1: 2023/11/23(木) 20:13:21 ID:uReRipL.00
慈「(最初は気のせいだと思ってたけど)」

慈「(こうして話してる今も、時々視線が……)」

慈「(こういうの、見られる側は結構分かるんだからね?)」

梢「────なのだけれど……慈?ちょっと、聞いているの?」

慈「……あぁうん、聞いてるよ」

慈「(今ここで指摘したら、どんな反応するのかな)」

慈「(必氏に言葉を並べて、はぐらかして……何故か私が怒られる、みたいになりそう)」


慈「(別に私は、見られるだけじゃなくて、その先だって)」

慈「(梢が相手なら、イヤじゃないんだけどな)」


みたいなね

20: 2023/11/26(日) 22:46:16 ID:5nMYzhXs00
慈「(まぁこのふわふわわがままボディに目が行っちゃうっていうのは仕方ないかもしれないけどさ)」

慈「(全く意識されてないよりは良いんだろうけど、でもどうせなら胸じゃなくて、私自身を見てほしいというか)」

慈「(求めるよりも求められたいというか……)」

慈「(……素直になれないのはお互い様だけど)」

慈「(それでも、私は……)」

慈「(梢に好きになってもらいたい。先に梢の方から、好きって言ってほしい)」

慈「(それが乙女心ってものだし……いや梢も乙女ではあるけどさ……それに私が先に告白するのって、何か負けたような気がしてちょっと悔しいし)」

慈「(覚悟してよね、梢。絶対、好きって言わせてみせるから……!)」

21: 2023/11/26(日) 22:58:32 ID:5nMYzhXs00
数日後

慈「あれ、梢一人?」

梢「ええ、一年生は少し遅れるみたいね。綴理は……どこに行ったのかしら。まぁ、さやかさんと一緒に来るでしょう」

慈「ふーん……」

慈「(図らずも梢と二人きりに……早速アプローチのチャンスが来てしまった)」

慈「(とりあえず正面の席に座って、観察でもしてみようかな)」

慈「(梢は……勉強してるのか。ほんと、真面目なやつ)」

梢「…………」カキカキ

梢「…………」チラ

梢「…………」サッ

慈「(一瞬だけ私を見て、すぐに目線を手元の参考書に)」

梢「…………」カキカキ

梢「…………」チラッ サッ

梢「…………///」

慈「(また……今度はちょっと、目線が下寄りだったような)」

慈「(……あ、そういうこと。このむっつりさんめ)」

23: 2023/11/26(日) 23:11:57 ID:5nMYzhXs00
────────

慈「(どう見ても集中できてないなぁ……そんなに私が気になっちゃう?)」

慈「(でもこのままじゃラチがあかないから、私から……)」

慈「(でもこれは……うーん……)」

慈「(……いや、やるんだ。もたもたしてたらみんなが来ちゃう)」ガタッ

慈「(後ろに回って……そっと近づいて……)」

梢「…………」

慈「ね、ねぇ梢ー?せっかく二人きりなんだし、勉強なんてしてないで何か話しようよ」ギュッ

梢「」

慈「……………………」

慈「(これ、結構恥ずかし……っ!!)」

慈「(いや……いやいや、後ろから抱きつくなんて、距離の近い友達同士でも普通だし、別に何もおかしく……)」

慈「(……いやおかしいよ!私、普段から梢相手にこんなことしないでしょ!?)」

慈「(あーもう、何やってんの私……///)」

25: 2023/11/26(日) 23:55:09 ID:5nMYzhXs00
慈「(どうしよ……私から仕掛けといて離れるのも……)」

慈「(というかこれ、逆効果じゃない!?私の胸、押し付けてる形になってるし!)」ムギュギュ

慈「(どうしよう、今以上に梢が私の胸大好きになっちゃったら────)」

梢「────」

梢「……あの、慈?」

慈「な、なに?」


梢「その……いきなり、こういうことをされると、その、驚くの、だけれ、ど」


慈「(めちゃくちゃ動揺してる!!)」

慈「(いつもの梢なら『慈、悪いけれど、勉強の邪魔をしないでくれるかしら?だいたい貴女は普段から────』みたいにあしらわれて、お小言の一つくらいは飛んでくるものなのに……)」

