1: 2012/01/07(土) 13:34:40.93 ID:CY4xJtG50

アントニー「こいつはどうじゃー!」バシンッ打2

竜「甘いな」

マミ「もっと状況をよく見るべきね。ロンよ!」

マミ「リーチドラ3(ティロ・フィナーレ)!!」

マミ手牌 34六七八⑤⑥⑦⑨⑨西西西  ドラ西


※牌の見方 1=ソーズ 一=マンズ ①=ピンズ


さやか「すごい! 見事なコンビ打ちだ!」

まどか「ドラ爆大成功!」


ほむら(……どういうことなの……?)

2: 2012/01/07(土) 13:38:21.60 ID:CY4xJtG50

マミ「私は巴マミ。見滝原中学の3年生よ」

さやか「2年の美樹さやかです」

まどか「鹿目まどかです」

竜「ふっ」

さやか「この人は?」

マミ「この人は竜さん。私の家の居候で、ときどき魔女退治を手伝ってくれるの」

竜「無職です。親の遺産でくらしてます」

タイゾー「いやー、今回も大勝利でしたね」

マミ「そして彼がタイゾー君。面子が足りない時に呼ぶニートよ」※


ほむら(わからない……なにもかもがわからない……)


※杉村タイゾー:みんな大好き『ムダヅモ無き改革』のコメディリリーフ。
基本ヘタレのクズだが、ここぞというときには確変する。通称「史上最強のニート」

3: 2012/01/07(土) 13:45:03.33 ID:CY4xJtG50

翌日

ほむら(どうやらこの時間軸は麻雀がとても盛んなようね)

ほむら(それどころか、魔法少女が麻雀で戦うなんてわけがわからないわ)

ほむら(でもまどかたちはいつものように巴マミと魔法少女体験コースへ。QBまでこの世界に順応しているわ)

ほむら(なにがなんだかわからないけど、私のやることは変わらない)

ほむら(今までいくつもカオスな時間軸を渡ってきたのだから)

ほむら(というわけでまどかたちをストーキング中よ)


ゲルトルート「この前はウチの若ぇもんが世話になったようだな」

さやか「こ、これが魔女…」

マミ「ええ、使い魔(若い衆)とは比べものにならない麻雀力よ」

マミ「計測によると…1572Adh.(アーデルハイド)か。平均的な魔女ね」※


※Adh.(アーデルハイド):麻雀力をあらわす数値。一般人は平均7Adh.
各国首脳クラスになると、6000~9000ほどにもなる。
あまりに麻雀力の差があると、弱い方は近づいただけで氏に至る場合も。

4: 2012/01/07(土) 13:48:36.56 ID:CY4xJtG50

マミ「あなたたちは後ろで見ていて。闘牌するのは私と竜さん、タイゾー君で…」

??「ちぃと待ちぃや」

まどか「誰!?」

甲斐「竜、わしを覚えとるじゃろう。甲斐組組長甲斐正三じゃぁ!」※

竜「あンたか…」

ゲルトルート「甲斐! てめぇ使い魔(鉄砲玉)に撃たせたはずが化けて出やがったか!?」

甲斐「おう、生きとる生きとる。わしゃ不氏身じゃ」

タイゾー「ひィッ! ヤクザ!?」

甲斐「悪いのニイちゃん。そこをどいてくれんか。わしはこいつと打たなアカン。そういう宿命なんじゃ!」

タイゾー「は、はい! 喜んで!」


※甲斐正三:関東最大の暴力団、桜道会若頭にして初代甲斐組組長。
義理人情と面子を重んじる典型的な極道。桜道会会長桜田道造への忠誠心は絶対。
そのために命も惜しまぬ生き様は、竜に多大な影響を与えた。

6: 2012/01/07(土) 13:52:01.41 ID:CY4xJtG50

マミ「それじゃあ、面子もそろったことだし闘牌開始よ!」

東家:巴マミ
南家:竜
西家:ゲルトルート
北家:甲斐正三

まどか「マミさん頑張って!」

さやか「いっけぇー!」

甲斐「ツモッ! ピンフイッツー!」

ゲルトルート「くっ! 甲斐~!」

甲斐「ゲルトルート! そろそろ吐いたらどうじゃ! 誰の差し金でわしと会長(おやっさん)を狙った!?」

ゲルトルート「じゃかぁしいぞサンピン!」

甲斐「竜! 今日こそお前に勝って、お前の運を桜道会のために使わせたるぞ!」

竜「ふっ」

甲斐「中混一じゃぁ~!」

この日の甲斐正三は神懸かったかのように牌を引き入れていった。

8: 2012/01/07(土) 13:55:28.61 ID:CY4xJtG50

マミ「さすが甲斐組2000の命を背負うだけあって、凄い麻雀力だわ」

マミ「でも私も負けてられない、リーチ!」打⑦

竜「チー」 シャキン⑦⑥⑧

さやか「今、牌が…!」

まどか「閃光った!?」

ゲルトルート「ここで引くわけにはいかん!」打2

竜「カン」 シャキン2222  カンドラ表示1

まどか「また閃光った!」

タイゾー「そ、そういえば聞いたことがある…!」

さやか「知ってるの、タイゾー!?」

タイゾー「その昔、哭けば必ずアガる最強の雀ゴロがいたというッ!」

タイゾー「その男が哭くたび、牌は閃光を放つ! まるで牌に命を刻むかのように!」

ゲルトルート「勝負じゃぁ!」打⑥

9: 2012/01/07(土) 13:59:03.56 ID:CY4xJtG50

タイゾー「その男の名は…ッ!」

マミ「ロン! リーチドラ3(ティロ・フィナーレ)!」

マミ手牌 11234四五六⑥⑥⑨⑨⑨  ドラ⑥

竜「ロン」 ツツツパタン

竜手牌 345⑤⑦⑧⑧  チー⑦⑥⑧カン2222  赤5

タイゾー「哭きの竜!!!」

竜「ふっ」

ゲルトルート「ああああああぁぁぁぁ!」

ドキュゥゥゥゥゥン!

ゲルトルート「」ガクッ

甲斐「ゲルトルートのアホウが。倍満で逆転か…やられたの」

まどか(敗者には氏……これが極道! これが麻雀!)

さやか(まどかが尊敬の眼差しで甲斐さんを見てる!?)

タイゾー(極道怖ぇ~! トンだら問答無用で射殺かよ!)

11: 2012/01/07(土) 14:03:52.38 ID:CY4xJtG50
甲斐「黒幕を吐かせようなんて、ただの口実じゃ。そんなもん最初からわかっとる…グフッ」

まどか「甲斐さん!?」

甲斐「ただ、お前と麻雀が打ちたかった…」

竜「………」ツカツカ

子分「待ちぃや竜! 親分の体には鉛玉が3発入ったままなんじゃ! もって2か月……それをお前に賭けたんじゃ!」

甲斐「やめぇや。わしが安く見えるよって」

甲斐「お前ぇの運があれば、奴にも勝てる……ワルプルギスの奴にも……」

マミ「ワルプルギス……やはり最近の桜道会への襲撃は、彼女が裏で糸を引いていたのね」

甲斐「……竜…さきに地獄で待っ………」ガクッ

まどか「甲斐さん……」

竜「………」

その日見滝原で竜が哭いた!
あたかも修羅への幕開けを告げるが如く…

まどか「………」

そして新たな修羅が産声を上げようとしていた……

13: 2012/01/07(土) 14:08:09.70 ID:CY4xJtG50

病院


さやか「こんなところにグリーフシードが!?」

QB「まずいね。孵化寸前だよ」

さやか「あたしが見張ってるから、まどかはマミさんや竜さんやタイゾーを呼んで来て!」

まどか「わかった! 無茶しちゃだめだよ!」

………

ほむら「待ちなさい、ここの魔女は私が…」シュルルン

マミ「帰りに解いてあげるわ」

まどか「ごめんね、ほむらちゃん! 思ったより長引きそうだからまいていかなきゃならないの!」

ほむら「ちょっと、さっきからはしょりすぎでしょう!」

竜「時の刻みは俺にはない」

14: 2012/01/07(土) 14:12:59.19 ID:CY4xJtG50

まどか「私、思ったんです。マミさんみたいに魔法少女になれればなって」

マミ「そう。それじゃなにを願うのか考えておかないとね」

竜「………」

さやか「マミさん!」

まどか「さやかちゃん無事だったんだね!」

マミ「あれが魔女ね。行くわよ竜さん、タイゾー君!」

東家:巴マミ
南家:竜
西家:シャルロッテ
北家:タイゾー

マミ(身体が軽い! こんな気持ちで打つのなんて初めて!)

マミ「今日という今日は速攻で決めさせてもらうわ。リーチ!」

マミ手牌 七七七八234567⑤⑥⑦  ドラ七

さやか(きた! ティロ・フィナーレだ!)

まどか(嫌な予感がする……)

18: 2012/01/07(土) 14:18:50.03 ID:CY4xJtG50
マミ「さあ、きて! 一発ツモ!」 ツモ中

まどか(3面張で平和かタンヤオがつく満貫手…五をツモれば三色もみえる……)

マミ「くっ、さすがにそう上手くはいかないわね」 打中

まどか(必ずしもリーチが正着とは……)

シャルロッテ「嬢ちゃん、それポンじゃ」 ポン中

さやか(鳴いてリーチにつっかかってきた?)

