647: 2010/03/05(金) 17:39:55.01 ID:6TkXh8U0


最初から読む:【禁書×DMC】ダンテ「学園都市か」

前回:【禁書×DMC】ダンテ「学園都市か」【その04】

一覧:ダンテ「学園都市か」シリーズ

エピローグ

―――



あれから三日。

トリッシュはソファーにのびていた。

彼女は疲れていた。そしてイラついていた。

バージルは異世界から離脱した途端どこかへ行って消えてしまったし、
ダンテは使い魔たちを集めて回収するとその日のうちに勝手に帰ってしまった。

そういう事で色んな後始末をトリッシュとネロが行うことになったのだ。

まずは学園都市に残る悪魔達の痕跡の排除。

ケルベロスが作った莫大な魔力が篭っている氷柱や、
ベリアルやステイルの戦いで生じた、これまた強大な魔力が篭っている火災の鎮火などだ。

そこでトリッシュとネロである。大悪魔の作ったものは彼らしか消せなかった。

あの少年の右手が使えれば楽だったが、彼は入院して絶対安静の状態だった。
ARTFX J デビル メイ クライ 5 ダンテ 1/8スケール PVC製 塗装済み完成品フィギュア
648: 2010/03/05(金) 17:44:57.24 ID:6TkXh8U0
そう、あの少年。上条当麻。

彼は氏んだまま悪魔化したのが幸いしたのか、体そのものは変質していなかった。
ベオウルフを外すと、普通の人間の体に戻ったのである。


氏んだままだが。


彼の人間としての心臓はもう動かなかった。


そこでなんとか心臓を再び動かすため、トリッシュはカエルのような医師と相談し、一つの策をとった。


上条の心臓を元に、ベオウルフの力を流し込んだ新たな心臓を作ったのである。


その悪魔の心臓を上条に移植した。
そしてそれは成功し、彼の体に鼓動と体温が戻った。

上条は体は人間、心臓だけは悪魔という奇妙な存在になってしまった。
あの心臓は銃弾で貫かれようが焼かれようが瞬時に再生して永遠に鼓を刻む。

例え主の体が全て無くなって心臓のみになったとしても。

649: 2010/03/05(金) 17:46:30.56 ID:6TkXh8U0
上条は前例の無い奇妙な存在となった。

普通の人間として生きていけるのか、
それとも心臓が何らかの作用を起こして悪魔的な影響が出てくるのか。

トリッシュは予想できなかった。

そしてトリッシュは忘れていた。


日本は火葬することを。


いつか遠い未来、上条の肉体が氏んで火葬した時、周りの者は驚くだろう。

他の部分が全て灰になっても、傷一つつかずに残って鼓動する心臓を。

650: 2010/03/05(金) 17:50:07.01 ID:6TkXh8U0
蘇生と言えばもう一つ。

ステイルだ。
実はステイル、件が終わった後トリッシュにあっさりと蘇生されていたのである。

ゴールドオーブで。

ゴールドオーブは、氏んだ直後なら悪魔の魂を修復することができる。
魔帝の業に近い。


ただ、効果があるのは悪魔。人間には効果が無い。


ステイルは生きたまま直でイフリートの魂と融合してしまった為、肉体そのものが完全に変質してしまっていた。
最早人間ではなかった。

完全に悪魔化していた。

彼は不老の永遠の14歳となってしまったのである。

651: 2010/03/05(金) 17:53:02.95 ID:6TkXh8U0
トリッシュ「あー」
ソファーでのびながら呻く。学園都市での後始末もほとんど終わった。

残す仕事はあと一つ。

今回の件で学園都市は相当の被害を出した。
中心地となった第七区は完全に廃墟と化した。

それに魔帝によって放たれた無数の悪魔、それを掃討したダンテの使い魔達によって学園都市中にも巨大な爪痕を残した。
運が悪い事に重要な研究施設が悉く破壊されてしまったらしい。

その被害額は某超大国の国家予算並になるとの事だ。
そしてその賠償の矛先はダンテに向かうかもしれない。
いつものパターンだ。

トリッシュは学園都市のトップと会い、ダンテには支払い能力が一切無いことを伝えなければいけない。
それで矛先を変えるも良し、そのままダンテに請求するも良しでそこは相手の判断に任せる。

