1: 2016/06/30(木) 18:01:47.69 ID:7HF3H6Pq.net
穂乃果「何ですか、それ??」

ラブライブ予選のPV撮影をUTXで行った数日後、穂乃果はツバサと共にいた

ツバサ「念とはその人が持つ潜在能力みたいなものよ。
誰しもが持っているけど、自覚し使いこなせる人はそう多くない。
世間で活躍する人たち、実業家やアーティストの類は自覚無自覚の差こそあれ、
みんな使ってるわね。」

2: 2016/06/30(木) 18:02:53.65 ID:7HF3H6Pq.net
穂乃果「えー。それが私に、ですか?」

ツバサ「そう。というよりμ’s全員かしら。
あなた達が、ウチの屋上で『発』表したモノ、
それはあなた達全員が目標に向かって一『点』になり、
大変な『練』習を積んだからこそできたものに他ならない。」

ツバサ「たくさんの人々を、私を含めて魅了したあなたたちは無自覚のうちに念を使っていたといえるのかもね。」

3: 2016/06/30(木) 18:03:24.96 ID:7HF3H6Pq.net
穂乃果「…はあ。」

ツバサ「念は『燃』。そうなると、みんなをここまで引っ張ってきたあなたの念は他のメンバーの比ではないことになるわね。」フフッ

4: 2016/06/30(木) 18:04:21.13 ID:7HF3H6Pq.net
穂乃果宅

穂乃果(これ、念っていうんだ。)

その瞬間穂乃果の体は強力なオーラに包まれた。
穂乃果は念を、生まれつき知っていたのだ。
しかし念の概念をツバサから聞いたことで、その力をより強く自覚した。

5: 2016/06/30(木) 18:05:52.31 ID:7HF3H6Pq.net
穂乃果(ツバサさんはメンバー全員が念能力に目覚めうるって言ってたけど…)

ある意味穂乃果が念を使える程の潜在能力があるメンバーだけを
勧誘しただけにすぎない。


雪穂「おねーちゃん、入るよー」コンコン

穂乃果「おー雪穂、ありがとー」

雪穂「まったく、自分で飲む水くらい自分で用意してよねー」

穂乃果「えへへ、ごめんごめん。」

6: 2016/06/30(木) 18:06:54.93 ID:7HF3H6Pq.net
―――――水見式
ツバサから聞いた、自分のオーラの系統を知るための儀式である。

――カッッ
穂乃果がオーラを送ると水はあふれかえった。
穂乃果「やっぱり穂乃果は強化系かー。そんな気がしてたんだよねー。」
(ちょっと使いづらい、かな…)


海未とことりは幼いころから穂乃果のオーラに当てられて、自然とオーラの門が開いた。
真姫はピアノの音から感じ取った微量なオーラから勧誘を決め、
花陽のアイドルへの憧れ、凛の身体能力と2人の可能性を感じ、
3人の関係性を上手く動かしてメンバーに入れた。

真姫の学生手帳を目にもとまらぬ手盗(みんな見逃しちゃうね)で抜き去り、
花陽に拾わせたのだ

7: 2016/06/30(木) 18:08:04.16 ID:7HF3H6Pq.net
にこはアイドルへの執「念」から勧誘し、絵里も結局穂乃果の、μ'sの持つオーラに魅了されメンバーになることになった。

―――しかし
穂乃果は気付く。自分の他に能力者がいることに。
東條希、自分とまったく同じ未来を描いていたもう一人の少女に!

8: 2016/06/30(木) 18:09:13.78 ID:7HF3H6Pq.net
今考えると希の言動は不自然なところがかなりあった。
まるでμ'sが結成されるのを知っていたかのような口ぶり、ダンス経験もないはずなのに一番短い練習時間でみんなについてくるポテンシャル。
念の話を聞いた今、それらに一応の説明はつく。

(もしかしたら私、希ちゃんの手の中で踊ってただけなのかな、なんちゃって)

穂乃果「明日、希ちゃんにちょっと話聞いてみよっと。」

9: 2016/06/30(木) 18:10:08.97 ID:7HF3H6Pq.net
翌日、音ノ木坂学院

穂乃果「のーぞみちゃーん!」

希「お~穂乃果ちゃん、どしたん?」

穂乃果「私、スピリチュアルガールになっちゃったーーー!」すっとぼけー

希「えぇ…?」

―――――――――――
―――
――

穂乃果「見ててね…トォ!」ズオオォ!

希「おわー穂乃果ちゃんどしたんそれ?(これは…!練?!穂乃果ちゃんいつの間に…)」

穂乃果「うーんよく分かんない!なんか突然できるようになっちゃてさー、だから
『こういう』スピリチュアルなことに詳しい希ちゃんに話聞こうと思って!」

10: 2016/06/30(木) 18:11:23.64 ID:7HF3H6Pq.net
希「そか…、穂乃果ちゃんそれ念ていうんよ。」

希(『こういう』スピリチュアルなことなあ…)

穂乃果「念???何それーーー?」

穂乃果(とりあえず希ちゃんの能力は知っておいたほうが後々都合がいいかな)

希「念ていうのはねぇ―――

11: 2016/06/30(木) 18:12:55.09 ID:7HF3H6Pq.net
いつの日か、こんな日が来ると思ってた。
穂乃果はいずれ念能力を開花しうる、確実に自分以上の、
初めて会ったその日から希は確信していた。


希の念は、たまたま趣味でスピリチュアル関係の本を何冊も読み、
念に対して直接言及されていなくともそれを自分なりに抽出してきた結果
たどり着いたものだ。


希は、特質系だった。

12: 2016/06/30(木) 18:14:45.59 ID:7HF3H6Pq.net
【もしもからきっと(フューチャー・レンズ)】
未来を占う能力。
といっても所詮は学生、普通の占いより精度がいい程度のものだし、タロットに乗っ取らなくてはならないので占いはひどく暗喩的である。
―――――――――
――――――
――

13: 2016/06/30(木) 18:15:47.19 ID:7HF3H6Pq.net
穂乃果「なるほどねえ…。でも希ちゃん結構はっきりと未来占ってなかった?」

希「それはね、穂乃果ちゃんのおかげなんよ。」

穂乃果「穂乃果の?」

希「そう。穂乃果ちゃん実行力あるからこそ、未来の見通しが良かったし、
確実にμ'sは結成されると確信できたんや。」

穂乃果「えへへ…、ありがとう。」

14: 2016/06/30(木) 18:16:25.59 ID:7HF3H6Pq.net
穂乃果「ところで、穂乃果も発ってのをマスターしたいなあ。」

希(さすがにいきなりは教えられんなあ…)

