711: ◆zvY2y1UzWw 2013/10/26(土) 01:01:48.50 ID:/e9E+5sw0

モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ



学園祭で投下

712: 2013/10/26(土) 01:02:15.61 ID:/e9E+5sw0
「…それで、古本屋に来たわけだけど…やっす!?一冊どれも30円!?こう安いと一冊くらい買いたくなるね…」

「わぁ…なんかいい楽譜とか本あるかな…?」

「ミラ、あっちそれっぽいかも!」

「ほんと?」

ハリケーンガールズは、それぞれの希望の中で比較的人の少ない古本屋に来ていた。

ケイとミラとは別の本棚をマーサは探っている。

「で、マーサはどんな本が欲しいんだ?」

「えっと、東洋・西洋の神秘的な…そんな感じの」

「なるほど、わからん」

「…オカルト本よ。魔術なんてやる勇気はないけど読むのは好きだもの」


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それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

~中略~

「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。




713: 2013/10/26(土) 01:03:09.50 ID:/e9E+5sw0
なんだかそれっぽいタイトルの本を手に取り、ぱらぱらとめくっている。

「それに、今はそういう『オカルト』も…現実にあるしね」

「あー、カースとかいるもんな」

「うん、それに吸血鬼とか、悪魔とか、ドラゴンとか、妖怪とか…オカルトマニアの間では結構そういう情報が出回ってるのよ。
実際、少し前にか幽霊や妖怪が大騒ぎしてたでしょ?一部のオカルトマニアはあの時外に出ていろいろやってたみたい。カメラは動かなかったみたいだけど」

「…」

オカルト関係の事を話す時のマーサはいつもより滑舌がいい。

…妖怪が自分の家の居候です。なんて言ったらどう反応するのだろう。微妙な表情で考え込んだ涼をよそにマーサは言葉をつづける。

「そして、オカルト本で書いてある通りの弱点はその相手にも通用するらしいわ」

「へぇ、吸血鬼に十字架とか太陽の光とかニンニクとかそんな感じか?」

「えっと十字架は…信仰している相手に効果があるだけらしいから…その宗教を信じていない吸血鬼には効かないでしょうね。太陽とニンニクは…うーん」

確かに太陽はともかくニンニクが苦手という設定の吸血鬼は最近は映画でもあまり見ない。ホラー映画の記憶を手繰り寄せて一つ思い出す。

「えっとじゃあ…銀のナイフとか銃弾…だっけ?そういうのか?」

「うん。『銀製の武器』や『心臓に杭』…そういうのは効果があるらしいけど…あくまで『らしい』ね。実際に見て戦った人の記録は少ないから…嘘もあるだろうし」

籠に読んでいた本を入れ、別の本を棚から取り出す。

「あ、あとは『招かれた家にしか入れない』とか、『鏡に映らない』とか『流水を渡れない』とかもあるわね。これも本物には効果あるかは知らないけど」

「やっぱり吸血鬼って弱点多いなぁ…」

「それでもやっぱり強い生物だと思う。…出会わないとは思うけどね。まさか祭りに参加しているわけでもあるまいし」

「はは、そうだな」

「まぁ、私とかは普通の一般人。もし何かあった時に生き残るにはこういう知識があって損はないの。それ以前にただ単に好きなんだけど。あ、上の本とって。紫色の奴」

「おう…これか?」

「うん、ありがと」

また籠に本を入れ、背伸びして届かない本を涼に取ってもらう。

714: 2013/10/26(土) 01:04:21.58 ID:/e9E+5sw0
「まぁカースもオカルトの類だとオカルト掲示板では言われてるのよ。宇宙生命体説、悪魔の下僕説、異世界の先兵説…まぁどれも違うと思うけど」