慈「(恐るべし、私の胸……!)」

28: 2023/11/27(月) 00:55:21 ID:O.ahtP1o00
慈「(……というか、顔、近……)

慈「(……やっぱり綺麗だよね、梢……)

慈「(……………………うぅ///)」

慈「(そろそろみんな来る頃だろうし、今日はこのくらいで許してあげる……!///)」

慈「あ……あー!私、ちょっと忘れ物しちゃったなー!」

梢「」ビクッ

慈「ちょっと取りに行ってくるから、また後でねー!」ビューン

梢「………………」

梢「……何なのよ、もう……」

梢「……慈……」

34: 2023/11/29(水) 22:30:42 ID:SvuXRWtQ00
慈「(それからしばらく、私は梢へのアプローチを続けた)」

慈「(あくまでも自然な感じで、話す時に普段より近づいてみたり、ボディタッチを増やしてみたり)」

慈「(勉強を教えてもらうって名目で私の部屋に招いて、二人きりの時間を増やしたりした)」

慈「(勉強は嫌いだけど、梢と二人でいる時間は心地良くて)」

慈「(梢は口ではあれこれ言いながらも、私のお願いに付き合ってくれて)」

慈「(私が触れるたびに顔を少しだけ赤くして、動揺を見せまいと必氏に取り繕ったりする様子が可愛くて)」

慈「(私は梢のことが、もっと好きになっていった)」

35: 2023/11/29(水) 22:34:01 ID:SvuXRWtQ00
────────

梢「あの、慈?ちょっといいかしら」

慈「ん?良いよー。どしたの?」

梢「今夜、時間あるかしら。良ければ私の部屋に来て欲しいのだけれど」

慈「別に予定は無いけど……あ、また勉強教えてくれるの?」

梢「いえ、そうではなくて……少し話したいことがあるの。ここではちょっと、難しいから」

慈「え……あ、うん、大丈夫だよ」

梢「そう……良かった。それじゃあ、また夜に連絡するわね」

慈「……………………」

慈「(これはまさか……!?)」

慈「(梢のあの表情……やっと私に気持ちを伝える決心をしたんだね、梢……!)」

慈「(私のささやかなアプローチがやっと実を結んだってことね……!)」

36: 2023/11/29(水) 22:59:34 ID:SvuXRWtQ00


慈「梢ー?来たよ」

梢「こんばんは、慈。今飲み物を用意するから、座って待っていてちょうだい」

慈「う、うん。おじゃましまーす……」

慈「(そういえば、梢の部屋に入るの久しぶりだなぁ。勉強教えてもらう時は、いつも私の部屋に呼んでたし)」

慈「(ベッド……いつもここで梢が寝てるんだよね……な、なんか緊張してきた……)」

梢「……はい、どうぞ」コト

慈「あ、ありがと」

慈「…………………」ズズッ

慈「(私、これから梢に告白される……んだよね)」

慈「(それで、私もOKして、その後は……)」

慈「(~~~~~~~~っ……!///)」ポッ

37: 2023/11/29(水) 23:14:40 ID:SvuXRWtQ00
慈「そ、それで話ってなに?」

梢「……話というのは、貴女のことよ、慈」

慈「っ///」ドキ

慈「(ついに待ち望んだ瞬間が……!梢はどんな言葉で伝えてくれるんだろう?どんな言葉だったとしても、私は────)」

梢「慈……貴女、私に何か言いたいことがあるんじゃないかしら」

慈「……………………」

慈「は?」

梢「ここ最近の貴女を見ていると、何か私に伝えたいことがあるように思えてならないの。特に最近私達は二人でいる時間が増えたでしょう?だから私の気のせいではないと思うのだけれど……」

