1: 2013/09/23(月) 14:39:02.45 ID:xfCxUAHg0
隠れ穴

ロン「あぁハニー!僕の家に君を迎えられるっていう光栄な事態とか休暇を君と一緒に過ごせる豚どもが嫉妬のあまり阿鼻叫ヒンしっちまう事態ももちのロンで大事なんだけどさ!」

ハニー「えぇ、そうね。この私だもの、光栄すぎて外に降り積もる雪も輝きだしておかしくないわね」

ロン「むしろ僕には君がいるだけで反射でピッカピカに見えるけどねヒンヒン! あー、あのさ。フォんとうなのかイ?スネイプのクソッタレが、マルフォイに……?」

ハニー「何度も聞かないで頂戴。えぇ、そうよ。昨日の晩はっきりと聞いたの。マルフォイはお城で何か企んでいて、それの援助を申し出ていた、って。何度も聞かれるのは嫌いよ、あなたは知っているはずだけれど?」

ロン「そりゃ僕は君の一番の豚だからねごめんよヒンヒン!今後は君の発言一言一句違わずノートすることにするよ!」

ハニー「むしろいままでしてこなかったのが謎ね、まったく。そう、スネイプはこうも言ってたわ……マルフォイの母親と、破れぬ、誓い?それもしたんだ、って」

ロン「……じょ、冗談だろ?いや、冗談なのは君の信じられないような美しさで十分だけどさ!『破れぬ誓い』だって!?」

ハニー「なぁに?これ、そんなに驚くようなことなのかしら」

ロン「そりゃそうさ!そいつ、『破れぬ誓い』ってのはさ!絶対に破れない!破ったら氏んじまうんだ!」

ハニー「……」

ロン「……あれ?僕がハニーと交わす約束とそんなに変わらないな、うん!破るわけがないし、破ったらこう全身からマーリンの髭でも噴出して氏んじまうしね!」

ハニー「見上げた志だけれど、それなら城に帰ったら絶対にハーマイオニーと仲直りするって約束を――」

ロン「おぉっとハニー!ヒンヒン!芽キャベツの皮むき終わったからママに報告してくるよ!優しい君が家の手伝いをしてくれたことをママに一刻もはやくそのあれしてハニーがどれだけそのあれをそれしなきゃね!マーリンの!」

バタバタバタバタ!

ハニー「……この私にあの態度、戻ってきたら芽キャベツの皮をどうしてあげようかしら」

ハニー「それにしても……あの時スネイプとマルフォイが話していた『誓い』っていうのが、そんなものだっただなんて」

ハニー「……これでも、これでもまだ、ダンブルドアはあいつを……? どう考えたって……」

ハニー「どうして、スネイプなんかを信じるの……?」

ハニー「……」

ハニー「あの人の考えが、未だに分からないわ。シリウス……」

ガチャッ!

ロン「ただいまハニー!おっと!ごめんよ!芽キャベツ向いてたあの例の一番星印のナイフを胸に抱いて思い悩んでたのに――」

ハニー「えぇ、そうね。色々丁度いいわ、ロン。この芽キャベツも皮も、あなたなら全て丸呑みできると信じているけれど?」


6: 2013/09/23(月) 14:46:42.56 ID:xfCxUAHg0

10: 2013/09/23(月) 14:59:48.29 ID:xfCxUAHg0
ロン「うっぷ、げっぷ。あぁ、僕のお腹がハニーへの情熱くらい膨れあがってら」

ハニー「それじゃはちきれないといけないわね」

ロン「こぼれまくりだもんね僕ときたら、うん」

ハニー「それで? さっきの続きだけれど。そういえばロン、あなたよく『誓い』のことを知ってたわね?出来る豚だわ」

ロン「ヒンヒン!君から褒めてもらえるならあの双子に感謝しないとね!」

ハニー「フレッドとジョージ?」

ロン「うん、僕が五つくらいのとき、あいつらがふざけてその誓いをたてさせようとしてたんだ」

ハニー「……分かっていたけれど、昔からあぁなのね。でもそれは、洒落にならないじゃない?」

ロン「うん、君の美貌くらいね。それで、フレッドと僕が手を握って、ジョージが何か魔法をかける前に、杖がないことに気づいたパパが見つけてくれて」

ハニー「さすがのお父様も、怒ったのね?」

ロン「うん、ママくらい。あれはスカっとしたなぁ。それ以来二人とも、それぞれ左ケツと右ケツが調子出ないとかなんとか……」

フレッド「おーぉっとロニー坊や。ケツだのなんだのとそんな汚い話は我らが女王様に聞かせる話題じゃぁないと僕ぁ思うねぇ」

ジョージ「何よりそりゃ果たして人様に話すような事なのかと僕ぁ思うがねぇ。え、ロニー?お前のケツがどうなりたいって?」

ロン「」

ハニー「私の豚を痛めつけていいのは私だけよ、二人とも」

12: 2013/09/23(月) 15:23:57.42 ID:xfCxUAHg0
フレッド「見ろよジョージ、こいつらナイフなんかで芽キャベツを剥いてるやがるぜ」

ジョージ「哀れだなぁ、まるで魔法を知らないマグルかチビっこのようじゃないか?」

ロン「うるさいな。僕だってあと二ヶ月で成人だし、それに、ハニーはナイフが握れて嬉しいんだからほっとけよ」

ハニー「えぇ、そうね。私、家事は好きだもの。それだけよ」

フレッジョ「「それだけでしょうとも」」

ハニー「ステレオでうるさいわ」

フレッド「そんで、ロナルドよ。成人したらどうだっていうんだ?え?」

ジョージ「芽キャベツにマーリンの髭でも生やしっちまおうってのか?」

ロン「おぼえてろよ、17年分のうさを晴らしてやる」

フレッド「おぉ、コワイコワイ。おそらくきっと、たぶん、希望的観測では、お前はこれまでついぞ見せてくれたことのなかった魔法の技で僕らを追い詰めるのだろうな」

ジョージ「これまでついぞ、と言えば。ロナルドよ。ジニーから聞いたが君はなにやら今、城で面白いことになってるらしいじゃないか?え?ラベンダー、愛しい人と?」

ロン「僕の勝手だろ!ねぇハニー!」

ハニー「あー、えぇ……まぁ、そうね」

フレッド「おっと、こりゃスマートな対応で。大人の階段か」

ジョージ「方やこれまで見たことない歯切れの悪さだがねぇ」

ハニー「……色々あったのよ」

15: 2013/09/23(月) 15:37:51.15 ID:xfCxUAHg0
フレッド「しかしまぁ、ロン。お前が女の子と、なぁ」

ジョージ「その女性は何か事故にでもあったのかい?」

ロン「どういう意味だよ」

フレッド「そりゃお前、いくらハニーとは言え誰か他の女の子の尻に敷かれながら芽キャベツムシャムシャ食ってるような奴と」

ジョージ「どう考えたって、何かしらの脳の障害でも受けているような女の子じゃないと、そんなのとねんごろになるとはなぁ」

ハニー「私の豚と同級生を愚弄しないで頂戴」

ロン「そうだぞこんにゃろ!このナイフでマー髭に……」

ガチャッ

モリー「追加の芽キャベツですよ。ロン、お前ときたらお腹がすいたのなら何か作ってあげるのに――ロナルド・ビリウス・ウィーズリー!!!!」

ロン「ひぇ!ち、ちがうよママ!僕ぁ別に――」

フレッド「助けてママ!おたすけ!あぁ!」

ジョージ「ロナルドにころされっちまう!」

モリー「二人も邪魔をする暇があるのなら家事を手伝いなさい黙る!!!」

フレッド「おぉコワイ、僕らの非まで見逃さないなんて」

ジョージ「ママの視線はナイフより鋭いね、まったくさ」

ハニー「それに懲りないあなたたちの自業自得だわ」

16: 2013/09/23(月) 15:53:05.82 ID:xfCxUAHg0
モリー「まったく。兄弟同士で物騒な真似なんて、母さんに二度と見せないで頂戴」

