65: ◆6osdZ663So 2013/08/19(月) 10:12:02.52 ID:FcVl7zNgo


モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ



吸血鬼とかの設定お借りして投下します

66: 2013/08/19(月) 10:12:28.28 ID:FcVl7zNgo

真夜中

都会の中でありながら、薄暗く寝静まった通りに、

”そいつら”は居た。


『ハナセッ!!キサラマラッ!!』

「うるさいな。どうにかならんものか。」


傍から見たらそれは実に奇妙な光景に見えただろう。

武器を持たない、生身の人間2人に、一体の爬虫類型のカースが捕まっていた。

カースは激しく抵抗しているが、人間達はまるで意に介していない。

カースは人を襲うもの。

これでは関係がまるで逆だ。


----------------------------------------



それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。


~中略~


「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。

・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。





67: 2013/08/19(月) 10:12:56.85 ID:FcVl7zNgo

いや、例外はある。

人の中でも”ヒーロー”と呼ばれる者達は”カース”達よりも強い力を持つ。

ならば、カースを捕まえている彼らはヒーローなのだろうか?

いや、違う。


『オレヲッ!!ドウスルツモリダッ!!』

「カースとは人間どもの感情の塊のようなものらしい。煩いのは仕方ないだろう。」

「だが、耳障りだ。聞くに堪えん。早く黙らせよう。」


まるで自分達とは別の存在を指すように、”人間ども”と言った通り、

人の様に見えていた、”彼ら”は人間ではない。


彼らの一人がカースの体に口を近づけ、

『ナニヲッ!アッ?アァァァ・・・・・・・???』

牙を突き立てると、その存在を啜っていく。

瞬く間にカースの泥は飲み込まれ、核だけが残った。


「不味い、それに極めて薄い。」

「それも仕方のないことだ。この方法で無ければ核を回収し、カースを我々の眷属として利用できない。」

「本当にこんな物を、我々”家畜派”の眷属として利用する価値があるのかな。」

「自己増殖力など、これを使う利点は多い。いずれ来る”吸血鬼”の頂点争いの雑兵として使う分には問題ないだろう。」


”彼ら”は”吸血鬼”

