1: 2016/05/29(日) 01:46:46.59 ID:wPVVmlbD.net
海未(わたしには姉がいます)

海未(9歳か、10歳近く離れていたのでしょうか……血の繋がりは母に拠ればちゃんとあるそうですが)

海未(今の私と同じく武道をいくつかと、舞踊をしていました)

海未(当時私はまだ箱入り娘のような扱いを受けていましたし、私もその扱いに慣れていましたから、色々なことを教えてもらっていたことを覚えています)

海未(彼女は今は家を離れ、嫁いでいるそうです)

海未(私は彼女のことをお姉様と呼んでいたのか、姉さんだったか…はたまたおねえちゃんだったかもしれませんが)

海未(とてもよく懐いていたことは良く覚えています)

2: 2016/05/29(日) 01:47:45.49 ID:wPVVmlbD.net
海未(13)「ただいま帰りました」ガラッ

姉「おかえりなさい、海未」

海未「姉さん、もう帰っていたのですね。私も今日は4時間目で帰ることができたのですが…」

姉「もうすぐ卒業だからね。今日はお稽古も免除されたからゆっくりしてるわ」

海未「そうだったのですね。…お母様はどちらに?」

姉「出掛けてるらしいわ。さっき出て行ったから、夕方には帰るんじゃないかしら」

海未「なるほど……」グゥゥゥ~~

海未「あっ///」

姉「ふふっ、何処からかかわいい音が聞こえたわよ?」クスクス

海未「も、申し訳ありません…///はしたない真似を……///」

3: 2016/05/29(日) 01:48:14.86 ID:wPVVmlbD.net
姉「そっか、給食今日はないものね。お腹も空くわよ」

姉「なにか作ってあげるわ。冷蔵庫にある程度はあっただろうし」

海未「えっ、ですが、折角のお休みですのに……」

姉「こーら、遠慮とかしないの。私はあなたのお姉ちゃんなのよ?それに、海未の喜ぶ顔が見られるのが、私の一番の幸せだわ♡」

海未「姉さん……」

姉「さてと、なにが食べたい?冷蔵庫の中にあるものだけだからなんでもは作れないけど、できるだけ要望に応えるわ」

海未「え、えっと………チャーハンが食べたいです…///」

姉「それ、あなたの得意料理じゃない」クスクス

海未「ね、姉さんの作ったものが食べたいのですっ///」

姉「まあ……♡」キュン

姉「嬉しいこと言ってくれるわね♡いいわ、ゆっくりしてなさい」

5: 2016/05/29(日) 01:55:46.81 ID:wPVVmlbD.net
姉「はい、どうぞ」コトッ

海未「わっ…すごく美味しそうです!」

姉「見た目だけかもよ?……高菜が置いてあったから、もしかしたら辛いかもしれないけれど……」

海未「では、いただきます」パクッ

姉「………」ドキドキ

海未「………」モグモグ

姉「ど、どうかしら…?」

海未「……お」

海未「おいしいですよ、姉さん!」

姉「ほんとっ!?」パァァ

6: 2016/05/29(日) 01:56:24.48 ID:wPVVmlbD.net
海未「はいっ、味がしっかりしているのに醤油をかけすぎず、パラパラ感を保っていて食感もいいです!高菜も辛すぎず飲み物を必要としないくらいでどんどん食べられます!お肉も………」

姉「くっ……ふふっ…」

海未「姉さん?」

姉「海未、なんか食レポしてるみたい」クスクス

海未「あっ///す、すみません…舞い上がってしまって……でも、おいしいのは本当ですよ?」

姉「ありがとう、そう言ってくれるとうれしいわ」

海未「姉さんは、食べないのですか?」

姉「大人になるとね、だんだん少食になってくるの。私のことは気にせず食べなさい。海未は成長期ですもの」

海未「で、ですが……」

7: 2016/05/29(日) 01:56:58.21 ID:wPVVmlbD.net
姉「うーん……じゃあ、海未がソレ残したら余りを私が食べちゃおうかな?」

海未「えっ!?余りをですか?どうしましょう、姉さんの作ったものを残したくないですし、だからと言って姉さんが何も食べないのは……」

姉「あら、そういう考えになっちゃうのね……」アハハ

姉「どうしたものかしら……あ、そうだ。ねえ海未、そしたら私にやってほしいことがあるのだけれど…」

海未「はい!なんでしょう?なんでもしますよ」

姉「その…お姉ちゃんにあーんってしてくれない?」

海未「えっ……!?」

海未「あーんって…穂乃果ちゃ……穂乃果やことりがいつもしているあの『あーん』ですか!?」

姉「穂乃果ちゃんとことりちゃんがいつもやっているかは知らないけれど…たぶんそれよ」

8: 2016/05/29(日) 02:06:51.72 ID:wPVVmlbD.net
海未「うぅ……それは、恥ずかしい…///で、でもそうしないと姉さんが餓氏……」

