1: 2011/09/04(日) 01:09:29 ID:.AB2BpRc0
紬「お茶が入りましたよ~♪」

唯「わーい!」

律「よっ、待ってました!」パンパン

澪「お前らちょっとは大人しくなれないのか。まったく」

梓「あ、ムギ先輩。私も手伝います」

紬「いいのよぉ、気にしないで座ってて?」

律「ムギは軽音部のオカンだなぁ~」

紬「オカン?」

律「そうそう、なんか母性溢れるていうか……ちょっと待って」

「?」

律「くしゃみ、ふえ……くひゃひへほー……ふ、ふえー」

律「はっくしょおおぉぉーーーーいっ!! あー、畜生!」ズズー

梓「うわっ、きたない!」
けいおん! 1巻 (まんがタイムKRコミックス)
2: 2011/09/04(日) 01:15:07 ID:.AB2BpRc0
律「んー?」ズー

紬「り、りっちゃん風邪?」

律「いやぁ? 別にそうでもなー……あー」

律「実は……うぷぷっ……昨日はさ、暑かったじゃんか……ぷひっ」

唯「そう?」

律「だから、ぷぷぐっ……パンツ一丁で寝てたんだなぁ! あはははは! だから風邪ひいたとかなんじゃないの~!」

唯「?」

唯「今の何か面白かった?」

澪「いや……」

律「麗しき花の乙女が! パンツ一丁! パンツ! どうよ、それって! あはははっ」

梓「……ちゃ、ちゃんと服着て寝ましょうよ」

紬「そうよ、お腹冷やしちゃうし」

律「ん大丈夫だってぇー。私バカだからまず風邪ひかないし!」

澪「ひいたろ……」

3: 2011/09/04(日) 01:26:35 ID:.AB2BpRc0
澪「……律!」

律「はいはい?」

澪「最近の律はたるんでいます!」

律「あはは、そんな言いがかりな……」

梓「私も澪先輩の言う通りだと思います!」

梓「さっきからなんですか。その……くしゃみとか」

唯「ちくしょう~」

律「お、おかしかった……?」

唯「オヤジ臭かったです」

律「……」

律「お、オカン?」

紬「ご、ごめんなさいりっちゃん……」

律「うそーん……」

4: 2011/09/04(日) 01:30:24 ID:.AB2BpRc0
唯「カムバック、あの頃のりっちゃん」

ガシッ

唯「私たちはあの頃のようにお淑やかで優雅な振る舞いをしていたりっちゃんに戻って来て欲しいのです」

律「私そんなキャラだったっけ」

紬「りっちゃん。私もりっちゃんの明るさが変な方向に向かっている事を心配していたの!」

紬「まずは……」

ビシィ

紬「そのガニ股をやめましょう!」

梓「ズバリですね」

律「こ、これはドラムやってるからつい癖で!」

澪「その癖がダメなんだよ。そこからオヤジ律への道がスタートし始めたんだ……」

律「名前の前にオヤジつけるのやめてくれよ……地味にへこむ」

5: 2011/09/04(日) 01:36:10 ID:.AB2BpRc0
紬「女の子の基本的な座り方は内股座り! 基本のうちの基本!」

律「えー……かたっ苦しいじゃん……」

唯「クローズりっちゃんレッグ!」グググ…

律「あ痛ぁっ!?」

唯「こーら、りっちゃーん。足が固いよー」

律「そ、そんなこと言われたって……! だ、ダメだ! あいぃっ、足の筋がおかしくなるぅっ」

澪「唯、ストップ」

唯「はい、止めました!」

澪「律、まずは軽いストレッチから始めよう。お前体硬すぎなんだよ」

律「なんで……なんで私がこんな……」

6: 2011/09/04(日) 01:40:21 ID:.AB2BpRc0
紬「ほら、りっちゃん。これが本来の女の子の体の柔らかさよ」ガシッ

梓「へ?」

グイグイッ

梓「痛い痛い痛いぃっ! 足裂けます! 足裂けちゃいますー!!」

パッ

「……」

梓「ひー、ひー……」

律「なんだよ~、梓だって体硬いじゃんかー!」

紬「あ、梓ちゃんは例外なの!」

梓「例外!?」

澪「お酢を飲むと体が柔らかくなるぞ。律、梓」

律「そんなのうそっぱちだー」

澪「まぁ、騙されたと思って試してみるといいよ」

7: 2011/09/04(日) 01:44:25 ID:.AB2BpRc0
唯「ガニ股は後に回す……置いといて」ヨッコラ

梓「……」

唯「置いといて」ヨッコラ

梓「私に何のリアクション求めてるんですか」

紬「他にどこがオジサン臭いか、試しに見てみましょうー」

律「試すって……どうやってよ」

紬「えっと、ちょっとりっちゃん。そこに腰掛けてみて」

律「そこの、椅子?」

紬「そう」

律「……どっこいしょ」

「「「「それ!!!!」」」」

律「ひっ」ビクッ

8: 2011/09/04(日) 01:50:18 ID:.AB2BpRc0
