1: 2009/04/23(木) 13:34:21.95 ID:qv6ULQoP
01_同僚女「おーい、おとこ。起きろ、起きろー」
02_同僚女「やっぱり二人っきりになっちゃったね」
03_同僚女「うちから、ウォリアー取っちゃダメだよ」
【あらすじ】
ブラック系IT企業でデータ変換業務を行なう男は
神楽坂班のプロジェクトマネージャー。
歴戦のウォリアー女先輩(指先から唐揚げを出したい)
陽気な同僚のB男(さすらいの忍者マスター。灰は消失に通じる)
口数少ないC男(捨てることに対する美学をもった職人)
そして新規加入した新人女(スイーツでゆとりでとろくさい)
をくわえた5人パーティー。
なんだかんだでうだうだ底辺仕事をやってた五人だが
池袋で働いていた同僚パーティーが壊滅したことから仕事量が急増。
不穏な空気が流れ始める。
こなしてもこなしても終わらない仕事。悪いのは誰だ?
上司か、会社か、クライアントか……?
それとも男が悪いのか?
萌え成分皆無。えろ成分なっしんぐ。
現代日本における残酷唐揚げ童話。
あけてもあけてもまた徹夜なブラック物語。
02_同僚女「やっぱり二人っきりになっちゃったね」
03_同僚女「うちから、ウォリアー取っちゃダメだよ」
【あらすじ】
ブラック系IT企業でデータ変換業務を行なう男は
神楽坂班のプロジェクトマネージャー。
歴戦のウォリアー女先輩(指先から唐揚げを出したい)
陽気な同僚のB男(さすらいの忍者マスター。灰は消失に通じる)
口数少ないC男(捨てることに対する美学をもった職人)
そして新規加入した新人女(スイーツでゆとりでとろくさい)
をくわえた5人パーティー。
なんだかんだでうだうだ底辺仕事をやってた五人だが
池袋で働いていた同僚パーティーが壊滅したことから仕事量が急増。
不穏な空気が流れ始める。
こなしてもこなしても終わらない仕事。悪いのは誰だ?
上司か、会社か、クライアントか……?
それとも男が悪いのか?
萌え成分皆無。えろ成分なっしんぐ。
現代日本における残酷唐揚げ童話。
あけてもあけてもまた徹夜なブラック物語。
2: 2009/04/23(木) 13:35:22.53 ID:qv6ULQoP
【こんかいのぱーてぃー】
・男:体力5 精神力5 技術5 集中力3 把握力5 黒さ5
ぷろじぇくとまねーじゃー。みかけよりくろい。
・女:体力4 精神力5 技術5 集中力5 把握力3 黒さ1
からあげおんな。ぼうりょくがとくい。うぉりあー。
・B男:体力5 精神力4 技術3 集中力5 把握力2 黒さ4
にんじゃ。ごびがござる。いがいにも、おとなだ。
・C男:体力4 精神力3 技術3 集中力4 把握力1 黒さ1
はいきせいじん。をたく。おんなにほれている。
・新人:体力3 精神力3 技術2 集中力2 把握力3 黒さ2
すいーつ。そしてゆとり。なにかになりたい、あこがれるきもち。
・男:体力5 精神力5 技術5 集中力3 把握力5 黒さ5
ぷろじぇくとまねーじゃー。みかけよりくろい。
・女:体力4 精神力5 技術5 集中力5 把握力3 黒さ1
からあげおんな。ぼうりょくがとくい。うぉりあー。
・B男:体力5 精神力4 技術3 集中力5 把握力2 黒さ4
にんじゃ。ごびがござる。いがいにも、おとなだ。
・C男:体力4 精神力3 技術3 集中力4 把握力1 黒さ1
はいきせいじん。をたく。おんなにほれている。
・新人:体力3 精神力3 技術2 集中力2 把握力3 黒さ2
すいーつ。そしてゆとり。なにかになりたい、あこがれるきもち。
3: 2009/04/23(木) 13:35:36.41 ID:qv6ULQoP
――5/28、火曜日 14:00 神楽坂作業室
女「……おっけ。いいよー、このまま進めて」
新人女「……。ん」
新人女:カタカタカタ
C男「了解」
女「えーっと……。ふぅ」
女:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「……大丈夫ですか? 女さん」
女「へ? なんで?」
女:カタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「いえ。体調」
女「へいきへいき。うち、ウォリアだもん」
新人女「でも、顔色悪いです」
女「……おっけ。いいよー、このまま進めて」
新人女「……。ん」
新人女:カタカタカタ
C男「了解」
女「えーっと……。ふぅ」
女:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「……大丈夫ですか? 女さん」
女「へ? なんで?」
女:カタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「いえ。体調」
女「へいきへいき。うち、ウォリアだもん」
新人女「でも、顔色悪いです」
4: 2009/04/23(木) 13:36:07.86 ID:qv6ULQoP
女「まぁ、時期がね。忙しいから体力はきついけどね」
新人女「はい」
C男「――」
女:カタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女「笑えているうちは平気」
新人女「?」
女:カタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女「いやね。人間、忙しいから気持ちが折れるんじゃないよね。
笑えないから、気持ちが折れるんだよ。
だから、忙しくても笑うんよ。そうすれば、平気」
新人女「――」
C男「サボりマネジは捨てよう」
女:カタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女「男はクライアント回ってる。締め切り交渉含めて。
うちらには出来ない仕事してるんだよ」
新人女「はい」
C男「――」
女:カタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女「笑えているうちは平気」
新人女「?」
女:カタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女「いやね。人間、忙しいから気持ちが折れるんじゃないよね。
笑えないから、気持ちが折れるんだよ。
だから、忙しくても笑うんよ。そうすれば、平気」
新人女「――」
C男「サボりマネジは捨てよう」
女:カタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女「男はクライアント回ってる。締め切り交渉含めて。
うちらには出来ない仕事してるんだよ」
5: 2009/04/23(木) 13:36:40.04 ID:qv6ULQoP
新人女「……」にこっ
C男「!?」
女「うん、そうだよ。くわ、新人女ちゃんは反則だなっ。
その微笑みで何人犠牲者にしてきたことか」
新人女「……こんなの役に立たないですよ」
女:カタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女「そうなん?」
新人女「欲しくないものが増えて、
欲しいものとは交換できないです」
女「いや、それも大概リア充な意見だと思うけど」
新人女「……」
女:カタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女「ね、C男も可愛いと思うよね」
C男「戦場豚はかわいさを捨てる」
C男「!?」
女「うん、そうだよ。くわ、新人女ちゃんは反則だなっ。
その微笑みで何人犠牲者にしてきたことか」
新人女「……こんなの役に立たないですよ」
女:カタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女「そうなん?」
新人女「欲しくないものが増えて、
欲しいものとは交換できないです」
女「いや、それも大概リア充な意見だと思うけど」
新人女「……」
女:カタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女「ね、C男も可愛いと思うよね」
C男「戦場豚はかわいさを捨てる」
6: 2009/04/23(木) 13:36:55.13 ID:qv6ULQoP
新人女「ほら」
女「そこは空気を読め、C男っ!」べきっ
C男「……かわ、いい」
女:カタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女「――わらにでもすがるって言うかさ。なんにも
出来ないときは、せめて笑うくらいしないと。
それくらいしか身内にしてやれない時ってのもね。
あったりしちゃう困った業界なんだな」
新人女「……」
女:カタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
C男「……そうだ」ニカッ
女「あんたは笑わないでいいや。けふんっ」
新人女「……」
女「そこは空気を読め、C男っ!」べきっ
C男「……かわ、いい」
女:カタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女「――わらにでもすがるって言うかさ。なんにも
出来ないときは、せめて笑うくらいしないと。
それくらいしか身内にしてやれない時ってのもね。
あったりしちゃう困った業界なんだな」
新人女「……」
女:カタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
C男「……そうだ」ニカッ
女「あんたは笑わないでいいや。けふんっ」
新人女「……」
7: 2009/04/23(木) 13:37:07.44 ID:qv6ULQoP
――5/29、水曜日 9:00 神楽坂作業室
ピ口リ
C男「メール着信」
女「あー。うちだ。仕事のにはアラーム設定してある」
女:カタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
新人女「男さんでしょうか? でも今日は直行で蕨って
行ってましたよね」
女「なんか訂正じゃないのかなー? んーっと」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女「……」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女「……っ」
新人女「どうされました?」
ピ口リ
C男「メール着信」
女「あー。うちだ。仕事のにはアラーム設定してある」
女:カタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
新人女「男さんでしょうか? でも今日は直行で蕨って
行ってましたよね」
女「なんか訂正じゃないのかなー? んーっと」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女「……」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女「……っ」
新人女「どうされました?」
8: 2009/04/23(木) 13:37:24.31 ID:qv6ULQoP
C男:カタカタカタカタ
女「ん」
新人女「……」
C男:カタカタカタカタ
女「仕様漏れ。……設計前でトラブってる」
C男:ぴたり
新人女「よく判りません」
C男「……いつの? 何件?」
女「池袋が持ってた仕事。もうほとんど終わらせてた。
件数は10万以上。ってか、データ構造に手をつけて
リテイクだ」
新人女「……?」
C男「――捨てよう。捨てる。いや捨てさせる」
新人女「……??」
女「後ろから撃たれるんか……。あはは」
どくん
女「ん」
新人女「……」
C男:カタカタカタカタ
女「仕様漏れ。……設計前でトラブってる」
C男:ぴたり
新人女「よく判りません」
C男「……いつの? 何件?」
女「池袋が持ってた仕事。もうほとんど終わらせてた。
件数は10万以上。ってか、データ構造に手をつけて
リテイクだ」
新人女「……?」
C男「――捨てよう。捨てる。いや捨てさせる」
新人女「……??」
女「後ろから撃たれるんか……。あはは」
どくん
9: 2009/04/23(木) 13:38:05.23 ID:qv6ULQoP
新人女「トラブルなんですか?」
C男「……捨てよう」
女「ま、ね。うん。この件はうちと男で相談するから。
いまのところは、目の前の仕事進めておいて」
どくん どくん
新人女「はい。……女さん?」
女「へ?」
新人女「いえ、汗が」
女「もう暖かいしね。ちょい、たんまね」
どくん どくん
C男「本部に行って首の十や二十は捨てたい」
女「ま、ま。そう言わないで。えへへ」
どくん どくん
女「だいじょぶ。うち、せふせふ」
新人女「……っ」
C男:カタカタカタカタガガガ
C男「……捨てよう」
女「ま、ね。うん。この件はうちと男で相談するから。
いまのところは、目の前の仕事進めておいて」
どくん どくん
新人女「はい。……女さん?」
女「へ?」
新人女「いえ、汗が」
女「もう暖かいしね。ちょい、たんまね」
どくん どくん
C男「本部に行って首の十や二十は捨てたい」
女「ま、ま。そう言わないで。えへへ」
どくん どくん
女「だいじょぶ。うち、せふせふ」
新人女「……っ」
C男:カタカタカタカタガガガ
10: 2009/04/23(木) 13:39:09.41 ID:qv6ULQoP
――5/29、水曜日 13:00 神楽坂作業室
男「ん。概要はわかった。で、電話は誰から?」
女「部長」
男「……おっけ。ま。仕事してて」
女:カタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
男「もしもし? はい。神楽坂です。はい、お疲れ様です。
部長いますか? はい、おねがいします」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女「……」すとん
女:カタカタカタカタカタ
男「はい。話の概要を聞きました。――はい? はい。
ふむ。はい。……そうです。はい。
――要件定義ですよね? それは」
男「ふむふむ。うちに降りてきている書類では、
前回のデータ構造ですよ。
いえ、僕はそのクライアントとはお会いしてないんです」
C男「ボクを捨てよう」
男「ん。概要はわかった。で、電話は誰から?」
女「部長」
男「……おっけ。ま。仕事してて」
女:カタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
男「もしもし? はい。神楽坂です。はい、お疲れ様です。
部長いますか? はい、おねがいします」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女「……」すとん
女:カタカタカタカタカタ
男「はい。話の概要を聞きました。――はい? はい。
ふむ。はい。……そうです。はい。
――要件定義ですよね? それは」
男「ふむふむ。うちに降りてきている書類では、
前回のデータ構造ですよ。
いえ、僕はそのクライアントとはお会いしてないんです」
C男「ボクを捨てよう」
11: 2009/04/23(木) 13:39:29.59 ID:qv6ULQoP
男「管理部の人間は呼ばれていませんよ。え? ああ。
池袋班が? なるほど……。はい」
女「……っ」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
男「そうなりますね。……いえ、お受けできないです。
体力? ……は、まぁ、はい。相当きついですが。
それは今回のボトルネックではないですよ。
はい、はい……」
男「いえ、そうではないです。
ただし、このリテイクの作業を行うとなると、現在業務に
手をつけている7社分はすべて期限内の実行が
不可能となります。体力よりも、すでに実時間レベルの
問題になっていますから……。はい」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
男「もちろんです、はい。……そうなりますね。
池袋班? ……池袋班は、実働体制にないですよね。
人数補充の予定は先週でしたが……。いえ、聞いていません。
はい。……そうですか」
池袋班が? なるほど……。はい」
女「……っ」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
男「そうなりますね。……いえ、お受けできないです。
体力? ……は、まぁ、はい。相当きついですが。
それは今回のボトルネックではないですよ。
はい、はい……」
男「いえ、そうではないです。
ただし、このリテイクの作業を行うとなると、現在業務に
手をつけている7社分はすべて期限内の実行が
不可能となります。体力よりも、すでに実時間レベルの
問題になっていますから……。はい」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
男「もちろんです、はい。……そうなりますね。
池袋班? ……池袋班は、実働体制にないですよね。
人数補充の予定は先週でしたが……。いえ、聞いていません。
はい。……そうですか」
12: 2009/04/23(木) 13:40:01.86 ID:qv6ULQoP
男「いえ。そうですね。……では直接伺ってみます」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
男「そう言う訳にも行きませんよ。
あははは……はい、仕事ですから。
えっと、その足で開発に回って、時間があったら
そちらにお邪魔しても良いですか?」
女「……っ」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
男「いえいえ。では、そうですね。はい。
17:00過ぎにはお伺いできると思います」
新人女「……」 C男「……」
女「あんな。……どうやった?」
男「やっぱ出向いて聞かないと判らないかな。
――やだなぁ。
そう思い詰めた顔しないで。先輩らしくもない。あはは」
男「こんな逆境今までいくらでもあったでしょ?
話聞いてきますから」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
男「そう言う訳にも行きませんよ。
あははは……はい、仕事ですから。
えっと、その足で開発に回って、時間があったら
そちらにお邪魔しても良いですか?」
女「……っ」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
男「いえいえ。では、そうですね。はい。
17:00過ぎにはお伺いできると思います」
新人女「……」 C男「……」
女「あんな。……どうやった?」
男「やっぱ出向いて聞かないと判らないかな。
――やだなぁ。
そう思い詰めた顔しないで。先輩らしくもない。あはは」
男「こんな逆境今までいくらでもあったでしょ?
話聞いてきますから」
13: 2009/04/23(木) 13:40:20.89 ID:qv6ULQoP
――5/29、水曜日 20:00 神楽坂作業室
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女:カタカタカタカタ
新人女「帰ってきませんね。男さん」
C男「捨てよう。マネジは」
女「……」
C男「マネジが仕事断れないから、
俺たちが地獄に捨てられる」
新人女「……」
C男「俺たちががんばっても全力だしても、
終わらないし、終わらせられない。
それなら捨てるのが正しい。捨てよう」
新人女「……」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女:カタカタカタカタ
どくん
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女:カタカタカタカタ
新人女「帰ってきませんね。男さん」
C男「捨てよう。マネジは」
女「……」
C男「マネジが仕事断れないから、
俺たちが地獄に捨てられる」
新人女「……」
C男「俺たちががんばっても全力だしても、
終わらないし、終わらせられない。
それなら捨てるのが正しい。捨てよう」
新人女「……」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女:カタカタカタカタ
どくん
14: 2009/04/23(木) 13:40:36.42 ID:qv6ULQoP
C男「M野の仕事なんだし。拾うのが間違い」
女「そうやんね。けふんっ」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女:カタカタカタカタ
女「うちも、そうやって男を何回も、
あの会議に行かせたなぁ。たくさんやった」
C男「マネジが断れば、それで丸く収まる」
女「そやな。そうかもしれないね……けど。
そしたら、男は首にされて、
次はうちがマネジやるんだろな……。けふんっ」
C男「そうすれば無茶な仕事しないで済む」
女「そかな。うち、もたんと思う。それこそ一月さえ」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタガ
女:カタカタカタカタ
女「そうやんね。けふんっ」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女:カタカタカタカタ
女「うちも、そうやって男を何回も、
あの会議に行かせたなぁ。たくさんやった」
C男「マネジが断れば、それで丸く収まる」
女「そやな。そうかもしれないね……けど。
そしたら、男は首にされて、
次はうちがマネジやるんだろな……。けふんっ」
C男「そうすれば無茶な仕事しないで済む」
女「そかな。うち、もたんと思う。それこそ一月さえ」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタガ
女:カタカタカタカタ
16: 2009/04/23(木) 13:40:58.15 ID:qv6ULQoP
女「うちが辞めたら、B男かな。C男かな。けふっ」
新人女「……」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタガガ
女:カタカタカタカタ
女「大根おろしみたいに、一人ずつ削り取られて、
誰もいないようになってしまうと思うんだよ」ぽそり
新人女「……」 C男「……」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタガガガガ
女:カタカタカタカタ
女「だから……」
C男「だから、仕方ない?」
C男「いつも、いつまでも、ずっと使い捨て」
C男「捨てられて、捨てられて、仕方ない?」
C男「――笑止。マネジが弱い、捨てるべき」
新人女「……」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタガガ
女:カタカタカタカタ
女「大根おろしみたいに、一人ずつ削り取られて、
誰もいないようになってしまうと思うんだよ」ぽそり
新人女「……」 C男「……」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタガガガガ
女:カタカタカタカタ
女「だから……」
C男「だから、仕方ない?」
C男「いつも、いつまでも、ずっと使い捨て」
C男「捨てられて、捨てられて、仕方ない?」
C男「――笑止。マネジが弱い、捨てるべき」
17: 2009/04/23(木) 13:41:25.18 ID:qv6ULQoP
――5/29、水曜日 23:00 神楽坂作業室
きぃ。きぃ……。がちゃん。
男「ただいま、っと」
C男「おか」
男「お。C男だ。どした? 終わらない? みんなは?」
C男「帰った」
男「そか。……プリン食う?」
C男 こくり
男:カタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
男「ほい、どうぞ」
C男「……」もそもそ。もぐっ
男「今日は、風が強いな」
C男「雨がくる」
男「うん」
C男「仕事」
きぃ。きぃ……。がちゃん。
男「ただいま、っと」
C男「おか」
男「お。C男だ。どした? 終わらない? みんなは?」
C男「帰った」
男「そか。……プリン食う?」
C男 こくり
男:カタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
男「ほい、どうぞ」
C男「……」もそもそ。もぐっ
男「今日は、風が強いな」
C男「雨がくる」
男「うん」
C男「仕事」
18: 2009/04/23(木) 13:41:41.06 ID:qv6ULQoP
男「ん?」
C男「増えたか?」
男「ん。増えたね。困ってる」
C男「人ごとじゃない」
男「人ごとじゃないね」
C男「……」
男「……」
C男「断って」
男「……だめ」
C男「断れないのは、弱い」
男「……それでもだめ」
C男「なぜ」
男「断れば強い訳じゃない。強ければ勝てる訳じゃない」
C男「生き残るのが勝利。クライアント捨てよう」
男「……もぐっ」
C男「捨てるべき」
C男「増えたか?」
男「ん。増えたね。困ってる」
C男「人ごとじゃない」
男「人ごとじゃないね」
C男「……」
男「……」
C男「断って」
男「……だめ」
C男「断れないのは、弱い」
男「……それでもだめ」
C男「なぜ」
男「断れば強い訳じゃない。強ければ勝てる訳じゃない」
C男「生き残るのが勝利。クライアント捨てよう」
男「……もぐっ」
C男「捨てるべき」
19: 2009/04/23(木) 13:41:57.21 ID:qv6ULQoP
男「それが勝ちなら」
C男「……」
男「生き残りさえすれば勝ちなら、
明日全員辞めればそれで勝ちか」
C男「……っ」
男「それは勝ちじゃない」
C男「……」
男「負けないのと勝ちは、違う」
C男「でも、みんな氏ぬ」
男「――」
C男「気持ちも、身体も、折れる」
男「――」
C男「それでも、まだ仕事引き受けた方がよいのか」
男「そう」
C男「捨てたい」
男「許可できない」
C男「籠城してどうなる」
C男「……」
男「生き残りさえすれば勝ちなら、
明日全員辞めればそれで勝ちか」
C男「……っ」
男「それは勝ちじゃない」
C男「……」
男「負けないのと勝ちは、違う」
C男「でも、みんな氏ぬ」
男「――」
C男「気持ちも、身体も、折れる」
男「――」
C男「それでも、まだ仕事引き受けた方がよいのか」
男「そう」
C男「捨てたい」
男「許可できない」
C男「籠城してどうなる」
20: 2009/04/23(木) 13:43:06.54 ID:qv6ULQoP
C男「舐められてる。くだらないバカに。
会社を人質にして。俺たちの意地を利用して。
働かせようとしている」
男「そうだよ」
C男「がんばっても、笑うのは、あっちで
俺たちは貧乏くじ」 ぎりっ
男「そうだよ」
C男「それでもか」
男「そうだよ」
C男「なんでだ」
男「理由かー……」
C男「……」
男「理由は、無いな。
でも、これが一番良い選択肢なんだ。
いまは地獄だけど、他の選択肢は『地獄以下』だと
思うんだよ」
会社を人質にして。俺たちの意地を利用して。
働かせようとしている」
男「そうだよ」
C男「がんばっても、笑うのは、あっちで
俺たちは貧乏くじ」 ぎりっ
男「そうだよ」
C男「それでもか」
男「そうだよ」
C男「なんでだ」
男「理由かー……」
C男「……」
男「理由は、無いな。
でも、これが一番良い選択肢なんだ。
いまは地獄だけど、他の選択肢は『地獄以下』だと
思うんだよ」
21: 2009/04/23(木) 13:44:43.00 ID:qv6ULQoP
C男「捨てちゃダメなのか」
男「いや。判らないよ、そんなのさー。
でも、捨てて良いものと、捨てちゃいけないものは
あるっしょ。いま捨てると、すり落ちちゃうものもある」
C男「……」
男「まぁ、俺たち野良だから。C男が受けられないって
云うのは仕方ない。身を守るのが大事なのは重々判ってる」
C男「……ん」
男「だから、気に入らないのなら仕事は振らない」
C男「……」
男「でも、なんつか。ここは逃げちゃいけない
タイミングだと思うんだわ」
C男「プリン」
男「?」
C男「ごちそうさま」
男「いえいえ」
C男「――プリン一個分だけ拾う」
男「いや。判らないよ、そんなのさー。
でも、捨てて良いものと、捨てちゃいけないものは
あるっしょ。いま捨てると、すり落ちちゃうものもある」
C男「……」
男「まぁ、俺たち野良だから。C男が受けられないって
云うのは仕方ない。身を守るのが大事なのは重々判ってる」
C男「……ん」
男「だから、気に入らないのなら仕事は振らない」
C男「……」
男「でも、なんつか。ここは逃げちゃいけない
タイミングだと思うんだわ」
C男「プリン」
男「?」
C男「ごちそうさま」
男「いえいえ」
C男「――プリン一個分だけ拾う」
30: 2009/04/23(木) 15:00:54.90 ID:qv6ULQoP
――5/30、木曜日 08:00 神楽坂作業室
女「おっはよー」
男:カタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
男「おはよー」
C男「夜を捨てよう」
女「あれ? C男泊まったの? めずらし」
C男「プリン」
男:カタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女「へ?」
男「……そゆこともあるよ」
新人女「おはようございますっ」
女「おお。おはよう新人女ちゃん」
男「おはよー」
C男:カタカタカタカタ
女「おっはよー」
男:カタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
男「おはよー」
C男「夜を捨てよう」
女「あれ? C男泊まったの? めずらし」
C男「プリン」
男:カタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女「へ?」
男「……そゆこともあるよ」
新人女「おはようございますっ」
女「おお。おはよう新人女ちゃん」
男「おはよー」
C男:カタカタカタカタ
31: 2009/04/23(木) 15:02:12.01 ID:qv6ULQoP
女「うっし、けふっ。うちもいこかなっ」
男「大丈夫? 女先輩」
女「んー。ちょっと頭痛い。週末に病院いく」
男「体調管理してね。無理させてるこっちが悪いんだけど」
女「まーかせてっ」
男:カタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女:カタカタカタカタ
新人女「……」もそもそ
男「あれ、何してるの? 新人女さん」
新人女「あ、いえ。……作業着をと思って」
女「うわ、可愛いなー。それ」
新人女「ひらひらのはやっぱり不便ですよね。袖とか」
女「着実に場慣れしていくなぁ」
C男「戦場豚」
男:カタカタカタカタ
新人女「あはは。自分でもびっくりの順応です」
男「大丈夫? 女先輩」
女「んー。ちょっと頭痛い。週末に病院いく」
男「体調管理してね。無理させてるこっちが悪いんだけど」
女「まーかせてっ」
男:カタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
女:カタカタカタカタ
新人女「……」もそもそ
男「あれ、何してるの? 新人女さん」
新人女「あ、いえ。……作業着をと思って」
女「うわ、可愛いなー。それ」
新人女「ひらひらのはやっぱり不便ですよね。袖とか」
女「着実に場慣れしていくなぁ」
C男「戦場豚」
男:カタカタカタカタ
新人女「あはは。自分でもびっくりの順応です」
32: 2009/04/23(木) 15:02:32.22 ID:qv6ULQoP
――5/30、木曜日 10:20 神楽坂作業室
男「んー。新人女さん、ドキュの準備」
新人女「あ、出来てます」
男:カタカタカタカタカタカタ
男「概要をメールになげてー」
新人女「はいっ」
男:カタカタカタカタカタカタ
男「女先輩、麹町用のマクロって?」
女「ああ、うん。保険屋のマクロの改造でいけたよ。
テストおわってる」
男:カタカタカタカタカタカタ
男「B男のとこに投げておいてくださいな。りどみつけて
あれば勝手にやるでしょ」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男「俺は15、8、2、26終わった。全部aで」
男「先読みするなぁ。んじゃ+1してbやって。
で、おわったら」
C男「判ってる」
男「んー。新人女さん、ドキュの準備」
新人女「あ、出来てます」
男:カタカタカタカタカタカタ
男「概要をメールになげてー」
新人女「はいっ」
男:カタカタカタカタカタカタ
男「女先輩、麹町用のマクロって?」
女「ああ、うん。保険屋のマクロの改造でいけたよ。
テストおわってる」
男:カタカタカタカタカタカタ
男「B男のとこに投げておいてくださいな。りどみつけて
あれば勝手にやるでしょ」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男「俺は15、8、2、26終わった。全部aで」
男「先読みするなぁ。んじゃ+1してbやって。
で、おわったら」
C男「判ってる」
34: 2009/04/23(木) 15:04:29.96 ID:qv6ULQoP
女「男、メチャクチャ飛ばしてるなぁ」
新人女「今日はいつにもましてすごいですね」
女「なんやろなぁ、仕事はうちの方が早いんやけど
こういう時は敵わない感じで悔しいな」
新人女「ですか?」
女:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
女「ちょっとね。ウォリアの血」
新人女「判りますけれど。圧倒されますよね」
C男「……」
女:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタカ
男「女先輩。俺昼前に出ちゃいます」
女「はいはい。留守番してるよー。今日はどっち?」
男「本部と、麹町に。帰りは15時過ぎの予定で」
女「うち、今日はシュークリーム食いたいな」
男「は?」
新人女「今日はいつにもましてすごいですね」
女「なんやろなぁ、仕事はうちの方が早いんやけど
こういう時は敵わない感じで悔しいな」
新人女「ですか?」
女:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
女「ちょっとね。ウォリアの血」
新人女「判りますけれど。圧倒されますよね」
C男「……」
女:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタカ
男「女先輩。俺昼前に出ちゃいます」
女「はいはい。留守番してるよー。今日はどっち?」
男「本部と、麹町に。帰りは15時過ぎの予定で」
女「うち、今日はシュークリーム食いたいな」
男「は?」
35: 2009/04/23(木) 15:06:07.35 ID:qv6ULQoP
女「シュークリーム食いたい」
男「何言ってるんですか?」
男:カタカタカタカタカタカタ
女「シュークリームってふわふわ&さくさくで、
ひんやり甘いよね? ね、ね? 新人女ちゃん」
新人女「ええ。……そうですね。はい?」
男「なんだかなぁ。お使いですか?」
女「ううん、マネジの奢り」
男「んなわけいかないでしょ、女先輩!」
女「新人女ちゃん、ね。ね。今日は何色?」
新人女「えっ!? あ。あ、あ……そのぅ」ぼそぼそ
C男「!?」
女「……ふむふむ。……うぉ、後で見せてっ。
で、……ふむ。おとこーっ♪」
男「ううう」
女「んじゃ、二人の分を発表するねー。あんな、あんな!」
男「シュークリーム買って参りますっ」
男「何言ってるんですか?」
男:カタカタカタカタカタカタ
女「シュークリームってふわふわ&さくさくで、
ひんやり甘いよね? ね、ね? 新人女ちゃん」
新人女「ええ。……そうですね。はい?」
男「なんだかなぁ。お使いですか?」
女「ううん、マネジの奢り」
男「んなわけいかないでしょ、女先輩!」
女「新人女ちゃん、ね。ね。今日は何色?」
新人女「えっ!? あ。あ、あ……そのぅ」ぼそぼそ
C男「!?」
女「……ふむふむ。……うぉ、後で見せてっ。
で、……ふむ。おとこーっ♪」
男「ううう」
女「んじゃ、二人の分を発表するねー。あんな、あんな!」
男「シュークリーム買って参りますっ」
36: 2009/04/23(木) 15:08:00.38 ID:qv6ULQoP
――5/30、木曜日 14:00 神楽坂作業室
女:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタカ
女「シュークリーッム、シュークリーッム」
新人女「ご機嫌ですね」
女「うち、安上がりな女なんだ。シュークリーム期待で
テンションあがっちゃうくらいで」
新人女「あははっ。私も楽しみですっ」
女:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタカ
女「そうそう、甘いものがあるから、日々を生き抜いて
いけるよね。けひゅんっ」
C男「……」ぽいっ
女「おお、ティッシュさんきゅ!」 もそもそ
女:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカ
女「うちはティッシュも持ってないと思われたんかーっ!」
女:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタカ
女「シュークリーッム、シュークリーッム」
新人女「ご機嫌ですね」
女「うち、安上がりな女なんだ。シュークリーム期待で
テンションあがっちゃうくらいで」
新人女「あははっ。私も楽しみですっ」
女:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタカ
女「そうそう、甘いものがあるから、日々を生き抜いて
いけるよね。けひゅんっ」
C男「……」ぽいっ
女「おお、ティッシュさんきゅ!」 もそもそ
女:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカ
女「うちはティッシュも持ってないと思われたんかーっ!」
37: 2009/04/23(木) 15:09:31.79 ID:qv6ULQoP
C男「鼻をかんだら捨てよう」
女「捨てるよ、それはっ」
新人女「あははっ」にこっ
女「C男にはハンニバル・レクター式学習法でも
生ぬるいみたいやんねっ。こうなったら禁断の
虎眼流式学習方法で……」
C男「それは捨てよう」
女「遠慮しないでいいんよ。うちが一撃必殺で
教授したげるから。授業料はあばら二本で」
C男「デスマ。仕事」
C男:カタカタカタカタカ
女「ちぇっ。C男も遊んでくれない」
女:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタカ
とうぅるるるる。とぅるるるる。
女「捨てるよ、それはっ」
新人女「あははっ」にこっ
女「C男にはハンニバル・レクター式学習法でも
生ぬるいみたいやんねっ。こうなったら禁断の
虎眼流式学習方法で……」
C男「それは捨てよう」
女「遠慮しないでいいんよ。うちが一撃必殺で
教授したげるから。授業料はあばら二本で」
C男「デスマ。仕事」
C男:カタカタカタカタカ
女「ちぇっ。C男も遊んでくれない」
女:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタカ
とうぅるるるる。とぅるるるる。
38: 2009/04/23(木) 15:10:46.26 ID:qv6ULQoP
新人女「電話ですよ」
女「誰かな。本部かなぁ、こんな時間に。クライアントかな」
女「はい。もしもし。神楽坂作業室です」
「もしもし? 神楽坂さん?」
女「そうです」
「目黒のDM興業だけど」
女「先月納品させていただいた。はい、お世話になって
おります。どのようなご用件でしょうか?」
「あー。用件? わかんないの?」
女「申し訳ありません。把握していませんが……」
「昨日納品だろう? どんなことになってるんだよっ?」
女「え? 先月の」
「それは第一期だろっ? こっちは二期の話してるんだよっ」
女「すみません、どういったご予定だったのでしょうか?」
「予定もクソもないよ。そっちがスケジュールだして
くれるはずだろ。こっちは昨日納品としか聞いてない」
どくんっ
女「誰かな。本部かなぁ、こんな時間に。クライアントかな」
女「はい。もしもし。神楽坂作業室です」
「もしもし? 神楽坂さん?」
女「そうです」
「目黒のDM興業だけど」
女「先月納品させていただいた。はい、お世話になって
おります。どのようなご用件でしょうか?」
「あー。用件? わかんないの?」
女「申し訳ありません。把握していませんが……」
「昨日納品だろう? どんなことになってるんだよっ?」
女「え? 先月の」
「それは第一期だろっ? こっちは二期の話してるんだよっ」
女「すみません、どういったご予定だったのでしょうか?」
「予定もクソもないよ。そっちがスケジュールだして
くれるはずだろ。こっちは昨日納品としか聞いてない」
どくんっ
39: 2009/04/23(木) 15:13:50.39 ID:qv6ULQoP
女「では、お手元のプロジェクトシートの右肩の番号を」
どくんっ
「だから神楽坂さんってのかい?
俺はイヤだって云ったんだよなぁ。
M野さんにさ。聞いてるよ。
仕事もしないくせに何でもいちいち
書面確認しなきゃサボってばっかりのお荷物なんだろう?
そっちの神楽坂ってのはさ。
池袋さんなら口頭発注で良いって言うからお願いしたのにさ」
どくんっ
女「いえ、しかし。スケジュール確認を」
「M野さんのほうでフォーマットは作ったんだろ?
流し込みなんだからさっさと済ませてくれよ。
で、どうなの? いつあがんの?」
どくんっ
女「それは、確認して」
「御託はいいからさぁ。そっちに仕事は引き継いだって
聞いてるよ。こっちの仕事、待たせてんだよなぁ」
どくんっ
「だから神楽坂さんってのかい?
俺はイヤだって云ったんだよなぁ。
M野さんにさ。聞いてるよ。
仕事もしないくせに何でもいちいち
書面確認しなきゃサボってばっかりのお荷物なんだろう?
そっちの神楽坂ってのはさ。
池袋さんなら口頭発注で良いって言うからお願いしたのにさ」
どくんっ
女「いえ、しかし。スケジュール確認を」
「M野さんのほうでフォーマットは作ったんだろ?
流し込みなんだからさっさと済ませてくれよ。
で、どうなの? いつあがんの?」
どくんっ
女「それは、確認して」
「御託はいいからさぁ。そっちに仕事は引き継いだって
聞いてるよ。こっちの仕事、待たせてんだよなぁ」
40: 2009/04/23(木) 15:14:57.96 ID:qv6ULQoP
女「それは、私達のほうでは連絡を受けていなくて」
どくんっ
「それは、お宅の都合でしょ? こっちは発注してるんだよね。
そっちの社内のこととか、お荷物とかさ。
そういうの関係ないんだ。
あー、M野さんがいってたのはこういうことなのねー」
どくんっ――きーんっ
「お宅、あれでしょ? 派遣でしょ?
派遣は責任取らないもんね。話にならないや。
良いよ良いよ、判ったから。変わって」
女「はい?」
――きーんっ
「いいから正社員に変わってよ。
派遣じゃ話が通らないって云ってるんだよ。
こっちはあんたらみたいに、遊んで金もらってられる
立場じゃないんだからさ。
神楽坂のそこの責任者、出して」
女「申し訳ありません。ただいま席を外して」
「言い逃れしてるんじゃねェよ」
――きいぃぃぃぃんっ
どくんっ
「それは、お宅の都合でしょ? こっちは発注してるんだよね。
そっちの社内のこととか、お荷物とかさ。
そういうの関係ないんだ。
あー、M野さんがいってたのはこういうことなのねー」
どくんっ――きーんっ
「お宅、あれでしょ? 派遣でしょ?