請求したとしても1セントも返って来ないだろうが。ツケという名で今までも多額の借金を踏み倒してきた。
どうってことはない。

それに悪意からの被害ではない。仕方ないのだ。ダンテが戦えばその周りが壊れるのは必然だ。
それが真理なのだ。

多少やり過ぎなのは否めないが、そのくらい許容して欲しい。

今回の件だって、人間界と全人類の命が守れたのなら安いものだ。


―――

652: 2010/03/05(金) 17:55:41.32 ID:6TkXh8U0
―――


ステイルは学園都市のとある病院の屋上にいた。

そこから見える風景。
破壊しつくされた学園都市。

だが綺麗だった。
澄み渡る青空に、降り注ぐ太陽の光。

あの闇に包まれていた時間は極僅かだったが、ステイルにとっては何年にも感じた。

今、空は元に戻っている。
あのむせかえる様な高濃度の魔力の層も跡形も無く消え、全てが元に戻っていた。

だが。

ステイルの体だけは違っていた。

653: 2010/03/05(金) 17:59:54.19 ID:6TkXh8U0
ステイル「…」

今の彼は完全に悪魔となっていた。

炎を扱う悪魔だ。
大悪魔のイフリートで転生したせいか、彼もギリギリ『大悪魔』に区分されるくらいの力を有している。

体の中に莫大な力が渦巻いている。

そしてその力の上限も無い。

鍛えれば鍛えるほどどんどん強くなっていく。

身体能力も異常だった。
今なら神裂と互角に腕相撲もできるだろう。

そして不老。

体の傷もすぐに治る。

ステイル「もう…色々ぶっ飛んでるな…僕…」

656: 2010/03/05(金) 18:05:29.82 ID:6TkXh8U0
先ほど通信魔術で最大主教に今回の件、そして体の事も報告した。
その返事は含みのある物だった。


ステイルは考える。

恐らく今後自分は騎士団長、アックア、神裂、シルビアに続くイギリスの最大戦力の一つとして扱われる。

むしろその要となるだろう。

不老の永遠の戦力。

大悪魔か神クラスの存在と戦って氏なない限り、彼は永遠に存在し続ける。

ステイルは少し心が暗くなる。
いつかインデックスは氏ぬ。
それを見送る、今の14歳の姿のままの自分。

だが同時に少し元気が出る。
少なくともインデックスが長寿を全うするまで守り続ける事ができる。

そのあとの事を考えるのは今はやめよう とステイルは思った。

その時、背後に気配を感じた。

振り向くと、金髪のゴス口リ女が立っていた。

658: 2010/03/05(金) 18:09:23.02 ID:6TkXh8U0
シェリー「よう。どうだ?その体」

シェリーが歩いてくる。
このシェリー、ステイル達と離れた後はかなり暴れてたらしい。
件が終わって合流したシェリーと彼女のゴーレムを見たステイルは驚愕してしまった。

ゴーレムは高さ50mにもなっていた。
そしてそのゴーレムの頭頂部からシェリーの上半身が突き出ていた。

ステイル「悪くは無いよ」

シェリー「そうか」

その時、ステイルは悪魔の嗅覚によってシェリーから異様な力を感じた。

ステイル「…?」

シェリーが悪魔化したというのは聞いていない。

シェリー「…やっぱわかるか?」
シェリーがゴワゴワのスカートから一本のオイルパステルを出した。

ステイル「…それは…」

シェリー「あれをあのまま手放すのも持ったいねえからよ、これに力を詰めたんだ」
あのゴーレム、悪魔達の力をオイルパステルに吸収させてしまったのである。

660: 2010/03/05(金) 18:13:50.02 ID:6TkXh8U0
ステイルは思った。
このシェリーも自分と同じくイギリスの最大戦力の仲間入りをすると。
今の彼女なら、小国一つ潰せるだろう。

このオイルパステルは後のゴーレム使い達にとって伝説の代物になるだろうと。

ステイル「すごいな…相変わらず君は…」

シェリー「14歳の天才魔術師に褒められても嫌味にしか聞こえねえよ」

ステイル「はは…」

シェリー「それに。てめえの方が桁違いにすげえ事になってるじゃねえか」

ステイル「…まあね。先日、僕は人間をやめたんでね」

シェリー「おいおい拗ねるなよ」

ステイル「拗ねてなんか無いさ」

シェリー「確かに体は変わってもよ、中身は変わってねえんだろ」

661: 2010/03/05(金) 18:14:49.94 ID:6TkXh8U0
飯行ってくる
七時には再開する

665: 2010/03/05(金) 18:55:36.50 ID:6TkXh8U0
中身は変わって無い。

その言葉であの日の事が思い出される。
蘇生して目覚め、トリッシュから事実を聞かされたときはさすがにショックだった。

自分が悪魔になったとは。

血も涙も無い、闘争の僕。

そんなステイルにダンテは一言、そっけなく声をかけた。



「Devils never cry」




それだけ言うと彼は背を向けてどこかに行ってしまった。


だがその一言で充分だった。

『悪魔は泣かない』

涙は人間の特権であり証明。

666: 2010/03/05(金) 19:01:18.59 ID:6TkXh8U0
シェリー「ステイル。てめえはステイルだろ」

ステイル「…ああ。僕は僕だ」

シェリー「なら良いじゃねえか」

そこで会話は終わった。二人は屋上の手すりに寄りかかり、静かに学園都市を眺めていた。
そう、ステイル自身の中身は何も変わっていない。

体は変わっても。
魂が変わっても。

心は変わっていない。

インデックスを守る。

その叫びは依然と何も変わっていない。
ただ、一つだけ変わった点があった。もう彼はタバコを吸わなかった。

イフリートの主がタバコ嫌いなせいもあってか、そのイフリートに影響された彼ももうタバコを吸う気にはなれなかった。
懐からタバコを取り出す。そしてしばらく眺めた後、握りつぶして屋上から投げ捨てた。