慈「(え……え?うそ……なにこれ?梢は私のこと、何とも思ってなかったっていうの?ただの……私の思い違い……)」

梢「だからその……ね?慈。言いたいことがあったら聞くから、私に話してほしいの。貴女の言葉なら、どんなものでも受け入れられるから……」

梢「…………………///」

慈「(………………あ!!)」

慈「(間違いない!梢……)」

慈「(私に告白させようとしてる!!!)」

38: 2023/11/29(水) 23:17:10 ID:SvuXRWtQ00
慈「(こ……このヘタレ!!ここへきてそんな弱気になって……!!)」

慈「(……いや、それを言ったらヘタレは私もか……いやいや、だけど……もう告白できる雰囲気になってるじゃん!今言ってくれたら成功するから!!めぐちゃん梢一筋だから!!)

慈「(こうなったら……!!)」

慈「な、何のことかな?私分かんないなぁ……?梢こそ、私に何か言いたいことあるんじゃないの?わざわざ部屋にまで呼び出してさ?」

梢「なっ……///」

慈「ほら、あるんでしょ?聞いたげるよ?ほらほら言ってみ?めぐちゃんに言ってみ?」

梢「っ…………!!」

39: 2023/11/29(水) 23:20:48 ID:SvuXRWtQ00
梢「い……嫌よ。言えないわ」

慈「!……言えないってことは、言いたいこと自体はあるってことでしょ!?」

梢「うっ」

慈「いつもは私に対してズバズバ言ってくるくせに、梢らしくないじゃん!」

梢「何よ……慈は私のこと、何でも知っているわけではないでしょう!私達、まだ出会って1年と少ししか経っていないじゃない!!」

慈「ならもっと教えてよ!好きな人のことをもっと知りたいって思うのは当たり前でしょ!?それに人を好きになるのに、過ごした時間の長さなんて関係ない!!」

梢「そんなの私だって────えっ」

慈「あ」

梢「……………………」

慈「……………………」

慈「(や、やっちゃった~~~!!!つい熱くなりすぎて本心が……!!!)」

梢「慈、貴女今……」

慈「う、うう~~~///」

40: 2023/11/29(水) 23:23:50 ID:SvuXRWtQ00
慈「……そうだよ、私は梢が好き……でも自分から言うのは恥ずかしくて、なんか悔しくて……梢から言ってくれるのを期待してた。梢も気づいてたんでしょ?」

梢「……もしかしたら、とは思っていたわ。でも確証は持てなくて、慈が先に言って来るのではないかと……ずっと待っていたの」

慈「私達、同じことを考えてたんだね」

梢「……そうね」

慈「………………」

梢「………………」

慈「まぁ、結局私が先に言うことになっちゃったけど……梢の口からも聞きたいな」

慈「私のこと、好き?」

梢「……ええ」

梢「貴女が好きよ、慈」

慈「……うん」

41: 2023/11/29(水) 23:25:14 ID:SvuXRWtQ00
慈「でもそう言ったからには、カラダだけじゃなく、中身もひっくるめて私を愛してね?」

梢「……?どういうことかしら」

慈「最近の梢、よく私の胸見てたでしょ?イヤって訳じゃなかったけど、流石にねぇ」

梢「」ブフッ

梢「なっ、ななな///」

梢「ち、違うのよ慈。確かにその、つい目が行ってしまったことはあったかもしれないけれど、けけ決してそういうことでは」

慈「あはは、動揺しすぎ。別にいいって」

梢「違うの、その……これは恥ずかしくて、言いたくなかったのだけれど」

慈「うん」

梢「慈への気持ちを自覚してから……時々、夢に貴女が出るようになったの」

慈「へ?」

42: 2023/11/29(水) 23:27:01 ID:SvuXRWtQ00
梢「普段から慈のことを考えていたから、夢に出てくるのは別におかしな事ではないと思っていたのだけれど」

