穂乃果「うっわあ！ 久しぶりだねぇ！」

絵里「本当、久しぶりね！」

穂乃果「大学生の時はずっと一緒に遊んでたけど最近全然連絡くれなかったから心配したよー」

穂乃果「元気にしてた？」

絵里「ううん、それがあまり…」

絵里「仕事が辛くて最近ちょっと…ね？」

穂乃果「そっかあ…」

絵里「そういう穂乃果は？」

穂乃果「穂乃果は問題ないくらい元気だよっ！」

絵里「ふふっ、そのようね」

穂乃果「ねえねえ！ 久しぶりに会ったんだしちょっと話そうよ！」

穂乃果「そうだ！家来てよ！ お饅頭出すから！」

絵里「ええ？ 嬉しいけどもう夜遅いし…」

穂乃果「いいのいいの！ さあレッツゴー！」ｸﾞｲｯ

絵里「ちょっ、まだ会計終わってないんだけどー！」

穂乃果「ただいまー」

絵里「お、お邪魔します…」

ほのママ「あ、おかえり穂乃…」

ほのママ「あーっ、絵里ちゃんじゃない！ 元気だった！？」

絵里「え、まあ…はい」

ほのママ「あらそう！ あとでお饅頭持っていくから食べてね！」

ほのママ「新作の苺チョコ饅頭持っていくから！」

絵里「はは…ありがとうございす」

穂乃果「じゃあ上がって」

ｶﾞﾗｯ

穂乃果「座っていいよー」

絵里「ありがとう」

穂乃果「お茶持ってくるね！」

絵里「ええ」


絵里「穂乃果の部屋、久しぶりに来たわね」

絵里「あ、服脱ぎっぱなし…」

絵里「…」

絵里「穂乃果も少しは大人になったたみたいね」ｸｽｯ


穂乃果「お待たせっ！」

穂乃果「って絵里ちゃん、穂乃果の服なんか持って…まさか！？」

絵里「ふふっ、何をしたんでしょうか？」

穂乃果「や、やめてよ～//」

絵里「ごめんなさいっ、なーんにもしてないわよ？」

穂乃果「ほんとぉ？」

絵里「ええ、穂乃果の服が脱ぎっぱなしだったからちょっと確認してたの」

穂乃果「確認？」

絵里「ええ、穂乃果も成長したわね♡」

穂乃果「なーっ！///」

穂乃果「もうっ、絵里ちゃんの変態っ！ 穂乃果はそんな子に育てた気はありませんよ！」

絵里「わあっ！ 穂乃果ママが怒ったわ！」

穂乃果「激おこほのほの丸だよっ！」

絵里「それ、あまり怒ってなさそうね」

穂乃果「穂乃果も言ってから思った…」

絵里「ふふっ、あっ、お茶頂きます」

穂乃果「どうぞ」

穂乃果「あ、暑いから気をつけ……」

絵里「あっつ！」

穂乃果「…」

絵里「お茶ありがとう」

絵里「火傷したけど心は温まったわ」

穂乃果「なんかごめん…」

絵里「あ、いや穂乃果を責めてる訳じゃないわよ？」

穂乃果「ふーん…ならいいけど」

穂乃果「ねえ絵里ちゃん」

絵里「なあに？ 穂乃果」

穂乃果「一つ質問していい？」

絵里「いいわよ」

絵里「ただし今の火傷以外のことでね」

穂乃果「うぐっ」

絵里「ふふっ」

穂乃果「あ、そうだ！ この前海未ちゃんが…」

絵里「お茶は濁させないわよ」

穂乃果「ぐぬぬ…」

絵里「ねえ穂乃果さん、早く質問してくださいよー」

穂乃果「えーっと、えーっとお…」

絵里「はやくー」ﾕｻﾕｻ

穂乃果「あっ、そうだ！」

絵里「決まった？」

穂乃果「うん！ 心の準備はいい？」

絵里「ええ、ばっちりよ」

穂乃果「…っ」

