568:◆ORDERq/08U 2019/07/20(土) 22:18:51 ID:HQw3.uOA




前回はこちら


雪美さんといっしょシリーズ


301

モバP「床屋で髪を切ってもらった。すっきりしたよ」

雪美「……つるつるには……しないの……?」

モバP「そこまで全力でボケる気はない。俺は普通オブ普通の社会人だ」

雪美「……」ジーッ

モバP「言っとくが薄毛で悩んだりはしていないぞ? 特別剛毛って訳でもないが」

雪美「ふふっ……分かってる……」

モバP「でもな、散髪した後って何故かいつも体の調子がほんの少し崩れてしまうんだよ」

モバP「髪も体の一部なのだろうな。養分を一方的に吸うだけではなく、共有しているというか」

ちひろ「頭が軽くなって一時的に平衡感覚が崩れているんじゃないですか?」

モバP「髪の量が雪美さん並ならそうなるかもしれませんが、切ったのはほんの少しですし」

雪美「Pも……ウィッグ……着けてみたら……髪の重さ……分かるかも……」

モバP「腰まで届くロングヘアーにしたらどれだけ頭の感覚が変わるのかはちょっと興味あるな」

モバP「……ところでたまにはサイド三つ編み以外のちひろさんも見てみたいです」


ちひろ「指名料取るぞ?」

569: 2019/07/20(土) 22:22:39 ID:HQw3.uOA
302

モバP「夏と言えば、でアイドルには水着仕事は定番だ」

モバP「種類は様々あるが、未成年がよく着せられがちなのがスクール水着」

雪美「……着てると……思った……? 残念……いつもそう……甘くない……」

モバP「そんなガードが固い雪美さんもいい女やで」

雪美「……そう……?」

ちひろ「本当にガードが固かったら膝の上に座ってないと思うんですよ」

ちひろ「でもスク水って、こう言っちゃなんですけど、当時ダサいというか野暮ったく思ったものです」

モバP「地味で均一的で……でも学校アイテムは青春補正で素朴でも輝いて見えますよ、多分」

雪美「……青春……すごい……」

モバP「まあ今の学校指定水着ってスパッツ型セパレートタイプが多くて何か窮屈、というか運動着感が強いな」

雪美「スカートの方が……かわいく……見える……」

モバP「スカートはスカートで水泳するのに邪魔にならないか? と思わなくもないが」

モバP「雪美のはスパッツ型だからなあ。着てみたいのは分かるぞ」 ウン


ちひろ「どうして知っているんですかねえ」

570: 2019/07/20(土) 22:23:45 ID:HQw3.uOA
303

雪美「……」ジッ

モバP「雪美さんが物陰から顔だけ出してこちらをじっと見つめている」

モバP「保護したい」

モバP「無視できないから俺も雪美さんの方をじっと見てしまって仕事が手につかない」

ちひろ「これは雪美ちゃん依存症を起こしていますね」

ササッ

モバP「あ、隠れてしまった」

モバP「……よし、仕事するか」

雪美「……」ヒョコッ

モバP「と思ったらまた……」

雪美「……」ニコッ

モバP「……」ムラッ

ちひろ「おい待て何でそこで興奮する」

571: 2019/07/20(土) 22:25:24 ID:HQw3.uOA
モバP「誘っているんだろうが俺はここから動かんぞ」

雪美「……?」

モバP「雪美からこっちに来なければ俺の膝には座れない。さあどうする」

雪美「……」

モバP「さあさあ」

雪美「……P」

モバP「ん?」

雪美「一体いつから……ひざの上にいないと……錯覚していた……?」

モバP「……何っ!?」

雪美「……気づいて……私は……ここ……」チョコン

モバP「……??? どうして俺の膝の上に雪美がいる……? ではあそこにいる雪美は……いない!?」

モバP「……ウチの雪美さんの人間離れが半端ない」ナデナデ

雪美「……これが愛の……なせる業……♪」


ちひろ「幻影を見るようにまでなったか……まあ私も見えましたけど」

572: 2019/07/20(土) 22:26:55 ID:HQw3.uOA
304

仁奈「がおー! お姫さまは渡さねーでごぜーますよ!」

モバP「ぬぬぬ、現れたな強そうなドラゴンめ」

仁奈「これでも喰らいやがれくださいですよ! うがー!」ボバアアア

モバP「熱っ! くっ、こんなん貰ってたら薬草がいくらあっても足りねえぜ」

モバP「こうなりゃ短期決戦だ、覚悟っ!」シャキン

モバP「でやああああっ!!」

テレレレレーン

仁奈「きゅ~……」

モバP「はぁはぁ……やっと静かになったか。こっちが美味しく焼き上がっちまうところだった」プスプス

モバP「さて……ローラ姫様、遅くなりました。今助けに参りましたぞ」

雪美「……おお……勇者さま……」

モバP「!?」

雪美「!?」ビクッ

573: 2019/07/20(土) 22:28:38 ID:HQw3.uOA
モバP「……いやぁ、何か思ったよりも幼いお姫様ですね」

雪美「……勇者さまは……思ったよりも……大きい……」

モバP「ハハハ、言うね。大きいのと小さいのとで案外釣り合っているかもしれないな」

雪美「……うん」

モバP「さて、こんな辛気臭い洞窟とはおさらばしやしょうぜ」

雪美「……」(つ゚-゚)つ

モバP「……モンスターが出たら降ろすぞ?」

雪美「……」コク

ザッザッザ ギュイーンギュイーン(キメラ)

