善子「えーもう終わり？」


梨子「自分で扇ぎなさい」


善子「こっちこっちぃ」ｸﾞｲｸﾞｲ


梨子「引っ張らないでよぉ」


善子「...お？」


梨子「ん？」


ﾍﾟﾀｯ


善子「...」ﾍﾟﾀｯ


梨子「何してるのかな、よっちゃん」


善子「リリーのお肌...冷たくて気持ちいい」ｷﾞｭｩｩｩ


梨子「暑苦しいよぉ」

善子「スベスベのお肌ですねぇ」


梨子「あ"～鬱陶しい！」ﾍﾟｼｯ


善子「うがっ」


梨子「まったくもう」ﾊﾟﾀﾊﾟﾀﾊﾟﾀ


善子「むぅむぅ！」


梨子「そういうの何て言うか知ってる？」


善子「...」


善子「きゃっきゃうふふ？」


梨子「...」ﾍﾟｼｯ


善子「うぎゃ！？」


梨子「寄生って言うの、よっちゃんが寄生体、寄生されてる私が宿主...」ﾊﾟﾀﾊﾟﾀ


善子「そう言いながらも扇いでくれるリリー...愛してるよ」


梨子「はいはい、やっすい愛だね」

梨子「ところでよっちゃん」


善子「なによ」


梨子「私、今とんでもないものを見ている気がしてならないんだけど」


善子「とんでもないもの...」


梨子「うん」


善子「暑さで頭をヤられ、水着姿でお外を全力疾走する渡辺曜」


梨子「ん、それはとんでもない光景だね、あとで曜ちゃんに謝りなね」


善子「うん」

梨子「それで話を戻すけど」


善子「桜内梨子が見た、とんでもないものとは！」


梨子「CMの後、チャンネルはそのまま！みたいなノリだね」


善子「リリー、暑さで頭ヤられた？」


梨子「振ってきたのよっちゃんだよね...」


善子「それで？」


梨子「うん、まさにそれが私の目に映ってるんだけど」


善子「...？」


梨子「ほら、こっちおいで、股の間に座って」ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ


善子「えOち...」ﾎﾞｿｯ


梨子「いいから早く！」ｷｯ

善子「んしょっと」ﾍﾟﾀｯ


梨子「私の目線に合わせて」


善子「ん」


梨子「ほら、あそこあそこ」ﾕﾋﾞｻｼ


善子「あそこ？」


善子「...」


善子「...」


善子「...あー」


梨子「ね？」

善子「１つだけわかったことがあるわ」


梨子「なにかな？」


善子「たぶん私は、これからリリーのお仕置きを受けることになる」


梨子「ふむふむ」


善子「だからこんな傍に私を座らせてた...それは私が逃げられる隙を作らないため」


梨子「よっちゃんもだんだん私のことわかってきたね、嬉しいよ」


善子「えへへ」


梨子「それじゃ、あれがよっちゃんの目にはどう映ってるかな？」


善子「...」


梨子「声に出して言ってみて」

善子「...」


梨子「早く」


善子「え、エアコンの...」


梨子「ん？」


善子「エアコンの...コンセントが...」


梨子「んん？」ｷﾞｭｩｩｩｳｳｳｳｳ


善子「ぐ、ぐるじぃ...」


梨子「なになに？ちゃんと言ってよ」


善子「エアコンのコンセントが.......」


梨子「うんうん」


善子「...」


善子「......ささってません」


梨子「はい、よくできましたぁ」

善子「ご、ご褒美として、お仕置きは無しってことで...」


梨子「...」ﾆｺｯ


善子 ﾊﾟｧ


梨子「そんなわけないでしょ！！！」ｷﾞｭｩｩｩｳｳｳｳｳ


善子「うごごごごごごご！」


梨子「なんだっけ？こんな日に限ってエアコンが故障してるなんて...だっけ？」


善子「あがががががが」


梨子「ふーん、津島家ではあれを故障っていうんだね」ﾑﾆﾑﾆﾑﾆﾑﾆｯ


善子「ぎゃぁあああああ！」


梨子「さすがに目を疑ったよぉ、コンセントささずに故障扱い...」


梨子「その上私にうちわを扇がせて、しまいには人の肌が冷たいからと抱きついてくる始末」ｺｼｮｺｼｮ


善子「あははははははははははは！」


梨子「どうしたのよっちゃんそんなに笑って、暑さで頭ヤられちゃったの？」ｺｼｮｺｼｮｺｼｮｺｼｮ


善子「ギブ！ギブ！」ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ

梨子「...」


善子「はぁ...はぁ...」ｾﾞｪｾﾞｪ


梨子「ほら、早くコンセント入れてきて」


善子「...」


梨子「...よっちゃん？」


善子「ふふふ...」


梨子「どうしたの？」


善子「私を逃がさないためにここに座らせた......そうだったわね」


梨子「う、うん」

善子「それはつまり...逆に言えば」


梨子「？」


善子「リリーも逃げられないってことなのよぉ！」


梨子「きゃあ！？」


善子「ふふふ」ﾄﾞｼﾝｯ


梨子「な、何する気なの...」


善子「仕返しよ、私だけが罰を受けるなんて間違ってるわ」ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ

梨子「うっ、お、落ち着いてよっちゃん、冷静に」


善子「なんだろうこの感じ...不思議と冷静だわ」


梨子「え」


善子「きっとリリーへの仕返しが済んだ後、その仕返しが待ってることまで予想できている自分がいる」


梨子「そこまでわかってるならやめてよ！」


善子「でももう引き返せない...取り返しがつかないところまできてるの...」


梨子(よっちゃんの目...本気だ...)


