172: ◆llXLnL0MGk 2013/08/20(火) 11:33:23.64 ID:uZzA9il80


モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ



――街で狼型カースがある少女に討伐されたのとほぼ同時刻。

アパートのとある一室に一人の青年が入っていった。

??「おーう、ブラキオ、プテラ。帰ったぞ」

ブラキオ「遅かったなティラノ」

ブラキオと呼ばれた初老の男は新聞から目を離し、ティラノに目を向ける。

ティラノ「ああ、カースが出て避難誘導がな。なんか女の子が倒したらしいが……」

プテラ「ねえねえティラノ、その子可愛かった?」

ティラノ「俺は見てねーよ……ホント性欲魔人だなお前は」

読んでいた雑誌をベッドに放って話しかけてくる少年に、ティラノは呆れ顔で答えた。

??「あ~、ティラノおにいちゃんお帰りなさいです~」

部屋の奥から、大きなトカゲを抱きかかえた少女がトテトテと寄ってきた。

ティラノ「ああ、ただいま帰りましたプリンセス。いい子にしてましたか?」

??「ヒョウくんといい子にしてました~」

少女はそう言って抱いているトカゲの頭を撫でる。


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それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。


~中略~


「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。

・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。





173: 2013/08/20(火) 11:34:13.14 ID:uZzA9il80
ティラノ「偉いですね、プリンセス。そんなプリンセスにお土産がありますよ」

ティラノはそう言って手に提げていたビニール袋からプリンを一つ取り出した。

??「わぁ~、プリンです~! ティラノおにいちゃんありがとうです~」

ティラノ「夕飯の後ですよ? これは冷蔵庫に入れておきます」

彼女の名はコハル。彼らの主だ。そして、抱きかかえているトカゲがヒョウくん。

ティラノ「それよりブラキオ、プレシオの奴はまだ見つかんねえのか?」

買ってきた物を冷蔵庫にしまいながら、ティラノはブラキオに問いかける。

ブラキオ「うむ。先ほどから近辺をトカゲ達に捜索させているが……どうやら付近にはいないようだ」

プテラ「ボクも一回空から探してまわったけどね。やっぱり近くにはいないよ」

ティラノ「ああもうあのアホ! 一体どこ行きやがったんだ……」

ティラノがイライラして頭をかきむしる。

コハル「プレシオおにいちゃん、魔界の海で遊んでてずっと行方不明です~」

ブラキオ「うむ。その時生じた魔力の乱れから、この人間界に転移した事は辛うじて分かったのですが……」

ブラキオは言葉を切り、ため息を吐く。と、

「わー!」「きゃー!」「ひー!」

プテラ「ん。なんか外が騒がしいね」

ティラノ「行ってみるか」

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174: 2013/08/20(火) 11:35:14.94 ID:uZzA9il80
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人々が慌てふためき、我先にと逃げ惑う。