モバP「そんなことがあってやっとドラゴンの手からローラ姫を救い出した」

モバP「しかしラダトームに着いたのは夜だったので、仕方なく町の宿屋に泊まることとなった」

テレレレテテテーン

葵「おはようございます。ゆうべはおたのしみでしたね」

モバP「!?」

雪美「!?」ビクッ

574: 2019/07/20(土) 22:29:59 ID:HQw3.uOA
葵「ふふふ、照れんでも良いっちゃ良いっちゃ」ニヤニヤ

雪美「……///」

モバP「今何となくその場の流れに乗ったな?」

葵「で、どこまでやったんよ?」

モバP「言えるかそんなの。王様に引き渡さねばならんのに」

雪美「……勇者さま……夜も……勇者さま……」

モバP「ベタな下ネタやめんか。ほら、行きますよローラ姫」

雪美「朝ごはん……まだ……」

葵「用意しとるけん☆」

モバP「……まあ、これまで幽閉されていて食事もロクに取れなかっただろうから仕方ないか」

雪美「……よく……種や木の実……もらった……。……ドラゴンさんに」

モバP「あ、貰っていたのか」

雪美「おかげで……スプーンより……重いものも……持てる……」フンス

モバP「力の種投与されまくったかあ……」

575: 2019/07/20(土) 22:31:45 ID:HQw3.uOA
【食事後】

葵「でも勇者さん、隅に置けないっちゃ。町娘さんとも何度も泊まったけんね?」

雪美「……」ジト

モバP「だって後ろに着いてくるんだもん。いろいろ試すだろう?」

モバP「どうにかして旅に連れて行けないかと思ってねえ。勇者ロトは三人連れだったらしいのに俺は一人旅だし」

雪美「……このローラも……つれていって……くださいますね……?」

モバP「そんなひどい」

雪美「それ……私の……セリフ……」

モバP「連れて行きたいのは山々なんですがまだ竜王を倒していないから……」

葵「ほうほう……倒したら責任取ると?」

モバP「……責任取る前に言質を取られそう」

仁奈「もういっそ竜王もみんなで倒せば良いんでごぜーますよ」

モバP「!?」

雪美「!?」ビクッ

仁奈「!?」ガタッ

576: 2019/07/20(土) 22:33:55 ID:HQw3.uOA
雪美「ドラゴンさん……ついてきた……の……?」

仁奈「負けたからお仕事なくなりやがりました。がんばったのに……」

モバP「俺がやったこととは言え、何か気の毒になってきた」

雪美「勇者さま……」

モバP「ドラゴンよ、昨日の敵は今日の何とやらだ。共に行くか?」

仁奈「良いんでごぜーますか? ルールとか、その……」

種バ種「ルール? なぁに大丈夫だ、戦闘に参加せずともちょいと種を集めてきてもらえりゃ……」

葵「目が種になっとるっちゃ」

――

モバP「これが我々の前世または別次元の出会いだったんじゃ……。続く」

雪美「……そうだったのかー……」

ペロ「ニャー」

ハナコ「ワン?」

ぴにゃこら太「ぴにゃー……」


ちひろ「動物その他にもいいかげんな話をするな」

577: 2019/07/20(土) 22:36:01 ID:HQw3.uOA
305

モバP「雪美と一緒にドラえもんを見ていたんですが」

ちひろ「本当、何でも見ますねえ……」

モバP「宿題をやってもらうのに二時間後と四時間後と六時間後と八時間後の自分を呼び出すって斬新ですよね」

ちひろ「そんな回ありましたね。ただ斬新と言っても初出は半世紀近く前とかだと思うんですけど」

雪美「……半世紀……五十年……?」

モバP「情報が無いと五十年前なんて想像がつかないよな」

雪美「私が……生まれる前から……世界がある……ふしぎ……」

ちひろ「とりあえず、使えるひみつ道具はありそうなのにあの選択をしちゃうドラちゃんはちょっとポンコツだと思います」

モバP「そうかな? 自分も未来から自分を何人か借りてきてみたいものですがね」

ちひろ「やろうぶっころしてやるされるかもしれませんよ?」

モバP「大丈夫。未来の自分は未来に返さずに借りパクしますから」

ちひろ「未来こわれる」


雪美「……未来を……盗んだ男……P……」

578: 2019/07/20(土) 22:37:47 ID:HQw3.uOA
306

モバP「夏場の印象的な格好の一つに裾結びというのがある」

モバP「グラビアではシャツを使ってビキニやショートパンツと組み合わせることが多いな」

雪美「……着てると……思った……? ……着てる……」キラキラ

モバP「突発的に大胆になる雪美さんがまた好きです」

雪美「……そう……///」

ちひろ「ガードが固いのはどうした」

モバP「裾結びはへそ出しでなくてもいろいろオシャレにアレンジができるから良いぞ」

モバP「まあ今の雪美さんはばっちりへそ出しだが」

雪美「……変じゃ……ない……?」

モバP「ああ。煽情的もとい健康的で大変なことにいや大変よろしい」

雪美「……」ホッ

モバP「へそ出しに慣れたら今度はベリーダンスの衣装とか着てみないかい?」


ちひろ「この大人は……」

579: 2019/07/20(土) 22:38:56 ID:HQw3.uOA
307

雪美「……こんにちは……」

ちひろ「あら、雪美ちゃん。ごめんなさい、今プロデューサーさんは不在です」

雪美「……いない……? ……残念……」

ちひろ「もう少ししたら戻ってくるかもしれませんから、待っていますか?」

雪美「……うん」

テクテク

雪美「……」ジッ

ちひろ(……プロデューサーさんの席にまっすぐ向かって行きましたね)

雪美「……よ……っと」

雪美「……Pの……イス……、今は……私の……」チョコン

ちひろ(微笑ましい)

ちひろ(……私も社長がいない間に社長室の立派なイスに座ってみたいと思うことはありますけど、それとは違うなあ)