再びパラパラとめくりつつ、カースについて語りだす。

「カースにもわかりやすくて一般人にもできそうな対処方法があればいいのに…そもそも核を壊せと言うのがねぇ…ロマンがないわ」

「…お前はカースに何を求めているんだ」

「神秘、又はロマンティックを…あ、…取りあえず、これだけ買うね」

「…結構かさばるんじゃねーか?」

「三冊だから、平気。また後日…他のも買いに来ようと思う」

「…そうか」

「大丈夫、個人的に来るから…」

無事に会計を終える。別行動の二人を見ると他にはミラが一冊本を買ったようだ。

「楽譜はなかったんだけど…面白そうな小説があったから買っちゃった」

「アタシは特に買わなかったなーリョウもでしょ?」

「そうだなぁ…殆どマーサに付き合っていたし。まぁ本はあまり読まないし」

「だねー、アンタは本読む時間あるならその分ホラー映画見るわねー」

「…なんならこの学園祭がおわったら一緒に見ようか?アタシの家に来てさ」

意地悪そうな笑みを浮かべて涼が提案する。

「や、やーめーてーよー!アタシホラー苦手なんだってば!」

「わわわわわ…怖いのはちょっと…」

「映画はそんなに好きじゃないのよね…」

「だよなー」

そんな他愛もない会話をしつつ、古本屋を後にした。

715: 2013/10/26(土) 01:05:42.74 ID:/e9E+5sw0
その頃、正午となり上空で花火のような音が鳴り響いた。

その正体はカースドヒューマンが爆破された音だったのだが…殆どの者はそれを知らない。

そしてここに一人、その音…いや気配に戦慄する者がいた。

「…アイツが…来てるのー…!?」

ナニカはその爆撃から発せられた、例の洗脳されかけた『メガネの力』を敏感に感じ取ったのだ。

ナニカからすれば彼女は洗脳を笑顔で行うような人物であり、恐怖を抱く人物でもあった。

キヨミが教会に来たことにより、ある程度メガネへの恐怖は克服しつつあったが、本人とあの透明なヤツへの恐怖は消えていない。

自我がじわじわ消えていく…殺されるような感覚。アレを忘れろと言うのが無理と言う話だ。

「あ、あいつ何が目的で…まさか!」

716: 2013/10/26(土) 01:06:45.65 ID:/e9E+5sw0
脳内で訳の分からない混沌とした映像が流れ始める。

―メガネを無理やりかけさせられ、狂う人々…

―祭りはどんどん眼鏡を崇める邪神教的な祭りになっていく。

―『まぁまぁメガネどうぞ』

―メガネを模した祭壇の周りをメガネをかけた人々が踊り狂う。

―『いまこそ、メガネが世界を支配する時!』『メガネ!』

―そして地響きが鳴り響き…大地の底から真の究極メガネ生物が目覚めてしまう…!