派遣は責任取らないもんね。話にならないや。
良いよ良いよ、判ったから。変わって」
女「はい?」
――きーんっ
「いいから正社員に変わってよ。
派遣じゃ話が通らないって云ってるんだよ。
こっちはあんたらみたいに、遊んで金もらってられる
立場じゃないんだからさ。
神楽坂のそこの責任者、出して」
女「申し訳ありません。ただいま席を外して」
「言い逃れしてるんじゃねェよ」
――きいぃぃぃぃんっ
41: 2009/04/23(木) 15:17:34.53 ID:qv6ULQoP
「――。――」
女「はい?」
新人女「おんな、さん?」
「――。――」
女「申し訳ありません。ただいま席を外して」
新人女「女さん」
「――。――」
女「はい。……はい、早急に、はい」
「――。――」
女「ご連絡させていただきます」
「――。――」
女「――申し伝えさせていた――きま――す」
「――。――」
女「はい。はい。申し訳ございませんでした。
――失礼――させて――いた――きます」
新人女「女さん……?」
女「はい?」
新人女「おんな、さん?」
「――。――」
女「申し訳ありません。ただいま席を外して」
新人女「女さん」
「――。――」
女「はい。……はい、早急に、はい」
「――。――」
女「ご連絡させていただきます」
「――。――」
女「――申し伝えさせていた――きま――す」
「――。――」
女「はい。はい。申し訳ございませんでした。
――失礼――させて――いた――きます」
新人女「女さん……?」
42: 2009/04/23(木) 15:21:22.77 ID:qv6ULQoP
かちゃり
女「……」
新人女「女さん……顔色が」
女「C男。――目黒のDM屋さん。連絡行き違い。
昨日納品分の発注漏れ。男に連絡で確認
優先度最大」
新人女「女さんっ?」
女「あはは……」
女「うちら。甘え、過ぎだ。これ、やらせてたの――か」
C男「っ」
新人女「女さんっ?」
女「――ごめん」
どさっ
新人女「女さんっ!!」
女「……」
新人女「女さん……顔色が」
女「C男。――目黒のDM屋さん。連絡行き違い。
昨日納品分の発注漏れ。男に連絡で確認
優先度最大」
新人女「女さんっ?」
女「あはは……」
女「うちら。甘え、過ぎだ。これ、やらせてたの――か」
C男「っ」
新人女「女さんっ?」
女「――ごめん」
どさっ
新人女「女さんっ!!」
43: 2009/04/23(木) 15:22:42.28 ID:qv6ULQoP
うし。ひとかたまり、終了-。
ちょっと席外しまする-。
ちょっと席外しまする-。
66: 2009/04/23(木) 18:41:33.59 ID:qv6ULQoP
――5/30、木曜日 19:00 神楽坂作業室
新人女「――過労とストレス性の過呼吸だそうです」
男「うん」
新人女「点滴で一晩様子を見て、とは仰ってました」
男「了解。大変だったね。ありがとね」
新人女「いえ……」
男「……」
新人女「……」
男「……」
男「ん。新人女さん、今日のところは、上がってください。
みんなの身体にも気をつけないとね」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
新人女「男さん……」
男「ん?」
新人女「お見舞い、行かないですか?」
男「早くて、週末かな」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
新人女「――過労とストレス性の過呼吸だそうです」
男「うん」
新人女「点滴で一晩様子を見て、とは仰ってました」
男「了解。大変だったね。ありがとね」
新人女「いえ……」
男「……」
新人女「……」
男「……」
男「ん。新人女さん、今日のところは、上がってください。
みんなの身体にも気をつけないとね」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
新人女「男さん……」
男「ん?」
新人女「お見舞い、行かないですか?」
男「早くて、週末かな」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
67: 2009/04/23(木) 18:42:43.83 ID:qv6ULQoP
新人女「でもっ」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
男「だめ」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
新人女「……」
男「いま、そっちに気持ちを振ったら
踏みとどまれないでしょ。
ここが、正念場だよ」
C男 こくり
新人女「え?」
男「いまパニックになったら、女先輩の帰ってくる
場所がなくなるよ。それは酷い話だ」
新人女「――」
男「悪いけど、手加減できなくなった。だから新人女さんは
今日のところは沢山寝て。明日から、仕事増やすよ」
新人女「はい……」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
男「だめ」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
新人女「……」
男「いま、そっちに気持ちを振ったら
踏みとどまれないでしょ。
ここが、正念場だよ」
C男 こくり
新人女「え?」
男「いまパニックになったら、女先輩の帰ってくる
場所がなくなるよ。それは酷い話だ」
新人女「――」
男「悪いけど、手加減できなくなった。だから新人女さんは
今日のところは沢山寝て。明日から、仕事増やすよ」
新人女「はい……」
68: 2009/04/23(木) 18:43:33.90 ID:qv6ULQoP
――5/30、木曜日 19:30 神楽坂作業室
C男:カタカタカタカタカ
男「大体判った?」
C男 こくり
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
男「半日以下で終る細かい仕事は全部新人女さんに振って。
引継ぎ業務も、納品データの管理も。
彼女のほうがそういう業務には向いてる」
C男「判った」
男「悪いな」
C男「問題ない」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
男「……」
C男「プリン一個の仕事。まだまだ受けれる」
C男:カタカタカタカタカ
男「大体判った?」
C男 こくり
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
男「半日以下で終る細かい仕事は全部新人女さんに振って。
引継ぎ業務も、納品データの管理も。
彼女のほうがそういう業務には向いてる」
C男「判った」
男「悪いな」
C男「問題ない」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
男「……」
C男「プリン一個の仕事。まだまだ受けれる」
69: 2009/04/23(木) 18:44:11.77 ID:qv6ULQoP
男「そか」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
C男「男は、怖くないのか」
男「?」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
C男「ずっと終らないかもって、思わないのか?」
男「ん……」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
男「なんだろう。……思ってる。けど、それって怖いか?」
C男「……」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
男「だって、ずっと続くって、要するに続くだけだろ」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
C男「男は、怖くないのか」
男「?」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
C男「ずっと終らないかもって、思わないのか?」
男「ん……」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
男「なんだろう。……思ってる。けど、それって怖いか?」
C男「……」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
男「だって、ずっと続くって、要するに続くだけだろ」
70: 2009/04/23(木) 18:45:49.15 ID:qv6ULQoP
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
男「だいたい、終るって良く判らない。デスマが終るのは
嬉しいけれど、それってインターバルだよな。
デスマがある世界にいる限り、やっぱり終ってないよ。
終わらないって、今回がどうこうじゃなく、そういう連鎖だろ」
C男「うん」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
男「ここはデスマのある世界だし」
C男「うん」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
男「デスマのない世界には行きたくない」
C男「そうなのか?」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
男「うん」
C男:カタカタカタカタカ
男「だいたい、終るって良く判らない。デスマが終るのは
嬉しいけれど、それってインターバルだよな。
デスマがある世界にいる限り、やっぱり終ってないよ。
終わらないって、今回がどうこうじゃなく、そういう連鎖だろ」
C男「うん」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
男「ここはデスマのある世界だし」
C男「うん」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
男「デスマのない世界には行きたくない」
C男「そうなのか?」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
男「うん」
71: 2009/04/23(木) 18:47:35.36 ID:qv6ULQoP
男「俺は学生のころから、酷いバイト沢山やってきて
感覚が麻痺しちゃってるだけかもしれないけれど
この世にデスマの全く無い業界とか、会社なんて、
無いんじゃないのかな……」
C男「……」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
男「いや、デスマっていうと、曖昧だけどさ。
銀行とかだって潰れるし、
公務員だって削減されっちゃうような時代だよ。
どんな仕事してても、泣きたくなるほど青ざめる瞬間って
絶対あると思うんだよ。血の気が引いて足がすくむような
瞬間がくると思う」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
C男「……」
男「そんな事は起きないって言える業界や社会人がいるとしたら
それって、たぶん、責任感が無いってだけだと思うんだ」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
男「じゃなければ、本当に幸運で『見たことが無い』だけか」
感覚が麻痺しちゃってるだけかもしれないけれど
この世にデスマの全く無い業界とか、会社なんて、
無いんじゃないのかな……」
C男「……」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
男「いや、デスマっていうと、曖昧だけどさ。
銀行とかだって潰れるし、
公務員だって削減されっちゃうような時代だよ。
どんな仕事してても、泣きたくなるほど青ざめる瞬間って
絶対あると思うんだよ。血の気が引いて足がすくむような
瞬間がくると思う」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
C男「……」
男「そんな事は起きないって言える業界や社会人がいるとしたら
それって、たぶん、責任感が無いってだけだと思うんだ」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
男「じゃなければ、本当に幸運で『見たことが無い』だけか」
72: 2009/04/23(木) 18:48:51.66 ID:qv6ULQoP
男「もちろん、毎日青ざめるよりは、週一のほうが良いし
週一で青ざめるよりは、月一、年一のほうが良いよ」
C男「うん」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
男「身体を壊すようなデスマーチだって、
金輪際やりたくなんか、無いよ」
C男「うん」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
男「でも『そういうのが絶対に無い世界』には、行きたくない。
それって幸せかもしれないけど
――なんか間違ってる気がするんだ」
C男「……」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
男「……」
C男「ここは、捨てちゃダメな場所か?」
男「いまは、捨てちゃダメな瞬間だよ」
週一で青ざめるよりは、月一、年一のほうが良いよ」
C男「うん」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
男「身体を壊すようなデスマーチだって、
金輪際やりたくなんか、無いよ」
C男「うん」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
男「でも『そういうのが絶対に無い世界』には、行きたくない。
それって幸せかもしれないけど
――なんか間違ってる気がするんだ」
C男「……」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
男「……」
C男「ここは、捨てちゃダメな場所か?」
男「いまは、捨てちゃダメな瞬間だよ」
73: 2009/04/23(木) 18:50:10.56 ID:qv6ULQoP
――5/31、金曜日 23:30 小さなアパート
(昏いな……)
(やっちゃった……)
(うち、やっちゃったんだな。……ああ)
けふっ。けふっ
(やっちゃった……)
(絶対イヤだったのに。倒れちゃったか……)
(まだまだ平気のはずだったのに)
(――頭、痛い)
(身体重い、なんでこんなに布団が石みたいで……)
(倒れたんだっけ……)
(耳鳴りが、飛行機みたいにうるさくて……)
(昏いな……)
(やっちゃった……)
(うち、やっちゃったんだな。……ああ)
けふっ。けふっ
(やっちゃった……)
(絶対イヤだったのに。倒れちゃったか……)
(まだまだ平気のはずだったのに)
(――頭、痛い)
(身体重い、なんでこんなに布団が石みたいで……)
(倒れたんだっけ……)
(耳鳴りが、飛行機みたいにうるさくて……)
74: 2009/04/23(木) 18:51:08.29 ID:qv6ULQoP
(ハケンダカラ……アソンデテモカネモラエテ……)
(やっちゃった……うち、迷惑、掛けた……)
(何でこんなことになっちゃったのかな)
(うち、ウォリアーなのに)
けふっ。けふっ
(男のこと、助ける役なのに)
(助けて無いじゃんっ)
(真っ先に倒れて、足引っ張ってるじゃん)
(うち、ウォリアーちがう)
けふっ。
(こんなのウォリアーちがう)
(……)
(痛い……)
(やっちゃった……うち、迷惑、掛けた……)
(何でこんなことになっちゃったのかな)
(うち、ウォリアーなのに)
けふっ。けふっ
(男のこと、助ける役なのに)
(助けて無いじゃんっ)
(真っ先に倒れて、足引っ張ってるじゃん)
(うち、ウォリアーちがう)
けふっ。
(こんなのウォリアーちがう)
(……)
(痛い……)
75: 2009/04/23(木) 18:51:43.82 ID:qv6ULQoP
けふっ
(昏いな……部屋、真っ暗……なんでこんなに寒いのかな……)
(誰もいないよ)
(当たり前か……友達、いないもんな……)
(1人やし)
(いま、何時かな……)
(23:46……真夜中、前か……)
(……頭、痛い。……昏い。……怖い)
(会社、首になるよね……)
けふっ。けふっ
(首にならなくても、十日も休めば、現場から外される、か)
(ハケンジャハナシニナラネェンダヨ)
(外される……外されて……)
(大丈夫、なんかな……うち……)
(昏いな……部屋、真っ暗……なんでこんなに寒いのかな……)
(誰もいないよ)
(当たり前か……友達、いないもんな……)
(1人やし)
(いま、何時かな……)
(23:46……真夜中、前か……)
(……頭、痛い。……昏い。……怖い)
(会社、首になるよね……)
けふっ。けふっ
(首にならなくても、十日も休めば、現場から外される、か)
(ハケンジャハナシニナラネェンダヨ)
(外される……外されて……)
(大丈夫、なんかな……うち……)
76: 2009/04/23(木) 18:52:24.02 ID:qv6ULQoP
(病院、幾らだったんだろ……保険なんて、無い……)
(働けなくなったら、どうしよう……)
(家賃払えなくなったら、追い出されるのかな)
(……そしたら、住むとこないやん)
(家なき子やん……)
けふっ。けふっ
(……昏いよ。寒いよ)
(住むとこなくなって、新しいとこ、借りられないよ。
保証人なんか見つけられないもんな……)
(一人で……ずっと一人で。帰る場所なんて無くて)
けふっ。……っぐ。
(みんなにも、会えなくなって……)
(働けなくなったら、どうしよう……)
(家賃払えなくなったら、追い出されるのかな)
(……そしたら、住むとこないやん)
(家なき子やん……)
けふっ。けふっ
(……昏いよ。寒いよ)
(住むとこなくなって、新しいとこ、借りられないよ。
保証人なんか見つけられないもんな……)
(一人で……ずっと一人で。帰る場所なんて無くて)
けふっ。……っぐ。
(みんなにも、会えなくなって……)
77: 2009/04/23(木) 18:53:15.52 ID:qv6ULQoP
(夜はやだな……)
(真っ暗の中で、石みたいに固くなって、
ずっとこうなんかな、うち……)
(ずっとこれが、続くのかな……)
(23:50――五分しか、たってない……)
(痛いよ……ずっと一人で……真っ暗の中で……)
(仕事首になったら)
(二度と会えないじゃんね……)
(ウォリアじゃないから)
(うち役に立たないから……)
けふっ。けふっ。……ずっ。ひゅぇ。
(甘えてて役に立たないから)
(終わったのかな……)
(真っ暗の中で、石みたいに固くなって、
ずっとこうなんかな、うち……)
(ずっとこれが、続くのかな……)
(23:50――五分しか、たってない……)
(痛いよ……ずっと一人で……真っ暗の中で……)
(仕事首になったら)
(二度と会えないじゃんね……)
(ウォリアじゃないから)
(うち役に立たないから……)
けふっ。けふっ。……ずっ。ひゅぇ。
(甘えてて役に立たないから)
(終わったのかな……)
78: 2009/04/23(木) 18:53:58.41 ID:qv6ULQoP
(うちの終わりってこういうのなんだ……)
(遠くで自動車の音――酔っぱらいの声――)
けふっ。あ。……ぁ。
(でもうちは暗くて寒くて……)
(ずっと時計の針を追いかけて……)
(もう会えないのかな)
けふっ。けふっ
(一人でずっと泣いてるのかな……)
(――23:52)
(ずっと真っ暗な中で)
(ずっとずっと真っ暗な中で)
(遠くで自動車の音――酔っぱらいの声――)
けふっ。あ。……ぁ。
(でもうちは暗くて寒くて……)
(ずっと時計の針を追いかけて……)
(もう会えないのかな)
けふっ。けふっ
(一人でずっと泣いてるのかな……)
(――23:52)
(ずっと真っ暗な中で)
(ずっとずっと真っ暗な中で)
79: 2009/04/23(木) 19:07:38.33 ID:qv6ULQoP
――6/2、日曜日 15:20 神楽坂作業室
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
新人女「おはようございますっ」
男「おはよー」
C男 こくり
男「わるいね。日曜日に」
新人女「いえ、良いんです。私も神楽坂班ですから。
あ……」
男「ん?」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
新人女「いえ、神楽坂班って始めて自分で云いました」
男「うん」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
新人女「えっと、つまり……。ううん、説明できません」
男「――そか」
新人女「あはは~。ゆとりは困りますね」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
新人女「おはようございますっ」
男「おはよー」
C男 こくり
男「わるいね。日曜日に」
新人女「いえ、良いんです。私も神楽坂班ですから。
あ……」
男「ん?」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
新人女「いえ、神楽坂班って始めて自分で云いました」
男「うん」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
新人女「えっと、つまり……。ううん、説明できません」
男「――そか」
新人女「あはは~。ゆとりは困りますね」
80: 2009/04/23(木) 19:08:17.13 ID:qv6ULQoP
C男「ご飯」
新人女「あ、はい。ご注文通り途中で買ってきましたよ」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
C男「感謝」
男「あんがとうね。んじゃ、食っちまおう。C男」
新人女「こっちにだしますね」
がたん。かたたん
男「いただきまっす」
C男「いただき」
新人女「いただきます」
C男「……ん。こくっ」
男「まぐもぐっ……」
新人女「ん……」
C男「ん……」
男「もぐ、もぐ……」
新人女「えっと」
新人女「あ、はい。ご注文通り途中で買ってきましたよ」
男:カタカタカタカタカカタカタカタカタカ
C男:カタカタカタカタカ
C男「感謝」
男「あんがとうね。んじゃ、食っちまおう。C男」
新人女「こっちにだしますね」
がたん。かたたん
男「いただきまっす」
C男「いただき」
新人女「いただきます」
C男「……ん。こくっ」
男「まぐもぐっ……」
新人女「ん……」
C男「ん……」
男「もぐ、もぐ……」
新人女「えっと」
81: 2009/04/23(木) 19:09:17.52 ID:qv6ULQoP
男「ん?」
新人女「静か、ですね。……その」
男「女先輩がいないとね」
新人女「……はい」
C男「もぐっ。もぐっ」
男「うん。静かすぎてかえって落ち着かないよ」
C男「同意」
新人女「ですよね」
C男「録音」
新人女「え?」
C男「『女はうるさい』と新人女が発言した。
録音完了。……あとでチクる」
男「ぷっ」
新人女「え、あ。……そんなこと云ってませんよっ!」
C男「……」ニカッ
男「いやー」
新人女「静か、ですね。……その」
男「女先輩がいないとね」
新人女「……はい」
C男「もぐっ。もぐっ」
男「うん。静かすぎてかえって落ち着かないよ」
C男「同意」
新人女「ですよね」
C男「録音」
新人女「え?」
C男「『女はうるさい』と新人女が発言した。
録音完了。……あとでチクる」
男「ぷっ」
新人女「え、あ。……そんなこと云ってませんよっ!」
C男「……」ニカッ
男「いやー」
82: 2009/04/23(木) 19:10:11.48 ID:qv6ULQoP
新人女「云ってませんよっ。男さんまで」
男「いや、笑わないとまずいよなって思って」
新人女「?」
C男「笑ってないと、勝てない」
男「勝てないな」
新人女「??」
C男「チクろう」
男「おー。チクらんとね!」
新人女「もーっ」
男「まずはここを凌いで。女先輩を迎えに行かないと」
C男 こくり
新人女「女先輩……どうしてるかな」
C男「メールは?」
男「あー。メールの返事、来ないんだよな。困ってる」
新人女「携帯ですか?」
男「うん。女はたしか自宅にPCないんだよなー」
男「いや、笑わないとまずいよなって思って」
新人女「?」
C男「笑ってないと、勝てない」
男「勝てないな」
新人女「??」
C男「チクろう」
男「おー。チクらんとね!」
新人女「もーっ」
男「まずはここを凌いで。女先輩を迎えに行かないと」
C男 こくり
新人女「女先輩……どうしてるかな」
C男「メールは?」
男「あー。メールの返事、来ないんだよな。困ってる」
新人女「携帯ですか?」
男「うん。女はたしか自宅にPCないんだよなー」
83: 2009/04/23(木) 19:11:44.21 ID:qv6ULQoP
新人女「私も出してみましょうか」
男「うん、やってみて」
新人女 ぽぴぴぽぴぱぽぴあぽぴぴ
男「うわ、すごい早い」
新人女「そうですか?」
C男「異次元生物だ」
男「俺、携帯でメール出せない」
新人女「えっ!? どうしてですか?」
男「おかしいだろ、普通に考えて。なんであんな15個も
キーがないような入力デバイスで文字が打てるんだよ」
新人女「だって、それは普通じゃ」
新人女 ぽぴぴぽぴぱぽぴあぽぴぴ
男「普通に考えてキーボードが必須だろう」
新人女「そうですか? ん……」
新人女「出来ました。送信……っと」
――う゛う゛う゛う゛う゛う゛。
男「うん、やってみて」
新人女 ぽぴぴぽぴぱぽぴあぽぴぴ
男「うわ、すごい早い」
新人女「そうですか?」
C男「異次元生物だ」
男「俺、携帯でメール出せない」
新人女「えっ!? どうしてですか?」
男「おかしいだろ、普通に考えて。なんであんな15個も
キーがないような入力デバイスで文字が打てるんだよ」
新人女「だって、それは普通じゃ」
新人女 ぽぴぴぽぴぱぽぴあぽぴぴ
男「普通に考えてキーボードが必須だろう」
新人女「そうですか? ん……」
新人女「出来ました。送信……っと」
――う゛う゛う゛う゛う゛う゛。
84: 2009/04/23(木) 19:13:03.83 ID:qv6ULQoP
男「なんか聞こえない?」
――う゛う゛う゛う゛う゛う゛。
C男「バカを捨てよう」
がちゃ。かちゃんっ
新人女「女さんの携帯、ここにあるじゃないですかっ」
C男「まさに捨てるべきバカ」
男「だって気がつかないって!!」
新人女「……」じぃっ
C男「廃棄」
男「いや、すみません」
新人女「いえ。考えてみれば、付き添いの
私が確認していくべきでした。あああ。
無いと困ってますよね。女さん」
C男「同意」
男「?」
新人女「自分で救急車も呼べない訳ですし」
――う゛う゛う゛う゛う゛う゛。
C男「バカを捨てよう」
がちゃ。かちゃんっ
新人女「女さんの携帯、ここにあるじゃないですかっ」
C男「まさに捨てるべきバカ」
男「だって気がつかないって!!」
新人女「……」じぃっ
C男「廃棄」
男「いや、すみません」
新人女「いえ。考えてみれば、付き添いの
私が確認していくべきでした。あああ。
無いと困ってますよね。女さん」
C男「同意」
男「?」
新人女「自分で救急車も呼べない訳ですし」
85: 2009/04/23(木) 19:14:56.73 ID:qv6ULQoP
男「でも、過労だしな。点滴うって家に帰ったら、
激しい労働しない限り普通のはずだよ」
新人女「そうなんですか?」
男「俺も何回か点滴うったし」
新人女「……」
C男「全然自慢にならない」
男「面目ない」
新人女「でもそれじゃ、余計におかしいかもしれません」
男「なんで?」
新人女「日常行動できる程度にはすぐ回復するなら、
連絡くらいあったり携帯取りに来たりしても良いような」
男「ほんとだ」
新人女「……」 C男「……」
男「んー。心配だなぁ。女先輩、天然なとこあるからな」
激しい労働しない限り普通のはずだよ」
新人女「そうなんですか?」
男「俺も何回か点滴うったし」
新人女「……」
C男「全然自慢にならない」
男「面目ない」
新人女「でもそれじゃ、余計におかしいかもしれません」
男「なんで?」
新人女「日常行動できる程度にはすぐ回復するなら、
連絡くらいあったり携帯取りに来たりしても良いような」
男「ほんとだ」
新人女「……」 C男「……」
男「んー。心配だなぁ。女先輩、天然なとこあるからな」
86: 2009/04/23(木) 19:18:55.26 ID:qv6ULQoP
腹減りました(T∇T)
ここを区切りにしておいて、ご飯の準備&家事ってきます。
ではではっ! 雑談してくれると力づけられるよー
心が折れない支援さんきゅ!
鬱だけどな。
萌え無いけど。すんません。
では、いってきまーっす。
ここを区切りにしておいて、ご飯の準備&家事ってきます。
ではではっ! 雑談してくれると力づけられるよー
心が折れない支援さんきゅ!
鬱だけどな。
萌え無いけど。すんません。
では、いってきまーっす。
153: 2009/04/23(木) 22:10:08.36 ID:qv6ULQoP
ぅぁ。おいらも肩もんで欲しい
155: 2009/04/23(木) 22:14:23.21 ID:qv6ULQoP
近場に肩もみ頼める相方がいる時点で
Vipper失格じゃね? むしろ呪われるべきじゃね?
つか、肩もんでもらえて甘えられる相手って
恋人なんかより上じゃあるまいか?
Vipper失格じゃね? むしろ呪われるべきじゃね?
つか、肩もんでもらえて甘えられる相手って
恋人なんかより上じゃあるまいか?
158: 2009/04/23(木) 22:18:41.71 ID:qv6ULQoP
貯まってないけど適度に放流しますぜー
固めて流すのには適さないシーンだしなっ
固めて流すのには適さないシーンだしなっ
159: 2009/04/23(木) 22:19:13.35 ID:qv6ULQoP
――6/2、日曜日 20:00 小さなアパート
(……なんだろ)
(……動いてる? ……あ、そか)
(アルファとブラボーとチャーリーだ)
(初めまして、ご挨拶します。うち女です)
(長い間放置して済みません)
(うちも別に悪気があった訳じゃないんですよ)
(ただちょーっと忙しかっただけでして)
(反省してます)
男「目、覚めた?」
女「反省してます、今度は捨てるから」
男「C男ネタか?」
(……なんだろ)
(……動いてる? ……あ、そか)
(アルファとブラボーとチャーリーだ)
(初めまして、ご挨拶します。うち女です)
(長い間放置して済みません)
(うちも別に悪気があった訳じゃないんですよ)
(ただちょーっと忙しかっただけでして)
(反省してます)
男「目、覚めた?」
女「反省してます、今度は捨てるから」
男「C男ネタか?」
160: 2009/04/23(木) 22:19:55.19 ID:qv6ULQoP
女「……」ぼへぇー
男「……」
女「……おはようございます」ぼけっ
男「おはよ」
女「うち会議室で寝ちゃった?」
男「いや、大丈夫。家まで帰った」
女「そか……」こしこし
男「うん」
女「……」
男「……」
女「夢違うよね?」
男「ちがうね」
女「うち、なんかとてつもないピンチの気がする」
男「……」
女「……おはようございます」ぼけっ
男「おはよ」
女「うち会議室で寝ちゃった?」
男「いや、大丈夫。家まで帰った」
女「そか……」こしこし
男「うん」
女「……」
男「……」
女「夢違うよね?」
男「ちがうね」
女「うち、なんかとてつもないピンチの気がする」
161: 2009/04/23(木) 22:20:27.94 ID:qv6ULQoP
男「ま、過呼吸じゃしかたない。ストレスだもん」
女「いやいやいや」
男「?」
女「そんなピンチとちがう。我が人生のピンチ。
てか、なんで男はそんなにけろりとしてるん?」
男「へ?」
女「乙女の部屋にコッソリ上がり込んだりして」
男「ああ。ごめん。お邪魔してます。
大家のおばさん心配してたよ」
女「あ、あわ……。ぐっ」
男「なに?」
女「見たな」
男「何を?」
女「固形化した鍋とかっ。洗濯の山とかっ。
コンビニの残骸とかっ。箱から出してないケロロとかっ」
男「うん」
女「我が忠実なる三人の騎士アルファ、ブラボー、
チャーリーは何を警護してたんよっ」
男「ゴミなら捨てておいたよ」
女「いやいやいや」
男「?」
女「そんなピンチとちがう。我が人生のピンチ。
てか、なんで男はそんなにけろりとしてるん?」
男「へ?」
女「乙女の部屋にコッソリ上がり込んだりして」
男「ああ。ごめん。お邪魔してます。
大家のおばさん心配してたよ」
女「あ、あわ……。ぐっ」
男「なに?」
女「見たな」
男「何を?」
女「固形化した鍋とかっ。洗濯の山とかっ。
コンビニの残骸とかっ。箱から出してないケロロとかっ」
男「うん」
女「我が忠実なる三人の騎士アルファ、ブラボー、
チャーリーは何を警護してたんよっ」
男「ゴミなら捨てておいたよ」
164: 2009/04/23(木) 22:27:51.70 ID:qv6ULQoP
女「なっ!? なん……だと……」
男「なんだっけ、それ?」
女「カレーつけて食べるパンみたいな食い物」
男「ナンだっけ、それ?」
女「っていうか、うちの寝顔見たなっ!!」
男「そんなの沢山見たことあるし」
女「ですよね」
男「でも、良かった」
女「へ?」
男「意外に元気で」
女「――」
男「や。女先輩、布団の上に布団かけて、その上にコートまで
掛けてさ……がたがたしながら寝てるし」
女「――」
男「鼻すんすんならしてさ、ほっぺた濡れてるし」
女「――」
男「良かった」
女「それは、寝汗やん。うちがこれくらいで
へこたれる訳無いやんっ」
男「なんだっけ、それ?」
女「カレーつけて食べるパンみたいな食い物」
男「ナンだっけ、それ?」
女「っていうか、うちの寝顔見たなっ!!」
男「そんなの沢山見たことあるし」
女「ですよね」
男「でも、良かった」
女「へ?」
男「意外に元気で」
女「――」
男「や。女先輩、布団の上に布団かけて、その上にコートまで
掛けてさ……がたがたしながら寝てるし」
女「――」
男「鼻すんすんならしてさ、ほっぺた濡れてるし」
女「――」
男「良かった」
女「それは、寝汗やん。うちがこれくらいで
へこたれる訳無いやんっ」
165: 2009/04/23(木) 22:29:01.56 ID:qv6ULQoP
男「おう。安心した」
女「……」ぷいっ
男「これ、携帯ね。こいつを届けに来た訳だ」
女「うん」
男「だいたいさ。ゴミ出せないとか、
ゴミ袋がお出迎えとか云うからどんだけゴミ屋敷かと思えば、
埃は積もってるけどそんなに酷くないじゃん」
女「散らかせるほど家帰れてなかったし」
男「そりゃそうか」
女「あんな、男。……うち、やっぱり」
男「女先輩は、一週間療養ね」
女「そっか……。やっぱり……」
男「その後、待ってるから」
女「へぁ?」
男「間抜けな顔しないでくださいって。派遣本社の方は
適当な事言っておいたから。派遣先の都合と休養とか。
大丈夫。日割りで減るかもだけど、このまま」
女「あ、うち……」
女「……」ぷいっ
男「これ、携帯ね。こいつを届けに来た訳だ」
女「うん」
男「だいたいさ。ゴミ出せないとか、
ゴミ袋がお出迎えとか云うからどんだけゴミ屋敷かと思えば、
埃は積もってるけどそんなに酷くないじゃん」
女「散らかせるほど家帰れてなかったし」
男「そりゃそうか」
女「あんな、男。……うち、やっぱり」
男「女先輩は、一週間療養ね」
女「そっか……。やっぱり……」
男「その後、待ってるから」
女「へぁ?」
男「間抜けな顔しないでくださいって。派遣本社の方は
適当な事言っておいたから。派遣先の都合と休養とか。
大丈夫。日割りで減るかもだけど、このまま」
女「あ、うち……」
167: 2009/04/23(木) 22:36:13.82 ID:qv6ULQoP
男「来週月曜から出れるかな」
女「うんっ」
男「いや、今回はごめんなさい。マネージャーとして
本当に不徳というか、酷い有様でした。
せめてこんな風になる前に一回診察に行かせるべきだった」
女「いや、強がって無茶したの、うちだし」
男「ゆっくり治してよ」
女「いや、平気。なんか元気出た。明日からいけるっ」
男「全然ダメ」
女「うー」
男「療養がいやなら、謹慎と思ってもらっても良いからね」
女「だってさ」
男「なに」
女「現場、どうなってるんよ」
男「黙秘」
女「どうせ地獄みたいな有様のくせに」
女「うんっ」
男「いや、今回はごめんなさい。マネージャーとして
本当に不徳というか、酷い有様でした。
せめてこんな風になる前に一回診察に行かせるべきだった」
女「いや、強がって無茶したの、うちだし」
男「ゆっくり治してよ」
女「いや、平気。なんか元気出た。明日からいけるっ」
男「全然ダメ」
女「うー」
男「療養がいやなら、謹慎と思ってもらっても良いからね」
女「だってさ」
男「なに」
女「現場、どうなってるんよ」
男「黙秘」
女「どうせ地獄みたいな有様のくせに」
168: 2009/04/23(木) 22:40:21.66 ID:qv6ULQoP
男「どうせ地獄ですよ」
女「じゃうちが行った方が良いじゃん。猫の手だって
借りたいくせに」
男「地獄だったら復帰しなくても良いよね?」
女「う」
男「大丈夫だって。女先輩が復帰した後だって
地獄の醍醐味は残ってっから」
女「嬉しいような嬉しくないような」
男「ウォリアーっしょ?」
女「……うち」
男「ん?」
女「うん。うち、ウォリアー」
女「うち、ウォリアーやしっ」にこっ
男「偉いぞ」
女「うん。褒めてっ」
男「偉いぞっ」
女「うんっ」ぱぁっ
女「じゃうちが行った方が良いじゃん。猫の手だって
借りたいくせに」
男「地獄だったら復帰しなくても良いよね?」
女「う」
男「大丈夫だって。女先輩が復帰した後だって
地獄の醍醐味は残ってっから」
女「嬉しいような嬉しくないような」
男「ウォリアーっしょ?」
女「……うち」
男「ん?」
女「うん。うち、ウォリアー」
女「うち、ウォリアーやしっ」にこっ
男「偉いぞ」
女「うん。褒めてっ」
男「偉いぞっ」
女「うんっ」ぱぁっ
177: 2009/04/23(木) 22:47:15.73 ID:qv6ULQoP
男「そういえば、なんか食います? コンビニで
色々買ってきたけど。あ、あとレトルトも」ごそごそ
女「うん、おなか減ったかな」
男「じゃ、台所借りますよー」
女「ほいさ」
がたがた。しゅぼっ……。
女「おとこー。おとこー」
男「はい?」
女「用意してくれてるとこわるいけど、
うち、先にお風呂ってかシャワーする」
男「どぞどぞ。そもそも女先輩の家でしょ」
女「んー。おもてなしもせんで、悪いね」
男「お構いなく」
ごそごそ
女「んじゃ、用意する」もそもそ
色々買ってきたけど。あ、あとレトルトも」ごそごそ
女「うん、おなか減ったかな」
男「じゃ、台所借りますよー」
女「ほいさ」
がたがた。しゅぼっ……。
女「おとこー。おとこー」
男「はい?」
女「用意してくれてるとこわるいけど、
うち、先にお風呂ってかシャワーする」
男「どぞどぞ。そもそも女先輩の家でしょ」
女「んー。おもてなしもせんで、悪いね」
男「お構いなく」
ごそごそ
女「んじゃ、用意する」もそもそ
181: 2009/04/23(木) 22:48:42.71 ID:qv6ULQoP
男「先輩?」
女「ほい?」
男「服は着ようよ」
女「着てるやん」
男「履こうよ」
女「履いてるっしょ。ぱんつは」
男「……さっさと入ってくださいよっ」
女「なに意識してるん? 目そらしちゃったりして」にまっ
男「さっぱりですよ」
女「もしかし、うちの脚に萌えた?」
男「萎えた」
女「えーっ!?」
男「萎えました」
女「何度この防御に破れたことか……」
男「無駄に誇示しないで良いですから」
女「女バスなめるな。すべすべなんだぞっ」
男「いまや完全引きこもり系人間なんだから
過去の栄光にすがってないで早くシャワー行ってください」
女「ほい?」
男「服は着ようよ」
女「着てるやん」
男「履こうよ」
女「履いてるっしょ。ぱんつは」
男「……さっさと入ってくださいよっ」
女「なに意識してるん? 目そらしちゃったりして」にまっ
男「さっぱりですよ」
女「もしかし、うちの脚に萌えた?」
男「萎えた」
女「えーっ!?」
男「萎えました」
女「何度この防御に破れたことか……」
男「無駄に誇示しないで良いですから」
女「女バスなめるな。すべすべなんだぞっ」
男「いまや完全引きこもり系人間なんだから
過去の栄光にすがってないで早くシャワー行ってください」
188: 2009/04/23(木) 22:55:45.63 ID:qv6ULQoP
――6/2、日曜日 20:40 ユニットバス
ざぁぁぁー
女(……終わってないんだ)
女(来てくれた。うちは、まだあそこにいられる)
女(……暖かい)
ざぁぁぁー
女(うち、まだがんばれるんだ)
女(男と一緒に、まだ戦えるんだ)
女(……なんだろ。うち、うれしいんやろか。
めちゃくちゃ、顔ゆるんでない?
