1: 2016/05/24(火) 18:34:14.56 ID:HayKESCx.net
絵里「私はこの国で一番偉い人の絢瀬絵里。けれど、いずれは凛と花陽にこの国を任せなくてはいけない…」


絵里「凛と花陽にはどんな困難も乗り越えられる強い人間でいて欲しいわ。そう願っているの。だから…」



絵里「この国から信じられないくらい離れた場所にある砂漠の真ん中か樹海の真ん中あたりに2人を置き去りにしてきてほしいの」

2: 2016/05/24(火) 18:35:59.66 ID:HayKESCx.net
絵里「外には魔物やら盗賊やらで危険がいっぱいよ。それは分かっているわ…けれど、2人なら必ず生きてこの国に帰ってきてくれるわ」


絵里「今より何倍も強く…たくましくなってね!その時…私はこの座を2人に譲ろうと思っているの。これは修行なのよ!」


絵里「だからお願いよ…真姫!2人を置き去りにしてきて!」

真姫「気が乗らないけど…これも2人のため国のためなのよね。うん、分かったわ」


絵里「ありがとう…」
真姫「どうすればいいの?」

絵里「えぇ、馬車に乗せて2人をとにかく遠くに連れて行くの。そして、睡眠薬の入ったお饅頭を食べさせて眠らせ…置き去りにしてくる。分かったわね?」


真姫「えぇ。じゃあ…行ってくるわ!」


絵里「頼んだわよ…真姫。では…希、2人をここへ呼んできてくれない?」


希「頼まれると思って、呼んでおいたよ」
絵里「ありがとう…希」

希「あっ、来たみたいや」


凛「かよちん早く!」

花陽「ま…まってぇ…」

3: 2016/05/24(火) 18:38:54.39 ID:HayKESCx.net
凛「遅くなりました!この国で一番偉い絵里ちゃん!凛はこの国で2番目に偉い人です!剣術やら武術には多少の自信があるよ!」

花陽「はい!私もこの国で2番目に偉い人です!魔法には多少の自信があるよ!」


絵里「ずいぶんと機嫌がいいのね。いい事でもあったのかしら?」


凛「うん!今から真姫ちゃんとおでかけするの!」

花陽「いつもお城でお勉強ばっかりだもん。お出かけできるのが楽しみなんだ」


凛「ねぇ!水着持って行った方がいいかな?」

花陽「あっ、そうかも!えーっと…どこにしまったかなぁ…」


絵里「もう…水着なんて必要ないわ。凛が持って行くべきは剣と盾。そして、花陽が持って行くものは魔法の杖よ。それだけで充分」


凛「剣と盾でいいの?分かった!」

花陽「楽しみだね、凛ちゃんっ」
凛「うん!」


絵里「凛…花陽…。すこしそばに来てくれないかしら?」

凛「へ?うん…」
花陽「どうしたの…?」


絵里「2人とも…大きくなったわね」ぎゅっ

凛「にゃー♪抱きしめられたにゃー!」

花陽「絵里ちゃん…?」

4: 2016/05/24(火) 18:40:57.49 ID:HayKESCx.net
絵里「恨まないで欲しいの。私は…心の底からあなた達のことを愛しているわ…だから…」


凛「絵里ちゃん…どうしたの?」
花陽「……」

絵里「どうもしないわ…だから…もう少しこのままで…」ぎゅっ

凛「う、うん…」
花陽「……」


希「エリチ…もういいやろ?」

絵里「……そうね。では真姫…お願いするわ」


真姫「えぇ、任せて。じゃあ凛、花陽。行くわよ」


花陽「行かない」

真姫「えっ…?」


花陽「私…お出かけなんかしない!」


希「花陽ちゃん…どうしたの?」

絵里「そうよ。真姫とお出かけするの楽しみにしていたじゃない」

5: 2016/05/24(火) 18:45:22.12 ID:HayKESCx.net
花陽「絵里ちゃんといる」

絵里「えっ…」


花陽「今日の絵里ちゃん…元気ないもん。だから…私、絵里ちゃんのそばにいる!今日は絵里ちゃんから離れない!」


花陽「絵里ちゃんとずっとこーしてる!」ぎゅっ

絵里「花陽…」

凛「じゃあ凛も!凛も絵里ちゃんのそばにいる!離れない!」ぎゅっ


真姫「ヴェェ…!?ちょっと凛まで!」



花陽「やだやだ!もう絵里ちゃんと離れないもん」ぎゅっ

凛「凛も離れないにゃ!」ぎゅっ


絵里「駄目よ2人とも!私なら元気だから…」


凛・花陽「やだ!!」

希「うーん…困ったね」
真姫「で、どうするの?」


絵里「どうするって…」


花陽「あっ!体調が悪いのかもしれない…凛ちゃん!2人で絵里ちゃんを看病してあげよう!」

凛「賛成にゃ!」


絵里「看病って…私は別に病気じゃないのよ?」

凛「嘘は良くないにゃ!」
花陽「そうだよ!絵里ちゃんの元気が出るまで看病するね」

6: 2016/05/24(火) 18:49:12.08 ID:HayKESCx.net
絵里「まったく…もうっ。そうね…えーっと……真姫、希。あなた達にお願いがあるの」