フレッド「もちのそこの浮かれポンチ野郎さ、ママ」

ジョージ「物騒なのはママの鉄拳だけで十分だしな」

ロン「マーリンの髭」

ハニー「私がいれば平和そのものだから平気よ、お母様」

モリー「それはありがたいわ、ハニー。それで、フレッド、ジョージ。今日はリーマスがここに泊まるから、ビルをあなたたちの部屋に押し込んでいいかしら?」

フレッド「全然かまわないよ、うん」

ジョージ「トランクの中とか、うん」

モリー「そうなるとあなたたち二人の明日は土の中と思いなさい。それで、チャーリーは帰ってきませんからハニーとロンはロンの部屋。ハニー?いい?」

ハニー「えぇ、一人部屋も飽きてきたころだもの。ロン、久しぶりに枕になれるのを光栄に思いなさい」

ロン「ヒンヒン!あぁハニー!光栄すぎて僕の眼が君色になるに違いないよ!ヒンヒン!ヒン!」

フレッド「豚一同に聞かせてやりたいなぁ」

ジョージ「ただでさえ屠殺扱いだろうにな」

18: 2013/09/23(月) 16:16:09.59 ID:xfCxUAHg0
フレッド「ビルはフラーと一緒の部屋にしてやりゃいいじゃぁないか、ママ」

ジョージ「そうすりゃ来年には新しい家族が二人も増えてることになるぜ?」

モリー「だまらっしゃい! フラーはジニーと同じ部屋よ。これなら、えぇ、みんな寝場所を確保できたわね?」

ロン「そいつぁジニーにとっちゃいいクリスマスだよ、ママ。ほんと」

ハニー「お母様、なんなら私とジニーは代わってもいいわ。フラーは、お友達だもの」

モリー「あら、ハニー。優しいのね。でもね、ジニーも年頃だもの。兄とは言え男の子と一緒に寝るのは嫌がると思うわ」

ハニー「?」

フレッド「年頃の女の子、男の子と一緒に寝る、ねぇ。目の前がたまに見えてないよな、ママってさ」

ジョージ「そんだけロンがハニーにそっちの意味でヒンヒンするわけないってわかってんだろうがね」

ロン「そりゃ、僕ぁハニーの一番の豚だからね」

フレッド「そりゃすんばらしい。眠気が吹っ飛ぶ薬を無料で進呈してやるよ、ロン」

ジョージ「そんで、その口ぶりだとやっぱりパースは帰ってこないんだね、ママ?」

モリー「……パーシーは、えぇ。忙しいのですもの。魔法省できっと……それじゃ、芽キャベツをお願いね」

バタンッ

フレッド「ハッ。そりゃ、パースは大忙しだろうさ。それか、世界一の大間抜け野郎ってところだろうな」

ジョージ「どっちもだろうさ。きっと今のメガネは笑っちまうくらい堅物な額縁なんだろうね、まったく」

ハニー「……いつまで意地を張るのかしら、パーシーは」

ロン「せめて君の豚ならなぁ。マーリンの髭」

20: 2013/09/23(月) 16:29:00.50 ID:xfCxUAHg0
フレッド「そんじゃ二人とも、芽キャベツと仲良くな」

ジョージ「僕らはちょいと街の方まで姿現してくるよ」

ハニー「街?」

フレッド「そうとも。雑貨屋に飛び切り可愛い娘が働いててね。僕らが手品を披露するのを心待ちにしているのさ」

ジョージ「曰く、まるで魔法みたい!とね。おぉっとロナルド、少しは手伝えなんてなめた口をきくなよな?え?」

ロン「言ってないけど言わせろよ、君たちのせいで大分手間取ったんだから、杖の一振りくらいしてくれたっていいじゃないか!」

フレッド「いいや、そうはいかない。芽キャベツを魔法なしで処理するのは、人格形成に役に立つ」

ジョージ「マグルやスクイブの気持ちを理解できるしな。あとほら、屋敷しもべ妖精とかのことも」

ロン「S.P.E.Wが出るよ」

フレッド「そいつぁ才女様が聞いてたら、お前は血反吐を吐くことになっただろうなぁ」

ジョージ「ジニー曰く、そうでなくとも目を合わせただけでそうさせられそうらしいが」

ロン「……パースくらい意地悪いよな、ほんと」

フレッド「お前の頭ほどじゃねーよ」

ジョージ「我が弟ながら[ピーーー]よお前」

ロン「うるっさいな!!マーリンの髭!とっとと行けよ!!」

21: 2013/09/23(月) 16:29:35.75 ID:xfCxUAHg0
フレッド「そんじゃ二人とも、芽キャベツと仲良くな」

ジョージ「僕らはちょいと街の方まで姿現してくるよ」

ハニー「街?」

フレッド「そうとも。雑貨屋に飛び切り可愛い娘が働いててね。僕らが手品を披露するのを心待ちにしているのさ」

ジョージ「曰く、まるで魔法みたい!とね。おぉっとロナルド、少しは手伝えなんてなめた口をきくなよな?え?」

ロン「言ってないけど言わせろよ、君たちのせいで大分手間取ったんだから、杖の一振りくらいしてくれたっていいじゃないか!」

フレッド「いいや、そうはいかない。芽キャベツを魔法なしで処理するのは、人格形成に役に立つ」

ジョージ「マグルやスクイブの気持ちを理解できるしな。あとほら、屋敷しもべ妖精とかのことも」

ロン「S.P.E.Wが出るよ」

フレッド「そいつぁ才女様が聞いてたら、お前は血反吐を吐くことになっただろうなぁ」

ジョージ「ジニー曰く、そうでなくとも目を合わせただけでそうさせられそうらしいが」

ロン「……パースくらい意地悪いよな、ほんと」

フレッド「お前の頭ほどじゃねーよ」

ジョージ「我が弟ながら[ピーーー]よお前」

ロン「うるっさいな!!マーリンの髭!とっとと行けよ!!」

22: 2013/09/23(月) 16:30:26.48 ID:xfCxUAHg0
フレッド「そんじゃ二人とも、芽キャベツと仲良くな」

ジョージ「僕らはちょいと街の方まで姿現してくるよ」

ハニー「街?」

フレッド「そうとも。雑貨屋に飛び切り可愛い娘が働いててね。僕らが手品を披露するのを心待ちにしているのさ」

ジョージ「曰く、まるで魔法みたい!とね。おぉっとロナルド、少しは手伝えなんてなめた口をきくなよな?え?」

ロン「言ってないけど言わせろよ、君たちのせいで大分手間取ったんだから、杖の一振りくらいしてくれたっていいじゃないか!」

フレッド「いいや、そうはいかない。芽キャベツを魔法なしで処理するのは、人格形成に役に立つ」

ジョージ「マグルやスクイブの気持ちを理解できるしな。あとほら、屋敷しもべ妖精とかのことも」

ロン「S.P.E.Wが出るよ」

フレッド「そいつぁ才女様が聞いてたら、お前は血反吐を吐くことになっただろうなぁ」

ジョージ「ジニー曰く、そうでなくとも目を合わせただけでそうさせられそうらしいが」

ロン「……パースくらい意地悪いよな、ほんと」

フレッド「お前の頭ほどじゃねーよ」

ジョージ「我が弟ながら氏ねよお前」

ロン「うるっさいな!!マーリンの髭!とっとと行けよ!!」

23: 2013/09/23(月) 16:46:52.89 ID:xfCxUAHg0
ロン「くそっ、あいつら」

ハニー「兄弟のことを悪く言わないの、ロン。家族を大事に出来ない豚は嫌いよ」

ロン「ヒンヒン!あの二人ってまったくユーモアが満載だよな! 少し手伝ってくれれば、僕もハニーと一緒に出かけられたっていうのにさぁ」

ハニー「無理よ。ここにいる間は出歩かないって、意地悪豚と約束したもの」

ロン「称号に違わない意地悪っぷりだよあの豚……あぁハニー!君をまるで囚われのお姫様のような扱いにしちまってごめんよ!ヒンヒン!」

ハニー「姫なのはもとからでしょうけれど」

ロン「王族とかハニー差し置いて何抜かしてるんだって話だよな、うん。そういやあの豚と言えば、ハニー。マルフォイとスネイプのこと、ダンブルドアには話すつもりでありマすルフォイ?」

ハニー「えぇ、そうするつもりよ。やめさせられる人になら誰だってそうするつもりだし、あの豚はその筆頭だもの。そうでしょ?お父様にも機会があればもう一度話すわ」

ロン「君は思慮深さも海より深いねハニー!でもさ、あー、パパの反応からも君なら予想できるだろうけど……ダンブルドアの答えも、多分同じだと思うな」

ハニー「……『スネイプはマルフォイを助けるつもりなどなくて、逆に、マルフォイの企みを聞き出そうとしただけ』って?ダンブルドアの命令で」

ロン「そう、それさ。もちのロン、僕は君の直感を信じるというか他に選択肢はないけど。でもきっとそういうようなことを答えると思うな。ハーマイオニーも……えぇっと、ハーマイオニーは何て言ってたんだっけ?」

ハニー「……ハーマイオニーは最後の晩には疲れたみたいでもうベッドに戻っていたし、朝にはあなたとラベンダーが例の如くだから話す暇なんてなかったじゃない、と、何度も聞かれるのは嫌いだけれど、答えてあげるわ。ありがたく思いなさい」

ロン「ヒンヒン!ごめんよハニー! あー、うん、そうか……マクラーゲンの奴、ハーマイオニーに」

ハニー「なんともなかったどころかこっ酷くあしらわれたわ、ってば」

ロン「そっか……うん!あぁハニー!君ってほんと!輝いてるよな!うん!何故だか一層そう見えるよ!もちのロンで!」

ハニー「その理由に気づく頃には休暇が終わって居ると期待してあげるわ、ロン。私の豚ならしっかりなさい」

ロン「ヒンヒン!」

24: 2013/09/23(月) 17:01:53.22 ID:xfCxUAHg0
クリスマス・イブ

ドーーンドーン!
 ヒューーー!パチパチパチパチ!

ハニー「――凄い飾りつけね」

ジニー「だって、ハニー!あなたを迎えてのクリスマスなんだもの!去年に負けないくらい飾り立てるのは当然だわ!」

ハニー「えぇ、そうね。この私のために頑張ったのでしょう?褒めてあげるわ、ジニー」

ジニー「ヒンヒン!」

フレッド「その飾りは僕らの店の提供だってことを忘れないで欲しいね」

ジョージ「ツリーの天辺にいる妖精は別だけど。あれはここの庭小人さ」

ハニー「なにしてるのよ」

ロン「そうだぞ!でも本当はそこに飾る予定だった大きい星をハニーの席に置いてやったのはいい判断だ!おかげでハニーの機嫌と笑顔が――」

ハニー「ロン」

ロン「ヒンヒン!なんだいハニー!」

ハニー「天辺に庭小人一人じゃ、ツリーもなんだか物足りないのじゃないかしら」

28: 2013/09/23(月) 17:25:54.09 ID:xfCxUAHg0
ガヤガヤ 
 ザワザワ
~~~~♪

モリー「あぁわたしの~♪大鍋を混ぜて頂戴~♪ あぁ、なんていい曲かしら!ほら、ロン!あなたもそこから歌ってごらんなさい、ツリーの天辺からなら気持ちよく歌えるでしょう?」

ロン「あぁママ!支える手首がマーリンの髭状態じゃなければね!マーリンの髭!」

ハニー「パーティのご馳走に、豪華な飾りつけ。陽気な音楽に……お母様が久しぶりに楽しそうだわ」

アーサー「あぁ、モリーは賑やかなのが好きだからね……あの音楽はごめんよ、じきに終わるだろう」

ハニー「いいえ、気にしてないわ。ジニーと双子が爆発スナップゲームで遊ぶ音が聞こえないくらい音量が、そうね。少し大きすぎるのも……」


フラー「んーふん?この曲はジャズでーすか?でも、女のひとの声がぜーんぜん合ってませーん!」

ビル「あぁ、フラー。そりゃ、君の美声には届かないけどね。ほら、あんまり……」

モリー「あーぁ!なんていい曲かしら!!音量をあげましょう!そーれ!それ!!」

~~~~~~~~~♪


ハニー「……仕方のないことだもの」

アーサー「何が不満なのだかなぁ……ところでハニー、我が家はどうだい?何か不満は?」

ハニー「少しも。お父様の方こそ、お仕事が忙しかったようで大変ね」

アーサー「あぁ、実にね……これで実績が上がっていればよかったのだが、そうでないから始末に置けない……」

リーマス「――今月は、逮捕が三件あったと思うがそれでもかい?」

アーサー「あぁ、その三件のうち一つとして本当に『氏喰い人』だったのか疑わしいということさえなければ……おっと、ハニー。これは他言無用だよ?」

ハニー「……まさかまだ、スタン・シャンパイクを拘束してるわけじゃないわよね?」

アーサー「……そのまさかなんだ」

ハニー「……呆れた」

リーマス「ダンブルドアがスクリムジョールに直接抗議しているのだがね」

アーサー「あぁ、まともな人間なら、一度スタンと面会すれば奴さんが『氏喰い人』でないという意見で一致する……だが、『誤逮捕の後釈放』なんてことをするくらいならば、何かしているということを示すためにトップの連中はそういうこ事実をもみ消すだろう」

ハニー「それじゃ、スクリムジョールはファッジと同じくらいの人物でしかないということだわ。豚以下ね、まったく……この椅子の座り心地くらい、悪いわ」



ロン「クッションになれなくてごめんよハニー!でもほら!僕ほら!いま星の如くってああ僕じゃ役不足だよねマーリンの髭!!!」

29: 2013/09/23(月) 17:38:43.70 ID:xfCxUAHg0
ハニー「……お父様。私がホグワーツ特急に乗る前に話したこと、覚えているかしら」

アーサー「もちろんさ。私はロンの父親だよ?君からの大事な話は忘れるはずがない。あぁ、マルフォイ邸はしっかりと捜査した。しかし、何も――」

ハニー「えぇ、それは新聞で知っているの――リーマスに、その話は?」

リーマス「大体聞いているよ。君が、どうしてもドラコ・マルフォイを疑いたいということをね」

アーサー「あぁ……ハニー、また、あの話かね」

ハニー「当然、何度だって。リーマスも、聞いて。今日あなたに会えて良かったわ。実は、学期最後の日に――」


~~~♪

モリー「あぁ可愛そうな~~~♪ あわたしのハート~~~~♪」


ハニー「――それで、マルフォイはスネイプを一瞥もせずに去っていったわ。ねぇ、これは……」

リーマス「……こうは思わないかい、ハニー。スネイプは、ただそういうふりをして――」

ハニー「援助を申し出るふりをして、計画を暴こうとした?えぇ、そうね。お父様にもそう言われたわ」

アーサー「覚えてくれていて嬉しいよ、ハニー」

ハニー「けれど、疑わしいのは確かでしょう?だって、私達にはどっちだか判断できないのに……」

リーマス「私達は、判断する必要がないんだ」

ハニー「……どういうこと?」

リーマス「私達は、ダンブルドアがスネイプを信用している。この一点だけで、私達にとっては十分なんだよ。ハニー、きっとこれまで何度もこのことは言っていると思う」

ハニー「……ダンブルドアが信じるなら、私達もスネイプを信じるべきだ、そう言うの?」

リーマス「君にとっては、そして今頃チキンのにおいで飛び起きやしていないかという彼にとっても不満だろうが、私達にとってはそれが最良なんだ」

ハニー「…………ちょっと聖マンゴに」

リーマス「物の例えだよ、ハニー」

30: 2013/09/23(月) 17:51:52.00 ID:xfCxUAHg0
ハニー「ダンブルドアだって、間違うことはあるわ。それに、不満なのは……リーマス、あなたも同じでしょう?だって、正直に言って……あなたは、スネイプのこと」

リーマス「好きでも嫌いでもない。あぁ、これは本当のことだよ……学生時代にあれだけのことがあったんだ。お互いに仲良くするには私と彼の間にはあまりに苦々しい物が残る。あぁ、信じてはいるが、決して友人にはなれないだろう」

ハニー「だったら……少しは疑っても」

リーマス「ただね、ハニー。セブルスは少なくとも私がホグワーツで教員をしている間、毎月脱狼薬を煎じてくれていた。完璧に、だ。おかげで私は満月のひどい苦痛を和らげることができた」

ハニー「でも、だって!あなたが狼人間だってばらしたのは、スネイプで……!」

リーマス「きっといつかバレることだ。ハニー、その時も言っただろう?私に取っては慣れたもの……そんな些細なことよりも、それまで十ヶ月もの間私を薬で健やかに保たせてくれたことに、私は感謝したい」

ハニー「……ダンブルドアのいる前では、無闇に薬に細工できなかった、って、考えられない?」

リーマス「――っはは。君はどうしても、スネイプを憎みたいのだね……気持ちはわかるよ、あぁ。ダンブルドアには今日話してくれたことを伝えてみるといい。だが、私やアーサーと同じものが帰って来ると思っておくことだね。もしかしたら、セブルスはダンブルドアの命を受けて行動しているだけなのかもしれない」

ハニー「……」

~~~♪
 ジャーーーーン、 パチパチパチパチパチ!!

モリー「あぁ、感動的だわ!ねぇアーサー!十八の時、この曲で踊ったのを覚えてらっしゃる!?」

アーサー「あぁ、もちろんさモリウォブル……えぇっと、それじゃ音量を」

フラー「おーぉう、おわりまーしたか?なーんて酷い曲――」

アーサー「フレッジョ!!」

フレッド「オーライよしきたパパ!!いくぜ相棒!!点火!」

ジョージ「みんなツリーをみろよ!天辺から特大花火だぜ!」

ボォオオオオオオオッ!!!
 バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ

庭小人「ギャーーーーーーーッ!!!」

ロン「おいなんだよそれ聞いてなマー髭ぇええええええええええ!!」


リーマス「……あー、ハニー。ロンはあのままで大丈夫かい?」

ハニー「平気よ、私の豚だもの」

リーマス「……なんと、まぁ、相変わらず心強いね」

31: 2013/09/23(月) 18:00:52.94 ID:xfCxUAHg0
ハニー「私がここに来てから初めて顔を出してくれたけれど。あなたは今何をしてるの、リーマス?」

リーマス「地下に潜っているよ。文字通りに、同類と共にね」

ハニー「同類……チョコを作っていたり、するのかしら」

リーマス「あぁ、それはいい同士だ、うん。違う、『狼人間』たちさ」

ハニー「……まさか、スパイになっているの?」

リーマス「ご名答。だから君に手紙を送る事も叶わなかった、すまないね」

ハニー「それは、それは、いいわ。よくないけれど……どうしてそんな危ないことを!?」

リーマス「騎士団、おっと、君の豚団はみんな危ない任務をこなしているさ。何も私だけじゃない――大多数がヴォルデモート側の勢力である連中に取り入るには、私はお誂えむきだろう?」

ハニー「……巧く、行っているの?」

リーマス「芳しくはないね。ヴォルデモートが支配する世の中であろうと狼人間の地位が向上するわけではない、と、広めていきたいのが……グレイバックがいるかぎり、論駁するのは難しいだろう」

ハニー「グレイバック……?」

リーマス「……聞いたことがないのか?」

ギリッ

ハニー「……ご……ごめん、なさい」

リーマス「……!? ち、ちがうんだ、ハニー!あー、すまない!無意識に、その、睨んで、いや……ほ、ほら、チョコはどうだい……?」

ハニー「……強く握り締めた拳から唐突に出てきたチョコは、ちょっと遠慮したいわ」

32: 2013/09/23(月) 18:12:45.01 ID:xfCxUAHg0
リーマス「フェンリール・グレイバックは現存する狼人間で最も残忍な奴だ。出来るだけ多くの人間を、それも若いうちに噛み汚染することを自分の使命だと考えている」