すごい、情けない顔してない?)
女「ばれたりしないだろなぁ」にこぉ
ざぁぁぁー
女(……終わってないんだ)
女(来てくれた。うちは、まだあそこにいられる)
女(……暖かい)
ざぁぁぁー
女(うち、まだがんばれるんだ)
女(男と一緒に、まだ戦えるんだ)
女(……なんだろ。うち、うれしいんやろか。
めちゃくちゃ、顔ゆるんでない?
すごい、情けない顔してない?)
女「ばれたりしないだろなぁ」にこぉ
193: 2009/04/23(木) 23:01:08.10 ID:qv6ULQoP
女「あ、そだ」
女(せっかく来てもらったし、お茶くらい……)
女「お茶ってあったっけ? 去年の正月使ったような……」
女(いや、違うだろっ)ずびしっ
女「そ、そうじゃなくてっ」
女「色々考えるべき事は他にある訳でッ。
いやいやいや。ちがいますよ。そういうことじゃなくっ。
うちは一人のウォリアーとして乙女としてですね
自分の矜持は守らなきゃならない訳でですね」
女(ぱんつだけは一杯洗濯しておいて良かったぁ……)
女「いやちがう。そこホっとするところでも
照れるところでもない。なんですか、うち。
はしたないにもほどがありますよっ」
女(つか、いまこそおにゅーのぱんつ卸すべきでは?)
女「だからちゃぅーっ! そうゆんじゃないってっ」
女(せっかく来てもらったし、お茶くらい……)
女「お茶ってあったっけ? 去年の正月使ったような……」
女(いや、違うだろっ)ずびしっ
女「そ、そうじゃなくてっ」
女「色々考えるべき事は他にある訳でッ。
いやいやいや。ちがいますよ。そういうことじゃなくっ。
うちは一人のウォリアーとして乙女としてですね
自分の矜持は守らなきゃならない訳でですね」
女(ぱんつだけは一杯洗濯しておいて良かったぁ……)
女「いやちがう。そこホっとするところでも
照れるところでもない。なんですか、うち。
はしたないにもほどがありますよっ」
女(つか、いまこそおにゅーのぱんつ卸すべきでは?)
女「だからちゃぅーっ! そうゆんじゃないってっ」
200: 2009/04/23(木) 23:08:36.56 ID:qv6ULQoP
――6/2、日曜日 21:00 小さなアパート
がちゃり
男「お疲れ様」
女「あ、あがったよ?」
男「先輩」きりっ
女「え、ぁ。はい」
男「大事なお話があります」
女「なんでしょうか。いや、まて。
いま卸すから。――ちゃんと可愛いのだから」
男「良いからこれを見る」
女「……」
男「これいつのタマネギですか? なんでこんな
とろけるチーズも真っ青な粘液状ですか。
ラヴクラフトも真っ青な神話的恐怖ですよっ」
女「う゛ー」
男「他のものも一通り整理しときましたからね。
火曜日の朝にだせばいいようにしてありますから」
女「なんでかなぁ、もうっ」
がちゃり
男「お疲れ様」
女「あ、あがったよ?」
男「先輩」きりっ
女「え、ぁ。はい」
男「大事なお話があります」
女「なんでしょうか。いや、まて。
いま卸すから。――ちゃんと可愛いのだから」
男「良いからこれを見る」
女「……」
男「これいつのタマネギですか? なんでこんな
とろけるチーズも真っ青な粘液状ですか。
ラヴクラフトも真っ青な神話的恐怖ですよっ」
女「う゛ー」
男「他のものも一通り整理しときましたからね。
火曜日の朝にだせばいいようにしてありますから」
女「なんでかなぁ、もうっ」
201: 2009/04/23(木) 23:10:22.73 ID:qv6ULQoP
女「なんでうちだけ布団かぶらなきゃならんの」
男「寒いんでしょ」
女「暖かいよ。おかゆ食べてるから」
男「なんで部屋着がジャージしかないんですか」
女「部屋着って云ったらジャージでしょ」
男「じゃ、そのジャージを洗濯しておいてくださいよ」
女「無茶いわないでってば。臨氏してたんだから」
男「じゃ、文句言わないで布団かぶる」
女「むー」
男「……」
女「……もぐ……美味しい」
男「何食ったんですか? 今日は」
女「おかゆ食べてるよ?」
男「……」
女「……」
男「……もう一杯食います?」
女「食う」
男「寒いんでしょ」
女「暖かいよ。おかゆ食べてるから」
男「なんで部屋着がジャージしかないんですか」
女「部屋着って云ったらジャージでしょ」
男「じゃ、そのジャージを洗濯しておいてくださいよ」
女「無茶いわないでってば。臨氏してたんだから」
男「じゃ、文句言わないで布団かぶる」
女「むー」
男「……」
女「……もぐ……美味しい」
男「何食ったんですか? 今日は」
女「おかゆ食べてるよ?」
男「……」
女「……」
男「……もう一杯食います?」
女「食う」
207: 2009/04/23(木) 23:17:27.45 ID:qv6ULQoP
――6/2、日曜日 22:00 小さなアパート
女「そっか。C男そんなにがんばってるんだ」
男「うん。すごいよ。鬼気迫ってるかも」
女「そっかー」にこにこ「あとでメールしたげよう!」
男「それがいいかも」
女「あ! そだ」
男「なに?」
女「うち、今週は暇になる訳だし。
お勧め風俗を検索して探してあげようっ♪」
男「あ、いや……」
女「どしたん?」
男「ほら。趣味ってのは、人様々だから」
女「ん? 男はC男の趣味知ってるの?」
男「いや。……それは、その。ねぇ。
いくら先輩がえろトーク好きのウォリアーでも
おのずとプライバシーってものが」
女「云っえっ」
女「そっか。C男そんなにがんばってるんだ」
男「うん。すごいよ。鬼気迫ってるかも」
女「そっかー」にこにこ「あとでメールしたげよう!」
男「それがいいかも」
女「あ! そだ」
男「なに?」
女「うち、今週は暇になる訳だし。
お勧め風俗を検索して探してあげようっ♪」
男「あ、いや……」
女「どしたん?」
男「ほら。趣味ってのは、人様々だから」
女「ん? 男はC男の趣味知ってるの?」
男「いや。……それは、その。ねぇ。
いくら先輩がえろトーク好きのウォリアーでも
おのずとプライバシーってものが」
女「云っえっ」
208: 2009/04/23(木) 23:22:39.48 ID:qv6ULQoP
――6/2、日曜日 22:20 小さなアパート
女「ふむふむ」
男「で、新人女さんが一番早いんですわ」
女「そんなに?」
男「うん、いままで見た中で一番早いね、アレは。
指先がぶれて見えるほどだし、なにより腕が動かない。
指先だけ高速に動かして携帯操作するんだ」
女「それは一度みたいなー」
男「それでけろっとしてるんだ。これがまた。
『これくらいは常識ですよ』って顔で。
俺始めてリア充っていうんですか?
遭遇した気がしたもん」
女「ま。でも、携帯は元々女の子の方が得意でさ」
男「そうなの?」
女「指が細い方が、あのキーの大きさは楽だよね」
男「そういえばそうかぁ」
女「ふむふむ」
男「で、新人女さんが一番早いんですわ」
女「そんなに?」
男「うん、いままで見た中で一番早いね、アレは。
指先がぶれて見えるほどだし、なにより腕が動かない。
指先だけ高速に動かして携帯操作するんだ」
女「それは一度みたいなー」
男「それでけろっとしてるんだ。これがまた。
『これくらいは常識ですよ』って顔で。
俺始めてリア充っていうんですか?
遭遇した気がしたもん」
女「ま。でも、携帯は元々女の子の方が得意でさ」
男「そうなの?」
女「指が細い方が、あのキーの大きさは楽だよね」
男「そういえばそうかぁ」
212: 2009/04/23(木) 23:28:12.57 ID:qv6ULQoP
――6/2、日曜日 22:40 小さなアパート
男「B男もね。なんだか池袋の気合い入れてるみたいだし」
女「そうなん?」
男「女の人が一人残ってるって言ってたでしょ」
女「うん」
男「昼飯とか作ってもらったらしいよ」
女「まじでっ!?」
男「まじですよ。女先輩。この平成の鳳雛。
マネジの諜報力を舐めてもらっては困りますよ」
女「孔明よりはずいぶん落ちる気がするなぁ、それ」
男「で、それが」
女「なになに」
男「あげたパンの耳のランチだったらしくて」
女「え?」
男「あげたパンの耳。きなこまぶしてあったって」
女「……」
男「忍者だしねっ」
女「そだね、忍者だしねっ!」
男「B男もね。なんだか池袋の気合い入れてるみたいだし」
女「そうなん?」
男「女の人が一人残ってるって言ってたでしょ」
女「うん」
男「昼飯とか作ってもらったらしいよ」
女「まじでっ!?」
男「まじですよ。女先輩。この平成の鳳雛。
マネジの諜報力を舐めてもらっては困りますよ」
女「孔明よりはずいぶん落ちる気がするなぁ、それ」
男「で、それが」
女「なになに」
男「あげたパンの耳のランチだったらしくて」
女「え?」
男「あげたパンの耳。きなこまぶしてあったって」
女「……」
男「忍者だしねっ」
女「そだね、忍者だしねっ!」
221: 2009/04/23(木) 23:34:33.04 ID:qv6ULQoP
――6/2、日曜日 23:00 小さなアパート
女「うっわぁ。そんで?」
男「それでもなにも。仕方ないからマクロ直しましたよ」
女「ぷくくくっ。そっか。災難やったね」
男「全くですよ」
女「あはははっ」
男「……女先輩だって後から参戦ですよ」
女「OK,OK。判ってる。ちゃんと働くから」
男「期待してます」
女「うち、ウォリアーやしっ」
男「ふぅ……。えーっと時計は?」
女「いま、23時きっかり」
男「そっか、ずいぶん居座っちゃってごめんね」
女「ううん。ひきとめたの、うちやし。忙しいのに。
ごめんね、ほんと」
男「いえいえ。良い時間。引き上げますよ~」
女「へ? 泊まっていかんの?」
男「何いってんですか。気軽なことを」
女「うっわぁ。そんで?」
男「それでもなにも。仕方ないからマクロ直しましたよ」
女「ぷくくくっ。そっか。災難やったね」
男「全くですよ」
女「あはははっ」
男「……女先輩だって後から参戦ですよ」
女「OK,OK。判ってる。ちゃんと働くから」
男「期待してます」
女「うち、ウォリアーやしっ」
男「ふぅ……。えーっと時計は?」
女「いま、23時きっかり」
男「そっか、ずいぶん居座っちゃってごめんね」
女「ううん。ひきとめたの、うちやし。忙しいのに。
ごめんね、ほんと」
男「いえいえ。良い時間。引き上げますよ~」
女「へ? 泊まっていかんの?」
男「何いってんですか。気軽なことを」
227: 2009/04/23(木) 23:40:06.56 ID:qv6ULQoP
女「だいたい、男は練馬でしょ? どやって帰るの?」
男「電車で」
女「もう、ないよ?」
男「何言ってるんですか。まだ23時でしょ」
女「無いよ?」
男「え、うそ。だって終電01:12って見たし」
女「それ下りだよ。練馬は東京の向こう側でしょ?
ここ千葉だもん。上りと下りは逆になるんだよ。
上りの終電なんて、もう終わってるよ」
男「……そうなの?」
女「うん」
男「なんでそんなに早いの?」
女「千葉だから」
男「……」
女「ま、諦めて。ほら、プリンあげるから」
男「俺が差し入れしたヤツじゃないですかっ」
男「電車で」
女「もう、ないよ?」
男「何言ってるんですか。まだ23時でしょ」
女「無いよ?」
男「え、うそ。だって終電01:12って見たし」
女「それ下りだよ。練馬は東京の向こう側でしょ?
ここ千葉だもん。上りと下りは逆になるんだよ。
上りの終電なんて、もう終わってるよ」
男「……そうなの?」
女「うん」
男「なんでそんなに早いの?」
女「千葉だから」
男「……」
女「ま、諦めて。ほら、プリンあげるから」
男「俺が差し入れしたヤツじゃないですかっ」
231: 2009/04/23(木) 23:44:26.18 ID:qv6ULQoP
男「なんかインチキだよなぁ」
女「そんなにこだわらないでもええやん」
男「いや、こだわるよー。泊まるつもりなんて無かったし」
女「いいじゃない。もう一回泊まっちゃったんだし」
男「自宅じゃないでしょ、あれは」
女「同じだってば。一回も二回も」
男「……そう言ってもですね」
女「そんなにやかなー。うちとじゃ」
男「そういう問題じゃなくて」
女「うー。良い方の布団かしてあげるからさ」
男「そういう問題じゃなくて」
女「それともうちの肉布団とかっ? きらっ☆」
男「……」
女「ごめん。引かないで。自分で困った」
男「判ってくれれば良いんです」
女「そんなにこだわらないでもええやん」
男「いや、こだわるよー。泊まるつもりなんて無かったし」
女「いいじゃない。もう一回泊まっちゃったんだし」
男「自宅じゃないでしょ、あれは」
女「同じだってば。一回も二回も」
男「……そう言ってもですね」
女「そんなにやかなー。うちとじゃ」
男「そういう問題じゃなくて」
女「うー。良い方の布団かしてあげるからさ」
男「そういう問題じゃなくて」
女「それともうちの肉布団とかっ? きらっ☆」
男「……」
女「ごめん。引かないで。自分で困った」
男「判ってくれれば良いんです」
237: 2009/04/23(木) 23:49:50.98 ID:qv6ULQoP
重ねて云う。
萌ってのは、人外幼女とかなのだっ。
それで魔王とか異形の落とし子とかそういうのが萌えだ!
あとは皇族と内侍司。
猟奇とかメンヘルも萌え。
夕日を見つめながら唇から血が出るほど噛みしめてる
娘さんなんて萌えまくり。月下で薄ら笑いを浮かべて
揺れている病院パジャマの幼女とか。
だが、唐翌揚げとゆとりはない(´∇`)ノシ
萌ってのは、人外幼女とかなのだっ。
それで魔王とか異形の落とし子とかそういうのが萌えだ!
あとは皇族と内侍司。
猟奇とかメンヘルも萌え。
夕日を見つめながら唇から血が出るほど噛みしめてる
娘さんなんて萌えまくり。月下で薄ら笑いを浮かべて
揺れている病院パジャマの幼女とか。
だが、唐翌揚げとゆとりはない(´∇`)ノシ
243: 2009/04/23(木) 23:54:39.93 ID:qv6ULQoP
――6/2、日曜日 23:15 小さなアパート
女「んじゃ、電気けすね」
男「はーい」
かちっ。
女「ん、っしょっと」もそもそ
男「……」
女「ごめんね、ろくな寝具無くて」
男「いや、一人暮らしだもん。当然ですよ」
女「……」
男「……」
こぉぉぉぉぉーーー
女「……車の音、遠く響くでしょ?」
男「はい」
女「幹線道路があるからね。遠くに木霊みたいに音がするのだ」
男「……」
女「ごめんね」
女「んじゃ、電気けすね」
男「はーい」
かちっ。
女「ん、っしょっと」もそもそ
男「……」
女「ごめんね、ろくな寝具無くて」
男「いや、一人暮らしだもん。当然ですよ」
女「……」
男「……」
こぉぉぉぉぉーーー
女「……車の音、遠く響くでしょ?」
男「はい」
女「幹線道路があるからね。遠くに木霊みたいに音がするのだ」
男「……」
女「ごめんね」
247: 2009/04/23(木) 23:58:47.66 ID:qv6ULQoP
男「どうしてです?」
女「うち、倒れちゃってさ。無理させてるよね」
男「気にしないで」
女「それに、派遣の方もさ。……手を回してくれたんでしょ。
コネ一杯使わせたよね。うっすらとだけ、判る」
男「マネジとしてなんでもない。
むしろそんなリカバリをする事態になる前に
手を打てなかった不明を恥じるばかりですよ」
こぉぉぉぉぉーーー
女「……」
男「……」
女「おとこ」
男「はい?」
女「ちょっとだけ、触って良い?
ううん、袖だけでもいいから」
女「うち、倒れちゃってさ。無理させてるよね」
男「気にしないで」
女「それに、派遣の方もさ。……手を回してくれたんでしょ。
コネ一杯使わせたよね。うっすらとだけ、判る」
男「マネジとしてなんでもない。
むしろそんなリカバリをする事態になる前に
手を打てなかった不明を恥じるばかりですよ」
こぉぉぉぉぉーーー
女「……」
男「……」
女「おとこ」
男「はい?」
女「ちょっとだけ、触って良い?
ううん、袖だけでもいいから」
251: 2009/04/24(金) 00:02:15.17 ID:lPBcTgUP
男「……」もそもそ
きゅっ
女「――うち、感謝してるから」
男「……」
女「うち、色々判ってなかった。ううん、たぶん、
いまでも本当は判ってないんだと思う」
男「……」
女「うち、返しきれないほど、恩がある」
男「身体のことは、恩とか返すとかじゃないです」
女「それだけじゃ、ないよ」
男「……」
女「うち、おっかなくて、泣いてた。……あはは。
いや、身体がおかしくなると、ダメだよね。
不安になって、黒い気持ちが止まらなくてさ」
女「忙しいのに、あんなにバカ話に付き合ってくれたのも
感謝してる」
きゅっ
女「――うち、感謝してるから」
男「……」
女「うち、色々判ってなかった。ううん、たぶん、
いまでも本当は判ってないんだと思う」
男「……」
女「うち、返しきれないほど、恩がある」
男「身体のことは、恩とか返すとかじゃないです」
女「それだけじゃ、ないよ」
男「……」
女「うち、おっかなくて、泣いてた。……あはは。
いや、身体がおかしくなると、ダメだよね。
不安になって、黒い気持ちが止まらなくてさ」
女「忙しいのに、あんなにバカ話に付き合ってくれたのも
感謝してる」
255: 2009/04/24(金) 00:08:45.89 ID:lPBcTgUP
男「電車のって千葉くんだりまで来たから
移動するのがおっくうになっただけです」
女「うちは、その……」
こぉぉぉぉぉーーー
女「……」
男「……」
女「――萎え人間なので。
そういう用途には低ランクなんやけど
ほら。工業用の軽油みたいな?
あはははっ……」
女「でも、今度は。今度こそは
ウォリアーとしてやるから。次は折れないから。
こんどはちゃんと男の分まで斃しちゃうから。
うち、ウォリアーやしねっ。
そんで男と唐翌揚げ食べに行く。ううん、みんなと行くから」
女「それで、恩がえしさせて。
すぐ行くから。ほんとは明日からでも行きたいからさ」
移動するのがおっくうになっただけです」
女「うちは、その……」
こぉぉぉぉぉーーー
女「……」
男「……」
女「――萎え人間なので。
そういう用途には低ランクなんやけど
ほら。工業用の軽油みたいな?
あはははっ……」
女「でも、今度は。今度こそは
ウォリアーとしてやるから。次は折れないから。
こんどはちゃんと男の分まで斃しちゃうから。
うち、ウォリアーやしねっ。
そんで男と唐翌揚げ食べに行く。ううん、みんなと行くから」
女「それで、恩がえしさせて。
すぐ行くから。ほんとは明日からでも行きたいからさ」
265: 2009/04/24(金) 00:17:12.41 ID:lPBcTgUP
男「何言ってるんですか。らしくもない」
女「ん……」
男「先輩が唐翌揚げマニアなのもウォリアーなのも
バイオレンス&スパルタなのも昔からでしょ。
だいたい俺をこういう風に育ててくれたのも
女先輩じゃないですか」
男「それをいちいち恩に着るとか
返すの返さないの軽油だレギュラーだバイオ燃料だと
水くさいを通り越してミミズくさいですよ」
女「――」
男「そもそも女先輩がウォリアーなのは当然ですけど
俺だってB男だってC男だって、その上いまは
新人女さんだってウォリアーでしょ? ちがいます?
ウォリアーだとかキャラ作って線引いてないで
皆頃しレベルの仕事してくださいよ。
それが先輩だったでしょ。
二人っきりでデスマーチ終わらせたことあるでしょ、俺たち」
男「先輩は、ずっと勇者なんだから。
ウォリアーだなんて甘えたこと抜かさないでくださいよ」
女「ん……」
男「先輩が唐翌揚げマニアなのもウォリアーなのも
バイオレンス&スパルタなのも昔からでしょ。
だいたい俺をこういう風に育ててくれたのも
女先輩じゃないですか」
男「それをいちいち恩に着るとか
返すの返さないの軽油だレギュラーだバイオ燃料だと
水くさいを通り越してミミズくさいですよ」
女「――」
男「そもそも女先輩がウォリアーなのは当然ですけど
俺だってB男だってC男だって、その上いまは
新人女さんだってウォリアーでしょ? ちがいます?
ウォリアーだとかキャラ作って線引いてないで
皆頃しレベルの仕事してくださいよ。
それが先輩だったでしょ。
二人っきりでデスマーチ終わらせたことあるでしょ、俺たち」
男「先輩は、ずっと勇者なんだから。
ウォリアーだなんて甘えたこと抜かさないでくださいよ」
271: 2009/04/24(金) 00:23:26.33 ID:lPBcTgUP
女「あんな、おとこ」
男「なんすか」
女「偉いぞ」ぐすっ
男「ふふん」
女「偉そうにしてても、偉いぞ」
男「ふふふん」
女「信用しても良いかな」
男「どういう風の吹き回しですか」
女「信用したらうちのこと嫌いになるくせに」
男「8時間だけ執行留保します」
女「あんがとうな」
男「これについては恩に来てください」
女「任せて。――勇者の仕事を見せてやるから」
男「なんすか」
女「偉いぞ」ぐすっ
男「ふふん」
女「偉そうにしてても、偉いぞ」
男「ふふふん」
女「信用しても良いかな」
男「どういう風の吹き回しですか」
女「信用したらうちのこと嫌いになるくせに」
男「8時間だけ執行留保します」
女「あんがとうな」
男「これについては恩に来てください」
女「任せて。――勇者の仕事を見せてやるから」
329: 2009/04/24(金) 12:44:12.12 ID:lPBcTgUP
――6/3、月曜日 黎明 小さなアパート
(暖かいな……)
(……布団、ぬくい。――なんだっけ。
こんなに暖かいの、久しぶりって云うか……。
すべすべで、ぷにぷにで……。
腕の中が幸せで……幸せで……)
(こういうのって他ではちょっと無いよなぁ、
本人達自覚がないみたいだけどさぁ~。
軽ければいいってもんじゃないんすよ。
……重さが贅沢って言うかさ~。
抱きしめたときの確かさって言うかさ……)
(……こればっかりは女には分かんないんだろうなぁ
こんなしょーもないことで、
俺らがどうしようもなく幸せだとかさー)
(……ぬくいなぁ)
(でも、目が覚めちゃい……そう……)
(微睡んでいたいけど……)
(暖かいな……)
(……布団、ぬくい。――なんだっけ。
こんなに暖かいの、久しぶりって云うか……。
すべすべで、ぷにぷにで……。
腕の中が幸せで……幸せで……)
(こういうのって他ではちょっと無いよなぁ、
本人達自覚がないみたいだけどさぁ~。
軽ければいいってもんじゃないんすよ。
……重さが贅沢って言うかさ~。
抱きしめたときの確かさって言うかさ……)
(……こればっかりは女には分かんないんだろうなぁ
こんなしょーもないことで、
俺らがどうしようもなく幸せだとかさー)
(……ぬくいなぁ)
(でも、目が覚めちゃい……そう……)
(微睡んでいたいけど……)
330: 2009/04/24(金) 12:46:07.02 ID:lPBcTgUP
ん……
(ところで……これ誰?……)
こつん
(すごい良い匂いだけど……彼女っていたんだっけ)
すりすり……
(……そか女先輩か。この鎖骨の形は)
(そゆことね。おけおけ。判って良かった……)
くてんっ
(ぬくいなぁ……)
え?
(なんで女先輩なの!?)
(ところで……これ誰?……)
こつん
(すごい良い匂いだけど……彼女っていたんだっけ)
すりすり……
(……そか女先輩か。この鎖骨の形は)
(そゆことね。おけおけ。判って良かった……)
くてんっ
(ぬくいなぁ……)
え?
(なんで女先輩なの!?)
331: 2009/04/24(金) 12:46:41.41 ID:lPBcTgUP
(……)
う
(う、ううううううっ……)
ぎくっ
(そだ。無くなった千葉が終電で布団の中諦めたんだっ)
(お、落ち着け、俺っ)
(……えっと、服は……着てる……)
(右手……動く。左手……はなんか腕枕してるしっ!?)
ぎくぅっ!
(なんでこんなに顔近いんだよっ……)
ぎくぎくっ!
(脚、脚からめられてるっ)
(刺激が強いっての。まじ頼むからっ。女先輩は
もうちょっと武力行使の自覚持て、自分の身体にっ)
う
(う、ううううううっ……)
ぎくっ
(そだ。無くなった千葉が終電で布団の中諦めたんだっ)
(お、落ち着け、俺っ)
(……えっと、服は……着てる……)
(右手……動く。左手……はなんか腕枕してるしっ!?)
ぎくぅっ!
(なんでこんなに顔近いんだよっ……)
ぎくぎくっ!
(脚、脚からめられてるっ)
(刺激が強いっての。まじ頼むからっ。女先輩は
もうちょっと武力行使の自覚持て、自分の身体にっ)
332: 2009/04/24(金) 12:47:10.12 ID:lPBcTgUP
(腕、抜ける……かな。起こしたくない……)
女「……すぅ。……くぅー。んにゅ……」くてっ
(天然なのか。こいつ天然かっ!?)
女「んぅ……。……すぅ」すりっ
(寝顔の方が、美人なんだ。……まつげなげー)
(疲れてるんだなぁ。そういえば、頬の線がシャープに
なった気がするもんなぁ……)
(……こんなになるまで追い込んだの俺だもんな)
(それなのに腕枕なんかして)
(俺、M野かよ)
(マネージャー笠に着て女食ってんじゃねぇよ)
男「ん……しょっと……」
女「……すぅ。……くぅー。んにゅ……」くてっ
(天然なのか。こいつ天然かっ!?)
女「んぅ……。……すぅ」すりっ
(寝顔の方が、美人なんだ。……まつげなげー)
(疲れてるんだなぁ。そういえば、頬の線がシャープに
なった気がするもんなぁ……)
(……こんなになるまで追い込んだの俺だもんな)
(それなのに腕枕なんかして)
(俺、M野かよ)
(マネージャー笠に着て女食ってんじゃねぇよ)
男「ん……しょっと……」
337: 2009/04/24(金) 13:00:23.96 ID:lPBcTgUP
――6/3、月曜日 08:00 小さなアパート
女「すぅ……。んっ……んぅ」
女「うー。ん……」ぼへぇっ
女「なんやろ。なんか、すごい幸せな感じやったんやけど」
女「……」ぼへぇっ
女「……なんでうちこんな体勢なん?」
女「……」
女「……」
女「……っ!? いないやんっ!!」
女「あ、あれ? どした。いっちゃったん!?」
女「そか……。月曜だもんね」
女「すぅ……。んっ……んぅ」
女「うー。ん……」ぼへぇっ
女「なんやろ。なんか、すごい幸せな感じやったんやけど」
女「……」ぼへぇっ
女「……なんでうちこんな体勢なん?」
女「……」
女「……」
女「……っ!? いないやんっ!!」
女「あ、あれ? どした。いっちゃったん!?」
女「そか……。月曜だもんね」
342: 2009/04/24(金) 13:04:24.55 ID:lPBcTgUP
女「あ、そだ。メールあるかな」
ポ。ピ、ピ
「件名:帰る
社に戻ります。お身体お大事に。
冷蔵庫の中に缶詰とレトルトおかゆがあります。
一日二食食べること。
トイレの洗剤を買い足しておくこと。
野菜室にはものを入れないこと。
以上、男。
追記//
へこたれてたことはみんなには内緒にしておくので
週明けに勇者の力で仕事をなぎ倒してください。
こちらはお任せを。先輩のいまの敵は、過労」
女「……ん」
女「元気。でた。
うちは、うちのやれることから、しよ」
女「まずは……。ご飯やね」
ポ。ピ、ピ
「件名:帰る
社に戻ります。お身体お大事に。
冷蔵庫の中に缶詰とレトルトおかゆがあります。
一日二食食べること。
トイレの洗剤を買い足しておくこと。
野菜室にはものを入れないこと。
以上、男。
追記//
へこたれてたことはみんなには内緒にしておくので
週明けに勇者の力で仕事をなぎ倒してください。
こちらはお任せを。先輩のいまの敵は、過労」
女「……ん」
女「元気。でた。
うちは、うちのやれることから、しよ」
女「まずは……。ご飯やね」
346: 2009/04/24(金) 13:13:59.17 ID:lPBcTgUP
――6/3、月曜日 08:00 神楽坂作業室
男「……」
男:カタカタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタ
男「C男ー」
C男「?」
男:カタカタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタ
男「進捗どう?」
C男「順調。先行半日」
男「余裕は?」
C男「ある。いまならどんな仕事でも捨てられる」
男「捨てないでこなしてよ」
C男「了解」
男:カタカタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタ
男「池袋の仕事さ。……C男がいやがってたヤツ」
男「……」
男:カタカタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタ
男「C男ー」
C男「?」
男:カタカタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタ
男「進捗どう?」
C男「順調。先行半日」
男「余裕は?」
C男「ある。いまならどんな仕事でも捨てられる」
男「捨てないでこなしてよ」
C男「了解」
男:カタカタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタ
男「池袋の仕事さ。……C男がいやがってたヤツ」
347: 2009/04/24(金) 13:18:50.62 ID:lPBcTgUP
C男「……」
男「回しても良いかな?」
男:カタカタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタ
C男「……」
男「……」
男:カタカタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタ
C男「ikebukuroフォルダ?」
男「そう」
C男「なんで手が着いてる?」
男「俺と女先輩がやってたから」
C男「半分くらい終わってる」
男「終わらせた」
男:カタカタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタ
男「回しても良いかな?」
男:カタカタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタ
C男「……」
男「……」
男:カタカタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタ
C男「ikebukuroフォルダ?」
男「そう」
C男「なんで手が着いてる?」
男「俺と女先輩がやってたから」
C男「半分くらい終わってる」
男「終わらせた」
男:カタカタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタ
348: 2009/04/24(金) 13:20:21.10 ID:lPBcTgUP
C男「これが、女先輩を倒れさせた?」
男「……そうとも言えるね」
男:カタカタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタ
C男「巻き込んだんだ?」
男「うん」
男:カタカタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタ
C男「そんなマネジは捨てるべき」
男「うん」
男:カタカタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタ
C男「やる」
男「……」
男:カタカタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタ
C男「先輩が戻ったとき、こいつは残ってるべきじゃない」
男「さんきゅ」
男「……そうとも言えるね」
男:カタカタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタ
C男「巻き込んだんだ?」
男「うん」
男:カタカタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタ
C男「そんなマネジは捨てるべき」
男「うん」
男:カタカタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタ
C男「やる」
男「……」
男:カタカタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタ
C男「先輩が戻ったとき、こいつは残ってるべきじゃない」
男「さんきゅ」
353: 2009/04/24(金) 13:38:09.82 ID:lPBcTgUP
――6/4、火曜日 19:00 神楽坂の小料理屋
部長「まぁ、一杯やってくれ。今日は常務の奢りだそうだから」
常務「ははは。男君だったよね。話は聞いてるよ?」
開発リ「どうも。開発リーダーです」
男「ありがとうございます」
部長「四人もいるしね。ボトルいっておこうか」
常務「ん、そうだね。おーい」
開発リ「なかなか忙しいでしょう?」
男「そうですね。いまはちょっときつい時期ですね」
部長「男君のところは特に集中しているからね」
常務「ははは。営業の、なんだっけ? M野君かい?
彼が新しく班を立ち上げたんだろう?
これでぐんと楽になるんじゃないかい?」
部長「はははは」
常務「彼はなかなか成績がよいからね」
男「……」
部長「まぁ、一杯やってくれ。今日は常務の奢りだそうだから」
常務「ははは。男君だったよね。話は聞いてるよ?」
開発リ「どうも。開発リーダーです」
男「ありがとうございます」
部長「四人もいるしね。ボトルいっておこうか」
常務「ん、そうだね。おーい」
開発リ「なかなか忙しいでしょう?」
男「そうですね。いまはちょっときつい時期ですね」
部長「男君のところは特に集中しているからね」
常務「ははは。営業の、なんだっけ? M野君かい?
彼が新しく班を立ち上げたんだろう?
これでぐんと楽になるんじゃないかい?」
部長「はははは」
常務「彼はなかなか成績がよいからね」
男「……」
354: 2009/04/24(金) 13:39:11.83 ID:lPBcTgUP
部長「男君は、ずいぶん強いのかね?」
男「いえ。まったくですよ。ですから
お酒を頂くときは、いつも緊張気味です」
常務「ははは。リラックスしてくれたまえよ?
今日は最近迷惑をかけているというキミへの
慰労のためだからね」
部長「そう言うことがあったら、食べたいものが
あったら遠慮無くいいんだよ」
常務「そろそろ、ふぐもくるんじゃないかな」
からり
仲居「お鍋の方の準備、始めてよろしいでしょうか?」
常務「ああ、たのむよ」
部長「これは美味そうだ」
部長「どうだね、開発リーダー君も」
開発リ「いただきます」
仲居「お取りしますよ」
男「いえ。まったくですよ。ですから
お酒を頂くときは、いつも緊張気味です」
常務「ははは。リラックスしてくれたまえよ?
