1: 2016/05/04(水) 19:50:18.21 ID:8mig2DPk.net
絵里「遅い…」

絵里「穂乃果ったらいっつも待ち合わせ時間守らないんだから…」



穂乃果『絵里ちゃん! 明日空いてる? こどもの日で学校お休みだからどこか行こうよ!』

絵里『ええ、いいわよ』

穂乃果『やったあ!』

穂乃果『それじゃあ10時に音ノ木坂集合ね!』



絵里「ってもう12時なんだけど…」

絵里「電話しても反応ないしなにかあったのかしら…」

絵里「このままここにいても埒があかないわ、穂乃果の家に向かいましょう」

2: 2016/05/04(水) 19:52:07.80 ID:8mig2DPk.net
~高坂家~

絵里「こんにちはー」ガラッ

ほのママ「あら絵里ちゃん、いらっしゃい」

絵里「お久しぶりですおばさま、あの…穂乃果は?」

ほのママ「ああ穂乃果? ちょっと待ってて、持ってくるから」

絵里「ありがとうございます」

絵里(持ってくる……?)


ほのママ「ちょっとあなた! 穂乃果下ろすの手伝って!」

ほのパパ「……」

絵里(下ろす……?)


ほのママ「ごめんね絵里ちゃん、少し待ってね」

ほのママ「そこのお饅頭食べていいから」

絵里「え、あぁ、はい、ありがとうございます」

絵里(意味がわからないわ……)

3: 2016/05/04(水) 19:54:41.85 ID:8mig2DPk.net
絵里「……」mgmg

……-ン

絵里「……」ズズズ

……リチャ-ン

絵里「あっつ」

エリチャ-ン

絵里「穂乃果……?」

絵里「外から声がするわ、ちょっと行ってみるわ」

ガラッ

絵里「ほの……」

穂のぼり「やっほー」

絵里「!?」

穂のぼり「びっくりした?」

ほのママ「こら穂乃果! いきなり声かけちゃびっくりさせちゃうでしょ!」

穂のぼり「あー、ごめんごめん」

絵里「あ、あ……」

穂のぼり「おーい? 絵里ちゃーん?」

絵里「きゃー!おばけー!!」

穂のぼり「えっ」

4: 2016/05/04(水) 19:56:49.23 ID:8mig2DPk.net
絵里「お家に帰る!!」

穂のぼり「待ってよ絵里ちゃん!」

絵里「やめて! おばけの癖に話しかけないでよ!」

穂のぼり「んもー…怖がりなんだからあ……」

穂のぼり「よいしょ……っと」

ぬっ

穂乃果「絵里ちゃん!」

絵里「話しかけないでって……ほ、穂乃果!?」

穂乃果「うん、穂乃果だよ」

絵里「本当に穂乃果なのね!?」

穂乃果「うん、本当に本当に穂乃果だよ」

絵里「よかったぁ……」グスン

穂乃果「あんなことで泣いちゃダメだよ」モッギュ-

絵里「だって、だってぇ……!」グスン

絵里「穂乃果のおばけが……」

穂乃果「おばけね……」

穂乃果「それってさぁ……」

ぬっ







穂のぼり「こんなの!?」

絵里「」

5: 2016/05/04(水) 19:58:23.80 ID:8mig2DPk.net
穂のぼり「あっ、やりすぎたかも…」

絵里「あわわ……」

穂乃果「ごめんね、絵里ちゃん! ふざけすぎた!」

絵里「み、み認められれ、ないわ!」

穂乃果「ああ! 絵里ちゃんが大変なことに!」

穂乃果「とりあえず部屋に上がって! そこで説明するから!」

絵里「わ、私のおばあさまは、鯉のぼり、なのよ!」

6: 2016/05/04(水) 20:00:35.32 ID:8mig2DPk.net
絵里「……なるほど」

絵里「つまり穂乃果は鯉のぼりなのね」

穂乃果「うん、高坂家に昔から伝わる呪いなんだ」

穂乃果「高坂家の人間は15を過ぎたら鯉のぼりになる……そんな呪いがね」

絵里「何度聞いても意味がわからないわね」

穂乃果「だよね…にわかに信じ難い話だけど本当なんだ」

絵里「この目で見たのだからもう疑ってはないわ」

絵里「それで……その呪いを解くための方法はあるの?」

穂乃果「……………」







穂乃果「………好きな人とチュウすること」

絵里「はあ…?」

7: 2016/05/04(水) 20:02:22.49 ID:8mig2DPk.net
穂乃果「……そしてその人に永遠の愛を誓うの」

穂乃果「そうすれば晴れて鯉のぼりは卒業」

穂乃果「ちゃんとした人間に戻れるんだ」

穂乃果「だからね……絵里ちゃん」

穂乃果「その……穂乃果と……」







絵里「え? 嫌よ」

穂乃果「絵里ちゃんのばか!」

チュッ

絵里「え……ん……!?」

穂乃果(あ、なんか呪いが解けていくかんじがする)

穂乃果(なんか……眠くなってきちゃった)

絵里「んー! んー!!」

絵里(な、なによ…これが私のファーストキス!?)