真姫「えぇ」
希「どうしたん?」


絵里「私はこの国のため、2人の将来のために心を鬼にして2人を置き去りにする計画を立てたわ」

真姫「勿論分かってるわ。だから私も…」

絵里「仕方ないことなの…」
希「それも分かってる。だって…」


絵里「来年にしましょう」


真姫・希「…んんっ?」



絵里「少なくとも1年間は2人と離れたくないの!置き去りとか1年後にしたい!今のやり取りでそう感じたの!」


絵里「もう一度言わせて!花陽と凛と離れたくないの!!」


真姫「そんなの…私もだわ!むしろ大賛成よ!」

希「ふふっ、じゃあ計画は来年に持ち越しやね」


花陽「絵里ちゃん…大丈夫?来年ってなぁに?」

絵里「気にしなくていいのよ…花陽」

凛「かよちん!そんな事より絵里ちゃんを看病にゃ!」

花陽「うん!!」


凛「えーっと…あったかいお湯とありったけのタオルにゃ!」

絵里「出産じゃないのよ?まったく…」
花陽「ふふっ、もう凛ちゃんってば」

凛「えへへー。ねぇ、じゃあ凛たちに何してほしい?」

花陽「うん!なんでもするよ!」

7: 2016/05/24(火) 18:49:38.15 ID:HayKESCx.net
絵里「そうね…それじゃあ…私のそばにいてもらおうかしら」

凛「了解にゃ!」
花陽「うん!」


希「やれやれ1年後が思いやられるなぁ」

真姫「たった1年先延ばしにしただけよ…1年後……私はあの2人を…」


希「心を鬼にしないと…ねっ」

真姫「分かってるわよ…そんなこと…」


真姫「……」

8: 2016/05/24(火) 18:53:09.58 ID:HayKESCx.net





絵里「あれから1年が経ったわね。アルバム120冊分の写真も撮ったし…心を鬼にして2人を置き去りにしたいと思うの」


絵里「真姫…頼んだわよ」

真姫「えぇ、任せて!」


絵里「2人と顔を合わせれば別れが辛くなるわ…。さぁ、1秒でも早く2人を信じられないくらい遠い樹海に連れて行って」


真姫「いいの…?しばらく会えなくなるのよ?」

絵里「今会えば…置き去り計画を10年ほど先延ばしにしてしまう可能性があるわ」


絵里「だから…お願い…このまま…」

希「エリチの言うとおりにして…な?」

真姫「分かったわ…けど、本当にいいのね?」


真姫「じゃあ…行ってくるわ!」

9: 2016/05/24(火) 18:56:44.66 ID:HayKESCx.net




凛「お出かけなんてテンションあがるにゃー!!」

花陽「うん!お出かけなんて久しぶりだね!」


真姫「そうね」

花陽「絵里ちゃんも来れば良かったのに…はぁ…。お出かけは楽しいけど、最近ずーっと絵里ちゃんと一緒だったから寂しいな」


真姫「あら、私とじゃ不満?」

花陽「そうじゃないよ!真姫ちゃんのことも
大好きだもん!」

凛「凛もだーいすき!あっ、かよちんの事も大好きにゃー」

花陽「ふふっ、私も凛ちゃんの事がだーいすきだよ」


真姫「…」
凛「あれ?真姫ちゃんどうしたの?元気ないにゃー」


真姫「ご、ごめんなさい。道を間違えちゃったみたいだわ。この辺りは確か…強い魔物が襲ってくる場所なのよね。気をつけないと」

凛「大丈夫!凛、そこそこ強いからやっつけてやるにゃー」


真姫「けれど、実戦の経験はないはずよ」

凛「えっ?」
花陽「り、凛ちゃん!!」

凛「…あっ、そうだった!えへへー、凛はまだ実際に魔物と闘ったことがないにゃー」


花陽「……ほっ。け、けど、凛ちゃんなら大丈夫だよ!それに、私が魔法でサポートするし!まだ回復魔法しか使えないけど…」


凛「それだけで充分にゃ!あとは凛がこんな感じだよ!ていっていてい!」
花陽「ふふっ、さすが凛ちゃん」パチパチパチパチ


真姫「いい?凛…あなたが強くなければ…私たちの国は滅びるわ」

凛「…うん。け、けど!」

10: 2016/05/24(火) 18:58:57.91 ID:HayKESCx.net
花陽「凛ちゃんがそんな事させないもん!」
凛「えっ…」

花陽「凛ちゃんは強いもん!何があったって悪い人たちも悪い魔物もやっつけてくれるよ!…ねっ?」

凛「かよちん…うん!もちろんにゃ!」


真姫「力だけが強さじゃない。…花陽、あなたが持っている強さも必要なの。分かる?あなた達は2人でひとつなのよ…だから、頑張りなさいよね!」


花陽「よく分からないけど…うん!私たち、頑張るね!」
凛「何があってもかよちんがいればオールオッケーにゃー」

真姫「それを聞いて安心したわ。じゃあ…少し休憩しない?はい、おやつのお饅頭よ」


凛・花陽「わぁ!…いただきまーす!!」

真姫「勘違いしないで…ただのお饅頭よ!睡眠薬なんて入ってないんだから!!」

凛・花陽「へ?…もぐもぐもぐ」


---5分後

凛「すぴー…すぴー…すぴー…むにゃむにゃ」
花陽「すぅ…すぅ…すぅ…」

真姫「ずいぶん遠くまで来たわね…心が痛いけど…これも凛と花陽のため」


真姫「…恨まないでね」
花陽「すぅ…すぅ…」
凛「すぴー…すぴー…」



真姫「2人で協力して必ず戻ってくるのよ。それまで…ううん。さよならは言わないわ。じゃあね!」


凛「…くしゅっ!」

真姫「えっ…」


凛「うー…」ぶるぶるぶるっ
真姫「寒いの…?」


凛「すぴー…すぴー…すぴー…」もぞもぞ
凛「へっくち!」

真姫「!!」
花陽「すぅ…すぅ…くしゅん!……すぅ…すぅ…」


真姫「はぁ…仕方ないわね。まったく…世話がやけるんだか……あれ?」

真姫「何よこれ…イミワカンナイ!!」

11: 2016/05/24(火) 19:01:28.99 ID:HayKESCx.net



真姫「戻ったわ」

絵里「えぇ…おかえりなさい。」
希「おかえり。遅かったやん」


花陽「ただいま戻りました!」

凛「ただいまにゃー」

希「おかえり。2人とも」

絵里「おかえりなさい。帰って早々で悪いのだけれど…2人とも部屋に戻っていてくれる?」


凛・花陽「うん!」
希「寒かったやろ?うちが部屋まで連れて行ってあげるな」

凛「わーい」
花陽「ありがとー」


絵里「まったく…天使ってあの2人の事ね」


絵里「じゃなくて…真姫、説明して。一体どういう事なの?」

真姫「…私としたことが、忘れてたのよ」
絵里「何を…?」


真姫「毛布よ!!」

真姫「あたたかくなったとは言え…夜はまだ冷えるでしょ?」


真姫「外で眠ってたら2人が風邪を引くじゃない!そんなの耐えられない!イミワカンナイ!」


真姫「だから2人を連れて戻ってきたのよ!!体がすっかり冷え切った2人をあたたかいお風呂に入れるためにね!」



絵里「真姫…ダメじゃない…毛布と寝袋は絶対よ!忘れないで!」


真姫「寝袋ね!分かったわ!今日中に用意させるから。で、また明日にでも…」

絵里「その事なんだけど…あれね、明日も7ヶ月後もたいして変わらないんじゃないかしら?」


真姫「そうね。ここまできたら、明日も7ヶ月後もほぼ変わらないわね」

絵里「そうよ。むしろ来年でも10年後でも変わらないわ…けれどね、ここは心を鬼にして」


絵里・真姫「鬼にしての7ヶ月後なの!」

12: 2016/05/24(火) 19:03:01.53 ID:HayKESCx.net
---7ヶ月後



絵里「7ヶ月が経ったわ。そして、真姫は自ら置き去りにする係を降りた…。あの子は凛と花陽と同い年…こんな役を押しつけるのは残酷だったのかもしれない…」


絵里「だからあなたに任せるわ…ことり」

ことり「うん…」

絵里「これも2人のためなの…だから、お願い!置き去りにしてきて!」


ことり「うん…わかったよ」

13: 2016/05/24(火) 19:12:40.28 ID:HayKESCx.net



凛「今日はことりちゃんと馬車でおでかけにゃ!」
花陽「うん!楽しみだねっ」


ことり「うん…(はぁ…私に2人を置き去りにするなんてできないよぉ…)」」

花陽「ことりちゃん…どうかしたの?」

ことり「…えっ?ううん…大丈夫だよ。久しぶりのお出かけだから私も楽しくって」


凛「本当に!?じゃあ凛たちと一緒だねー」
花陽「うん!一緒だね」


ことり「うん…(できないよぉ…穂乃果ちゃぁぁぁん!!)」



ことり「はぁ…」

花陽「ことりちゃん…?」

ことり「ごめんね…馬車って久しぶりで少し疲れちゃった…少し止めて休憩してもいい?」

花陽「うん!」
凛「じゃあ待ってて!シートを敷くから!」


ことり「えっ…」
凛「はい、ゆっくり休んでね」


ことり「うん…ありがとう」

凛「……」もじもじ
花陽「……」もじもじ


ことり「…んっ?」


凛「ことりちゃん…お腹減ってないかにゃ?」

ことり「お腹…?減ってないかな…うん(食欲なんてわかないよ…はぁ…)」


凛「そっかー…」しゅん

花陽「うぅ…」しゅん


ことり「…んっ?そういえば…花陽ちゃんが持ってるカゴ…何が入ってるの?」

15: 2016/05/24(火) 19:14:27.85 ID:HayKESCx.net
花陽「へっ!?これは…その…」

凛「………に…にゃぁぁ……」


ことり「凛ちゃん…?」


花陽「ね…猫!」

凛「そ、そう!猫が入ってるにゃ!」


ことり「ねこ…?なの…?そ、そうなんだ…(絵里ちゃんが寝袋だけは持たせてあるって言ってたし…それかな?)」


ことり「はぁ…(嫌だけど…うん!これも2人のため…国のため!)」


ことり「ねぇ、お饅頭食べない?」


凛・花陽「食べる!…いただきまーす!……はむはむはむ…もぐもぐ」


ことり「睡眠薬なんて入ってないから…」

凛・花陽「んん?」

16: 2016/05/24(火) 19:15:52.74 ID:HayKESCx.net





凛・花陽「すぴー…すぴー…すぴー…」

ことり「凛ちゃん…花陽ちゃん…ごめんね!じゃあ…ま……また会う日ま……」


凛「むにゃむにゃー…」


花陽「すぅ…すぅ…すぅ…」



ことり「…ひっく…ぐすっ」


ことり「私には……出来ないよぉぉ…」


花陽「すぅ…すぅ…すぅ…」

ガタッ


ことり「あっ…花陽ちゃんが大事に抱えてたカゴ……」


ことり「えっ…」



ことり「凛ちゃん…花陽ちゃぁぁぁん!!!!!」

22: 2016/05/24(火) 20:22:46.54 ID:HayKESCx.net




ことり「ただいま戻りました」

絵里「えぇ。おかえりなさい…ことり」


ことり「うん…」

凛・花陽「すぴー…すぴー…すぴー…」


絵里「さぁ、納得のいく説明をしてくれないかしら?けれど、そう簡単に納得できそうにないわよ」

ことり「あのね…これをみて…」
絵里「この写真は…ケーキ?」


ことり「そうだよ!チーズケーキを花陽ちゃんと凛ちゃんが私のために焼いてくれたの…大好物だからって…私のために…」


絵里「ことりちゃんいつもありがとう。大好き…ちゃんと焼印まで入ってるわね」

ことり「うんっ!猫ちゃんの焼印もあるから…そこは凛ちゃんがやってくれたんだと思う。私…すごく嬉しくて」


絵里「これが置き去りに出来なかった理由…?」


ことり「こんなに素敵なチーズケーキは3人で食べたいと思って…睡眠薬が切れるまで待ってて…それで3人で食べて…お花畑でお花の冠まで作ってくれて…疲れたから帰ってきちゃった」


