923: ◆zvY2y1UzWw 2013/09/21(土) 00:52:18.14 ID:xgZRq9330


モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ



投下するヨー
…ちょいえぐくなったけど

924: 2013/09/21(土) 00:52:56.48 ID:xgZRq9330
黒い影が、少女の姿を追いかける。

少女はただひたすら逃げるだけ。得体の知れないその影を恐れて逃げている。

「こっち来るなって言ってるのに…!」

幾度も氏んだ生命体から漂う、死の…臭いのようなものを感じているのだろう、影は魂を取り込もうとしている。

『ソコノ君、ソウ、君ダヨ君!』『氏という真実へたどり着こう…』

「う…うう…」

例え氏にたいと思っていても、自ら苦しい氏に方を選ぶ者はいないだろう。どす黒いそれが吐き出す声に吐き気がする。

「…仁加ちゃん、大丈夫?疲れてない?」

腕の中の小さな加蓮が心配している。

「うん、大丈夫―…!」

「…無茶はしないでね?」

普通子供がこれほど走れば息切れするだろうが、残念ながら加蓮には普通の子供の体力がどれほどの物か知らなかった。

血を巡らせ、肉体に変えた泥を活性化させ、それで息切れすることなく逃げ切っているのだ。

路地裏を何度も通り、影をなんとか撒こうとしてはいるが、見失っただけでどこから来るかわからないとも言える。

そして路地裏を抜けると、視界に広がるのは真っ白な世界だった。


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それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。


~中略~


「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。

・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。





925: 2013/09/21(土) 00:54:15.48 ID:xgZRq9330
「…これ、雪ー?」

「そうだと思うけど…。」

「雪って冬に振るんじゃなかったー?」

「…今の変な現象のせいかな?」

ピョコピョコと、雪の上に立ってみる。

「冷たいねー。…というか寒いねー」

「仁加ちゃん、今はワンピースだし…別の道探そう?」

しかし、氷は何度か見たが雪は初めて見たナニカは…少し欲が出た。

「…どうせ夢っ!」

もふもふな服に一瞬で着替える。もちろん、本音薬は抜いてある。

「うん。これなら大丈夫!」

「温かいね!すごいよ仁加ちゃん!」

「えへ、ありがとーじゃあ行こー…!?」

…ふと振り返れば影。

早い。来るのが早すぎる。

「もう来た!速いってばー!」

雪原へ跳ねるように逃げ出し、かまくら雪だるまの脇を駆け抜けていく。

時折妖怪たちの悲鳴も聞こえるが、気にしてられない。

振り返りある程度距離を取ったと確信して…

―ガッ

「げ!?」

「きゃあ!」

雪に隠れていた石に躓いた。

926: 2013/09/21(土) 00:56:22.04 ID:xgZRq9330
思い切り油断し、さらに両手が塞がっていたナニカはどんがらがっしゃーんと両手を投げ出す形で転んでしまう。

そのまま加蓮が勢いよく投げ出され、積もった雪に頭から突っ込む。足がじたばた動いてるが、抜けそうにない。むしろ沈んでる。

しかし無慈悲にも影は二人に接近してきていた。

「…ぐすっ…お姉ちゃん…!」

ナニカが涙目で起き上り、加蓮に駆け寄ろうとするが、影はすぐそこまで来ていた。

ここでナニカは状況判断をする。いま加蓮を引っこ抜いて逃げるのが最良の選択なのか…いつまでも、いつまでも逃げろと言うのか?