姉「さすがにそこまでは……」

海未「わ、わかりました。これでも園田の次女、姉さんの妹です!覚悟を決めますよ!」

姉(いちいち大げさでかわいい……♡)キュン

海未「で、では姉さん…覚悟してくださいね?」ドキドキ

姉「う、うん……///」ドキドキ

海未「あ、あーーーん……///」

姉「あーん……♪」

パクッ

海未「っ……///」スッ

姉「~♡」モグモグ

姉「んー!おいしいーっ!♡」

9: 2016/05/29(日) 02:09:08.29 ID:wPVVmlbD.net
海未「…自分が作ったものをそんな美味しそうに食べる人を初めて見ました」

姉「私が作ったからじゃなくて、あなたに食べさせてもらったのがおいしいの」

海未「…そんなものですか」

姉「そんなものよ。……はい」スッ

海未「………?」

姉「あーん、よ。海未にも味わってもらおうと思って」

海未「えっ///け、結構ですっ」

姉「遠慮しないの。それとも私の作ってくれたものが食べられない?お姉ちゃん悲しいなあ…」シュン

海未「あ、ちょ、ちょっと…」

10: 2016/05/29(日) 02:10:04.72 ID:wPVVmlbD.net
海未「うぅ……わ、わかりましたよ…///」

姉「ハ……もとい、素晴らしいわ!はい、あーん♡」

海未「あ、あーん……////」

パクッ

海未「………///」モグモグ

姉「どう?」ニコニコ

海未「~~~っっ♡♡♡」ゾクゾク

海未「お、おいひいれふっ……♡」

姉「こら、口の中にもの入れたまま喋るだなんてはしたないわよ」

海未「んっ……ごっくん…すみませんでした」

14: 2016/05/29(日) 02:22:10.06 ID:wPVVmlbD.net
海未「なにか……噛んだ瞬間に歯からむず痒いものが体全体に伝わって……なんといいますか…」

海未「…幸せの味?でした」

姉「幸せの味……なんか詩人っぽいわね」クスクス

海未「っ!?」ドキッ

海未「っげほっ……!げほっ!」

姉「ちょ、ちょっと!?大丈夫!?」サスサス

海未「す、すみませっ……気管に……」

姉「よくわからないけど、落ち着いて食べなさい?逃げるわけじゃないんだから」

海未「逃げはしませんが、冷めてしまいますよ」

姉「もう、理屈屋ね。誰に似たのかしら……」

15: 2016/05/29(日) 02:22:52.51 ID:wPVVmlbD.net
海未「ごちそうさまでした」

姉「お粗末様でした。全部きれいに食べてくれてうれしいわ」

海未「とっても美味しかったですよ、よろしければまた食べたいです」

姉「また、ね……」

海未「……?」

姉「ううん、なんでもない」

姉「……ね、もうすぐあなた誕生日でしょ?」

海未「え、えぇ、そうですね。来週です」

姉「フ゜レゼント、なにがいい?」

海未「えぇ?……なんでも構いませんよ」

16: 2016/05/29(日) 02:23:25.89 ID:wPVVmlbD.net
姉「その返答が一番困るのよ。私これでも大人なんだから、あなたが心配しなくていいくらいのお金は持ってるの。ほら、お姉ちゃんに言ってごらんなさい?」

海未「そんなこと言われても……急には思いつきません」

姉「前々から欲しいと思ってたものは?」

海未「ありません」

姉「………はぁ」

海未「お気持ちだけで十分ですよ。私は姉さんが毎日元気で、こうして一緒に話すだけでとっても楽しいですし、幸せなんですから」

姉「っ」ズキッ

海未「どうか、しましたか?」

姉「……なんでも。…それじゃあ、私なりに考えておくわね。私もあなたと同じで少し不器用だから、あんまり期待しないでまってて」

海未「はいっ、楽しみにしていますよ」

姉「もうっ、いじわる…」

17: 2016/05/29(日) 02:31:14.58 ID:wPVVmlbD.net
その夜

トントン

母「はい」

姉「私です」

母「どうぞ」

ガラッ

母「そこにお座りになってください」

姉「はい」スッ

母「……そこまでかしこまった話ではありませんよ、楽にしてください」クスクス

姉「も、申し訳ありません」

18: 2016/05/29(日) 02:32:06.67 ID:wPVVmlbD.net
母「ふふっ、……それで、準備の方はどうですか?」

姉「はい、もう殆どまとめることができていますよ。…とは言っても持っていくものなんてそれほどありませんが」

母「なによりです。……いつ、出るのですか?」

姉「今月の下旬を予定しています。海未の誕生日は少なくともまだいる予定です」

母「そうですか。…海未さんには、もう………」

姉「まだ、伝えていません」

母「そうです、よね。あなたと海未さんは母親の私から見ても異常なほど仲がいいですもの。そう簡単には……切出せませんよね」

19: 2016/05/29(日) 02:33:29.94 ID:wPVVmlbD.net
母「私から伝えましょうか?」

姉「…いえ、自分で伝えます。海未も14になろうとしているのです。大人へ近づいています。私抜きでも心を強く………」

母「そうではなくて、あなたのことですよ」

姉「え……」

母「海未さんと、離れたくないのでしょう?」

姉「………っ」

姉「………はあ」

姉「お母様、いいですか、私は園田家の長女です。意思なんて関係ありません。それはお母様が一番存じていることではありませんか」

母「……そう、でしたね。すみません、軽率でした」

姉「いえ、こちらも……申し訳ありません」

母「私も…海未さんと同じで、あなたをことを愛していますよ」

姉「……ありがとうございます。私も師として、大人として、母として、いつまでも尊敬しております」

母「ありがとうございます。……ふふ、なんだか堅苦しいですね。こんな風に二人きりで話すのも今日が最後かもしれません。ゆっくりしていきなさい」

姉「…ありがとうございます」

20: 2016/05/29(日) 02:34:33.72 ID:wPVVmlbD.net
海未「ただいま帰りました」

姉「おかえりなさい、海未」

海未「姉さん、今日もお疲れ様です」

姉「お疲れ様は私のセリフ。私は今日もお家でゴロゴロしてたわ」

姉「背中、汗びっしょりよ?部活ではりきりすぎよ……」

海未「わっ……///お見苦しいところを…///」

海未「穂乃果とずっと力試しをしていました。動きすぎて、何もしなくても汗が噴き出すのです…」

姉「楽しそうなことでなによりだわ。穂乃果ちゃんともよくやっているみたいね」

21: 2016/05/29(日) 02:35:18.24 ID:wPVVmlbD.net
姉「さっ、お風呂に入りなさい。いつまでもそのままじゃ気持ち悪いでしょう?」

