315: 2013/11/10(日) 15:46:51.67 ID:uE5Z0B3T0

ハニー・ポッター「どうして、スネイプなんかを……」【前編】


廊下

ハニー「家族だけ残してあとは帰るよう、言われてしまったわね」

ハグリッド「ハニーは世界人類みんなの家族みてぇなもんだってのになぁ」

ハーマイオニー「来年のおわりにはどうかしらね……ロンはいつ、起きるのかしら」

ハニー「あら、なぁに?何か伝えたいことがあるのかしら?」

ハグリッド「そん時はハニー、俺ん家にこいや。二人で祝杯をあげよう、あぁ、ロンとハーマイオニーはごゆっくり」

ハーマイオニー「そういうことじゃなくて!あー、そうよ!色々不明なところが多すぎるもの、えぇ!ダンブルドアも、ロンから話を聞きたいでしょうし……」

ハグリッド「でーじょうぶだ、ダンブルドア先生は頭がえぇ。何百っちゅうお考えがあるに違いねぇ……それでも、うん。ネックレスのこと、今度のこと、相当心配してらっしゃる」

ハニー「……マルフォイのせいで、ね」

ハーマイオニー「……ハニー、とりあえずあの人のことは置いて頂戴」

ハグリッド「? そんで、俺も心配でよお。このまま生徒が襲われっちまうことが続けば、まーたあの『秘密の部屋』事件の時みてぇになるんじゃねぇか、って」

ハニー「……学校が、閉鎖される?」

ハーマイオニー「そんな……えぇ、そういう時だけここの理事会の動きが早いのはわかる、けど」

ハグリッド「ほんと、日頃目立たねぇくせにな……学校閉鎖させるだけの機関なんじゃねーかと俺もおもう」

ハニー「私の高貴で可憐すぎて常に目立って仕方ない儚さとは大違いね。違う?」

ハグリッド「その通りだハニー!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「真面目に話して」

ハニー「私はいつだって真面目だわ」
ハリー・ポッタ: シリーズ全7巻: Harry Potter: The Complete Collection ハリー・ポッタ (Harry Potter)
317: 2013/11/10(日) 15:57:02.67 ID:uE5Z0B3T0
ハグリッド「学校に生徒を預けるのはいつだってちーっと、危険が伴う。そりゃそうだろうが?」

ハーマイオニー「未熟な魔法使いが、何百って一緒に生活してるんですものね。えぇ」

ハグリッド「そう、そんで、アラゴグみたいなあんなにか弱い生き物たちを無駄に怖がって怒らせっちまったりよぉ。事故だ、事故」

ハーマイオニー「それを事故と呼ぶのなら世の中の大半は事件にすらならないわ」

ハニー「殺人事件が立て続けに起こってしまうのはわけが違う、そういうことね」

ハグリッド「あぁ、ダンブルドア先生は参っちまってる。口にだすことはねえが、俺にはわかる。俺ぁハニーの豚で、ダンブルドア先生の教え子で、ここの森番だからよぉ」

ハニー「気遣いのできる豚は好きよ?」

ハグリッド「ヒンヒン! そんで、あいつだ。ダンブルドアが立腹されるのももっともだ、あのスネ――あ」

ハニー「!スネ、なに!?ハグリッド!!!」

ハーマイオニー「……ハグリッド」

ハグリッド「あー、えーっとよぉ……す、すねかじりの、マルフォイ……あー」

ハニー「!!! あいつが、なんなのハグリッド!!!」

ハーマイオニー「……ハグリッド」

ハグリッド「火にアッシュワインダー投げこんじまった……ち、ちげぇんだハニー。フォイの野郎は関係ねぇ、言葉のあやだ、うん」

ハニー「じゃぁ、なぁに?だぁれ?その、スネなんとかって嫌味ったらしい名前の人は。きっとゲジマユで気持ち悪い鉤鼻なのでしょうね?」

ハグリッド「おぉ、おまけに髪がベタベタだ、うん」

ハニー「スネイプがどうしたのか教えなさい、この豚」

ハグリッド「! なんでわかっちまった!?あぁ、ハニーはきっとなんだって見通しちまうんだなぁ!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「私、ハグリッドにこそ『閉心術』を習得させたほうがいいんじゃないかと思うわ。ダンブルドア先生」

320: 2013/11/10(日) 16:09:00.92 ID:uE5Z0B3T0
ハーマイオニー「この際だから乗ってしまいましょう……ダンブルドア先生が、怒る? とても想像できないわ」

ハニー「えぇ、そうね。常に茶化した態度しかとらないもの、あの意地悪豚……一度だけ見たけれど」

ハグリッド「あー、うん……スネイプはほら、自分が働かされすぎちょる。そういう風なことを言っとった」

ハニー「……ダンブルドアは、なんて返事をしたの?」

ハグリッド「『君の口に弱音を吐く資格があると思っとるのかね』とか……」

ハーマイオニー「……し、辛辣ね」

ハグリッド「そんで、うん。一度やるって承知したんだからそれ以上文句言うな、とかよぉ……うん、随分厳しく言いなすった。あとは、そうさな……スネイプがネックレスのことで寮の調査をちゃんとしてねぇこと……」

ハニー「! それって!」

ハグリッド「あー!あーーー!!ちげぇ!うん!それはなーんも変じゃねぇ、うん!!!寮監の先生たちはみーんなネックレスのことを調べるように言いつけられてるしよぉ!」

ハニー「でも、スネイプ以外はだぁれも口論になってないわ!違う!?」

ハグリッド「わ、わかんねぇぞ?え?マクゴナガルに『よりによって私の生徒を疑うとは何事ですかアルバス』って言われて涙目になったかもしんねぇ!」

ハニー「……ありえるけれど!!」

ハーマイオニー「落ち着いて二人とも」

323: 2013/11/10(日) 16:22:18.26 ID:uE5Z0B3T0
ハグリッド「あぁ、ハニー。お前さんがスネイプのことになるとカーッとなるのは知っちょる」

ハーマイオニー「どこかの一等星さんに向けるのとは違う意味でね」

ハニー「……夜は覚えてなさいハーマイオニー。私は至って冷静よ、当然ね」

ハグリッド「あぁ、普段はそうだけどよぉ。奴さんが関わると、なんせジェームズの娘だからなぁ。信じられねぇくれぇ天使だけど。女神か」

ハニー「知ってるわ。だって、そういうことじゃない!やっぱりスネイプはマルフォイに協力していて……」

ハーマイオニー「ハニー、スネイプが調べなかったのは何もマルフォイ個人だけじゃないわ。知ってるでしょう?あの人のスリザリン贔屓は」

ハニー「……」

ハーマイオニー「あー、例えばザビニに何か、こう、共感する部分があって、贔屓したのかもしれないでしょう?」

ハグリッド「そ、そうだそうだ。スネイプはザビニってるからな、うん。あれで、本人は」

ハニー「……ありえるのがいやだわ」

ハーマイオニー「私個人としてもあんまり賛同したくなくていやよ。何なのかしらホグワーツ教員」

ハグリッド「みんな俺とかフリットウィック先生みてぇにハニーの豚になってまともになりゃえぇのになぁ」

ハーマイオニー「まともって単語はどこにいったの」

ハニー「目の前にいるじゃない?」

ハーマイオニー「…………そうね」

326: 2013/11/10(日) 16:39:24.90 ID:uE5Z0B3T0
談話室

ハニー「ダンブルドアは、自分はスネイプを信じてる、って言ってたくせに……あの意地悪豚。やっぱり思うところがあったんじゃない」

ハーマイオニー「どうしても、マルフォイと組してる説を曲げないつもりなのね、ハニー」

ハニー「だって、ここまでそろっているのに結び付けないことの方が不自然だわ。違う?」

ハーマイオニー「あなたは頭からそういう見方をしているから、そうなのでしょうけど……」

ハニー「どうして嘘をついたのかしら。私の豚のくせに……」

ハーマイオニー「あなたがこうやって、このことに自分から首をつっこむようなことをしないように、じゃないかしら……見上げた人だわ、豚だけど」

ハニー「私以外が豚って呼ぶのはやめなさい」

「なら、ぼ、僕を呼んでみればどう、かな」

ハニー「きゃぁ!?」

ハーマイオニー「誰!!!!!ハニーを抱きつかせてくれたことはお礼を言うけど……マクラーゲン?こんな時間にそこで、何を?」

マクラーゲン「あー、お、驚かせたならごめんよ、ポッター」

ハニー「……誰が何にですって?私が恐れるのは退屈と体重計だけよ、えぇ。これはただ、そうね。二人きりだと思ったからいつもの、えぇ。それをしようとしただけ。そうでしょ?」

ハーマイオニー「……ネビルとかジニーがどこからともなく沸いてきていないから一目稜線だわ、ハニー。それで、マクラーゲン?」

マクラーゲン「あぁ、ポッター。君を待ってたんだ。あの、そうだ。ウィーズリーのことを聞いた」

ハニー「……どこまで?」

マクラーゲン「ロングボトムがほら貝の中から『僕がグリフィンドールの豚、ロングボトムだ!!』って言いながらなんだか物騒な剣を取り出してウィーズリーをばっさりやっちまう、までかな」

ハーマイオニー「誰なの無駄に壮大な物語に仕上げた輩は」

330: 2013/11/10(日) 16:48:41.40 ID:uE5Z0B3T0
マクラーゲン「それで、だ! ウィーズリーは次の試合には間に合わない、違うか?」

ハニー「……私の一声さえ聞けばどんな状態からでも出場するでしょうけれど」

ハーマイオニー「あなたに限ってそんな無茶はさせないでしょうけど出来そうだからやめて。えぇ、絶対安静だもの。来週の試合はとても無理よ」

マクラーゲン「よし! となると、代わりのキーパーは僕しかない、そうだろう?」

ハニー「……あー、そうね。そうなるかしら」

ハーマイオニー「……選抜にはほかに、キーパー志望はいなかったものね」

マクラーゲン「よし!よし!! キャプテン、よろしく頼むよ!ゴールは僕に全部任せてくれ!僕は何せ頼れる男だ!」

ハニー「……むしろネビルに頼もうかしら」

ハーマイオニー「……今なら一部から絶大な支持をよせていそうだものね」



その頃男子寮

ネビーーールさん!!!ネービーーールさん!!!!!

ネビル「ね、ねぇ胴上げやめてよ!!!僕なにがなんだか、ろ、ローーーーーーン!君に何があったのさ、ローーーーーーーーーン!!!」

335: 2013/11/10(日) 17:02:20.13 ID:uE5Z0B3T0
マクラーゲン「ロングボトムの体格じゃ無理さ!やっぱりキーパーは、僕のように……大きくて!」

ハニー「ハグリッドはどうかしら?私が頼めば、承諾しないわけない、そうでしょう?」

ハーマイオニー「ハニー、まず前提から。グリフィンドール生じゃないと」

マクラーゲン「次に、頭脳だ!やっぱりプレイヤーは戦術、それに戦略だ!」

ハニー「あなたがやる?」

ハーマイオニー「お生憎、私の頭脳はもう少しマシなものに使う事にしているわ」

マクラーゲン「最後に、闘志だ!僕は今なら誰にも負けない!やる気に満ち溢れて居る!」

ハニー「……むしろラベンダー」

ハーマイオニー「やめて。なんだか私達の寝室から羽ペンなのかなんなのかわからないものをガリガリガリガリ走らせる音が談話室まで響いてる雰囲気に触れるのはやめて」

マクラーゲン「聞いてるのかい、ポッター!」

ハニー「……はぁ。そうね、マクラーゲン。どうやらあなたしかいないみたい。お願いしてあげるわ?」

マクラーゲン「いいともさ! よし、よし! グレンジャー!」

ハーマイオニー「えっ? はい」

マクラーゲン「ハハハ、余所余所しいな!一緒にパーティにいった仲じゃないか!」

ハーマイオニー「だからこそ余所余所しいのだけど」

マクラーゲン「そう、それだ。あのことだ……僕が負けたら、散々に罵ってくれてかまわない」

ハーマイオニー「はぁ……というか、チームが、ってことよね?」

マクラーゲン「それで……僕が、勝ったら!!」

ハーマイオニー「チームがね」

マクラーゲン「僕の事をおもいっきり蹴り付けて罵ってくだs」

ハニー「ネビル」

ガチャッ!!

ネビル「おかえりハニーところでロンのこと、はあとでいいやほら貝くらええええええ!!!」

マクラーゲン「うわっ!や、やめろ!!!僕はグレンジャーの鉄槌以外で感じるようなマゾじゃないぞ!!!!!!!!!!!!」

ワーーーーワーーーーー!!
 ネビルさーーーーーーーん!!!

ハニー「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……豚、とは呼べないわね」

ハーマイオニー「それ以下、むしろ生き物であることが不思議だわ」

337: 2013/11/10(日) 17:44:18.28 ID:uE5Z0B3T0
メシやらなんやら
19時半には戻る

343: 2013/11/10(日) 20:03:41.26 ID:uE5Z0B3T0
翌週 試合前

医務室

ロン「あぁハニー!試合の直前なんて一番集中したいはずの時間にこんな豚のところに来てくれるなんて君は慈愛の女神だね知ってたけど!ヒンヒン!」

ハニー「右に同じよ、えぇ。具合はどうかしら?」

ロン「君がいりゃいつだって健康そのものだけどさ。マダム・ポンフリーが動いちゃいけませんって言うんだ……マー髭」

ハニー「そう……分かってはいたけれど、試合にはあなたを使いたかったわ」

ロン「その言葉だけで僕は一生クィディッチできるよ君の下で。あ、これ精神的にも物理的にもね、もちのロンでさ」

ポンフリー「ポッター、ウィーズリーは一応病人なので今くらい背中に座るのはおやめなさい」

ロン「冗談きついぜマダム!僕にとっちゃこれが一番の特効薬なのに!」

ハニー「あら、どうかしら。先に競技場に向かった私の大事な誰かさんが顔をみせれば、もっといい気付けになったと思うけれど」

ロン「あぁ、ハーマイオニーね……そりゃ、気は使うよな、うん。なんだか機嫌はなおったけどさぁ……これ見たら」

ハニー「……あー……この、えーっと、何故だか薄い、本の山?」

ロン「ら、ラベンダーの奴、何考えてこんなもん……『ウォン―ウォンのだぁいじなご兄弟をあらゆる組み合わせで描いてやったわ!さようなら!!!』だとさ……髭も出ないよ」

ハニー「ほんと……極端よねぇ」

345: 2013/11/10(日) 20:17:09.55 ID:uE5Z0B3T0
ロン「マクラーゲンの仕上がりはどうだい? あー、僕よりは使えるキーパーだろうってのは分かるけど」

ハニー「あなた以上に出来る豚なんて存在しないわ。あの人は豚じゃないどころか豚以下の微生物だけれど……」

ロン「あんにゃろ何やらかしたのさ!場合によっちゃ豚の総力をあげて!!」

ハニー「それはネビルがやってくれたわ、出来る豚さんがね」

ロン「やっぱりネビルは漢だなぁ」

ハニー「本当。それで、どんなにマクラーゲンがいい選手だったとしても、チームに残すつもりはないわ。この私を差し置いて、チームに指図をしようとするんだもの」

ロン「あいつに送る命令は一つだよな。『地獄に落ちろ』だ」

ハニー「えぇ、そうしてほしいくらいだけれど、今はチームに必要だわ。今だけね。ロン、しっかり休んで治しなさい……そろそろ行くわ」

ロン「あぁハニー!武運を祈るよハニー!ヒンヒン!ザガリアスの野郎がメンバーなハッフルパフチームなんて君の前じゃ全員豚さ!」

ハニー「大体そのようなものだけれど、試合では手を抜かないように言ってあるわ。それじゃ、試合の後で」

ロン「うん」

ハニー「……ハーマイオニーも一緒にね」

ロン「……えーっとさ、悪戯っぽく笑うハニーの、あの、顔はもちの僕でステキきわまりないんだけどさ。あのー、そうだな。ほら、別に僕が君色な顔になるのは、あー……ま、マーリンの髭!」

347: 2013/11/10(日) 20:33:04.72 ID:uE5Z0B3T0
廊下

ハニー「ロンがいないし、ハーマイオニーは先に競技場に向かってしまうし……一人でお城を歩くのは久しぶりね」

ハニー「ふふっ、あの二人ったら。ロンが意識を取り戻してからずっと、なんだか余所余所しいんだから」

ハニー「……前みたいに、不機嫌な余所余所しさじゃなくって。お互いを、凄く意識していて」

ハニー「まぁ?これまでだって、ずっとずっと二人とも、お互い意識した上で避けていたけれど」

ハニー「ふふっ、楽しい。二人がずっと、私を見てニヤニヤしてた気分がやっと分かったわ」

ハニー「私と……わたしと、シリウ……」

ハニー「……」

ハニー「わ、わたしはあそこまでじれったくなかったわよ!!えぇ!!」


マルフォイ「うわ!?な、なんだ?!まだ城に誰か――あぁ。お前か、ポッター」

ハニー「! マルフォイ……なぁに?不機嫌そうな女の子二人つれて……どこへ行くのかしら?」

女生徒1「……」

女生徒2「……」

マルフォイ「ふんっ、そんなの決まってるだろう?この娘たちは、えーっと、僕のガールフレンドだ」

女生徒1「オエッ」

女生徒2「ウップ」

マルフォイ「どういう意味だいや僕だってお前たちにこんなこと言いたくないけどどういう意味だ!困ルフォ……ごフォん。とにかく、説明してやる義理はないね。ポッター、とっとと競技場にでも行けばどうだい?」

ハニー「……言われなくたって」

マルフォイ「『選ばれしキャプテン』『得点した女の子』とでも称されていればいい。それでいい気になっていればいい。僕はもっともっと――素晴らしい物を得る。行くぞ」

ハニー「……」


ツカッツカッツカッツカッ

マルフォイ「そうだ――それしか――ないんだ――僕は……僕達は」

女生徒1「……ドラコマジヤンデルンデスケドー」

女生徒2「……チョーコワーイ」

マルフォイ「お前たちが必氏に女生徒っぽく見せようとしたその言葉遣いの方が大概だろうなんなんだそれ、普段より喋れてるってなんなんだ困ルフォイ!!!」

350: 2013/11/10(日) 20:43:18.12 ID:uE5Z0B3T0
ハニー「……」

ハニー「……なんてことなの」

ハニー「ほとんど空っぽのお城で……マルフォイたちが、何か企んでるのに」

ハニー「このまま放っておいて……いいの?わたし」

ハニー「でも……」



ジニー「ッハァ、ハァ、ッハァ、っ、ハニー!!やっと見つけた!!」

ハニー「! ジニー?」

ジニー「なに、してるの!?試合はもう始まっちゃうのに、こんなところで!あぁ!お城の廊下でクィディッチローブ姿なあなたを見るのも新鮮だけど!」

ハニー「それは……だって、今……マルフォイが」

ジニー「っ、ハニー!!!」

ハニー「」ビクッ

ジニー「何が一番大事なのかを考えて!あなたはキャプテンなの!私達のリーダーよ!それで!」

ハニー「……」

ジニー「私のハニーなら、たとえマルフォイがどうこうしてるのが気になったって!しっかりと、あなたの大事なクィディッチのことをこなした上で、あんなフォイフォイのことなんて後からどうとでも片付けられるに決まってる!」

ハニー「……」

ジニー「そうでしょ?違う?」

ハニー「……違うわけないわ。だってわたし、私はあなたの」

ジニー「えぇ、とっても立派な飼い主だわ!ヒンヒン!」

ハニー「……えぇ、ふふっ。そういうこと」

ジニー「ほら、行かなきゃ!あぁ!ハニーの手を握れるなんて役得!!できればしゃぶりたいのに!!」

ハニー「……ジニー?」

ジニー「なぁに!ヒンヒン!」

ハニー「あなた、ほんと。すっかりいい女になったわね」

ジニー「お褒めの言葉は『さすが!ハニーの豚!』から受け取るわ!」

354: 2013/11/10(日) 20:55:56.69 ID:uE5Z0B3T0
競技場

ワーーーーワーーーーーーーー!!

ハニー「……みんな、今日の試合はサクッっと片付けるわよ!いいわね!」

ヒンヒーーーン!
 オーーーーーー!

マクラーゲン「僕の戦術をもってすれば完璧さ!おいクート、ビークス!日差しが強いから絶対に太陽に背を向けて飛べよ――」

ハニー「マクラーゲン!キャプテンは私よ!」

ジニー「太陽に背を向けろ!?ハニーが居ればその方角はいつだって太陽が昇ってるも同意でしょ!」

クート「ヒンヒン!」

ビークス「ヒン!」

マクラーゲン「なんだよ!!僕は勝ちたいがために!!勝ってグレンジャー様にののs」

ハニー「行くわよ!!!」

バタンッ!

ワーーーーワーーーーーーーーーー!!
 ヒンヒーーーーーーーン!!


「グリフィンドールチームの遅刻で開始時間がずれ込みましたが、いよいよ開幕です。きっとハニーは、そうだな。スノーカックでもみつけたのかも? あとで教えてほしいもン」


ハニー「……今日の、実況って」

ジニー「うん、今朝張り切ってたわ。赤いカブつけて」

ハニー「……なんだかある意味で、リーより不安だわ……ルーナ!」


ルーナ「あ、ハニーが実況席に手を振りました。『そうよ』だって。やっぱりね、あの子ほら、変わってるから。スノーカックって変わった人のとこにしか現れないんだって」

お前が言うなーーーーーー!!
 ヒンヒーーーーーーン!!

358: 2013/11/10(日) 21:13:42.77 ID:uE5Z0B3T0
ルーナ「グリフィンドール対ハッフルパフ。グリフィンドールはハニー・ポッターが率います」

ヒンヒーーーーン!!
 ハニーーーーー!!

ルーナ「チェイサーにはジニー・ウィーズリー。その他の選手――私、あんまり詳しくないんだ、前の試合はあっちに飛んでたラックスパート見てたから」

マクゴナガル「……ここに名簿があります、ラブグッド」

ルーナ「ん、ありがと先生。それで、ハッフルパフチームは――この前解説してたザガリアスがチェイサーだって」

ブーーーブーーーーー!
 ひっこめザガリーーーーー!

ザカリアス「ザガリーって言うなよ!!!あと ザ カ リ ア ス だ よ !!!!!


ルーナ「彼はグリフィンドールにとっても失礼でした。きっと後悔するんじゃないかな、ジニーはとっても強いから。それにとっても素敵。ハニーもね」

ザワザワザワザワザワ
 ヒン!? ヒン!ヒンヒンヒン!!

マクゴナガル「……人選を間違えたでしょうか」

ネビル「えっ?せ、先生、今更ですか?」

マクゴナガル「ロングボトム、課題は済ませたのでしょうね?」

ネビル「あれ?なんでだろ、マクゴナガル先生がスネイプに見える、あれ?」

ルーナ「えぇっと、それじゃぁ解説を呼ばないと。そうでした。解説は――」

マクゴナガル「オホン」

ルーナ「――ダンブルドア先生です、こんにちは」

マクゴナガル「!?」


にゃn……えっ!?!?

 ザワザワザワザワザワ!!!

ダンブルドア「どうも諸君!解説は――わしじゃよっ!」



ハニー「――みんな、再確認するけれど。きょうの、試合は、サクっと!片付けるわよ!いいわね!?」

ひ、ヒンヒーーーーン!

363: 2013/11/10(日) 21:36:07.23 ID:uE5Z0B3T0
ダンブルドア「おう、どうしたねミネルバ。颯爽と席を立ち喉をならし、くるであろうにゃんコールに備えておったかね?」

マクゴナガル「……アルバス」

ダンブルドア「出番を奪ってわるいのう。あとでレモン・キャンデーをあげよう」

マクゴナガル「アルバス」

ダンブルドア「さぁて、おっほん。しあーーぃ、かいしーーーーーぃっ!!」

マクゴナガル「アルバス!!!」

ピーーーーッ!!!


ワーーーワーーーーー!!

ルーナ「クァッフルが投げられました。取ったのは、えーっと、ザガリアスです」

ザカリアス「カだってば!!!!あっ!」

ルーナ「あ。ジニーがクァッフルを奪いました。うーん、開始数秒でこれって……先生」

ダンブルドア「どうしたね、ルーナ」

ルーナ「ザガリアスってもしかして、『負け犬病』を患ってるのかも。パパの雑誌にこのあいだ載ってたもン」

ハハハハハハハハハッ!!!
 ゲラゲラゲラゲラ!!

ルーナ「? みんななんで笑うのかな。これってとってもコワイんだよ?」

ダンブルドア「おーぉぅ、ルーナ。まっことその通りじゃ……諸君、この病を軽んじてはいかんぞ?かく言うワシの友人、ドージものう。学生時代は『ドジのドージ』と呼ばれ、おそらくこれなんぞもわしはこの病におかされていたと確信し――」

カーン!

マクゴナガル「グリフィンドールのウィーズリー、先取点!」

ルーナ「え、もう?」

ダンブルドア「気づかんかった」

マクゴナガル「アルバス、あとで根こそぎレモンキャンデーをいただきますからね」

367: 2013/11/10(日) 21:46:37.00 ID:uE5Z0B3T0

ワーーーワーーー!!

ルーナ「ジニーがハッフルパフの生徒にクァッフルを奪われました。えーっと、なんて名前だったかな……ギブル、みたいな」

ダンブルドア「おしい、おしいのう」

ルーナ「ほんと? んー、バンキンズ?」

ダンブルドア「ちょいと離れた。前のからもーちょいじゃ」

ルーナ「ヒントがほしいもン」

ダンブルドア「よかろう。第一のアルバス・ヒント。頭文字は――」

マクゴナガル「バンキンズ、です!!!二人とも!!!選手の名前で遊ばない!!!!!」

ハハハハハハハハハハ!!
 ゲラゲラゲラゲラ!!

