959: ◆6osdZ663So 2013/09/23(月) 14:54:08.23 ID:I7S9kHsDo


モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ



乙です、どう料理してもいいと聞いたので
吸血鬼に襲われたところで投下させていただきます

(参考)
>>945 超☆騎士団長とチナミ

960: 2013/09/23(月) 14:54:37.91 ID:I7S9kHsDo

祟り場の一角を、駆ける三人の人影。

彼女達は、追ってくる吸血鬼の一団から逃げていた。

聖來「それで?あの子達はチナミの知り合い?」

チナミ「知ってるけど、知り合いじゃないわ。」

チナミ「”家畜派”吸血鬼よ。吸血鬼の三派閥については知ってるでしょ?」

チナミ「本当、ややこしいのに出会ったわ。」

聖來「アタシ達が探してる、カースドヴァンパイアはあの中にいるのかな?」

チナミ「アイツらじゃないわね。」

聖來「別物か・・・・・・、カースドヴァンパイアに家畜派吸血鬼。」

聖來「チナミも居るし、最近は随分活発に動いてるんだね。吸血鬼も。」

聖來「さて、どうしようか?」

紗南「チナミさんを狙ってるみたいだから、チナミさんを置いていくって言うのはどうかな?」

チナミ「ちょっと!三好紗南っ!」

聖來「あははっ、いい手かもしれないけど、このまま放っておくわけにもいかないよね。」

聖來「チナミ、何か手はあるかな?」

チナミ「言いたいことはあるけれど・・・・・・そうねぇ。」


----------------------------------------



それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。


~中略~


「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。

・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。





961: 2013/09/23(月) 14:55:48.08 ID:I7S9kHsDo

チナミ「1.まず、誘い込んで一箇所に集めるわ。」

聖來「うん。」

チナミ「2.周囲を水で囲んで閉じ込める。」

紗南「吸血鬼って流水を渡れないんだっけ。」

チナミ「3.祟り場が収束するのを待つ。」

聖來「ああ、収束と同時に太陽が射し込むから。」

チナミ「幾ら装備を固めていても直射日光はダメでしょ。」

聖來「飛んでる札も見かけたし、たぶん祟り場はもうすぐ終わるよね。」

チナミ「ええ。ほんの少し待ってるだけで全員灰に出来るから楽よ。」

紗南「うわぁ・・・・・・。自分では手を下さない辺りがいかにもだよね・・・・・。」

チナミ「ふふっ、褒めても何も出ないわよ。」


チナミ「まあ、と言うか出来れば、私は相手にしたくないのよね。」

聖來「吸血鬼の派閥問題になるからかな?」

チナミ「そう言う事。『利用派』対『家畜派』の構図にしてしまうと、」

チナミ「私自身、地上で動きづらくなるから。」

まだまだ地上で楽しみたい彼女としては、それは御免被る事であった。

チナミ「セイラ達だけで相手してくれないかしら。」

チナミ「さっき手伝ったんだから、いいでしょ?それくらいは。」

聖來と紗南に対する貸し借りをこれでチャラにしようと言う提案である。

聖來「・・・・・・わかった、任されたよ。」

チナミ「それじゃあ、後はよろしくさん。」

それだけ言い残すと、チナミの姿は霧の中に消えていった。


紗南「・・・・・・逃げたね。」

聖來「まあ、仕方ないよ。チナミにも事情があるんだろうし。」

聖來「祟り場がもうすぐ終わるとなると、吸血鬼はあまり長居できないだろうからね。」

962: 2013/09/23(月) 14:57:30.73 ID:I7S9kHsDo

聖來「だから、アタシ達も祟り場が収束するまで逃げ続けてもいいけれど。」

聖來達を追ってくる者達も吸血鬼。

ならば、祟り場が収束し、ほの暗い霧が晴れ、

太陽が射し込んでしまえば、活動を続けるのは難しいだろう。

紗南「でもそうするとカースドヴァンパイアの方を追うのも難しくなっちゃうね。」

聖來「うん。だから出来れば、それまでに対処しておきたいかな。」

聖來「じゃあ、紗南ちゃん。相手の事教えてくれる?」

紗南「うん、任せてっ!」

懐からゲーム機を取り出して、ピコピコ弄り始める三好紗南。

紗南「まず、一番前に居た女の子だけど」

紗南「名前はキヨミ。種族は吸血鬼。」

紗南「吸血鬼としての能力と、石化の魔法、あと石化の魔眼が使えるみたい。」

聖來「石化の魔法と魔眼についての情報が先に手に入ったのはありがたいね。」

紗南「いきなり使われてたら、詰んでたよね。」

紗南「掛けてる眼鏡が拘束具で、眼鏡を外すことで魔力を強化できるらしいよ。」

紗南「それと、後ろの人たちの装備だけどこれは・・・・・・。」

聖來(・・・・・・筒抜けって怖いなあ)

