858: ◆UCaKi7reYU 2013/11/03(日) 17:53:44.96 ID:uJIXO9RF0

モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


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皆様こんばんわ、学園祭がすすまず憤怒の街ばっか書いてた作者です。
例によって憤怒の街、投下します

859: 2013/11/03(日) 17:56:45.92 ID:uJIXO9RF0
《過ぎ去りし過去の記憶》

初めて会ったのは、トップになる三日前だった。

「愛梨ちゃんお疲れ様でした!」

「良かったよー!次も宜しくね!」

「はい、ありがとうございます!」

「控え室にお菓子とか置いてあるから良かったら食べてねー」

「あ、マネージャーさん。ちょっと話が…」

「私は一人で大丈夫だから行ってきて下さい!」

番組の監督と話すマネージャーと別れて、一人控え室に戻ろうとした時。

「暑いなぁ………あれ?」

「………あ」

「えっと、どうしたの?」

「その、何でもないんで、すいません!」

「あ、待って!……確か───


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それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

~中略~

「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。




860: 2013/11/03(日) 17:57:53.84 ID:uJIXO9RF0




「───岡崎、泰葉ちゃん、だよね?」




861: 2013/11/03(日) 17:59:21.34 ID:uJIXO9RF0
「え……?」

「あれ?違ったかな……」

「あ、いえ……間違ってないです」

「良かったぁ……今日、凄く頑張ってたから気になってたんだぁ」

「そんな……私なんて…」

「そんなことないよ!私なんて今日暑くて暑くて……あ、脱いでもいい?」

「…はい?」

「クーラー利いてないのかなここ…」

「え、ちょっと!?何で脱いでるんですか!?ストップストップ!あーもうあれこれ悩んでた私が馬鹿みたいじゃないですか……」

「ふえ?」

「って、何で続けるんですか!?控え室!目の前控え室ですからとにかく入って下さい!!」

862: 2013/11/03(日) 18:01:06.20 ID:uJIXO9RF0
…こんな感じで、初めて会った時から怒られたっけ。

「あ、ごめんね……つい癖で」

「どんな癖ですか!……この人本当にSランクで合ってるのかな…」

「あはは……よく言われるよ。食べる?」

「……なんですか?これ」

「ケーキ。ほら、今日金髪でクルクルな人が居たでしょ?あの人がたまに作って来てくれるんだ」

「え?あの人って確か所属は…」

「うん、うちと仲悪いとこだよ。だけど、それだからって悪い人じゃないし、そんなので縛られるのっておかしいと思うんだ」

「………それは、まあ…」

「それにさ、皆同じ『アイドル』なんだからさ……私は、そこに上も下も無いと思うんだ」

863: 2013/11/03(日) 18:02:17.48 ID:uJIXO9RF0
「……そんな事………あなたはSランクだから…」

「あはは……確かに、うん…そうだよね…」

「………………」

「うーんと……だけどね、本当に私はそう思うんだ。皆、やりたいことが有って、目標が有って、憧れも有って……その為に皆頑張ってる」

「…………………」




「それは、泰葉ちゃんも一緒だよ……左足、ちょっと痛いでしょ?」




「!?」

「ん、凄く上手に隠してるけど、無理したらダメだよ?…トレーナーさん達の間でも、結構無茶してるって話が流れてるみたいだしさ」

864: 2013/11/03(日) 18:06:03.77 ID:uJIXO9RF0

「………そんなこと」

「……えい!」

「ふご!?もが、あにふるんへふふぁ!」

暗い顔してたから、とりあえず口にケーキ突っ込んだんだっけ。

「食べながら話さないの、ね?」

「………もぐもぐもぐもぐもぐ」

「はい、お茶」

「………ふぅ、何するんですか」

「おいしかったでしょ?」

「それはそうですけど、それとこれとは…」

「いつもいつも気を張ってたら疲れちゃうよ?休める時は休む、基本だよ」

