ。感謝してる」

希「あれっ、にこっちにしては殊勝やなぁ。こりゃあ嵐が来るかもしれん」ニヤニヤ

にこ「にこだって、お礼くらいいつも言ってんでしょうがっ!!」ジタバタ

69: 2014/10/11(土) 20:10:25.06 ID:iFgt2fyg.net
海未「穂乃果も無事でしたし、今回も全員、赤点は免れたということですね。よかった・・・」

凛「これで週末は、豪華客船に乗れるよっ!! ヒャッホォォウ!!!」

花陽「楽しみだねぇ~~。どんなとこなんだろう・・・」


希「ピアノの発表会か・・・船上でやるとか、メッチャおしゃれやんなぁ」

にこ「ふふ、真姫ちゃんには相応しい舞台よ。観客を全員、メロメロにしちゃうに違いないわっ!!」

海未「ええ。真姫のピアノは、とても素敵ですから」


凛「それじゃあ今日も練習、はりきって行こうっ!!!」ダダダダッ リンチャンヒッパラナイデェ~!

海未「凛!!! 今日もユニット毎の練習なんですよ!!!」ワカッテルニャア~~

希「うちらも行こ? にこっち」

にこ「・・・ええ」

希「・・・?」

70: 2014/10/11(土) 20:15:15.08 ID:iFgt2fyg.net
凛「ふうっ、最近絶好調だにゃ! 三人とも息ぴったりだしっ!!」

希「そうやねっ♪ 体も軽いし、なんだか、二人の動きが見なくても分かる気がするんよ」

海未「ええ、かなり集中して出来ています。これも、パワースポットの御利益でしょうか?」

希「あはは。みんなの頑張りを、ちょっと助けてくれとるんかもな♪」


にこ「・・・」テクテク

にこ「希。・・・ちょっと、話があるんだけど」

希「おっ、にこっち・・・」

凛「にこちゃん? どうしたの・・・?」

海未「体調が悪いのですか? 顔色が優れませんが・・・」


にこ「あのね・・・」

希「・・・言いづらいことやったら、後でも」

にこ「・・・いいえ。私にとってμ’sのみんなは、家族みたいなものだもの」

にこ「ただ、海未と凛は・・・聞かされても、ちょっと困っちゃうかもしれない」

71: 2014/10/11(土) 20:18:42.45 ID:iFgt2fyg.net
凛「にこちゃん・・・。どーんと来いだにゃっ!!」

海未「にこ、私でよかったら、聞かせてください」

にこ「・・・ありがと」


にこ「これ、この間のテストの答案なんだけど・・・」スッ

海未「これは、物理ですか? 39点。30未満が赤点ですから、割とギリギリの通過ですね・・・」

にこ「ええ。でもこのテスト、本来は29点なのよ」

凛「え・・・?」

希「・・・どういうこと? ちゃんと39点分の回答は出来とるように見えるけど」


にこ「この、一番最後の問題の答え、にこは書いた覚えがないの」


希海未凛「「「!?」」」

72: 2014/10/11(土) 20:26:24.35 ID:iFgt2fyg.net
希「で、でも、この字・・・にこっちの字やろ?」

海未「・・・ええ。筆跡鑑定の知識などはありませんが、素人目には、にこが書いたように見えます」

凛「文章式の答えだもんね。一文字だけならともかく、これだけ書いてあったら誰の字か分かるよ」


にこ「たしかに、にこが書いたらそういう風になるでしょうね・・・」

にこ「・・・実は私、試験中に寝てしまったの。きっと前の日に遅くまで、詰め込み勉強してたせい」

にこ「半分くらいまでは解いた覚えがあるわ。でもその後の記憶が途切れてて・・・」

にこ「終了のチャイムが鳴って、起きた時は愕然としたわ」

にこ「真姫ちゃんのためにも赤点は取らないって、みんなと約束したはずだったのに・・・」


にこ「でも回収される前に答案を見たら、最後の問題が解かれていたの・・・!」

にこ「一瞬、夢の続きかと思ったわ。でもそれは現実で、パニクってる間に答案は回収されてしまった」

にこ「今日、答案が帰ってくるまで、見間違いかもと思っていたんだけど・・・」

にこ「・・・私、怖い。何が起きたのか分からないこと。不正をしたかもしれないこと」

73: 2014/10/11(土) 20:28:00.44 ID:iFgt2fyg.net
にこ「・・・」ブルブル

希「・・・にこっち。」ギュッ

希「にこっちは、どう思うとるん? 何か、思い当たることはない・・・?」ナデナデ

にこ「・・・分からないの。にこは物理が一番苦手で、とても不安だった・・・」

にこ「もしかしたら私、カンニングしたのかもしれない・・・!!!」


希「・・・落ち着いて。カンニングなら、きっと、もっとやりやすいとこ、やるんやないかな」

海未「たしかに・・・。1点や2点の問題ですが、選択式の問題や、単語を問う問題があります」

凛「わざわざ文章式の、一番難しい問題だけを盗むのは、不自然だよね・・・」


希「ぶっちゃけ、先生も疑ったと思うで? にこっちがあんな難しい問題といたら、おかしいからな」

にこ「ひどい・・・」

希「ふふ・・・それでもちゃんと点数くれたってことは、不正は見つからなかったってことや」

74: 2014/10/11(土) 20:31:17.89 ID:iFgt2fyg.net
希「安心しい。状況的に、にこっちが書いたことは疑いにくい」

凛「そうだよ? にこちゃんの字で書いてあるんだから」

海未「カンニングをした記憶も無いのでしょう? 自分を悪い様に疑い過ぎではないでしょうか」

希「自信持って? にこっちは、にこっちの力で、試験を突破したと思う」


希「それに、にこっちが暗い顔しとったら、真姫ちゃんが心配して、発表会で全力出せなくなるで?」

希「そうなったらもっと、にこっちは自分が信じられなくなってしまうんやない?」