今日は最近迷惑をかけているというキミへの
慰労のためだからね」
部長「そう言うことがあったら、食べたいものが
あったら遠慮無くいいんだよ」
常務「そろそろ、ふぐもくるんじゃないかな」
からり
仲居「お鍋の方の準備、始めてよろしいでしょうか?」
常務「ああ、たのむよ」
部長「これは美味そうだ」
部長「どうだね、開発リーダー君も」
開発リ「いただきます」
仲居「お取りしますよ」
356: 2009/04/24(金) 13:42:36.47 ID:lPBcTgUP
――6/4、火曜日 19:20 神楽坂の小料理屋
常務「で。どうなんだろうね? 開発リーダーくん。
男君の能力というのはね」
開発リ「そうですね……」
部長「そうだね。開発の方の視点からも聞きたいね」
開発リ「自分が入ってからも、管理の方も……
7人ですか? マネージャー変わりましたけど
上位を争うと思いますよ」
常務「ほほう」
部長「やっぱりねぇ。根を詰めてるからね、男君は」
開発リ「会社にいればいいってもんでもないんでしょうが。
――作業の組み立て能力と危機対応力は
ずば抜けてるんじゃないかな……。
ボクもよく判って無くて、聞きたかったんだけど」
開発リ「去年の年末の、代々木上原に納品したDBだけどさ」
男「――」
開発リ「あれ、要件定義書書いたの、男さんだよね?」
男「はい」
開発リ「そっか。開発経験は?」
男「ありません」
常務「で。どうなんだろうね? 開発リーダーくん。
男君の能力というのはね」
開発リ「そうですね……」
部長「そうだね。開発の方の視点からも聞きたいね」
開発リ「自分が入ってからも、管理の方も……
7人ですか? マネージャー変わりましたけど
上位を争うと思いますよ」
常務「ほほう」
部長「やっぱりねぇ。根を詰めてるからね、男君は」
開発リ「会社にいればいいってもんでもないんでしょうが。
――作業の組み立て能力と危機対応力は
ずば抜けてるんじゃないかな……。
ボクもよく判って無くて、聞きたかったんだけど」
開発リ「去年の年末の、代々木上原に納品したDBだけどさ」
男「――」
開発リ「あれ、要件定義書書いたの、男さんだよね?」
男「はい」
開発リ「そっか。開発経験は?」
男「ありません」
358: 2009/04/24(金) 13:43:13.34 ID:lPBcTgUP
開発リ「うちのK菅がDB書いたんだけど、
要件定義書なかったはずだよね、あれは」
男「現物から逆算でクライアントに問い合わせて再構築しました」
開発リ「そっか」
部長「どういうことなのかな?」
常務「?」
開発リ「いえ。訂正です。組み立てと聞き取りだけじゃ
なかったですね。彼がここ数年で一番です」
部長「そうか、そうかっ。まぁ、飲んでくれ」
男「ありがとうございます」
常務「ま、しかし。マネージャーってのは人員管理、
労務管理業務だからね。技術畑だけで判断するのも
なんともいえんが、そうか。そんなに逸材かね」
開発リ「技術以外の判断は手に余りますね」
男「現場で冷や汗をかいて辻褄を
合わせているだけですよ」
要件定義書なかったはずだよね、あれは」
男「現物から逆算でクライアントに問い合わせて再構築しました」
開発リ「そっか」
部長「どういうことなのかな?」
常務「?」
開発リ「いえ。訂正です。組み立てと聞き取りだけじゃ
なかったですね。彼がここ数年で一番です」
部長「そうか、そうかっ。まぁ、飲んでくれ」
男「ありがとうございます」
常務「ま、しかし。マネージャーってのは人員管理、
労務管理業務だからね。技術畑だけで判断するのも
なんともいえんが、そうか。そんなに逸材かね」
開発リ「技術以外の判断は手に余りますね」
男「現場で冷や汗をかいて辻褄を
合わせているだけですよ」
359: 2009/04/24(金) 13:44:51.29 ID:lPBcTgUP
常務「M野君なんてどうだい? 彼は」
開発リ「判断不能ですね」
部長「そうなのかい?」
開発リ「仕事が出来るかどうかは仕事をしないと
判りませんから……。一緒に仕事をしたことが
ないんですよ。あの人、なんで給料もらってるんで」
男「池袋班はまだ発足日が浅く、現状チームの
初期編成の段階ですから」
常務「そうかね。そうだろうね」
開発リ「ふむ」
男「……こく、こく」
部長「さ、煮えたんじゃないかな」
常務「おお。食おう、食おう。美味いぞ」
開発リ「判断不能ですね」
部長「そうなのかい?」
開発リ「仕事が出来るかどうかは仕事をしないと
判りませんから……。一緒に仕事をしたことが
ないんですよ。あの人、なんで給料もらってるんで」
男「池袋班はまだ発足日が浅く、現状チームの
初期編成の段階ですから」
常務「そうかね。そうだろうね」
開発リ「ふむ」
男「……こく、こく」
部長「さ、煮えたんじゃないかな」
常務「おお。食おう、食おう。美味いぞ」
361: 2009/04/24(金) 13:46:38.30 ID:lPBcTgUP
――6/4、火曜日 19:50 神楽坂の小料理屋
開発リ「でも、実際良い腕ですよ」
男「ありがとうございます」
常務「ははは。ずいぶん惚れ込んだものだな」
開発リ「どうだい? 男君はさ。開発来ないかい?」
男「いえ……」
部長「おいおい。抜け駆けはよしてくれ。ははは。
男君を抜かれたら神楽坂が持たんよ」
常務「ははは。そうかもしれんな。だが、M野君が
ゆくゆくは、管理の2つの班を統括するんだろう?」
開発リ「――っ」
部長「そうですね。やはり対外的なスタンスがありますからね」
常務「おお。それで思い出した。今日の本題だ」
開発リ「?」 男「なんでしょう」
部長「実はね」
常務「いやいや、僕から云おう」
開発リ「でも、実際良い腕ですよ」
男「ありがとうございます」
常務「ははは。ずいぶん惚れ込んだものだな」
開発リ「どうだい? 男君はさ。開発来ないかい?」
男「いえ……」
部長「おいおい。抜け駆けはよしてくれ。ははは。
男君を抜かれたら神楽坂が持たんよ」
常務「ははは。そうかもしれんな。だが、M野君が
ゆくゆくは、管理の2つの班を統括するんだろう?」
開発リ「――っ」
部長「そうですね。やはり対外的なスタンスがありますからね」
常務「おお。それで思い出した。今日の本題だ」
開発リ「?」 男「なんでしょう」
部長「実はね」
常務「いやいや、僕から云おう」
369: 2009/04/24(金) 13:55:01.91 ID:lPBcTgUP
常務「君たち二人も、我が社に長いだろう? 法改正の
問題もあるしね。どうだろうね? そろそろ正社員に
なってみないかということなんだ」
開発リ「……」
男「……」
部長「もちろん、待遇なんかは考えさせてもらうよ。
当社規定でだがね」
常務「君たちが即戦力なのは重々判っている。社会的には
不況だが、我が社の業績はここらで弾みをつけるべき
時期だというのが社長の意向でもあるのでね。
人員の拡大を行うためにも、君たちを迎え入れたいのだよ」
開発リ「……ことわ」
男「申し訳ありませんが」
常務「ん? 何か条件でもあるのかね?」
男「いえ。良くしていただいている恩は
身にしみているのですが、管理部は実作業人員の
ほぼ全員が派遣です」
部長「そうなるね」
問題もあるしね。どうだろうね? そろそろ正社員に
なってみないかということなんだ」
開発リ「……」
男「……」
部長「もちろん、待遇なんかは考えさせてもらうよ。
当社規定でだがね」
常務「君たちが即戦力なのは重々判っている。社会的には
不況だが、我が社の業績はここらで弾みをつけるべき
時期だというのが社長の意向でもあるのでね。
人員の拡大を行うためにも、君たちを迎え入れたいのだよ」
開発リ「……ことわ」
男「申し訳ありませんが」
常務「ん? 何か条件でもあるのかね?」
男「いえ。良くしていただいている恩は
身にしみているのですが、管理部は実作業人員の
ほぼ全員が派遣です」
部長「そうなるね」
373: 2009/04/24(金) 14:01:00.10 ID:lPBcTgUP
男「モチベーション維持的にも、マネージャーである
自分もこのままの身分の方が、ここ当面は有用かと
思うんですよ」
開発リ「――」
常務「そうなのかね?」
部長「そう言うことも、あるかもしれませんなぁ」
常務「しかし、正社員登用の可能性を示した方が
長い目で見ればモチベーションが上がるんじゃないかね」
男「ええ。もちろん、そのとおりです。
しかし、班の人間と心理的な垣根を作るよりは、
現場で一緒に汗をかく関係の方が有意義な
ときもあると思うんです。
お申し出は本当にありがたいのですが、
いま神楽坂、というか管理部の方はかなり仕事がきつい
時期でして……」
部長「ふむ」
開発リ「開発の方も立て込んでますね」
自分もこのままの身分の方が、ここ当面は有用かと
思うんですよ」
開発リ「――」
常務「そうなのかね?」
部長「そう言うことも、あるかもしれませんなぁ」
常務「しかし、正社員登用の可能性を示した方が
長い目で見ればモチベーションが上がるんじゃないかね」
男「ええ。もちろん、そのとおりです。
しかし、班の人間と心理的な垣根を作るよりは、
現場で一緒に汗をかく関係の方が有意義な
ときもあると思うんです。
お申し出は本当にありがたいのですが、
いま神楽坂、というか管理部の方はかなり仕事がきつい
時期でして……」
部長「ふむ」
開発リ「開発の方も立て込んでますね」
374: 2009/04/24(金) 14:02:23.96 ID:lPBcTgUP
男「仕事の方がハードですし、ここ最近神楽坂班は
泊まり込みも続いていますし」
常務「そうなのかい?」
部長「もちろん、規定時間以内の残業ですよ」
常務「はははっ。やはりもうちょっと作業効率を
高めるべきだろうね。新生池袋班のほうは
手際よく仕事をこなしているのだろう?」
開発リ「……はンっ」
男「幸い、うちのメンバーはモチベーションあるので、
こじれさせるようなことは今は手をつけたくないんです。
ですから、お時間を頂くか辞退させていただいて構いませんか?」
常務「ふむ……。ところで開発リーダー君はどうだね?」
開発リ「そうですね。考えてみれば、うちも派遣所帯ですから」
部長「そうか……」
常務「いやいや。なかなか厳しそうだね。
うん、いや時間の方はもちろん構わんよ。はははは」
泊まり込みも続いていますし」
常務「そうなのかい?」
部長「もちろん、規定時間以内の残業ですよ」
常務「はははっ。やはりもうちょっと作業効率を
高めるべきだろうね。新生池袋班のほうは
手際よく仕事をこなしているのだろう?」
開発リ「……はンっ」
男「幸い、うちのメンバーはモチベーションあるので、
こじれさせるようなことは今は手をつけたくないんです。
ですから、お時間を頂くか辞退させていただいて構いませんか?」
常務「ふむ……。ところで開発リーダー君はどうだね?」
開発リ「そうですね。考えてみれば、うちも派遣所帯ですから」
部長「そうか……」
常務「いやいや。なかなか厳しそうだね。
うん、いや時間の方はもちろん構わんよ。はははは」
378: 2009/04/24(金) 14:12:01.57 ID:lPBcTgUP
――6/4、火曜日 20:15 神楽坂の小料理屋トイレ
開発リ「まだ20代だっけ」
男「はい」
開発リ「A派遣だよね? そっかぁ。
……まじで、開発やる気ないか? B派遣社のほうでも
腕のあるヤツだったらなんぼでも取ってくれると思うぜ」
男「あはは。……や。そうしたい気もするんすけど」
開発リ「……」
男「いろいろと」
開発リ「……そか。いや、そうだよな。修羅場に生きてりゃ
そりゃ、いろいろあるよな。判るよ」
男「すいません」
開発リ「いや。いいよ。考えてみれば、結構疎遠だったな。
開発のリーダーやってる。よろしくな」
男「こちらこそよろしくお願いします」
開発リ「実を言えばちょっとむかついてたんだ」
男「?」
開発リ「こっちで作ったDBやらマクロやらいじくるやつが
管理の方にいるのは判ってたからさ。文句があるなら
手前でやりやがれっていうヤツもいてさ」
開発リ「まだ20代だっけ」
男「はい」
開発リ「A派遣だよね? そっかぁ。
……まじで、開発やる気ないか? B派遣社のほうでも
腕のあるヤツだったらなんぼでも取ってくれると思うぜ」
男「あはは。……や。そうしたい気もするんすけど」
開発リ「……」
男「いろいろと」
開発リ「……そか。いや、そうだよな。修羅場に生きてりゃ
そりゃ、いろいろあるよな。判るよ」
男「すいません」
開発リ「いや。いいよ。考えてみれば、結構疎遠だったな。
開発のリーダーやってる。よろしくな」
男「こちらこそよろしくお願いします」
開発リ「実を言えばちょっとむかついてたんだ」
男「?」
開発リ「こっちで作ったDBやらマクロやらいじくるやつが
管理の方にいるのは判ってたからさ。文句があるなら
手前でやりやがれっていうヤツもいてさ」
379: 2009/04/24(金) 14:13:03.81 ID:lPBcTgUP
開発リ「でも、考えてみればお門違いな話だよな。
現場で修羅場だもんな。そりゃ、生き残るためには
何でもやるよな。武器がなけりゃつくるし、
竹槍だって命かけるなら、けずるよな」
男「……」
開発リ「いや。悪かった。半端なもん渡してた。
うちの連中にも云っておく」
男「いえ。こちらこそも独断で事を沢山進めました」
開発リ「キミ、ほんとに20代なんか?
そつなさすぎだぞ~。あははははは」
男「必氏ですから」
開発リ「――なんか、やってんだ?」
男「はい」
開発リ「M野のせいか?」
男「……おおむね」
開発リ「そっか。で、気配けしてるんだ」
男「もうすこしだけ」
開発リ「じゃ、もうちょい茶番付きあっとこうか」
男「はい。よろしくお願いします」
現場で修羅場だもんな。そりゃ、生き残るためには
何でもやるよな。武器がなけりゃつくるし、
竹槍だって命かけるなら、けずるよな」
男「……」
開発リ「いや。悪かった。半端なもん渡してた。
うちの連中にも云っておく」
男「いえ。こちらこそも独断で事を沢山進めました」
開発リ「キミ、ほんとに20代なんか?
そつなさすぎだぞ~。あははははは」
男「必氏ですから」
開発リ「――なんか、やってんだ?」
男「はい」
開発リ「M野のせいか?」
男「……おおむね」
開発リ「そっか。で、気配けしてるんだ」
男「もうすこしだけ」
開発リ「じゃ、もうちょい茶番付きあっとこうか」
男「はい。よろしくお願いします」
385: 2009/04/24(金) 14:20:20.59 ID:lPBcTgUP
――6/4、火曜日 20:30 神楽坂の小料理屋
常務「いやいや。今時熱心な若者じゃないか。あははは」
開発リ「唐翌揚げいただきます」
男「うわ、ふぐの唐翌揚げ始めて食べましたよ」
部長「そうかい?」
常務「若いんだからふぐくらいは食べないとな」
開発リ「良く判らん理屈だ」ぼそっ
男「美味しく頂いてます。立派で緊張しますね」
部長「そうかね」
常務「たまには休憩しないとね、仕事もな」
開発リ「デスマやってる理解あんのかよ」
男「あんまり美味しいもの食べてると、班の仲間に
呪いかけられたりしそうですよ。あはは」
部長「や、苦労をかけるね。いま新しい派遣の会社も
当たっているからね」
常務「そうなのかね?」
常務「いやいや。今時熱心な若者じゃないか。あははは」
開発リ「唐翌揚げいただきます」
男「うわ、ふぐの唐翌揚げ始めて食べましたよ」
部長「そうかい?」
常務「若いんだからふぐくらいは食べないとな」
開発リ「良く判らん理屈だ」ぼそっ
男「美味しく頂いてます。立派で緊張しますね」
部長「そうかね」
常務「たまには休憩しないとね、仕事もな」
開発リ「デスマやってる理解あんのかよ」
男「あんまり美味しいもの食べてると、班の仲間に
呪いかけられたりしそうですよ。あはは」
部長「や、苦労をかけるね。いま新しい派遣の会社も
当たっているからね」
常務「そうなのかね?」
386: 2009/04/24(金) 14:21:30.95 ID:lPBcTgUP
部長「ええ、A派遣もB派遣者も適当な人材確保が
難しいようでしてね。池袋班はこの間、トラブルがあって、
人の入れ替えですから」
常務「ああ。派遣か。居着いてくれる人間を取ってくれよ」
開発リ「……ちっ」
男「……もぐもぐ。あ、すいません。醤油を」
開発リ「ほいよ。――キミも相当タフだな」
男「目の前に出たものは何でも美味しく食べるってのが
スパルタな先輩の戦闘教育なもので」
部長「多少どうにかしませんと」
常務「30は出過ぎだろ。切れんのかね」
部長「はぁ、交渉してみますが」
常務「こう入れ替わりが激しいと、部長も大変だな。
ははは。面接の基準がぬるいと云うこともあるんじゃないかな」
部長「そんなことはありませんが、最近の若者は
ゆとり、とかいいますからね~」
開発リ「……」ギリっ
常務「そうなのかね? なぁ、男くん」
男「そうですね。うちの班にもゆとりが
一人いるくらいですからね。あははは」
難しいようでしてね。池袋班はこの間、トラブルがあって、
人の入れ替えですから」
常務「ああ。派遣か。居着いてくれる人間を取ってくれよ」
開発リ「……ちっ」
男「……もぐもぐ。あ、すいません。醤油を」
開発リ「ほいよ。――キミも相当タフだな」
男「目の前に出たものは何でも美味しく食べるってのが
スパルタな先輩の戦闘教育なもので」
部長「多少どうにかしませんと」
常務「30は出過ぎだろ。切れんのかね」
部長「はぁ、交渉してみますが」
常務「こう入れ替わりが激しいと、部長も大変だな。
ははは。面接の基準がぬるいと云うこともあるんじゃないかな」
部長「そんなことはありませんが、最近の若者は
ゆとり、とかいいますからね~」
開発リ「……」ギリっ
常務「そうなのかね? なぁ、男くん」
男「そうですね。うちの班にもゆとりが
一人いるくらいですからね。あははは」
387: 2009/04/24(金) 14:26:05.42 ID:lPBcTgUP
常務「やっぱり苦労してるのかな? それとも
若い人は若い人同士で和やかに仕事が進められるのかね」
男「いえいえ。ゆとりなんて言葉だけの問題ですから。
一緒に仕事をしてきつい峠を一つ二つ越えれば、
そんなマスコミのカテゴライズ意味ないですよ。
付いてくる人と、来ない人がいるだけで」
常務「そうか。なかなかシビアだな。これなら正社員でも
すぐにいけるよ、きみは。はははっ」
部長「M野くんのところは運が悪かったって云うことですかな。
付いてくる人間がそろった神楽坂はラッキーだね、男君」
男「そうですね。いつも感謝してます」
開発リ「タルタロスにでも落ちろ」ぼそっ
常務「労務管理ってのはツキだけじゃないからね。
これからは僕も目をかけることにしよう」
男「ご指導お願いします」ぺこり
常務「そうだ。他に何かないかね? 職場のこととか」
部長「常務がせっかく言ってくださってるんだから。
なにかあれば遠慮無く云うと良いよ」
若い人は若い人同士で和やかに仕事が進められるのかね」
男「いえいえ。ゆとりなんて言葉だけの問題ですから。
一緒に仕事をしてきつい峠を一つ二つ越えれば、
そんなマスコミのカテゴライズ意味ないですよ。
付いてくる人と、来ない人がいるだけで」
常務「そうか。なかなかシビアだな。これなら正社員でも
すぐにいけるよ、きみは。はははっ」
部長「M野くんのところは運が悪かったって云うことですかな。
付いてくる人間がそろった神楽坂はラッキーだね、男君」
男「そうですね。いつも感謝してます」
開発リ「タルタロスにでも落ちろ」ぼそっ
常務「労務管理ってのはツキだけじゃないからね。
これからは僕も目をかけることにしよう」
男「ご指導お願いします」ぺこり
常務「そうだ。他に何かないかね? 職場のこととか」
部長「常務がせっかく言ってくださってるんだから。
なにかあれば遠慮無く云うと良いよ」
394: 2009/04/24(金) 14:34:35.78 ID:lPBcTgUP
開発リ「……無いっすね」
男「あーっと、そうですね」
常務「なにかな」
男「いえ。ものすごく美味しかったので。
さすがに本当に班のメンバーに呪われそうです。
仕事が一段落したら打ち上げに行っても良いですか?」
常務「なんだ、そんなことか。あははは。
もちろん構わないよ。そうだね、キミの立場じゃまだ
交際費を使う訳にもいかんものなぁ。
しかし意外につつましい願いだね」
男「現場で追われてるだけですから」
常務「そうだ、ほら。部長。業者からもらった食事券が
残ってただろう? 営業が接待に使ってた」
部長「ああ、ありましたな」
常務「アレが結構残ってただろう。ちょうど良い。
アレを使えるように渡してやってくれ。
打ち上げだったら十回やそこらは出来るだろう」
部長「良い考えですな。判りました」
男「あーっと、そうですね」
常務「なにかな」
男「いえ。ものすごく美味しかったので。
さすがに本当に班のメンバーに呪われそうです。
仕事が一段落したら打ち上げに行っても良いですか?」
常務「なんだ、そんなことか。あははは。
もちろん構わないよ。そうだね、キミの立場じゃまだ
交際費を使う訳にもいかんものなぁ。
しかし意外につつましい願いだね」
男「現場で追われてるだけですから」
常務「そうだ、ほら。部長。業者からもらった食事券が
残ってただろう? 営業が接待に使ってた」
部長「ああ、ありましたな」
常務「アレが結構残ってただろう。ちょうど良い。
アレを使えるように渡してやってくれ。
打ち上げだったら十回やそこらは出来るだろう」
部長「良い考えですな。判りました」
401: 2009/04/24(金) 14:39:44.16 ID:lPBcTgUP
――6/4、火曜日 21:00 神楽坂の小料理屋前
常務「じゃ、済まんね。僕はタクシーで帰るから」
部長「いえいえ、本日はご足労ありがとうございました。
ほら、君たちも」
男「ごちそうさまでした。美味しかったです」ぺこり
開発リ「ごちそうさまでした」
常務「ははは。こんなの安いものさ」
開発リ「……」
部長「じゃぁ、私も帰るが。君たちは。あー」
開発リ「自分も帰りますよ。や、一応開発に電話するかな」
男「自分は神楽坂作業室に戻ります」
部長「ふむ、そうか」
開発リ「ちょうどいいや。近くにコンビニある?」
男「ありますよ、この坂の途中で」
開発リ「じゃぁ、自分はコンビニまで一緒に行きます」
部長「そうか。じゃぁ、よろしくたのむよ。では!」
常務「じゃ、済まんね。僕はタクシーで帰るから」
部長「いえいえ、本日はご足労ありがとうございました。
ほら、君たちも」
男「ごちそうさまでした。美味しかったです」ぺこり
開発リ「ごちそうさまでした」
常務「ははは。こんなの安いものさ」
開発リ「……」
部長「じゃぁ、私も帰るが。君たちは。あー」
開発リ「自分も帰りますよ。や、一応開発に電話するかな」
男「自分は神楽坂作業室に戻ります」
部長「ふむ、そうか」
開発リ「ちょうどいいや。近くにコンビニある?」
男「ありますよ、この坂の途中で」
開発リ「じゃぁ、自分はコンビニまで一緒に行きます」
部長「そうか。じゃぁ、よろしくたのむよ。では!」
404: 2009/04/24(金) 14:53:13.84 ID:lPBcTgUP
――6/4、火曜日 21:05 神楽坂の路上
開発リ「クソむかつくな」
男「ですね」
開発リ「良いのかよ。食事券なんかで。
キミがM野の事ぶちまけるつもりだったら
援護射撃しようと思ってたんだぜ」
男「それじゃ、リーダーさんだって泥かぶるじゃないですか」
開発リ「SEってのは手に職なんだよ。
泥かぶるくらいなんでもない」
男「こっちは……そう云えないかなぁ」
開発リ「……」
男「ほら。派遣不況でやっとの人もいますしね」
開発リ「そうか……。すまんな」
男「いえいえいえ。俺がビビリなだけかもしれませんし」
開発リ「俺って云ったなっ。あはは」
男「ほら、上役いませんし」
開発リ「クソむかつくな」
男「ですね」
開発リ「良いのかよ。食事券なんかで。
キミがM野の事ぶちまけるつもりだったら
援護射撃しようと思ってたんだぜ」
男「それじゃ、リーダーさんだって泥かぶるじゃないですか」
開発リ「SEってのは手に職なんだよ。
泥かぶるくらいなんでもない」
男「こっちは……そう云えないかなぁ」
開発リ「……」
男「ほら。派遣不況でやっとの人もいますしね」
開発リ「そうか……。すまんな」
男「いえいえいえ。俺がビビリなだけかもしれませんし」
開発リ「俺って云ったなっ。あはは」
男「ほら、上役いませんし」
405: 2009/04/24(金) 14:55:45.43 ID:lPBcTgUP
開発リ「だいたい士気を鼓舞しようってのなら
賃金あげるかボーナスよこせってのな。
それを食事おごってだぜ? それも全員じゃなく
上二人に『だけ』おごって手懐けようってさ
そういう浅ましさがむかつくわ」
男「美味かったですよ。ふぐ」
開発リ「そうか? まぁ、刺身は旨かったな」
男「食い物に罪はないですよ」
開発リ「腹が立たないのかよ」
男「特には。――それに」
開発リ「ん?」
男「メシ一回で手懐ついた忠誠心なんて
トイレに一回行けば流れて消えますよ」
開発リ「あははははははは」
男「ね?」
開発リ「だよなっ。まったくだ」
賃金あげるかボーナスよこせってのな。
それを食事おごってだぜ? それも全員じゃなく
上二人に『だけ』おごって手懐けようってさ
そういう浅ましさがむかつくわ」
男「美味かったですよ。ふぐ」
開発リ「そうか? まぁ、刺身は旨かったな」
男「食い物に罪はないですよ」
開発リ「腹が立たないのかよ」
男「特には。――それに」
開発リ「ん?」
男「メシ一回で手懐ついた忠誠心なんて
トイレに一回行けば流れて消えますよ」
開発リ「あははははははは」
男「ね?」
開発リ「だよなっ。まったくだ」
406: 2009/04/24(金) 14:59:37.66 ID:lPBcTgUP
開発リ「あんなんで良かったのか? 食事券なんて」
男「あー。あれは、はい。予想以上でした」
開発リ「そうなのか?」
男「ですねー。打ち上げ用の交際費で、
宴会代が出ればいいと思ってましたから。
この会社、結構けちくさいですからね。
そのくらいのおねだりが、重役のプライドの
限界だと思うんですよ」
開発リ「奢ることで向こうも気持ちが良いと」
男「そのプライドにも出入り業者の金券絡めてくる
程度なんですけれどね」
開発リ「でも、あれだ。みんなでメシにいくんだろ?」
男「はい」
開発リ「さっきの話じゃないけど、メシ一回で買える
忠誠心だのモチベーションなんてクソすりゃ
流れるって話じゃないのか」
男「メシの内容も忠誠心も流れますけど。
打ち上げの満足感と楽しい感じは残りますよ。
茶番の接待と、本当の打ち上げの違いですから。
うちの班の面子は、アホ揃いですからね」にこっ
開発リ「そうだな」にこっ
男「あー。あれは、はい。予想以上でした」
開発リ「そうなのか?」
男「ですねー。打ち上げ用の交際費で、
宴会代が出ればいいと思ってましたから。
この会社、結構けちくさいですからね。
そのくらいのおねだりが、重役のプライドの
限界だと思うんですよ」
開発リ「奢ることで向こうも気持ちが良いと」
男「そのプライドにも出入り業者の金券絡めてくる
程度なんですけれどね」
開発リ「でも、あれだ。みんなでメシにいくんだろ?」
男「はい」
開発リ「さっきの話じゃないけど、メシ一回で買える
忠誠心だのモチベーションなんてクソすりゃ
流れるって話じゃないのか」
男「メシの内容も忠誠心も流れますけど。
打ち上げの満足感と楽しい感じは残りますよ。
茶番の接待と、本当の打ち上げの違いですから。
うちの班の面子は、アホ揃いですからね」にこっ
開発リ「そうだな」にこっ
407: 2009/04/24(金) 15:03:31.28 ID:lPBcTgUP
男「それにね、この商品券は……」
開発リ「なんかあるのか?」
男「多分、営業が。
――M野が派遣の女を口説くのに使ってたヤツですよ。
女口説くのにすら会社の経費でやってた訳だ。
帳簿に残らない食事券で」
開発リ「……」
男「別に、腹建ててる訳じゃないんですけどね」
開発リ「……顔はそう言ってないぞ」
男「いえ……」
開発リ「……」
男「なんにせよ。あの口調だと残り物処理で
こっちに回ってくると思いますよ。それで、多少はね。
素行に歯止めがかかったりはしないと思いますけど」
開発リ「そうだな」
男「その辺が『上出来』でした」
開発リ「なんかあるのか?」
男「多分、営業が。
――M野が派遣の女を口説くのに使ってたヤツですよ。
女口説くのにすら会社の経費でやってた訳だ。
帳簿に残らない食事券で」
開発リ「……」
男「別に、腹建ててる訳じゃないんですけどね」
開発リ「……顔はそう言ってないぞ」
男「いえ……」
開発リ「……」
男「なんにせよ。あの口調だと残り物処理で
こっちに回ってくると思いますよ。それで、多少はね。
素行に歯止めがかかったりはしないと思いますけど」
開発リ「そうだな」
男「その辺が『上出来』でした」
408: 2009/04/24(金) 15:08:10.59 ID:lPBcTgUP
開発リ「キミは面白いなぁ」
男「そうですか」
開発リ「開発は独学なんだろう」
男「はい」
開発リ「どこで覚えたんだい?」
男「ここに来てから、何となく」
開発リ「修羅場で?」
男「修羅場で」
開発リ「要件定義書なんかの書き方は?」
男「えっと、すみません。開発課の資料を見ました。
共有ドキュメントの中とか」
開発リ「社内資料だ、構わないよ。そっか、それで
ときたま用語で変なところがあるんだな」
男「あー。やっぱり判っちゃうもんですか」
開発リ「大したことじゃないよ。理解できる言葉で
書いてあれば、仕事は回るしな」
男「……」
開発リ「これ、これな」カチカチカチ「携帯の番号だ」
男「はい」
開発リ「今度はもっとゆっくり飲もう」
男「はい。ありがとうございました」
開発リ「こけるなよ? 見てるからな」にこっ
男「そうですか」
開発リ「開発は独学なんだろう」
男「はい」
開発リ「どこで覚えたんだい?」
男「ここに来てから、何となく」
開発リ「修羅場で?」
男「修羅場で」
開発リ「要件定義書なんかの書き方は?」
男「えっと、すみません。開発課の資料を見ました。
共有ドキュメントの中とか」
開発リ「社内資料だ、構わないよ。そっか、それで
ときたま用語で変なところがあるんだな」
男「あー。やっぱり判っちゃうもんですか」
開発リ「大したことじゃないよ。理解できる言葉で
書いてあれば、仕事は回るしな」
男「……」
開発リ「これ、これな」カチカチカチ「携帯の番号だ」
男「はい」
開発リ「今度はもっとゆっくり飲もう」
男「はい。ありがとうございました」
開発リ「こけるなよ? 見てるからな」にこっ
436: 2009/04/24(金) 19:18:29.33 ID:lPBcTgUP
――6/5、水曜日 9:00 神楽坂作業室
新人女:カタカタカタ
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女「……ダブルスコア」
男「へ?」
新人女:カタカタカタ
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女「あっ。いえ……あの」
新人女:カタカタカタ
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女「単位時間あたりの仕事の処理速度が、私と女さんだと
倍以上違うんです。……ダブルスコアです」
男「そっか、そんなにかぁ」
新人女:カタカタカタ
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女「お恥ずかしいです」
男「いや、ちがうよ」
新人女:カタカタカタ
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女「……ダブルスコア」
男「へ?」
新人女:カタカタカタ
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女「あっ。いえ……あの」
新人女:カタカタカタ
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女「単位時間あたりの仕事の処理速度が、私と女さんだと
倍以上違うんです。……ダブルスコアです」
男「そっか、そんなにかぁ」
新人女:カタカタカタ
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女「お恥ずかしいです」
男「いや、ちがうよ」
439: 2009/04/24(金) 19:22:56.98 ID:lPBcTgUP
新人女「はい?」
男「それに気がつくほど、上達したんだ」
新人女:カタカタカタ
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女「え?」
男「仕事始めたばっかりの頃は、周りがどれくらいの作業を
しているかなんて判らなかったでしょ?
始めて恥ずかしかったときは、圧倒されただけでしょ?
今は速度の差も、相手が何をやってるかも、
ぼんやりとでも判るようになったんだね」
新人女「はい……」
新人女:カタカタカタ
男:カタカタカタカタカタカタ
男「もっかい云うよ」
新人女:カタカタカタ
男:カタカタカタカタカタカタ
男「それに気がつくほど、上達したんだ」
新人女:カタカタカタ
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女「え?」
男「仕事始めたばっかりの頃は、周りがどれくらいの作業を
しているかなんて判らなかったでしょ?
始めて恥ずかしかったときは、圧倒されただけでしょ?