善子「仕返しの連鎖...世界から争いが消えないのも納得だわ...」


梨子「よ、よっちゃん...」


善子「なに？」


梨子「あのね、今回は私にも否があったかなぁって思っててね」

善子「...」


梨子「よっちゃんだけのせいにしたことは謝るよ...それで勘弁してくれないかな？」


善子「...」


善子「...」


善子「ふふっ...」


梨子「よっちゃん？」


善子「だーめ♪」


梨子「うわぁああああ助けてごめんなさいごめんなさいごめんなさい！！」


善子「問答無用よおおおお！！」


ﾄﾞｺﾞﾄﾞｺﾞ
ｶﾞﾔｶﾞﾔ

-----
---
-


梨子「はぁ...はぁ...」ｾﾞｪｾﾞｪ


善子「はぁ...はぁ...」ｾﾞｪｾﾞｪ


ﾊﾞﾀｯ


梨子「もう...増して汗かいちゃったよ...」ｾﾞｪｾﾞｪ


善子「こんなことしておいてあれだけど...」ｾﾞｪｾﾞｪ


梨子「ん？」


善子「......ごめんなさい」


梨子「いいよ、よっちゃんだけのせいにはできないよ」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ


善子「ん」

梨子「エアコン、つけていい？」


善子「うん...」


ﾋﾟｯ


梨子「ふぅ...」ﾍﾟﾀｯ


善子「涼しくなるまで時間あるし、お風呂入らない？」


梨子「あ、良いかも」


善子「私の服貸してあげるから、今着てる服着ちゃだめよ、汗でびっしょりなんだから」


梨子「うん、ありがと」

-----
---
-


ﾁｬﾎﾟﾝ


善子「はぁ、お昼に入るお風呂も格別ね」


梨子「し、失礼します」ﾁｬﾎﾟﾝ


善子「もぉなに遠慮してんのよ」


梨子「やっぱり恥ずかしいんだもん」


善子「ほら、気持ちいいでしょ？」


梨子「はぁ...いいねぇ」


善子「ババンババンバンバン♪」


梨子「それはないかな」


善子「ナンデヨー」

梨子「...」


善子「...なによ、さっきからジロジロ見て」


梨子「よっちゃん、脚細いね」


善子「そう？」


梨子「ええーどうしてだろ」ﾑｷﾞｭﾑｷﾞｭ


善子「ちょ、くすぐったいわよ」


梨子「いいなぁ、細い上に肌も白いし、スベスベだし」ﾑｷﾞｭﾑｷﾞｭ


善子「このぉ！」ﾁｮｯﾌﾟ


梨子「いたっ」


善子「揉みすぎよリリー、そんなにこねられたらパン生地になっちゃいそうだわ」


梨子「だって羨ましいんだもん」ﾌﾟｸｯ

善子「そうは言っても、リリーの脚だってきれいじゃない」


梨子「うぅ...ほんと？」


善子「スタイルのことになるとリリーはちょっと自信なさすぎよ」


梨子「だって...」


善子「？」


梨子「いつも隣にいる人が美人なんだから...それに追い付きたいって思うでしょ」


善子「...」


善子「......///」


梨子「ちょ、なんか喋ってよ///」


善子「うっ、うるさいわよ！勝手なこと言って！」


梨子「んなっ、勝手なことってことないでしょ！」

善子「いつも言ってる通り、リリーはスタイル良いし、可愛いんだって！」


梨子「それでも自信持てないの！」


善子「リリーの隣にいるその子がリリーのこと認めてるのよ？だから素直に受け止めなさいよ！」


梨子「うぅ...」


善子「わかった？」


梨子「...うん」


善子「はぁ、世話のかかる先輩ね」


梨子「いつもは私がよっちゃんのお世話してるもん」ﾌﾟｸｯ


善子「膨らまないでよ」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ


梨子「ううううう、頭撫でるのも私の役なのに」

善子「たまにくらい良いじゃない、それとも嫌？」ｷﾞｭ


梨子「...ううん、好き」


善子「素直で良い子ね」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ


梨子「......うぅ、恥ずかしい///」


善子「ふふっ、リリーゆでダコみたい」


梨子「その例え...なんかやだ」


善子「さっ、そろそろあがっちゃいましょ、逆上せる前に...」ﾁｬﾎﾟﾝ


ｸﾞｲｯ


善子「ん？」


梨子「...」


善子「どうしたの？」

梨子「もう少し...もう少しだけ...その...」


善子「なによ？」


梨子「もう少し...甘えさせて...///」


善子「...え？」


梨子「だ、だから、あとちょっと甘えさせてって言ってるの！」


善子「別にいいけど、お風呂あがってからでもいいじゃない」


梨子「今じゃなきゃだめなの...」


梨子「お風呂から出たら、いつもの先輩に戻っちゃう...」


梨子「意地っ張りだもん私...よっちゃんの前ではお姉さんぶっちゃうから...」

梨子「だから、素直になれてる今だけ......おねが」


ｷﾞｭｯ


ﾁｬﾎﾟﾝ


善子「ふふっ、なによそれ」


梨子「うぅ...」


善子「甘えたいときに甘えてくれればいいのに...まぁそれができないから意地っ張りなのか」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ


梨子「...」ｷﾞｭｩｳｳ


梨子「たまにでいいの...たまにで」


善子「たまに...ね、それじゃそんなときはめいっぱい甘やかしてあげるわ」


善子「だいたい、いつもはリリーがお姉さんでいてくれるお陰で、私は甘えてられるんだもん、こんなときくらい...ね？」


梨子「うん、ありがと」ｴﾍﾍ

-----
---
-


善子「あ"～～～」ﾖﾛｯ


善子「かんっぜんに逆上せたわ...」


梨子「よ、よっちゃん大丈夫？」


善子「リリーは平気なのね...なかなかやるじゃない」ﾌﾗﾌﾗ


梨子「いつもはあーんな威張ってる堕天使ヨハネの真の姿がこれとはね」


善子「むっ」


梨子「アクマも大したことないね、ほら腕上げて」ﾌｷﾌｷ


善子「だいたいリリーがまだあがらないって言ったのが原因でしょ！私は逆上せるまえに出ようって言ったのに！！」ﾌﾟﾝｽｺ


梨子「だ、だって甘えていいって言ったから！」

善子「なんでよりにもよって湯船の中なのよ、イミワカンナイ！」ｸﾙｸﾙ


梨子「んなっ、そんな言い方ないでしょ！」


善子「うっさい、なしこなしこ！！」ﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞ


梨子「ちょ、こどもじゃないんだから下着だけで出ていかないの！！！」


善子「へへーんだ、ほれほれ！」


梨子「んなっ、何してるの！！」


善子「なしこのパンツ、もらい受けた！」


梨子「こらぁあああ！！」

-----
---
-


梨子「ほら、髪乾かしてあげるからおいで」


善子「んー」ﾍﾟﾀﾝ


ﾌﾞｫｫｫｫｫ


梨子「...」ﾜｼｬﾜｼｬ


善子「あ"～」


梨子「首曲げないで」ﾜｼｬﾜｼｬ


善子「ん、無意識」


梨子「...」ﾜｼｬﾜｼｬ


梨子「はいおっけー」


善子「よし！」

ｸﾞｲｯ


善子「うごっ」


梨子「まーだ」


善子「おっけーって言ったじゃない！」


梨子「...」ｼｬｯｼｬｯ


善子「何してるのよぉ」


......


梨子「ほらできた」


善子「わっ、三つ編み...」


梨子「ふふっ、似合ってるよ」


善子「そうかな...」


梨子「はい鏡」

善子「ん...んー...えー...」


梨子「気にくわない？」


善子「堕天使っぽくない」


梨子「いつものお団子だって堕天使っぽくはないよ？」


善子「そうだけど！」


梨子「可愛いからいいでしょ」


善子「...」


善子「...リリーがそう言うなら」


梨子「ふふっ」


善子「今日だけなんだから！」


梨子「はいはい」