雪美「……P……まだかな……♪」

582: 2019/07/27(土) 22:11:13 ID:Nj3qvC2U
308

心「やっほ、プロデューサー」

モバP「あれ、ちひろさんじゃない。ちひろさんどこ?」

心「お姉ちゃんとはぐれた少年みたいだなおい☆」

心「ちひろちゃんはお休み。はぁとが代役だぞ♪」

モバP「わぁいはぁとちゃん、Pはぁとちゃんだいすき。カシューナッツみたいなツインテール」

心「カシューナッツ言うな。これ結構作るの時間かかるんだぞ」

モバP「アイドルが事務員の代役してて良いんですかね……?」

心「急に素に戻らないのっ。はぁとが直々に手伝ってあげるよ♪ 嬉しいだろ? ハイって言え☆」

モバP「はい、よろしくお願いしますね」

雪美「心……Pも……こんにちは……」

モバP「おお雪美。Ich liebe dich!」

雪美「……Danke」


心「甘ぁ~い! はぁとよりスウィーティーだし何故かドイツ語だし?」

583: 2019/07/27(土) 22:13:11 ID:Nj3qvC2U
309

モバP「天然パーマで羽が生えていて金属を齧ったり分裂したりする妖精アイドルが欲しいです」

心「プロデューサーったら、ガッちゃんなんかアイドルにして何をする気だ☆」

モバP「世界征服はできそうですよね。ゴム以外何でも食べるようだとアイドル事務所は廃業になりそうですが」

心「可愛い顔で『クピプー』じゃすまないな♪ 変なこと言ってないで仕事しろよ☆」

モバP「分かってますって。それはそうとモノマネ上手いっすね」

心「はぁとのこと惚れ直した? んもう、もっと素直に褒めてくれても良いんだぞ?」

モバP「じゃあもう一回お願いします。次はしっかり録音もするので」 ヤメロヨ☆ 

雪美「ゴムは……かじれない……斬鉄剣も……こんにゃくは……切れない……」

モバP「下手に硬い物より柔らかい物の方が苦手、とはコミュニケーションにも通ずるものがあるな」

心「フワフワぽよぽよしてる子ほど何考えてるか分からないってのはあるかも?」

モバP「カービィかな? まあ、人の考えていることなんてそう分かるものじゃありませんがね」

雪美「……Pは……私のこと……分かってくれる……のに……?」


心「プロデューサーと雪美ちゃんは人並以上の関係ってことか♪ 砂糖吐くぜ☆」 サトウダケニ? オイコラ☆

584: 2019/07/27(土) 22:17:54 ID:Nj3qvC2U
310

モバP「外暑いっすね心先輩」

心「はぁとって呼んで♪ てか心さんまでは良いとして先輩って何だよ☆ はぁとはそんなにパイセンか?」

モバP「はぁと」

心「うん、なぁに?」

モバP「あなたは休憩時間にお茶じゃなくてタピオカジュースを持ってくるんですね」

心「良いじゃんタピオカ☆ スウィーティーでトロピカルだぞ」

モバP「まあ良いでしょう。それにしても空調効いた事務所から出るとムワりますよ。参っちゃう」

心「プロデューサーは飛び回るのが仕事だから大変だわな~」

モバP「そして戻ってきてみれば何故か目の前には事務員服のしゅがーはぁとですよ。新鮮!」

心「うふふー、もーっとはぁとを見てくれても良いんだよ♪」キラキラ

雪美「……便乗……」キラキラ

モバP「ミニ事務員服の雪美さんまで……! 剥き身のエビをぶら下げられているに等しいな」

心「プロデューサーに喜んでもらえるから着てるんだもん♪ それっ、昂れ昂れ~☆」

585: 2019/07/27(土) 22:20:23 ID:Nj3qvC2U
モバP「」シュウウウウウ

心「ヤバい、プロデューサーから煙が出てるっ!」

雪美「P……もどっておいで……」

モバP「呼び戻されました」

心「便利な構造してるんだな☆ ……アイドルが全員サキュバスになっても良いようにはしとけよ?」

モバP「この世の終わりかな?」

雪美「……でも……この服……スカートの……スリット……大胆……///」

モバP「改めて言われると意識して見てしまうんだが」

心「意識しなくても清純派雪美ちゃんの腰つきをチラチラ見てただろ? はぁとも見ろよ☆」

モバP「……」ジッ

心「きゃっ、そんな熱い視線を注がれたら~……おい、目を細めすぎだぞ。そんなに眩しいか☆」

モバP「こんなミニのタイトスカートが正装になっているちひろさんや音無小鳥さん、七草はづきさんといった世の中の事務員さんは凄いですね」

雪美「……いなくて分かる……ちひろさんの……すごさ……」


心「本人はそういう所で分かってほしくはなかったと思うけどな☆ まっ良いか♪」

586: 2019/07/27(土) 22:23:50 ID:Nj3qvC2U
311

モバP「雪美さんは夏場でも相変わらず体を寄せることを厭わない」

雪美「……寄らば……大樹の……陰……」

モバP「それが落ち着くと言うのなら良いが、汗とかニオイとか、こうしてほしいというのがあれば遠慮なく言ってくれよ?」

雪美「……ん」コク

モバP「……思えば、以前はもう少しプラトニックな距離感だった気がするな。いつからこうなったか」

雪美「……Pと……私が……けんかした……日……」

モバP「ああ、そんなこともあったな。あれだけ強く衝突したのは初めてだった」

モバP「雪美が泣いたんだった……。表情を変えず、声も出さず、ただ涙だけが溢れ出すように流れていって」

モバP「それを見た時、俺はとんでもない喪失感に苛まれて、年甲斐もなく一緒に泣いてしまった」

雪美「……Pに……初めて……強く……抱き締められた……」

雪美「たくさん……謝られた……。……それから……ずっと……抱き合って……後は……よく、覚えて……ない……」

モバP「それからだろうか、何だか共依存みたいな状態が始まってしまったのは」

雪美「……」

587: 2019/07/27(土) 22:25:06 ID:Nj3qvC2U
モバP「喧嘩の理由など肝心なことが思い出せないし、あれはただ変な夢を見ていただけなのかもしれない」