マミ「また字牌…」 打発

シャルロッテ「そいつもポンじゃ!」 ポン発

マミ「え!?」

さやか「まさか大三元!?」

シャルロッテ「くっくっく」

シャルロッテ手牌 123①①白白  ポン中中中ポン発発発

マミ「うっうぅぅ……」打五

竜「チー」 チー五四六

マミ「……ひっ…!」ツモ白

20: 2012/01/07(土) 14:23:45.57 ID:CY4xJtG50

シャルロッテ「どうした嬢ちゃん、アガるんか? アガらんのならツモ切りせんかい!」

マミ「…嫌ァ!!」バシンッ打白

シャルロッテ「ロ…!」

竜「悪いナ、それロンだ」パタン

竜手牌 一二三七八九789白  チー五四六

竜「頭はね。一通ドラ1、2000点」

シャルロッテ「チィ! 運の良いやっちゃ」

マミ「た、助かったの…?」

さやか「マミさん! 大丈夫ですか!?」

マミ「え、ええ、大丈夫……」フラッ

タイゾー「いやこれ、大丈夫じゃないっス! 役満直撃しかけたおかげで、麻雀力が低下してますから!」

QB「これ以上の闘牌は無理だね。誰かが代走しないと」

さやか「てことはあたしかまどかが…」

QB「ちなみにどの程度打てるんだい?」

21: 2012/01/07(土) 14:29:03.00 ID:CY4xJtG50

まどか「お正月に、パパとママとたっくんを相手にお年玉争奪戦をしたくらいだよ」

さやか「あたしも家族麻雀しかしたことないな」

QB「論外だね。麻雀力も低い、技術もない人間じゃ、すぐに氏んでしまうよ」

QB「でも君たちなら僕と契約して魔法少女になれば充分…」

ほむら「それには及ばないわ」

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「私が代わりに戦えばいいことでしょう」

QB「ふむ、麻雀力1794Adh.か。やや低めだけど戦えないことはないね」

まどか「ほむらちゃん、大丈夫なの?」

ほむら「無論よ。あなたが心配することではないわ」

マミ「暁美さん、ごめんなさい。ちゃんとあなたの言うことを聞いていれば…」

ほむら「まいていたのだから仕方ないわ。勝負再会よ」

22: 2012/01/07(土) 14:35:46.15 ID:CY4xJtG50

ほむら(さて、ルールは本を読んで覚えたけど、実際にやるのは初めてね)

ほむら(とりあえず、基本らしいタンピンを目指してみましょう)

シャルロッテ「リーチじゃ!」

ほむら(くっ、速い! 待ちなんてわからないわ。ここは一番いらない牌を…)打2

シャルロッテ「ローン! 一発タンピンじゃ!」

マミ「一発(フラッシュ)がついてしまった…それに暁美さんの手つきを見るかぎり…」

シャルロッテ「初心者じゃろ。そんなんで勝てるつもりか」

まどか「ほむらちゃん……」

竜「ポン」 ポン③③③

シャルロッテ「ほう竜、タンヤオか? トイトイか?」打⑥

竜「ポン」 ポン⑥⑥⑥

ほむら(⑥をポン……ならここは持っていても…)打⑦

竜「カン」 カン⑦⑦⑦⑦  カンドラ表示4

23: 2012/01/07(土) 14:40:48.54 ID:CY4xJtG50

ほむら(よしっ! ⑧切りでテンパイ!)ツモ6

ほむら手牌 3457三四五六六③④⑤⑧

ほむら「リーチ!」打⑧

竜「ポン」 ポン⑧⑧⑧

シャルロッテ「竜よ、上手く清一に仕上げたようじゃが運がなかったのぉ。ほれ、見てみぃ」パタン

シャルロッテ手牌 ①①②②②④④④⑤⑤⑨⑨⑨

シャルロッテ「景気づけにリーチといくかい」

竜「…カン」 加カン⑥

竜「ツモ」 ツモ五 カンドラ表示⑤

竜手牌 五  ポン③③③カン⑥⑥⑥⑥カン⑦⑦⑦⑦ポン⑧⑧⑧

タイゾー「タンヤオトイトイドラ6、ば、倍満~!?」

ほむら「うぐぅ!?」

25: 2012/01/07(土) 14:48:09.21 ID:CY4xJtG50

まどか「どうしたのほむらちゃん!?」

マミ「実力者同士の闘牌は、命の削り合いよ。点数を取られれば本人にも相応のダメージが…」

QB「どうやら彼女は闘牌に慣れていないようだ。危険だね」

QB「やはりまどかが契約して…」

??「おや、不思議なところへ出ましたね」

さやか「まずい! 一般の人が迷い込んじゃったんだ!」

タイゾー「ちょっと待ってください、あの人は…将棋の滝川名人!」※

滝川「ここは洋菓子の匂いがしますね」


※『月下の棋士』:能條純一先生の将棋漫画。
囲碁漫画における『ヒカルの碁』のような存在。将棋の普及に貢献した。
滝川は主人公氷室将介のライバル。圧倒的な強さと数々の奇行が印象的である。
モデルは史上最年少名人の谷川浩司。

26: 2012/01/07(土) 14:54:29.84 ID:CY4xJtG50

タイゾー「そ、そうだ! 名人、ここで一局麻雀を打ってみませんか!?」

マミ「なにを言っているのよ!」

ほむら「そうよタイゾー…私はまだやれるわ……」クラッ

QB「とてもそうは見えないね」

滝川「麻雀ですか。それは興味深い」

さやか「大丈夫なのかな…」

まどか(滝川名人から勝負師のオーラを感じる…ッ!)

闘牌再開

滝川「確か最初に取る牌は13枚でしたね」

シャルロッテ(ふん、こいつもまた輪をかけたド素人か)

竜「チー」 チー六七八

シャルロッテ(竜はまたタンヤオ…ここでこいつを倒せばわしの名も上がる……)

滝川「えーと、これは…いりませんね」打5

27: 2012/01/07(土) 15:01:27.00 ID:CY4xJtG50

竜「チー」 チー534

シャルロッテ(やはりタンヤオ! ならヤオチュー牌の待ちで打ち取れる!)ツモ⑦

シャルロッテ手牌 南南白白七八九789⑧⑨⑨

シャルロッテ(竜! お前は踏み台じゃあ!)

シャルロッテ「往生せいやァ、竜――!」バシンッ 打⑨

竜「灯台下暗し」

シャルロッテ「な、なんじゃとー!?」

滝川「あ、揃いました。ロンです」パタン

滝川手牌 19一九①⑨東南西北白発中

シャルロッテ「ぎゃあああああああ!!」

滝川「恥ずかしながらこれしか役を知らないのです。これは何点ですか?」

マミ「国士無双十三面(ライジングサン)! 64000点です!」

28: 2012/01/07(土) 15:08:58.72 ID:CY4xJtG50

滝川「なるほど。これが麻雀というものなのですね」

タイゾー「いやー、御見それしました! さすが名人っすね!」

滝川「そう、私は名人。名人は私。未来永劫、どこどこまでも続く運命。
名人というまったく新しい存在なのです。ある種の神様かもしれませんね」※

タイゾー「そ、そっすかー。すごいなぁー」

タイゾー(ヤッベー、この人ホンモノかよ…)

まどか(この目は本気の目だ…!)

さやか(こ、こわいよ……)


※原作における滝川の主張を要約したものである。
これは彼の奇行の一部にすぎない。谷川先生は怒ってもいいと思う
……のだが、実在棋士をモデルにしたキャラクターが次々と
失神、失禁、昇天を繰り返す本作の中では、まだマシな扱いかもしれない。

30: 2012/01/07(土) 15:14:44.22 ID:CY4xJtG50

後日


ほむら(この前はあんな醜態をさらしてしまった……)

ほむら(こんなことじゃまどかを守れない。もっと勉強しないと)

??「ほお~、良い時代になったねぇ。若い娘っ子が麻雀の勉強か」

ほむら「?」

??「しかし、本で読んだだけでは実力は身につかん。経験を積まんとな」

ほむら「…世間話がしたいなら他をあたって」

??「すまんすまん。昔は雀プロといっても肩身が狭くてな。子供が麻雀など考えも…」

ほむら「待って、あなたプロ?」

??「なんじゃ、わしを知らんのか。やはり世代が…」

ほむら(プロに教われば、技術面の向上が見込めるわね)

31: 2012/01/07(土) 15:20:34.56 ID:CY4xJtG50

ほむら「ねえ、私に麻雀を教えてくれない?」

??「プロ志望か?」

ほむら「プロより…いいえ、誰よりも強くなりたいの」

??「ほっほ~、気に入った! お嬢ちゃんは今日からおいの弟子ばい!」

ほむら「教えてくれるの?」

??「お嬢ちゃんを世界一にしてやるばい。名前は?」

ほむら「暁美ほむら」

小島「おいは天下の小島武夫ばい!」※


※小島武夫:実在のプロ。ミスター麻雀。
愛嬌のある人柄と、華々しい打ちまわしで人気が高い。
著作を読むと、効率もちゃんと考えている
…のだが、最終的にはやっぱり打点の高さ、役の美しさを重視したいようだ。
初心者の憧れだが、相当の技術がないと真似できない。
>>1は現在進行形で痛い目を見ている。
人気ゆえ、漫画でも本人役でよく登場する。

32: 2012/01/07(土) 15:26:27.19 ID:CY4xJtG50

また病院


恭介「さやかは僕をいじめてるのかい?」

さやか(さあ、ここで問題です。ひとつだけ選びなさい)