シェリー「…タバコ、ポイ捨てすんじゃねえよ」

ステイル「見逃してくれよ」

ステイル「これが最後なんだから」

―――

668: 2010/03/05(金) 19:05:32.79 ID:6TkXh8U0
―――


神裂は自分の病室でストレッチをしていた。

体をしならせ強張っている筋を伸ばす。
シルエットが隠れる患者衣でも、その悩ましい程に豊かな体が良くわかる。

神裂「…ふぅ…」

熱い吐息。
上条がもしこの場にいたら一瞬で赤面してしまうだろう。

あの日、自分は悪魔化し、莫大な神の力を宿した神裂は暴走状態になったらしい。
そこへネロがあらわれ、針の穴を通すような微妙な力加減で綺麗に神の力だけを剥ぎ取って、
上条の手で人間の身に戻れたらしい。

だが神裂はとある感覚を感じていた。
あの日から何かがおかしい。

悪魔と融合したステイルや上条と違って、彼女は魔力のみで擬似的に悪魔化したのである。
上条の右手で破壊された今、人間の身に戻っているはずだ。


それなのに何故。


気付いたのは昨日だ。顔を洗って鏡で見た時、一瞬目が金色に光ったのである。

669: 2010/03/05(金) 19:07:27.65 ID:6TkXh8U0
神裂は気付いていなかったが、彼女の体は少し変質していた。

悪魔化は確かに解けた。

だが元からその身に宿す聖人の力、神の力が完全に解き放たれた時、彼女の体は変異した。
その変化は極僅かだ。

だが人間としてはかなり異質だ。

ダンテ達を半分人間半分悪魔と表現するのなら、彼女は半分人間半分天使だ。


神裂「…はふッ…」

あれやこれや考えていると、ドアが少し乱暴にノックされた。

あのノックの仕方から言って、ステイルや建宮のような良く見知った人物だ。
今更このカッコを見られたってどうって事は無い。

神裂「…どうぞ」
神裂はストレッチしたまま返事をする。

そして入ってきたのは。

ネロだった。

670: 2010/03/05(金) 19:11:39.39 ID:6TkXh8U0
ネロ「よう、体の調子は……どうだ?」
顔を火照らせ、体をしならせてストレッチをしている神裂を見てネロの一瞬言葉が止まった。

