1: 2013/08/10(土) 15:07:11.22 ID:PkC6+uZ/0
vipで乗っ取りして書いてたSSをこっちで書いていきます
とりあえず最初から
相変わらずその場の思いつきでゆるゆると

#01 ようこそ絶望学園


3: 2013/08/10(土) 15:19:50.50 ID:Yiq08IB70
苗木「……ない」サワサワ

苗木「……ある」モミモミ

苗木「ああ、わかったぞ! これは夢なんだ!」

苗木「よし寝よう!」

……………

苗木「おかしい……」

苗木「というか夢にしては鮮明すぎる……」

苗木「……」

コンコン

苗木「!ひゃい!」

舞園「苗木くん? 良かったあ……みんな起きて来てるのに苗木くんだけ来ないから何かあったのかと思ってしまって……」

苗木「あ、う、うん。大丈夫!」

舞園「それでは、みんな待ってるので来てくださいね?」

苗木「わ、わかったよ」

4: 2013/08/10(土) 15:22:14.70 ID:Yiq08IB70
苗木「ど、どうしよう……」

苗木「とりえず行くしかないか……」

《食堂》

舞園「苗木君! おはよ……う?」

ザワザワ

苗木「……」

霧切「ええと……どちら様かしら?」

苗木「……僕だよ」

6: 2013/08/10(土) 15:24:04.78 ID:Yiq08IB70
舞園「苗木くん……髪、少し伸びました?」

苗木「そ、そうだね」

朝日奈「何か声高くない?」

苗木「ちょ、ちょっと風邪引いちゃって……ごほんごほん……あはは」

霧切「胸に詰め物をしているのは何のお遊び?」

苗木「な、なんとなく……」

セレス「……」モミッ

苗木「ひゃあぁっ! な、何するのセレスさん!」

セレス「……詰め物ではなく本物ですわね」

一同「…………」

8: 2013/08/10(土) 15:25:25.39 ID:Yiq08IB70
葉隠「ほ、ホントに苗木っちなのか? なんつーか、その……」

不二咲「かわいい……」

桑田「……ごくり」

大神「まあ……元々可愛らしい顔立ちをしてはいたが……」

苗木「も、もう大神さんまで!」

モノクマ「おまえらって酷い奴だねぇ、友達の顔を一日で忘れるなんて」

腐川「ぎゃああ! い、いつのまにいんのよあんた!」

モノクマ「苗木くんがあんまりにも不幸で可愛そうで見てらんないから来ちゃった。うぷぷ」

モノクマ「ぶっちゃけ、そこにいるのは正真正銘、苗木誠くんでーす!」

10: 2013/08/10(土) 15:26:29.70 ID:Yiq08IB70
モノクマ「朝起きたら女になってる……全世界の男子の夢だよねぇ。エクストリーム! だね!」

苗木「少なくとも僕は夢見たことないよ……」

石丸「モノクマ! これも君の仕業なのか!?」

モノクマ「さぁねぇ。どうだろうねぇ」

葉隠「ぜってーこいつの仕業だべ……」

苗木「は、早く元に戻してよ!」

モノクマ「どうしよっかなー。おまえらがコロシアイ始めたら考えてやろうかなー。うぷぷぷぷ」

苗木「っ! お前……!」

11: 2013/08/10(土) 15:27:25.81 ID:Yiq08IB70
モノクマ「まあ、元に戻る薬は絶賛開発中! だから楽しい楽しいコロシアイでもして時間潰してなよ。それじゃねー」

苗木「あっ! ま、待て!」

苗木(くっ……もしかして『動機作り』なのか……?)

苗木「っ! みんな! 頃し合いなんて絶対ダメだからね!」

一同「……」

苗木「? みんな?」

桑田「ああ、言われなくてもやらねぇけど」

山田「むしろ維持でもやらない。させない」

苗木「えー……」

12: 2013/08/10(土) 15:28:54.97 ID:Yiq08IB70
セレス「少なくとも動機にはなり得ませんわね」

不二咲「かわいい……」

大和田「別にこのままでもいいんじゃねぇか?」

石丸「し、しかし困っている友人を見捨てるのもどうかと……い、いや、だが頃し合いが起きるのは避けねば……むむむ」

葉隠「まあ、今困ってんのは苗木っちだけだしな。別にこのままでもいいべ」

苗木「ひどい!」

13: 2013/08/10(土) 15:30:07.04 ID:Yiq08IB70
十神「そんなことより苗木。お前は今、自分が置かれている状況を理解しているか?」

苗木「え? ま、まあ……性転換なんて理解しがたいけど……」

十神「そうじゃない。モノクマは『コロシアイが起きたらお前を元に戻す』と言ったんだ」

山田「戻すとは言ってない、ですぞ」

十神「どちらでもいい。そして、お前以外は全員お前が元に戻ることを望んでいないか、どうでもいいと思っている」

苗木「え? そうなの……?」

一同「……」

苗木「泣いていいかな」

14: 2013/08/10(土) 15:31:15.10 ID:Yiq08IB70
十神「つまりだ。今、人を頃す動機があるのは……苗木、お前だけだ。『男に戻る』という動機がな」

苗木「!! ちょ、ちょっと待ってよ! 僕は……」

舞園「苗木くんはそんなことで人を頃したりしません!」

朝日奈「そ、そうだよ! そんなことで殺人起きてたらキリ無いよ!」

セレス「そんなことで殺人を起こす度胸が彼……彼女にあるとは思えませんわね」

苗木「そこまで言われると流石に否定したくなるよ……」

石丸「な、苗木くん!?」

苗木「え? あっ! 違う! 人頃しなんてしない! しないよ!」

十神「ふん、どうだかな……俺は可能性の話をしているだけだ」

15: 2013/08/10(土) 15:32:39.47 ID:Yiq08IB70
腐川「白夜さm……十神くんの言うとおりよ! この女、どこかに拘束しておきましょうよ!」

苗木「うぅ……」

不二咲「そ、それは流石にかわいそうだよ……」オロオロ

大神「……では、苗木の単独行動を禁ずれば良いのではないか?」

大和田「常に誰かと一緒にいさせるってことか?」

朝日奈「交代で見張り役する、みたいなことかな」

霧切「……まあ、妥当な案ね」

17: 2013/08/10(土) 15:33:42.86 ID:Yiq08IB70
大神「無論、苗木のことを疑っている者は参加せずとも良い」

大神「我は苗木を信じている。そして、困っている苗木を放っておくこともできん」

苗木「お、大神さん……!」ウルウル

大神「苗木は生活しづらくなるかもしれんが……良いか?」

苗木「う、うん。それでみんなが安心できるなら……」

霧切「見張り役は一日交代が適切かしらね。私も協力させてもらうわ」

桑田「俺も!」バッ

山田「拙者も!」バッ

桑田山田(女の子と一日一緒にいられると聞いて)

葉隠「おめぇら……欲望に忠実すぎるのも考え物だべ……」

18: 2013/08/10(土) 15:34:46.50 ID:Yiq08IB70
大和田「お前等、中身は苗木だぞ……」

山田「私は一向に構わんッッ!!」

桑田「なんとか脳内で見知らぬ女の子に変換してみせるわ」

苗木「桑田くん!?」

桑田「へへっ、冗談冗談」

石丸「もちろん、僕も協力するぞ! 共に元に戻る方法を探そうではないか! 苗木くん!」

不二咲「ぼ、僕も!」

セレス「面白そうなので、私も参加しますわ」

葉隠「つーか、もう全員参加で良いべ」

19: 2013/08/10(土) 15:36:08.46 ID:Yiq08IB70
舞園「当番制にするんですね? 順番はどう決めるんですか?」

葉隠「んじゃ、いっちょ俺がおみくじでも作ってやるべ!」

セレス「何やら胡散臭いので遠慮しますわ」

朝日奈「じゃんけんでいいよ」


<ジャーンケンホイ アーイコデショ


苗木(なんか……みんなが楽しそうに見えるのは気のせいかな……)ポツン

十神「……苗木、ちょっとこっちに来い」

苗木「? 十神くん?」

20: 2013/08/10(土) 15:37:12.75 ID:Yiq08IB70
苗木「十神くん、じゃんけんしなくていいの?」

十神「どうでもいい。余っている順番で良いと言ってきた」

十神「それより、お前はどうやら俺の言いたかったことを理解していないようだな」

苗木「え?」

十神「動機があるのはお前だけだと言ったな。裏を返せば、お前が殺人を犯す可能性が極めて低いと言うことだ」

十神「そんな状況で人を頃すのは余程の間抜けか狂人だ。お前はそのどちらでもない」

苗木「うん……あれ? 今褒めてくれた?」

十神「茶化すな。氏にたいのか」

22: 2013/08/10(土) 15:38:20.00 ID:Yiq08IB70
十神「だが仮に、殺人が行われたとする」

苗木「し、しないよ! 絶対しない!」

十神「最後まで聞け。仮に、『お前の犯行ではない』殺人が起きたとする。しかしアリバイのない容疑者は複数いて、そこにお前が含まれていたとする」

十神「疑われるのは誰だ?」

苗木「……」

十神「回りくどい言い方をやめてやる」

十神「お前は今、罪をなすりつけるのにうってつけの人物だと言うことだ」

23: 2013/08/10(土) 15:39:48.49 ID:Yiq08IB70
苗木「そ、そんな……」

十神「だが、命拾いしたな」

苗木「え……?」

十神「どこまで鈍いんだお前は……」

十神「見張り役が常にお前の横にいるんだ。つまり、お前のアリバイはお前が女である限り保証されるということだろう」

苗木「あ、そっか……」

24: 2013/08/10(土) 15:40:53.99 ID:Yiq08IB70
苗木「……ねぇ、十神くん。もしかして、君はそのためにみんなの前であんな話を……?」

十神「俺が苗木の為に動いたとでもほざくつもりか?」

苗木「い、いや……もしかしたらって……だとしたらお礼を言わないと……」

十神「勘違いするな。俺はただ、この状況で頃し合いが始まっても面白くないと思っただけだ」

十神「それに、見張り当番のことを言い出したのは大神だ。礼なら奴にでもくれてやれ」

苗木「十神くん……」

十神「……その気色悪い目をやめろ」

25: 2013/08/10(土) 15:41:49.95 ID:Yiq08IB70
十神「……最も、あそこでジャンケンに興じているやつらは別のことで頭がいっぱいになっているかもしれんがな」

苗木「? どういうこと?」

十神「奴らが持っている当番表、何と書いてあったか教えてやろうか」

苗木「な、何?」

十神「……『誠ちゃん独り占め当番表』、だ」

苗木「………………」

十神「………………」

26: 2013/08/10(土) 15:42:37.53 ID:Yiq08IB70
苗木「………………」

十神「なんだその目は。文句は奴らに言え。主に山田に」

苗木「十神くん、何だか猛烈に自頃したいよ僕は……」

十神「ふん……やるなら上手く他殺に偽装して自頃するんだな。でないとつまらん。じゃあな」スタスタ

苗木「………………」ズーン

腐川「苗木ィィィ」

苗木「ひゃあっ! ふ、腐川さん……」

27: 2013/08/10(土) 15:43:34.49 ID:Yiq08IB70
腐川「何白夜様と楽しく会話してんのよぉぉぉ!」

苗木「あんまり楽しい会話じゃなかったよ……」

腐川「うるさい! この髪か! このサラサラヘアーが白夜様を!」

腐川「それとも乳か! この乳で白夜様をたぶらかそうとしてんのかぁぁぁ!」ガバッ

苗木「あっ、あっ……ふ、腐川さ……やめてぇぇぇぇ……」


山田桑田「……」グッ

大和田「お前等何余所見してんだ? 後出しで負けな」

山田桑田「あっ……」

28: 2013/08/10(土) 15:44:33.73 ID:Yiq08IB70
《苗木の部屋》

苗木「うぅ……酷い目にあった……」

苗木「はぁ……これからどうなるんだろ……」

苗木「頃し合いが起きなかったら……このまま……イヤだなぁそんなの……」

苗木「……なんかスースーする……落ち着かない」

コンコン

苗木「?」

29: 2013/08/10(土) 15:45:53.79 ID:Yiq08IB70
苗木(……今日の見張り役が来たのかな)

ガチャ

舞園「その通りですよ、誠ちゃん!」

苗木「…………」

舞園「?」

苗木「な、何がその通りなの?」

舞園「ですから、今日の見張り役が来ました!」

舞園「心の声は筒抜けです。エスパーですから」ドヤッ

苗木「そ、そう……」

30: 2013/08/10(土) 15:46:43.28 ID:Yiq08IB70
舞園「……元気ないですね」

苗木「そりゃ、こんなおかしなことになってて元気な方が不思議だよ……」

苗木「後、誠ちゃんって……」

舞園「イヤでした?」

苗木「イヤじゃないけど……な、何か恥ずかしいよ……」カアァ

舞園「」キュン

舞園「抱きしめていいですか」

苗木「へ?」

舞園「何でもないです。エスパーですから」

苗木「な、何かおかしいよ舞園さん」

31: 2013/08/10(土) 15:47:40.52 ID:Yiq08IB70
舞園「それより、今日は誠ちゃんにプレゼントを持ってきました」

苗木「プレゼント?」

舞園「はい! じゃーん、私のスカートと下着です! あげます!」

苗木「」

舞園「? 誠ちゃん?」

苗木「い、いやいやいやいや」

苗木「そんなものもらえるわけないでしょ!」

舞園「! そ、そんなものって言われた……」ガーン

苗木「そ、そういう意味じゃなくて……」

32: 2013/08/10(土) 15:49:29.12 ID:Yiq08IB70
舞園「ちゃんと洗ってあるから大丈夫ですよ?」

苗木「そういう問題でもないよ……」

舞園「まあまあ遠慮しないでください」

舞園「そうだ! 着替え手伝いますよ!」ガシッ

苗木「手伝うだけなら羽交い締めにしなくても良いんじゃないかな!?」

舞園「題して『苗木誠改造計画』ー♪ さぁ、脱ぎ脱ぎしましょー」ガバッ

苗木「あぁぁぁ待って待って! わかった自分で着替えるから! ま、舞園さ……」


<アッー

33: 2013/08/10(土) 15:50:20.98 ID:Yiq08IB70
舞園「ふぅ……」ツヤツヤ

苗木「うぅ……またしても酷い目にあった……」

舞園「スカート似合ってますよ! かわいい!」

苗木「もうちょっと長いスカート無かったの? 舞園さん……」

舞園「パーカーが良い味出してます!」グッ

苗木「無視しないで舞園さん……」ウルウル

舞園「抱きしめていいですか」

苗木「!?」

舞園「ごめんなさい、つい。エスパーなもので」

苗木「エスパーは何の免罪符にもならないよ……」

35: 2013/08/10(土) 15:51:24.31 ID:Yiq08IB70
舞園「じゃあさっそくみんなに見せびらかしに行きましょう!」

苗木「えぇ!? イヤだよ! これ、僕にとっては女装と何も変わらないからね!?」

舞園「女の子が女の子の恰好しただけです! 誰も笑いません!」

舞園「元に戻るまでの間だけですよ? こんなことできるの」

苗木「ま、まあそうだけど……いや、そもそもやろうと思ったことない……」

舞園「じゃあ、食堂にレッツゴー!」

苗木「わわっ、引っ張らないで……」

苗木(……舞園さん、楽しそうだな……)

舞園「?♪」

苗木(まあ、これはこれで……)

36: 2013/08/10(土) 15:52:11.58 ID:Yiq08IB70
朝日奈「うわあぁぁ苗木かわいいねぇ」

セレス「パーカーとアンテナが無ければ誰だかわからないほどに女の子してますわね、苗木"さん"?」

大和田「ぶはははは! 似合いすぎだろ苗木ぃ!」

舞園「もう! 笑っちゃダメです大和田くん!」プンスカ

苗木(へ、部屋に帰りたい……)



山田「どうです桑田殿? あのミニスカの破壊力たるや……」

桑田「すげぇな……舞園と並ぶとまさに聖域だな」

山田「うむ」

桑田「ホームベースみたいな白さだな……今すぐあそこにスライディングしてぇ」

山田「その喩えはどうかと思いますぞ」

37: 2013/08/10(土) 15:53:23.09 ID:Yiq08IB70
舞園「じゃ、戻りましょうか誠ちゃん」

苗木「え? も、もういいの?」

朝日奈「えー? もう部屋帰っちゃうの? おやつでも食べていけば良いのに」

舞園「ふふっ、今日一日誠ちゃんは私のものですから。二人っきりを楽しみます」ギュッ

苗木「ちょ、ちょっ……舞園さん……」

セレス「貴女もよくよく罪な女ですわね、苗木さん?」クスクス


桑田(許せる)

山田(ごちそうさまですな)


江ノ島「……」モグモグ

38: 2013/08/10(土) 15:54:32.63 ID:Yiq08IB70
《舞園の部屋》

苗木(舞園さんの部屋……すごく良い匂いがする……)