澪「どっこいしょは、どっこいしょはさすがにない!」

梓「どこのオヤジですか!?」

律「黙らっしゃーい!!」

紬「……」パチクリパチクリ

律「信じられないみたいな顔してこっち見んなぁー!!」

唯「それは置いといて」ヨッコラ

律「もうそれはいいっての……!」

紬「でもどうしよう……どっこいしょなんて言いながら座る女の子初めて見ちゃった……」

梓「この人が例外なんです! 例外! 例外!」ズビシッ

律「例外村の例外村長かお前は!」

澪「そのツッコミは寒い……」

律「え……これも試されてんの……?」

9: 2011/09/04(日) 01:55:04 ID:.AB2BpRc0
唯「オヤジは頭の回転が遅い!」

唯「って、サルでもわかるオヤジの本に書いてたんだなぁ」

律「まずそんな本があることに私はビックリ……」

梓「つまり律先輩。まだ脳は衰えてないんですから、それなりに若者らしい仕種をしましょうよ」

紬「オジサン臭いりっちゃんはりっちゃんであってりっちゃんではない……そう」

紬「りっつぁん!」

唯「おとっつぁんみたーい」

律「絶望だ……そこまで私の仕種には女が感じられないのか……」

ポン

唯「まだ、やり直せるさ……あんたは気づくことができたんだ。自分の過ちに」

唯「な、りっつぁん……」プルプル

律「お前、バカにしてんだろ」

10: 2011/09/04(日) 01:59:58 ID:.AB2BpRc0
紬「次はこれ、はい」

律「おしぼり?」

紬「てきとうに使ってみて」

律「う、うん……」

パン!

「!」

律「……」ペリペリペリ

律「ふきふき、と」

律「へへ、これで文句ないだろー? おしぼりで顔を拭くとで思ったか!」

紬「もう……もうわかりました……」

梓「袋パンもアウト、ですよ」

律「は、判定厳しくない!? もっと大目に見てくれても」

澪「それじゃあお前のためにならないんだよ!」

律「お、大きなお世話だよぉ……」

11: 2011/09/04(日) 02:03:47 ID:.AB2BpRc0
紬「じゃあ今度は。はい」

律「フォークとナイフ……で、目の前にご飯?」

紬「りっちゃんお腹減ったでしょ? 食べていいのよ~」

律「マジ? いやー気が効くねぇ。んじゃ、お言葉に甘えて……」カチャカチャ

律「……」シャリシャリ

梓「ナイフをフォークで研いだ……!」

澪「しっ」

律「やっぱりご飯は……」ヒョイ

紬「!!」

唯「アウトー、りっちゃんアウトー」

律「え?」

唯「フォークの背にご飯乗っけて食べようとしたね!」

律「これダメだったのか」

12: 2011/09/04(日) 02:08:17 ID:.AB2BpRc0
紬「あと2、3お食事オヤジチェックがあるんだけれど」

律「もういいよ! 十分にわかったから!!」

澪「律、お前なぁ……」

唯「とりあえず次行ってみよー」

・・・

律「今度は何だよ?」

梓「そこにある本、読んでみてください。面白いですよ」

律「本ってー……何だよ、字ばっかじゃん。どうせ読むなら漫画がいいー」

梓「まぁまぁ、色んな雑学がわかって面白かったりしますから。試しにちょっと」

律「ちぇー」プヒープヒー

律「本ねぇ……」ペラリ

13: 2011/09/04(日) 02:11:23 ID:.AB2BpRc0
数分後

律「……ほぉー、ほぉほぉ」

ペラリ

数十分後

律「おぉ、すげー……へぇ」

律「マジかぁ」

さらに数十分後

律「ふむぅ……いや、中々」

梓「律先輩、もういいですよ」

律「え、もう終わり?」

梓「やっぱりあなたはオヤジっぽいですね」

律「だから何でだよ!? はぁ!?」

14: 2011/09/04(日) 02:15:44 ID:.AB2BpRc0
澪「律。1人で本読んだり、テレビ見たりして独り言が多いのは」

澪「十分オヤジっぽいことなんだ」

律「そんなの当てつけだろ!」

唯「確かにオヤジって独り言多い感じするー」

梓「私のお父さんも最近よく1人でブツブツ喋ってますよ」

律「お前がもっと親父さんと会話してやりゃそうもなんないんだよ!!」

紬「そういえば、りっちゃんって野球好きだったりする?」

律「あー、まぁ……わかった。もういい。言いたいことはよくわかるよ」

律「ちくしょー!! お前ら寄ってたかって! いじめだ、いじめ!」

律「うわああぁぁーーーんっっっ」タタタ

唯「ああ、りっちゃん!」

15: 2011/09/04(日) 02:20:50 ID:.AB2BpRc0
・・・

律「ちくしょー……ちくしょー……」グスン

律「何だよ、なんでだよぉ……私ってそんなにオヤジっぽかったのかぁ……?」

律(はぁ……ショックだなぁ)

