205: 2009/11/23(月) 03:24:58.48 ID:yW6a1S3IO

388: 2009/11/23(月) 20:30:48.69 ID:yW6a1S3IO

…雨


ずっと、雨


朝から止む気配がない

傘にぶつかる雨の粒が

ただ聞こえるだけ

そんな、夕暮れの公園

誰もいない公園

誰もいなかった公園

私以外誰も、いなかった公園

とある魔術の禁書目録 4巻 (デジタル版ガンガンコミックス)
389: 2009/11/23(月) 20:31:28.29 ID:yW6a1S3IO

…そこに

足音が聞こえる

私以外の誰かの

もう、わかっている

誰が来たのかは、わかっている

その人が何をしに来たのかも

わかってる


…雨が降っている

今にも、まるで

雷でも落ちてきそうな

そんな天気


392: 2009/11/23(月) 20:32:55.80 ID:yW6a1S3IO

~公園~


ザー


佐天「…」

御坂「よっ、佐天さん」

佐天「こんにちわ、御坂さん」

御坂「いやぁ、なんか佐天さんと話すの久しぶりね」

佐天「そうですね。最近、会ってなかったですよね」

御坂「ふふっ、最近調子はどう?」

佐天「ええ、おかげ様で元気ですよ?」


393: 2009/11/23(月) 20:33:57.43 ID:yW6a1S3IO

御坂「そう、それは良かったわ」

佐天「はい。御坂さんはどうなんですか?」

御坂「私も元気よ?もう絶好調って感じかな」

佐天「そうなんですか。それは良かったです」

御坂「あははっ」

佐天「ふふふっ」

御坂「……」

佐天「……」


ザー…


御坂「…ねぇ、佐天さん」

398: 2009/11/23(月) 20:36:20.74 ID:yW6a1S3IO

佐天「なんですか?御坂さん」

御坂「なんか最近良いことあった?」

佐天「…あ、わかります?」

御坂「…うん、なんとなく、ね」

佐天「そうですか。…確かに良いこともあったんですけど」

佐天「…悪いことも、ありましたね」

御坂「…ふふ、そう」

佐天「…ええ、そうなんです」

御坂「…」

佐天「…」


402: 2009/11/23(月) 20:37:53.80 ID:yW6a1S3IO

御坂「…佐天さん、さぁ」

佐天「……はい?」

御坂「…もう一つ聞きたいこと、あるんだけどさ…」

佐天「…」

御坂「…まだ、そのマフラー付けてんの?」


406: 2009/11/23(月) 20:40:08.18 ID:yW6a1S3IO
……


~学校~

初春「…発信器は、○×地区にある…この場所から電波を発しています」

黒子「…佐天さんは本当にそこにいますの?…こんな学校から離れた公園に…」

初春「…ここ、は…」

初春「ここは…二日前に、佐天さんと行った公園です…」

黒子「二日前……」

黒子「…!ということはまさか、あなたが話していた…?」

初春「…はい。ここで佐天さんは」

初春「上条さんに…会いました」


……


408: 2009/11/23(月) 20:41:39.51 ID:yW6a1S3IO

佐天「……」

御坂「……ねぇ?」

佐天「……の……から…」

御坂「…?」

佐天「…私の、マフラーですから」

御坂「…へぇ」

佐天「…今は、私のです」

御坂「……」

佐天「……御坂さん」


御坂「…なに?」

佐天「…私、好きな人ができました」

御坂「…!」


412: 2009/11/23(月) 20:44:17.45 ID:yW6a1S3IO

佐天「その人と過ごす時間がとても楽しくて」

佐天「とても幸せでした」

御坂「……」

佐天「…同時に」

佐天「私の一番の友達が苦しみました」

佐天「辛い思いも、誰にも相談せず、抱え込んで」

佐天「…気付いてあげるのが、遅すぎました」

御坂「……」

佐天「…悔しいんです」

佐天「彼女を助けてあげられなかった自分の不甲斐なさが」

佐天「何より…彼女を苦しめている原因が…」

佐天「…私だったことが」

416: 2009/11/23(月) 20:45:19.39 ID:yW6a1S3IO

御坂「……」

佐天「…御坂さん」

佐天「あなたが私をどれだけ憎んでいるか」

佐天「正直、わかりません」

御坂「……」

佐天「あなたにとって」

佐天「『彼』がどれほど大きな存在だったかも」

佐天「私には、わかりません」

御坂「……」

佐天「…けど」

佐天「これだけは、言えます」


佐天「私は、あなたに負けない」


422: 2009/11/23(月) 20:49:29.95 ID:yW6a1S3IO
……

タタタタッ…

黒子「…まったく、よりによってあんな遠いところで…」

初春「…はぁ…はぁ…。そ、それについては、おそらく、ですが…」

黒子「…?」

初春「…故意、じゃないかと…思います」

黒子「…何ですって?」

初春「…佐天さんは、わざとあの公園を、選んだんだと思います」

黒子「それは…どうして?」

初春「…おそらく、他に人が少ないあの公園を選んで…」



425: 2009/11/23(月) 20:51:07.01 ID:yW6a1S3IO

初春「…関係ない人を極力巻き込まないように…してるんじゃないかと」


黒子「…それは…」

黒子「…それは、自分が何らかの危害を被ることを、わかっていたということですか…?」

初春「…はい」

初春「気づいていたんだと思います」

初春「…そして、おそらく」

初春「…自分に付いてる発信器のことも」

……


426: 2009/11/23(月) 20:52:29.43 ID:yW6a1S3IO
規制も怖いんでちょい待ってね

432: 2009/11/23(月) 21:03:36.25 ID:yW6a1S3IO

………



バチッ!

佐天「…ぐっ…!」

御坂「…あら、ごめんなさいね」

御坂「何だか最近さ、どうも上手く能力がコントロールできないの」

佐天「…っ…」

御坂「ごめんなさいね。…痛かった?」

佐天「……いたくない」

御坂「……」


433: 2009/11/23(月) 21:06:00.08 ID:yW6a1S3IO

佐天「…痛く、ない。」

御坂「……ふっ、強がっちゃって」

御坂「…あなたが私に勝つって?」

御坂「笑わせるわよ」

御坂「レベルが違うのよ、あなたとは…」

佐天「…大したこと、ないですね」

御坂「…は?」

佐天「…こんなもんですか?御坂さんの電気って」

御坂「……」


437: 2009/11/23(月) 21:08:11.81 ID:yW6a1S3IO

佐天「…それに…」


佐天「たかが自分の感情のせいで…」

佐天「能力をコントロールできないなんて…」

佐天「…それでよくレベル5のレールガンなんて」

佐天「…語れたものですね!」


御坂「…調子に…」バチッ


御坂「乗るなぁぁぁぁ!!!」

ビガガガガガガ!!!!