中でも”家畜派”とも呼ばれる一派の実行部隊であった。

68: 2013/08/19(月) 10:13:53.00 ID:FcVl7zNgo

「味の薄さに関しては・・・・・・この辺りに出現しているカースが弱いだけなのかもしれん。」

「では、やはり例の街に向かったと言う同胞達に期待するしかないか。」

「そうだな、あちらにはより強力なカースが居ると聞く。」

「より強い兵を集めることができるだろう。」


彼らは吸血鬼の能力を使い、カースの肉体となる負の力を吸い上げて、

カースの核だけを収集することができていた。

そうして集めた核は、吸血鬼達の魔力を通して、

再度肉体を与えてやることで、自分達の眷属として利用できるのだ。

さらに眷属化したカースは、吸血鬼の持つ”吸血鬼の仲間を増やす”と言う属性も備えるため、

周囲に新しくカースが発生した際に、それらの属性もまた吸血鬼の眷属に書き換えることができた。

”家畜派”はこの特性に目を付け、カースを吸血鬼の兵として使うことを考えたのだ。


「うぷっ、後味が来るな・・・・・・糞不味い魔界の蜥蜴のスープを飲まされた時のような気分だ。」

「愚痴が多いな。仕方ない。今宵はそろそろ切り上げるか。」

「早く血を飲みたい。口直しがしたいんだ。」

「通りに出れば幾らでも居るだろう、しかし真夜中でも人間がうろついているのは好都合な事だな。」

「だが大概のそれは下品なクズ肉だ。俺の喉を潤すのは処Oの血で無ければ。」


「贅沢な奴め、口直しくらいクズ肉で我慢しっ―かぁっ―――?!」

「なっ?!」


突如、吸血鬼の一体の頭が撃ちぬかれる。

頭部を破壊されたそれは、そのまま崩れるように倒れた。

69: 2013/08/19(月) 10:15:07.00 ID:FcVl7zNgo

「おい!・・・・・・馬鹿なっ!即氏だとっ?!」

頭を撃ちぬかれた相方が、倒れたまま起き上がらない。

何よりもその事に彼は驚いた。

吸血鬼とは不氏身の怪物。

”頭を撃ちぬかれた程度で”氏ぬ訳が無いのだ。

「まさか銀の弾が―――?」

そうして、もう一体も倒れた。




「殲滅完了しました、如何致しましょう。クイーン。」

銃を構えた男が問う。

「呆気なかったわ、つまらないわね。まあいいわ、回収はじめるわよ。」

クイーンと呼ばれた、女性がそれに答えた。

70: 2013/08/19(月) 10:15:39.48 ID:FcVl7zNgo

クイーンは、カツカツと音を立てながら、

吸血鬼の氏体に近づくと、その懐を漁る。

そして目的のものを見つけたようだ。

ジャラジャラと音のする袋を取り上げ、中身を改める。

「結構集めてたみたいね。カースの核。」

「全部で8つも。こんなに簡単に手に入ったわ。使えるわね、この方法。」


彼女の目的は吸血鬼達の集めていたカースの核であったようだ。

最初から横取りするつもりであったらしい。


「利用できるものは利用しなきゃね。あ、氏体は適当に細切れにして燃やしておいて。」

「はっ。」

クイーンの命令に従い、数人の男達がテキパキと氏体を片付け始める。

彼らは女王に忠実な家来と言ったところであろう。


彼らが氏体の片付けをしている間、

クイーンは袋に入れられていた核のうち一つを取り出し、眺めてみる。

取り出した核は『憤怒』の核で、

それは邪悪でドス黒い赤色を湛え、輝いていた。

71: 2013/08/19(月) 10:16:25.41 ID:FcVl7zNgo

吸血鬼に負のエネルギーを吸われ、枯渇した状態のカースの核。

それは、浄化されたわけでもなければ、氏んでいるわけでもなく、

放って置けば大して時を待たずとも、周囲のエネルギーを吸収し、すぐに活動を再開するだろう。


先ほどまでの所持者達は、魔の存在である吸血鬼であるから、

カースの核のエネルギー吸収を抑えて所持する事が出来ていただけのこと。

一般人が素手で触れれば、カースに取り込まれたり、精神を汚染されても、おかしくはない。


では何故、

クイーンと呼ばれた、彼女も、

先ほどまでの所持者達と同じく、カースの核に触れても平気で居られるのか。


答えは単純。

彼女も同じく、魔の存在であり、

彼女も同じく、吸血鬼だからだ。


彼女の名前はチナミ。

吸血鬼の三派閥でいえば、”利用派”に属する名家の出身の女吸血鬼。

そして、彼女はまた、別の”ある組織”の一員でもある。


カースの核をじっくりと眺めていたチナミは呟く。

チナミ「不気味な色。血の色みたいで嫌いじゃないけど。」