神裂「…あッ…だ、大丈夫です!」
慌てて姿勢を戻し直立不動になる。

ネロ「そ、そうか」
ネロも少し動揺している。


ネロ「…」
突如ネロの表情が一瞬で真面目になった。
神裂の目をジッと見つめている。

神裂「…!な、なんでしょう?」

ネロ「いや…なんでもねえ」
ネロは見たのだ。一瞬神裂の瞳が金色に光ったのを。

ネロ「ここにきたのは挨拶だ。これからフォルトゥナに帰るからな」

神裂「そ、そうですか」

671: 2010/03/05(金) 19:14:39.17 ID:6TkXh8U0
ネロ「…ま、その内もう一度ちゃんと手合わせしようぜ」

神裂「は、はい!!」

ネロ「じゃあな」

神裂「ではまた!」

ふとネロは神裂の左手を見た。
そして。

ネロ「それ、しまっといた方良いぜ」

それだけ言うと足早に病室を出て行った。

神裂「…え?」
神裂は自分の左手を見た。

神裂「えッ?!!えッ!!!な、なんですかこれ!!!」


左手に重なるように、白く輝く半透明の腕が現れていた。


ネロのデビルブリンガーそっくりな腕が。

―――

672: 2010/03/05(金) 19:20:46.82 ID:6TkXh8U0
―――


一方通行はベッドの上にいた。
ここは幸いな事に破壊を免れたとある病院。

情報が漏れるのを防ぐため、この病院に事件の関係者が全員押し込められている。

一方通行も人の事を言えないが、この病院には目立つ姿の者が大勢いた。
赤毛の大男や、金髪のゴス口リ女など。

それにあのツンツン頭の無能力者や修道服のガキ、レールガンまでがいるらしい。

一方通行「チッ…」

今回の事件で彼の体はボロボロになった。特に脳。酷使し過ぎ、一部が焼ききれていたとの事だ。

チョーカーが無いと意識すら保てないらしい。

第二位に至っては脳細胞の半分が氏んでしまったとの事だ。

以前よりも更に打ち止めに依存する結果になってしまった。
あのカエル頭の医師によれば生きてる事が奇跡らしいが。


だがその二人に集中したのが幸いしたのか、打ち止めそして妹達にはほぼ全く負荷がかからなかったらしい。

674: 2010/03/05(金) 19:25:29.36 ID:6TkXh8U0
凄まじい戦いだった。
魔帝と三人の怪物の破滅的な衝突。

レベルが全く違っていた。

あのバージルの目。今思い出しても、この一方通行ですら鳥肌が立つ。

だが一方通行は嬉しかった。
自分の中に、普通の者のような恐怖の感情が残っていたことが。

そしてその感情があるからこそ、あの小さな少女を守るという決意が再認識できた。

今、正直に思える。

あの少女は大切な存在だ。
絶対に失いたくない。

性格上、決して口には出せないが。


その時、病室のドアが開かれた。

そこにはその少女がいた。

そしてその横には彼女の姉が立っていた。

675: 2010/03/05(金) 19:29:11.96 ID:6TkXh8U0
打ち止めが一気に駆け寄りベッドの上の一方通行に飛び乗った。

打ち止め「わーい!!、てミサカはミサカは元気そうなあなたの姿を見て喜びを全身で表してみるの!!!」

一方通行「ッ!!!テメェ!!少しはいたわれやガキが!!」
いつものキツイ調子で言葉を吐くものの、その表情は少し柔らかかった。

御坂「…元気そうね」

一方通行「…何しに来た?」

御坂「アンタが妹に変な事しないか見に来たの」

一方通行「あァ…?誰がンな事をs」

御坂「冗談よ冗談」

一方通行「…」

御坂「…」

二人が沈黙し、冷たい視線でにらみ合う。
その間も打ち止めは一方通行の上でもぞもぞ動き回ってはしゃいでいた。

676: 2010/03/05(金) 19:32:53.72 ID:6TkXh8U0
先に口を開いたのは御坂だった。

御坂「全部聞いたわよ。その子から」

全部。どこまでの全部なのか一方通行はわからなかった。

一方通行「チッ…そゥかい…」

御坂「で、何か言いたい事はある?」

御坂「あたしに」

御坂「妹達に」

一方通行「…」

何を言えばいいのかわかる。

だがその一言が出てこない。

喉元にまで来ているのに。

677: 2010/03/05(金) 19:37:48.98 ID:6TkXh8U0
だが御坂はその沈黙でこの場は満足したようだった。

御坂「ま、今はいいわ。でもいつか聞かせてもらうからね」

一方通行「…」

御坂「じゃあね」
御坂はドアへ向かう。と、数歩あるいた所で立ち止まった。

御坂「その子の事」


御坂「頼むわよ」


それだけ言い、一方通行の答えを聞く前に病室を出て行った。

打ち止め「ねー…ねー…ってミサカはミサカはあの約束をほのめかしてみる!!!」

一方通行「あァ…買いなおしてやるよ」
その言葉を聞いて打ち止めははち切れんばかりの笑顔を作った。
打ち止めの笑顔を見ながら一方通行は小さく呟く。

一方通行「上等だ」

その言葉は打ち止めへ向けられたものではなかった。

先ほどこの病室を出て行った者に向けられていた。

―――

679: 2010/03/05(金) 19:44:09.36 ID:6TkXh8U0
―――

上条はベッドの上にいた。

窓からは暖かい日差しが差し込んでいた。

上条「…」

あの異世界から脱出した時のことを思い出す。

ネロが何かを察知したのかすぐに再び球体に戻っていった。
そしてしばらくした後に三人が飛び出してきて、それと同時に球体は一瞬で小さくなって消滅した。

三人は無言だった。

上条は恐る恐るダンテに小さく聞いた。
何があったのかと。


ダンテがそっけなく答える。

『また』行こうとしたから止めたのさ と。

ベオウルフの記憶を垣間見た上条にはその言葉で充分だった。

ダンテは二度は離さなかったのだ。

その手を。

680: 2010/03/05(金) 19:48:42.12 ID:6TkXh8U0
上条「…」

それからの事は良く覚えていない。
いきなり意識が途切れ、目が覚めたらこのベッドの上にいた。
手足にはもうベオウルフがついていなかった。

そして体が温かかった。

心臓が強く鼓動していた。

詳しい事は知らないが、トリッシュが彼の心臓を再び動かしたらしい。

実は上条、己の心臓が悪魔になっていることは今でも知らない。



今回の件は僅か数時間の出来事だ。

だが上条にとってはとてつもなく長かった。
ベオウルフの記憶から垣間見たスパーダの一族の闘争。

2000年に渡る戦いを彼も擬似的に味わったのである。
そしてそれが遂に決着した。

しかし、スパーダの一族にとって全ての戦いが終わったわけではない。

この人間界が魔界と繋がっている限り、彼らはいつまでも戦い続ける。

か弱き人間を守る為に。

681: 2010/03/05(金) 19:51:36.93 ID:6TkXh8U0
上条が思いを巡らしていると、白い修道服の少女が小動物のような仕草で病室に入ってきた。

インデックス「とうま。お水だよ」

上条「おう、サンキュ!」

インデックスから冷たい水が入ったコップを左手で受け取る。
右手は使えなかった。

体の傷は無かったが、悪魔の力で守られていなかった右手だけはボロボロになっていた。

包帯が固く巻かれて固定されている。

インデックスは隣の病室に泊まりこんでいる。

しばらくこの病院で暮らすことになりそうだ。

戦闘によって彼らの住む寮も完全に破壊されてしまったからだ。
学校も暫く休校。

再開の目処は立っていないらしい。

682: 2010/03/05(金) 19:54:25.09 ID:6TkXh8U0
インデックス「とうま♪」

上条「ん?」

インデックス「えへへ…呼んでみただけ」
ベッドの横の椅子に座って、足をパタパタさせながらインデックスがはにかむ。

つられて上条も笑う。
心が穏やかになる。

実感する。学園都市は今も無残な姿だが、少なくともいつもの日常が戻りつつある。

上条「それにしても…夢見たいだったな」

インデックス「?」

上条「あの戦いだよ」
上条は思う。今でも信じられない。
今までも普通では信じられない事に何度も巻き込まれたが、今回のは別格だった。
おとぎの世界、神話の世界へ紛れ込んだような感覚だ。