希「教えてあげたいけど、ウチも実はよく分かってないんよ。ごめんね?」

穂乃果「そっかー。じゃあ、希ちゃんの『もしもからきっと(フォーチュン・レンズ)』…ちょっとみせてよ!」

希「ええよ。」

希(まあ見せるくらいなら…)

――――――
――――

15: 2016/06/30(木) 18:17:38.85 ID:7HF3H6Pq.net
穂乃果「希ちゃん!今日は素敵なモノ見せてくれてありがとう!」

希「いえいえ、またなんかあったらうちに聞いてな。」

穂乃果「うん!じゃまた明日ね!」

希「またねー」

希「…」


穂乃果の望み―――
それはラブライブ優勝。
そのためにはArizeに、全国に勝たなければならない。

16: 2016/06/30(木) 18:19:14.28 ID:7HF3H6Pq.net
3年生と一緒に優勝したい

今年じゃなきゃダメなんだ。
この9人じゃなきゃ…

そのために―――
力が必要だ。


希ちゃんに見せてもらったおかげで、発のコツみたいなのは掴めたかも…?

…でも、ダメだ。

強化系ではない
もっと違う圧倒的な力で―――

希「どうしてこんな…死神のカード…」



――――――
―――― 
――

17: 2016/06/30(木) 18:21:26.53 ID:7HF3H6Pq.net
ことり「最近穂乃果ちゃん練習来ないね…」

海未「修学旅行明けにはファッションショーライブ、ハロウィンライブも控えてますのに…」

絵里「2人は何か聞いてないの?」

ことり「体調が悪いって言ってた…」

希「…」

にこ「(希…?)まったくダラしないわねーあの娘も。」

真姫「まあまたライブ中に倒れられても困るけどね。」

花陽「穂乃果ちゃんなら大丈夫!きっとすぐよくなって――

18: 2016/06/30(木) 18:22:47.31 ID:7HF3H6Pq.net
凛「あっ、噂をすれば!!」

穂乃果「みんなーー!」バタバタ

海未「穂乃果!」

絵里「もう大丈夫なの、体調は?」

穂乃果「うん!バッチリ!ご迷惑をおかけしました。」

にこ「…ならいいわ。とっとと練習始めるわよ!」

――――――――――――
―――――――――
―――――

19: 2016/06/30(木) 18:23:41.78 ID:7HF3H6Pq.net
ことり「(ほのかちゃん、すごい)」

花陽「(ブランクをまったく感じさせない…)」

真姫「(むしろ今まで以上なんじゃ…)」

絵里「今日の練習は、ここまでにしましょう!」



全員『ありがとーござました!』


練習後

凛「希ちゃーん、凛とラーメン食べにいこ?」

希「いいよ~。でもちょっと用事あるから先行っててくれん?」

20: 2016/06/30(木) 18:24:32.44 ID:7HF3H6Pq.net
凛「うん!分かったにゃー」

真姫「ねえ凛、最近希どこかおかしくない?」

凛「うーん、なんかちょっと元気ないかもね。」

にこ(…。)

――――――――
―――――
―――

希「なあ穂乃果ちゃん、本当に体調崩してたんか?」

21: 2016/06/30(木) 18:26:15.14 ID:7HF3H6Pq.net
穂乃果「あはは…実は前教えてもらった念てのをちょっと試してみたかったんだよね・・。練習に出れなかったのは申し訳ないけど、強化系の能力があれば前みたいに倒れることはないだろうし、今後のライブでも確実にプラスになると思って・・。えへへ」

希「(嘘、だ)」


希は見抜いていた。
穂乃果が以前から強化系の発を使っていることに。
おそらく無自覚だろうが、わざわざマスターするのに練習を休む必要はない。


では、穂乃果は何をしていたのか――――


おそらく彼女の中に眠る「特質」を磨いていたのだろう。

22: 2016/06/30(木) 18:29:57.58 ID:7HF3H6Pq.net
あの日神社で天候を変えたのを見た。
その瞬間理解した。
穂乃果は、この世界の中心なのだと。

そうするつもりがまったくなくても、彼女は主役を演じてしまうのだ。
念と呼ぶにはちょっと違うのかもしれないが、念を知った彼女はそれを念能力として
昇華させた。


希「(いままでにないオーラを感じる。絶でも隠し切れない程の。皆も薄々気付いてるようやった。)」

23: 2016/06/30(木) 18:30:45.57 ID:7HF3H6Pq.net
文化祭の時倒れた穂乃果を見て、やり場のない気持ちをどうすることもできなかった。
ただの風邪であそこまでなるはずがない。
μ′s結成のために特質を使いすぎたのだ。


強化と特質は六性図でも対極。
普段見せる純粋な穂乃果の裏には、1人でなんでもやり遂げようともがく孤独な穂乃果がいることを、希は薄々知っていた。
その2面性が、穂乃果を蝕んでいる。

きっと重い制約と誓約で強めたに違いない―――

24: 2016/06/30(木) 18:32:43.03 ID:7HF3H6Pq.net
【愛に生きる世界の主役(エース∩ホームランバッター)】
世界に作用する特質系能力。自己の主人公体質を念能力の形にしたもの。己に課す制約と誓約の重さによって効果は変わる。高校の生徒会長になったり、小雨を止ます程度ならノーリスク。

25: 2016/06/30(木) 18:35:50.60 ID:7HF3H6Pq.net
酷使により愛に生きる世界の主役(エース⋀ホームランバッター)が弱まったとき、穂乃果の世界は崩壊しかけた。

ことりは留学を決意し、μ’sは一時活動中止となった。
次は、何が起こるか分からない…。


もう二度と、そうなってはならない。
今度は自分が陰ながら穂乃果を支えるつもりでいた。
いつまでも、純粋な穂乃果でいて欲しいから…

27: 2016/06/30(木) 19:02:01.58 ID:7HF3H6Pq.net
それなのに―――
この娘はまた1人で抱え込もうとしている。
私たちのために、また無理をするつもりなんだ。