「…」

どうせ今加蓮には見えないのだから…この敵をどうにかしなくてはならない。

今、ナニカは戦闘を選択した。

だがいきなり現れた謎の人影が、ナニカを掴み背負った。

「危ないっ!」

「あ、あれー!?」

「伊吹、ナイスっす!」

ナニカを背負ったまま空中を階段のように数メートル程上り、空中にいたもう一人の少女がサムズアップをする。

「…たすけてくれたのー?」

「いや、こんな雪の中夏服でやることも無いから空気を固めてちょっと上から見てたんだけどさ…」

「ちっちゃい子…君が、あんな不気味なモノに追いかけられて…伊吹がとびだしたんすよ。」

「いやぁ、遠目から見てもヤバそうだったし…転んで焦ったよ。無事に助けられてよかったよかった。」

二人の少女がほっとしてナニカを見る。

しかし、ナニカはすぐさまあることに気付いた。

927: 2013/09/21(土) 00:57:56.19 ID:xgZRq9330
「…!お、お姉ちゃん!加蓮お姉ちゃんを助けないと!」

「「え?」」

「雪に刺さったままなのー!!」

未だに加蓮は雪に刺さったままである。少し前までもがく様に動いていた足はもうすでに動いてない。

影は今はナニカの真下をウロウロしているが、いつ加蓮に向かうかわからない。

「…あの雪に上半身突っ込んでる人形の事っすか?」

「人形じゃないのー!生きてるのー!」

「じゃあ妖精?…まあ妖怪もいるし、妖精が居ても不思議じゃないかー。よし、助けるよ!」

「助けるって言っても、下で待ち構えてるっすよ?明らかにあの黒いの触れたらヤバイって予感しか…」

「触れないようにすればいいって事でしょ、任せなって!」

トーンと空気の床を蹴って飛び降りる。

影を踏む前に影の上に空気の床を作り、雪の上に空気を固めながら加蓮に駆け寄り引っこ抜いた。

「おーい、生きてるー?」

「…い、生きてます…」

「オッケー!…っと!」

生存確認を終え、ジャンプ。そこへ影が飛びかかってきたが、空気の壁に遮られ失敗に終わった。

数回空中でジャンプし、二人の隣に着地した。

928: 2013/09/21(土) 00:58:49.52 ID:xgZRq9330
「…っと!一丁上がりっ!」

「加蓮お姉ちゃん!ごめんなさい…」

ナニカが加蓮を伊吹から受け取り抱く。

「大丈夫…仁加ちゃんは悪くないよ…。くちゅん!」

「か、風邪引いちゃったー?」

体が小さいから、冷えるのも早かったようだ。

「大丈夫…仁加ちゃんが温かいから…もう、寒くないよ。そっちの二人も助けてくれてありがとう!」

「どういたしましてっ!助けられてホッとしたよー」

「お礼なら伊吹だけでOKっすよ。あたし何もできなかったし…で、下で待機してるアレは結局どうするんすか…?」

「さぁ…少なくともアタシ達の能力じゃ、倒すのは無理だよ。」

下を見れば、影は未だにウロウロしていた。

「私も今は厳しいかな…」

「あれは怖いよ…あまり触りたくなーの…」

影は一向に動こうとしない。

待ち影戦法である。ソニックブームは来ないが。

その微動だに出来ない緊張状態を、壊す存在が現れた。

929: 2013/09/21(土) 01:00:12.80 ID:xgZRq9330
「あ~!例の影がいましたよ先輩!ラッキーです、現地の奴らに気を取られて動いてません!」