チナミ「でも、これにそこまで求める価値があるのかしら。」


実のところ、彼女自身はカースの核に価値を見出しては居ない。


吸血鬼のエネルギー源として利用できなくはないが、

やはり人間から直接血を吸った方が効率が良いし、何より味が良い。

”家畜派”は兵として利用するつもりであるようだが、チナミにとってはそれも脅威には思えない。


そんな彼女がカースの核を集めているのは、それが”ある組織”の一員としての活動であるからだ。

時は少し前に遡る。

72: 2013/08/19(月) 10:17:36.47 ID:FcVl7zNgo

――

――


ネオトーキョーに本社を構える大企業ルナール・エンタープライズ。

そこで働く従業員の一人「小室千奈美」として、チナミは活動していた。


ネオトーキョーは吸血鬼にとって昼間でも活動がしやすい。

漂う瘴気のせいか、天敵である太陽光が弱まっているからであろう。

流石に真昼間の屋外での活動は、少々コンディションに影響するが、それだけだ。

そのため、ネオトーキョーには、派閥に関わらず人間に扮して生活している吸血鬼は多かった。


チナミもそんな吸血鬼の一人であるが、彼女には使命があった。

”利用派”吸血鬼の一員としてルナール社の裏側に存在すると言われる櫻井財閥に関する、情報を集めること。


櫻井財閥は、かつては人間界の支配者に最も近いと謡われたと言う大財閥。

人間界支配を目論む彼女達にとって、その先駆けとして利用するには打ってつけの組織だ。

故に、”利用派”吸血鬼達は、ルナール社に少なくない数の間者を放っている。

チナミもその一人として、ルナールに潜入し、財閥について調べていた。

73: 2013/08/19(月) 10:18:48.94 ID:FcVl7zNgo

しかし、実際ルナールに入社してみれば、世間のブラックの噂に反して、

その見た目の内装も、やらされる仕事の内容も、妙に綺麗な事ばかりであった。

ネオトーキョー全体を覆うような暗さも、まるで嘘かの様にそこにはない。


白い。ネオトーキョーにあってあり得ないほどに白い企業。

白すぎて、逆にその分厚いメッキの裏にはやはり何かあるとしか思えない、白さ。


白さの裏を暴くために、彼女達、”利用派”吸血鬼達は、

ルナールの隅から隅まで嗅ぎまわっているが、これまでに成果は出ていない。


黒い裏側などはそう易々とは見れる物ではないだろう。と、覚悟はしていた。

だけど毎日、人間の仕事を繰り返す単純な生活は正直堪える。

彼女は、この生活にもとっくに飽き飽きしていた。


チナミ「退屈だわ・・・・・・。」


彼女は吸血鬼の名家の出身だ。”利用派”吸血鬼達の中でも上位に位置する者であり、

現場で活動するよりも、上から指示を出している方が得意だし、立場的にもそうするべきなのだろう。

それでも、そんな彼女が人間界に出てきて、現地での諜報活動を自ら進んでやっているのは、

新しい刺激が欲しかったからだ。


だから、こんな調子ではつまらない。


何も無さそうなら、魔界に帰ってしまおうかしら。

なんて思っていた、そんな頃だ。

彼女の元に一人の女性が尋ねてきたのは。

74: 2013/08/19(月) 10:20:05.46 ID:FcVl7zNgo

その日の仕事と、調査を終えて、

人としての仮の住まいに、帰ろうとした彼女の元に、

知らない番号から電話が掛かってきた。


「会社のロビーで待ってます。」とただ一言だけ残して、

ブチ切って来た勝手な電話の内容に、イラつきはしたが、

パターン化していた日常に訪れた些細な変化に、

退屈を吹き飛ばせる何かを期待しながら、電話の指示に付き合うことにした。



指定の場所には一人の女性が居た。

もう遅い時間であり、社内に残っている人間が少なかったためか、

その時ロビーには、彼女達の他に誰も居なかった。


女性「こんばんは、はじめましてー」

女性「あ、これ美味しいから是非食べてみてっ!」

チナミ「なにこれ。」

チナミの質問に、よくぞ聞いてくれましたとばかりの顔をして、彼女は答えた。

女性「和歌山の梅干だよっ!特産物!味に文句なし!私的にっ!」

出会ってすぐに梅干を押し付けられた。

チナミ「いらないわ。」

梅干を返して、そそくさと帰ろうとする。


女性「あっ!ストップ!ストップ!待って!」

女性「”利用派”のチナミさんに御用があるんですよっ!」


その言葉が無ければ本当に帰ってしまうところだった。

振り返って、問いかける。


チナミ「あなた・・・・・・何者?」