舞園「……」ニコニコ

苗木「あ! ご、ごめん! 女の子だからそういうところにも気を使ってるんだなぁと思って! 決して変な意味じゃ……!」ブンブンブン

舞園「私は何も言ってませんよ?」

苗木「……」

舞園「誠ちゃんの部屋は誠ちゃんの匂いがして素敵な空間でした」

苗木「も、もう!」

40: 2013/08/10(土) 15:55:33.92 ID:Yiq08IB70
………………

…………

……

舞園「────それで、向こうのプロダクションのアイドルたちと仲良くなって、動物園行ったりラーメン食べに行ったりしたんですよ。楽しかったなぁ」

苗木「へぇぇ……何か良いね、そういうの」

苗木(ラーメンは意外だけど……)

舞園「ふふっ……ここを出たら、誠ちゃんともお出かけしたいです」

苗木「その頃には元に戻ってると信じたいよ……」

舞園「ええ……苗木くんとお出かけしたいです」

苗木「……」ドキドキ

舞園「あっ、も、もうこんな時間でふね!」アセアセ

苗木(噛んだ……)

41: 2013/08/10(土) 15:56:18.50 ID:Yiq08IB70
苗木「そうだね。もうすぐ夜時間だし、自分の部屋に……」

舞園「? 何言ってるんですか?」

苗木「へ?」

舞園「泊まっていくんですよ。私の部屋に」

苗木「」ピシッ

舞園(誠ちゃんが石化した……)

42: 2013/08/10(土) 15:57:05.37 ID:Yiq08IB70
舞園「みんなと話し合った結果です! 苗木くんのアリバイを確実にするためですから」

苗木「き、気持ちはありがたいけど……その……良いの?」

舞園「はい。誠ちゃんを信じてますから」

苗木(……それって裏を返せば、僕を男として見てないってことだよなぁ……はぁ)

舞園「少なくとも今は女の子ですから♪」

苗木「そうだね……あはは」

舞園「じゃあ、パジャマに着替えるので向こう向いててもらえますか? さすがに着替えを見られるのは恥ずかしいので……」モジモジ

苗木「基準がわからないよ舞園さん……」

43: 2013/08/10(土) 15:57:57.91 ID:Yiq08IB70
………………

…………

……

舞園「すぅ……すぅ……」

苗木(ベッドが一つしかないからこうなるのはわかってたよ……うん)

苗木(床で寝るって言ったのに……許してくれなかった……ぐすん)

舞園「まこ……ちゃん……かわいすぎ……ふふふ……」

苗木「…………」

44: 2013/08/10(土) 15:58:40.27 ID:Yiq08IB70
苗木「はぁ……できれば男としてここに居たかったなぁ……なんて」

舞園「なえぎ……く……ん」

苗木(い、息が……)ドキドキ

舞園「私が……守って……むにゃ……」

苗木(! ありがとう、舞園さん……)

舞園「エスパー……れすから……すぅ……」

58: 2013/08/10(土) 20:56:13.12 ID:584JTECV0
《翌日 食堂》

苗木(一睡もできなかった……)

舞園「ごめんなさい……落ち着けなかったですか?」

苗木「ま、舞園さんのせいじゃないよ。なんか寝付けなくて……あはは」

舞園「そうですか……」

舞園「じゃあ、私の当番はここまでです。また2週目でたくさんお話しましょうね!」

苗木「2週目って……僕半月以上女のままってことに……」

59: 2013/08/10(土) 20:57:37.80 ID:584JTECV0
………………

…………

……

大和田「よぉ苗木。今日の当番は俺だ。よろしくな」

苗木「よろしく、大和田くん」

大和田「…………はぁ」

苗木「大和田くん、どうかしたの?」

大和田「いや……体育館でのこと思い出してよ」

苗木「?」

大和田「くそっ……女にゃ手を上げねぇって心に誓ってたのによ……マジで悪かった……」

苗木「いや、あのとき僕男だったからね」

60: 2013/08/10(土) 20:59:35.71 ID:584JTECV0
大和田「何か償いをしなくちゃ気がすまねぇ! 俺にできることがあったら何でも言ってくれ!」

苗木「だ、大丈夫だよ。気にしてないから」

苗木「大和田くんが私のこと思ってくれてるだけで充分だから、ね?」

大和田「……」ボー

苗木「? 大和田くん?」

大和田「やめろ! 俺にそっちの趣味はねぇ!」

苗木「大和田くん!?」

大和田「はっ……わ、わりぃ、取り乱した……」

苗木「う、ううん、大丈夫」

大和田(ん? 何か今……おかしかったような……?)

61: 2013/08/10(土) 21:01:38.38 ID:584JTECV0
大和田「なぁ、苗木。お前……」

苗木「それより、朝ご飯食べない? 僕、お腹空いちゃって」

大和田「お、おう……」

大和田(気のせいか……?)

………………

…………

……

大和田「で? 舞園との夜はどうだったよ。やることやったのか?」ニヤニヤ

苗木「な、何もないよ! あるわけないでしょ!」

大和田「まあ、やるにしてもモノがねーもんな……」

苗木「朝からやめようよ……そういう話」

62: 2013/08/10(土) 21:08:01.98 ID:xH5ZmFD70
苗木「はぁ……」

大和田「お前、溜め息ばっかついてっとあれだ……ええと、氏ぬぞ?」

苗木「氏ぬの!?」

大和田「間違えた。幸せが逃げんぞ。ま、少しばかし逃げても大丈夫か。なんたって超高校級の幸運だもんな」グビグビ

苗木「今自分の不幸を噛みしめてる真っ最中だけど……」

大和田「ま、あんま深刻になんなよ。その内戻れんだろ」モグモグ

大和田「俺もできる限り協力するからよ。まあ……その代わり、なんかしら見返りを要求すっかもしれねぇけどな」ニヤリ

苗木「えっ! ま、まさか身体でとか……」ザッ

大和田「そ、そういう意味じゃねぇ! 身をよじんな!」

63: 2013/08/10(土) 21:09:01.17 ID:xH5ZmFD70
《廊下》

苗木「そういえば大和田くんって自由時間は何してるの?」

大和田「基本、体動かしてるな。桑田とキャッチボールしたり、大神と筋トレしたり、山田でサッカーしたり」

苗木「ふーん……」

大和田「バイクがありゃバイクいじって時間潰せんだけどよ……」

苗木「あ、バイクじゃないけどそれっぽいものならこの前手に入れたよ」

大和田「マジか!?」

苗木「うん。僕の部屋にあるから取りに行こっか」

64: 2013/08/10(土) 21:11:14.76 ID:xH5ZmFD70
苗木「はいこれ」

大和田「……なんだこれ」

苗木「? ローラースリッパ」

大和田「バイクの要素がねぇ!!」スパーン

苗木「あぁっ! そんな強く地面に叩きつけたら壊れちゃう!」

大和田「タイヤだけだろーが! これのどこいじれってんだよ!」

苗木「ちゃ、ちゃんと走れるよ」

大和田「ナメてんのかおらぁっ!!」

苗木「ひぃっ!」ビクッ

大和田「! わ、わりぃ……」

苗木「う、うん……」

65: 2013/08/10(土) 21:12:54.27 ID:xH5ZmFD70
苗木「あ、あんまり気に入ってもらえなかったみたいだからこれはしまっておくね……」

大和田「……待て。よこせ」

苗木「?」

大和田「……意外に安定すんじゃねぇか」

苗木(渡しといてアレだけど、スリッパにローラーって……)

大和田「おっし。背中に乗れ、苗木」

苗木「へ?」

大和田「久しぶりに風になってやんよ」

66: 2013/08/10(土) 21:14:59.65 ID:xH5ZmFD70
大和田「ヒャッハー! "待"ってたぜ! この"瞬間"をよォ!!」

ゴォォォォォ

苗木「ひぃぃぃぃっ! なんでこれこんなスピード出るの!? エンジンでもついてるの!?」

大和田「振り落とされんなよ苗木ぃ! 後喋ってると舌噛むぞ!」

苗木「!」コクコク

大和田「なんかノってきたから模擬刀取りに行くぞ!! 六本くらい!」

苗木「何に使う気!?」

大和田「レッツパーリィだ! ヒャッハー!」

ゴォォォォォ

67: 2013/08/10(土) 21:15:58.93 ID:xH5ZmFD70
《夜 大和田の部屋》

苗木「……」グッタリ

大和田「まあ、その、なんだ……」

大和田「悪かった」

苗木「生きた心地がしなかった……」

苗木「階段の上から大ジャンブしたときはさすがに『氏んだな』と思ったよ……ねぇ、『ファントムダイッ』ってなんの……」

大和田「あれは忘れてくれ。なんか憑かれてたんだ、俺」

苗木「そう……元気いっぱいで疲れてるようには見えなかったけど」

68: 2013/08/10(土) 21:25:38.20 ID:Yiq08IB70
苗木「まあ、僕も疲れたからもう寝るよ……」

大和田「おう……」

苗木「よいしょ……」ヌギヌギ

大和田「ま、待てこら苗木こらぁぁぁ!!」

苗木「!?」ビクッ

大和田「何いきなり脱ぎ始めてんだおめぇはぁぁぁ!!」

苗木「う、上着脱いだだけだよ!」

大和田「そうか……」

苗木「うん……」

69: 2013/08/10(土) 21:27:06.29 ID:Yiq08IB70
苗木(スカートってホント落ち着かないなぁ……)

大和田「……」

苗木(下着も変な感じだし……パンツはともかく、上は付けなくていいんじゃないかな……)

大和田「……」

苗木「あ、大和田くん。僕、床で寝るからベッドに……」

大和田「苗木、頼みがある」

苗木「?」

大和田「俺を縛ってくれ」

苗木「…………へ?」

70: 2013/08/10(土) 21:29:11.48 ID:Yiq08IB70
苗木「あの……大和田くん? 生憎だけど僕にそういう趣味は」

大和田「俺もねぇよ! 勘違いすんな!」

苗木「じゃあどうして……」

大和田「……さすがに俺の横じゃお前も安心して眠れねぇだろ」

大和田「俺が部屋の外で見張りすりゃ良い話だが、それだと俺のアリバイが無くなっちまう」

大和田「だから、おれをドアの近くに縛り付けとけ。そうすりゃ俺はお前に何もできねぇし、お前も部屋から出られねぇ」

71: 2013/08/10(土) 21:32:29.03 ID:Yiq08IB70
苗木「そんな! 僕は平気だから! 大和田くんのこと信用してるよ!」

苗木「……大和田くんは僕が殺人なんかしないって信じてくれたから見張り役に参加してるんでしょ? だったら、僕も大和田くんを信じるよ! 殺人なんかしないって!」

苗木「だから……」ウルウル

大和田「」

大和田「いや、マジで頼む。このままだと最悪、殺人以外の何かが起きる」

苗木「……?」

72: 2013/08/10(土) 21:34:57.75 ID:Yiq08IB70
………………

…………

……

苗木「ほ、ホントにこれでいいの?」

大和田「男に二言はねぇ」

苗木「……ありがと、大和田くん」

大和田「とっとと寝ろ!」

苗木「う、うん。じゃあ、おやすみ」

苗木「……」モゾモゾ

73: 2013/08/10(土) 21:37:04.40 ID:Yiq08IB70
大和田(ああ、くそっ……苗木を負ぶったときの感触がやけに残ってやがる……)

大和田(! お、おいおい手の縄が解けてんじゃねぇか! 苗木の奴手加減しやがったな!)

大和田(落ち着け……なんかわかんねぇけど数字を数えて落ち着くんだ……1、2、3、4……)

苗木『ありがと、大和田くん……』

大和田(ぐあぁぁぁ落ち着け俺ぇぇぇ!!)

大和田(兄貴! 俺に堪える強さをぉぉぉ!!)

大和田「うおおぉぉぉぉっ!!!」

苗木「!? 大和田くん、大丈夫!?」ガバッ

大和田「うるせぇ!! 何でもねぇから寝てろやごらぁぁ!!」

苗木「えー……」モゾモゾ

大和田「待てまだ寝んじゃねぇ!! もっときつく縛りやがれ!!」

79: 2013/08/10(土) 21:57:10.17 ID:Yiq08IB70
不二咲「? 今、なんでガッツポーズを……?」

苗木「なんとなく。それより、ごめんね……こんなことに巻き込んじゃって」

不二咲「苗木くんは何も悪くないよ。みんな苗木くんのことが心配でやってるんだから、迷惑なんて思ってないよ」

苗木「みんなが……僕の為に……」

不二咲「うん。霧切さんや十神くんは、化学室とか図書館で苗木くんを元に戻す方法を探してくれてるみたいだよ」

80: 2013/08/10(土) 22:06:31.59 ID:z9ZvXxJL0
不二咲「後、葉隠くんが苗木くんのことを占ってくれたみたい。さっそく読むね」

苗木(それは正直どうでも良いなぁ……)

不二咲「ええと、『女難の相が出てるべ! 女にまつわるドでけぇ災難が苗木っちを襲うみたいだから、覚悟しとけよ!』」

苗木「遅いよ! 今、その真っ最中だよ!!」パシーン

不二咲「」ビクッ

81: 2013/08/10(土) 22:09:32.02 ID:z9ZvXxJL0
不二咲「……なんか、ごめんね……」

苗木「不二咲さんが謝ることじゃないよ……葉隠くん……も別に悪くはないし」

不二咲「と、とりあえず朝ご飯にしよっかぁ」

苗木「そうだね……ふわぁ」

不二咲(? 眠そうだなぁ……)

82: 2013/08/10(土) 22:11:36.94 ID:z9ZvXxJL0
苗木「不二咲さんは自由時間に何してるの?」

不二咲「うーん……視聴覚室のパソコンをいじったり、たまに図書館で本読んだり……」

不二咲「あ、最近はもっぱら苗木くんを元に戻す方法を探してるよ!」

苗木「不二咲さん……ありがとう」ウルウル

不二咲「えへへ……な、泣くほどのことじゃないよぉ」

苗木「な、なんか最近涙もろくて……」

不二咲「ふふっ……」

苗木(不二咲さんかわいいなぁ……)

不二咲(苗木くんかわいいなぁ……)

84: 2013/08/10(土) 22:19:10.34 ID:F7MCnpgd0
不二咲「でも、視聴覚室のパソコンには役に立ちそうなデータは無かったんだよね……」

苗木「そっか……」

不二咲「自分のパソコンがあればもっと色々できるんだけど……うぅ……僕、いつもこうなんだ……肝心なときに役に立てなくて……」

苗木「不二咲さん……」

不二咲「結局、誰かに頼らないと何もできないから……今回だって、苗木くんの力になれずに終わる気がして……」

苗木「……」

不二咲「あ……ご、ごめんね! こんなときに……ぼ、僕がんばるから……」

苗木「……それは違うよ」

85: 2013/08/10(土) 22:21:19.93 ID:F7MCnpgd0
不二咲「え……?」

苗木「不二咲さんはもう充分僕の力になってくれてるよ。一緒に、側に居てくれるだけで」

不二咲「……」ドキドキ

苗木「それに今じゃなくても、不二咲さんはいつかどこかで、僕たちを助けてくれる……そんな気がするんだ」

不二咲「そう、かな……そうだといいな……」

86: 2013/08/10(土) 22:27:40.91 ID:F7MCnpgd0
不二咲「えへへ……なんか元気出てきたよぉ」

苗木「ふふっ……良かった」

不二咲「ホントは僕が励まさないといけないんだけど……」

苗木「大丈夫だよ。不二咲さんと話してたら僕もなんだか元気出てきたし」

不二咲「ほ、ホント? 良かったぁ」

苗木「それより、これからどうする?」

不二咲「うーんと……ど、どうしよう……」

不二咲「……あっ! そうだ! 山田くんから役に立ちそうな情報が聞けたんだよ!」

苗木「? 山田くんから?」

87: 2013/08/10(土) 22:29:57.29 ID:F7MCnpgd0
苗木(なんだろう……あんまり役に立つ情報じゃない気がする)

不二咲「えっとね。中国に霊験あらたかな泉があって、そこに飛び込んだ男の人は女になっちゃうんだって」

苗木「わぁ、案の定だ」

不二咲「?」

苗木「いや、何でもないよ」

苗木「その泉が存在したとして、中国どころかここから出られないからどうしようもないよ……」

不二咲「でもモノクマがその泉の効能を使ったんだとして、その仕組みがわかれば何か手がかりになるかもしれないよ!」

苗木(本気で信じてる不二咲さんを見てると……否定しづらい)

88: 2013/08/10(土) 22:32:01.92 ID:F7MCnpgd0
《視聴覚室》

不二咲「うーん……図書館にもパソコンの中にも、その泉に関する情報は無いみたいだね……」

苗木(ぶっちゃけ、マンガコーナーにあるからね……)

不二咲「うぅ……収穫無しかぁ……」ズーン

苗木「気を落とさないで、不二咲さん。ゆっくり探せばいいよ」

不二咲「うん……あれ?」カチカチ

苗木「? どうしたの?」

不二咲「データファイルが、一つ増えてる……」

89: 2013/08/10(土) 22:33:29.33 ID:F7MCnpgd0
不二咲「昨日までこんなファイル無かったはず……」

苗木「何のデータか見れる?」

不二咲「二つのデータが入ってるみたい。一つは……ロックがかかってる。無理矢理開けるにはすごく時間がかかりそうだね……」

不二咲「もう一つは……ゲームのデータ?」

モノクマ「こらー!」

不二咲「きゃあっ!」

苗木「ひぃっ! も、モノクマ!」

90: 2013/08/10(土) 22:35:11.50 ID:F7MCnpgd0
モノクマ「あれあれ? どうしたの? 2人して女の子みたいな悲鳴あげちゃって」

苗木「一応2人とも女だよ……」

モノクマ「え? あぁ、そうか。そんな感じだったね。失敬失敬」

苗木「……何しに来たの?」

モノクマ「おまえらが僕のプライベートフォルダを覗こうとしてるからオシオキに来たんだよー!」

不二咲「ぷ、プライベートフォルダ?」

モノクマ「そうだよ! こんなの見られたら恥ずか氏しちゃう……社会的にも氏んじゃう……はぁはぁ」

91: 2013/08/10(土) 22:39:51.11 ID:F7MCnpgd0
苗木「待ってよ! 別に校則は違反してないよ! 『校内での調べ物や探索は自由、特に行動に制限はない』でしょ?」

モノクマ「むむむ、確かに」

モノクマ「じゃあ勝手に見ればいいよ。後悔しても知らないぞー! うぷぷぷぷ」

不二咲「ねぇ、モノクマ。このロックがかかってるファイルは何が入ってるの?」

モノクマ「えー、それ聞いちゃう? 聞いちゃう? まあいいけど。ぶっちゃけ、不二咲さんの想像通りのものだよー」

不二咲「……やっぱり、苗木くんに関するデータなんだね」

苗木「え……?」

92: 2013/08/10(土) 22:43:39.76 ID:F7MCnpgd0
モノクマ「中見たいなら無理矢理ハッキング上等だけど。スーパーコンピュータ使っても何年かかるかわからないよ?」

モノクマ「開け方教えてやってもいいよー? でも、条件があります!」

苗木「条件?」

モノクマ「そのファイルの中のゲームをクリアしたら教えてあげまーす」

不二咲「……本当だね?」

モノクマ「うんうん。僕は嘘は嫌いだからねー。うぷぷぷぷ」

93: 2013/08/10(土) 22:44:58.83 ID:F7MCnpgd0
苗木(どんなゲームだか知らないけど……不二咲さんと一緒ならきっと大丈夫……)

不二咲(やってみせる……苗木くんの力になるんだ……!)