「よっし!やっと見つけた!」

死神だ。先輩と呼ばれた方の死神…ユズが、杖を取り出した。

「そこの君達ー!もう安心していいよっ!」

『大いなる我が力を用いて、星空・宇宙の理を読み解き、星々の輝きよ我が敵を貫け!スターライトスピアー!』

杖の周りを星のような光が舞い、一筋の光が投げられた槍のように影を貫いた。

「どうだ!」

『グギギギィ!?』『ジーザス!』『ウボアー』

複数の悲鳴が影から溢れる。

影はどんどん小さくなって、魂がそこから解放される。

「ほら、さっさと魂回収して!妖怪の魂が巻き込まれていたら解放して!」

「は、はいっ!」

後輩死神は飛んでいく魂を追いかけて行ってしまった。

そして完全に魂が抜けきった影は、しっかりと加蓮の足元…というより今は空中にいるので真下、正常な位置に戻ってきた。

930: 2013/09/21(土) 01:02:11.50 ID:xgZRq9330
「あ、その影って君のだったんだ…災難だったねー」

柚が4人の目の前にやってくる。

「あれって何だったの…?」

「あれはね、悪霊が活発になるときに、魔術とか心臓蘇生とかで生き返ったりしちゃった生き物の影に…たまーに悪霊が取りついてなるんだ。」

「他の亡霊も巻き込んでどんどん大きくなっていって、影の持ち主の魂すら取り込もうとする…現象?って感じ!」

「…今、私が小さくなってるのと関係あるかな?」

「ん?君そういう生き物じゃないの?」

「お姉ちゃんはお姉ちゃんだよー?」

「人間なんだけどなぁ…じゃあいつ戻るんだろう…?」

―ぼんっ!

「ぐげぇっ!?」

なにかはじけるような音と、ナニカの悲鳴が同時に上がる。

「…へ?え?なに?」

影が戻ったことがきっかけになったのだろうか、加蓮が元のサイズに戻ったのだ。…ナニカが潰れてしまっているが。

ちなみに一糸も纏わぬ姿である。…全裸である。

「ちょっ…!」

「は、はだ!?」

「え、なななな!?」

三人は慌てて目をそらしたり隠したり…

「あ…み、見ないでぇ!!」

慌てて泥を纏うが、潰されていたナニカが腕をついて何とか上半身を起き上らせる。

姉のこんな光景…力技でも忘れさせようとしていた。

931: 2013/09/21(土) 01:05:20.10 ID:xgZRq9330
「わわわ…!お、お姉ちゃん達ごめんなさいっ!!忘れろビーム!」

「「「!?」」」

ナニカから泥がドバっと溢れ出し、手のように変形して『見てしまった』3人に触れ、赤い目が妖しく輝いた。

―記憶操作・記憶削除

―認識操作・認識不可

これで3人は加蓮とナニカを見失う。

「お姉ちゃん…おやすみなさい。もうおしまいだね…」

「ど…どうして泥を…?皆に、何をしたの…?」

「内緒。全部全部…ナイショ。」

ぎゅっと抱きしめて、胸に顔を埋め、見えないように赤い瞳が輝く。

―認識操作・肉体疲労&過度の眠気

―記憶操作・記憶削除

「仁…加…ちゃ、ん…?」

都合の悪い記憶は全部消す。そして肉体が過度の眠気を認識した事によって眠りについた。

「…ごめんなさい。」

そう言って、加蓮を泥の腕で持ち上げると、三人が再び認識しだす前に立ち去った。

932: 2013/09/21(土) 01:06:38.51 ID:xgZRq9330
加蓮はとりあえず女子寮に戻しておいた。

鍵は泥の腕で容易に操作できた。

「お姉ちゃん、またね…次、『外』ではいつ会えるかな?」

扉を閉め、鍵をしっかりかけて、女子寮から立ち去った。

何度も何度も振り返りながら。

結局…未練たらたらの、寂しがり屋なのだ。

933: 2013/09/21(土) 01:08:09.52 ID:xgZRq9330
「…お姉ちゃん、あのお姉ちゃん達と友達になり損ねちゃった。…あたし、やっぱり悪い子だなぁ…。」