三好紗南の情報獲得能力、一度対峙してしまえばそれだけでもう丸裸であった。

963: 2013/09/23(月) 14:58:34.55 ID:I7S9kHsDo
・・・・・・

紗南「と、こんな感じかな?」

聖來「うん、わかった。気をつけたいのは石化能力か。」

聖來「ただでさえ身体能力が高い吸血鬼なのに、強い装備で固めてるのもやっかいだね。」

聖來「でも精神的に不調みたいだから、付け入るならそこだね。」

聖來「うーん、妖怪達にも手伝って貰えばどうにかなるかな。」

犬頭壱「我々の出番でございますか、姫様?」

犬頭弐「姫様のためであるならば、いつでも刀を振るう準備ができております。」

犬頭参「吸血鬼だって怖くないワンっ!」

犬頭肆「そのおみ足のためならば、どんな戦地にでも喜んで行きますよ。俺は。」

聖來「ふふっ、頼りにしてるよ。」

かくして彼女達は、追ってくる吸血鬼達に立ち向かうのだった。

964: 2013/09/23(月) 15:00:09.24 ID:I7S9kHsDo
――


キヨミ「いったい何処に逃げたんですっ!!」

キヨミ「この辺りに居るのはわかってるんですよっ!出てきたらどうですかっ!」

彼女は焦っていた。

物陰に奴らが隠れている事はわかっている。

わかっているが、こちらから探しに行くことができない。

キヨミ「まさか、戦場にこんな所を選ぶなんてっ!!」

追撃を開始した彼女達が紛れ込んだのは住宅地。

”招かれざる家には入れない”吸血鬼にとって厄介な戦場。

キヨミ「しかも何で、雪なんか積もって・・・・・・。」

その上に周囲は何故か雪の降り積もる銀世界。

まったくもって意味が分からない。

キヨミ「くっ、この中を鎧で歩くなんて・・・・・・。」

騎士A「超☆騎士団長、これ以上の追跡は難しいかと。」

騎士B「逃げた奴らなど放って置いて、別の場所を攻めるとかは・・・・・・」

キヨミ「姑息な『利用派』に舐められたままで、おめおめと逃げるわけには行かないわっ!!」

騎士A&B「はっ!・・・・・・その通りでございますっ!」

キヨミ「何としてでも見つけ出して、粛正して・・・・・・。」


聖來「ここだよ!騎士団長さん!」


キヨミ「!!」

声が掛かった方向を振り向くキヨミたち。

屋根の上からは、大戌に跨り、犬の面を被った女性がこちらを見下ろしていた。

965: 2013/09/23(月) 15:01:13.84 ID:I7S9kHsDo

キヨミ「騎士団長じゃなくって超☆騎士団長!」

キヨミ「ただの騎士団長じゃないんです!偉いんですっ!」

聖來「ああ・・・・・・ごめんね。超☆騎士団長さん?」

キヨミ「フフンッ♪わかればいいですけど。」

キヨミ「あなた一人ですか?あの『利用派』吸血鬼はどうしたんです?」

聖來「チナミなら帰ったけど」

キヨミ「・・・・・・はああっ!!?」

よりによって、因縁深い吸血鬼は帰ってしまったらしい。


聖來「それで超☆騎士団長さんに提案があるんだけど、聞いてくれないかな?」

キヨミ「・・・・・・・提案ですってっ!?」

聖來「うん。超☆騎士団長さんの目当てのチナミも帰っちゃったから、今回は超☆騎士団長さんにも帰って欲しいんだ。」

聖來「お互い傷つかないためにも、ね?もちろん、引き換えに何か・・・・・・。」

キヨミ「ふざけないでくださいっ!!!」

キヨミ「戦力で勝るこちらが、どうしてそんな提案を聞き入れなきゃいけないって言うんですっ!」