モノクマ「まあ、R-18だから、ちょっと刺激が強いかもしれないけど」

不二咲「」

苗木「」

モノクマ「男女仲良く工口ゲーで教養を深めるのもいいよね! はぁはぁ」

苗木「ちょ、ちょっ……モノクマ」

モノクマ「じゃ、クリアしたらちゃんと見せに来てよね! 待ったねー」

94: 2013/08/10(土) 22:46:43.05 ID:F7MCnpgd0
《不二咲の部屋》

不二咲「じゃ、じゃあ始めるね……」

苗木「う、うん……」

苗木(あの後、モノクマがどこからともなくノートパソコンを持ってきた)

モノクマ『視聴覚室じゃいつ誰が来るかわからないもんね! あ、苗木さんはお母さんに対して『ノックしろよババア!』とか言っちゃうタイプ? それとも妹さんに見られてドン引かれるタイプ?』

苗木(モノクマを無視してゲームをインストールして部屋に持ち帰り……現在に至る)

97: 2013/08/10(土) 22:48:17.95 ID:F7MCnpgd0
不二咲「……」ドキドキ

苗木(ミステリー? ホラーゲームっぽい気もするけど……どっちにせよ"そういうシーン"はあるんだろうなぁ……)

Game Start

『あっ……んっ、ああっ……』←いきなり濡れ場

不二咲「ひゃああぁぁぁっ!」

苗木「なんでぇぇぇぇっ!!」

98: 2013/08/10(土) 22:49:46.49 ID:F7MCnpgd0
苗木「な、謎解きアドベンチャーみたいだね……」

不二咲「そ、そうだね……」

…………………

『やだっ、やだぁ……ぁん……』←再び濡れ場

不二咲「ひぃぃぃぃぃ!!」

苗木「いやぁぁぁぁぁ!!」

…………………

『ふわぁぁっ……良い、良いよぉ……』←幾度目かの濡れ場

不二咲「きゃああぁぁぁぁ!!」

苗木「うわぁぁぁぁぁ!!」

…………………

『私……ホントは男、なの、にぃ……』←何十回目かの濡れ場

不二咲「またぁぁぁぁ!!」

苗木「あー! あー! Enter連打! Enter連打!」カシャカシャカシャ

100: 2013/08/10(土) 22:50:44.39 ID:F7MCnpgd0
苗木(なんだこれ……なんだこれ)グッタリ

不二咲(うぅ……もうやめたい……でも苗木くんのためにがんばらないと……)グッタリ

苗木「いつまで経っても慣れないね……」

不二咲「そうだね……」

苗木「今更だけど、山田くんを連れてきた方が良かったんじゃないかな……」

不二咲「……」

苗木「……」

101: 2013/08/10(土) 22:51:52.59 ID:F7MCnpgd0
………………

…………

……

《深夜 不二咲の部屋》

Game over

苗木「え? ゲームオーバー?」

不二咲「ううん。これでゲームクリアのはずだよ……他にルート分岐は無かったと思う」

苗木「なんかスッキリしないね……」

不二咲「うん……このゲーム、かなり謎を残したまま終わるゲームみたいだね」

苗木不二咲(まあ、ほとんど内容が頭に入ってこなかったけど……)

104: 2013/08/10(土) 22:56:50.81 ID:F7MCnpgd0
苗木「とにかく、明日このゲームをモノクマに見せよう」

不二咲「うん……何だかすごく疲れたね……」

苗木「そうだね……もう寝ようか」

不二咲「うん。じゃあ、おやすみ苗木くん」モゾモゾ

苗木「おやすみ、不二咲さん」モゾモゾ

不二咲「……」

苗木「……」

苗木不二咲(何も考えずに同じベッドに寝ちゃった……)

106: 2013/08/10(土) 22:58:59.76 ID:F7MCnpgd0
苗木(でも……なんだか不二咲さん相手だと舞園さんほど緊張しないな……)

苗木(別に不二咲さんを女として見てないわけじゃないけど……なんていうか安心するっていうか……ほっとするっていうか……)ウトウト

不二咲「苗木くん……」ギュッ

苗木「? 不二咲さん……?」

不二咲「ごめん……少し、このままでいさせて……?」

苗木「い、良いけど……」ドキドキ

不二咲「ごめんね……」

苗木「?」

苗木(そのまま僕は眠りに落ちた。その間、不二咲さんはずっと僕の腕に身体を寄せていた)

107: 2013/08/10(土) 23:00:24.66 ID:F7MCnpgd0
《翌日 食堂》

不二咲「苗木くん、昨日はよく眠れた?」

苗木「うん。バッチリだよ」

不二咲「良かったぁ……僕がずっとしがみついてたから、邪魔で眠れなかったんじゃないかって……」

苗木(暖かくて柔らかかった……)

不二咲「じゃあ、僕モノクマにアレを見せに行ってくるね」

苗木「? モノクマなら呼べばここにも現れるんじゃ……」

不二咲「さ、さすがにここで見せるのは恥ずかしいよぉ! みんなにも見られちゃう……」

苗木「そ、そうだね……」

108: 2013/08/10(土) 23:01:34.33 ID:F7MCnpgd0
不二咲「じゃあ、また後でね!」フリフリ

苗木(癒しの一日だった……あのゲームさえ無ければ)

セレス「アレだの見せるのは恥ずかしいだのと……随分怪しげな会話をしてますのね、苗木さん?」

苗木「きゃあぁぁっ! せ、セレスさん!」

セレス「あら。随分『誠ちゃん』が板についてきましたわね。良い悲鳴ですわ」

苗木「あ、あのねぇ!」

109: 2013/08/10(土) 23:02:28.57 ID:F7MCnpgd0
一旦ここまで
また後で

114: 2013/08/11(日) 00:25:26.42 ID:CtUAMMkX0
セレス「今日は私が見張り当番ですので、よろしくお願いしますわ」

苗木「……うん、よろしくね」

苗木(あぁ……今日は眠れない気がする)

セレス「先に行っておきますが、私はあなたが元に戻る方法を探すつもりはありませんので」

苗木「えー……」

セレス「私には十神くんや霧切さんや不二咲さんのような捜査能力は皆無です。なので、そちらは彼らに任せることにします」ニコニコ

苗木「単にめんどくさいだけ……じゃないよね?」

セレス「さあ、朝食に行きましょう」スタスタ

苗木「……」

115: 2013/08/11(日) 00:26:25.30 ID:CtUAMMkX0
セレス「あなたはいつまで経っても紅茶の煎れ方が下手ですわね……」

苗木「不器用で悪かったね……」

セレス「てっきり貴女は器用貧乏なタイプかと思っていたのですが」

苗木「なんたって取り柄が幸運しか無いからね……今となってはその取り柄すら怪しいもんだけど」

セレス「うふふ、その欠点の多さも貴女の魅力の一つかもしれませんよ?」

苗木「あはは……あんまり嬉しくないなぁ」

セレス「あら、残念。せっかく褒めてあげましたのに」

116: 2013/08/11(日) 00:27:26.33 ID:CtUAMMkX0
苗木「セレスさんって自由時間は……よく娯楽室にいるよね」

セレス「えぇ。あそこが一番落ち着くので」

苗木「娯楽室には手がかりは……無さそうだよね……」

セレス「でしょうね。何度も言いますが、私は探そうとも思っていませんし」

セレス「今の貴女も、なかなか可愛らしくて好きですから」ニコニコ

苗木(い、良いように弄ばれてる……)

117: 2013/08/11(日) 00:28:33.96 ID:CtUAMMkX0
《娯楽室》

セレス「さて、何をして遊びましょうか。トランプかボードゲームか……チェスでも花札でも何でも構いませんよ?」

苗木「何しても勝てる気がしないんだけど……」

セレス「では……囲碁でもしますか?」

苗木「囲碁かぁ……確かにまだやったことなかったね」

苗木「でも……ホントに幅広いね、セレスさんの守備範囲」

セレス「えぇ、以前賞金のかかったネット対戦の囲碁大会に出場したことがありますわ。結局、決勝で無勝負となりましたが」

118: 2013/08/11(日) 00:29:26.35 ID:CtUAMMkX0
苗木「無勝負?」

セレス「引き分けのことです。何度やっても長生で決着つかず……」

苗木「す、すごいね……」

セレス「今でも覚えています。ユーザーネーム"kai"……何者だったのでしょう……」ブツブツ

苗木(そ、そうとう悔しかったみたいだ……)

119: 2013/08/11(日) 00:31:07.65 ID:CtUAMMkX0
苗木「まあ、囲碁ならそこそこできるし……いいよ。やろっか」

セレス「お待ちください」

苗木「?」

セレス「何か賭けましょう。そうじゃないと、私は本領を発揮できませんので」

苗木「本領発揮しないでもらえるとありがたいんだけど……」

セレス「では、私が勝ったら『明日一日、私の用意した服を着る』、ということで」

苗木(ダメだ……反論の余地がない……というかかせてくれない)

苗木「わかったよ……じゃあ、僕が勝ったら?」

セレス「そうですわね……」

セレス「では、私が見つけた『手がかり』を教えるということで」ニコニコ

苗木「えっ!?」

120: 2013/08/11(日) 00:32:02.73 ID:CtUAMMkX0
苗木「セレスさん、手がかりを探す気は無いって……」

セレス「あら。私は『探す気が無い』だけで『見つけていない』とは一言も言っておりませんよ?」

苗木「……いじわる」ムスッ

セレス「……」

苗木「? セレスさん?」

セレス「苗木くん、貴方本当に……」

苗木「へ?」

セレス「……何でもありませんわ。さあ、ゲームを楽しみましょう」

121: 2013/08/11(日) 00:33:03.23 ID:CtUAMMkX0
………………

…………

……

苗木「…………」

セレス「『一日私の用意した服を着る』『一日女言葉で話す』『朝食時、みんなの前で華麗にターンを決める』……」

セレス「次は何を賭けましょうか?」

苗木「知ってた。勝てるわけがない」

セレス「まあ、囲碁に運の要素はありませんからね」

苗木「セレスさん、恥を忍んで頼みがあるんだけど……」

苗木「別のゲーム……ポーカーでもう一戦勝負してほしい」

セレス「本当に恥を忍んでますわね」

122: 2013/08/11(日) 00:34:07.83 ID:CtUAMMkX0
セレス「では、最後のチャンスといきましょう」シャッ シャッ

苗木(頼む……ここで発揮しなきゃいつ発揮するんだ、超高校級の幸運!)

セレス「……」パッ

苗木(来い!)パッ

苗木(……うん、知ってた)

苗木(ブタって……バラバラって……)

セレス(なんてわかりやすい……)

123: 2013/08/11(日) 00:36:13.28 ID:CtUAMMkX0
セレス「ノーチェンジで」

苗木「!?」

セレス「さ、どうしますか? 苗木さん?」ニコニコ

苗木「……5枚全部変えるよ」

苗木(もう一度賭ける! 僕の幸運に!)

124: 2013/08/11(日) 00:38:16.91 ID:CtUAMMkX0
苗木「……」

セレス「……では、勝負!」

パッ

苗木 ダイヤ5ハート6クラブ7クラブ8スペード9

セレス スペード5ハート5クラブ5ハートAクラブ3

セレス「私はスリーカード、苗木くんはストレート……」

セレス「あら、私の負けですわね……」

苗木「や、やったー!」

セレス「初めてかもしれませんわ、貴女の幸運が仕事をしているところを見るのは」

苗木「うん……長らく仕事を放棄してたみたいだからね……」

156: 2013/08/11(日) 15:23:14.19 ID:srSI9Kzs0
セレス「泣きの一回とはいえ、賭けは賭けですから……約束通り手がかりを教えますわ」

苗木「ありがとう、セレスさん……」

苗木「でもその前に聞きたいんだけど、どこで手がかりを見つけたの?」

セレス「実は昨日、モノクマと勝負をしたのです」

苗木「勝負?」

セレス「賭け、です。完膚無きまでに叩き潰した結果、貴女についての情報を吐きました」

157: 2013/08/11(日) 15:23:53.12 ID:srSI9Kzs0
苗木「……どうしてモノクマと賭けを?」

セレス「相手がいなくて暇だったもので」

苗木「そう……ありがと、セレスさん」ニコニコ

セレス「何故礼を? ……まあ、話を続けますわ」

セレス「モノクマは視聴覚室のパソコンに貴女に関するデータを開示する、と言いました」

苗木「ふんふん……あれ?」

158: 2013/08/11(日) 15:24:43.85 ID:srSI9Kzs0
セレス「見に行ってみると、確かに視聴覚室のデータファイルが一つ増えておりました」

セレス「その後も鍵のかかった情報を得るのに少々苦労がありましたが……まあ、貴女も行ってみるといいでしょう」

セレス「これが私の得た手がかりです。参考になりましたか?」

苗木「う、うん。えっとね、セレスさん」

苗木「僕、そのファイル昨日見つけたんだ。不二咲さんと一緒に」

セレス「えー……」

159: 2013/08/11(日) 15:25:23.24 ID:srSI9Kzs0
苗木「あのファイルが増えてたの、セレスさんのおかげだったんだね?」

セレス「まあ、そういうことになりますわね……」

苗木(なんかがっかりしてる……?)

セレス「それより苗木さん。貴女、あのゲームをやったのですか?」

苗木「う、うん……って、セレスさんもあのゲームを……」

セレス「お黙りなさい!」

苗木「」ビクッ

160: 2013/08/11(日) 15:25:57.81 ID:srSI9Kzs0
セレス「貴女、あのゲームをやった割に随分呑気ですのね?」

苗木「え? ま、まあまだロックされたデータは見てないから、呑気も何も……さっき不二咲さんがモノクマにゲームクリアを伝えに……」

セレス「そうではありません。"ゲーム本編"の話です」

苗木「ゲーム本編? ほ、ほとんど頭に入ってないよ……」

セレス「……そうですか」

苗木「?」

苗木(なんだろう……セレスさん、何か焦ってる……?)