彼らの視線の先には、一頭の大きなゴリラがいた。

しかし、ただのゴリラではない。体表は泥の様に流れ続け、瞳は深紅に染まっている。

ゴリラの姿をした、獣型カースだった。

ティラノ「カース……なのか?」

『グルルルルルルルルル……グオオオオオオオオオオオ!!』

ゴリラのカースが激しくドラミングを始める。

周囲に大きな衝撃が走り、アスファルトにはヒビが入っていく。

プテラ「うわわっ! あーもう、ムカつくなーアイツ!」

ティラノ「同感だな……ブラキオ! プリンセス連れて下がってろ!」

ブラキオ「うむ! さ、プリンセス、こちらへ……」

コハル「は、はい~」

言われた通りにブラキオはコハルを連れ後ろに下がる。

『グルルロロ……』

ゴリラのカースはティラノ達の方をじっと見ながら唸っている。

ティラノ「何見てンだよエテ公……喰うぞ!」

プテラ「久しぶりに……暴れるぞぉ!」

二人の頬に鱗のような物が浮き上がってきた。

同時にティラノの手には鋭い鉤爪が、プテラの腕には大きな翼が生えてきた。

更に二人の瞳が、爬虫類を思わせるような縦に細長いものに変化した。

ティラノ「ウゥゥガァァァァァァァァァアアアア!!」

プテラ「ギャオオォオオォォォォォォォォォォ!!」

ティラノが大地を蹴り、プテラが風を切り、カースへ向かっていく。

その姿はさながら、古代の地球を支配した種族、「恐竜」。

175: 2013/08/20(火) 11:36:27.03 ID:uZzA9il80
ティラノ「どぅおりゃあ!!」

ティラノの鋭い鉤爪がカースの腕に食い込む。

『グロロロロロロロァァァァァァァァ!!』

カースの振り回した腕がティラノに直撃する。

ティラノ「ぐぁっ……テメェ!」

プテラ「ティラノどいて! ボクがやっつける! かぁっ!」

プテラが上空から踵落としを仕掛けるも、それもまた腕に阻まれた。

プテラ「嘘っ!? うぎゃっ!」

足を掴まれたプテラは、そのまま地面へ叩きつけられた。

『ゴォォォォォォォォォォォォォォッ!!』

ブラキオ「……くっ! プリンセス、お下がりください。ここは私が……」

ブラキオの頬にも鱗の様な物が浮かび、瞳も縦長に変化する。

そしてブラキオの額の一部がコブのようにせり出してきた。

ブラキオ「むむむむ…………」

ブラキオはその場を動く事無く、カースと戦う二人を見つめ続けている。

ティラノ「くっそ、おらぁ!」

ティラノは懲りずに鉤爪を振るうが、悉く頑丈な腕に阻まれる。

『グロロロロロ!!』

カースが口から泥をマシンガンのように吐き出し、プテラを地面に叩き落した。

プテラ「うわっ、もう!」

ブラキオ「…………よし、視えた! ヒョウ坊、一時プリンセスを任せる!」

ブラキオは叫ぶと二人の元へ駆け出した。

ティラノ「ブラキオ! 見えたのか!?」

ブラキオ「うむ、奴は知能自体は低い。弱点である核を本能だけで護りに行っている」

プテラ「で、その核は!?」

ブラキオ「奴の動きから見て、左肩に相違あるまい」

ティラノ「左肩か! しかしあの腕をどうにかしねえと……」

ブラキオ「腕は私が押さえる! プテラは泥の弾を引き付けよ! その間にティラノが核を討て!」

プテラ「オッケイ!」

ティラノ「頼むぜ、二人とも!」

176: 2013/08/20(火) 11:37:33.79 ID:uZzA9il80
ブラキオの指示で二人は配置についた。

『グロロロロロォォォォォォォ!!』

カースの正面に立つブラキオに向けて、二つの拳が振り下ろされる。

ブラキオ「……ふぅんぬ!!」

ブラキオは少しも臆さず、それをガッと掴み押さえた。

『グロ!?』

驚くカースの目の前をプテラが飛び去っていく。

プテラ「へっへーん、こっちだよー!」

『グルルルルルルルルル!!』

挑発に怒ったカースはプテラへ向けて泥の弾を連射した。

プテラ「あははははっ、さっきみたいに不意突かれなきゃ当たりっこないよ!」

プテラは空中を踊るように泥の弾をかわしていく。

最早、カースの視界にはプテラしか映っていない。

ブラキオ「今だティラノ! やれ!!」