………

440: 2009/11/23(月) 21:10:03.29 ID:yW6a1S3IO
………

ピカッ

初春「!!」

黒子「!…あれはっ」

初春「あの光はっ…」

黒子「…間違いなく、お姉様のものですわ」

初春「…あそこに、佐天さんが!」

黒子「急ぎますわよ…初春!」

初春「佐天さんっ…!!(間に合って…!)」


………

444: 2009/11/23(月) 21:12:11.01 ID:yW6a1S3IO
………

佐天「………うっ…あっ……くぅ…」

御坂「…はぁ…」

佐天「…うっ…うぅ…はぁ…はぁ…」

御坂「…ふふっ」

御坂「…どうしたの?」

御坂「なんか辛そうだけど?」

佐天「…はぁ…はぁ…」

御坂「今のが、あなたの言うレベル5の大したことない電気なんだけど」

御坂「やっぱり、大したこと無かった?」


451: 2009/11/23(月) 21:14:39.30 ID:yW6a1S3IO

御坂「…どうしたの?こんなんでもう終わり?」

佐天「……った……う」

御坂「…なに?」

佐天「…言った、でしょう…」

佐天「…私は…あなたには負けない…って…」

御坂「…」

佐天「…はぁ…はぁ…」

御坂「…ははっ」

御坂「とんだ馬鹿ね、あなた」

456: 2009/11/23(月) 21:18:02.76 ID:yW6a1S3IO

佐天「…」

御坂「…あいつのこと、何も知らないで」

御坂「勝手にあいつのこと、知ったつもりで」

佐天「…」

御坂「…その、あんたが付けてるマフラー」

御坂「…ホントは誰のか教えてあげようか?」

佐天「…え…?」

御坂「…元々は」

御坂「私があいつにあげたマフラーよ」

佐天「…!」


……

461: 2009/11/23(月) 21:21:00.88 ID:yW6a1S3IO

『―…はい、これ…―』

『―…あぁ?なんだよ一体…―』

『―…なんでもいいでしょう?受け取りなさいよ!―』

『―…これを、俺に?…―』

『―…そ、そうよ!悪い?…―』

『―…いや、悪くはないけど…―』

『―…じゃあ、何よ…―』

……

466: 2009/11/23(月) 21:21:54.07 ID:yW6a1S3IO

『―…何で俺なんだ?…―』

『―…そっ、それは…―』

『―…?…―』

『―…あっ、あんたが…―』

『―…あんたのことが…―』

『―…すっ……好…―』

『―…好きだからよ!…―』

……

476: 2009/11/23(月) 21:23:53.56 ID:yW6a1S3IO

ザー…


御坂「…そして、あいつは私が渡したマフラーをずっと首に巻いていた」

佐天「……っ!」

御坂「…にも、関わらず」

御坂「…あいつはそのマフラーを」

御坂「佐天さんに渡した」

佐天「…そん…なっ…」

御坂「…わかったでしょ?」

御坂「佐天さんが今そうやって大事そうに抱えているそのマフラーは…」

御坂「…私とあいつが繋がっている証だったのよ!」

484: 2009/11/23(月) 21:25:36.52 ID:yW6a1S3IO

佐天「…うそっ…嘘だ…そんなっ…」

御坂「嘘だと思いたかったのは私の方よ!」

佐天「…!」

御坂「…こんな」

御坂「…こんな、ろくにあいつとも関わりの無いような…」

御坂「…訳のわからない女に…」

御坂「…あいつとの繋がりを断たれたんだからね!」

佐天「…うっ…あっ…」