今は速度の差も、相手が何をやってるかも、
ぼんやりとでも判るようになったんだね」
新人女「はい……」
新人女:カタカタカタ
男:カタカタカタカタカタカタ
男「もっかい云うよ」
新人女:カタカタカタ
男:カタカタカタカタカタカタ
441: 2009/04/24(金) 19:23:56.16 ID:lPBcTgUP
男「『もっと上手になりたい』と思ってれば、
必ず上手になるよ。もっと早くなりたいと思って、
自分より早い人を追いかければ、仕事なんて
誰よりも上手になるよ」
新人女「はい……」
新人女:カタカタカタ
男:カタカタカタカタカタカタ
男「伸びてるもん。すぐだよ」にこっ
とくん
新人女「――あ」
新人女:カタカタ
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女「なれるでしょうか、上手に」
男「なれるよ」
新人女「なれるでしょうか、何かに」
男「もちろん」
必ず上手になるよ。もっと早くなりたいと思って、
自分より早い人を追いかければ、仕事なんて
誰よりも上手になるよ」
新人女「はい……」
新人女:カタカタカタ
男:カタカタカタカタカタカタ
男「伸びてるもん。すぐだよ」にこっ
とくん
新人女「――あ」
新人女:カタカタ
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女「なれるでしょうか、上手に」
男「なれるよ」
新人女「なれるでしょうか、何かに」
男「もちろん」
442: 2009/04/24(金) 19:25:48.00 ID:lPBcTgUP
新人女(なんだろ……これ。
大事なのに、苦しくて、
言いたいのに、うまく言えなくて。
抱えているのはつらいのに、いつまでも取っておきたいような)
新人女:カタカタ
新人女(こんなの知らない。こんなの、持ったことがない。
全然楽しくないし、焦るような、急かされるような
心細いような、恥ずかしいような気持ちなのに……。
なんでこんなに大事にしたいんだろう)
新人女:カタカタ
新人女(これ、なんなんだろう。
これが『何か』なのかな……。
なんで私は、こんなに焦ってるんだろう。
どこかへ急がなきゃいけない気持ちなんだろう)
新人女:カタカタ
新人女(なんで悲しくないのに、
こんなに泣きたいような気持ちになるんだろう)
445: 2009/04/24(金) 19:27:59.99 ID:lPBcTgUP
――6/5、水曜日 12:00 池袋/ドーナツ屋
B男「やぁ、男氏」
男「食べてる?」
B男「食べてるでござるよ。フレンチクルーラー。
やっぱりドーナツはこれでござるよねーむしゃむしゃ」
男「俺はエンゼルクリーム派だな」
B男「それは女子供の食い物でござるよ」
男「ドーナツ食ってる時点ですでにそうだ」
B男「そんなことはないでござるよ。服部氏も
ドーナツを食べてたでござるよ」
男「それは服部半蔵じゃなくて忍者ハットリくんだ」
B男「もぎゅもぎゅ」
男「ほおばってごまかしたっ!?」
B男「やぁ、男氏」
男「食べてる?」
B男「食べてるでござるよ。フレンチクルーラー。
やっぱりドーナツはこれでござるよねーむしゃむしゃ」
男「俺はエンゼルクリーム派だな」
B男「それは女子供の食い物でござるよ」
男「ドーナツ食ってる時点ですでにそうだ」
B男「そんなことはないでござるよ。服部氏も
ドーナツを食べてたでござるよ」
男「それは服部半蔵じゃなくて忍者ハットリくんだ」
B男「もぎゅもぎゅ」
男「ほおばってごまかしたっ!?」
446: 2009/04/24(金) 19:29:12.14 ID:lPBcTgUP
B男「……もぎゅ」
男「どうしたの?」
B男「いや。んー」
男「歯切れ悪いな。珍しい」
B男「拙者の方の案件は進んでいるんでござるが
別件では多少問題が発生しているでござる」
男「なに?」
B男「M野でござるよ」
男「……」
B男「実は、どうも新しい派遣を取るのが
難しくなっているらしく」
男「その話は聞いたな。俺らの派遣会社、
どうも人出すの渋ってるらしいね」
B男「使いつぶす姿勢の出向先なんかに
送りたくはないでござろう。
それは理解できるでござる」
男「それで?」
男「どうしたの?」
B男「いや。んー」
男「歯切れ悪いな。珍しい」
B男「拙者の方の案件は進んでいるんでござるが
別件では多少問題が発生しているでござる」
男「なに?」
B男「M野でござるよ」
男「……」
B男「実は、どうも新しい派遣を取るのが
難しくなっているらしく」
男「その話は聞いたな。俺らの派遣会社、
どうも人出すの渋ってるらしいね」
B男「使いつぶす姿勢の出向先なんかに
送りたくはないでござろう。
それは理解できるでござる」
男「それで?」
447: 2009/04/24(金) 19:30:36.18 ID:lPBcTgUP
B男「それで、どうも。――眼鏡女氏でも仕方なし
という判断をしたらしいのでござるよ」
男「……は?」
B男「ここ数日、ちょっかいが五月蠅く
なっているのでござるよ。
彼女も辞める訳にはいかないので、耐えるしか」
男「正社員餌にしてデートに誘うとか?」
B男「いや、そうではなくて」
男「どういう事?」
B男「彼女が実家暮らしで子供がいるとか、
生活が厳しいこととか知ってしまったらしいので
ござるよね。そのせいで、もっと露骨な」
男「セクハラか」
B男「拙者ならそんな軽い言葉は使わないでござるね」
男「……」
B男「眼鏡女氏を神楽坂に移すことは出来ないでござろうか?」
という判断をしたらしいのでござるよ」
男「……は?」
B男「ここ数日、ちょっかいが五月蠅く
なっているのでござるよ。
彼女も辞める訳にはいかないので、耐えるしか」
男「正社員餌にしてデートに誘うとか?」
B男「いや、そうではなくて」
男「どういう事?」
B男「彼女が実家暮らしで子供がいるとか、
生活が厳しいこととか知ってしまったらしいので
ござるよね。そのせいで、もっと露骨な」
男「セクハラか」
B男「拙者ならそんな軽い言葉は使わないでござるね」
男「……」
B男「眼鏡女氏を神楽坂に移すことは出来ないでござろうか?」
449: 2009/04/24(金) 19:34:48.03 ID:lPBcTgUP
男「……」
B男「ダメでござるか」
男「時期が悪い、というかきっかけがないんだよな。
前回は一人を残して壊滅で、M野がいなかったから
新人女さんを持ってくることが出来たたけれど」
B男「拙者、見るに堪えかねるでござるよ」
男「酷いんだ」
B男「胸が悪くなるでござる」
男「……」
B男「社内で自分の地位が下がっているのが
M野にも判るのでござろ。つまり憂さ晴らしでござるよ。
女好きで、ただただデートがしたいだけなら
下卑た男でござるが、それはそれで判らなくはないで
はないのでござる。拙者も男でござるから。
やはりもてたいでござるよ。……切実に。
餌をぶら下げるのも嫌いでござるが、
それを歓迎する女性がいるのも事実でござろう。
――しかし、足元を見るのは
それは別ではないかと思うのでござる」
B男「ダメでござるか」
男「時期が悪い、というかきっかけがないんだよな。
前回は一人を残して壊滅で、M野がいなかったから
新人女さんを持ってくることが出来たたけれど」
B男「拙者、見るに堪えかねるでござるよ」
男「酷いんだ」
B男「胸が悪くなるでござる」
男「……」
B男「社内で自分の地位が下がっているのが
M野にも判るのでござろ。つまり憂さ晴らしでござるよ。
女好きで、ただただデートがしたいだけなら
下卑た男でござるが、それはそれで判らなくはないで
はないのでござる。拙者も男でござるから。
やはりもてたいでござるよ。……切実に。
餌をぶら下げるのも嫌いでござるが、
それを歓迎する女性がいるのも事実でござろう。
――しかし、足元を見るのは
それは別ではないかと思うのでござる」
450: 2009/04/24(金) 19:35:49.53 ID:lPBcTgUP
男「助けたい?」
B男「助けたいでござるね」
男「大事なんだ」
B男「そういう関係ではござらん」
男「……」じー
B男「そうではなく」ぷいっ
B男「拙者がM野のにやけた顔に我慢が
出来ぬと言うだけでござる」
男「……」
B男「ダメでござるか?」
男「大事なのはその眼鏡さんの意見だね」
B男「……抵抗は出来ないと云っているでござる。
それほど職場が無くなることが怖いのでござる」
男「そうか」
B男「愉快では、ござらんよ」
男「野良だからな」
B男「野良でござるから」
B男「助けたいでござるね」
男「大事なんだ」
B男「そういう関係ではござらん」
男「……」じー
B男「そうではなく」ぷいっ
B男「拙者がM野のにやけた顔に我慢が
出来ぬと言うだけでござる」
男「……」
B男「ダメでござるか?」
男「大事なのはその眼鏡さんの意見だね」
B男「……抵抗は出来ないと云っているでござる。
それほど職場が無くなることが怖いのでござる」
男「そうか」
B男「愉快では、ござらんよ」
男「野良だからな」
B男「野良でござるから」
453: 2009/04/24(金) 19:40:18.93 ID:lPBcTgUP
男「――判ったよ。案件は前倒そう」
B男「了解でござる」
男「ネゴシエートはこちらで行うよ。
B男は眼鏡さんともう一度話してみて。
根性がある人なんでしょ?」
B男「そうでござる」
男「持ってる根性でも、使えなきゃ意味がない。
使えるようにしてあげて。じゃなければ、意味がない」
B男「トラブルを抱えても?」
男「抱えてもやる気でしょ?」
B男「さようでござるね」
男「現時点から、その眼鏡女さんも神楽坂班だ」
B男「――感謝するでござる」
男「B男が面倒見るんだよ」
B男「判ったでござる」
男「しくじらないでな」
B男「承った、マネジ殿」
B男「了解でござる」
男「ネゴシエートはこちらで行うよ。
B男は眼鏡さんともう一度話してみて。
根性がある人なんでしょ?」
B男「そうでござる」
男「持ってる根性でも、使えなきゃ意味がない。
使えるようにしてあげて。じゃなければ、意味がない」
B男「トラブルを抱えても?」
男「抱えてもやる気でしょ?」
B男「さようでござるね」
男「現時点から、その眼鏡女さんも神楽坂班だ」
B男「――感謝するでござる」
男「B男が面倒見るんだよ」
B男「判ったでござる」
男「しくじらないでな」
B男「承った、マネジ殿」
458: 2009/04/24(金) 20:00:09.65 ID:lPBcTgUP
――6/5、水曜日 14:00 神楽坂作業室
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
男「はい……。そうです。……お話は伺っております。
はい、はい……144番以降すべてですね?」
男「いえ、それには及びません。こちらの現場に複製が
ありますので。はい、はい……タイムスタンプの確認だけ
よろしいでしょうか?」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
男「はい、はい……そうです。いえ、とんでもない。
では、失礼します」
ぴょろりん
C男「メールだ。俺」
男「変な音にしてるのな」
C男「営業。――仕事増えた」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
男「はい……。そうです。……お話は伺っております。
はい、はい……144番以降すべてですね?」
男「いえ、それには及びません。こちらの現場に複製が
ありますので。はい、はい……タイムスタンプの確認だけ
よろしいでしょうか?」
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタ
男「はい、はい……そうです。いえ、とんでもない。
では、失礼します」
ぴょろりん
C男「メールだ。俺」
男「変な音にしてるのな」
C男「営業。――仕事増えた」
459: 2009/04/24(金) 20:01:16.01 ID:lPBcTgUP
男「どうして?」
C男「作業中の春日のやつ。発注忘れだって」ぎりっ
男「……」
C男「営業は捨てよう」
新人女:カタカタカタ
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
男「うん、いいぞ。でも仕事は捨てないで」
C男「……捨てよう」
男「ダメ。試合壊すなよ」
新人女「……」おろおろ
C男「捨てたい」
男「同感」
新人女「……」おろおろ
男「それでも守れ」
C男「同意」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタカタ
C男「作業中の春日のやつ。発注忘れだって」ぎりっ
男「……」
C男「営業は捨てよう」
新人女:カタカタカタ
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
男「うん、いいぞ。でも仕事は捨てないで」
C男「……捨てよう」
男「ダメ。試合壊すなよ」
新人女「……」おろおろ
C男「捨てたい」
男「同感」
新人女「……」おろおろ
男「それでも守れ」
C男「同意」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタカタ
461: 2009/04/24(金) 20:04:29.17 ID:lPBcTgUP
――6/5、水曜日 19:00 神楽坂作業室
男(――予想より進捗が遅いな)
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男(無理もないか……二人とも、デスマなんて初めてだ)
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男(……どうする。残すか、帰すか)
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男(どうすればいい? どう使えばしのげる?)
男(――予想より進捗が遅いな)
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男(無理もないか……二人とも、デスマなんて初めてだ)
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男(……どうする。残すか、帰すか)
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男(どうすればいい? どう使えばしのげる?)
465: 2009/04/24(金) 20:05:34.10 ID:lPBcTgUP
かたり
新人女「男さん」
男「ん? どうした?」
新人女「あの……わたし。今日は」
男「ん。了解。かえって。ゆっくり休んで」
男(ここが限界か……)
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女「はい。では失礼します。ちょっと急ぎますから」
男「はいはい。おつかれー!」
新人女「お先しますっ」
男「C男はどうする?」
C男「家なんて捨てた」
男「そっか」
C男「いっそ気楽」
男「それも同感、かな」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「夜明けまでには、まだ10時間
――限界を捨てるにはちょうど良い」
新人女「男さん」
男「ん? どうした?」
新人女「あの……わたし。今日は」
男「ん。了解。かえって。ゆっくり休んで」
男(ここが限界か……)
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女「はい。では失礼します。ちょっと急ぎますから」
男「はいはい。おつかれー!」
新人女「お先しますっ」
男「C男はどうする?」
C男「家なんて捨てた」
男「そっか」
C男「いっそ気楽」
男「それも同感、かな」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「夜明けまでには、まだ10時間
――限界を捨てるにはちょうど良い」
467: 2009/04/24(金) 20:09:13.47 ID:lPBcTgUP
――6/5、水曜日 23:40 神楽坂作業室
男「なーんていってから約5時間ですが」
C男「おおっ」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
男「限界見えた?」
C男「言葉尻をとらえるマネジは捨てよう」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
男「なんか、最近さ。だんだんC男と話せるようになってきたよ」
C男 ぷいっ
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
男「やっぱ、修羅場を過ごしてみるもんだな」
C男「惰弱なマネジは嫌いだ」
男「すいません」
男「なーんていってから約5時間ですが」
C男「おおっ」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
男「限界見えた?」
C男「言葉尻をとらえるマネジは捨てよう」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
男「なんか、最近さ。だんだんC男と話せるようになってきたよ」
C男 ぷいっ
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
男「やっぱ、修羅場を過ごしてみるもんだな」
C男「惰弱なマネジは嫌いだ」
男「すいません」
469: 2009/04/24(金) 20:11:17.36 ID:lPBcTgUP
C男「仕事を断れないから下のものが苦しむ」
男「まったくだ」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「無能な中間管理職に氏を」
男「さすが先輩の弟子だなぁ。容赦がない」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「勝たないと許さない」
男「……」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「捨てたものより大きな物を拾わないと許さない」
男「……」
C男「一生」
男「一生なのかよっ! 重いよっ!」
男「まったくだ」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「無能な中間管理職に氏を」
男「さすが先輩の弟子だなぁ。容赦がない」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「勝たないと許さない」
男「……」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「捨てたものより大きな物を拾わないと許さない」
男「……」
C男「一生」
男「一生なのかよっ! 重いよっ!」
471: 2009/04/24(金) 20:15:08.28 ID:lPBcTgUP
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男 ぐー
男「腹減ったな」
C男「食欲を捨てよう」
男「いや、食おうよ。身体壊すよ」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「そんな時間はない」
男「効率落ちるぞ」
C男「出前?」
男「時間遅いしなぁ」
C男「備蓄をくれ」
男「カ口リーメイト? どれがいい? フルーツとチョコ」
C男「フルーツ」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
男「了解。ちとまって」ごそごそごそ
かんかんかんかん……がちゃり
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男 ぐー
男「腹減ったな」
C男「食欲を捨てよう」
男「いや、食おうよ。身体壊すよ」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「そんな時間はない」
男「効率落ちるぞ」
C男「出前?」
男「時間遅いしなぁ」
C男「備蓄をくれ」
男「カ口リーメイト? どれがいい? フルーツとチョコ」
C男「フルーツ」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
男「了解。ちとまって」ごそごそごそ
かんかんかんかん……がちゃり
478: 2009/04/24(金) 20:21:18.83 ID:lPBcTgUP
新人女「新人女ただいま戻りましたっ」
男「え?」 C男:カタ
新人女「家かえってシャワー浴びてきました。着替えも」
男「……だって、さっき帰ったでしょ?」
新人女「はい。準備を整えて再出撃で」
男「こんな時間、泊まりになっちゃうよ?」
新人女「いえ。8時間早く出勤しただけです」
男「――」
新人女「ずるいですよ。二人だけで全部仕事しようだなんて。
私だって神楽坂班ですし……。解かなきゃならない
謎だってありますし」
男「……」
新人女「いえ。それは私事ですけど。あ、そうです。
サンドイッチ買ってきましたよっ。補給物資です」にこっ
男「え?」 C男:カタ
新人女「家かえってシャワー浴びてきました。着替えも」
男「……だって、さっき帰ったでしょ?」
新人女「はい。準備を整えて再出撃で」
男「こんな時間、泊まりになっちゃうよ?」
新人女「いえ。8時間早く出勤しただけです」
男「――」
新人女「ずるいですよ。二人だけで全部仕事しようだなんて。
私だって神楽坂班ですし……。解かなきゃならない
謎だってありますし」
男「……」
新人女「いえ。それは私事ですけど。あ、そうです。
サンドイッチ買ってきましたよっ。補給物資です」にこっ
483: 2009/04/24(金) 20:26:59.17 ID:lPBcTgUP
C男「……ん。もぐ、もぐ」
新人女「……こくん」
男「もぎゅ、もぐ」
C男「新人女」
新人女「はい?」
C男「ナイス」ぐっ
新人女「ありがとうございます。紅茶もどうぞっ」
男「それにしてもこうくるとはね~」
C男「?」
新人女「はい?」
男「いや、なんか可笑しくって」
新人女「そうですか?」
C男「もっぎゅもっぎゅ」
男「うん。なんか悩むのもばからしい気分」
新人女「??」
新人女「……こくん」
男「もぎゅ、もぐ」
C男「新人女」
新人女「はい?」
C男「ナイス」ぐっ
新人女「ありがとうございます。紅茶もどうぞっ」
男「それにしてもこうくるとはね~」
C男「?」
新人女「はい?」
男「いや、なんか可笑しくって」
新人女「そうですか?」
C男「もっぎゅもっぎゅ」
男「うん。なんか悩むのもばからしい気分」
新人女「??」
484: 2009/04/24(金) 20:32:35.78 ID:lPBcTgUP
男「『どう使えば』とかバカの言いそうな台詞だよな。
あははははっ。や、最高だわ」
新人女「はい? はい?」
男「要請無しでも兵站補給に援軍だもんな。ははははっ」
新人女「?」きょとん
男「C男、残りどうだっけ?」
C男「夜明けまで4時間と38分」
男「ブリッツクリークにはちょうど良いか」
C男「中央突破」
男「んじゃ、新人女さんも。無理はしないで」
新人女「女さん程度に自重します」
男「そっか。あはははっ。じゃぁ、4時間。
いってみようか」
あははははっ。や、最高だわ」
新人女「はい? はい?」
男「要請無しでも兵站補給に援軍だもんな。ははははっ」
新人女「?」きょとん
男「C男、残りどうだっけ?」
C男「夜明けまで4時間と38分」
男「ブリッツクリークにはちょうど良いか」
C男「中央突破」
男「んじゃ、新人女さんも。無理はしないで」
新人女「女さん程度に自重します」
男「そっか。あはははっ。じゃぁ、4時間。
いってみようか」
488: 2009/04/24(金) 20:38:14.90 ID:lPBcTgUP
――6/6、木曜日 06:30 神楽坂作業室/会議室
新人女「……失礼します」そぉ
男「くぅ……。すぅ……」
新人女「わぁ……。ぼろぼろだ」
男「……んぅ。……すぅ」
新人女「こんなになっちゃうまで、働くんだ。
男の人って……」
男「……」くてっ
新人女「前髪、ぱさぱさ。身体中ぼろぼろだし」
男「……んぅ」
新人女「全然ステキじゃないんだけどな。お洒落じゃないし。
きっと音楽とかにも詳しくないし、ドライブなんて
絶対に連れて行ってくれないし」
男「……すぅ」
新人女「全然違うのに」
新人女「……失礼します」そぉ
男「くぅ……。すぅ……」
新人女「わぁ……。ぼろぼろだ」
男「……んぅ。……すぅ」
新人女「こんなになっちゃうまで、働くんだ。
男の人って……」
男「……」くてっ
新人女「前髪、ぱさぱさ。身体中ぼろぼろだし」
男「……んぅ」
新人女「全然ステキじゃないんだけどな。お洒落じゃないし。
きっと音楽とかにも詳しくないし、ドライブなんて
絶対に連れて行ってくれないし」
男「……すぅ」
新人女「全然違うのに」
491: 2009/04/24(金) 20:40:35.80 ID:lPBcTgUP
男「すぅ……」
とくん
新人女 なでなで
男「んぅ……」
新人女(…………っ!?
触っちゃったっ。
そんなつもり無かったのに……。
そ、そうなのか。私やっぱりそうなんだ。
気持ちがあふれてる。こぼれちゃってる。
わたしは、やっぱりだったんだ)
男「…………ん」ぼぉっ
新人女「あの、男さん? 時間ですよ」
男「ん。……わかった。10秒待って」むぅっ
新人女「はい……」じぃっ
男「おけ。再起動した。目覚ましさんきゅ」
新人女「はいっ」
とくん
新人女 なでなで
男「んぅ……」
新人女(…………っ!?
触っちゃったっ。
そんなつもり無かったのに……。
そ、そうなのか。私やっぱりそうなんだ。
気持ちがあふれてる。こぼれちゃってる。
わたしは、やっぱりだったんだ)
男「…………ん」ぼぉっ
新人女「あの、男さん? 時間ですよ」
男「ん。……わかった。10秒待って」むぅっ
新人女「はい……」じぃっ
男「おけ。再起動した。目覚ましさんきゅ」
新人女「はいっ」
493: 2009/04/24(金) 20:55:47.26 ID:lPBcTgUP
ほどよいので、ここで一端切りますです。
いや、もうね。おいらダメ人間。
誤爆とかね、氏んでわびるべき(T∇T)
んでは、休憩いってきます、またっ。
新人女「まだ私のターンっ!」
いんせくとはが「なん……だと……?」
いや、もうね。おいらダメ人間。
誤爆とかね、氏んでわびるべき(T∇T)
んでは、休憩いってきます、またっ。
新人女「まだ私のターンっ!」
いんせくとはが「なん……だと……?」
528: 2009/04/25(土) 07:06:08.15 ID:b1AJlvQP
――6/6、木曜日 11:30 神楽坂作業室
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「んぅー。ぅ」ぽきゅ
男「ああ、やっぱり変な音。ははっ」
新人女「そんなに変ですか-?」
C男 こくり
男「小さくて可愛いよっ。あははっ」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女「うーん……」ぽきゅリコ。
C男「ぷくすー」
男「あははっ」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「こんなはずじゃないんだけどなぁ」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「んぅー。ぅ」ぽきゅ
男「ああ、やっぱり変な音。ははっ」
新人女「そんなに変ですか-?」
C男 こくり
男「小さくて可愛いよっ。あははっ」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女「うーん……」ぽきゅリコ。
C男「ぷくすー」
男「あははっ」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「こんなはずじゃないんだけどなぁ」
529: 2009/04/25(土) 07:06:26.90 ID:b1AJlvQP
男「……」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「……」ちらっ
新人女「……んぅ。……こっち、っと」
男「新人女さん。ちょっとお使い頼めるかな?」
新人女「はい?」
C男:カタカタカタカタカタカタ
男「書類届けて欲しいんだ。巣鴨まで」
新人女「いけますよ、はいっ」
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「バイク便じゃダメ?」
男「忙しいのは忙しいんだけどね~。ちょっと大事なヤツなのだ」
新人女「いいですいいです。急いで行ってきます」
男「いや、それはだめで」
新人女「はい?」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「……」ちらっ
新人女「……んぅ。……こっち、っと」
男「新人女さん。ちょっとお使い頼めるかな?」
新人女「はい?」
C男:カタカタカタカタカタカタ
男「書類届けて欲しいんだ。巣鴨まで」
新人女「いけますよ、はいっ」
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「バイク便じゃダメ?」
男「忙しいのは忙しいんだけどね~。ちょっと大事なヤツなのだ」
新人女「いいですいいです。急いで行ってきます」
男「いや、それはだめで」
新人女「はい?」
530: 2009/04/25(土) 07:07:08.70 ID:b1AJlvQP
男「煮詰まってるでしょ。風に当たってきて、食事も」
新人女「良いですよぉ、そんな。えーっと……ほら」
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女「デスマーチっていうんですよね?」にこ
男「まぁ、ね」 C男「童O卒業」ぐっ
男「行ったのか!? この忙しいのに!? いつ行ったんだっ」
C男「は、はぁ!?」
男「いや。すまん。……びっくりした」
新人女「超特急で行って参ります」
男「ううん。そうじゃなくて」
新人女「はい?」
男「ゆっくり雑談でもしてきて。
出来れば、顔を覚えてもらってきて」
新人女「……?」
男「いってらっしゃい」にこっ
新人女「良いですよぉ、そんな。えーっと……ほら」
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女「デスマーチっていうんですよね?」にこ
男「まぁ、ね」 C男「童O卒業」ぐっ
男「行ったのか!? この忙しいのに!? いつ行ったんだっ」
C男「は、はぁ!?」
男「いや。すまん。……びっくりした」
新人女「超特急で行って参ります」
男「ううん。そうじゃなくて」
新人女「はい?」
男「ゆっくり雑談でもしてきて。
出来れば、顔を覚えてもらってきて」
新人女「……?」
男「いってらっしゃい」にこっ
536: 2009/04/25(土) 07:19:39.75 ID:b1AJlvQP
――6/6、木曜日 12:00 神楽坂作業室
C男「フルーツもういっこ」
男「ほいよ」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「よく判らない」
男「なにが?」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「マネジ何考えてる」
男「俺もC男との会話は判りづらいよ」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「なんでこの時期に散歩?」
男「この時期だからつぶれられたら困る」
C男「フルーツもういっこ」
男「ほいよ」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「よく判らない」
男「なにが?」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「マネジ何考えてる」
男「俺もC男との会話は判りづらいよ」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「なんでこの時期に散歩?」
男「この時期だからつぶれられたら困る」
537: 2009/04/25(土) 07:20:32.01 ID:b1AJlvQP
C男「俺、デスマした。生きてる」
男「そだな」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「童O卒業」
男「やっぱSM系なのか?
この付近にそんな店あったっけ……」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「俺一人前」
男「うん。C男は早くなったよ。戦闘能力はもう
俺に迫ってるんじゃないかな」
C男「ふふん」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
男「立派な前線豚だ」
C男「文句は言わせない」
男「そだな」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「童O卒業」
男「やっぱSM系なのか?
この付近にそんな店あったっけ……」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「俺一人前」
男「うん。C男は早くなったよ。戦闘能力はもう
俺に迫ってるんじゃないかな」
C男「ふふん」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
男「立派な前線豚だ」
C男「文句は言わせない」
538: 2009/04/25(土) 07:21:26.78 ID:b1AJlvQP
C男「でも、俺。見えてないみたい」
男「……?」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「捨てたい」
男「話判らんな」
C男「なんで見えてない」
男「……?」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「男には見えてる。俺には見えてない。
それがあると考えないと、説明付かない
捨てたいけど、見えてないから捨てられない」
男「……」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「それじゃ一人前じゃない。捨てたい」
男「他人の見てるものなんて、見えない方が当たり前だよ」
男「……?」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「捨てたい」
男「話判らんな」
C男「なんで見えてない」
男「……?」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「男には見えてる。俺には見えてない。
それがあると考えないと、説明付かない
捨てたいけど、見えてないから捨てられない」
男「……」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「それじゃ一人前じゃない。捨てたい」
男「他人の見てるものなんて、見えない方が当たり前だよ」
539: 2009/04/25(土) 07:22:44.98 ID:b1AJlvQP
C男「男はマネジ」
男「うん?」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「ウォリアー」
男「うん」
C男「ウォリアーになれば変わると思ってた」
男「……?」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「まだまだ判らないことがある」
男「うん」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
男「時間の問題だよ」
C男「……」
C男「時間の問題か。首を洗っていやがれ」
男「上等だ」
男「うん?」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「ウォリアー」
男「うん」
C男「ウォリアーになれば変わると思ってた」
男「……?」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「まだまだ判らないことがある」
男「うん」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
男「時間の問題だよ」
C男「……」
C男「時間の問題か。首を洗っていやがれ」
男「上等だ」
544: 2009/04/25(土) 07:47:32.51 ID:b1AJlvQP
――6/6、木曜日 16:20 神楽坂作業室
――電話
部長「――」
男「はいっ!? ……はい、それで。はい?
病院は? ……そうです、か」
部長「――」
男「そうです。……それは二人とも? はぁ。
いえいえ。はい。……判ります。
お騒がせしてしまって申し訳ありません」
C男「何があった」
部長「――」
男「はい、それは重々。いえ……はぁ。
そうなりますね。はい。……いえ。はい」
男「それは、自分の監督責任の問題でもあります。
――いえ。……いいえ。
M野さん就任後の離職率については?
いいえ、そういう意図はありませんが。
しかし、派遣会社側でもそう言ったデータは統計していますし
はい。……そうですね。はい」
男「それは出来ます。はい、今日のところは興奮しているかも
しれませんから……ええ。週明けまでには、はい
話を聞いてみます。ええ、もちろんです」
――電話
部長「――」
男「はいっ!? ……はい、それで。はい?
病院は? ……そうです、か」
部長「――」
男「そうです。……それは二人とも? はぁ。
いえいえ。はい。……判ります。
お騒がせしてしまって申し訳ありません」
C男「何があった」
部長「――」
男「はい、それは重々。いえ……はぁ。
そうなりますね。はい。……いえ。はい」
男「それは、自分の監督責任の問題でもあります。
――いえ。……いいえ。
M野さん就任後の離職率については?
いいえ、そういう意図はありませんが。
しかし、派遣会社側でもそう言ったデータは統計していますし
はい。……そうですね。はい」
男「それは出来ます。はい、今日のところは興奮しているかも
しれませんから……ええ。週明けまでには、はい
話を聞いてみます。ええ、もちろんです」
545: 2009/04/25(土) 07:48:34.01 ID:b1AJlvQP
がちゃり
男「うーん」
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女「どうしたんですか?」
C男「何があった?」
男「なんというか」
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女「……」 C男「……」
男「つまり、まだ良く把握してないんだけどね」
新人女「はい」
C男「早く言え、鰯マネジ」
男:カタカタカタカタカタカタ
男「B男がM野殴って、辞めた」
新人女「!?」 C男「っ!」
男「うーん」
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女「どうしたんですか?」
C男「何があった?」
男「なんというか」
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女「……」 C男「……」
男「つまり、まだ良く把握してないんだけどね」
新人女「はい」
C男「早く言え、鰯マネジ」
男:カタカタカタカタカタカタ
男「B男がM野殴って、辞めた」
新人女「!?」 C男「っ!」
567: 2009/04/25(土) 11:45:18.42 ID:b1AJlvQP
――6/6、木曜日 17:00 神楽坂作業室
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「……いいんでしょうか」
男「ほい?」
新人女「こんなことしていて。B男さん探して連れ戻らないと」
C男「ニセ忍者が脱落とは」
男「いまは、ちょっと無理」
新人女「そうなんですか?」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「B男も頭に来てると思うしね。
探し出しても、話にならなければ同じだよ。
メールはちゃんと打っておいたから、大丈夫」
新人女「なんでこんな事に」
男「向こうに残った新人の女の人が一人いてね
まぁ、家の事情で辞めるに辞められない人
だったらしいんだけど」
新人女「……」ぎゅっ
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「……いいんでしょうか」
男「ほい?」
新人女「こんなことしていて。B男さん探して連れ戻らないと」
C男「ニセ忍者が脱落とは」
男「いまは、ちょっと無理」
新人女「そうなんですか?」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「B男も頭に来てると思うしね。
探し出しても、話にならなければ同じだよ。
メールはちゃんと打っておいたから、大丈夫」
新人女「なんでこんな事に」
男「向こうに残った新人の女の人が一人いてね
まぁ、家の事情で辞めるに辞められない人
だったらしいんだけど」
新人女「……」ぎゅっ
568: 2009/04/25(土) 11:47:04.52 ID:b1AJlvQP
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
男「お察しの通りM野がゲス野郎でさ。
――ちょっかい、かけてたらしい。
で、その女の人が、とうとうなんだろうな
泣きながら辞めるという話を切り出して。
それでBが、おそらく、代わりに殴った」
新人女「B男さん悪く無いじゃないですかっ」
男「辞めるって決めたのはB男だし。
殴った後も居残れる場所じゃないでしょ」
新人女「おかしいですよ」ぎゅっ
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
男「おかしいね。だから、ちゃんと話を聞いて対処する」
新人女「……っ」
C男「新人女、手」
新人女「はい?」
C男「手、動かせ」
新人女「はい……」
C男:カタカタカタカタカタカタ
男「お察しの通りM野がゲス野郎でさ。
――ちょっかい、かけてたらしい。
で、その女の人が、とうとうなんだろうな
泣きながら辞めるという話を切り出して。
それでBが、おそらく、代わりに殴った」
新人女「B男さん悪く無いじゃないですかっ」
男「辞めるって決めたのはB男だし。
殴った後も居残れる場所じゃないでしょ」
新人女「おかしいですよ」ぎゅっ
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
男「おかしいね。だから、ちゃんと話を聞いて対処する」
新人女「……っ」
C男「新人女、手」
新人女「はい?」
C男「手、動かせ」
新人女「はい……」
569: 2009/04/25(土) 11:47:48.50 ID:b1AJlvQP
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男「マネジ男」
男「なんだかなぁ、その呼称は」
C男「仕事終わったぞ、新しいのくれ」
男「ん。ちょっと待って」
新人女「……」
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男「静かだ」
男「C男は昔から静かでしょ。んー。こっち、かな。
一個ずつ終わらして行っちゃおう。池袋の残務処理」
C男「んむ」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男「マネジ男」
男「なんだかなぁ、その呼称は」
C男「仕事終わったぞ、新しいのくれ」
男「ん。ちょっと待って」
新人女「……」
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
C男「静かだ」
男「C男は昔から静かでしょ。んー。こっち、かな。
一個ずつ終わらして行っちゃおう。池袋の残務処理」
C男「んむ」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
571: 2009/04/25(土) 11:49:41.85 ID:b1AJlvQP
新人女「私が神楽坂に拾われたのは
――ラッキーだったんですよね」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「わたしも、きっと辞めちゃっていたと思うんです。
M野さんにつきまとわれて。わたし、根性のないゆとり
ですから……。多分三日も持たないと思うんです」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「何が言いたいのか、自分でも判らないんですけど。
その人も、もしかしたら、ここ辞めて。
他にも行くところが無くて」
新人女「……すみません」
男「言い忘れてたけど、彼女は昨日付で神楽坂班だから。
会社の方の所属判断は知らないけれど、
うちの人間はそのつもりでいるように」
新人女「はいっ」
――ラッキーだったんですよね」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「わたしも、きっと辞めちゃっていたと思うんです。
M野さんにつきまとわれて。わたし、根性のないゆとり
ですから……。多分三日も持たないと思うんです」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「何が言いたいのか、自分でも判らないんですけど。
その人も、もしかしたら、ここ辞めて。
他にも行くところが無くて」
新人女「……すみません」
男「言い忘れてたけど、彼女は昨日付で神楽坂班だから。
会社の方の所属判断は知らないけれど、
うちの人間はそのつもりでいるように」
新人女「はいっ」
573: 2009/04/25(土) 11:51:00.75 ID:b1AJlvQP
――6/6、木曜日 19:10 神楽坂作業室/会議室
「――。――」
新人女「違う。そうじゃないのっ……。
仕事してるんだよ。ふつうだよっ!」
「――。――」
新人女「……いいもん。……母さんが、そうじゃなくてっ!
やだ。そんなのやだよっ。……好きにさせてよっ」
「――。――」
新人女「良い会社だよ。……いいじゃないっ。
派遣で何がいけないのっ? ちゃんとするもん
ちがうもんっ。
――そうじゃないもんっ」
「――。――」
新人女「母さんが判ってないだけだよ。……ちがうのっ」
「――。――」
新人女「まだ仕事だから。切るね。……もうっ!
知らないっ!」
ばむんっ
男「こほんっ」
新人女「あ……」
「――。――」
新人女「違う。そうじゃないのっ……。
仕事してるんだよ。ふつうだよっ!」
「――。――」
新人女「……いいもん。……母さんが、そうじゃなくてっ!
やだ。そんなのやだよっ。……好きにさせてよっ」
「――。――」
新人女「良い会社だよ。……いいじゃないっ。
派遣で何がいけないのっ? ちゃんとするもん
ちがうもんっ。
――そうじゃないもんっ」
「――。――」
新人女「母さんが判ってないだけだよ。……ちがうのっ」
「――。――」
新人女「まだ仕事だから。切るね。……もうっ!
知らないっ!」
ばむんっ
男「こほんっ」
新人女「あ……」
574: 2009/04/25(土) 11:52:00.27 ID:b1AJlvQP
――6/6、木曜日 19:15 神楽坂作業室/給湯室
新人女「えっと」
男「ん」
新人女「……」
男「……もうちょいでお湯沸くから、待ってね」
新人女「はい……」
男「……」
しゅんしゅんしゅんしゅん
男「このビル、ぼろいでしょ?」
新人女「え? あ、はぁ」
男「築何年か判らないけれど、なんかコンクリ湿ってる
感じだしね。だめーなビルなんだけどさ。
ガス台とヤカンは良いよね。オール電化っての?
便利かもしれないけれど、なんか風情はないよね」
新人女「はい……」
男「そういや、うちの班はタバコ吸う人いないしね」
新人女「ですね……」
新人女「えっと」
男「ん」
新人女「……」
男「……もうちょいでお湯沸くから、待ってね」
新人女「はい……」
男「……」
しゅんしゅんしゅんしゅん
男「このビル、ぼろいでしょ?」
新人女「え? あ、はぁ」
男「築何年か判らないけれど、なんかコンクリ湿ってる
感じだしね。だめーなビルなんだけどさ。
ガス台とヤカンは良いよね。オール電化っての?
便利かもしれないけれど、なんか風情はないよね」
新人女「はい……」
男「そういや、うちの班はタバコ吸う人いないしね」
新人女「ですね……」
575: 2009/04/25(土) 11:53:05.81 ID:b1AJlvQP
新人女「あの……」
男「ん」
新人女「さっきのは、うちの……母でして」
男「うん」
新人女「母は、なんかお嬢様気質なんです。
別にうちはお金持ちでもなんでもないのに。
近所づきあいとか、世間体とか、母だけの常識とか
そういうのが大事な人で……」
男「うん」
新人女「この仕事、気に入らないんです」
男「そか」
新人女「あ、でも。わたしは気にいってますからっ」
男「またまたぁ。ブラック会社だよ。ここ。あはは」
新人女「いえ。そうじゃなくて、確かに仕事はきついんですけど」
男「だよね」
男「ん」
新人女「さっきのは、うちの……母でして」
男「うん」
新人女「母は、なんかお嬢様気質なんです。
別にうちはお金持ちでもなんでもないのに。
近所づきあいとか、世間体とか、母だけの常識とか
そういうのが大事な人で……」
男「うん」
新人女「この仕事、気に入らないんです」
男「そか」
新人女「あ、でも。わたしは気にいってますからっ」
男「またまたぁ。ブラック会社だよ。ここ。あはは」
新人女「いえ。そうじゃなくて、確かに仕事はきついんですけど」
男「だよね」
576: 2009/04/25(土) 11:54:24.64 ID:b1AJlvQP
新人女「この間起きたら肩が上がらなくてびっくりしました!」
男「なうなる。俺も油断するとすぐなるよ」
新人女「お風呂で良く揉まないとダメですね」
男「身体って、メンテが必要なものだから」
新人女「仕事は、きついんですけど」
男「……」
新人女「パーティーにいったり、ドライブに行ったり、
遊びに行ったりとか、そういう楽しさも無いんですけど」
男「……」
新人女「がんばってる感じがして、何か変わりそうで
気に入ってるんです」
新人女「もうちょっとで何かがどうかなりそうなんですっ」
男「……うん」
新人女「すいません。意味不明で」
男「いや、うん。……判るよ」
新人女「え?」
男「俺も、何かになりたかったから」
男「なうなる。俺も油断するとすぐなるよ」
新人女「お風呂で良く揉まないとダメですね」
男「身体って、メンテが必要なものだから」
新人女「仕事は、きついんですけど」
男「……」
新人女「パーティーにいったり、ドライブに行ったり、
遊びに行ったりとか、そういう楽しさも無いんですけど」
男「……」
新人女「がんばってる感じがして、何か変わりそうで
気に入ってるんです」
新人女「もうちょっとで何かがどうかなりそうなんですっ」
男「……うん」
新人女「すいません。意味不明で」
男「いや、うん。……判るよ」
新人女「え?」
男「俺も、何かになりたかったから」
578: 2009/04/25(土) 11:57:14.52 ID:b1AJlvQP
新人女「……」
男「俺がここに来たときにさ
半年先輩なだけなのに、すっごい仕事の出来る
古参兵士みたいな人がいてさぁ。これがまた。
――強烈に仕事できるんだなぁ」
男「俺は要領が良かったし、仕事を覚えるのとか
あんまり苦労したことなくてさ。
仕事なんて自分で全体を把握して、工夫をすれば
一人前になるのなんて難しく無いじゃない?