答え①可愛いさやかちゃんは契約して正義の味方になる。
答え②魂をも癒す医師が雨とともにやってきて治してくれる。
答え③治らない。現実は非常である。

さやか(あたしが〇をつけたいのは答え②だけど、ドクターKOHなんてネタやっても誰も知らないだろうし…)※

さやか「やっぱりここは答え①しかない!」


※『ドクターKOH』:能條純一先生の医療漫画。
主人公ドクターKOH(コウ)は、先天的な病気で雨の日しか外出できない天才外科医。
患者を治すだけでなく、生きる希望も与えるため「病んだ魂をも癒す」と称えられている。
アイアンメンタルなブラックジャック、あるいは哭きの竜医者バージョン。
自分の部屋ではビキニパンツ一丁、屋外でもコートの下は上半身裸という玄人。
「決めてくれるぜ!!」等、医療漫画とは思えないテンションのモブキャラが出てきたりする。

33: 2012/01/07(土) 15:32:08.04 ID:CY4xJtG50


さやか「というわけで街の平和は魔法少女さやかちゃんが守りまくっちゃいますよ!」

まどか「…さやかちゃん、大丈夫なの?」

さやか「大丈夫! 仁美を助ける活躍シーンははしょられたけど、見せ場は自分で作るもんだからね!」

まどか(そういう意味じゃないんだけど……)

さやか「役満直撃食らいそうになってから、マミさんは調子悪そうだし、あたしがガンバらないと」

タイゾー「いやー、また呼んでもらえるなんて」

竜「………」

使い魔「シャッコラー!」

さやか「お! いきなり使い魔(若い衆)発見! 行くよみんな!」

さやか「先制リー…」

ガキンッ

34: 2012/01/07(土) 15:38:31.26 ID:CY4xJtG50

杏子「ちょっと、あんたなにしてんのさ」

杏子「あれまだ使い魔(若い衆)じゃないか。卵産む前のニワトリしめてどうすんだよ」

さやか「な!?」

杏子「マミが休業中って聞いたから来てみれば、こんな素人が魔法少女やってるなんてね」

杏子「ま、マミの奴も甘ちゃんだし…」

さやか「! 許せない! マミさんまでバカにして!」

杏子「ふん。言いたいことがあるんなら…」

杏子「麻雀(こいつ)でかかってきな!」

闘牌開始!!

東家:さやか
南家:竜
西家:杏子
北家:タイゾー

36: 2012/01/07(土) 15:44:18.89 ID:CY4xJtG50

さやか(許せない!)バシンッ打二

杏子「熱くなってんな。ポン」 ポン二二二

さやか(こいつだけはあたしが!)バシッ打2

杏子「ちっとは、考えて打てよ。ポン」 ポン222

鹿目まどかはのちに振り返る。
この時のさやかは、あきらかにバランスを失っていた、と。

さやか「リーチ!」 打②

さやか手牌 45688四五六④⑤⑥⑦⑧

杏子「やっぱ、素人だな。そんな牌が出るなんて」

さやか「え!?」

杏子「ロン! 三色同刻トイトイ(アーカムアサイラム)!!」

杏子手牌 ②②⑥⑥⑨⑨⑨  ポン二二二ポン222  ロン②  

37: 2012/01/07(土) 15:51:44.70 ID:CY4xJtG50

さやか「ぐぅ……ッ!」

杏子「わかったろ。これが経験の違いだ」

さやか「…勝負はっ……始まったばかりッ!」

鹿目まどかはこう続ける。
「さやかちゃんは勝負というものがわかってなかったんだと思います。
甘えというか、無駄な情けが残っていて……
ええ、もちろん必要な情けもあります。でもさやかちゃんは……」

杏子「とどめを刺してやるよ。リーチ!」 打七

さやか(なんとかしないと!)

さやか「ポン!」

杏子「…はは、いい牌が来たよ」

杏子「ツモ! 東門混一通(ロングハロウィーン)!!」

杏子手牌 東東北北一二三四五六七八九  ツモ東

さやか「ぐうっ! ち、ちくしょう…ッ」

まどか「さやかちゃん…もう、もうやめてよ!」

さやか「まだだ! まだあたしは…!」

38: 2012/01/07(土) 15:57:45.80 ID:CY4xJtG50

QB「まどか、二人を止めたいかい? なら僕と契約して…」

ほむら「その必要はないわ」

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら(修行に夢中になって、美樹さやかが契約するタイミングを失念していたわ)

杏子「あんたがQBの言ってたイレギュラーか」

ほむら「代わりなさい美樹さやか。彼女の相手は私がする」

さやか「嫌だ! あたしはまだ負けてない!」

ほむら「…しょうがないわね。タイゾー、私と交代よ」

ほむら「あなたたちで腕試しといきましょうか」

鹿目まどかは述懐する!
そこにいたのは既に初心者ではなかった!
修羅場をくぐり抜けた歴戦の雀士がそこにいた!

39: 2012/01/07(土) 16:02:44.65 ID:CY4xJtG50

ほむら「」キュッスパァン!打西

杏子(あの牌さばきはあなどれねぇ。少なくともマミと同格以上のベテラン!)

ほむら「どうしたの。あなたの番よ」

杏子(だが、字牌を手出しってことはそこまで進んでないはず…ならこれだ!)打9

ほむら「ロン! 平和三色ドラ3(インヴィンシブル)!!」

ほむら手牌 7899七八九⑤⑥⑦⑦⑧⑨  ドラ9

杏子(ぐ、端のドラをきっちり使い切ってやがる…! ここまで西を抱えてたのもおとりか!)

ほむら「案外ぬるいのね。2副露してる竜はテンパイを崩しても止めていたわよ」

杏子「なに!?」

竜「ふっ」

竜手牌 一二三四四五9  ポン二二二ポン三三三

40: 2012/01/07(土) 16:08:54.37 ID:CY4xJtG50

ほむら「リーチ!」

杏子(まずい! 事情は知らねえが、こいつの覚悟は半端じゃない!)

さやか(この前まで初心者だったはずなのに…ッ!)

ほむら「ツモ! 清一一通平和(ロイヤルネイビー)!!」

杏子「ぐああああ!」

さやか「うわああああ!」

まどか「凄い…さっきからなんて綺麗な手作り…」

ほむら「これが修行で編み出した、ほむら流アトミック麻雀!」

さやか「アトミック麻雀!?」

QB「なるほど。普段は静かに、アガる時は美しく破壊力満点。まさにアトミックだ」

ほむら「まだ続けるかしら?」

杏子「……引くしかないみたいだな」

42: 2012/01/07(土) 16:14:17.29 ID:CY4xJtG50

まどか「…行っちゃった」

さやか「くそ! あんな奴相手になにも出来なかった!」

ほむら「彼女は他になかなかいないベテラン。あなたが劣っているわけではないわ」

まどか「……ねえ、さやかちゃん、こんなこともうやめよう?」

さやか「なに言ってんの、あんたは!?」

まどか「街を守るのは大事だけど、だからってさやかちゃんが傷つくのはおかしいよ」

さやか「……わかった。じゃあ、誰にも負けないくらい強ければいいんだね」

まどか「違うよ、そういうことじゃ…」

44: 2012/01/07(土) 16:21:13.46 ID:CY4xJtG50

数日後


杏子「あんたまた使い魔(若い衆)まで狩ってんのか」

さやか「あたしの勝手でしょ」

杏子「お友達はどうした? マミやイレギュラーやピンクいのは?」

さやか「…あたしが勝手にやってることに、巻き込めるわけないじゃん」

杏子「そりゃそうか。物好きには付き合いきれねえもんな」

さやか「ッ!」ギリッ

杏子「知ってるか? 甲斐組の二代目も使い魔(鉄砲玉)にやられたらしい。あんたも無駄な努力だな」※

さやか「あんた、喧嘩売ってんの!?」

杏子「買うなら来いよ。ちょうどいい場所があるぜ」


※石川喬:甲斐正三の跡目を継いだ二代目組長。
甲斐曰はく「運さえあれば天下を取れる男」だが、致命的に運がない。
元来の情の篤さを計算の下に封じ込める知略と冷静さを持つ。
桜田会長亡きあとは、関西共武会の策略で次から次へと湧く反対派との抗争に明け暮れる。
『哭きの竜』中盤の主人公。