海未「で、ですが……一番風呂は…」

姉「そんなこと誰も気にしないわよ。そういうことは頑張りに応じて考慮されるべきだわ」

姉「ほら、早く服を脱ぐ!」グイグイ

海未「ちょっ…!自分で脱げますから……////」

海未「……変なところで強引ですね、姉さん」

姉「あなたに似たのよ。……ん?逆か…」

海未「それでは、お先に失礼させていただきますね」ヌギッ

姉「あっ……ブラするようになったんだ…」

海未「ばっ……!?///」

姉「あっ、ち、違う違う!そう意味じゃないってば!妹の成長を素直に喜んだだけよ!」

海未「も、もうっ、しりませんっ!///」ガラガラ

姉「ほんとうなのに……」

34: 2016/05/29(日) 23:28:45.50 ID:jg3rS54r.net
ピシャン

姉「………」

姉(海未の下着…すごいぐっしょりしてる……)

ムワッ

姉「っ……」ドキッ

姉「…………」ハアハアハアハア

姉(変態かっ!)ブンブン

姉(妹の信頼を維持するためにも責任を持って洗濯機へ放り込みましょう……)

姉(……あ、そうだ。いいこと考えちゃった)

35: 2016/05/29(日) 23:29:36.31 ID:jg3rS54r.net
ジャーーーー………

コンコン

ジャーーーー…

姉「うみーーーー」

ジャーー……キュッ

海未「はーい、どうかしましたか?」

姉「一緒に入ってもいーい?」

海未「はい、構いませんよー……って、えぇ!?」

ガラガラ

姉「失礼しまーす♡」

海未「ね、姉さんっ!?いきなり入ってこないでくださいっ!」

姉「いいって言ったじゃない」

海未「あ、あれは条件反射というか…よく聞こえなかったというか……」

姉「まあ、いいじゃない。たまには」

海未「それは…そうですが。突然ですね?」

姉「お姉ちゃんにも色々あるのよ。今日は海未とお風呂入りたかった気分なの」

海未「……そうですか」

海未「…それでは、椅子にどうぞ」

姉「えっ、いいの?」

海未「遠慮なさらないでください。体も洗って差し上げます」

姉「それじゃあ、お言葉に甘えちゃおうかしら」

36: 2016/05/29(日) 23:30:18.05 ID:jg3rS54r.net
シャカシャカ

海未「だ、大丈夫ですか…?」

姉「ええ、気持ちいいわ……なんで緊張してるの?」

海未「その、自分から洗うと言った手前申し訳が立たないのですが…姉さんの髪をどう扱っていいか不安で……」

姉「そんな簡単に傷まないわよ。あなたが自分でやってるのと同じくらいでいいの」

姉「…そういえば、海未って髪の毛の手入れしっかりしてるわよね。シャンプーは見当たらないようだけれど……」

海未「う……す、すみません……姉さんのをずっと使っていました……」

姉「やっぱり♡通りで減りが早いと思ってたわ」

海未「すみません……」

姉「別に気にすることないわ。海未の髪に合ってるのなら、よかった」

37: 2016/05/29(日) 23:37:29.84 ID:jg3rS54r.net
姉「そういえば、海未は髪をまとめたりはしないの?」

海未「そうですね……私はおしゃれのセンスがないようなので、選びにくい、という点からアクセサリーをあまりつけないことが多いですね……」

姉「ふふっ、海未らしいわ」

海未「姉さんは、リボンやシュシュをよくつけていますよね?」

姉「ええ、まとめると元気が出てくる気がするし、実際周りにも元気に見られるもの。ポジティブに見られて悪いことって案外ないわよ」

海未「色々考えているのですね…」

姉「さて、そろそろ体を洗ってくれるかしら」

海未「はいっ…流しますね」ジャーッ

38: 2016/05/29(日) 23:38:21.49 ID:jg3rS54r.net
ゴシゴシ

海未(姉さんの腕……きれいです…白くて、でも、健康的で……)

姉「ふふっ、なんだかお姫様になったみたい」

海未「そうですか、それなら私は…武士ですか?」

姉「あっ、そういう考えになるんだ……私はどっちかって言うと海未はかっこいいイメージは似合わないかなー」

海未「えっ…どうしてですか?」

姉「そのままよ、かわいいから。引っ込み思案だし、よく天然だし。私よりよほどお姫様してるわ、はいかわいい」

海未「そ、そんなにかわいいかわいい言わないでくださいっ!私だって最近は部活でも活躍しているんです!以前の都大会だって…!」

姉「私に勝てたこと…一度でもあったかしら?」

海未「うっ……そ、それは…そうですが」シュン

39: 2016/05/29(日) 23:39:10.30 ID:jg3rS54r.net
姉「ちょ、ちょっと…そこで落ち込まないでよ。キャリアとか考えたら当然じゃない」

海未「わ、わたしだってもっと早く……姉さんに追いつきたいと思っているのです…」

姉「うん、海未ならすぐに追いつけるわ。私と同じ歳になったころには、私の倍は強くなってる。根拠はないけどそう思うの」

海未「ほんと…ですか?」

姉「ほんとほんと。約束するわ」

海未「…その言葉、信じますから。また今度、稽古をつけてくださいね」

姉「っ!」ズキッ

海未「あっ、すみません!強くしてしまったでしょうか!?」

姉「う、ううん。なんでもないの。前は自分で前は自分で洗うから、もう大丈夫よ」

海未「で、ですが…」

姉「海未は疲れてるのにお湯に浸かれないだなんて可哀想だわ。私が突然押しかけてきたんだから遠慮しないの」

海未「…わかりました、では先に失礼しますね」

40: 2016/05/29(日) 23:46:44.96 ID:jg3rS54r.net
チャプン

海未「はぁっ………あっ、すみません……///」

姉「声を上げちゃうのもしょうがないわよ、顔に疲れてるって書いてるもの」

海未「なにを言いますか…」

姉「表情が出過ぎってことよ。悪いことじゃないけれどね」

姉「ねえ知ってた?うちってお風呂が普通の家庭より少し広いらしいわよ。お母様に感謝しないとね」

海未「確かに…家のお風呂で足がいっぱいに伸ばせるというのは、んっ…素晴らしいですね……♡」

姉「こら、お風呂で寝ちゃダメよ?目がトロンってしてる」

海未「姉さんが…起こしてくれるでしょう?」

姉「それはそうだけど……なんだか今日は甘えたがりね?」

海未「すみません、気が抜けて……」

姉「構わないわ。海未は普段しっかりしすぎですもの。たまには姉として頼られたいわ」

姉(今のうちに、ね……)