希「穂乃果ちゃん、やめて。」

穂乃果「え?」

希「今度はみんなが、私があなたを支えるから。一人で―――

穂乃果「希ちゃん!」にこっ

――――数時間にも及ぶ口論だった。

いや、口論ではない。
希が一方的に穂乃果を諭していただけだ。
次第に希の語気は強くなるが、穂乃果は困ったように笑い
話を濁し続けた。

28: 2016/06/30(木) 19:05:52.81 ID:7HF3H6Pq.net
【限られた時間の中で(スクールアイドル・フェスティバル)】
穂乃果の特質から、時間的な制約をと誓約盛り込んで作り上げた能力。
人生の残り時間を削る事と、半年後スクールアイドルをやめるということを条件に、
ラブライブで優勝するための働きかけを世界にすることができる。
(しかしこれは9人の努力があってこその力であり、要因にはなっても原因にはならない。
あくまで舞台を整える能力である。)

29: 2016/06/30(木) 19:07:25.50 ID:7HF3H6Pq.net
――――――――――
―――――


希「ねえ…穂乃果ちゃん…、もしウチが力ずくでも止めるといったら…?」ズズズ

穂乃果「あはは…、希ちゃん穂乃果本当は強化系だよ?やめたほうがいいよ。
それに私絶対譲らないから…。」

希「…。」

穂乃果「ごめんね希ちゃん、これは私がやりたいことなの。皆頑張ってる。
こんな私についてきて…。皆の力になりたいの!迷惑をかけるつもりはない。私に、やらせて。」

希「穂乃果…ちゃん。」

穂乃果を止めたい、止めなくてはならない。
分かっているのに…、出来なかった。

30: 2016/06/30(木) 19:08:30.51 ID:7HF3H6Pq.net
―――――――――――――――
――――――――――――
―――――――
―――

穂乃果「いやー今日も練習キツかったねー。」

ことり「でも、かなりいい調子で来てるよね!」

海未「ハロウィンライブも終わりましたし…次はいよいよ東京地区最終予選ですね。」

穂乃果「絶対に勝つよ、私たちは。」

ことり「…うん!」

海未「…そうですね!」

穂乃果「じゃあまたねー!」

ことり「うん!また明日。」

海未「ええ、また明日。」

穂乃果(タッタッタッタ)

31: 2016/06/30(木) 19:09:36.44 ID:7HF3H6Pq.net
ことり「…」

海未「…」


穂乃果宅

穂乃果「(ふぅ・・・)」ドサッ

穂乃果「はぁ・・はぁ・・(次は地区最終予選だ!!…絶対に負けない!)」

―――しかし、
穂乃果の特質は、着実に自身を蝕んでいた。

希「(もう限界なんじゃないの―――、穂乃果ちゃん。)」

32: 2016/06/30(木) 19:11:32.61 ID:7HF3H6Pq.net
―――数日後、音ノ木坂屋上

にこ「希、話があるんだけど?」

希「どしたんや、にこっち?」

にこ「穂乃果のことよ。あんた、ばれてないとでも思ってたの。」

希「穂乃果ちゃんのこと?」

にこ「とぼけないで!穂乃果が裏で何かこそこそしてるの、みんな知ってるの!」

希「ああ…(そう、隠して置けるはずなんかないのに…ばかだよ穂乃果ちゃん――――)」

希「にこっち、怒らんであげて…穂乃果ちゃんは――

にこ「何がみんなセンターよ、結局あの娘が一人で背負い込んでるだけじゃない!
あんたは悔しく―――!?

33: 2016/06/30(木) 19:12:38.61 ID:7HF3H6Pq.net
希「私も悔しいっ!苦しいよっ!」ポロポロ

にこ「…」


希(最高の9人だと思った、穂乃果ちゃんが集めてくれた…。一人だった私にこんなにもあったかい居場所をくれた―――)

私が支えてあげなくちゃいけないのに―――



にこ「・・・・8人で集まりしょう。」

――――――――――――――
――――――――――
―――――――
―――

34: 2016/06/30(木) 19:14:11.83 ID:7HF3H6Pq.net
穂乃果「しばらく練習休み?!どーして!、こんな大切な時に!!」

にこ「見るからに調子の悪そうなのがいるからよ。」

穂乃果「そんな…」

穂乃果(あーばれちゃったのかな…。今まで内緒にしてくれてありがとね、希ちゃん)

真姫「そういうことだから、あなたも体休めときなさいよ。」

絵里「いい?穂乃果…『休む』のよ?そして『いままで通りの体調に戻す』の。
簡単なことよ。できるわね?」

穂乃果「私は別に『いままで通りの体調』だよ。・・・それに次の練習の時も…。」



8人『・・・・・・・。』

35: 2016/06/30(木) 19:16:58.69 ID:7HF3H6Pq.net
―――意思を変えるつもりはない。
今度こそ、最後までやり遂げるんだ
譲れないよ

海未「・・・。」


海未「・・・そういうことですので、穂乃果、しばらく練習はお休みです。分かりましたね…。」

穂乃果「・・うん。」

海未「・・・」


―――にこに呼ばれて集められたとき、希の話に驚くメンバーはいなかった。

穂乃果、あなたがまた一人で突っ走ろうとしてたこと…、気づかないとでも思ってたんでしょうか…
気付いていたんですよ、最初から、全部。あなたの持つ不思議な力にも。

36: 2016/06/30(木) 19:18:00.71 ID:7HF3H6Pq.net
でも、言えるわけないじゃないですか
あなたと私の違いがはっきりしてしまいそうで怖くて…


あなたにはたくさんの迷惑をかけられましたが、それ以上に楽しかったのです、穂乃果。
親友である以前に、惹かれていたんです。

あなたが特別だとしたらなんなのですか?穂乃果
私たちはただ背負われるだけの存在なのですか?

許せない…、穂乃果も、そんな私自身も・・・


一人で背負えるなんて、思わないことですよ――――

―――

37: 2016/06/30(木) 19:25:10.46 ID:7HF3H6Pq.net
夜、穂乃果宅


穂乃果「はあ・・はあ・・」ドサッ

(みんな怒ってたな…、それに悲しんでた…)

穂乃果「(私って、バカだな)」ポロポロ

穂乃果(でも…)

―――――――――――――――――
―――――――――――――
――――――――
―――

38: 2016/06/30(木) 19:25:59.58 ID:7HF3H6Pq.net
にこ「あの娘も頑固ね。交渉決裂よ!」

絵里「穂乃果も本気なのよ。それに交渉は希が既にやってくれていたわ。」

真姫「こうなったら私たちもその念で、穂乃果に対抗するしかないようね。」

絵里「希、その念能力、私たちも開花する素質はあるのよね?」

希「うん…ここにいる皆その素質は持ってる。でも…」

真姫「でも…?」

希「時間が足りなすぎる…。今日念を知って、明日すぐ使えるような代物ではないの。」

―――それに穂乃果ちゃんは念の天才

39: 2016/06/30(木) 19:27:12.27 ID:7HF3H6Pq.net
海未「やりますよ、私は。」

ことり「わたしもやる。」

ことり(知ってたよ…穂乃果ちゃん、私知ってたの…!)