45: 2012/01/07(土) 16:27:33.77 ID:CY4xJtG50

杏子「さあ、再戦といくか!」

さやか「望むところ…」

まどか「さやかちゃん、ダメ!」バッ

さやか「まどか!? ソウルジェム返してよ!」

マミ「美樹さん、落ち着いて!」

まどか「タイゾー君、これ持って遠くへ走って!」

タイゾー「合点!」ダッシュ

さやか「ちょ! 待っ…」ドサッ

マミ「美樹さん、どうしたの!?」

杏子「どういうことだおい。こいつ氏んでるじゃねーか!」

QB「今のはまずかったよ、まどか。さやかがタイゾーに持っていかれたよ」

47: 2012/01/07(土) 16:33:24.85 ID:CY4xJtG50

ほむら「心配いらないわ。タイゾーをボコッて取り返してきたから」

さやか「あれ? あたしどうしたの?」

まどか「さやかちゃん、良かった!」

杏子「どういうことか説明しろQB!」

QB「キュップイキュップイ!」

杏子「サヤカァー!」

マミ「魔法少女にそんな秘密が…」

まどか「そんなのってないよ! あんまりだよ!」

ほむら「例によってまいてるわね」

48: 2012/01/07(土) 16:41:15.32 ID:CY4xJtG50
さらに数日後

まどか「もう、やめようよさやかちゃん、こんなさやかちゃん見たくないよ」

マミ「鹿目さんの言う通りよ」

さやか「……あんたらのせいでしょ」

マミ「美樹さん?」

さやか「マミさんはあれ以来、ろくにパトロールしてませんよね」

マミ「それは……」

さやか「まどかもさ、誰よりも才能あるんでしょ? だったらあんたがやってよ」

まどか「さやかちゃん……」

さやか「あんたらがなにもしないから、あたしがこんな目に遭ってんのよ」

さやか「だからもう、ほっといて!」ダッ

マミ「待って美樹さん!」

竜「ふっ」

まどか「竜さん?」

巴マミはのちにこう語っている。
「あの時の美樹さんは蒼白く透き通って見えた。竜さんと同じ、まるで氏人の色だった」と。

49: 2012/01/07(土) 16:46:21.42 ID:CY4xJtG50

さやか「…最低だあたし。二人にあんなひどいこと言って…」

杏子「やっと見つけたぜ、さやか」

さやか「杏子……」

杏子「元気ねえなあ。どうしたんだ?」

さやか「……恭介が仁美と付き合い始めて…すごく憎らしく思えて…やっぱりあたしは自分のことしか考えてなかったって……」

杏子「なんだ、そんなこと……気にすんなよ」

杏子「正義の味方って言ってもさ、中身は人間なんだよ。泣いたり怒ったりするんだ」

杏子「あんたは難しく考えすぎなんだ。あたしみたいに気楽にいろよ」

さやか「それなのにみんなにひどいこと…」

杏子「だからさ、もう思いつめんなよ」

さやか「そうだよね。あたし、本当にバカだった」

杏子「どうしたんだ?」

さやか「わしゃぁ、救いようのないバカタレじゃあ!」

52: 2012/01/07(土) 16:51:45.89 ID:CY4xJtG50

ほむら「遅かった!?」

杏子「さやか! どうしたって言うんだ!?」

マミ「この雰囲気は…魔女!?」

さやか「すまん…もう、みんなに合わせる顔がない」

まどか「さやかちゃん、なにを言ってるの!?」

さやか「武士の情けじゃ! 追いかけてこんとてくれぇぇ!」バッ

QB「ふぅむ、おかしいね。普通なら魔女になってるはずなのに、不完全なまま止まってるようだ」

マミ「QB、なにがどうなってるの!?」

QB「ソウルジェムが穢れを溜め込み、グリーフシードになりかかってる。僕もこんな中途半端な現象は初めてだよ」

杏子「てめえ! まさかさやかが魔女になるとでも言うのか!?」

QB「そう言ったんだよ。そして君たちも例外じゃない」

マミ「そんな…ソウルジェムが魔女を生むなら、みんな氏ぬしかないじゃない!」

53: 2012/01/07(土) 16:56:23.21 ID:CY4xJtG50

竜「大事に願う命もあれば、捨てたいと願う命もある」

マミ「竜さん……」

竜「あンたは本当に氏に場所が欲しいのか?」

マミ「…だって、生きててもいつか魔女になるなら…」

まどか「マミさん、落ち着いてください! さやかちゃんはまだ魔女になってません!」

まどか「あきらめるのは早いですよ!」

杏子「そうだぜマミ! あんたはあたしの麻雀の師匠だろ! あの頃みたいにしゃんとしてくれ!」

マミ「鹿目さん、佐倉さん…そうね、みっともないところ見せちゃったわね」

ほむら(いつもなら発狂するはずの巴マミが踏み止まった!?)

竜「時は移ろう。時代は変わる。留まるものなどなにもない。だが…」

マミ「わたしたちはまだ生きていて、闘える。そうよねみんな!」

まどか「はい!」

竜「ふっ」

56: 2012/01/07(土) 17:04:04.83 ID:CY4xJtG50
さやかの隠れ家


マミ「ようやく見つけたわよ美樹さん!」

まどか「さやかちゃん、みんな待ってるよ!」

さやか「おどれらぁ~! なんで来たんじゃ! 来るなというたろうが~!」

杏子「さやか…お前は逃げてるだけだ。自分の中の嫌な部分を知ってショックだったんだろ?」

杏子「でもまだ間に合う。引き返せる。戻ってこいよ、さやか! お前はまだ魔女じゃない!」

さやか「じゃかぁしい! ほんならこのソウルジェムの穢れはどうするんじゃ! 
   グリーフシードを使ってもダメだったろうが!」

??「いや、わしに心当たりがある」

竜「………」

外田「久しぶりだのう、竜。甲斐組若頭の外田じゃ」


※外田裕二:石川時代の甲斐組若頭。
次々と重鎮を失い、崩壊寸前の桜道会を支えるため孤軍奮闘する。
根回しや裏工作を得意とし、闇討ち影武者なんでもござれ。通称「策士・外田」
しかしなんだかんだで人情に流されることも多い。

58: 2012/01/07(土) 17:09:11.03 ID:CY4xJtG50

まどか「心当たりがあるんですか!?」

外田「竜の哭きは命を刻む。あの閃光はなにかに似とると思いやせんか?」

マミ「閃光……ひかり……!……ソウルジェムの輝き!」

外田「あんたらもあのお嬢ちゃんも、何度も竜の哭きを間近で見たじゃろ」

ほむら「だからその運(ちから)が残っていて完全には魔女化していないというの? そんな奇跡みたいなこと…」

杏子「あり得なくても、実際に起こってるんだから信じるしかねえだろ! つまり竜と闘牌すれば…」

まどか「哭きから放たれる運(ちから)でソウルジェムが浄化される!」

外田「この勝負、勝ったもんがなんでも我がままを通す。それでいいか?」

さやか「ほぉ~、のったろうやないけ!」

竜「勝てば生、負ければ氏。賭けるのかい、命を」

さやか「あたぼうよぉ!」

竜「ふっ」

無論、外田は善意からこのような申し出をしたわけではない。
来るべきワルプルギスの夜との決戦において、竜と魔法少女たちは貴重な戦力である。
その力を最大限利用するため、恩を売っておく。それが策士・外田の思惑であった。

59: 2012/01/07(土) 17:17:52.88 ID:CY4xJtG50

東家:さやか
南家:杏子
西家:竜
北家:外田

竜「ポン」 シャキン東東東

マミ「閃光った! 牌が! ソウルジェムが!」

ほむら(これが命を刻む哭き!)

竜「ポン」 シャキン西西西

まどか「竜さんが哭くたびに…さやかちゃんのソウルジェムが浄化されていく!」

さやか(ちっ、北を引いたか。こいつは切れんわな。なら、七対子でかましたる!)打④

さやか手牌 22334455③③④④北

竜「ふっ」打南

さやか(南切りじゃとぉ~!?)

竜「………」打南

さやか「竜~! てめぇ、わしをコケにしとんのかぁ~!」

61: 2012/01/07(土) 17:23:50.35 ID:CY4xJtG50

さやか(ふざけやがって! 目にもの見せたるわ!)ツモ② 打北

さやか手牌 22334455②③③④④

竜「カン」 シャキン北北北北

さやか「南を対子落としで、北をカン!?」

竜「カン」 加カン東 カンドラ表示九

竜「カン」 加カン西 カンドラ表示南

竜「ツモ」パタン

竜手牌 二三九九  カン東東東東カン西西西西カン北北北北  リンシャンツモ一

さやか「ぐああああああ!」

杏子「小四喜(リトルウィンド)を崩して、終わってみればやっぱり役満だと!?」

外田「なぜ竜が南を落としたか教えてやろう。落とさなければ九で、わしがアガってた」

外田手牌 一一一二三七八789⑦⑧⑨

62: 2012/01/07(土) 17:31:28.63 ID:CY4xJtG50

さやか「ちくしょうめぇ!」ハァハァ

ほむら「美樹さやかのソウルジェムは確かに浄化されていってるけど…」

マミ「このまま竜さんの重い攻撃を受け続ければ、命に関わるッ!」

杏子「竜~! 勘弁したってくれ! お前の運をわしにくれや! さやかにくれや~!」

竜「運は与えるものでも、委ねるものでもない」

竜「チー」 チー123

竜「チー」 チー123

杏子「竜! 純チャンか!?」

さやか(いや、清一純チャンだ。わしは知っとる。奴はもうひとつ123で待っとる)

さやか「リーチじゃ!」

さやか手牌 三三三四五五六七56⑤⑥⑦ 

64: 2012/01/07(土) 17:37:12.40 ID:CY4xJtG50

さやか「うっ」ツモ8

さやか(わしの読み通り竜が清一純チャンなら、間違いなくこの8でアガる! じゃ、じゃが!)

さやか「竜! 勝負じゃあ!!」バシンッ打8

竜「命の深さを卑下する者に真の勝負は語れない」

さやか(通った!?)