絵里「はぁ…まったく」

ことり「ごめん…絵里ちゃん…」


花陽「んっ…んん…あれ?寝ちゃってたんだ…」

24: 2016/05/24(火) 20:32:50.04 ID:HayKESCx.net
絵里「おかえりなさい…花陽。お出かけは楽しかった?」

花陽「うん、すっごく楽しかった!けど、待ってて…えーっと…あっ、あった!はいっ」


絵里「えっ…」
花陽「お花の冠だよ!絵里ちゃんの分も作ってきたんだ」


絵里「……」

花陽「いつも一緒にいてくれてありがとう。時には厳しくてすごく優しい…そんな絵里ちゃんが大好きだよ」


絵里「ありがとう…大事にするわね。」


凛「すぴー…すぴー…すぴー…」

花陽「凛ちゃんも私も遊び疲れて寝ちゃってたんだ…ことりちゃん、連れて帰ってきてくれたんだね。本当に今日一日ありがとう。すっごく幸せな1日だったよ!」

ことり「ううん。お礼なんていらないよ」

花陽「じゃあ凛ちゃんをベッドまで運んでくるね」

絵里「えぇ、家来達にも手伝わせるわ。部屋についたら、花陽は凛が目覚めるまでそばにいてあげなさい」

花陽「うん!わかった!」にこっ



ことり「…ごめんね。私には到底…」

絵里「勘違いしないで…あんなことされたら…」



絵里「置き去りとか、私にだって無理だわ!!」

ことり「は…ハラショー!」

絵里「けれど、これは全て凛と花陽のため…そしてこの国のため…明日また……いいえ!ここは心を鬼にするわ!」


絵里「8ヶ月後にまた!」

ことり「うん!8ヶ月後だね!」

25: 2016/05/24(火) 20:35:54.01 ID:HayKESCx.net
---8ヶ月後


絵里「8ヶ月経って…ことりには2人を置き去りにするなんてできない…そう、本人の口から聞いたわ。だから…」


穂乃果「任せて!すごく辛いけど…これも国のため!心を鬼にするよ!」


絵里「寝袋はもたせたわ。手作りの料理で感謝の気持ちを伝えるのも禁止した…では、あとは任せたわ!穂乃果!!」


穂乃果「うん!」

26: 2016/05/24(火) 20:37:31.65 ID:HayKESCx.net





穂乃果「はぁ…けどやっぱり辛いよ…」

花陽「穂乃果ちゃん…元気ないね…どうしたの?」
穂乃果「う、うん…ちょっとね…。大丈夫だよ、心配しないで」


花陽「う、うん…」

凛「ふふん♪そんな穂乃果ちゃんのためにプレゼントにゃ!」

穂乃果「えっ?」


花陽「穂乃果ちゃんと馬車でおでかけするのがすごく楽しみだったから、2人で穂乃果ちゃんと馬車でおでかけする歌を作ったんだ」


穂乃果「そっか…ごめんね2人とも。行き先変えるね」


凛「えっ…どこに行くの?」


穂乃果「遊園地だよ!」

凛「やったぁぁぁ!!!」

花陽「わーい!わーい!!」

27: 2016/05/24(火) 20:43:00.27 ID:HayKESCx.net





絵里「で、遊園地に行ったと…」


凛「うん!1日中遊んじゃった!楽しかったね!」

花陽「うん!ほら見て!3人お揃いの帽子も買っちゃった買っちゃった♪」

凛「なんとかーっていう遊園地のキャラクターの耳がついてる帽子なんだよ!似合ってるかな?」


絵里「ええ」パシャリ


絵里「2人ともとても似合っているわ」パシャリ


絵里「最高よ」パシャリ

凛「似合ってるって!」
花陽「やったぁ!」

真姫「…」パシャリ
ことり「…」パシャリ


ことり「はぁ…2人とも可愛い」

穂乃果「穂乃果も同じ帽子を被ってるんだけど…」
ことり「もちろん!穂乃果ちゃんも似合ってるよ」パシャリ


穂乃果「えへへー」


絵里「えへへー…じゃないでしょ?2人と遊園地に行って仲良く1日遊んできなさいなんて言った覚えはないのよ」

28: 2016/05/24(火) 22:01:06.50 ID:HayKESCx.net
穂乃果「ごめんごめん…けど…」


凛「穂乃果ちゃんとおでかけだー♪」

花陽「ヘイYO!ジャンジャン♪」

凛「馬車に乗っておでかけにゃー♪」

花陽「チェケラッチョー!YO!ジャンジャンジュクジュクチューン♪」


凛「凛とかよちんは幸せにゃー♪」
花陽「にゃー♪」


穂乃果「私のためにこんな素敵な歌をうたってくれたんだよ?可愛いんだもん!」


穂乃果「だから3人仲良く遊園地で遊びたくなっちゃったんだもん!!」


絵里「はぁ…まったく…穂乃果」


絵里「けれど、あなたは間違っていない。私が穂乃果でも3人仲良く遊園地に行っていたと思うわ」

穂乃果「でしょ!?」


凛「えっ!?絵里ちゃんとも遊園地に行けるの?」

花陽「行きたい!私、絵里ちゃんと遊園地に行きたい!」


凛「真姫ちゃんとことりちゃんとも行きたいにゃ!」
花陽「私も!ううん…みんなと遊園地に行きたい!」


絵里「まったく…心を鬼にするわよ…」


絵里「明日から5ヶ月間、みんなで遊園地に行くわよ!」


凛・花陽「やったぁぁぁ!!!」

絵里「作戦は5ヶ月後ね」
穂乃果「うん!わかった!」

29: 2016/05/24(火) 22:04:42.76 ID:HayKESCx.net
---6ヶ月後


絵里「遊園地、楽しかったわね」

絵里「けれど…予定より1ヶ月プラスの6ヶ月間滞在した遊園地で、穂乃果に2人を置き去りにすることはできないと…そう、はっきり言われてしまったわ…」



絵里「だから、海未にお願いしたいの。いいわね?」

海未「はい。これも我が国のため…そして、2人の将来のため。心を鬼にしてお役目務めさせていただきます」

絵里「では早速おねがい」
海未「分かりました」





花陽「…すぅ、すぅ……すぅ…」

海未「(3人で会話をしながら仲良く移動していると私情が入ってしまい別れが惜しくなってしまいます。)」


海未「(だから…出かける前にお饅頭を食べてもらったのですが…)」


花陽「すぅ…っ…んっ…すぅー…」

凛「(うつらうつら…カクン!!)」

凛「うぅ…」フラフラ…カクン!


凛「うー…」ゴシゴシ

海未「(同じものを食べたはずなのに…凛だけが眠らない…何故でしょうか)」


凛「…んっ……(うつらうつら…)」

花陽「…っ!」


凛「かよちんっ!!」ガバッ

30: 2016/05/24(火) 22:09:57.21 ID:HayKESCx.net
花陽「うぅっ…」

凛「やっぱり…海未ちゃん!」

海未「どうしましたか…?」


凛「かよちん…本当は風邪ひいてるの…」


キキィィィィ!!