にこ「・・・そうかも」


海未「・・・ほら、にっこにっこにー!! ですよ」

凛「海未ちゃん、へったぁ!! にっこにっこにー!! だよっ!!」

にこ「・・・ふふっ、二人とも違うわ。にっこにっこにー!! よっ!!!」


希「ふふふ、にっこにっこにー、か。 ほんま、笑顔の魔法やね・・・♪」ニコッ

75: 2014/10/11(土) 20:33:00.56 ID:iFgt2fyg.net
凛「・・・で、海未ちゃんはどう思う?」

海未「ドッペルゲンガーでしょうか。にこは追い詰められ、極度のストレス状態にありました」

海未「それから逃れるためにもう一人の彼女が現れ、代わりに問題を解いたのです」

凛「うーん。でもドッペルゲンガーが現れる時って、周囲に何らかの影響が出るって言うよ」

凛「試験中に何か起きたら、同じクラスの希ちゃんは気が付くと思うけど」

海未「たしかに。凛はどう思いますか?」


凛「自動書記かな。寝てる間にチャネリングして、物理の教授でも呼び出したんだよ」

海未「ふむ。しかしその場合、筆跡がにこのものというのが気になりますね」

海未「完全に他者が乗り移るタイプではなく、にこは半覚醒状態だったのかもしれませんが・・・」


希「ちょちょいちょい、待って!? 二人ともどうしちゃったん!?!? つか、誰!?!?!?」

海未「あなたこそ、どうしたのです?」

凛「希ちゃんの考えも聞きたいにゃ~」

76: 2014/10/11(土) 20:38:34.98 ID:iFgt2fyg.net
希「いや、おたくら、変!!!! きっしょ!! うわぁ~、ほんまドン引きやわっ!!!」ブルブル

凛「・・・ちょっと、ひどくない?」

海未「人が真面目に考えているのに・・・」

希「どこが真面目やねんっ! 無ッ茶苦茶やったろ・・・」


希「海未ちゃんたちには、小動物とかピッキングとか、そういうまともなのを期待してるのっ!!」

希「なんやさっきのは・・・あんなエセ霊媒師みたいなことされたら、さぶいぼ止まらんわっ!」


凛「ちえー、せっかく勉強したのに・・・」

海未「あなたが好きかと思って・・・」

希「え・・・」


希「ご、ごめん・・・そういうこととは思わなくて・・・」

希「私のために、そこまでしてくれる人がいるなんて、ほんとに嬉しいよ」

希「でも、二人には、そういうことしてほしくないかなって・・・」

78: 2014/10/11(土) 20:39:59.65 ID:iFgt2fyg.net
希「オカルトって嘘とか危ないのとか多いし、二人には絶対、そういうのには関わってほしくないの」

希「そんなことより、一緒にいてくれて、話を聞いてくれるだけで、それだけで・・・」


海未「希、もういいですよ・・・。私たちが浅はかでした」

凛「・・・いま思うと完全に中二病だよっ!! はずかしい・・・っ!!!!!」ジタバタ


海未「フッ、しかし、私の黒歴史ノートに比べれば、この程度まだまだ・・・フフ・・・」ブツブツ

凛「そうだね。あのノートに比べれば、全然だったや♪」ケロッ

海未「ちょっと!?!? あれだって作詞の役に立っているんですよッ!?!?」

凛「そっかぁ、ありがとぉ~~!! 中二病ノートォッ!!!」ダダダッ

海未「待ちなさい凛っ!!! 今日という今日は、その減らず口を利けなくしてあげますッ!!!」


穂乃果「海未ちゃん凛ちゃん希ちゃあ~~んっ!!! みんなで写真、撮ろうよ~っ!!」

にこ「カメラ持ってきたの~~! みんなで撮りましょっ!!!」

79: 2014/10/11(土) 20:45:52.72 ID:iFgt2fyg.net
海未「ゼェ、ハァ・・・凛、一時休戦です・・・。希、行きましょう」

凛「うん・・・。行こう、希ちゃん」

希「・・・うんっ!」


■日曜日 客船内部■

海未「衣装だけでなく、美容師やメイキャップアーティストまで付いてくるなんて・・・」

凛「お金持ち、怖いにゃあ~~! 次は何されるんだにゃあ~~!!」

希「ふふ、ドレスの凛ちゃん、やっぱり、とっても可愛い♪」

凛「う~ん? 海未ちゃんはかっこいい!! 希ちゃんはえっろい!!!」

海未「褒めてるのか貶してるのか分かりません・・・」

希「とりあえず後でわしわしいっとくか・・・」


にこ「あんた達、準備できた?」ガチャ

希「わぁ~、にこっち・・・!!」

海未「夢の国の妖精のようです」

にこ「それは褒めてんの? 貶してんの?」

80: 2014/10/11(土) 20:46:57.00 ID:iFgt2fyg.net
にこ「しかし、これだけ上玉が揃ってると、また写真撮りたくなってくるわね」

凛「さっき甲板でたくさん撮ったにゃあ!」

希「ふふ、にこっち、すっかりカメラマンが板に付いてきたなぁ」クスクス

海未「良い腕をしていますしね。今日の写真も、出来上がるのが楽しみです」

にこ「まぁそれは後にしましょう。もうみんな集まってるわよ。大丈夫だったら来て」



真姫「・・・みんな。今日はわざわざ、来てくれてありがとう」


絵里「私たちのほうこそ、真姫の大事な日に立ち会うことができて、うれしいわ」ニコニコ

穂乃果「真姫ちゃんのピアノ、すっごく楽しみっ!!」

海未「いつもの力を出せれば、真姫なら大丈夫ですよ」


ことり「真姫ちゃん、すごく、綺麗・・・」

花陽「お姫様みたいだよ・・・」

凛「うんっ。こんなに可愛い真姫ちゃんが見られるなんて、来れて良かったよ・・・」

81: 2014/10/11(土) 20:47:51.46 ID:iFgt2fyg.net
希「真姫ちゃん、うちのスピリチュアルパワー、たっぷり注入しとくでっ!!」