女性「私は櫻井財閥の『エージェント』です!」

75: 2013/08/19(月) 10:21:05.43 ID:FcVl7zNgo

――


そこからは驚きの連続であった。

財閥の『エージェント』を名乗る女性が向こうから接触してきたこと。

瞬間移動能力によって、一瞬で何処かの高いビルの上階にある一室に連れてこられたこと。


そして

サクライP「やあ、待っていたよ。」

サクライP「よく来てくれたね、小室千奈美くん。」

チナミ「・・・・・・。」


チナミの座ったテーブルの、向かい側に座っている男の存在にだ。

どうやら状況から見て、財閥の党首直々に、彼女を呼び出したようであった。


チナミ「驚きね。そっちから接触してくるなんて思って無かったわ。」

想定外の事態に陥っても、彼女は決して余裕ある態度を崩さない。

サクライP「そうかい?サプライズを演出できたようでよかったよ。」

そう言って彼はにっこりと笑った。

76: 2013/08/19(月) 10:21:40.49 ID:FcVl7zNgo

テーブルに置かれたグラスに赤い液体を注ぎながら、彼は言う。

サクライP「主はワインの事を自分の血だと言って、使徒達に振舞ったそうだね。」

サクライP「だから僕もそれに習って、君のためにワインを用意したのだが」

注がれた2杯のグラスの片方がチナミに目の前に置かれた。

サクライP「”小室千奈美”は19歳だったね。お酒は飲める年だったかな?」

サクライP「それとも本物の血の方が良かっただろうか?」

チナミ「結構よ。お酒も血も、そのつまらない冗談も要らないわ。」

チナミ「私が欲しいのは、あなた達に関する情報よ。」

彼女は吸血鬼の持つ能力”魔眼”を使用して、彼を睨んだ。

だが、睨まれたサクライPはまったく意に介していないようであった。

サクライP「吸血鬼の魔眼。なるほど、僕を傀儡にできたら君達の目的は達成できるのだろうね。」

サクライP「けれどそれは不可能だ。僕は既に”所有物”だからね。」

チナミ「・・・・・・。」

サクライPに催眠を掛けるのは不可能であるらしい。

それを知ると、チナミは”魔眼”を解いた。

77: 2013/08/19(月) 10:22:28.29 ID:FcVl7zNgo

これまでのやり取りで十分にわかったが、

この男は、チナミたち吸血鬼に関して多くの事を知っていたらしい。

三派閥の存在、”利用派”から間者が放たれていたこと、”利用派”の目的、吸血鬼の能力。


チナミ「随分と、私達について詳しいのね。」

サクライP「魔界や悪魔の事に関しては、僕は知る機会が多かった。と言うだけのことだよ。」

サクライP「吸血鬼の存在や能力、派閥については悪魔達からの話で聞いていたんだ。」

財閥は悪魔と繋がりがあると言う噂。どうやら本当であったらしい。

チナミ「私が吸血鬼だと気づいたのはいつかしら?」

サクライP「さあ、いつ頃だったかな。」

サクライP「ルナールには、他組織からの間諜と言うのは多くてね。」

サクライP「妙な者達が出入りしているのは、いつもの事なのだが」

サクライP「その中に吸血鬼の一派が混じっていると知ったのはごく最近のことだったと思うよ。」


サクライP「質問はそのくらいかな?」

チナミ「もう1つあるわ、あなたの目的は何?どうして私を呼んだのかしら。」

サクライP「そうだね、そろそろ本題に入ろう。」

78: 2013/08/19(月) 10:23:28.83 ID:FcVl7zNgo

サクライP「単刀直入に言えばね、君の力が借りたいんだ。」

サクライP「僕の目的を達成するために、協力して欲しい。」

チナミ「あなたの目的?」

サクライP「世界の全てを手にすることさ。」

チナミ「呆れたわ。人間界の支配のために、私達を逆に利用しようだなんて。」

サクライP「利用ではなく、協力だよ。取引と言い換えてもいいかな。」

チナミ「取引と言うからには、あなたに協力して、私達は何か得られるのかしら。」

サクライP「立場だ。君には『エージェント』と言う立場を用意している。」

チナミ「エージェント?」

サクライP「僕個人が所有する特殊部隊だよ。ここに来るまでに一人会っただろう?」

サクライP「彼女達には、少なくない額の資金や情報を報酬に各地で動いてもらっている。」

サクライP「資金や情報は、君達が人間界で活動するならば、多くて困るものではないはずだ。」

サクライP「そして『エージェント』は僕に最も近づける立場だ。」

サクライP「財閥や僕の事を調べるなら、『エージェント』に勝る者はいない、と言っていいね。」