その意味では、新人女さんと似てるんだ。
あんまり苦労してこなかったという意味では」
新人女「……」
男「そのひと、ものすごいのよ。
理屈とか通じないんだもの。
脳みそまで筋肉で出来てるんじゃないかなぁ。
筋肉で仕事してるんだよね。
精神力と体力が同じメーターなんだもん。
わけ判らないよね。ほとんど動物だもん。
でも、それが、もう。
あはははっ」
男「嘘みたいに格好良いんだ」
新人女「……」
男「俺がここに来たときにさ
半年先輩なだけなのに、すっごい仕事の出来る
古参兵士みたいな人がいてさぁ。これがまた。
――強烈に仕事できるんだなぁ」
男「俺は要領が良かったし、仕事を覚えるのとか
あんまり苦労したことなくてさ。
仕事なんて自分で全体を把握して、工夫をすれば
一人前になるのなんて難しく無いじゃない?
その意味では、新人女さんと似てるんだ。
あんまり苦労してこなかったという意味では」
新人女「……」
男「そのひと、ものすごいのよ。
理屈とか通じないんだもの。
脳みそまで筋肉で出来てるんじゃないかなぁ。
筋肉で仕事してるんだよね。
精神力と体力が同じメーターなんだもん。
わけ判らないよね。ほとんど動物だもん。
でも、それが、もう。
あはははっ」
男「嘘みたいに格好良いんだ」
新人女「……」
579: 2009/04/25(土) 11:59:01.01 ID:b1AJlvQP
男「なると良いよ」
新人女「……」
男「自分の好きなものになると良いよ」
新人女「はい」
男「野良はいいぜー」
新人女「?」
男「苦しいしさ、逃げ場はないし、いつでも崖っぷちだけど」
新人女「……」
男「もうどうにもならなくなっても
誰も助けてなんかくれないけれど、いつも怖いけれど。
それでもルール無用だもの。何になってもいいし、
どんなに成長しても良いんだよ。
それに、どんな場所でも歩いてゆける。
野良って、全員が王様なんだよ」
新人女「わたし、男さんの」
男「ん?」
新人女「……」ぎゅ
男「――」
新人女「……」
男「自分の好きなものになると良いよ」
新人女「はい」
男「野良はいいぜー」
新人女「?」
男「苦しいしさ、逃げ場はないし、いつでも崖っぷちだけど」
新人女「……」
男「もうどうにもならなくなっても
誰も助けてなんかくれないけれど、いつも怖いけれど。
それでもルール無用だもの。何になってもいいし、
どんなに成長しても良いんだよ。
それに、どんな場所でも歩いてゆける。
野良って、全員が王様なんだよ」
新人女「わたし、男さんの」
男「ん?」
新人女「……」ぎゅ
男「――」
581: 2009/04/25(土) 12:02:12.56 ID:b1AJlvQP
新人女「男さんの――神楽坂班で良かった」
男「いや、そいつはどうかなー?」にこっ
新人女「へ?」
男「間抜けた顔してるな。
そう言えるためには、まずは生き残らないと」
新人女「はいっ。あはっ」
男「きっついぜぇ」
新人女「大丈夫ですよ」
男「B男に投げてた仕事が戻ってくるかもしれないんだよ?」
新人女「でも、格好良い人はこう言うと思うんです」にこっ
男「?」
新人女「『ウォリアーのうちがいれば、なんでもない』」
男「――うん」
新人女「だから大丈夫ですよ」
男「いや、そいつはどうかなー?」にこっ
新人女「へ?」
男「間抜けた顔してるな。
そう言えるためには、まずは生き残らないと」
新人女「はいっ。あはっ」
男「きっついぜぇ」
新人女「大丈夫ですよ」
男「B男に投げてた仕事が戻ってくるかもしれないんだよ?」
新人女「でも、格好良い人はこう言うと思うんです」にこっ
男「?」
新人女「『ウォリアーのうちがいれば、なんでもない』」
男「――うん」
新人女「だから大丈夫ですよ」
590: 2009/04/25(土) 12:36:31.55 ID:b1AJlvQP
――6/7、金曜日 04:15 神楽坂作業室/仮眠室
男「おーい。C男。起きろー」
C男「……にく」
男「起・き・ろ」
C男「……仕事……捨て」
男「眠りを捨てろよ」
C男「……拾…う…」くてっ
男「起きろ」ゆさゆさ
C男「……む」
男「起きたか? 麦茶のむか?」
C男「……」ぼへぇ
男「どだ?」
C男「……こきゅ、こきゅ」
男「起きたか?」
C男「月は出ているか?」
男「まだ四時過ぎだから出てるんじゃないかな」
C男「僕らが求めた戦争だ」
男「いいから目を覚ませ」
男「おーい。C男。起きろー」
C男「……にく」
男「起・き・ろ」
C男「……仕事……捨て」
男「眠りを捨てろよ」
C男「……拾…う…」くてっ
男「起きろ」ゆさゆさ
C男「……む」
男「起きたか? 麦茶のむか?」
C男「……」ぼへぇ
男「どだ?」
C男「……こきゅ、こきゅ」
男「起きたか?」
C男「月は出ているか?」
男「まだ四時過ぎだから出てるんじゃないかな」
C男「僕らが求めた戦争だ」
男「いいから目を覚ませ」
591: 2009/04/25(土) 12:37:16.65 ID:b1AJlvQP
――6/7、金曜日 05:30 神楽坂作業室
C男「マネジ男は寝ないのか?」
男「その呼び方、定着するのかよ」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男 こくり
男「んー。まぁ、今日のところは持ちそうだし、いいや」
C男「そうか」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
男「後でコンビニでドリンク剤でもかってくる」
C男「内臓を捨てよう」
男「捨てたいな、実際。胃が痛むってのな」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「新人女は」
男「昨日は早めに返したから、朝は普通にくるんじゃないか」
C男「がんばるな」
男「うん」
C男「マネジ男は寝ないのか?」
男「その呼び方、定着するのかよ」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男 こくり
男「んー。まぁ、今日のところは持ちそうだし、いいや」
C男「そうか」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
男「後でコンビニでドリンク剤でもかってくる」
C男「内臓を捨てよう」
男「捨てたいな、実際。胃が痛むってのな」
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「新人女は」
男「昨日は早めに返したから、朝は普通にくるんじゃないか」
C男「がんばるな」
男「うん」
592: 2009/04/25(土) 12:38:06.03 ID:b1AJlvQP
男:カタカタカタカタカタカタ
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「残務も終わった。マネジ男」
男「ん。了解」
C男「次はどこにかかる」
男「……んじゃ、見えてるものをちっと見せるよ。
こっち見て」
C男「これは?」
男「進捗表」
C男「規模が大きすぎる」
男「プロジェクトじゃなくて、全体俯瞰だよ。
この細いラインと球根みたいな膨らみが
一個のプロジェクトだ」
C男「……」
男「赤が危険度が高くて、青が低い」
C男「赤いサングラスかけてるような画面だ」
男「まーねー」
C男「なんでこんなに多い?」
男「開発とか営業の進捗も追跡してるから」
C男「――っ」
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「残務も終わった。マネジ男」
男「ん。了解」
C男「次はどこにかかる」
男「……んじゃ、見えてるものをちっと見せるよ。
こっち見て」
C男「これは?」
男「進捗表」
C男「規模が大きすぎる」
男「プロジェクトじゃなくて、全体俯瞰だよ。
この細いラインと球根みたいな膨らみが
一個のプロジェクトだ」
C男「……」
男「赤が危険度が高くて、青が低い」
C男「赤いサングラスかけてるような画面だ」
男「まーねー」
C男「なんでこんなに多い?」
男「開発とか営業の進捗も追跡してるから」
C男「――っ」
593: 2009/04/25(土) 12:39:05.96 ID:b1AJlvQP
男「ここまでやっても不意打ちを受ける」
C男「……」
男「世知辛いね、会社ってのは」
C男「この巨大な赤い固まりは? 画面に入りきらない」
男「それは巣鴨。今は気にしないでいいよ」
C男「これは?」
男「想像通り、保険屋だね。不発弾に近い」
C男「……」
男「把握?」
C男「把握した」
男「どれに行く?」
C男「マネジの配置指示」
男「だるいよ」
C男「?」
男「指示なんてだるいって」
C男「……」
男「世知辛いね、会社ってのは」
C男「この巨大な赤い固まりは? 画面に入りきらない」
男「それは巣鴨。今は気にしないでいいよ」
C男「これは?」
男「想像通り、保険屋だね。不発弾に近い」
C男「……」
男「把握?」
C男「把握した」
男「どれに行く?」
C男「マネジの配置指示」
男「だるいよ」
C男「?」
男「指示なんてだるいって」
594: 2009/04/25(土) 12:39:34.78 ID:b1AJlvQP
C男「職務放棄。捨てるな」
男「マネジの仕事は指揮でもみんなの仕事の様子を
チェックして叱ることでもないよ」
C男「……」
男「C男はもう十分戦闘能力がある。戦う気もある。
マネジの仕事なんて、あとは『仕事をやっつけようぜ』
って言うだけだよ。
――どれと戦りたい?」
C男「これ」
男「でかいとこ食うね。錦糸町か」
C男「形が唐翌揚げに似てる」
男「……唐翌揚げ独り占めすると女先輩にどつかれるよ?」
C男「いないのが悪い」
男「そう言えばそうだな」
C男「資料は?」
男「用意する」
男「マネジの仕事は指揮でもみんなの仕事の様子を
チェックして叱ることでもないよ」
C男「……」
男「C男はもう十分戦闘能力がある。戦う気もある。
マネジの仕事なんて、あとは『仕事をやっつけようぜ』
って言うだけだよ。
――どれと戦りたい?」
C男「これ」
男「でかいとこ食うね。錦糸町か」
C男「形が唐翌揚げに似てる」
男「……唐翌揚げ独り占めすると女先輩にどつかれるよ?」
C男「いないのが悪い」
男「そう言えばそうだな」
C男「資料は?」
男「用意する」
604: 2009/04/25(土) 13:01:43.39 ID:b1AJlvQP
――6/7、金曜日 12:30 神楽坂作業室
――電話
男「はい。……そうです。そこらにありませんか?
あははは。こっちも地獄ですよ。
いえ。開発と話が出来るようになったので、
援軍三個師団気分ですよ。
……はい? はい。
あ、手直しくらいならします。とりあえず、
送ってくれれば。はい、感謝します」
男「ああ。聞かれました? あはははは。
うちの忍者なんですけどね。
へ? 忍者ですよ。いるんですよ、うち。そういうの。
うん……殴っちゃったみたいです。
……。
…………。
いえいえ、そう言ってもらえると忍者も喜ぶと
思いますよ。あいつはアレでなかなか大器ですから。
……。
…………。
ああ、はい。お心遣いありがとうございます。
いえ、B派遣社には一度自分もご挨拶に行くつもりでした。
いや。違いますよ。あははっ」
――電話
男「はい。……そうです。そこらにありませんか?
あははは。こっちも地獄ですよ。
いえ。開発と話が出来るようになったので、
援軍三個師団気分ですよ。
……はい? はい。
あ、手直しくらいならします。とりあえず、
送ってくれれば。はい、感謝します」
男「ああ。聞かれました? あはははは。
うちの忍者なんですけどね。
へ? 忍者ですよ。いるんですよ、うち。そういうの。
うん……殴っちゃったみたいです。
……。
…………。
いえいえ、そう言ってもらえると忍者も喜ぶと
思いますよ。あいつはアレでなかなか大器ですから。
……。
…………。
ああ、はい。お心遣いありがとうございます。
いえ、B派遣社には一度自分もご挨拶に行くつもりでした。
いや。違いますよ。あははっ」
606: 2009/04/25(土) 13:02:26.48 ID:b1AJlvQP
男「はい。お願いします。はい、はい?
んー。どうした方がいいでしょうかね?
周辺機材のあまりってあります?
うちはケーブルは5mクラスしかないんですけど」
男「あー。判りました。いえ、いいんですか?
すみません。では、お願いします。
はい、はい。……ではまた」
がちゃり
C男「開発か?」
男「そう」
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「関係改善」
男「んだね」
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女「なにかお手伝いできること、ありますか?」
男「いや、これはC男の仕事なんだな」
C男「捨てよう」
んー。どうした方がいいでしょうかね?
周辺機材のあまりってあります?
うちはケーブルは5mクラスしかないんですけど」
男「あー。判りました。いえ、いいんですか?
すみません。では、お願いします。
はい、はい。……ではまた」
がちゃり
C男「開発か?」
男「そう」
C男:カタカタカタカタカタカタ
C男「関係改善」
男「んだね」
C男:カタカタカタカタカタカタ
新人女「なにかお手伝いできること、ありますか?」
男「いや、これはC男の仕事なんだな」
C男「捨てよう」
607: 2009/04/25(土) 13:03:48.24 ID:b1AJlvQP
男「いま、開発から追加機材届くから。
C男は荷物と手持ちのツールディスクまとめて」
C男「夜逃げか?」
男「近いね。錦糸町に移動。クライアントさんのところで
作業するよ。クライアントさんは、訂正用の顧客情報を
社外へ持ち出ししたくないらしい」
C男「Netは?」
男「開発の方で、臨時にFTP立ち上げてくれるから、
Toolとかはそこで受け渡し。いまやってる作業の継続も
そのまま持ってって、向こうでやることになる。
新人女さん?」
新人女「はいっ」
男「そんな訳で俺とC男出るから。ああ、俺は挨拶だけ
だからすぐ戻る」
C男「俺が捨てられるっ!?」
新人女「はい」
男「その間だけ、留守番お願い。電話は留守電でOK」
新人女「判りました」
C男は荷物と手持ちのツールディスクまとめて」
C男「夜逃げか?」
男「近いね。錦糸町に移動。クライアントさんのところで
作業するよ。クライアントさんは、訂正用の顧客情報を
社外へ持ち出ししたくないらしい」
C男「Netは?」
男「開発の方で、臨時にFTP立ち上げてくれるから、
Toolとかはそこで受け渡し。いまやってる作業の継続も
そのまま持ってって、向こうでやることになる。
新人女さん?」
新人女「はいっ」
男「そんな訳で俺とC男出るから。ああ、俺は挨拶だけ
だからすぐ戻る」
C男「俺が捨てられるっ!?」
新人女「はい」
男「その間だけ、留守番お願い。電話は留守電でOK」
新人女「判りました」
609: 2009/04/25(土) 13:09:38.75 ID:b1AJlvQP
――6/7、金曜日 16:00 総武線の内部
C男「……機材捨てよう」
男「重いのは判るけど、捨てるなよ」
C男「ちょうど橋だ。うまく捨てればばれない」
男「ばれるよ。どうやって電車の窓から捨てるんだよっ」
C男「……」
男「……」
C男「大丈夫か?」
男「なにが?」
C男「俺まで移動して平気か?」
男「しゃぁないでしょ」
C男「――」
男「今はこれが一番早く仕事が進む。錦糸町を
処理できれば、後は細かいドキュメントや残務処理、
ミスの修正なんかだ。
これは指示をして、資料さえ完全にそろえていれば
新人女さんがペースは遅くてももれなくつぶしてくれる」
C男「不発弾」
男「ああ」
C男「……機材捨てよう」
男「重いのは判るけど、捨てるなよ」
C男「ちょうど橋だ。うまく捨てればばれない」
男「ばれるよ。どうやって電車の窓から捨てるんだよっ」
C男「……」
男「……」
C男「大丈夫か?」
男「なにが?」
C男「俺まで移動して平気か?」
男「しゃぁないでしょ」
C男「――」
男「今はこれが一番早く仕事が進む。錦糸町を
処理できれば、後は細かいドキュメントや残務処理、
ミスの修正なんかだ。
これは指示をして、資料さえ完全にそろえていれば
新人女さんがペースは遅くてももれなくつぶしてくれる」
C男「不発弾」
男「ああ」
610: 2009/04/25(土) 13:11:20.88 ID:b1AJlvQP
C男「保険屋」
男「B男が抜けたのが痛いね。まぁ、そいつは俺がやるよ」
C男「つぶれる」
男「……」
C男「つぶれたマネジ男。かっこ悪っ」
男「あんなー」
C男「捨てよう」
男「……」
C男「捨てたいな」
男「ん?」
C男「結局M野が生き残る」
男「ああ」
C男「頃すべき」
男「頃しても仕方ないよ。
あんなのは、どこにでもいる。多分ね。
出くわす度に頃すの殺さないのなんて
面倒でやっていられないよ」
C男「マネジ男は草食過ぎる」
男「ものぐさなんだ」
男「B男が抜けたのが痛いね。まぁ、そいつは俺がやるよ」
C男「つぶれる」
男「……」
C男「つぶれたマネジ男。かっこ悪っ」
男「あんなー」
C男「捨てよう」
男「……」
C男「捨てたいな」
男「ん?」
C男「結局M野が生き残る」
男「ああ」
C男「頃すべき」
男「頃しても仕方ないよ。
あんなのは、どこにでもいる。多分ね。
出くわす度に頃すの殺さないのなんて
面倒でやっていられないよ」
C男「マネジ男は草食過ぎる」
男「ものぐさなんだ」
611: 2009/04/25(土) 13:12:14.84 ID:b1AJlvQP
C男「……」
男「……」
ゴオオオオオ。ぷしゅーっ。
あさくさーばーしーあさーくさーば
C男「しのげるのか?」
男「保証が欲しけりゃ公務員やってやがれ」
C男「女先輩の場所だ」
男「しのげるよ」
C男「即答か」
男「即答しないと捨てられる」
C男「捨てるだけで済ますものか」
男「……」
C男「一生呪うからな」
男「だから、重いんだって」
C男 ぷいっ
男(なんてんだっけ、これ……。
あ。そうだ。ツンデレ……なのか?)
男「……」
ゴオオオオオ。ぷしゅーっ。
あさくさーばーしーあさーくさーば
C男「しのげるのか?」
男「保証が欲しけりゃ公務員やってやがれ」
C男「女先輩の場所だ」
男「しのげるよ」
C男「即答か」
男「即答しないと捨てられる」
C男「捨てるだけで済ますものか」
男「……」
C男「一生呪うからな」
男「だから、重いんだって」
C男 ぷいっ
男(なんてんだっけ、これ……。
あ。そうだ。ツンデレ……なのか?)
653: 2009/04/25(土) 16:23:13.56 ID:b1AJlvQP
――6/7、金曜日 18:20 神楽坂作業所
新人女:カタカタカタ
新人女「できた。……よし、もう一個」
がちゃり
男「たっだいま」
新人女「お帰りなさい~。どうでしたか」
男「こちらは問題なし。C男は週明けまで缶詰だね」
新人女「作業はこんな感じの進捗になってます」ぺらっ
男「さんきゅ。まとめてもらえるとすごく助かる」
新人女「いえ。出来ること自体がまだ少ないですから」
男「……ん。この緑のラインは?」
新人女「ちょっと自信がないところです。帳票の内容を
チェックして欲しいです」
男「了解」
新人女:カタカタカタ
新人女「できた。……よし、もう一個」
がちゃり
男「たっだいま」
新人女「お帰りなさい~。どうでしたか」
男「こちらは問題なし。C男は週明けまで缶詰だね」
新人女「作業はこんな感じの進捗になってます」ぺらっ
男「さんきゅ。まとめてもらえるとすごく助かる」
新人女「いえ。出来ること自体がまだ少ないですから」
男「……ん。この緑のラインは?」
新人女「ちょっと自信がないところです。帳票の内容を
チェックして欲しいです」
男「了解」
654: 2009/04/25(土) 16:24:37.35 ID:b1AJlvQP
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「ん……。問題なし。調べた方がいい点は
別紙にプリントした」
新人女「ありがとうございます」
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「いえいえ。実際助かる」
新人女「細かい仕事をこなすのは楽しいですね」
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「そうゆうもの?」
新人女「小さい人形を修理してショーケースに
ちまちまっと並べていく感覚に近いです」
男「ああ。うん、それ、判りやすいね」
新人女「はい」
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「でも、貴重な人材だ」
新人女「そうですか?」
新人女:カタカタカタ
男「ん……。問題なし。調べた方がいい点は
別紙にプリントした」
新人女「ありがとうございます」
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「いえいえ。実際助かる」
新人女「細かい仕事をこなすのは楽しいですね」
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「そうゆうもの?」
新人女「小さい人形を修理してショーケースに
ちまちまっと並べていく感覚に近いです」
男「ああ。うん、それ、判りやすいね」
新人女「はい」
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「でも、貴重な人材だ」
新人女「そうですか?」
655: 2009/04/25(土) 16:25:16.62 ID:b1AJlvQP
男「うちは大物狙いが多いからね。でかい仕事に突っ込んで
腕力で倒しきると言うか。体当たり主義的な」
新人女「女さんですか?」
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「先輩もそうだけど。実は最近C男もそうだよね。
B男はそのへんは自在派で、俺がどちらかというと
雑用処理が多かったからさ」
新人女「個性が出るんですね」
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「そりゃそうだよ。仕事ほど個性でること無いよ」
新人女「……友達なんかは、サラリーマンになったら
個性が無くなるっていってたから」
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「そんなこと無いよ。というか、消そうと思って
消せるくらいなら個性じゃないんだよ」
新人女「そうですね」
男「個性ばりばりで仕事する人ばっかりだけどね
うちの班は」
腕力で倒しきると言うか。体当たり主義的な」
新人女「女さんですか?」
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「先輩もそうだけど。実は最近C男もそうだよね。
B男はそのへんは自在派で、俺がどちらかというと
雑用処理が多かったからさ」
新人女「個性が出るんですね」
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「そりゃそうだよ。仕事ほど個性でること無いよ」
新人女「……友達なんかは、サラリーマンになったら
個性が無くなるっていってたから」
男:カタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「そんなこと無いよ。というか、消そうと思って
消せるくらいなら個性じゃないんだよ」
新人女「そうですね」
男「個性ばりばりで仕事する人ばっかりだけどね
うちの班は」
656: 2009/04/25(土) 16:26:44.12 ID:b1AJlvQP
――6/7、金曜日 19:40 神楽坂作業所
新人女「ん……」ちらっ
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「――」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「あのぅ」
男「……」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「あの、男さん?」
男「はいっ?」
新人女「聞かれる前に云いますけど、私、土日出ます」
男「きついでしょ?」
新人女「いえ出ます。ここが正念場だって言う気がしますし」
男「そう言ってくれるなら願ったりかなったりだけど」
新人女「ん……」ちらっ
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「――」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「あのぅ」
男「……」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「あの、男さん?」
男「はいっ?」
新人女「聞かれる前に云いますけど、私、土日出ます」
男「きついでしょ?」
新人女「いえ出ます。ここが正念場だって言う気がしますし」
男「そう言ってくれるなら願ったりかなったりだけど」
658: 2009/04/25(土) 16:29:47.68 ID:b1AJlvQP
新人女「やた」にこっ
男「そんなに仕事楽しい?」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「いえ、そういうのじゃないですけれど。
ううん、……楽しいのかな?
がんばってる気がして嬉しいです」
男「ああ、充実?」
新人女「そうそう、それです! 言いたかったの」
男「そっか」にこっ
新人女「はい」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「――」
新人女「……」ちらっ
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「そか。明日来るなら、今日はもう切り上げよう」
男「そんなに仕事楽しい?」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「いえ、そういうのじゃないですけれど。
ううん、……楽しいのかな?
がんばってる気がして嬉しいです」
男「ああ、充実?」
新人女「そうそう、それです! 言いたかったの」
男「そっか」にこっ
新人女「はい」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「――」
新人女「……」ちらっ
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「そか。明日来るなら、今日はもう切り上げよう」
660: 2009/04/25(土) 16:30:58.67 ID:b1AJlvQP
新人女「男さんも帰りますか?」
男「いや、俺はもうちょいいるけれど」
新人女「それじゃ私も付き合います」
男「いやいや。切り上げましょう。女性なんだし」
新人女「仕事忙しいですし……」
男「却下で」
新人女「だめ……ですか?」じぃっ
男「そういう反則くさいポーズしてもダメです」
新人女「反則なんかじゃないですよっ」おろおろ
男「……」
新人女「……」しょぼん
男「自分はもうちょい残りますけど、
良い時間だからご飯に行きます。事務所一緒に出ましょう」
新人女「はいっ」
男「いや、そうでもしないと残りかねないからね、
新人女さんは」
男「いや、俺はもうちょいいるけれど」
新人女「それじゃ私も付き合います」
男「いやいや。切り上げましょう。女性なんだし」
新人女「仕事忙しいですし……」
男「却下で」
新人女「だめ……ですか?」じぃっ
男「そういう反則くさいポーズしてもダメです」
新人女「反則なんかじゃないですよっ」おろおろ
男「……」
新人女「……」しょぼん
男「自分はもうちょい残りますけど、
良い時間だからご飯に行きます。事務所一緒に出ましょう」
新人女「はいっ」
男「いや、そうでもしないと残りかねないからね、
新人女さんは」
661: 2009/04/25(土) 16:31:49.80 ID:b1AJlvQP
――6/7、金曜日 19:50 神楽坂の路上
新人女「土日は雨らしいですね」
男「そっかぁ。滅入るね」
新人女「どこでお食事するんですか」
男「ん……。そだね。美味しい親子丼
食べさせるところがあるんだ」
新人女「わぁ。いいですねっ」
男「行くよね?」
新人女「はいっ。お供します」
男「ちょっと裏手のおそば屋さんなんだけどね」
新人女「この辺のお店沢山知ってるんですか?」
男「うん。職場に入ると付近の探検しない?」
新人女「あんまりしたことはなかったです」
男「座ってデータ管理の仕事とかしていると、
食事がストレス発散みたいになるしさ。
散歩がてら店を探したりするよね」
新人女「そうなんですか」
男「こうゆうのは忍者が抜群に上手いんだ。みつけるの」
新人女「土日は雨らしいですね」
男「そっかぁ。滅入るね」
新人女「どこでお食事するんですか」
男「ん……。そだね。美味しい親子丼
食べさせるところがあるんだ」
新人女「わぁ。いいですねっ」
男「行くよね?」
新人女「はいっ。お供します」
男「ちょっと裏手のおそば屋さんなんだけどね」
新人女「この辺のお店沢山知ってるんですか?」
男「うん。職場に入ると付近の探検しない?」
新人女「あんまりしたことはなかったです」
男「座ってデータ管理の仕事とかしていると、
食事がストレス発散みたいになるしさ。
散歩がてら店を探したりするよね」
新人女「そうなんですか」
男「こうゆうのは忍者が抜群に上手いんだ。みつけるの」
662: 2009/04/25(土) 16:33:25.49 ID:b1AJlvQP
――6/7、金曜日 20:00 蕎麦処『酉伊勢』
新人女「緊張しますね」
男「そう?」
新人女「結構高そうなお店ですよ」こそっ
男「奢ってもらえるでしょ? 男の子に」
新人女「和食のお店って選択肢にないんですよ。
――独特の気配ですね」
男「ああ。音楽とか流さないもんね。静かだよね」
男「親子丼二つ。と、茶碗蒸しも二つ」
店員「はい、ただいまぁ~」
新人女「メニューが出てこないってすごいプレッシャーですよね」
男「あ、それは判る」
新人女「『判ってないやつは帰れよ!』みたいな」
男「うんうん。それはあるなぁ」
新人女「変な注文したら奥で
笑ってるかもしれないとか考えませんか?」
男「結構小心だなぁ、新人女さんは。ははは」
新人女「いえ、小心者ですから」
男「その時は二人で笑いものになると言うことで」
新人女「そうですね」にこっ
新人女「緊張しますね」
男「そう?」
新人女「結構高そうなお店ですよ」こそっ
男「奢ってもらえるでしょ? 男の子に」
新人女「和食のお店って選択肢にないんですよ。
――独特の気配ですね」
男「ああ。音楽とか流さないもんね。静かだよね」
男「親子丼二つ。と、茶碗蒸しも二つ」
店員「はい、ただいまぁ~」
新人女「メニューが出てこないってすごいプレッシャーですよね」
男「あ、それは判る」
新人女「『判ってないやつは帰れよ!』みたいな」
男「うんうん。それはあるなぁ」
新人女「変な注文したら奥で
笑ってるかもしれないとか考えませんか?」
男「結構小心だなぁ、新人女さんは。ははは」
新人女「いえ、小心者ですから」
男「その時は二人で笑いものになると言うことで」
新人女「そうですね」にこっ
663: 2009/04/25(土) 16:36:42.60 ID:b1AJlvQP
男「ここもB男がさがしてきてさ」
新人女「ふむふむ」
男「看板にメニューも出て無いじゃない?
鶏料理、蕎麦だけで」
新人女「はい。真っ黒壁ですしね」
男「それなのに一人でランチ食いに入ったらしいんだよ。
で、美味い美味い! って今度食いに行こうって。
そりゃ、ござるござる言うわけさ」
新人女「あはははっ」にこぉっ
男「ん」
新人女「はい?」
男「いや、まだ元気があるみたいで良いことだ」
新人女「……B男さん、なにしてるでしょうか」
男「元気してるよ」
新人女「そうだ。メールの返事は来ましたか?」
男「うん、きてる」
新人女「ふむふむ」
男「看板にメニューも出て無いじゃない?