「………ありがとうございます」

「うん、こっちもあげるよ」

「え、でもそれじゃあ…」

865: 2013/11/03(日) 18:07:57.85 ID:uJIXO9RF0
「大丈夫、それは私が作ったのだからね」

「…それなら……!」

「どう、かな?」

「…えと、美味しい、です」

「あは、良かったぁ……ちょっと自信なかったんだぁ」

「あぁでも、さっきの方が私は好きでしたね」

「えー!…意外と辛口だね……」

「冗談ですよ……ふふ」

「あ、やっと笑ってくれた!」

「……はい?」

「あ……だって泰葉ちゃん、ずっと難しい顔してるんだもん…」

「……私、笑ってました?」

「うん!」

「……そうですか…私…」

866: 2013/11/03(日) 18:09:10.28 ID:uJIXO9RF0
「…大丈夫、泰葉ちゃんだって、皆に負けない位のアイドルだよ!」

「そう…ですか?」

「そうだよ!私が言うんだから間違いないよ!」

「…ふふ、なんですかそれ」

「なんかひどいなぁ」

「…ありがとうございます、おかげで、少し楽になりました」

「ううん、私は何もしてないよ」

「そんなことないですよ…さっきは、あんな事言いましたけど……十時さんがどうしてSランクなのか、少しわかった気がします」

「もー、だからそんな大げさな事言わないでよー…それに、愛梨でいいよ!」

「……愛梨さん?」

「なぁに?」

「ここ、クリームついてますよ」

「え、嘘!?どこどこ?」

「もー!」

「ふふふ……私も、いつかこの人みたいに…」

867: 2013/11/03(日) 18:10:39.14 ID:uJIXO9RF0
「ん?泰葉ちゃん何か言った?」

「いえ……あ、そろそろ時間か…」

「えー、もう行っちゃうの?」

「すいません…次の仕事がありますから」

「あはは、冗談だよ……応援してるからね!」

「ありがとうございます……愛梨さんも、頑張って下さい」

「ありがとう!………それじゃあ」

868: 2013/11/03(日) 18:11:31.18 ID:uJIXO9RF0












「またね」

「また、今度」










869: 2013/11/03(日) 18:15:13.83 ID:uJIXO9RF0
《現代》

憤怒の街、学校、体育館。

「───泰葉ちゃ──ッ!?」

開いた大穴から、中に飛び込んだ愛梨。

真実を知るために、仲間の力を借り、友人に思いを託され、たどり着いた最深部。

だが、突入した瞬間、途方もない程濃い障気が身体を包み込んできた。

「なに……これ…こんなに…」

明らかに異常な障気、そして体育館全体に蔓延る狂った魔力、さらには異常な暑さ。

居るだけで息苦しくなるような空間を、しかし愛梨は突き進む。

───明かりは、入ってきた穴と反対側の壁に開いたもう一つの穴から差し込む光のみ。

───確かに、この場所に居る。

───圧倒的で、暴力的な存在感を感じ取っていた。

870: 2013/11/03(日) 18:17:55.12 ID:uJIXO9RF0
「ッああああ!!?」

「!?」

突然響く叫び声、飛んでくる人型の影。

とっさに風を操り勢いを頃し、受け止めるとそれは泰葉ではないが、人であった。

特徴的な、火を思わせる踊り子装束を纏ったその姿は、最近になってテレビに出るようになったアイドルヒーローの女性だ。

だが、今この時受け止めた彼女の姿は、顔色は青ざめ戦闘による傷をいくつも受けており───火傷のような痕まで見られた。

「はぁ……はぁ…あなたは…?」

だが、愛梨が答えるより先に『彼女』が愛梨の前に現れ―――視線が交差する

871: 2013/11/03(日) 18:18:43.68 ID:uJIXO9RF0












「………来たんですか、愛梨さん」

「………ここまで来たよ、泰葉ちゃん」








872: 2013/11/03(日) 18:19:35.79 ID:uJIXO9RF0
声のする方、暗闇に浮かぶ同じ六つの顔。

そして、その奥。

そこに、愛梨が探し求めた『本物の岡崎泰葉』が居た。

「……愛、梨?…あれ…どこかで……?」

受け止めた彼女が、名前を聞いて反応するが、愛梨はある事に気を取られていた。

「………ッ!」

「あぁ、この腕ですか?……ここに入ってから急になったんですよ」

愛梨が見つめるのは『右腕』。

───一言で表すならば『竜の腕』

そう呼ぶにふさわしい、身体とは不釣り合いな大きさの、鱗に覆われ鋭利な爪が生えた右腕が泰葉に備わっていた。