41: 2016/05/29(日) 23:47:31.75 ID:jg3rS54r.net
姉「……~♪」ゴシゴシ

海未「………」ジー

姉「………♪♪」フニフニ

海未「………///」

姉「……ねえ」

海未「は、はいぃっ!」

姉「こうやって体を洗っていると、人の気配や視線を感じることってない?」

海未「そ、ソーデスネ……」

姉「……さすがにそこまで見つめられると恥ずかしいのだけれど……」

海未「す、すみませんでしたっ///」

海未「つい、見惚れてしまって……///」

姉「海未……それ結構危険発言よ」

海未「??」

姉「まだ自覚のある年齢じゃないか……」

42: 2016/05/29(日) 23:49:14.92 ID:jg3rS54r.net
ジャーーーー

姉「海未、私も入りたいから一旦上がってくれる?」

海未「あ、はい、そろそろ出ますのでゆっくり……」

姉「違う違う。あなたが居ないと意味ないの」

海未「えっ?」

姉「とにかく、一旦出て」

海未「はあ…」ザパァ

姉「ん、ありがと♡」チャプン

姉「じゃあ海未、入ってきていいわよ」

海未「えっ、それは…一緒に浸かるということですか!?」

姉「なんで驚いてるの、嫌なの?」

海未「嫌、なわけ…ないですけど」

43: 2016/05/30(月) 00:00:34.65 ID:R7if958C.net
海未「うぅ…わかりましたよ。それでは失礼しますね……」チャプン

姉「……ちょっと」

姉「なんで向かい合ってるの」

海未「せっかく広いのですから、こういう風に使ったほうがいいのでは?」

姉「正面から見られると恥ずかしいのよ///」

海未「え…そうですか?」

姉「大人はそうなのっ。ほら、こっちきなさい」ポンポン

海未「え……膝に乗れということですか?///」

姉「うん、こっちの方がいいわ」

海未「私は良くないのですが……//」ボソボソ

姉「そう言いながら乗ってくれるんだから、ほんとにいい子ね♡」ギュッ

海未「うぅ…///」

44: 2016/05/30(月) 00:01:15.28 ID:R7if958C.net
姉「海未の体…あったかい。すごく落ち着くわ……」

海未「そ、それは……よかったです」

姉「海未も遠慮しないで、寄りかかりなさい」グイッ

海未「きゃっ……」

姉「やっぱりお風呂なんだから、力を抜かないと」

海未「そう……ですね」クタッ

ふにゅんっ

海未「っ!///」ドキッ

姉「??」

45: 2016/05/30(月) 00:02:03.17 ID:R7if958C.net
海未「あの、姉さんはやっぱり……大人の女性、ですね」

姉「ん?……あ、胸のこと?」ムニュムニュ

海未「そ、そうですが…あまり押し付けないでください///」

海未「ことりちゃ……ことりは、みるみる女の子らしい体つきになっているんです。下着も…かわいらしいですし」

海未「穂乃果も…ことりほどではないですが、明らかに成長しています……」

姉(よく見てるのね……単純に思春期なだけ、よね?)

姉「気にしてるの?」

海未「……まぁ」

姉「成長期なんだから当然よ。個人差があるものだわ」

47: 2016/05/30(月) 00:09:53.27 ID:R7if958C.net
姉「海未と穂乃果ちゃんとことりちゃんとで違いが出てしまうのは…まあ、不安になるかもしれないけれど、あんまり心配する必要もないと思うの」

海未「で、でも……」

姉「でもじゃないっ」フニッ

うっみ「ひゃあっ!?」

姉「海未は私の妹だもの、絶対に成長するわ。三年後……あなたが高校生になってるあたりにはきちんと成長してる。だから……」モミモミ

海未「ちょ、ねえさんっ///くすぐったぁっ///」ビク

姉「あ……ごめんなさい」

姉(……妹相手に何やってるんだか)

48: 2016/05/30(月) 00:10:23.64 ID:R7if958C.net
姉「とにかく、いまは焦らなくていいの。よく寝て、きちんと起きて、運動する。いつも海未がしていることを続ければいいだけ」

海未「そう、ですよね。姉さんが言うのなら…そのままでいればいいのですよね」

姉「うん。……あなたくらいの年齢はそういう悩みを誰しも持っているはずだから、気楽に考えていきましょう?」

海未「……はいっ!」

姉「それじゃあ、そろそろ上がりましょうか?」

海未「あ、あのっ、姉さん」

姉「ん?」

海未「その……また、相談していいですか?」

姉「っ………うん、いつでも……」

海未「ありがとうございますっ!」パァァ

姉(ああ、やっぱり…言わないと)

49: 2016/05/30(月) 00:11:02.05 ID:R7if958C.net
3月15日

ことり・穂乃果「海未ちゃん、お誕生日おめでとう!」

海未(14)「ありがとうございます、私のためにこのような時間を取っていただいて…うれしいです」

穂乃果「当たり前だよ、一年に一度、一生に一度なんだよ?海未ちゃんの為の1日にしないともったいないよ!」

海未「そんな、おおげさな……」

ことり「大げさなんかじゃないよ、海未ちゃん。おばさまだって、快く家に招待してくれたでしょ?大切な日だよ」

海未「そう、でしょうか…」

50: 2016/05/30(月) 00:19:00.56 ID:R7if958C.net
ガラッ

母「二人の言う通りです。海未さん、今日くらいは力を抜いて楽しみなさい」

海未「お母様……」

ことり・穂乃果「おばさま、お邪魔しています」

母「二人とも、娘のためにわざわざ来ていただいてありがとうございます。今日はゆっくりしていってくださいね」

海未「………」ソワソワ

ことり「…海未ちゃん?」

海未「あの、お母様……姉さんは?」

母「あぁ、あの子は……寝ているみたいです。昨日遅くまで起きていたようですから、大目にみてあげてください」

海未「はぁ、そうですか……」

海未(姉さん……)