にこ「私たちが見守っててあげるから、ド~ンとやってくるにこっ!!」


真姫「みんな・・・。ありがとう」ニッコリ

真姫「私、少し前まで、発表会に友達が来てくれるなんて、考えたこともなかったわ・・・」

真姫「今日は、みんなへの気持ちを込めて、精一杯、弾こうと思うの」

真姫「少し窮屈な場所かもしれないけど、折角だから楽しんで行ってね」

真姫「それじゃあまた、後で・・・」


絵里「」グッ

真姫「」コクリ

海未「・・・?」

82: 2014/10/11(土) 20:51:23.66 ID:iFgt2fyg.net
海未「さて。発表会まで、まだ時間がありますね」

希「あと二時間くらいかなぁ」

凛「おなかがすいたにゃ」

海未「軽く食事でも、とれる場所に行きましょうか?」


スピーカー「・・・船長より、乗客の皆様にご連絡いたします」

スピーカー「只今、船外は急速に発達した低気圧の影響により、雨・風ともに強くなっております」

スピーカー「皆様にはご不便をおかけいたしますが、甲板には、お出にならないようお願いいたします」

スピーカー「船内には充実したサービスをご用意しておりますので、お近くの乗務員まで以下略」

スピーカー「尚、船の運航に支障はありません。繰り返します」


希「ありゃ、乗る前はそんなことなかったのになぁ」

海未「海でもゲリラ豪雨のようなものがあるのでしょうか」

凛「そんなことよりおなかすいたにゃ~~!!」

83: 2014/10/11(土) 20:55:09.87 ID:iFgt2fyg.net
にこ「・・・ねぇあんた達、にこのカメラ知らない?」

凛「にこちゃんのカメラ? 見てないけど・・・」

希「最後にどこで使ったん?」

海未「ウェイティングルームに無いのでしたら、甲板で・・・あっ」

にこ「甲板・・・そうかも・・・。まずいわっ、あれは大切な物なのにっ!!」ダッ

希「にこっち、だめっ!!!」ダダッ


絵里「にこ!? 希!!?」

海未「待ちなさいッ!!!」ガシッ

絵里「海未!! 離してッ!! あの子達、まさか!!!」

海未「落ち着いて! あなたは大人の人を甲板に呼んでください!」

絵里「でもッ・・・!!!」

海未「にこの身に万一のことがあったとき、私達では対処しきれません! 急いで!!」

絵里「・・・!! 分かったわっ」ダッ

84: 2014/10/11(土) 20:59:37.99 ID:iFgt2fyg.net
海未「穂乃果、ことり、花陽、絶対にここを動かないで。お互いに目を離さないでください」

海未「凛、私と来なさい!」ダッ

ことり「海未ちゃんッ!!!」

花陽「凛ちゃん! 行っちゃだめ!!!」

凛「・・・」ピタッ


穂乃果「凛ちゃん、花陽ちゃんのことは任せて。海未ちゃんが無茶をしたら、止めて」

凛「・・・頼んだよ」ダッ


凛「海未ちゃん!!!」ダダダッ

海未「凛! 来てくれましたか」ダダダッ

凛「どうして絵里ちゃんは駄目で、凛を呼んだの?」

海未「私の独善的な、勘です。・・・嫌な予感がしたのです」

85: 2014/10/11(土) 21:02:15.57 ID:iFgt2fyg.net
海未「まず、客観的に見て、μ’sの中で運動神経がいいのは、ずば抜けて凛、次が私です」

海未「と言っても荒れ狂う海では、何の役にも立たないかもしれませんが。無いよりはマシ程度です」


海未「それより凛は、感じたことはありませんか?」

海未「三年生の間には、9人の絆とはまた違った、独特の・・・」

凛「・・・分かるよ。凛たちの知らない二年間に、何かあったんだ」


海未「万一のことがあったとき、絵里と希では、にこを止められないかもしれない。むしろ・・・」

海未「にこの味方をするかもしれないと思ったのです。それがどんなことであっても」

海未「・・・こんなこと、今まで思ったことはありません。ですが、あの瞬間、そんな気がしたんです」

凛「・・・」


凛「何があっても、凛たちは、にこちゃんを止めよう」

海未「ええ」


凛(独特な・・・絆? それは、三年生の間だけじゃ、ないかもしれない)

86: 2014/10/11(土) 21:06:00.89 ID:iFgt2fyg.net
■甲板■

希「にこっち!!!! ・・・くッ、風で体が飛ばされそうやっ・・・」ビュウウウッ!・・・

にこ「あるはず・・・。たしかに、この辺に置いたはず・・・」フラッフラッ・・・

にこ「あったわ!! パパの、カメラ・・・!!!」


ビュウウウウウウッッ!!!!


にこ「きゃっ!!!」グラアッ!

希「にこッ!!!!」ダダダッ ガシッ!


カメラ「」ボチャン


にこ「離してッ!! カメラが!!!」

希「バカ!!!! 早く上がってきて!!!!」

にこ「ダメよ!! あのカメラは、パパの形見なのっ!!」

にこ「あれがあると、パパが一緒に居てくれる気がするのよっ!!!!」

にこ「もうパパに、居なくなってほしく、ないッ!!!!!!!!」

87: 2014/10/11(土) 21:08:04.28 ID:iFgt2fyg.net
希「にこっちのパパは、氏んだ!!!! それを追いかけてにこが氏んで、どうする!!!?」

にこ「あんたには分からないッ!! パパがそこにいるのよっ!! 助けなきゃあ!!!!」

希「目を覚ましてッ!!!! あれはただのカメラ!!!!」

希「それに、大事な人に、消えてほしくない気持ちは、私も一緒だよッッ!!!!!!!!」ギュウウッ!!

にこ「っ・・・・・・」



にこ「・・・・・・にこが悪かった。戻りましょう。このままじゃ、あんたも危ない」

希「うん・・・。 よい、しょ・・・」


ビュウウウウウウッッ!!!!!


希「きゃあっ!!!!」

にこ「あっ、」ツルッ


・・・ボチャン

88: 2014/10/11(土) 21:14:18.75 ID:iFgt2fyg.net
海未「にこ! 希!!」バタン

凛「・・・いた! あそこ!!!」ダダダダッ


希「にこォ!!!」バッ

凛「何してんの!!!!!!??」ガシッ


希「にこが、にこが、ぁあああああ!!!! 海に落ちたァああああ!!!!!!!」

希「離してぇ!!! 私がぁああ!! アァあああああああああ!!!!!!!!!」

海未「落ち着きなさいッッッ!!!!」パァン!