ダンブルドア「おぉう、そこまで怒鳴ることないじゃろミネルバ。わしがびっくりしてこの高さから落ちちゃったらどうするのかね」

マクゴナガル「精々その何度か曲がってる鼻がもう一段折れるくらいでしょう……なんですか、どうしてラブグッドとそこまで仲がよろしいのですか」

ダンブルドア「夢遊病ダチじゃ」

ルーナ「夜中に何度か城中でバッタリ」

マクゴナガル「……アルバス、今あなた生徒の規則違反を見逃していたとこくは――ハッフルパフ、得点です!!!」



ハニー「マクゴナガル先生……お願いだから二人のペースにはまらないで」

368: 2013/11/10(日) 21:49:54.38 ID:uE5Z0B3T0
×マクゴナガル「バンキンズ、です!
○マクゴナガル「ギャッドワラダー、です!
マーリンの髭!

373: 2013/11/10(日) 22:07:20.24 ID:uE5Z0B3T0
ハニー「……そういえば、そうだったわね。私が、ルーナと面と向かって知り合う前に」

ハニー「夜中、何故だか城の中を出歩いてる彼女の名前を、地図に見たことがあったんだったわ」

ハニー「……夢遊病だったのね、ついでにあの豚も」

ハニー「……スニッチスニッチ」


ルーナ「ザガリアスがまたクァッフルを奪われました。まだ一分もクァッフルを持てていません。うーん、やっぱり『負け犬病』かも」

ダンブルドア「ポピーにちょいと薬を頼もうかのう」


ザカリアス「だ、ダンブルドアが真剣に……ぼ、僕って」


マクゴナガル「アルバス!!!!生徒を!!!!傷つけない!!!!」

ダンブルドア「めんご。ザカリアス、平気じゃよ。今日の君はちと調子が悪いだけじゃろうて」


ザカリアス「――名前を、呼んでもらえた!!」


ルーナ「あ、ザガリアスの飛びっぷりが急によくなりました。もしかして今までラックスパートが鼻にでもつまってたのかな」

ダンブルドア「あれは痛いのう、うむ。頭がボーッとしてひどいものじゃ」

ルーナ「うーん、せっかく『負け犬病』の実例が見れたと思ったのになぁ。先生、やっぱりあぁいうのってみんなが笑っちゃうようなものなの?」

ダンブルドア「そう思うかね?」

ルーナ「うん。結局、パパはスノーカックを中々見つけられないし……雑誌の売り上げも、ちょっと下がり気味」


マクゴナガル「……グリフィンドール、得点です」


ダンブルドア「ふぅむ、ルーナ。君らしくないのう。世間に認められなければ、全てが価値の無いもの。そう思っておるのかね?」

ルーナ「ううん」


マクゴナガル「ハッフルパフ、点を返しました」


ダンブルドア「そう、分かっておるはずじゃ。君は聡い子じゃからのう。無駄なものなど何もないのじゃ」

ルーナ「うん」


マクゴナガル「……グリフィンドール、得点です。同時に、ペナルティシュート……入りました」


ダンブルドア「例えば、君とわしがばったりでくわした夜中のあの城で発見した光景。どうだったね?」

ルーナ「素敵だったよ!」

ダンブルドア「そうじゃ! たとえ他の者には無駄なことでも、そう見えることでもじゃ!その眼でしかと見た者にとっては何よりも価値のあるもの、そして君のお父様はそれを追い求めておるのじゃよ、うむ」

ルーナ「そっか……ありがと、先生」

ダンブルドア「うむ、ザ・クィブラーはわしの愛読書じゃからのう。無駄なものなどない、と言えば。時に去年掲載されたあの古代ルーン文字のことでちと――」

カーン!

マクゴナガル「ハッフルパフ得点!40対30、グリフィンドールリード!」

ルーナ「え、もうそんなに?気づかなかった」

ダンブルドア「なんと、歳をとると時間が早いのう」

マクゴナガル「そうでしょうとも!!!!!!」

378: 2013/11/10(日) 22:18:37.64 ID:uE5Z0B3T0
ルーナ「あ、見て先生。あの雲先生の髭みたいな形してる」

ダンブルドア「ほっほっほ、わしの髭が雲みたいなだけかものう」

ルーナ「それって、鶏が先か卵が先かってことかな」

ダンブルドア「個人的には卵が先かのう。じゃって、そうでないと昔の人が卵焼きを食べられないじゃろ」

ルーナ「そっか!先生頭いいね!」

ダンブルドア「実はの、わし、校長なんじゃよ。知ってた?」

ルーナ「!!!」

ダンブルドア「この驚き顔。見て。今までこの子わしのこと多分ちょっとボケた老人じゃとおもっとったよこれ」

ルーナ「冗談だもン」

ダンブルドア「ハッハッハ」

ルーナ「フフフ」

マクゴナガル「……は、h」

カーン!

ルーナ「グリフィンドールに点が入って、50対30。リードが続きます」

ダンブルドア「何を笑っておるのかねミネルバ!寮監として応援に力を入れんといかんのでは?」

マクゴナガル「リー、あなたって実は真面目な実況だったんですね……」

382: 2013/11/10(日) 22:34:01.26 ID:uE5Z0B3T0
ハニー「まったく、もう、ほんと……何がなんだか」

ハニー「点はとれて、いるけれど……思ったとおりにチームが機能してないわ」

ハニー「……それもこれも……マクラーゲン!!!」


マクラーゲン「ほら、こうだ!このスウィングだ!!毎晩グレンジャーにこれで叩かれることを想像した僕に間違いはない!こう!振るんだ!いいな? なんだよ、ポッター!」

ハニー「ビークスの棍棒を返して、キーパーの位置に戻りなさい!!それで!!!残念だけれどハーマイオニーは毎晩わたしと一緒だし貸してあげるにしても絶対にロンだけ――」


ルーナ「グリフィンドールのキャプテン、ハニーがなんだかキーパーと揉めています。あれ?キーパーなのになんでビーターのクラブを持ってるのかな」

ダンブルドア「アルバス分かった、あれが彼らの新戦略じゃ。どうかねミネルバ」

マクゴナガル「そうでなければ私はマクラーゲンを虱に変えたいところです」

ダンブルドア「おっとまさかのマジレスポンスにアルバスびっくり――っ!!!」

ルーナ「あっ!!!」


ヒューーーッ

マクラーゲン「何を言ってるんだ!僕は助言してやってるんだ!いいか、こう、ブラッジャーがきたら……えいっ!!!」

ハニー「眼を瞑ってスイングしておいてなに――――ぇ」




バキッ!!!!


ウワァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

ハニーーーーーーーー!!!!!!


ロン「僕がのうのうとベッドに寝たまま遠く離れた競技場でハニーを落下させる展開なんてあると思うかおらぁあああ痛い!!!ありがとう!!幸せな重み!!!!!」ズザァアアアアアアア!!

ネビル「ろ、ローーーーーン!やっぱり覗きに来てたんだ!やっぱり君は一番豚だよローーーーーーーン!!」

ヒンヒーーーーーーーン!!!
 ローーーーーーン!ローーーーーーーン!!

マクラーゲン「は、はは。よ、よかった……でも、あー、ポッター、は……頭にブラッジャーが、当たっ……うわ」

シーーーーーーーン

マクラーゲン「……う、わ」



「ルーナ。僕にマイクを」

389: 2013/11/10(日) 22:47:59.64 ID:uE5Z0B3T0
「さぁさぁさぁさぁやっちまったねコーマック」

マクラーゲン「あ、あぁ……」

「いやぁこれからの君の人生、いんや豚にも劣る虫以下だから虫生の哀れさを思うとなけてくるねほんとにさ」

マクラーゲン「う、わ……」

「さぁみんな!今回鉄槌をくらわすのはこの虫野郎とはひと悶着あってつま先も触れたくない我らが才女様じゃぁありません!」

「あれだけのボケを突っ込んでもまだたりないでしょう!叫び足りないでしょう!やっぱり呼ばれなきゃしっくりこないでしょう!!」

「お任せしました!お願いします!音頭を務めますのは!」

リー「永遠の実況!!!わたくしことリー・ジョーダン!」

シッテターーー!

リー「そしてこの方……マクゴナガルせんせーーーーーー!!!」

にゃんこーーーーーーーーー!!
  やっちまえーーーーーーーー!!!

マクゴナガル「マクラーゲン」

マクラーゲン「……せ、せん」

マクゴナガル「私は、体罰のために自らの術を用いるなどということはしません」

マクラーゲン「ほっ……」

マクゴナガル「しかし……丁度、次のクラスで人を虱に変身させる必要があります」

マクラーゲン「」

マクゴナガル「これは 教 育 です。さぁ、お構えなさい。男らしく。そうすれば、毛の色くらいはあなたらしさが残るでしょう」


リー「ヒューッ!にゃんこ女史かっくぃーーーー!」

マクゴナガル「リーーーーーーー!!」

400: 2013/11/10(日) 23:07:43.43 ID:uE5Z0B3T0
数時間後

医務室

ハニー「……きっと、ハーマイオニーは、二週連続で泣きはらすことに、なったでしょうね」

ロン「おはようハニーあぁ君って病みあがりでも素敵だね!ヒンヒン!うん?とりあえず今日はほんと鼻すすりっぱなしだったよな、うん。もちのロンで」

ハニー「えぇ、おはよう……どうなったの?」

ポンフリー「頭蓋骨骨折です、ポッター。もちろん私がしっかり治しましたが、無理をしてはだめ!寝ていなさい!」

ハニー「あら、ハァイマダム。ありがとう、でもそうはいかないわ。マクラーゲンの間接をすりつぶされるまで締め付けてやらなきゃ」

ロン「奴さんがヒトに戻ったらそうしなよ、うん。でも大分反省してると思うぜ、その脳みそがあれば」

ハニー「……はぁ。ねぇ、何点差だったのかしら」

ロン「あー、そうだな。ジニーから後で聞いた話だけど……マクラーゲンは抜けて、君も抜けて……で」

ハニー「……えぇ」

ロン「あー、雰囲気というかさ……ほら、凄い事に」

ハニー「……回りくどい豚は嫌いよ」

ロン「ヒンヒン!ごめんよ!360対60で」

ハニー「……そう」

ロン「グリフィンドールが勝ったよ」

ハニー「!?」

ロン「……マクゴナガルが去り際に『グリフィンドール。チームが恥を晒した上に、あまつさえゲームでも負けるなんてことはありませんね……?』って」

ハニー「……先生」

ロン「まったく、あの人も大概クディッチバカだよな。君とおなz痛い!ありがとう!ヒンヒン!」

405: 2013/11/10(日) 23:18:14.25 ID:uE5Z0B3T0
ハニー「ジニーが代役になった、そういうこと?」

ロン「というかクァッフルで得点しまくってスコアエリア侵入前に相手チェイサーを止めまくってスニッチを掴んで判定うやむやにしたよ」

ハニー「……ほんと、いい女になったわね」

ロン「さすが、ハニーの女豚。それにしても、ルーナの実況は最高だった。君の声ほどじゃないけど。『負け犬病』かぁ」

ハニー「えぇ、そうね。まったく、私のお友達だわ……ダンブルドアと妙に波長が合うんだから」

ロン「君が言うかななんでもないよハニー!君の波長って奇跡みたいだよな!僕もう治ったよほんと!いてて!」

ポンフリー「全身打撲レベルの症状が追加された患者は黙る」

ロン「ハニーの重みでうけたものだぜ?こんなの勲章にしかならないよ、もちのロンでね!」

410: 2013/11/10(日) 23:35:36.69 ID:uE5Z0B3T0
ロン「ポンフリー、怒って事務所に戻っちまった。事実を言っただけだってのに。マーリンの髭」

ハニー「校医としてのプライドがあるんでしょう、尊重しなさい。それはそれとして、よくやってくれたわロン。お礼は動けるようになってからしてあげる」

ロン「ヒンヒン!ハニー!君は明日の希望を用意する名人だね!」

ハニー「えぇ、そうね。いつだって溢れてるわ」

ロン「クィディッチ優勝杯もほんとこの試合のおかげで間近だしね、うん。試合と言えばさ、ハニー。ジニーが言ってたけど、試合に遅れてきたって?」

ハニー「……それを聞いて居るのなら、どうしてなのかも聞いてるのでしょ。回りくどい豚は嫌いだわ、ってば」

ロン「ヒンヒン! あのさ、ハニー。もうマルフォイのことを気にするのはよそうよ」

ハニー「絶対、何か企んでるんだったら! あいつは前の試合の時にもいなかったわ……嫌々一緒にいる、みたいな女の子二人をつれて……一体、何をしに」

ロン「ナニ……あのやろ……いつの間に……マーリンの髭!!!女の子二人になんて!!!髭!!髭!!!!」

ハニー「? とにかく、悔しいわ……スニッチ・キャッチがなくてもなんとかなったなら、やっぱり試合じゃなくてマルフォイの方を追いかければ……もう」

ロン「おいおいハニー、飛行バカクィディッチバカな君らしくな痛い!ありがとう!」

ハニー「そのくらい悔しいということよ。何とかして、マルフォイを尾行する手段をみつけなきゃ……」

ロン「それなら僕達が!」

ハニー「ダメよ、授業があるでしょう?私の豚ならば学生の本分は守りなさい……でも、今日はあの時みかけておけば頼めたのに、と思うわね」

ロン「ヒンヒン!ごめんよハニー!あぁ!ハニーに一声かけられればどこからともなく現れられればよかったのになぁ!」

ハニー「まったくだわ」

414: 2013/11/10(日) 23:48:15.86 ID:uE5Z0B3T0
ハニー「はぁ……本当、わたし、クィディッチ大好きだけれど……何度も痛い目にあってるわね」

ロン「クィディッチの野郎!ハニーになんてことすんだぶっ頃してやる!!」

ハニー「言葉だけ受け取らないの。三年生の時は、吸魂鬼のせいで箒から落ちて」

ロン「今なら僕あいつら蹴飛ばせるよ。何せ僕らの希望の光たるハニーから守護霊教えてもらったしね!ヒンヒン!」

ハニー「心強いわ、えぇ。その前は、あのロックハートのせいで」

ロン「そういやあの時もマクゴナガルは野郎にフルスイングビンタしてくれたっけな」

ハニー「骨を生やすのは、さすがの私でも不快、だったわね……それにあの時は、真夜中に……っ!」

ロン「閃いたハニーの横顔もすんばらしいなぁ」

ハニー「ロン、それよ!そうだわ!! 生徒じゃなくて、いつでも私の近くにいられて、頼みを聞いてくれる、存在!」

ロン「……君の旦那様ならまだ寝てるからちょっと無理かなと痛い!!ありがとう!!!」

ハニー「『いつでもわたしの近く』違いよそれは! ……うるさい!!」

ロン「連続でありがとう!!近くどころかね!中にだよね痛い!!!本当にありがとう!!」

ハニー「はぁ、もう! だから、彼よ! 彼に頼めばいいんだわ……癪だけれど」

ハニー「クリーチャー!」

バチンッ!

クリーチャー「ホグワーツに寄生するダニ、それが貴様らでぐぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ!!!!」

ドビー「謝れ!!!ダンブルドアとドビーたちに謝るのです!ドビーはクリーチャーにおしおきをいぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ!」

ハニー「!? ちょ、ちょっと!クリーチャー、それに……ドビー!?」

ドビー「はっ!あぁ、ハニー・ポッター様!お久しゅうございます!ヒンヒン!」

ロン「そういうことかハニー。さすが豚使いの名人。やぁ同胞、そんでそいつととっくみあってどうしたんだい?大体分かるけど」

クリーチャー「クリーチャーは屋敷しもべ妖精として当然のことを言ったまでです血を裏切る赤いバカめが」

ロン「……前半は別にいいや。けど後半はこっちにいる赤い素晴らしく高貴な女の子までバカにしたぞこんにゃろ!!マーリンの髭!!!」

ドビー「謝れ!ハニー・ポッターに謝れ!ヒンヒン!」

ハニー「静かに出来ない豚は嫌いよ、もう」

439: 2013/11/23(土) 14:22:59.10 ID:fry6wO450
ドビー「ドビーはハニー・ポッターの出来る妖精豚なので静かにするのです!ヒンヒン!」

ロン「僕もハニーの一番の豚だからこの真夜中に映えるハニーの美しさを静かに見守りながら一日の終わりを迎えるよヒンヒン!」

クリーチャー「……何用ですかな、ご主人様。ペッ」

ハニー「静かに、を守りなさい豚ならば。それで、クリーチャー。そこをあとでしっかり掃除してもらうわよ」

クリーチャー「……きれいにしたところでどうせ穢れた血のお仲間がすぐに穢しにくるでしょうがな」

ロン「わぁ、あいかわらずぶっころしたい」

ハニー「分かるけれどやめなさい。クリーチャー、あなたに仕事を頼んであげるわ」

クリーチャー「……ご主人様の仰せならば。クリーチャーに、拒否権はありません」

ハニー「分かっているじゃない、あなたは豚ではないけれどね」

ロン「ってことは同胞予備軍かぁ。あれ?そういや首輪って衣服にあたるのかな」

ドビー「ドビーは自由な屋敷しもべ妖精なので気にせずつけておりますが、同僚たちは血の涙を流して羨ましがっているのです!」

ハニー「そういえば、そうだったわね。何か別のものを用意するわ、ホグワーツが大好きなバッジとか」

ロン「ホグワーツみんなが大好きなのは君っていう存在だけどね、もちのロンで」

ハニー「えぇ、そうね。愛されている事実を胸に誇りなさい」

ロン「ヒンヒン!」

ドビー「ヒンヒン!」

クリーチャー「……馬鹿どもめ」

440: 2013/11/23(土) 14:33:20.15 ID:fry6wO450
クリーチャー「クリーチャーに選択肢はない、クリーチャーはやりたくなくともやらねばならない、クリーチャーはやりたくないのに」

ロン「ブツブツうるさいなしわくちゃ毒吐き野郎め。なぁ、ハニー。本当にこんな奴に頼むのかい?」

ドビー「そのとおりですハニー・ポッター!いえ!ハニー・ポッターの決定はもちの」

ロン「僕で」

ドビー「世界の決定に等しいです!ヒンヒン!」

ロン「あぁ、ハニーが発言しっちまえばたとえ六親等どころかなんだろうが20歳以上の年の差だろうが関係ないよなまぁ関係ないというか関係はもうもっちまtt痛い!ありがとう!!!」

ハニー「ゴチャゴチャ言わない。そう、これは決定よ。でも、そうね……ドビー?」

ドビー「はい、ハニー・ポッター!」

ハニー「あなたにも手伝わせてあげるわ。クリーチャーがしっかり仕事をしているか、見張る役目をね」

ドビー「! なんたる光栄!」

ロン「ちっくしょう!僕はなんのために一番の豚なんだ!いっそあの毒もっかい飲んで屋敷しもべ妖精として生まれ直ってマーリン!髭!!」

ハニー「ハーマイオニーが乾く暇なくなるからやめなさい。ただでさえないでしょうけれど。それで、クリーチャー」

クリーチャー「……なんでしょう、ご主人様」

ハニー「ドラコ・マルフォイを二十四時間監視しなさい。どこで、誰に会って、何をしているのか。ドビーもね」

ドビー「はい!そしてドビーはもしもその任務に失敗した場合」

ハニー「えぇ、けれど自分を傷つけることは――」

ドビー「あのフォイフォイうるさいくずをふんじばってあなた様のところにさしだしてすべて吐かせてしまう手段にうつるのです!!」グッ

ハニー「……そこまでは、しなくていいわ、えぇ」

442: 2013/11/23(土) 14:44:37.72 ID:fry6wO450
クリーチャー「……マルフォイ。マルフォイ家の、一番若いご子息様?」

ロン「そうそう、フォイクズ」

ハニー「そのマルフォイよ」

クリーチャー「マルフォイ家の、クリーチャーの昔の女主人様様の姪御様の、純血のご子息様の跡をつけろと、と?」

ハニー「……そういえばあなたには前科があったわね。いいこと、クリーチャー」

クリーチャー「いやです」

ハニー「拒否権はない、そう言っていたはずだけれど? どんな手段であろうと、あなたの存在をマルフォイに知らせる行いを禁じるわ」

ロン「まぁ大多数の人類にとっちゃ簡単な禁制だよな、あいつと関わりたい奴なんてそういないし、フォんと」

ドビー「フォんとフォんと」

ハニー「間接的に関わっている人は多いようだけれどね……どうなの、クリーチャー。返事をしなさい」

クリーチャー「…………ご主人様はさまざまなことをお考えのようで」

ロン「大半が黒くて大きな一等星のことだけ痛い!ありがとう!」

クリーチャー「クリーチャーはそうするしかないようです、例えマルフォイ家の坊ちゃんの召使になるほうがずっといい、そう思っていても。あぁ、そうですとも」

ハニー「それじゃ、決まりね。二人とも……この豚が私の下から離れないように、しっかりマルフォイに張り付いているのよ。いいわね?」

ロン「ヒンヒン!君が座るのはいつだって僕の背中ってことだよねハニー!あぁ!僕の背中って世界中で一番幸せな背中だろうなぁ!もちのロンで!」

443: 2013/11/23(土) 15:04:03.37 ID:fry6wO450
月曜日

ハーマイオニー「退院おめでとう、二人とも」

ロン「ハニーがいたおかげで窮屈だった病室は王座もいいとこだったけどね」

ハーマイオニー「あなたはその敷物だったんでしょ、はいはい」

ハニー「……ふふっ。なんだか二人が普通にしゃべってるだけで、おかしいわ」

ロン「どうしたんだいハニー!なるほど、今日は全人類の機嫌がいい日なんだろうね、うん!HAHAHA!君がいるからかな!」

ハニー「ハーマイオニーの機嫌はあなたが入院した夜からずっといいけれどね」

ハーマイオニー「そうでもないわ、そうでも。えぇ、ハニー。言っておきますけど私たちに今まで散々ニヤニヤがどうとか言っていたのに……あら」

ハニー「なぁに? あぁ、ハァイ、ルーナ」

ルーナ「うん、こんにちは。病室にあんたを探しにいったんだけど」

ハニー「お見舞いかしら?」

ルーナ「それなら代わりにガーディルートを送っておいたよ」

ロン「なんだいそれ、君の目には見えないおともだち?」

ハニー「言い方を考えなさい、ロン。えーっと、たしかあの球根?みたいなもの、よね」

ロン「あぁ、あの気味悪い……ポンフリーが没収してたっけ」

ルーナ「そうなんだ、残念。あれ、ガルピング・プリンピーを撃退するのに効果的なのに」

ハーマイオニー「……用件に入ってもらっていいかしら、ルーナ?」

ルーナ「うん。それで、ガルピング・プリンピーって」

ハーマイオニー「その話は今度の夜中にダンブルドアにゆっくりしてあげて」

445: 2013/11/23(土) 15:18:42.06 ID:fry6wO450
ルーナ「そう、それ。ダンブルドア……手紙を預かってきたんだ。ちょっと待って、探すから」

ゴソゴソ

ハニー「意地悪豚から?」

ルーナ「うん。昨日の夜またたまたま会ったから、実況の反省会をしてたんだけど……えっと、猫のトイレの砂……ちょっと、持っててもらえる?ありがとう」

ザザーーーーッ

ロン「……これ何に使うんだい?」

ルーナ「さぁ……えぇっと、どこだっけ」

ハーマイオニー「……さらっと言っていたけど、生徒の夜間抜け出しを咎める気すらないのね、ダンブルドア」

ロン「ルーナに至っては言うだけ無駄ってことさ、もちの僕で」

ゴソゴソ

ルーナ「夢遊病ダチだもン。えーっと……ロナルド、これも持ってて。毒しいたけ」

ロン「君の鞄どうなってんのさ。そういや、その実況聞いてたけど最高だったよ。特に『負け犬病』の件」

ルーナ「みんなは酷かったって言ってたけどな、笑いながら。えぇっと……これも持っててくれる?」

ロン「ハニー以外に命令されるのは一番豚としてあれだけどさ、いいぜ。同胞じゃなくってももちのロンで君はハニーの――」

モサァァァァァァ

ハニー「」

ハーマイオニー「」

ロン「…………なんだい、これ」

ルーナ「? マーリンの髭」

ロン「………………うん?」

ルーナ「マーリンの髭、だよ?あんたいつも、言ってなかった?」

ロン「……………………マーリンの髭!!!髭!!!!!!」

448: 2013/11/23(土) 15:31:25.91 ID:fry6wO450
ロン「……驚き桃の木鞄のことはもういいよ。ルーナ、まだ見つからないのかい?」

ルーナ「えーっと……あった!はい、これ」

ハニー「ずいぶんとひしゃげた羊皮紙ね」

ルーナ「いろいろ敷かれてたから」

ハーマイオニー「色々がなんなのか、はあまり聞きたくないわ……」

ハニー「とりあえず、ありがとう……今夜だわ!」

ロン「あぁ、あの同胞の君と二人っきりだなんていうなんて羨ましい個人授業の髭だね」

ハニー「えぇ、そうね。全豚の羨望を受けていいところだわ、夜にこの私と待ち合わせだなんて」

ルーナ「? あんたも夢遊病なの?」

ハニー「いいえ。だってそうしたら、ハーマイオニーが乾く暇なくなるでしょ?」

ハーマイオニー「どっちにしろだわ、ハニー」

ロン「あぁ、なんで僕って女の子じゃないんだろ。どっかに女の子になれる道具とかないのかなぁ、ほんと」

ルーナ「うん?いる?」

ロン「……えっ!?!?!?!?」

ハーマイオニー「ルーナ、冗談はやめて。冗談よね?……冗談よね!?」

451: 2013/11/23(土) 15:45:15.16 ID:fry6wO450
夜中

校長室

コンコンッ

 ダンブルドア「入っておるよ!」

ガチャッ

ハニー「だからそれやめなさいって……あぁ、お邪魔したかしら?」

トレローニー「まぁ――どうやらお邪魔なのはこちらのようですわ――十字架の如き赤き命運をその身に背負いし――そう、選ばれし者――わたくしはずっと昔から予言していましたわね」

