621: ◆EBFgUqOyPQ 2013/08/31(土) 02:14:01.85 ID:BObg61Bno


モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ



時系列は憤怒の街半ばで投下します

日常系を書くのが難しい

622: 2013/08/31(土) 02:14:37.79 ID:BObg61Bno
 アナスタシアはふくれっ面をしながら来客用のソファーに体操座りで座っていた。
 その視線の先はテレビであり、その中には離れた場所から憤怒の街について報道している様子が映し出されていた。

アーニャ「ニェ ズナーエチェ わかりません。……なぜ私が行ってはいけないんですか?」

 そう言いながらアーニャは流し目をしながら、デスクに座って何か作業をしていたピィに対して文句を言う。

アーニャ「……少し前に快諾してくれたはずです。ヒーロー活動を」

 そんな文句に対してピィはうんざりしたような顔をしながらアーニャの方を向く。

ピィ「何度も言っただろう。さすがに初仕事であそこに行くには心配事が多すぎる。約束したはずだ。仕事はこっちで選ぶってな」

アーニャ「……それはそうですが……だいたいGDFの人から協力要請、あったでしょう?」

ピィ「な、どうしてそのこと知ってる?」

 あえて今回の要請についてはアーニャには黙っていた。
 ピィには理由はわからなかったのだがなんとなく、『危うい』とアーニャには感じたのだ。
 アーニャの意志を尊重してやりたいとも思う反面、行かせたら帰ってこないような、そんな危うさを少しだけ感じる。

アーニャ「……諜報活動だって訓練はしたこと、ありますよ」

ちひろ「まぁ、扉の前で聞き耳を立ててましたけどね」

アーニャ「……そういうのは、言わないでください。ちひろさん」

 給湯室でお茶を淹れてきたちひろにネタをばらされてしまった。
 すねてしまったのかアーニャはソファーにうつ伏せになって寝ころぶ。

ピィ「アーニャの気持ちもわからんでもないが、みんなの気持ちも考えろ。みんなだって心配だろうしな」


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それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。


