2: 2016/06/10(金) 02:45:24.50 ID:R/uG6QwF.net
にこ「どうしよう……確かここに立てておいたのに」

にこ「誰かに持っていかれちゃったのかしら……はぁ」

にこ「カラーコーンでもかぶって帰ろうかしら」

希「お困りのようやね」

にこ「のぞみぃ……」

希「ほな、うちが送っていくからお入り」

にこ「うぅ、感謝するわ」

3: 2016/06/10(金) 02:46:15.33 ID:R/uG6QwF.net
希「傘泥棒とは、うちの学校にも不届きな輩がいたもんやね」

にこ「いいの。あれ500円で買ったビニール傘だから」

にこ「誰かが間違えて持って帰っちゃったのよ、きっと」

にこ(中学から使ってたから、それなりに愛着あったんだけどね……)ションボリ

4: 2016/06/10(金) 02:46:59.06 ID:R/uG6QwF.net
希「……にこっち。ほら、アジサイ」

にこ「きれいね」

希「アジサイって、うちにぴったりやと思わへん?」

にこ「紫色だから?安直ね」

にこ「するとにこは、ピンクのタチアオイかしら」

希「んー、でも」

にこ「なによ」

希「そこまで背ぇ高く、ないやん?」

にこ「うっさいわね」

5: 2016/06/10(金) 02:48:02.09 ID:R/uG6QwF.net
にこ「ねー、希」

希「んー?」

にこ「この傘折り畳みだから、二人じゃ窮屈でしょ?」

希「ちょっぴりね」

にこ「私、この辺まででいいわ」

希「遠慮しなくてええんよ」

にこ「嫌なのよ」

にこ「あんたの左肩が濡れてんのが」

6: 2016/06/10(金) 02:49:01.09 ID:R/uG6QwF.net
希「うちだって、にこっちが冷たい思いするのは嫌なんよ」

希「それにな」

希「しばらく、このままでいたいから」

にこ「なにそれ」

希「あ、名案思い付いた」

にこ「どんな?」

希「うちがにこっちを抱っこして歩くんや」

にこ「ちょっとそこのアイドルショップで雨宿りするわ」

7: 2016/06/10(金) 02:49:43.35 ID:R/uG6QwF.net
希「……」ムー

にこ「なーに不満そうにしてんのよ」

にこ「この次はもっと大きな傘を持ってきなさいよね」

にこ「私も、希とこうして話すの嫌じゃないから」

希「そかそか」ニコニコ

にこ「今日はありがと」

にこ「明日ね」

8: 2016/06/10(金) 02:50:26.81 ID:R/uG6QwF.net
にこ「♪~」シャンシャン

花陽「あれ?にこちゃん」

にこ「わっ」

花陽「それ、A-RISEの新譜?私も試聴していいかな」

にこ「……ん。どうぞ」

花陽「♪~」シャンシャン

9: 2016/06/10(金) 02:51:09.11 ID:R/uG6QwF.net
にこ「やっぱりいいわよね、A-RISE」

花陽「こんな天気だからこそ、カラッとした曲は嬉しいね」

花陽「ところで、にこちゃんの傘は?」

にこ「それがね……」

~~~~~

花陽「そっか、無くなっちゃったんだ」

にこ「正直、ちょっと凹むわね……」

花陽「ね、にこちゃん」

花陽「私の傘、入ってほしいな」

13: 2016/06/10(金) 02:53:08.07 ID:R/uG6QwF.net
にこ「えー」

花陽「嫌?」シュン

にこ「あんたが濡れるのがね」

花陽「それなら大丈夫だよ!」

花陽「ほら、この大きさなら二人とも濡れないよ!」

にこ「ほんとね」

花陽「それに予報だと、まだまだ止まないみたいだよ?」

にこ「むぅ」

花陽「……」キラキラ

にこ「……じゃあ、お願いしちゃおうかしら」

花陽「!!」パアァ

14: 2016/06/10(金) 02:54:02.76 ID:R/uG6QwF.net
花陽「♪~」ツヤツヤ

にこ「あんた、楽しそうね」

花陽「にこちゃんとこうして歩きたかったの」

にこ「それはどーも」

にこ「こういう場合じゃなかったら、私も手放しで喜べたんだけどね」

花陽「それに、雨垂れの音って好きだから」

にこ「詩人ね。海未に弟子入りしたら?」

15: 2016/06/10(金) 02:55:02.44 ID:R/uG6QwF.net
花陽「凛ちゃんもね、今日は教室でウキウキだったの」

にこ「いるわよね、嵐が来るとやたらハイテンションになるヤツ」

花陽「休校だー!ってものすごい勢いで飛び出していっちゃった」

にこ「……ねー、花陽」

花陽「なあに?」

にこ「なんでナチュラルに、手ぇつなぐのよ」

花陽「だって、せっかくの相合い傘だから」

花陽「ダメかな?」

にこ「ダメじゃないけど……」

にこ(花陽の手、ぷにぷにで気持ちいい……なんて言えないわよね)

16: 2016/06/10(金) 02:55:52.54 ID:R/uG6QwF.net
にこ「しっかし私もあんたも不良よね」

にこ「早く下校するよう通達されてんのに、アイドルショップに寄り道なんて」

花陽「もう帰らないとね」

にこ「なんか風が出てきたけど、大丈夫?」

花陽「そういえば、天気予報で強風警報が出ていたよね……わっ」

ビュウオオオオ

ベキベキボキ‼

花陽「」

にこ「」

17: 2016/06/10(金) 02:56:54.63 ID:R/uG6QwF.net
花陽「……にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「ごめんね……」

にこ「あんたのせいじゃないでしょ。むしろ感謝してるわ」

にこ「傘、残念だったわね」

花陽「うん……」

にこ「さて、いつまでも余所様のビルで雨宿り、ってわけにもいかないわよね」

にこ「LINEで応援を頼もうかしら」

花陽「それなら大丈夫。凛ちゃんがすぐ来てくれるって」

にこ「ふーん。なーんか心配ね」

にこ(手、そろそろ離していいんじゃないかしら……)

18: 2016/06/10(金) 02:57:32.62 ID:R/uG6QwF.net
凛「にゃにゃにゃにゃにゃー、凛ちゃんレスキュー参上!(>ω<)/」

花陽「ありがとう凛ちゃん!助かったよぉ!」

にこ(黄色のレインコートがこの上なく子どもっぽいわね……)

にこ「ってあれ、あんた傘は?」

凛「ふふん。にこちゃん、今忘れてきたと思ったでしょ?」

凛「凛はそこまでバカじゃないにゃー!ほら!」

花陽「……凛ちゃん」

凛「んー?」

にこ「あんたまさか、その折り畳み一本だけ?」

凛「あ」

19: 2016/06/10(金) 02:58:50.42 ID:R/uG6QwF.net
凛「にこちゃんごめんなさいにゃー」ショボン

花陽「ねぇ、この傘やっぱりにこちゃんが使った方が」

にこ「いいっつの」

にこ「あんたのおかげで、ここまで移動できたわ」

凛「あーん、凛のバカバカバカー!」

にこ「あんたの気持ちはしっかり受け取ったわよ」

にこ「近くにお気に入りの喫茶店あるから、そこで時間潰すわ」

花陽「わかった。じゃあね……」

にこ「花陽」

にこ「今日は楽しかったわ。また一緒に帰りましょ」

花陽「……うんっ!」

20: 2016/06/10(金) 02:59:33.00 ID:R/uG6QwF.net
喫茶店

にこ「はぁー、あったまるわ」

にこ「雨の日とコーヒー。なんだかアダルトな気分ね」

にこ「決めた。今日は砂糖もミルクも入れないわよ」

にこ「……にが」

ブーンブブッ

にこ「あら?真姫ちゃんからLINEだわ」

21: 2016/06/10(金) 03:00:18.59 ID:R/uG6QwF.net
まきちゃん:どこにいるの?

にこ:いつもの喫茶店

まきちゃん:誰といるの?

にこ:一人よ

まきちゃん:そこで待ってて

にこ:捕まっちゃーう(/ω\)

22: 2016/06/10(金) 03:01:03.95 ID:R/uG6QwF.net
カランカラン

真姫「お待たせ」

にこ「早いわね」

真姫「凛から聞いたわ。傘がないなら、すぐ呼びなさいよね」

真姫「私の方が頼りになるんだから」

にこ「ありがと」

にこ「でも、真姫ちゃんだって一本しか持ってきてないじゃない」

真姫「スミマセン、私も彼女と同じものをお願いします」

にこ「聞きなさいよ」

23: 2016/06/10(金) 03:02:08.90 ID:R/uG6QwF.net
真姫「……う゛ー」

にこ「やせ我慢しないでお砂糖入れなさい」

真姫「にこちゃんこそ」

~~~~~

にこ「真姫ちゃん」

真姫「なによ」

にこ「なんでわざわざ、カップくっつけて置くのよ」

真姫「特に意味はないわ」カミノケクルクル

~~~~~

真姫「希がアジサイなら、凛はヒマワリね」

にこ「花陽はタンポポかしら」

真姫「私は……まあ、強いて言うならバラかしら?」

にこ「それ、自分で言っちゃう?」

にこ「だいぶ話し込んじゃったわね、そろそろ帰りましょ」

真姫「そうね。これ以上ひどくならないうちに」

にこ「あら」

にこ「雨、いつのまにか止んでるわ」

真姫「え」

24: 2016/06/10(金) 03:03:06.56 ID:R/uG6QwF.net
にこ「台風一過の青空って気持ちいいわねー」

真姫「そうね」

にこ「街がいつもよりキラキラして見えるわね」

真姫「そうね」

にこ「本当によかったわ。これで濡れずにすむもの」

真姫「そうね」

にこ「ねー、真姫ちゃん」

真姫「なによう」

にこ「機嫌悪いの?」

真姫「べ、別に!ふんっ!」

25: 2016/06/10(金) 03:04:28.01 ID:R/uG6QwF.net
にこ「じゃあ、明日ね」

真姫「次はすぐ私を呼びなさいよね」

にこ「わかったわかった」

~~~~~

にこ「んー、いろんな人に助けてもらっちゃった」

にこ「これで傘が帰ってくれば、言うことなしなんだけど」

「オーイ!」

26: 2016/06/10(金) 03:05:05.23 ID:R/uG6QwF.net
にこ「あら、穂乃果」

穂乃果「にこちゃん!よ、よかった見つかった!」ゼーハー

にこ「そんなに息切らして、どうしたのよ」

穂乃果「……ごめんなさい!」スッ

にこ「ビニール傘?……あ!これにこの傘だ!」

27: 2016/06/10(金) 03:06:05.27 ID:R/uG6QwF.net
穂乃果「私、自分のと間違えてにこちゃんの持って帰っちゃって」

穂乃果「家に帰ってから名前に気がついて、大急ぎで学校戻ったけどもういなくて!」

穂乃果「本当にごめん!」

にこ「まあ、ビニール傘なんてパッと見じゃ見分けつかないわよね」

にこ「これからは気をつけなさいよね。……それより」

にこ「なんで傘あったのに、そんなにびしょ濡れなのよ」


穂乃果「へ?」キョトン

にこ「させばよかったじゃない」

穂乃果「……あ!ほんとだ!」

28: 2016/06/10(金) 03:08:19.59 ID:R/uG6QwF.net
穂乃果「返すことで頭がいっぱいで、つい忘れてたよ!」

にこ「はぁ……なんというか、穂乃果らしいわ」

穂乃果「えっくし」

にこ「あーほら、少し上がっていきなさい」

にこ「タオルとあったかいココアくらいなら、出してあげるわ」

穂乃果「ありがとぉ」タリー


このあとめちゃくちゃ穂乃果に風邪うつされた



おしまい

32: 2016/06/10(金) 03:12:04.93 ID:R/uG6QwF.net
この前なんとなく乗っ取ったスレで、のぞにこやにこぱなに可能性感じました


明朝も早くから仕事なのに何やってんだ俺は

34: 2016/06/10(金) 03:35:55.35 ID:8ySv1Yrm.net

35: 2016/06/10(金) 04:53:09.99 ID:UlPmVWmx.net
乙です

引用: にこ「にこの傘がない……」