161: 2013/08/11(日) 15:26:33.27 ID:srSI9Kzs0
《夜 セレスの部屋》

セレス「あら、よくお似合いですわ」

苗木「これ、寝間着なの……? なんかもこもこしすぎじゃ……」

セレス「もう少し薄手のものもありますが」

苗木「う、うん。できればそっちに……」

セレス「仕方ありませんね……シャネルの五番でよろしいですか?」

苗木「それは裸って言うんだよセレスさん」

162: 2013/08/11(日) 15:27:14.07 ID:srSI9Kzs0
苗木「ま、まさか明日一日香水を着て過ごせなんて言わないよね?」

セレス「さすがの私もそんな命令は思いつきませんでしたわ。とんだ変態ですね、苗木さん」

苗木「な、なんで僕が……」

セレス「さぁ、さっさと寝ますわよ。変態さん?」

苗木「……はい」ズーン

セレス「」モゾモゾ

苗木「」モゾモゾ

苗木(もはや何の躊躇もなく女の子と同じベッドに潜り込む自分がいる……こわい)

163: 2013/08/11(日) 15:27:59.11 ID:srSI9Kzs0
セレス「……」モミッ

苗木「ひゃっ! な、何するの!」

セレス「手が滑りましたわ」

苗木「……絶対嘘だよ」

セレス「……」

セレス「苗木さん……いえ、苗木くん」

苗木「?」

セレス「私が力になれるのは、恐らくここまでです」

苗木「? セレスさん……?」

164: 2013/08/11(日) 15:29:01.25 ID:srSI9Kzs0
セレス「昼にも言いましたが、私は……十神くんや霧切さんや不二咲さんのような捜査能力はありません」

苗木「そんなことないよ……昨日、モノクマから情報を引き出してくれたじゃない」

セレス「偶然ですわ。偶然モノクマしか遊び相手がおらず、偶然モノクマの賭けたものが貴女の情報だっただけです」

苗木「……それでも、ありがとう」

セレス「……」

セレス「私はまだ遊び足りません……苗木さん」

セレス「月並みながら、貴女の武運を祈っていますよ」

165: 2013/08/11(日) 15:29:45.95 ID:srSI9Kzs0
苗木「セレスさん……」

苗木「とりあえず、僕の胸に当てた手をどけてもらっていいかな」

セレス「あら失礼。テンピュールな抱き枕かと思いました」

苗木「……」

苗木(その後、定期的なセレスさんのセクハラを受け流しながら何とか眠った)

166: 2013/08/11(日) 15:30:42.52 ID:srSI9Kzs0
《翌日 食堂》

苗木「…………」スタスタスタスタ

大和田「!? ぶふっ!」

朝日奈「な、苗木!? ど、どうしたのそのゴス口リ服!?」

苗木「」ピタッ

苗木「……」クルクルッ

苗木「♪」キラッ

一同「…………」

苗木「……」プルプル

セレス「……」プルプル

167: 2013/08/11(日) 15:31:22.39 ID:srSI9Kzs0
セレス「苗木さん……ピースしながらウインクは予想外で素敵なアレンジでしたわ……」プルプル

苗木「嘘!? やらなくて良かったのあれ!?」

セレス「一言も言ってません。なるほど、あれが貴女の『華麗なターン』なのですね」

苗木(か、かかなくてもいい恥をかいた……)カァァ

セレス「予想以上に楽しめました。では、私はお役御免ですわね」

セレス「ご機嫌よう、苗木さん。次はもっと素敵な賭けをしましょう」スタスタ

苗木「……」

168: 2013/08/11(日) 15:32:21.58 ID:srSI9Kzs0
「……ねぇ、──ちゃん」

「何?」

「今、どれくらい?」

「さぁ? 半分も言ってないんじゃない?」

「これ、本当に意味があるの?」

「わかんない。ぶっちゃけさぁ、これ実験じゃなくてお遊びだから。ぷぷっ」

「……」

「下手したらコロシアイより絶望的な展開になるよね! みんながあいつと仲良くなればなるほどにさぁ!」

「──ちゃんがそういうなら、そうなんだろうね……」

「ま、様子見ながら適当に遊ばせといてよ」

「うん……」

169: 2013/08/11(日) 15:33:13.11 ID:srSI9Kzs0
《苗木の部屋》

苗木「今日の当番は誰なんだろ……結局朝食のときにいたメンバーは違ったし……」

苗木「見張り役がいないと部屋から出られないんだけどな……」

コンコン

苗木「ん……来たかな」

ガチャ

桑田「よう誠ちゃん! 今日はいつもと違うけどかわいいな!」

山田「誠ちゃんハァハァ」

バタン

桑田山田「!?」

苗木「寝よう……」

170: 2013/08/11(日) 15:33:56.39 ID:srSI9Kzs0
桑田「待て悪かった! 山田が邪魔なら帰らせっから!」

山田「なんですと!? それは聞き捨てなりませんな! 邪魔なのはズバリ、桑田殿でしょう!」

ガチャ

苗木「はぁ……2人が今日の見張り当番なの?」

桑田「おう。ジャンケンで負けたせいでな……」

山田「『誠ちゃん独り占め当番』とはなんだったのか」

桑田「ちくしょー……山田! お前マジで帰ってくれ! 後でポテチやるから!」

山田「桑田殿こそ! 今なら舞園さんの生写真あげますぞ!」

苗木「……」

バタン

桑田山田「!?」

171: 2013/08/11(日) 15:34:44.24 ID:srSI9Kzs0
桑田山田「誠ちゃーん俺だー! 開けてくれー!」

ドンドンドン

苗木「私、今日は一日部屋で大人しくしてるから大丈夫だよ。部屋の入り口を交代で見張ればいいんじゃないかな」

山田「そんな殺生な!」

桑田「ん? 『私』?」

苗木「……セレスさんとの約束で、今日は一日女の子みたいに喋らなくちゃいけないの」

山田「セレス殿グッジョブ」

桑田「あいつはできる女だと思ってた」

172: 2013/08/11(日) 15:35:29.91 ID:srSI9Kzs0
苗木「そういうわけだから、2人ともおやすみ」モゾモゾ

桑田「尚更諦められねぇ! ドア越しでもいいから会話してくれ!」

山田「大丈夫! 外の世界は思ったより怖くないですぞ! ほーら、心を開いて!」

ドンドンドン

苗木(はぁ……さすがに2人に悪いかな……)

「はぁ……はぁ……桑田くん、山田くん!」

桑田「あ? どうした、そんな息切らして」

「ぜぇ……な、苗木くん、いる?」

山田「部屋の中にいますが……自分の殻の中に閉じこもってしまい、我々では手の施しようがなく……」

「な、苗木くん! 不二咲です!」

苗木「不二咲さん……?」

173: 2013/08/11(日) 15:36:26.17 ID:srSI9Kzs0
不二咲「例のデータ、開けたんだ! 遅くなってごめん!」

苗木「ま、待ってて、今開けるから」

ガチャ

不二咲「ふぅ……ふぅ……」

苗木「だ、大丈夫?」

不二咲「う、うん。走ってきたから……ちょっと疲れただけ……」

山田「ここがあの女のハウスね」ズカズカ

桑田「いやぁ、良い部屋だなー。模擬刀が良い味だしてるよ、うん」ズカズカ

苗木「……」

174: 2013/08/11(日) 15:37:13.12 ID:srSI9Kzs0
不二咲「ごめん、2人とも……少し部屋の外で待っててもらっていいかな……」

桑田「マジでか」

山田「だが断る! こんなチャンスをふいにするなど、拙者には……」

不二咲「2人だけで大事な話があるんだ……お願い……」ウルウル

山田「了解した」

桑田「安心しろ。何人たりともこの部屋にはいれさせねぇ」

ガチャ バタン

苗木(さすがだなぁ不二咲さん……)

175: 2013/08/11(日) 15:37:54.49 ID:srSI9Kzs0
苗木「不二咲さん、はい。お水」

不二咲「んく、んく……あ、ありがとう……」

苗木「ごめんね、一人で無理させて」

不二咲「ううん。無理したのは僕の勝手だから、苗木くんが謝ることないよ」

不二咲「あ、それで、あのロックされたファイルの中身だけど……」

苗木「うん」

不二咲「僕たちがプレイしたゲームの、設定資料だったんだ」

苗木「設定資料?」

176: 2013/08/11(日) 15:39:27.25 ID:srSI9Kzs0
不二咲「うん。僕たちはそれどころじゃなくて気がつかなかったけど、実はあのゲームそのものが苗木くんに関係してたんだ」

苗木(そうか……セレスさんの言っていたゲーム本編の話って、そういうことだったんだ……)

不二咲「で、見て欲しいのはこれなんだ」カチカチ

苗木「用語集……『浸食性男性因子喪失症候群』……?」

不二咲「ゲームの中で主人公がかかっちゃう病気のことなんだけど……」

苗木「まさか……」

不二咲「うん……苗木くんに起こった異変の正体、だと思う」

177: 2013/08/11(日) 15:40:09.26 ID:srSI9Kzs0
不二咲「もちろん、架空の病気のはずだよ。でも、モノクマがこの病気を無理矢理再現したんだとしたら……」

苗木「『特に遺伝子疾患などもない正常な男性が遺伝子・身体構造とも女性になってしまう奇病』……『その実態は悪性腫瘍に類似した後天性遺伝子異常』……『氏亡するリスクが高い』……」

苗木「な、なに、これ……?」

不二咲「見た通り……だよ」

不二咲「少なくともゲームの中では、ほとんどの患者は命を落としてるんだ……」

178: 2013/08/11(日) 15:41:06.75 ID:srSI9Kzs0
苗木「治療法は……どこかに無いの……?」カチカチ

苗木「転換後生存患者例……No.1……『現在までに確認されている限り、初の転換後生存者。記憶・人格を喪失。重度の脳障害により、再度知能を得るに至らず』……」

苗木「No.2。『記憶・人格を喪失。脳の障害は軽度。歩行困難の為、杖を常用』……」

不二咲「生存患者は3人いて、最後の1人が主人公らしいんだ……」

苗木「……2人分しか見あたらないけど」

不二咲「うん、それがこの設定資料のおかしいところなんだ。どこを探しても、主人公の項目がないんだよ」

苗木「モノクマが隠したってこと……?」

不二咲「……かもしれない」

179: 2013/08/11(日) 15:42:08.16 ID:srSI9Kzs0
モノクマ「あー! 見ちゃった!? 見ちゃったね!? 僕の秘蔵のお宝ファイル!」

苗木「モノクマ……!」

モノクマ「苗木さん、おこなの? マジおこなの? 美少女の凍てつくような視線、たまんないね! はぁはぁ」

不二咲「……モノクマ、苗木くんがかかったのは本当に浸食性男性因子喪失症候群なの?」

モノクマ「うーん……長くて覚えづらいよねぇ。TS病でいいんじゃないかなぁ。あ、それとも『誠ちゃん病』にする?」

不二咲「いいから答えて!」

モノクマ「あわわ……不二咲さんが激おこぷんぷん丸だよ……じゃあ特別にお答えしまーす」

モノクマ「だいせいかーい! 苗木さんは幸運にもTS病(仮)の被験体に選ばれたのです!」

180: 2013/08/11(日) 15:43:02.46 ID:srSI9Kzs0
苗木「モノクマ……それが本当なら、ルール違反じゃないの? お前が直接手を下すことは、禁止って……」

モノクマ「ダメだなぁ苗木くん。せっかくの資料を読むのが下手。下手っぴさぁ」

苗木「何……?」

モノクマ「もう! 作者さんが真心込めて作った設定資料だよ! ちゃんと読みなさい! 『特徴』の項目! 上から5行目を音読して!」

苗木「くっ……」カチカチ

苗木(……『浸食性男性因子喪失症候群は浸食性変異症候群の一種で、男性から女性への変化を伴うもの、と定義される』)

苗木(『多くの場合は同時に細胞寿命の無制限化を伴うが、どちらにせよ安定期まで持って行くには生命や人格の維持に関わる重篤な症状を経ることは避けられないと見られており、現在のところ例外は無い』……)

181: 2013/08/11(日) 15:43:46.61 ID:srSI9Kzs0
モノクマ「音読って言ったでしょ! まったくもう!」

モノクマ「ともかく……これでおわかり?」

苗木「どういうこと……?」

モノクマ「うわぁ、若者の活字離れは深刻だねぇ。かわいそうに」

モノクマ「細胞寿命の無制限化! つまり、不老長寿!」

苗木「…………は?」

モノクマ「良かったねぇ苗木さん。このまま行けば、君は一生綺麗なままだよ」

182: 2013/08/11(日) 15:44:52.93 ID:srSI9Kzs0
モノクマ「はい次! 『進行と状態推移』の項目! 今度は声に出してよね!」

苗木「……」カチカチ

苗木(『TS病は5つのステップで進行していく。発生期、潜伏期、浸食期、転換期、安定期』……)

モノクマ「また無視されちゃったよ……苗木さんは絶賛反抗期だねぇ。うぷぷぷぷ」

苗木(『発生期』……『細胞分裂の際にY染色体が欠落し、代わりにX染色体のコピーが配置された女性型突然変異細胞が発生。発生は偶発的かつ極めて稀であり、確実に発生させるような条件は判明していない』……)

モノクマ「読めた? 実はね、僕はその判明していないはずの『確実に発生させる条件』を解明しちゃったんだよねー! いやぁ天才って罪だよねぇ」

183: 2013/08/11(日) 15:45:36.10 ID:srSI9Kzs0
モノクマ「でも苗木くんの場合は潜伏期と浸食期の半分くらいをすっとばしちゃったから、ちょっと何が起こるかわからないんだよねー」

モノクマ「ともかく僕は手を下してなんかないよ? いつもがんばってる苗木くんに、不老長寿のお薬をプレゼントしてあげただけだからね!」

苗木「わ、私……そんなの……」

不二咲「! 苗木くん、しっかりして!」

モノクマ「ありゃ? 大分浸食しちゃってる? 良い兆候なのかなぁ? 悪い兆候なのかなぁ?」

モノクマ「ま、綺麗な女の子のままでいられるか、記憶も人格も失って廃人になっちゃうかは苗木さんの運次第! ワックワクのドッキドキだね!」

モノクマ「大丈夫だよね? なんたって超高校級の幸運だもんね? だっはっはっはー!」

モノクマ「そんじゃねー」

184: 2013/08/11(日) 15:46:31.73 ID:srSI9Kzs0
不二咲「な、苗木くん……」

苗木「……ごめん、不二咲さん。今日は、独りにして欲しい……」

不二咲「ダメだよ……今の苗木くんを独りにするわけにはいかない」

苗木「……別に殺人なんて考えないよ」

不二咲「そうじゃなくて……」

苗木「大丈夫だって。自頃するにしても、ちゃんと自殺だってわかるようにやるから。みんなに迷惑はかけないよ」

不二咲「苗木くんっ!!」

185: 2013/08/11(日) 15:47:39.99 ID:srSI9Kzs0
苗木「……」

不二咲「苗木くん……絶対に独りで思い詰めないで。みんなや、僕を頼って。お願い」

苗木「……うん」

不二咲「……じゃあ、僕部屋に戻るね……」

ガチャ バタン

桑田「お、やっと話終わったか? 宣言通り、蟻一匹入れなかったぜ!」

不二咲「……モノクマが入ってきたよ」

桑田「………………」

186: 2013/08/11(日) 15:48:20.97 ID:srSI9Kzs0
桑田「って、おい。不二咲、お前顔色最悪だぞ? どうしたよ?」

不二咲「な、なんでもないよ……ちょっと貧血気味で……」

桑田「そうか? なら、一応部屋の前まで送ってってやるよ」

不二咲「すぐそこだから、平気だよ……」フラフラ

桑田「ま、待てよ不二咲! 全然平気じゃねぇだろお前……ったく」スタスタ

山田「……」

山田「ドアを挟んで2人きり、ですな。誠ちゃん殿」

苗木「……」

187: 2013/08/11(日) 15:49:00.25 ID:srSI9Kzs0
山田「……失敬。冗談が過ぎましたな」

苗木「……」

山田「何やら重苦しい展開になってきましたなー。心中お察ししますぞ」

苗木「! 山田くん……?」

山田「キェアアァァァァ! シャベッタァァァァ!」

苗木「もしかして……部屋の中の会話、聞いてた?」

山田「断片的に、ですが。ドアはそれほど防音性が高くないようですな」

188: 2013/08/11(日) 15:49:45.77 ID:srSI9Kzs0
山田「まあ、桑田殿は侵入者排除に夢中で何も耳に入っていなかったようですが……」

山田「しかしそれ以前に! 拙者は苗木殿の秘密に気づいていましたがね!」

苗木「どうして……?」

山田「何故ってそれは……」

山田「そこに工口ゲーがあったから」

苗木(…………山田くんも見つけてたんだ、あれ)

189: 2013/08/11(日) 15:50:20.22 ID:srSI9Kzs0
山田「なかなか良く出来たゲームでしたぞ。もちろん、設定資料にも目を通しました」

苗木「そう……」

山田「気を落とすことはありませんぞ苗木殿!」

山田「あの奇病の患者は全員が全員氏に至っているわけではありませんからな!」

苗木「知ってるよ……生存者3名……でも、みんな記憶も人格も失って廃人になってるんでしょ?」

山田「んん? それは違いますぞ?」

190: 2013/08/11(日) 15:51:01.92 ID:srSI9Kzs0
苗木「?」

山田「確かに1人目と2人目は見るも無惨な姿に変わり果てましたが、3人目の患者……主人公は唯一『記憶と人格を保ったまま転換を終えた患者』となっていましたが……」

苗木「や、山田くんどうして……? 設定資料には主人公のことなんてどこにも……」

山田「いやいや、主人公なんだからゲームやれば設定なんてわかるだろjk」

苗木「…………」

山田「むむ? それとも苗木殿はゲームを直視出来ずに色々すっ飛ばしてクリアしてしまったパターンですかな?」

苗木「う、うるさいなぁ!」

山田(顔真っ赤な誠ちゃんが幻視される……たまらん)