ハニー「……そんなのが、あの黒豚の」

リーマス「そう。ヴォルデモートは獲物を与えることを約束した……それはもちろん、私達の社会では実現できるはずのないことだからね。子供のうちに噛み、親から引き離し、普通の魔法使いを憎むように育てあげる……娘や息子をグレイバックに襲わせるぞ、というのは、ヴォルデモートがよく使う脅しの手段だった」

ハニー「……」

リーマス「……そう、私を噛んだのも、グレイバックだ」

ハニー「!」

リーマス「父は、狼人間への反対運動をしていてね……皮肉なことだ、その息子が狼人間になるなんて。忌み嫌っていた、人の血を流すことを流儀とする奴らの同類に、私がなってしまったのだから」

ハニー「リーマスは普通の魔法使いだわ!同類なんかじゃ、ない!ただ、ただ、ちょっと――問題を抱えているだけで!!!」

リーマス「――」

ハニー「だから……」

リーマス「ッハハ、ッハハハハハハハハ!」

ハニー「? あの、どうして笑うのかしら……」

リーマス「いや、すまないね……ああ、やはり君はジェームズの子供だ。思い出したよ、彼が私のことを『ふわふわとした小さな問題を抱えているにすぎない、ただの甘党魔法使い』と言っていたのが。あぁ……ありがとう、ハニー」

ハニー「そう、パパが……ねぇ、そういえば……思い出したことがあるのだけれど」

リーマス「なんだい?シリウスは辛党だったよ」

ハニー「そうじゃなくて!    そのことは後でゆっくり、メモさせてもらうわ!」

33: 2013/09/23(月) 18:23:22.14 ID:xfCxUAHg0
ハニー「『半純血のプリンス』って呼ばれた人のこと、何か知らない?」

リーマス「半純血の……なんだって?」

ハニー「プリンスよ」

リーマス「……ハニー?君はどちらかと言えば、そうだな、『一番星のお姫様』とかの方がピッタリだと」

ハニー「そういう話じゃないの!もう! 私がもっている古い魔法薬の教科書が元々その人の持ち物で、そこに書いてあるものに随分と助けられから知りたいの。いろいろな呪文があったわ……『レビコーパス』とか」

リーマス「あぁ、あれは私の学生時代に大流行だったよ。五年生の時、ちょっと気を抜いていると踝から逆さづりにされる時期が……」

ハニー「――パパがその呪文を使っているのを、あの記憶の中で見たわ」

リーマス「……」

ハニー「……なんでもないのだけれどね。ただ、少しそんなこともあった、って、思っただけ。けれど、そうね。リーマスに、何か……」

リーマス「あぁ、分かるよハニー。だが、今言ったがあの呪文は随分流行っていたんだ。ジェームズだけでなく――」

ハニー「だって、それがあなたたちの時代に作られたものなら……!」

リーマス「ハニー、分かった。遠まわしな言い方はやめよう。ジェームズは間違いなく純血だ。それに、一度でも私達に自分を『プリンス』と呼ばせたことはないよ。何時だって彼は『プロングズ』だった。枝分かれの友、愛すべき鹿さ」

ハニー「……だって……」

リーマス「うん?」

ハニー「……パパ、っぽい、じゃない」

リーマス「………………あぁ、うん。否定は……しないよ?」

34: 2013/09/23(月) 18:30:21.74 ID:xfCxUAHg0
ハニー「パパでないのなら……シリウスは?ひょっとして、リーマス、あなたじゃ……」

リーマス「たしかにあの寝ぼすけもそういうキャラだけど、絶対に違う。満月に誓おう」

ハニー「……そう。その……少しだけ、そうだったらなって思ったの。助けられていたんだもの、そのプリンスに」

リーマス「どのくらい古い本なんだい?出版された年を確かめてみたら、何かヒントになるかもしれないよ」

ハニー「……考えたこともなかったわ」

リーマス「あぁ、人の思考というのは勝手だからね。一度決め付けると、中々確かな物を見過ごしてしまうものだ。私はそのせいで、十三年も――」


フラー「さっきの、あの歌?こーんなのでーす。ふーふふーん、ぼぉえ~~~~~♪」

モリー「」

アーサー「よーしみんな!明日はめでたいクリスマス!良い子は早く寝てプレゼントにそなえようそうしよう!」



ハニー「……お母様、般若顔だわ。リーマス、お話ありがとう。おやすみなさい」

リーマス「あぁ、私こそ。おやロン、中々めでたい髪型だね」

ロン「ゲホッ、ゴホッ、双子と、空気読めないだーれかさんのおかげでね!ヒンヒン!ハニー、行こうか!早くしないとママの雷が……!?は、ハーマイ鬼……あ、ちがうちがう、ママだっての!マーリンの髭!」

36: 2013/09/23(月) 18:44:40.21 ID:xfCxUAHg0


ロンの部屋

ロン「明日は君の豚どもからのプレゼントの山というか山脈でこの部屋が埋もれることだろうね!君の一番の豚として守りきるから安心してくれよハニー!ヒンヒン!」

ハニー「えぇ、そうね。たとえどんな困難な事態でも私の豚だもの、当然ね?」

ロン「ヒンヒン! ところでハニー、もうすぐ眠ろうってのに、その本を引っ張り出してどうしたんだい?何か、えーっと、呪いをかけられるようなら僕は眼を瞑って潔く受け入れるけど。そこの、なんだっけ?セクタムなんとかとか」

ハニー「そうじゃないわ、あなたはしっかりツリーの天使役をこなしたじゃない。むしろ褒めてあげるべき、そうでしょ?」フーッ

ロン「うひゃぁあぁぁ今から君の枕になるなんていう光栄さも受け取れるのに僕ときたら明日の朝には冷たくなってるんじゃいやそうに違いなキャノンズが1失点キャノンズが2失点……!!!」

ハニー「……教科書の、発行年月日」

パラパラッ

ハニー「……五十、年前」

ハニー「……ハーッ。おおはずれ、ね。薄々分かってはいた、けれど」

ボフッ

ハニー「ロン、腕。もう寝るわ」

ロン「! ひ、ヒンヒン!おやすみハニー!」

ハニー「えぇ、おやすみなさい。なんだか考えることが多いもの……あまりいい夢は見られそうにないけれど」

ロン「何言ってんのさハニー!君の豚は夢にまで出張残業大歓迎だよ!」

ハニー「……ふふっ、いい心がけね……」

ハニー「……」

ハニー「……スーッ」

ロン「……眠りのスイッチが子供レベルで早いハニーマジハニー」

ロン「さぁて、ここからが長いぞ……一番豚の夜は、キャノンズとシーカーが最悪のコンディションなチームとの試合くらい長いんだ」

ロン「キャノンズが3失点、キャノンズが4失点……」

ロン「……」

ロン「明日……ハーマイオニーは、プレゼント……」

ロン「……キャノンズが5失点!キャノンズが6失点!!!キャノンズが!!!」

ハニー「――ロン」

ロン「ヒンヒン!なんだい、ハニー!」

ハニー「外に降る雪で、キャノンズの前シーズン敗退シーンの雪像を作ってくれば、どうかしら」

56: 2013/09/29(日) 11:12:20.56 ID:f7F2BRHh0


ロン「なんだよこれ……まったく、僕がこんなもん欲しがるなんて、本気で思ってるなら……」

ハニー「んっ……んん……にゃにごと、なの……ロン……」

ロン「! おはようハニー!ヒンヒン!起こしてごめんよそれであぁ急で悪いけど僕ほんとちょっとトイレに行ってからでいいkヒンヒン!!!!」

ハニー「後にしなさい、このわたし、私が目覚めたっていうのに……んん……」

ロン「まったくだよねハニー君の目覚めなんてそのまま今日と言う日がようやく始まったに等しいいあぁ君ってほんと朝日みたいなすばらしさだよな!まったく!」

ハニー「……うるさい」

ロン「ごめんよハニー!ヒンヒン!」

ハニー「……ふぁ……それで、朝からなにかぼやいていなかった、かしら?」

ロン「あー、うん。ちょっとね……」

ハニー「もったいぶる豚は嫌いよ」

ロン「ヒンヒン! いや、そのさ……これ、見てくれよ」

ジャラッ

ハニー「あら、なぁにそのペンダント。金色でステキ――」


『わたしの――愛しい――ウォンウォン』


ハニー「……ラベンダーから、かしら?」

ロン「ご名答……僕がこんなもの着けると思ってるのかな、あいつ!」

ハニー「そうね、あまりいい趣味とは言えないわ……自分の持ち物みたいに、人にそういうものを着けさせるなんて」

ロン「まったくだよ!!!! あ、そういえばハニー!」

ハニー「なぁに?」

ロン「首輪用に鈴をありがとう!!ヒンヒン!あっという間にクリスマス使用のトナカイ豚にはや代わりさ!」

ハニー「えぇ、そうね。あなたはこの私の豚だもの、日々に合わせて私を楽しませる、そうでしょ?」

ロン「ちがいないよ! ったくそれにしても、ラベンダーは何考えて……」

工口ール「ケェーーーヒンッ!!」ガシャンッ!!!

ロン「うわぁっ!?え、工口ール!?君、窓に突っ込んで何してんのさ!?ツッコミ、不在……?何言ってんだよヒン語でもわけわからないなまったく!マーリンの髭!」

60: 2013/09/29(日) 11:24:41.84 ID:f7F2BRHh0
ハニー「ラベンダーったら、ほんと……そういうことをしそうな子じゃなかったと思うけれど。恋は盲目ね」

ロン「少しは目を見開いてほしいね、ほんと。普通の感覚してたら、こんなもんを人に送りつけるかい?」

ハニー「あなたが前にそういうものが欲しい、と言ったのではないのかしら」

ロン「うーん、覚えがないなぁ。というより、僕、ほとんどラベンダーと話をすることってないもんな」

ハニー「あぁ、そうね……」

ロン「そういえば誕生日も知らないよ、うん」

ハニー「……私のは?」

ロン「ヒンヒン!当たり前さ僕ぁ君の一番の豚だぜ!?7の月が終わるとき!!もちのロンでね!!」

ハニー「……ハーマイオニーは?」

ロン「9月の19日、だっけ?」

ハニー「……それで、ラベンダーは」

ロン「知らないなぁ……」

ハニー「……わたし……なんてことさせてるのかしら」

ロン「ヒンヒン!どうしたんだいハニー!落ち込む君ももちのロンステキだけどね!」

ハニー「知ってるわ」

63: 2013/09/29(日) 11:38:47.74 ID:f7F2BRHh0
ハニー「……私のほうにも、プレゼントがたくさんね」

ロン「全世界へ愛情を振りまきそしてその全てが億倍で返ってくる君だからね」

ハニー「億?まだ足りないと思うけれど」

ロン「ヒンヒン!君にかかれば不可思議レベルに愛情溢れっちまうってわけだねハニー! 開けてみなよ、僕のほうもこの金色ケバケバよりはマシなものがあるといいな……女の子になる薬とか」

ハニー「えぇ、そうね。そうすればあなたも少しは……あら、ハーマイオニーからだわ」

ロン「あぁ、へぇ……大長編な手紙に、それは……」

ハニー「……お菓子の詰め合わせね、えぇ。ずいぶんたくさん」

ロン「……HAHAHA!今年は、ほら!僕に買う分がなかったから盛大に買ったんだろうね、うん!そりゃ、君にはいつだって盛大すぎるくらいに貢ぐのは豚の勤めだし義務だけどさ!!HAHAHA!」

ハニー「……私が甘いお菓子をそんなに食べないと言うことは、ハーマイオニーに限って忘れるはずがないけれどね」

ロン「そういえば!なんだよハーマイオニーのやつ!マーリンの髭!」

ハニー「そうじゃなくて……あなた、ほんと、普段は過ぎるくらいに察しがいいのにどうしてこう……」

ロン「なんだい?君が聖マンゴにたっくさん写真とかなんとかを送ったことならそりゃもうもち痛い!!ありがとうございます!!ヒンヒン!!!」

64: 2013/09/29(日) 11:48:44.93 ID:f7F2BRHh0
ハニー「『……ベッタリ見せ付けるどこかの誰かさんたちがいなくって、こちらはゆっくり冬休暇をすごしています』ですって」

ロン「はっ、な、なんだよ!僕にだってこう、イチャイチャする権利はあるぞ!髭が固い監督生さんはこれだからマーリンなのさ」

ハニー「ハーマイオニーに髭はないし、髪の毛はふわふわよ彼女は……そうね、城に戻ったらハーマイオニーと私で見せ付けることにしなくっちゃ」

ロン「よろしく、どうぞ……えーっと、そういや。まったくもって関係ないしどうでもいいし本当ならこんなくだらない話題を君というくだりまくる存在に振ることじたい僕にとっちゃ屠殺ものなんだけどさ」

ハニー「なぁに?言いたいことははっきり、豚ならばね」

ロン「ヒンヒン!えーっと、ほら。ナメクジじいさんのパーティじゃ、ハーマイオニーはほら、あのマクラ野郎とどうだったんだい?」

ハニー「……」

ロン「奴さん、アレだからね。ほら、ハーマイオニーも、見せ付けてたんじゃ……」

ハニー「……そうね、そういうことはしようとしていたみたい」

ロン「……ちょっとママに吼えメールの出し方を」

ハニー「けれど、ハーマイオニーはあしらったようだったわ。うまくいきっこないわよ、あんな人と……わたしのハーマイオニーは」

ロン「!そりゃいいや!ヒンヒン!あぁハニー!なんだろうね嫉妬しちまう君もほんとステキだねヒンヒン!」

ハニー「あなたの場合は面倒ね自覚もないのでしょうけれど……確か、蹴り上げた、と言ってたわ。マクラーゲンのこと」

ロン「……Oh」

ハニー「その後なにかおかしなことも口走っていたけれど。まったく、あの人……」

ロン「……マクラーゲンは許した」

ハニー「?」

ロン「こっちの話だよハニー、君って最高だよな」

ハニー「知ってるったら」

65: 2013/09/29(日) 12:03:54.01 ID:f7F2BRHh0
ハニー「お母様からは、スニッチの刺繍がされた赤いセーター……あたたかいわ」

ロン「僕は例年通り豚のマークだ。さすがママ、わかってるぜ……そっちの、双子からの箱は僕があけるよハニー。何が飛び出すかわかったもんじゃないや」

ハニー「えぇ、そうね。きっとWWWの商品だとは思うけれど……あら?」

ロン「――ウェッホ、ゴホッ、ウェッ、あいつらちっくしょ、口の中にマーリンの髭が、ゲホッ、生えてくる煙なんて、よくもハニーに、いや、僕がゴホッ、代わりに開けること見越して、ゲホッ、マー、髭!ウェッ! うん?なんだいハニー……その黒い箱」