~中略~


「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。

・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。





623: 2013/08/31(土) 02:15:12.70 ID:BObg61Bno

アーニャ「ツィユーストヴァ……みんなの、気持ち、ですか」

 そんなことをアーニャは呟いた後、ソファーから起き上がってピィの横を通り過ぎて出口の方へと向かっていく。

ピィ「おい、どこ行くんだ?」

アーニャ「……少し外、歩いてきます」

 落ち着きがないように急ぎ足で部屋の出口の扉の前まで来てアーニャはそのまま外へと出て行ってしまった。

ピィ「やっぱり少しそわそわしてるというか……落ち着きがないというか……」

ちひろ「いてもたってもいられないーって感じですね。これがいい成長なのかはわからないですけど」

 ちひろはそう言ってピィの机にお茶を置いて、そのまま先ほどまでアーニャのいたソファーに腰を下ろす。そして自分の分のお茶をすこし啜る。

ピィ「あぁ、ありがとうございます。でも悪い成長ではないとは思いますよ。まだ足りないとは思いますけど」

ちひろ「まだ足りない?」

ピィ「ええ、知識はあっても、精神面の中身はまだ幼稚ですからね。精いっぱい体の大きさに合わせようとしているような、えーと、背伸びしている感じ、ですかね?」

ちひろ「さすがですねぇ。やっぱり人を見る目がありますよねピィさんって」

ピィ「別に大したことないです。日ごろからみんなを見ていればわかりますよ」

 ピィはちひろの淹れてきたお茶を啜る。
 ちひろはテレビから視線を外してピィの方を向く。

624: 2013/08/31(土) 02:15:46.14 ID:BObg61Bno

ちひろ「ピィのお悩み相談とか始められそうですよね。儲かると思いません?」

ピィ「だいたい俺は主観で言ってるだけなので当てになりませんよ。それにカウンセラーならもういるでしょ。美玲の方が結構いろんなところが見えてると思いますよ」

美玲「ウチがどうかしたか?」

ピィ「うお!美玲!?」

 いつの間にかピィの隣に美玲がいる。

美玲「な、なんだよ!びっくりするじゃないか!」

ピィ「それはこっちのセリフだ!いきなり現れて」

ちひろ「普通にあいさつしながら入ってきましたけどね。こんにちは美玲ちゃん」

美玲「全く……なんだっていうんだ」

 美玲はそのままちひろの隣に座る。

ちひろ「あれ?周子さんは?」

 いつもなら美玲は周子と一緒に来るのだが、今日は周子の姿が見えない。

美玲「あ、シューコは今日は用事があるらしくて、ウチ一人で来たんだ」

ピィ「用事?そうか。それにしてもよく一人でここまで来れたな。えらいぞー」

美玲「う、うるさい!それぐらい簡単だ!こ、こら!ちひろ、頭を撫でるなぁ!」

625: 2013/08/31(土) 02:16:16.12 ID:BObg61Bno

未央「こんにちはー!」
藍子「こんにちはー」

 開かれた扉から入ってきたのは未央と、その後ろに藍子が続いてくる。

ピィ「ん?これはなんだか珍しい組み合わせだな」

藍子「ちょうどそこで未央ちゃんと出会ったんです」

ピィ「なるほど、そういうことか」

未央「そういえばさっき、アーニャが歩いてるの見たけどどうかしたの?なんかそわそわしてて呼んでも聞こえてなかったみたいだったから」

 未央が思い出したようにアーニャのことについてピィに聞く。
 アーニャはついさっき出ていったばかりだったのですれ違ったのだろう。

ピィ「あいつにもいろいろあるんだよ。あ、そういえばアーニャの力のことについてなんだけどさ」

 ピィがアーニャの力について聞こうとすると未央は露骨に視線を逸らす。

未央「いや、私は何もシラナイヨ……」

ピィ「なんか藍子の力と似てるな……って聞く前から否定してんじゃねえよ。知ってるってばらしてるようなもんだぞ」

未央「私は何も知らない、知らないってばー!」

 未央はそう言って目をつむって耳をふさぐようなしぐさをする。

626: 2013/08/31(土) 02:16:55.54 ID:BObg61Bno

ピィ「ねー教えてよ未央えも~ん」

未央「せめて頼み方ってあるでしょ!」

藍子「私と似てるって……私も……気になるかな……」

 藍子は純粋な目で未央を見つめる。

未央「うーん、ぐぬぬ……まぁ少しくらいなら……」

ピィ「でかした藍子!」

未央「なんかはめられた感はあるけど、仕方ないか……」

 未央は少し苦い顔をしながらピィの方を見る。

未央「まぁ確かに似てるってのは間違ってないよ。アーニャのあれは天聖気ってものだからね」

藍子「晴天気?」

未央「それだと天気が晴れみたいだよ……魔法使いって知ってるでしょ」

ピィ「ああ、イヴとかのことだな」

 ピィはあの魔法使いのことを思い出す。
 簡単な魔法を使って見せてもらったことは鮮明に覚えていた。

未央「えーと……人間とか悪魔が魔法などを使うときに用いるのが魔力なんだけどざっくりいうと、これは清濁入り乱れた力なわけなの」

 未央はまず右手の人差指を立てる。
 そしてそれに対比するように左手の人差指を立てた。

627: 2013/08/31(土) 02:17:35.05 ID:BObg61Bno

未央「それに対して、私たち天使や神聖な神さまが使うのが天聖気。不純物のない澄んだ力。ざっくり言うなら魔力は天然水で、天聖気は純水、みたいな感じかな?」

未央「根本的には同じもののようなものだから似たようなこともできるけど、魔力は結構力そのものみたいな感じで加工しやすいけど、加工しないと使いにくい。魔法や魔術みたいにね。それに対して天聖気は、個人差でそれぞれに性質があって、そのままでも意味を持った力として使えるけど、意味を持ってるがゆえに加工がしにくい。しかもそのまま使うにしても出力するためのエンジン的なものがないといけないからただの人間には無理なんだよねー」

 説明しているが未央はあまり自信のある顔ではなかった。

未央「こういうのは説明するのはウリエルとかが適任なんだけどなー……。私はよくわからないんだけど天聖気を使える人間はフィルターみたいなので溜まった魔力が浄化されて天聖気になるらしいんだよね。だけど魔力が使える人間より圧倒的に少ないし、魔力のように簡単に使えるわけでもない。さらに魔力を使う方法の方が発展してるから流行らないんだよね……」