穂乃果「そういえば、海未ちゃんのお姉さん最近見ないなあ。穂乃果たちが小学生低学年の頃は、よくお勉強見てもらってたよね」

ことり「そうだね。真面目だけど陽気な人で…素敵な人だったなぁ」

海未「………」

穂乃果「…?海未ちゃん?」

海未「あっ、はい!すみません、ぼーっとしていて……今日は楽しみましょう?」

穂乃果「うんっ」

51: 2016/05/30(月) 00:19:43.10 ID:R7if958C.net
海未(それから、ご飯を食べたり、フ゜レゼントをもらったり、楽しく時間を過ごしました)

海未(姉さんがこの場に居ないのは……少し寂しかったですが、姉さんも大人です。私たちに混ざるのは恥ずかしいのだろうと、そう思いました)


穂乃果「あっ、ことりちゃん。もうこんな時間だ」

ことり「ほんとだ……そろそろ帰らないと怒られるね」

穂乃果「本当はお泊まりしたいけど……明日も学校があるからね」

海未「二人とも、今日はありがとうございました。一生の思い出になる時間を作ってくれたこと、感謝しています」

ことり「そ、そんな、言い過ぎだよ…///」

穂乃果「海未ちゃん、いつもは自分を縛るような生活してるから、そう言ってくれてよかった」

穂乃果「それじゃあ、また明日ね。海未ちゃん」

ことり「じゃあね、海未ちゃん♡」フリフリ

海未「はい、また明日」フリフリ

52: 2016/05/30(月) 00:20:10.52 ID:R7if958C.net
海未「ふぅ……」

母「お帰りになられたのですね」

海未「お母様、すみません。今から支度をしますので先に………」

母「ちょちょ、ちょっと、なにを支度しようとしているのですか」

海未「稽古ですが…」

母「海未さん……今日まで稽古はないでしょう…あなたが今からすることはお風呂に入ってぐっすり寝ることですよ。明日また会うのでしょう?風邪を引いては二人に申し訳が立たないと思わないのですか」

海未「お母様……そうですね、そうさせていただきます。……ありがとうございます」

海未「それでは、お風呂をお先に使わせていただきます」

53: 2016/05/30(月) 00:27:58.52 ID:R7if958C.net
ガラガラ

海未「ふぅ……いいお風呂でした……」

チラッ

海未(22時半……姉さんは降りてきているでしょうか)

海未「………」スタスタ

「海未」

海未「!姉さんっ」

姉「誕生日おめでとう」

海未「あ、ありがとうございますっ!」パァァ

姉「今から寝るところ?」

海未「はい、そのつもりですが……」

姉「よかったら、時間貰えるかしら?少し話しましょう?」

海未「は、はいっ!もちろんです!」

姉「よかった。じゃあ、部屋に来てくれるかしら」

海未「わかりました、すぐに行きますね」

54: 2016/05/30(月) 00:28:23.95 ID:R7if958C.net
コンコン

姉「いらっしゃい」ガチャ

海未「お、お邪魔します…」

海未(姉さんの部屋…とても久しぶりに入った気がします)

姉「そこに座ってくれる?」

海未「はい」チョコン

姉「ふぅ……」

姉「改めて、14歳の誕生日おめでとう、海未」

海未「ありがとうございます」

姉「昼の間はごめんね。その、恥ずかしかった…のもあるのだけれど、いろいろ考えてて…」

海未「色々……?」

55: 2016/05/30(月) 00:28:59.54 ID:R7if958C.net
姉「まず、フ゜レゼントのこと。結局なにが欲しいかわからなかったから、私の自己満足で選んだわ」

海未「姉さんの選んだものならなんでも嬉しいですよ。フ゜レゼントを貰えるだけでも嬉しいですのに…」

姉「そう言ってくれると嬉しいわ。ちょっと待っててね……」ガラッ

海未「……?」

姉「よいっしょ……」ドスン

姉「あと、これ……」ドン

海未「段ボール……?」

姉「こっちのおっきいのが衣服、小さい方がアクセサリー全般」

海未「え、えっと……?」

姉「ちなみに全部私の私物ね」

海未「あの…姉さん……?」

56: 2016/05/30(月) 00:35:57.88 ID:R7if958C.net
姉「海未に着て欲しいの、私のことを忘れないように………」

海未「ねえさんっ!」

姉「ん?どうしたの?」

海未「さっきから何を言ってるのかわかりません……!」

姉「…うん、そうよね。説明しなきゃだめよね」

姉「海未、よく聞いてね」

姉「私は、今月いっぱいで家を出ます」

海未「え…………」

姉「結婚するの」

海未「けっ……こん……?」

57: 2016/05/30(月) 00:36:37.92 ID:R7if958C.net
姉「だから、その結婚相手の人としばらく過ごします。戻ってくるのは……あなたが私の歳になった時くらい?」

海未「そういうことを聞きたいのではありません!」

海未「家を出るって……結婚って…どういうことなのですか!?」

姉「園田家の長女だから、ね」

海未「……そうにしても、なぜ今…よりによって、この日に言うのですかっ…!」

姉「………ごめんね」

海未「……なぜ、謝るのですか」

姉「臆病なお姉ちゃんで、ほんとにごめん」

海未「っ……!」スクッ

姉「あっ、待って海未っ!」ギュッ

パシッ

姉「っ………」ズキ

海未「っすみません……気持ちの整理がつかないので……もう、一人にしてください」ガチャ

姉「……海未」

58: 2016/05/30(月) 00:37:14.37 ID:R7if958C.net
チュンチュン……

海未(朝……ですか…)