インデックス「夢じゃないもん」
だが傍らの少女はそれを否定した。

683: 2010/03/05(金) 19:59:21.51 ID:6TkXh8U0
インデックス「とうまは本当に帰って来てくれたんだもん」

上条「…そうだな」


上条「ただいま。インデックス」


その瞬間インデックスは見た。
上条の瞳が微かに赤く光ったのである。

だが彼女は気にしなかった。



インデックス「おかえり。『とうま』♪」



言葉を返した。

満面の笑みを作りながら。

―――

686: 2010/03/05(金) 20:06:36.60 ID:6TkXh8U0
―――

ネロは病院の廊下を歩いていた。

先ほど神裂に挨拶した。

これで全ての人物のところへ回った。
やっとフォルトゥナへ帰れる。

キリエにすぐにでも話したい事があった。

自分に父親がいたという事だ。


あの後、父はすぐに姿を消してしまった。

ネロは残念だったが、少し安堵もした。
確かに話したいことは山ほどあったが、その整理がついていない。

いざ話そうとしても言葉は続かなかっただろう。

687: 2010/03/05(金) 20:09:27.35 ID:6TkXh8U0
ダンテは またいつか逢えるさ と言っていた。
いつか逢える。

ネロもそれはわかった。

それに。

この右手が繋がっている。
この向こうから父の存在を感じる。

どれだけ離れていたとしても。

いつも一緒だ。

ネロ「帰ろう」
一人呟く。

今は帰ろう。

家へ。

最愛の女性のもとへ。

キリエのもとへ。

―――

688: 2010/03/05(金) 20:13:30.23 ID:6TkXh8U0
―――

バージルはとある丘の上に立っていた。

この場所に来るのは約30年ぶりだ。

この場所に再び立つとは思ってもいなかった。

そして己にはその資格もないと思っていた。



新緑の草が一面を覆っている。

2kmほど離れた場所に小さな町が見える。

バージル「…」

彼の前には、高さ50cm程の石版が少し傾きながら立っていた。

ただ一文字、『EVA』とだけ刻まれている。

この下に眠っている女性の名だ。

30年前、彼と彼の弟を身を挺して守った女性。

その女性の氏が、彼の歩むべき道を定めた。

689: 2010/03/05(金) 20:16:51.23 ID:6TkXh8U0
バージル「…」

過去を思い出す。

この石版はバージルとダンテが二人で作った物だ。
当時は10歳にも満たなかったとはいえ、既に悪魔の並外れた怪力があった二人は
石の塊から素手で削り出した。

泣きながら無我夢中で削る幼いダンテの姿が脳裏に蘇る。
その横でバージルはダンテを慰めながら一緒に削った。

そして二人で深い穴を掘った。

悪魔達に荒らされないように30m以上も深く。

そこにその女性の遺体を収めた。

その日の夜は二人でベッドに入った。
ダンテは泣きつかれてすぐに寝てしまった。

そしてバージルはダンテが寝付いたのを確認するとベッドから抜け出し、
父から授かった『閻魔刀』を手にして外へと出て行った。

その日から双子は別の人生を歩んだ。

その日からバージルは人間を捨てた。

690: 2010/03/05(金) 20:21:19.05 ID:6TkXh8U0
何時間ここに立っていただろう。

来た時にはまだ太陽は低かった。
今はその逆の方向に沈みかけ、燃える様な赤い光が周囲に溢れている。

柔らかい風が彼の頬を撫でる。


バージル「また来る」


そう石版へ話しかけるとバージルは踵を返し、その場を離れる。

10歩ほど離れたところでふと立ち止まる。
背を向けたまま再び話しかけた。


バージル「…次は…ネロを連れてくる」


そして再び歩き始める。
彼の背中を後押しするように柔らかい風が吹いた。

夕日を浴びて石版は美しく燃えていた。


その彼の背中を暖かく見送るかのように。

―――

691: 2010/03/05(金) 20:24:25.68 ID:6TkXh8U0
―――

ダンテは事務所の机に足を乗せ、ピザを食べながら雑誌を読んでいた。

トリッシュはまだ学園都市から帰ってきていない。

静かで最高だ。

当日の内に勝手に帰ってしまったので、トリッシュが帰ってきたらその事をクドクド言われそうだが、
どうせそれが無くてもあの件の事であれやこれや言われる。

同じく小言を言われるのなら、一人の静かな時間が多く作れるほうが言い。

だがそんな静寂もすぐ壊される。

ドアを乱暴に開け、一人の女がズカズカとあがり込んで来た。

ダンテの同業者、レディだ。

黒髪のショートカットに胸元が大きく開いたジャケットとホットパンツ、むき出しの太ももには銃。
背中には大きなロケットランチャー。

ダンテはこの姿を見ていつも思う。

よくこんなカッコで普通に街中を歩くな と。
ダンテも人の事を言えないのだが。