竜「………」

竜手牌 1237999 チー123チー123

外田「いいのか竜?」

竜「あンたのツモ番だ」

外田「あ、ああ……ツモっ。1000・2000じゃ。これでわしが2着。勝ったのは…」

竜「ふっ」

65: 2012/01/07(土) 17:45:04.74 ID:CY4xJtG50

さやか「…待たんかい竜!」

杏子「やめい、さやか!」

さやか「ようも、わしの8を見逃してくれたのう」

杏子「よさんかさやか! もう終わった! 終わったんじゃ!」

さやか「お前の勝ちじゃ。なんでも我がまま聞いたる」

さやか「さあ! わしの命さらしてみんかい!」

竜「見逃したのは8などではない……あンたの命」

さやか「なにぃッ!?」

竜「あンた街を守るんだろ」

竜「重い命、大事にしなよ」

69: 2012/01/07(土) 17:53:11.38 ID:CY4xJtG50

さやか「あ……」

杏子「さやか!」

さやか「あたしって、ほんとバカだった…」

マミ「おかえり、美樹さん」

さやか「うぅぅ、ごめん…みんな、本当にごめん……」

まどか「違うよ、さやかちゃん」

さやか「え?」

まどか「こういう時は、ありがとうって言うんだよ」

竜「ふっ」

71: 2012/01/07(土) 17:58:58.78 ID:CY4xJtG50

とある雀荘


ほむら「ワルプルギスの夜が来るまでに、全員のレベルを上げる必要があるわ」

マミ「この雀荘で打ちまくって、猛特訓というわけね」

ほむら「ええ。私が修行中に闘った強敵(トモ)に集まってもらったわ」

??「話は済んだかい?」キュッキュッ

ほむら「一番手はあなたね、黒沢さん」※

黒沢「ああ。ちょうど牌も磨き終わったところだ」


※黒沢義明:『天牌』のスピンオフ『天牌外伝』の主人公
「器も麻雀もスケールが大きい」と評される。
卓越した技術と確固たるプロ意識を持つ彼を、人は「麻雀職人」と呼ぶ!
麻雀漫画でもっともカッコいい男。異論は絶対に認めない。
なお余談ではあるが、『兎』よりスピンオフ『シャモア』のほうが好きな>>1は
変態なのだろうか

73: 2012/01/07(土) 18:04:41.24 ID:CY4xJtG50

黒沢「………」ツモ東

黒沢手牌 ②②②111666九東東東

さやか(流れもいいし、ここはカンかな。でも悟られないようツモ切り?)

黒沢「………」打②

さやか(え!? スッタンを放棄!?)

流局

マミ「あーあ、せっかくテンパイしてたのに」

マミ手牌 ①⑨19一九南南西北白発中

さやか(ッ!! オリなければマミさんの国士に刺さってた……)

黒沢「俺たちは51:49のところで勝負してる。最後の1が負けに転べば身の破滅かもしれん」

さやか「でも、これはただの練習だし…」

黒沢「練習だからこそ、本番と同じように打つのさ。自分で選んだ道、後悔しないようにな」

74: 2012/01/07(土) 18:11:44.04 ID:CY4xJtG50

セイ「ボルビックふたつだ」ゴクゴク>>>1

ほむら(竜となにが違うのかしら?)

まどか(微妙に顔が違うよ。あと不氏身補正がないし)


カホリ「ロン。リャンペーコードラ2」>>>2

カホリ手牌 ①一一二二三三六六七七八八  ドラ①

マミ「清一じゃない!?」

カホリ「染めたら出ないだろ(巨Oめッ!)」チッ


>>>1渇きのセイ:能條純一先生の頃し屋漫画。
主人公セイは普段は雀ゴロ、裏の顔は自殺志願者に想いを遂げさせる頃し屋である
…がいつのまにか完全に麻雀漫画化。哭くたびにジャキッという恐ろしげな音がする。
得意技は四槓子。ミネラルウォーター大好き。
『哭きの竜外伝』の序盤、セイの彼女がちょっとだけ登場した。

>>>2カホリさん:女子高生にしてヤクザの代打ち。
ヤクザ年鑑にも掲載されるほどのホープ。麻雀で少なくとも4人頃している。
情けがないわけではないが、勝負には厳しい。

77: 2012/01/07(土) 18:17:56.29 ID:CY4xJtG50

森夫「ツモ。天和大三元四暗刻(置物のほうがましだったな…)」※1

杏子「竜すらいらなくね?」


池田「リーチだし!」※2

まどか「ロン。ダブ東イーペーコードラ3(片腹大激痛)」

池田「にゃああああああっ!」

コーチ「池田ァッ!!」


雀「魔女麻雀? なんだそれは?」※3


※1野生の闘牌鰻:フリーソフトの麻雀ゲーム……の皮を被ったなにか。
森夫(マリオ)はその最強キャラ。京都の某大手ゲームメーカーのキャラとは関係ない。

※2池田:ジェロニモ。周りは超人なのに、一人だけただの人間。
テンパれば毎回ほぼ倍満以上、半荘2回で役満4回テンパイ、
2回アガりという驚異の打ち手だが、周りが超能力麻雀なばっかりに……

※3角刈り雀:絶対に読むべき。

79: 2012/01/07(土) 18:24:43.00 ID:CY4xJtG50

さやか「はぁ、今日も疲れた」

杏子「闘牌相手はみんな一流だからな」

さやか「なんかお腹空いたなぁ」

杏子「駅前の大痛快ラーメンてのが絶品だぜ」※

さやか「へぇ~」

杏子「ん? なんだあの人だかり」


※ばりごく麺:能條純一先生のラーメン漫画。
破天荒な料理人榊原麺太と、その弟子朗馬(ろうま)がラーメンでトラブルを解決する。
「湯切り」「龍鱗麺」といった秘技が登場する。さすが能條先生。
リアルなタッチで、敵味方問わず上手そうにラーメンを食べるため、夜中に読んではいけない。

93: 2012/01/07(土) 18:29:59.98 ID:CY4xJtG50

野次馬「あの坊ちゃんなにやってんだ?」

野次馬「パントマイムってやつか?」

さやか「恭介! バイオリンも持たずになにを!?」

恭介「やあ、さやかじゃないか」

恭介「怪我で弾けないあいだ考えていたんだ。バイオリンはバイオリンがなくても弾けるんじゃないかってね」

杏子(なに言ってんだこいつ)

恭介「どうだい、さやか」

さやか「今のは…悲しい曲だね」

恭介「これは?」

さやか「楽しい曲!」


※『アレルヤ』:能條純一先生のバイオリン漫画。
「栄光に興味のない本物の天才」と「栄光のために天才の振りをする凡人」
の対比が切ない。
バイオリンパントマイムは「本物の天才」が特訓する際のエピソード。

107: 2012/01/07(土) 18:35:07.95 ID:CY4xJtG50

恭介「でもさやか以外の人には聴こえなかったみたいだ。まだまだだよ」

さやか「恭介なら、みんなに聴こえるようになるよ!」

恭介「応援してくれるかい?」

さやか「もちろん!」

杏子(へへっ。さやかのやつ、吹っ切れたみたいだな)

恭介「ありがとう。さやかも恭介組に入るんだ」※

さやか「え、なにそれ」

杏子(……あいつ男見る目あんのか?)


※『翔丸』:能條純一先生の不良?漫画。
主人公の翔丸は、天才的な頭脳とカッターナイフで自分の通う高校を皮切りに、
ヤクザや政治家、宗教団体を支配下におさめ、日本を征服していく…
自分で書いててもよくわからん。能條イズムの溢れまくる漫画。
「翔丸組に入るんだ」の一言でどんな強敵も屈服する。
でも実質的な主人公は親衛隊長の渡辺清だと思う。翔丸組はヤワじゃねえ!

117: 2012/01/07(土) 18:39:36.24 ID:CY4xJtG50

まどか「ねえ、ほむらちゃんの知ってること全部教えて」

ほむら「……わかったわ。実はリーチイッパツホムホムホムーンなの」

まどか「上手くはしょれたね」

ほむら「ええ。我ながら完璧な状況説明だわ」

まどか「あんまり長くなるのもあれだしね。……でも嬉しいよ。私なんかのためにそこまでしてくれて」

ほむら「…あなたのためじゃないかもしれない。私の自己満足のためなのかも……」

まどか「じゃあ、私が勝手に感謝してもOKだよね」

ほむら「まどか……ありがとう。約束する。明日は絶対に勝ってみせる。
   今度こそあなたを閉じた運命から救いだすわ」

123: 2012/01/07(土) 18:45:38.23 ID:CY4xJtG50

VSワルプル戦


⑤ ④ ② ①

マミ「来るわよ! みんな構えて!」

さやか「はい!」

杏子「いつでもいいぜ」

ほむら「今度こそ…!」

竜「ふっ」

使い魔たち「「「ンダッコラー!」」」

さやか「えっ!?」

杏子「どういうことだおい! 使い魔(舎弟)どもがあたしらを無視して街のほうへ…」

ワルプル「そらぁ簡単じゃ。密約があるんよ。QBとの密約がな」

さやか「こ、これがワルプルギスの夜…!」

マミ「凄まじいまでの麻雀力ッ」

ほむら「インキュベーターとの…密約ですって!?」

130: 2012/01/07(土) 18:52:33.04 ID:CY4xJtG50

ワルプル「街に5000からの使い魔(舎弟)をばら撒けば、
  お前さんらもそれを追って散らばっていく…あいつの考えそうなこっちゃ!」

杏子「ヤロー、なにしようってんだ!?」

ほむら「…ここは私に任せて、みんなは街へ」

マミ「無茶よ!」

外田「お前らはさっさと行け。嬢ちゃんのおヒキはわしがする。タイゾーも来たしの」

タイゾー「脅されて連れてこられただけっス!」

ワルプル「おお、言い忘れとった。インキュベーターは『四川』つう雀荘におるそうじゃ」

ほむら「そんなことを教えてなんのつもり?」

ワルプル「さあのう」

さやか「……行こう、マミさん!」

杏子「ほむらの決意を無駄にするわけにはいかねえ!」

外田「街にはウチの兵隊も待機しとる。お前らは真っ直ぐ『四川』に行くんじゃ!」

マミ「…わかったわ。みんな無事でいて!」タタッ

146: 2012/01/07(土) 19:05:09.32 ID:CY4xJtG50

ワルプル「……さてと。闘牌開始じゃ!」

東家:ほむら
南家:タイゾー
西家:ワルプルギスの夜
北家:外田

ほむら(まどかッ! 今日こそ勝って、この運命を変えてみせる!)