鶏料理、蕎麦だけで」
新人女「はい。真っ黒壁ですしね」
男「それなのに一人でランチ食いに入ったらしいんだよ。
で、美味い美味い! って今度食いに行こうって。
そりゃ、ござるござる言うわけさ」
新人女「あはははっ」にこぉっ
男「ん」
新人女「はい?」
男「いや、まだ元気があるみたいで良いことだ」
新人女「……B男さん、なにしてるでしょうか」
男「元気してるよ」
新人女「そうだ。メールの返事は来ましたか?」
男「うん、きてる」
664: 2009/04/25(土) 16:37:49.45 ID:b1AJlvQP
新人女「どうでした?」
男「さっぱりしたものだよ」
新人女「戻ってくるんですよね?」
男「――」
新人女「おかしいですよね。こんな事で、辞めちゃうなんてっ」
男「うん、おかしい」
新人女「……」
男「でも、おかしいことは世の中に沢山あるから」
新人女「……っ」
男「新人女さんはこの先どうなるのかな」
新人女「……はい?」
男「まだ19だもんね。他の会社に行くかもしれないし、
誰かと付き合ったり結婚するかもしれないでしょ」
新人女「……」
男「でも、B男はあれで、野良だからさ。
――ちゃんと生き抜くよ。
まぁ、仕方ないよね。殴りたければ殴る。
やってはいけないことだけど、野良は王様だからなー。
あれは俺もびっくりしたよ。
よっぽど腹に据えかねたんだな」
男「さっぱりしたものだよ」
新人女「戻ってくるんですよね?」
男「――」
新人女「おかしいですよね。こんな事で、辞めちゃうなんてっ」
男「うん、おかしい」
新人女「……」
男「でも、おかしいことは世の中に沢山あるから」
新人女「……っ」
男「新人女さんはこの先どうなるのかな」
新人女「……はい?」
男「まだ19だもんね。他の会社に行くかもしれないし、
誰かと付き合ったり結婚するかもしれないでしょ」
新人女「……」
男「でも、B男はあれで、野良だからさ。
――ちゃんと生き抜くよ。
まぁ、仕方ないよね。殴りたければ殴る。
やってはいけないことだけど、野良は王様だからなー。
あれは俺もびっくりしたよ。
よっぽど腹に据えかねたんだな」
665: 2009/04/25(土) 16:39:02.86 ID:b1AJlvQP
新人女「……」
男「そういう顔してると、まずくなるよ? せっかくなのに」
新人女「はい?」
男「さっきの顔がいいね」
新人女「え?」
男「笑った顔の方が美味しいよ。
――親子丼ってさ、どんぶりの中で卵が蒸されて、
どんどん加熱されてる訳。つまり、1秒を争う
デスマーチな食い物なんだよ。
だから、笑いながら食べないと、負けちゃうよ?」
新人女「え?」
店員「お待たせしました。親子丼二つ、茶碗蒸し二つ。
本日の香の物は蕪菁にしてみました。ごゆっくりどうぞ」
男「食おうぜ」
新人女「はい」
男「いただきます」
新人女「いただきます」
男「まぐっ。……もぐっ。ん」
新人女「……もぐ」
男「どうよ」
男「そういう顔してると、まずくなるよ? せっかくなのに」
新人女「はい?」
男「さっきの顔がいいね」
新人女「え?」
男「笑った顔の方が美味しいよ。
――親子丼ってさ、どんぶりの中で卵が蒸されて、
どんどん加熱されてる訳。つまり、1秒を争う
デスマーチな食い物なんだよ。
だから、笑いながら食べないと、負けちゃうよ?」
新人女「え?」
店員「お待たせしました。親子丼二つ、茶碗蒸し二つ。
本日の香の物は蕪菁にしてみました。ごゆっくりどうぞ」
男「食おうぜ」
新人女「はい」
男「いただきます」
新人女「いただきます」
男「まぐっ。……もぐっ。ん」
新人女「……もぐ」
男「どうよ」
666: 2009/04/25(土) 16:40:09.05 ID:b1AJlvQP
新人女「……美味しいです」にこっ
男「そんな感じの顔で」にこっ
男「もぐっ。……まぐ、まぐっ。ん」
新人女「美味しい……本当に」
男「まぁ、あれだよ」
新人女「……?」
男「野良になりたてのちび猫に心配されたら
忍者だってへそを曲げるよ」
新人女「わたしも、野良ですか?」
男「じゃない? もぐ、もぐっ。あ、茶碗蒸しもどうぞ」
新人女「はい……、いたきます。あの、野良ですか?」
男「違うの?」
新人女「いえ。……嬉しいです」
新人女「びっくりでして……。こんなに嬉しいんだ」
男「あはははっ。変なの。野良なんてウォリアー並に
底辺なんだぞ?」
男「そんな感じの顔で」にこっ
男「もぐっ。……まぐ、まぐっ。ん」
新人女「美味しい……本当に」
男「まぁ、あれだよ」
新人女「……?」
男「野良になりたてのちび猫に心配されたら
忍者だってへそを曲げるよ」
新人女「わたしも、野良ですか?」
男「じゃない? もぐ、もぐっ。あ、茶碗蒸しもどうぞ」
新人女「はい……、いたきます。あの、野良ですか?」
男「違うの?」
新人女「いえ。……嬉しいです」
新人女「びっくりでして……。こんなに嬉しいんだ」
男「あはははっ。変なの。野良なんてウォリアー並に
底辺なんだぞ?」
667: 2009/04/25(土) 16:41:14.98 ID:b1AJlvQP
新人女「ええ。そうなんですけど。
お母さんに云ったら卒倒しちゃうくらいなんですけど」
男「だよ。……もぐっ。……ん」
新人女「卵とろとろですね」
男「そこが美味い訳だ」
新人女「はいっ」
――偉いぞっ
男「?」
新人女「あ、いえ……。その」
男「茶碗蒸し美味い?」
新人女「美味しいです。いや、そうじゃなくて」
(褒めてもらう、あの姿が。――欲しくて)
新人女「あの。なんでもないです。美味しいですっ」
お母さんに云ったら卒倒しちゃうくらいなんですけど」
男「だよ。……もぐっ。……ん」
新人女「卵とろとろですね」
男「そこが美味い訳だ」
新人女「はいっ」
――偉いぞっ
男「?」
新人女「あ、いえ……。その」
男「茶碗蒸し美味い?」
新人女「美味しいです。いや、そうじゃなくて」
(褒めてもらう、あの姿が。――欲しくて)
新人女「あの。なんでもないです。美味しいですっ」
668: 2009/04/25(土) 16:43:19.25 ID:b1AJlvQP
――6/7、金曜日 20:45 神楽坂路上
男「それでは、お疲れ様ー」
新人女「はい。ごちそうさまでしたっ」ぴょこっ
男「いえいえいえ。奢りのお礼は労働で!」
新人女「了解しました。マネージャー!」
男「ゆっくり寝てください」
新人女「休養してきます」
男「お休みなさい~」
新人女「あのっ」
男「はい?」
新人女「あ……いえ。なんでもありません。
お休みなさい、また明日がんばります」
男「はい。ではまたね!」
ぱたぱたぱたぱたっ。
男「さーってと。んじゃ、こっちはもうひとがんばり。
……と、そ、の、ま、え、にっ」
男「食事券は残念だけど、全部換金して、振り込んじゃうかな。
ま、これも先行投資のスカウト料金だ」
男「それでは、お疲れ様ー」
新人女「はい。ごちそうさまでしたっ」ぴょこっ
男「いえいえいえ。奢りのお礼は労働で!」
新人女「了解しました。マネージャー!」
男「ゆっくり寝てください」
新人女「休養してきます」
男「お休みなさい~」
新人女「あのっ」
男「はい?」
新人女「あ……いえ。なんでもありません。
お休みなさい、また明日がんばります」
男「はい。ではまたね!」
ぱたぱたぱたぱたっ。
男「さーってと。んじゃ、こっちはもうひとがんばり。
……と、そ、の、ま、え、にっ」
男「食事券は残念だけど、全部換金して、振り込んじゃうかな。
ま、これも先行投資のスカウト料金だ」
781: 2009/04/26(日) 11:33:31.49 ID:OTso.pkP
――6/8、土曜日 11:00 神楽坂作業室
ざぁぁぁぁぁああぁああ
新人女「すごい降りですね」
男「早い台風が来てるらしい」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「でも、悪くないですよ」
男「そう?」
新人女「雨の中でも、暖かい部屋で集中して
キーボード叩いているのって。いいですよね」
男「……うーん」
新人女「外に買い物行くのよりは」にこっ
男「そうかもなぁ」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「夜は困りますね」
男「あー。そういえばさ」
ざぁぁぁぁぁああぁああ
新人女「すごい降りですね」
男「早い台風が来てるらしい」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「でも、悪くないですよ」
男「そう?」
新人女「雨の中でも、暖かい部屋で集中して
キーボード叩いているのって。いいですよね」
男「……うーん」
新人女「外に買い物行くのよりは」にこっ
男「そうかもなぁ」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「夜は困りますね」
男「あー。そういえばさ」
782: 2009/04/26(日) 11:34:52.66 ID:OTso.pkP
新人女「はい?」
男「なんにもないと思うけれど、雨もすごいし
今日は早々に切り上げた方が良いよ」
新人女「いえ……あの」
男「?」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「実は、お泊まり……じゃなくて、徹夜の準備を
してきてますので」
男「はい?」
新人女「わたしも、そろそろ完徹デビューを」
男「……えーと」
新人女「今回は引きません」
男「引かないのか」
新人女「男さんのこと見てましたから」
男「はい?」
男「なんにもないと思うけれど、雨もすごいし
今日は早々に切り上げた方が良いよ」
新人女「いえ……あの」
男「?」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「実は、お泊まり……じゃなくて、徹夜の準備を
してきてますので」
男「はい?」
新人女「わたしも、そろそろ完徹デビューを」
男「……えーと」
新人女「今回は引きません」
男「引かないのか」
新人女「男さんのこと見てましたから」
男「はい?」
784: 2009/04/26(日) 11:45:34.40 ID:vuHK/qM0
新人女「わたし技術もないですし、手も早くないです」
男「そんなこと無いと思うんだけど」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「男さん、結構焦ってますよね」
男「……」
新人女「今週末、危ないんですよね?」じぃっ
男「なんで?」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「共有フォルダの日付別作業予定がどんどん
圧縮されてます。私には教えてくれてない
仕事があるんですよね?」
男「えー」
新人女「まだへたくそだから、真似っこしないと
仕事のやり方が判らないですけど
真似をずっとしてるから気がついたんです。
真似をしたくても出来ない、変な仕事があるって」
男「そんなこと無いと思うんだけど」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「男さん、結構焦ってますよね」
男「……」
新人女「今週末、危ないんですよね?」じぃっ
男「なんで?」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「共有フォルダの日付別作業予定がどんどん
圧縮されてます。私には教えてくれてない
仕事があるんですよね?」
男「えー」
新人女「まだへたくそだから、真似っこしないと
仕事のやり方が判らないですけど
真似をずっとしてるから気がついたんです。
真似をしたくても出来ない、変な仕事があるって」
787: 2009/04/26(日) 11:57:27.44 ID:vuHK/qM0
新人女「わたし技術もないですし、手も早くないです」
男「そんなこと無いと思うんだけど」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「男さん、結構焦ってますよね」
男「……」
新人女「今週末、危ないんですよね?」じぃっ
男「なんで?」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「共有フォルダの日付別作業予定がどんどん
圧縮されてます。私には教えてくれてない
仕事があるんですよね?」
男「えー」
新人女「まだへたくそだから、真似っこしないと
仕事のやり方が判らないですけど
真似をずっとしてるから気がついたんです。
真似をしたくても出来ない、変な仕事があるって」
男「そんなこと無いと思うんだけど」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「男さん、結構焦ってますよね」
男「……」
新人女「今週末、危ないんですよね?」じぃっ
男「なんで?」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「共有フォルダの日付別作業予定がどんどん
圧縮されてます。私には教えてくれてない
仕事があるんですよね?」
男「えー」
新人女「まだへたくそだから、真似っこしないと
仕事のやり方が判らないですけど
真似をずっとしてるから気がついたんです。
真似をしたくても出来ない、変な仕事があるって」
789: 2009/04/26(日) 11:59:57.59 ID:vuHK/qMo
男「……びっくり」
新人女「?」
男「いやいやいや。『「男子三日会わざれば刮目して見よ』
って、あれずいぶんセクハラな台詞だよなぁ。
男子だけしか成長しないみたいじゃんね」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「……」
男「C男といい、新人女さんといい。すごいわ」
新人女「当たりましたか?」
男「うん、当たってる」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「別に隠してた訳じゃないけどね。ほら、前に話していた
保険屋の仕事がね。B男がいなくなって凍結されてる。
これを火曜日までにやらなきゃならない。
まぁ、実際この週末だね」
新人女「……」
男「でも、これは。多分俺が無理すれば仕上げられる。
幸いマクロは手の込んだヤツを作っておいたからね。
ディスクの入れ替えが手間だけど、自動処理で
チェックの洗い出しまで終わるはず」
新人女「?」
男「いやいやいや。『「男子三日会わざれば刮目して見よ』
って、あれずいぶんセクハラな台詞だよなぁ。
男子だけしか成長しないみたいじゃんね」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「……」
男「C男といい、新人女さんといい。すごいわ」
新人女「当たりましたか?」
男「うん、当たってる」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「別に隠してた訳じゃないけどね。ほら、前に話していた
保険屋の仕事がね。B男がいなくなって凍結されてる。
これを火曜日までにやらなきゃならない。
まぁ、実際この週末だね」
新人女「……」
男「でも、これは。多分俺が無理すれば仕上げられる。
幸いマクロは手の込んだヤツを作っておいたからね。
ディスクの入れ替えが手間だけど、自動処理で
チェックの洗い出しまで終わるはず」
790: 2009/04/26(日) 12:01:20.69 ID:vuHK/qMo
新人女「ディスク交換と、マクロのセットアップくらい出来ます」
男「……」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「今晩はあの……お付き合いしますから」かぁっ
男「えっと……うん。いや、いや、ダメっ」
新人女「なんでですか?」じぃっ
男「C男がいるならともかく、初泊まり込みでしょ。
それなのに、男女二人っきりはダメ。許可できません」
新人女「大丈夫です。男さんのこと信用してますから」
男「安易な信用よくない」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「そうですか?」
男「そうですっ」
新人女「――そんなこと無いと思うんですけど」
男「信用しちゃダメですっ」
男「……」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「今晩はあの……お付き合いしますから」かぁっ
男「えっと……うん。いや、いや、ダメっ」
新人女「なんでですか?」じぃっ
男「C男がいるならともかく、初泊まり込みでしょ。
それなのに、男女二人っきりはダメ。許可できません」
新人女「大丈夫です。男さんのこと信用してますから」
男「安易な信用よくない」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
新人女「そうですか?」
男「そうですっ」
新人女「――そんなこと無いと思うんですけど」
男「信用しちゃダメですっ」
791: 2009/04/26(日) 12:02:59.37 ID:vuHK/qMo
新人女 びくっ
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「――世の中にはね。『僕を信用して』とか誘って
『正社員にするから、いいよね?』とか、
そんな甘いことを云って女の人を
食べちゃう人もいる訳ですよ」
新人女「はい……」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「だから、そう言う隙はダメ」
新人女「でも、男さんは違いますよね?」
男「マネージャーですから違いません。
野良の基本は自助努力と自己防衛です」
新人女「……わたしも入門野良ですもんね」
男「そうそう」
新人女「でも、野良は自分の王様ですから」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「――世の中にはね。『僕を信用して』とか誘って
『正社員にするから、いいよね?』とか、
そんな甘いことを云って女の人を
食べちゃう人もいる訳ですよ」
新人女「はい……」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「だから、そう言う隙はダメ」
新人女「でも、男さんは違いますよね?」
男「マネージャーですから違いません。
野良の基本は自助努力と自己防衛です」
新人女「……わたしも入門野良ですもんね」
男「そうそう」
新人女「でも、野良は自分の王様ですから」
792: 2009/04/26(日) 12:04:31.69 ID:vuHK/qMo
男「うん」
新人女「入門王様として、今晩は男さんと一緒にいます」
男「ぐっ」
新人女「王様だから自分で決めて良いですよね?」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「新人女さんさ」
新人女「はい?」
男「ほんとはめちゃくちゃ口が上手いよね?」
新人女「そんなことありません。ゆとりですから」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「嘘だぁ~」
新人女「でも、男の人にわがままを言うのは
慣れてるのかもしれません」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「はぁ……。そういえば、リア充だったんだ。この娘」
新人女「入門王様として、今晩は男さんと一緒にいます」
男「ぐっ」
新人女「王様だから自分で決めて良いですよね?」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「新人女さんさ」
新人女「はい?」
男「ほんとはめちゃくちゃ口が上手いよね?」
新人女「そんなことありません。ゆとりですから」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「嘘だぁ~」
新人女「でも、男の人にわがままを言うのは
慣れてるのかもしれません」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「はぁ……。そういえば、リア充だったんだ。この娘」
793: 2009/04/26(日) 12:06:09.27 ID:vuHK/qMo
新人女「コツがあるんです」
男「どんな?」
新人女「三回に一回は、相手が
嬉しくなっちゃうようなことを云うんです」にこっ
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「……」
新人女「……」にこにこ
男「……はぁぁ。だ、ダメだ。この娘。
タイプが違うけど、先輩並にたちが悪い。今気がついた」
新人女「一緒にいていいですよね?」
男「……」
新人女「仕事がんばりますからっ」
男「了解」
新人女「がんばりますっ」ぱぁっ
男「どんな?」
新人女「三回に一回は、相手が
嬉しくなっちゃうようなことを云うんです」にこっ
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「……」
新人女「……」にこにこ
男「……はぁぁ。だ、ダメだ。この娘。
タイプが違うけど、先輩並にたちが悪い。今気がついた」
新人女「一緒にいていいですよね?」
男「……」
新人女「仕事がんばりますからっ」
男「了解」
新人女「がんばりますっ」ぱぁっ
799: 2009/04/26(日) 12:16:57.01 ID:vuHK/qMo
――回想:秋
男「生きてますー?」
女「うち生きてるよ。半分くらい」
男「さすが先輩。おれ3割くらいですよ」
女「やっほー。うち2割勝った」くてっ
男「……」
女「……ふぅ」
男「終わらないっすね」
女「終わらないね。むしろ増えてるね」
男「子だくさんですね」
女「仕事ってなー。ほら、台所の食器みたいに増えるんね」
男「それは皿洗いしてないせいじゃないですか?」
女「なぜその秘密を? さては男……能力者だな!?」
男「全然判りません」
女「うはは……はは。けふんっ」
男「先輩、帰ってくださいよ」
男「生きてますー?」
女「うち生きてるよ。半分くらい」
男「さすが先輩。おれ3割くらいですよ」
女「やっほー。うち2割勝った」くてっ
男「……」
女「……ふぅ」
男「終わらないっすね」
女「終わらないね。むしろ増えてるね」
男「子だくさんですね」
女「仕事ってなー。ほら、台所の食器みたいに増えるんね」
男「それは皿洗いしてないせいじゃないですか?」
女「なぜその秘密を? さては男……能力者だな!?」
男「全然判りません」
女「うはは……はは。けふんっ」
男「先輩、帰ってくださいよ」
803: 2009/04/26(日) 12:20:09.69 ID:vuHK/qMo
女「ヤダヤダヤダヤダ。やだもん」
男「そんなに会社が好きですか」
女「Fuck off!! これは男に対するただの反抗期やん」びしっ
男「こんなに躊躇いなく中指立てる女見たことない」
女「えへんっ!」
男「褒めてませんよ?」
女「うちパリカリやしね」
男「なんですかそれ」
女「覚悟完了ってことよ。Pallhkari(パリカリ)。
しらない?」
男「知りませんよ。何語です? それ」
女「ギリシャ語。
まぁ、戦士のことやね。……勇ましくて諦めなくて、
不屈で……。なにより氏地にあって笑いを忘れないんよ。
つまり、あれや。大阪人のことやねっ」
男「そうなのっ!?」
女「そうなんやって。まじで! ギリシャは大阪の領地やし」
男「あなどれねー」
男「そんなに会社が好きですか」
女「Fuck off!! これは男に対するただの反抗期やん」びしっ
男「こんなに躊躇いなく中指立てる女見たことない」
女「えへんっ!」
男「褒めてませんよ?」
女「うちパリカリやしね」
男「なんですかそれ」
女「覚悟完了ってことよ。Pallhkari(パリカリ)。
しらない?」
男「知りませんよ。何語です? それ」
女「ギリシャ語。
まぁ、戦士のことやね。……勇ましくて諦めなくて、
不屈で……。なにより氏地にあって笑いを忘れないんよ。
つまり、あれや。大阪人のことやねっ」
男「そうなのっ!?」
女「そうなんやって。まじで! ギリシャは大阪の領地やし」
男「あなどれねー」
804: 2009/04/26(日) 12:23:23.75 ID:vuHK/qMo
女「やー。ほら、デスマじゃない?」
男「ですね」
女「毎日がクライマックスじゃない?」
男「俺はエンディングロールが見たいです」
女「そういうピンチの中でも、笑いを忘れない人間で
いたいわけよ。うちはっ。
そして毎日のように男にセクハラ発言をしたい」きりっ
男「ありがた迷惑な主義ですね」
女「嬉しいよね」にこっ
男「えー」
女「嬉しいと、云っえっ」
男「痛っ。嬉し、嬉しいです。すいませんっ。
ってでも、それって戦士と云うよりは、勇士じゃない?
諦めない、挫けない、退かないって。
いや、むしろ勇者かなぁ?
RPGでいえばハーレムポジションじゃないですか、女先輩」
女「んー。勇者かなぁ。
うち、勇者って云うほどじゃまだないんだよね。
いいとこ、戦士じゃない?」
男「ウォリアーですか」
女「それだっ! それ。強そう! なんか男に勝ちそう!!」
男「負けてくれたことねーじゃないですか」
男「ですね」
女「毎日がクライマックスじゃない?」
男「俺はエンディングロールが見たいです」
女「そういうピンチの中でも、笑いを忘れない人間で
いたいわけよ。うちはっ。
そして毎日のように男にセクハラ発言をしたい」きりっ
男「ありがた迷惑な主義ですね」
女「嬉しいよね」にこっ
男「えー」
女「嬉しいと、云っえっ」
男「痛っ。嬉し、嬉しいです。すいませんっ。
ってでも、それって戦士と云うよりは、勇士じゃない?
諦めない、挫けない、退かないって。
いや、むしろ勇者かなぁ?
RPGでいえばハーレムポジションじゃないですか、女先輩」
女「んー。勇者かなぁ。
うち、勇者って云うほどじゃまだないんだよね。
いいとこ、戦士じゃない?」
男「ウォリアーですか」
女「それだっ! それ。強そう! なんか男に勝ちそう!!」
男「負けてくれたことねーじゃないですか」
805: 2009/04/26(日) 12:24:49.32 ID:vuHK/qMo
女「年期が違うよ」にこっ
男「たかが半年差で」
女「良いね。それ、いただき。うち、ウォリアー!」
男「ウォリアーなんだ」
女「うん。これでいけたね。唐揚げ力がわいてきた」
男「また、およそ女性らしさとは無縁な」
女「うちウォリアーやしっ!」
男「そうですか、って」
女「で、男はどうすんの? 何になるのよ」
男「……」
女「ん? ほらほら。お姉さんのうちに教えてごらん?」
男「年上ぶらないんで欲しいんすけど」
女「うりうり」つんつん
男「……」ぷいっ
女「なにさ。ケチ」
男「俺はそういう根性無いからなぁ」
女「そんなことはないよ」
男「たかが半年差で」
女「良いね。それ、いただき。うち、ウォリアー!」
男「ウォリアーなんだ」
女「うん。これでいけたね。唐揚げ力がわいてきた」
男「また、およそ女性らしさとは無縁な」
女「うちウォリアーやしっ!」
男「そうですか、って」
女「で、男はどうすんの? 何になるのよ」
男「……」
女「ん? ほらほら。お姉さんのうちに教えてごらん?」
男「年上ぶらないんで欲しいんすけど」
女「うりうり」つんつん
男「……」ぷいっ
女「なにさ。ケチ」
男「俺はそういう根性無いからなぁ」
女「そんなことはないよ」
806: 2009/04/26(日) 12:28:27.65 ID:vuHK/qMo
女「みんな辞めちゃって二人っきりになったけど、
うちと男は残ってる。根性がないなんて
誰にも云わさないよ。キチOイM野にも」
男「……」
女「うち、ゆずらんし」
男「……」
女「舌噛んで氏ぬし」
男「痛いですよ」
女「牛タンくらい食ったことある。うちがびびるかぁ!」
男「いや、話ずれてるし」
女「男は、うちより視界が広いもん。おまけに遠くまで
見えてると思うよ。うちら組めば最強! どんとこい!」
男「……」
女「だいじょぶだいじょぶ。男の能力は知ってる。
うちなんてかなわないよ!」
男「女先輩……」
女「『ウォーリーを探せ』ではねっ!」
男「仕事と関係ないじゃんっ」
うちと男は残ってる。根性がないなんて
誰にも云わさないよ。キチOイM野にも」
男「……」
女「うち、ゆずらんし」
男「……」
女「舌噛んで氏ぬし」
男「痛いですよ」
女「牛タンくらい食ったことある。うちがびびるかぁ!」
男「いや、話ずれてるし」
女「男は、うちより視界が広いもん。おまけに遠くまで
見えてると思うよ。うちら組めば最強! どんとこい!」
男「……」
女「だいじょぶだいじょぶ。男の能力は知ってる。
うちなんてかなわないよ!」
男「女先輩……」
女「『ウォーリーを探せ』ではねっ!」
男「仕事と関係ないじゃんっ」
807: 2009/04/26(日) 12:29:52.57 ID:vuHK/qMo
女「ほいじゃま」
男「それじゃま」
ドサッ
ドサササッ!!
女「行ってみますか、デスマーチ」
男「開けてみますか、ヘルゲート」
女「連結準備はいい?」
男「6台2セット完了」
女「次に帰るのは?」
男「限界考えて戦うほど歳取っちゃいません」
女「む。うちを年増扱いする気だな?」
男「セクハラやめてくれたら控えます」
女「今日は男の携帯に口リ画像送ろうと思ってたのに」
男「いや、まじでごめんなさい。
それより、ほら。セットアップできましたよ。
マクロ片っ端から当ててっちまいますからね」
女「偉いぞっ」くしゃ
男「先輩こそ、寝ないでくださいよっ」
男「それじゃま」
ドサッ
ドサササッ!!
女「行ってみますか、デスマーチ」
男「開けてみますか、ヘルゲート」
女「連結準備はいい?」
男「6台2セット完了」
女「次に帰るのは?」
男「限界考えて戦うほど歳取っちゃいません」
女「む。うちを年増扱いする気だな?」
男「セクハラやめてくれたら控えます」
女「今日は男の携帯に口リ画像送ろうと思ってたのに」
男「いや、まじでごめんなさい。
それより、ほら。セットアップできましたよ。
マクロ片っ端から当ててっちまいますからね」
女「偉いぞっ」くしゃ
男「先輩こそ、寝ないでくださいよっ」
808: 2009/04/26(日) 12:31:11.72 ID:vuHK/qMo
――6/8、土曜日 13:00 千葉、アパートの一室
女「……えら……い……ん」
女「……んぅ」
女「……」くてん
女「……んぅ」むくっ
女「……ゆめ?」こしこし
女「おとこどこ?」きょろきょろ
女「……」ぼー
女「いない……」
女「……おきた」
女「起きましたよぅ。……ん。うぅーん、んっ」
女「……んっ」
女「腕、軽くなったね。もう、ちょっとだ」
女「……えら……い……ん」
女「……んぅ」
女「……」くてん
女「……んぅ」むくっ
女「……ゆめ?」こしこし
女「おとこどこ?」きょろきょろ
女「……」ぼー
女「いない……」
女「……おきた」
女「起きましたよぅ。……ん。うぅーん、んっ」
女「……んっ」
女「腕、軽くなったね。もう、ちょっとだ」
815: 2009/04/26(日) 13:03:30.27 ID:vuHK/qMo
――6/8、土曜日 15:00 神楽坂作業室
がちゃり
M野「ああ、酷い雨だな。……だいなしだ」
男「ああ、M野さん。こんにちは」
新人女 びくっ「……こんにちは」
M野「よう」
男「どうされましたか? 突然に」にこにこ
M野「いや、こっちも休日勤務だよ。誰かのおかげで一日
つぶれたもんだからね」
男「ははぁ、災難でしたね。お疲れ様です」
M野「いずれ統括になる神楽坂の様子でも見ておこうかとね」
男「はぁ」
M野「どう、新人女ちゃん。慣れた?
こき使われたりしてない? 何かあったら俺に云うんだよ?
マネジが横暴だったら俺がすぐ飛ばしてやるからね」
新人女「……は、はい」
M野「可愛いなぁ。来週にでも俺が統括になるからね。
そうしたら、発足コンパをやろうね。
もちろん奢るからさ」なでなで
新人女「……」びくっ
がちゃり
M野「ああ、酷い雨だな。……だいなしだ」
男「ああ、M野さん。こんにちは」
新人女 びくっ「……こんにちは」
M野「よう」
男「どうされましたか? 突然に」にこにこ
M野「いや、こっちも休日勤務だよ。誰かのおかげで一日
つぶれたもんだからね」
男「ははぁ、災難でしたね。お疲れ様です」
M野「いずれ統括になる神楽坂の様子でも見ておこうかとね」
男「はぁ」
M野「どう、新人女ちゃん。慣れた?
こき使われたりしてない? 何かあったら俺に云うんだよ?
マネジが横暴だったら俺がすぐ飛ばしてやるからね」
新人女「……は、はい」
M野「可愛いなぁ。来週にでも俺が統括になるからね。
そうしたら、発足コンパをやろうね。
もちろん奢るからさ」なでなで
新人女「……」びくっ
820: 2009/04/26(日) 13:08:40.17 ID:vuHK/qMo
男「今日はどの案件ですか?」
M野「ん。あ? ああ。巣鴨だよ」
男「巣鴨――?」
M野「うん。月曜の朝一までだろ」
男「はい?」
M野「二次納品だよ」
男「……あ、新人女さん。お茶をお出しして。
M野さん、外は雨すごかったでしょう?
いま、暖かいのを入れさせますから」
M野「おう、気が利くな」
男「あははは。いえ」
M野「新人女ちゃんの入れてくれたお茶か、
美味しいの頼むぜ」
男「会議室の方が暖かいですよ」
M野「じゃいくか」
男「はい」
M野「ん。あ? ああ。巣鴨だよ」
男「巣鴨――?」
M野「うん。月曜の朝一までだろ」
男「はい?」
M野「二次納品だよ」
男「……あ、新人女さん。お茶をお出しして。
M野さん、外は雨すごかったでしょう?
いま、暖かいのを入れさせますから」
M野「おう、気が利くな」
男「あははは。いえ」
M野「新人女ちゃんの入れてくれたお茶か、
美味しいの頼むぜ」
男「会議室の方が暖かいですよ」
M野「じゃいくか」
男「はい」
822: 2009/04/26(日) 13:09:41.67 ID:vuHK/qMo
――6/8、土曜日 15:05 神楽坂作業室/会議室
M野「で、出来てるのか?」
男「巣鴨ですよね。納品は先月に一回したと思いますが」
M野「二次納品の話だよ。修正分を含めての」
男「それは月末では?」
M野「月曜の朝一だよ」
男「突然ですね。つらいなー」
M野「お前のところの騒がしい女がいただろう?」
男「女先輩ですか?」
M野「あの女に火曜日に云った」
男「火曜日、先輩はお休みでした」
M野「じゃぁ、月曜日だ」
男「先輩は今週はお休みしてたんですよ」
M野「じゃぁ、先週云ったはずだ」
男「……」
M野「連絡不行き届きか? 神楽坂マネージャー」
男「判りました。申し訳ありません」にこっ
M野「で、出来てるのか?」
男「巣鴨ですよね。納品は先月に一回したと思いますが」
M野「二次納品の話だよ。修正分を含めての」
男「それは月末では?」
M野「月曜の朝一だよ」
男「突然ですね。つらいなー」
M野「お前のところの騒がしい女がいただろう?」
男「女先輩ですか?」
M野「あの女に火曜日に云った」
男「火曜日、先輩はお休みでした」
M野「じゃぁ、月曜日だ」
男「先輩は今週はお休みしてたんですよ」
M野「じゃぁ、先週云ったはずだ」
男「……」
M野「連絡不行き届きか? 神楽坂マネージャー」
男「判りました。申し訳ありません」にこっ
825: 2009/04/26(日) 13:12:59.53 ID:vuHK/qMo
M野「あの女、むかつくよな。切れよ」
男「いえ、彼女の戦力は高いんですよ」
M野「あのな。俺は来週から統括をすることになってるんだ。
課長クラスだよ。お前は俺の直下に入る」
男「伺っています」
かちっ。しゅぼっ
M野「すぐ飛ばせっから」
男「はい」
M野「いや。お前は誤解してると思ってな」ぷはぁ
男「……」
M野「俺はお前のこと買ってるんだぜ?
お前処理能力高いし、クライアント受けも悪くないしな。
俺が統括になった後も使ってやろうとは思ってる。
正社員になれば、もっと待遇も良くなるだろう?
こないだ常務からも話が行ったよなぁ。
あれ、俺だから」
男「ありがとうございます」にこっ
男「いえ、彼女の戦力は高いんですよ」
M野「あのな。俺は来週から統括をすることになってるんだ。
課長クラスだよ。お前は俺の直下に入る」
男「伺っています」
かちっ。しゅぼっ
M野「すぐ飛ばせっから」
男「はい」
M野「いや。お前は誤解してると思ってな」ぷはぁ
男「……」
M野「俺はお前のこと買ってるんだぜ?
お前処理能力高いし、クライアント受けも悪くないしな。
俺が統括になった後も使ってやろうとは思ってる。
正社員になれば、もっと待遇も良くなるだろう?
こないだ常務からも話が行ったよなぁ。
あれ、俺だから」
男「ありがとうございます」にこっ
827: 2009/04/26(日) 13:16:17.58 ID:vuHK/qMo
M野「だから変な考え起こすなよ。
多少、クライアント受けしたってお前は派遣なんだから。
仕切りが出来るからって、お前は態度がでかいんだよ。
営業が仕事取って来なきゃ、結局お前らの
給料だって払えないんだからな。
開発だの管理だのってのは、営業の云うこと聞いてれば
それでいいんだよ」
男「はい、理解しています」
M野「で、だ。巣鴨の件は判ったか?」
男「月曜の朝一ですね? 正確な時間をいいですか?」
M野「先方に11時に到着だ」
男「11時ということは、余裕を持って10時くらいに
本社にお届けでいいですかね?」
M野「ああ、お前が持ってきてくれ」
男「もちろんです」
M野「なんだか、巣鴨のクライアントな。お前のこと
妙に褒めててな。なんだ? ケアしといたのか」
男「はぁ、DBの設計段階の話などで何回か
ご質問させていただきました」
M野「お前も来い」
多少、クライアント受けしたってお前は派遣なんだから。
仕切りが出来るからって、お前は態度がでかいんだよ。
営業が仕事取って来なきゃ、結局お前らの
給料だって払えないんだからな。
開発だの管理だのってのは、営業の云うこと聞いてれば
それでいいんだよ」
男「はい、理解しています」
M野「で、だ。巣鴨の件は判ったか?」
男「月曜の朝一ですね? 正確な時間をいいですか?」
M野「先方に11時に到着だ」
男「11時ということは、余裕を持って10時くらいに
本社にお届けでいいですかね?」
M野「ああ、お前が持ってきてくれ」
男「もちろんです」
M野「なんだか、巣鴨のクライアントな。お前のこと
妙に褒めててな。なんだ? ケアしといたのか」
男「はぁ、DBの設計段階の話などで何回か
ご質問させていただきました」
M野「お前も来い」
834: 2009/04/26(日) 13:19:07.71 ID:vuHK/qMo
M野「一緒に来い。営業の現場ってもんを見せてやるよ」
男「了解しました」
M野「ああ、そうだ。あの女、あれは月曜日から来るのか?」
男「その予定です」
M野「ちょうどいい、あいつも連れてこい」
男「女先輩ですか?」
M野「ああ。あいつは昔から気にくわない。
俺がせっかく誘ってやったのに……。ふん。
それはいいや。どうでもいい(ぎりっ)。
クライアントの前で絞ってやれば逃げ出すだろ
――判ってるんだろうな? お前がやるんだぞ」
男「……M野さん、今後も営業との二足のわらじですか?」
M野「ああん? ああ。そうだな。巣鴨は俺の案件だしな。
譲る訳には。これさえ仕留めれば……。
お前には関係ないな。口を挟むな」
男「はい」
M野「何でも手を出していかないとな。あははっ」
男「はい。M野さんならば、どちらの仕事でも結果が
残せると思います」にこっ
M野「あたりまえだ」
男「了解しました」
M野「ああ、そうだ。あの女、あれは月曜日から来るのか?」
男「その予定です」
M野「ちょうどいい、あいつも連れてこい」
男「女先輩ですか?」
M野「ああ。あいつは昔から気にくわない。
俺がせっかく誘ってやったのに……。ふん。
それはいいや。どうでもいい(ぎりっ)。
クライアントの前で絞ってやれば逃げ出すだろ
――判ってるんだろうな? お前がやるんだぞ」
男「……M野さん、今後も営業との二足のわらじですか?」
M野「ああん? ああ。そうだな。巣鴨は俺の案件だしな。
譲る訳には。これさえ仕留めれば……。
お前には関係ないな。口を挟むな」
男「はい」
M野「何でも手を出していかないとな。あははっ」
男「はい。M野さんならば、どちらの仕事でも結果が
残せると思います」にこっ
M野「あたりまえだ」
847: 2009/04/26(日) 13:30:31.43 ID:vuHK/qM0
――6/8、土曜日 15:45 神楽坂作業室
M野「判ったな。やっておけよ。
やり終わらなかった場合はお前の能力不足だって事で
上には報告させてもらうからな」
男「はい、もちろんです」
M野「新人女ちゃん? これからオイスターバーでもどう?」
新人女「いえ、あの……。今日は雨が酷いので……」
M野「そうかぁ。そうだよねぇ。今日は験が悪いよね。
それじゃ、打ち上げの時にでも遊ぼうっ」
新人女「……あの」
男「では、二人で急いで巣鴨を仕上げますので」
M野「ん? ああ。判った。……新人女ちゃんまたね?」にま
男「お疲れ様でした」ぺこり
M野「あー。おつかれさん」
ぽいっ。ぐちゃっ。がちゃ。かん、かん、かん……。
男「……ふむ」
新人女「……」
M野「判ったな。やっておけよ。
やり終わらなかった場合はお前の能力不足だって事で
上には報告させてもらうからな」
男「はい、もちろんです」
M野「新人女ちゃん? これからオイスターバーでもどう?」
新人女「いえ、あの……。今日は雨が酷いので……」
M野「そうかぁ。そうだよねぇ。今日は験が悪いよね。
それじゃ、打ち上げの時にでも遊ぼうっ」
新人女「……あの」
男「では、二人で急いで巣鴨を仕上げますので」
M野「ん? ああ。判った。……新人女ちゃんまたね?」にま
男「お疲れ様でした」ぺこり
M野「あー。おつかれさん」
ぽいっ。ぐちゃっ。がちゃ。かん、かん、かん……。
男「……ふむ」
新人女「……」
876: 2009/04/26(日) 14:51:30.96 ID:vuHK/qMo
――6/8、土曜日 16:10 神楽坂作業室
男「……」
新人女「……」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「……新人女さん? 15番系統のマクロ換えてくれる?」
新人女「はい」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「……」
新人女「……」
かたん
新人女 びくっ
男「あ。ちょい飲み物入れ直す」
新人女「あ、はい」
新人女:カタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「……」
新人女「……」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「……新人女さん? 15番系統のマクロ換えてくれる?」
新人女「はい」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「……」
新人女「……」
かたん
新人女 びくっ
男「あ。ちょい飲み物入れ直す」
新人女「あ、はい」
新人女:カタカタカタ
新人女:カタカタカタ
877: 2009/04/26(日) 14:52:12.85 ID:vuHK/qMo
――6/8、土曜日 16:20 神楽坂作業室
ことんっ
男「はい」
新人女「ありがとうございます。……あ」
男「いいでしょ?」にこっ
新人女「これは?」
男「ホットチョコ」
新人女「……ん。――。甘くて美味しい……」
男「でしょ?」
新人女「はい」
とさ
男「こくん……、熱っ」
新人女「あははっ」くすっ
男「熱いくらいが美味しいんだよ」
新人女「そうですね」にこっ
ことんっ
男「はい」
新人女「ありがとうございます。……あ」
男「いいでしょ?」にこっ
新人女「これは?」
男「ホットチョコ」
新人女「……ん。――。甘くて美味しい……」
男「でしょ?」
新人女「はい」
とさ
男「こくん……、熱っ」
新人女「あははっ」くすっ
男「熱いくらいが美味しいんだよ」
新人女「そうですね」にこっ
878: 2009/04/26(日) 14:54:08.40 ID:vuHK/qMo
新人女「これ、インスタントなんですか?」
男「いや。違うよ、チョコ溶かすんだよ」
新人女「へぇ」
男「でも、溶かすだけだからインスタントみたいなものかなー」
新人女「すごく美味しいです」
男「貴重品だからね。ヴァローナって会社のチョコを
コッソリ隠し持ってる訳だ。冷蔵庫にね。
内緒だよ? 食べられちゃうから」
新人女「判らないけれど、すごく美味しい……」
男「気分が暗いときは、暖かくて甘いものだよね」
新人女「……」
男「……」こくん、こくん
新人女「……これ」
男「どした?」
新人女「二度目ですよね」
男「そうだっけ?」
男「いや。違うよ、チョコ溶かすんだよ」
新人女「へぇ」
男「でも、溶かすだけだからインスタントみたいなものかなー」
新人女「すごく美味しいです」
男「貴重品だからね。ヴァローナって会社のチョコを
コッソリ隠し持ってる訳だ。冷蔵庫にね。
内緒だよ? 食べられちゃうから」
新人女「判らないけれど、すごく美味しい……」
男「気分が暗いときは、暖かくて甘いものだよね」
新人女「……」
男「……」こくん、こくん
新人女「……これ」
男「どした?」
新人女「二度目ですよね」
男「そうだっけ?」
879: 2009/04/26(日) 14:54:54.44 ID:vuHK/qMo
新人女「あったかい……」
男「雨、強いしね」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「あんまり、気にしないで」
新人女「はい」
男「大事なことの優先順を自分の中でつけるとさ」
新人女「……」
男「すごく腹立たしいことでも、納得できないことでも
それが一番大事って事はまず、無いじゃない」
新人女「……はい」
男「目下は目の前の仕事をこなす。『気持ち』は
バックアップフォルダに格納しておくって事で」
新人女「はいっ」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「雨、強いしね」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「あんまり、気にしないで」
新人女「はい」
男「大事なことの優先順を自分の中でつけるとさ」
新人女「……」
男「すごく腹立たしいことでも、納得できないことでも
それが一番大事って事はまず、無いじゃない」
新人女「……はい」
男「目下は目の前の仕事をこなす。『気持ち』は
バックアップフォルダに格納しておくって事で」
新人女「はいっ」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
881: 2009/04/26(日) 15:00:28.91 ID:vuHK/qMo
――6/8、土曜日 21:15 神楽坂作業室
ピザ宅配「では、3250円、確かに」
男「お疲れ様でした。雨、お気をつけてー」
ピザ宅配「あざーっす!」にこっ
男「よし、食べちゃうよ」
新人女「はーいっ」
新人女:カタカタカタ
男「ごめんね。こんなんで」
新人女「いえいえ。雨ですから!」
男「そだね、強いね」
新人女「すごいですね」
ざざざざああああああ
新人女「あ、お先にどうぞ」
男「いただきます。はい……」
新人女「二人だと、なんか寂しいですねー」
男「そうだね。一日中残業気分だね」
新人女「ですね」くすっ
ピザ宅配「では、3250円、確かに」
男「お疲れ様でした。雨、お気をつけてー」
ピザ宅配「あざーっす!」にこっ
男「よし、食べちゃうよ」
新人女「はーいっ」
新人女:カタカタカタ
男「ごめんね。こんなんで」
新人女「いえいえ。雨ですから!」
男「そだね、強いね」
新人女「すごいですね」
ざざざざああああああ
新人女「あ、お先にどうぞ」
男「いただきます。はい……」
新人女「二人だと、なんか寂しいですねー」
男「そうだね。一日中残業気分だね」
新人女「ですね」くすっ
882: 2009/04/26(日) 15:00:53.88 ID:vuHK/qMo
男「まぁ、食いながらやりますか」
新人女「はい」
ぺらっ
男「そっちは、どう? もぐ」
新人女「細かい仕事のほうは8割前後です。
これは仕事の手順は判ったので苦じゃないです。
一つ一つは15分もかかりません」
男「残りはどんな風になる予定? もぐもぐ」
新人女「時間の問題ですけど、専任でずっとならば
んっと……どれくらいかな」
男「ん」
新人女「それでも数日はかかりそうです」
男「30時間くらい?」
新人女「おそらく、それくらい……かな。
あ、食べます。
食べますって云うか、食べてます。
そんなに入らないですっ」あせあせっ
男「遠慮は良くない」
新人女「はい」
ぺらっ
男「そっちは、どう? もぐ」
新人女「細かい仕事のほうは8割前後です。
これは仕事の手順は判ったので苦じゃないです。
一つ一つは15分もかかりません」
男「残りはどんな風になる予定? もぐもぐ」
新人女「時間の問題ですけど、専任でずっとならば
んっと……どれくらいかな」
男「ん」
新人女「それでも数日はかかりそうです」
男「30時間くらい?」
新人女「おそらく、それくらい……かな。
あ、食べます。
食べますって云うか、食べてます。
そんなに入らないですっ」あせあせっ
男「遠慮は良くない」
883: 2009/04/26(日) 15:01:17.18 ID:vuHK/qMo
新人女「こんな時間のピザなんて火の付いたダイナマイトですよ」
男「女先輩なんて大喜びで食うぞ?」
新人女「女さんは体質的に太らないんです。
……スタイル良いし」
男「そうなのか?」
新人女「ものすごくもてたと思いますよ」
男「女子校だったらしいから」
新人女「余計だと思います」
男「……」
新人女「……もぐもぐ」
男「うわっ!? リアルなイメージがっ!!」
新人女「ね?」にこっ
男「でも、ラブレター出してたのは
全部下級生の女の子だぞ!?」
新人女「はい」にこ
男「この話は胸に秘めよう」
新人女「ですねっ」
男「女先輩なんて大喜びで食うぞ?」
新人女「女さんは体質的に太らないんです。
……スタイル良いし」
男「そうなのか?」
新人女「ものすごくもてたと思いますよ」
男「女子校だったらしいから」
新人女「余計だと思います」
男「……」
新人女「……もぐもぐ」
男「うわっ!? リアルなイメージがっ!!」
新人女「ね?」にこっ
男「でも、ラブレター出してたのは
全部下級生の女の子だぞ!?」
新人女「はい」にこ
男「この話は胸に秘めよう」
新人女「ですねっ」
884: 2009/04/26(日) 15:02:45.22 ID:vuHK/qMo
男「こっちは、不発弾と平行して巣鴨の修正納品」
新人女「巣鴨」
男「うん、先月に納品した大きな会社のね。本拠地は
四国にある有名な通販会社なんだけど。その支部の
データ移行の仕事。その修正分」
新人女「……それ、さっきの?」
男「うん、そう」
新人女「……」
男「見えると悩んじゃうのは判るけれど、
ここは集中力も大事。新人女さんは目の前の
細かい敵を倒しちゃって」
新人女「はい」
男「そしたら遠慮無く援軍に来て欲しいって云うから」
新人女「はいっ」
男「んじゃ、食べますか」
新人女「そうですねっ」
885: 2009/04/26(日) 15:03:44.57 ID:vuHK/qMo
――6/9、日曜日 02:15 神楽坂作業室
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「――」
新人女「……んっと」ぺらっ。ぺらっ
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「――」
新人女「男さん。破損データの問い合わせの書式で、
クライアント用の、ちょっと改まった物って
ありませんか?」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
男「どういうの?」
新人女「会社用って云うか、礼儀正しいような」
男「メール?」
新人女「いえ、FAXの方が良さそうです」
男「じゃ、キャビネットの大きな引き出し左側の
緑色のファイル探してみて」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女「――ん。これだっ」にこっ
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「――」
新人女「……んっと」ぺらっ。ぺらっ
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタカタカタ
男「――」
新人女「男さん。破損データの問い合わせの書式で、
クライアント用の、ちょっと改まった物って
ありませんか?」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
男「どういうの?」
新人女「会社用って云うか、礼儀正しいような」
男「メール?」
新人女「いえ、FAXの方が良さそうです」
男「じゃ、キャビネットの大きな引き出し左側の
緑色のファイル探してみて」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女「――ん。これだっ」にこっ
889: 2009/04/26(日) 15:07:53.34 ID:vuHK/qMo
――6/9、日曜日 03:30 神楽坂作業室
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタ
新人女「……」こくっ
男「――」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:タ
新人女「……んぅ」こくっ
男「新人女さん。新人女さん?」
新人女「あっ。はい」
男「そろそろ仮眠しておいで?」
新人女「いえ、がんばれますっ」
男「3時間で起こしてあげるから」
新人女「……」
男「その方が能率あがるしさ。寝てる間にマクロだけ
走らせておくので」
新人女「……はい、すいませんです」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:カタ
新人女「……」こくっ
男「――」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
新人女:タ
新人女「……んぅ」こくっ
男「新人女さん。新人女さん?」
新人女「あっ。はい」
男「そろそろ仮眠しておいで?」
新人女「いえ、がんばれますっ」
男「3時間で起こしてあげるから」
新人女「……」
男「その方が能率あがるしさ。寝てる間にマクロだけ
走らせておくので」
新人女「……はい、すいませんです」
890: 2009/04/26(日) 15:11:58.80 ID:vuHK/qMo
――6/9、日曜日 07:20 神楽坂作業室
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
男「――」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
男「んな、もん。かな……よっしと」
とてて。
かちゃん
男「新人女さん?」
新人女「……すぅ」
男「これは……。女先輩とは違う種類の破壊力だな。
うっわ、おまえ、これはチーム崩壊するだろ」
新人女「……くぅん。……くぅん」くてん
男「えーと。……色々やりにくいなぁ。
なんで女先輩いないんだよ。役たたないな、あのウォリア」
新人女「んぅ」
男「……目覚ましおいて引き上げよ」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
男「――」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
男「んな、もん。かな……よっしと」
とてて。
かちゃん
男「新人女さん?」
新人女「……すぅ」
男「これは……。女先輩とは違う種類の破壊力だな。
うっわ、おまえ、これはチーム崩壊するだろ」
新人女「……くぅん。……くぅん」くてん
男「えーと。……色々やりにくいなぁ。
なんで女先輩いないんだよ。役たたないな、あのウォリア」
新人女「んぅ」
男「……目覚ましおいて引き上げよ」
892: 2009/04/26(日) 15:21:30.29 ID:vuHK/qMo
――6/9、日曜日 07:40 神楽坂作業室
じりりりり。
男「あー。鳴ってる鳴ってる」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
とて。とてて。がしゃっ!