モバP「それにしては共通してリアルな出来事として記憶に残っているのが不可解だ」

雪美「……」

モバP「もうこの話はやめようか。……そういえば、雪美を背負うことはあまりなくなったな」

雪美「……えっ? ……そう……?」

モバP「膝に座らせたり抱える方が頻繁なせいか、最近は背中が寂しいね」

雪美「……じゃあ……今度は……おんぶ……して……?」

モバP「任せろ!」

雪美「……でも……あなたの……背中……、いつ見ても……大きい……」

雪美「……頼りがい……あって……少し……うらやましい……」

モバP「俺は雪美に頼られることに幸せを感じるから問題ない」

雪美「……ずるい……私だって……Pに……頼られたい……」

イチャイチャ


心「やっぱりはぁとも喋らせろよ☆」

588: 2019/07/27(土) 22:27:27 ID:Nj3qvC2U
312

雪美「……」チョコン

モバP「……心先輩も膝に乗ってみます?」

心「じっとしてるのは性に合わないから乗らないぞ☆」

雪美「……でも……本当は……?」

心「はぁともあすなろ抱きしろよお兄ちゃん☆」

モバP「……ん? お兄ちゃん?」

心「痛い姉を見るような視線と歳を示唆する反応はやめろ☆ はぁとが妹だったって良いだろ?」

モバP「現実ではお姉ちゃんだから、妹になってみたい願望は分かります」

雪美「心は……妹……いる……」

心「ラブリーマイシスターよっちゃんが実家にね♪」

モバP「よっちゃんさんとはこの前会いましたが……心先輩が溺愛するのも頷けます」

心「何勝手に会ってんだよおい☆ ってマジ?」

モバP「お姉ちゃんトークで盛り上がりましたよ。先輩愛されてますね」

心「後で詳しく聞かせてもらうからな☆」

589: 2019/07/27(土) 22:34:16 ID:Nj3qvC2U
モバP「それはそうと、創作世界では姉より妹の方が優秀にされがちな風潮ありますね」

心「人のコンプレックスをあまり抉るなよ☆」

モバP「まあ序列と逆転してるから目立つだけで実際統計的にそうなのかは怪しいもんです」

モバP「個人的には長女長男としての立場の苦悩とかは理解できるので、そういう時はお姉ちゃんを応援したいです」

美嘉「プロデューサーがアタシを応援してくれると聞いて」

モバP「おお美嘉。美嘉は例えばお姉ちゃんなりの妹へのジェラシーとかある?」

美嘉「あるよ。莉嘉、人と仲良くなるのがめっちゃ上手いんだよね。ほんと太陽みたいな子っていうか」

美嘉「アタシはプロデューサーの前だから素に戻って言うけど、結構根暗だし、莉嘉とは正反対かも」

モバP「それでも理想のカリスマギャルになるべく、強気で努力しているんだよな」

美嘉「姉としてギャルとして尊敬されてるから頑張らないとって思うし、やっぱり莉嘉が可愛い」

心「莉嘉ちゃんは周りを引っ張る力があって、誰にでも好かれたり慕われるタイプだな♪ 姉でなくともそう勝てる子はいないっしょ☆」

美嘉「そうやって莉嘉のこと褒められると何かアタシまで嬉しくなるんだよねー……ヘヘ★」

モバP「ふむ、姉妹は仲良しが一番だな。これ以上の平和があろうか、いやない」

美嘉「……ところでプロデューサーの膝に乗る雪美ちゃん、いつ見ても良いなあ」


雪美「ここが……私の……特等席……」

590: 2019/07/27(土) 22:38:19 ID:Nj3qvC2U
313

モバP「時間があったので社内ジムのフィットネスバイクを使用させてもらっている訳だが」

雪美「……」

モバP「これでもかとペダルを漕いでいる所を雪美さんに見つめられているのは恥ずかしいな」

モバP「しかもスポーティーな半袖とショートパンツ姿でいられたらこちらも見ない訳にはいかない」

モバP「っと、坂道モードで重くなった……」

雪美「……」

モバP「雪美は何もしないのか?」

雪美「……Pを……見ていたい……」

モバP「そっかー」

――

モバP「ふう、このくらいにしとこかー」

雪美「……おつかれさま……堪能できた……」ツヤツヤ

モバP「何か潤ってる」

591: 2019/07/27(土) 22:41:09 ID:Nj3qvC2U
モバP「それにしても、ジムのこういうのを見るたびにこれで発電できたらな、と思う」

雪美「……発電……?」

モバP「ああ。例えば自転車の前輪に付いている発電ライトだ」

モバP「自力で漕げば漕いだ分だけ光る――自給自足で夜道もより安全だ」

雪美「……」コク

モバP「これがジムなら運動して鍛える為にペダルを漕ぐだけで、副産物で電気まで作れる」

モバP「作れるのに発電装置が無いとその漕いだエネルギーが利用できないのが勿体無く思ってしまう」

モバP「……まあ、一人が発電できる量は頑張って漕いでも僅からしいがな」

雪美「みんなでやれば……大きな力に……ならない……?」

モバP「アイドルはみんなで大きな力になるが、自転車発電は実際は費用対効果が見合わないのかもしれん」

モバP「SFではよく見かけるんだがな。奴隷や囚人なんかが自転車漕いで電気を作ってそれを売って生活」

晶葉「科学がより進歩すれば、発電効率が上がって夢じゃなくなるかもな」

雪美「……晶葉。……晶葉も……運動……?」

晶葉「籠ってばかりいても良くないからな。このランニングマシーンで、発電してる気になってリフレッシュだ」


モバP「つもり貯金みたいだな」

592: 2019/07/27(土) 22:44:26 ID:Nj3qvC2U
314

モバP「百貨店デパートなどに行くと、化粧品売り場を通ることがある」

モバP「そこ、すごい甘い、甘ったるい匂いがするんだよ」

雪美「……私は……平気……」

モバP「そうか? クラクラしないか?」

雪美「……大丈夫」

モバP「大丈夫か。でも、カーチャンの化粧品もあんな匂いだったな」

モバP「男だから慣れないのかなあ」

雪美「……」

モバP「……」スンスン

モバP「こうして膝の上にいる雪美さんの匂いには、もうすっかり慣れたがな。安心する匂いだ」

雪美「……におい……かがれると……はずかしい……」

モバP「ちょっと調子に乗った。すまない」

雪美「……いい……でも、最近……Pのにおいが……薄くなってる……。……もっと……包んで」