ハニー「だからあんまりあなたに関わりたくないのよ」

トレローニー「そうでしょう、ダンブルドア? わたくしが邪険に放り出されるのは、このせいでしたのね」

ダンブルドア「これこれシビル、わしは彼女のように君を放り出したりなんかせ、ウップ、いかん吐き気が」

ハニー「間違ってもこれから入る篩の方に足を向けるのはやめなさいよ」

トレローニー「入る……?まぁ、いいでしょう。校長先生?どうしてもわたくしの申請を受理してもらえないのですわね」

ダンブルドア「そうじゃのう……前向きに検討する形でひとつ善処したい所存じゃったりなんじゃったりこう、あ、髭に枝毛が。やはりちょびっと切ったのはまずかったのう」

ハニー「あれあなたのなのね何やってるのよ」

トレローニー「聞いてませんのね!!! わかりましたわ、それならばわたくしにも考えが」

ハニー「……なんのことだか分からないけれど、先生も落ち着いて」

トレローニー「わたくしの居場所を奪うあのお馬さんを教職から追い出す、というわたくしの願いをむげにされるのでしたら!考えがありますわ!」

ハニー「折れるのは早いわ、先生。ちょっとこの豚、まじめに聞きなさい、真面目に。大真面目よこれ」

ダンブルドア「ワシハイツダッテマジメジャヨー」

ハニー「第一声から髭を三つ編みながら言ってるんじゃないわよこの豚」

452: 2013/11/23(土) 16:06:39.80 ID:fry6wO450
ハニー「……言ってしまったわね、トレローニー先生」

ダンブルドア「最終的に水晶玉をわしに投げつけてのう。なにあの豪腕、あの人杖なしでも戦えるわあれ」

ハニー「冗談やめなさい。先生は、そうね。やっぱりフィレンツェが教えることにまだご不満なの。私もだけれど」

ダンブルドア「彼は追放の身じゃからのう、仕方ないのじゃ。かと言って、トレローニー先生を辞めさせるわけにもいかん……彼女がこの城から離れるのは、あまりにも危険じゃ」

ハニー「……先生が、私とヴォルデモートに関する予言をした、から」

ダンブルドア「そうじゃ。そしてそのことは一部どころかかなりの氏喰い人幹部が知っておる……まったく、シビルがインドアな女性で助かった」

ハニー「城が自分の家、というくらい閉じこもっているのだものね」

ダンブルドア「これで君のお母様のように野生児な女の子だったらどう、おっと、やめておこうかのう。短い老い先をまだ終わらせとうない、まだ」

ハニー「あと半世紀は現役でいそうなくせに何言ってるのよ」

ダンブルドア「そうだったらよかったのじゃがのう。それで、ハニーよ」

ハニー「なぁに?」

ダンブルドア「前回の最後に出した課題のことなのじゃがのう」

ハニー「…………ぁ」

ダンブルドア「……」

ハニー「……え、tt」

ダンブルドア「愚問じゃった、愚問じゃったのう、ハニー。君は聡い子じゃ」

ハニー「……えぇ、その」

ダンブルドア「わしから、初めて課した君への宿題じゃ。よもやこなせなかったなど、まさか忘れておったことなどあるわけはあるまい。豚として大変失礼じゃった」

ハニー「……」

ダンブルドア「そう、わしは君の豚じゃった。その飼い主たる君のことを信じられず何が豚じゃろう、そうじゃろ?何せ君は高貴であり、可憐であり、儚げであり伝説的、そして道徳的で家庭的な模範的行動の化身とも言える聡い子なのじゃから」

ハニー「……ごめんなさい」

ダンブルドア「……」

ハニー「……やろうとは、したの。授業の後に、先生に聞いたわ。それで、けれど、教えてもらえ、なくて」

ダンブルドア「そうじゃろう、そうじゃろう。君のことじゃ、その大変有利に働くはずの見た目を武器にせず、真っ向から聞き出そうとしたのじゃろう。そう、第一弾は不発に終わった。して、ハニー。次の手は何を講じたね?」

ハニー「……」

ダンブルドア「君のことじゃ、最善を尽くしたのじゃろう。君のあふれんばかりの創意工夫をこらして、あの強情者のホラスをギャフン!アルバスサイコウ!と言わせたのじゃろう?どうじゃね?」

ハニー「……あの」


フィニアス『怠け者はこれだk』

ダンブルドア「フィニアス黙っておれ。今わしのターンじゃ」

454: 2013/11/23(土) 16:21:17.80 ID:fry6wO450
ダンブルドア「わしはこの記憶がいかに重要なのか、君にたしかに伝えたつもりじゃった」

ハニー「……」

ダンブルドア「例え一度失敗に終わっても、君の不屈なる精神は何度でも挑戦するはずじゃと考えておった」

ハニー「……」

ダンブルドア「友のことを心配するのは最もじゃ。そう、ミスター・ウィーズリーの事態で酷く動揺したことじゃろう。記憶のことからひと時意識が離れても仕方あるまい」

ハニー「……」

ダンブルドア「じゃが、その後はどうじゃろう。君には十分な時間があったのでは?特に、ミスター・マルフォイのことについて考える時間などは、そちらに意識を向ける絶好の機会だったのでは?」

ハニー「……」

ダンブルドア「クィディッチ、結構。君の喜びや楽しみはわしら豚にとっても同じこと、それはよろしい。じゃが、練習を終え、一息ついた後、その足でホラスの部屋に向かうこともできたのでは?」

ハニー「……」

ダンブルドア「君を厳しい言葉で叱りつけるのは簡単じゃ。じゃが、わしは、君自身に自ら答えてほしい」

ハニー「……わたしを信用して、まかせてくれたのに。ごめんなさい」

ダンブルドア「うむ」

ハニー「頑張るわ。絶対、今度こそ。だって、っ、そうよ。わたし」

ダンブルドア「わしの飼い主じゃ、そうじゃろう?」

ハニー「っ、っっ!そうよ! 待ってなさい!あと、ちょっと自分が情けない、から!!!後ろを向いて、頬をつねるけれど!!!こっちを見ないこと、いいわね!!」

ダンブルドア「もちの一番豚じゃて」


フィニアス『ふん、やはり泣けば済むとおm』

ダンブルドア「フィニアス、わし二度も同じこと言いたくないんじゃけど」

フィニアス『うーんむにゃむにゃ、あと3世紀』

455: 2013/11/23(土) 16:51:18.72 ID:fry6wO450
ダンブルドア「さて、ホラスの話はやめじゃ。なんじゃねあのケチンボ、たかが記憶くらいチョチョーイとくれればいいものを」

ハニー「全否定ねあなた……それで、今日はどんな記憶に、入るのかしら」

ダンブルドア「うむ。これまでは、ハニーよ。かのお辞儀フリークが」

ハニー「火付け役あなただったけれどね」

ダンブルドア「……そのリドルが、十七歳になるまでの確かな事実の根拠となる記憶を共に見て、そして足らない部分を推量してきた」

ハニー「えぇ、そうね」

ダンブルドア「しかし、これより先。つまりは彼が卒業してからのことは、事実たる部分が減り、更に推量していく他ないじゃろう。なにせ、成人したヴォルデモートの記憶を語ってくれるものはほとんどおらなんだ……その片鱗の記憶をもつホラスでさえ、あれじゃ」

ハニー「……」

ダンブルドア「大変困難じゃった。事実、奴が卒業してからこれまでの生き方を完全に語れるのは、おそらく奴本人だけじゃろう。まぁ、ベラトリクスあたりが十五年前まで一言残らず発言をノートにまとめてそうじゃが」

ハニー「嬉々としてそうでいやだわ」

ダンブルドア「じゃが、そこはまぁわしじゃからのう。何とか二つの記憶を入手できた……これらを見、そしてわしの引き出した結論が正しいかどうか、君に判断してもらいたい」

ハニー「そうしてあげるわ……それじゃ、それはあいつが卒業した後の時代の」

ダンブルドア「そうじゃ。七年生になったヴォルデモートは、君が予想しておる通りうけた試験ではすべて一番の成績をおさめておった。時に、すでに説明されておるかの?七年生では追加授業を申請できることは?」

ハニー「? なぁに、それ」

ダンブルドア「卒業後の進路に関わるより専門的な学問を、七年生では生徒の申請があれば特別に開講するのじゃ。ヴォルデモートもまた、その権利である授業を申請した」

ハニー「……聞きたくないわ」

ダンブルドア「その名も『お辞儀学』」

ハニー「聞きたくないわ」

ダンブルドア「わしの権限であと一歩のところでとめさせたがのう」

ハニー「何やってたのよ他のホグワーツ教師陣」

456: 2013/11/23(土) 17:04:29.34 ID:fry6wO450
ダンブルドア「ともあれ、トム・リドルは全ての試験で最高の点を取り、周りの者は輝かしい何かを期待しておった」

ハニー「……監督生で、主席。それに特別功労賞。全部上辺だけのものだけれどね」

ダンブルドア「ホラスを含む何人もの教師が、彼を魔法省に入省させようとした。面接を設けようとし、あるいは己が人脈に紹介しようとしたのじゃ」

ハニー「あんな質問をされた後も、スラグホーンはお気に入りからはずさなかったのね……ますます、あの後なにがあったのか」

ダンブルドア「知らねばのう。そして、しかし、あの者はそれらを全て断った。どこで働いたと思うね?」

ハニー「……悪の秘密結社の総裁、とか?」

ダンブルドア「闇の陣営オジギスルノダーじゃのう。それも大いに視野にいれておったじゃろう。じゃが、彼は教職員たちが気づいたときにはボージン・アンド・バンクスで働いていたのじゃ」

ハニー「……ボージン・アンド・バンクス!?」

ダンブルドア「驚きも最もじゃ。ホラスなんて泡吹いて倒れたのう。『わたしのクラブの一等ナメクジがブクブクブクブク』とか」

ハニー「ちょっと待ってなぁにその嫌な格付け」

ダンブルドア「もっとも、この職はヴォルデモートの第一の選択ではなかった。その事実を知るのは当時の役立た、ゲフン、ディペット校長と、そして校長からヴォルデモートよりも信頼を勝ち得ておったわしじゃった」

ハニー「……何を望んだの? いいえ、その流れは大体分かるわ。まさか」

ダンブルドア「そう、ヴォルデモートは初め、この城で教職に就くことを希望していたのじゃ」

ハニー「いやよ授業最初に何度も頭を下げさせられるのは」

ダンブルドア「すまんて」

ハニー「そうよ、あなたのせいよあなたの」

457: 2013/11/23(土) 17:33:04.87 ID:fry6wO450
ハニー「あいつがこの城に残りたかった理由……は、いくらでもあるわね」

ダンブルドア「そうじゃのう。まずは一つに、単純にこの城を自らの故郷と思っておったことじゃろう」

ハニー「……秘密の部屋のあの記憶はうそまみれだったけれど、えぇ。本心からここから去りたくなかったことは、確かなようだったわ」

ダンブルドア「そして、この城に残された古代の魔法の数々。創設者四人の、あらゆる高みが生きた牙城じゃ。わしも校長になってから受け継いだいくつかの事柄で、年甲斐もなくテンション上がってしもうたことがある」

ハニー「あなたの年甲斐はいつになったら身につくのかしらね」

ダンブルドア「つかずじまいかものう。そして、第三に。これはおそらくホラスの影響じゃろう……ここで教えること、若い魔法使いの上に立つことによる影響力、権利の行使じゃ」

ハニー「ここを、自分の恥ずかしい集団の人材集めにしようとした、そういうこと」

ダンブルドア「そうじゃ。そして異論を唱える者の排除、もしくは矯正じゃのう」

ハニー「……でも、それは適わなかった」

ダンブルドア「わしの助言もあり、ディペット校長は思いとどまった。『十八歳ではまだ若すぎる。外の世界を見て、数年後にまた再応募の意思があるのならば考えよう』とのう」

ハニー「……教えたがったのは」

ダンブルドア「『闇の魔術に対する防衛術』じゃ。もちの一番豚」

ハニー「私の豚を私以外が豚と呼ばない。そう……なんとなく、分かっていたけれど」

ダンブルドア「その当時勤めておった古株のガラテア・メリィソート先生が、歳と健康上の理由で退職する話があってのう……本当に、一時は決まりかけたのじゃ」

ハニー「……」

ダンブルドア「いやぁ、危なかった。ニコラスから送られてきたすんごい美味しい水をガラテアの朝食にちょいと一滴足らした結果見る見る元気になるというまるで奇跡のようなことが起きなかったら、危なかったのう。ふーぅ」

ハニー「……何をやらせてるのよ、何を」

ダンブルドア「持つべきものは友、というやつじゃて」

459: 2013/11/23(土) 17:59:14.87 ID:fry6wO450
ダンブルドア「城に残って自分の息のかかった魔法使い、つまりは『ミニ俺様を作ろう!』と目論んだヴォルデモートじゃったが」

ハニー「言い方」

ダンブルドア「その企みは潰えて、奴はホグワーツを去り、そしてボージン・アンド・バンクスで働きだしたのじゃ」

ハニー「……ただの、店員として?」

ダンブルドア「もちろん、違う。それはもう、接客の態度と言ったら申し分なかったそうじゃがのう。奴はやろうと思えばいくらでも社交的になれたのじゃ」

ハニー「すばらしい角度でお辞儀している姿が目に浮かぶわ」

ダンブルドア「店主は当然、ヴォルデモートの才能を知っておった。そして、丁寧な物腰で賢く、しかもハンサムじゃったあ奴に、強い魔法力のある特別な商品をまかせるようになったのじゃ」

ハニー「……それこそが、あいつがあの店で働き出した理由ね」

ダンブルドア「その通り。物への執着は孤児院の記憶の中でも説明したとおりじゃ……そして、今後ますますじゃが。それでは、件の記憶を覗くとしようかの」

ハニー「誰の記憶なの?その当時の、あの店の店主?」

ダンブルドア「いや、とある屋敷しもべ妖精じゃ。この者が仕えておったのは、年老いた大金持ちの魔女でのう――ヴォルデモートの仕事で一番の得意先と呼べる相手だったのじゃ」

ハニー「顔だけ、はいいものね。それでも私からみればイマイチに過ぎるけれど」

ダンブルドア「そりゃそうじゃのう、じゃって君の中じゃ堂々一位どころか殿堂入りした光り輝く一等星が」

ハニー「あなたも星にしてあげてもいいのよ?」

ダンブルドア「ほっほ、それはそれは。見守らせてほしいものじゃのう、君の姿を――さぁ、行こう」


ポチャンッ

グルグルグルグル







474: 2013/12/01(日) 17:39:28.06 ID:ksDyZLMq0
屋敷しもべ妖精 ホキーの記憶

ハニー「……随分と立派なお屋敷ね」

ダンブルドア「正直に言ってよいのじゃよ、ハニー。けばけばしいとのう」

ハニー「私はいつだって自分に正直よ、世界がそうさせるから……まぁ、いいわ。あんなにお年寄りなご婦人なのに、この内装はちょっと、えぇ。はしゃぎすぎよ」

ダンブルドア「服装ものう。彼女はヘプシバ・スミス。この家の主で、この記憶の持ち主であるホキーの主人でもあるのじゃ」


ヘプシバ『ホキー!さぁ!はやくおし!あの人が来てしまうでしょう!え!?』

ホキー『はいっ!はいっ、奥様!お足を失礼――ですが、あぁ奥様!スリッパはもう一回り大きいものをお召しになられたほうがよかろうかとホキーは存じます!』

ヘプシバ『馬鹿を言わないで!これが我が家で一番可愛いスリッパでしょう!?この家で一番可愛いのは!?』

ホキー『奥様にございます!!!』

ヘプシバ『よろしい!!さぁ、誰に何を履かせるって!?』


ハニー「……必氏ねぇ」

ダンブルドア「誰かを見ているようじゃのう」

ハニー「的確にうるさいわ。この婦人がこんなに、慌ててるのは……」

ダンブルドア「そうじゃ。あの者の訪問が近いのじゃろう……噂をすれば」

チリンチリンッ!

ヘプシバ『!ほら、いらしたわ!あぁ、時間ピッタリ!彼はいつだってそう!ホキー!?あたくしの顔、どうかしら!』

ホキー『素晴らしすぎて花もはじらいしおれるほどにございます!!』


ハニー「……歳相応に落ち着きなさい、と言いたいわ」

ダンブルドア「まったくじゃ」

ハニー「あなたは言う資格ないわよあなただけは」


ヘプシバ『よろしい、オホンッ!――トムを案内してきなさい、ホキー』

ホキー『そのように、奥様!』

バタバタバタバタッ

ハニー「……」

ダンブルドア「……」

476: 2013/12/01(日) 17:51:53.56 ID:ksDyZLMq0
ツカッツカッツカッツカツ

ハニー「これが、成長したリドル……表現としては、ハンサムね。普通の」

ダンブルドア「君にとってのとびっきりはいま就寝中じゃからのう」

ハニー「黙って……この部屋、色々な小道具とか花瓶やらでかなりゴタゴタしているのに、苦もなく進んでくるわね……通いなれて居る証拠、かしら」

ダンブルドア「そういうことじゃのう。さぁ、そしてここから」

ハニー「えぇ、どうせ……素晴らしい角度でお辞儀で……えっ」

スッ

リドル『ごきげんよう、マダム――お目通りかない光栄至極です』


ハニー「……跪いて、手をとったわ」


ヘプシバ『あぁ――トム』

リドル『お手をとる事をお許しください。愛らしい手だ。今このひと時、この手だけは、マダム?――マドモアゼルに戻ってもらっても――?』

ヘプシバ『トム、そんな、あぁ!手にキスをされるなんて、何年ぶりかしら……!』


ハニー「……」


トム『お花もどうぞ――美しいご婦人』

ヘプシバ『まぁ、まぁトム!こんなことをしちゃ――あなたは本当に、いけない子だわっ!!!!』

ホキー『ヒューヒューーー!奥様ヒューヒューーーッ!』



ハニー「……ナニアレ」

ダンブルドア「ヴォルデモート卿じゃよー」

ハニー「…………あぁ、ロンかハーマイオニーがどう言うのか聞きたいわ、本当」

479: 2013/12/01(日) 18:09:26.69 ID:ksDyZLMq0
ハニー「いくらでも社交的に、って、限度があるでしょう……なによあれ」

ダンブルドア「イケメンは往々にしてジゴロ気質ということかのう、どこぞの一等星と同じく」

ハニー「黙りなさいと言ったけれど」

ダンブルドア「ヒンヒン!」


ヘプシバ『全く、年寄りを甘やかすのが上手ね、トム!さぁさ、おかけなさい。ケーキはいかが?あなたが甘いものが好きなのは知っているわよ?』

リドル『僕が好きなのはあなたからいただく物すべてですけれどね。えぇ、いただきますよ――色々と』

ヘプシバ『喜んでもらえて嬉しいわ!それに、トム。そうでなくとももっとお食べなさいな、随分とやせているわ……あのお店でこき使われているのでしょう?』

リドル『いえ、若い者がより働くのは当然のことです――それで、マダム。例のゴブリン製の甲冑の件ですが、店主のバークは五〇〇ガリオンでどうか、と――』

ヘプシバ『まぁ、まぁ!待って、トム! そう話を急がないで頂戴?それじゃ、まるであなたがあたくしの小道具のためだけにいらしたように思ってしまいますことよ?』

リドル『えぇ、もちろんマダムとお会いできる事も楽しみにしています。ですが、僕は店主の使用人としてそういった物のためにこちらを伺うように、と――』

ヘプシバ『バークなんか、プフーッ!だわ! あなた「だけ」に見せたいものがありますのよ、トム……?ゴブリンの甲冑なんてちんけなものじゃない、本当の歴史的な価値のあるもの、を……興味はあありかしら?』

リドル『……マダムから拝見させていただけるのでしたら、喜んで』


ハニー「……ここに来てから初めて、本心で笑ったわね」

ダンブルドア「これまで心の中で反吐を噴きながら売った媚びがようやく実った、そういうことじゃろうのう」

ハニー「あいつにしては、随分と回りくどい話だわ、まったく」

480: 2013/12/01(日) 18:20:13.52 ID:ksDyZLMq0
ホキー『お持ちいたしました、奥様!』

ヘプシバ『えぇ、ホキー。頭の上にしっかり掲げなさいな?なんと言っても我が家の、最高の!秘宝なんですから。二つとも、ねぇ……?』

リドル『……二つ』

ヘプシバ『驚いたかしら、トム?あぁ、あたくしの親族がこれをあなたに見せたと知ったら!あの人たちはみんな、喉から手が出るほどこれが欲しいのよ?これをね……』

コンココンッ、コン……


ハニー「……?ホキーの持ってきた皮製の箱の一つを、ノックした、わね」

ダンブルドア「ハッフルパフ・リズムじゃのう」

ハニー「なぁに、それ」

ダンブルドア「ハッフル豚に聞いてみてはどうかのう、君にとは言え口を割るとは思わんが。ほっほっほ」

ハニー「私以外が豚って呼ばないの……中にはいっていたのは、金色の、取っ手が二つついた、カップ?」


ヘプシバ『これが何かお分かりかしら?あぁ、トム。いいわよ、お手にとりなさいな。布越しでお願いね?』

リドル『……お預かりします』


ハニー「……一瞬、目が赤くなったような、そんな気がするわ」

ダンブルドア「本心を隠すのが下手じゃのう、こやつは。ところでハニー、わしもうすぐ氏ぬんじゃけどー」

ハニー「なんなのよそれは、はいはい」

481: 2013/12/01(日) 18:34:07.10 ID:ksDyZLMq0
リドル『この刻印……穴熊、ですか?』

ヘプシバ『えぇ、その通りよ!』

リドル『するとこれは――まさか、ヘルガ・ハッフルパフの――?』

ヘプシバ『賢い子!そう、よくご存知のようにあの伝説の魔法使い、ホグワーツの創始者、ヘルガ・ハッフルパフの持ち物――あたくしの、遠いご先祖様の!あら、言っていなかったかしらぁ?オホホ』

リドル『それはそれは……初耳です』


ハニー「嘘ね」

ダンブルドア「あれなんでわしこんな分かりやすい奴の本性暴けなかったんじゃっけ」


ヘプシバ『これにどんな秘められた力の数々があるのか!もったいなくて試したことはないわ、こうして大事にしまっておくだけで』

リドル『それはそれは……もったいない』

ヘプシバ『「みなしゃんで飲んだあの時のホットミルクが、お酒が、カボチャジュースが、いつでもまた味わえるように」なんて言葉が伝わっているけれどねぇ……きっと最初の部分がおかしいあたり暗号なのかしら』

リドル『……さぁ、どうでしょう』


ハニー「……ヘルガ・ハッフルパフの素だと思うわ」

ダンブルドア「わしも髭とか残しておこうかの」

ハニー「もうルーナにやったでしょ」

482: 2013/12/01(日) 18:50:26.27 ID:ksDyZLMq0
ヘプシバ『さぁ、しまってしまいましょう。トム、もっといいものがあるのよ?こっちに、さぁ?』

リドル『……』


ハニー「……渋々、と言った感じね。ご婦人は、表情というより顔だけしか見ていないから気づいていないようだけれど」


ヘプシバ『もっと近くにいらして、トム?あなたはこれがもっと気に入ると思うわ』

リドル『……』

ヘプシバ『これが本当に存在すること、そしてそれをあたくしが持っていることを知っているのはあたくしとホキー、それにもちろんバークだわね、彼から買ったんだもの……今日からあなたもその一人よ、トム?』

リドル『……金色の、ロケット』


ハニー「!」


リドル『スリザリンの印……マダム、これは』

ヘプシバ『そう! サラザール・スリザリンその人の持ち物よ!あぁ、トム!とっても気に入ったのねぇ!うっとりした顔もステキだわ!』

リドル『それはそれは……』


ハニー「聞いちゃいないわね……あなたの汚れた手でサラザールの大事なロケットを触らないで」

ダンブルドア「この後触るどころじゃないことするがのう」

ハニー「益々ぶっ飛ばしたいわ」


ヘプシバ『身ぐるみはがされるほど高かったわ。でも見逃すわけにはいかなかったもの、この家のお宝をいくつも売ってコレクションにくわえたの……バークはどうやら、みすぼらしいみなりの汚い女から買ったそうだけど。ボロ儲けねぇ』

リドル『…………』

ヘプシバ『これを、売るなんて!その女は価値を一つも知らなかったのでしょうね。無知で愚かだわ、バークが雀の涙ほどの金貨しか払わなかったのは当然! このお宝にそんな扱いしかできないなんて、きっとその女は盗っ人に違いないもの』

リドル『………………』

ヘプシバ『そう思うでしょう、トム?』

リドル『……………………えぇ、それはもう』


ハニー「……」

ダンブルドア「……」


ヘプシバ『そうよねぇ……あら?トム、興奮するのは分かるけど鎖を握り締めてはだめよ?それに、オホホ。目の色まで変わって……あ、あら?光の加減かしら……?赤く……オホホ、気のせいねぇ』