海未(目が腫れている……どれだけ泣いたのでしょうか)

海未(夢……ではないのですよね)

海未(今日も朝練に行かなければいけないのに……体を動かす気力がありません)

海未(学校、いきたくないです…もうずっと目が覚めなければいいのに)



海未「………」

母「海未さん?おはようございます」

海未「……おはようございます」

母「朝食はテーブルの上に置いていますので、食べてくださいね」

海未「…はい」

59: 2016/05/30(月) 00:47:16.83 ID:R7if958C.net
パクパク

海未「ごちそうさまでした」

母「もういいのですか?」

海未「食欲がないのです……行ってきますね」

母「はあ、いってらっしゃい」

海未(…はやく、家から出ないと……)

姉「うみっ!」

海未「っ………」

姉「海未……その、いってらっしゃい」

海未「………」ガチャ

バタン

姉「………」

母「…もしかして、話したのですか?」

姉「…はい。昨晩話しました」

母「あの態度は…相当にショックを受けているようですね」

姉「……いつか、話さなければならないことですから」

60: 2016/05/30(月) 00:47:36.68 ID:R7if958C.net
放課後、剣道部

穂乃果「あっ、海未ちゃん!よかった、来てくれたんだ!朝練居なかったから心配になっちゃった」

海未「………」

穂乃果「海未ちゃん…?」

海未「………」

穂乃果「…わかった。熱はなさそうだし試合しよう。先生に許可取りに行ってくるから、着替えてて」

海未「………」

穂乃果「どうしたの?はやく」

海未「…はい」

61: 2016/05/30(月) 00:48:23.04 ID:R7if958C.net
バシーンッ!

「一本」

海未「っ!」

穂乃果「はぁ…はぁ……」

穂乃果(海未ちゃんに…勝った?いや……)

穂乃果「海未ちゃん、なんで全然動かないの?手抜いてるの?」

海未「………」

穂乃果「まだ余裕そうだね。もう一回やろう」

バシーンッ!

穂乃果「もう一回」

バシィッ!

穂乃果「なに座り込んでるの?立ちなよ」グイッ

ビシィッ!

海未「うっ……」バタッ

62: 2016/05/30(月) 00:58:42.99 ID:R7if958C.net
穂乃果「剣道場で寝ちゃだめでしょ。ほら、起きて」

海未「……ひぐっ…」

穂乃果「!」

穂乃果(泣いて……?)

穂乃果「海未ちゃん、面とるよ」シュル

海未「やっ……」ポロポロ

穂乃果「……海未ちゃん」

海未「もう…もういやぁ……」ポロポロ

穂乃果「っ!」

穂乃果(あぁ…海未ちゃんが、こんな……)

穂乃果(昔みたいに弱そうな顔をするだなんて…)ゾクッ

63: 2016/05/30(月) 00:59:09.33 ID:R7if958C.net
穂乃果(穂乃果が海未ちゃんの心を折っちゃったのかな…)ドキドキ

ザワザワ

穂乃果「っ」ハッ

ソノダサンナイテル…? ダイジョウブナノカナ

穂乃果「っせ、先生!ちょっと怪我したので保健室行ってきます!」

先生「あっ、はい……」

穂乃果「ほら海未ちゃん、いくよ?」

海未「うぅ……」グスッ

65: 2016/05/30(月) 01:09:13.33 ID:R7if958C.net
保健室

穂乃果(あ、でも…なやんでた…よね)

穂乃果(海未ちゃん、最初からボロボロになってたのかなあ……)

穂乃果(話して、くれるといいな)

海未「穂乃果………」

穂乃果「海未ちゃん」

海未「すみません、お見苦しいところを……」

穂乃果「こっちのがごめんだよ。……その、海未ちゃんを追い立てたの、わざとなの。何か悩んでたように見えたんだけど、話してくれないし……ちょっと腹が立っちゃって。……ごめんなさい」