キヨミ「あの吸血鬼が居ないなら居ないで、出てくるまであなた達を痛めつけるだけのことっ!」

キヨミ「それに『人間界』の『風紀』を正すのが我ら『紅月の騎士団』の目的っ!それを果さずして帰るなんてできません!」

聖來「・・・・・・。」

拒絶の答え。

それを聞くと、彼女はその腰に携えていた黄金の刀を抜き出し、目前に掲げた。

966: 2013/09/23(月) 15:02:06.40 ID:I7S9kHsDo

キヨミ「!」

キヨミ「ふんっ、私達と戦う気になったんですねっ!」

キヨミ「でも、言っておきますけど、こちらの武器は超☆レア装備の『紅月の剣』!」

キヨミ「そんな見た目だけ派手な、金で出来た刀なんかで敵うわけが・・・・・・。」

聖來「『月灯・なまくら刀』」

黄金の刀が煌いた。

吸血鬼達の持つ剣が七色の光に包まれ、その姿が変わる。


キヨミ「・・・・・・は?」

騎士A「き、騎士団長!我々の剣がっ!」

騎士B「な、なまくら刀にっ!!?」

騎士C「なんじゃこりゃあぁあっ!?」


聖來「『月灯』、刀身に写った物を己の知る刃に変える。」

妖刀『月灯』の特性。その刀身に写る物に、刃の幻想を被せる。

記憶にあった「なまくら刀」の幻想を、”刀身に写った彼らの武器”に被せたのだ。


聖來「みんな、出てきて!」

犬頭壱「出番でございますね!」

犬頭弐「待っておりましたっ!」

犬頭参「この剣の一撃をお見舞いするワンっ!!」


民家の影から、わらわらと出てくる妖怪たち。

その手に持つのは『白銀の剣』。

吸血鬼の弱点である銀製の武器。

キヨミ「な、なななっ!!囲まれたっ!?」


聖來「レアな武器も無くなったみたいだけど。」

聖來「これでも交渉は受け付けてくれないのかな?」

967: 2013/09/23(月) 15:03:02.45 ID:I7S9kHsDo

騎士D「ちょ、超☆騎士団長!」

騎士E「我々は、ど、どうすれば?」

いきなりの窮地に、指示を仰ごうとする団員達。

キヨミ「・・・・・・。」

騎士A「超☆騎士団長?」

キヨミ「フッ、フフフフフフッ!!」

キヨミ「うろたえる必要は・・・・・・ないっ!!!」

キヨミ「武器はダメでも、防具はまだ無事っ!」

キヨミ「それに吸血鬼の武器は剣だけじゃないっ!!」

騎士B「さすがはキヨミ超☆騎士団長!!」

騎士C「そうだっ!我らが負けるはずが無いっ!!」

使えなくなった『なまくら刀』を捨てて、取り囲む妖怪達と向き合う吸血鬼達。

吸血鬼は怪力。剣はなくとも徒手空拳でも充分強い。


聖來「そう、じゃあ悪いけど少し痛い目を見てもらうよ。」

聖來「弓矢部隊!」

犬頭肆「この後、足蹴りにされるためさ。悪く思わないでくれよな。」

犬頭伍「狙い撃ちにさせていただく!」

犬頭陸「我らの撃つ矢を受けてみよ。」

屋根の上に弓を引く妖怪達が飛び出てくる。

そして一斉に射撃した。吸血鬼達の頭上に矢の雨が降り注ぐ。


キヨミ「何をするのかと思えば弓矢?」

キヨミ「銀の弾丸も弾いた私達の盾や鎧を防げるわけがないっ!!」

聖來「うん。だからもう、盾は刀に変えたよ。」

キヨミ「なっ!!」

キヨミが気づけば、紅月の盾もまた、『なまくら刀』に変わっていた。

聖來「刀身に写りきらない鎧までは変えられなかったけどね。」

968: 2013/09/23(月) 15:04:09.96 ID:I7S9kHsDo

キヨミ「っ!!紅月の剣に続いて盾まで・・・・・レアな装備なのにっ!!」