海未「それは本当ですか!」

凛「うん…」


花陽「…っ……んっ」
海未「確かに…熱いですね」

凛「ごめんね海未ちゃん…。凛ね、お出かけやめようって言ったの!でも…かよちんがどうしても海未ちゃんとお出かけしたいって聞かなくて…」


海未「私と…ですか?」

凛「うん…もちろん凛だって楽しみにしてたんだよ!けど…風邪がひどくなったら大変だからやめようって言ったの。けど聞いてくれなくて…」


凛「海未ちゃんとお出かけしたいって気持ちもわかるから…凛がかよちんをサポートすることにしたの!けど…もう限界にゃ!これ以上熱が上がったらかよちんが…」


花陽「っ…んんっ……」

海未「苦しそうですね…」

凛「かよちんしっかりして!大丈夫にゃ!凛が…今すぐお城につれていくから!」


海未「(花陽ため、睡眠薬に耐えていたというのですか?…ふふっ、なかなかの根性ですね。凛)」


凛「かよ…ちん…」うとうと…コクン

海未「ですが…それも限界のようですね。凛、花陽の事は私に任せてください。だから、あなたも寝ていいんですよ?」

31: 2016/05/24(火) 22:12:01.50 ID:HayKESCx.net
凛「うう…ん…眠くない……凛…かよちんのそば……に……」

海未「まったく…よく頑張りましたね…凛」

凛「すぴー…すぴー…すぴー…」



海未「ですが、これもあなた達のため…そして、私たちの国のためです。風邪を引いていようが、例外は認めません」


海未「凛…花陽…。国であなた達の帰りを待っていますよ。では…また会いましょう!」


花陽「……っかないで…」

海未「……」


花陽「……1人に……しな…ぃで……」

凛「……!」パチッ


凛「1人になんて…させないにゃ!……」ガクンッ


凛「うぅぅ…やっぱむり…海未ちゃん…ごめ……あとは任せたにゃ……」


凛「…すぴー、すぴー…すぴー…」


海未「……」

32: 2016/05/24(火) 22:13:42.85 ID:HayKESCx.net




絵里「戻ったのね、海未。おかえりなさい。」


海未「できません!!」

絵里「海未…?突然どうしたの…?」


海未「風邪を引いている花陽を…その花陽を必氏に守ろうとする凛を…置き去りにするなんて私にはできません!」


海未「置き去りにできるとすればベッドの上くらいです!」


絵里「海未…!!あなたまさか…」

海未「出来ません!!」


絵里「海未の気持ちも分かるわ。けれど…これも私達の愛する王国のため…心を鬼にする事も大事よ。けど…あれね、風邪なら仕方ないわ」


絵里「もう一度言わせて…風邪なら仕方ないわ!」

海未「ありがとうございます!」

絵里「とにかく!今は花陽の風邪を治すことを最優先にするわよ。具合はどうなの?」


海未「それがかなりひどく…37度1分の高熱です」


絵里「37度1分…優等生や社会人なら学校や会社にいくレベルの体温かもしれない…けれど…私は36度7分でも心配で胸が張り裂けそうになるの」


海未「私もです…。ですが、心配はいりません。時期に良くなってくると思います」

絵里「そう…良かったわ。それなら、あとは任せようかしら」
海未「そうですね…」


絵里「くれぐれも風邪をうつされないよう釘を刺しておいてね」

海未「はい…分かりました。」

33: 2016/05/24(火) 22:15:56.38 ID:HayKESCx.net



凛「やだ!かよちんのそばにいる!かよちんの看病をする!」

花陽「駄目だよぉ…ゴホッ、ゲホッ……凛ちゃんに風邪が移っちゃう…」

凛「ほらみて!マスクしてるでしょ?しかも99.9パーセントも花粉を除去してくれるすごいマスクにゃ!」


花陽「花粉用とウィルス用のマスクは違うよぉ…」

凛「海未ちゃんと絵里ちゃんにも凛が看病してあげてってお願いされたもん。かよちんがなんて言おうが凛が看病しちゃうからね!」


花陽「凛ちゃん…ごめんね…今夜、約束してたのに…」
凛「いいからかよちんは寝てるの!」


花陽「うん…ゴホッ、ゲホッ……」

凛「早く風邪を治して、また海未ちゃんとお出かけしようね!それと…とにかく今は風邪を治すにゃ!」


花陽「うん…」
凛「かよちん…?」

花陽「海未ちゃん…怒ってなかった?風邪のことを黙っておでかけして…」

凛「大丈夫。怒ってなかったから」


花陽「あのね、夢を見たの…海未ちゃんが遠くに行っちゃう夢…じゃあねって……私を道の真ん中に置き去りにしちゃうの…」


ガタンッ


凛「ん?なんの音だろ…」

花陽「花陽…やだよぉ…海未ちゃん…凛ちゃん…絵里ちゃんに希ちゃん…ことりちゃんやみんなと離れ離れになるなんて……」


凛「もう分かったにゃ。誰もかよちんを1人にしたりしないよ。変なこと考えてないで今は風邪を治すことだけを考えるにゃー」


花陽「うん…凛ちゃん……」

凛「大丈夫…。今夜はずーっとそばにいるにゃー」


花陽「ありがとう…凛ちゃん……。あのね、嬉しいけど今すぐウィルス用のマスクに付け替えて…………」


凛「かよちん…?」
花陽「すぅ…すぅ…すぅ…」

凛「…早く良くなってね。かよちん……」

凛「良くなったら…また2人で……」

34: 2016/05/24(火) 22:18:25.93 ID:HayKESCx.net





絵里「海未…、花陽の様子はどうだった?」


海未「やっぱりできません!」

絵里「海未…?」



海未「風邪が治っても…あの2人を置き去りにするなんてマネ…私にはできません!」

絵里「そう…あなたもなのね、海未…それじゃあ…」



「私の出番ね」


絵里「にこ…!」


にこ「いい?これは2人のためなのよ!あんた達生ぬるいのよ!」


海未「わかっています!けれど…私には無理です…」

絵里「にこ…あなたに全てを託していいかしら」


にこ「ふんっ、最初からそうすれば良かったんじゃないの?って、置き去りにする計画を立ててからもう何年経ってんのって話でしょ!」



にこ「国のためよ。今すぐ…いいえ、明日?ふんっ、花陽の熱が36度2分になったらすぐに出かけるわよ!」


にこ「じゃないと出かけてやらないわ!」

35: 2016/05/24(火) 22:24:05.09 ID:HayKESCx.net




にこ「遠くにきたわ!」

花陽「はい!」
凛「来たにゃー」

にこ「じゃあ早速…番号っ!」

凛「1!」
花陽「2!」

にこ「元気が足らないわね…。まぁいいわ…。で、熱は下がったんでしょうね」

花陽「はい!下がりました!36度5分です!」


にこ「まだちょっと高いわね」
凛・花陽「えっ!」


凛「ちょっとかよちん!体調悪いなら凛に言ってよ!」
花陽「悪くないよぉ…平熱だもん…」


にこ「まぁいいわ。でははじめるわよ!いいわね!突然だけど、私は今からアンタ達を見捨てるわ!」


花陽「えぇっ!わ、私たち見捨てられちゃうの!?」

凛「そ…そんなぁ!!」


にこ「寝ている間に置き去りにするんなんて紛らわしいことするから失敗するのよ。いいわね、これは私たちの王国のため…そして、あんた達2人のため!」


にこ「今、ここ異国の地に2人を置き去りにして、にこは国に帰るにこ!」


凛「にゃっ!」
花陽「は…はい!!」

にこ「 いいわね?ここからは未知の領域…2人で協力して助け合って自力で私たちの王国に戻ってきなさい!」


にこ「強くなるの…心も体もね…わかった?」


凛・花陽「はい!!」

39: 2016/05/24(火) 22:28:43.43 ID:HayKESCx.net