 未央は腕を降ろした。
 そして喋り疲れたのか近くにあった椅子に座る。

未央「今の魔術には聖属性の魔術もあるみたいだから、さらに天聖気の有用性が少なくなってるんだよね……」

 手を組んで腕を上にあげて伸びをする。

未央「あー……難しい話をして頭が沸騰しそうだよー!」

ピィ「ところで、アーニャについてはどうなんだ?」

未央「あ……」

 未央は今思い出したような顔をする。しかも思い出したくないことを思い出した顔だ。

未央「えー……あー……。まー、だから、ね……」

ピィ「いや、天聖気ってのはわかったけど、どうしてアーニャがそれを?治癒能力と何か関係があるのか……?」

 未央はそのまま無言で椅子から立って出口の扉の方へと向かっていく。

未央「必要な分は言ったということだ。これ以上は言わぬ」

 未央は妙に低い声を作ってピィたちに背を向ける。

未央「さらば!」

 そのまま扉から飛び出して行ってしまった。

628: 2013/08/31(土) 02:18:03.57 ID:BObg61Bno

ピィ「ああ!逃げやがった!」

ちひろ「まあまあ、いいじゃないですか。言いたくないこともあるでしょうし」

 先ほどまで美玲と一緒にソファーに座っていたちひろがピィの方を向いて言う。

ピィ「うーん、確かになぁ……でもいったい何を言いたくないんだろか?」

美玲「えーと……なんというかだな……怒られたくない、みたいな感じかな?」

 これまで沈黙していた美玲が話に加わってくる。

ピィ「ん?どういうことだ?」

美玲「な、なんとなくだけどな。誰かに怒られるから言いたくないみたいな……そんな様子かな?……深刻ってほどでもないみたいだけど……でも隠しておかないといけないみたいな……うーん」

ちひろ「まぁ未央ちゃんですからね。下手にしゃべるとボロが出るからなるべくしゃべりたくないって感じもあるんじゃないんですか?」

美玲「うーんと、多分それも……あるかもな」

ピィ「いったい誰に怒られるっていうんだよあいつは」

藍子「怒られるってことは、未央ちゃんの目上の人ってことですかね?」

629: 2013/08/31(土) 02:18:45.13 ID:BObg61Bno

 そんな感じでその話題も打ち切りになって、誰もしゃべらなくなった。
 聞こえるのは外から聞こえる自動車の走る音と、テレビの中のキャスターの抑揚のない声だけである。

 ちひろもソファーから立ち上がって机に向かって何か作業をしているらしく、ピィも同様にパソコンで何か作業をしている。
 藍子と美玲はソファーに座ってテレビの報道を見ているだけだった。