ことり(今度は絶対一人にはしないから…!)

希「2人とも・・・、そうや。ウチも穂乃果ちゃんを止めたい。絶対に。」

にこ「互いに譲り合うことができないなら、一方をへし折ってでも進むしかないわね。」

絵里「乱暴ねえ…にこは。」クスッ

真姫「穂乃果の力を頼らないってことは次からの練習は
これまで以上の努力が必要になるってことね。」

花陽「望むところです!」

40: 2016/06/30(木) 19:30:23.51 ID:7HF3H6Pq.net
絵里「そうね、だから今後の練習のためにも念習得にあまり時間は割けない。」

海未「一週間、てところですかね。」

にこ「楽勝よ!」

海未「にこのダンスはまだ改善しなくてはならないところがたくさんありますからね。」フフ

にこ「なっ…!」


ことり「穂乃果ちゃんとケンカするの、初めてかも♡」

ことり(穂乃果ちゃん・・・・待っててね・・・♧8♧)ズズズ

凛「よーーーし、やってやるにゃーー!!」

絵里「それじゃあみんな、合宿よーーー!」


―――――――――――――――
――――――――――― 
――――――――
――――

41: 2016/06/30(木) 19:31:48.85 ID:7HF3H6Pq.net
そして…1週間後


海未「しばらくぶりですね、穂乃果。」

穂乃果(穂乃果とやる気なんだね、海未ちゃん)

穂乃果「久しぶりだねー、海未ちゃん。休みっていっても来月には都大会なのにこの1週間どこ行ってたのさー!」むー

海未「練習するための練習みたいなものですよ、穂乃果。ラブライブに向けて心置きなく
練習するために、あなたの目を覚ます練習をしていました。」


穂乃果「・・・・・・・。」

穂乃果(海未ちゃん1人、…の訳ないね。恐らく絶で全員が潜んでる。)

42: 2016/06/30(木) 19:32:53.90 ID:7HF3H6Pq.net
海未「次のライブまでもう時間がありません、穂乃果。茶番は今日ここで終わりにしましょう。」

海未「私たちが負けたら、私たちの力はその程度のモノだった、ということです。
認めますよ、喜んであなたののおんぶにだっこになりましょう。」

穂乃果「ねえ海未ちゃん違うよ…私の力はただスクールアイドルの皆を応援するための――

海未「…勝つのは私たちなの申し開きは別にいいです。穂乃果もそれでいいですね?」ズズズ


―――念とはその人の力そのもの。
―――才能、努力、気持ち、
―――すべてがそこに集約される

だからこそ、決着にふさわしい


穂乃果「…分かったよ海未ちゃん、やろう。分かりやすいの好きだよ穂乃果。」


海未「穂乃果・・・あなたを、止めます。」

穂乃果「あはは…海未ちゃん…。」

穂乃果「・・・・。」

「舐   め  な  い  で  ね」ズォッ

43: 2016/06/30(木) 19:47:52.31 ID:7HF3H6Pq.net
――海未は
静かに、しかし素早く弓を取り出した。

【致命的な投げ接吻(ラブアローシュート)】
強化系能力。弦、柄、引手をオーラによって強化することで、強力な1撃を射ることが可能。



――凄いなやっぱり、こんな短期間で念をマスターしてくるなんて…
μ'sの皆は凄い!!


(取り合えず距離をとろっか)

一瞬にして穂乃果は近的場(28メートル)の3倍の距離をとった

45: 2016/06/30(木) 20:12:34.63 ID:7HF3H6Pq.net
――が、

放たれた弓矢は一瞬にして穂乃果に届く。

(最初にいた位置ならさすがに危なかったかも…。でもこの距離なら楽に躱せるよ)スッ

(もし穂乃果が的だったらど真ん中だったね、さすが海未ちゃん。)


――私(強化系)と相性が悪いのは、操作系と具現化系…
メンバーの中で言うと恐らく絵里ちゃん、ことりちゃん、花陽ちゃんあたりがそうかな…?
気を付けないとね

50: 2016/06/30(木) 22:00:57.03 ID:7HF3H6Pq.net
(矢は実弾だから連射は出来ないよね…。それに本物の弓道に乗っ取ってるなら、残心もあるはず。この威力まで高めるためにはそのくらいの制約は課しているだろう…)

※残心…弓を放った後、そのままの姿勢を数秒保ち、心身ともに一息置くこと


(その隙に、まずは海未ちゃんに眠って貰おう)グググ




―――――!?

絵里「久しぶりね、穂乃果」

穂乃果「絵里ちゃん…!」

絵里「あなたはここで『1.走ってはいけません。2.大声を上げてはいけません3.物を壊してはいけません』、つまり『静かに過ごしなさい』ってことね。」

51: 2016/06/30(木) 22:04:38.18 ID:7HF3H6Pq.net
絵里「子供の頃、そこが世界の全てだった(ミニチュア・ガーデン)」

【子供の頃、そこが世界の全てだった(ミニチュア・ガーデン)】
具現化能力。自分を中心とした7×9(m)の人間を強制入室させる。
下校の時間(絵里のオーラ総量と相手のオーラ総量によって決まる)までは出ることができない。
ここでは音ノ木坂の学則に乗っ取った行動が求められ、破れば停学(1日の強制絶)が課される。その場合絵里も連帯責任(半日の強制絶)となる。
そのルールは、あらかじめ入室者が知っているか、説明されていないといけない。

52: 2016/06/30(木) 22:05:37.80 ID:7HF3H6Pq.net
穂乃果(・・・ここは)

穂乃果「ふふっ。ほんと絵里ちゃんて学校のことが好きなんだね…!」



(でも、海未ちゃんは―――?)

絵里「大丈夫よ、穂乃果。ここは学校。生徒(入室者)の安全は約束されてるの。」

絵里「それよりさっき言ったこと、覚えてるかしら?」

穂乃果「『静かに過ごしなさい』だっけ…?」

絵里「そ。やぶれば停学(強制絶)よ?、気を付けてね。」

穂乃果「はーい。」

53: 2016/06/30(木) 22:07:13.91 ID:7HF3H6Pq.net
穂乃果(しばらく出そうにないね…狙いは海未ちゃんの体制をととのえることかな?)