ハニー「……クリーチャーから、だわ」

ロン「……おったまげー。あいつ、いつの間に豚に」

ハニー「そうじゃないと思うわ。それは、私の前に跪くのは命あるものすべての義務だけれど」

ロン「あぁ、だからこうやって僕は君を背中に乗せながらマー髭を口から抜き取ってるわけだしねありがとうございます」

ハニー「クリーチャーは、あの屋敷と一緒に私が相続したのだもの……でも、彼?に何か送るだなんてこと、考えてもなかったわ……」

ロン「それこそ全人類だと思うね、僕ぁ。ハニー、それこそ開けないほうがいいんじゃないかな」

ハニー「そうはいかないわ。どんな形にしろ、私に送られた愛情だもの」

ロン「君って全身の水分が涙に変わっちまうくらいやさしいよね知ってるけど」

ハニー「えぇ、そうね。それにこの箱……黒いじゃない?」

ロン「……うん」

ハニー「きっと、悪いものではないと思うけれど」

ロン「…………ハニー」

ハニー「なぁに?」

ロン「………………僕、髪、黒く染めようかな」

ハニー「その赤毛はあなたたち家族の誇りでしょう?」

ロン「ヒンヒン!」

66: 2013/09/29(日) 12:29:32.62 ID:f7F2BRHh0
厨房

モリー「メリー・クリスマス!ロン、ハニー!」

ハニー「……メリー・クリスマス、お母様」

ロン「……メリー髭、ママ」

フレッド「おいおいおい、どうしたお二人さん。まるで敗れに敗れてチームのモットーが『勝つぞ!』から」

ジョージ「『祈ろう、なにとぞ上手くいきますように』に変わっちまったキャノンズチームのような面して」

ジニー「しおらしいハニーステキ!」

フラー「オッオー、ハァニー?わかりまぁーす。わたーしも、きのうのおかーしな歌があたまに残って――」

モリー「ウォッホン! どうしたって言うの?何か、おかしなプレゼントでもあったかしら?魔法省の検査を通しているから、そんなはずはないと……」

ロン「……それじゃクリーチャーのやつ、どうやってあんなもんを」

ビル「フラー、その話はやめろって言ったろ?――クリーチャー?あいつがどうかしたのか?」

ハニー「……彼?からのプレゼントの箱の中に……蛆が、山ほど」

ジニー「……ちょっとホグワーツの厨房にこうもり鼻くその雨をふらしてくるわ」

フレッド「手伝うぜ我が妹よ、全く、人の嫌がることはしてはいけないと習わなかったのかねぇ!」

ジョージ「奴さんによーく教えてしんぜようじゃぁないか。子供でも知ってるその掟というのを!」

ハニー「どの口が言ってるの……いやなものを見たわ。本当、クリーチャーはどうやって……」

リーマス「妖精の呪文は、私たち魔法使いが使うものとは種類が異なる。おそらく彼はここに、直接持ってきたんだろう……ほら、ハニー。そういう時はこれに限るよ」

ハニー「……リーマス。ずいぶんとチョコのストックが増えたようね」

リーマス「どうやらみんな、私に送ると言えばそれしか思いつかないようでね。ありがたいよ、本当に」

69: 2013/09/29(日) 12:52:20.41 ID:f7F2BRHh0
ハニー「お母様、ずいぶんステキなものをお召しね?」

ロン「僕の首輪ほどじゃないけどさ。どうしたのさそのダイヤがきらきらな三角帽に……どこかの何かと違って趣味のいい金のネックレスは」

モリー「フレッドとジョージがくれたのよ! きれいでしょう?」

フレッド「あぁ、ママ……僕らはママにますます感謝してるのさ、うん」

ジョージ「自分たちでソックスを洗うのが、あれ程までに苦痛だとはね」

ビル「あぁ、わかるよ……あっちで一人暮らしをはじめてから、ママの杖さばきがどれだけ巧みだったか実感したものさ」

フラー「かーじの魔法は、繊細でーす!わたーしや、ハァニー?あなたくらいでないといけませーん」

ハニー「えぇ、そうね。家事は得意だわ、魔法でやったことはないけれど」

フラー「あの、とーんくすもダメダメでーす。いつもぶつけてばかり――」

モリー「ウォッホン!そのトンクスですけどね! 今日も招待したのですけど、来れないのよ……リーマス?最近あの子と会いました?」

リーマス「いや、ご存知の通り私は最近誰とも接触していないよ……でも、ほら。彼女には一緒にすごす家族がいるだろう?」

モリー「……そうお思い?え?」

リーマス「……あぁ、そう思うね」

アーサー「モリー、モリー。母さんや、すごむのはやめなさい、ほら、リーマスもだが、ほら、家族みんながすくんでしまうじゃないか?モリウォブル?」

フラー「オッオー、オーガでーす!」

70: 2013/09/29(日) 13:27:27.16 ID:f7F2BRHh0
ハニー「トンクスと言えば……ねぇ、リーマス。あなたは守護霊の専門家よね?」

リーマス「あぁ、そう呼んでもらえると鼻が高いよ。どうしたね?君の守護霊のことは、まぁ、規格外だから参考にならないと思ってほしいけど」

ハニー「そうじゃなくて。あのね、トンクスの守護霊が変化したそうなの……今学期の始めに、スネイプが言っていたわ」

リーマス「……ふむ」

ハニー「そんなことがあるなんて、思ってなかったけれど……どうして変わってしまうの?」

リーマス「あぁ、そうだな……時には、強い衝撃……それに、あー……精神的な、動揺とか」

モリー「精神的な同様!!ホーーー!ヘーーーェ!?」

アーサー「ほらモリー落ち着いて、ほら、私もいい加減にしろこのチョコ魔めとは思うがね、ほら、外のロンが作った雪像でも眺めておちつくんだ」

ロン「僕ぁ自分で作っておきながらあれ見てると涙が出てくるけどさ……あれ?」

モリー「まったく、ロナルド。どうしてあんなもの…………まさか」

ハニー「私が頼んだの、お母様。見逃して……あら?誰かが、庭の端に……でもここは今、魔法省の保護が……」

モリー「あぁ――あぁ!そう、そうね!そんな中に入ってこられるのは、私たちのお客様か――魔法省の、方、くらい――あぁ!!アーサー!!!パーシー!パーシーだわ!!」

アーサー「なんだって!?」

モリー「あぁ、それに!後ろにいらっしゃるのは……大臣!?パーシー!なんて立派に……!」

ジニー「……」

フレッド「……」

ジョージ「……」

ロン「……」

ハニー「……」

ザクッザクッザクッ

ガチャッ、キィィィィッ

パーシー「……あー……お、お母さん。メリー・クリスマス」

モリー「あぁ、パーシー、パーシー!!」

パーシー「うわ!あ、はは……母さん、その、飛びつかなくっても、その……」


フレッド「あぁ、まったく、そのまま締め頃しっちまえばいいのにな」

ジョージ「見ろよあの面白くない額縁眼鏡、くそ食らえだなまったく」

ハニー「……一応、感動の再開なのだから邪魔しないの。それで……パーシーのあとから、入ってきたのが」


「――突然お邪魔して、申し訳ありません」


ハニー「……ルーファス・スクリムジョール……新しい、魔法省大臣」


スクリムジョール「パーシーと二人で近くによりましてね――もちろん、仕事で。彼が、どうしても、なんとしてもみんなに会いたい、そう言って仕方のないものですから。まったく、家族想いの部下をもつと苦労しますよ」

71: 2013/09/29(日) 13:49:03.96 ID:f7F2BRHh0
モリー「あぁ、パーシー、パースちゃん……!」

パーシー「は、はは、パースはやめてよ、お母さん……」


ロン「……家族に会いたいって言ってた、って割には、僕らの方をこれっぽちも見ようとしないけどね」

ハニー「……今度はお父様と、双子の表情が穏やかじゃないわ」

アーサー「……リーマス、すまないが私の杖を預かっていてくれないか。あと、もしもの時のために君が杖を抜いておいてもらえるとありがたい」

リーマス「……あぁ、任されたよ」

フレッド「……ヒキガエル形の縁にして」

ジョージ「いやむしろカエルそのものを」


モリー「あぁ、なんていい日なんでしょう!さぁ、大臣!どうぞお入りになって!なにか召し上がってくださいな!七面鳥とか、そう!パーシー、あなたずいぶんとやせたわ!さぁ、母さんの料理を――」

スクリムジョール「いえいえ、あー、モリーさん?」


ハニー「……ここに来る前にパーシーから聞いておいたのね」


スクリムジョール「団欒をお邪魔したくありませんのでね。パーシーが、どうしても、みんなに会えないのならば年末の書類をすべて暖炉の火にかけてやる!と言い出して聞かなかったものですから」

モリー「あぁ、パーシー!!そこまで!!そこまでして!!」

パーシー「は、はは……あの」


アーサー「……あんなことがあっても私は魔法省を離れるつもりはなかったのだけどね。今猛烈に切り捨てたくなってきた今の職を」

リーマス「うらやましい立場だよ私からみれば、落ち着くんだ」


スクリムジョール「さて、さて。積もる話もあるでしょう、私はステキな庭を散歩していましょう……面白い雪像もあるようだ。誰か、庭を案内してくださる方は……おっと、そちらのお嬢さんは、どうやら皿が空のようで」

ハニー「……」

スクリムジョール「ご一緒に散歩はどうですかな?」

ハニー「……この」

ロン「ガツガツガツガツムシャムシャ!ほらよ!僕の皿も空っぽだこのライオン髭!案内してやるからついてこい!マーリンの髭!!!!」

ハニー「いいわ、ロン。大丈夫。えぇ、大臣――ステキな散歩と、行きましょうか」

72: 2013/09/29(日) 14:15:33.31 ID:f7F2BRHh0


スクリムジョール「……ユニークな雪像だ。これは、あー、クィディッチの?」

ハニー「……チャドリー・キャノンズの選手たちよ」

スクリムジョール「なるほど。あぁ、なに。私も人並みにクィディッチは好きなのだがね。つい先日までは闇払い局の局長、今はなんとまぁ魔法省大臣なんてものをしているせいで、最近リーグ戦のひとつも見ていない……」

ハニー「……」

スクリムジョール「……君は聡いとの話だ。ごまかすのはやめよう。ずいぶんと前から君に会いたかった、そのことは知っていたかね?」

ハニー「私と会い見えたいと願うのは誰だってそうだと思うけれど」

スクリムジョール「あぁ、何せ君は時の人だ、そうだろう?しかし……ダンブルドアが君を、しっかり保護していた」

ハニー「……私のできる豚だもの」

スクリムジョール「当然だ、もちろん当然だ。魔法省であんな出来事があったあとなのだから……だが、大臣職についてからずっと君に面会する機会を望んでいた私の訴えまで、すべて妨げることはない」

ハニー「……」

スクリムジョール「あぁ、ダンブルドアの言い分もわかる、守らねばならない事情も理解している――だが、現に今!噂は飛び交っているのだ!それを私自身が確認せずにどうしろというのだね?」

ハニー「……」

スクリムジョール「当然、こういう話には尾ひれがつく。私とて、すべてを頭から信じ込んでいるわけではない――予言の囁きだとか、君が」

ハニー「高貴で可憐で儚げで、伝説的で道徳的で家庭的で模範的だ、って」

スクリムジョール「それも何度か聞いたが――『選ばれし者』だとか、いうことだ」

ハニー「……」

73: 2013/09/29(日) 14:37:24.92 ID:f7F2BRHh0
スクリムジョール「君は、このことについて――ダンブルドアと、話し合ったのだろうね?」

ハニー「……えぇ、まぁ。そうね。私の話をするのは、あの豚にとっても光栄なことでしょうもの」

スクリムジョール「それで――どんなことを?」

ハニー「それを、あなたに教えるつもりはないわ。二人だけの秘密なの、生憎だけれど」

スクリムジョール「……」

ハニー「……」

スクリムジョール「……あぁ、もちろんだ。そうだとも、秘密ならなにも無理に君に明かして欲しいとは思わない」

ハニー「……(親しげな口調は、まだ。崩れないわね)」

スクリムジョール「いや、いや、誤解しないで欲しいのだがね……しかし、いずれにしてもだ。君が『選ばれし者』であろうとなかろうと、たいした問題ではない。そうだろう?」

ハニー「……」

スクリムジョール「そうは思わないかね?」

ハニー「……おっしゃる、意味が。分からないわ。どういうこと?」

スクリムジョール「つまりだね――あぁ、そうだろう。君にとっては、大した問題なのだろうが、ハハハッ」

ハニー「……」

スクリムジョール「実際のところ真偽はどちらでもいい。重要なのは認識の問題だ――魔法界全体が、君を――英雄だと信じている! このことが、問題なのだよ」

ハニー「……そう。なんとなく、話が見えてきたわ」

スクリムジョール「選ばれていようがいるまいが、君は一体これまでに何度『名前を呼んでは――」

ハニー「ヴォルデモート」

スクリムジョール「!――その人と対決してきたことだろう!とにかく、要するに。ハニー、君は多くの人たちにとっての希望の象徴なのだ」

ハニー「当然ね、この私の美しさをもってすれば。あの黒豚のことなんて関係ないわ。この、私だもの」

スクリムジョール「あぁ、一部の人間にとってはそれもあるだろう。しかし、そう。『あの人』を破ることができるかもしれない、そう運命づけられているかもしれない!――君のそういう可能性こそが、人々を元気づける、高揚させることができるのだ」