ほむら「ツモ! 混一七対子(アークロイヤル)!!」

ワルプル「ほう。やるのう。今度はこっちの番じゃ」

ワルプル「リーチ」

外田(奴は下目の三色か? なら…)打八

タイゾー「ロ、ロン! 平和(スルースキル)!」

ワルプル「小癪な真似をしおって…」

149: 2012/01/07(土) 19:10:25.41 ID:CY4xJtG50

ワルプル「消えて失せろ!」打5

ほむら「ロン! タンピン三色イーペーコー(トラファルガー)!!」

ほむら(いける! 今度こそ勝てる!)

外田「親分の仇、取らせてもらうぞ」

タイゾー「押せ押せじゃないっスか!」

ワルプル「わしの点数もちぃとばかり減ってきたわい」

ほむら「………」

ほむら(これで決めてみせる)

ほむら手牌 一一一二三四五六七八九九九

ほむら(この純正九連(オペレーションオーバーロード)で!!)

150: 2012/01/07(土) 19:17:04.54 ID:CY4xJtG50

ワルプル「今日はまんまるお月さんがでとるのう」

ほむら(いきなり何を言って…)

ワルプル「どこぞの誰かが言うとったわ。雀士には月がよう似合うと」

ワルプル「宣言しとこう。この半荘、お前らのアガりはもうない」

ワルプル「わしの一人舞台じゃ」

ほむら「戯言を…!」

数順後

ほむら(くっ! なぜツモれないの!? マンズならなんでもいいのに!)

ほむら(このままだと流局! 早くツモって!)

ワルプル「言うたじゃろ。わしの一人舞台とな」

ワルプル「リーチじゃ」

153: 2012/01/07(土) 19:24:23.28 ID:CY4xJtG50

ほむら(!? ワルプルギスのツモはあとは海底だけ…それなのにリーチ?)

ワルプル「…海に映る月をすくい取る…」

ワルプル「…ツモ! 海底摸月(ムーンライトレジェンド)!!」

ほむら「まさか!?」

ワルプル「取りあえず満貫。わしの舞台はここからじゃ」

南2局

ほむら(テンパらないッ! ミスはないはずなのに…ッ!)

外田(どうなっとるんじゃ!?)

ワルプル「ツモじゃ! 海底摸月(ムーンライトレジェンド)!!」

ほむら(これで3回目の海底…あり得ないわ!)

155: 2012/01/07(土) 19:30:11.73 ID:CY4xJtG50

ワルプル「因果っちゅうのを知っとるか?」

ほむら(まさか、まどかと同じ!?)

ワルプル「可能性と言い換えてもええ。とにかくわしにはそれが纏いついとるんよ」

ワルプル「じゃから、わしの力が大きくなる満月の日にゃぁ、牌の山はわしを中心に組まれよる」

外田「なにを言っとる!?」

ワルプル「要するに、わしは必ずツモアガり、わし以外は誰もアガれん。そういう運命なんじゃ」

タイゾー「あ、あり得ねー!」

ほむら「運命なんて…私が変えてみせる!」

ワルプル「来いやぁ!」

156: 2012/01/07(土) 19:36:18.20 ID:CY4xJtG50

南3局

ほむら(一シャンテンから進まないッ! なけもしないッ! こんなことって…!)

ワルプル「リーチじゃあ!」

ほむら(また一発海底狙いのリーチ!?)

外田(いかんっ! このままツモられりゃあ、全滅じゃ!)

タイゾー「ヒィィィィィィッ!」

ほむら(…ごめんなさい、まどか…ッ!)

外田「………わしゃぁ、桜道会外田裕二じゃ!」

外田「うおおおおぉぉぉぉ!!」バシンッ!打③

ほむら「その牌は…ッ!」

ワルプル「ロン! 純チャン三色イーペーコー(ミラクルロマンス)!!」

ワルプル手牌 ①①②②③123一二三九九

外田「グワーッ!」

160: 2012/01/07(土) 19:42:43.92 ID:CY4xJtG50

ほむら「外田さん!」

外田「嬢ちゃん…わしゃぁ極道じゃあ……極道は勝たないかん……」

ほむら(あの直撃を受けてはもう…ッ!)

外田「…竜……お前ぇともう一度……麻雀が打ちたかっ………」ガクッ

ほむら「……また、わたしのせいで犠牲を……」

まどか「違うよ、ほむらちゃん」

ほむら「まどか! 避難していなさいと言ったでしょう!」

まどか「ほむらちゃんのせいじゃない。外田さんは侠の意地を見せたんだよ」

まどか「竜さんや甲斐さんもそう。みんな自分の譲れないもののために闘ってる」

まどか「だからほむらちゃん、私…」

ほむら「ダメ! やめてまどか!(あなたが契約したら私はッ!)」

まどか「なる。私、麻雀打ちになるよ」

ほむら「……………………はい?」

162: 2012/01/07(土) 19:50:32.45 ID:CY4xJtG50

まどか「私がタイゾー君の代走に入って、闘牌続行だよ!」

ほむら(魔法少女じゃなくて麻雀打ち? え? 契約しないの?)

ワルプル「いいのかまどか。お前が勝つには、役満直撃が必要なんじゃぞ」

まどか「そんなこと、勝負とは全然関係ないよ」

ワルプル「フハハハハ! 面白い! 受けて立ってやるわ!」

東家:ほむら
南家:まどか
西家:ワルプルギスの夜
北家:外田(氏亡。ツモ切りマシーンが代行)

163: 2012/01/07(土) 19:53:45.47 ID:CY4xJtG50

南4局

ほむら(ダメっ! どうやってもテンパらない。こんな状況で逆転なんて……)

ワルプル「字牌が切れて、国士も大三元もない。残る役満は四暗刻だけか」

ワルプル「まどか! お前さんにゃぁ、勝利の風は吹いとらんようだのう!」

ほむら「ごめんなさい、まどか……私またあなたを救えなかった……」

まどか「……風を待っていても変わらない。自分が変わらないといけない」

まどか「それを教えてくれたのが、ほむらちゃん」

ほむら「え?」

まどか「勝利の風は、自分で吹かせるものだって!」打3

ほむら「!?」

ほむら(どうして今さら手出しの3!?)

ワルプル「…ふん」

ほむら(まどかの手は明らかにピンズ染め! 序盤で4も切っているのにどうして今になって3が出るの!?)

164: 2012/01/07(土) 19:58:43.54 ID:CY4xJtG50

まどか「」ニコッ

ほむら(勝利の風……わかったわ、まどか!)

ほむら「ポン!」 ポン333

ほむら(これでツモ順が変わる!)

ワルプル「ぬぐぅ!?」ツモ①

ワルプル手牌 二二三四五六七456④⑤⑥

ワルプル(掴まされたかッ!)

ほむら(…この一打で決まる…)

ワルプル(テンパイ気配は感じるが…おそらく跳満、せいぜいが倍満程度……運命が変わらんのであれば!)