心「これではぁと、じゃなくて心が折れないちひろちゃんは凄いなーって☆」

593: 2019/07/27(土) 22:48:12 ID:Nj3qvC2U
315

ザザーン

モバP「ウェミダー!」

雪美「……何語……?」

モバP「わぁ、これが346プロ所有のプライベートビーチですかー」

モバP「洞窟からしか入ってこられない入り江に砂浜……秘境だな」

雪美「……ロマンチック」

モバP「ただ、立地的に来づらくて不便なのであまり利用されていません」

モバP「という訳で、我々が現状視察に来ました」

芳乃「調査員一号でしてー」

七海「調査員二号れすよ~」

風香「ちょ……調査員三号です……」

雪美「……調査員……四号……」キリッ

モバP「……どう見ても遊びに来たようなメンバーだなあ」

594: 2019/07/27(土) 22:52:26 ID:Nj3qvC2U
モバP「じゃあプロデューサースキルで手早く周辺調査してくるんで」

シートシキーノパラソルタテーノニモツオキーノ

モバP「君たちはこのあたりで砂の感触や水の冷たさ、水着の着心地などを調査していてくれたまえ」

「「「「はーい」」」」

――

モバP「ふーむ……この辺りは危険な野生動物がいる訳ではないし、そもそも手入れはしっかりされている」

モバP「景観を考えると人工物は入れない方が良いのだろうが、どうも物寂しい。小屋とか置けないかな」

モバP「いろいろと浮かぶアイデアを報告書にぶち込みまして……こんなもんか」

モバP「ただいまー」

風香「あっ……おかえりなさい」

モバP「風香一人か。みんなは……って」 スクッ

風香「Pさん! えっとですね、えっと……こ、この水着、どうですか?」バッ

モバP「……目の前でラッシュガード脱いで見せつけてくるとは驚いた気合いの入り方だ。無論とても良い」b

風香「ご、ごめんなさい……じゃなくて、ありがとうございます///」

595: 2019/07/27(土) 22:56:48 ID:Nj3qvC2U
――

モバP「いかん、あのボディーで胸の開いたビキニは下半身に悪い……芳乃はこの辺にいるんだったか?」

芳乃「あっ、そなたー」

モバP「芳乃も水着に着替えていたんだな。芳乃は市松模様や縦縞横縞がよく似合うな」

芳乃「そなたが好きだと言いますのでー、紐のような物の方は諦めましてー」

モバP「紐なんて着られたらこっちの理性がポップコーンのように弾け飛んでしまうわい」

芳乃「失せ物探しはお手の物ですー。そなたの理性も拾い上げて見せましょうー」

モバP「言いおるわ」

モバP「それでどうした、その大きな貝は。拾ったにしては大きいな?」

芳乃「ふふふー、実はー、そなたを待ち伏せしていたのでー。ぶおおー♪ ぶおおー♪」

――

モバP「あれー? おかぴーぞー? 一瞬で岩場に移動したなあ」

モバP「お、七海じゃないか」

七海「プロデューサー! 七海はこうして釣りをしているのれすよ~」

モバP「君らは相変わらず自由に行動し過ぎだよなあ」

596: 2019/07/27(土) 23:05:30 ID:Nj3qvC2U
七海「プロデューサーと海に来るのは久しぶりれすね」

モバP「ああ」

七海「……あっ///」

モバP「?」

七海「何かあの時の記憶が甦ってきたれす。あわわわわ……釣りは平静釣りは平静」

モバP「ハハハ、でも七海はこうして見るとやっぱり海が似合う。釣りをする姿も様になっているよ」

七海「もう……プロデューサーは女たらしれす!」 クイクイ

モバP「おい、引いてるぞ」

七海「わっ!? ちょっ!」

――

モバP「さて、俺も少し泳いでみるとするか……って何だこの水着布地少なっ」

モバP「誰がこんなハイビスカスブーメランとすり替えたのか……あっボイスレコーダーだ」

麗奈『アンタもたまには恥ずかしい目に遭うといいわ! アーッハッハッ……ゲホゲホ』

モバP「………………まあすぐ着替えるから我慢しよう」

597: 2019/07/27(土) 23:07:48 ID:Nj3qvC2U
【着替えタイム】

モバP「……はぁ、サポーターだけ穿かされてる気分だ」

モバP「どれ、準備体操はしっかりとやっておきましてっと……そういやあいつら準備体操したのか? 日焼け止めは?」

オイッチニ オイッチニ

モバP「合流したら聞くか。さあ入ろう」

チャプ

モバP「……おお、やっぱり海水は海水でなかなか冷たいな。少しすれば慣れるか」

モバP「少し深いところまで行ってみようか……」

ザバザバザバ ザバッ!

モバP「うわっちょ!?」

雪美「……P……おそい……」ダキッ

モバP「雪美さん……何してたんすか」

雪美「ゴーグルして……海の中……見ていた……」

598: 2019/07/27(土) 23:12:11 ID:Nj3qvC2U
――

モバP「ふう。不意打ちするから何か未確認生物に襲われたかと思った。でも良かった、雪美で」

雪美「……私になら……おそわれても……良い……?」

モバP「雪美さんは鮫のように齧ってきたりはしないだろうからな」

雪美「……」

モバP「ふう……しかしやっぱり波打ち際に座る程度が良いや。深い所は何か嫌な感じがする」

モバP「昔溺れかけたことがあるせいかな。プールじゃ平気なのにな、ハハハ」

雪美「……ごめんなさい……」

モバP「気にするな。それより水着、スカート付きのビキニか。うーん、いつまでも見ていたい姿だな」

雪美「……じゃあ……もっと近くで……見て……」

ポスン

モバP「雪美さんは遠慮が無いなあ」

雪美「それは……Pの……せい……。たぶん……」

雪美「……P」

モバP「……雪美」

599: 2019/07/27(土) 23:13:29 ID:Nj3qvC2U
風香・芳乃・七海「……」ジーッ

モバP「……お前らもいつの間にか近いな」

雪美「……」キョトン

芳乃「皆で平等にー、そなたとの時間を求めたゆえー」

七海「でもそこまでいくとずるいれす~」

風香「……」ドキドキ

モバP「分かった。この辺で個別面談は終わりとして、後はみんなで遊ぼうじゃないか」

雪美「……ざんねん……もうちょっと……だったのに……」

風香「ところでPさん、そ、その水着……」 エ?