希「・・・っ、う、うちが、手を離してもうたんや・・・お願い、行かせて・・・行かなきゃ・・・」

海未「・・・この状況であなたが行っても、二人とも氏ぬだけです」

希「・・・お願いぃいいい、・・・お願いだからぁあああ・・・」


海未「・・・あなたが行ったら、私も飛び降ります」

凛「凛もだよ。(二人とも絶対に行かせないけど)」

89: 2014/10/11(土) 21:15:43.28 ID:iFgt2fyg.net
希「うぅ、う・・・。にこ・・・にこっ・・・!!!!!」ガクッ・・・

海未「・・・」

凛「・・・・・・」



ピカッ



希海未凛「「「!?」」」」

希「・・・ぇ、な・・・」

海未「光・・・?」

凛「空から・・・」


ザバアッ

90: 2014/10/11(土) 21:16:36.14 ID:iFgt2fyg.net
希「に、にこっち・・・!??」

凛「・・・空に、浮いてる・・・」

海未「そ、空からの光で、引っ張り上げられている・・・?」


フワア~~ ドサッ


希「にこ!!!」ダキッ

海未「呼吸は・・・あります!!! 生きています!!!」

凛「にこちゃん・・・。よかった・・・」ガクッ


絵里「にこッ!!! 希ッ!!!!」ガチャッ

乗務員「」ドタドタ

海未「彼女は一旦、海に落ちました。早く医務室へ」

乗務員「」ドタドタ

91: 2014/10/11(土) 21:20:33.47 ID:iFgt2fyg.net
希「にこっち・・・」フラフラ

海未「私達も、行きましょう」

凛「・・・うん」

絵里「海未・・・説明してもらうわよ」

海未「ええ」




凛「結局あれは、にこちゃんのお父さんだったのかな・・・?」

海未「・・・分かりません。そうかもしれないし、にこ一人の力で、全てを起こしたのかもしれません」

希「・・・」


凛「・・・それにしても、みんな無事でよかったよ。真姫ちゃんの発表会も、上手く行ったし」

海未「私は絵里からこっぴどく叱られましたけどね・・・まぁ、それも当然です」

凛「絵里ちゃん、鬼の形相だったにゃ」クスクス

92: 2014/10/11(土) 21:22:45.09 ID:iFgt2fyg.net
海未「希、ほっぺたのほうは、大丈夫ですか? ・・・まだ腫れが、引かないようですね・・・」

希「・・・ふふ。めっちゃ痛かった・・・。でも、ありがとな・・・」


希「・・・うち、にこっちが飛び降りようとしたとき、止めたんや。偉そうに説教して」

希「その舌の根も乾かん内に、自分が飛び降りようとするとは、まったく・・・アホの宇宙大統領やな」


海未「・・・仕方ありませんよ。理性では分かっていても、感情は違うものですから」

海未「私だって極限状態では何をするか、自分でも分かりません」

凛「海未ちゃん、アブナイ人だにゃ?? ・・・でも、凛だってそうだよ」


海未「・・・希、もし今後、同じような状況になったら・・・」

海未「飛び降りる前に、私達のこと、一瞬で良いですから思い出してくれませんか?」

海未「それでも飛び降りるなら、私はもう、文句は言いません」

海未「・・・怒りますけどね、すごく。・・・あぁ、想像しただけ怒りが・・・」

凛「やっぱりアブナイ人だにゃ・・・」

93: 2014/10/11(土) 21:23:45.19 ID:iFgt2fyg.net
希「うん・・・分かったよ。でも、二人とも、同じようにしてね?」

希「何かあったときは私達のこと、思い出して?」

凛「・・うんっ!」

海未「はい!!」





海未(・・・氏んだ親は、生きている子供を、守ることが出来るでしょうか?)

海未(・・・私達は、いつか遠く離れてしまったとしても、大切な相手を助けることは、出来る?)

海未(・・・どんなに大切なものも、たとえ自分の命でも、状況によっては投げ出してしまえるもの)

海未(・・・でも、この絆だけは、決して失いたくない、私の・・・)


おわり (2-b. ナイト・クルージング)

96: 2014/10/11(土) 23:42:45.30 ID:EBYuLB6v.net
おつ

116: 2014/10/19(日) 22:46:22.79 ID:815sKVDG.net
3-a. 逢魔が時

海未「第二回! パワースポット巡りの旅ですっ!!」ドンッ!