ワルプル「……まどか」

数秒後、ワルプルギスは意を決したように①をマットに置いた

ワルプル「…アガるんか?」

168: 2012/01/07(土) 20:03:50.39 ID:CY4xJtG50

まどか「ううん。それでアガったら、私の負け」

まどか手牌 ①①①②②②②③③③③④⑤

まどか「だから…カン!」

まどか手牌 ②②②②③③③③④⑤  カン①①①①  リンシャン④

まどか「もいっこ、カン!」

まどか手牌 ③③③③④④⑤  カン①①①①カン②②②②  リンシャン④

まどか「もいっこ、カン!!」

まどか手牌 ④④④⑤  カン①①①①カン②②②②カン③③③③

まどか「このリンシャン牌で…運命を切り拓く!」

タイゾー「そ、そうか! 通常の山はワルプルギスの支配下にある。そのままじゃ運命は変わらない」

タイゾー「けど王牌なら! ワルプルギスの力も及ばない! 運命の外だ!」

169: 2012/01/07(土) 20:09:20.06 ID:CY4xJtG50

まどか「ツモ!」リンシャン⑤

ほむら「清一色三暗刻三槓子トイトイ赤1リンシャンカイホー……
   カンさせたワルプルギスの責任払い……ということは!」

タイゾー「やったんだ…!」

ほむら「閉ざされていたはずの運命の扉が…開いた!」

まどか「数え役満直撃(ギャラクシアンエクスプロージョン)!!」

ワルプル「かはっ!」

タイゾー「やったぁ!」

171: 2012/01/07(土) 20:15:17.23 ID:CY4xJtG50

まどか「ワルプルギスの夜……」

ワルプル「ふふ、こんだけ派手に負ければいっそ清々しいわい」

ワルプル「行け。待っとるもんがおるんじゃろう」

ほむら「…行きましょうまどか。最後の仕上げが残ってるわ」

まどか「…あなたの恨みも憎しみも、私が受け止めた」

まどか「だから安らかに……」


ワルプル「ふ、ふふふふふ、こいつぁ、器がちがったのぅ」

ワルプル「……今夜は満月じゃぁ……月下の雀士か…」

ワルプル「お前さん、でっけぇツキしょっと、る……わ、い………」

172: 2012/01/07(土) 20:20:32.77 ID:CY4xJtG50

市内


使い魔たち「シャッコラー!」

マミ「一気に蹴散らすわよ!」

マミ「緑一色(クリスタルナハト)!!」

さやか「ザ・ニュー・さやかちゃんを甘くみるな!」

さやか「ツモリ四暗刻(風姿花伝)!!」

杏子「父と子と聖霊の御名において…!」

杏子「大三元(サントリニテ)!!」

竜「それ、ロンだ」

竜「三色同刻ドラ4…」

使い魔たち「「「グワーッ!!」」」

マミ「これでほぼ片付けたわね!」

さやか「見えた! あれが『四川』だ!」

173: 2012/01/07(土) 20:27:30.16 ID:CY4xJtG50

QB「やあ、予想よりも早かったね」

マミ「QB、あなたどういうつもり!? 街のみんなを危険にさらすなんて!」

QB「なに、エネルギー回収の良い方法を思いついたまでさ」

QB「君たちも気付いていただろう。鹿目まどかが秘めた麻雀力を」

QB「契約はせずとも、彼女にはぜひともワルプルギスと闘ってほしかったんだ」

さやか「なんでそんなことを!?」

QB「あの二人の力は強大だ。それが命を賭けてぶつかり合うとき、
  途方もないエネルギーが生まれる。まるで核分裂のようにね」

杏子「だから小細工を使って、あたしたちと分断するよう仕向けたのかッ」

QB「その通り。おかげで長年のエネルギー問題は解決さ」

マミ「私たちを利用して…ッ!」

QB「実は君たちにお願いがあるんだ。こちらにも事情があってね。
  最後に一勝負しなきゃならない。誰でもいいから、付き合ってくれないかな」

さやか「なにを抜け抜けと!」

174: 2012/01/07(土) 20:33:42.66 ID:CY4xJtG50

杏子「…いいじゃねえか。向こうからどうぞぶちのめしてください、って言ってんだからな……な、なんだ!?」フラッ

さやか「ううぅっ」ガクッ

マミ「な、なんなのこれは!?」ガクガク

さやか「あいつ、なにをしたんだ!?」

杏子「うぐっ!」ガクッ

マミ「気分が悪い……これ以上、卓に近づけない!?」

QB「不思議なことじゃないさ。王族や英雄を別にすれば、君たち一般の魔法少女の麻雀力はせいぜい2000Adh.前後」

QB「なら僕は? まどかとワルプルギスのエネルギーを手に入れた僕の麻雀力は?」

QB「マミ、調べてみるといいよ」

マミ「QBの麻雀力………!? え!? 嘘でしょう!?」

さやか「マミさん!?」

杏子「マミ! どうなんだ!? あいつの麻雀力は!?」

マミ「き、QBの麻雀力は……」

QB「僕の麻雀力は53万だよ」

176: 2012/01/07(土) 20:39:05.92 ID:CY4xJtG50

さやか「なん…だと…」

杏子「マジかよ……」

QB「今の僕と比較すると、君たちなんて同卓しただけで絶命する程度でしかないんだよ」

QB「平然としてる竜が異常なのさ」

竜「………」

QB「はじめようか、竜。これが最後の…いや、最初の闘いだ」

竜「あンたは口を開かないほうがいい……言葉が白ける」

闘牌開始

東家:QB
南家:ツモ切りマシーン
西家:竜
北家:ツモ切りマシーン

177: 2012/01/07(土) 20:45:22.59 ID:CY4xJtG50

QB「勝負というのもなかなか良いものだね。これが心躍るというやつなのかな」

竜「………」

QB「おっと、先制リーチといこうか」

竜「………リーチ」

さやか「竜が追いかけリーチ!?」

杏子「どうなってやがる!?」

QB「……ふむ。竜、君のアタリ牌はこれだね」打七

竜「ロン。満貫だ」パタン

竜手牌 二二六七八八九⑦⑧⑨789  ドラ⑦

178: 2012/01/07(土) 20:51:37.94 ID:CY4xJtG50

東2局

竜「リーチだ」

QB「参ったなぁ。どうやら流れは竜にあるみたいだ」

マミ「またリーチ…」

竜「ツモ。一発がついて今度は跳満だ」パタン

竜手牌 ①②③③③④⑤⑥⑦⑧白白白  ツモ③

杏子「やった! 哭きはしねえけど、絶好調だ!」

さやか「いけるよこれ!」

QB「おや、安目じゃないか。僕にも流れが向いてきたね」

杏子「けっ! 負け惜しみでも言ってろ!」

179: 2012/01/07(土) 20:56:45.77 ID:CY4xJtG50
東3局

QB「良いツモが来るよ。竜、今度こそ僕のアガりだ」

竜「…リーチ」

さやか「このまま決めちゃえ!」

QB「相変わらずの棒攻めか。でも……」

QB「御無礼ロンだよ。中ドラ5(セントラルドグマ)」

竜「………」

マミ「竜さんが振り込むなんて…」

杏子「な、なぁに。まだリードしてるさ」

QB「甘いね。今の僕にリードなんて無意味だ」

その後もQBのアガりは留まるところをしらなかった

QB「ツモ」

QB「ロン」

QB「ツモ。御無礼」

竜は安手で場を回すものの、点差は広がったままオーラスを迎える

180: 2012/01/07(土) 21:03:31.24 ID:CY4xJtG50

南4局

QB「オーラスだ。竜、一体どうしたっていうんだい? この局一度も哭いていないじゃないか」

さやか「竜……」

杏子「どうしちまったんだ」

QB「僕を逆転するには役満が必要。もうあきらめたのかい?」打西

竜「……あンた、勝負を語るには」

QB「ん?」

竜「浅すぎる」

竜「ポン」 シャキン西西西

マミ「……哭いた!」

竜「哭いてあげたぜ。これでいいかい」

さやか「哭いた…ッ、竜が哭いた…!」

181: 2012/01/07(土) 21:09:05.89 ID:CY4xJtG50

QB「ようやくの哭きか。でも」

QB「ひとつさらせば自分をさらす」打北

竜「ポン」 シャキン北北北

杏子「まだ哭くのか…」

QB「ふたつさらせばすべてが見える」打南

竜「ポン」 シャキン南南南

マミ「三つ目の風牌ッ……これはまさか!」

QB「みっつさらせば地獄が見える。フフフ、君の哭きですいすい手が進むよ」

杏子「竜が3副露…!」

さやか「これはひょっとすると……いや! 間違いない!」

マミ「いけるわ…!」

マミ杏さや「「「大四喜(サウザンドウィンド)!!!」」」

182: 2012/01/07(土) 21:16:00.97 ID:CY4xJtG50

QB「やれやれ。まだ現実が見えてないのかい」

QB「そんな奇跡は起こらないことを教えてあげよう」

QB「見える見える落ちるさま」 暗カン東東東東

マミ「! そんな!」

さやか「だ、大丈夫! 竜ならきっとカンドラがのって…」

杏子「いや待て! 今のカンであのヤローの麻雀力が100万を超えたぞ!」

QB「このリンシャン牌で…」 暗カン七七七七

杏子「またカンだと!?」

マミ「麻雀力500万Adh.………嘘よ………」

183: 2012/01/07(土) 21:22:40.31 ID:CY4xJtG50

QB「驚くのは早いよ」 暗カン7777

さやか「三連続で暗槓だって!?」

杏子「1200万……頭がおかしくなりそうだ……」

竜「………」

QB「さらに、リンシャンから…」 暗カン⑦⑦⑦⑦

QB手牌 中  カン東東東東カン七七七七カン7777カン⑦⑦⑦⑦

マミ「四暗刻……」

杏子「四槓子だとぉ!?」

さやか「ダブル…いや、単騎だからトリプル役満…!」

QB「麻雀力が充実している。すでに6000万Adh.を越えた」

QB「ここから繰り出されるのは、ただのトリプルとはわけが違うよ」

QB「⑦とは世界の終わりを暗示する牌。北欧ではこれを、終末を告げる神ヘイムダルの角笛として信仰している」

杏子「なにが言いてえんだ…!?」

184: 2012/01/07(土) 21:28:50.04 ID:CY4xJtG50