サクライP「君にとっても、悪い話ではないと思うがどうだろう?」

79: 2013/08/19(月) 10:24:22.63 ID:FcVl7zNgo

なるほど、確かに悪い話ではないのだろう。

少なくともルナールでの仕事を繰り返すつまらない毎日よりは少しはマシではないか。

しかし、この時点ではチナミはこの話を、どう断ろうか思案していた。


チナミ「残念だけど、私には一派全体の方針を決める権限なんてないわ。」

サクライP「僕はね。君達ではなくて、君の力を借りたいんだ。」

サクライP「だから取引をしたいのは彼らとではない。君と取引をしたいんだよ。」

彼は組織ではなく、彼女個人と協力したいのだと言う。

チナミ「だったらお断りよ。私は指図は受けたくないの。」

チナミ「とくに誰かの下について、つまらない仕事をするなんてもうまっぴら。」

そんな彼の誘いを、チナミは力強く拒否した。

チナミ「それで、断ったら私はどうなるのかしら?」

サクライP「このままお帰りいただくだけだよ。」

サクライP「ここで得た情報はお呼びした手間賃だと思ってもらえばいい。」

チナミ「あ、そう。じゃあさようなら。」

チナミは席を立つ。

部屋から出て行こうと歩き出した彼女を、サクライPは怪しい笑顔で見送った。

80: 2013/08/19(月) 10:25:17.91 ID:FcVl7zNgo



チナミ「出口何処よっ!!!」



チナミは急いでテーブルに戻ってきて怒鳴った。

サクライP「ここには外に出る扉は無いよ。」

チナミ「なっ!だったら席を立った時点で止めなさいよっ!!」

サクライP「芽衣子くんがこの場に居ないのにどうやって帰るつもりなのか少し見ていたくてね。」

チナミ「悪趣味すぎるわ。空間移動能力者が居ないとここから出られないなら、」

チナミ「最初から逃がす気なんてなかったんじゃない。」

部屋の中には、出口と呼べそうなものは窓しかなく、

その窓にしても、先ほど気づいたが、外の景色ではなく機械で映像を写しているらしい。

窓に映る景色からここがビルの上階だと判断していたが、どうやらそれすら怪しいかもしれないのだ。

サクライP「悪いね。だけど、僕はどうしても君に協力して欲しいんだ。」

サクライP「もう一度言おう、君の力を借りたい。君が必要だ。」

チナミ「ふん、それが頃し文句だとしたら三流もいい所ね。」

81: 2013/08/19(月) 10:26:12.57 ID:FcVl7zNgo

チナミ「一つだけ聞かせてよ。どうして私なの?」

潜入していた”利用派”吸血鬼はチナミ以外にも居たはずだ。

その中でどうしてチナミを選んだのか。

サクライP「ルナールに潜入している吸血鬼の中で、おそらく君が一番力を持っているだろう。」

サクライP「と考えたのが、理由の一つだね。」

チナミ「それはどうも。高く買ってもらってるのね。」

サクライP「そしてもう一つ。こちらの方が重要な理由だが、」

サクライP「協力者にするなら、君が一番気が合うと思ったからだよ。」

チナミ「ふーん。気が合う、ね。私は全然そんな風に思えなかったけど。」

サクライP「君は欲が深い。今持ってる物では満足できず、常に今以上のものを求めているのだろう?」

サクライP「世界に新しい刺激を求め続ける。そのスタンスに僕は共感したのさ。」

チナミ「あなたなんかと、一緒にしないで欲しかったわ。」


チナミ「けれど、まあ。確かに、そうかもね。」

チナミ「このまま元の生活に戻るのもつまらないことだわ。」

チナミ「だから、”条件”付で、あなたに協力してあげてもいいわよ。」

サクライP「そうか。その好意に痛み入るよ。ありがとう。」

チナミ「まだ協力するとは言ってないのだけど。」

サクライP「そうだったね。では、”条件”を聞こうか。」

82: 2013/08/19(月) 10:27:23.86 ID:FcVl7zNgo

――

――


眷族「クイーン、氏体の処理が完了しました。」

物思いに耽っていたチナミだが、その声に呼び戻された。

チナミ「あら、ご苦労様。」

命令を成し遂げた彼らに労いの言葉をかける。

彼らはチナミが人間界で作った眷族。

チナミ自ら血を吸って、作り上げた、彼女の命令に忠実な動く氏体達だ。

そんな手下達はクイーンの次の命令を今か今かと待っている。


チナミ「カースの核を集めて欲しいだなんて、」

チナミ「どう言うつもりなのか知らないけれど。」

チナミ「私を簡単には利用できるとは思わないことね、サクライ。」

手元のカースの核を眺めながら、彼女は独り言を呟く。