凛「いええええええい!!!!」パフパフ

希「わぁい!! 行こか~♪♪」


凛「今回はどこにするっ?」

希「そやね。今回はちょっと遠くの・・・高尾山に行ってみよか?」

海未「山頂アタックですね!?」

希「う、うん・・・まぁ、そんな重装備はいらんと思うけどね?」


凛「凛は小学生のときに登ったよ! たしか、2、3時間で登れた気がする」

海未「最近はトレイルランなども流行っていて、早い人は走って登るそうですね」

希「こ、今回はゆっくり行こ? な?」

海未「そうですね。今回は下見ということで」

凛「次回は走る気にゃ・・・」ガクブル


希「まぁ、言うても山やから、それなりの準備はしてきてな? 安全が第一やから」

海未凛「「はーい!!!」」

117: 2014/10/19(日) 22:47:58.24 ID:815sKVDG.net
■高尾山■

凛「わぁ~い、山だあ!! きっもちいい~~!!!」

希「いい天気でよかったなぁ~~! ここから見える紅葉も綺麗やし、これは楽しみや♪」

海未「新宿から一時間で来られるなんて便利なのですね」

希「ケーブルカーに乗れば、山頂にも割とすぐ登れるみたいやしね」

凛「あっ、お団子屋さんがあるよ! おっきいの3つ付いてる!!」

海未「ふふ、せっかくだから買って行きましょうか」

希「せやね♪」


海未「山頂までは、色々なルートがあるんですね」

希「今回は敢えて1号路をスルーして、自然がいっぱいルートにしようと思うでっ!」

希「高尾山は全体がパワースポットやから、山の力をたくさんもらっちゃおうっ!!」

凛「おー!! それじゃ、しゅっぱーつ!!!」


凛「あれっ、思ってたより急な坂道なんだね・・・」

希「Gが・・・Gが感じられるやんな・・・」

海未「これはいい運動になりそうですね・・・」

118: 2014/10/19(日) 22:49:28.96 ID:815sKVDG.net
下りて来るおっさん「」スタスタ

希海未凛「「「こんにちはー」」」

おっさん「おう! さっき、そこでヘビ出たから気をつけな」

希海未凛「「「ありがとうございまーす」」」


凛「どどどどうしよう、ヘビだって~ッ!!」キャッキャ

希「めっちゃうれしそうやん・・・」

海未「希! そこ、ホントにいますよ!!」

希「またまたぁ~、そんなすぐ出るわけ・・・って、おるぅうううう!!!」

凛「で、でかい!!」ケラケラ

希「びっくりしたぁ~・・・すぐ行っちゃってくれてよかったわ・・・」

海未「いやあ、東京なのに、本当に山なんですねえ・・・」

凛「やっぱり公園とかとは全然違うね。道から外れたら、絶対戻って来れなさそう!!」

希「頼むから、落っこちたりせんといてな・・・」

119: 2014/10/19(日) 22:54:54.39 ID:815sKVDG.net
希「ぜぇ、ぜぇ、もう一時間くらい登ったかな・・・」

凛「はぁ、はぁ。あっ! なんか見えてきたよ!!」

希「お。あれは、ケーブルカーの駅かな・・・」

海未「ケーブルカーでこんなに登ってこられるのですか。それでお年寄りの方も沢山いたのですね」

凛「道が平らだぁ・・・あれ、もう頂上だっけ??」

希「え~っと、これでまだ半分くらいかな?」


凛「売店とかビアガーデンとか・・・サル園!? もあるよ!!」

海未「見て、展望台もあります!」

凛「わぁ~、すごく遠くまで見える! あれは新宿だね!」

海未「間近で見た紅葉も綺麗でしたが、こうして上から見る景色もいいですねえ」

http://i.imgur.com/cljn8Ut.jpg


希「よ~し、三人で写真撮ろうっ!」

凛「わーい、撮ろうっ!!!」

海未「いいですねっ! それじゃ、集まって!」パシャッ

120: 2014/10/19(日) 22:59:32.65 ID:815sKVDG.net
海未「最近この三人で撮った写真が増えてきたので、ことりと穂乃果が嫉妬してくるんです」

海未「海未ちゃんばっかり色んなとこ行ってずるーい!!って。困ったものです」クスクス

凛「真姫ちゃんとかよちんは、あら、良いわね、とか、良かったねぇ凛ちゃんって言ってくれるよ?」

希「一年生のほうが大人やん!」アハハ


凛「でも最近かよちんが遊んでくれなくて、凛はちょっとさみしいんだにゃ~」

海未「えっ、そうでしょうか? 相変わらず二人は仲睦まじく見えますが・・・」

希「二人は一つのセット商品みたいなもんやん。もし何かあったとしても、必ず元の鞘に戻るやろ」

凛「そうだといいけど・・・」


希「あかん・・・そんなこと言うてたら、吊り橋が出てきてもうたやん・・・」

海未「希、怖いんですか?」

希「そ、そんなことあるわけないやんっ?! こんな立派なちゃんとした橋で・・・」ガクブル

凛「希ちゃん大丈夫? 手つないでいこ?」ギュッ

希「凛ちゃん・・・まじえんじぇ~❤」ポッ

121: 2014/10/19(日) 23:03:51.42 ID:815sKVDG.net
海未「・・・」ピタッ

海未「」ピョンピョン ユッサユッサ


希「はぇっ、なに!? 地震!?!?」ビクビク

海未「!」ピョンピョンピョン! ユッサユッサユッサ!


凛「う、海未ちゃんっ?!!」

希「コラァ!!! 何してくれとるんッ!?!?!?」ペタンッ ジワッ・・・


海未「すみません。 怖がる希をもっと見たくて・・・」スタスタ

希「えっ、それ・・・謝ってるつもりなん・・・?」

海未「あなたがいけないんですよ? 普段そんな姿みせないのに・・・」グイッ

希「海未ちゃんが吊り橋効果でおかしくなっとるっ!!!」

122: 2014/10/19(日) 23:04:40.88 ID:815sKVDG.net
凛「ちょっとっ、凛が希ちゃんにいいとこ見せようとしてるんだから、入ってこないでっ!」グイッ!

希「痛っ!」

海未「あなたには、花陽と真姫がいるでしょう?」グイイ!

希「ちょ痛いって!」

凛「あの二人も希ちゃんも、凛のものだにゃッ! 海未ちゃんだって、幼馴染の二人がいるでしょ!」

海未「あの二人も希も、私のものですよ」


希「はずかしいからやめてよっ!!! リリホワ、ほんとに大丈夫!?!?!?」

海未「・・・ふふふ、冗談ですよ。希にいつもからかわれてる仕返しですっ♪」

凛「そうにゃそうにゃ♪」

希「もおッ!! 二人とも、迫真の演技やったよ・・・。こんなとこ、さっさと抜けちゃおっ?」タタタッ

凛「あ、待って~~!」

海未「走るとあぶないですよ! 良い子も悪い子も真似しないでくださいね」

123: 2014/10/19(日) 23:09:10.02 ID:815sKVDG.net
希「はぁ、ひぃ、ふえぇ~! そろそろ登り始めて二時間くらい経ったかな・・・」フラフラ

海未「・・・希、こんなことを言うのは失礼かもしれませんが、その胸は登山には向いていませんね」

希「そぉやねん・・・この間に、めっちゃ汗たまるしな・・・」ユッサユッサ

海未「・・・ごくり」

凛「希ちゃん、飴あげるから頑張って! 海未ちゃんも、はい!」ヒョイ ヒョイ

希「ありがと~♪ 塩飴?」

凛「そう。ずっと運動しなきゃいけないときに、舐めるといいんだよ」

海未「なるほど。汗をかくとミネラルが不足しますからね」


凛「それにしても、結構登るね~~。前に来たときは、もっとすぐ登れた気がしたけど」

希「ルートによって難易度が違うんよ。1号路ならもう着いてる頃かもな・・・」

希「今登ってるのは、ご覧のとおり自然満喫ルートですぅっ!」ゼェハァ ナゲヤリ

海未「えぇ、たしかに・・・。展望台の辺りは舗装されていてまるで街中のようでしたが、」

凛「こっちのルートはこんなに森が深いなんてね! 結構傾斜もキツイところあるし」

希「でもそろそろ、頂上につくはずなんや・・・がんばろっ!」

海未「無理せず、休憩しながらいきましょうね」

126: 2014/10/19(日) 23:22:49.88 ID:815sKVDG.net
■山頂■

希「はぁあ~~! とうちゃく~~~!!!」

凛「頂上だあっ!!!」

海未「わぁ、見てください! 随分遠くまで山が続いているんですね!!」




希「このままどんどん幾つも山を越えていくルートもあるんよ・・・ちょっと真似できんけどね・・・」

海未「そうですか? せっかくここまで来たんですし、もうすこし・・・」キラキラ

凛「あっ、り、凛、おなかすいたにゃあ~~!!!!」ダキッ!