ダンブルドア「……ここまでじゃ、ハニー」

ハニー「……あのご婦人は?」

ダンブルドア「二日後に殺された。公式には、屋敷しもべ妖精ホキーが誤って毒を盛ったことで、のう」

483: 2013/12/01(日) 19:07:14.91 ID:ksDyZLMq0
校長室

ハニー「リドル家の時と同じだわ!あいつはまた、人に罪をなすりつけて!」

ダンブルドア「その通りじゃ。魔法省も最初から疑ってかかっておったから、自白されれば何の異論もなくホキーを有罪にした。歳をとって混乱したのじゃろう、と言うてのう」

ハニー「ホキーが……ホキーが、屋敷しもべ妖精だから!?」

ダンブルドア「そうじゃ」

ハニー「彼らはとっても、ドビーだって、私達のためによくしてくれてるのに!あぁ、ハーマイオニーを抱きしめてあげたい!『S.P.E.W』に今ならとっても共感するわ!」

ダンブルドア「明日から会員が数倍増じゃのう。さて、彼女が殺された後、親族の間では彼女の蒐集物の確認がなされた。具体的には、代々受け継がれたお宝の数々、そして件のカップの」

ハニー「……当然だけれど、なくなっていたのよね。カップも……それに、ロケットも」

ダンブルドア「一族がその事実に気づいたのは随分と経ってからじゃった。何せヘプシバはお宝をぬかりなく隠しておったし、その全てを把握しておったホキーは投獄中じゃ。奴は周到じゃからのう、それも見越してホキーを犯人にしたてたのじゃろう」

ハニー「……じゃぁ、あの屋敷に頻繁に出入りしていた人間が怪しい、と思う頃には」

ダンブルドア「トム・リドルはボージン・アンド・バンクスから姿を消しておった。誰にも消息がつかめず、その時を最後に長い間、奴は人目に触れる事がなくなったのじゃ」

ハニー「……どうせ恥ずかしい連中と一緒だったんでしょうけれど」

ダンブルドア「そうじゃのう、ふんぞり返っておったことじゃろう。さて、ハニー。今回の記憶で奴の性根の一端が分かったじゃろう。孤児院の頃から何も成長しておらぬ、人の宝物を手に入れるという物への執着が」

ハニー「まともじゃないわ」

ダンブルドア「わしや君にとってはのう。しかし奴にとっては違ったのじゃ」

ハニー「……サラザールのロケットを奪いたがる理屈は、まだ分かるわ。でもどうして、ハッフルパフのカップまで」

ダンブルドア「ホグワーツの創設者に連なる物の魅力、この学校に未だ強く惹かれておったあ奴には効し難かったのじゃろう。もう一つの理由は、追々説明しようかの」

ハニー「まだこの私に隠し事があるというわけ、この豚」

ダンブルドア「何事も順序じゃて、順序。ヒンヒン!」

487: 2013/12/01(日) 21:10:17.78 ID:ksDyZLMq0
ダンブルドア「さて、ハニー。今宵見せる記憶の二つ目、そしてこれが、わしが用意した君への授業、最後の記憶じゃ」

ハニー「……」

ダンブルドア「ホラスのあれを除いてじゃけど」

ハニー「絶対手に入れるから待ってなさいって言ってるのしつこいわよ」

ダンブルドア「期待しようかのう。この記憶は、ホキーの記憶から十年の月日が流れておる。その間、ヴォルデモート卿が何をしておったのかは、想像するしかない」

ハニー「……したくもないわ」

ダンブルドア「おぉ、そうじゃの。あの面を拝めば益々その感想を強くすることじゃろうて。さて、行くとしようぞ」

ハニー「今度は、誰の記憶なのかしら」

ダンブルドア「わしじゃよ」

ハニー「初めて正しくまともにその台詞が使われた気がするわ」

ポチャンッ

グルグルグルグル







488: 2013/12/01(日) 21:15:46.42 ID:ksDyZLMq0
ダンブルドアの記憶

ダンブルドア「ようこそハニー、わしの記憶へ」

ハニー「えぇ、お邪魔してあげ――」


ダンブルドア『ようこそ』


ハニー「……うるさいわ」

ダンブルドア「おぉ、どうしたねハニー。再三言うておることじゃが、これは記憶の中のわしじゃから何を語りかけても無駄じゃよ。のう?」


ダンブルドア『まったくのう』


ハニー「……」

ダンブルドア「ホッホッホ、この頃は独り言がひどくてのう、いや全く」

ハニー「何も言わないわ、もう。 そうね、今より若い頃のあなただわ……この部屋を見るに、校長になった後のことらしいけれど」

ダンブルドア「若々しいのう。特に右腕なんて。みて今のわしの右腕、しわくちゃじゃぁ。歳はとりたくないものじゃなぁ」

ハニー「老化が原因だったらとんでもないわよそれいい加減に教えなさいよ」


コンコンッ


ダンブルドア『……入りなさい』


ハニー「……入っておるよ、じゃないのね」

ダンブルドア「ハニー、君に向けてよい台詞ではないが、今割りと真面目な場面じゃよ?わかっとる?」

ハニー「分かりすぎてるわよ、うるさいわねこの豚」

ダンブルドア「ヒンヒン!」

490: 2013/12/01(日) 21:27:27.09 ID:ksDyZLMq0
ギィィィィィッ

ダンブルドア『こんばんは、トム』

ペコッ

リドル『……おひさしぶりです 先生』

ペコッ

ハニー「あぁ、やっぱりあいつ……キャッ、っ、ゴホン。なに、かしら今の声。えーっと、赤豚が鳴いたのかしらね?」

ダンブルドア「そうじゃのうハニー。記憶の中のフォークスはまどろんでおるが、奴の気配に声をあげたのかもしれぬ、うむ……この、溶けた蝋を無理やり固めたような輪郭は、凡そあのハンサムな若者のそれではないからのう」

ハニー「……白目の部分が全部、血走ってるわ。今みたいに縦に切れた瞳孔では、ないけれど……」

ダンブルドア「十年間、何をしていたのか、は。君の言ったとおり、想像したくないのう」


ダンブルドア『掛けなさい。短く済む話ではないじゃろう』

リドル『ありがとうございます』

ダンブルドア『ふむ……少し、変わったのう?トム』

リドル『それはそうでしょう わたくしは、卒業してから――』

ダンブルドア『痩せた?』

リドル『――まぁ、それも多少』

ダンブルドア『やはりのう、それに色も随分と白い。ちゃんと食べておるかね?うん?』

リドル『……ダンブルドア、今日は世間話をしにきたのではありません』


ハニー「真面目なのは一瞬なのね、あなた」

ダンブルドア「よく言われるよ、なぜかのう」

494: 2013/12/01(日) 21:58:09.81 ID:ksDyZLMq0
リドル『あなたが校長になった、と聞きました 素晴らしい人選です』

ダンブルドア『君が賛成してくれて嬉しい。それで、トム。どんな用件で訪ねてくださったのかな?』

リドル『――わたくしは、もう『トム』とは呼ばれていません このごろは』

ダンブルドア『君が何と呼ばれておるかは知っておる。いや、呼ばせておるか、かものう』

リドル『では――』

ダンブルドア『しかし、わしにとっては君はずっとトム・リドルなのじゃよ。イライラするかもしれぬが、年寄りにありがちなこととして我慢してくれんじゃろうか。のう、「トム」』

リドル『……』


ハニー「……会話の主導権は渡さない、そういうわけ?」

ダンブルドア「いや普通に調子のっててイラっときたから」

ハニー「…………正直な豚は好きよ」


リドル『あなたがこれほどここに留まって居ることに、驚いています』

ダンブルドア『ふむ?』

リドル『あなたほど偉大な、魔法使いが なぜ教師に甘んじ、この学校を去りたいと思わないのか いつも不思議に思っていました』

ダンブルドア『左様、わしのような魔法使いにとって一番大切なことはのう、トム。若い才能を磨く手助けをすることなのじゃ。君もかつて、教えることに惹かれたことがあったはずじゃ、と記憶しておるが……?』

リドル『もちろん そして今でも、そうです ただ、魔法省大臣に二度も誘われたというあなたがどうして、と』

ダブルドア『実は三度じゃ。しかし一生の仕事として、魔法省に惹かれたことはない。おぉ、君とわしの共通点じゃのう、トム?』

リドル『……そのようです』

ダンブルドア『ほっほっほ。昔はもちーと、愛想笑いが出来たように思うがのう』

495: 2013/12/01(日) 22:19:35.76 ID:ksDyZLMq0
リドル『……そうです わたくしは戻ってきました 教えるため、教師になるために』

ダンブルドア『本題、というわけかな』

リドル『えぇ ディペット校長が期待していたよりも遅れたかもしれませんが』

 肖像画ディペット『いやいやウエルカム!』

ダンブルドア『ディペットちょっと黙っとって』

リドル『それでも戻ってきたことに変わりはありません ここで、あなたの下で教えさせていただきたいとお願いに参ったのです』

ダンブルドア『ふむ』

リドル『あなたならば当然、ご存知でしょう わたくしがこの城から去った後 多くの事を見聞し、そして成し遂げたことの多くを わたくしは生徒達に、他の魔法使いからは得られないものを教えられるでしょう』

ダンブルドア『いかにも、トム。わしは幸いなことに、君の数々の所業を風の頼りで得られるだけの情報網は持っておる。しかしその全てが、信じたくもないものばかりじゃ」

リドル『――偉大さは妬みを招き、妬みは恨みを、恨みは嘘を招く あなたも偉大な魔法使いだ このことは分かっているはずでは?』

ダンブルドア『君は自分のやってきたことを「偉大だ」と称するのかね』

リドル『無論です わたくしは魔法の限界を 可能性の境界線を広げてきた 数々の実験と実践をもって』

ダンブルドア『ある種の魔法、と言うべきじゃろう』

リドル『えぇ、ですがそれこそ 魔法使いの真の力です』

ダンブルドア『そう、君が信じておることは分かる。じゃが君は、失礼な物言いになるが、それ以外は全くの無知じゃ。嘆かわしいまでに』

リドル『……ハハハッ』

ダンブルドア『おぉ、トム。どうやら、本心で笑えたのう?どうしたね』

リドル『古臭い議論だ もう聞き飽きた また、「愛」ですか? 先生』

ダンブルドア『そうじゃ、トム。「愛」じゃよ』

リドル『残念ながら、わたくしが自分の足で見てきた世の中に わたくし流の真の魔法よりもあなたの説く有名な、愛の方が強い、などという見解を支持する者は皆無でした それでも?』

ダンブルドア『随分と狭い世界を覗いていたのじゃな、と言わせてもらおう』

リドル『……ご自分こそこちらの世界を知らないのに――』

ダンブルドア『おっと、トム。言うておく。「使わない」ことは、「知らない」のと同意ではない』

リドル『……』

497: 2013/12/01(日) 22:32:36.97 ID:ksDyZLMq0
リドル『では、わたくしに試させてもらえませんか?』

ダンブルドア『ふむ?』

リドル『そこまで言うのならば、この場を覗いてわたくしの新しい研究を始めるにふさわしい場所があるでしょうか』

ダンブルドア『……』

リドル『わたくしの知識をあなたの生徒たちに与えてみましょう わたくし自信とその才能をあなたにゆだねます あなたの指揮に従いましょう どうです?』

ダンブルドア『おぉう、トムよ。そうなると君が指揮しておる者達はどうなるね?わしはその者たちまで迎えるつもりはないが?自ら名乗って、と噂されておる――「氏喰い人」とかいう集団は?』

リドル『!! 何故 その名を――』

ダンブルドア『言うたじゃろ、情報網はある、と……それにしても』

リドル『……』

ダンブルドア『……氏喰い人<デスイーター>(笑)』

リドル『…………何のことかは存じませんが 洒落て居るとは思いますが』

ダンブルドア『洒落ならよかったのじゃがのう。しかし、この自称氏を喰らう者(笑)たちが洒落にならん雰囲気でホッグズ・ヘッドにおるというのはいかんのう』

リドル『……』

ダンブルドア『具体的に言うと、ノット、ロジエール、マルシベール、ドロホフと言うような? おぉ、トムよ。随分と献身的な友人を持ったのじゃな?君が教職を求めるため「だけ」にこの寒空の旅を付き合おうとは』

リドル『……相変わらず、博識ですね ダンブルドア「先生」』

ダンブルドア『よく言われるのう』

499: 2013/12/01(日) 22:54:48.96 ID:ksDyZLMq0
ダンブルドア『さて、トム。率直に話そうぞ。君が望んでもおらぬ仕事を求めるために、腹心の部下を引き連れて再びこの地に現れたのは、なぜかね?』

リドル『なぜ、とは? 言ったはずです わたくしは教えるため――』

ダンブルドア『あぁ、そうじゃな。そして君はまさかこのわしが、君を受け入れるはずがないと確信しておったはずじゃ。君は無知で、愚か者で、どこまでも孤児院にいた頃と変わらぬクソ生意気なガキんちょじゃが、馬鹿ではない』

リドル『……この』

ダンブルドア『ここに何をしに来た、トム』

リドル『……どうしても、わたくしにその仕事をくれるつもりはない、と』

ダンブルドア『君に教えさせるくらいなら顔だけで頭からっぽな似非イケメン野郎を生徒の反面教師となるよう招いた方がマシじゃ』

リドル『……それが最後の言葉なのか』

ダンブルドア『そうじゃ』

リドル『なら これ以上は何も 言葉はいらないな』

ダンブルドア『そのようじゃな、トム。そう、君の洋箪笥を燃やして怖がらせたりすることで、君の罪を償わさせることが出来た時代はとうに過ぎてしまったのじゃ……できるならば、そうしてやりたいが』

リドル『やってみろ 今度燃えるのは お前のほうだ』

ツカッツカッツカッ

ギィィィィッ、バタンッ

503: 2013/12/01(日) 23:15:52.32 ID:ksDyZLMq0
ハニー「……これ以来、あいつは魔法界の表舞台に出てきたのね」

ダンブルドア「本格的に血の浄化、マグル排除に乗り出すまでは猫かぶっておったがのう。そうじゃ」

ハニー「あなたは、他の人たちよりは随分と情報を握っていたようだけれど?」

ダンブルドア「ならず者や、ちょっと規則破りをしたい生徒が集まるパブと言えばホッグズ・ヘッドじゃが、あそこのバーテンとは知り合いでのう」

ハニー「仲良しなのね?」

ダンブルドア「……そう聞かれると、否じゃが」

ハニー「? とにかく、あいつは戻ってきた……でもほんと、どういう神経をしているの?あなたが校長なのに、教師になれるわけないじゃない。そうでしょ?」

ダンブルドア「その通りじゃ」

ハニー「……あなたも聞いていたけれど、何が目的だったわけ?」

ダンブルドア「今はまだ、推測に過ぎぬ」

ハニー「回りくどいのは嫌いよ」

ダンブルドア「ほっほ、ハニー。さっきも言うたじゃろ、順序じゃ、順序。その全ては、これまたさっきも言うたが――ホラスの記憶に、かかっておる」

ハニー「……」

ダンブルドア「さぁハニー、今日はもうお帰り。明日からの知恵を振り絞る毎日に向け、安まねばならんじゃろう?」

ハニー「振り絞らなくたって、やってみせるんだから。えぇ、おやすみ……ねぇ、一つだけいいかしら」

ダンブルドア「君ならばいくらでも?」

ハニー「出来る豚ね。でもいいわ……あいつは、あの時も『闇の魔術に対する防衛術』を教えたがっていたの?教科については、何も言っていなかったけれど」

ダンブルドア「おぉ、そうじゃな。無論、『闇の魔術に対する防衛術』じゃったじゃろう……何せ」

ハニー「えぇ」

ダンブルドア「あの会合以降、この学校には一年を越えてその職に留まった者は一人も、おらぬのじゃから」

ハニー「……クィリナスは」

ダンブルドア「ずーっとマグル学教師だったのじゃが、休暇で旅に出た後『ま、ままマグルが怖いですぅ!か、かか、変りに、闇の魔術から身を守る術を教えさせてくださぁい!!』と言い出してのう」

ハニー「……あなたなんとも思わなかったわけ」

ダンブルドア「いや、うん、じゃから、怪しいなーってセブルスに監視させとって、うん。ホントジャヨー」

ハニー「そういうことに、してあげるわ」

533: 2013/12/15(日) 18:49:33.35 ID:/ziE+klf0
日曜夜

談話室

ハニー「……」

ハーマイオニー「……どれだけ真剣な顔でページを眺めてもステキなだけで、スラグホーンから記憶をもらう手がかりがその教科書から見つかることは絶対にないわよ、ハニー」

ハニー「……あら、わからないじゃない?聞き出すのに丁度いい呪文とか、薬のことが書かれているかもしれないわ」

ロン「さすがハニーの持ち物。もとの奴、さては豚だな!五十年前からの!」

ハーマイオニー「時空を超えさせないで。そもそもね、ハニー?ダンブルドアは、あなた『だから』できること、そう言ったんでしょう?」

ハニー「……そうね」

ハーマイオニー「呪いや薬で何とかなるなら、誰だって出来るわ。あなたがするべきなのは――」

ロン「スラッギーじいさんは首が見えないからなぁ」

ハーマイオニー「そういう方向じゃなくて! いいえ、ハニーがそれでいいなら、えぇ、それが一番、そうね。手っ取り早いわくやくて頭が痛いことに」

ハニー「それは、やよ」

ハーマイオニー「そうでしょ?ならやり方を間違えてるわ……あなたもね、ロン。あなた、いつから名前を『ローニル・ワズリブ』に変えたわけ?」

ロン「はぁ?誰だよそれ、どこの豚の骨……うわっ!?ぼ、僕の渾身のレポートの名前欄が!」

ハーマイオニー「書いておいて気づかない時点で身を入れていないことが丸わかりだわ」

534: 2013/12/15(日) 19:03:19.65 ID:/ziE+klf0
ロン「どうなってんだろ……これはあれかな、ハニーっていう女神から夢の中で与えられた洗礼名、いや、豚名?」

ハニー「えぇ、そうね。しっかり励みなさい、ローニル」

ローニル「ヒンヒン!」

ハーマイオニー「謝っておじさまとおばさまに。そういうことじゃないんじゃないかしら……ほら、あなたのレポート、所々に致命的な誤字があるわ」

ローニル「Honeyの綴りがHannyになってたとか?そりゃ屠殺もんだね」

ハーマイオニー「レポートでどうしてハニーの名前を出す必要が――あぁ、あったわね、あなたは。二行に一回」

ローニル「『この手法はまさに僕のハニーくらい完璧な対処法と言える』ってな具合に、ハニーへの賛美の言葉は呼吸するレベルで吐き出すし書き出さなきゃいけないしね、一番の豚として」

ハニー「当然の義務ね、えぇ」

ハーマイオニー「あなたの豚一同落第一直線よそれ……ほら、ここ。『吸魂鬼』が『球根木』になっているし、『卜占』が『木占』になってるわ。どんな羽ペンを使ってるの?」

ローニル「……双子からもらった、綴り修正機能付き、ってやつだ。マーリンの髭! ちょっと待ってくれよ、それじゃ全部書き直し!?ま、マーリンの髭!髭!」

ハーマイオニー「あなたっていつになったら魔法使いになるのかしらね。少しの綴りくらいなら、ほら。呪文で直せるわ。ちょっと待ってて」

ハニー「文字が動いて、正しいつづりに変わっていくわ。ふふっ、ロンが退院してから随分と優しいわね、ハーマイオニー?」

ローニル「あぁ、よかった。まったく……愛してるよハーマイオニー」

ハニー「」

ハーマイオニー「」

ローニル「………!? の、杖!!!」

ハニー「……ロン」

ハーマイオニー「……そう、それならよーくみせてさしあげるわ。そちらも修正しなくちゃいけないようだもの、丁度いいでしょう?」

535: 2013/12/15(日) 19:23:52.55 ID:/ziE+klf0
ロン「ペッペッ!インク壷をぶつけるこたぁないじゃないか!マーリンの髭!」

ハーマイオニー「それで少しでもレポートに身を入れればどうかしらということよ、ローニルさん」

ギャーギャー!


ハニー「……じれったいわ……これでも進展したけれど」

ハニー「いっそのこと、この教科書にそういういい雰囲気を作ったりする呪文や薬が、書かれていないかしら……他人に頼るのは私らしくないけれど、この本は特別ね」

ハニー「……ないわ。プリンスは、そういった方面には疎かったのかしらね」

ハニー「代わりに……随分あらあらしく殴り書きされた呪いをみつけたわ」

ハニー「……『敵に対して使え! 「セクタムセンプラ!」』」

ハニー「ふぅん? この私に敵なんていないけれど、覚えておき――」

バチンッ! バチンッ!!

ハニー「きゃぁ!?」

ロン「うわっ!」

ハーマイオニー「きゃっ!」


ドビー「ハニー・ポッター!ドビーめは仰せの通りハニー・ポッターへ定期的な報告に……これは一番豚様!ハニー・ポッターのみならず両手に花で抱きかかえておいでとは!」

ロン「あ、な、なんだ君かよドビー、それにクリーチャー。いやこれはさ、ハニーを不測の事態から身をだして守るのは僕のあれだし、それに、あー、ハーマイオニーは、ほら……マーリンの、ほらね?」

クリーチャー「もげればいいのに」

537: 2013/12/15(日) 19:39:18.14 ID:/ziE+klf0
ハーマイオニー「あー、どうして、ドビーとクリーチャーが?報告?えーっと、あなたたちのあの集まりの件とか、そういうことなの?ローニル?」

ロン「それやめろよ。えぇっと、うん。そうじゃないんだ、あー」

クリーチャー「もげあがればいいのに」

ハニー「そう言うのはやめなさい。そうね、ハーマイオニーには言ってなかったわ……えーっと」

ドビー「ドビーとクリーチャーは、ハニー・ポッターからあのフォイを監視するよう頼まれていたのです!」

クリーチャー「昼も夜も、休まずに」

ハーマイオニー「……ハニー?」

ハニー「……えっと」

ドビー「ドビーは一週間寝ておりません、ハニー・ポッター!」

クリーチャー「あの一等星クズもここまでの仕打ちはしませんでした。全く新しい女ご主人様は性格まであの方ににておられる」

ハーマイオニー「…………ハニー・ポッター?」

ハニー「……や、やめてよ」

ロン「いい仕事したぜ君たち、しおらしいハニーは久しぶりで……」

ハニー「ロン」

ロン「ヒンヒン!なんだいハニー!」

ハニー「向こう一週間、ちょっと眠らずにハーマイオニーのことを考えてみればどうかしら」

539: 2013/12/15(日) 19:50:58.10 ID:/ziE+klf0
ハーマイオニー「奴隷労働!よ!まったく!!まったく!!!」

ハニー「ごめんなさい、ってば……ど、ドビー?それにクリーチャーも。眠らずにやれとまでは言っていないわ。少しは休みなさい、いいわね?」

ドビー「承知しましたハニー・ポッタぐーっ、ぐーっ、Zzz……」

ハーマイオニー「ほら!!こんなに無理させていたのよ!?」

ロン「いやこれは豚としてハニーの提案に答えたまでだけどね……一週間かぁ」

クリーチャー「我々を豚と表現する始末、まっこと高貴さとはかけ離れた思考で」

ハニー「残念だけれどあなたは豚じゃないわよ。それに、なぁに?高貴?呼んだかしら」

ロン「ハニー・リリー・フローレンス・高貴・可憐・儚げ・伝説的・道徳的・家庭的・模範的・ポッターさぁん!」

ハニー「ハァイ?」

ロン「ヒンヒン!」

ハーマイオニー「……ダンブルドアも真っ青ね」

541: 2013/12/15(日) 20:05:26.24 ID:/ziE+klf0
ハニー「それで、ドビー?クリーチャー?マルフォイの方は、どうだったのかしら」

ハーマイオニー「屋敷しもべ妖精への奴隷労働に気を取られていたけど、ハニーったらまたマルフォイのことで何か動いていたのね……」

ロン「マルフォイのくせにハニーの思考に居座るなんて贅沢だよな、マぁいいじゃないか、すきにやらせルフォイ」

ハーマイオニー「あなたほんと医務室行った方がいいわよそろそろ」

クリーチャー「マルフォイ様は純血に相応しい振る舞いをなさいます。あれこそ、高貴な者の行いです」

ロン「マジかよそれじゃ僕一生平庶民でいいや」

クリーチャー「心配しなくてもそうだが」

ロン「わぁぶっとばしたいいい加減にしろよお前」

クリーチャー「マルフォイ様の顔立ちはクリーチャーのかつての女ご主人様を思いださせ、その立ち居振る舞いはまさしくブラック家の真の」

ハニー「あなたのマルフォイへの愛の告白はどうだっていいわ。あいつは、どこを出歩いているの?」

クリーチャー「……マルフォイ様は起床されるとすぐにご学友の二人をゆり起こし、ご自分の着替えの後に、ローブを上下さかさまに着ようとするご学友を」

ハニー「そこも、どうでもいいわ……聞きたくないわそれは」

543: 2013/12/15(日) 20:18:29.78 ID:/ziE+klf0
ロン「このままだとこいつ、『マルフォイ坊ちゃまのマル秘私生活録だフォイ!』をおっぱじめっちまうぜ……へい同胞、君が報告しろよ」

ハニー「そうね、その方がよさそうだわ。ドビー?あいつは、どこかいくべきではない所へ行かなかった?」

ドビー「あのフォイは、色んな生徒と一緒に出歩いているようにおもいます!ハニー・ポッター!」

ハーマイオニー「そういえば以前、見たことのない女生徒と一緒だったわね」

ハニー「この間も、二人も引き連れていたわ」

ロン「マルフォイのくせに!マーリンの髭!」

クリーチャー「もげロン」

ロン「うるさいな!なんなんだよお前はさっきから!」

ドビー「とくに、八階に行っているようにおもいます。そこで、他の生徒達に見張らせて、自分は――」

ハニー「……! 『必要の部屋』!!あぁ、あいつ……あいつの企みは、あそこで進んでたのね!」

ロン「……ハーマイオニー、なんかそろそろ現実味帯びてきたんだけど」

ハーマイオニー「……ひょっとしたら、ひょっとして」

ハニー「だから言ったじゃない、この私が! そうよ、あの部屋は、パパとリーマスとあの鼠、それに、シリウスが作った地図でも!」

ロン「奴さんは一まとめにしないあたり特別なんだよね名前をあげるものわかっていたい!ありがとう!」

ハニー「『部屋を出現させた人が必要だと想えば』地図に映ることがないんだわ……ドビー?私の豚?そうね、まずはほめてあげなきゃ」フーッ

ドビー「うひゃぁありがとうございます!ヒンヒン!ヒン!」

ロン「蹴られるのもたまにはいいもんだぜ、同胞」

ハーマイオニー「……ねぇ、あなた本当にマゾじゃないの?」

544: 2013/12/15(日) 20:37:55.96 ID:/ziE+klf0
ハニー「ドビー、そこまで突き止めたのなら……マルフォイがあの部屋で何をしているのか、も?」

ドビー「申し訳ありません、ハニー・ポッター。それは不可能なのです……あの部屋には、部屋を望んだ者とその部屋が何の目的で開かれたのかを知る者しか、入れません」

ハニー「……マルフォイは、去年……」

ハーマイオニー「あれはお馬鹿なマリエッタがペラペラと喋ってくれたおかげで、あの部屋がDAの集会所になってるとバレていたから、よ。ハニー」

ハニー「……マルフォイが何かを企んでる部屋、って、望んだらどうかしら?」

ロン「君が望んだら僕ならなーんだって用意するんだけどなぁ、あぁ」

ハニー「……なんとか、するわ。しなくちゃ。ドビー、本当にありがとう。かえって休みなさい?」

ドビー「とんでもございません、ハニー・ポッター!おやすみなさいませ!」

ハーマイオニー「あなたもね、クリーチャー。お疲れ様!」

クリーチャー「穢れた血がクリーチャーに話しかけるな」

ロン「お前こそ二度とその口が開かないようにしてやろうかこの野郎!!!!」

バチンッ!バチンッ!