191: 2013/08/11(日) 15:51:47.30 ID:srSI9Kzs0
苗木「でも……結局1人だったんでしょ? たくさんいた患者の中でたった1人……ねぇ、何で主人公は助かったの?」

山田「それは……明らかになっていませんでしたな……偶然、かも……」

苗木「……だったら、僕がその1人になる可能性は、限りなく0に近いかもしれないよ……」

山田「しかし、0ではありませんぞ」

山田「無数のマイナス要素の中からたった一つのプラスを引き当てる……それが苗木誠殿の才能なのでは? 『超高校級の幸運』という……」

192: 2013/08/11(日) 15:52:44.43 ID:srSI9Kzs0
苗木「僕の幸運はそんな大それたものじゃないよ……せいぜい二択か三択で良い方を選ぶのが関の山だよ……」

山田「では、『苗木殿は助かる』or『苗木殿は助からない』。ほら、二択ですぞ」

苗木「…………ふふっ」

山田「!」キュン

苗木「面白いね、山田くんは……」

山田(ああ直に見たい。天使の微笑みを……ハァハァ)

苗木(な、なんかドアの向こうから生温かい空気が伝わってくる気がする……)

193: 2013/08/11(日) 15:53:27.37 ID:srSI9Kzs0
《夜 苗木の部屋》

苗木(その後も山田くんはずっと僕と話し続けてくれた……ドア越しに)

苗木(山田くんがところどころ言葉を選びながら話をしているのは、きっと気のせいじゃない)

苗木(僕の呼び方が『苗木殿』に戻ってるのも、多分僕に気を使っているからだと思う)


山田「──そこで拙者はその作家仲間に言ってやりましたよ。『バーロー! 人を助けるのに理由がいるかよ!』ってね!」

苗木「……」

山田「あ、あれー? 苗木殿? 今のは『素敵! 抱いて!』ってなるところ……あっ、ほ、ホ〇的な意味で」

苗木「ねえ、山田くん」

194: 2013/08/11(日) 15:54:06.33 ID:srSI9Kzs0
山田「?」

苗木「無理に気を使わなくても良いよ」

山田「な、何のことですかな? 拙者はそんなつもりは毛頭……」

苗木「……山田くんは山田くんのままでいて欲しいな」

山田「……自虐のつもりだとしたら、笑えませんぞ」

苗木「『誠ちゃん』って呼んでも……良いよ」

山田「……」

苗木(なんだろう。ドアが生温かい。気のせいじゃない)

195: 2013/08/11(日) 15:54:48.62 ID:srSI9Kzs0
山田「ふぅ……良いのですか? 辛くはないのですか?」

苗木「まあ、自殺を考えるくらいには参ってたけど……」

山田「うおぉぉぉい! 爆弾発言ですぞ!?」

苗木「でも、山田くんと話してたら元気が出てきた」

苗木「……ありがと、山田くん」

山田「……」

苗木「山田くん?」

山田「うおぉぉぉ! 辛抱たまらん! 今すぐこのドアを開けてくだされ!!」ドンドンドン

苗木「ひぃぃぃぃっ!」ビクッ

196: 2013/08/11(日) 15:55:59.11 ID:srSI9Kzs0
山田「誠ちゃぁぁぁん!」ガチャガチャガチャ

苗木(こわいこわい! 完全にスプラッタ映画だよこれ!)

桑田「山田……まだやってたのかよ」

山田「む? 桑田殿、今までどこに?」

桑田「あー、不二咲が案の定ぶっ倒れたから部屋まで運んで看病しようと思ったんだけどよ……」

山田「桑田こらぁぁぁぁ! 知らぬ間にそんな羨ましい展開に!」

桑田「最後まで聞けアホ!」

197: 2013/08/11(日) 15:56:39.43 ID:srSI9Kzs0
桑田「大神とセレスに邪魔されてよ……」

山田「未遂に終わったわけですな」

桑田「いや、何かするつもりは無かったっての!」

桑田「つか、お前いい加減静かにしてやれよ……誠ちゃんが眠れねーだろ」

山田「いや、今し方誠ちゃんが心を開きかけてですね。このまま攻略一直線かと思いまして」

桑田「マジでか」

山田「おう」

桑田山田「…………誠ちゃぁぁぁん!!」ドンドンドン

苗木「ひぃぃぃぃ……」

198: 2013/08/11(日) 15:57:36.06 ID:srSI9Kzs0
《翌日 食堂》

苗木桑田山田「ふわぁ……」

苗木桑田山田「眠い……」ゴシゴシ

苗木「そりゃ、一睡もしてないからね……」

桑田「だって廊下で寝るのは校則違反じゃねーか……俺たちのためを思うなら部屋に入れてくれても良かったんじゃねーの?」

山田「激しく同意」

苗木「そ、そっか……そうだね……ごめん……」シュン

桑田「良いってことよ」グッ

山田「うっ……ふぅ。まあ、過ぎたことを言っても仕方ありませんからな」

199: 2013/08/11(日) 15:58:21.48 ID:srSI9Kzs0
桑田「あー、これで当番交代か……はぁ……俺誠ちゃんとほとんど過ごしてねーよ……」

山田「拙者もナニもシてませんぞ……」

苗木「……お疲れさま、2人とも」

桑田「おう、じゃな。次の当番の時は一緒に遊ぼうぜ」

山田「では、拙者もこれにて」

苗木(……あの2人が昨日の当番で良かったかもしれない……少なくとも憂鬱な気分は少し解消されたし……)

200: 2013/08/11(日) 15:59:00.07 ID:srSI9Kzs0
苗木(とりあえずご飯を食べて今日の当番を待とう……と思ったけど)

苗木「なんか……食欲湧かないな……」

苗木「身体もだるいし……寝不足のせいかな……」

苗木「……っていうか……」

苗木「めちゃくちゃお腹痛い……何これ……」ズキズキ

209: 2013/08/11(日) 20:52:10.88 ID:CtUAMMkX0
苗木(せめてお茶だけでも飲みたいけど……)

苗木(無理……厨房までたどり着ける気がしない……)

大神「苗木よ……遅くなってすまない」

苗木「大神、さん……」グッタリ

大神「今日は我が当番の日なのだが……む?」

大神「どうした? 体調が優れないのか?」

210: 2013/08/11(日) 20:53:22.58 ID:CtUAMMkX0
苗木「う、うん……少しね……」

大神「少し体調が悪い程度で、そんな珠のような汗をかくわけがなかろう……」

大神「身体を起こせるか? 辛いのなら無理はしなくていい」

苗木「ちょっと、難しいかも……なんか身体がだるくて……頭がぼーっとして……後、酷い腹痛が……」

大神「…………なるほど」

苗木「僕……もう氏ぬのかな……」

大神「氏にはせん」

211: 2013/08/11(日) 20:54:15.30 ID:CtUAMMkX0
大神「一度、我の部屋に行くぞ」ヒョイ

苗木「わっ……」

苗木(お、お姫様抱っこ……)ドキドキ

大神「案ずるな、苗木よ。誰しもが通る道だ」

苗木「?」

大神(妹がいるのなら、知っていても良さそうなものだが……)

212: 2013/08/11(日) 20:55:25.83 ID:CtUAMMkX0
《大神の部屋》

大神「これを飲むと良い。自作の漢方薬だ。化学室に鎮痛薬もあるにはあったが、胃を荒らして吐いてしまうかもしれん」

苗木「自作って……すごいね……」

大神「無駄に備品や材料が充実しているのでな……その点だけは、モノクマに感謝している」

苗木「んくっ……はぁ……痛い……」

大神「しばらく横になっていると良い。薬が効くまで時間がかかる」

大神「我は湯を汲んでくる。身体を冷やしてはいかんぞ、苗木よ……」スタスタ

苗木(うぅ……今日の当番が大神さんで良かった……ありがとう神様……)

213: 2013/08/11(日) 20:56:25.96 ID:CtUAMMkX0
………………

…………

……

大神「待たせてすまない。ペットボトルに湯を入れただけの即席湯たんぽだが……これで腹の辺りを温めておけ」

大神「少しは楽になってきたか?」

苗木「うん……お腹の痛みは引いてきたかな……ありがと、大神さん……」

大神「礼には及ばん。苗木の力になれたのなら幸いだ」

大神「まさかこんな形で力になるとは思ってもいなかったが……」

214: 2013/08/11(日) 20:57:35.20 ID:CtUAMMkX0
大神「……時に苗木よ。中学生の時、授業は真面目に受けていたか?」

苗木「え? えーと……うん、それなりに……」

大神「……それなのに、何故だ」

苗木「?」

大神「……横になったままで構わないから、耳を傾けていろ」

大神「色々と、教えておくことがある」

218: 2013/08/11(日) 21:02:33.43 ID:CtUAMMkX0
……………

…………

……

苗木「……」カアァ

大神「……と、そういうことだ」

苗木「は、はい、よくわかりました……」

苗木「……女の子って大変なんだね」

大神「個人差はあるが……苗木はかなり重い症状が出るタイプのようだな」

苗木(またおかしなところで不幸なくじを引いたな……)ズーン

221: 2013/08/11(日) 21:03:42.61 ID:CtUAMMkX0
苗木(そうか……昔、何でもないはずの日に母さんが赤飯を炊いたのはそういうことだったのか……)

大神「急激な身体の不調に慣れるのは難しいだろう。いつでも我に相談すると良い」

苗木「大神さん……」ウルウル

大神「我だけではない。朝日奈やセレスも必ず力になってくれるはずだ」

苗木(……なんだろう。それはすごく抵抗がある)

222: 2013/08/11(日) 21:08:19.51 ID:CtUAMMkX0
大神「ところで、最近よく眠れていないのか?」

苗木「あ、やっぱりわかる……?」

大神「目の下に大きなクマができている。不安で夜も眠れぬのだろう……」

苗木「あはは……」

苗木(主に桑田くんと山田くんのせいだけど)

大神「ゆっくり眠るといい。我はずっとここにいる」

苗木「ありがとう……それは……心強い、な……」ウトウト

246: 2013/08/12(月) 12:53:55.27 ID:zUBoEKB90
苗木(ん……ここは……?)

『ああっ……あっ……』

苗木(ひっ! な、なんだ……あのゲーム……の映像?)

苗木(夢……だよね。はぁ……夢にまで見るなんて……最悪だ……)

『やだっ……忘れたくないっ……! 無くしたく、なっ……い゙っ!?』

苗木(主人公……? 顔がよく見えない……)

苗木(見たく、ない……)

247: 2013/08/12(月) 13:04:57.14 ID:YOEn9S4c0
『記憶と人格を喪失』

苗木(……なんだよ、それ)

『再度知能を得るに至らず』

苗木(氏ぬのと何にも変わらないじゃないか……!)

『症状が進行するほど治療が困難になり、転換期を過ぎると、元の状態に戻すことはまず不可能と言われている』

苗木(この際、元に戻れなくたっていい……でも、自分のことを……みんなのことを忘れるのはイヤだ……!)

苗木(イヤだ……! イヤだよ……!)

248: 2013/08/12(月) 13:14:13.14 ID:540+82qK0
「……ぎ、……な……ぎ!」

苗木「イヤだ、よぉ……ひっく……」

大神「苗木!」

苗木「……はっ!」

大神「大丈夫か? 酷いうなされ方をしていたので起こしてしまったのだが」

苗木「……うん……大丈夫。ちょっとイヤな夢を見ただけ……」

大神「……睡眠不足になるのも無理はないな。起きることはできそうか? 何か口にした方がいい」

苗木「うん……気分は大分よくなったよ……頭はまだぼーっとするけど」

大神「ならば、また我が運んでやろう」ヒョイ

苗木(またお姫様抱っこ……)

249: 2013/08/12(月) 13:23:06.65 ID:0NDlYWmg0
《食堂》

葉隠「あり? 苗木っち、どうしたんだ? オーガに抱えられて」

大神「気分が優れんようなのでな……」

苗木「あ、ありがとう大神さん……もう大丈夫だよ」

苗木「もう自分で歩けるし……は、恥ずかしいし……」モジモジ

大神「む……済まぬ。しかし、無理はするな」スッ

葉隠「よくわかんねーけど、何か飲むか、苗木っち? 今ならお友達価格で茶くらい煎れてやんべ!」

苗木「占い以外でもお金取るんだ……」

251: 2013/08/12(月) 13:38:23.14 ID:BkM6a2tP0
大神「我が煎れてこよう。葉隠にものを頼むのは止めた方が良さそうだ……」スタスタ

葉隠「じょ、冗談だって……」

苗木「……はぁ」

葉隠「? マジで体調悪そうだな。水晶みてーに青い顔してるべ」

苗木「無駄に綺麗な喩えだね……」

葉隠「明日の見張り当番は俺だから苗木っちと遊ぼうと思ったけど、その様子じゃ無理っぽいな」

苗木「うん……ごめんね」

253: 2013/08/12(月) 13:47:48.28 ID:BkM6a2tP0
葉隠「良いって、気にすんな! 明日は一日中シエスタすんべ!」

苗木「ありがと……」

葉隠「そうだ! 苗木っちの具合がいつ頃良くなるかどうか占ってやろうか!」

苗木「無理矢理占いに持って行くのやめようよ。占い代は払わないからね」

葉隠「じゃあ、診察料としてもらうわ」

苗木「葉隠くん、医者でもなんでもないじゃない……」

葉隠「まあまあ。俺、占い師としてもモグリだし、堅いこと良いっこ無しだべ」

苗木「…………」

254: 2013/08/12(月) 14:03:44.86 ID:BkM6a2tP0
葉隠「むむむむ……」

苗木「……」

葉隠「来てる……来てるべ……」

葉隠「見えた! ……あれ?」

苗木「?」

葉隠「苗木っち、風邪とかじゃねーのか? もしかして、おめー生r」

大神「邪ッッ!!」ドゴォ

葉隠「キャオラッ」ズザザザザ

苗木「は、葉隠くーん!!」

258: 2013/08/12(月) 14:13:29.68 ID:BkM6a2tP0
大神「葉隠よ……苗木に手を出せば、この大神さくら、容赦せん」パキッ

苗木「お、大神さん落ち着いて! 葉隠くんはただデリカシーの無い発言をしようとしただけだよ!」

葉隠「き、効いたべ……げほぉっ」

大神「今回は苗木に免じて許してやろう……」

葉隠「そ、そりゃありがたいべ……今のをもう一回喰らったら人として原型を留めてられる自信がねー……」

259: 2013/08/12(月) 14:21:19.90 ID:BkM6a2tP0
葉隠「と、とりあえず占いは当たったみてーだな」

苗木「……ノーコメントで」

葉隠「オーガの気遣い方で丸わかりだべ」

葉隠「後、苗木っち」

苗木「?」

葉隠「なんとか性男性なんちゃらかんちゃらってなんだ?」

苗木「!」

葉隠「いや、ちらっと視えただけだからよくわかんねーんだけど」

260: 2013/08/12(月) 14:27:47.88 ID:BkM6a2tP0
苗木「さ、さぁ……なんちゃらかんちゃらじゃよくわかんないよ……」

葉隠「んー? そうか、気のせいか。ま、『視える』とかそんなオカルトあり得ねーもんな。ははは」

葉隠「よっ……いっ、痛ててて……」

苗木「だ、大丈夫? 葉隠くん」

葉隠「ろ、肋骨にひびが入ってるかもしれねー……苗木っちが抱きしめてくれたら治るかもしれないべ……」

苗木「えぇっ!?」

葉隠「うはははは! 冗談! 冗談だ……べ……」

大神「……」ゴゴゴゴゴ

263: 2013/08/12(月) 14:45:16.79 ID:BkM6a2tP0
葉隠「…………」チーン

苗木「……生きてるよね?」ツンツン

大神「案ずるな。気絶しているだけだ。二日は眠り続けているだろうがな」

苗木(強制シエスタだったね、葉隠くん……)

大神「そんなことより、ハーブティーを煎れてきた。飲むと良い。朝日奈たちのように上手く煎れることができていると良いのだが……」

苗木「ありがとう、大神さん」

265: 2013/08/12(月) 15:10:03.28 ID:BkM6a2tP0
苗木「……」ズズッ

苗木「うん、美味しい」

大神「うむ、良かった」フッ

苗木「……なんか今日、お世話になりっぱなしだね……ごめん」

大神「謝ることはない、苗木よ。対等な友人とは、支え合いの上に成り立つものだ」

苗木「だったら、尚更……僕には大神さんの力になれることなんてないし……」

266: 2013/08/12(月) 15:46:40.00 ID:BkM6a2tP0
大神「……朝日奈は、我のことを親友と称してくれる。無論、我もそう思っている」