ティラノ「言われなくても!!」

ティラノが左側からカースに向けて突進していく。

途中でカースもティラノの存在に気付き振り向くが、時既に遅し。

ティラノ「ガオォォォォォォォォォォォォッッッ!!」

ティラノはカースの左肩に喰らいつき、勢いに任せて核を噛み砕いた。

『グ、オォォォ……』

カースの体がシュウシュウと煙を上げて消えていく。

ブラキオ「……うむ、作戦成功だ」

ティラノ「ぺっぺっぺ。……まっじい」

プテラ「うわっ、ばっちい。こっちに吐かないでよ」

ティラノが吐き出した核の破片もまた、煙と共に消えていった。

177: 2013/08/20(火) 11:38:27.24 ID:uZzA9il80
コハル「みんなお疲れ様です~」

安全を確認してか、コハルが三人のもとにトテトテと駆け寄ってくる。

プテラ「あ、プリンセスちゃん怪我無かった?」

コハル「大丈夫ですよ~。ねえヒョウくん」

ヒョウくん「…………」

コハルの問いかけに、ヒョウくんが黙ってうなずく。

ティラノ「相変わらずヒョウの奴は何考えてるか分からん……」

コハル「あ、そうです~」

何かを思い出したようにコハルが口を開く。

コハル「みんなすごく頑張ったから、ご褒美にコハルがぺろぺろしてあげます~」

ティラノブラキオプテラ「「「!?!?!?」」」

コハルの発言で三人が凍りつく。

コハル「どうかしましたか~?」

ブラキオ「こほん。えー、プリンセス。お気持ちは大変嬉しいのですが、こんな屋外でそれをされては、
    我々はまたしてもこの世界の国家権力のご厄介になってしまいます。どうか部屋の中で……」

ティラノ「あれは……嫌な事件だった……」

プテラ「通報した人もやってきた青い服の人も、すごい侮蔑の目で見てたね……」

三人の顔がみるみる青ざめる。

コハル「分かりました~。じゃあおうちでぺろぺろです~」

ティラノブラキオプテラ「「「ほっ……」」」

三人は安堵の息をもらすと、コハルに続いて部屋に帰っていった。

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178: 2013/08/20(火) 11:39:28.89 ID:uZzA9il80
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――海底都市のほぼ中央部に存在する、海神の神殿。

現在ヨリコは一人でその奥へと進んでいた。

手には作物を満載した豪華な皿を持って。

やがて長い廊下を抜け、ヨリコは開けた場所に辿り着く。

そこには、大仰な台座の上に巨大な竜の亡骸が安置されていた。

ヨリコ「海神、プレシオアドミラル様。今月の捧げ物を持って参りました」

ヨリコは皿を台座の前に置くと、そのまま片膝をついて歌を歌い始めた。

ヨリコ「……♪ …………♪ ……♪」

静かで、厳かで、柔らかな歌声。

ヨリコの口から、海神プレシオアドミラルへ捧げる祈り歌が紡がれる。

ヨリコ「…………♪ ……では、海神様。本日はこれにて失礼いたします」

うやうやしく頭を下げて、ヨリコは部屋を後にした。

……

??『……はぁーあ、相変わらず健気な美少女だこと』

誰もいないはずの部屋に、声が響く。

??『ったく、健気で真面目で一途で……指導者の鑑っつーか何つーか』

??『だからこそ……かね。あんな怪しい女にコロっと騙されちまうのは』

??『俺様が自由に動けりゃあ、忠告の一つでもしてやれるんだが……無駄かね、アイツ頑固だし』

??『くそっ、この妙な呪詛さえ破れればよう……』

声の主――プレシオアドミラルはそれきり黙りこくり、部屋には再び静寂が訪れた。

続く

179: 2013/08/20(火) 11:40:21.64 ID:uZzA9il80
・コハル(古賀小春)

職業
魔界人

属性
古の竜のプリンセス

能力
古の竜の使役

詳細説明
太古の魔界を支配した古の竜のプリンセス。
ある日突然いなくなったプレシオを探すために人間界へと来訪した。
本人に戦闘力は無いが、古の竜の戦士団が彼女を手厚く護っている。
配下へのご褒美はぺろぺろ。