海未「おっとと・・・。仕方ありませんね。それじゃごはんにしましょうか」

希「わ、わぁい!」

127: 2014/10/19(日) 23:24:38.84 ID:815sKVDG.net
(写真は夏なので紅葉でもないしガスっててすみません)

128: 2014/10/19(日) 23:25:22.20 ID:815sKVDG.net
海未「よし、この辺が良いでしょう」バサッ

希「おおっ、レジャーシート持ってきてくれたん!?」

海未「ふふふ。そして、お弁当もあります!!」ジャーン

凛「わぁい!! 待ってましたぁ!!」

希「ふふ、期待しとったよ!!!」ワクワク


海未「さ、どうぞ」

希「お、すごい! 卵焼きに、煮物に、から揚げ!!」

凛「うわああ!! こんなちゃんとした料理、凛できないよぉ!!」

海未「お口に合うといいのですが」ソワソワ

凛「うぅ・・・おいしいよぉお!! 卵焼き、ふんわりしてて甘くて・・・」トローン

希「煮物も奥深くてやさしい味や・・・海未ちゃんの性格が出とる」シミジミ

海未「えっ、私ってそんなキャラでしょうか!?」

凛「凛、梅干はちょっと苦手なんだけど、山のてっぺんで食べるとおいしいにゃあ~~」

希「遠足と言ったら日の丸弁当やんな♪」

129: 2014/10/19(日) 23:26:38.74 ID:815sKVDG.net
海未「はぁ・・・よかった。自分の作ったものを食べてもらうというのはとても緊張しますが、」

海未「喜んでもらえると、嬉しいというか・・・幸せな気持ちになれるものですね」ニッコリ

希「ふふ、そやな♪ うちらも海未ちゃんの作ってきてくれた料理食べれて、幸せな気持ちや❤」


凛「海未ちゃんって料理もできるのかぁ・・・凛のいいお嫁さんになれるにゃあ」

海未「そのお返事は、凛の料理を食べた後でもいいでしょうか?」

凛「え、えぇえ~~~!!! 凛、お料理は苦手なんだにゃ・・・」シュン

希「ま、まぁ、そんな凄いもん作らんでもええんない?」ナデナデ

凛「うえぇ~~ん・・・でも、がんばるよ。海未ちゃんと結婚したいし・・・」

海未「私も凛と結婚したいです。がんばってくださいね?」

凛「うんっ!! よ~~し、やる気でてきたよっ!!!」

希「お、おう!」

凛「希ちゃんも、楽しみにしててね?」

希「・・・うんっ!」ニコッ

130: 2014/10/19(日) 23:27:49.92 ID:815sKVDG.net
海未「ふぅ。それにしても、秋晴れで空気も澄んでいて、気持ちいいですねえ~」ノビ~~

凛「なんだか眠くなってきちゃうにゃあ~~」フワァ~

希「ふふ、ちょっとだけ寝ちゃおっか」ゴロン

海未「いいですね」ゴロン

凛「海未ちゃんは、はしたないです!とか言うかと思ったにゃ?」ゴロン

海未「うふふ、私だってこの誘惑には勝てませんよ」クスクス

凛「はぁ、ほんとに気持ちいいにゃ~・・・ずっとここでこうしてたいくらい・・・」


希「・・・今日は来れてよかったわ」

希「高尾山には来てみたかったけど、一人じゃ来る勇気なかったから」

海未「希、私たちでよかったら、どこでもお供しますよ」ギュッ

凛「そうだよ。他にも行きたいとこあったら言ってね?」ギュッ

希「うん・・・ありがと・・・」ギュッ

132: 2014/10/19(日) 23:38:07.87 ID:815sKVDG.net
希「・・・さて、帰りのことも考えると、そろそろ降りんといかんね」

凛「ええ~っ、もう~~??」

海未「名残惜しいですが、行きましょうか」スクッ

希「お、滝があるんやって。帰りはこっちのルート行ってみよか」

凛「飛び石・・・? 川があるのかな。楽しそう!!」

海未「では、そっちで行きましょう」


凛「うわぁ~っ、さっきよりずっと急だよ!!?」

希「これ、登りやったら相当キツかったな・・・」

海未「ええ。本当にルートによってかなり違うのですね。下りでも滑らないように気をつけましょう」


凛「ん、なんか水の音するね。あ、川ってあれかなぁ!!」サヤサヤ

海未「湧き水の通り道ができていますね」

希「これが下流では大きな川になっていくんやろか・・・」

海未「この川に沿って歩いていくルートのようですね。夏には涼しげでいいかもしれません」

凛「この飛び石はどうやって持ってきたんだろうな・・・」テクテク

133: 2014/10/19(日) 23:40:05.97 ID:815sKVDG.net
希「だんだん川も大きくなってきたな」サァアアア

海未「おや、あそこ。人が集まっていますね」

凛「川に入れるみたいだにゃ?? 凛も入ってみるっ!!」ヌギヌギ

海未「凛、気をつけてくださいよ」

凛「はぁ~い! ・・・ひぎぃっ! つめたぁあッ!!!」チャプチャプ

希「元々湧き水やし、もう秋やしな」

凛「はぁああ・・・でも、疲れた足には、ちょっと気持ちいいかも・・・」

海未「だいぶ歩きましたし、少し休憩しましょうか。凛、遠くへは行かないでくださいね」

凛「うん!」ジャブジャブ


希「・・・ちょっと、曇ってきたかな」

海未「たしかに。山の天気は変わりやすいと言いますしね。だんだん人も減ってきましたし」

希「・・・凛ちゃ~ん! そろそろ行こか~~!」 ハァ~イ!!