穂乃果「あの、悪く思わないでね？」

絵里「え、ええ」

穂乃果「あの、えっと…」

穂乃果「絵里ちゃん…お仕事辛いんでしょ？」

穂乃果「辞めたいって思ってる？」

穂乃果「あの時と同じ顔してるもん」

絵里「えっ…？」

穂乃果「あの時と同じ、無理してる」

穂乃果「なにかあったの？ 穂乃果が聞くよ？」

絵里「そ、それは…」

穂乃果「…」ｼﾞｯ

絵里「……えっと」

絵里「私ね、アナウンサーになったの」

絵里「けどね…入社したらアナウンス部じゃない所に配属されてね」

絵里「望んでない仕事や上司からのセクハラとかがあって…」

絵里「世間では、それが当たり前、なのかもしれないけど、私にはもう耐えられなくて」ｸﾞｽｯ

絵里「ねえ、どうしたらいいの？ 教えてよ、穂乃果」

絵里「あの時みたいに私を救ってよ…」

穂乃果「……」

ぎゅっ

絵里「ほのか？」

穂乃果「頑張ったね、絵里ちゃん」

穂乃果「ほら、頭撫でてあげるね、よしよし」

絵里「ほのか…」

穂乃果「辛かったよね、泣きたかったよね」

穂乃果「いいよ、今は泣いても」

穂乃果「誰にも言わないし言うつもりもないから」

絵里「……っ！」

穂乃果「ね？」

絵里「ぅ…ほのかぁ…」ｸﾞｽｯ

絵里「ほのかぁ…！」ﾀﾞｷｯ

穂乃果「よしよし」

─────

絵里「それでね、私に仕事を全部押し付けて帰ってちゃったの！」

絵里「ひどいでしょ？ 穂乃果はどう思う？」

穂乃果「ちょっとそれはないかなー」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

絵里「でしょ！？ もうほんっと最低な上司なのよ！」

穂乃果「大変だねえ」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

絵里「そうなのよ、何度辞表を突き出してやろうと思ったことか」

絵里「まあ今がその突き出してやりたい時なんだけどね…」

穂乃果「……じゃあさ」

穂乃果「穂むらに転職しない？」

絵里「へ？」

穂乃果「永久就職」

絵里「い、いらっしゃいませ…」

穂乃果「元気が足りないよっ！ はいもう1回！」

絵里「い、いらっしゃいましぇ！」

穂乃果「噛んだね」

絵里「言わないで」

穂乃果「いらっしゃいましぇ！」

絵里「…」ｲﾗｯ

絵里「さようなら、穂乃果」

穂乃果「ご、ごめん絵里ちゃん、おうちに帰らないで～」ｷﾞｭ-

絵里「…仕方ないわねぇ」



穂乃果「はいっ！」

絵里「いらゃいませっ！」

穂乃果「お、いい感じになってきたね」

穂乃果「それじゃあその勢いでお店に出てみよっか！」

絵里「え、えぇ！？」

穂乃果「新たな看板娘の誕生だよっ！」

絵里「ほ、穂乃果…？」

絵里「流石にまだ早くない…？」

絵里「やっぱりこういうのってもう少し練習してからの方がいいと思うの、ね？」

穂乃果「ダメだよ？」

絵里「いや、でもね？ やっぱり…」

穂乃果「もう！ グズグズ言う絵里ちゃんは嫌いだよ？」

絵里「き、嫌い…」ｸﾞｻｯ

絵里「え、エリチカ頑張るわ…！」

穂乃果「うん！ その調子だよっ！」

穂乃果(絵里ちゃんって意外とチョロいよね)