絵里「ゆっくり話したい気分だけど…あまり時間がないのよ。」

穂乃果「…。」

穂乃果(それとも弓のほうが陽動でこっちが本命か…、とりあえず絵里ちゃんのオーラ量からみて縛れるのは3分前後だね。)

絵里「それじゃあ穂乃果にも、クラスの皆を紹介しようかしら。みんな入って来て。念のため、ここでは『静かに過ごす』のよ?」

54: 2016/06/30(木) 22:08:46.76 ID:7HF3H6Pq.net
これは―――?


ゾロゾロと・・・
30人を超える音ノ木坂の生徒が『入室』してきた。


花陽「(皆さん、ごめんなさい!)」

【独りよがりの両想い(ロンネリー・ヘブン)】
操作系能力。「○○ですが、○○ですか?」の形式で相手に質問して、3回連続で相手にはいと答えさせることができると発動する。
人数や時間に制限はない。また操作された当人以上の能力は出せない。
操作した直後に相手におねがいをして、そのおねがいを達成した瞬間に相手の操作は解ける。

55: 2016/06/30(木) 22:09:41.88 ID:7HF3H6Pq.net
これ、みんな操作されてるね…。でもここ(教室内)で攻撃される心配はない…はず。


穂乃果「もー、ぎゅうぎゅうだよ、絵里ちゃん。」

穂乃果(297、298、299・・・300!)

キーンコーンカーンコーン

絵里「ざーんねん、下校の時間ね。」

いったい狙いは…?

――――――ッ!

狙いはここか…この瞬間!
相手が何のリスクもなく穂乃果と距離を詰めてる―――
相手が強化系だったらちょっとまずいな
操作された生徒の中に、メンバーが紛れてたんだ!

56: 2016/06/30(木) 22:12:47.45 ID:7HF3H6Pq.net
凛「凛が相手だよ!!」

凛ちゃん―――

声を認識したときには、凛の拳はすでに穂乃果の顔面を捉えていた。

凛「ごめんね、穂乃果ちゃん。後で真姫ちゃんに治してもらってね。」



凛「・・・!?(・・無傷!?)」

穂乃果「凛ちゃん顔はなしでしょー顔は(凛ちゃんの身体能力はマズいなあ
絶対に近寄られたらダメだった…)」

完全にみんなのペースじゃんこれ
受け身になってると、ハメられちゃう。

57: 2016/06/30(木) 22:15:15.18 ID:7HF3H6Pq.net
凛「フフ・・フフフ」

穂乃果「?」

凛「別に手加減する余裕なんてなかったけど・・・」

凛「壊れないなら全力で動けるね…ボク安心したニャ」ズズズ

穂乃果「(ボク?ニャ?)」


凛の足にオーラが集まるッ!(ググググッ

58: 2016/06/30(木) 22:16:37.98 ID:7HF3H6Pq.net
【果実の舞姫(テレプシコーラ)】
強化系能力。生まれ持った身体能力をオーラで強化することで、超人的な動きを得ることができる。


来るッ!!

穂乃果「―――――(周りの操作されてる子たちに以前攻撃の様子はない…!)」(0.02秒)


穂乃果の目はすでに凛を追い切れていない


穂乃果「―――――(海未ちゃんに距離は詰められてない、操作された子たちが周りにいる状況でうかつに撃ってはこれないのかな…!)」(0.05秒)


凛の姿が再び穂乃果の目に映ったとき、凛は足を高々と上げていた
腹部には鈍い痛み、蹴られたのか…!

59: 2016/06/30(木) 22:17:28.92 ID:7HF3H6Pq.net
穂乃果「―――(「流」からの「硬」では対応できない。多少のダメージは覚悟して「堅」で守るしかない・・)」(0.057秒)


再び凛の姿が消えると同時に、穂乃果のオーラが堅を形成する


穂乃果「―――――(絵里ちゃんは具現化系、直接戦闘に関わっては来ないだろう)」(0.07秒)

凛の攻撃は一撃、一撃と穂乃果の体に刻み込まれていく。

穂乃果「―――――(希ちゃんは過去に、海未ちゃん、絵里ちゃん、凛ちゃんは今私の目の前で能力を見せた
凛ちゃんの口ぶりから真姫ちゃんは治癒系能力、残りの3人のうち誰か一人が生徒を操作したから…)」(0.08秒)



―――――――――――――――――
――――――――――

60: 2016/06/30(木) 22:35:18.82 ID:7HF3H6Pq.net
普段の穂乃果なら「堅」で十分対応しきれていただろう―――
しかし、特質の代償ですでに穂乃果の体はボロボロだった。

少しづつ、しかし確実にダメージが蓄積されていく・・・


凛「穂乃果ちゃーーん、こっちこっち♡」

穂乃果「うふふ、待ってよ凛ちゃーーん♡」


フルーツダンスしてる場合じゃない…
みんなのペースから抜け出すには…

攻 め に 転 じ る し か な い(ゴオッ

凛(―――!?)

穂乃果オーラは、本能的に凛に距離をとらせた。

61: 2016/06/30(木) 22:36:16.30 ID:7HF3H6Pq.net
穂乃果「凛ちゃんごめんね。真姫ちゃんに治してもらってね。」ぶん

しかし穂乃果の拳は凛には届かなかった。


―――!?
後方に引き寄せられるッ!

陰で隠されたオーラが肩に…!!いつ?


にこ「絵里の教室の中よ。」

穂乃果(―――にこちゃん!)


あの中に、にこちゃんもいたのか!
操作された人数と教室の狭さからちょっと肩があたるくらい何の不自然もなかった。
その時に念を付けられたんだ!!

62: 2016/06/30(木) 22:36:56.95 ID:7HF3H6Pq.net
穂乃果(2重トラップだったってこと…ね)

【アイドルとは偶像(アイドル=アイドル)】
変化形能力。年齢、性別、体格に関係なく相手の容姿に変身することができる。また、他人をメイクアップすることも可能。



穂乃果(これがにこちゃんの能力?早く肩のオーラを外して…)

―――!?
真姫ちゃん!?