QB「つまり宇宙開闢以来、⑦の入った四暗刻四槓子をアガった者はいないんだ」

QB「なぜならアガられた時は、この宇宙の破壊と創造が始まるのだから」

さやか「……まさか、集めたエネルギーを使って……」

QB「察しがいいね。そうとも。すべてはこのためなんだよ」

QB「今の宇宙はあまりに不完全だ。放っておけば、いずれ熱力学的氏を迎えてしまう」

QB「そこで僕は考えた。宇宙を根本的に救うにはどうしたらいいかと」

QB「これはもう、作り変えるほかない。より無駄のないカタチに、だ」

杏子「作り変える?」

QB「理想の宇宙とはなにか。それはあらゆる因果があらかじめ確定され、全てが効率的に実現する宇宙。無秩序(エントロピー)とは無縁の宇宙」

QB「その中核となるのが…」

マミ「…第一起動者…ッ!」

杏子「知ってるのか、マミ!?」

186: 2012/01/07(土) 21:34:55.57 ID:CY4xJtG50

QB「そうだね。マミの言う通り君たち人類の哲学では、アリストテレスが提唱した『第一起動者』の概念に近い」

QB「あらゆる因果の原点に位置する存在。それが宇宙を動かしていく」

QB「すなわち根源だね」

マミ「でも、その理論には矛盾があって…」

QB「もちろん知ってるとも。『誰が起動者を起動させるのか』だろう」

QB「けど思い返すといい。そういった不条理を覆して、君たちに奇跡をプレゼントしたのは誰だい? 僕たちじゃないか」

QB「わかりやすい言葉で表現しよう。矛盾を超越してこその神なんだよ」

QB「僕たちは神になろうとは思わない。誰か希望者がいれば譲ってもいい」

QB「そうだな、たとえばまどかなんかは喜んで立候補しそう…」

ほむら「ふざけないで!」

QB「やあ、ふたりとも。お手柄だね。おかげで宇宙は救われるよ」

まどか「………」

ほむら「そんな宇宙になんの価値があるというの! 希望もなにもない、あらかじめ決められた世界なんて!」

187: 2012/01/07(土) 21:41:26.58 ID:CY4xJtG50

QB「そのかわり絶望もない。悲劇は起こらず、全てが予定調和的に観測される。
  避けようのない滅びも嘆きも、そもそもが存在しなくなる」

QB「そう、事故によって奪われた命も」

マミ「!」

QB「絶望に身を落とし燃え尽きた信仰も」

杏子「!」

QB「最適化され損失は補填される」

QB「特にまどかはそんな世界を望んでいたんじゃないのかな? これは全ての魔法少女の救済にも繋がるんだよ」

まどか「………」

ほむら「耳をかしてはダメよ!」

QB「どうかなまどか。君の契約のエネルギーがあれば、もっと完璧な宇宙にすることだってできる」

まどか「………」

ほむら「まどか!」

QB「僕と契約して魔法少女になってよ!」

188: 2012/01/07(土) 21:46:48.33 ID:CY4xJtG50

まどか「………認めない」

QB「まどか?」

まどか「そんな宇宙は認めない! それじゃあ、今まで頑張って生きて氏んでいった人たちはどうなるの!」

QB「宇宙は改変されるわけだから、第一起動者によってより無駄のない、つじつまの合う歴史が観測され…」

まどか「私たちはつじつまじゃない! どんなにひどい世界でも、現在(いま)を! こうして生きてるの!」

まどか「それを否定する宇宙なんて」

まどか「絶対に認めない!」

マミ「…鹿目さんの言う通りだわ」

杏子「…だな。現実(いま)を否定する魔法少女(キセキ)なんて、あっちゃいけないんだ」

ほむら「QB、これが私たちの答えよ」

QB「やれやれ、あいかわらず君たちの考え方はわからないよ」

QB「でもどうであろうと、君たちにはもう止められはしない」

QB「最後のリンシャンツモだ!」

189: 2012/01/07(土) 21:52:24.02 ID:CY4xJtG50

ほむら「くっ…」

杏子「ちくしょう…なんとかできねえのかよぉ」

マミ「ダメ…力の差があり過ぎて、動くこともできない………」

さやか「…ここまでなの?」

まどか「違う!」

まどか「今まで、ううん。過去と未来に生まれて氏んでいくみんなの思いが、絶対にそんなことさせない!」

QB「虚しいね。いつまでもそんな幻想にすがりついていればいいよ」

QB「それもあとほんのわずかだけどね」

QB「これで宇宙は変わる! 完全に調和した究極の世界へと!」

QB「そして、ようこそ!」

QB「より強き愛ある世界(アナザーワールドエクストラ)!!!」リンシャンツモッ!

全員「「「「「ッ!」」」」」

190: 2012/01/07(土) 21:57:42.64 ID:CY4xJtG50

さやか「……あ、あれ?」

杏子「なにも起こんねーぞ?」

マミ「どういうこと?」

QB「……そんなバカな……こんなことが………」

竜「終わったな」

QB「このリンシャンでアガれない!? なぜ!? エネルギーは充分なはずなのに!!」

QBツモ発

竜「俺は哭きをいれるたびに、命が縮む思いがする」

竜「あンたにひとつ教えてあげる」

QB「なにを…」

竜「勝負も命も愛も、一寸先はわからぬもの。ゆえに誰もがのたうち、苦しむ」

竜「それを厭うあンたには、なにも背負えやしない」

竜「背中が煤けてるぜ」

191: 2012/01/07(土) 22:04:19.27 ID:CY4xJtG50

QB「わけのわからないことを…! 背中がなんだって? 僕に宇宙を救う資格がないとでも?」

竜「他人の命構うより、自分の命磨きなよ」

さやか「な、なんだかよくわかんないけど……」

マミ「より強き愛の世界(アナザーワールドエクストラ)は不発!」

ほむら「そしてインキュベーターは、裸単騎で竜と闘わなくてはならない」

まどか「QB、これが命の、想いの強さだよ!」

QB「バカなッ! 僕がそんなわけのわからないもので……ッ!」

QB「僕たちが何万年活動してきたと思ってるんだ! この偉業をなぜ理解しない!?」

竜「早く打ちなよ。時の刻みはあンただけのもんじゃない」

QB「く、くっそおおおおおお!」バシン! 打発

竜「ふっ」

QB「!」

192: 2012/01/07(土) 22:10:21.37 ID:CY4xJtG50

QB「ま、待つんだ竜! 牌を倒すんじゃない!」

QB「宇宙を改変するほどのエネルギーが僕たちの闘牌にかけられているんだ!」

QB「僕が負ければ、そのエネルギーは暴走してしまう! 僕たちはどうなるかわからない!」

QB「この宇宙から永遠に消え去ってしまうかもしれないんだ!」

杏子「なんだと!?」

マミ「そんな!? そしたら竜さんも…」

まどか「そんなのってないよ……あんまりだよ……」

ほむら「竜…!」

QB「そうだ。そうなったら一体誰が宇宙の救済を…」

197: 2012/01/07(土) 22:15:39.85 ID:CY4xJtG50

竜「過去はいらぬ未来もいらぬ。俺は俺。あるのはただ、今この時」ツツツ

QB「よせ!」

まどか「竜さん………今度! 今度きっと勝負しましょう!」

竜「………」

まどか「きっとですよ!」

竜「ふっ」

竜「ロン」パタン

竜手牌 中中発発  ポン南南南ポン西西西ポン北北北

字一色
眩く光る卓上に二つの文字が瞬いた
それは竜という男の人生を彩る文字
その文字 「義」と「情」

………………
……………
…………
………

199: 2012/01/07(土) 22:22:51.22 ID:CY4xJtG50

どこかの雀荘


まどか「ダブリー一発ツモドラ4(マンオブトゥモロー)!!」

雀ゴロたち「グワー!」

雀ゴロたち「まさか、裏ドラが2枚ものるとは…」

まどか「お前ら、裏も読めんのか」※


※『覇王』:実在のプロ雀士と哭きの竜、桜井章一が最強をかけて戦う漫画。
作者は能條純一先生じゃない。
大抵のプロはひどい扱いで、事実上竜と桜井章一の一騎打ち。
これは桜井章一が、唖然とするプロ達に言い放ったセリフ。
さすがにクレームがきたのか、打ち切りとなった。
(竜だけは能條先生の許可を取っていたが、他は勝手に使っていたらしい)

201: 2012/01/07(土) 22:27:26.00 ID:CY4xJtG50

まどか「ごめんねほむらちゃん、付き合わせちゃって」

ほむら「いいのよ。それよりどうして雀荘に? そんなに麻雀好きだったかしら?」

まどか「うーん、わかんない」

ほむら「わからない?」

まどか「わかんないけど、ここにきて会わなきゃいけない人がいる気がして…」

ほむら「どんな人? 男? 女?」

まどか「それも……」

ほむら「不思議な話ね」

202: 2012/01/07(土) 22:32:24.93 ID:CY4xJtG50

「ポン」

「あんちゃん、また哭きかい。ほんならこれもどうだ?」

「カン」

「よく哭くにいさんだ。だがこっちもワケありでな。ほれリーチだ」

「          」

「ん? あんちゃん、今なにいうた?」

「悪いナ。それ、ロンだ」


「命を刻む音がする ――静寂がその音の存在を知らしめる
ぬくもりを感じた時 竜の身体を 寂滅という名の愛が
ひそかに…確実につつんでいった」
-能條純一 『哭きの竜』-

203: 2012/01/07(土) 22:35:02.23 ID:CY4xJtG50

完!!



>>1は能條純一先生を応援しています

204: 2012/01/07(土) 22:35:09.79 ID:lS2HbsLMO
アンコが2つある時は、リーチをして一発でツモって… 裏を3つのせてハネマンにする…
これがおれのセオリーです

205: 2012/01/07(土) 22:39:01.15 ID:lS2HbsLMO
書き込んでる間に終わっていた >>1乙!!

引用: まどか「哭きの竜~魔法少女外伝~」