―『目覚めよ、我らが“メガネ神”よ!』

―地は裂け、海は荒れ、空は暗くなる。

―逃げ惑う人々。ナニカも逃げ出す。

―「お姉ちゃんっ!!」

―加蓮の手を取り逃げようとするが、妙な違和感に襲われる。

―その顔を見ようと顔を上げると…

―『…まぁまぁ…仁加ちゃんも…メガネ…どうぞー?』

―「え?あ…あ…いやああああああああ!!」

…どうしてここまで想像してしまったのだろうか。

717: 2013/10/26(土) 01:09:30.09 ID:/e9E+5sw0
「やばいよぉ…怖いよぉ…」

メガネをかけた加蓮はいい。でも洗脳はヤバイ。

あんな恐ろしい能力の持ち主がこんな人ごみの中に紛れているのは怖い。

いつどこからメガネが飛んでくるか、分かったものではないからだ。

「警戒しないと…世界が勝手に終わっても困っちゃうの…」

「大丈夫大丈夫アタシなら勝てる多分きっとうん恐らくだって究極だしでもあっちメガネだしどうしよう…」

思考が混乱してきた。逃げるべきか、帰るべきか…

「でも帰ったらクラリスお姉ちゃん怒ってるかもだし…おなかすいたし…」

怯えて辺りを見渡しつつ、ナニカは人ごみから距離を取りつつ…まだ満たされない腹を満たすために歩き出した。

718: 2013/10/26(土) 01:10:52.46 ID:/e9E+5sw0
『…仁加、メガネ嫌いカ。なら弱点は消しておいた方がいいノかな?』

いつの間にか分離していた黒兎がぬいぐるみの姿で木の上からブツブツつぶやく。

『白はもう何かしているのに自分はなにモしてなイのはなー』

黒兎は動くぬいぐるみから、その姿を黒い獣に変える。ウサギのように長い耳を持った、小柄な肉食獣のような姿。

『いっちょ派手ニ?サーチアンドデストローイ?』

白兎が理性的とすると、黒兎は野性的。どちらも自らの狂った信念に忠実に生きている。

…そのどちらも、肉体に有害な人格として追い出された『膿』なのだが。

黒兎は細かい事は考えていない、自分の信じる者に敵対する者を排除するだけ。

『聞こえないと思うけどっ!見てもいないと思うけどっ!喜んでくれルよな!』

ニタリと笑いながら、裏山に黒い翼を生み出して飛んでいった。

719: 2013/10/26(土) 01:12:38.36 ID:/e9E+5sw0
『イジョウナーシ』

『アンゼンヨーシ』

『キョウモ、メガネノオカゲデヘイワデース』

裏山には、色欲のカースから生まれ変わったメガネのカースが数体残っていた。見回りのつもりなのだろうか。

『…本当に安全なノかな?』

『エ?』

一体のメガネのカースが木の上から襲い掛かってきた黒い獣に押し潰されかける。

『メガネメガネって…お前のせいで迷惑シている子がいるんダぞ!!』

『ソンナ、アリエナイ!』

『ウるさい!』

黒い獣からオーラの様なものが発せられ、前足で潰されていたカースの透明な体が透き通る黒色に変化していく。

『ナ、ナニヲスルダァー!!』

『メガネー!!』

他のメガネのカースが悲鳴を上げる。

『…』

前足から解放されると、そのカースは悲鳴を上げたカースに近寄っていく。

『メガネ!』

『ブジダッタカ、メガネ!』

『…メガネハ…テキダ』

『『エ?』』

そのカースから、黒い獣と同じオーラが発せられ、近寄った二体の体を少しずつ黒く染めていく。

『メ、メ…マァ…マァ…』

『メガ…メ…』

抵抗し、黒いカースにメガネを埋め込もうとするも時すでに遅し。

『…セーノッ♪』

『『『メガネハテキダー!!』』』

そこに生まれたのは3体の新たなカース。

透き通った黒い泥。中の核は真っ黒なレンズ型になっている。

『よし、オマエラ…メガネを排除しテしまえ!サーチアンドデストローイ!』

『『『ハーイ!』』』

そう、名付けるなら…『アンチメガネカース』とでも呼ぼうか。

3体はそれぞれバラバラに、学園へ向かっていく。与えられた使命を果たすために。

黒い獣は満足そうに笑うと泥のように溶け、こっそりナニカの元へ戻って行った。

720: 2013/10/26(土) 01:14:13.30 ID:/e9E+5sw0
狂信のカース
黒兎が使役するカース。
周囲に特定の意識や認識を植え付ける能力を持つ。植えつけられた者から別の者へ感染することもある。
植えつけられた者も、一応黒兎の支配下となるが、そこまで自由に動かせるわけではない。
植え付けるので洗脳とはちょっと違う。その人物の常識に割り込ませるのだ。
その特性上、別のカースの核を上書きすることでのみ産み出せる。

アンチメガネカース
黒兎がナニカを怯えさせる存在を排除するために勝手にメガネのカースを上書きする事作りあげた「狂信」のカースの一種。
特殊なカースを上書きしたのでかなり特殊になっている。
透き通る黒い泥とレンズのような黒い核で構成されている。
時折地を這うように黒いオーラを発し、周囲の人々の無意識に「メガネは悪いものである」という認識を植え付ける。
さらに、メガネのカースと同様に他のカースをアンチメガネカースに生まれ変わらせることもできる。
大人しいがメガネ着用者からメガネを奪おうとし、さらにマスクドメガネとその味方の能力者、メガネのカースには鋭い触手やレンズからの光線で攻撃する。
「まあまあコンタクトどうぞ」はしない。あくまでメガネの排除が目的。

イベント情報
・アンチメガネカースが3体、学園に向かいました。メガネ着用者はご注意ください。

721: 2013/10/26(土) 01:15:39.18 ID:/e9E+5sw0
以上です
ハリケーンガールズの学園祭の様子を。
そしてアンチメガネカースを出して見たかったんだヨ!

722: 2013/10/26(土) 01:20:43.96 ID:euplvX9DO
メガネ対アンチメガネ…あたまがおかしくなりそうです




【次回に続く・・・】



引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part7