善子「むぅ」

梨子「ところでよっちゃんが貸してくれたこのTシャツ...」


善子「なによ、文句ある？」


梨子「HAPPY AND SMILE って」


善子「形容詞と名詞をandで繋げるなんててきとーな英語よね」


梨子「なんだ、気づいてたんだ」


善子「馬鹿だと思われたくないし、私は一度も着てないわそれ」


梨子「え、なんでそれを私に着せるの...」


善子「いいじゃない、似合ってるわよ？」


梨子「...納得いかない」

善子「はぁ...」ﾎﾞﾌｯ


梨子「...」ﾎﾟﾁﾎﾟﾁ


善子「...」


善子「...なにしてるの？」


梨子「千歌ちゃんにLINE...」ﾎﾟﾁﾎﾟﾁ


善子「ふーん...」


梨子「...」ﾎﾟﾁﾎﾟﾁ


善子「...」


善子「びー」ｼｬｯ


梨子「ちょ、なんで送信押したの！？」


善子「かまってよぉ」ﾀﾞｷｯ


梨子「あと少しだから大人しくしてて」ﾎﾟﾁﾎﾟﾁ


善子「むぅ...」

梨子「...」ﾎﾟﾁﾎﾟﾁ


梨子「あーそういえば宿題あったんだったぁ」


善子「...」


梨子「...」ﾎﾟﾁﾎﾟﾁ


善子「...」ｳﾄｳﾄ


善子「...」ｶｸﾝｯ


善子「...」


ﾋﾟﾄｯ


梨子「ん？」


善子「...」ｳﾄｳﾄ

梨子「よっちゃん眠いの？」


善子「ねむく...ない」ｶｸﾝｯ


梨子「お昼寝しよっか、ほら立って」


善子「...うん」ｺﾞﾛｯ


梨子「ちゃんとベッドで寝ないと体痛くなるよ」


善子「うん...」ｽｰｽｰ


梨子「もう...」


善子「...」ｽｰｽｰ


梨子「...まぁ、いっか」


ﾊﾞｻｯ


善子「...」ｽｰｽｰ


梨子「おやすみよっちゃん」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ


はいおわり

おまけ


梨子「......ん」


梨子「...あれ...一緒に寝ちゃってた」ﾊﾟﾁﾘ


善子「...」ｽｰｽｰ


梨子「よく寝てるね...」ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ


ﾁﾗｯ


梨子「うわっ、もうこんな時間...夜寝られなくなっちゃうよ」


梨子「よっちゃん、起きて、寝過ぎだよー」ﾕｻﾕｻ


善子「...んん」

梨子「ほーら、起きてー」ﾕｻﾕｻ


善子「んんん...んー」






善子「うるさい！」ﾌﾞｼｯ


梨子「うごっ！？」


ｸﾙｯ


善子「...」ｽｰｽｰ


ﾋﾟｷｯ






梨子「こらぁあああああああああああ！」


おわり