穂乃果の引き付けられる先には真姫がいた

63: 2016/06/30(木) 22:38:02.27 ID:7HF3H6Pq.net
【にこまきは磁石(マグネティック・トゥデイ)】
にこと真姫のオーラは時に反発し、時に惹かれ合う。
真姫の持つ念(便宜的にM極性とする)に対し、変化形能力者のにこが自らの念を
S,Mに変化させ使い分けることで、くっつき反発する磁力のような効果を得ることができる。


穂乃果(…外れたッ…いやよく見ると肩だけじゃない!?)


真姫「遅いわ、穂乃果。もう『射程圏内』よ。」


射程圏内?真姫ちゃんは治癒系能力者じゃ―――
あれも、ミスリードって訳ね―――――

64: 2016/06/30(木) 22:45:13.51 ID:7HF3H6Pq.net
【注射の時間(ドクター・マッキー)】
放出系能力。針状の念弾を放出する。
真姫は強化、変化形寄りの放出系能力者である
(習熟度はそれぞれ放出:100、強化:90、変化:80)
ので、その念弾に強化系に属する治癒効果、変化系に属する麻酔効果を付与することも可能。
(そういう意味では凛の言ったことは必ずしもハッタリではない。)


今回穂乃果に撃たれるのは無論治癒効果のある針ではなく、麻酔効果を持った針である。


穂乃果(避けられない!)堅ッ

無数の針が穂乃果を襲う

穂乃果「いててててて」

――――たまらず逃げる穂乃果
にこ「無駄よ」
しかし針は穂乃果を追尾する―――

65: 2016/06/30(木) 22:46:03.07 ID:7HF3H6Pq.net
穂乃果(体にまだ残ってるにこちゃんのオーラが針を引きよせてるってことね)

凝で残りを探さなくちゃだけど、そっちにオーラ使うと真姫ちゃんのお注射くらっちゃう…でも仕方ない!


穂乃果は4発の針の直撃と引き換えに、にこのオーラを全て外した。

穂乃果(うあ~効くぅ~クラクラするよ)
穂乃果(…これやばいかも)

穂乃果(ここは海未ちゃんの射程圏内ではない。けど凛ちゃんは…あそこか、この距離なら一瞬で詰めてこれるはず。)

穂乃果(…)

はっきり言って予想以上だよ皆

―――しょうがない


と っ て お き(特質)を 使 お う

66: 2016/06/30(木) 22:49:12.85 ID:7HF3H6Pq.net
穂乃果「愛に生きる世界の主役(エース∩ホームランバッター)」ズズズズズズ

穂乃果(制約は体重の増加と生徒会長としての威信の失墜でいいか。予算案をミスるあたりで。)

にこ(穂乃果のオーラが回復した!)

穂乃果「真姫ちゃん、ちょっと人質にでもなってくれないかな。」ダッ


真姫「(・・早いッ)オコトワリシマスッ」(ドクター・マッキー)ズドドド


しかしオーラを回復した穂乃果の堅に針は立たない

にこ(真姫ちゃんがやられる!)

―――にこは瞬時にオーラを変化させ真姫を引き寄せるた

穂乃果「捕まえたッ」

にこ「(ダメ間に合わないッ!)絵里!!」

絵里「ミニチュア・ガーデン!」

瞬間にこと真姫は凛と共に絵里の教室の中に逃げ込んだ

68: 2016/06/30(木) 23:00:02.51 ID:7HF3H6Pq.net
穂乃果(・・・・・。)

絵里ちゃんは厄介だね、これじゃあ手出しは出来ない。
そういえばずっとことりちゃんの姿が見えないな。

メンバーを一人ずつ削っていけば向こうの打つ手もなくなっていく。

はぁ…


今戦れるのは…

海未ちゃん――――(ダッ


海未「来ましたね…穂乃果」

69: 2016/06/30(木) 23:00:55.29 ID:7HF3H6Pq.net
―――具現化された教室の中
――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――――

にこ「はぁ…はぁ、助かったわ絵里。とりあえずここまでは希の作戦通りね…。」


そう、今回の作戦の立案者は希である。
以前からの念能力の理解と、占いによる穂乃果の行動予測で組み上げた。


花陽「海未ちゃんは大丈夫かな!?」

絵里「海未ならきっと大丈夫よ、花陽。」

凛「でも凛たちがあそこで決められてたら良かったのに…!」

希「いや上出来や、凛ちゃん。確実に体力は削れてる。むしろ穂乃果ちゃんが動いてられるのが不思議なくらいなんや。」

絵里「もはや意地ね、穂乃果も。」

にこ「まあ意地なら『あの子たち』も負けないでしょ。」

真姫「私たちも最後の準備にとりかかりましょ。」

――――――――――――――――――――
――――――――――――
――――――

71: 2016/06/30(木) 23:02:35.70 ID:7HF3H6Pq.net
穂乃果「勝負と行こうよ、海未ちゃん。」

海未「速い…ですが凛ほどではありません。」

致命的な投げ接吻(ラブアロー・シュート)の第2射が放たれる。


穂乃果「(これもど真ん中だね…でも)」

穂乃果のオーラが円を形成する――――

穂乃果「同じ攻撃は2度も通じないよ。」

パシッ―――
穂乃果は素手で矢を受け止める!!
海未との距離は既に10mを切っていた

72: 2016/06/30(木) 23:03:42.61 ID:7HF3H6Pq.net
穂乃果は一瞬にして海未の背後に回る

海未「!!」





穂乃果「首の後ろオーラで守るといいよ、海未ちゃん。手刀でいくから。」

海未「・・・・・穂乃果」




海未「私の投げキッス、受け取ってくれたんですね。」ニヤり

穂乃果「!?」

73: 2016/06/30(木) 23:06:04.32 ID:7HF3H6Pq.net
致命的な投げ接吻(ラブアロー・シュート)には制約が2つある。
一つは残心、もう一つは
――矢を受け止めた者、つまり勝者への無償の称賛である。

海未から放たれるその矢は、必ずしも相手の破壊を目的とはしていない
礼節を重んじる弓道の精神にのっとり、勝者に対し海未は相手の知覚、腕力、を強化するという制約を付けた。
まさに愛の弓矢である。


穂乃果(―――どういう事!?)


