1: 2023/11/20(月) 20:00:29 ID:/rk84QKU00
~ある日の同好会・部室~

ガチャ

しずく「こんにちは~、ってまだ栞子さんだけ?」

栞子「ええ、まだ誰も来てません。」

しずく「そうなんだ、お茶でもして待ってようか。」

栞子「あの、私しずくさんに聞きたいことがあるのですが……」

しずく「えぇっ?何、改まって。」

2: 2023/11/20(月) 20:02:10 ID:/rk84QKU00
栞子「はい、しずくさんはどうして演劇にのめり込むようになったのかと気になりまして。」

しずく「え?言ってなかったっけ。」

栞子「いえ、私が同好会に入る前にあったこと(アニガサキ第1期第8話参照)は璃奈さんやかすみさんから軽く聞いています。幼いころから古い映画やお芝居が好きだったって。演じてるときが堂々としていられるっていうのも……」

しずく「もう、かすみさんも璃奈さんもお喋りなんだから。ていうか改めて人から聞かされると何だか恥ずかしいからやめて欲しいかな。」

栞子「ああっ、すみません!!しずくさんが演劇が好きな理由はなんとなく分かりましたが。でも、その、何かきっかけとかあったのかなと思いまして。」

しずく「うーん、きっかけかは分からないけどそういえば昔こんなことが……」

3: 2023/11/20(月) 20:04:08 ID:/rk84QKU00
~八年前・鎌倉の小学校~

先生「今日は学芸会の劇の配役を決めたいと思います。」

クラスメイトA「はーい、しずくちゃんが主役でいいと思いまーす。」

しずく(小学生)「いやっ……私には無理だよ……恥ずかしいし……」

クラスメイトB「私も桜坂さんがいいと思いまーす。」

先生「でも、みんなしずくちゃんを推薦してくれるし頑張ってみない?」

しずく「うぅ……でも……」

しずく「どうしよう、みんなの前でなんて……私、照明とか道具係がよかったのに……」トボトボ

しずく「早くお家かえろ……」

4: 2023/11/20(月) 20:05:22 ID:/rk84QKU00
しずく「……。」トボトボ

ドンッ!

しずく「痛っ……!!」ズデーン

女の子「ああっ!!よそ見してて……ごめんね!?ケガしてない?」アタフタ

しずく「だ、大丈夫……。」スクッ

5: 2023/11/20(月) 20:06:34 ID:/rk84QKU00
女の子「そうだ!この辺の子?道に迷っちゃったから教えて欲しいんだけど……」

しずく「いいけど、どこへ行くの?」

女の子「ええっとねぇ~、しおりしおり~」ガサゴソ

『遠足のしおり 東京都〇〇区立××小学校』

しずく「遠足できたの?」

6: 2023/11/20(月) 20:07:35 ID:/rk84QKU00
女の子「うん!でもはぐれちゃって。4時に……何だっけ?だいふく?のところに行かないといけなくって。」

しずく「大福?和菓子屋さんなら小町通りにあるけど……」

女の子「うーん、なんか違う気がする……しおり見てみるね……」パラパラ

しずく「もしかして、大仏……?」

女の子「それ!だいぶつだよ!」

しずく(あんまり頭良くないのかな……)