男「起きた起きた」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
ドテッ。ぐしゃ。ぽきょ。
男「……平気かね」
ぱたたた。
ぱたっ。
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
ざぁぁっ。きゅっ。きゅっ。
新人女「おはようございますっ」
男(そんなラップタイムで身支度できるのか!?)
じりりりり。
男「あー。鳴ってる鳴ってる」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
とて。とてて。がしゃっ!
男「起きた起きた」
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
ドテッ。ぐしゃ。ぽきょ。
男「……平気かね」
ぱたたた。
ぱたっ。
男:カタカタカタカタカタカタカタカタ
ざぁぁっ。きゅっ。きゅっ。
新人女「おはようございますっ」
男(そんなラップタイムで身支度できるのか!?)
893: 2009/04/26(日) 15:34:29.59 ID:vuHK/qMo
――6/9、日曜日 10:50 神楽坂作業室
りるらりら♪ りるらりら♪
新人女「あ、すいません。電話みたい」
男「いえどうぞー」
ぽぴっ
新人女「はい、もしもし
……うん、そうだよ?
会社……うん……うん」
「――ッ!」
新人女「……違うよ。そうじゃなくて、今大変なのっ。
違うってば。……うん……関係ないもん。
それはお母さんの見栄でしょ……ちがっ。
子供扱いしないでっ。
お母さんのバカっ! 判らず屋っ!!」じわっ
「――。――!」
新人女「……遊びじゃないんだから、当たり前だよ。
ううん。いらない……。平気だよ、帰らない。
ちゃんと……。
ちゃんとしてるよ、わたしっ。
……ちが、そうじゃ」
男 ぽむぽむ
新人女「へ? あ……」
男「お電話変わりました。お嬢様の直接の上司を
させていただいております、神楽坂班マネージャーの
男と申します」
りるらりら♪ りるらりら♪
新人女「あ、すいません。電話みたい」
男「いえどうぞー」
ぽぴっ
新人女「はい、もしもし
……うん、そうだよ?
会社……うん……うん」
「――ッ!」
新人女「……違うよ。そうじゃなくて、今大変なのっ。
違うってば。……うん……関係ないもん。
それはお母さんの見栄でしょ……ちがっ。
子供扱いしないでっ。
お母さんのバカっ! 判らず屋っ!!」じわっ
「――。――!」
新人女「……遊びじゃないんだから、当たり前だよ。
ううん。いらない……。平気だよ、帰らない。
ちゃんと……。
ちゃんとしてるよ、わたしっ。
……ちが、そうじゃ」
男 ぽむぽむ
新人女「へ? あ……」
男「お電話変わりました。お嬢様の直接の上司を
させていただいております、神楽坂班マネージャーの
男と申します」
895: 2009/04/26(日) 15:45:34.66 ID:vuHK/qMo
新人母「あなたですね、うちの娘を会社に閉じ込めて」
男「新人女さんにはお世話になっています」
新人母「娘をすぐにでも帰してくれませんか?
非常識でしょっ。休日にもかかわらず呼び出すとかっ」
新人女「お母さん、お母さん、やめてよっ」ぎゅっ
男「ごもっともです」
新人女「やめて、やめてってば」ぐすっ
新人母「あの子は19なんですよ? 嫁入り前の娘を
外泊させて、あなたたちはちょっとおかしいわ。
これだから派遣なんて賛成できないの。
あなたみたいな人間に食い物にされるのよね。
恥を知ってくださりませんかっ」
新人女「違っ。恥ずかしいよっ。私が恥ずかしいよ
お母さんのバカっ!!」ずっ。ぐすっ。
男「おっしゃるとおりです」
男「新人女さんにはお世話になっています」
新人母「娘をすぐにでも帰してくれませんか?
非常識でしょっ。休日にもかかわらず呼び出すとかっ」
新人女「お母さん、お母さん、やめてよっ」ぎゅっ
男「ごもっともです」
新人女「やめて、やめてってば」ぐすっ
新人母「あの子は19なんですよ? 嫁入り前の娘を
外泊させて、あなたたちはちょっとおかしいわ。
これだから派遣なんて賛成できないの。
あなたみたいな人間に食い物にされるのよね。
恥を知ってくださりませんかっ」
新人女「違っ。恥ずかしいよっ。私が恥ずかしいよ
お母さんのバカっ!!」ずっ。ぐすっ。
男「おっしゃるとおりです」
896: 2009/04/26(日) 15:49:16.28 ID:vuHK/qMo
新人母「では帰してくださいね。これ以上非常識を
続けるようなら派遣会社か、いっそ労務局に
通報させていただきますからねっ」
男「はい、すぐ帰宅させますので」
新人女「やです。私いやですっ。男さんっ」
新人母「ふんっ。娘が派遣だなんて只でさえ
世間体が悪いのに……。
そんなおかしな職場だなんてまっぴらですよ。
うちの娘に非常識を吹き込まないでください」
新人女「違っ……おかあさんが……」ぐすっぐすっ
男「一点だけよろしいでしょうか?
お嬢さんは入ってまだ日は浅いですが、
業務の覚えも早くて責任感のある立派な仕事をしています。
チームのメンバーからも信頼されていますよ。
いつもお世話になっています。ありがとうございます」
新人母「――っ」
男「本日は直ちに帰宅させまして、明日を振り替え休日と
させていただきます。よろしいでしょうか?」
新人母「――っ! 結構よ。もう話していたくもないわ」
がちゃ。つーつーつー。
続けるようなら派遣会社か、いっそ労務局に
通報させていただきますからねっ」
男「はい、すぐ帰宅させますので」
新人女「やです。私いやですっ。男さんっ」
新人母「ふんっ。娘が派遣だなんて只でさえ
世間体が悪いのに……。
そんなおかしな職場だなんてまっぴらですよ。
うちの娘に非常識を吹き込まないでください」
新人女「違っ……おかあさんが……」ぐすっぐすっ
男「一点だけよろしいでしょうか?
お嬢さんは入ってまだ日は浅いですが、
業務の覚えも早くて責任感のある立派な仕事をしています。
チームのメンバーからも信頼されていますよ。
いつもお世話になっています。ありがとうございます」
新人母「――っ」
男「本日は直ちに帰宅させまして、明日を振り替え休日と
させていただきます。よろしいでしょうか?」
新人母「――っ! 結構よ。もう話していたくもないわ」
がちゃ。つーつーつー。
900: 2009/04/26(日) 15:56:38.34 ID:vuHK/qMo
新人女「……」きゅっ
男「そういうわけで。本日は解散」
新人女「いやです。おかしいのはお母さんです」
男「……」
新人女「お母さんは働いたことがないからっ。
うちだって全然普通の家なのに。いつまでも昔のつもりでっ。
今はデスマーチで大変だって事が判って無くて
だから暇つぶしにあんな嫌がらせをっ」ぽろぽろ
男「おかしくないよ」
新人女「おかしいです」
男「心配してるんだよ。
――嫁入り前の娘を外泊させるな。っていうのは、
まさに常識だよ。もっともだ」
新人女「……」ぐすっ
男「……」
新人女「……」ぐすっ「帰りたく、ありません」
男「それはもうちょっと色っぽいシーンで云わないと」
新人女「私は、これで。もうちょっとで、ぐすっ。
なにかに。ずっ……なにかを、判る気がして」ぽろぽろ
男「そういうわけで。本日は解散」
新人女「いやです。おかしいのはお母さんです」
男「……」
新人女「お母さんは働いたことがないからっ。
うちだって全然普通の家なのに。いつまでも昔のつもりでっ。
今はデスマーチで大変だって事が判って無くて
だから暇つぶしにあんな嫌がらせをっ」ぽろぽろ
男「おかしくないよ」
新人女「おかしいです」
男「心配してるんだよ。
――嫁入り前の娘を外泊させるな。っていうのは、
まさに常識だよ。もっともだ」
新人女「……」ぐすっ
男「……」
新人女「……」ぐすっ「帰りたく、ありません」
男「それはもうちょっと色っぽいシーンで云わないと」
新人女「私は、これで。もうちょっとで、ぐすっ。
なにかに。ずっ……なにかを、判る気がして」ぽろぽろ
902: 2009/04/26(日) 15:58:34.76 ID:vuHK/qMo
男「悔しい?」
新人女「――はい。悔しいですっ」ぐずっ
男「なんで?」
新人女「……ずっ。それわ」
男「それは?」
新人女「私の仕事、取り上げられた……から……」ずっ
男「もうなってるよ」
新人女「……そんな」
男「『私の仕事』って云えるなら。なってると思うよ」
新人女「私は、男さんのっ!!」
(偉いぞっ)
新人女「男さんの隣で、男さんにっ」ぽろっ
新人女「――はい。悔しいですっ」ぐずっ
男「なんで?」
新人女「……ずっ。それわ」
男「それは?」
新人女「私の仕事、取り上げられた……から……」ずっ
男「もうなってるよ」
新人女「……そんな」
男「『私の仕事』って云えるなら。なってると思うよ」
新人女「私は、男さんのっ!!」
(偉いぞっ)
新人女「男さんの隣で、男さんにっ」ぽろっ
905: 2009/04/26(日) 16:03:42.74 ID:vuHK/qMo
男「偉いよ」ぽむっ
新人女「――あ」
(偉いぞっ)
男「新人女さんのこと、ほんとはきちんと理解できて
ないんだと思うけれど……。
がんばったのはよく知っているよ。
――でも今回は、ここまで」
新人女「……っ」
男「意地、張りすぎててはダメだよ。本当に野良を
続けるなら、お母さんくらい言いくるめられないと
口先三丁で騙してこないと」にこっ
新人女「……」ぎゅっ
男「いや、先輩みたいに家出するってのもあるけれど。
マネージャーとしてはお勧めも許可も出来ないなー」
新人女「――そんな」ぐすっ
男 ぽむっ
新人女「男さんは……本当に、女さんのこと
好きなんですねぇ」――にこっ
男「はぁ!?」
新人女「――あ」
(偉いぞっ)
男「新人女さんのこと、ほんとはきちんと理解できて
ないんだと思うけれど……。
がんばったのはよく知っているよ。
――でも今回は、ここまで」
新人女「……っ」
男「意地、張りすぎててはダメだよ。本当に野良を
続けるなら、お母さんくらい言いくるめられないと
口先三丁で騙してこないと」にこっ
新人女「……」ぎゅっ
男「いや、先輩みたいに家出するってのもあるけれど。
マネージャーとしてはお勧めも許可も出来ないなー」
新人女「――そんな」ぐすっ
男 ぽむっ
新人女「男さんは……本当に、女さんのこと
好きなんですねぇ」――にこっ
男「はぁ!?」
910: 2009/04/26(日) 16:10:18.24 ID:vuHK/qMo
新人女「えへへ」くすんっ
男「話の接続が見えないよっ」
新人女「ゆとり特有の会話の断絶ですよ」ぐずっ
男「逆手にしちゃダメでしょ」
新人女「帰ったら、お母さんは
二度と出してくれません……」ぷいっ
男「出してくれるよ」
新人女「分からず屋なんです」ずっ
男「デスマよりも手強い両親なんていないよ」
新人女「……」
男「勝ってくるように。業務命令でもいいよ」
新人女「交渉が難航したら援軍に来てくれますか?」
男「マネジとして、可愛い部下を見捨てる訳にはいかないな」
新人女「あははっ……男さんだって、口が上手いです」
男「むぅ」
新人女「判りました。正々堂々、中央突破で家に帰還しますっ」
男「話の接続が見えないよっ」
新人女「ゆとり特有の会話の断絶ですよ」ぐずっ
男「逆手にしちゃダメでしょ」
新人女「帰ったら、お母さんは
二度と出してくれません……」ぷいっ
男「出してくれるよ」
新人女「分からず屋なんです」ずっ
男「デスマよりも手強い両親なんていないよ」
新人女「……」
男「勝ってくるように。業務命令でもいいよ」
新人女「交渉が難航したら援軍に来てくれますか?」
男「マネジとして、可愛い部下を見捨てる訳にはいかないな」
新人女「あははっ……男さんだって、口が上手いです」
男「むぅ」
新人女「判りました。正々堂々、中央突破で家に帰還しますっ」
913: 2009/04/26(日) 16:13:22.16 ID:vuHK/qMo
――6/9、日曜日 11:10 神楽坂、路上
(よろしく)
新人女(……)
(新人が仕事が遅いのは当然です)
新人女(……っ)
(少し視界広がったみたいだね)
新人女(……嬉しかったんだ)
(野良の生き方はどこでも通用するから)
新人女(……女の子じゃなくて。つれて歩ける
自慢げなトロフィーじゃなくて)
(なれるよ)
新人女(一人前じゃなかったけどっ。いまでも
足を引っ張ってばかりだけどっ)
(ちゃんとなれるよ)
新人女(いつか一人前になるって
信じてもらえて、嬉しかったんだ……)
(よろしく)
新人女(……)
(新人が仕事が遅いのは当然です)
新人女(……っ)
(少し視界広がったみたいだね)
新人女(……嬉しかったんだ)
(野良の生き方はどこでも通用するから)
新人女(……女の子じゃなくて。つれて歩ける
自慢げなトロフィーじゃなくて)
(なれるよ)
新人女(一人前じゃなかったけどっ。いまでも
足を引っ張ってばかりだけどっ)
(ちゃんとなれるよ)
新人女(いつか一人前になるって
信じてもらえて、嬉しかったんだ……)
916: 2009/04/26(日) 16:20:01.87 ID:vuHK/qMo
(悪いけど、手加減できなくなった)
新人女(一緒に過ごせて嬉しかった)
(それに気がつくほど、上達したんだ)
新人女(好きだったんだ……)
(小さくて可愛いよっ。あははっ)
新人女(これが好きって感じなんだ)
(美味しいでしょ?)
新人女(私、とろくて今まで知らなかっただけなんだ)
(内緒ね?)
新人女(あんなに合コンもデートもしてたのに……)
(その顔がいいね)
新人女(ははっ。ゆとりはこれだからっ。まいっちゃうなぁ)
ぽろぽろ ぽろぽろ
新人女(遅かったなぁ。ずっと……。悔しいなぁ……)
新人女(一緒に過ごせて嬉しかった)
(それに気がつくほど、上達したんだ)
新人女(好きだったんだ……)
(小さくて可愛いよっ。あははっ)
新人女(これが好きって感じなんだ)
(美味しいでしょ?)
新人女(私、とろくて今まで知らなかっただけなんだ)
(内緒ね?)
新人女(あんなに合コンもデートもしてたのに……)
(その顔がいいね)
新人女(ははっ。ゆとりはこれだからっ。まいっちゃうなぁ)
ぽろぽろ ぽろぽろ
新人女(遅かったなぁ。ずっと……。悔しいなぁ……)
921: 2009/04/26(日) 16:51:27.72 ID:vuHK/qMo
――6/9、日曜日 12:00 神楽坂作業室
男「さぁって。時は正午。残る時間は20時間」
男「兵力確認~。
神楽坂方面抽出遊撃部隊!
将軍、俺!
大佐、俺!
少佐、俺!
兵長、俺!
機械化歩兵、俺! なお、補給の予定は無し!」
ぽきっ、ぽきっ。
男「敵軍の数、計測不能で退路無し!
ドラゴンボールだったらオラわくわくしすぎちゃって
心停止とかそういう状況。いや、精神と時の部屋があれば
デスマーチってこの世から無くなるのか?
ああ、そう考えると、アレって奴隷制復活のための
発明品だなぁ」
男「……」
男「ま、いいや。相手にとって不足無し。
むしろこっちに不足有り。久方ぶりの8連結。
いっちょ、デスマといきますかっ」
男:カッ――カタカタカカカカカ、カカカカカカカカカカ
男「さぁって。時は正午。残る時間は20時間」
男「兵力確認~。
神楽坂方面抽出遊撃部隊!
将軍、俺!
大佐、俺!
少佐、俺!
兵長、俺!
機械化歩兵、俺! なお、補給の予定は無し!」
ぽきっ、ぽきっ。
男「敵軍の数、計測不能で退路無し!
ドラゴンボールだったらオラわくわくしすぎちゃって
心停止とかそういう状況。いや、精神と時の部屋があれば
デスマーチってこの世から無くなるのか?
ああ、そう考えると、アレって奴隷制復活のための
発明品だなぁ」
男「……」
男「ま、いいや。相手にとって不足無し。
むしろこっちに不足有り。久方ぶりの8連結。
いっちょ、デスマといきますかっ」
男:カッ――カタカタカカカカカ、カカカカカカカカカカ
926: 2009/04/26(日) 17:00:58.04 ID:vuHK/qMo
>>923
ああ、どっかでこれだけは書いておこうと思ってたけれど
営業ってのはすごく大変な仕事だよね。
見ず知らずの人にでも親しく話しかけて心を解きほぐして
仕事を取り付けなきゃならない。
M野がいってた「営業が仕事を取らないと会社が飢える」ってのは
これはこれで、一面以上の真実。
このSSでは展開の都合上、営業が悪者っぽく書かれてるけれど
そんなことは、実際にはないです。営業ほど取引先と
社内に引き裂かれて恨まれる役職もないです。ノルマもきついし。
M野は取引先に過剰に有利な条件で仕事の契約を取っている
(結果として開発と管理が同業他社に比べて劣悪な日程で
仕事をする羽目になってる)。
でも、その手法で契約を沢山取れるからこそ、M野は営業で
好成績をあげて社内で一定の評価を得ている訳だけど……。
ああ、どっかでこれだけは書いておこうと思ってたけれど
営業ってのはすごく大変な仕事だよね。
見ず知らずの人にでも親しく話しかけて心を解きほぐして
仕事を取り付けなきゃならない。
M野がいってた「営業が仕事を取らないと会社が飢える」ってのは
これはこれで、一面以上の真実。
このSSでは展開の都合上、営業が悪者っぽく書かれてるけれど
そんなことは、実際にはないです。営業ほど取引先と
社内に引き裂かれて恨まれる役職もないです。ノルマもきついし。
M野は取引先に過剰に有利な条件で仕事の契約を取っている
(結果として開発と管理が同業他社に比べて劣悪な日程で
仕事をする羽目になってる)。
でも、その手法で契約を沢山取れるからこそ、M野は営業で
好成績をあげて社内で一定の評価を得ている訳だけど……。
928: 2009/04/26(日) 17:02:27.88 ID:vuHK/qMo
――6/9、日曜日 15:00 神楽坂作業室
男(――おし)
男:カタカタカカカカカ、カカカカカカカカカカ
男「あがり。次……」
男:カタカカカカカカカカカカカカ
男「――」
男:カタカタカカカカカカカガカカガガカカカ
男「――」
かちゃ
男「もしもし? ああ、助かりました!
開発の方で見て欲しい資料あるんですけど。
えっと共有のPDFフォルダの中なんですけど」
男:カタカカカカカカカカカカカカ
男「……はい、はい。お願いします。
恩に着ます。あははは。ええ、はい。
決戦ですか?
――今です」
男(――おし)
男:カタカタカカカカカ、カカカカカカカカカカ
男「あがり。次……」
男:カタカカカカカカカカカカカカ
男「――」
男:カタカタカカカカカカカガカカガガカカカ
男「――」
かちゃ
男「もしもし? ああ、助かりました!
開発の方で見て欲しい資料あるんですけど。
えっと共有のPDFフォルダの中なんですけど」
男:カタカカカカカカカカカカカカ
男「……はい、はい。お願いします。
恩に着ます。あははは。ええ、はい。
決戦ですか?
――今です」
930: 2009/04/26(日) 17:05:30.96 ID:vuHK/qMo
――6/9、日曜日 18:00 神楽坂作業室
男:カタカカカカカカカカカカカカ
男(……指が痙攣してるわ。うざいな。
取っ替えられねぇかなこれ)
男:カタカカカカカカカカカ
ガッ!!
男:カタカタカカカカカカカガカカガガカカカ
男「よし、なおった」
男:カタカタカカカカカ、カカカカカカカカカカ
男「――」
男:カタカタカカカカカカカガカカガガカカカ
男「あはっ。おしきた……。こいつも、あ・が・りっっと」
男:カタカカカカカカカカカカカカ
男(……指が痙攣してるわ。うざいな。
取っ替えられねぇかなこれ)
男:カタカカカカカカカカカ
ガッ!!
男:カタカタカカカカカカカガカカガガカカカ
男「よし、なおった」
男:カタカタカカカカカ、カカカカカカカカカカ
男「――」
男:カタカタカカカカカカカガカカガガカカカ
男「あはっ。おしきた……。こいつも、あ・が・りっっと」
933: 2009/04/26(日) 17:08:15.46 ID:vuHK/qMo
――6/9、日曜日 18:00 神楽坂作業室
男(トイレ行くのがロスだな)
男:カタカタカカカカカカカガカカガガカカカ
男(――水分取らなきゃいいのか)
男:カタカタカカカカカ、カカカカカカカカカカ
男「そいつは道理だ」
男:カタカタカ
くるっ
男(……次のマシン)
男:カタカカカカカカカ
男:カタカタカカカカカカカガカカガガカカカ
男(トイレ行くのがロスだな)
男:カタカタカカカカカカカガカカガガカカカ
男(――水分取らなきゃいいのか)
男:カタカタカカカカカ、カカカカカカカカカカ
男「そいつは道理だ」
男:カタカタカ
くるっ
男(……次のマシン)
男:カタカカカカカカカ
男:カタカタカカカカカカカガカカガガカカカ
935: 2009/04/26(日) 17:09:17.37 ID:vuHK/qMo
――6/9、日曜日 21:00 神楽坂作業室
男(これで、2割ってとこか? 9時間使って2割か……)
男:カタカタカカカカカカカガカカガガカカカ
男(マクロ仕掛けた分があがってきて、
後半は作業効率がアップする分を含めても……)
男:カタカタカカカカカ、カカカカカカカカカカ
男「今は考えるのも無駄だな」
男:カタカタカカカカカカカカカ
男「――」
男:カカカカカカカガカカガガカカカ
男「ウォリアーの相棒としては、これっくらいはね。
ピンチのうちに入らないって設定で」
男:カカカカカカカガカカガガカカカガガ
男(これで、2割ってとこか? 9時間使って2割か……)
男:カタカタカカカカカカカガカカガガカカカ
男(マクロ仕掛けた分があがってきて、
後半は作業効率がアップする分を含めても……)
男:カタカタカカカカカ、カカカカカカカカカカ
男「今は考えるのも無駄だな」
男:カタカタカカカカカカカカカ
男「――」
男:カカカカカカカガカカガガカカカ
男「ウォリアーの相棒としては、これっくらいはね。
ピンチのうちに入らないって設定で」
男:カカカカカカカガカカガガカカカガガ
938: 2009/04/26(日) 17:12:24.88 ID:vuHK/qMo
――神楽坂作業室/給湯室
こぷこぷこぷ
男「……」
男(握力、落ちて来てるなぁ……)
男(まぁ、いいや。指なんてついてれば用は足りる)
男「……ん」
男(別に泥水飲ませることもないか。
――女先輩の出社は一日ずらそう。
見せなくて良いもんだしな。電話しとくか、んっと……)
ぴ、ぽ。ぴ、ぴ、ぽ。ぴ。ぱ。
とぅるるるるー。かちゃ
男「もしもし」
女「はろー。ヤングなボーイ。うちは季節外れの
サンタクロース。ただしプレゼントは唐揚げのみじゃよ」
男「ローストチキンじゃないんですか?」
女「ノルヴェーにいってみなさい? この素人ボーイ。
そんなものを食べている人間はいないよ?
各ご家庭は工夫を凝らしてニンニクやショウガ味の
唐揚げを作っている」
こぷこぷこぷ
男「……」
男(握力、落ちて来てるなぁ……)
男(まぁ、いいや。指なんてついてれば用は足りる)
男「……ん」
男(別に泥水飲ませることもないか。
――女先輩の出社は一日ずらそう。
見せなくて良いもんだしな。電話しとくか、んっと……)
ぴ、ぽ。ぴ、ぴ、ぽ。ぴ。ぱ。
とぅるるるるー。かちゃ
男「もしもし」
女「はろー。ヤングなボーイ。うちは季節外れの
サンタクロース。ただしプレゼントは唐揚げのみじゃよ」
男「ローストチキンじゃないんですか?」
女「ノルヴェーにいってみなさい? この素人ボーイ。
そんなものを食べている人間はいないよ?
各ご家庭は工夫を凝らしてニンニクやショウガ味の
唐揚げを作っている」
940: 2009/04/26(日) 17:14:00.17 ID:vuHK/qMo
男「まぁ、いいや。先輩。元気出たみたいですね」
女「うん、もちっ。うち無敵やしっ♪」
男「よかった。体調はどうです?」
女「完璧ですよ。いまのうちならどんな案件でもこなせるよ。
それこそ花でも摘むようにねっ。
どれくらい強まっているかと云えば
ヘル・ミッショネルズと戦ったときのスグルと
同じくらいかなっ」
男「あのとき、なんか地球に土下座して
勝負のヒントもらってませんでしたっけ?」
女「ちっ。細かいことにこだわってちゃ
理不尽だらけの世の中でヒマラヤナキウサギのような
可愛い悲鳴を上げちゃうよ」
男「一週間ぶりだとすごいパワーっすね」
女「まぁねっ!」
男「で、明日なんですが」
女「はいー? ごめっ。風が強くて」
男「ああ、台風ですしね」
女「うん、もちっ。うち無敵やしっ♪」
男「よかった。体調はどうです?」
女「完璧ですよ。いまのうちならどんな案件でもこなせるよ。
それこそ花でも摘むようにねっ。
どれくらい強まっているかと云えば
ヘル・ミッショネルズと戦ったときのスグルと
同じくらいかなっ」
男「あのとき、なんか地球に土下座して
勝負のヒントもらってませんでしたっけ?」
女「ちっ。細かいことにこだわってちゃ
理不尽だらけの世の中でヒマラヤナキウサギのような
可愛い悲鳴を上げちゃうよ」
男「一週間ぶりだとすごいパワーっすね」
女「まぁねっ!」
男「で、明日なんですが」
女「はいー? ごめっ。風が強くて」
男「ああ、台風ですしね」
942: 2009/04/26(日) 17:15:51.80 ID:vuHK/qMo
男「で、明日なんですが、休養を一日」
女「ん、あしたー?」
男「はい。ちょっと案件があって、一日お休みを」
女「ちょっ、ザザザまじ……ザザ雨強いな」
“……ザザな”
女「チキンザザザ……これじゃね」
“……買ってきてもこれ……ザザ”
男「なにやってんですか」
女「そんなのきまってるやん」
“……まってるやん”
男「へ?」
がちゃり
――6/10、月曜日 00:00 神楽坂作業室
女「月曜日を連れてきたんだよっ」にこっ
男「女先輩っ!?」
女「ん、あしたー?」
男「はい。ちょっと案件があって、一日お休みを」
女「ちょっ、ザザザまじ……ザザ雨強いな」
“……ザザな”
女「チキンザザザ……これじゃね」
“……買ってきてもこれ……ザザ”
男「なにやってんですか」
女「そんなのきまってるやん」
“……まってるやん”
男「へ?」
がちゃり
――6/10、月曜日 00:00 神楽坂作業室
女「月曜日を連れてきたんだよっ」にこっ
男「女先輩っ!?」
959: 2009/04/26(日) 17:23:36.04 ID:vuHK/qMo
うし。ちょうど良いので、今回はここでキリで。
家事をしなければ!
ジャンプマンガを意識した引きっ(あほ!)
つか、スレ落ちちゃうかな。
パー速のシステム知らないけれど、消えちゃわんよね?
こっからは先輩のターンっ。
では、いってきまーっす。
家事をしなければ!
ジャンプマンガを意識した引きっ(あほ!)
つか、スレ落ちちゃうかな。
パー速のシステム知らないけれど、消えちゃわんよね?
こっからは先輩のターンっ。
では、いってきまーっす。
964: 2009/04/26(日) 17:26:27.37 ID:VtDhw3go
先輩のターンかー。
楽しみ。
楽しみ。
965: 2009/04/26(日) 17:26:36.21 ID:89e7Z.wo
乙!
つづきが楽しみ~
つづきが楽しみ~
969: 2009/04/26(日) 17:32:36.98 ID:DM0jvIDO
絶妙な引きwwwwww
乙ッ!
乙ッ!
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります