171: ◆zvY2y1UzWw 2013/09/29(日) 23:14:16.85 ID:DgXdED3q0



モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ



サリナさんとプロダクションの話投下するヨー

172: 2013/09/29(日) 23:17:06.44 ID:DgXdED3q0
サリナとメアリーは祟り場の宴が収束した後、やっと例の奇妙な竜族の調査を始めることにした。

翼がなく、二本の足で立つ竜だとか、頭がやけに固い竜だとか、首の長い竜だとか…魔界で得ていた目撃情報を追う。

海に出たらしい、街に出たらしい、歌を歌う竜がいるらしい…様々な情報を追うが、未だに尻尾はつかめない。腹が立つ。

そして意外なところから意外な情報を得る。宴の時に酒を飲んだ仲である、周子という名の妖怪が少し話がしたいと二人を誘ったのだ。

宴会の場でも少し話した、メアリーが竜族である事と、奇妙な竜族の話を聞いて少し思うところがあったようだ。

ちょっと小洒落たカフェ、そこでいきなり本題を話してきた。

「探しているって言う例の竜族の話とは関係ない話なんだけど、子供の竜なら知り合いにいるんだよねー。興味ない?」

「え、人間界に竜族の子?…シューコ、本当なの?」

「確かに聞いたことないねー…擬態能力持ちだったり?」

竜帝の子…薫の存在はサタンとキバ、その報告者であるユズ、そしてレヴィアタンのみが知っている。二人が首を傾げるのも無理はない。

それに竜族の擬態能力持ちは魔族に比べると少ないのだ。どのように人間界に溶け込んでいるのか興味もあった。

「いるんだなーこれが。目の前で竜の時の姿も見たから間違いないよ?」

「人間界に…うん、ちょっと会ってみたいかも。メアリーの友達にもなれそうだし。」

メアリー以外の竜族と、メアリーは戦争以降会っていない。同世代なら尚更会うのは難しい。

「お、興味持ったね?その子は龍崎博士っていう人と一緒に結構な頻度で『プロダクション』に来るよ。今日は確か来るはずだったし、よければ案内しようか?」

実に楽しそうに笑みを浮かべる。悪意からくるものでは無く、本当に…ただこれからの事に期待している笑み。

そしてサリナはその笑みの真意を察し、似た笑みで返した。

「じゃあお願いしちゃおうかな?」


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それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

~中略~

「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。




173: 2013/09/29(日) 23:18:43.15 ID:DgXdED3q0
「お邪魔するよー♪」

「ふぅん、ここが…」

「…普通ネ」

プロダクションに一歩踏み入れて最初に思ったのは、実に「『普通』の事務所」と言ったところだろうか。

ちなみにメアリーは周子のように強い能力者で溢れるような禍々しいのを想像していた。

能力者の悩みを聞いたり、援助したりもするのだからきっと普通の方がいいのだろうと納得する。

ざっと入り口周辺を見渡していると書類に何やら書いたりしている男性がこちらに気付く。

「…周子、その人達は?」

「おっすピィさん、二人はねー…ちょっと前に仲良くなった『お友達』だよ。…薫ちゃんと博士いる?」

「ああ、向こうにいるが…その二人に用事か?」

「そういう事。じゃあ会ってくるねー」

実に普通の人間男性…と言ったところか。見た感じ能力者ではないようだ。

彼の横を通り抜け、二人がいるという部屋に向かった。

174: 2013/09/29(日) 23:20:20.62 ID:DgXdED3q0
プロダクションのとある部屋の中、博士は最近のカースの進化についてまとめ、薫は本を読んでいた。

プロダクションから一人ヒーローが出るということで、少し情報を纏めるべきと思っていたのだ。それにここに来ると少し気分転換になる。

そこへ扉をノックする音。扉を開けると、周子と知らない女性と少女がいた。

真っ先に目についたのは金髪の少女だ。薫よりは年上だろう。博士の後ろでまだ本を読んでいる薫に視線を向けている。

もう一人は…美女、と言うべきだろう。そんな雰囲気を纏った女性だ。彼女は博士を少し見て、薫を示して問いかけた。

「…いきなりで悪いけど、あの子が竜族の子なの?」

「…!き、君たちは一体…?」

「この子…メアリーも竜族の子でね、しばらく他の竜族に会ったことないから…ちょっとね。」

「何っ!?…この子が…そうか、この子も竜族なのか…」

メアリーと呼ばれた少女、彼女も竜族…魔界の住人。そして薫と同じように見た目はどう見ても人間だ。

「…ちょっと話さない?」

この女性はきっとただ者ではないだろう。…しかし、敵意を持っているようには見えない。

「せんせぇ、どうしたの?」

「ああ、この子…メアリーちゃんと暫く遊んでいなさい。…少しお話ししてくるよ。」

「はーい!」

「じゃあメアリー…怪我がないようにね?」

「大丈夫よ!」

サリナにメアリーが笑い、薫に手を引かれる。

「えっと、かおるだよー!よろしくねー!」

「メアリーよ。それでカオル、なにするの?」

「それじゃあねー…」

二人が遊び始め、それを確認すると扉を閉めて応接間へ向かった。

175: 2013/09/29(日) 23:22:36.28 ID:DgXdED3q0
応接間に入り、周子が答えが分かっているように笑みを隠しつつ一応質問する。

「あたしはいない方がいいかな?」

「…そうだな、二人きりでも大丈夫だろう。君が連れてきたのならね。」

「…あたしも信頼された物ですなー。じゃあ引っ込んでるねー」

ふりふりと手を振って出て行く。そしてソファに座ると博士が口を開いた。

「龍崎だ。…薫の親のようなものをしている。」

「アタシはサリナ。メアリーの親代わりをしているよ。」

「…なんと言えばいいのか…君も苦労しているのか?」

「そうだね、自分でも親なんてするとは…はぁ。…まぁ友達ができるなら何よりだよ。」

溜息を吐いて…それでも少しほっとしたような表情を浮かべる。

「あの子はどこで?竜族は人間界に滅多に出てこないと思うんだけど…」

「ああ、あの子は…拾ったんだ。魔界の戦争から逃げるために送られてきたと考えている。そしてその言い方…君は魔界の者なのか?」

「うん。魔界から…魔族かどうかは微妙なラインだけどね。竜族を嫌ってるって事はないから安心して。」

「そうか。…では話そう。薫は記憶を失っている…戦争の事も、自分の事も…何一つ覚えてはいない。」

「…」

「それでも、あの子…メアリーちゃんと友人になってもらえるなら嬉しい。…薫は力が強すぎる。いつか力に飲まれそうで…怖いんだ。
…勝手な願望だが同じ竜族の子と一緒にいれば…竜の力に慣れれば…力も制御できるのではないかと微かに期待もしている。」

「…確かに、竜の力は強いもんね。…髪飾りで抑えているみたいだけど、いつか限界が来てもおかしくないよ。」

真剣な眼差しでサリナは語る。これでも戦争で竜の力は思い知らされている。子供なら成長もするだろう…ただの人間には手に負えない程に。

「そうだな…ある魔族の少女にも言われた、いつか薫の力に身を焼かれると。それほど強い力を秘めていると。」

俯きつつ言う博士を見て、サリナは思考する。竜の子の様子やこれまでの会話からわかる。この男はきっと善人だ。

そして一つの提案をした。

「…そうだ、メアリーもまだ力使いこなせてないし…一緒に手伝ってあげるよ。まぁ調査する事もあるから頻度は低いと思うけど…
メアリーも薫ちゃんも、一緒にやれば学ぶことも増えると思うんだよねっ!」

「いいのかね?…君は大丈夫なのか?」

「舐めないでよ~?ウフフ、これでもアタシ、結構強いn「あああぁ!!!!」

ニヤリとサリナが笑い、自信満々に言葉を紡ごうとした瞬間、背後から声が響いた。

176: 2013/09/29(日) 23:25:11.71 ID:DgXdED3q0
「誰よ全く…常識ってものが…え?…え?」

少しイラッとしながら振り返って目を丸くする。二度見する程に驚いた。

「…アs…むぐぐ…!」

驚愕の理由…名前を呼ぼうとした本田未央・ラファエルの口を全力で駆けよって塞ぐ。

「今呼ぼうとした名前で呼ばないでよ…その名前で呼ばれたら迷惑なのっ!」

色欲の悪魔の名。それは人間界の信用問題において大変邪魔なものだ。

「…じゃあなんて呼べばいいのさー?」

「サリナよサリナ!そっちは!?」

「本田未央、高校一年生ですっ!!」

ぶい!っとピースをする未央…それに何故か頭痛が起こり頭を押さえる。

「…なんでここにいるの?」

「それはこっちのセリフだよ!…しっかし、あの時の事で殴られるかと思ったら丸くなったねー?ラファエルちゃんびっくり!」

「昔の事はいいでしょ…」

「あはは、じゃあ止めておくね!…そういえばまだ天界に戸籍あるけど帰る気は?」

むふふと悪戯っぽい笑みで問う。

「ない。魔界の方が楽しいもの!」

「ですよねー!そう答えると思った。そこはブレてないね。」

「…二人は知り合いだったのか。」

先程の会話はあまり聞こえていなかったようだが、様子から知り合いと分かった博士が呟く。

「あ!博士、いきなり来てゴメンね!ちょっとお客さんの顔見たくってさー!」

「ああ、大丈夫だよ。もう話は大体終わっているから…では、薫の事…よろしくお願いします。」

「…まかせて。失敗はしないように頑張るから。」

サリナに深々と頭を下げて博士は部屋を出ていった。未央はそれを見てうんうんと頷きながら言う。

「うーん、サリっぺは変わったようで変わってないねーいや、変わったかな?」

「…あんたは変わったわ…心の底からそう思う。あとサリっぺって何…?」

「そりゃ、今の私は本田家の女!パッション全開な未央ちゃんだからねっ!!ニックネームの一つや二つ、簡単に思いつくよー」

「あ、そういう意味ね。」

「サリぽん?サリっち?サリサリ?サリリン?どれがいいかね~?」

「どれでもいいわよ…」

なんとなく事情を察した。以前から人間好きなのはわかっていたがまさかここまでするほど好きとは…。

『前の会社の上司が何故かしばらく会わないうちに女子高生になっていた』サリナの心境はこんな感じである。

177: 2013/09/29(日) 23:27:02.06 ID:DgXdED3q0
応接間から出ると、周子がするりと近づいてきた。

メアリーと薫も一緒にいて、どうやら一緒に遊んでいたらしいく、ゲームをしている。入るときは見かけなかったフードを被った少女もいた。

「あ、お疲れー。そうそう、話に聞いてた変な竜の話、ちょっとみんなに話したら恐竜に似てるんじゃないかって結論になってさ。どう思う?」

「ん?キョーリュー?どういう竜?」

「人間が生まれる前に地球で生きていた生物だよ。んーっと…ピィさんちょっとパソコンで画像見せてー」

「あー…まあいいか。」

カタカタとすぐに検索結果が出る。出るわ出るわ恐竜の画像。

「…情報の話ど真ん中だね本当に。」

「噂にもなってるんだよ。恐竜が夜な夜な現れるってさ。」

「なるほど…この恐竜が蘇っているのか、それとも似た別物なのか…それは分からないけど…これで完全に分かったよ。」

「?」

「その『奇妙な竜族』は完全にアタシ達…魔界の住民が知ってる竜族とは別物だってね。」

腕を組んでさりげないアピールをしつつ、結論を出す。ピィは目をそらした。

…さて、これからどうしようか。それを考えつつ…

(ウフフ、これからよろしくってねっ!)

この男、からかいがいがありそうだ。色欲に溺れさせるつもりはないが…楽しませてくれそうだ。

そう予感して、クスリと笑いながら…サリナは目線をそらしたピィにウィンクした。

178: 2013/09/29(日) 23:31:04.19 ID:DgXdED3q0
以上です
プロダクションにサリナとメアリーが時折来るようになりました。薫とメアリーで色々特訓し、それを手伝うつもり。
『奇妙な竜族』こと古の竜族の情報も探しているようです

…あとピィに色仕掛けするつもり。こういう人からかいたい年頃なのよねー

179: 2013/09/29(日) 23:35:29.51 ID:mBMauxauO
乙ー

ラファエルは世代交代してないのかー
あれ?そうなるとミカエルはそのままなのか?けどミカエルは今のルシファーと因縁はあるけど、姉妹関係なのはルシフェルで………
それともミカエルは世代交代したのかな?

そして、ピィは爆発しろ!!


【次回に続く・・・】


引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part7