ハニー「……」

スクリムジョール「どうだろう――魔法省は君に協力できる。人々の不安を晴らし、気持ちを和らげるために――そう、このことに気づけば君も、これこそ君の義務だと考えるようになるだろう。私はそう、確信して――」

ハニー「私が。魔法省のために仕事をしている。そういう風に人々に印象を与えたい、そういうこと?」

スクリムジョール「あぁ、なるほど!噂通り、聡い子で助かるよ」

74: 2013/09/29(日) 14:49:06.55 ID:f7F2BRHh0
スクリムジョール「たとえば、時々魔法省に出入りする姿を見せてほしい。そう、そのときは私がアトリウムまで出迎えよう」

ハニー「……」

スクリムジョール「それにもちろん、闇払い局の新しい局長ガウェイン・ロバーズとも話ができる。そう、人々に私たちが深く互いに関与していると思ってもらうのだ。そしてそれは、今後実現するものと期待しているよ」

ハニー「……」

スクリムジョール「あぁ、ロバーズと言えば。ドローレス・アン……ウップ……アンブリッジが教えてくれたのだね。君は、闇払いになりたいという志を少なからず持っている、と?」

ハニー「!」

スクリムジョール「もちろん、そう。それは――いとも簡単にかなえることができるだろう。私を誰だと思っているね?」

ハニー「少なくとも、私の豚たる人材じゃないわ……あの人……あの女蛙は、まだ……」

スクリムジョール「どうだろう、ハニー。散歩のついでに、これから共に魔法省へ――」

ハニー「お断りするわ」

スクリムジョール「そうだろう!お断り!では、パーシーをすぐ……………は?」

ハニー「魔法省になんて、この私の美しさできらめく髪の毛の先も入ってやらないと言っているの。冗談はやめて頂戴。魔法省に出入り?それじゃ、まるで私があなたたちのやろうとしていることを認めているかのようじゃない」

スクリムジョール「は、あ?あぁ、まぁ、そうだ。それもひとつに、は我々の望むことで――」

ハニー「無実のスタン・シャンパイクを。私のかわいい車掌豚を監獄に入れているようなあなたたちとは。絶対に上手くいくはずがないと思うけれど」

スクリムジョール「――――君に理解してもらおうとは思わない。認めるだけでいいのだ」

ハニー「あらあら、ダメね。自分を隠すのがずいぶんと下手みたい、あなた。この私を少しは見習えばどうかしら」

75: 2013/09/29(日) 15:06:09.64 ID:f7F2BRHh0
スクリムジョール「今は危険なときだ。何らかの措置をとる必要がある。そう、措置をとっていると人々に感じてもらうことこそが重要なのだ。この判断は、君のような十六の小娘に――」

ハニー「あきれた、歳をとっていることしか自慢できないの?それじゃ、ダンブルドアはどうなのかしら。ダンブルドアはとっくに十六を超えているけれど、スタンをアズカバンに送るべきではないと言っているわ」

スクリムジョール「……」

ハニー「あなたは。あなたたちはスタンを犠牲者に仕立て上げて。それで今度は私をマスコットに祭り上げようとしてる」

ハニー「冗談じゃないわ。この私を崇め奉り崇拝するのは当然のことだけれど。どうしてあなたたちの思惑の上だなんて、すわり心地最悪なものの上に立たないといけないの」

ハニー「生憎と私には居心地のいい場所と、すわり心地のいい出来た豚と、柔らかいて良い匂いの抱きしめるものと――いつだって心を照らすお星様があるの」

ハニー「あなたたちなんていらないわ。お帰りいただける?」

スクリムジョール「……」

ハニー「……」

スクリムジョール「……そうか、君はむしろ――ダンブルドアと同じに――魔法省から分離することを選ぶわけだな?」

ハニー「利用されるのはまっぴらよ」

スクリムジョール「私たちに利用されるのは君の義務だという者もいるだろう!」

ハニー「私に義務の話をするのならば、監獄に入れる人間を本当に氏喰い人なのか調べるあなたたちの明確な義務を果たしてからにしていただけないかしら」

スクリムジョール「っ」

ハニー「あなたたちはいつも間違うわ。いつも、いつも!バーティ・クラウチのように自分の正義を振り回して一番守るべき人たちを守らなかったり!かと思えばファッジのように目と鼻の先で起こったことに知らぬ存ぜぬを決め込んだり!今度はあなたのようにお門違いの人間を牢獄に入れて、『選ばれし者』なんてものを利用しようとしてる!」

スクリムジョール「では、君は『選ばれし者』ではないのか?」

ハニー「どうだっていいでしょ!あなたも言っていたじゃない、どっちにしろ大した問題じゃない!ちがう?」

スクリムジョール「――失言だった。君の気持ちを考えない、まずい言い方で」

ハニー「謝ることないわ、許してあげる。えぇ、あなたがここで私に語ったことで、数少ない正直な言葉がそれね。私がどんな運命にあろうが、私が氏のうが生きようがあなたには関係ない。とっても正直だわ!だから私も、正直に答えてあげる!」

ハニー「『私は嘘をついてはいけない』!これはあなたの大事な部下の蛙さんが、去年私に刻ませた言葉でしょ!?」

スクリムジョール「き、刻む?どこに……」

ハニー「それ以上言うと私の一番の豚がひどいわよ」

77: 2013/09/29(日) 15:20:28.70 ID:f7F2BRHh0
ハニー「ヴォルデモートの復活を私がみんなに教えようとしたとき、あなたたちが私にしたことを私は忘れてないわ。魔法省は去年、こんなに熱心に私に擦り寄ってこなかった」

スクリムジョール「……」

ハニー「恥を知りなさい。さぁ、かえって。このステキなおうちに、あなたのような豚いかな人間がいるなんて我慢ならないわ」

スクリムジョール「……ダンブルドアは何をたくらんでいる」

ハニー「あきれた。また、ダンブルドアを悪役にするつもり?ヴォルデモートっていう明確な敵がいるのに、そうまでして?」

スクリムジョール「っ、ちがう! ホグワーツを留守にして、ダンブルドアは一体何をしているのだ!」

ハニー「知らないわ」

スクリムジョール「……知っていても、私には言わないのだろうな。違うかね?」

ハニー「えぇ、そうね」

スクリムジョール「さて、それなら――またほかの手立てを探ってみるほかないということだ」

ハニー「やってみればいいわ。けれど、あなたはファッジより賢そうだから分かっているはずよ」

スクリムジョール「……」

ハニー「ファッジはホグワーツに干渉しようとした。結果、ファッジはもう大臣じゃないけれど、ダンブルドアは校長のまま。あなたがその椅子に少しでも長くしがみついていたいのなら、ダンブルドアに手出ししないほうがいいわ」

スクリムジョール「……………」

ハニー「……」

スクリムジョール「なるほど、よくわかった。ダンブルドアは君をずいぶんと手なずけたようだ」

ハニー「……」

スクリムジョール「骨の髄までダンブルドアに忠実だな、ポッター。え?」

ハニー「私はむしろ――――いいえ」

ハニー「そうよ。私は……わたしは、ダンブルドアを信じてる。さよなら、大臣」



ハニー「今にパーシーがほっぽりだされるから、それをもって帰るのも忘れないで頂戴――」


バーーーーンッ!!!

パーシー「いたいっ!!やめっ、やめ、あぁああああ僕の眼鏡、眼鏡があったとこがなにかヌルっとしてるぅううううう!!」

フレッド「やぁやぁお似合いじゃないか石頭にとっても栄えてるぜまったくさ!とっとと出てけ蛙眼鏡が!!」

ジョージ「大事な蛙上司にかわいがってもらえよ完璧・パーフェクト・パース坊や!!式には呼ぶなよな!!」


スクリムジョール「……使えない男だ」

ハニー「ロン。あの人、私のスカートの中に以上に興味を示したのだけれど」

ロン「ヘイ大臣、クーデターって知ってるか?」

92: 2013/10/06(日) 16:30:13.62 ID:atRsdQxn0
一月

ロン「ハニーと過ごす夢のような休暇がもう終わりだなんてなぁ。まぁ、ハニーが居ればいつだって夢見心地なのはいつものことだけど」

ハニー「えぇ、そうね。完全無欠な夢なこと間違いないわ、そうでしょ?」

ロン「ヒンヒン!君がいるなら現実も捨てたもんじゃないよね!パーフェクトさ!」

モリー「パーフェクト……パー……パーシー……うぅっ、うぅぅぅ」

ジニー「あー……ママ?ほら、泣かないで。はい、ハニー色のハンカチ」

フレッド「おいおいロナルド坊や、迂闊なことは言わないでやれよな。ママときたら」

ジョージ「あのむかっ腹の立つ出来事以来『パ』の字を聞いただけで涙涙なんだから」

ロン「あー、あのさぁママ。あんなバカヤロ、いない方が清々するじゃないか?」

フレッド「ところでジニー、ピグミー『パ』フのアーノルドはどうしてる?元気か?」

ジョージ「あいつらは『パ』ーフェクトな売り上げでね。うちの主『パ』ワー商品さ」

モリー「……うぅうううう」

ジニー「アーノルドを鼻につめてやるわよ!?」

ハニー「くだらないことを言う暇があるのなら、荷物を運ぶのを手伝ったらどうかしら、二人とも?」

フレッド「おっと、そうはいかないねハニー。僕らは君の豚じゃないし、今年はただでさえ楽してるじゃないか?」

ジニー「まったく、羨ましいよな。特別措置で今回だけ、『煙突飛行』でホグワーツまでひとっとびだなんてさぁ」

ロン「豚的にはハニー色の特急に、ハニーのクッションになって乗れないなんて悪夢みたいなもんだけどね。マーリンの髭!」

94: 2013/10/06(日) 16:45:37.87 ID:atRsdQxn0
ハニー「『煙突飛行』……私はあまり、これ、好きではないけれど」

ロン「そうだねハニー。いつぞやは失敗しちゃってひどい目に痛い!ありがとう!」

ハニー「失敗?何を言っているのかしら。あの時のことがこの夏、ドラコが何か企んで居るということに気づく手がかりになった、そうでしょ?」

ロン「ヒンヒン!あぁ、君の行動全てに意味があるよねハニー!ハニー語録はそのままハニーの人生記だよ!ヒンヒン!」

ハニー「しっかり記録していなさい、えぇ。それで……でも、これってとっても便利よね?どうしていつもこの方法じゃないのかしら」

ロン「そりゃハニー、生徒の中に前の君みたく失敗しちまうやつがいたらめんど痛い!!ありがとう!!!」

ハニー「しつこい豚は嫌いよ、ロン」

フレッド「まがい物の煙突飛行粉を使って、ケツの半分が消えOちまったバカの話もあるしな」

ジョージ「あぁ、それに、どこぞの豚みたく腕だけあっちに送る羽目になるかもしれないしな」

ジニー「確実に安全に移動するには特急が一番ってことね。流石ハニー色の特急、流石ハニー。女神」

ハニー「知ってるわ。それじゃ……お母様、えぇっと。泣き止んだかしら?」

モリー「ぐすっ、ぐすっ、あぁ、ハニー。お願いよ、いい子にしていてね?危険なことをしないで、いい……?」

ハニー「……当然じゃない。お母様、私、静かな生活が好きだもの。知っているでしょう?」

モリー「ぐすっ……あぁ、そうねぇ」

ロン「ヒンヒン!」

ジニー「ヒンヒン!」

花火<ヒンヒン! バチバチバチバチバチバチバチ!