絵里「そう…ついに…2人は旅立ったのね」

にこ「…えぇ」


絵里「やっぱり…想像していたより辛いわね」

にこ「違うでしょ!本当に辛いのは…」


絵里「凛と花陽…そう言いいたいのね?」
にこ「…あったり前でしょ!」


絵里「そうね。私が弱気じゃいけない…笑顔で2人の帰りを待っているわ」


絵里「もし、戻ってこなくてもそれは2人の運命…」

にこ「そうよ。見知らぬ土地に置き去りにされてどうにかなる様な人間なら…この国のトップに相応しくない」


絵里「…そうね。にこの言う通りだわ」
にこ「私たちはひたすら待つのみ!わかった?」


絵里「えぇ…。けど少し心配だわ…やっぱり迎えに行った方がいいかしら?」

にこ「ちょっと過保護すぎるのよ!大丈夫…あの2人ならきっと帰ってきてくれる…」


にこ「いつもと変わらない声で…」





凛・花陽「ただいまー!」


にこ「そう!こんな感じに!」

絵里「へっ?う、うん……えーっと…えっ?」

41: 2016/05/24(火) 22:31:43.70 ID:HayKESCx.net
凛「ただいまにゃー」

花陽「ふふっ、私も凛ちゃんの真似をしちゃうよ。ただいまにゃー」


凛「真似されちゃったー、てへてへ」
花陽「照れてる凛ちゃんも可愛いにゃあー。なんちゃって」


にこ「ね!ほら見なさいよ!帰ってきたでしょ!」

絵里「えっ?…えぇそうね」


にこ「っていうか遅い!遅すぎよっ!」

絵里「遅い…。うーん…遅い……遅い…うん…うーん」


凛「えへへー。たくさん寄り道しちゃったにゃー」
花陽「はい、これがにこちゃんに頼まれたアイドル雑誌だよ」


にこ「えーっと…3時間18分…結構かかったわね…まぁいいわ。合格よ」


凛「やったぁ!」
花陽「合格だって!やったね凛ちゃん!」


凛「で、なんの試験に合格したの?」
花陽「…さぁ?本当だ…。なんの試験なんだろ」


にこ「細かいことは気にしなくていいの!凛、花陽…とにかく合格よ!!」

凛「なんかしらないけどやったにゃー」
花陽「うん!今日はたくさんお祝いしないとね!」


花陽「ねっ!絵里ちゃん!」
絵里「えっ…えぇ。そうね」


花陽「はい、絵里ちゃんにもおみやげだよ」
絵里「えっ…これは…?」

凛「今、巷で話題のピロシキだよ!これを買うのに1時間30分もかかったにゃー」

絵里「えっ…私のために1時間30分も並んでくれたの?」

凛「うん!チョコレートにしようか悩んだんだけど…ピロシキも好きだったよね?」

絵里「えぇ…大好きだわ」


凛「やったぁ!並んだ甲斐があったね!」

花陽「うん!」

43: 2016/05/24(火) 22:34:20.80 ID:HayKESCx.net
絵里「本当にありがとう。あとで大事に頂くわ…一口ずつゆっくり噛み締めてね…。2人とも疲れたでしょ?今日はゆっくり休みなさい」


凛・花陽「うん!」

凛「かよちん、行こう!」
花陽「うん!」




にこ「成長したわね…花陽、凛…」

絵里「あのね、にこ…。私はね、2人をとにかく遠い場所に置き去りにしてきてと頼んだの」


にこ「してきたわよ」
絵里「どこに…?」


にこ「隣町」

絵里「にこの言っている隣町というのは、ここから歩いて10分の隣町なのね?」


にこ「そうよ。何?問題でもあるっていうの?2人っきりで外に出たことがないの!そう考えると隣町でも充分遠いじゃない」



絵里「本当ね!その通りだわ!」


にこ「たとえ隣町だとしても、3時間18分もの間…たった2人っきりで冒険した事実は変えられないにこ!」

絵里「そうね…正しくはおつかいだけれど…うん!まぁいいわね、特に問題ないわね」



真姫「はぁ?何が問題ないのよ!問題だらけの間違いでしょ!」

にこ「真姫ちゃん…!?って、それどーいうことよ!」

44: 2016/05/24(火) 22:37:12.61 ID:HayKESCx.net
真姫「ここから歩いて10分の距離が遠くですって?笑わせないで!どーせなら歩いて30分の距離にある隣の隣町にしなさいよ!」


穂乃果「そうだよ!隣町なんて…凛ちゃんは足が速いから走ったら5分で着いちゃう距離だよ!」


にこ「毛布を取りに帰ってきた人と、ただ楽しく遊園地で遊んだ人には言われたくないわね」


真姫「あれは…!だ、だって…毛布もかけないで寝て36度8分の高熱にうなされたら2人が可哀想だと思って…」

穂乃果「穂乃果だって!急に一緒に遊園地に行きたくなっちゃったんだもん!」


海未「確かに…私たちはにこを責めることはできません。たとえ10分の距離でも…にこは2人を置き去りにして帰ってきました」

ことり「うん…私にはできなかったもん…」


にこ「私は置き去りにしたわ。心を鬼にしてね…」

希「けど3時間18分で帰ってきたんやろ?」


にこ「あの2人が3時間18分も私たちの目の届かない場所にいたのよ!」

穂乃果「これはすごいことだよ!ねぇ絵里ちゃん、もう3時間18分でいいんじゃないかな?」


絵里「それはどういうことかしら…?」

海未「穂乃果はこう言いたいのです。3時間18分もたった2人だけで行動していました。3時間18分は長い…ということで、今回のおつかいがその置き去りでいいのではないかと」



絵里「そうね…一理あるわね」
真姫「あるわね」

にこ「はぁ?違うわよ!それしかないの間違いでしょ?」


絵里「では…凛と花陽を置き去りにして2人に成長してもらおう計画…大成功と言って間違いなさそうね」


絵里「ついに私もこの座を降りるときがきたのね…」

ことり「えっ…」
海未「絵里…!!」

45: 2016/05/24(火) 22:39:47.61 ID:HayKESCx.net
絵里「これもまた運命よ…。さぁ、みんな!王位継承の準備を今すぐするわよ!」

真姫・ことり・穂乃果・海未・にこ「はい!!」


希「待つんや!」

絵里「もう…どうしたの、希?」


希「たったの3時間18分でそれはないんやない?」



ことり「えっ!けど…3時間18分だよ?」
にこ「そうよ!3時間18分よ?」
海未「はい!3時間18分ですよ?」
穂乃果「スペシャル番組でも結構な見ごたえがある時間だよ!」


希「みんなの気持ちも分かるよ…けど、隣町にしか行ったことのない2人に、この国のすべてを任せることはできないんやない?」

真姫「たしかに…。みてきた世界が狭すぎるかもしれない」

ことり「うん…」
絵里「けれど…」


希「エリチ…うちに任せてくれない?馬車では連れて行くことの出来ない遠くの世界に…2人を置き去りにしてくるから」


絵里「そんなの…無謀よ!2人っきりでこの国の城下町すら歩いたことがないのに…」

希「けど、エリチがそれを望んでたんやない?」
絵里「…」

希「エリチも…みんなも…うちも!もう一度心を鬼にしてやろう!」


にこ「悔しいけど…希の言うとおりね」
希「エリチ…お願い!この国を愛する全ての人たちのために…!」


絵里「…」
希「エリチ!!」

絵里「…分かったわ」
希「…ありがとう」


絵里「……」

にこ「絵里…?」
絵里「ごめんなさい…小腹が空いてしまったみたい。少し自室でピロシキでも食べてくるわね」

にこ「絵里…!」
希「…だめ。今は1人にさせてあげて」

にこ「…そうね」
真姫「エリー…大丈夫かしら…」

46: 2016/05/24(火) 22:42:09.99 ID:HayKESCx.net
希「辛いけど…乗り越えてもらわんと。凛ちゃんと花陽ちゃん…そして…エリチにも」