692: 2010/03/05(金) 20:26:57.03 ID:6TkXh8U0
レディ「おかえり」

ダンテ「おう」
ダンテは雑誌を読みピザを食べながらそっけなく返事をする。

レディ「で、バージルもいたんだって?」

ダンテ「ああ」

レディ「あいつも人間界に戻ったって聞いたけど?」

ダンテ「おう」

レディ「へえ。詳しく聞かせなさいよ」

ダンテ「ああ」

レディ「…」
レディ「…あなたってバカ?」

ダンテ「おう」

レディはダンテの本を取り上げた。

ダンテ「…ッおい、何すんだよ」

レディ「話しなさいよ」

696: 2010/03/05(金) 20:30:51.64 ID:6TkXh8U0
ダンテ「…今度にしてくれねえか?」

レディ「ダメ。今」

ダンテ「あ~…」

はっきり言ってかなり面倒臭い。
だがここで強引に断ったら更に面倒臭い。

レディ「ところでその椅子、何?」

レディがダンテの横にある空の椅子を顎で指しながら言う。

レディが別の話題に変えてくれたので助かった。
その話題も説明しにくいものなのだが。


ダンテ「…共同経営者のだ」


レディは一瞬トリッシュを思い出したが、すぐに否定した。
あの女ははっきり言ってただの居候だ。

それに彼女はいままでずっとダンテの机に座っていた。

今更椅子になど座らないだろう とレディは思った。

となると。

697: 2010/03/05(金) 20:33:11.72 ID:6TkXh8U0
レディ「…そういうことね」
レディ「ま、良かったじゃない」

ダンテ「まだちゃんと仲直りしてねえけどな」

レディ「…本当に来るの?」

ダンテ「来るさ。いつかな」


ダンテ「いつか必ずな」


明日か、それとも20年後かはわからない。

だがダンテは確信していた。

いつか必ず。


この椅子に―――

698: 2010/03/05(金) 20:34:15.43 ID:6TkXh8U0
その時、事務所の電話が鳴った。

ダンテ「…良いか?」

レディ「良いわよ、取りなさい」

ダンテは机を蹴る。

すると衝撃で受話器が飛び上がり、そのままダンテの手に納まった。


そして耳に当て一言。





「Devil May Cry」





―――


700: 2010/03/05(金) 20:35:26.39 ID:7vAcfJ60

702: 2010/03/05(金) 20:35:51.49 ID:A5W0aiEo
乙!
感動した

705: 2010/03/05(金) 20:37:03.33 ID:6TkXh8U0
これで終わり。

途中色々あったけど無事に終われてよかったです。
読んでくれてありがとう。
お疲れ様。

スタイリッシュランクと獲得オーブ数は皆にお任せ

770: 2010/03/06(土) 02:08:55.08 ID:RMxd7iE0
おまけ

―――

バージルはある日ひょっこりと現れた。
気付くとダンテの机の前に立っていたのである。

そしてダンテが喋る前に

部屋を貸せ

と一言。

それ以来住み着いている。

そしてダンテの仕事も手伝うようになった。

いや、手伝うというよりはお互い取り合っていた。

そもそも悪魔を狩る依頼など一週間に一回あるか無いかだ。
大悪魔クラスは一年に一回程度。

ダンテ一人でも暇を持て余していたくらいだ。
そこにバージルなんかが来れば当然悪魔の取り分は減る。

更に、徐々にバージルの存在がその業界に知られるにつれ、
依頼主のほとんどがバージルを指名するようになった。

771: 2010/03/06(土) 02:10:18.99 ID:RMxd7iE0
なぜかというとバージルは綺麗に仕事を済ませるからだ。
建物の損害なども出さない。

一振りで一瞬で終わらせる。

周囲全てを徹底的に破壊するダンテよりも人気があるのは当然だった。

しかもバージルは他にも裏家業を持っているらしかった。

とある魔女と、最強の悪魔として召喚の契約を結んだらしい。
たまに呼び出されている。

更にそれだけでは飽き足らず、暇な時は魔界に行って大悪魔達の挑戦を受けている。

魔界では彼の強さに魅了され、彼を二代目の魔帝として掲げたがっている一派すらいるらしい。


おいおい、俺達は魔界全土から恨まれている逆賊じゃなかったのかよ とダンテは突っ込みたくなったが、
悪魔達は力に対しては素直だ。

現にダンテだって多数の悪魔達を使役して従えている。

772: 2010/03/06(土) 02:11:50.56 ID:RMxd7iE0
もう力は求めていないとはいえ、バージルは相変わらずのダンテ以上の戦闘狂だった。

ある時、ローマ正教の使者を名乗る一団が事務所にやってきた。

彼らはあの学園都市での一件で、ダンテ達がイギリス清教側になびいてるとでも思っていたらしく、
どうにかしてローマ正教側に振り向いて貰おうと機嫌をとりに来たらしかった。