暗い路地裏で、空を見上げながら一人思う。罪悪感という物を感じ始めていた。それほど心が成長し始めているのだ。

「帰らないと…」

『どこへ?』

白兎のぬいぐるみが問う。

「奈緒の所だよ?」

『帰る必要ない。お前には核がある。もう一人でも大丈夫なんだよ。』

「…そうなの?」

『そうだ。』

「…そっかぁ…もう奈緒と別々になれるんだ…。」

笑顔なのに、少し寂しげにナニカは言う。

「…もう寝るね?…お姉ちゃんと暮らすわけにもいかないし。ここで寝るよ。」

壁に寄りかかって瞳を閉じる。固い床で寝るのは得意だ。

…完全に眠りにつくと腕にしがみついていたぬいぐるみが動き出した。

白い『正義』の核の兎のぬいぐるみが腕を引く。

『悪い事なんてしていない。全部全部…正しい。悩まないでいいんだからな?私達ちゃんと知ってるからな?』

黒い『狂信』の核の兎のぬいぐるみも腕を引く。

『お前ハ正しい。ソレは揺るぎ無い事実だ!正しい生物がやったことはミンナ正しいんダ!』

大罪が幼い少女に囁く。…幼い精神が背負うには、大罪はあまりにも重すぎた。

934: 2013/09/21(土) 01:09:08.89 ID:xgZRq9330
『…でも、余計な感情はいらないよな?』

『…白、何を言ってるンだ?』

『お前は感情を持ちすぎた。正義を行うには不必要な感情まで生まれてしまった。』

白兎の姿が歪む。ド口リと溶けて、まるでアルビノのナニカのような姿になった。

『だから余計なモノ全部…消してやるよ。』

ナニカの額に触れると、赤い瞳が輝いた。

―記憶操作・記憶削除…不可

『チッ、人格構成の柱になってやがる…仕方ない、疲れるが精神を直接…』

―精神操作・罪悪感の削除

『キシャシャ…よしよし…』

黒兎の姿も歪み、日焼けしたような肌に黒い髪のナニカの姿になると、腕をナニカから弾いて彼女を庇うように立つ。

『…やめナよ。お前はやリすぎだ。過度に手出しするならアタシ…許さないからな。』

『私の邪魔をするのか…まぁいいや、今は…こっちの邪魔者を頃しておこう。』

白兎が腕を再生しつつ振り返る。…いつから後をつけてきたのやら、あの時倒し損ねたカースドヴァンパイアがそこに立っていた。

935: 2013/09/21(土) 01:10:27.02 ID:xgZRq9330
「頃す…!つよいお前が…妬ましぃ…!」

嫉妬がなじみ始めているようだ。少し前の時より動きがいい。

飛び掛かってきたが、白兎から鋭利な触手が伸び、彼を貫きつつ引っ張る。

『核…あった、ここだ。』

腕を腹に突っ込むと、核を取り出した。

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」

ブチブチブチと、体が壊れる音。そして溢れる血は全く気にしていない。

『うわァ…グろテスクぅ…』

核を無理な力技で抜かれたソレは、すでに息絶えている。

グロテスクと言った割には黒兎はソレを泥で飲み込んで食べていた。

『…嫉妬か。まぁどれでも同じだよな。』

白兎は紫色のその球体をギュッと両手で包む。

手を広げた時、そこにあったのは真っ白な核。

『私の代わりに…執行をしてくれる子。いい担い手を見つけてくれるはず。』

『…ソイツで?小さスぎないか?』

『どうせこの世の救済にはまだ力が足りないんだ。でも小さな事ぐらいしてもいいだろ?』

『ムぅ…?』

白兎はナニカを指さして笑う。

『コイツの計画なら、地球を、世界を…正しい世界にできる。でも罪悪感とかいうくだらない感情を抱いてしまった。だから許せない。』

『…おい、くだらないとは言いすギじゃないか?』