苗木「?」

大神「朝日奈は手のかかる娘だ。我が色々と手を貸すことも、少なくない」

大神「しかし、朝日奈が我の力になっていないかと言えば、否だ。時に、その存在が支えになることもあるのだ。側にいてくれるだけで、な」

大神「……苗木も、そのような感情を抱いたことはないか?」

苗木「……ある」

268: 2013/08/12(月) 15:58:56.04 ID:BkM6a2tP0
大神「口下手で済まぬ。自分の思いを言葉にするのは得意ではなくてな……」

苗木「ううん。大神さんの言いたいこと、わかるよ」

苗木「……僕も大神さんの力になれてるのかな」

大神「無論だ」

苗木「えへへ……嬉しいな」

大神(……顔色も、随分良くなった。もう大丈夫のようだな)

269: 2013/08/12(月) 16:21:09.35 ID:BkM6a2tP0
《夜 大神の部屋》

大神「……苗木よ、それはなんだ?」

苗木「せ、セレスさんにもらったネグリジェ……」

大神「……そうか」

大神「こんなことを言うのも難だが、恐ろしいまでに似合っているな……」

苗木「そ、そう? ありがとう」テレテレ

大神(? からかうな、と叱責されるものと思っていたが……)

274: 2013/08/12(月) 16:47:37.58 ID:BkM6a2tP0
苗木「そんなことより、これ……」

葉隠「」グッタリ

大神「あのまま食堂に放置しておくわけにもいくまい……」

大神「葉隠の部屋に放り込んでおいても良かったのだが、内側から鍵をかけられないのでは葉隠の身に危険が迫るやもしれん。皆を疑うわけではないが……万が一、な」

苗木(既に散々な目にはあってるけどね……)

大神「おかしな事をせんよう、我が見張っている。安心して眠るが良い」

275: 2013/08/12(月) 17:15:40.35 ID:BkM6a2tP0
苗木「桑田くんや山田くんはともかく、葉隠くんはそんなことしないから大丈夫だよ……」

大神「そうであろうか……」

苗木「うん。だから、大神さんもちゃんと寝てね?」

大神「気遣い、感謝する。しかし我はもう少し座って過ごしている。先に眠っていてくれ」

苗木「うん……わかったよ」


苗木(結局、大神さんは一晩椅子に腰掛けていた……)

苗木(その夜は、よく眠ることができた。悪い夢にうなされることもなく……)

苗木(本当に、ありがとう……大神さん……)

277: 2013/08/12(月) 17:27:20.91 ID:ivp2hYpz0
………………

…………

……

苗木「……」ムクッ

苗木「んー……よく眠れた……」

苗木「……」チラッ

葉隠「」グッタリ

苗木(本当に今日一日寝続けるのかな……)

279: 2013/08/12(月) 17:38:25.52 ID:VMlUAdNv0
大神「……目が覚めたか、苗木よ」

苗木「……」

大神「?」

苗木「大神さん、ちゃんと寝た?」

大神「…………うむ」

苗木「……嘘つき」

大神「……済まぬ」

280: 2013/08/12(月) 17:45:52.35 ID:xU7YXFaY0
苗木「また僕がうなされたりしないか心配で起きててくれたんでしょ?」

大神「お見通しなのだな……」

苗木「エスパーだからね」

大神「?」

苗木「それより、この後ちゃんと寝なきゃダメだよ?」

大神「いや、しかし当番の葉隠がこの様子では……我が代わりに……」

苗木「……」ジー

大神「む、むう……」

苗木(大神さんが困ってる……なんか新鮮)

285: 2013/08/12(月) 17:56:39.05 ID:Zzie6vFD0
大神「わかった……では代わりの当番を探すとしよう」

大神「ひとまず朝食を摂りにいくぞ。体調は……その様子なら、心配は無用か」

苗木「うん。バッチリだよ」

………………

…………

……

《苗木の部屋》

苗木(だるさも取れたし、ご飯も食べられたし……昨日の辛さが嘘みたいだ)

苗木(さて……代わりの当番っていうのは誰になるのかな……)

苗木「大神さん、ちゃんと寝てくれると良いけど……」

コンコン

286: 2013/08/12(月) 18:05:14.89 ID:NlmkNHaZ0
苗木「はーい」

ガチャ

腐川「……」

苗木「あ、腐川さん。葉隠くんの代わりの当番……だよね?」

苗木「ごめんね? 僕の見張りなんてやりたくないだろうけど……何だったら誰かと一緒に……」

腐川「……」ニヤッ

苗木「!?」ゾクッ

295: 2013/08/12(月) 18:20:39.11 ID:GGZ8VGVY0
腐川「まこぴょーん!!」

苗木「きゃあぁっ!?」

腐川「なになに、その黄色い悲鳴はぁ!? そのセクシーなミニスカはぁ!? あたしに負けず劣らず変な趣味あるじゃーん! ゲラゲラゲラ!!」

苗木「ふ、腐川さん……じゃない? だ、誰……?」

腐川「ちょっとちょっと! あたしをあんな根暗女と見間違えるとかありえなくなくなぁい!? あ、見た目一緒かぁ!」ペチン

腐川「呼ばれて飛び出て、ジェッノサイダー♪ 巷で噂の超高校級の殺人鬼とは私のことぉぉぉ!!」ジャキン

苗木「ひいぃぃぃっ!?」

300: 2013/08/12(月) 18:35:52.64 ID:JnHw5wxe0
ダダダッ

不二咲「な、苗木くんっ!? 大丈夫!?」

苗木「ふ、不二咲さん!」

不二咲「廊下に出たら、叫び声が聞こえて……っ!?」

不二咲「ふ、腐川さん……? そのハサミ、何しようとしてるの……?」

腐川「少なくとも散髪じゃないよねぇ」

苗木「不二咲さん! この人、腐川さんじゃない! 自分のこと、『ジェノサイダー』って言ってた! 『超高校級の殺人鬼』だって……」

不二咲「ジェノサイダー……? ジェノサイダー翔……?」

303: 2013/08/12(月) 18:54:58.77 ID:K022EFUW0
不二咲「な、苗木くんから……離れて……!!」ガタガタ

腐川「あらぁーん、ちーたん震えてるぅー♪ ちょっと萌える! 女はシュミじゃないけど! ゲラゲラゲラ!」

不二咲「離れてっ!!」

腐川「んー……って言われてもぉ、あたしなんかまこぴょんと一緒に居ないといけないみたいだしぃ」

腐川「そうじゃなかったら、言われなくても白夜様のとこに直行してるっつーの!!」

苗木(なんだ……なんなんだこの人は……!?)

304: 2013/08/12(月) 19:05:27.39 ID:fg7nF1FR0
十神「おい……貴様、何をしている……!」

苗木不二咲「十神くん!?」

腐川「あぁん白夜様ぁ! まさか白夜様からあたしの下に来てくれるなんて!」ウットリ

十神「ジェノサイダー……あの女、『自由にはさせない』と言っておきながら……」

腐川「ごめんなさぁい! でも、あたしのせいじゃないからぁ!」

不二咲「十神くん……どういうこと……?」

十神「……もう隠しきれないだろうから教えてやる。その女はジェノサイダー翔であり、腐川冬子でもある」

306: 2013/08/12(月) 19:24:14.71 ID:JnHw5wxe0
不二咲「本当に……あのジェノサイダー翔なの?」

十神「そのジェノサイダー翔だ」

苗木「待ってよ! あのとかそのとか……2人はこの人のことを知ってるの?」

不二咲「ジェノサイダー翔は都市伝説にもなってる有名な猟奇殺人鬼だよ……犠牲者は数百人とか数千人にも及ぶって噂で……」

腐川「盛りすぎィ! あたしが殺ったのはたかだか数十人だってぇ」

十神「……ジェノサイダーは腐川冬子の別人格だ。本人は懸命に抑え込んでいたようだが……甲斐無し、だったな。間抜けめ……」

307: 2013/08/12(月) 19:36:01.15 ID:BkM6a2tP0
苗木「十神くん……何で黙ってたの……?」

十神「『腐川冬子は連続殺人鬼だ』……教えたとして、貴様等は信じたか? 仮に信じたとして、こいつをどうするつもりだ?」

十神「どこかに縛り付けておくか、自殺でもさせるか?」

苗木「う……」

不二咲「そ、そんなこと……」

腐川「完・全・論・破! 白夜様かっくいぃぃ!」

十神「黙れ」

腐川「はーい! ゲラゲラゲラ!」


308: 2013/08/12(月) 19:45:00.30 ID:BkM6a2tP0
十神「しかし、安心しろ。そいつは貴様等には危害を及ぼさん」

苗木「え……?」

十神「ジェノサイダー翔は男しか狙わない。不二咲、お前は知っているはずだ」

不二咲「う、うん……確かに被害者は全員男だった、けど……」

腐川「補足させてもらうと、『美少年』が一番の狙い目なわけよ! 白夜様みたいな!」

腐川「まこぴょんも正直アリだったけど、今は全ッッ然ダメー。外見も中身もアレもソレも完璧美少女じゃーん! 無理無理、アウトオブ眼中」

313: 2013/08/12(月) 20:41:24.57 ID:BkM6a2tP0
不二咲「で、でも、そんなの信用できないよ……」

苗木「……わかったよ」

不二咲「苗木くん……?」

腐川「まーくん……?」

苗木「不二咲さん、僕は大丈夫だから……それより不二咲さんは平気? 僕のせいで倒れたって聞いたけど……」

不二咲「い、今は僕のことなんかどうでもいいよぉ……」

腐川「わーい、僕っ娘夢の共演だー」

十神「黙っていろ」

腐川「はーい!」

314: 2013/08/12(月) 20:51:45.15 ID:BkM6a2tP0
苗木「良いよ、ジェノサイダー翔。今日一日、よろしく」

腐川「まこちん、適応力すごーい! あたしも見習わなきゃ! ぎゃははは!」

不二咲「こ、怖くないの……?」

苗木「十神くんを信じるよ」

十神「何……?」

苗木「ジェノサイダーは僕を頃したりしない、って十神くんが言うなら、それを信じる」

十神「……ふん」

腐川「あたしを信じてよ、まこまこりーん! 本人が目の前にいるんだからさぁ!」

苗木「黙ってて」

腐川「へーい」

315: 2013/08/12(月) 21:12:38.65 ID:BkM6a2tP0
十神「なら、そいつの相手は任せたぞ苗木。最近、そいつにつきまとわれているせいでろくに調べ物もできていないからな。良い厄介払いだ」スタスタ

不二咲「と、十神くん……」

苗木「不二咲さんも、部屋で休んでた方が良いよ。最近、よく眠れてないんじゃない?」

不二咲「でもぉ……」

腐川「良いから部屋の隅でガタガタ震えて命乞いでもしてな子鹿がぁっ!」ジャキン

不二咲「ひっ!」

苗木「やめて! 不二咲さん良いから部屋に!」

不二咲「……わかった……けど……じぇ、ジェノサイダー!」グッ

腐川「あん?」

不二咲「苗木くんに手出ししたら……僕が許さないからっ!」

バタン

317: 2013/08/12(月) 21:21:01.91 ID:BkM6a2tP0
苗木「……」

腐川「やーん! 女同士の美しい友情、っていうの? 理解不能で萌えないッッ!」

苗木「……」

腐川「で、まーくんは何を企んでるのかなー? わざわざ白夜様とちーたん帰らせて何するつもりー?」

苗木「……何もしないよ。今日一日、お前を見張ってる」

腐川「おいおい! 見張り役は私の方だっつのの! ま、頼まれたのはあの根暗メガネの方だけどさぁ!」

326: 2013/08/12(月) 21:41:40.46 ID:BkM6a2tP0
苗木「だろうね。大神さんがお前のことを知ってて当番を頼むとは思えないから」

腐川「気がついたら廊下にいてー、通りすがりの白ラン男がまこぴょんの見張り役云々言い始めてー、返事する間もなくスタスタ言っちゃったんだよねー!」

腐川「なんであの男、人の話聞かないんだろうねー! そういう病気!? おかげで私が別人だってことにも気づかないし! ゲラゲラゲラ!!」

苗木「ってことは、廊下で人格が入れ替わったってこと? そもそも、どうしたらジェノサイダーは出てきちゃうの?」

腐川「その如何にも邪魔者みたいな言い草! まこぴょんドSの才能あるかもぉ!」

腐川「質問にお答えするとぉ、あの女がくしゃみするか気絶するかすると呼ばれて飛び出て来ちゃいまーす! ぎゃはっ!」

327: 2013/08/12(月) 21:54:55.22 ID:BkM6a2tP0
苗木「そ、そんな簡単に入れ替わっちゃうの?」

腐川「簡単じゃねぇんだよこれがぁ!!」ジャキン

腐川「あー、鼻に胡椒すりつけたまま生活してくんないかなぁ!」

苗木(それだとルーレット式に入れ替わっちゃうんじゃ……)

腐川「さっさと出て行ってくれないかなぁ、おさげメガネ。あっ! 私もおさげでメガネだった!」ペチン

苗木「出て行くのはお前の方だよ! 元は腐川さんの身体でしょ!? 早く返してあげてよ!」

腐川「やーなこったー! つーか、まこまこにそれ言われたくないんだけど! 人の事言える立場かってのぉ!」

328: 2013/08/12(月) 22:14:35.11 ID:BkM6a2tP0
苗木「ど、どういうこと……?」

腐川「とぼけちゃってぇ」

腐川「苗木誠の人格も記憶も! このまま消しちゃおうってハラなんでしょぉ!?」

苗木「な、何言ってるんだよ……僕は、僕のままだ!」

腐川「身体まで自分仕様に魔改造しといて何ほざいてんのぉ!? あたしにはわかるもーん。あんたもう苗木誠じゃなくなりかけてるって」

苗木「身体はモノクマのせいだよ! 人格だって記憶だって……無くしたりしない……!」

329: 2013/08/12(月) 22:29:14.73 ID:BkM6a2tP0
腐川「その割に不安そうな顔してるけど! やだ、身体は正直! なんちゃって! なんか思い当たる節でもあんじゃなーい?」

苗木「……」

腐川「顔、青っ! ま、どうでもいっかー! もうまこぴょん男じゃないなら興味ナッシングだしー! ゲラゲラゲラ!!」

苗木「……私、は……」

腐川「あー、暇暇暇! 白夜様のとこに行きたーい!」

331: 2013/08/12(月) 22:51:54.05 ID:BkM6a2tP0
………………

…………

……

苗木「…………」

腐川「つまんねぇぇぇ! さすがにテンション下がってきたぁ!」

苗木「……少し静かにしてて」

腐川「嘘、まーくんの精神モロすぎ!? まだ落ち込んでるのぉ? そんなことよりこの部屋退屈だから出ましょうよぉ!」

苗木「……言ったでしょ。ここでお前を見張ってないと……」

腐川「だからぁ! この学園にゃ白夜様くらいしかお目当てはいないっつの!」

苗木「だから、お前を十神くんに近づかせないために見張ってるの」

332: 2013/08/12(月) 23:02:01.68 ID:BkM6a2tP0
腐川「え? 何これ修羅場? 白夜様は渡さねえぇぇ!」

苗木「…………はぁ」

腐川「あっ、白夜様で思い出した」

腐川「今日まだ風呂入ってないじゃん!」

苗木「……へ?」

腐川「毎日入らないと口利いてもらえないのよぉ! これは氏活問題!」

腐川「行くぞまこぴょんこらぁ!!」ガシッ

苗木「ちょ、ちょっと引っ張らないでよ! っていうか、この時間は……!」

333: 2013/08/12(月) 23:20:17.96 ID:BkM6a2tP0
《大浴場》

苗木「ね、ねぇ、ジェノサイダー……身体洗うくらいなら個室のシャワールームじゃダメかな……」

腐川「ダメーッ! 湯船に浸かんないとヤダーッ!」

苗木「じゃ、じゃあ僕外で待ってるから……」

腐川「そしたら見張り役の意味ないだろタコ助!」

苗木「でも今……女子の入浴時間だよ……」

腐川「まだ言ってんのか! いい加減女になっちまいな! ゲラゲラゲラ!!」

苗木「うぅ……ジェノサイダー……今、くしゃみする予定とかは……」

腐川「ないッッ!!」

336: 2013/08/12(月) 23:56:00.93 ID:BkM6a2tP0
苗木(いや、待てよ……入浴時間だからといって、誰かいるとは限らない……入浴は義務じゃないし、それこそシャワールームで済ませる人だっているはずだ……)ヌギヌギ

腐川「わーお! まーちゃん美乳!」

苗木(もしかしたらジェノサイダーだけってことも十分あり得る……腐川さんには悪いけど……致し方ない犠牲だよ……)ヌギヌギ

腐川「何食ったらそうなんの? 牛乳? 牛乳に相談したの?」

苗木(向こうに置いてある数人分の着替えだって、私の見間違いかもしれないんだ……)ヌギヌギ

腐川「無視だよ! ゲラゲラゲラ!!」

苗木(っていうか、お願い。見間違いであって)