ロン「あぁ、逃げやがった!マーリンの髭!髭!あいつ!今度あったらただじゃ!」


ハーマイオニー「……思えばいつもロンってこうやって怒ってくれるわね。一年生の、時から」

ハニー「あらハーマイオニー。一週間と言わず夜眠れないのは、あなたもなのかしら」

ハーマイオニー「……ニヤニヤしないで!」

546: 2013/12/15(日) 20:58:42.52 ID:/ziE+klf0
ハニー「これで、はっきりしたわ。マルフォイはお供を引き連れて、『必要の部屋』で何かしてる」

ロン「ヒンヒン!あぁハニー!君の推理はいつだって正しいよね!知ってた!」

ハニー「その通りよ、えぇ。とうとう追い詰めてやったわ」

ハーマイオニー「でも、色んな生徒と一緒に、っていうのはどういうことかしら……えーっと、マルフォイがそこまで大勢の人間を信用して、そのなんだか企てに関わらせるとおもう?」

ハニー「……それも、そうだわ。あのクリスマスの晩に聞いた限りじゃ、マルフォイにはそう多くの助けはないようだったもの」

ロン「あんなのに付き合うのは、せいぜいがあの腰巾着二人だよな。君を支えるのは豚一同総員だけどさ、もちのロンで」

ハニー「えぇ、そうね。天井知らずに増えて……二人!そうよ、いつも……それでここのところ、別行動を!」

ロン「?」

ハーマイオニー「ハニー?」

ハニー「そう、そうだわ!辻褄があうじゃない!スリザリン寮のすぐ近く!魔法薬の貯蔵桶には、スラグホーンが学期の初めに煎じたポリジュース薬が残されてる!材料なんてものじゃない、薬そのものが!」

ロン「……うーわぁ。マルフォイの奴、自分の取り巻きを女の子に変身させてたのかよ。おっどろきー」

ハーマイオニー「……ラベンダーとパーバティには聞かせたくないわね」

バタンッ!

ラベンダー「邪道よ!」

パーバティ「悪いけどそういうニーズにはこたえられないわ!!」

ハーマイオニー「答えなくていいから引っ込んで頂戴悪かったから」

548: 2013/12/15(日) 21:18:48.94 ID:/ziE+klf0
ロン「……あぁ、びっくりした。心臓が止まるかとおもった。マーリンの髭」

ハニー「えぇ、そうね。ロンがこわばって座り心地が悪くなるのは嫌だもの、ラベンダーには急に現れないでほしいところだわ」

ハーマイオニー「色んな意味でね、えぇ……ハニーがあの『姿くらまし』の初回の授業で聞いたクラッブ、ゴイルの不満っていうのも、きっとその変身させられてることについてだったんだわ」

ロン「女の子になれて不満だなんて、贅沢な奴らだよなぁ」

ハーマイオニー「あなたのその思考回路は不憫だけどね……」

ハニー「それでも、やめられることは出来なかったんだわ。だって、マルフォイが腕にある『闇の印』をみせて、脅したに違いないもの!」

ハーマイオニー「……それは、確定ではないわ、ハニー」

ロン「そろそろ苦しくなってきたよな、否定するのも」

ハーマイオニー「でも、うぅん……でも、そうだわ!ハニー、ほら、あなたはもっと他に目を向けるべきことがあるじゃない?」

ハニー「なぁに?あなたとロンのこととか?秒読みじゃない」

ロン「あ!あそこにあるのなんだろう!マーリンの髭かな!」

ハーマイオニー「なんのことかしら!おほん! あのね、ハニー?二兎追う者は一兎も得ず、という言葉はわかるでしょう?あなたはとにかくマルフォイのことよりもまず、ダンブルドアとの約束……きゃぁ!?」

ハニー「平気よ、ハーマイオニー。この私にかかれば二兎どころか、おまけに豚だってたくさんついてくるわ。そうね、加えてかわいいカワウソなんて、どうかしら……?」

ハーマイオニー「ちょっ、ハニー、それは、今の談話室には、私達しかその、だめ、あぁ、そんな、獲物を狙う、バジリスクみたいな視線じゃ、動けなく、なるわ……」

ロン「真上でつづけて!どうぞ!やったね!」

567: 2013/12/22(日) 21:52:23.57 ID:XojsJxj90
数日後

八階の廊下

ハニー「……私はマルフォイがここで何をしているのか知る必要がある、私はマルフォイがここで何をしているのか知る必要が――」

ハニー「……必要な事を考えながら、この壁の前を三度通って、と」

ハニー「さぁ、どうかしら。この私のお願いなわけだけれど」

ハニー「……」

ハニー「元の壁のまま」

ハニー「へぇ? この私を無視だなんて、いい度胸しているわ。そうね、望みが間違っていた、そういうこと?」

ハニー「……マルフォイが何度もやってくる場所になりなさい、マルフォイが――」

ハニー「さぁ、これで……」

ハニー「……駄目ね」

ハニー「それじゃ、今度は……そうね、ここのところ一番フォイフォイ鳴っている場所、なんてどうかしら?」

ハニー「どうおもう、ロン?」

ロン「ゼェ、ゼェ、ゼェ、うん、はに、ゼェ、君って最高だよな!もちの、ゼェ、僕で!」

ハニー「違いないわ。さぁ、ロン。空き時間が惜しいもの、急いで」

ロン「ヒンヒン!あぁハニー!君のためなら僕ぁ廊下の端から端まで何千往復だってしてみせるよ!あぁ!」



シェーマス「ロンのやつ、午前の空き時間ずーーーーーーーっとあそこをダッシュしてるぜ。ハニー背負って。羨まヒン」

ディーン「幸せな重みだよな。一番豚の特権ってやつかぁ」

ネビル「……で、でもあの汗の量はそろそろまずいと、おも、ろ、ローーーーーン!!!」

570: 2013/12/22(日) 22:04:04.56 ID:XojsJxj90
地下教室

ハニー「たくさん試してみたけれど、必要の部屋は変化しなかったわ……何様なのかしら」

ロン「豚じゃないことは確かだよな、あぁ。あぁハニー!僕ら豚は君にとっての必要の家畜だよ!ヒンヒン!」

ハニー「えぇ、そうね。いつだって私の望みどおりでいなさい? 次は、スネイプの授業ね……あぁ、丁度教室が開いたところみたいで……」


スネイプ「ポッター、またまた遅刻とは随分とお偉いつもりのようですなぁ?鼻持ちならないどこぞのレンズとフレームを思い出させる行いに十点減点」

ハニー「まだ始業のベルも鳴っていないのに絶好調のようね『先生』」

スネイプ「何度言えば分かるのだ教授を睨むな十五点減点。ウィーズリー、貴様もだ」

ロン「おいおいとばっちりはネビルの特権だぜ。マーリンの髭」

ネビル「ローン!マダム・ポンフリーから脱水に効く薬……あれ?すっかり元通りだ!豚ってすごいや!」

ロン「あぁ、なんてったってハニーっていうだけで生まれ変わる気分になれるからな」

スネイプ「ロングボトム、罰則」

ネビル「わぁ!やっぱり!!」



ハーマイオニー「……ちょっと離れた所から見ていると、本当、改めて頭抱えたくなることばかり話してるわね、あの周り」

572: 2013/12/22(日) 22:23:31.75 ID:XojsJxj90
ハニー「ハァイ、ハーマイオニー。朝食ぶり」

ハーマイオニー「えぇ、ハニー。朝刊でマンダンガスが捕まった記事を読んで、喜んでいいのか悪いのか判断に困っていたようだけど、絶好調のようね」

ロン「『亡者』のふりして押し込み強盗しようとした、なんてさぁ。あいつも随分つまらなくなったよなぁ」

ハニー「……シリウスのお家の、つまりはわ、私の家から盗みをしたことは許せないけれど。あれも一応、元私の豚だもの」

ロン「今度会った時は全身全霊土下座のレクチャーしとこう」

ハーマイオニー「アズカバンをふらっと立ち寄れるパブみたいに言わないで」

ハニー「馴染みの人なら二人ほどいるけれどね、元気な豚と私のファンが」

ハーマイオニー「それも頭が痛くなるからやめて」


スネイプ「私語は慎みたまえ。今日の授業だが……なんだね、フィネガン」


シェーマス「はい、先生。今朝の新聞で読んだんですが……『亡者』と『ゴースト』はどう違うのですか?」


スネイプ「グリフィンドールは、なるほど?簡単な文字さえ拾うことが出来ないと見える。『予言者』の記事にあったのは『亡者』でなく薄汚いこそ泥でどこぞの小汚い犬畜生の同類だ」

ハニー「……あなたに比べればいくらか綺麗よ」

ロン「あの面と髪でよく人の外見のこととやかく言えるよな、マーリンの髭」

573: 2013/12/22(日) 22:36:20.52 ID:XojsJxj90
スネイプ「なるほど? お偉い諸君らの飼い主であるポッターは何かこの件に関してご存知のようだ。ポッター、立ちたまえ」

ハニー「……そうしてあげるわ」

スネイプ「こっちを見るな反吐が出る」

ロン「こいつなんで教師やってんだろ」

スネイプ「さて? フィネガンの問いに答えてさしあげたまえ」

ハニー「……」

スネイプ「『亡者』と『ゴースト』、この両者の違いは何か?」

ハニー「『ゴースト』はその魂の痕跡、そう去年ニコラスに聞いたわ。『亡者』は氏者の肉体を魔法で操ったもの、これはダンブルドアから聞いたわね」

スネイプ「……」

ハニー「どちらも私のかわいい豚からの受け売りだけれど、シェーマス?これで満足かしら?」

シェーマス「ヒンヒン!すっげぇやさすがハニー!」

ロン「あぁ!生徒の質問一つまともに答えられないどこぞのベタベタ髪とは違うよな!」

スネイプ「ウィーズリー、今度は聞こえたぞ。罰則」

ロン「」

ネビル「ウエルカム、とばっちりワールド」

ハーマイオニー「いいえ今のは当然の流れよ、ネビル。罰則って単語に麻痺しないで」

574: 2013/12/22(日) 22:59:50.82 ID:XojsJxj90
放課後

ロン「あーあ、まさかネビルと一緒にアンブリ、もとい、蛙の臓物を繰り抜く作業をさせられるなんてね。マーリンの髭」

ハニー「私の命令以外で働かされるなんて無駄もいいところ、そうでしょう?」

ロン「まったくだよハニー!ヒンヒン! 何も罰則が終わるまで待っててくれなくてもよかったのに、やっぱり君って女神だなぁ」

ハニー「ハーマイオニーは別の授業だし、『必要の部屋』は今度はマルフォイがあそこにいる時に試すことにしたもの。あの童O教師がこれ以上私の豚をいびることがないよう見張るのは当然だわ」

ロン「君が退屈でうっつらうっつら船こぎだしたら何故だか奴さんやけにテンションあがって蛙の臓物つめた樽に『あれはなんとかかんとかじゃない!!!』って頭突っ込んでたけどね」

ハニー「全く、挙動不審な人ねいつまでたっても」

ロン「もちのロンさ……うえ、そのときとびちったアンブリ、もとい蛙の臓物がローブの端っこについちまってら!マーリンの髭!ハニーを背負ってるってのに!髭!髭!」

ハニー「触れてはいないけれど、この私の乗る物が綺麗じゃないのは我慢ならないわね?」

ロン「今度から朝三回シャワー浴びよう……ちょっと待ってくれよ、ハニー!えぇっと、どこかに水道……あー」

ハニー「そこの男子トイレでいいじゃない?」

ロン「……あー、君は全く気にしないだろうけどさ。君をそんなとこに連れ込んでるところ見られたら僕今度こそ屠殺判決決定だなぁ」

ハニー「?」

ロン「えぇいままよ!一番豚の特権だこんちくしょう!」

ガチャッ!!!

マートル「 ハ ニ ー を男子トイレに入れるなんて何事よ!!トイレの水くらえ!!!!」

ロン「いや分類上は一応女子な君がいきなりここにいるのもどういうことなんだよってやめろよハニーにかかrさせるかああああうああばばばばばばばばば!!」

バシャアアアアア!


577: 2013/12/22(日) 23:22:16.45 ID:XojsJxj90
ハニー「ハァイ、マートル……あなた、男子トイレまで覗く趣味があったのかしら?」

ロン「スルーされてると思うだろ?僕、今ハニーに髪拭いてもらってるんだぜ。やったね。水おかわり!」

マートル「たまーにね。でも、今日はそんな不埒な目的じゃないわ……ここのところ、って言ったほうがいいけど」

ハニー「? 最近ここを訪れる用事が出来た、ってことかしら」

マートル「えぇ……彼に、会いにくるの。それに、彼も私に会いにきてくれるわ」

ロン「うへぇ……なんだよ、どこもかしこもラブコメかよ。気楽だよなぁまったく!」

ハニー「ロン、鏡ならそこよ」

マートル「また来てくれる、って言ったもの……もっとも、あなたも私にそう言ったけど」

ハニー「……それは、悪かったわ」

マートル「いいのよ、気づいたわ。私には今彼がいるもの……彼と私、とっても共通点があるの。あぁ、そういう意味じゃあなたとも少し似てるかも?」

ハニー「私っていう存在は唯一無双よ」

ロン「そうだぞ失敬な! マートルと似てる?そんじゃ、そいつもS字パイプのあたりに住んでるのかい?」

マートル「違うわ!つまり、その人は繊細で、みんなにいじめられて……」

ハニー「……」

ロン「それこそなんの冗談だよ。ハニーは皆に愛されてるぜまったく。昔の事なんて知らないね、そんなの僕の同胞が日夜贖罪してるんだから、つっつくのも野暮ってもんさ」

ハニー「…………あなたってどこまで」

ロン「ヒンヒン!僕ぁどこまでも君の一番の豚さ!」

マートル「……彼は孤独だわ!えぇ、支えてくれる人もいないし、誰も話す相手がいないの!人語を!いつも頭をかかえて、ここで泣くのよ!」

ロン「ヒン語なら教えるぜ?人前でピーピー泣くって、そいつ、まだ小さい奴なのか?ヒンヒン鳴く方に変えてやるよ」

マートル「気にしないで!私、彼の秘密は誰にも話さないって約束したのよ!この秘密は――」

ロン「墓場までもっていく、じゃないよな?えーっと……下水まで、とか?ハハハ!」

マートル「お望み通りおかわりくらいなさいよ!!!!!」バシャァアアアアアアア!!!

ロン「まーひgああああああやめろよハニー以外が僕に折檻するなよマー髭!髭!!!!!!」

578: 2013/12/22(日) 23:40:56.10 ID:XojsJxj90
ロン「マートルのボーイフレンドなんて、どんな奴だろうなぁ」

ハニー「少し気弱な子のようだけれど、悪い人じゃなさそうだわ」

ロン「まぁ君に似てるとなりゃそうかもね、無条件で」

ハニー「彼女にとっても氏後の楽しみが増えるのはいいことだわ。覗きより、よっぽどね」

ロン「ハニー見てればいつだって楽しすぎて昇天するレベルだってのに面倒な奴だなぁ……さってと、そろそろ行こうかハニー!ハーマイオニーも待ってるだろうしね」

ハニー「えぇ、そうしましょうか。ふふっ、ロン。それは私に気を使ったのかしら?それとも自分自身が気になるのかしら、ハーマイオニーのこと」

ロン「前者以外ちょっとマーリンの髭が耳につまっててあれしてこれして髭……あー、それにしてもさほら。マートルも、うん。やるよなあ」

ガチャッ

ロン「気のある相手をトイレに連れ込んで、泣かせるなんてさぁ」




ハーマイオニー「へぇ?」

ロン「ワーオ、ハーマイはどこだろう。魂の痕跡すらないや!」

587: 2013/12/29(日) 15:52:59.86 ID:n1Wh2ggC0
四月終わり

ハニー「……うまくいかないわ」

ロン「あー、そうだねハニー!僕の今日の『姿くらまし』試験はてんでうまくいきそうにないや!うーん、どこへ、どうしても、どういう意図で……」

ハーマイオニー「初回の授業で成功させたのはなんだったのかしらね、あなた……ハニー?あなたは七月生まれだから、試験は来年以降のはずだけど……?」

ロン「ハニー相手に年齢制限なんて間違ってるよな、魔法界の法律」

ハニー「えぇ、それはもう不満だらけだけれど。この私が、試験程度で頭を悩ませるわけがないじゃない」

ロン「そんじゃ、世の中の年の差が多すぎるカップルへの偏見とかかなハニーでもさ君がやることならみんななにも痛い!ありがとう!」

ハニー「……あの部屋のことよ。必要の部屋」

ハーマイオニー「……これっきり言わないわ、ハニー。マルフォイのことは忘れなさい」

ロン「そうだよハニー。あんなやつのこと、僕ぁきれいさっぱりあたマから消えてルフォイさ」

ハーマイオニー「潜在意識からも」

ハニー「どうしてあなたたちはそう、強情なのかしらね」

ハーマイオニー「あなたには負けるわ」

ロン「ハーマイオニー、さすがにそれは鏡って知ってる?」

588: 2013/12/29(日) 16:06:15.49 ID:n1Wh2ggC0
ロン「ほらきっとあれだよ、あいつがやってるのはさ。腰ぎんちゃくゴリラどもへの言語教室とか」

ハニー「クラッブやゴイルを見張りにしている、と言ったでしょう?本末転倒だわ」

ハーマイオニー「それもあなたの推測よ」

ハニー「この私の推測なのに?」

ロン「真実かぁ」

ハーマイオニー「堂々巡りだわね、もう。ついでで言うわ、ハニー。スラグホーンの……」

ハニー「わかってる。記憶を手に入れなきゃ、そうでしょ?わかってるの……問題は、スラグホーンは私に話しをする暇もくれない、っていうこと」

ロン「あのじいさんめ、他寮豚が嬉し泣きして有り金全部差し出してでも手に入れたいハニーとの会話の機会を自ら屠るなんて、屠られても文句言えないぜ」

ハーマイオニー「あなたなんでこれまで闇討ちされてないのかしらね……今度の魔法薬の授業は、『姿くらまし』の試験と被ってほとんどの生徒が欠席のはずよ?」

ハニー「すわり心地が悪そうね」

ロン「待っててくれよハニー!今僕が不在でも君に固い椅子なんかに座らせることがないよう、こう、限りなく人体に違いクッション状の何かを『出現』呪文させっちまうから!」

ハーマイオニー「魔法使いとしては次のステージでしょうけど人としてやめて」

ロン「それじゃもう、僕が二人になるしかないじゃないか」

ハーマイオニー「……どうしてかしら、『姿くらまし』がものすごく簡単な呪文なんじゃないかと思えてきたわ」

589: 2013/12/29(日) 16:29:50.33 ID:n1Wh2ggC0
ロメルダ「……ハニー・ポッターさん」

ハニー「あら、ハァイ……ロメルダ」

ロン「ひっ! いきなり現れないでくれよな!君を見ると一瞬自分を殴りたくなっちまうんだから!マーリンの髭!」

ハーマイオニー「そういう部分での自制は働くのにね、あなた……今度は何を差し入れするの?」

ロメルダ「もうあんな真似は二度としません」

ハニー「えぇ、まぁ。そうしてくれると助かるわね。それで?」

ロメルダ「これ、あなたにお手紙を預かりました」

ハニー「……ありがとう。えーっと、あなた、元気?」

ロメルダ「えぇ、すこぶる。それじゃ、また」


ハニー「……行っちゃったわ」

ロン「……僕があれになった件で、マクゴナガルにものすごく怒られたんだよな、彼女」

ハーマイオニー「……何故か猫恐怖症になったのも含めて気になるけど、そっとしてあげましょう」

591: 2013/12/29(日) 16:49:58.23 ID:n1Wh2ggC0
ハーマイオニー「それよりハニー、それ……ダンブルドアからの手紙なんじゃ?」

ハニー「……私が記憶を手に入れるまでは次の授業はしない、って言ったわ」

ロン「あの豚野郎、ハニーとの約束をなんだと思ってるんだ!」

ハーマイオニー「約束を反故にしかけてるのはハニーの方でしょ……経過を確認したいんじゃないかしら」

ハニー「……これで出だしだ『わしじゃよっ』だったら、吼えメールで返信するところだわ」

ロン「ハニーの声で鼓膜がしびれるなんて至福だね、いつだって体の奥底からしびれてるけど……うーん?随分曲がりくねった文字だけどさ、ダンブルドア、もう歳なのかな?」

ハーマイオニー「実際ご高齢でしょうけど……違うわ、これ、ハグリッドの字よ!」

ハニー「……何箇所も何箇所も、インクがにじんで……」

ハーマイオニー「読みにくいわね……えーっと」

ロン「何言ってんのさ。ここの『ヒンヒン』を読めよ」

ハーマイオニー「百歩譲って口頭なら理解しないこともないわ。でも、だから、文面でまでそんな」

ハニー「……アラ、ゴグが?」

ロン「あー、そりゃ、あの森も静かになるなぁ」

ハーマイオニー「話進めないで」

592: 2013/12/29(日) 17:19:18.85 ID:n1Wh2ggC0
ロン「要約すると、『アラゴグが氏んじまった。ハニー、ロン、おめぇさんたちは前にあいつに会ったよな。だからあいつがどんなに特別なやつだったかわかるだろう?ハーマイオニー、お前さんもあいつにあったらきっと気に入るに違いねぇ』」

ロン「あぁ、そりゃ特別さ奴さんは。僕らを食べっちまえ、だなんてお仲間に言ってさ!今でも夢にみるねまったく!ハニーいたおかげでいい悪夢手前の最高の夢だけど!」

ハーマイオニー「それはにじんでない部分を読み取ったのよね?そうなのね?」

ロン「『今日の夕闇が迫るころに、あいつを埋葬してやろうと思っちょる。あいつが好きな時間だったんだ』」

ハニー「優しいハグリッドらしいわね」

ロン「……次のとこまではね。『お前さんたち三人にも立ち会ってもらえりゃ、俺は、うんと嬉しい』」

ハーマイオニー「……警備が百万倍も厳しくなってて、これまで以上に生徒の夜間外出が大問題になる、それを分かってて言ってるのかしら」

ロン「『分かってるけどよぉ、ハーマイオニー。俺ぁ、ひとりじゃ耐え切れねぇ』 君の反応って分かりやすいから、そう返事よこしてるぜ」

ハーマイオニー「用意周到なのはなんなのかしら、あなたたちの必須スキルなのかしら」

ハニー「……」

ハーマイオニー「ハニー、分かってると思うけど!絶対に行ってはだめよ?」

ロン「優しい君が葛藤するのは至極当然だしそんな君が天使で女神なのは自然の摂理だけどさ、こりゃ無茶だよハニー」

ハニー「……えぇ、分かってる。ハグリッドは、一人で埋葬することになるわね」

ロン「ついでに怪物趣味も埋めっちまってくれないもんかなぁ」

ハニー「……どれも可愛いじゃない?」

ロン「ハーマイオニー、ちょっと僕生まれなおして怪物になってくる」

ハーマイオニー「結構一歩手前よ」

ロン「お互い様さ、マーリンの髭」

595: 2013/12/29(日) 17:30:17.22 ID:n1Wh2ggC0
地下牢教室

『魔法薬の授業』

スラグホーン「はっはっは!なんとも寂しい教室だ! 『姿くらまし』の試験のおいてけぼりをくらったのは君たちだけかね?え?」

ハニー「えぇ、先生」

アーニー「はい、先生!それに!ハニーの下にいられるなんて!光栄の極みです!」

ハニー「そうね、アーニー。あなたをこの季節以降に生んでくれたお母様に感謝しなさい?」

アーニー「ヒンヒン!母さんとハニーありがとう!!ヒンヒン!!」

マルフォイ「……フンッ」

スラグホーン「それでは、授業はどうするか!これだけしかいないのだ、何か楽しいことをしようじゃないか?」

ハニー「……先生に何でも質問、なんていうのはどうかしら」

スラグホーン「うん?ハニー?なんだね?先生きこえなかったよごめんねとしだからね。それじゃぁ、今日は大なべを好きに使いなさい!面白いものを見せてくれ!」

ハニー「……やっぱり、聞いてくれそうもないわ」

マルフォイ「……チッ」

アーニー「ハニーの下ならなんでも作れそうな気がする!ハッ!ロン悲願の性転換の薬まで!!!」


スラグホーン「あー、そうだ。そうだった。好きに使っても良い、とは言ったがね。諸君?お願いだから、チョコレートフォンデュを始めるのはやめてくれよ?あぁ、彼は魔法薬が不得意というか、不真面目だったなぁ……大真面目に」

ハニー「……どこのリーマスのことかは聞かないわ、先生」

603: 2013/12/29(日) 17:47:02.07 ID:n1Wh2ggC0
グツグツグツグツ

スラグホーン「いやぁ彼ときたらどこから仕入れたのか砂糖を毎回一袋持ち込むわ、バニラ・エッセンスの香りを部屋中に立ちこめさせるわ、かと思えば薬草的に甘い薬のときは完璧完全に仕上げるわでもう……」

ハニー「リーマスはまともな人、っていうハーマイオニーの最後の砦が崩壊してしまうからあまり話さないであげてほしいわ」

スラグホーン「眼鏡と付き合っていたんだ、彼もまとも違うよ、うん」

ハニー「いくら先生と言えども大なべにつっこませるわよ」

スラグホーン「その眼はやめてくれ思い出して夢に出る。さぁ、さぁ!みんな完成したかな?あー、君はどうだね?」

マルフォイ「……まぁ」

スラグホーン「『しゃっくり咳薬』かね?ふーむ」

マルフォイ「……」

スラグホーン「まぁまぁ、と言ったところか。しかし、ふーむ?ミスター・マルフォイ?これを使って何をしたいのかね?」

マルフォイ「……とくになにも」

スラグホーン「いかんねぇ、いかん。魔法薬は繊細な作業を伴う。そこに画くとした目的意識が欠けていては、集中しきれないのも当然。この状態では、そうだな。『しゃっくり咳』どころか『ものすごく悠長に喋るようになってくれる』効果くらいだろう」

マルフォイ「今芽生えました目的意識」

スラグホーン「そ、そうかね? あー、君はどうだね?」

アーニー「はい!僕は六代までさかのぼれる魔法族家系でハニーの豚です!」

スラグホーン「そうか、うん。薬の方は豚のえさよりひどい出来のようだが……いや、これは煽りでなく、本当にひどいにおいだよ、うん」

アーニー「ろ、ロンなら食べられますよ、たぶん」

ハニー「私以外がロンに無茶なフリをしないで頂戴」

スラグホーン「それで、ハニー!君はどうだね……おっほー!」

ハニー「えぇ、先生。完璧な『陶酔薬』、そうでしょ?」

スラグホーン「いやいや、いや!すばらしい!それに、正統派な工程にハッカの葉を入れたのか!うん!この発想はまさしく!リリーのものだなぁ!泣けてきた!煙でね!いかんねぇ!」

ハニー「えぇ、それに……先生がこれでいい気分になれば、って目的意識も、ばっちりだもの。当然ね」

605: 2013/12/29(日) 18:03:07.26 ID:n1Wh2ggC0
ジリリリリリリリッ!