慈「(そうかな……?)」

梢「それで……ある時夢に出てきた慈の格好が、その……」

梢「……下着姿だったの……///」

慈「………………」

慈「はあ!?!?///」

梢「目が覚めてからもどうしてもその時の慈が頭から離れなくて……自然と視線を向けてしまったのかもしれないわ……ごめんなさい」

慈「い、いやいいよ、大丈夫だから……///」

慈「ていうか、その……夢に出てきた下着姿の私は、梢と何をしてたの……?」

梢「?普通にお話をしただけよ」

慈「あ、そうなんだ……」

慈「ま、まぁ分かったよ!そんな夢見ちゃったらつい胸を見ちゃうのも仕方ないよね、うん」

43: 2023/11/29(水) 23:29:13 ID:SvuXRWtQ00
梢「………………///」

慈「………………///」

慈「え、えっと……」

慈「それじゃ、私と梢は、こ……恋人同士ってことで、良い……よね?///」

梢「ええ……///」

慈「………………///」

梢「………………///」

慈「(そ、それでどうすればいいんだっけ……何か話す?でも恋人同士になれたんだからいつも通りじゃダメなのかな……?)」

慈「え、えっと!」

梢「!?」ビクッ

慈「と、とりあえずそっち行って……とっ隣、座って、いい?」

梢「ど、どうぞ……」

44: 2023/11/29(水) 23:31:43 ID:SvuXRWtQ00
慈「(梢の隣に移動して、同じようにベッドに腰掛ける)」

慈「(だけどそこから何かをするでもなく、二人とも何も話さず、時間だけが過ぎて)」

慈「(沈黙に耐えかねて私が何か話そうとした時、私の右手が、梢の左手に握られた)」

慈「(驚いて梢の方を見ると、顔を真っ赤にした彼女がいて、でも目線はずっと下を向いたままで)」

慈「(これでも凄い勇気を出したんだなあって、ちょっとおかしくて)」

慈「(私も勇気を出して、もう片方の手を伸ばして、梢の頬に触れた)」

慈「……こっち、向いてよ」

慈「(梢と私の視線がぶつかる。きっと私の顔も、梢と同じくらい真っ赤だと思う。でも、目は絶対に逸らさない)」

慈「(梢はもう、いっぱいいっぱいって感じだ。普段の頼れる姿はどこに行ったんだか)」

慈「(そして見つめ合うことに耐えられなくなったのか、梢はぎゅっと目を閉じた)」

45: 2023/11/29(水) 23:33:47 ID:SvuXRWtQ00
慈「(その行動の意味、分からないわけじゃないよね、梢)」

慈「(私は梢の顔に、自分の顔を近づける)」

慈「(先に梢からの告白っていうのは叶わなかったけど、せめてコレくらいは……そう考えてたんだけどな)」

慈「(でも、今の梢には無理そうだから、今回だけ)」

慈「(そのまま私達の距離はどんどん縮まって……ゼロになった)」

慈「(少しの間、ただ触れるだけの、キスとも呼べないような拙いもの。初めてなんだし、うまくいくはずもないけれど)」

慈「(でも、終わった後の梢の表情がとても嬉しそうで、それを見ただけで、私のちょっとのモヤモヤは吹き飛んでいった)」

46: 2023/11/29(水) 23:35:16 ID:SvuXRWtQ00
梢「……………………」

梢「慈」

慈「なに?」

梢「私……幸せよ」

慈「……私もだよ」

慈「今回は私からだったけど、いつか梢からのとっておきのキス、期待してるからね」

梢「!?……がっ、頑張るわ」

慈「ふふっ」

慈「うん。待ってる」

梢「慈……こんな私だけれど」

梢「私とこれから一緒に歩いてくれると……その、とても嬉しいわ」

慈「……こちらこそ」

慈「これからもよろしくね、梢」

47: 2023/11/29(水) 23:36:36 ID:SvuXRWtQ00
おわり
お目汚し失礼しました

48: 2023/11/29(水) 23:50:41 ID:4ms9qCDo00
最後の文字が見えないのだけれど…

引用: 慈「梢が私の胸を見てくる」