337: 2013/08/13(火) 00:11:47.25 ID:utQ0731K0
ガラッ

朝日奈「あ、腐川ちゃん……と、苗木!?」

舞園「誠ちゃん! お風呂で会うのは初めてですね!」

大神「む……苗木よ、今朝は済まなかったな……」

セレス「あらあら、これは予想外ですわ」

霧切「……」

苗木(だよねぇぇぇ……)ズーン

338: 2013/08/13(火) 00:22:28.22 ID:utQ0731K0
苗木(いないのは不二咲さんと江ノ島さんだけか……)

舞園「不二咲さんはいつも通り来てくれなくて……江ノ島さんは『眠いからパス』って……」

苗木「そ、そう……」

セレス「それで? 何か言うことがあるのではないですか?」

苗木「うっ……ち、違うんだよ……実はジェn……腐川さんに無理矢理連れてこられて……」

腐川「嘘ついちゃダメだぞ、まーちゃん? 自分から入りたいって言った癖にぃ! ゲラゲラゲラ!!」

苗木「ちょっ……! そんなこと言ってないし、喋ったら……」

一同「……」ポカーン

苗木(だ、大惨事だ……)

339: 2013/08/13(火) 00:32:54.69 ID:utQ0731K0
朝日奈「えーと……腐川ちゃん、酔ってる?」

腐川「シラフだっつーの、このおっOい星人!」

朝日奈「え、えー……」

腐川「あと、あたしとあの根暗女を一緒にすんな! あたしは超高校級のさつじ……もがっ」

苗木「わー! わー! ご、ごめんね! 今ちょっと腐川さんテンション上がってるみたいで!」ガシッ

苗木「ちょっと、ジェノサイダー!」ヒソヒソ

腐川「やだ、まこぴょん近い」

苗木「お願いだから、みんなにバレないようにして! もしくは早く腐川さんに戻って!」ヒソヒソ

腐川「えー? めんどくせ」

340: 2013/08/13(火) 00:50:43.84 ID:utQ0731K0
舞園(腐川さんが邪魔で上手く……けど、何か仲良さそう……)ムッ

苗木(ま、舞園さんが疑いの眼差しを……)ダラダラ

苗木「と、とにかく今腐川さんちょっとおかしいから! 何言っても気にしないで!」

腐川「酷ぉっ!」

苗木「あと、ごめんねみんな! 私、ずっと目瞑ってるから! すぐ出るから!」

大神「いや、しかし目を瞑っていては危険……」

苗木「!?」ズルッ ステーン

苗木「い、痛いぃ……ぐすっ」

朝日奈「あちゃー、痛そう……」

霧切(一歩目で石鹸を……)

セレス(やはり仕事しませんわね、幸運)

舞園(かわいい)

358: 2013/08/13(火) 12:24:49.55 ID:X8BMGX9p0
苗木「うぅ……ごめん……ホントにすぐ出るから」

舞園「えー、ゆっくりしていってくださいよ。私たち気にしませんから、ね?」

大神「うむ」

朝日奈「そうそう、色々話もしたいし」

苗木(やっぱり男として見られてないよねぇ、これ……)

腐川「髪ほどけねぇっ! クソがっ!」グググ

苗木「……」

霧切「私としては、彼女のことも気になるけれど」

359: 2013/08/13(火) 12:36:12.34 ID:CCEswoZ20
苗木(今、後ろにはみんなの……は、裸が……)モンモン

腐川「ヒャッホー! メガネ外したら何もみえねぇ!」ザブーン

大神「腐川よ……少し落ち着け」

苗木(そうだ、落ち着け……素数を数えて落ち着くんだ……1、2、3、5、7、11……)

舞園「1は素数ではありませんよ、誠ちゃん」ニコニコ

苗木「ま、舞園さん……」

舞園「背中流しましょうか? うふふっ」

苗木「え!? い、良いよ大丈夫だよ!」

舞園「人に洗って貰うのって気持ちいいですよね」ゴシゴシ

苗木(……全世界の舞園さんファンの男性に知られたら殺されるな……)

360: 2013/08/13(火) 12:46:49.10 ID:DSjPQjaq0
舞園「誠ちゃん、その身体には慣れました?」ゴシゴシ

苗木「あんまり慣れたくないよ……」

舞園「……何か悩みがあったら、いつでも私に相談してください」

苗木「……ありがと。でも、舞園さんに隠し事はできないから悩みもすぐにバレちゃいそう……あはは」

舞園「確かに、誠ちゃんのことならけっこうわかるつもりですけど……」

舞園「でも、できることなら直接お話してもらいたいです。私のことを信頼した上で、きちんと」

苗木「舞園さんのことは信頼してるよ。これ以上ないくらい……」

舞園「……『でも、心配かけたくないから』、ですか?」

苗木「……」

舞園「優しいですね。そんなところが大好きです」

371: 2013/08/13(火) 22:32:57.19 ID:utQ0731K0
……………

苗木「…………」チャポン

セレス「まだ湯船に浸かったばかりなのに、耳まで真っ赤ですわね。苗木さん?」

苗木「ひゃあっ! せせ、セレスさん近い近い!!」

セレス「それはそうでしょう。近づかなければろくにお話もできません」

苗木「あのさ……一応聞くけど、恥ずかしくないの?」

セレス「人として恥ずべき行動など、取った覚えはありませんわ」ニコニコ

苗木「女の子としての話だよ……」

372: 2013/08/13(火) 22:47:38.29 ID:utQ0731K0
セレス「はて、苗木さんが何を言っているのか理解しかねます」

苗木「……はぁ」

セレス「……溜め息ばかり吐いていると幸せが逃げますわよ?」

苗木「大和田くんにも言われたよ、それ……」

セレス「……」

セレス「……苗木くん」

苗木「?」

セレス「……覚悟は、できましたか?」

苗木「覚悟……?」

セレス「何もかも失う覚悟、です。知ったのでしょう? 貴女に起こった異変の正体を」

373: 2013/08/13(火) 23:00:53.94 ID:utQ0731K0
苗木「うん……」

セレス「そこで質問があるのですが……」

セレス「もし万が一、貴女が私たちのことを忘れ去り、自分が何者かすらわからない──それこそ廃人のような状態に陥ったとして……貴女は私たちに、何を望みますか?」

苗木「……そんなことになったら……」

苗木「僕はもう……氏にたいよ……」

セレス「……」

苗木「だってそうでしょ? そんなの、氏んでるのと何も変わらないよ」

375: 2013/08/13(火) 23:10:30.96 ID:utQ0731K0
苗木「少なくとも今の僕にとって、みんなが全てだから……みんなを失うなんて耐えられない……」

苗木「だからって、そんな状態の僕が生きていたらみんなが辛くなるだけだ……だったら、いっそ……」

セレス「そうですか……とても参考になる意見でした」

苗木「……」

セレス「では、そうなった暁には、私が貴女を頃して差し上げます」

苗木「!?」

セレス「もちろん、みんなの目の前で。そして、私もその場で氏にます。ドラマチックに言うなら、『貴女を頃して私も氏ぬ』、という奴でしょうか。ふふっ」

苗木「ちょ、ちょっとセレスさん……!?」

376: 2013/08/13(火) 23:23:33.38 ID:utQ0731K0
セレス「何か文句でも?」

苗木「お、大ありだよ! なんでセレスさんが氏なないといけないの!?」

セレス「貴女はその頃、自頃すら許されないような有り様かもしれませんから」

苗木「っ……!」

セレス「ですが、『コロシアイ』を勝ち抜くために貴女を利用したと思われたくはありません。貴女に氏ぬ覚悟があるのなら、私も相応の覚悟を持って貴女を頃します。それに……」

苗木「そ、それに……?」

セレス「……今の私にとって、貴女が全てですから。貴女を失うなど、耐えられませんわ」ニコニコ

苗木「ぶっ! ごほっごほっ……!」

377: 2013/08/13(火) 23:36:36.21 ID:utQ0731K0
セレス「遊び相手がいなくなるのは、私にとって氏活問題なのです。おわかりですか?」

苗木(そ、そういうことか……冗談がきついよ……)

セレス「……」

セレス「さて、私はもう湯あたりしそうなので先に上がりますわ」ザバッ

苗木「え? セレスさん、今入ったばっかり……って、セレスさんタオルタオル! 見えちゃう!」

セレス「あら、失礼。湯船の中に忘れてしまったので取っていただけますか?」

苗木「わぁぁぁ! そ、その状態で屈まないでぇぇぇ!」

380: 2013/08/14(水) 00:04:17.40 ID:4zwHkQs30
…………

セレス『貴女を頃して私も氏ぬ、という奴でしょうか』

苗木(……冗談、だよね。セレスさん……)ブクブクブク

朝日奈「何やってんの、苗木? 考え事?」

苗木「あ、朝日奈さんっ!?」

朝日奈「私もよくやるんだよねー。何か考えるとき、口まで浸かってぶくぶくーって」

苗木(ちゃ、ちゃんとタオルを巻いてくれてるけど……し、刺激が強すぎる……)

381: 2013/08/14(水) 00:35:03.48 ID:4zwHkQs30
大神「朝日奈よ、苗木が困っている。少し身を引いてやれ」

朝日奈「あ、ごめんね……って、私が謝ることなのかなぁ……?」

苗木「あれ? 腐川さんと霧切さんは?」

朝日奈「霧切ちゃんなら向こうの湯船にいたよ? 何かちょっと慌ててたみたいだけど……」

大神「腐川なら今、水風呂で逆さまになっている……『イヌガミケ!』と謎の叫び声を上げながら自ら沈んで行った」

苗木「そ、そう……」

392: 2013/08/14(水) 11:38:31.26 ID:4zwHkQs30
朝日奈「あー、その、苗木……?」

苗木「?」

朝日奈「大変だったんでしょ、アレ……」ゴニョゴニョ

苗木「…………うん、氏ぬかと思った」

朝日奈「わかるよー。私もけっこう来るタイプだからさ、学校行くのも一苦労なんだよね……何よりプールの授業見学しなきゃいけないのが辛くて……」モジモジ

苗木「あ、朝日奈さん、恥ずかしいならその話はしなくていいよ……」

396: 2013/08/14(水) 12:00:22.60 ID:4zwHkQs30
朝日奈「ま、まあ、とにかく何かあったら私にも相談してよ! さくらちゃんほど頼りにはならないけどさ!」

苗木「そんなことないよ……ありがと、朝日奈さん」

大神「ふふ……」

朝日奈「それにしても、苗木……」

苗木「?」

朝日奈「立派なものをお持ちで……」

苗木(人のこと言えないよ、朝日奈さん)

398: 2013/08/14(水) 12:09:21.34 ID:4zwHkQs30
…………

苗木「…………」

腐川「……」ブクブクブク

苗木(い、いつまで潜ってるつもりなんだろ……)

腐川「ぶはっ! 氏ぬかと思ったぁ!」

苗木「ねぇ、ジェノサイダー。腐川さんが可哀想だから今すぐその奇行を止めてもらえないかな」

腐川「お、まーちゃん。これ、あげるっ!」ポイッ

苗木「わっ……何これ?」

腐川「知らなーい。暴れてたらいつの間にか握りしめてて。何ソレ昆布?」

苗木「いや、どう見ても手袋だよ……」

400: 2013/08/14(水) 12:17:35.93 ID:4zwHkQs30
苗木(この手袋……確か霧切さんの、だよね……後で返しに行こうかな……)

腐川「うー、寒っ! 風邪引いちゃうぅぅ!」

苗木「そりゃ、ずっと水風呂にいたからね……早く温まった方がいいよ……」

腐川「ふぇ……ふぇ……」

腐川「ぶぇっくしょい!!」

苗木「あ……」

401: 2013/08/14(水) 12:43:51.47 ID:4zwHkQs30
腐川「……あ、あれ……ここ、お風呂場……?」

苗木(戻った……)

腐川「!? な、なな……なんで……」

腐川「なんであんたがここにいんのよぉぉ!」バチィン

苗木「ぶっ……お、落ち着いて腐川さん……これには色々と訳があって……」ヒリヒリ

腐川「そして何であたしは裸なのよぉぉ!」ダダッ

苗木「ふ、腐川さん、走ると危な……」

腐川「!?」ズルッ

ザッパァァァン

苗木「……はぁ」

402: 2013/08/14(水) 12:51:58.81 ID:4zwHkQs30
………………

霧切「……」ザブザブ

苗木「霧切さん」

霧切「!」

苗木「あのね、さっき腐川さんが……」

霧切「見ないでっ!」

苗木「!」ビクッ

403: 2013/08/14(水) 12:58:44.18 ID:4zwHkQs30
霧切「……ごめんなさい。今ちょっと、手が放せないの。話なら後で聞くわ」

苗木「う、ううん……こっちこそごめん……そりゃそうだよね……」

霧切「……」ザブザブ

苗木「じゃあ、これだけ渡しておくよ。これ、霧切さんの手袋だよね?」

霧切「! ええ、そうよ。それを探していたの……ありがとう、苗木くん」ホッ

苗木(よっぽど大切なものなのかな……?)

404: 2013/08/14(水) 13:11:56.17 ID:4zwHkQs30
苗木「お風呂の時もしてるんだね、手袋」

霧切「……ええ。外していると落ち着かないの」

苗木「ふぅん……」

苗木「あ、ご、ごめん! 僕もう上がるから!」

霧切「待って」

苗木「?」

霧切「少し話がしたいから、こっちに来なさい」

苗木「え、でも『見ないで』って……」

霧切「いいから来なさい」

苗木「……はい」

410: 2013/08/14(水) 13:38:21.15 ID:4zwHkQs30
霧切「別に苗木くんに裸を見られたところで何とも思わないわ」

苗木「むう……」

霧切「そんなことより、話っていうのは貴女の……」

苗木「……」ジー

霧切「? 苗木くん?」

苗木(改めて見ると霧切さん、髪長くて綺麗だなぁ……)

苗木(濡れた髪が肌に貼り付いて……なんか、妙に色っぽい……)ドキドキ

霧切「ジロジロ見ないでくれるかしら」

苗木「も、もう! どっちなのさ!」

霧切「節度を持ちなさい、節度を」

412: 2013/08/14(水) 14:26:49.52 ID:4zwHkQs30
霧切「……不二咲さんに聞いたわ。苗木くんの身体のこと」

苗木「……そう」

霧切「図書館にも化学室にも物理室にも、役に立ちそうなものは無かったわ。やはり、なんとかしてモノクマから直接情報を得るしか無さそうね……」

苗木「霧切さん……あのね……」

霧切「何? まさか、『もう諦めろ』なんて言わないわよね?」

苗木「……」

霧切「苗木くんにそんなセリフは似合わないわ」

414: 2013/08/14(水) 14:57:07.87 ID:4zwHkQs30
苗木「どうして……霧切さんはそこまで……」

霧切「私だけじゃないわ。今、みんなが苗木くんのために動いてる」

霧切「苗木くんのおかげで、みんな一つになれてるのよ? 皮肉なことだけれど」

苗木「……」

霧切「だから、貴方は弱音を吐かないで。自分の為にも、みんなの為にも」

苗木「でも……でも、私……」

霧切「! 苗木くん……」

416: 2013/08/14(水) 15:27:51.43 ID:4zwHkQs30
苗木「私……私っ! 忘れたくない! みんなのこと……みんなが私のためにしてくれたこと……!」

霧切「っ……! 聞いて、苗木くん! ……今、貴方は自分を見失いかけてる! このままでは……」

苗木「やだ……やだよぉ……ひぐっ……」ボロボロ

霧切「……」ギュッ

苗木「き、霧切さん……?」

霧切「お願い……気を強く持って。私を、みんなを信じて。負けてはダメよ……」

苗木「う……ぐすっ……」

霧切(かなり、進行してるのね……急がないと……もうなりふり構っていられない……)

417: 2013/08/14(水) 15:36:45.32 ID:4zwHkQs30
………………

苗木「……」

霧切「……苗木くん」

苗木「あ、あれ……僕、今……」

苗木「って、うわあぁ! き、霧切さん、何で……だ、抱き……!」

霧切「…………」

霧切「貴方がのぼせて倒れそうだったから支えただけよ。勘違いしないで」

苗木「そ、そっか……ごめんね……」

419: 2013/08/14(水) 15:58:32.78 ID:4zwHkQs30
《脱衣所》

セレス「お二方とも、随分長風呂でしたのね?」

朝日奈「やっぱお風呂上がりはドーナツだよねー!」モグモグ

舞園「普通はコーヒー牛乳だと思うんですけど……」

大神「飲み物ですらないな……」

苗木「みんな……下着姿でうろうろするのやめようよ……」

霧切「? 腐川さんはどこ?」

セレス「早々に着替えて、逃げるように出て行きましたわ」

422: 2013/08/14(水) 16:28:18.94 ID:4zwHkQs30
苗木「参ったな……腐川さん、見張り当番なのに……」

苗木(まあ、ジェノサイダーではなくなってたみたいだから十神くんの心配はいらないか……)