キヨミ「けれど、降ってくるのは所詮矢弾っ!」

キヨミ「鎧だけで充分っ!貫けはしないっ!」

聖來「『月灯:紅月の剣』」

キヨミ「えっ。」


再び黄金の刀が煌いた。

放たれた矢が、七色の光に包まれて、『月灯』の作り出した幻想を被る。

振ってくる矢弾が全て、紅き剣に変わった。

聖來「銃弾を弾ける超☆レア装備の鎧かもしれないけれど。」

聖來「同じ、超☆レア装備の剣の雨は耐えられるのかな?」

969: 2013/09/23(月) 15:06:00.72 ID:I7S9kHsDo

キヨミ「か、回避!!回避してっ!」

あの雨をその身に受けてしまうのはまずい。

騎士A「超☆騎士団長!!それは無理ですっ!!」

キヨミ「どうして・・・・・・はっ!?」

足元を見て、気がついた。

キヨミ「雪が・・・・・・溶けてるっ!?」

雪解け水が辺りの地面を流れる。

キヨミ「流水っ・・・・・・・!」

吸血鬼は流れる水を渡れない。

身動きがとれない。

回避などできようはずがない。

キヨミ「い、いったいどうやってこれほどの雪を瞬時に溶かしたのっ!?」

疑問に思ったキヨミが回りを見渡せば、

キヨミ「なん・・・・・・ですって・・・・・。」

数本の熱を放つ刀を、妖怪達が地に突き刺していた。


聖來「『月灯・戟王丸』」

刀の放つ熱で周囲の雪は溶け、全てが水に変わる。

970: 2013/09/23(月) 15:06:42.09 ID:I7S9kHsDo

騎士B「超☆騎士団長!!紅月の剣が降ってきますっ!!」

キヨミ「な、なんでもいいから防御してっ!!」


妖怪に取り囲まれ、一箇所に集められたところに

雪解け水を流し込まれ、一切の身動きが取れなくなった彼ら。

その頭上から降り注ぐのは、紅き剣の雨。

目を瞑って口を硬く閉じ、食いしばってそれに耐える。

騎士D「がっ!!」

騎士E「ぐぅっ!」

紅き剣の分身の幾つかが、彼らの鎧を貫き、その身体を貫く。

キヨミ「つぅっ!けれど・・・・・・問題ないわっ!」

キヨミ「紅月の鎧は自動再生機能が付いてるんだからっ!!」

この傷だってそれほど時間も掛けずに癒えるはず。

吸血鬼達が、目を開けて防御姿勢を解くと、


目前に銀色の剣が迫っていた。

キヨミ「っ!!!」

971: 2013/09/23(月) 15:07:24.61 ID:I7S9kHsDo
――


キヨミ「うぐっ・・・・・・・。」

聖來「これで終わりかな?」


地上に降り立った聖來は、膝を付くキヨミを見下ろしながら言った。

吸血鬼達の身体には何本もの『白銀の剣』が突き刺さっている。

先ほどの剣の雨で、鎧の破壊された部分を狙い、鎧が再生する前に突き刺したのだ。

さしもの吸血鬼と言えど、銀の剣で身体を貫かれては、肉体を癒すことが出来ない。


聖來「とは言え、吸血鬼の急所、心臓にも頭蓋にも突き刺してはいないし。」

聖來「鎧の再生機能に影響は無いみたいだから、時間さえ掛ければ回復できるよね。」

そう言いながら、彼女は地面に落ちていた『なまくら刀』を拾い、その幻想を砕いた。

内側からは本物の『紅月の剣』が現れる。

そしてその切っ先をキヨミの眼前に向ける。

キヨミ「ぐっ・・・・・・!」

聖來「さて、いくら再生する鎧でも、吸収しちゃえば問題ないのかな。」

周囲の妖怪達もまた、聖來と同じ様に『紅月の剣』を拾い、

それぞれ吸血鬼達に向けている。

剣は奪われた、盾も使えない、鎧は貫かれ、『白銀の剣』がその身体に突き刺さっている。