「「「!?」」」

「へ、変態れす///!」「そ、そなた……///」「……すごい///」

雪美「……あっ」

雪美「……///」カーッ

モバP「……自分なりの釈明はしたいが聞き入れてもらえるかなあ、これ」

600: 2019/07/27(土) 23:18:11 ID:Nj3qvC2U
――

ブロロロ

モバP「やれやれ系もびっくりなやれやれだ。結局がっつり海で遊んだよ」

モバP「幸い曇っていたし日焼け止めはしっかり塗っていたからみんな今後の活動に支障は出まい」

モバP「俺の立場的な支障は知らんが、この子たちは物分かりが良い方だから大丈夫なはずだ」

雪美「……」スゥスゥ

芳乃「……」スゥスゥ

七海「……」スピー スピー

モバP「みんな車ではよう眠っとるわ。疲れたかな」

風香「Pさん」

モバP「あ、一人は起きてるパターンでしたか。何だい風香」

風香「その、今日はありがとうございます。また少し、自分を変えられた気がします」

モバP「それは良かった」


風香「あと、常識も少し変わりました」 ダメダッタ

602: 2019/08/03(土) 22:21:51 ID:gJZfIBXk
316

モバP「言うまでもないことだが雪美さんはクールだ」

モバP「無愛想とまではいかないが表情や感情の起伏は大きくなく、ちょっとやそっとでは動じない」

モバP「だから天然で思わぬボケを披露したり、不意にドキッとさせる言動をしたり、良い意味でこちらのペースを乱される」

雪美「……」ウツラウツラ

雪美「……っ!」

雪美「……」キョロキョロ

雪美「……P……どこ……? さっきまで……いたのに……いない……」

モバP「後ろだ」

雪美「……そこに……いたの……」ホッ

雪美「…………私の……そばに……いて」

モバP「……!」ズキューン

モバP「……不覚にもその言葉に堕ちた。――雪美も離れるな。俺のそばにいろ」


雪美「……」ドキドキドキ

603: 2019/08/03(土) 22:23:17 ID:gJZfIBXk
317

モバP「はぁ……」

雪美「P……どうしたの……?」

モバP「俺がピアノ経験者ということがどこからかバレてしまって、一曲弾いてよ、とアイドルたちにせがまれてさ」

モバP「謙遜しながら仕方なく満を持して披露したら、何か思ったよりも下手になっていた」

雪美「……がっかり……された……?」

モバP「致命的な下手じゃないが上手くもない、ネタにもならない微妙なムードというか……うん」

モバP「こういうのは続けていないと腕が鈍ってしまうんだなと思い知ることになった」

雪美「……Pの……そんな、かっこわるい所も……Pらしさ……」

雪美「でも……ピアノ……弾けるの……すごい……」

モバP「女子にモテたくて一時猛練習していたからな。おかげで指使いは研ぎ澄まされ」

モバP「こう見えても学生時代はゴールドフィンガーと呼ばれていた」ワキワキ

雪美「……そう……私は……Pの……ゴールドフィンガーに……いつも……弄ばれて……」


モバP「……下ネタだなあ。ごめん」

604: 2019/08/03(土) 22:24:39 ID:gJZfIBXk
318

モバP「雪美よ、アイスでも食べるか」

雪美「……」コク

モバP「よし分かった。こういう時の為に冷凍庫に入れてあるものがある」

ガチャ パタン

モバP「これよこれ。チューブアイスだ」

雪美「……すき」

モバP「では半分に割るぞ」

雪美「……」コク

モバP「……集中」

カッ

モバP「せいやっ!」

パキッ

雪美「……割れた……」

605: 2019/08/03(土) 22:29:51 ID:gJZfIBXk
――

シャリシャリ

雪美「……冷たくて……おいしい……」

モバP「夏は普通のアイスクリームやかき氷のような氷菓も良いが、何かやっぱりこれが好き」

雪美「……二人で……分けられるの……良い……」

モバP「お一人様ならただ冷やしてから取っ手をねじってそこから中のシロップを吸う食べ方もあるようだが、喉にくるんだよな」

モバP「だからよくこうして誰かと分けて食べていた」

雪美「……割るの……手……汚れなかった……?」

モバP「コツを掴めば、きれいに分かれなかったり飛び散ったりせずに割れる」

雪美「本当……?」

モバP「まあ良い子は真似せずにハサミとかで割るのが良いのかな?」

モバP「柔いと割るのに失敗しやすいが、半冷凍くらいのが美味いのが悩ましい」


雪美「……P……少年の目……してる」クスッ

606: 2019/08/03(土) 22:31:10 ID:gJZfIBXk
319

モバP「たまに雪美から感じられる猫っぽさを挙げようと思う」

雪美「……?」

モバP「暑い時はそうでもないが、一眠りする際に体を丸める時がある」

モバP「膝を曲げて横向きに寝る雪美さんを見ると、鍋に丸まって寝る猫を連想する」

雪美「…………無意識」

モバP「いや実は俺も結構そうなっていることがある。狭い所好きな性質が寝相に出てしまうのか知らないがな」

ンナア

雪美「……ペロが……いっしょに……おひるね……しようって……言ってる……」

モバP「ペロからお誘いか……猫の睡眠時間は一日で平均十四時間。薄明薄暮性で朝と夕が主な活動時間」

モバP「夏は特に日中が暑いからな。気温の下がってきた夕方あたりが動きやすい……と言っても都会の夏は夕方でも暑いが」

雪美「……おひるね……しないの……?」

――


モバP・雪美・ペロ「Zzz……」

607: 2019/08/03(土) 22:34:23 ID:gJZfIBXk
320

モバP「日本のお菓子にしては良い形をしているな、と思うものに鈴カステラがある」

雪美「……」モクモク

モバP「この鈴のようでいてウキや栗のような目を惹く上下二色」

雪美「……」ハムハム

モバP「……雪美は何をしていても、食べ方一つ取っても絵になるなあ」

雪美「……」ゴクン

雪美「Pは……これ……何で……知った……?」