チナミ「いつか今みたいに、あなたが手にしたものも私が横取りしてあげる。」

チナミ「それまでは退屈しのぎに付き合っ『イッシャー!』

『シャーシャッシャッ』『シャワッシャ』『シャッワー』

チナミ「・・・・・・・。」

チナミ「こほん、それまでは退屈しのぎに付きあって『ワッシャイ!!』

『シャワシャー!』『シャワ!シャワ!』『シャワワワ!』


チナミ「もうっ!!何なのっ、あいつらっ!!台詞くらい最後まで言わせなさいよっ!!」

チナミ「あなた達!アレを潰しに行くわよっ!!」

眷族「はっ!」

こうして、『エージェント』であり『利用派』の吸血鬼は、

通りすがりの魚型ロボット達を始末しに向かうのであった。

83: 2013/08/19(月) 10:28:24.85 ID:FcVl7zNgo

――


「簡単な条件よ。私を退屈させないで。」


サクライP「退屈させないで、か。」

空になったグラスを眺めながら、

先ほどまで目の前の席に座っていた女性の事を思う。

サクライP「やはり、彼女は僕と気が合いそうだ。」

サクライP「保障しよう。きっと退屈させることはないだろう。」

一人きりになった部屋で、彼は不敵に笑った。


サクライP「さて、これから忙しくなるな。」


おしまい

84: 2013/08/19(月) 10:28:59.75 ID:FcVl7zNgo

チナミ(小室千奈美)

職業:『利用派』に所属する吸血鬼、櫻井財閥『エージェント』
属性:女王様気質の高飛車吸血鬼
能力:吸血鬼関連の能力全般

魔界出身の吸血鬼の女性。吸血鬼の三派閥では『利用派』に属する名家の出身。
故あってサクライPの『エージェント』としても活動する事となる。
退屈でつまらないことが嫌い。彼女が配下や眷族を使わず、自ら動くことが多いのは、
日々の退屈を吹き飛ばす、新しい刺激を求めての事。
女王然とした、余裕のある態度を常に崩さないが、時々感情的に怒る。
彼女がカッコつけようとすると、何故か邪魔が入ることが多い。


『チナミの眷族』

吸血鬼に血を吸われ、眷族と化した元・人間達。
女王の命令に忠実な氏体。チナミの事を”クイーン”と呼び付き従う。
現在は5名ほど。元は何処かの軍隊員だったようで、全員が武器の扱いに長けている。
生前に比べ意思や感情が弱く、機械のようにチナミの命令を遂行する。
そのため、彼らの気配を察知するのは極めて難しい。
吸血鬼と同じく、太陽光や銀の弾丸、聖水などに弱い。チナミの気分次第で増えたり減ったりする。

85: 2013/08/19(月) 10:30:28.68 ID:FcVl7zNgo
『銀の弾丸』

吸血鬼討伐用に作られたマジックアイテム。
これを頭にぶち込まれた吸血鬼は仮氏状態となり行動不能になる。
だが摘出してしまえば、しばらくすると氏体は起き上がり、再行動可能。
不氏の怪物、吸血鬼を頃しきる事こそできないが、非常に有効な武装。


『どこかにある部屋』

出入り口が無いため、移動能力者が居なければ出入りできない部屋。
今回使われた部屋は、ルナール社の地下1階に用意した一室。
部屋に取り付けられた窓はモニターになっており、高層ビルの上階から見た外の景色を写しているため、
連れてこられたものは、なかなか地下にある部屋だとは気づけない。

並木芽衣子の能力『瞬間旅行』は、ネオトーキョー内には短距離しか移動できないために、
この部屋はルナール社の1階ロビーとの行き来がメインとなるが、当然地下2階とも行き来が可能である。

86: 2013/08/19(月) 10:31:38.70 ID:FcVl7zNgo
◆方針

小室千奈美 … カースの核の収集。方法は主に横取り。いずれサクライを出し抜くつもり。
並木芽衣子 … 和歌山の特産品を広めたい。
サクライP … チナミにカースの核を集めてもらっている。

財閥が吸血鬼を協力者に迎えるお話。
時系列的には憤怒の街初期~中期くらいじゃないの(適当)
千奈美さんが真面目な事しようとする度にその空気を茶化して怒られたい(真剣)

87: 2013/08/19(月) 11:24:25.62 ID:JSL5komx0
乙ー

利用派が利用されるとはこれいかに?
にしてもイワッシャーww

88: 2013/08/19(月) 12:44:54.77 ID:PNaJ3wV70
乙です
櫻井は暗躍するなぁ…
そしてイワッシャーGJ




【次回に続く・・・】



引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part 6