488: 2009/11/23(月) 21:26:44.53 ID:yW6a1S3IO

御坂「…ねぇ」

御坂「…もう、いいでしょう?」

御坂「私はさ、あんたが邪魔で邪魔で仕方ないの」

御坂「あいつは私だけを見てれば良かったのに…」

御坂「…それで、良かったのに…」

佐天「……」

御坂「一度は繋がっていたのよ」

御坂「私とあいつは、確かに繋がっていた」


492: 2009/11/23(月) 21:28:02.31 ID:yW6a1S3IO

御坂「…それも全部」

御坂「あんたが居たせいで」

御坂「あんたが居たから」

御坂「私とあいつを繋いでいたものが…」

御坂「…全部…」

御坂「台無しになった!!」

佐天「……っ」

御坂「…だからさ、佐天さん」

御坂「悪いけど、消えてもらうわ」

ピーンッ

御坂「…この、レールガンで」


495: 2009/11/23(月) 21:29:31.57 ID:yW6a1S3IO
………


黒子「…あそこですわっ!」

初春「…!佐天さんっ!」

黒子「…!!お姉様、正気ですの!?生身の人間にまさか…」

初春「…い、嫌っ…!」


佐天さんっ…!


……


529: 2009/11/23(月) 21:51:24.51 ID:yW6a1S3IO

御坂「…それじゃあね…」ビリリリッ

佐天「…御坂、さんはっ…」

御坂「…?」

佐天「…上条さんが…好きだから…」

佐天「…マフラーを、渡したんでしょう…?」

御坂「…そうよ。それが何?」

佐天「…じゃあ…」

佐天「…やっぱり…」

佐天「…私の、勝ちです…」


531: 2009/11/23(月) 21:53:44.24 ID:yW6a1S3IO

御坂「…はぁ?」

御坂「何言ってんの佐天さん」

御坂「電撃浴びすぎて頭おかしくなったの?」

佐天「…それはこっちのセリフです」

御坂「…っ、この…」ビリリッ

佐天「…撃つなら」

佐天「…撃てばいいです」

御坂「…言われなくてもっ!」

佐天「…私が」


534: 2009/11/23(月) 21:55:16.24 ID:yW6a1S3IO

佐天「…私が居たから…」

佐天「上条さんと、御坂さんとの繋がりが…」

佐天「…途絶えてしまったのは、事実かもしれません…」

佐天「…でも…」

佐天「…上条さんが自分から」

佐天「…私に、その繋がりを持とうとしてくれたのも…」

佐天「…事実です…」

御坂「……何を言って…」

佐天「何故ならその証を…」

佐天「…私は、確かに今、持っているからです」

御坂「……」


536: 2009/11/23(月) 21:56:36.03 ID:yW6a1S3IO

御坂「…ふふっ、何を言うかと思えば…」

佐天「……」

御坂「…まだ、分かってないみたいね」

佐天「……」

御坂「私とあなたじゃ違いすぎるのよ、何もかも」

佐天「……」

御坂「仕方ないからもう一度だけ教えてあげる」

御坂「『私に有って、あなたに無いもの』」

御坂「…さぁ、果たしてこのレールガンを食らっても…」

御坂「…こんな簡単な問題がわからないなんて言えるかしら?…」

佐天「……っ」


540: 2009/11/23(月) 21:58:22.70 ID:yW6a1S3IO

御坂「簡単よね」

御坂「凄く簡単」


ビリリリリリッ


御坂「何度も言わせないでよね」


シュイィィィィィン


御坂「…レベルの差よ」


ゴォォォォォォン!!!!!!!!!!


543: 2009/11/23(月) 21:59:25.01 ID:yW6a1S3IO
………

あと十メートル

そんな、距離に

佐天さんはいました

彼女は弱っている様子で

彼女の制服の至るところが焦げて

所々、破れていました

割と長い丈のスカートも

焼けて短くなっていました

545: 2009/11/23(月) 22:00:42.48 ID:yW6a1S3IO

いつも綺麗だと思っている黒髪も

焦げて縮れてしまっている部分がわかりました

そんな彼女の眼前に

巨大な電磁砲が迫っていました

人、一人を簡単に焼き尽くすような

そんな巨大な電磁砲が

彼女を襲いました

私は叫びました

彼女の名前を呼びました

でも私の叫びは掻き消されました

それでも私は叫びました

目の前で起こっている現実に

叫ぶことしかできなかったのです


551: 2009/11/23(月) 22:03:49.58 ID:yW6a1S3IO

…ああ

やっぱ、ダメか

私一人で何とかなるなんて思ったのが、間違いだったのかな

…ごめん、なさい…

私一人が幸せになることなんて

できないよね

皆が…苦しむような幸せなんて

いらないよね


552: 2009/11/23(月) 22:04:48.65 ID:yW6a1S3IO

…遠くから初春の叫ぶ声がした気がする

そっか、発信器で見つけてくれたんだ

わざわざ付けておいて良かった

ホントは御坂さんを呼び寄せるために付けておいたんだけど…

……ああ…それにしても…

…結局、御坂さんを説得できなかったな

…いや、最初から説得なんて無理なのはわかってた


553: 2009/11/23(月) 22:06:35.76 ID:yW6a1S3IO

あんな状態の御坂さんを止めるには

私が犠牲になる以外、ないだろうなって思ってたから

気持ちだけは負けてないって思うんだけど


私には力が無さすぎた

私に力があれば、御坂さんを止めれたかもしれないのに


所詮、私はレベル0

力で対抗なんて、出来るはずがない……


557: 2009/11/23(月) 22:09:05.95 ID:yW6a1S3IO

「人の価値が」


………えっ…?


「レベルなんかで決まるわけないだろ」


声が…した


562: 2009/11/23(月) 22:10:34.95 ID:yW6a1S3IO
………


シュー……


唐突に


「よう、ビリビリ」


その人は


「随分と派手にやってくれてるじゃねーか」


現れた


………


570: 2009/11/23(月) 22:12:14.65 ID:yW6a1S3IO
………

御坂「…あ、あんた…」


佐天「…上条…さん?(今…右手で…)」


上条「…学校帰りに、遠くの方でなんか光ったと思って気になって来てみたら…」

上条「…公園から電撃発生してんだもんよ…」

上条「…ったく、ゴジラでもいるのかと思ったぜ…」

上条「あ、いや、あながち間違ってないか」


581: 2009/11/23(月) 22:14:20.78 ID:yW6a1S3IO

佐天「……か…上条さん…」

上条「…よぉ、佐天さん。なかなかセクシーな制服着てるんだな」

佐天「…っ!」カァァ

初春「佐天さんっ!!!」ガバッ

佐天「…う、初春?」

初春「…佐天さんっ!佐天さんっ!…ごめんなさい…私…私がっ…うぐっ…うぅ…」

佐天「…初春、いいの。…全部、私が悪かったの。ごめんね、ホントにごめん」

初春「…さ、佐天さん…そんな…うっ…私…佐天さんを裏切るような…ことを…何度も…」

佐天「…いいって。全部私のためにやってくれてたこと、知ってるから…」


585: 2009/11/23(月) 22:15:51.20 ID:yW6a1S3IO

初春「…うっ…佐天さん、佐天さん…!」

佐天「ありがとう、初春」ナデナデ

黒子「佐天さん!?大丈夫でしたの?」

佐天「…あっ、白井さん。」

黒子「もう…間に合わないかと思いましたわ」

佐天「…すみません。あ、あと白井さん」

黒子「はい?」

佐天「…初春、寝ちゃったみたいなんで、ちょっと預かってもらっといていいですか?」

黒子「…ええ、わかりました…」


587: 2009/11/23(月) 22:17:10.16 ID:yW6a1S3IO

佐天「…あと、できるだけ離れた場所にいてください」

黒子「…!佐天さん、あなたは?あなたは一緒逃げないのですか?」

佐天「…私は、ここにいなきゃいけない気がするんです」

黒子「…っ、しかし…!」

佐天「…お願いです」

黒子「……わかりましたわ」

佐天「…ありがとうございます」

黒子「ええ…初春のことは任せてください…では…」

タタタッ…

黒子「…(お姉さま…)」


592: 2009/11/23(月) 22:18:18.29 ID:yW6a1S3IO

上条「……さて」

上条「…ビリビリ、一体どういうことか説明してもらえないか?」

御坂「……」

上条「…佐天さんを抹頃したいような理由、おまえにあったのか?」

御坂「…に…よ」

上条「……」

御坂「…何よ!」

御坂「あんたまで佐天さんの肩持って!!」

上条「…」

御坂「大体、あんたが悪いんでしょう!」

御坂「あんたが…あんたが私のあげたマフラーを…」

御坂「…佐天さんにあげたりするからっ!!」


600: 2009/11/23(月) 22:20:10.63 ID:yW6a1S3IO

上条「……」

佐天「…上条さん」

上条「……」

佐天「…そのことについては、私も気になってるんです」

佐天「…一体、どうして…?」

上条「…はぁ」

上条「まったくよぉ。なんつーことになってんだよ…」

御坂「だから、あんたがこの女に…!」


602: 2009/11/23(月) 22:21:19.43 ID:yW6a1S3IO

上条「…忘れちまったのか?ビリビリ」

御坂「…は?…何をよ!」

上条「おまえがこのマフラーを渡してきた時に…」

上条「…話したことだよ」

佐天「…でも、その時、上条さんは告白されて…」

佐天「…それで、それを承諾して…マフラーを付けてたんじゃ…」

上条「……はぁ。やっぱりか」

上条「…通りで、ビリビリと話が通じないわけだ」

佐天「…え?」

御坂「なっ、何言ってんのよ!」

上条「…あの時…」


605: 2009/11/23(月) 22:22:43.09 ID:yW6a1S3IO
……

『―…あんたが…―』

『―…好きだからよ!…―』

『―……何だって…?…―』

『―…ば、ばか!何度も言わせんじゃないわよ!…―』

『―…あー、なんだ。それはつまり、俺にラブってことか?…―』

『―……そっ……そう…よっ…―』

『―…ごめん…―』

『―……!!…―』

『―…わるい、おまえの気持ちは受け取れない…―』


609: 2009/11/23(月) 22:24:16.94 ID:yW6a1S3IO

『―…な…何で…―』

『―…おまえを納得させれる理由なんて俺は持ってない…―』

『―…だから、すまん…―』

『―…そん…なっ…―』

『―…だから、このマフラーも返しとくよ…―』

『―……嫌…―』

『―……―』

『―…嫌よ、そんなの…―』

『―…はぁ、ったく。んな我が儘言われてもなぁ…―』

『―…我が儘でも、なんでもいいわ…―』

『―…は?…―』

『―…その、マフラー…―』

『―…あんたが持ってて…―』

『―…だから、何で…―』

621: 2009/11/23(月) 22:27:43.09 ID:yW6a1S3IO
『―…一ヶ月…―』

『―…?…―』

『―…一ヶ月の間で…―』

『―…あんたにもし好きな人ができたら…―』

『―…その人にマフラーを渡しなさい…―』

『―…なんだよ、それ…―』

『―…そしてもし…―』

『―…その間に私があんたを振り向かせることができたら…―』

『―…そのマフラー、返してもらうわ…―』

『―……―』

『―…な、何よ!何とか言いなさいよ!…―』

『―…わかったよ…―』

『―…!…―』

『―…じゃあこのマフラー、今は戴いとくぜ…―』

『―…うん…絶対、返してもらうから!…―』

625: 2009/11/23(月) 22:29:02.40 ID:yW6a1S3IO

上条「…これが真実、だよ」

佐天「…えっ、それじゃあ…」

御坂「嘘よ!!」

御坂「そんなの嘘!私、そんなこと言ってない!」

上条「…おいおい。こんなとこで嘘なんか言ってどうなるって言うんですかい?」

御坂「うるさい!!」

御坂「あんたはマフラーを受け取った!受け取ったのよ!」

御坂「だから私の思いは通じた!通じてたのよ!あんたに全部!」


632: 2009/11/23(月) 22:30:20.28 ID:yW6a1S3IO

上条「…はあ。こりゃあ、相当頭がぶっ飛んでいらっしゃるご様子だな」

佐天「あの…上条さん」

上条「なんだ?佐天さん」

佐天「…私のせいで…迷惑かけてごめんなさい」

上条「…ははっ、何言ってんだよ」

上条「…謝るのはこっちのほうだ。…俺のせいで、ホントにすまねぇ…」

佐天「…そんな…でも…」

641: 2009/11/23(月) 22:32:00.57 ID:yW6a1S3IO

上条「それにな、佐天さん」

佐天「…え?」

上条「俺の好きな人が…」

上条「こんなに傷ついてるんだ…」

上条「…放っとくわけないだろ?」

佐天「…ッ!!!」ドキィ!

バチィィ!!


上条「…っ…とっと。ちっと油断したな」ヒリヒリ

佐天「かっ、上条さん!」

646: 2009/11/23(月) 22:33:04.76 ID:yW6a1S3IO

上条「ああ、こんくらい大丈夫だ。あいつの電気は受け慣れてる」

御坂「よそ見してんじゃないわよ!!私だけを見てればいいって言ってんでしょ!」バチバチ

上条「…うぉっと。…まったく、相変わらず、たちの悪い電撃だなぁったく…」

佐天「(すごい…!御坂さんの電撃を右手一本で防いでる…!)」

上条「…おいビリビリ、いい加減話を…」

御坂「うるさい!…あんた、いつもそうやって私のことをビリビリって…!」

御坂「佐天さんのことは…普通に名前で呼んでるくせに…」

御坂「…私のことは、いつだってそうやって…」

御坂「…馬鹿にしてるんでしょ!!!…」バチチチッ


649: 2009/11/23(月) 22:34:14.86 ID:yW6a1S3IO

上条「……」

御坂「…なんとか言いなさいよ!」

上条「いい加減にしろよ」

御坂「…っ?」

上条「…おまえが何に腹を立てて…」

上条「…誰に対して怒っているのかはわかった」

上条「…全部俺が悪い」

御坂「…そっ、そうよ!!全部あんたが…!」

上条「それでもなぁ!!」

御坂「…!」ビクッ


655: 2009/11/23(月) 22:36:10.47 ID:yW6a1S3IO

上条「…それでも、おまえのやってることは…」

上条「…ただの八つ当たりだ」

上条「…佐天さんは、何も悪くないのに…」

上条「何故、おまえにこんなことをされなきゃいけねーんだ?」

佐天「…上条…さん…」

御坂「…さい」

御坂「うるさい!!」バチィ

上条「……」


664: 2009/11/23(月) 22:38:25.79 ID:yW6a1S3IO

上条「……」

御坂「憎いのよ…!苦しいのよ…!もう、抑えられないのよ…!」

御坂「それに、あんたが佐天さんを選んだってんなら…」

御坂「…もう、そんなマフラーいらないわ…」

御坂「…彼女ごと消えてもらうわ…!」バチバチバチッ

佐天「(あれは…!レールガン…!!)」

御坂「さようなら」


ゴォォォォン!!!!

パシィィィィィン

シューー…


669: 2009/11/23(月) 22:39:06.16 ID:yW6a1S3IO

上条「……」

佐天「…うっ…あ、あれ(私、また助かってる)」

御坂「…くっ…うぅ…なんで…」

上条「…言っただろ?」

御坂「…っ」

上条「八つ当たりしてんじゃねーって」

上条「やるなら俺にやればいい話だろ?」

御坂「…っ……!」

上条「俺に効かねぇからか?」

御坂「…!」

佐天「(え…効かない?)」


672: 2009/11/23(月) 22:41:48.50 ID:yW6a1S3IO

上条「俺とやっても敵わねぇって思って、佐天さん狙ってんのか?」

御坂「…違う」

上条「じゃあ何だ?」

上条「おまえの言う『レベルの差』ってのは…」

上条「能力のことを言ってんだろ…?」

御坂「……ちが…」

上条「確かに、佐天さんはレベル0だ」

御坂「……」

上条「レベル5のおまえと、到底戦えるようなレベルじゃねーかもしれない…」

上条「…だが」

上条「おまえも知ってるはずだ」

上条「おまえの攻撃を今まさに…無効化している…」

上条「…レベル0の男が、今おまえの前に立っていることを」


677: 2009/11/23(月) 22:43:09.45 ID:yW6a1S3IO

佐天「…!!上条さん、レベル0なんですか?」

上条「ああ、そうだぜ…って言ってなかったっけ?」

佐天「き、聞いてませんでした!…だ、だって、さっきからずっと御坂さんの攻撃を防いでるから…!」

上条「まぁな。…でも、これでわかったろ?」

上条「レベルの差なんて、関係無いんだよ」

佐天「……!」

御坂「…もう、いい…」


684: 2009/11/23(月) 22:44:56.34 ID:yW6a1S3IO
>>678その辺あれで頼む

上条「…」

御坂「…もう、いいわ。面倒くさい。もう、嫌になった」

御坂「…どうでもいい。みんな消えちゃえ」


バチッ…バチバチバチッ!!!


佐天「…!!なんて激しい電気!!」

御坂「…さすがに防げないでしょ?これなら」

御坂「…もう、いいの。みんな消えればいいんだからね!!」


バチッ…バリバリバリバリ!!!


694: 2009/11/23(月) 22:47:13.89 ID:yW6a1S3IO

上条「…やれやれ…まったく…」

上条「おい、ビリビリ」

御坂「うるさい!!とっとと消えなさい!!」

上条「…今のおまえは」

上条「…俺の知っているおまえは、今のおまえじゃない…」

御坂「はぁ!?何だってぇ!?」

上条「…不器用で、素直じゃなくて…」

上条「…何かとつっかかってきて…すぐ顔が赤くなって…」

上条「意外と可愛い物好きで…」

上条「…後輩に優しく…」

上条「…普通の女の子だ…」

696: 2009/11/23(月) 22:49:59.13 ID:yW6a1S3IO

上条「俺の知っているおまえは、そんな奴だよ」


御坂「…うるさいって言ってんでしょうがぁ!!」

バチバチバチィィ

佐天「…!上条さんっ!!」


上条「…くだらねぇ…」

タタタッ

バリバリバリバリッ!!!


上条「…おまえのその幻想を…」


上条「…打ち砕く!」


761: 2009/11/23(月) 23:47:24.44 ID:yW6a1S3IO

……

~公園から少し離れた場所~


ああ、いつの間にか

雨が上がっていますね


黒子「お姉さま…」


どうしてこうなったのか

黒子はわかりませんでした

けど、初春の話を聞いて

妙に納得してしまう自分がいます


…お姉さま

あなたは本当に

上条さんが好きなのですね

763: 2009/11/23(月) 23:48:32.13 ID:yW6a1S3IO


シューー


御坂「…はぁ…はぁ…はぁ…」

上条「…ふぅ」

上条「…やっと、近づけたわ、おまえに」

御坂「…っ、この!手を、離しなさい!」

バチッ

上条「…悪かったよ、美琴」ナデナデ

御坂「…!!?」

上条「おまえが暴走しちまったのも…」

上条「…俺が全部悪かった」ナデナデ

御坂「…!…!」


764: 2009/11/23(月) 23:50:44.20 ID:yW6a1S3IO

上条「…でも」

上条「…おまえがあの時、俺に選択肢をくれた時…」

上条「俺は迷わずに佐天さんを選んだ」

御坂「…!」

佐天「(あっ…)」

上条「本当は決めてたんだ。だから、おまえの告白を断った」

佐天「(…ま、前から…!?)」

上条「…おまえには悪いと思ったけど…」

上条「おまえに言われた通り…」

上条「…俺は自分にとって大切な人に、マフラーを渡したんだ」


766: 2009/11/23(月) 23:51:44.68 ID:yW6a1S3IO

佐天「(…上条さんっ…)」

御坂「…うっ…ひぐっ…」

上条「……」

御坂「…どう…して…私じゃ…ないっ…のよっ…」

御坂「…わっ…わたじだっで……うっ……あんたのこと…こんなにっ…」

佐天「御坂…さん…」

上条「…なぁ、美琴」

御坂「…なっ…なに、よぉ…ひぐっ…」

上条「おまえはどうして俺が好きなんだ?」

御坂「…えっ…」


769: 2009/11/23(月) 23:52:48.48 ID:yW6a1S3IO

上条「何か理由があるんだろ?俺でなきゃいけない理由が」

御坂「…っ…そんな、のっ…わかんないっ…わよっ…!」

御坂「…いつの間にか…好きになってただけよっ!」

上条「…俺もおんなじだ」

御坂「……っ!?」

上条「…俺も、気付いたら、佐天さんのこと、好きになってた」

御坂「…うっ…!」

佐天「…!!上条さんっ…!」


770: 2009/11/23(月) 23:54:09.26 ID:yW6a1S3IO

上条「…いくら探しても理由なんて見つからねーよ」

上条「どうしたもんかねぇ…。これが恋ってやつか?」

上条「…そう思い始めた時には既に、好きになってたんだろーなっ」

佐天「……!」カァァ

御坂「…ふんっ、なによ…」

御坂「…そんなのって…うっ…ズルいじゃ…ないっ…」

上条「…わるい」


772: 2009/11/23(月) 23:55:14.51 ID:yW6a1S3IO

その日、いつの間にか雨が上がっていて

晴れていた

…あーあ

結局、助けられちゃったな…

それに…


先に告白…されちゃったな…


775: 2009/11/23(月) 23:56:07.46 ID:yW6a1S3IO
~数日後~

・学校・


佐天「あっ!初春ー!」

初春「あ!佐天さん、おはようございま……わぁ!」

佐天「ほう、今日のパンツは白とな。シンプルが一番ってやつかなぁ?」

初春「いつものことだけど、やめてくださいぃ~!」

佐天「いやぁ、この日頃のチェックがいつか身を結ぶことになるのよ」

初春「なりませんっ!むしろ社会的に冷たい目で見られるだけですぅ~!」

黒子「…あなたたちはいつ見ても賑やかですのね」


777: 2009/11/23(月) 23:58:09.02 ID:yW6a1S3IO
佐天「あ、白井さん!おはようございます!」

初春「…あっ、おはようございます!」

黒子「おはようございます。」

初春「白井さん、聞いてくださいよ~佐天さんがひどいんですよぉ~」

佐天「いや、特に何もしてないんですけどねー」

初春「毎日してるのにぃー!」

黒子「はいはい。あなたたちの仲が良いのはわかりましたから」

黒子「…あ、そうそう、初春」

初春「…あ、はい?」

黒子「今日は仕事には来なくて良いですわ」

初春「え?ホントですか?」

黒子「ええ。昨日頑張ってくれましたし、残ってる仕事も私達で片付けますわ」

初春「ありがとうございます!」

佐天「じゃあ、今日は一緒に帰れるね、初春」

初春「はい!久しぶりですー!」

778: 2009/11/23(月) 23:59:01.11 ID:yW6a1S3IO

あのあと

私は上条さんと付き合い始めた

御坂さんは初春さんに今までのことを謝っていた

私には、「まだ、諦めないから!」と言って宣戦布告された

望むところだと思ったけど、ぶっちゃけビリビリだけは勘弁して欲しいところだ

今は、なんだかんだで御坂さんとも仲も良くなっている

このまま何事もなく、時間が過ぎていけば良いな…


781: 2009/11/24(火) 00:00:19.25 ID:2HDA0aGOO
……


上条「…ふぁーあ」

上条「今日も眠いな…」

上条「…つっても、ちゃんと授業受けねぇと、また補習がなぁ…」

ポンポン

上条「…ん?」

上条「おう、なんだおまえか」

上条「どうしたんだこんなところで?」

「この店でこの券を使ったら、全品半額になります」

783: 2009/11/24(火) 00:01:04.31 ID:2HDA0aGOO

上条「…なんと!マジですか!」

「はい、本当です」

上条「なに、この券俺にくれるのか?」

「はい、あなたにあげます」

上条「マジか!ありがとな!」

「はい…ただし」

上条「…?」

「その券、カップル限定なんです」

「だから、」


ミサカ「私と一緒に行きませんか?と、ミサカはあなたを誘います」




800: 2009/11/24(火) 00:04:09.14 ID:2HDA0aGOO
終わりっす

ここまで支援・保守ありがとう

なんかおかしいところとかあると思うけど、それ幻想だから打ち砕いてください

そんではこれまでありがとう

803: 2009/11/24(火) 00:04:26.95 ID:jCyDOzsWO
上条さんらしい終わりかたと言える


804: 2009/11/24(火) 00:05:38.57 ID:lpVPQ4vIO
乙でした



引用: 佐天「上条さん、か……別に格好良いって訳じゃないのになぁ」