絵里「ねえ穂乃果」

穂乃果「なあに絵里ちゃん」

絵里「店頭に立つのはいいんだけどどんな仕事するの？」

穂乃果「えーっと、基本的には挨拶したり商品を渡したり…」

穂乃果「あと常連さんとお話したりかなぁ」

絵里「へえ」

穂乃果「っていうか絵里ちゃんアルバイトしたことないの？」

絵里「あ、あるわよ！」

穂乃果「ホントかなぁ」

ｶﾞﾗｯ

穂乃果「あ、いらっしゃいませー！」

穂乃果「絵里ちゃん！ 穂むら初仕事だよっ！」

絵里「ええ！」

穂乃果「ファイトだよっ！」

絵里「ありがとうございます！」

穂乃果「慣れてきたね、さすが絵里ちゃん」

絵里「ふふっ、かしこいかわいいエリーチカは伊達じゃないわよ？」

穂乃果「むむむ…このままじゃ看板娘の座が危ういよ…」

絵里「店番は看板娘の私に任せて穂乃果は上で寝ててもいいのよ？」ﾄﾞﾔﾁｶ

穂乃果「言うねえ、絵里ちゃん」

絵里「ふふっ」

ほのパパ「…」

穂乃果「あ、お父さん！」

絵里「あ、こんにちは」

ほのパパ「…」

穂乃果「あ、うんわかった！」

穂乃果「絵里ちゃんごめん！ お父さんに買い出し頼まれちゃったからちょっと行ってくるね！」

絵里「え？ いやちょっと待って！」

穂乃果「あれ？ 自信ないの？ 看板娘の絢瀬絵里さん♡」

絵里「……」ｶﾁﾝ

絵里「やってやろうじゃないの…！」

穂乃果「それでこそ絵里ちゃん！ じゃあちゃちゃっと行ってくるね！」

絵里「車に轢かれないように気をつけなさいよ！」

絵里「さて、と」

絵里「店番頑張らなくちゃね」

絵里「穂乃果にいいとこ見せなくちゃ」

絵里「……」

絵里「暇ね」

ほのパパ「…」ｽｯ

絵里「わっ！」

絵里「え？ このお団子食べて、ですって？」

絵里「ありがとうございます！」

ほのパパ「…」ｽﾀｽﾀ

絵里「はむっ……おいしい…！」

絵里「穂乃果は毎日こんなの食べてるのね…」

絵里「…太るのも頷けるわ」

ｶﾞﾗｯ

絵里「あ、いらっひゃいまへ！」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

常連さん「あら、見ない顔ですね」

絵里「あ、新入りの絢瀬と申します」

常連さん「絢瀬…？ はて、どこかで聞いたような気がしますが」

常連さん「まあいいです、いつものをお願いします」

絵里「いつもの？」

常連さん「ええ、いつもの」

絵里「えーっと…すみませんが新入りでいつものが何なのかわからないため商品名を教えてくれませんか？」

常連さん「あ！ そうでしたね、すみません」

常連さん「ほむまんをお願いします」

絵里「かしこまりました、少々お待ちくださいね」

常連さん「はい」

絵里「お待たせしました、いつものです」

常連さん「！ ふふっ、面白い人ですね」

絵里「いえいえ」

常連さん「ありがとうございます、私これ好きなんですよ」

絵里「本当ですか！？ 私もです！」

常連さん「これぞお饅頭！ という味で食べるとほっこりするところが好きなんです」

常連さん「娘もここのお饅頭が大好物でして、子どもの頃はいつも食べたい、食べたいと駄々をこねたものです」

絵里「あら、娘さんがいらっしゃるのですか？」

常連さん「ええ、ちょうど絢瀬さんと同じような年の子が…」

穂乃果「たっだいまー！」

絵里「穂乃果！」

常連さん「あら、穂乃果さん」

穂乃果「あっ！ 海未ちゃんのお母さん！ 元気でした？」

常連さん「ええ、あなたと同じく元気でしたよ」

穂乃果「ホント！？ あっ、海未ちゃんは…」

絵里(この人…海未のお母様だったのね…)

絵里(これが老舗特有の繋がりってやつなのね…！)