モバP「ローゼンメイデンの翠星石が美味しそうに食べてるイラストを見かけたのがきっかけで」

雪美「……ほー」

モバP「俺はアニメやゲームで美味しそうな食事シーンを見ると、同じ料理を食べたくなる病なんだ」

雪美「……私も……。例えば……トムとジェリーの……ゼリー……とか」

ガシッ

モバP「雪美ってば本当、気が合うな!」


雪美「……Pったら……大胆……///」

608: 2019/08/03(土) 22:36:28 ID:gJZfIBXk
321

モバP「雪美、卓球しようぜ」

雪美「……?」

モバP「今度の仕事で卓球やるかもしれないだろ? ちょうど遊戯室に卓球台が入ったんで練習しとこう」

雪美「……良いの?」

モバP「周りが慣れているのに自分だけずぶの初心者だと疎外感が出たりするからな」

モバP「というか旅館で風呂上がりに浴衣をはためかせて卓球する雪美さんが見たい」

雪美「……それは……ともかく……、うん……やる……」

モバP「よし。そのやる気がまずは何よりの強みだ」

――

カコッ カコッ カコッ

キュィィィィン コンッ

雪美「……やった」グッ


モバP「ボールが物凄い変化したぞ今。というか初心者じゃない?」 …ウン

609: 2019/08/03(土) 22:38:04 ID:gJZfIBXk
322

モバP「雪美は暑さが苦手である」

モバP「またそれを我慢しがちな性格のため、体調には気をかけてやりたい」

雪美「……夏祭りや……プールは……好き……」

モバP「雪美は喋るのがあまり得意でない」

モバP「ただし意思表示を嫌う訳ではなく、彼女なりのペースで伝えようとしてくる」

雪美「……」ジーッ

モバP「雪美は大きな音を好まない」

モバP「怯えてしまうのと、小さな声で伝えたい言葉をかき消されてしまうのを怖れる」

雪美「……聞こえなかったら……悲しい……」

モバP「そんな雪美だが、なかなか充実した生活を送っていると言える」

雪美「……みんなが……そしてあなたが……優しくしてくれる……から……」

モバP「たまには静けさの中で彼女の息遣いに耳を澄ませてみるのも良いだろう」


雪美「……それでは……また……あした……」

611: 2019/08/10(土) 22:28:32 ID:0S2KCAG6
323

雪美「……」テクテク

雪美「……!」ササッ

モバP「……」スタスタ

雪美「……」ジーッ

モバP「……??」

モバP「……」スタスタ

雪美「……」テクテク

スタスタ テクテク

モバP「……?」

クルッ

雪美「……あっ……気づかれた」

モバP「何か御用かな? それともスニーキングミッション?」


雪美「……P……見つけると……うれしくて……尾行……したく……なる……」 ホドホドニナー

612: 2019/08/10(土) 22:34:20 ID:0S2KCAG6
324

モバP「夏休みといえばキャンプよな」

モバP「大自然の中でテントを張ってカレーライスを作ったり夜に天の川を見たり」

雪美「……だれと……行くの……?」

モバP「家族と、ということもあれば小中学生対象のサマーキャンプに親から派遣されることもある」

モバP「夏休みだからって家でダラダラすんな、修行してこいって感じで」

雪美「……そんなこと……あるの……?」

モバP「ああ。当然ダルいとか言って行きたがらない子もいる。不便な非日常の環境に置かれる訳だから」

モバP「だが終わってみれば友達も作れて楽しい良い思い出になるものさ」

雪美「……キャンプ……」

雪美「……Pと……私と……みんなで……行きたい……ね」

モバP「アイドルをやっていると却ってそういう機会が巡って来にくいだろうからなあ」

紗南「行くならやっぱり連れにキャンプガチ勢がいると良いよね」

モバP「だな。俺はアウトドア用品を見るのは好きなんだが、大抵はそれで満足しちゃう頭でっかちだ」


紗南「Pさん、PCで登山グッズとかよく検索してるもんね」 ア、ミタナ?

613: 2019/08/10(土) 22:40:42 ID:0S2KCAG6
325

モバP「暑い夏――アイドルたちの疲労も溜まってきている」

モバP「屋外では容赦のない日差しと高温。屋内でも舞台に立てば、照明に熱を浴びせられる」

雪美「……」クタッ

モバP「おつかれさま、雪美」ナデナデ

雪美「……ん」

比奈「ソファーでプロデューサーの膝枕にうつ伏せしてる子は初めて見たっス」

モバP「比奈も疲れたろう。無理してないか? 俺が少しでも肩代わりできたら良いんだがな」

比奈「してないっスよ。プロデューサーと一緒でスね」

モバP「おや、俺が無理していないとは心外……いや否定はしないが。では、割と余裕?」

比奈「手を抜いている訳じゃないっス。ただ、倒れたり怪我したりして迷惑かけたくないでスからね」

比奈「無理して原稿を落としては元も子もないのと同じでスよ」

モバP「さすが眼鏡を外すと覚醒する美人だ。考え方が立派」

比奈「マンガのそういうキャラ好きっスけど……描く側の私がそれに当てはめられると何か恥ずかしいっスね」

614: 2019/08/10(土) 22:44:39 ID:0S2KCAG6
モバP「ところで、お疲れならマッサージなどしませんか?」

比奈「男のプロデューサーが女のアイドルにマッサージってそれなんて」

モバP「変なもんじゃありませんよ。通信教育で習った本場のテクニックをご堪能あれ」

比奈「それって本場と言えるんスかね……?」

モバP「ちなみに、雪美さんには既に施術済です」ポン

ピクンッ

雪美「あっ……! ふぅ……」

比奈「……小学生相手にいろいろと何してるんスか」

雪美「これ……とても……よく……きく……。……おすすめ……」クタッ

モバP「どうです~? やりませんか~? ぐひひひひ」

比奈「怪しすぎるっスよ! ここは私が止めなきゃいけないんスよね!?」

亜季「P殿のマッサージでありますか! 是非とも受けてみたいものですな!」

比奈「」

――


比奈「あ……肩が軽くなった……」 ワタシモデアリマス!