海未「いえ、いいのです。…穂乃果に叩きのめされて少し気が晴れました」

穂乃果「そ、そう……それはよかった…のかな?」

66: 2016/05/30(月) 01:09:52.19 ID:R7if958C.net
穂乃果「……それで、何か悩みがあるの?」

海未「……はい」

穂乃果「話してもらえる?」

海未「……その、姉が…」

穂乃果「姉?海未ちゃんのお姉さん?」

海未「はい。……結婚してしまうらしいのです」

穂乃果「けっこん!?海未ちゃんのお姉さんが!?でもお姉さんって大学生じゃ……」

海未「卒業と同時に結婚相手の人と籍を入れるのではないでしょうか。今まで全くそんな素振りもありませんでしたが……」

穂乃果「うーん……そっか、結婚しちゃうんだ」

海未「それを言われたのが昨日あなた達が帰ったあとの事で、突然の事過ぎて今も動揺しています…」

穂乃果「昨日言われたんならそりゃそうだよね……」

67: 2016/05/30(月) 01:10:20.50 ID:R7if958C.net
穂乃果「それで、お姉さんにはなんて言ったの?」

海未「……なにも。ただ私が嫌な態度をとって突き放してしまいました」

穂乃果「そうなんだ……」

海未「私、どうすればよいのでしょうか。このまま姉さんと離れることになるだなんて……」

穂乃果「………簡単なことじゃん」

海未「え?」

穂乃果「仲直りして、悔いのないように過ごす。それだけだよ」

海未「そんな簡単に……!」

穂乃果「できるよ。だって、海未ちゃんとお姉さんが仲良しなの知ってるもん。私と雪穂より仲がいいと思うよ」

穂乃果「大丈夫、お姉さんも海未ちゃんのことが大好きだよ。きっとたくさん話したいって思ってる」

海未「でも…どう言えばいいのか……」

68: 2016/05/30(月) 01:20:13.51 ID:R7if958C.net
ギュゥッ

海未「んっ!?///」

穂乃果「ありのままを話せばいいんだよ、海未ちゃんに裏表なんてないんだから、お姉さんにも絶対にそのまま伝わるよ」ナデナデ

海未「穂乃果……///」

穂乃果「ほら、こんなことしてる場合じゃないでしょ?早くおうちに帰らなきゃ。お姉さんも待ってるよ」

海未「でも、部活……」

穂乃果「そんなの海未ちゃんとお姉さんの時間に比べたらどうってことないよ。先生には話しておくから、早く」

海未「穂乃果…ありがとうございます!」タッタッタッ

穂乃果「………」ニコニコ

穂乃果「はぁ……穂乃果も海未ちゃんのお姉ちゃんになりたかったな……」

69: 2016/05/30(月) 01:20:41.05 ID:R7if958C.net
海未「ただいま帰りました!」ガラッ

母「海未さん?早かったのですね」

海未「ね、姉さんはどちらに!?」

母「お姉ちゃんなら、自室にいますが……」

海未「わかりました、ありがとうございます!」



コンコン

姉「はい、どうぞ……って、海未」ガチャ

海未「………」

姉「…おかえりなさい」ニコ

海未「…すみませんでした!」ペコッ

姉「えっ……」

70: 2016/05/30(月) 01:21:17.79 ID:R7if958C.net
海未「勝手に機嫌を悪くしてしまって、姉さんの話を拒んでしまって、すみませんでした!」

姉「ちょ、ちょっと頭上げてよ。ついでに部屋の前でそんなことやられても困るから部屋入ってよ」

海未「ですが……」

姉「いいからはやく」グイッ

海未「ひゃっ…」

姉「とりあえずそこに座りなさい」

海未「許して……いただけるのですか?」

姉「許すもなにも、私も悪かったって思ってる。今まで黙ってたことも、あなたの誕生日に限ってあんなこと言ったのも」

姉「……怖かったの。あなたに伝えることが」

海未「姉さん……」

姉「もう、海未に毎日会えなくなると思うと胸が押しつぶされそうで……話すと海未に嫌われちゃうかも、って思うと……怖かった」

75: 2016/05/30(月) 12:23:01.18 ID:uNLiMTd5.net
海未「嫌うはずなんて…ないですよ」

海未「確かに、突然今月末に家を出るなんてことを言われてビックリはしました、それも結婚という形でなんて」

海未「そう思いましたが、やはり園田家の長女としての務めを果たすためですし、結婚ということなのですから祝福して然るべきことなのだと思います」

海未「……ですので、おめでとうございます、姉さん」ニッコリ

姉「………」ポロポロ

海未「ね、姉さん!?」

姉「グスッ……ごめんね、海未が知らない間に成長してたみたいで、うれしくて…」ゴシゴシ

姉「でも、よかった…海未と嫌な関係のままこの家を後にしたくなかったの」

海未「それは私もです。家を出る前に悔いが残らないよう、姉さんと色んな話をして過ごしたいと思って………」ハッ

海未「姉さん……本当に、家を出なければいけないのですか?」

姉「え?」

76: 2016/05/30(月) 12:26:09.68 ID:uNLiMTd5.net
海未「本当に、結婚しなければならないので………」

姉「だめっ」ギュッ

海未「っ」

姉「それ以上は、言わないで。……おねがい」

海未「姉さん……」ギュウッ

姉「……ねえ海未、もう1つ、伝えようと思ったことがあるの」

海未「…はい」

姉「……姉妹でこんなこと変だって、おかしいって思うかもしれないけれど…」

姉「私、海未が大好きなの」

海未「ぇ……」

77: 2016/05/30(月) 12:26:44.12 ID:uNLiMTd5.net
姉「あなたが産まれてから、私は姉として、園田家の長女としての道を歩まされて、色んなことをやらされて……」

姉「もともとそういう家柄だったとはいえ、次女のあなたに比べると自由の保障が効かないことで海未に嫉妬したわ」

海未「………」

姉「でも、それでも海未が私を姉として慕ってくれていることに喜びを覚えたし、その度に辛いことも頑張ろうって思ったの」

姉「ある日、海未に褒められると…いや、海未と会話を交わすだけで胸がキュッって締め付けられるようになって」

姉「私はすぐにその気持ちがなんなのかわかったわ、そういう年頃だったから」

姉「だから押さえつけようと思った。これはおかしいから、誰にも悟られないように押し殺そうって」

姉「でもね、そんな私の意とは反対にどんどんその気持ちが強くなっていくの。だって海未、どんどん女の子らしくなっていくんですもの」

姉「そんな最中結婚の話がきて、ああやっぱりおかしいことなんだって再認識させられたのだけど……」

姉「伝えておかないと、後悔しそうになっちゃって、今伝えたの……」

80: 2016/05/30(月) 12:31:19.74 ID:uNLiMTd5.net
姉「ごめんね、こんな急に変なこと言って。困るわよね」

海未「なにを言うのですか、私も姉さんのことが好きですよ」

姉「………はぁ、やっぱりわからないか」

海未「……?」

姉「あのね、私はお母様やお父様より、友達より………今度結婚する人より海未のことが好きなの」

姉「海未の好きってどれくらいの好きなの?お母様より私のことが好き?穂乃果ちゃんやことりちゃんと比べたらどうなの?」

海未「……え…それ、は……」

トン

海未「えっ……」ドサッ

姉「海未………♡」ギュッ

海未「ね、姉さん!?」

81: 2016/05/30(月) 12:31:47.26 ID:uNLiMTd5.net
姉「ねえ海未……チュウしていい?」

海未「チュウ…?き、キスのことですか!?」

姉「そうよ。…だめかしら」

海未「だ、駄目といいますか…おかしいでしょう……そんな……」

パッ

海未「えっ…」

姉「そういうことなのよ」

姉「私の海未に対する好きはおかしいこと。やっちゃいけないことなの」

姉「この話はこれで終わりね。…ごめんね、また変な雰囲気にしちゃって」

82: 2016/05/30(月) 12:32:33.04 ID:uNLiMTd5.net
海未(姉さん……どうしてそんな悲しい顔をするのですか……)