モリー「騒がしくて、火花が散るような中でも、あなたなら、えぇ。いい子でしょうとも……ハニー、元気で」

ハニー「えぇ。お母様も……フラーと仲良くね?」

モリー「…………」

ハニー「仲良く、ね?」

モリー「……煙突飛行粉一袋分くらいは」

ハニー「……2シックルって」

95: 2013/10/06(日) 16:57:15.30 ID:atRsdQxn0
ホグワーツ

マクゴナガルの部屋

グルグルグルグルグル……

ストッ

ハニー「ケホッ、ケホッ……相変わらず、いい気分では……こんばんは、マクゴナガル先生」

マクゴナガル「こんばんは、ポッター。灰をあまり落とさないように」

ハニー「えぇ、そうしてさしあげるわ。先生、ハーマイオニーはもう戻って居るのかしら」

マクゴナガル「二時間ほど前に……互いに一番最初に聞く事がそれとはまったく、寮生の仲がいいことは大変よろしい。ですがポッター、もっと他に――」

ハニー「……ハーマイオニーも、私のことを?」

マクゴナガル「……えぇ、そうですとも。後に出てきたウィーズリーと一緒に、早く会いに行きなさい」

ハニー「一緒、は難しいかもしれないけれど」

マクゴナガル「一緒に、です。いいですか、ウィーズリーとグレンジャーのことで頭を悩ませているのが、あなただけだとおもっているのなら――」

グルグルグルグルグル

ストンッ

ロン「ゲホッ!ゲホッ!なんか右腕がうずく!ゲホッ!あぁハニーさっきぶり!君の目の色と同じ炎に包まれるなんてほんと豚でよかったよな!」

マクゴナガル「ウィーズリー、寮監への挨拶を怠るならば、目ではなく髪の毛の色の方を見舞いますが?」

ロン「先生、僕に取っての優先順位が『ハニー>>>>>>>人類が到達できる限界>>>>>>>>その他』なのは、何もいまに始まったことじゃないじゃないですかこんばんは」

マクゴナガル「そのブレなさをもっと別の方向にお向けなさい」

96: 2013/10/06(日) 17:22:35.79 ID:atRsdQxn0
廊下

ジニー「こっちは凄い雪ね。校庭がハニーの完璧純真無垢な心みたいに真っ白」

ロン「色んな意味で黒くなりそうなのが昨今の困りどころ痛い!ありがとう!」

ハニー「なんのことを言っているのかしら、まったく……校庭の端で、ハグリッドがバックビークに餌をやってるわね。後で会いにいかなきゃ」

ロン「そりゃハグリッドの奴、自分であの餌を食べだすくらい喜ぶぜ!」

ハニー「えぇ、そうね。私を前にすれば喜びで前後不覚になることも当然だもの、そうでしょ?」

ジニー「だからなのね、ハニーが人知を超えて天使どころか女神に見えちゃうのって」

ロン「あぁ、けどそりゃ紛れもない事実だから仕方ないよな」

ハニー「知ってるったら」


ハーマイオニー「……久しぶりに聞くと、本当、頭痛がひどくなるレベルの会話よね」

ハニー「! ハァイ、ハーマイオニー」

ハーマイオニー「こんばんは、ハニー。それにジニー。いいクリスマスだった?」

ロン「あぁ、そりゃもう。おっどろきだよ、パースにスクリム――」

ハーマイオニー「ところでなんだか廊下に無駄に影をつくる図体だけの物体があるのはどうして?」

ロン「」

ジニー「……挨拶をされていない時点で気づくべきだわ、ロン」

ハニー「……」

ハーマイオニー「図体と言えば、ハグリッドに会ってきたわ。私、あなたに送るものを悩んでいたら彼にクリスマスプレゼントを贈るのを忘れてしまっていて。あなたに会いたいって言って……きゃぁ!?」

ハニー「えぇ、そうね。豚の心理として私に会い見えるのは当然のことだけれど、私に本当に会いたかったのは誰かしら?ねぇ、ハーマイオニー……私に甘いものを送って、どうしたかったの?」

ハーマイオニー「あぁ、ハニー、そんな、だって、甘い方はきっとあなたじゃなくて、って……あぁ……それは、私もだってこと、は、火蟹の甲羅よりも輝いて居る事実、だけど……」

ジニー「つづけて!!」

ロン「どうぞ!ヒンヒン!やっぱりホグワーツは最高だぜ!!!」

125: 2013/10/13(日) 17:53:44.36 ID:PlgC50Pi0
談話室

ハーマイオニー「フーッ、フーッ、新学期、早々!なにをするのよ、もう!」

ハニー「だからこそじゃないかしら?」

ジニー「むしろ恒例だと思うわ。ううん、文句を言ってるわけじゃなくて、もっと、どうぞ」

ハーマイオニー「黙って!あっちの隅でよろしくしてるあなたのお・に・い・さ・まみたいにね!」

ハニー「ラベンダーももう帰っていたのね……それで、ハーマイオニー?あなたのクリスマスはどうだったの?」

ジニー「プレゼントに送ったハニーの写真は堪能できた?」

ハーマイオニー「もう全部クタクタに……オッホン。まぁまぁよ、いつもの通り。そっちに居たほうが楽しかったでしょうけど、アレがいなくて静かだったのはよかったわね。最高だわ」

ハニー「ロンは割りと静かだったけれど」

ジニー「雪像つくりに精を出してたわ」

ハーマイオニー「……相変わらず、全く。どうせハニーを崇めるためのいい笑顔だったんでしょうとも」

ジニー「ううん、悲しみと嘆きとそれでも来期に掛ける一縷の望みを目に宿した眼だったわ」

ハーマイオニー「……すごく今更だけど、あなたなにさせてるの」

ハニー「私の豚として当然のことよ、当然ね」

ハーマイオニー「……とりあえず、言葉とは裏腹にロ、例のあの豚がうるさいことを言っていたのはわかった、もう」

127: 2013/10/13(日) 18:04:50.29 ID:PlgC50Pi0
ハーマイオニー「ジニーは、ディーンと約束があるから、って。行ってしまったわね」

ハニー「えぇ、そうね。いいことだわ……なんだかあまり乗り気ではなさそうだったのが、気になるけれど」

ハーマイオニー「あー……あの二人、なんだか最近うまくいっていないそうよ。ほら、ディーンもチェイサーになって、それで衝突が……あー」

ハニー「……また、私のせいで」

ハーマイオニー「こうなるからハニーに言わないようにしてたんだったわ……あのね、ハニー。何もあなたのせいじゃないったら」

ハニー「……」

ハーマイオニー「言い合いになるきっかけにはなったでしょうけど、最近あの二人、それでなくともなんだか喧嘩が絶えないそうだもの……あー、ディーンがあの豚のことをどう言った、とかで……」

ハニー「……そう。私以外が私の豚を豚と呼ばないで、といいたいけれど……ジニーはお兄さん想いね」

ハーマイオニー「あんなのでもね、えぇ……だから、あなたは悪くないわハニー。むしろあの二人がまだ関係が続いてるのは、共通する、その、崇拝対象のあなたがいるからだもの」

ハニー「そうね、えぇ。全ての愛の中に私がいるわ……ありがとう、ハーマイオニー」

ハーマイオニー「どういたしまして」

ハニー「……ところで。二人っきり、ね?丁度よかったわ」

ハーマイオニー「? 何言ってるの?休暇最終日で、談話室には続々と……!?」

ガラーーーーン……

ハーマイオニー「ひ、人っ子一人!?だって、さっきまで!?え!?」

ハニー「私の豚さんたちはとっても気が利くの、だって私の豚だもの。そうでしょ?」

ハーマイオニー「あぁ、なんでそういうとこばかり……え、えっと、ハニー!?あの、だってついさっき、その……」

ハニー「ねぇ、ハーマイオニー……?」

ハーマイオニー「あぁ、は、ハニー、そんな……」



ハニー「マルフォイのことで、話があるの」

ハーマイオニー「………………」

ハニー「? どうかしたの?」

ハーマイオニー「いいえ。ただ、ちょっと、つねってくれるかしら。私は、私だけはまともでいないと、いけないのに!」

ハニー「? お望みなら、えぇ。今夜にでも存分ね」

128: 2013/10/13(日) 18:13:09.81 ID:PlgC50Pi0
ハーマイオニー「マルフォイと、スネイプ……ね」

ハニー「……どう思う?」

ハーマイオニー「こうは考えられない?スネイプは――」

ハニー「援助を申し出るフリをして、マルフォイが何を企んでいるか暴こうとした……そういう文句は、聞き飽きたのだけれど」

ハーマイオニー「まぁ、そういうことよ。その様子じゃ、おじさまやリーマスにも同じ見解を述べられたのね」

ハニー「ムーディは、『いいからマルフォイの小僧をここに引っ張ってこい。イタチ変身フルコースを見舞ってやる!』って」

ハーマイオニー「ハニー、あなたわざとそれ以外の提案してくれる人に相談したでしょ」

ハニー「結局実行にはいたらなかったけれど……でも、これで一つ証明されただけでも十分だわ。マルフォイは、この城で何かを企んでる、って!ほら、私のいったとおり!」

ハーマイオニー「得意顔もステキだけど……うーん、でも、それが本当に、ヴォルデモートに関連することかどうかはわからないわ」

ハニー「ほかになにがあるって言うの?」

ハーマイオニー「うーん……えぇっと……フォイで魔法界を覆う、とか……そういうの?」

ハニー「……」

ハーマイオニー「……ごめんなさい忘れて」

ハニー「もう遅いものね」

ハーマイオニー「やめて」

130: 2013/10/13(日) 18:28:28.87 ID:PlgC50Pi0
ハーマイオニー「二人のどちらかが、ヴォルデモートの名前を呼んだの?」

ハニー「それは……いいえ。でも、主君とか何とかは言っていたわ。いかにもあのプレティーン思考真っ盛りな黒豚が好みそうな呼称じゃない?」

ハーマイオニー「それは知らないけど……マルフォイの主君……父親って線は?」

ハニー「それはそれであの無駄に尊大な人に似合っているけれど」

ハーマイオニー「でしょう? とにかく、スネイプの言動については私は騎士団、あー、豚団の人たちと同意見よ」

ハニー「イタチの刑に?えぇ、そうね。あなたならきっと見事にやってくれるのでしょうね」

ハーマイオニー「良識的で常識的で無駄に実力行使に訴えない大人な団員の、意見によ。マッド-アイのそれは捨て置いて」

ハニー「……納得いかないわ。あぁ、そうね。納得いかないことと言えば……ねぇハーマイオニー?フェンリール・グレイバックのことを知ってるかしら」

ハーマイオニー「……えぇ」

ハニー「リーマスは、狼人間のその人の近くに潜伏しているんですって。自分を間で狼人間にした、その原因の人に。どういう奴なの?豚にできそう?」

ハーマイオニー「最初に聞くのはそこ?いいえ、詳しくは知らないわ。だって、名前を聞いただけだもの……あなたもその時一緒にいたじゃない、ハニー!」

ハニー「……いつのこと?あなたと一緒にいたことなら、忘れることはないと思うけれど」

ハーマイオニー「そのことだけに関しては負けてないつもりだわ。ほら……マルフォイがその名前で!ボージン・アンド・バンクスで脅迫してたじゃない!」

ハニー「! あぁ、そう、そうだったわね……それじゃ、マルフォイが氏喰い人だっていうのは決定だわ!だって、そうでしょ?あちら側にいるグレイバックに接触できるなんて、そうとしか!」

ハーマイオニー「あー……しまったわ……えーっと、う、嘘の脅し、だったとか?」

ハニー「……ハーマイオニー、全く。どうかしてるわ」

ハーマイオニー「私がどうかしてるのはあなたにだけよ」

131: 2013/10/13(日) 18:40:03.57 ID:PlgC50Pi0
ハーマイオニー「これからはあんまり、マルフォイの話をふらないようにしないと……そうそう、あなたに伝えることがあるのをすっかり忘れてたわ」

ハニー「なぁに?今でいいのかしら。ベッドはないけれど……」

ハーマイオニー「そういうのじゃないの! そういうのにしても伝え漏れてる言葉なんて……ウォッホン!あのね、私は真面目なお話をしているの」

ハニー「私はいつだって真面目だわ」

ハーマイオニー「そうでしょうとも……はい、これ。ダンブルドアからのお手紙よ」

ハニー「! ありがとう!……けれどいい加減、あの意地悪豚は私に直接よこせばいいんじゃないかしら」

ハーマイオニー「それもそうね……何かこう、理由でもあるんじゃないかしら。お忙しいでしょうし」

ハニー「えぇ、それはもう記憶の整理にね……ちゃんと片付いたかしら。それで……個人授業は、早速明日の夜、ですって。丁度いいわ、色々と伝えることもあるもの」

ハーマイオニー「残念だけど、先生の回答も同じだと思うわ」

ハニー「えぇ、そうね。ダンブルドアならそれはもう見事なイタチに」

ハーマイオニー「だから、ハニー。良識的で常識的な……あー……でもダンブルドアは…………」

ハニー「意地悪豚だもの」

ハーマイオニー「……ほんと、あなたの豚って」

ハニー「可愛くて、頼りになるわ」

ハーマイオニー「そうでしょうとも……どこかの誰かさんは、日陰くらいにしかならないでしょうけど!」

ハニー「ねぇハーマイオニー?いまここにいないのに一々引き合いにだすのは、気になると言っているようなものよ?」

ハーマイオニー「なんのことかしら!さっぱりだわ!!!もちの、えぇっと私で!」

ハニー「……」

ハーマイオニー「……忘れて」

ハニー「テンぱるあなたもステキよ、もちマイオニー?」

ハーマイオニー「忘れて」

135: 2013/10/13(日) 19:38:49.35 ID:PlgC50Pi0
翌日

校長室

コンコンッ

 ダンブルドア「入っておるよ」

ガチャッ

ハニー「……いい加減やめなさい、それ」

ダンブルドア「ほっほ、ミネルバにも何十年も言われておるのう」

ハニー「先生の苦労をお察しするわ……ハァイ、ダンブルドア。いいクリスマスだったかしら」

ダンブルドア「すこぶる良好じゃったとも。君の方は、一波乱あったそうじゃな?あの獅子髭と」

ハニー「……知ってるのね。えぇ、スクリムジョールがロンのお家に来たわ」

ダンブルドア「抜け目のないやつじゃ。わしが手を離せん時を狙って……あー」

ハニー「……」

ダンブルドア「実はちょっと気合の入ったクリスマスツリーを作ってのう?それで急がしかったんじゃ、うむ」

ハニー「そう、それはそれは私のように美しいツリーだったことでしょうね」

ダンブルドア「赤いツリーは君を思ってハグリッドが作っておったがのう」

ハニー「出来る豚だわ」

136: 2013/10/13(日) 19:50:49.66 ID:PlgC50Pi0
ダンブルドア「どうじゃったね、ハニー。彼は豚にできたかのう」

ハニー「冗談。久々に見た豚以下だったわ」

ダンブルドア「それはそれは」

ハニー「……魔法省は、魔法界に対して省のイメージアップになることを私にさせたがっているそうね」

ダンブルドア「そうじゃの。おそらくは数少ないファッジからの助言じゃろうて。彼も退任直前は執拗に君への面会を打診してきた。鼻ほじりながら突っ返したけども」

ハニー「せめて毅然とした態度をとりなさい……ファッジは、去年あれだけのことをしてきたのに私にあんな要求をしようとしたわけ!?」

ダンブルドア「うむ、彼の厚顔無恥さは今更取り上げることでもないかもしれんが」

ハニー「まったくだわ……それに、アンブリッジも魔法省に戻っていると聞くし……どうなってるのかしら」

ダンブルドア「その辺りはわしとしても不満というか、不快で、うっぷ……」

ハニー「姿を思い出すのはやめなさい……スクリムジョールは、私に不満だったようだわ。こっちこそ、よ。あれでも人類かしら」

ダンブルドア「愚かしいことじゃ。それに、彼の不満はわしにも及んでおる。ハニーよ、我々は苦悩の底に沈まず抗い続けねばなんのう?」

ハニー「はいはい、『わしがいれば大丈夫』とでも言いたいのでしょう?」

ダンブルドア「ほっほ、その通りじゃ。君に彼らからのわずらいが及ぶことがないよう尽力するとしよう」

ハニー「……スクリムジョールは私に、『骨の髄までダンブルドアに忠実だ』って、言ってきたわ」

ダンブルドア「ちょっと待ってくれるかのうハニー、今すぐ大臣リコール運動の手紙でも……」

ハニー「私……わたしは、そうよ、って言ってやったわ」

ダンブルドア「――――」

ハニー「……言ってる意味は、わかるわよね」

ダンブルドア「フォークス、わし今氏んでもいい」

フォークス「フィピッ!!!」

137: 2013/10/13(日) 20:03:30.93 ID:PlgC50Pi0
ダンブルドア「うぉっほん。わしが君のために尽力するのは当たり前じゃ、うむ。もちのどこぞのラブコメってるクソッタレじゃろうて」