とてもじゃないが、すぐに抵抗できる状態ではない。

キヨミ「ぐ・・・・・・うぐぐぐ。」

聖來「さて、これが最後の交渉。」

聖來「帰ってくれないかな?」

聖來「今日のところはそうしてくれたら、この剣は返すよ。」

奪った剣を交渉材料に、聖來は説得を試みる。

972: 2013/09/23(月) 15:08:32.43 ID:I7S9kHsDo

聖來「て言うか、本当に大きな怪我をする前に帰ったほうがいいと思うよ?」

元ヒーローは、結構本気で吸血鬼を心配していた。

キヨミ「な、な、な、舐めないでっ!!!」

キヨミ「くっ・・・・・・人間相手に私の能力を使うことになるなんてっ!」

騎士A「!! キヨミ超☆騎士団長!まさかっ!」

騎士B「石化の魔眼を開放するのですかっ!?」

吸血鬼キヨミの最終手段。一撃必殺の奥の手。

たかが人間相手に使う気などなかったが、

ここまで舐められては黙っていられない。

聖來「交渉には応じる気なし、か。」

聖來「けど・・・・・・石化魔法を使われるのが、アタシにとって一番困るんだよね。」

キヨミ「!」

キヨミ「そりゃあそうですよねっ!人間には防ぎようが無いものっ!」

聖來「だから、悪いけど眼鏡を外す前に両目を潰させてもらう。」

キヨミ「・・・・・・えっ」

彼女が手にもつ『紅月の剣』は、キヨミの目の前に突きつけられている。

聖來「こうしないと帰ってもらえないなら、そうするしかないよね。」

キヨミ「ちょっ、ちょっと?お、脅しのつもり?」

聖來「吸血鬼の再生能力に鎧の再生能力もあるから、きっと大丈夫だと思うよ。」

キヨミ「まさか本気で・・・・・・言ってるの?」

聖來「ごめんね。」

キヨミ「待っ」

躊躇することはなく、サクリとその剣を突き出した。

973: 2013/09/23(月) 15:09:28.03 ID:I7S9kHsDo
――


聖來「こう言う事は何度やっても、慣れないな。」

吸血鬼の少女の奥の手を潰したことで、

あの状況から彼らに、逆転の目は無くなった。

司令塔である少女が大怪我をしたために、

流石の吸血鬼の士気も下がり、撤退させることには成功したが。

聖來「これに懲りてくれればいいけど・・・・・・。」

あの程度では一時撤退が関の山か。

傷が癒えれば、再び現われて、人を襲おうとするのかもしれない。

聖來「はあ・・・・・・上手く行かないな。」

聖來「できるだけ、傷つけずに傷つかない。それが出来たらいいのにね。」

聖來「・・・・・・。」

聖來「あーあ、中途半端が一番ダメだ!反省しなきゃ!」

聖來「放っておくなら放っておく、対処するなら必ず駆逐する。」

聖來「・・・・・・次に出会ったら、絶対に容赦しない。そうしよう。」

次は間違えない。そう胸に決めて、意思を灯す。


これまで何度も間違えてきたけれど、次こそは間違えない。

これからも何度も間違うだろうけど、次こそは間違えない。

何度間違ったとしても、そう心に決めている内に、いつかはきっと正しい道を歩めるはずだ。

聖來「・・・・・・あの吸血鬼の子も、間違いに気づけるのかな。」

いつか彼女も正しい道を歩いてくれることを願う。

974: 2013/09/23(月) 15:10:36.11 ID:I7S9kHsDo
――

紗南「セイラさんっ!」

聖來「紗南ちゃんどうだった?」

紗南「痕跡から得られる情報で追跡してたけど、それが途切れてたよっ。」

紗南「やっぱりカースドヴァンパイアはこの辺りで倒されてたみたい。」