7: 2023/11/20(月) 20:09:18 ID:/rk84QKU00
女の子「そうだ!お名前はなんていうの?」

しずく「し、しずくだけど……」

女の子「しずくちゃんっていうんだ!じゃあしず子だね!」

しずく「しず子……?」

女の子「うん、しずくちゃんのあだ名!!」

8: 2023/11/20(月) 20:10:15 ID:/rk84QKU00
栞子「ちょ、ちょっと待てぃ!!!」バーン

しずく「え?どうしたの?栞子さん。相席食堂?」キョトン

栞子「コホン……。突っ込みたいあまり口調が乱れてしまいました……。でも、しずくさんのことをそんなあだ名で呼ぶ人そうそう何人もいないと思うのですが……」

しずく「……?どういうこと?栞子さん、取り乱しちゃって珍しいね。続きお話していい……?」

栞子「は、はい……よろしくお願いします……。」

栞子(どうして私が取り乱したみたいになってるんでしょうか……)シオォ…

しずく「それでね……」

9: 2023/11/20(月) 20:11:49 ID:/rk84QKU00
しずく(小学生)「……。」トボトボ

女の子「でねでね~、おやつは五百円までって先生いうんだけど、コッペパンはおやつじゃないから大丈夫だよね~」

しずく「……。」トボトボ

女の子「わあ!!大きい神社!!」

しずく「八幡様だよ。見る?」

女の子「すごく広いね!あ、お賽銭持ってない……うーん、これでいいや!」つコインチョコ

しずく「ええ……罰当たっちゃうよ……」

10: 2023/11/20(月) 20:12:52 ID:/rk84QKU00
女の子「あれ……?しず子、元気ないね。コッペパン食べる?」

しずく「うん……ありがとう……」モグモグ

しずく「学芸会でね、劇をやるんだけど。私、主役に選ばれたんだ……」

女の子「ええ、すごいじゃん!!」

しずく「でも……私、みんなの前で劇なんて……うまくできなかったらどうしよう、変なのってからかわれたらって思うと……」

11: 2023/11/20(月) 20:14:16 ID:/rk84QKU00
女の子「そっか。……でも、やってみないと上手くできるかどうかは分かんないじゃん。そうだ!私いいもの持ってるんだ~」ガサゴソ

女の子「はい、これ!」

『新しい国語 二年』

しずく「(同じ学年なんだ……)遠足なのに、教科書?」

女の子「うん、この前のテストでね、22点取っちゃってね~。先生が、遠足連れていくかわりにバスの中で勉強しときなさいって言うんだ~。」ヘラヘラ

しずく(なんでこんなに楽しそうなんだろう……)

12: 2023/11/20(月) 20:14:58 ID:/rk84QKU00
栞子「ちょ、ちょっと待てぃ!!!」バーン

しずく「もう、またどうしたの?栞子さん。」

栞子「す、すみません……ですが!!世の中にそうそう22点なんて取る頭の悪い子供がいるとは思えないのですが……」

しずく「ま、まあ確かに頭は良くなかったかもだけど、そんな子も中にはいるんじゃないかな……?」

栞子「は、はあ……。すみません、続けてください。」

栞子(もう、突っ込むのは止めておこう……)

13: 2023/11/20(月) 20:15:50 ID:/rk84QKU00
女の子「じゃあ、お地蔵さんやるからしず子はおじいさんの役ね!」

しずく「私おじいさんなんだ……」

女の子「……。」ジィ……

しずく「えぇっ!?どうしたの……」

女の子「……。」ジィ……

しずく(もう、役になりきってる!?)

14: 2023/11/20(月) 20:17:12 ID:/rk84QKU00
しずく「コホン……。これはこれは、お地蔵様。雪が積もって寒いでしょう?この笠を被ってください。」

女の子「……。」ジィ……

女の子「はいカットぉ!!しず子めちゃくちゃ上手じゃん!!こんなに上手なのにやらないなんて勿体ないよ。」

しずく「そ、そうかな……私、映画やお芝居が好きで……あぁっ!変な子だと思ったよね……?」ションボリ

女の子「全然そんなことないよ。しず子はきっと将来、だいじょゆう?になれるよ!!」

15: 2023/11/20(月) 20:17:55 ID:/rk84QKU00
しずく「ふふっ。ありがとう。なんか、私にもできるかもって思えてきたよ。」

女の子「その意気だよ、しず子!!学芸会がんばってね!!」

しずく「ほら、大仏様だよ。学校の人たち、いる?」

女の子「うーん、探してみる!!しず子、かすみんを連れてきてくれてありがとう!!」

17: 2023/11/20(月) 20:18:50 ID:/rk84QKU00
しずく「とういう感じで、その子があまり褒めてくれるものだから自信がついて……」

栞子「ちょ、ちょっと待てぃ!!!いまかすみんって……いや、もう突っ込むのは止めておきます……」

しずく「おかげで劇も大成功で、それ以来ずっと映画を見たり本を読んでは真似てみて、気付けば演劇を志すようになってたんだ。」

しずく「あのとき、あの女の子に会ってなかったら、私がいま演劇やってることもなかったのかな。いま、どこで何してるのかな……」

栞子「いや、うん、すぐ近くでスクールアイドルやってると思いますよ……。」

しずく「うん?どうしたの、栞子さん。思ったよりいい話で感動しちゃった?」

栞子「ええ、もう、そういうことで大丈夫です……」ゲッソリ

おしまい

18: 2023/11/20(月) 20:20:49 ID:/rk84QKU00
短いですが以上です。鎌倉行ったら遠足の子供がいっぱいいたのでこんなことがあったらいいなと思って書きました。お読みいただいた方、ありがとうございました。

20: 2023/11/20(月) 22:30:06 ID:9DjuFLA.00
おつおつ

引用: しずく「演劇を始めたきっかけ?」