ハニー「豚同士がいがみ合うとひどいわよ」

ダンブルドア「ヒンヒン。とにかく君は、件の彼と彼女のことや、今度始まる『姿現し』の練習コースのことに神経を使うとよい。スクリムジョールのことなんて忘れてのう」

ハニー「それは、思い出したくもないけれど……そう、『姿現し』の練習授業が始まるのよね。今朝、掲示板に張り出されたわ。今年度で十七歳以上になる生徒を対象に、って」

ダンブルドア「君も十七歳になるのじゃのう……感無量じゃ、アルバス泣いちゃう」

ハニー「さっきの方がよっぽど瞳潤んでたわよ」

ダンブルドア「ついでに今は眠っておる彼もついに合法じゃと飛び起きることじゃろう……あ、すまん、本当、すまんはニー、今の冗談じゃ、じゃからその期待顔、すまんて……」

ハニー「……習得するのは難しいのかしら、『姿現し』って。私は前に、あなたが使うのに同行したけれど」

ダンブルドア「これも通常の魔法と同じく向き不向きがあるからのう。かのグリフィンドール伝説のシーカー、チャーリー・ウィーズリーなんぞは、飛行は天才的じゃがこの魔法は最初、とても苦手じゃった」

ハニー「一昨年そんな話を聞いたわ……今でも少しの移動なら飛行の方を選ぶ、って」

ダンブルドア「君と同じく、飛行バカじゃからのう」

ハニー「赤豚」

赤豚「フィピー?」

ハニー「不氏鳥って、人の口の中につっこんだら、どうなってしまうのかしら」

138: 2013/10/13(日) 20:15:51.63 ID:PlgC50Pi0
ダンブルドア「ウォッホ、ゲホッ、びっくりした、不氏鳥が燃焼する時の火ってマジで熱いんじゃな、アルバス齢百有余にして新発見」

雛「ピーィッ、ピーィッ」

ハニー「私があなたのご主人様よ?」

雛豚「ピィヒン!」

ダンブルドア「刷り込みせんでも記憶引き継いでおるよ。さて、ハニー。ともあれ我々は、魔法省の話などおく事にしようかのう。ルーファスのお節介話はしだすとキリがない」

ハニー「お節介?」

ダンブルドア「うむ。この前はドーリッシュに尾行までさせてのう……不憫なことじゃ、彼には去年一度呪いをかけてしまったのに、まことに遺憾ながら二度もかけるはめになってもうた」

ハニー「そう……元生徒だもの、嫌でしょうね……」

ダンブルドア「そう、そもそもそんな任務を最初からNO!と断れるように、完膚なきまでに徹底的に、実力の差をわかりやすく示してやった上でのう……」

ハニー「遺憾って何だったのかしら」

ダンブルドア「すっきりした」

ハニー「八つ当たりじゃないの」

141: 2013/10/13(日) 20:32:55.64 ID:PlgC50Pi0
ダンブルドア「休暇のことで、ほかに何か報告はあるかのう?」

ハニー「……休暇、というかその前日だけれど。そうね、あるわ。スネイプのことで……」

ダンブルドア「ハニー、スネイプ先生、じゃ」

ハニー「……その人が、スラグホーンのパーティの後、マルフォイと話をしてるのを聞いて……」

ダンブルドア「……」

ハニー「……その顔、とっくに豚団の誰かから聞いてる風ね」

ダンブルドア「そんなことはないんじゃがのう、ホントジャヨー」

ハニー「じゃぁ自分の爪を見ながら聞くのはやめなさいこの豚。ついでにその右手のことを教えなさい私の豚なら」

ダンブルドア「今はまだその時じゃないのう。それで、まぁ、そうじゃ。リーマスから件の二人の会話のことは聞いておる。しかし、そのことは放念するとよい。大したことではない」

ハニー「……大したことではない?あなた、分かってるの!?マルフォイが、この城で……」

ダンブルドア「いかにも、わしは幸いにいして類稀な優秀なる頭脳に恵まれておってのう。組分けも、レイブンかグリフィンか迷いに迷ったそうじゃよ、ほっほっほ」

  組分け「まぁスリザリンでもいいかなともちょっとおm何でもないよアルバス私は陽気な帽子さん~♪」

ハニー「?」

ダンブルドア「こっちの話じゃよ。それで、ハニー。報告には感謝しよう。そしてわしは君以上にこのことを理解し、熟考したと言ってよい。その上で、その件に関してわしが取り乱すような事は一切ないと断言しよう」

ハニー「……でも」

 『でしゃばり癖は治っていないようだな、小娘』

ハニー「……貴方は黙ってて!フィニアス!」

 フィニアス『またもギャーギャーと喚く子供の声がうるさいから眠れないだけだ。それでも君はブラック家に入る人間か』

ハニー「それ、は、それどう、えっと、つ、つつましくすればその、認めてもらるのかしら……!!!」

 フィニアス『……ダンブルドア。冗談の通じない子供はめんどくさい』

ダンブルドア「うん、黙っててくれるかの」

142: 2013/10/13(日) 20:45:20.04 ID:PlgC50Pi0
ハニー「……できる限り冷静で、丁寧な言葉で聞いてさしあげるわ」

ダンブルドア「フィニアスは寝たがのう」

ハニー「狸寝入りでしょどうせ。それで……あなたはいまでも……あの人を絶対に信用して――」

ダンブルドア「その問いにはすでに答えておる」

ハニー「……」

ダンブルドア「わしの答えは変わらぬ」

 フィニアス『変えるべきではなかろう うーんむにゃむにゃ ブラック家マジ高貴で由緒正しくて伝統的』

ハニー「黙ってなさいってば……フーッ。いいわ、これ以上質問しても無駄みたいね、意地悪豚には」

ダンブルドア「ヒンヒン! では、いよいよ話を先に進めようかのう。ハニー今夜はもっと大事な話がある」

ハニー「……」

ダンブルドア「この記憶……あ、やべっ、これ『セブルス~闇に落ちた漢、一世一代の土下座・ノーカット版』じゃった」

ハニー「!!それ!!!それ、見せなさい!!!」

ダンブルドア「ほーれフォークス餌じゃよー!」

雛豚「フィィピ……フィーーッ!!」

ボッ!

ダンブルドア「フォークスーーーー!」

ハニー「スネイプの記憶なんて食べさせるから!!この、この豚!!!」

ダンブルドア「ヒンヒン!」

145: 2013/10/13(日) 21:11:11.95 ID:PlgC50Pi0
ハニー「……フォークスを何回燃焼させる気よ」

ダンブルドア「君が言うのかね」

ハニー「何か言ったかしら?」

ダンブルドア「何でも。はてさて、フォークスが本日二度目の誕生を迎えたところで、続きを。ハニー、今夜はさらに二つの記憶をみせよう」

ハニー「……ヴォルデモートに関する記憶ね」

ダンブルドア「そうじゃ、あのベタベタ髪とかのことは頭から忘れてもらって、あのハゲんことじゃ」

ハニー「そうだけれどその呼称はアーサーお父様も傷つくからやめなさい」

ダンブルドア「キングズリーとかの。そう、今夜見せる記憶はとても重要なものじゃ。これを手に入れるのに非常に苦労した。二つ目なぞ特に、わしが保有する記憶の中でもとびきり重要じゃ」

ハニー「私を見ている時のを除いてね」

ダンブルドア「そりゃもう永久保存版じゃて

146: 2013/10/13(日) 21:26:15.71 ID:PlgC50Pi0
ダンブルドア「前回は、奴がまだちっちゃなトム・リドルだった頃のところでおしまいじゃった」

ハニー「あなたが原因となったあれを仕込んだあたりでね」

ダンブルドア「すまんて。そう、新学期が始まり、あの子はこの城へとやってきた。組分けの儀式は見事だったのう。頭どころか髪の先に触れるや否や……」

 組分け「スリザリン!!!」

ダンブルドア「これじゃった」

ハニー「……追い返してしまえば良かったのよ。大体、サラザールと、あいつは全然……」

 組分け「当時のスリザリン寮にはぴったりの逸材だったのさ、うん」

ダンブルドア「そういうことじゃ。それに、前も言うたが当時の彼に今の奴ほどの畜生になる影は見えなんだ……警戒はしておったがのう」

ハニー「……入学してからの、あいつは?」

ダンブルドア「おそらく、入学初日には『蛇語』がサラザール・スリザリンの有していた特殊な能力だと知ったじゃろう。そしてそれを、ドヤ顔で披露したじゃろうな。奴の生来の自惚れが、活かされる場所に入ってしまったのじゃ」

ハニー「……スリザリン生徒は、そうね……特別に扱うでしょうね、そういう人間が寮に入ったら」

ダンブルドア「談話室では他の生徒を関心させたり、また脅したりしていたリドルじゃったが、しかし、教職員たちはその一面に気づく事はなかった。奴は傍目には傲慢さの欠片もない、稀有な才能と優れた容貌の孤児じゃった」

ハニー「……あなた以外は、見抜けなかったのね……孤児院での様子を、他の先生方に話すことはなかったの?」

ダンブルドア「話しておらん。リドルは、あの場での盗みや脅迫について後悔するそぶりをみせなかったが、それから半生し、やり直す決心をしている可能性はあったわけじゃ。わしは……」

ハニー「……」

ダンブルドア「わしは、リドルに機会を与える方を選んだ」

ハニー「……」

ダンブルドア「……愚かな老人と笑うかね、ハニー」

ハニー「……いいえ。とても、気高いことだわ」

ダンブルドア「君にそういわれると、長年の苦労も少しばかり癒えるのう」

147: 2013/10/13(日) 21:43:21.52 ID:PlgC50Pi0
ダンブルドア「リドルは慎重になり、自分の本性を誰にも、わしにも暴露することは二度となかった。それでも警戒しておったわし、有能」

ハニー「続きを」

ダンブルドア「もち豚じゃ。高学年になると、リドルは献身的な――あー、他に表現が見あたらないのでこう呼ぶが――友人達を取り巻きにしていった。その者達の誰にたいしても、友情など感じておらんかったじゃろうがのう」

ハニー「……取り巻き、ね」

ダンブルドア「ホグワーツ内でも暗い魅力を持った集団じゃった。雑多な寄せ集めで、強い力の庇護を求める者、栄光のおこぼれにあずかりたい野心家、洗練された残酷さをみせつけ、またそれを実行できる場を用意できるリーダーに惹かれた乱暴者、お辞儀の得意な日本人学生……」

ハニー「最後の人が巻き込まれたのはあなたのせいだわ、言っておくけど」

ダンブルドア「彼らは当然、最初のあの恥ずかしい集団となった。『氏()喰い()人()』の。しかし、彼らの数々の悪行はリドルに厳重に管理され、表ざたになったことはない」

ハニー「……悪行」

ダンブルドア「そうじゃ。実行犯が誰かつかめなくとも、リドルの在籍した七年間に多くの不快な事件が引き起こされたのは確かじゃ」

ダンブルドア「双子や、君の父上たちがやるような悪戯などではない。残酷で、残忍で、レモン・キャンデーも喉を通らぬような事じゃ」

ハニー「……茶化したくないから言いたくないけれど、舐めなさいキャンディーは」

ダンブルドア「最も深刻なのは『秘密の部屋』事件だったじゃろう。実行犯はリドル本人、そして結果女子生徒が亡くなり、ハグリッドが濡れ衣を着せられた。あの頃にはわしの懸念は、確信に変わりつつあった」

ハニー「……つつ、なのね。さっきみたいな裏事情を把握していたなら、とっくに確信していそうなものだけれど」

ダンブルドア「今語ったのは、奴がホグワーツを去ってから集めた数々の人間からの証言を聞いた上でのことじゃよ。中々語りたがらない者がおおかったがのう……」

ハニー「……」

ダンブルドア「まぁ、うむ。最後には笑って、わしと一緒に肩を組みながら教えてくれたものじゃ」

ハニー「いい泣き笑いだったでしょうね、それはもう」

149: 2013/10/13(日) 22:05:36.68 ID:PlgC50Pi0
ダンブルドア「わしが脅、ゴホン、説得して吐かせ、ゲフン、話させた者たちの証言で共通しておったのは、リドルがこと両親についてこだわりが強かった、ということじゃ」

ハニー「……」

ダンブルドア「無理からぬことじゃろう、孤児院で育った者が、そこに来る経緯を知りたがることは」

ダンブルドア「ハニー、君の中に流れておった両親の愛や痕跡のように、リドルは城の中で両親が生きた証がないかと探したようじゃ。そこで物に頼るのが、奴の小者なところなのじゃがのう」

ハニー「……生徒の記録、なんかをということ?」

ダンブルドア「そうじゃ。但し、普通の生徒ではない。トロフィー室に飾られた偉業を成し遂げた名前、首席、監督生の名簿、はては親の年代を想定してのあらゆる分野での魔法史に載るような偉人の名前など」

ハニー「……自分の親が一角以上の魔法使いだと疑わなかったのね」

ダンブルドア「トム・リドル・シニアは魔法使いではなかったのだ、と、リドルは判断せざるを得なかった。この時点で奴は名前を捨て、ヴォルデモート卿を名乗っていたことじゃろう。魔法使いではない可能性が見え、そうでなくとも歴史に名を残せないような親の名前などいらぬ、とのう」

ハニー「……どこまでも、だわ」

ダンブルドア「全くじゃ。そして、母親の血筋の線を探した。リドルには、ミドルネームであり母親の遺言によると父方の祖父である『マールヴォロ』という名前しかヒントがなかった」

ハニー「それでも、探り当てたのね。ゴーント家のこと……サラザールの末裔が、生き残っていることを」

ダンブルドア「そう、十六歳の夏のことじゃ――奴の青春の1ページを、拝みに行くとしようぞ、ハニー。深く、どす黒いことこの上ないがのう」

150: 2013/10/13(日) 22:39:20.36 ID:PlgC50Pi0
記憶の中

ハニー「……汚いあばら家……前見たときより、もっと。ここは……ゴーントの家、よね?」

ダンブルドア「以前から十六年ほど経っておるがのう。そして、ここにぐったりと座っておるのがこの記憶の主、モーフィン・ゴーントじゃ」

ハニー「リドルのおじね……髪と髭が伸び放題で、顔がほとんど見えないわ」

ダンブルドア「わしの髭よりは短いがのう」

ハニー「あなた何年伸ばしてるのかしら、それ……ねぇ、氏んでいるわけではないわよね?さっきからずっと、少しも動かないけれど」

ダンブルドア「なんとかのう。あわやこの記憶も失われるところじゃった、うむ、ギリギリセーフじゃて……」

ドンドンドンッ!