海未「少し、急いだほうがいいかもしれませんね」

希「そやね」

134: 2014/10/20(月) 00:07:11.48 ID:HAmAARbB.net
凛「ふぅ~~っ、大分歩いたね。川ももう入れないくらい流れが早くなってるし」

希「そやね。もう半分は過ぎたんやないかな」

海未「ええ。あ、滝というのはあれのことではありませんか?」



海未「滝行のための場所になっているのですね」

希「さすが霊山としても有名な山やね」


凛「・・・。な、んか、ちょっ、と、」フラッ

希「凛ちゃん!?」ダキッ

希「もう、夕方やからな・・・。ちょっと、急いで帰ろか」

海未「希、どうしたのです?」タタタッ

希「歩きながら話そか」テクテク

135: 2014/10/20(月) 00:08:18.58 ID:HAmAARbB.net
希「すまん! うちがうっかりしとったんや・・・」

希「パワースポットと言われる場所は、相性によっては逆に元気を持ってかれる人もおるらしい」

希「天気が悪かったり日が暮れてきたら、特に注意せなあかんかったんや・・・」

希「凛ちゃんは高尾山と相性が良くて、影響を強く受けすぎたのかもしれん」

希「ごめん!! 本当に私のせいだ・・・」


海未「・・・あなたのせいではありませんよ。個人差のあることですから、仕方ないことです」

凛「希ちゃん、心配かけてごめんね? ちょっとフラッと来ただけだから」

凛「あそこを離れたら、もう元通りになったよっ!」ピョンッ!

凛「・・・たしかに朝から、自分でもちょっと元気あり過ぎるなって思ってたんだよ」

凛「ここにずっといたいなって思っちゃってたし・・・」

凛「でも、相性が良すぎるなんてことあるんだね・・・。今度から、変だなと思ったらすぐに言うね」

希「うん・・・そうしてね? 海未ちゃんも。 うちも気をつけるから・・・」

海未「はい。私も、少し軽々しい気持ちで来てしまっていたかもしれません。今後は気を付けます」

136: 2014/10/20(月) 00:09:30.17 ID:HAmAARbB.net
凛「それにしても、さっきからずっと同じ木が生えてるね」

海未「気が付きましたか。この木は高尾山の名産のようですね」

希「さっき、看板にいろいろ書いてあったな」

海未「このルートは高尾山の自然についての説明が沢山みられて良いですね」

希「凛ちゃん、また看板あったよ。お、高尾山にはムササビがおるんやって!」

凛「ムササビッ! 見たい!!」

海未「ふふ、その辺に隠れているのかも」


凛「あ、小さな祠があるね。アッ・・・」カクッ

海未「凛!!」ガシッ

希「凛ちゃんッ!!」

凛「ご、ごめん・・・はは、大丈夫」クラクラ

希「凛ちゃん、あまり、周りを見ないほうがいいかも・・・。足元だけを見て?」

凛「わかった・・・」

137: 2014/10/20(月) 00:13:46.42 ID:HAmAARbB.net
海未「・・・もう悠長なことは言っていられないようですね」

海未「このまま日が暮れてしまったら、霊山でなくとも危険な状況であると言わざるを得ません」

海未「転ばないように注意しながら、可及的速やかに下山することだけを考えましょう」

希「・・・ああ。反省は後や。凛ちゃん、立てる?」

凛「大丈夫だよ。・・・よ~~し、さっさと下りて、ラーメン食べに行こうっ!!!」スクッ

海未「ええ!」

希「うん!!」


ザアアアァッ・・・! ガサガサ・・・


凛「っ・・・」ビクビク

希「・・・大丈夫。風の音や」


ガサッ ガサッ ギャア ギャア


海未「鳥・・・? カラスでしょうか」

138: 2014/10/20(月) 00:14:49.59 ID:HAmAARbB.net
ガサガサッ! ガサッ!  バキッ!


海未「いえ、もっと重い物・・・動物ですね」

凛「ムササビさんかなぁ」


希「・・・あっ」

凛「希ちゃん、どうしたの?」

希「凛ちゃんは見ないでっ!」バッ

凛「ん? うん・・・」



さっきの祠「」



海未「・・・希」

希「・・・今度はちゃんと、気をつけて下りよう。川の流れに沿って歩けば、戻ってこないはずだよ」

海未「・・・ええ」

140: 2014/10/20(月) 00:21:22.27 ID:HAmAARbB.net
ガサッ ガササッ・・・


海未「くそッ・・・!」

希「また・・・」



さっきの祠「」



凛「ムササビさん、見えないかなぁ・・・」



希「・・・まずいな・・・」コソコソ

海未「当たり前ですが、携帯は通じません。・・・食べ物も水も、もうありません」

希「気温も、思ってた以上にかなりまずい。このまま雨が降ってきたら最悪の可能性もある・・・」







凛「・・・二人とも、凛をここに置いて行って? そしたら、下りられるよ」

143: 2014/10/20(月) 01:02:19.01 ID:fRKJx3nK.net
海未「・・・はあッ?!! 何を言ってるんですッ!!!!!」

凛「怒らないで聞いてよ。 凛、さっきから、呼ばれてる気がするの」

凛「・・・ううん。山に着いたときから、そうだったのかも」

凛「たぶん、誰かが凛に用があって、帰したくないんだよ」

希「凛ちゃん・・・っ」


凛「・・・ごめんね。凛のせいで、二人まで帰れなくなっちゃってさ」

凛「二人で下りて、警察とかを呼んできてよ。凛、ここで待ってるから」

希「・・・そんなことしたら、もう会えない場所に連れてかれてまうんやろ?」

凛「・・・このままじゃ、三人とも帰れなくなっちゃうよ?」


凛「考えてみて? 簡単な引き算だよ。二人助かって一人いなくなるか、三人ともここで氏ぬか」

凛「どっちを取るべきなんて、言わなくても分かるよね?」

凛「・・・それに凛は、すごくいいところに、行けるかもしれないしね。アハ♪」

144: 2014/10/20(月) 01:06:16.84 ID:fRKJx3nK.net
希「・・・凛」パァン!