『いらない物を切り捨てるのにいちいち謝ったり嫌がったりするのは愚かだろ?』

『…アタシ、お前が嫌イだ。…お前はウサミンのクズ野郎どもと同じ…奈緒と仁加が可愛そうだ。ウサギの呪縛から逃げられない。』

『…はぁ、仁加ねぇ…化け物なんだし、名前なんていらないだろ。』

『!!』

黒兎が殴り掛かるが白兎は回避してしまう。

『おっと…不毛な争いは無駄だ。仕方ない、もう眠るとするよ。…全く、これだから気狂いは困る…』

白い核に泥を纏わせる。白い翼の白い子猫の姿になって、その核はどこかに行ってしまった。

それと同時に白兎はナニカの中へ溶けるように消えていった。

『気狂いハお前だ、バカ野郎…』

黒兎もナニカに溶けるように消える。…辺りに静寂が戻った。

936: 2013/09/21(土) 01:12:30.47 ID:xgZRq9330
「うーん…妖怪が悪さしているわけじゃないのは分かるけど…テレビも見れないのに家に待機なんてなぁ…戦隊大百科もライダー辞典も読んじゃったし…」

南条光…ブライトヒカル。彼女は家で一通りやりたいことを済ませてしまった。

「特訓でもするかな!腹筋して、腕立てして…ん?」

『ヒカル…!ブライトヒカル!正義の味方!』

「誰かがアタシを呼んでいる…?」

見れば自室の窓をコンコンと、赤い瞳の白い獣が叩いていた。

「…お前がアタシを呼んだのか?」

『そうだよ!ボクの名前はライト!ブライトヒカル、君の力になりたくて会いに来たんだ!』

窓越しに会話をする。

「力に?」

『そうだよ!ボクは君を持ち主に選んだ「正義の剣」!窓を開けて!今から証明してみせるよ!』

「…正義の…剣?」

光は…無意識にその言葉に惹かれていた。

居てもたってもいられなくなって窓を開けると、ライトと名乗った小動物はするっと入ってきた。

937: 2013/09/21(土) 01:13:23.48 ID:xgZRq9330
『見てて!』

くるりと空中で一回転すると、ライトは真っ白い剣に変身した。その刃には赤い光が血管のように流れていた。

「おおおおおお!すごいじゃないか!強化アイテムみたいだ!」

光が喜んだのを確認すると、ライトは小動物の姿に戻った。

『これでもっと巨悪と戦えるよ!普段はこの姿だけど、君が変身したら剣になるから!』

「…うーん、でもアタシの家、ペット飼えるかな…?」

『それなら!』

今度は小さな白い球体がついた腕輪に変身する。

『これならどう?』

「いいな!すごくいい!」

『気に言って貰えて何よりだよ!これから…ボクと一緒に最高の正義の味方になってよ!』

「ああ!任せろ!」

こうして、光は…正義の剣を手にした。

それがどんなに恐ろしい性質を持っているかも知らずに。

938: 2013/09/21(土) 01:15:03.83 ID:xgZRq9330
「ん…」

路地裏に朝日が差す。ナニカが目を覚ました。祟り場は眠っている間に収束したらしい。

「おなかすいたぁ…どうしよう、お金ないしなぁー」

自分一人でどうやって食料を調達しようか?…野生の動物?悪人?

…ふと、自分の手が目についた。

指をかじる。溢れる血と、口の中で転がる肉を、狂った味覚は甘く感じる。

「…うん、ちゃんと命の味がする。甘いや。…薄いけど。」

腹は満たされないが、誤魔化すぐらいはできるだろう。指はすでに再生していた。

指をかじる、指をかじる、指をかじる…

命の味が薄い。それは自分が怪物だから。

…あまり、満たされない。…虚しさを感じた。

939: 2013/09/21(土) 01:16:58.49 ID:xgZRq9330
「…あら?」

「!」

ビクッっと体が震えた。今のを見られたらどう思われるか…!