スラグホーン「おや、授業は終わりか。諸君、今度はもっと大勢と楽しもう。それじゃ!」

ハニー「っ、先生、ちょっと!私の薬、試してみる気は……」

スラグホーン「すまないねハニー私はほらちょっとアルバスの奴に呼び出されていてハッハッハあいつが私にいつでも勝手なのは君もご存知だろうそれではまたリリーの片鱗を見せてくれたまえよ!」

バタンッ!

ハニー「……はぁ、まただめね」

アーニー「何をおっしゃる僕たちのハニー!君はまたまた優等だったじゃないか!君だから当然だけど!」

ハニー「それは、私だものね」

マルフォイ「……フンッ」

ハニー「あら、なぁにマルフォイ。言いたいことがあるならはっきりすればどうかしら」

マルフォイ「別に」

ハニー「自分はもっと、授業なんかより大きなことをやってる、そう言いたいわけ?」

マルフォイ「うるさいっっっ!!!!!」

ハニー「っ」ビクッ

アーニー「うわ!なんだろ!地震!?なんでハニーを乗せてる僕の体がすごく揺れたんだろう!?」

マルフォイ「うるさいぞ、ポッター……お望みなら、そこの負け犬寮の奴がつけているのと同じようにその文面でバッジを作ってやる」

アーニー「失礼だぞ!僕のこのバッジは『ホグワーツのチャンピオン、セドリックを応援しよう!』の方だけだ!今は!!」

マルフォイ「黙るフォイ」

ハニー「……締まらないわね最後まで」

マルフォイ「うるさいって言っている……今に、くそ……今に」

バタンッ

ハニー「……」

アーニー「なんだあいつ、あの態度!一番豚に言いつけてやる!」

ハニー「……マルフォイ、今気づいたけれど……やつれてたわね」


アーニー「…………あっ!!!それにあいつ、負け犬寮って!!!失礼な!!!犬じゃないぞ、僕らは!!!!穴熊、もしくは豚だ!!!」

ハニー「……怒る場所が違うわ、アーニー」

608: 2013/12/29(日) 21:36:51.26 ID:MHoL8Q6Y0
放課後

談話室

ロン「――ってな具合で、僕の方はあと眉毛半分だったってのに不合格だったんだ!なんだってんだよ、眉毛がないくらい!パパの頭を見ろよ!」

ハーマイオニー「失礼にもほどがあるでしょ……でも、本当に厳しいと思うわ。次は合格よ、絶対ね」

ロン「あぁ、一発合格な君と同じくね。全く、予想を裏切ってくれないよなぁ君は。ハニーの絶対的な美しさくらいに」

ハニー「私のハーマイオニーだもの、当然だわ。ロン?あなたも私の豚なのだから、今度はしっかりなさい。いい?」

ロン「ヒンヒン!もちのロンさハニー!」

ロン「今度の試験じゃ『どうにも男子生徒の合格者が少ない。お手本を見せましょう、こうです!』つってマダム・ロスメルタのロスメルタに特攻しやがったあのトワイクロスの野郎の真上に現れてやる、って皆で誓ったからね!」

ハニー「……懲りない人なのね」

ハーマイオニー「本当に」

610: 2013/12/29(日) 21:54:21.26 ID:MHoL8Q6Y0
ロン「君の方はどうだったんだい、ハニー。アーニーの奴に委任状渡して仕方なく授業中のマットの役目を譲ってやったけど」

ハーマイオニー「変なところしっかりしてるのね……」

ハニー「快適だったわ。あなたほどじゃないけれど」

ロン「ヒンヒン!この六年で僕の背中はハニーにジャストフィットする形に進化してるのさ!当たり前だろ?僕ぁ豚だぜ?」

ハーマイオニー「何をバカな、って言いたいけど……六年間ハニーが腰掛ける度に毎回だと、本当にそうなっていそうだわ……それよりも、収穫の方を聞きたいところよ、ハニー?」

ハニー「……あなたが聞いたらがっかりするリーマスの話なら」

ハーマイオニー「……色んな意味で聞きたくないわね」

ロン「でもどうせチョコレートのことなんだろうなぁ、ってのは想像できるよな、うん。ハニーの頭の中に黒くて大きい犬が駆け回ってるんだろうってことが想像できるくらいたやす痛い!ありがとう!」

ハニー「スラグホーンの、記憶の方は。てんで駄目よ、相変わらず……あぁ、最後の手段に出るしかないのかしら」

ロン「特製首輪は完成してるぜ、ハニー!」

ハニー「不本意だけれどね……でも、あと少し……最初に問い詰めた時から、そう思っているのだけれど……あと少し何か、幸運が……」

ハーマイオニー「……!それよ、ハニー!!」

ハニー「? なぁに?」

ロン「『幸運』が『ハニー』に聞こえたのかい?分かる分かる、似てるもんな。ねぇ、幸運・ポッターさん」

ハニー「ハァイ?」

ロン「ヒンヒン!」

ハーマイオニー「そうじゃなくて!ハニー、フェリックスよ!フェリックス・フェリシス!幸運の液体!」

ハニー「……それは、あの液体……まだ、残してはいる、けれど」

ハーマイオニー「そうでしょう?あの時使ってなかったのなら、ほら!今が正しく使う、その時だわ!」

ハニー「……そう、ね。それが……でも」

ロン「あんまり急かしてやるなよ、ハーマイオニー」

ハーマイオニー「どうして!?」

ロン「きっとハニーは最近気づいたのさ。この液体、あの眠ってるミスター肉球の口に流しこんだらどうなるのか、って……」

ハニー「ロン」

ロン「ヒンヒン!なんだいハニー!」

ハニー「ここに、今日アーニーが煎じた魔法薬があるわ」

614: 2013/12/29(日) 22:13:36.04 ID:MHoL8Q6Y0
ロン「あぁひどい、ママを怒らせた時の晩御飯よりひどかった、マーリンの髭」

ハーマイオニー「えーっと、ハニー?気持ちはよくわかるけど、眠ってる人に起きる幸運は、それこそ夢の中くらいなんじゃないかしら……」

ハニー「そんなこと考えていない、ったら。それに、シリウスならもっと大事なことに使え、そう言うはずだわ」

ロン「そう言うだろう、ってとこまで考えたわけだよnあ、はい。大鍋の隅にまだ残り、うん。ハニーからもらったものだもの、完食するのが僕の義務さ」

ハニー「それでいいの。フェリックスを、寝室から……ハーマイオニー?お願いできるかしら」

ハーマイオニー「? あなたの頼みなら聞くわ。でも、どうして私?監視しなくっても、ロンならその悪夢みたいな薬飲み干すと思うわよ」

ハニー「? だってあなた、『姿くらまし』に合格したのでしょう?」

ハーマイオニー「忘れておいでみたいね、ハニー。この城の中じゃ誰も、あの魔法は使えないってこと」

ハニー「あぁ、そうだったわね……じゃぁ、こんな風にしてもすぐさま寝室に飛ぶ、ってことも出来ない、そういう話だったかしら?」

ハーマイオニー「きゃぁ!?ちょっと、ハニ、だめ、っちょ、あなたそんなこと言って場所なんて考えたことこれまで、あぁ、そんな、ハニー、どこにでも、なんて、バンディマンの生息地じゃ、あぁ……」

ロン「つづけて!やったね!アーニーのやつ、さてはこれフェリックスだなブクブクブクブク」


ネビル「どうzうわあぁあああああああぁあああロン!?ロン!?顔色が君の髪色と真逆でそれ、ろ、ローーーーーーーン!?!?!?」

615: 2013/12/29(日) 22:51:12.57 ID:MHoL8Q6Y0
ハニー「久々に見たわ、フェリックスの小瓶」

ハーマイオニー「あんまりいい思い出はないわね」

ロン「すっごい効き目だぜ、それ。ハニーの存在を目にしたくらい、やっぱりハニーって幸運だよなぁ」

ハニー「えぇ、そうね。権化とも集合体とも呼べるわ」

ハーマイオニー「というか、あなたは本当のこの薬飲んでないじゃない。何を言ってるの」

ロン「飲んだと思っただけであの効果なんだ、同じようなもんさ」

ハニー「一瓶で半日……でも、そんなに長い時間はいらないわ。そうね、一、二時間……ハーマイオニーの口で二口くらい、かしら?」

ハーマイオニー「な、なんで私の口換算なの?ね、ねぇ?どうして口移し前提で話しているの?」

ロン「どうぞどうぞ」

ハーマイオニー「うるさいわ。ハニー、真面目に。スラグホーンの記憶、手に入れるって約束したんでしょう?ダンブルドアと」

ハニー「……いつだって、大真面目だわ。それじゃ……」

キュッ、キュッ、キュポンッ

ハニー「……いただきます」

スッ

ハーマイオニー「……」

ロン「僕ってなんでビンじゃないのかな」

616: 2013/12/29(日) 23:11:42.09 ID:MHoL8Q6Y0
ハニー「――プハッ……ふーっ」

ハーマイオニー「あー、ハニー?気分はどう……あー」

ロン「ヒンヒン!みるみる満面の笑みに変わっていく君もステキだねハニー!」

ハニー「――えぇ!わたしはいつだって最高、当然じゃない!ロン!」

ロン「うわびっくりした!?え、えっと、ハニー?上ずった声で、うん、その感じももちのロンステキだけどさ」

ハーマイオニー「だ、大丈夫なの、ハニー?」

ハニー「当然よ!何もかも、簡単にうまくいくわ!スラグホーンの記憶?このわたしにかかればそんなもの朝飯前、そうでしょう?」

ハーマイオニー「あー、えぇ。えぇっと……いつも通りなのかそうじゃないのか、判断に困るわ、うん」

ハニー「さっきも言ったわ!私はいつだって最高、って!それじゃぁ、行かなきゃ!」

ロン「うんハニー!乗せていくよ!」

ハーマイオニー「えぇ、私達も一緒にいくわ。なんだか、あなたテンションが……」

ハニー「いいえ、一人でいいわよ!早く行かなきゃ! ハグリッドのところへ!」

ロン「うんうん……うん?」

ハーマイオニー「ハニー!?」

ハニー「今晩はあそこで決まりよ!分かる?何かいいことが、起こるような気がするわ、わたし!」

ロン「……これ、酒じゃないよな」

ハーマイオニー「……『的外れ薬』、とか?」

ハニー「アハハハハハハハッ!」

ロン「」ビクッ

ハーマイオニー「」ビクッ

ハニー「大丈夫よ、心配しないで! 自分がなにをしようとしてるかは、分かってるわ!少なくとも、フェリックスには分かってる!それだけよ!」

ハーマイオニー「……」

ロン「……なるほど!フェリックスもハニーの豚ってわけだな!うん!」

ハーマイオニー「諦めないで」

621: 2013/12/29(日) 23:36:43.65 ID:MHoL8Q6Y0
ハニー「それじゃ、行ってくるわね!透明マントもあるもの、もっとも、かぶる必要なんてないんだけれど!」

ハーマイオニー「ちょ、ちょっと、ハニー?そんな無謀なこと……」

ハニー「無謀なもんですか!ほら、今のわたし!とーっても幸運なの!信じて?ね!」

ハーマイオニー「……小首かしげる仕草が男の子だったら鼻から鮮血噴出すレベルだわ」

ロン「代わりなよばーまいおにー」

ハーマイオニー「鼻に羊皮紙詰め込んでご苦労さま」

ロン「あのさハニー。君をおいてこんな夜中になんて、僕ぁ君の一番の豚だけどそんなお願いは……」

ハニー「ロぉン?」

ロン「はい!」

ハニー「待て♪」

ロン「喜んで!!!!ヒンヒン!ヒン!!!」

ハーマイオニー「期待してなかったわ……」

ハニー「じゃあね!いい報告を期待してて……あ!それから!ロン、それにハーマイオニー!」




ハニー「わたし、二人がとってもお似合いだと思うわ!ごゆっくり!」

ハーマイオニー「」

ロン「」

バタンッ!

ハーマイオニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……え、っと。あー、な、なんだったのかしら!ハニーの、あのテンション!って、行かせてしまってから言っても、しょうがないけど、あー」

ロン「そ、そうだよな!きっとスラッギーじいさんめ、薬を間違えて、あー、そ、そうなるとハニーをやっぱりとめ、でも待てって言われ、えーっと」

ハーマイオニー「あー……」

ロン「……は、ハハハハハハ!!」

ハーマイオニー「……ふ、フフフ!」

ロン「HAHAHAHAHAHAHA!なんだこれ!!!マーリンの髭!!!髭!!!!!」

624: 2013/12/29(日) 23:54:57.70 ID:MHoL8Q6Y0
廊下

ハニー「ふんふふっふ~ん♪」


フィルチ「む!どこの生徒だこんな夜中に抜け出して鼻歌を歌ってるのは!そっちか!!」


ハニー「あら、この間マクゴナガル先生からいただいた生姜ビスケットの残りがポケットに!はしたないけれど、あっちにポイしちゃいましょう!それ!」


ミセス・ノリス「にゃーん!」

フィルチ「あぁあミセス・ノリス!ノリスちゃーーーーん!!どこにいくんだーーい!」


ハニー「フフッ、あのビスケットマタタビか何かでも入ってたのかしら!ふんふふふーん♪」


ピーブズ「ウッヒャァアアッハハハハーーーーァアアア!ごぉきげんなようだなぁー、ポッティーちゃ――」


ハニー「あら、ハァイ!そこにいるのはスリザリンの寮憑きゴーストの血みどろ男爵!元気!?あぁ、お亡くなりなんだもの!今のは失礼ねぇ! 今日も透けてるかしら!」


ピーブズ「ヒェッ!? あ、あいつにゃかなわねぇ!おさらばララバイだ!!」スーーーッ!


ハニー「あら!ただの甲冑の影だったわ!私ったら!フフッ! ふんふふ~~~ん♪」


スネイプ「……廊下の角の向こうから、どこかの生徒がのん気に歩いて来るようですな」

スネイプ「スリザリン生ならば少し注意し、寮まで送ろう。他寮ならば五十点は減点しましょうかな。グリフィンドールならば停学」


ハニー「ふんっふふ~ん♪」

バッ!

スネイプ「こんな時間になにをs」

ハニー「ハァイ、セブ♪」ニコッ

スネイプ「」

バタンッ

ハニー「あら?気絶しちゃったわ?もしもーし! ふふふっ、おねむだったのかしらね!」

631: 2013/12/30(月) 00:17:34.16 ID:h2JBaqTH0
玄関ホール

ギィィッ

ハニー「フィルチが鍵を掛け忘れていたみたい!あぁ、なんてついてるのかしら!当然ね、今夜のわたしは最高なんだから!今夜も、かしら!」

ハニー「さぁて、ハグリッドの小屋!ハグリッドの小屋よ!」

ザクッザクッザクッ

ハニー「ハグリッドの小屋……けれど!」

クルッ! ザクッザクッザクッ

ハニー「こんなに新鮮な空気を吸えるんだもの!ちょっと寄り道しましょう!競技場の方……いいえ!」

クルッ! ザクッザクッザクッ!

ハニー「野菜畑の方に回れば、きっと楽しいわ!フフフッ!走りましょう、わたし!」


マクゴナガル「さて、今夜も異常は……校庭のあの、影はなんでしょう」

マクゴナガル「はて……今宵は月が隠れていて、どうにも……」

マクゴナガル「……ですが、あの気まぐれで不規則な動きは、おそらく動物の類でしょう」

マクゴナガル「遠目に見えた毛色からするに、ミス・クルックシャンクス?」

マクゴナガル「彼女には今度言っておかなくてはいけませんね、ホグワーツに住まう猫として、もう少し……」ブツブツブツ


ハニー「アハハ!ハァ、ふー。疲れちゃったわ。すこーし休憩!」

ハニー「スプラウト先生の、温室のところね!あら?」


スラグホーン「そろーり、そろーり、と……いやいや、これは盗みとかではなく、学術的研究のための採取なのだが、うん、そうさ。でもポモーナはきっと怒るだろうから、こーっそり、すこーし……」

ハニー「こ ん ば ん わ 、 ス ラ グ ホ ー ン 先 生 !!!」

スラグホーン「うひゃぁ!?!?は、はははははハニー!?」

ハニー「アハハハハハハッ!」

スラグホーン「な、何笑っとるんだね!?え!?し、心臓止まるかと思った!声でかっ!?」

ハニー「先生!これからわたし、ハグリッドのところに、50年以上生きたアクロマンチュラの埋葬に行くのだけれど!ご一緒に、どうかしら!」

スラグホーン「あ、あぁ、その、私はすこしいそが…………アクロマンチュラ!?!?や、野生種がここに!?え!?ぜ、是非とも是非とも!あれの毒、それに体液は……ハッハッハ!ハニー、今日の君はやけににこやかだねぇ!え!」

ハニー「ええ、ふふっ!今日のわたしは、最高よ!」

633: 2013/12/30(月) 00:18:54.37 ID:h2JBaqTH0
酔ってんのかってところで今日はここまで
明日は朝から夕方までぶっつづけると約束する
じゃあの!

634: 2013/12/30(月) 00:20:19.00 ID:h2JBaqTH0
明日ちゃう、今日の朝から夕方。マーリンの髭!
じゃあの!

642: 2013/12/30(月) 10:40:30.91 ID:h2JBaqTH0
×ミス・クルックシャンクス
○ミスター・クルックシャンクス
マーリンの髭!

643: 2013/12/30(月) 10:58:05.32 ID:h2JBaqTH0
ハグリッドの小屋

コンッココン♪

ハニー「こーんばんは、ハーグリッド♪」

ガチャッ

ハグリッド「グスッ、ぅおぉ、ハニー!来てくれたんか!え!?そんで、そんで、なんだこの可愛い生き物天使か」

ハニー「知ってるわ! ハグリッド、辛かったわね! でも、わたしが一緒にいてあげるわ!ね……?」

ハグリッド「うぅ、おぉおおお、ハニー!お前さんは、お前さんはなんて優しくて、そんで、なんちゅー女神なんだ!ヒン、ヒンヒン!」

ハニー「知ってるったら! ロンとハーマイオニーは来られなかったけれど、怒らないであげてね?けれど、途中で出会った素敵なお客様もつれてきたわ!」

ハグリッド「えぇんだ、えぇさ、わかっとる、無理なお願いをしとったんだ。そんで……オー!ホラス!?」

スラグホーン「この度は、まことにご愁傷様で……ハグリッド、あぁ、友よ。なんと言ってやればいいか」

ハグリッド「ぐすっ、ぐすっ、えぇ、えぇんだホラス!来てくれただけで、アラゴグも喜ぶにちげぇねぇ!俺とあんたは確か殆ど付き合いなかったけど、なんて親切なんだ!」

スラグホーン「何を言うねハハハわたしは君が学生の頃からほらよくやる子だなあと目をかけていたさ、ははは」

ハグリッド「それに、ぐすっ、ハニーを罰則しなかったことも、感謝します。ありがとう、ありがてぇ。あんたはいい人だ、何か今度お礼をやらねぇと」

スラグホーン「そんなそんな、ハハハ!HAHAHAHAHA!」

ハニー「今日は先生も陽気ねぇ!」

646: 2013/12/30(月) 11:14:19.06 ID:h2JBaqTH0
スラグホーン「悲しい夜だ、まっこと。ハグリッド?哀れな仏さんはどこにいるね?」

ハグリッド「あそこだ、カボチャ畑の方。息を引き取った後、俺がここまで運んできた……眷属どもめ、アラゴグを食おうとしよったんだ」

ハニー「まあ……!」

ハグリッド「あぁ、そうなんだ。そんで、ハニー、両手で口元押さえるその仕草なんだろうルビウスアラゴグの後追って昇天しそう」

スラグホーン「眷属……つ、つまりハグリッド?この森では、アクロマンチュラが繁殖している、そう言ってるのかね?え?」

ハグリッド「あぁ、そうだ。アラゴグと、モクザっちゅう夫婦が最初でなぁ」

スラグホーン「……ニュートンが発見できなかった群生地が、まさか彼の過ごしたすぐ傍の森にあったなんてなぁ」

ハニー「あぁ、えぇ!『幻の動物とその生息地』でのアクロマンチュラの項目のことね! 未確認ってところ、このわたしとロンが確認済み!って書きなおしてあげなきゃ!」

ハグリッド「あぁ、でっけぇ群れになってくれた。そんで……そんで、あいつらはアラゴグが氏んで混乱しちょる」

ハニー「わたしがいなくなった後の可愛い豚たちのようなものね!」

ハグリッド「そりゃみんなやっぱり後追いするけどよぉ……あいつらは、俺のことも食おうとしよったんだ!信じられるか、ハニー!今まではアラゴグが命令したから俺を食わなかっただけだ、とぬかしよった!」

ハニー「まあ……」

ハグリッド「幸いグロウプが間に入って『それが君達の尊敬していた長であるアラゴグの意志を報いる行いだというのか!恥を知れ!!!』っちゅってくれたおかげで隙をみてアラゴグを運んだけどよぉ」

ハニー「頼れる弟ね、ハグリッド!」

スラグホーン「弟?」

ハニー「なんでもないわ、せんせ!ねっ!」

スラグホーン「え?あ、あぁ、うん、ハハハ!」

648: 2013/12/30(月) 11:26:56.68 ID:h2JBaqTH0
カボチャ畑

スラグホーン「……すごい。なんと、壮大なものだ。あぁ、こんなサイズを生で、野生種をお目にかかれるなんて……」

ハグリッド「そうだろう、ホラス。美しかろう?え?」

スラグホーン「あぁ、なんとなんと……金色の、ガリオン金貨のように輝いて見えるじゃないか」

ハニー「ハグリッド、きちんとした埋葬をするんだから、わたしたちだけじゃなくアラゴグも正装させてあげなきゃいけないわ!氏化粧とかね!」

ハグリッド「あぁ、そうだなぁ。でもよぉ、俺はそういうのをてんでしらねぇ……」

ハニー「スラグホーン先生が詳しいそうよ! ね、先生!」

スラグホーン「お任せあれ! ハグリッド、すこーし仏さんに触ることになるがいいかね?」

ハグリッド「ぐすっ、あぁ、好きにしてやってくれ。アラゴグも喜ぶ、うん。ぐすっ」

スラグホーン「ふーむ、まずは、そう!体液等を丁寧に抜いてやらねばいかんね、うむ。埋葬した後に腐臭が広がる原因となり、獣に掘り起こされたりなんだったりあれだったり……おぉ、何故かこんなところに大き目の丸瓶が!不思議だなぁ!」