舞園「じゃあ、今日はみんなで誠ちゃんの見張りをしましょう!」

苗木「へ?」

朝日奈「女子会! お泊まり女子会!」

苗木「い、いや、でも……」

大神「うむ、我も賛成だ」

セレス「主役が参加しなければ何の意味もありませんよ、苗木さん?」

苗木(うぅ……みんな言い出したら聞かない人たちだからなぁ……)

432: 2013/08/14(水) 21:47:27.53 ID:jztcpmZ/0
《苗木の部屋》

苗木「……何故僕の部屋で」

舞園「誰の部屋でも良かったんですけど、せっかくなので」

苗木「"せっかく"の意味がわからないよ……」

苗木「後さ……」

不二咲「……」プルプル

苗木「何で不二咲さんは部屋の隅で震えてるの……?」

セレス「私が無理やり連れてきたからです。せっかくなので」

苗木「だから"せっかく"の意味がわからないよ……」

435: 2013/08/14(水) 22:04:09.69 ID:CnTXl4SM0
霧切「私も不二咲さんに少し話があったから声をかけたのだけど……迷惑だったかしら」

不二咲「……」フルフルフル

霧切「そう……ならいいのだけど。涙目で否定されるとどっちなのかよくわからないわ」

江ノ島「ふわぁ……ねみぃ……」ゴシゴシ

苗木「江ノ島さんも来てくれたんだね……」

江ノ島「ん。ちーっす、苗木。なんか会話するのも久々じゃない?」

苗木「あはは……そうだね」

江ノ島「どう? その身体は」

苗木「どう、って言われても……イヤだな、としか……」

江ノ島「ふーん……ふわぁ」

苗木(露骨に無関心だ……)

436: 2013/08/14(水) 22:17:50.56 ID:k1a5j4ue0
朝日奈「じゃ、長い夜スタートー! こんなときだからこそ、楽しまないとね!」ドッサリ

苗木(大量のお菓子と飲み物……石丸くんに知られたら叱られそうだな……)

苗木(ベッドに積んであるボードゲーム類は……セレスさんが持ってきたんだろうなぁ)

舞園「あ、ゲームを持ってきたのは私です! 持ち出し禁止とはなってませんでしたから!」

苗木「…………そう」

舞園「はい!」ニコニコ

440: 2013/08/14(水) 22:35:39.67 ID:UtNeahgM0
………………

苗木「……えーと、『子どもが生まれた。みんなからお祝い金として1万ドルずつもらう』」

朝日奈「また!?」

苗木「もう車に乗りきらないよ……」

セレス「安産型ですのね」モグモグ

江ノ島「ぶふっ!」

苗木「も、もうっ!」

舞園「でも借金地獄ですね、誠ちゃん……」モグモグ

苗木「そうだね……一家心中するレベルだね……」

442: 2013/08/14(水) 22:54:02.78 ID:vRr5d+nU0
不二咲「ぼ、僕けっこう余裕あるから苗木くんに……」

大神「我も……」

霧切「ダメよ。人生ゲームにそんなルールは無いし、苗木くんの為にならないわ。子どもを増やしすぎたのも、借金を作ったのも、全て苗木くんの自己責任よ」

不二咲「うぅ……」

大神「むぅ……」

苗木(なんか僕、ダメ人間みたいになってる……)

腐川「ゲームで自己責任とか説かれるまこぴょん! 哀れッ! ゲラゲラゲラ!」

苗木「!?」

445: 2013/08/14(水) 23:27:09.63 ID:I75o8gY70
腐川「でもなんか見張り必要なくね!? ならあたし徘徊してくるわ! この部屋女臭くてたまらねー! そんじゃなっ!」

苗木「ま、待って! 夜時間の外出は禁止ってみんなで……」

ガチャ バタン

一同「……」

セレス「まあ……今回は目を瞑りましょう。強制ではありませんし」

苗木(セレスさん……あれと関わるのめんどくさくなったな……)

446: 2013/08/14(水) 23:43:25.11 ID:jztcpmZ/0
……………

苗木「…………」

舞園(結局、子どもは増えに増え……)

霧切(その一生をフリーターで終えて……)

江ノ島(家を売っても借金は返せず……)

セレス("人生最大の賭け"にも当然のように負け……)

不二咲(ダントツで最下位……)

大神「苗木よ、泣いても良いのだぞ……」

苗木「泣かないよ……ぐすっ」

449: 2013/08/14(水) 23:52:59.57 ID:g8Bokg3z0
江ノ島「ま、まあ、人生なんてこんなもんだよ! ドンマイドンマイ!」

大神「慰めになっていないぞ、江ノ島よ……」

セレス「苗木さんだけ世紀末に生きてたんですのね」

不二咲「も、もう一回やる?」

苗木「……人生に『もう一回』は無いよ、不二咲さん……」

霧切(深い……)

朝日奈(無駄に深い……)

セレス(心なしかアンテナが萎れてる気がしますわ……)


456: 2013/08/15(木) 00:45:51.54 ID:lq2udrd10
舞園「じゃ、じゃあ気を取り直して次はツイスターゲームでもしましょうか」

苗木「ちょっと待って! 女性同士でやるゲームじゃないよね!?」

セレス「苗木さんは男女でやるべきゲームだと思っているのですか? なんて破廉恥な」

苗木「……」

霧切「まあ、ツイスターゲームは別名『Sex in a box』と言って一般的にはそういう意図が少なからず……」

苗木「霧切さんはどうして冷静に解説を始めたの!? フォローのつもりなら大丈夫だよ!」

459: 2013/08/15(木) 01:19:42.81 ID:+vXFmN7U0
……………

舞園「えーと……朝日奈さん、右手を赤の4に」

朝日奈「む、無理、届かない……」

大神「では、こうすればどうだ」ヒョイ

朝日奈「わっ! すごい、さくらちゃん身体柔らかい!」

大神「ふっ……」

江ノ島「……」

霧切「……」

不二咲「す、すごいねぇ……」パチパチ

セレス「見てる方は全く楽しくありませんわね……これ」

苗木「だから言ったよね僕!?」

460: 2013/08/15(木) 01:27:46.00 ID:TyziHHUO0
………………

朝日奈「王様だーれだ!?」

苗木(これも女子会でやるゲームじゃない気が……)

セレス「あら、私ですわね」

舞園「では、なんなりと!」

セレス「では、苗木さんが王様に……」

苗木「セレスさん、番号番号」

セレス「あら、失礼。では苗木さんが持っている番号の人が王様に……」

苗木「もはや意味不明だよ……後、王様は選択肢に入らないからね?」

468: 2013/08/15(木) 02:28:49.85 ID:lq2udrd10
セレス「…………さぁ、4番の方は1番の方に全力ビンタをお願いします」

朝日奈(さらっと逆にした!)

舞園(でもビンタは譲らないんですね!?)

霧切「待ってセレスさん。王様の命令は絶対である以上、番号を確認してからの命令変更はルール違反だと思うわ」

苗木「霧切さん!! 霧切さんのその無駄に杓子定規なとこ、良くないと思う!」

霧切「!!」ガーン

江ノ島「あんた、不二咲が跡形もなく消し飛ぶとこ見たいのかよ!?」

霧切「無駄に……杓子定規……」

473: 2013/08/15(木) 02:56:43.96 ID:GK9F7u3+0
不二咲「い、良いの……?」

大神「我は構わん。来い、不二咲」

セレス「王の命令は絶対、ですわ。不二咲さん」

不二咲「っ……じゃ、じゃあ行くよ……?」

不二咲「…………えいっ!!」ペチン

大神「……」

苗木舞園朝日奈江ノ島(平和だ……)

セレス(腹パンくらいじゃないと面白くなかったですわね……)

霧切「融通は……利かせてるつもりなのだけど……」ブツブツ

474: 2013/08/15(木) 03:19:53.85 ID:AYUwjTjU0
大神「……うむ、魂のこもった良い平手だったぞ、不二咲」

不二咲「ご、ごめんなさい! ごめんなさい! いくら命令だからって、人を叩くなんて……」ジワッ

大神「気に病むことはない。ちょうど左頬に痒みがあったのだ。礼を言うぞ、不二咲」

朝日奈「そのフォローの仕方はどうなんだろう、さくらちゃん……」

セレス「さ、次の王様を決めますわよ」

江ノ島「セレスはもうちょいあの2人に関心持ってあげたらどうよ。あんたの命令健気に遂行したんだからさ」

475: 2013/08/15(木) 04:02:47.10 ID:moNflT3K0
………………

朝日奈「王様だーれだ!」

舞園「あ、はいはい! 私です!」

苗木「……」

舞園「誠ちゃん、何故目をそらすんですか?」

苗木「な、なんとなく」

舞園「自分の番号、確認しないんですか?」

苗木「た、楽しみに取っとこうと思って」

476: 2013/08/15(木) 04:33:26.13 ID:9u9CtaqJ0
舞園「むむむ……」

苗木(露骨に狙い撃ちしようとするのやめようよ、舞園さん……)

舞園「……わかりました。じゃあ、2番の人が3番の人に、秘密を一つ打ち明ける……というのはどうでしょう」

朝日奈「割とソフトなお題だね」

セレス「まあ、2番3番以外は全員おあずけ状態ですが……」

大神「また我か……」

不二咲「ま、また僕?」

江ノ島「今度は暴力的なお題じゃなくて良かったじゃん」

477: 2013/08/15(木) 04:41:41.32 ID:9ucIj/tv0
朝日奈「で、どっちが何番?」

大神「2番だ」

不二咲「3番……」

不二咲(ぎゃ、逆じゃなくて良かったぁぁぁ……)

舞園「秘密を打ち明けあう、の方が面白かったかな……」

不二咲「!? あ、あわわ……」

苗木(ホッとしたり慌てたり……忙しないな、不二咲さん……)

478: 2013/08/15(木) 05:53:33.29 ID:AYUwjTjU0
大神「……良かろう。では……」スッ

朝日奈「あっ、それ、例の写真!? ずるい! 私もまだ見せてもらったことないのに!」

江ノ島「例の写真?」

朝日奈「えーと……さくらちゃんの初恋の人とのツーショット写真、だよね?」

大神「……うむ。肌身離さず持っている」

江ノ島「お、乙女だねぇ……はは……」

苗木(そ、想像がつかない……)

479: 2013/08/15(木) 06:02:20.62 ID:1T7bZRUn0
大神「他人に見せるのは初めてやも知れぬな……」スッ

不二咲「……え? これ、ツーショット写真って言うより……戦っ……」

不二咲「こっちが初恋の人、だよね? ってことはこっちが……?」

大神「我だ」

不二咲「ええぇぇぇぇぇっ!?」

一同(気になる……すごく気になる……)

不二咲「な、なんていうか……すごく……」

大神「不二咲」

不二咲「は、はいっ!」

大神「皆まで言うな……」

不二咲「ご、ごめんなさい」

493: 2013/08/15(木) 16:54:18.24 ID:seZ9BlmO0
舞園「その初恋の方って、どんな人なんですか? 私、気になります!」ワクワク

大神「不二咲にだけ打ち明けるという話だったのでは……まあ良い。あまり面白くもない話だが……」

大神「ケンイチロウは我の唯一無二のライバルにして、一子相伝の暗殺拳の使い手だ」

江ノ島「あれー……一気にロマンチックな話じゃ無くなり始めた……」

大神「今、彼は病魔に侵されている。彼が快復し、再び拳を交えるときまで、我は強くあり続けなければならない。そして、必ずや奪い取る。『地上最強』の称号と、彼の心をな……」

不二咲「素敵な話だねぇ……」

朝日奈「ホントだねぇ……」

苗木「そうだね……まるで少年マンガみたいだ」

498: 2013/08/15(木) 17:24:27.33 ID:1T0tor0Y0
………………

朝日奈「じゃ、これで最後ね。王様だーれだ!」

江ノ島「あたしだねー。っても、もうネタ切れなんだよなぁ」

セレス「一通り面白そうなことはやりましたものね」

苗木「『一分間罵声を浴びせ続ける』は面白そうなことに含まれるの……?」

舞園「まあ、それも不二咲さんのおかげで平和に終わりましたけどね」

500: 2013/08/15(木) 17:32:48.58 ID:6kKMUYkG0
江ノ島「じゃ、4番の人、何でもいいから恥ずかしい話して。赤面し過ぎて氏ぬくらいのやつ」

不二咲「氏ぬくらいの!?」

霧切「穏やかじゃないわね」

朝日奈「4番だーれだ!」

苗木「……僕だね」

舞園「」ガタッ

セレス「お座りください、舞園さん」

507: 2013/08/15(木) 19:52:55.69 ID:q4obCXtT0
苗木「恥ずかしい話って言われても……うーん……」

舞園「妹さんがいる男の子は人には言えない秘密が一つや百個はあるって友達が言ってました!」

苗木「そんなにないと思うけど……妹関連だったら……し、身長が負けてることくらいかな……」

セレス「確かにそれは恥ずかしいですわね」

苗木「うっ……何度弟に間違えられたことか……」

512: 2013/08/15(木) 20:22:19.73 ID:1T7bZRUn0
大神「プロテインを飲んでみたらどうだ、苗木よ」

朝日奈「いやー、いくらさくらちゃんの万能プロテインでも苗木の身長はどうにもならないんじゃないかなぁ」

苗木「僕の身長ってそんなに絶望的なの!?」

江ノ島「背の高い苗木が想像できないからねー」ケラケラ

霧切「で、他に恥ずかしい話は?」

苗木「えぇぇ……うーんと……」

苗木「じゃ、じゃあ、この場を借りて話したいことを……」


ザザッ…

518: 2013/08/15(木) 20:43:26.40 ID:seZ9BlmO0
苗木(? 何か、今……)

セレス「話したいこと?」

苗木「うん。みんなに……お礼を」

ザッ…

苗木「ありがとう、舞園さん。僕のためにお泊まり会、提案してくれて……」

舞園「……誠ちゃん、少し元気が無いように見えたので……」

苗木「今、すごく楽しいよ……できることなら、ずっとこうしてたいくらいに……」

521: 2013/08/15(木) 20:52:09.36 ID:sZURUxkC0
ザザッ…

苗木(耳鳴り……?)

苗木「……みんなもありがとう。集まってくれて……」

セレス「私はただ自分が楽しみたいから来ただけですわ。断じて苗木くんの為ではありませんので」

朝日奈「もう、素直じゃないなーセレスちゃん!」

大神「苗木よ。再三言うが、我らは友人として……」

苗木「うん、わかってる……それでも、お礼を言わせて欲しいんだ」

ザザッ…ザッ…

524: 2013/08/15(木) 21:08:39.74 ID:9ucIj/tv0
苗木「嬉しかったよ、みんなの気持ち……だから、みんな……」

ザザーッ……

苗木「今まで、本当に……」

セレス「!」

霧切不二咲「苗木くんっ!!」ガタッ

苗木「!」ビクッ

朝日奈「?? ど、どうしたの2人とも?」アセアセ

大神「苗木、泣いているのか……?」

苗木「え……?」ポロッ

江ノ島「……な、なになに? 泣くほど私たちに感激しちゃったの苗木? 可愛いとこあるじゃんかぁ!」

セレス「……」

527: 2013/08/15(木) 22:37:47.12 ID:IvruDCcY0
………………

セレス「……さて、皆さんどうやらお疲れのようですからそろそろお開きにしましょうか?」

苗木「う、うん……」

霧切「……そうね。少し、遊びすぎたかもしれないわ」

不二咲「そうだね……」

朝日奈「遊びすぎたし、食べ過ぎたし」

大神「食べ過ぎていたのは朝日奈だけだが」

江ノ島「良いけどさぁ、ベッド一つしかないのにどうやって寝んの? 8人はさすがに無理っしょ」

舞園「雑魚寝で! お布団は持ってきました!」

江ノ島「マジで? まあ、あたしはどこででも寝れるから良いけどさぁ……」

529: 2013/08/15(木) 22:50:13.47 ID:h1Wo5nJl0
………………

…………

……

舞園「すぅ……すぅ……」

朝日奈「むにゃ……」

苗木「……」

苗木(ごめんね、みんな……私はもう……)

苗木(…………本当に、楽しかった)

おしまい

532: 2013/08/15(木) 22:58:15.84 ID:sZURUxkC0
コンコン

「……入るよ」

「ん。どうだった?」

「……楽しかった」

「へ?」

「あ、いや……」

「なに、冗談のつもり? 似合わねー! ……あいつの様子を訊いてんだけど」

「もう、ダメじゃないかな」

「あ、そう。まあ、頃合いだよね! うぷぷぷっ!」

「そうだね」

「あー、早くぶっ壊れてくんないかなぁ! 楽しみすぎておかしくなりそう!!」



670: 2013/08/17(土) 00:58:45.82 ID:cyAeBrrAO
乙です。
自分の書きたい物を、書きたいように書けば、結局それが一番面白くなるはず。
……なんかこれ、色んなスレで言ってきたな。



839: 2013/08/20(火) 00:46:11.36 ID:qjwzAJrpo
乙です

引用: 苗木「女の子になった……」