海未「希・・・」

凛「・・・ったぁ~~~い。 希ちゃん、こないだ叩かれて痛いの知ってるでしょ・・・」

希「知っとるからや。目ェ覚めたか?」

凛「寝ぼけてるのはどっち・・・?! まさか、二人とも残るなんて言わないよね?!?!」

希「そのまさかや」

凛「分かってよ・・・。凛のせいで二人が氏ぬなんてこと、自分が氏ぬより嫌だよ・・・」ポロポロ


海未「凛・・・」

海未「あなたの気持ちも分からないではないですが、私は三人での下山を諦めるつもりはありません」

海未「仮にそれで氏ぬことがあっても、全力で努力した結果なら仕方ないことです」

凛「自己満足のために凛を巻き込まないでよッ!!!! 氏んでいいはずないでしょッ!!!!」

海未「・・・あなたの言う通りですね。厄介な友人ですみません」

希「アホ二人で残念やったな」

145: 2014/10/20(月) 01:08:13.04 ID:fRKJx3nK.net
希「でも、こんな好かれとる凛ちゃんが悪いんやからな、恨むんやったら自分を恨んでや」

凛「・・・話にならないね。もういい。凛が本気で逃げたら、どうせ二人は付いて来れないんだし」

希「そんならうちの体に縛りつけたるわ」ガシッ

凛「バカじゃないの!? いい加減にしてッ!!!!」


・・・ガサガサッ!! ガサッ!!


海未「待ってッ! すぐ上です!!!」

凛「木の上を跳びまわってる・・・。猿・・・?」



ガサガサッ! ガササッ!!! ・・・シーン

146: 2014/10/20(月) 01:09:57.89 ID:fRKJx3nK.net
凛「・・・希ちゃん、凛の後ろに隠れて」サッ

希「凛ちゃんこそ・・・」ギュッ・・・

海未「・・・一体、どこに行ったのです・・・?」クルッ




海未「・・・ッ!!!!」ゾッ!









子供「」

147: 2014/10/20(月) 01:13:04.70 ID:fRKJx3nK.net
海未「ふ、二人とも、下がってください!!」バッ

希「なに・・・? うわッ・・・!!」

凛「ひッ・・・!!!」




子供「」 テク・・・テク・・・



海未「う・・・あ・・・ッ!!!」ググッ・・・

希「・・・海未ちゃん、何もせんでええ」

凛「もう・・・やだ・・・」ペタン



希「・・・お願いします。凛ちゃんを連れて行かないでください」

希「この子は、私たちの大切な仲間なんです。お願いします・・・!!!」

海未「わ、私も、お願いしますッ!!!」

凛「凛も、行きたくないよ・・・! この人たちと、ずっと一緒にいたい・・・!!!」ポロポロ

148: 2014/10/20(月) 01:16:01.31 ID:fRKJx3nK.net
子供「」ピタ




子供「」スッ




海未「あ・・・橋・・・?」

希「・・・あんなところに、あったやろか・・・?」

凛「・・・川の向こう側にも、道がある」


海未「・・・どうしましょう」

海未「もしあれが神話などでおなじみの橋だったら、もう戻って来られなくなるかもしれません・・・」

希「でも、今いるのがあっち側だったとしたら、こんなチャンスはないで・・・」

凛「・・・」


凛「・・・行ってみよう。たぶん、大丈夫だよ」

海未「凛・・・」

希「・・・分かった。行こう」

海未「ええ」

149: 2014/10/20(月) 01:18:34.50 ID:fRKJx3nK.net
希「あの、ありが・・・」クルッ


シーン・・・


海未「・・・いませんね」

凛「・・・・・・ありがとぉーッ!!!」


凛「あ~、怖かった!!! 夕暮れ時にあんなお面の和服の子供が立ってたら、山じゃなくても怖いよ!」

海未「凛、失礼ですよ? せっかく助けてくれたのに・・・」

希「ふふ、でも、うちも背中に氷いれられたみたいにゾッとしたわ・・・」クスクス


凛「でもさー、まだ助かったわけじゃないんだよね」

海未「え? まぁ、そうですが・・・」

希「・・・凛ちゃん、やっぱりこっちじゃだめそう・・・?」

凛「もうさ、分かんなくなっちゃった♪」クスクス

150: 2014/10/20(月) 01:21:30.21 ID:fRKJx3nK.net
凛「凛は二人とずっと一緒にいたいって言っただけだよ? そしたら、あの橋が出てきたんだ~♪」

凛「でも、三人一緒なら、いいでしょ? どうせ二人は何言っても帰らないんだしさ」

凛「どこに行ったとしても、三人ずっと、一緒だよ・・・?」クスクスクス


希「・・・凛ちゃん」

海未「・・・ふふっ、あはははは! これはまんまと騙されましたね」クスクス

希「海未ちゃん・・・?」

海未「突然すみません。 もちろん、私は無事生還を諦めてはいませんよ?」

海未「ただ、もしどこへ行ったとしても、この三人ならいいかと思ってしまって・・・ふふふっ」

希「・・・」


希「・・・もぉっ!!! 二人とも、冗談だよね?? リリホワ、大丈夫???」

海未「・・・」ピタッ

凛「あははは・・・あはははは!」

151: 2014/10/20(月) 01:26:03.79 ID:fRKJx3nK.net
希「ちょ、聞いとるん!?」

海未「・・・希、見てください。あの建物・・・」

凛「あはははは! あの世の建物は、こんな感じなのかぁ~~♪」ケラケラ

希「えっ・・・!?」


希「なんや・・・。あの世にこんな現代建築があってたまるかいな!」クスクス

凛「じゃあ戻ってきたんだぁ~~! わぁあい!!!!」

海未「よかった・・・」カクッ


海未「やっぱりあの子供は、私たちを助けてくれたんですね・・・」テクテク

凛「結局なんだったのかな??」

希「さあ・・・山の精霊とか・・・?」


店員さん「お嬢さんたち!! あんこいっぱいサービスしとくよ!!」

凛「あんこ!? 凛、そういえばおなかへった!!!」

希「おいしそうやね♪」

海未「これは・・・たい焼きでしょうか?」

152: 2014/10/20(月) 01:35:47.00 ID:fRKJx3nK.net
店員さん「名物、天狗焼きだよッ!! 高尾山は天狗のおわす山だからねッ!!!」

凛「あっ、天狗さんかぁ~~!!」

凛「そうだよッ!! 凛、小学生の時もここで迷って、天狗さんに助けられたんだった!!!」

凛「いやー、すっかり忘れてたよ♪」テヘペロ


店員さん「ハハッ! お嬢さん、天狗様に会ったのか。そりゃうらやましいねぃ!!」


希「・・・とりあえず、名物天狗焼き、買っていこか」

海未「ええ・・・」


おわり (3-a. 逢魔が時)

153: 2014/10/20(月) 01:36:47.73 ID:Gvshu4uX.net
最高やん

引用: リリホワ不思議探偵団