ハグリッド「ぐすっ、あんたがいてくれて良かった、ホラス」

スラグホーン「いやいや、ハハハ!一瓶数百ガリオン!ハハハハハ!」

649: 2013/12/30(月) 11:42:17.30 ID:h2JBaqTH0
スラグホーン「さて、採取、ごほん、最後の仕上げも終わった。ハグリッド、埋葬を始めようか?」

ハグリッド「ぐすっ、あぁ、そう、そうしよう」

スラグホーン「この穴に埋めるのだろう? わたしが杖で……?」

ハグリッド「いんや、えぇ。俺が抱き上げて、入れてやりてぇ。まだちーっちゃな赤ん坊の頃、卵から孵った時も、俺がこの手で抱きとめてやったんだ……」

ハニー「アラゴグの、ママだったのね!ハグリッド!」

ハグリッド「ぐすっ、ひぐっ、そう、可愛いちっちゃな鋏のアラゴグ……うぅ」

ガシッ ググググッ ドサッ

ハグリッド「ぐすっ、ぐずっ、おぉ、おぉぉお……おーーーいおいおいおいおい、アラゴグ、アラゴグぅー!」

スラグホーン「……君はよくやった。彼も君に入れられて本望だろう。別れの言葉は、私が代わろうか?」

ハグリッド「おぉ、おお、たのむ、あぁ、ああああ、アラゴグ、アラゴグーぅ!」

スラグホーン「それでは。ゴホン……」

スラグホーン「さらば、アラゴグよ! 蜘蛛の王者よ! 汝との長く固き友情を、なれを知る者全て忘れまじ! なれば亡骸は朽ち果てんとも、汝が魂は懐かしき森の住処にとどまらん! 汝が子孫の、多目の眷属が永久に栄え――」

ハニー「せんせ、長い♪」

スラグホーン「ありがとう!!!ありがとう友よ!!!!さあハグリッド、しみったれた空気はおしまいだ!この最高級オーク樽ハチミツ酒をどーんと開けようじゃないかね!あぁ、友よ!アラゴグよ!ありがとう!ありがとーーーう!!」

ハグリッド「おぉおお、おーーーぉおおお、アラゴグ、アラゴグぅーーーーー!!元気でな、元気でなーーーーぁ!!アラゴグーーーーーーーー!!」

ハニー「あらごぐー!」

650: 2013/12/30(月) 12:03:21.59 ID:h2JBaqTH0
数時間後

ハグリッド「そんでよぉ、そんでよぉホラス!あいつぁ卵から孵った時、ほーんとにちっせぇペキニーズ犬くれぇのよお!」

ハニー「ふふふっ!ハグリッドったら、その話三回目よ!」

スラグホーン「ハッハッハ!いいじゃぁないか!さぁさぁハグリッド、飲みたまえ飲みたまえ!」

ハニー「(お酒が、かなり減ってきてるわね……もっと飲んでもらわなきゃ。フェリックスがそう言ってるわ)」

ハニー「(二人に、気づかれないように……無言で、補充呪文)」

ハニー「(出来るかしら)」

ハニー「(なんて!考えるだけ無駄よね!)」

ハニー「(えいっ♪)」

コポコポコポコポ……

スラグホーン「そういえばハグリッド?あそこにぶら下がってるのはなんだね?え?糸のようなものの、束……まさかとは思うが、ユニコーンの毛じゃなかろうね?」

ハグリッド「おぉ?おー、そうだ!森を歩ってるとよぉ、木の枝なんかにひっかかっちょるんだ!頑丈だから、怪我した動物の包帯を巻いたりすんのに使っちょる!」

スラグホーン「そんな、君ね、あれがどんなに……」

ハグリッド「なんならあんたにやろう、ホラス!こんなもんでお返しになるかわからねえが!ほれ!」

スラグホーン「ほんとーかいいやあ悪いね……ひ、一束!?い、いやいやいやいやいやいや!!!!流石にいやいや!!一本十ガリオンがこんな、いやいやいや!!!痛む!!!私の良心がディフィンドしちゃう!!」

ハグリッド「ハッハッハッハッハ!!ホラスはおもしれーなぁ!!ほーれ、かんぱーーーーい!!」

スラグホーン「あ、ああ!友情と気前のよさに、かんぱぁーーーーいい!!!」

ハニー「かんぱーい!」

652: 2013/12/30(月) 12:21:25.47 ID:h2JBaqTH0
ハグリッド「そんでよぉ、ドラゴンの卵はもう絶対手はださねぇってきめたんだけどよぉ、チャーリーならもしかして、ってよぉ」

スラグホーン「なんと、ウィーズリーのお兄さんはあのレジェンドシーカーのチャーリーか。しまった私としたことが……な、なんだね?彼に頼めば?ど、ドラゴンの……?」

ハニー「ふふふふっ」





ハグリッド「アラゴグの家族たちもよお、しっかり話すりゃ分かってくれると俺ぁ思うんだ!だって俺ぁ奴さんの親友だったし、あいつらの兄弟も同じだ!そうだろうが?」

スラグホーン「あぁ、是非とも連中のコロニーに無事足を運べる折には案内してもらいたいものだ。美しいのだろうね、うん。アクロマンチュラの繭……あぁ、酒が美味い!美味しい!」

ハニー「ふふっ」





ハグリッド「かんぱーーーーぁい!かんぱーーーーぁい!!ホグワーツにかんぱーーーーぁい!!」

スラグホーン「かんぱーーーーい!たっくさんのお酒に、かんぱーーーーい!!」

ハグリッド「ダンブルドアかんぱーーーーい!!かんぱーーーーい!ハニー・ポッター、俺達の女神にかんぱーーーい!」

スラグホーン「そう、そうだ!『生き残った女の者』、とか、なんとか、あぁ、かんぱーーーーい!!」

ハニー「……ふふっ」





スラグホーン「『おぉ~♪ かくしてみんなは英雄の オドを家へと運びこむ~♪』」 

ハグリッド「あぁ、この歌は悲しいなぁ。いい奴ほど早氏にする、そうだろうが?」

スラグホーン「『その家はオドがその昔 青年の日を過ごした場~♪』」

ハグリッド「俺の親父はまだ逝く歳じゃなかったし……おまえさんの父さん母さんもだ、ハニー……誰がなんと言おうと、あの二人はあの年頃の魔女と魔法使いン中じゃ、いっちばんだった」

スラグホーン「半分はどうかと思うがね『オドの帽子は裏返り オドの杖はまっぷたつ~♪』」

ハグリッド「ひどいもんだ、ひどい……おぉ~♪」

ハニー「……」

ハグリッド・スラグホーン「「『悲しい汚名の英雄の オドはその家に葬らる~~♪』」」

ハニー「…………」

ハニー「……さっきまでの私なにあれ」

659: 2013/12/30(月) 13:59:27.72 ID:h2JBaqTH0
ハニー「……(この私が、私が!飲んだ薬に飲まれるなんて。許されないことだわ)」

ハニー「……(まだ、幸運の作用は残っているようだけれど)」

ハニー「……」

ハニー「……」


フェリックス『(へーい嬢ちゃん!ここはノリよくいっちゃおうぜ!それが幸運の――)」


ハニー「(この私に命令するんじゃないわよこの幸運豚!!!)」

幸運豚『……ヒンヒン!』

ハニー「……(これで、いいわ。でも、そうね。自分の意識がはっきりしだしたのは、もう時間がないってこと)」

ハニー「……(丁度いいわ。ハグリッドも、酔いつぶれて眠ってしまった。スラグホーンは……ハグリッドの最後の言葉で、何か考えてるところみたい)」

ハニー「……(本当、幸運ね)」

ハニー「……スラグホーン先生」

スラグホーン「ひっく……あぁ、ハニー……や、どうしたね。いやにおとなしくなって」

ハニー「忘れて頂戴」

662: 2013/12/30(月) 14:29:05.12 ID:h2JBaqTH0
スラグホーン「オドの歌は知っていたかね、ハニー?魔法使いは葬儀の後、みなでこれを歌うものなんだ……」

ハニー「こういう場にいるのは初めてだもの、知らなかったわ」

スラグホーン「そう、そうだろうね。君は何せ、若い……」

ハニー「……若いからって、無縁というわけでもないですけれど。モンゴメリー姉妹の弟は、狼人間に殺された、って。新聞に書いてあったわ」

スラグホーン「……あぁ、そう。そういう時代だ。かつてと同じ……リリー、そして」

ハニー「パパとママが、ヴォルデモートに殺された時と?」

スラグホーン「ひっ!! あぁ、ああ、そうだ……ひどいことだ、ひどい……君は当然、覚えていないだろうね。まだ一歳だったのだから」

ハニー「えぇ。けれど、何の因果か知ることが出来たわ。当時の、詳しい情景までね……」

スラグホーン「……ハニー、無理に」

ハニー「パパが先に氏んだわ」

スラグホーン「……ジェームズ・ポッター」

ハニー「私と、ママを逃がすために。パパが真っ先に、あいつに立ちふさがったの」

スラグホーン「……あぁ、彼はそういう奴だ」

ハニー「次に、ママだった。ママは、本当は……殺されるはずじゃ、なかった」

スラグホーン「」

ハニー「あいつは、私だけを殺そうとしていたの。何度もママにそこを退けって、言ったわ。ママは……逃げることができた」

スラグホーン「リリー……リリー……やめてくれ」

ハニー「……考えてみたら ママが氏んだのは私を」

スラグホーン「やめろ……やめてくれ、ハニー」

ハニー「わたしを、かばったせいで」

スラグホーン「ちがう!!!!」

バンッ!!

スラグホーン「私だ……私のせいだ!!全部……リリーと、リリーの愛する君達が不幸になったのも全部!だから……」

ハニー「……そっか。先生は、ママが好き、っだったのよね。だから……あんな記憶、忘れていたかったの」

スラグホーン「……愚かしいだろう、分かっている。彼女が好きだった?当然だ……彼女に関わって、彼女を好きでいられない子が、いるはずがないのだ」

ハニー「私のようにね」

スラグホーン「…………本当に二人の子なのだなぁと思うねまったく」

663: 2013/12/30(月) 14:45:55.82 ID:h2JBaqTH0
ハニー「……失礼だけれど。先生は自分勝手だわ」

スラグホーン「……」

ハニー「後悔も、償いも、自分の中で終わらせて。過去を過去のものとして。思い出の中でしか、ママと会おうとしない」

スラグホーン「……やめてくれ」

ハニー「ママは、私に。わたしに命をくれたわ。けれど、先生はわたしに記憶をくれない」

スラグホーン「やめてくれ、ハニー……あれは私の恥ずべきものだ……あれを見て、君は私を軽蔑するだろう……それだけだ。何の、役にも立たない」

ハニー「ダンブルドアがそれを必要としてるわ。その記憶こそが、ヴォルデモートを倒す手がかりになる、って」

スラグホーン「何故だね。何故、アルバスがそこまでする必要がある。そしてそれを……なぜ、君が手伝うのだ?え?」

ハニー「それは……」

ハニー「……」

ハニー「……(今夜のことは、お酒のせいで明日には綺麗さっぱり忘れている、みたいね)」

幸運豚『(ヒンヒン!)」

ハニー「(返事どうも、さっさと私に消化されなさい)」

ハニー「私が、『選ばれし者』だからよ、先生。当然じゃない」

スラグホーン「!!!」

664: 2013/12/30(月) 15:16:24.31 ID:h2JBaqTH0
スラグホーン「君は、やはり!選ばれし、それでは……」

ハニー「えぇ、そう。世の中の噂と大体一緒。あいつを倒さなきゃいけないの。それが出来るのは、わたしだけ」

スラグホーン「つまり、つまりだハニー……君は恐ろしい事を言っている。つまり、わたしに、あの人を打倒する手助けをしろ、と」

ハニー「その通りよ」

スラグホーン「!」

ハニー「先生……勇気を出して」

スラグホーン「……」

ハニー「もう逃げてはだめ。ママはきっと、いいえ、絶対あなたのことを恨んだりなんてしないけれど」

ハニー「あなたがそんな気持ちでいたら、あなたの中のママは、氏んだままだわ」

ハニー「生きているママを。今、ここにいるママを」

ハニー「ママの愛に、応えて。わたしを、助けて」

ハニー「それが、あなたが出来る、唯一の――」

スラグホーン「うわああああああああああああああああん!!!」

ハニー「」ビクッ

スラグホーン「おーーーーいおいおいおいおいおい!!リリーーーーィイイイイ!!リリーーーーーーーーィ!!」

ハニー「え、っと。あの、先生」

スラグホーン「わたしは、わたしは、あああああああああ!!君を二度も氏なせたようなものじゃ、ないか!!あああああああ、うわぁあああああああん!!おーーーいおいおいおいおい!!」

ハニー「あ、あの、先生。そんな、子供みたいに泣かなくても……えっと」

スラグホーン「うぇえええええええ、うぅぅぅ、ああああ」

ハニー「……」

フェリックス『ヤッタレ』

ハニー「……よしよし。怖かったわね、よしよし」

スラグホーン「ママーーーーー!!」

ハニー「……そこは『リリー』じゃないのかしら」

667: 2013/12/30(月) 15:47:13.79 ID:h2JBaqTH0
スラグホーン「ぐすっ。すまんね……取り乱した。酒を飲みすぎたね、酒を」

ハニー「お酒のせいにすれば許される、というものではないわ」

スラグホーン「……さぁ、これを」

スッ  サァァァァッ

ハニー「……先生が杖をあてたこめかみのあたりから、白い糸状のものが」

スラグホーン「……おそらくこのユニコーンの束よりも価値のない、なんのことはない……ただの老いぼれの恥ずべき行いの記憶にすぎないが。それでも?」

ハニー「えぇ。私たちにはそれが、重要だわ。先生にとっても、ね」

スラグホーン「……さぁ、とりたまえ。それで……私達のリリーの笑顔を奪ったあいつに」

ハニー「えぇ。しっかりけりを、つけてやるわ」

ハニー「……先生。さっきは自分勝手だなんて言ってごめんなさい」

スラグホーン「いやいや、いいんだ。そういわれてもしょうがない……わたしは」

ハニー「えぇ、そうね。お気に入りの生徒を集めて、自分の利益になるもの、価値のある物にしか興味がなくて。虚栄心が丸出しで。悪い人ではないけれど、少し嫌な部分が見えてしまう人だわ」

スラグホーン「……」

ハニー「けれど、先生は最後にはこれをくれたわ。この記憶を、わたしにくれた。その決断をしてくれた。先生は、愛を忘れてなんてなかった」

ハニー「……あなたは、勇敢で気高いわ。ありがとう、ホラス」

ホラス「……」

ハニー「……あら、今度は随分、静かに泣くのね」

ホラス「あぁ、ハニー……老人はね、時に涙だけが、意図せず流れてしまうのさ。さぁ、行きなさい……アルバスが待っているのだろう」


 「うぉっほん!」


ハニー「……今どこか外からの咳払いは聞こえなかったことにして。えぇ、そうね……それじゃ」

ギィィッ

バタンッ

ホラス「……あぁ。本当に……君の子供なのだなぁ、リリー」

ホラス「……」

ホラス「……首輪って、どこでもらえるのだろう」


ガチャッ

ロン「お困りのようだね」

673: 2013/12/30(月) 16:02:08.84 ID:h2JBaqTH0
校長室

ハニー「……あれから少しハグリッドの小屋の周りを探してみたけれど、あの意地悪豚はどこにもいなかったわ」

ハニー「あのタイミング、絶対あそこにいたでしょ、あの豚……まったく、まわりくどいのだから」

ハニー「……」

コンコンッ

 ダンブルドア「ゼーッ、ゼーッ、ゼーッ、ヒューッ、フーッ。は、入って、おるよ」

ガチャッ

ハニー「嘘つきなさいよわざとらしく息切れして」

ダンブルドア「いやはや、さすがのわしもうむ体力がそろそろあれじゃて……さて、ハニー。こんな遅くにどうしたね」

ハニー「乗ってあげるわ……手に入れたの、スラグホーンの記憶! 本物の記憶を」

ダンブルドア「よし!それでは前もって用意していたこの憂いの篩を」

ハニー「早いったら。もう少し感慨もたせなさいなんなのよ怒るわよこの豚」

ダンブルドア「冗談じゃて、冗談。ちょっとしたお茶目じゃよ……ハニー、君なら必ず成し遂げると思っていた」

ハニー「えぇ、そうね。私だもの」

ダンブルドア「たとえ途中ちょっとハイテンションすぎてこれまでにないあざとさを発揮しておったとしても」

ハニー「どうやらやっぱりぶっ飛ばされたいようねこの豚」

ダンブルドア「おぉう、お叱りは後で受けようかのう。さぁ、ハニー……これで、全てが分かる」

ハニー「……えぇ」

ダンブルドア「今こそ、やつのしでかした全てを暴く時が……記憶を」

ハニー「……」

ポチャンッ

グルグルグルグルグルグル……

674: 2013/12/30(月) 16:22:34.67 ID:h2JBaqTH0
記憶の中

リドル『ところで先生、メリーソート先生が退職なさるというのは、本当ですか?』

スラグホーン『おいおい、トム。全く本当に、どこから聞いてくるのかね!トム、トム、そればかりは本当でも教えてあげることは出来ないよ、困った子だ』


ハニー「……あの時の記憶ね。確か一度、このあたりで……」


ホラス『全く、トム。君のような優秀な生徒は、私の教師人生でも初めてだよ。そして恐らく今後、君ほどの人間は現れないことと確信するね――』


ハニー「そう、ここから霧がかかったように……けれど」

ダンブルドア「……今回は、改竄はなされていないようじゃ。ハニー、君は見事にやりとげたのう」


ホラス『――君はこれから二十年のうちに魔法省大臣になれると、わたしは確信しているよ。引き続きパイナップルを送ってくれたら、十五年だ。わたしは省にすばらしいコネがある』

リドル『覚えておきます、先生。ですが僕に政治が向いているとは思えません――生い立ちが、ふさわしくありませんので』

クスクス

ハニー「今の……リドルが孤児だ、って笑って……違うみたいね」

ダンブルドア「この頃には奴は、自分の母親の出目がスリザリンの末裔だと知っておった。それを吹聴しておったのじゃろう、その上での仲間内だけに伝わる皮肉じゃな」

ハニー「……嫌な趣味」


ホラス『こら、こら!笑うんじゃない!トム、生まれを恥じる必要なんてない。君は素晴らしい魔法使いだし、由緒正しい魔法使いの家系であることは火をみるより明らかなのだ。そのうち、知り合いに頼んで調べさせよう――笑うなというのに!』


ハニー「……ほら。ホラスが困ってるわ」

ダンブルドア「そうじゃrえっ、ホラスがファーストネーム呼びに昇格しとるっ」

677: 2013/12/30(月) 16:39:07.71 ID:h2JBaqTH0
ハニー「あなたは意地悪豚で十分でしょ」

ダンブルドア「ヒンヒン!」


ホラs『なんと、もう十一時か!楽しい時間はあっと言う間だね、え?』

リドル『まったくです先生』

ハニー「そろそろ、問題の箇所ね……」

ダンブルドア「……」


ホラス『――早く寮に帰りなさい、トム――』

リドル『――一つだけ、教えていただきたいことがあるんです』

ホラス『ほーう? なにかね。私が答えられるものなら、喜んで答えよう。他でもない、監督生の君なのだから!』

リドル『先生、ご存知でしょうか……先生ほどの魔法使いなら、きっとお聞きになったことがあるんじゃないかと……ホークラックス、のことですが』


ハニー「……」

ダンブルドア「……」


ホラス『……』

リドル『……』

ホラス『……闇の魔術に対する防衛術の課題かね?』

リドル『いいえ……』

ホラス『あぁ、違うだろう。この存在は未来永劫、教科書には絶対に載らない事柄の一つだ。闇も闇、真っ暗闇の術……トム?よほど難しい本を読んでいたようだね?』

リドル『えぇ……先生、先生ならきっと、詳細をご存知でしょう?だって、先生はこの城で一番の先生だ』

ホラス『ハッハッハ、褒めすぎだよ、トム。そうだな……まぁ、勿論、ざっとしたことを君に話してもかまわないだろう。疑問を持っている生徒がいれば、それに応えるのが教授の義務だ』

リドル『ありがとうございます!』

ホラス『ホークラックス、分霊箱とも呼ばれるこれは、人がその魂の一部を隠すために用いられる道具のことだ』

リドル『魂……けれど、先生。僕はそれをどうやってやるのか、よくわかりません』

ホラス『そうだろう、そうだろう。君には無縁のものなのだ……そう、魂を分断し、その一部を身体の外にある物に隠す。そうすると、肉体が破滅しても氏ぬことはない。なぜなら……」

リドル『……魂の一部が、生きているから。滅びずに、地上に残っている……素晴らしい』


ハニー「不氏、でも目指してるのかしら。プレティーンね、もう」

678: 2013/12/30(月) 17:04:56.12 ID:h2JBaqTH0
ホラス「すばら……?あぁ、そう。すさまじい。しかし勿論、こういう形での魂のあり方を望む者は少ないだろう。滅多にいないはずだ……氏の方が望ましい」


ハニー「……一年目、あいつは『霊魂にもみたない、ゴーストの端くれにも劣る存在になった』って」

ダンブルドア「ざまぁじゃな」

ハニー「……もうちょっと言い様」


リドル『どうやって魂を分断するのですか、先生?』

スラグホーン『それは……理解していなくてはいけない。魂は完全な一体であるということ。本来、絶対に分断などされるものではないということ。それは自然の摂理に逆らうことであり、魂への暴力行為だ』

リドル『……どう、やるのです?教えてください』

ホラス『それは……あぁ、そうだ。邪悪な行為――悪の極みの行為だよ。つまり、殺人だ。殺人は、魂を引裂く。たとえそれが自ら手を下したことでなくとも、教唆しただけでさえ……加担しただけでさえ、人の魂は傷つく。誇りある魂というものは』

リドル『……』

ホラス『分霊箱を作ろうと意図する魔法使いは、この破壊を自らのために利用する。引裂かれた魂の一部分を物に閉じ込めるのだ』

リドル『閉じ込める?一体、どうやるのですか?』

ホラス『呪文がある……ある、らしい。聞かないでくれ!わたしがやったことがあるように、見えるかね?トム!わたしが殺人者に見えるかね?』

リドル『! いいえ先生、もちろん違います。すみません……お気を悪くさせるつもりは。ただ……ほんの、好奇心が』

ホラス『そう、そうだろう。いいや、いや、気を悪くなどしていないよ。時にこの手の魔法の深淵は、優秀すぎる人材の興味を惹いてやまないものだった。君もまた、その一人ということだろう……』

リドル『好奇心ついでに、先生……もう一つ。僕がわからないのは――』


リドル『たった一つの分霊箱だけで、役に立つのですか???』

ホラス『』

ハニー「」

ダンブルドア「…………」

680: 2013/12/30(月) 17:19:36.24 ID:h2JBaqTH0
ホラス『と、トム?今、なんと』

リドル『だって、そうでしょう?たった一つじゃ、万全とは言えない。それは、ないよりはましでしょうけれど』

リドル『魂は一度しか分断できないのですか?もっとたくさん分断すれば、より確かで強力になれるのではないでしょうか』

ホラス『と、トム……?』

リドル『つまり、たとえば』


リドル『七という数は、最も強い魔法数字ではないですか?七個の場合、もっと、特別な――』

ホラス『とんでもない!!とんでもないぞ、トム!!!』

リドル『……?』

ホラス『そもそも、忘れていないかね?え?君らしくない……魂の分断のためには一人を頃す必要がある!たった一つでも、十分に悪い事じゃないかね?それが七つ、なんて……たとえ仮定とはいえ、恐ろしい』


ハニー「……後悔してるわ、ホラスの顔。この時初めて、リドルがおかしいことに気づいたのね」

ダンブルドア「……」


ホラス『勿論、そうだろう?トム、これはあくまで仮定の……すべて、学問的な……?』

リドル『……えぇ、先生!当然ですよ、ただの好奇心です。当然ですとも』

ホラス『は、ハハ、ハ。何だ、うん。君が喜んでいるようで嬉しい。さぁ、トム。もう戻りなさい……ときに、この話を私がしたことは内密にしてくれよ?世間体が悪いし、誤解されやすい。特に……ダンブルドアはこのことについて厳しいんだ』

リドル『えぇ、絶対に……嬉しそう?えぇ、そうでしょうね……先生』

ホラス『う、うん?』

リドル『本当に、ありがとうございました――先生の、おかげですよ?』

ホラス『――』


ダンブルドア「……ハニー、ありがとう。もうよいじゃろう」

ハニー「……えぇ」

681: 2013/12/30(月) 17:42:08.30 ID:h2JBaqTH0
ダンブルドア「……この証拠を、長年捜し求めておった。わしが考えていた理論が正しいことを証明する、証拠が」