海未(あなたのそんな顔は、見たくないのです)

海未「……姉さん、こっちを向いてください」

姉「えっ……」

チュッ

姉「なぁっ……!?///」カァァ

海未「…い、いいですよ……姉さんなら、キス……」

姉「海未、だめよ……そんなのだめ……」

海未「んっ………」パチリ

姉「ぁ………」プツン

姉「…出来の悪いお姉ちゃんでごめんね、海未」チュッ

85: 2016/05/30(月) 12:40:20.42 ID:uNLiMTd5.net
姉「海未……♡」ギュッ

海未「姉さん……」ギュッ

姉「こんなこと、誰にもしちゃダメだからね?…私としたことも忘れて」

姉「……もししたかったら、海未がもっと大人になって、私より好きになれるひとがいたら、その人とだけしていいわ」

海未「…どういう、ことですか?」

姉「それは自分で考えなさい、そのうちわかるようになるわ」

海未「はい……」

姉「…ねえ海未、今日は一緒に寝ましょう?」

海未「はい、喜んで」ギュッ

86: 2016/05/30(月) 12:41:01.63 ID:uNLiMTd5.net
海未(その日から数日後、姉さんは家を出て行きました)

海未(最後に交わした言葉は……姉さんの『いってらっしゃい』でしたでしょうか)

海未(私が言うべきはずだったのに、いつものように私を送り出してくれて、まるでいつもと変わらない日常が流れているようでした)

海未(…姉さんは、私に大きな爪痕を残していきました)

海未(あれから数年、私は高校に入学して、姉さんの言っていたことを理解した…と思います)

海未(人を好きになるということ、愛の在り方……これらのことがわかってくると、姉さんとしたことの重大さが今更になってわかってくるのです)

海未(…そのおかげで、恋愛映画などは自分のことが思い出されてとても観られない性質になってしまいました)

87: 2016/05/30(月) 12:48:12.64 ID:uNLiMTd5.net
海未(今、姉さんのことを好きか?と問われると返答に困るのですが)

海未(ふと感傷的な気分になると、姉さんの幻聴が聞こえるあたり、わたしは……)

「……み、うみ……」

「海未っ」

海未「ん……」パチッ

絵里「起きなさい、海未」

海未「え…り……?って顔近っ…!?」ガタン

海未「ひゃあっ!?」ドシーン

絵里「……椅子から転げ落ちる人、初めて見たかも」クスクス

海未「笑い事じゃないです……」

88: 2016/05/30(月) 12:49:22.02 ID:uNLiMTd5.net
絵里「ごめんね、あんまりぐっすりなものだから、起こすのが躊躇われたのだけど…。でも、もうすぐ練習が始まるから」

海未「練習……随分、寝ていたのですね」

絵里「さあ?私も今来て部室で海未が机に突っ伏してるのを見ただけだから」

絵里「……ねえ、もしかして夢見てた?」

海未「……え?」

絵里「寝てる時、悲しそうな顔をしたり、幸せそうな顔してた」

海未「え……どうだったでしょうか……って」

海未「何ちゃっかり寝顔見てるんですか!///」

絵里「あら、バレちゃった?」クスクス

89: 2016/05/30(月) 12:49:59.56 ID:uNLiMTd5.net
海未「…夢、ですか。どうだったでしょうね……過去の夢を見ていたのかもしれません」

絵里「過去の夢?なにかやり残したことがあるの?」

海未「さあ……どうなのでしょうね。あったと言えば…あるのでしょうか」

絵里「『確かな今よりも~新しい夢~捕まえたい~』♪」

海未「え、絵里…?」

絵里「あなたが言ったことよ。過去を反省するのもいいけれど、次の目標を見つけることも大事なんじゃないかしら」

海未「……なんだか絵里は、私より1つ年齢が上なだけなのに、歳上の人というイメージを持ってしまいますね」

絵里「なにそれ。あんまり友達としてなかよくなれないってこと?」クスクス

海未「まさか、その逆ですよ。絵里のことをとても信頼できるということです」

絵里「そう言われるとなんだか照れるわね…//でも、ありがとう」

90: 2016/05/30(月) 12:50:34.52 ID:uNLiMTd5.net
海未「…ねえ絵里、私が将来、大好きになれる人ができるでしょうか」

絵里「それって恋人とかそういう話のこと?珍しい……」

海未「い、いいじゃないですかたまには///」

絵里「そうね……海未は弓道とかやってる姿が凛々しいし、とても美人だから好きになってくれる人はたくさんいると思うわ」

海未「顔で判断するような人とはお付き合いしたくありませんっ」

絵里「あら、心の底から見てくれるとかそういうの?そうなると難しくなると思うけれど……海未は素直だから、きっと心から愛してくれる人が居るはずだわ」

絵里「だから、海未もその人のことを心から真剣に見て、愛してあげて。大好きになるってそういうことだと思うの」

海未「絵里………」

ギュッ

絵里「えっ!?う、海未!?///」

海未「すみません……少し『被り』ました。しばらく、このままで……」

絵里「もう……急に甘えたがりになるんだから」

絵里「……案外、そういう大好きになれる人って近くにいるのかもね…♡」

91: 2016/05/30(月) 12:51:19.01 ID:uNLiMTd5.net

92: 2016/05/30(月) 12:57:10.16 ID:mnGdW9Ac.net
おつ
良かった

引用: 海未「シスターコンプレックス」