聖來「そっか。誰かが倒してくれてたんだね。」

聖來「じゃあ安心だ。」

紗南「うん。」

聖來「・・・・・・あれ、元気ないね?」

聖來「もしかして不穏な情報を拾っちゃったのかな?」

紗南「・・・・・・うん。」

紗南「あのさ・・・・・・ベルフェゴールが居たみたい。」

聖來「ベルフェゴール?たしか紗南ちゃんにとり憑いていた『怠惰』の悪魔だったよね?」

聖來「・・・・・・生きていて、また人間界に現われた?」

紗南「わかんない。でも・・・・・・なんて言うか本物じゃなくって。」

紗南「アレはたぶん・・・・・・。」

聖來「・・・・・・情報をまとめる必要アリだね。」

聖來「祟り場ももうすぐ晴れそうだし、そろそろアタシ達も帰ろうか。」

聖來(・・・・・・祟り場は無事に終わりそうだけど、)

聖來(その影で起きていた何かは、まだ始まったばかりって所かな。)


もうすぐ夜は明ける。

そして次の日がやってくる。


おしまい

975: 2013/09/23(月) 15:11:21.63 ID:I7S9kHsDo
『月灯・刀剣形態参式「なまくら刀」』

妖刀『月灯』によって作り出される『なまくら刀』の再現レプリカ。
恐ろしく切れ味が無い刀。鈍器としては使えるが、ただの鉄の棒よりも軟いのでかなり微妙。
この刀を相手の武装に被せて、無理やり無力化させるのがその役割。
『月灯』の幻想は所有者による任意破壊以外にも、幻想を扱えないくらい叩き壊すことで霧散するので、
この幻想を被せられた場合は、慌てて捨てずに何かにぶつけて「なまくら刀」をぶっ潰すのが正解。


『月灯・刀剣形態肆式「純白の剣/白銀の剣/黒い剣」』

妖刀『月灯』によって作り出される『日菜子の扱う剣』の再現レプリカ。
鋭く丈夫な、西洋の剣。摩訶不思議な力で作り出された剣を、さらに形だけ写し取った剣なので、
本物とは、仕様が異なる点が多い。
聖來は、白銀の剣が特殊な銀製である事を利用して、対吸血鬼武器として犬頭達に持たせた。


『月灯・刀剣形態伍式「紅月の剣」』

妖刀『月灯』によって作り出される『紅月の剣』の再現レプリカ。
『紅月の剣』の吸収能力までは再現できてはいない。
とは言え、強度は据え置き『超☆レア装備級』。
これが数多に降り注ぐことで『超☆レア装備級』の鎧を打ち貫くことができた。


『月灯・刀剣形態陸式「戟王丸」』

妖刀『月灯』によって作り出される『戟王丸』の再現レプリカ。
『戟王丸』の怒りを溜め込み、放つ特性までは再現できていない。
見たままの輝きを写し取るために、ジリジリと熱気を放つ性質だけは健在。
この熱を放ち続ける性質を周囲の雪を溶かすために使用した。

976: 2013/09/23(月) 15:12:43.41 ID:I7S9kHsDo

と言う訳でセイラさん対吸血鬼のお話でした。
祟り場収束前に片付けておきたかったためにちょいと急ぎ足。
もう少し一方的な展開はなくしたかったけど、匙加減が難しくて(言い訳)
キヨミちゃんお借りしました。なんだかごめんなさい。

977: 2013/09/23(月) 15:17:03.47 ID:nu0x9aqVO
乙ー

鬼や……鬼がおるで………
トラウマになるなコレ

再生能力あるから目は戻るだろうけど、えげつないね
第二形態にならないままやられる超☆騎士団長ェ……




【次回に続く・・・】



引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part 6