絵里(もっと…ロマンチックな雰囲気で捨て…たかった…のに……)


バタッ

絵里「ん……」zzz

穂乃果「むー」zzz

8: 2016/05/04(水) 20:04:02.46 ID:8mig2DPk.net
絵里(ん、ここは…?)

絵里(ああ、そうだ穂乃果の部屋だ)

絵里(いきなりチュウされてそしたら眠くなって……)

絵里(とりあえず穂乃果を起こして……)

絵里(あれ……?)





絵のぼり「尾ひれがある……!?」

穂のぼり「あー、絵里ちゃんおはよー」

絵のぼり「穂乃果、こ、これはなに!? 説明して!」

穂のぼり「尾ひれ」

絵のぼり「知ってるわよ!」

絵のぼり「なんで私に尾ひれがあるのか聞いてるのよ!」

穂のぼり「えっ、わかんない」

絵のぼり「穂乃果ァ!」

9: 2016/05/04(水) 20:06:04.66 ID:8mig2DPk.net
ガラッ

ほのママのぼり「それはお互いが満足いくようなキスじゃなかったからよ」

ほのママのぼり「どちらかが不満足だと思ったらその呪いは『感染る』の」

ほのママのぼり「これで絢瀬家にもこの呪いが『感染った』わ」

絵のぼり「……」

絵のぼり「……穂乃果」

穂のぼり「なあに?」

絵のぼり「好きよ」

穂のぼり「……えっ」

絵のぼり「穂乃果はさっき私を好きだということを行動で示してくれた」

絵のぼり「だから私は言葉で示すわ」







絵のぼり「穂乃果、私と一緒に広い大空で共に泳ぎましょう」

絵のぼり「たとえ鯉のぼりでもいい、私は穂乃果のそばにいたい」

絵のぼり「鯉のぼりの呪いをかけられたのならそれを受け入れ鯉のぼりとして生きていくわ」

絵のぼり「鯉のぼりなら鯉のぼりらしく鯉のぼりに恥じない愛し方であなたを愛すから……」

絵のぼり「私と……」





チュッ

穂のぼり「えへへ♡」

10: 2016/05/04(水) 20:08:11.99 ID:8mig2DPk.net
穂のぼり「……ありがとう」

穂のぼり「……穂乃果ね、こんな姿になっても絵里ちゃんが愛してくれるなんて思ってもみなかったから」

穂のぼり「今、すっごくうれしい」

絵のぼり「穂乃果……」

絵のぼり「穂乃果!」モッギュ-

穂のぼり「ぅ絵里ちゃん!」モッギュ-

絵のぼり「……っ」

穂のぼり「……!」







「大好き!」

11: 2016/05/04(水) 20:10:21.67 ID:8mig2DPk.net
穂のぼり「なんてことあったよねぇ……」

絵のぼり「毎年この時期が来ると思い出すわね……」

穂のぼり「もう50年も前のことだからねぇ」

絵のぼり「あの時はまさか50年後もこうして空に浮かんでいるとは思わなかったわ」

穂のぼり「ねえ絵里ちゃん」

絵のぼり「どうしたの?」

穂のぼり「後悔してない?」

絵のぼり「どうしたのよ、そんないきなり」

穂のぼり「あの時絵里ちゃんの告白してくれたってことは穂乃果たち鯉のぼりにならなくてすんだんだよ?」

絵のぼり「本当には不満だった? 鯉のぼりになるの」

穂のぼり「ううん、穂乃果は生まれつき鯉のぼりになるのはわかってたから……でも」

穂のぼり「鯉のぼりにならなくてもよかった絵里ちゃんはなんで鯉のぼりになろうと思ったの?」

絵のぼり「好きだから」

穂のぼり「えっ」

絵のぼり「穂乃果とこうして空で浮かんでいるのが好きだからよ」

絵のぼり「鯉のぼりになった瞬間にそう感じたの」

穂のぼり「ふぅん……」

穂のぼり「……はぁ~今日は風が気持ちいいねぇ」

絵のぼり「ほんとにねぇ」

雪のぼり「お姉ちゃん! 絵里さん! いつまで浮かんでいるのですか!」

亜のぼり「早くおりてこないと柏餅抜きだよ!」

穂のぼり「うわぁ、ごめんなさーい!」

絵のぼり「はいはい、今すぐ降りるわね」

12: 2016/05/04(水) 20:12:08.56 ID:8mig2DPk.net
ぬっ


絵里「未だに足を生やす感覚は慣れないわ……」

穂乃果「絵里ちゃん、はやくはやく! 亜里沙ちゃんに柏餅食べられちゃうよ!」

絵里「はいはい」クスクス

絵里「……よーし! 柏餅まで競争!」

絵里「負けた人五月人形おっごりー!」

穂乃果「うわー! いきなりはずるいよー!」

絵里「ふふっ! 早くしないと置いていくわよ!」

穂乃果「待ってー!」





絵里「穂乃果が鯉のぼりになったわ…」 おわり

13: 2016/05/04(水) 20:13:12.84 ID:bKomOHRk.net

引用: 絵里「穂乃果が鯉のぼりになったわ…」