関連アイドル(?)
ティラノ(配下)
ブラキオ(配下)
プテラ(配下)
プレシオ(配下)
ヒョウくん(配下)

関連設定
古の竜

・ヒョウくん
形式上はコハルの配下。
しかし何を考えているか分からない、古の竜のどの種族かもはっきりしないなど、謎の多い存在。

・ティラノシーザー

職業
魔界人

属性
古の竜の戦士団

能力
半竜、超竜への変化

詳細説明
「牙の一族」を代表する戦士団の一員。【古竜大帝】。
自他共に認める特攻隊長で、戦士団の中でも彼の戦績は著しい。
半竜状態だと鉤爪や顎の力が強化され、超竜状態は巨大なティラノサウルスの姿になる。
人間態の外見は某天ヶ瀬さんに似ている。

関連アイドル
コハル(従事)
ブラキオ(仲間)
プテラ(仲間)
プレシオ(仲間)

180: 2013/08/20(火) 11:41:21.70 ID:uZzA9il80
・ブラキオジェネラル

職業
魔界人

属性
古の竜の戦士団

能力
半竜、超竜への変化

詳細説明
「鎧の一族」を代表する戦士団の一員。【竜脚将軍】。
直接前線に立つよりも後方での指揮を得意とし、彼が指揮を取る戦は負け無しとまで謳われた。
半竜状態で洞察眼と怪力が発揮され、超竜状態で巨大なブラキオサウルスになる。
人間態の外見は某伊集院さんの十数年後、といった感じ。

関連アイドル
コハル(従事)
ティラノ(仲間)
プテラ(仲間)
プレシオ(仲間)

・プテラマーシャル

職業
魔界人

属性
古の竜の戦士団

能力
半竜、超竜への変化

詳細説明
「翼の一族」を代表する戦士団の一員。【翼竜元帥】。
才能に溢れた若き戦士だが妙に性欲が強く、「お姉さん、ボクのタマゴ産まない?」は彼のキメ台詞。
半竜状態で腕が翼になり、超竜状態で巨大なプテラノドンになる。
人間態の外見は某御手洗さんに似ている。

関連アイドル
コハル(従事)
ティラノ(仲間)
ブラキオ(仲間)
プレシオ(仲間)

181: 2013/08/20(火) 11:42:26.76 ID:uZzA9il80
・プレシオアドミラル

職業
魔界人

属性
古の竜の戦士団

能力
半竜、超竜への変化

詳細説明
「海の一族」を代表する戦士団の一員。【首長提督】。
かつて魔界の海を一人で制覇した勇者だが、性格は意外と俗っぽい。
事故で人間界の海へ転移し、そのまま流れでウェンディ族の守護神として崇め奉られる。
超竜状態は巨大なプレシオサウルスの姿だが、人間態になった事がない為半竜状態も不明。

関連アイドル
コハル(従事)
ティラノ(仲間)
ブラキオ(仲間)
プテラ(仲間)
ヨリコ(気にかける)

・古の竜
太古の魔界を支配していた、恐竜に似た姿を持つ竜の一族。
「牙の一族」「鎧の一族」「角の一族」「翼の一族」「海の一族」に別れており、
それぞれの中で特に優れた力を持つ者達が「戦士団」への入団を許可される。

・ゴリラ型カース
狼型と同じ経緯で産まれた獣型カースの一体。
知能は極めて低いが力は非常に高い。

・イベント追加情報
海底都市の神殿でプレシオアドミラルが呪詛により封じられています。

182: 2013/08/20(火) 11:45:19.16 ID:uZzA9il80
以上です
言い忘れましたが、小春ちゃん及び古の竜達の設定は
まとめwiki内掲示板の没ネタスレより拝借しました

183: 2013/08/20(火) 11:48:06.22 ID:/Y7kQV9BO
おつ

俺も配下になればぺろぺろしていただけるんですか




【次回に続く・・・】



引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part 6