ダンテ達はそんな人間同士の諍いなど一切興味無かったのだが。


だがバージルは彼らの話のある部分に興味を持ったらしい。


ローマ正教の神だ。
使者達は自分達の宗教がどれほど素晴らしいか、神がどれ程偉大で力強いかを説いた。


そんなに強いのか とバージルは呟いた。

ダンテは少し慌てた。このバージル、ほっとくといつか十字教の神を頃してしまうかもしれないと。
十字教の神が氏んだとなれば大騒ぎとなる。十字教の魔術師はその神の力を使って魔術を行使している。
神が氏ねば魔術が使えなくなってパワーバランスが崩れて、世界規模の大混乱が起きる。

大惨事だ。

ダンテはバージルを説得した。頼む、それだけはやめてくれ と。
バージルは渋々諦めた。

773: 2010/03/06(土) 02:12:54.45 ID:RMxd7iE0
ある日、ローマ正教の神の右席、右方のフィアンマと名乗る男がダンテ達の事務所に乗り込んできた。

その男は自分の力に相当の自信があったらしく、高飛車な態度でバージルを挑発した。

要するに殴りこみに来たのである。

この事務所に。

余りにも命知らずだった。

すべての次元・世界の中でもこの事務所ほど『絶対に殴りこみをかけてはいけない』所など無い。

案の定、その男の切り札である背中から伸びる巨大な腕はあっさりとバージルに切り落とされた。
そして男は現れてから僅か数分後に、ボロ雑巾のようになって事務所から蹴り出された。

776: 2010/03/06(土) 02:15:25.45 ID:RMxd7iE0
ネロはたまにダンテ達の事務所に来るようになった。


バージルとネロ。


親子はほとんど会話はしない。

それもそうだ。
魂が繋がっていて、感情や思っていることが筒抜けならほとんど必要ないだろう。

ネロはバージルの顔を見て微笑み、バージルは無表情のまま冷たい視線を返す。
親子にとってそれで充分らしい。

バージルはネロが来るたびに魔界に連れて行く。

剣を見せてみろ と言って。

そして15分程度で帰ってくる。

無傷のバージルとズタボロになったネロが。

ネロが父を越えるのはまだまだ先のようだった。

778: 2010/03/06(土) 02:17:06.99 ID:RMxd7iE0
椅子。


結果的に言うと、『あの椅子』にはバージルは座らなかった。

『あの椅子』にはダンテが座る事になった。

バージルはダンテが今まで使っていた椅子に座ったのである。


特に問題は無い。
いつもの事だ。


ダンテが左へ行こうとすると 俺が左だ と言い、
ダンテが取ろうとしたピザを これは俺のだ と言う。

いつも通り、前と同じバージルだ。
本人は特に何も思っていない。
ダンテに対して意地を張っているわけでもない。

それがバージルなのだ。


そんなバージルを見てダンテは嬉しくなる。


ああ、やっぱ兄貴だぜ と。


―――

779: 2010/03/06(土) 02:19:22.19 ID:RMxd7iE0
一応終わり

また何か思いついたらちょくちょく書くかもしれないです。

804: 2010/03/06(土) 23:35:09.31 ID:RMxd7iE0
おまけ その2

―――

ダンテは机に足を上げ雑誌を読んでいた。いつもの如くピザを食べながら。

そこにいつもの如く同業者のレディがドアを乱暴に蹴り開けて上がりこんできた。

そして一言。

レディ「ヒマ」
それだけ言うとダンテの机の前で腰に手を当てて仁王立ち。

ダンテ「…そうか」

レディ「なんか無いの?」

彼女もダンテ達と同じく悪魔狩りを生業にしている。そしてダンテ達と同じく暇を持て余していた。

ダンテ「あったらここにいるかよ」
雑誌を読みながらそっけなく答える。

レディ「…バージルは?」
レディがダンテの隣の空の椅子を見ながら言う。

ダンテ「屋根だ」

レディ「…そう」

805: 2010/03/06(土) 23:41:39.02 ID:RMxd7iE0
いつもの事だ。

バージルはしょっちゅう屋根に上がって一人で瞑想している。

下手に邪魔しようならとんでもない事になる。

先日、余りにも暇を持て余したダンテは少しバージルを驚かしてやろうと、
気配を消して屋根に上がり背後に忍び寄った。

そして肩を叩こうとした時、バージルが突然振り向いてダンテの頭を『閻魔刀』の鞘でかち割った。

ダンテは 俺じゃなかったらどうすんだよ と言ったが、
バージルは 気配を消してこの俺にここまで近付けるのは貴様だけだ と返し、
更に『閻魔刀』をダンテの頭に振るった。