律「そりゃあ、澪もムギもお淑やかで女の子っぽいし」

律「唯も梓だって何だかんだ言って女の子っぽいよ……?」

律「だから、ちょっと男勝りになってる私が浮いちゃうのもわかる……けど」

律「……そっか、あいつらからはそんな目で見られてたのか」

律「……」ガッカリ

律「もう私、男に生まれてた方がよかったのかな」

「そんなことないよ」

16: 2011/09/04(日) 02:23:56 ID:.AB2BpRc0
律「……澪?」

澪「おっす」

律「何の用だよ」ムスッ

澪「何も」

律「ふんっ……」

澪「意外と律ってさ、女の子女の子してるやつも好きだよな」

律「は?」

澪「ほら、ぬいぐるみとか」

律「そりゃー……てかそれは嫌いなやつの方が少ないっつーの」

澪「まぁな」

17: 2011/09/04(日) 02:28:41 ID:.AB2BpRc0
律「私も」

澪「うん?」

律「私も澪みたいになれたらな」

律「そしたら……もっと女の子っぽかったかも」

澪「そう? だったらー……私は律みたいになれたらよかったかも」

律「なに言ってんだお前」

澪「私な、こんなこと言うのも癪だけど律に憧れてたんだぞ?」

澪「ガサツだけどいつも明るくて、元気なそんな律に」ニコ

律「お、おぉい……それ褒めてんのか……よ……///」

18: 2011/09/04(日) 02:31:32 ID:.AB2BpRc0
澪「たしかに、律はオヤジ臭いよ。ガサツすぎてさ」

律「う、うぅ」

澪「そこは私もあんまり好きじゃないかも」

律「ぐっ……!」

澪「でもな、短所があるからこそ長所が生きるんだよ」

澪「だからオヤジ臭いのも含めて、全部律だ」

律「澪……」

澪「ね?」

澪「悪かったよ。無理矢理オヤジ臭いのを直そうとして。そこも律の持ち味なのに」

律「いやそれは純粋に直したいわ」

19: 2011/09/04(日) 02:37:28 ID:.AB2BpRc0
・・・

紬「ごめんなさい、りっちゃん。私たちりっちゃんの気持ちも知らないで」

唯・梓「ごめんなさい」

律「いいよいいよ! 別に気にしてないしさ。それにみんなだって私の事思ってやってくれたんだろ?」

唯「りっちゃぁん……」

澪「ふふ、さてと。今日はもう遅いし、みんな帰ろう?」

梓「結局オヤジ臭いで放課後が終わりましたねー」

律「お前本当にすまない気持ちあったのか、さっき……」

20: 2011/09/04(日) 02:38:40 ID:.AB2BpRc0
唯「けっきょくオヤジ臭いりっちゃんは健在のままかぁ」

律「うーるせっ」

紬「この際私たちもオヤジ臭くなってみよっか!」

梓「それは勘弁してください……」

澪「ん、あれ」

梓「どうしました?」

唯「あ、憂!」

律「なんか主婦たちと井戸端会議してる……のかな?」

唯「うぅ~~~い……」

「それでねッ、ウチの旦那が!」

憂「あらやだァー! でしたら私のところの姉もですねッ」

唯「憂……?」

憂「あ、お姉ちゃーん? おかえりなさーい」

唯「憂がオバサン臭い……」





おしまい

21: 2011/09/04(日) 02:44:35 ID:.AB2BpRc0
溜まっていたSSの一個、こっちで投下させてもらいました
勝手にやっちゃって大丈夫だったかなぁ

あ!こんなSS書いたけどりっちゃんは全然オヤジ臭くないし、とっても女の子してる子だよ!
そこんとこ誤解しないでくだしあ

22: 2011/09/04(日) 06:33:47 ID:IoV4MHecO
おっつ!

23: 2011/09/04(日) 10:06:58 ID:soE0/D7c0
乙でした!

引用: 律「ふぇぇ……はっくしょおおおぉぉーーーーいッ!!」