海未「…そうですね」



ことり「うーん…」

穂乃果「あれ?どうしたのことりちゃん」

ことり「う、うん…あのね、隣町に大人気のピロシキ屋さんなんてあったかなって…?」


穂乃果「えー?あるんじゃないのかな?…ほら!隠れ家的な名店とか!」

ことり「けど1時間30分も並ぶ人気店だよ?そんなにすごい行列があったら気づくと思うけど…」


穂乃果「あっ!…そうだね。じゃあどこにあるんだろ…」

ことり「人気店があるのは知ってるの。でも…ここからずーっと離れたところにあって、馬車を使っても一週間以上かかるはずで…」


穂乃果「えっ?じゃあ隣町にチェーン店でもできたのかな?」

ことり「そうなのかな…?」


ことり・穂乃果「うーん…」

48: 2016/05/24(火) 22:48:00.88 ID:HayKESCx.net




花陽「凛ちゃん!ねぇ、腕をみせて」

凛「えっ…」

花陽「怪我してるでよね?ふふっ、凛ちゃんのことならなんでも分かるよ」


凛「かよちん…」

花陽「治してあげるから…みせて?」
凛「うん…ありがと…」

花陽「もう…あんな無茶するからだよ?」
凛「えへへー」


花陽「あっ、もうこんな時間…」
凛「かよちん…もう一度行くよ!」

花陽「うん…!」






---次の日


絵里「…あの飛行機かしら」

希「うーん…どうやろ」

絵里「電車やバスにも乗ったことのない2人が飛行機で異国に向かうなんて…」


希「けど…2人になら出来る。元気に戻ってきてくれる。そうやろ?」


絵里「…2人はなんて言っていたの?」

希「…うん。最後まで笑顔やった。なんていうか…希望に満ち溢れている感じやったよ」



絵里「…私のこと……恨んでいないかしら」

希「もう…そんな事あるわけないやろ?」

絵里「…凛、花陽……必ず生きて帰ってきて…それまで待っているから」

49: 2016/05/24(火) 22:52:33.65 ID:HayKESCx.net
---そして


希「2人がいなくなって一週間やね…」


絵里「そうね…。ハートに穴がぽっかり空いた…そんな気分だわ」

希「そうやね…」


絵里「寂しいけれど…これも私たちの愛する王国のため。心を鬼にして…」

希「うん、そうやね」

絵里「鬼にして…」




絵里「凛……っ、花陽っ!!」

凛「なーに?」
花陽「どうしたの?」

絵里「…えっ?」


凛「絵里ちゃん希ちゃん!ただいま!」
花陽「ただいま帰りましたー」



絵里「えぇっ!!」


絵里「凛と花陽が帰ってきた…しかもこんなに早く…!」


絵里「こんがり日焼けした2人が帰ってきたわ!」


ガチャ!

にこ「2人が帰ってきたってのは本当なの!?」

真姫「どうなのよ!!」

50: 2016/05/24(火) 22:58:00.46 ID:HayKESCx.net
花陽「あっ、にこちゃん真姫ちゃん。ただいま」

にこ「…花陽っ!」ぎゅっ
花陽「ふぇ?ちょっ…えぇ!」


凛「にこちゃんがかよちんに抱きついたにゃ!…なかなか無いレアイベントにゃ…」


真姫「何バカなこと言ってるのよ!」ぎゅっ

凛「にやぁぁ!こっちもこっちでレアイベントにゃぁぁ!!」


海未「凛…花陽っ!お待ちしていました!」

ことり「おかえり!すっごく寂しかったんだよ!」


花陽「うん。楽しかったけど…私たちも寂しかったよ」

凛「みんなもいれば楽しかったのにーって。そればっかりだったよね?」

花陽「うん!多い方が楽しいもんね」


希「けど、たまには2人っきりも良かったんやない?」

凛「えへっ、えへへへ」
花陽「みてみて!現地でお揃いの水着を買っちゃった!」

凛「写真もいっぱい撮ったにゃー」

花陽「お魚もフルーツも美味しかったし…何より嬉しかったのがお米が食べられること!」

凛「うん!凛もラーメン屋さんがたくさんあってびっくりしたにゃー」

花陽「ご飯には困らなかったね」
凛「うん!現地の人も陽気で楽しかったにゃー」


絵里ち 「陽気な現地の人に、現地でお揃いの水着…?」

ことり「美味しいお魚に?」
海未「美味しいフルーツ…」

51: 2016/05/24(火) 23:01:09.85 ID:HayKESCx.net
真姫「まさか…うそでしょ…!」

にこ「あんた達!どこにいってたのよ!」


凛・花陽「南の国」

にこ「やっぱり!!」


凛「はい、これみんなにおみやげにゃー」
花陽「ふふっ、可愛いでしょ?」

真姫「えぇ、とっても…じゃなくて!!
絵里「待って…飛行機で南の島に行っていたの?」


凛「うん!2人でずーっと海で遊んだりしたもんね!」

花陽「うっとりしちゃうくらい綺麗な海だった…えーっとその時の写真は…」

ことり「みたいみたい!…じゃなくて……修行は…?」



凛・花陽「へ?」



にこ「気持ちがいいほどキョトン顏じゃない」

絵里「まさかとは思うけど…えーっと……凛と花陽はこの一週間、一体何をしていたの?」


凛・花陽「旅行だよ!」

凛「南の島でバカンスにゃ!」
花陽「楽しかったよね」にこにこ
凛「うん!」


真姫「バカンスって…ヴェェ?」

海未「まったく…いいですか?バカンスは修行ではありません!」


絵里「けど…あれよね。2人で計画して2人で楽しんで2人っきりで帰ってきたならそれはちょっとした冒険よ」


にこ「なるほど…一理あるわね」

海未「確かに…そうなると一週間のバカンスも修行に値するかもしれません」


凛「あっ!希ちゃんありがとにゃー」

希「ふふっ、楽しかった?」

凛「うん!」

52: 2016/05/24(火) 23:08:46.13 ID:HayKESCx.net
花陽「希ちゃんが事前に手配してくれてたツアーは完璧だったよ!現地のガイドさんもずーっと付き添ってくれてたし、道に迷うこともなかったよね」


凛「うん!海外は怖いところだからって希ちゃんが手配してくれたボディーガードの人達がずーっとついててくれたし、なんのトラブルもなかったにゃー」


花陽「帰りの飛行機も手配してくれてたし」

凛「たっぷり遊んでも帰れるくらいの額のお小遣いももらったにゃー」


花陽「安心安全の2人旅でした」にこっ

凛「って、絵里ちゃんたち…希ちゃんから聞いてなかったのかにゃー?」


絵里「ふふっ…そうだったわね。2人でバカンス…うん。…そうだ。希…ごめんなさい。ちょっといいかしら?」

希「うん。どうしたん?」


絵里「希…あのね、希が1番過保護よ」

希「なんやって!?」

海未「当然です!!」

真姫「2人に最高のバカンスをプレゼントしただけじゃないのよ!!」


凛「今度はみんなでいくにゃー」
ことり「うん!絶対に行こうねっ」
花陽「はぁ…今から楽しみだな…」




ゴルゥゴォォォォォドォン!!!!!

花陽「えっ…きゃあっ!」

にこ「これは一体何事!?」


絵里「変ね…何の音かしら…?」

56: 2016/05/24(火) 23:18:20.71 ID:HayKESCx.net
ことり「分からない…けど、城下町のほうで聞こえたと思う」

希「何があったんや…」


凛「かよっちへ!」
花陽「凛ちゃんっ…!」

凛「大丈夫…凛もみんなもいるから!」
花陽「うんっ!」


ダッダッダッダッダッダッダ…


ガチャ!

穂乃果「大変だよ!みんな!」

海未・真姫「穂乃果っ!」
ことり「穂乃果ちゃん!」

絵里「穂乃果…一体これは何事なの!?」


穂乃果「あっ、凛ちゃん花陽ちゃん!おかえりー!!」

花陽「うん。ただいま帰りました」
凛「ただいまにゃー」

穂乃果「2人の修行が終わったってことだね…?うん、意外と早かったみたいでよかった」

ことり「それがね…修行じゃなくて…」
海未「ことり、説明はあとです。」
ことり「…そうだね!穂乃果ちゃん、一体どうしたの?」


穂乃果「そうなの!あのね、信じられないくらい大きくて引くほど強いあの伝説の魔物が国を襲ってきたんだよ!!」

絵里「なんですって!?」


ことり「あの伝説の?」

57: 2016/05/24(火) 23:24:46.52 ID:HayKESCx.net
真姫「あの首と顔が6つくらいある、ちょっとしたキング何とかギドラみたいなあの!」

海未「信じられないくらい大きい…あの伝説の!」

希「とてつもない火を吐いたりするあの伝説の!!」

にこ「引くくらい強いあの伝説の!?」


穂乃果「そう!あの伝説の魔物だよ!」

海未「このままでは町が火の海に…」

絵里「そんなことさせない!」

にこ「あったりまえでしょ!」



絵里「ついにこの日が来たのね…。この国を守るためなら命を惜しまない…私がいくわ!」


希「エリチ…無理や!」

海未「そうです!伝説の魔物です…たとえ絵里でも1人では歯が立ちません!…私も行きます!


絵里「…いいの?命の保証はないわよ」


海未「勿論です」

真姫「2人で勝手なこと言わないで!私も行くわよ!」

58: 2016/05/24(火) 23:26:12.73 ID:HayKESCx.net
穂乃果「穂乃果も行くよ!」

ことり「私も戦う!」
希「勿論…うちも戦う!」

にこ「なーにカッコつけてるのよ!絵里にだけ任せてられない…勿論、にこも行くんだからね!」


絵里「みんな…ありがとう」

海未「早くしないと…もう時間がありません…」


穂乃果「うん…!みんな、生きてお城に帰って来ようね!!」


ことり「うん!」
にこ「あったりまえよ!」


絵里「では…いくわよ!!」


凛「ちょっと待って!!」

絵里「凛はここにいなさい」

凛「いやだ!」

希「凛ちゃんはお城で花陽ちゃんのことを守ってて…いいね?」


花陽「必要ないよ!花陽は…自分の身ぐらい自分で守れる!!」


花陽「凛ちゃん…」
凛「うん…」コクン


凛「みんなここで待ってて…凛達が行ってくる」


ことり「えっ…2人が?」
海未「無茶です!」

59: 2016/05/24(火) 23:50:23.95 ID:HayKESCx.net
絵里「駄目よ!あなた達2人には無理だわ!」

にこ「つい最近までこの国から出たことがなかったあんた達に勝てる相手じゃないわよ!」


凛「そこは大丈夫にゃー。ね、かよちん」

花陽「うん!」


穂乃果「だめだよ!」
真姫「凛と花陽でどうにかなる相手じゃない!」


凛「大丈夫!凛とかよちんはすーっごく強いんだよ!レベルでいうと100万くらいかな」


海未「…へっ?」
真姫「えっ…?レベルって…あのレベル?」

穂乃果「経験値っぽいものを貯めたら上がる…あのレベルのこと?」


凛「うん!そのレベル!」


にこ「MAXの相場が99なのに…レベル100万って…それほぼチートの域じゃない!!」

絵里「あなた達…一体何をしたの?」


花陽「あのね…ずーっと秘密にしてたんだけど…。私たち、いずれはこの国の一番偉い人になって、大好きな人たちを守らなきゃいけないでしょ?」


凛「剣や魔法の稽古はしてたよ?けど…やっぱり実戦と稽古じゃ違うにゃ。だから…みんなの目を盗んでよく国から抜け出して冒険してたんだにゃー」

花陽「樹海の真ん中や、砂漠の真ん中らへんにねっ」

希「たった2人で…?」
花陽「うん!」

真姫「どうやって行ったの?」

花陽「私のルーラ的な魔法でだよ!」


希「そんな…あぶないやん!」

凛「うん。最初は大変だったにゃ。」

花陽「うん…一番弱い魔物を倒すのも困難だったんだ」

60: 2016/05/25(水) 00:01:26.79 ID:M8IL/qG3.net
凛『にゃぁぁ!!凛の攻撃がぜんぜん効いてないにゃあ!』

花陽『ピャア!だめっ…私の魔法もぜんぜん効いてない!』


凛『わぁぁぁぁぁ!!!』

花陽『ダレカタスケテェェ!!!』


海未「2人で魔物と闘ったと…?」
凛「うん!」

海未「大丈夫ですか!怪我は!!」

花陽「ずーっと前のことだよ?もう治ってるよ…」

凛「それに、怪我は全部かよちんが治してくれたにゃー」


花陽「うん。気がついたらね、ザオリク的な技が10万回使える魔法使いになってたの…」

凛「それだけじゃないよ!今のかよちんはザラゾーマ的な技だって10万回つかえるにゃー」

にこ「さすがレベル100万ね!すごさがイマイチ伝わらない!!」

希「未知の数字やからね!仕方ないやん!」


凛「魔物にも手こずったけど、盗賊にも捕まったよね」

花陽「うん…」
穂乃果「盗賊に捕まっちゃったの!?」

真姫「はぁ?盗賊に捕まったですって?どこの盗賊よ血祭りにしてあげるから」

にこ「真姫ちゃんが静かに怒ってるけど…どうやって切り抜けたの?」


凛「えーっと…たしか」

61: 2016/05/25(水) 00:03:44.89 ID:M8IL/qG3.net




花陽『わ…私たちはお金なんて持っていません!』

凛『だから言ってるにゃ!なにも持ってないよ!!』

花陽『持ってるものといえば魔物を倒すともらえるキラキラした薄っぺらい丸いものくらい…』

凛『そうにゃ!袋に入れたらジャラジャラするキラキラした薄っぺらい丸いものくらいにゃ!』


花陽・凛『えぇっ!これがお金なの!?』




ことり「えぇっ!?それでどうなったの?」

花陽「うん。あの頃はまだ弱かったし…お金を全部渡して納得してもらったんだ」

凛「けど大丈夫!強くなって、もう一度リベンジしに行ったにゃ!」

花陽「ちゃんとやっつけて警察につきだしたんだよー」


海未「その盗賊ってまさか…あの!」

にこ「あぁっ!信じられない額の懸賞金がついてたあの盗賊団のこと!?」

ことり「嘘っ…」



真姫「噂になっていた勇者と魔法使いって…凛と花陽の事だったの?」

凛「みんな詳しいにゃー」
穂乃果「えっ?懸賞金はどうしたの?すごい額だったでしょ?」


凛「お腹が減ってるって子たちにあげた」
穂乃果「えぇぇ!!!」

花陽「すごく喜んでくれたよね。嬉しかったな…」
凛「うん!」


絵里「どうしてそんな危険なこと…実戦もろくに積んでいない2人が勝手に外を歩くなんて…一歩間違えれば怪我だけじゃ済まなかったはずよ?」


絵里「どうしてそんな危険な真似を…!!」


凛「みんなを守りたかったから」

真姫「私たちを…?」


凛「うん!みんなを守るために強くなりたかった!!

62: 2016/05/25(水) 00:08:13.92 ID:M8IL/qG3.net
穂乃果「…怖くなかったの?」


花陽「うん。みんなのことが大好きだから…もし、命を落としたとしてもそれも運命かなって…」


ことり「花陽ちゃん…」



凛「外の世界に出た事は後悔してないよ。凛達は世間知らずだった…それじゃあ、この国の一番偉い人になんて絶対になれないもん!」

花陽「怖かったしすごく不安だった…怪我だって何度もしたよ?何度もくじけそうだった…けど、その時は…」


凛「みんながいてくれたから…みんなが優しくしてくれたから…凛達のことを愛してくれたから頑張れたよ!」

絵里「……」


花陽「真姫ちゃんは、私たちがうたた寝した時…いつも優しく毛布をかけてくれる」

花陽「真姫ちゃん…いつもありがとう」


凛「ことりちゃんにチーズケーキを焼いた事があったんだけど…あれ、あんまり美味しくなかったよね?それなのに全部美味しいって食べてくれたにゃー」

凛「ことりちゃん!ありがとうにゃー」


花陽「穂乃果ちゃんと凛ちゃんと3人で行った遊園地…すごく楽しかった…。連れて行ってくれてありがとう」

花陽「穂乃果ちゃん…大好きだよっ」


凛「海未ちゃんはすーっごく厳しいにゃ!けど…熱が出た時は一番心配してくれるにゃー」

凛「そんな海未ちゃんが大好きにゃー」

63: 2016/05/25(水) 00:10:26.73 ID:M8IL/qG3.net
花陽「にこちゃんは花陽に色んなことを教えてくれます!尊敬してます!…少し……ううん。すごく…厳しいところもあるけど…」