楓「こんにちはー」

 そんな中に高垣楓は入ってきた。
 片手には紙袋とスーパーの袋が握られていた。

楓「ここに来る前に買ってきました。食べてください」

 来客用のソファーに座って、その前にあった低い机に紙袋を置いて、スーパーの袋は楓自身の隣に置いた。
 そして紙袋をから箱を取り出した。

藍子「これ、ロールケーキですか」

楓「ええ、おいしそうだったのでつい買ってきちゃいました」

 楓は箱からロールケーキを出してじっと見つめる。
 するとロールケーキが勝手にストンストンと切り分けられていった。

ちひろ「すごい力なはずだから、なんだかもったいない感じがしますね」

 先ほどまで机に座っていたちひろは立ち上がってソファーの方へと近づいてきた。

楓「まぁ包丁の代用くらいしか使い道がないですからね。ほんとに宝の持ち腐れみたいなものです」

楓「ナイフの代わりにしかならないふ……ふふっ」

630: 2013/08/31(土) 02:19:25.96 ID:BObg61Bno

ピィ「くだらないこと言ってないで……。ところでもう一つの袋は?」

楓「ああ……これは」

 ピィがそのまま自分の机に座りながらスーパーの袋の方について尋ねる。
 楓は機嫌がよさそうにその袋に手を入れる。

楓「……どうです、一杯?」

 その手にあるのは缶ビール。
 袋の中には様々な酒類とおつまみが充満している。

ピィ「はぁ……。まだ昼間ですよ。ちひろさん没収してください」

ちひろ「わかりましたー」

 ちひろは酒の入った袋と、楓が持っていたビールをするりと奪い取る。
 そして部屋の隅にあった冷蔵庫に持っていく。

楓「ああ……。私のお酒……」

ピィ「仕事終わった後か、待てないなら持って帰ってください」

楓「うう……そんなぁ」

 冷蔵庫に入れられる酒を名残惜しそうに楓は見るが諦めたのか、切り分けたロールケーキをリスのように頬張り始める。

美玲「う、うまいぞ!このロールケーキ」

 何となく寂しそうな楓に同情したのか美玲がロールケーキをほめてフォローをする。

ピィ「楓さんを甘やかさなくていいぞ美玲」

楓「ひどいですよピィさん……」

631: 2013/08/31(土) 02:19:59.67 ID:BObg61Bno

 そんな風にロールケーキを皆で囲んでいると、再びプロダクションの扉が開いた。

晶葉「ん?何やら皆でおいしそうなものを食べているじゃないか」

 入ってきたのは天才少女、池袋晶葉であった。
 それと。

愛海「ケーキのスポンジの柔らかさもいいけど、やっぱり一番は」

ピィ「な!どこから現れた愛海!?」

愛海「おっOいだよねー!」

藍子「ひ、ひゃあ!」

 そしてなぜかソファーの陰から湧いて出てきた愛海は座っていた藍子の胸を撫でまわし始めた。

愛海「ああ、慎ましくも柔らかいこの感触。確かに胸、確かなおっOい。誰にもドラム缶なんて呼ばせない。たとえ世界が滅ぼうとあたしはこの胸を愛し続けるよー!」

藍子「ひ、ぁ、や、やめてー!」

愛海「確かにつかめるとはいいがたい胸かもしれないけれどその柔らかさはあたしに元気をくれる。その双丘は無限の可能性をっ」

晶葉「いい加減にしろ!」

 晶葉は近くにあった手頃な情報誌を丸めて藍子の胸を揉んでいる愛海の頭をたたく。

愛海「うぎゃあ!……乱暴だなあ、晶葉ちゃんは」

632: 2013/08/31(土) 02:20:30.56 ID:BObg61Bno

 愛海は叩かれた頭を片手でさすりながらも、もう一方の手は胸を離そうとはしない。

晶葉「いいからその手をさっさと放すんだ。藍子が困ってるだろう」

愛海「まぁ今日はこのくらいにしといてやろう」

 愛海は言われたとおりに手を放す。
 それでも手は名残惜しそうに細かく指を動かしている。
 そして解放された藍子はゆっくりと息を吐いた。

藍子「できればこれからもしないでほしいんですけどね」

ピィ「愛海はともかく、今日はどうしたんだ?晶葉」

 晶葉はここにたまに来る程度なので、ピィは来た目的を尋ねた。

晶葉「ああ、頼まれていたものが完成の目途が立ったんだ。その報告にきたのだよ」

ピィ「ああ、ありがとな。なんだか手間を取らせるみたいになっちゃって」

晶葉「いや、気にするな。趣味のようなものだからな。龍崎博士の方はどうなんだ?」

ピィ「やっぱり仕事の方が多忙みたいでまだ完成はしていないみたいだ。でも引き受けてくれただけでもかなりありがたいけどな」

晶葉「そうか……。ならそれまでは待ちだな」

ピィ「まぁとにかくだ」

633: 2013/08/31(土) 02:21:07.55 ID:BObg61Bno

 ピィはそう言って皆が囲んでいる机に手を伸ばす。
 そしてロールケーキを一つとって晶葉の口に軽く突っ込んだ。

晶葉「むごっ!」

ピィ「お疲れさん」

晶葉「むごふご……んぐ。はぁ……甘いな全く」

 晶葉は突っ込まれたロールケーキを一口分に含んで飲み込み、残りを手で持った。

藍子「お茶淹れてきますね」

ピィ「ああ……頼む」

 ピィは自分の机の前に座り、皆の方を見る。
 初めは誰もいない3人の状況から始まったプロダクションだったが気が付けばこれだけ人が増えた。
 今のところ本来の活動らしいことはあまりしていないような気もするが、それでも彼自身この場所を、今の現状を気に入っている。

藍子「お茶淹れてきましたよ」

 給湯室から出てきた藍子がトレイにあまり統一感のないさまざまな容器にお茶を淹れて持ってきた。

ピィ「悪いな」

 ピィはその中のいつも使っている湯呑を手に取って机に置いた。

藍子「みなさんもお茶持ってきましたよー」

 藍子は菓子を囲む面々の方にもお茶を持っていく。
 皆その中から半ば各自の愛用となっている容器を取っていく。

634: 2013/08/31(土) 02:21:35.42 ID:BObg61Bno

ピィ「でいつまでそこで見ているんだ?」

 ピィは入口の方を横目で見ながら言う。

未央「……気づいてた?」

 扉を少し開いてその間から未央は覗き込む。

ピィ「さっさと行かないとなくなるぞー」

未央「ああ!私の分のロールケーキは!?」

 そう言いながら未央は扉を開いてその輪の中に加わった。

 ピィは皆を見つつも、その奥にあるテレビを見る。
 まだ憤怒の街の状況は変わりそうにない。

635: 2013/08/31(土) 02:23:31.33 ID:BObg61Bno
以上です

プロダクションの面々をお借りしました。


636: 2013/08/31(土) 02:48:27.54 ID:Cu/7CuBg0
乙ー

アーニャの力ってあきらかに天界がからんでる感じがしますなー

そういえば晴は楓さんのお世話になってるけどプロダクションの方には絡んでなかったな
やりたい事がどんどん増えていく…

637: 2013/08/31(土) 02:50:34.42 ID:v1SLcSUro
乙乙

アーニャの力は天使の力、か
あーにゃんまじ天使!!!ってことで通りませんか。だめですか




【次回に続く・・・】



引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part 6