ダンテの頭はまるでスプラッタ映画のような有様になった。

すぐに治ったが。

806: 2010/03/06(土) 23:43:32.47 ID:RMxd7iE0
レディ「あなた達も暇なのね」

ダンテ「まあな」

レディ「トリッ…」

レディは言いかけたところでやめた。あの女は猫のような人物だ。時折姿を消してはまたひょっこり戻ってくる。
これもいつもの事だ。聞くだけ無駄だ。

そして沈黙。

ダンテは相変わらずピザを食べながら雑誌を読み、
レディは事務所の中を気だるそうにうろうろしてビリヤードの球を小突いたりしている。

レディ「そうそう」
レディが思い出したようにダンテに振り向く。

レディ「ネロとキリエちゃん良い感じね」

ダンテ「らしいな」

レディ「そろそろなんじゃない?」

ダンテ「…何がだ?」

807: 2010/03/06(土) 23:47:17.51 ID:RMxd7iE0
レディ「結婚。かなりマジっぽいしあの二人」

ダンテ「…」

レディ「もしかしたら先に新たにスパーダの血を継いだ子ができるかも」

ダンテ「…」

レディ「そうしたらどうするの?魔剣三本しか無いでしょ?」

ダンテ「…」

レディ「あなた何も考えてなかったの?」

ダンテ「…バージルに聞けよ。今の家長はあいつだ」

レディ「まあ、それもそうね。で、あなたは?」

いつもよりも嫌な予感がする。
この女、今日はいつも以上に面倒臭い。

ダンテ「…何が?」

810: 2010/03/06(土) 23:55:51.61 ID:RMxd7iE0
レディ「子供とか」

ダンテ「ゴフッ」
ピザでむせる。

レディ「あなたならどこかに隠し子とかいてもおかしくなさそうだけど」

ダンテ「そいつは…笑えねえ冗談だ…」
口を拭いながら答える。

確かにフォルトゥナで初めてネロと遭遇した時、その可能性が一瞬脳裏をよぎったのは嘘じゃない。
その時にもトリッシュに冷たい調子で あなたの隠し子ってことはないわよね? と言われた。


その時、背後に気配を感じた。

バージルがいつの間にかダンテの後ろに立っていた。

バージル「…」

ダンテ「なんだよ。その目」
非常に居心地が悪い。
いつもは別に何も思わないバージルの冷たい視線が、今はやけに痛い。

レディ「そうそうバージル。話聞こえてたでしょ?どうすんの?どの道たらなくなるわよ?魔剣」

811: 2010/03/06(土) 23:59:11.64 ID:RMxd7iE0
バージル「…」

突然、バージルの足元に黒い円が浮かび上がった。悪魔が使う移動用の陣だ。
ダンテは一瞬でわかる。どこかに行くつもりだ。
それだけでは特に珍しくない。いつもこうやってバージルはどこかへ姿を消す。

だが、今は嫌な予感がする。

ダンテ「おい…どこに行くつもりだ?」

バージル「禁書目録」

禁書目録。そうインデックス。あの少女の頭にはフォルトゥナの術式が入っている。
そしてその中に。

魔剣精製の術式も。

ダンテ「おいおい!気が早いぜバージル!!!」

レディ「良いんじゃない?お祝いとして作ってあげれば?どの道必要になるだろうし」

ダンテ「おい!変な事言うんじゃねえ!」
確かにいずれ必要なのはわかるが、そんな代物をポンポン作らせるわけには行かない。
存在してるだけで空間が歪む代物だ。

その時、バージルの足元の黒い円に重なるようにして赤い魔法陣が現れた。


バージル「…ババア…」

813: 2010/03/07(日) 00:02:32.35 ID:l/pVlUw0
赤い魔法陣から大量の髪の毛が飛び出し、バージルを包んで引きずり込んでいった。

例の魔女に召喚されたのだ。その赤い魔法陣の中からあの魔女の独特の叫びが聞こえた。

ダンテは何度かその魔女に会ったことがある。

なぜかわからないがあのふざけた軽いノリが好きになれない。
それなのになぜかダンテもテンションが上がり、
バージルの凍て付くような視線を浴びながら二人でポージング合戦をしたのだが。

ウマが凄く合いそうなのだが、なんとなく気に喰わない。
ちなみに人はそれを同族嫌悪を呼ぶ。

だがこの時だけはあの魔女に感謝した。しかし問題が先送りになっただけだ。

バージルが一仕事を終え帰って来る前に、どうにかして説得する言葉を用意しておかねば。
この場にトリッシュがいなくて良かったとダンテは思った。トリッシュも面白がってバージルをけしかけただろう。

ダンテ「確かに暇は無くなったけどよ」
呟く。

ダンテ「こういうのはしんどいぜ…」


こう見えてもダンテはこの面子の中では一番の常識人なのだ。

『この面子の中』では。

―――

おまけ その2 おわり

861: 2010/03/12(金) 22:30:19.32 ID:ovARrks0
今更だがネロと神裂メインの短めの外伝練ってる
来週中に投下できると思う

862: 2010/03/12(金) 23:13:30.64 ID:7KtSqpoo
マジか
がんばー

863: 2010/03/13(土) 15:18:20.36 ID:JRZLNJ60
これはうれしい

708: 2010/03/05(金) 20:37:34.91 ID:4iNSQDQ0
おつおつおつ


 次回へ続く:【禁書×DMC】ダンテ「学園都市か」【その06】


引用: ダンテ「学園都市か」