花陽「にこちゃん…大好きだよっ」


凛「希ちゃんも!旅行の手配も全部してくれてた…旅行だけじゃないよ!いつも、何から何までお世話になりっぱなしにゃ…」


凛「いつも頼りにしちゃってごめんね…凛は希ちゃんが大好きにゃ!」


花陽「えっと…」
凛「かよちん…。」
花陽「うん…」


凛・花陽「絵里ちゃん…」

絵里「……なに?」

凛「勝手なことしてごめんなさい…」


絵里「…本当よ。もし、あなた達2人に何かあったら私は……」

花陽「ごめんなさい…」


凛「凛達…絵里ちゃんみたいに強くないし…賢くもないよ」

花陽「まだまだ…絵里ちゃんみたいにすごい人にはなれない…けどね!この国が大好きなんだ。住んでる人たちも…ここにいるみんなも!」


凛「だから…凛達は命をかけて大好きなものを守るにゃ!」


凛「絵里ちゃんがしてきたみたいに!」

花陽「みんながしてきたみたいに!」


凛「絵里ちゃん大好きにゃー」ぎゅっ
花陽「絵里ちゃんだいすき!」ぎゅーっ


凛・花陽「みーんな大好きだよ!!」

64: 2016/05/25(水) 00:13:08.60 ID:M8IL/qG3.net
凛「だから…凛達の成長したところをみてて!」

花陽「あの程度の魔物ならあっという間に倒してみせます!」

にこ・穂乃果「(あの程度…)」ゴクリ
海未・ことり「(伝説の魔物を…)」
希・真姫「(あの程度…)」



絵里「…そう。なら早く行きなさい。2人で倒せる…そう言ったからにはやり遂げるのよ。私たちは一切手伝わないから」


凛「うん…当然にゃ」

花陽「凛ちゃん…いくよ!」
凛「うん!!」


花陽「私のルーラ的な魔法で魔物のとこまでひとっ飛びだよ!」

凛「にゃー。じゃあいってきます!!」
花陽「いってきます!」

凛「にゃー!」



絵里「いつの間にか…あんなにも頼もしくなっていたのね」

真姫「結局…私たちなんかいなくても2人は強くなれたってわけ」

希「ううん。それは違うんやない?」
真姫「えっ…」


絵里「2人を遠くに置き去りにする計画は大失敗に終わった…けれど、私たちは間違っていなかった」


絵里「その証拠に…凛と花陽は自らの意思であんなにも強くなったわ」

穂乃果「凛ちゃんと花陽ちゃんは…穂乃果たちを守るために強くなってくれた…こんな嬉しいことってないよね!」

ことり「…うんっ!そうだね!」


海未「私たちのやり方は間違っていなかった…」


にこ「に、してもよ…」

65: 2016/05/25(水) 00:16:42.21 ID:M8IL/qG3.net
グルゥァァァ!

ドゥグワァァ!!!

ギィャァァァァァ!!!


凛「まだまだにゃ!」
花陽「ピャア!」


グリャァァァァァァァァ!!!!!!!





にこ「引くほど強い魔物より引くほど強い2人って…どうなの!?」


絵里・希・穂乃果・真姫・海未「……」


にこ「認めたくないけど…人類最強なんじゃない?」


絵里「……」

ことり「…そう……だね」



凛「わーい!伝説の魔物をやっつけたにゃー」


花陽「やったね凛ちゃんっ!」

凛「うん!」

66: 2016/05/25(水) 00:20:26.30 ID:M8IL/qG3.net




絵里「本当に行ってしまうの…?」


凛「うん。もう決めたことだから」

花陽「もっともっと強くなるために旅に出てくるね!」


穂乃果「(今より強く…)」ゴクリ…
にこ「(すでに最強じゃないの!)」



凛「2人ですごく遠くに行ってくるにゃ」

花陽「遠くには引くくらい強い魔物や、引くくらい悪い盗賊ががうじゃうじゃいるんだよ」


凛「全部倒してくるにゃ!」

希「そっか…止めても無駄なんやね」

凛「うん!いつかこの国に来るかもしれないもん。来る前に全部やっつけることにしたんだ!」

花陽「もう決めたことだから…」


海未「そうですか…くれぐれも気をつけてください。凛も花陽も強くなりました…それもとてつもなく…」

凛「えへへ。照れるにゃー」

海未「ですが力に溺れることなく…弱い人たちの味方であり続けてください」


凛「もちろんにゃ!」

ことり「気をつけてね!怪我だけには気をつけてね」

花陽「大丈夫!どんな怪我でも治せるから」
ことり「すごい説得力…うん。じゃあ元気でね」


穂乃果「凛ちゃん…花陽ちゃん…ファイトだよ!!」


凛「うん!」

67: 2016/05/25(水) 00:20:43.15 ID:M8IL/qG3.net
にこ「いい?やるって言ったからには本気でやりなさい」
真姫「がんばりなさいよ!」

花陽「うんっ!」


絵里「寂しくなるわね…」
花陽「私も寂しい…」
凛「うぅぅ…凛も寂しいにゃ…」

希「エリチ…」
絵里「えぇ、分かってるわ…」



絵里「くれぐれも気をつけて…いいわね?」

凛「うん!」
花陽「じゃあ行ってきます!」


絵里「行ってらっしゃい!…と、言いたいところだけど…」


絵里「私たちからひとつだけ条件があるの」


凛・花陽「えっ?」

絵里「それはね…」

68: 2016/05/25(水) 00:27:47.09 ID:M8IL/qG3.net





凛「ふぅ…口ほどにもなかったにゃ。」

花陽「伝説の魔物ってたいしたことないねー」

凛「凛なんかデコピンで倒しちゃったよー。さてと、じゃあ次の伝説の魔物は…」


花陽「あっ!凛ちゃん…!!」
凛「えっ?もう?」

花陽「うん!ど、どうしよう!!」


凛「これは…か…かよちん!大変にゃ!!」

花陽「うぅぅ…いやぁぁ!ダレカタスケテェェェ!!!」

69: 2016/05/25(水) 00:31:02.32 ID:M8IL/qG3.net




絵里「行ってしまったわね…」チラッ

希「そうやね…」チラッ


絵里「……はぁ」


絵里「…」チラッ
希「…」チラチラ

穂乃果「…」じーっ
海未「…」チラッ…チラッ
ことり「…」じーっ

にこ「…」じーっ
真姫「…」チラチラ…



ドンッ!

絵里「……はぁ、まったく」



凛「はぁ…はぁ…絵里ちゃん…みんな…」


花陽「はぁはぁ…」

70: 2016/05/25(水) 00:32:10.13 ID:M8IL/qG3.net
絵里「……今更…なに?」

花陽「うっ…」
凛「えっと…」


絵里・希・穂乃果・海・ことり・真姫・にこ「4時30分までには戻ってきてっていったでしょ!!」

絵里「すでに5時よ!」


花陽「はぅぅ…今時4時30分門限なんてないよぉ…」

凛「それに、毎日夕方に帰宅する修行の旅なんてきいたことないよ!」



絵里「だめよ!これだけは譲れないわ!」

希「伝説の魔物や悪い盗賊団を全部倒す旅なんて危ないやん?」

ことり「これでも我慢してる方だよ!」

穂乃果「本当は3時には帰ってきてほしいんだよ!」

海未「2人を甘やかしてはいけない…みんな心を鬼にして門限は4時30分にしようと会議で決めたんです」

真姫「確かに門限がある旅なんて聞いたことないかもしれないわ…でも、凛と花陽の顔を見ない1日なんてありえない!」

にこ「そんなの…寂しすぎるでしょ!」


絵里・希・真姫・ことり・海未・にこ「ずっと目の届くところにいてほしいの!!」



花陽「ふふっ、もうっ、みんな…」


凛「ほんと過保護だにゃー」


おわり

71: 2016/05/25(水) 00:33:36.68 ID:nI/kdw5f.net

とても癒された

73: 2016/05/25(水) 00:38:14.36 ID:XSULlPnQ.net
過保護な仲良しで大変すばらしかった
おつおつ

90: 2016/05/25(水) 21:44:25.39 ID:M8IL/qG3.net
過去作

凛「あぁ憧れのスクモンマスターに」
http://hope.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1441556471/
凛「あぁ憧れのスクモンマスターに」
http://hope.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1443492119/
ことり「あぁ憧れのスクモンマスターに」
http://hope.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1456576968/

花陽「ハロウィンだから凛ちゃんの仮装をするよ」
http://hope.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1446286863/l50

天の声「勇者よ…闘いの時がきた!」凛「zzzzzz…にゃ?」
http://hope.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1451145789/
天の声「勇者よ…闘いの時がきた!」凛「zzzzzz…にゃ?」2
http://hope.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1452493635/

凛「バレンタインデーさん?」希「そうや」
http://hope.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1455796566/

凛「3人合わせて!」希・海未・凛「怪盗リリホワ団!」
http://hope.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1456017816/

凛「えっ…みんなで桃太郎?」
http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1458837273/?v=pc

花陽「はぁ…また穴に落ちちゃった…」
http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1460624495/?v=pc

いつも同じでごめんなさい

引用: 絵里「凛と花陽を置き去りにしてきて欲しいの」