615: 2019/08/10(土) 22:47:52 ID:0S2KCAG6
326

モバP「むむむむむ……」

雪美「……P……何してる……の?」

モバP「ああ、スマホに液晶保護フィルムを、ズレたり気泡ができたりしないように貼ろうとしているところだ」

モバP「――よし、できた」

雪美「……P……結構……器用……?」

モバP「几帳面なだけで不器用な方さ。まあこんなもんだろう」ポチポチ

雪美「……見えない」

モバP「覗き見防止タイプのだからな。昔集めていたレンチキュラーのシールやカードみたいだ」

雪美「じゃあ……こうする……」

ムニッ

モバP「頬っぺた同士をくっつけるのってかなりの恋人ムーブじゃないですかね」

雪美「……こ、恋人じゃ……ねーし……」テレッ


凛「恋人というか……正妻ムーブ?」

616: 2019/08/10(土) 22:51:01 ID:0S2KCAG6
327

モバP「雪美さんは座っている時は何かイス状の物に腰掛けていることが多い」

モバP「では畳や芝生といった段差のない所ではどうだろう」

雪美「……」チョコン

モバP「体育座りです」

モバP「しかもスカート……ふおおおお」

雪美「……?」キラキラ

モバP「今日はあなた、長いのじゃなくてミニ気味のフリルワンピースなのよ?」

雪美「……ふぅ……これ……涼しい……」

モバP「それで体育座りって、何とは言わないが見えちゃうでしょ? 脛で絶妙に隠せてはいるものの」

雪美「……」ジト

モバP「でも見えそうで見えない――これが良い。この角度が一番魅力的だ」

モバP「顔はもう少し物憂げに、視線は逸らして……うん、完璧ね!」

雪美「……P……欲求を……隠さなく……なってる……?」


モバP「夏の雪美さんの肌色に堪え兼ねてポンコツ化してるなと我ながら」

617: 2019/08/10(土) 22:54:43 ID:0S2KCAG6
328 

雪美「P……それは……時計……?」

モバP「これは懐中時計だな。成人祝いに祖父から貰ったアンティークだ」

雪美「……おおー」キラキラ

モバP「小さい頃に見せてもらってからずっと欲しいと思っていた物だから、それはもう嬉しかった」

雪美「……すてき……」

モバP「元々鎖がないから吊るすことはできないが、俺のとても大切な宝物だな」

雪美「……それなら、いつか……Pに……鎖を……プレゼント……したい……」

モバP「他の誰でもない雪美に、鎖を補ってもらえるならこれ以上の幸せはないな」

モバP「だが、鎖を買う為に黙ってその長い髪を切って売ってしまったりはしないでくれよ?」

モバP「俺は俺で雪美に、とびきり良い櫛をプレゼントしたいと思っているからな」

雪美「でも……そんな行き違いも……きっと……しあわせ……かも……」

雪美「”賢者の贈り物”……知ってる……」

モバP「良い話だよな、あれは」


モバP「それはそうと、以前は懐中時計って海中でも使える防水時計だと勘違いしていたなあ」 チガウノ?

618: 2019/08/10(土) 23:04:20 ID:0S2KCAG6
329

モバP「おやおや、こんな所にカラフルな海苔巻きかな?」

メアリー「ダーリン、それはカリフォルニアロール、ヨ。アタシが作ったのだから間違わないでほしいワ」

モバP「何と……すまんなあ。おっちゃん流行り物には疎くて。パッと見た感じだと色的にソイシートかと思ったよ」

雪美「……ソイシートも……はやりもの……だぞ……」 ソウカ?

モバP「で、これメアリーが作ったのか? へぇ、本格的だなあ……いや、本格的カリフォルニアロールは見たことないが、雰囲気がね」

メアリー「レディーなら母国の料理も作れて当然ダワ♪ さ、食べて?」

モバP「はむ……んん……おお! アメリカ料理にしてはなかなかエスニックだな。美味い!」

メアリー「本当? 嬉しいワ、ダーリン。ウフフ」

モバP「じゃあ俺はメアリーにジャパニーズ海苔巻きを御馳走しよう。ポークたまごおにぎりだ!」ジャン

メアリー「何コレ! おっきなスパムと玉子焼きが……ワイルドダワ!」

雪美「それ……日本というか……沖縄……」 マアヒトクチドウゾ

――


雪美・メアリー「おいしかった」ニパッ

619: 2019/08/10(土) 23:05:55 ID:0S2KCAG6
330

モバP「……ちょっくら休憩するか」

ボスン

モバP「事務所のソファーの座り心地はいつでも快適だな」

ガチャ

雪美「……」

モバP「?」

テクテク

雪美「……」

ポスッ

雪美「……ちょっと……休憩しに……来た……」

モバP「奇遇。俺と同じだな」

雪美「Pも……? …………同じで……良かった……」ポテッ

モバP「膝の上じゃなく隣に座って寄りかかってくるのはいつもと違うな」


雪美「……今日は……ひかえめ……。……でも……これも……いい……」

620: 2019/08/10(土) 23:06:42 ID:0S2KCAG6
おまけ7

ちひろ「プロデューサーさん、私は事務員じゃなくてアシスタントですからね」

モバP「失礼致しました。訂正してお詫びを申し上げます」

ちひろ「まあやっていることはアシスタントの域を超えているとは思いますけどね」

モバP「……」

ちひろ「……」

モバP「……私のアシさん、かぁ」

ちひろ「アシさんはやめて」

おまけ8

モバP「ニッポンの夏はいつからこんなってくらい暑いなぁ。雪美は大丈夫か?」

雪美「……」

雪美「……私は……兵器……」オメメグルグル

モバP(……アカン)

621: 2019/08/10(土) 23:08:26 ID:0S2KCAG6
今日はここまで
またすこし しあわせになった。イーペーコー

622: 2019/08/11(日) 09:45:12 ID:aKCwZsA6
春菜「は?(威圧)」

比奈は眼鏡かけてても美人だろいい加減にしろ!
というかむしろ眼鏡かけてる時の方が好き(隙あらば自分語り)


to be continued...→


引用: モバP「雪美さんといっしょ」