894:◆yIMyWm13ls 2013/09/20(金) 19:48:31.75 ID:5PRqUZ8Yo


モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


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小ネタを投下

895: 2013/09/20(金) 19:49:04.55 ID:5PRqUZ8Yo
これは今から五年ほど前のお話。
まだ私も大人になりきれていなかった頃のお話。


夕方の公園、夕暮れが目に染みるほど綺麗で私は公園のベンチに腰掛けながら空を見ていました。

「…この辺りだと思ったんですけどねぇ~」

魔力、それは生まれ持った不思議な力。
この魔力というのを持つ人間の多くは決まった家の出であることが殆どであった。
それ故に、魔法使いの社会は酷く閉鎖的であった。

確かに、魔法と呼ばれる異能は隠されるべきものであって大っぴらに公開されれば世間は大混乱するだろう。

だが、一般家庭にも素養になるものは確かに居た。

子供の頃には見えない物が見える、不思議な出来事が起こる。

その理由の一つに魔力がある。成長してその感覚を忘れてしまえば、再びその感覚を掴むことは一気に困難になるが…。

なにせ、その感覚を掴む手段も、鍛える手段も一部の家の人間しか知らない。

大人になればいずれ忘れてしまう儚いもの。


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それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。


~中略~


「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。

・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。





896: 2013/09/20(金) 19:49:35.42 ID:5PRqUZ8Yo
「それじゃ、少し寂しいですよねぇ…」

誰もが私のように一般の家の出ながら自分の魔力を自覚出来る訳ではない。
私は幸い常人の域を超えた魔力だったが故にこの力を自覚出来た訳ではないし、運にも恵まれたのだろう。

『村松』という魔法の名家に自力で辿り着き、教えを乞うことが出来た。

ご当主の方は私の魔力を見て驚き、魔法の扱いと魔力制御を教えてくれた。

当然『村松』家として独自に編み出された特有の魔法や魔術までは当然学ぶことが出来なかったが
スタンダードな魔法や魔術は修めることが出来た。

「あの時の女の子は元気にしてるでしょうか…」

さくらちゃん、とても元気な女の子で、幼いながらも感覚で魔法を使ってご当主を驚かせていた。
自然と笑いがこみ上げてくる。
きっと素晴らしい魔法使いになってくれることでしょう。

897: 2013/09/20(金) 19:50:10.23 ID:5PRqUZ8Yo
もっとも、私は数ヶ月『村松』家で過ごしただけなので忘れられてしまっているかもしれません。

なんて思いながらふと公園の遊具のほうへ目を向けてみると一人の女の子が修理中の札の立ったブランコに座っていた。

「あれ……?」

危ないですよ、と声を掛けようとした瞬間だった。
彼女の手が小さく輝くと大きくすり減っていたはずのサビだらけのブランコの鎖が輝きを取り戻し
ギリギリと嫌な音を立てていたブランコが打って変わって静かに彼女を揺らします。

「…見つけました…」

微弱な魔力の発信源。
魔法使いの素質を持つ子を。

だが本当に良いのだろうか、あの子をこちらの世界に引きこんでしまって。

898: 2013/09/20(金) 19:50:48.03 ID:5PRqUZ8Yo
知らないままで良いこと、その一端に魔法も含まれるのかもしれない。
魔法使いの存在自体、世界から必要とされていないのかもしれない。

だが、魔力だけではなく不思議な力は世界中にある。

もちろん人に害意を向ける力も……。

持つ人間によって力は意味を変える。
もちろん魔法も例外ではない。

私はベンチから立ち上がり、一人ブランコを漕ぎ続ける女の子に近づき、挨拶をします。

「…こんにちは」

女の子はブランコをこぐのをやめて不思議そうな顔をする。

「こ、こんにちは…」

「お姉さん、髪の毛真っ白だね…」

「元々こうなんですよぉ~♪」

「そ、そうなんだ…綺麗な髪の毛だね…」

女の子はブランコから立ち上がる。

899: 2013/09/20(金) 19:51:18.32 ID:5PRqUZ8Yo
「触っても…いい…?」

「いいですよぉ~♪」

女の子は私の髪の毛に興味津々なご様子。

「わぁ、真っ白…つやつや……」

…なんだか少しくすぐったいですねぇ。

「……可愛らしい子ですねぇ…」

「か、可愛い?そ、そうかな……」

とっても素直な子みたいです。

900: 2013/09/20(金) 19:51:54.53 ID:5PRqUZ8Yo
「…そういえばこのブランコ壊れちゃってるから駄目ですよぉ?」

私は故障中の立て札を指さす。

「ううん、大丈夫…私の手がぴかってしたから…た、多分…」

この子…まさか気づいている…?

「…そうですねぇ、お姉さんもぴかって出来るんですよ?」

「えっ?」

女の子は心底驚いた顔で私を見上げます。

「ほらっ」

周りからは見えない程度に魔力を集めて、手の平を光らせます。

901: 2013/09/20(金) 19:52:23.52 ID:5PRqUZ8Yo
「…私以外の人がぴかってするの初めて見た……」

「みんな、信じてくれなくて……いつもぴかって出来るわけじゃないから…」

なるほど、感じる魔力自体は微弱だけど自覚しきれてない…
恐らく放っておけば自然と忘れ去られてしまうかもしれない程度の感覚といったところでしょうか…。

「この光は本当はもっと色んなことが出来る力なんですよ?」

「色んなこと…?」

「はい。でもとっても怖い力です…」

「そ、そうなの…?」

「間違えてしまうと他の人を傷つけてしまうかもしれません」

「…怖いね」

「はい。とっても怖いんです」

真剣な目で自分の掌を見つめる女の子。
この子なら大丈夫かもしれない…。

902: 2013/09/20(金) 19:53:06.09 ID:5PRqUZ8Yo
「でも、あなたの魔法は素敵な力かもしれませんねぇ♪」

「すてきな…まほう…?」

「…お姉さんはまほう、教えてくれる?」

「もしも…もしもあなたが魔法を学びたいなら私が教えてあげます」

「……怖くない?」

「あなたが怖い人にならなければ大丈夫ですよ?」

「…そっか、私…怖くない人?」

「それならお姉さんは怖くないですか?」

「お姉さんは怖くない…」

「じゃあきっと大丈夫ですねぇ、お姉さんにはあなたが怖い人には見えませんから♪」

滅茶苦茶な理屈ですけど、伝えたいことは伝えられた気がしました。

903: 2013/09/20(金) 19:53:50.01 ID:5PRqUZ8Yo
「…じゃあ…私、まほう…べんきょうするね…」

「…そうですか、一緒に頑張りましょうね」

「お名前、教えてくれますか?」

「ひろみ…せき、ひろみ…」

「ひろみちゃんですかぁ、私はイヴです、イヴって呼んでくださいねぇ♪」

「…ししょー?」

「……なんで師匠なんです?」

「ししょー、私、まほう、がんばります…!」

ぎゅっと手を握ってやる気満々のひろみちゃん。

「は、はぁ……今は師匠でいいです…」

……そのうち直りますよね、これ…?


数年後、大量の能力者達が現れること
異能自体が一般的に広がり、世界が大混乱に巻き込まれることを私はまだ、知らない。

END

904: 2013/09/20(金) 19:54:18.73 ID:5PRqUZ8Yo
終わり。
日常ネタと聞いてちょっとだけ過去を掘り下げてみた。
さくらちゃん借りました。
ちっちゃいさくら、イヴ、裕美を想像すると色々捗る。




【次回に続く・・・】



引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part 6