そしてこれは、ことりの能力の発動条件を満たす最後の布石である。

75: 2016/06/30(木) 23:11:31.23 ID:7HF3H6Pq.net
ことり「ごめんね♡」ボソッ

ことり(うふふ…)

ことり「穂乃果ちゃん捕まえた」(♡8♡)


【甘くて酸っぱい待ち時間(ぶる~べりぃ・たいむ)】
操作系能力。何かを待つ時間とはとても長いものだ。
これは待ちぼうけにされた相手の体感時間を無限大にする能力である。

76: 2016/06/30(木) 23:12:18.70 ID:7HF3H6Pq.net
―――時間とは本来自然界には存在しない概念である。
ただそこにある「流れ」に対し人間が「時間」と名付けたに過ぎないのだ。
それがいわゆる「絶対時間」であるが、近代物理学において時間は「相対的」なものであることが理論上確認されている。
つまり時間は不変ではなく可変なのだ。


しかし、もちろんことりの能力は時間という「流れ」そのものを操作するものではない。
それは念能力の範疇をあまりにも超えている。
これは「絶対時間」に生きていると思い込んでいる人間の意識を操作することで、あくまでその矛盾から来る錯覚を生ませているだけである。

77: 2016/06/30(木) 23:15:29.34 ID:7HF3H6Pq.net
発動条件
1. 相手はことりに対し友人以上の好意を抱いている
2. 相手はことりに対しマイペース、おっとりなど時間にルーズという印象を持っている
3. 相手はその場で考えられる登場より遅いことりの登場を意識している
4. 対象者は精神的、肉体的に限界に追い込まれている
5. 最後にことりの「ごめんね♡」という声を耳にする



海未の投げキッスによって強化された知覚の恩恵で、
数十メートルは離れたことりの声を手刀を打ち込む刹那的な瞬間に
穂乃果の耳に届けたのだッ!

78: 2016/06/30(木) 23:17:12.30 ID:7HF3H6Pq.net
時が静止した


穂乃果(…時間が進まない)

―――穂乃果の体感ではことりの声を聴いた時から既に一時間が経過しようとしている。
海未の首筋にいまだ右手は到達していない。


穂乃果はこの間頭を回転させことりの能力に対して100を超える仮説を立てていた。

穂乃果(ちょっと複雑な能力だね。ことりちゃんのちょっとメンドクサイところがよく出てるよ。)

79: 2016/06/30(木) 23:19:15.14 ID:7HF3H6Pq.net
まるで意識だけ取り出されて檻に閉じ込められている気分。脳内物質でも操作されてるのかな。

こんなことしたって文字通りなんの時間稼ぎにもならないのに。

周りが超スローに見えるだけであって現実では確実に時間は進んでいる。
そしてその中を動くことができることは誰にも出来ない。


穂乃果は様々なことを考えた。
今後のラブライブ本戦までのシミュレーションを何度も繰り返し、
そしてみんなと歩んできた日々を幾度となくリバイバルしていた。
本当に色々なことを考えたが、μ’sのことばかりであった。




穂乃果の体感時間が4か月にも達しようとしたとき、ようやく海未の首に手刀が到達した。
徐々に時間が本来の速さで動き出してきている。

80: 2016/06/30(木) 23:28:02.22 ID:7HF3H6Pq.net
――ドッ

海未は遥か前方に飛ばされた。


穂乃果「はあ・・・はあ・・・」

穂乃果(ふう。終わってみたらまるで夢でも見ていたみたい。)


海未「穂乃果…やりましたね。」むくり

穂乃果「う、海未ちゃん・・!」

穂乃果(たとえ硬で守っても気絶するくらいの強さだったのに)

海未「4か月分に及ぶの『雑念のありすぎる』攻撃でしたからね…。」

穂乃果(!!)

海未「でも、痛かったです。」

81: 2016/06/30(木) 23:36:47.89 ID:7HF3H6Pq.net
穂乃果「ご…ごめ」

ことり「ほーのかちゃん!」♡8♡

穂乃果「ことりちゃん…!」

――――!?ガクッ

穂乃果(どうして…力が入らない…)

ことり「穂乃果ちゃん、もう限界のはずだよ。」

ことり「ゆくりおやすみ♡」


そんな…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
何をされたの?ダメ立てどうしてどうしてあああああ

82: 2016/06/30(木) 23:40:09.85 ID:7HF3H6Pq.net
ことり「さあ早く♡」

パシッ

差し出されたことりの手を穂乃果は払いのけた

ことり「いた~い」’8;

穂乃果「はあ・・・はあ・・」

穂乃果(負けない負けない負けない負けない負けない・・・)ズズズズズ

ことり「!?もうやめて!穂乃果ちゃん!!」

海未「・・・」

海未「意地でも負けないつもりですね…」

ことり「穂乃果ちゃん・・・」

穂乃果「はぁ…、はぁ・・・(ニヤリ」スクッ

この極限の状況下で―――
穂乃果は自然と笑っていた


ことり「でも私たちも負けられないからね」病ん病んっ♡

海未「決着に、しましょう。」

83: 2016/06/30(木) 23:41:25.79 ID:7HF3H6Pq.net
【病ん病ん心(アネモネハート)】
恋は人生のスパイスというが、強すぎる恋心は毒となり人を病にする。
相手から受けた攻撃を倍にして返す。

人間には一人ひとりに特別な力を発揮できる瞬間がある。
それは例えば好きな人の前、お金が賭かっているとき、朝起きた直後…など様々であるが、
海未とことりは穂乃果に対する一種病的なほどの感情によって、この状況下の中アネモネハートを生み出した。


穂乃果という親友以上の大切な人の危機、溢れる感情、現在の状況、一つでも欠けていればこの力は生まれなかっただろう。
しかしこの力は決して偶然などというものではない。


穂乃果を救うための「必然」である!!



勝負は一瞬だった。

86: 2016/06/30(木) 23:59:19.70 ID:7HF3H6Pq.net
――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――
――――――――――――
具現化された教室の中

穂乃果(――――は!?)

絵里「おはよう穂乃果。早いわね。」

穂乃果「」バッ

絵里「こらこら暴れない暴れない」

教室の中には、μ's全員がいた。
教壇には絵里と希が立つ。

希「穂乃果ちゃん、ウチらの勝ちや」

87: 2016/07/01(金) 00:00:00.93 ID:yDMqBk/m.net
穂乃果「そんなどうして!・・・(あれ!?)」

希「穂乃果ちゃんの特質系能力には時間的制約が盛り込まれていたと見たんだけど違うかな?」

穂乃果(どうして、私の…私の念が…)

希「おそらくその期限はラブライブ本戦終了まで。つまり4か月後ってことやね。」

穂乃果(―――!?)