「…自分の爪をかじる程飢えているのですか?…こんなに小さな子が…!」

「…」

どうやら指ではなく爪をかじっていると思われたようだ。なら都合がいい。

「…誰?」

「私は近くの教会でシスターをしているクラリスと申します。貴方は?」

「あたし…仁加。お腹すいてるの。」

「…失礼ですが、ご両親は…?」

「いないよー?『産んだ人』はあたしを見てくれないし…捨てられたって言うのかなー?」

その瞬間、クラリスは仁加を孤児だと断定した。

「なんという事でしょう…!…お腹すいてるんですよね?一緒に教会に行きましょう?神父様に相談してみないと…」

「…うん、行くところ……ないし。いーよ。雨にぬれると冷えちゃうもんね。あ、でも…あたし神様信じてないよー?いいの?」

「それくらい大丈夫ですよ、あの教会…結構緩いので…。」

「…そう、わかった。じゃあクラリスお姉ちゃんについて行くね?」

刹那の満腹感よりは雨風を凌げる場所を取ろう。神に仕える職業は好かないけれど。

トテトテと、クラリスの後ろをナニカはついて行った。

940: 2013/09/21(土) 01:17:49.95 ID:xgZRq9330
ライト
白い翼の生えた猫のような外見をした小動物。どう見ても契約迫って来そうな見た目と性格と声をしている。
その正体は白兎が嫉妬の核を上書きして作り上げた正義の核と血と肉と泥で作られた生命体。
正義の剣に変身することができ、光を持ち主に選んだ。ビー玉サイズの核が付いた腕輪の形になることもできる。

「正義」の剣
正義の核をベースに、白兎が血と肉と泥で造り上げた剣。
正義と独善を象徴する剣で、「自分こそが正しい」という確信的な思い込みが力となる。
この剣を持つと、良く言えば正義感や責任感が強く、悪く言えば自説に偏執し他者の言葉に耳を貸さない独善的な性格になる。
他者の短所ばかり目につくようになり、怠惰や弱さが許せなくなり、常に改善を強要し、受け入れない場合は傷害も辞さない。
最悪、持ち主に精神操作や記憶操作を行うこともある。


白兎(白ナニカ)
正義の大罪の核と泥によって生まれた意識体。普段は眠りについている。
アルビノのような色彩で、白い翼を生やせば天使のようにも見える。
正義と言っても大罪としての『正義』であるため、一言で言えば「自分の理想が世界を救うと信じ、独善的な行為を行う外道」。
理想を実現できる力を持つナニカを「道具として」愛している。故に人格が成長し『人』になろうとするナニカを嫌う。
マッドサイエンティストのウサミン星人に吹き込まれた理想の世界を信じている。外道なのも彼を無意識に模倣しているから。

黒兎(黒ナニカ)
狂信の大罪の核と泥によって生まれた意識体。普段は眠りについている。
黒く日焼けしたような肌に黒い髪。赤い瞳と相まって悪魔っ子に見えなくもない。
究極生命体の力にひれ伏す狂信者。奈緒も加蓮もナニカも大好き。しかしそれ以外にはあまり関心はない。
ナニカが人格を持ち『人』になるということは、究極生命体の進化の兆しではないかと期待している節がある。
ナチュラルに気が触れており、発音のイントネーションが頻繁におかしくなる。

白兎と黒兎が戦闘をした場合、どんな奇跡や不幸が襲ってきても「お互いの消滅」という結果になる。
その為お互いがお互いの抑制力になっている。

941: 2013/09/21(土) 01:22:16.82 ID:xgZRq9330
以上です
正義の剣出しておきたかった…ちょいえぐくなったけどね?
加蓮・伊吹・沙紀・光・クラリスお借りしました

情報
・正義の剣が光の手に渡りました
・ナニカに記憶操作された3人(伊吹・沙紀・ユズ)は、上手く記憶操作できなかった可能性があります
・ナニカが教会に居着きました。でも割と頻繁に外出している模様。能力の事は隠しているようです。
・ナニカから罪悪感が消え、「ごめんなさい」が言えなくなりました

942: 2013/09/21(土) 01:28:55.29 ID:XJheRoYNo
乙乙!
正義の剣でナンジョルノがヤバい。
星魔術!星魔術来た!




【次回に続く・・・】



引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part 6