「アイツの計画通りなのが本当に忌々しいですが……」

「……アイツ?」

「貴女には関係ない事です……で、今更何をしに来たんですか?」

「……止めるために、知るために、来たよ」

「は、何を……あぁ腹立たしい………今度こそ、この手で───」

873: 2013/11/03(日) 18:20:26.08 ID:uJIXO9RF0








「───頃します」






874: 2013/11/03(日) 18:21:27.11 ID:uJIXO9RF0
「離れて下さい!」

明確な殺気を滲ませながら迫る六人の分身泰葉を迎え撃つべく、風の槍を生み出し愛梨は踊り子から前にでる。

そのまま、最前列の一体が力任せに振るう一撃を受け止める。

「───私は!」

───ように見せかけ回廊を使い後退、目の前で空振りをした分身に槍を突き刺し、瞬時に生み出した突風で吹き飛ばす。

「貴女が、貴女さえ居なければ!」

三方向から飛びかかる分身を、小型の竜巻を作り出し強引に弾く。

「それで、本当にいいの!?こんな事をして、そんな───」

更に迫る二体を真空の刃で足止めし、瞬く間に頭上へと移動した後に圧縮した風の鎚を叩きつける。

「───黙れ!」

「くうっ!」

ついに本体が動き、竜の腕と風の槍がぶつかり合う。

875: 2013/11/03(日) 18:22:48.82 ID:uJIXO9RF0
「その程度ですか!」

「まだまだ!」

その瞬間、単純な力では不利だと判断した愛梨が競り合うのを諦め右に左にと次々に攻撃を繰り出すが、その全てを受け止め、避けられる。

「ちょこまかと……消えて下さい!」

「ッ、危ない!」

「え…!?」

攻撃を繰り出した隙を突かれ、切り裂こうとふるわれた竜の爪を回廊で避けるが、腕自体に魔力が宿っているためか避けきれず肩を浅く切られる。

しかし、それでも距離を離すことに成功した愛梨だったが、今まで離れて見ていた踊り子が声を上げる。







───同時に、赤と黒の炎が激突した。


876: 2013/11/03(日) 18:23:52.03 ID:uJIXO9RF0
「…忌々しい、この炎に焼かれてまだそんな力が残ってたんですか?」

「生憎とね……気をつけて!あの黒い炎は普通じゃないよ!」

「煩いですね……潰せ!」

聖火の踊り子──斉藤洋子が立ち上がると同時に、分身が叩き潰すべく殺到する。

「こっちは引き受けたよ!」

「そんな体じゃ──ッ」

「他人の心配が出来るんですか?…腹立たしい!!」

洋子に気を配った瞬間、竜の腕を叩きつけられたがなんとか避ける。




「───泰葉ちゃん!」

「───消えて下さい、愛梨さん!」




夢を見失った彼女と、夢に絶望した彼女。

二人の『王』が、とうとう氏闘を始めたのだった……



続く?

877: 2013/11/03(日) 18:26:05.24 ID:uJIXO9RF0
岡崎泰葉[変化形態]

憤怒の街の力を集約し、泰葉が変異した姿。
右腕が丸ごと、大きな竜の腕のようになり全体的なステータスが強化されている。

また、障気と魔力が合わさった黒い炎を操ることも可能になり、掠っただけでも障気が体の内側から蝕んでいく。

憤怒の王に至るまでの一つの通過点に過ぎないが、その力は既にカースドヒューマン時とは比べ物にならない。


イベント情報
・戦闘の最中に洋子と泰葉が体育館に移動していました。
・愛梨と泰葉が激突しました。
・洋子が分身を相手にしてしています。
・体育館には大量の障気と魔力が充満しているようです。
・体育館の障気と魔力の影響で泰葉の右腕が変異、黒い炎を操れるようになりました。

878: 2013/11/03(日) 18:28:27.26 ID:uJIXO9RF0
投下終了、思うがままに書いてたらこうなったけど気にしないことにしました。

そして、やっと愛梨vs泰葉が書けました…

とにもかくにも、お目汚し失礼しましたー。

879: 2013/11/03(日) 18:32:57.44 ID:x21AQyZxo
オツー

ひえぇ、先輩がさらに人間やめてらっしゃるっ・・・・・・メガヤスハですね

880: 2013/11/03(日) 18:37:21.52 ID:l9q+U/MiO
乙ー

先輩が人間やめてる……
これ先輩救うの難しくないな……




【次回に続く・・・】



引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part7