ことり「穂乃果ちゃんはもう4か月を過ごしてしまった。この世界に絶対時間がないとするなら、時間の長さは結局それを享受する人間側の問題。」

穂乃果(・・・)

希「目標を叶えるための制約と誓約、つまりその目標が達成できなかった時課されるいわれはない。恐らく最小限で済んだはず。」

それが最後の最後に穂乃果の体力を奪った

希「これで穂乃果ちゃんの特質はリセットされたってことやね。」

88: 2016/07/01(金) 00:06:38.62 ID:yDMqBk/m.net
穂乃果(・・・やられた)

μ’sの皆に・・・


絵里「それと穂乃果、『授業中は寝ちゃダメ』でしょ。」

穂乃果「それで念が出ないんだね…。」

絵里による強制絶・・である。


穂乃果「・・・・」





穂乃果「穂乃果の負け…だね。」

――――――――――――――――
――――――――――
―――

89: 2016/07/01(金) 00:13:33.03 ID:yDMqBk/m.net
絵里「これで一件落着、かしら。」

にこ「まだよ、絵里。この馬鹿このままだとまたいつか同じことやらかすわ。」

穂乃果「そんな事…」

にこ「穂乃果、あんたも大したことないのね。反省しなきゃ、私の見る目がなかったわ。」

真姫「にこちゃん!」

穂乃果「・・・。」


にこ「あんたのこと…、前しか見てない典型的な単純な強化系人間だと思ってた。」

にこ「まさに2年前になりたかった私の理想のアイドルよ。認めたくないけど世の中には天性のアイドル性を乗った人間がいるって思い知らされた。」

にこ「でも目の前で私ができなかったことを次々とこなしてくあんたに…惹かれたわ。悔しいけど。」

希(にこっち…)

90: 2016/07/01(金) 00:17:32.79 ID:yDMqBk/m.net
にこ「でも結局それは偶像(idol)だったのよ。私が、私たちが作り上げたね。」

にこ「皆であんたを特別視しようとしてたの。」


にこ「ねえ穂乃果?今回のあんたの特質、綺麗事言ってるけど結局は前回ラブライブに出られなかった罪滅ぼしのつもりでしょ。」

穂乃果「・・・」

にこ「みんなの期待に応えられなかったっていうね。」

穂乃果「そんなんじゃ…」

にこ「単純なようでいてあんたの根底には卑屈さがある。迷惑をかけまいと無理に強がろうとする。期待に応えようとする。」

にこ「そういう方がよっぽど迷惑なのよ・・・。」


穂乃果「・・・」

93: 2016/07/01(金) 00:18:52.46 ID:yDMqBk/m.net
にこ「ねえ穂乃果、別に私たちは特別であろうとするあんたに惹かれた訳じゃないわ!」


凛「そうだよ穂乃果ちゃん、凛は普段の穂乃果ちゃんがだーいすきにゃ!」


花陽「花陽は…、穂乃果ちゃんはいつものままでいいと思うなあ。」

花陽「私はそんな穂乃果ちゃんに憧れてここにいるんだから…!」


真姫「そうよ。特質(特別)である必要はないわ。」


にこ「だ、そうよ穂乃果。」


穂乃果(うへ~泣かせるねこれ…)

私、人前で泣いたことってあったっけ?
なんかおかしいな私…
早く笑わな――――――――

95: 2016/07/01(金) 00:27:51.61 ID:yDMqBk/m.net
にこ「誤魔化さないの!」

穂乃果「!?」

にこ「誤魔化さないで・・・」

穂乃果「…うぅ」

あれ?

穂乃果「うぅぅ…」ポロポロ

あれれ????

にこ「そういうのひっくるめて、仲間でしょ。」

穂乃果「うわーーーーーーーん」ボロボロ



絵里「終わった、わね」ふふふ

――――絵里の具現化された教室が消失する
絵里もまた自身の効果により強制絶になったのだ。

96: 2016/07/01(金) 00:28:50.49 ID:yDMqBk/m.net
そこは、音の木坂学院の屋上だった。

穂乃果「ここは…」

絵里「私たちといったらここでしょう?」

屋上は、夕日に包まれていた


希「穂乃果ちゃん。」

希「死神のカード、それが象徴するのは停止、損失、破滅。前に占った時に出たカードや。」

希「でも違うの、穂乃果ちゃん。死神は、必ずしも悪いことを表しているんじゃない。」

希「未来への希望。穂乃果ちゃん…あなただから、死神を希望で読むことができたんや。どんな逆境でも、未来をつかみ取れる。」

海未「やり直しましょう穂乃果、時間がありません。」

ことり「うん!そうだよ、穂乃果ちゃん♡」

98: 2016/07/01(金) 00:29:43.74 ID:yDMqBk/m.net
穂乃果は皆を見渡す。
皆が暖かい顔で穂乃果を見つめていた。


弱い私を、受け入れてくれていた。

穂乃果「皆でラブライブ優勝したいの!だから私は…私は…」

穂乃果「ごめん…ごめんね皆…!」

穂乃果「本当にごめん!」ポロポロ


希(これでまたみんなと一つになれる)

希(よかったあ)ぐすっ

99: 2016/07/01(金) 00:32:44.71 ID:yDMqBk/m.net
―――――――――――――――
――――――――
―――――



この後のことについて、最早詳しく語る必要はないだろう。
地区予選でμ’sはA-RIZEを敗り、穂乃果たちはラブライブで優勝した。

――――ラブライブ本戦

~♪


ツバサ「見事ね…。これは惹かれるしかない。」

ツバサ「一人ひとりが違う輝きを持っていて、それでいてあなたたちはひとつの光なのね。」

ツバサ(みんなで叶える物語・・・か)ふふっ

――――――――――――――
―――――――――――
―――


穂乃果「やり遂げたよ…最後まで!」

100: 2016/07/01(金) 00:33:34.81 ID:yDMqBk/m.net
お し ま い ☆

103: 2016/07/01(金) 00:37:58.96 ID:mkpB4g6s.net
おつ
よかったで

109: 2016/07/01(金) 12:45:37.98 ID:I0jYxN8B.net
素晴らしい
ハンターハンターらしい戦闘中の細かい説明がとても良かった をつ

111: 2016/07/01(金) 13:48:35.73 ID:3YETTRmM.net
ネフェル凛ちゃんかわいい

112: 2016/07/01(金) 14:52:04.53 ID:A61YHKy8.net
能力名とその内容がイイネ!
念能力もキャラごとの特徴がよく出てるし
それをちゃんと使って読み応えがある文章に仕上げてるのもハラショー

引用: ツバサ「高坂さん、あなたも念が使えそうね。」穂乃果「?」