ハニー「……」

ダンブルドア「そしてつまり、この理論が正しいと同時に……また、道のりは長いものであるということを証明しておる」

ハニー「あいつは、今の私とそう変わらない年齢の時にはもう……殺人を犯して、不氏なんて事を考えていたの?」

ダンブルドア「そうじゃ。ことの重大さが伺えるじゃろう……十六歳じゃ」

ハニー「……」

ダンブルドア「わしでさえ、精々が『学生の身にして名だたる伝説の魔法使いたちと交友をもつ希代の天才アルバス君』と言われていた程度じゃ」

ハニー「うるさいわ……本当に、作り上げたっていうの?分霊箱を……それも、複数……」

ダンブルドア「いまだかつて、二つに魂を引裂く以上の恐ろしい行いをしたものはおらんじゃろう。じゃが……奴はおそらく、その先に足を踏み入れておる」

ハニー「……」

ゴトッ

ダンブルドア「ハニー。これを覚えておるかね」

ハニー「……サラザールが噛んだ、リドルの……日記帳!!」

ダンブルドア「そう、ただの記憶が思考し、取り憑き、少女の魂を搾り取り、秘密の部屋を開こうと画策した……本当に、『ただの記憶』じゃろうか。有り得ぬ。この中にはもっと邪悪なるものが棲みついておったのじゃ」

ハニー「……日記は、分霊箱だった」

ダンブルドア「左様……そして、不気味なことに。この日記の扱いは、とても『たった一つの分霊箱』に対するものとは思えんほどに、投げやりなものじゃった」

ハニー「……あ」

ダンブルドア「ヴォルデモートはルシウスにこの日記を隠すようには言うても、それほど重要なものであるとは伝えなかったのじゃろう。つまり、それは、日記よりももっと価値があり、そして複数の……分霊箱が存在していると、考えられんじゃろうか」

ハニー「……もっと、価値のあるもの」

ダンブルドア「そうじゃ」

ハニー「あいつが、自分の器に選びそうなもの」

ダンブルドア「……そうじゃ」

ハニー「……創設者、たちの。遺品」

ダンブルドア「……君がわしの授業を真剣に聞いてくれて嬉しいよ、ハニー」

ハニー「……あなたがそういう時だけは、真面目に話してくれるものね」

ダンブルドア「ヒンヒン!」

683: 2013/12/30(月) 17:56:29.63 ID:h2JBaqTH0
ダンブルドア「奴は勝利のトロフィーを欲しがった。自分を強大にみせるシンボルを、魔法史に名を刻む者としての足跡を」

ハニー「……悪趣味ね」

ダンブルドア「まっことのう。あの可愛そうなヘプシバ・スミスから盗まれた創始者の遺物、ロケットとカップは、分霊箱になっていると考えていいじゃろう」

ハニー「……」

ダンブルドア「さて……分かっておるものから説明し終えてしまおうかのう。日記帳……これは、自身がスリザリンの継承者であることを記した証だったのじゃろう」

ハニー「あの時代では継承者として認められなかったから、その日記の中に……」

ダンブルドア「そういうことじゃろうな。そして……この指輪じゃ」

ハニー「……あなたが今年度からはめていた、ゴーント家の指輪ね。ようやく、聞かせてもらえるというわけ?」

ダンブルドア「そう、これは奴の分霊箱じゃった。わしは、警戒しておったにも関わらず……腕の一本が、こんがりジューシーに焼けてしもうた」

ハニー「誰も味わうことはないから安心しなさい……焼けた、なんてものじゃないでしょう、それは」

ダンブルドア「そうじゃな、うむ。城に戻ってからのスネイプ先生の適切な処置がなければ、わしは今生きてこの話をすることもできんかったじゃろう」

ハニー「……」

ダンブルドア「ところで先刻恍惚の表情で廊下でのびとるセブルス足蹴にしてもうたんじゃがなにあれ、ハニー、君は何か知っておるかのう」

ハニー「……さぁー」

684: 2013/12/30(月) 18:13:03.37 ID:h2JBaqTH0
ハニー「七つの分霊箱のうち、四つは分かったわ。でも、残り三つ……」

ダンブルドア「残りは二つじゃ、ハニー。最後の七つ目の魂は、どれだけ損傷されていようとも奴自身と共にある」

ハニー「あぁ、そういう……自分も含めて七つ……『誰よりも深く不氏の道に入り込んでいた』そう、のたまっていたわ」

ダンブルドア「年月が経つに連れ、人ならざるものへと風貌が変わっていったのはそのためじゃろう。魂が傷つき、切り刻まれておったのじゃ。そうでなければ、ヒトがあのような姿になるはずがない」

ハニー「……」

ダンブルドア「……ハッ、まさかドローレスも」

ハニー「どうせ吐き気がくるのだからやめなさい。それで……残り、二つね。じゃあ、創設者の……」

ダンブルドア「その一人、我らがグリフィンドールが魔法界に残した遺物はたった一つじゃ。ハニー、君は知っておるはずじゃ」

ハニー「えぇ、そうね。彼らの全てを……グリフィンドールはその象徴を、剣しか残さなかったはずだわ」

ダンブルドア「そうじゃ。そしてその剣は、この部屋で絶対安全に守られておる」

ハニー「……そのようね。レイブンクローには、何かあるの?」

ダンブルドア「『失われた髪飾り』 文字通り、何世紀もの間失われた代物じゃがのう」

ハニー「……それを、あいつが探しあてたかもしれない?」

ダンブルドア「そうかもしれんし、そうでないかもしれぬ。我々の手元にない限り、推測にしかならんのじゃ」

ハニー「……それじゃ、残り一つも手がかりなし、なのかしら?」

ダンブルドア「あぁ、そうじゃのう。実はこちらの方が確たる証拠がある、と考えておる。ナギニじゃよ、ハニー。あの者のペットじゃ」

ハニー「……あぁ、あの僕っ娘」

ダンブルドア「なにそれ知らんかった」

686: 2013/12/30(月) 18:24:51.75 ID:h2JBaqTH0
ハニー「動物を分霊箱に、って……危険じゃ、ないのかしら」

ダンブルドア「確かに、懸命とは言えぬのう。しかし、奴はあの復活の時点で分霊箱が目標の六つに足らないことを気にしておったことと思う」

ダンブルドア「おそらく最後の一つは、予言が示した存在である君の殺人をもって作るつもりだったのじゃろう……多分、ジェームズの眼鏡とかを戦利品にして。おっそろしい」

ハニー「うるさいわ」

ダンブルドア「おほん。もちろんそれは失敗に終わったわけじゃ。そして、あの肉体を取戻しつつある折に、老人を殺人したことにより魂が分断された……そこにおったのが、ぺティグリューや駆けつけない配下よりもよっぽど信用おける、ナギニだったのじゃろう」

ハニー「……」

ダンブルドア「いくら蛇語使いとはいえ、異常な程にナギニを操っておるようじゃ。それに、君がアーサーの襲撃事件を目撃したときも。元々、ナギニが奴の受け皿となっていたからこそ、と考えられるじゃろうて」

ハニー「あの蛇が、六番目の分霊箱」

ダンブルドア「最後の、分霊箱じゃ」

ハニー「? どちらでもいいでしょう?」

ダンブルドア「いいや、重要じゃようん、呼び名はのう」

ハニー「……日記と指輪は破壊済み、ロケットとカップは確実、それで……おそらくレイブンクローの何かと、ナギニ。それが、あいつの分霊箱なのね」

ダンブルドア「素晴らしい要約じゃ。その通り」

ハニー「あなたの言った、道のりはまだ遠いということが分かってきたわ……殆どが、どこにあるのかも分からないものじゃない」

ダンブルドア「そうじゃのう。今は、じゃが。わしは日夜それを捜し求めておる……そしてほどなく、そのうちの一つの場所を突き止められる、そう思っておる」

ハニー「!」

687: 2013/12/30(月) 18:31:05.73 ID:h2JBaqTH0
ダンブルドア「それらしい印をようやく見つけられたのじゃ。ほどなく――」

ハニー「発見、できたら。わたし……私も、一緒に行くわ!」

ダンブルドア「いいじゃろう」

ハニー「反対しないで!これは、私と……え?」

ダンブルドア「おぉーう、ハニー。どうしたね、ミネルバがくさや目の前に突きつけられたみたいな顔をして」

ハニー「それは知らないけれど……つ、連れて行って、くれるの!?」

ダンブルドア「いかにも。ハニー、君はその権利を勝ち取ったと思う。わしが共に協力してことにあたるだけのものを」

ハニー「……っ」


 フィニアス「……フンッ」


ハニー「意味ありげな声は無視するわ。えぇ、絶対……力になってあげるんだから」

ダンブルドア「……頼もしいのう、ほっほ」

698: 2013/12/31(火) 17:10:02.45 ID:9oE+FV9S0
ハニー「分霊箱を全て破壊すれば、あいつを……倒すことができるの?」

ダンブルドア「おそらく、そうじゃろう。分霊箱さえなくなれば、ヴォルデモートは切り刻まれ減損した魂をもつ、見下げ果てたこんちきしょうのクソッタレの滅すべき運命にある存在じゃ」

ハニー「言い方が軽いのよ、だから……けれど、分霊箱が次々壊されているのをあいつがただ待ってくれるというの?だって……」

ダンブルドア「その懸念はもっともじゃ、ハニー。じゃが、奴はどうやら自分の魂の分霊とその器が破壊されたことを、自分自身で感じ取ることは出来ないらしい」

ハニー「……自分自身なのに?」

ダンブルドア「自分自身なのに、じゃ。ヴォルデモートは今や悪にどっぷり染まっておるし、長きに渡り分霊と魂を切り離し過ぎた。我々が感じるような魂の存在を、奴は得られないのじゃ」

ハニー「……それじゃ、うまくやれば。あいつが分霊箱を全て失ったことを知るのは、あいつの最期の瞬間ということになるわけね」

ダンブルドア「そう、うまくやれば。じゃが、奴の頭脳と魔力は無傷であるということを忘れてはならぬ」

ハニー「……」

ダンブルドア「そう、ヴォルデモートのような魔法使いを頃すにはたとえ分霊箱がなくなっても非凡な技と、力を要するじゃろう」

ハニー「……それを、私にしろって」

ダンブルドア「そうじゃ」

ハニー「……知ってるくせに。私は……わたしには、そんな非凡な技も、力もないことを」

ダンブルドア「いいや、持っておる。君は、ヴォルデモートが絶対に手に入れることが出来なかったものをもっておる。君の力は――」

ハニー「っ、わかってる!わたしは、愛することができる!  それがどうしたっていうの!?」

ダンブルドア「そう、愛じゃ。ハニー、愛じゃよ」

ハニー「……じゃあ、予言の。わたしが、『闇の帝王の知らぬ力』を持つって言っていたのは……本当に、ただ、単なる愛……それだけ、だっていうの」

ダンブルドア「……単なる愛。そうじゃ、ハニー。君は、その偉大さを自分自身でさえ理解していないのじゃ」

700: 2013/12/31(火) 17:35:15.36 ID:9oE+FV9S0
ダンブルドア「これまで君の身に起こった様々な出来事。にも関わらず、君は人を愛し、世界を愛した」

ハニー「……」

ダンブルドア「ハニー、忘れるでない。予言が予言として意味を持つのは、ヴォルデモートがそのようにしたから、予言の通りに行動した時からなのじゃと言うことを」

ハニー「……意味が、よく」

ダンブルドア「ヴォルデモートは自分にとって一番危険になりうる人物に君を選んだ――正しく言えば、『そうすることで君を自分にとって最も危険な人物に“した”のじゃ』」

ハニー「……結局は、同じことでしょう?」

ダンブルドア「いいや、同じにはならぬ!ハニー、このことを理解しなくてはならん!!」

ハニー「っ」

ダンブルドア「ヴォルデモートがまったく予言を聞かなかったとしたら、予言は実現したじゃろうか?予言に意味があったじゃろうか?否じゃ!あの予言は、シビルが酒に悪酔いでもして口走った世迷いごと、それで終わったはずじゃろうて!」

ハニー「でも、けれど……わたしかあいつ、二人のうちどちらかが、もう一人を殺さなきゃ、って……」

ダンブルドア「それはヴォルデモートがシビルの予言を聞き、まんまとその通りの行動をとるという重大な間違いを犯したからじゃ!よいかね、ハニー!」

ダンブルドア「もしも奴がきみの父君を殺さなければ!君の心に燃えるような復讐の願いを掻き立てたじゃろうか!」

ダンブルドア「もしも奴がきみを守ろうとした母君を殺さなかったら!君に奴とのつながりや!あの者が侵入できぬほどの強い護りを与えることになったじゃろうか!」

ダンブルドア「否じゃ!ハニー、分からぬか?君はヴォルデモート自身が創り出した敵なのじゃ!」

ダンブルドア「それにも関わらず!!!復讐の動機も!!!奴との繋がりという氏喰い人どもが喉から蛇を出してでも欲しがる才能を得ながら!」

ダンブルドア「君は一度でも!!!よいか、一度でも!!!!闇の魔術に誘惑されたことがない!!!最もその淵に近くとも!!」

ハニー「当たり前だわ!!だって、それはわたしのパパとママを――」

ダンブルドア「それじゃよ、ハニー!つまり君は愛する力によって護られておる!あらゆる苦しみ、あらゆる悲劇に!!!!君の心は何度となく闇の力から誘惑されたはずじゃ!!その力を手に入れ、その力に身を任せ!!!!そうすうことがどれだけ楽じゃろう!!!どれだけ簡単じゃろう!!!!」

ダンブルドア「しかし君はそれを選ばぬ。君の心は純粋なまま、十一歳の時に『みぞの鏡』を覗いた時のままじゃ。ハニー。君の愛する力は、間違いなく偉大なのじゃ」

ハニー「……」

701: 2013/12/31(火) 18:04:08.55 ID:9oE+FV9S0
ダンブルドア「あの者は未だ理解しておらぬ。君が何者なのか、間違いなく自らの敵であるということは分かっていても」

ダンブルドア「どうして君は自らを損なうこと無しにヴォルデモート卿の心に入り込めるのか。どうして自分が君の心に入り込もうとすれば氏ぬほどの苦しみを受けるのか。この圧倒的な差はなんなのか、君の力がなんであるのか」

ダンブルドア「あの者は分かっておらぬ。ハニー、あの者は自らの魂を分断することを急ぐあまり、穢れのない、全き魂の比類なき力を理解する間がなかったのじゃ」

ハニー「…………結局、同じことだわ。全て同じこと。そんな力があるのなら、わたしはあいつを、殺さなければならない――」

ダンブルドア「『殺さなければならない』?もちろん、君はそうしなければならない!しかし、ハニー!それは予言のせいではない!!君がそうしなければ休まることができないからじゃ!!!!」

ハニー「……予言は、あくまで」

ダンブルドア「そうじゃ!ハニー、今この瞬間だけ、予言のことを忘れるのじゃ。さぁ、ヴォルデモートについて君はどう思う!どう考える!!」

ハニー「……パパ、ママ」

ダンブルドア「奴のこれまでの行動!奴のしでかしてきた恐ろしい行い!」

ハニー「……セドリック、シリウス」

ダンブルドア「奴への恐怖!ヴォルデモート卿を目の前にした時の絶望!混乱を!!」

ハニー「……あいつが手にかけてきた人たち……たっくさんの、みんな」

ダンブルドア「君はどうしたいのじゃ、ハニー!君には予言による宿命などない!!!それでも、君はどうしたいのじゃ!!ハニー・ポッター!!」

ハニー「あいつを、倒したい。わたし自身が、分からせてやりたい。そうしなくちゃ、いけないわ」

ダンブルドア「もちろん、君がそうしたいのじゃ!!」

ダンブルドア「そしてこれは、予言があったとしても変わらぬ!!君自身が何を選び、何を思い、何をするのか!それは決して予言が決めることではない!!!『君が』決めることじゃ!」

ハニー「……」

702: 2013/12/31(火) 18:12:21.81 ID:9oE+FV9S0
ダンブルドア「君は予言を無視して逃げ去ることもできる!」

ダンブルドア「君は予言を無視して自ら絶望し命を断つこともできる!!」

ダンブルドア「君は予言を無視して聖マンゴに横たわる輝かしい一等星を連れ出して世俗から切り離された白くて大きい家で彼の看病をしながら閉じこもることもできる!!!」

ダンブルドア「望むなら!!!それを君が望むならばわしは全て叶えよう!!!!!」

ハニー「……えぇ。とてもとても、それはステキね」

ダンブルドア「……しかし、ヴォルデモート卿は今でも予言を重要視しておる。君を追い続けるじゃろう。さすれば、確実に、まさに……」

ハニー「……一方が、他方の手にかかって氏ぬ」

ハニー「あいつがそうする限り、わたしは、何を選ぼうともあいつと対峙、しなくちゃいけなくなる」

ハニー「……わたしが、何を選ぼうと」

ダンブルドア「そうじゃ。何を、選ぼうとも」

ハニー「……でも全然、違うわ。選択の余地がなくったって、結末がほとんど、かわらなくったって」

ハニー「戦いの場に嫌々、ひきずりこまれるか……それとも」

ハニー「足が、震えたって。怖くて、仕方なくったって」

ハニー「頭を上げて、その場に歩み入るのか」

ハニー「この二つは、天と地ほども違うわ」


ハニー「このわたしを、私を誰だと思っているの?絶対に……絶対に、逃げてなんか、やるもんですか!」


ダンブルドア「……あぁ、ハニー。ジェームズとリリーは、君を誇りに思うじゃろうて」

703: 2013/12/31(火) 18:37:49.76 ID:9oE+FV9S0
翌朝

談話室

ロン「七つの魂、ひぇー。『例のあの人』がそこまで人間離れした豚以下だったなんて」

ハーマイオニー「……どこの本にも載っていないはずだわ。きっと、ダンブルドアが校長になった時に図書館から除外したのよ」

ハニー「えぇ、随分と難しくしてくれたわよね……けれど、これで」

ロン「あぁハニー!ヒンヒン!豚一団のワクワク分霊箱屠殺ツアー開催の日和はいつかな!」

ハーマイオニー「ワクワクとその他の乖離がひどいわ」

ハニー「……常に私と共にあるのはあなたたちの宿命だけれど。今回は、無理よ。ダンブルドアは、私だけを連れて行くつもりのようだもの」

ロン「……あの野郎、ハニーと二人きりをなんて」

ハーマイオニー「真面目に考えて、ロン。当然のことじゃない……むしろハニーでさえ道連れに選ばれたことが驚きよ」

ハニー「私が選んであげたようなものだけれどね」

ハーマイオニー「はいはい……ねぇ、ハニー?本当に怖くない?無理は、していない?」

ハニー「……」

ハーマイオニー「……聞くまでもなかったわね」

ロン「あぁ、だろうね」

ロン「何せ僕たちときたら!ハニーの話を聞いてる間中僕ぁ背中じゃなく膝に座ってもらえてハーマイオニーは目一杯抱きしめてもらってんだからねやっほう生きててよかった!!ヒンヒン!ヒーーーン!」

ハーマイオニー「あー、あの、ハニー?えぇっと、とても光栄だけど、そろそろその、ね?」

ハニー「……わたし、平気よ。分かってる。自分がとんでもなく怖がりで、臆病な子だ、ってこと」

ハニー「心細くて、歩みが、止まりそうで……けれど、あなたたちがいたから頑張れたの」

ハニー「今度は、一緒に来てもらえない。だから……ちょっと、忘れないように。確かめさせて?ね?」

ロン「誰だよ昨日のハニーが可愛いとか言ったの。ハニーはハニーで魔法界が眩しい」

ハーマイオニー「右に同じだわ魔法界赤い」

705: 2013/12/31(火) 18:50:08.19 ID:9oE+FV9S0
「あぁ、あなたたちが仲いいのを見ると戻ってきたんだ、って気がするわ……」

ロン「うん?誰だい君、ってことはケイティか!いや分かってたよ、うん。ほんとだよ」

ケイティ「……もう少し入院してようかしら」

ハニー「ケイティ!帰ってきたのね……大丈夫?」

ケイティ「すっかり元気よ! あー、この前の試合のことは聞いたわ。マクラーゲンはどこ?ちょっと二、三個呪詛でも浴びせないと」

ハーマイオニー「散々に散々な目にあっているからもう見逃してあげて」

ロン「寮長直々にね、もちのロンで」

ハニー「えぇ。ケイティが戻ったし、ロンもここのところ絶好調だもの。最終戦でレイブンクローを負かして優勝するチャンスは十分にあるわ」

ケイティ「へぇ?ロン、どうしたの?何か心境の変化?」

ロン「べ、べべべべべべつに!?なぁ、ハーマイオニーさん?」

ハーマイオニー「そ、そうね!ローニル!」

ケイティ「誰それ」

ハニー「それより、ケイティ……聞いてもいいかしら、あのネックレスのこと。誰に渡されたのか、思い出せる?」

ケイティ「……ごめんね。みんなに聞かれたんだけど、全然覚えてないの。最後に、女子トイレに入ったところまでしか」

ハニー「……」

ハーマイオニー「間違いなく、女子トイレに入ったのね?ケイティ、トイレの前とかでなく、中に?」

ケイティ「えぇ、ドアを押し開けたところまで覚えてるの。だから、私に『服従の呪文』をかけた人はドアのすぐ後ろに立っていたんだと思う。そこからは、二週間前に目を覚ますまでまーっしろ」

ハニー「……あー、あなたが間違えて、男子トイレに入っちゃった、とかは?」

ケイティ「そうそう、存在感ないから私よく利用して、たまるか!」

ハニー「……ごめんなさい」

706: 2013/12/31(火) 19:01:16.26 ID:9oE+FV9S0
ハーマイオニー「……つまりケイティにネックレスを渡したのは女の子、または女性になるわけね。女子トイレにいたのなら」

ハニー「……女の子に見える誰か、だわ」

ハーマイオニー「……ハニー、まだ諦めないの?」

ロン「マルフォイ黒幕説!」

ハニー「忘れないで頂戴、ホグワーツには大鍋一杯のポリジュース薬があるってこと……あぁ、もう一回フェリックスを飲もうかしら」

ロン「そりゃ、ハニー。あぁは言ったけど男子トイレがぎゅうぎゅうづめでホグホグがワツワツになること請け合いだね」

ハーマイオニー「ハニー、幸運には限界があるわ。スラグホーンの場合は、あなたにはもとから説得するだけの材料があったから状況を少し好転させるだけでよかったの」

ハニー「それなら、必要の部屋も……」

ハーマイオニー「あの部屋の強力な魔法が、幸運だけで破れるはずないでしょう?ねぇ、フェリックスの残りは……ダンブルドアとのあれのために、とっておくべきだわ」

ハニー「……そうね」

ロン「もっと煎じておきゃどうかな。ほら、ハニー。君の御言葉の次の次の次くらいにありがたいプリンスの助言を見てみようよ」

ハニー「比べるのもおこがましいわね、えぇ……あー」

ハーマイオニー「さーて、解毒の原理を理解できなかったお二人にこのページの元々の難解複雑さの時点から読み解くことが可能なのかしら?」

ロン「マーリンの髭、髭ってね。あれ?ハニー、このページ折れ目がついてるけどなんだい?」

ハニー「私にかかれば、と思うけれど……あぁ、えぇ。この呪文を覚えておこうと思っただけよ」

ロン「ふーん。敵に対して、か! スネイプの野郎に今度……」

ハーマイオニー「スネイプは味方、って、これも何度言えば分かるの、ロン!」

ロン「スネイプ黒幕説!」

ハニー「……」

707: 2013/12/31(火) 19:09:00.35 ID:9oE+FV9S0
ハニー「(ダンブルドアは、わたしを信用してくれた。だから、分霊箱の破壊につれていってくれる約束をしたんだわ)」


ハーマイオニー「分からず屋ね!スネイプはこちらの陣営、ダンブルドアが言ってるでしょう?」

ロン「うるさいなぁ!ハニーに取るあの態度やらなんやらを見てもあいつを庇えるなんて、君、あのベタベタ髪に気でもあるんじゃないか!?マーリンの髭!」


ハニー「(けれど……自分の身に呪いがかけられた時に真っ先に頼るほど、スネイプのことも信用してる)」


ハーマイオニー「どこをどう考えたらそうなるのよ!!!だ、大体、髪、って……」

ロン「なんだよ!はっきり言えよ!はぐらかすなよな、君らしくない!」


ハニー「(どうして……?どう考えたって、あの人は怪しいわ。何度聞いても、はぐらかされて……)」


ハーマイオニー「わ、私が好きなのは、アモルテンシアの匂いにあったのは、あ、あなたの、髪の、その!」

ロン「えっ……」


ハニー「夫婦喧嘩はシリウスも食べないわよ、二人とも」

ハーマイオニー「! に、ニヤニヤしないで!」

ロン「ま、マーリンの髭!!髭!!!!」





ハニー「(どうしてダンブルドアは、スネイプなんかを……)」

ハニー「(……プリンスの方が、よっぽど、信頼できるわね)」



『敵に対して  セクタムセンプラ』





つづく

708: 2013/12/31(火) 19:13:41.58 ID:9oE+FV9S0
っちゅうわけで年内はこれで
残りレスはあるんやけどスレタイの関係で完結は新スレで!すまんの!
明けて三日には
ハニー・ポッター「アルバス・ダンブルドアと、わたし」
ってスレ建てるんでよろしゅう!
じゃあの!



 ハリー・ポッターシリーズ

 一巻~七巻

 世界的大ヒット発売中!

 2014年後半、USJにて

 ハリポタアトラクション建設決定!!


 ハリー・ポッター指定教科書 『幻の動物とその生息地』原作スピンオフ映画

 2015年上映決定!!!!

709: 2013/12/31(火) 19:17:21.52 ID:it+F0Nrzo
キターーー
ありがとう! そしてよいお年を!
「天と地ほどの違い」やっぱ名シーンだわ

710: 2013/12/31(火) 19:22:08.65 ID:h7cDYyXk0
乙ヒン!!
>>1良いお年を!

引用: ハニー・ポッター「どうして、スネイプなんかを……」