────

絵里「はあ～…」

穂乃果「絵里ちゃん、お疲れ様」

穂乃果「はい、お茶」

絵里「ありがと」

穂乃果「午前のお仕事どうだった？」

絵里「簡単って言ったこと訂正するわ」

絵里「物凄く大変だったわ」

穂乃果「まあ慣れだよ慣れ」

絵里「…そっか」

穂乃果「1週間もすればもう慣れてるはずだよ！」

絵里「いやいや、穂むらで働くのは今日だけだし、慣れるも何も…」

穂乃果「え？」

絵里「ん？」

穂乃果「絵里ちゃん今なんて？」

絵里「穂むらで働くのは今日だけって…」

穂乃果「聞いてないよっ！」

絵里「人の話はちゃんと聞くものよ」

穂乃果「うー…また絵里ちゃんと一緒にいられると思ったのに…」

絵里「でも私にも仕事があるから」

穂乃果「でも…」

絵里「わかってくれる？ 穂乃果」

穂乃果「…わかった」

穂乃果「じゃああと半日頑張ってね」ｽﾀｽﾀ

絵里「あ！ 穂乃果…」

ほのパパ「…」

ほのパパ「…」

絵里「え？」

絵里「ハラショー！ 和菓子ってこうやって作るのねぇ」

絵里「お父様は毎日作ってるなんて凄いですね！」

ほのパパ「…//」

ほのパパ「…！」

絵里「え、私もやってみろって？」

絵里「よーし！ エリチカ特製ほむまんを作ってみます！」


絵里「…どうですか」

ほのパパ「…」

絵里「美味しい？ 本当ですか！？」

ほのパパ「…」

絵里「これなら穂むらを任せられるって…」

絵里「あ、いえ、私は今日だけで…」

ほのパパ「………」

絵里「そんな残念そうにしないでください…」

ほのパパ「…」

絵里「いえ、私も仕事がありますので…」

絵里「はい、すみません…」

雪穂「あ、絵里さん」

絵里「あら雪穂ちゃん」

雪穂「さっきお姉ちゃんが探してましたよ」

雪穂「何か話があるって」

絵里「わかったわ、ありがとう」

絵里「それじゃあね」

雪穂「あ、あの！」

絵里「？」

雪穂「お姉ちゃんのこと…よろしくお願いしますね」

絵里「え、あ、いや…」

雪穂「じゃあまた明日です！」ﾀﾞｯ

絵里「みんな…何か勘違いしてないかしら」

絵里「今日はありがとうございました」

ほのママ「いえいえ、また来てね」

ほのママ「次来たらサービスしてあげるわね」

絵里「ありがとうございます」

穂乃果「……」

ほのママ「あ、穂乃果！ 絵里ちゃんもう帰っちゃうわよ！」

穂乃果「…ねえ絵里ちゃん」

絵里「なあに穂乃果」

穂乃果「…また明日ね」

絵里「…」

ほのママ「こら穂乃果！ 絵里ちゃんは明日仕事があるのよ！ わがまま言わないの！」

穂乃果「…やだ」

ほのママ「穂乃果！」

穂乃果「やだ！」

穂乃果「絵里ちゃんがもう辛い思いをするなんて嫌なの！」

穂乃果「だから…だから明日もまた来て！」

穂乃果「絵里ちゃんは穂むらの看板娘なんでしょ…？」

穂乃果「看板娘が店にいないなんてダメだよ！」ﾀﾞｯ

ほのママ「こら穂乃果！」

ほのママ「ごめんなさいね、昔っからああなの」

絵里「いえいえ、慣れてますから」

絵里「今日はありがとうございました」

絵里「失礼します」

───次の日

俺部長「あ、おはよう絵里ちゃん」

俺部長「今日もかわいいねえ…」ｽﾘｽﾘ

絵里「…」

絵里「最低です」

俺部長「おうふ…」

俺部長「いきなりそんなこと言うなんてどんなプレイだい絵里ちゃん！？」

絵里「部長、一つ言いたいことがあります」

絵里「私、絢瀬絵里は今日限りでここを辞めます」

俺部長「そ、そんな勝手は許さんぞ！」

絵里「勝手？ 私の体を勝手に触ってきたあなたが言うんですか」

絵里「とりあえず辞表は置いておきますので後処理はよろしくお願いしますね」

絵里「お世話になりました」

ﾊﾞﾀﾝ

俺課長「一方的に話を進められて辞められたぞ…」

俺社長「オッレ冷えてるか～？」

穂乃果「あーあ、1人で店番はやっぱ暇だなあ」

穂乃果「絵里ちゃんがいた昨日は楽しかったんだけどなあ…」

穂乃果「はあ…水羊羹つまみ食いしちゃお」

穂乃果「はむっ…冷たっ」

ｶﾞﾗﾗｯ

穂乃果「あっ、い、いらっしゃいませ！」

穂乃果「え…？」

絵里「おはようございます、穂乃果先輩」

絵里「昨日からここ穂むらに永久就職しました絢瀬絵里と申します」

絵里「世間知らずですがよろしくお願いします…！」

穂乃果「絵里ちゃん…！」

穂乃果「ごほん！」

穂乃果「…遅刻だよ、絵里さん」

穂乃果「入って2日目で遅れるような人にはしっかり教育しないとね」

穂乃果「厳しくいくよ？」

絵里「穂乃果…！」

穂乃果「返事！」

絵里「はいっ！」

穂乃果「よし！ それでは先輩はお昼寝の時間なので…」

絵里「待ってください穂乃果さん」

絵里「やる気に溢れた後輩を置いて昼寝するなんて認められません」

穂乃果「うええ…」

絵里「身振り手振り教えてくださいね♡」

おわり
27才シリーズ？の作者とは違います

うんうん、よいほのえりでした