ハニー「っ! ノック、された音?誰か……って、それは、そうよね」

ギィーーーッ

リドル『……』


ハニー「……若い頃の、ヴォルデモート。リドルね」


リドル『……汚いあばら家だ……ここが本当に、サラザール・スリザリンの……?俺様の……?』

モーフィン『「誰だ……貴様!!!!」』シューーッシューーッ!

リドル『……こいつは』

モーフィン『「貴様……貴様ぁ……!!」』シューッシューッ

ガタガタッ、ガタッ


ハニー「杖と、小刀を……頃すつもりだわ。もしかして」

ダンブルドア「そうじゃ。トム・リドルとトム・リドル・シニアは似ておるからのう。じゃが……その違いは大きい」


リドル『「やめろ」』シューッシューッ

モーフィン『!?  「話せるのか 蛇語を」』シューシューッ

リドル『「あぁ」』シューッシューッ

モーフィン『「おめーは あのマグルじゃないのか あのクソったれの あの丘の向こうの」』シューッシューッ

リドル『…………「マグル、だと……?」』シューーッ、シューッ


ハニー「……」

151: 2013/10/13(日) 22:55:11.08 ID:PlgC50Pi0
リドル『……「マールヴォロはどこだ。マールヴォロと話がしたい。まさかお前がそうなはずがないな、お前のような小汚い奴が」』シューッシューッ


ハニー「……杖と小刀もった狂人相手に、よく言うわ」

ダンブルドア「ついでに黒い指輪もつけてのう」

ハニー「……そういえばあの指輪」

ダンブルドア「あとでじゃ、ハニー」


モーフィン『「マールヴォロ?親父なら とっくに氏んだ そうだろうが」』シューッシューッ

リドル『「氏んだ……?親父……?お前が、マールヴォロの息子だと言うのか?」』シューシューッ

モーフィン『「そうだ そうじゃねーのか?」』シューッシューッ

リドル『こんな奴が……スリザリンの……それに……「おい さっき言っていた マグルと言うのはなんだ」』シューッシューッ

モーフィン『「おめぇーがそっくりな、あいつよ おれの妹が惚れたマグル 俺と親父をほっぽいて二人で逃げ出した あのマグルよ」』シューッシューッ

リドル『……』

モーフィン『ペッ!!「おめえはあいつそっくりだ! けれどよぉ、よく考えてみりゃあいつはもっと歳をとってらぁ そうだ よく考えりゃよぉ あいつは戻ってきたんだ、うん この間 見たんだ うん」』シューシューッ

リドル『……「戻ってきた? そいつが……トム・リドルが?」』シューッ、シューッ

モーフィン『「そうさ。妹はすぐにおっ捨てられた、いい気味だ! その後あの腐れ野郎は家を出たり戻ったりよぉ 女を何人もはべらせてらぁ」』シューッシューッ

リドル『……………「もう一度聞く そいつは、今 戻ってるんだな?どこにいる?」』シューッ、シューッ

モーフィン『「言っただろうが あっちの丘の でけぇ屋敷だ きっとロケットもあそこに隠してんだ! 妹が盗み出した 親父の 俺の スリザリンのロケットも!!」』シューッシューッ

リドル『……スリザリンの』

モーフィン『「泥をぬりやがった!俺に!親父に!スリザリンに!そんで、おめぇは誰だ!?こんなことを聞きやがるおめぇは 一体――」』シューッシューッ


ハニー「……?」


モーフィン『「いっ、たい――おしめぇーだ――おしめーだ――なんも、かんも――」』

スゥゥゥゥゥゥッ

ハニー「なぁに、これ……辺りが、暗くなって……ダンブルドア!」

ダンブルドア「あぁ――ハニーよ――どうやらわしは、ここまでのようじゃ」

ハニー「冗談にならない冗談やめなさい!記憶が途絶えそうならさっさとだしなさいここから!」

ダンブルドア「うむ、いい演出じゃったしもしものために遺言を早めに残しとこうと思ったのじゃがのう」

ハニー「氏んでも氏にそうにないじゃない、あなた。何言ってるのよ、もう」

153: 2013/10/13(日) 23:14:28.24 ID:PlgC50Pi0
校長室

ハニー「……あそこで、不自然に風景が消えていったのは」

ダンブルドア「気づいたとおり、モーフィンの記憶がそこで途絶えておるからじゃ。そう、リドルの手によってのう」

ハニー「……リドルは、あの後」

ダンブルドア「……モーフィンは翌日の朝、指輪が無くなったことに気づく。そして同じ頃、リトル・ハングルトンの村ではメイドの悲鳴が響いておった。館の居間に、三人の氏体が横たわっておる、とのう」

ハニー「……自分の母親を捨てたトム・リドル・シニア……それに」

ダンブルドア「その両親をも、じゃ。既に奴は殺人行為に迷いがなかったということじゃ……確認しておくが、君と同じ、十六歳になる頃にはのう」

ハニー「……モーフィンは、どうなったの?」

ダンブルドア「そう、三人の氏体を見たマグルの警察は当惑した。何せ、『氏んでる事以外は至って健康な氏体』などという意味の分からぬものが三つもあったのじゃから」

ダンブルドア「しかし、魔法省はすぐに見抜いた。この事件がアバダケダブったことにより引き起こされたこと、そして、この屋敷の近くには過去にこの家と問題を起こした、乱暴者の魔法使いがいることも」

ハニー「濡れ衣を全部、かぶらされたの!?」

ダンブルドア「見事にのう。リドルは失神させただけでなく、記憶の改竄も行った。犯行にも、わざわざモーフィンの杖を使い、事を済ませた後に犯人しか知らない現場の細部の情報まで植え込んだのじゃ」

ダンブルドア「モーフィンは魔法省の部隊が到着すると、抵抗を一切せずに自慢げに自白した。マグル頃しは誉れじゃ、と。長年の恨みじゃ、とのう。これが、彼の本心か、それとも奴の本心かはわしには分からぬ」

ダンブルドア「その後は、大人しくアズカバンに連行されたそうじゃ。指輪がなくなったことのみを気にかけておったがのう……そしてその指輪は」

ハニー「……リドルの手に、渡ったのね。その後……」

ダンブルドア「それはもーちょい先じゃ、ハニー」

ハニー「……モーフィンは、嘘の記憶を自慢げに話しても、この本等の記憶を持ち続けていたの?」

ダンブルドア「いかにも。もっとも、これを引き出すには並の魔法使いでは不可能じゃ。相当に強力な『開心術』の使い手でなければ。そこで華麗に登場するのが、わしというわけじゃね、うん」

ハニー「うるさいわ……アズカバンに、会いに行ったの?」

ダンブルドア「うむ」

ハニー「……」

ダンブルドア「……うむ?」

ハニー「……どうして、シリウスには」

ダンブルドア「…………あー」

ハニー「……」

ダンブルドア「……すまんて」

ハニー「謝るならアズカバンはいらないわ」

155: 2013/10/13(日) 23:30:25.66 ID:PlgC50Pi0
ダンブルドア「いや、うむ。わしもジェリリが氏んでしもうたことに憤慨しとったし」

ハニー「……」

ダンブルドア「シリウスのことは頭から裏切り者と思っておったし、ほら、わしだって顔も見たくないくらい人に怒ることあるのじゃよ、人間だもの」

ハニー「……そういうことにしておいてあげるわ。シリウスが起きたらひどいわよ」

ダンブルドア「その頃にはわしは彼の手の及ばぬ高みにおるかもしれんがのう」

ハニー「これ以上とんでもない存在になられてたまるもんですか」

ダンブルドア「ほっほっほ。さて、モーフィンじゃが。この記憶をもとに、わしは彼を釈放するよう魔法省に呼びかけた。じゃが、釈放の決定が下される前に彼は氏んでしもうた」

ハニー「……」

ダンブルドア「記憶を手に入れて、一月もない頃じゃった。本当に、瀬戸際だったのう」

ハニー「……あんまりだわ。魔法省は、一体何をしてたの!だって、その時リドルはまだ未成年で!」

ダンブルドア「うむ」

ハニー「魔法省は、未成年が魔法を使ったら!!探知できるはずじゃないの、そうでしょ!?」

ダンブルドア「その通りじゃ。未成年者の周りで行使された魔法は、探知することができる。そして――しかし、その実行犯が誰かは特定できぬのじゃ。君も覚えがあるじゃろう、一年生の時の夏休みのことを?」

ハニー「……そう、そうだったわね。あれも、ドビーが使った浮遊術で、私じゃなかったのに……」

ダンブルドア「大人のいる家では、未成年者が魔法を使ってもそれが本人なのか、はたまた成人した魔法使いの魔法なのかは分からぬ。じゃから、そういった場所からの探知は基本スルーで、各家庭の大人の判断に任せておるわけじゃ」

ハニー「…………」

ダンブルドア「うむ?」

ハニー「疑問なのだけれど」

ダンブルドア「どんと来なさい。わし、懐の大きさには自信があるよ?」

ハニー「……ワールドカップとか、そんな規模じゃなくとも……ダイアゴン横丁くらい人が集まれば、学校に通う未成年魔法使いでも、やり放題ってことよね、それ」

ダンブルドア「……」

ハニー「……それに……屋敷で、未成年のリドルが魔法を使うことでその探知がされたとして……モーフィンはとっくに成人してるから、それを使ったのが彼じゃないってことくらい、誰でも気づきそうなものじゃないのかしら」

ダンブルドア「……あー」

ハニー「……」

ダンブルドア「つまり、あれじゃよ。当時の魔法省は、うむ。そういう事情をムシして、一番それらしい犯人をこう、仕立て、すまんのうハニー。賢人たるわしでも変な汗かくからこの話やめにせんかね」

ハニー「……そうしてあげるわ」

157: 2013/10/13(日) 23:43:28.35 ID:PlgC50Pi0
ハニー「いい加減だわ、昔っから、魔法省って!モーフィンにあんなことが起こったのに!」

ダンブルドア「そうじゃのう」

ハニー「確かに、残酷な人かもしれないけれど!!無実の!!!罪で!!!アズカバンなんて!!!!」

ダンブルドア「その通りじゃ、うむ。誰かと重ねておる気もするがのう……さて、しかし、モーフィンの事で激昂するにはもう遅い。時間ものう。ハニー、別れる前に、今夜はもう一つの記憶じゃ」

ハニー「……今度は誰を頃すところなのかしら」

ダンブルドア「今回はその類じゃないのう……いや、その算段ではあるが。但し頃すのは他者でなく――自分自身じゃがのう」

ハニー「?」

ダンブルドア「見れば分かるじゃろう。いや、今は分からぬかもしれぬ。じゃが、知る事が何より大事じゃ。ハニー、わしは君に全てを知ってもらわねばならん。さぁ、記憶じゃ……」

カランッ

ハニー「……一番大事だ、と言っていた記憶なのよね、それ」

ダンブルドア「左様」

ハニー「……その割りに、その記憶」

ポチャッ、ポチャッ、ポタッ

ハニー「……今までの記憶と違って、中々瓶から『憂いの篩』に流れていかない……まるで、腐っているような」

ダンブルドア「あぁ、そうじゃのう。この事情は、本当に見ればわかろう。ほれ、早く落ちんかこの、給料減らしてもいんじゃぞ?うん?」

ハニー「どういう脅しよ」

ボチャッ!

ハニー「……効くのね今のが」

158: 2013/10/14(月) 00:01:38.93 ID:w3QfndwN0
記憶の中

ハニー「……やっぱり、さっきので効くということはこの人なのね」

ダンブルドア「昔も今も、彼はおちょくり甲斐があってのう」

ハニー「その言い方やめなさい……なんだか、変な感じだわ。禿げてない、艶のある麦わら色の髪がある、スラグホーン先生は」


スラグホーン『ハッハッハ!実に愉快!いつも美味しい砂糖漬けパイナップルが尚美味しい!』


ハニー「この部屋は……何人も、色んな寮の生徒が集まって。きっと昔の、スラグ・クラブなのね……あぁ」


スラグホーン『もっとも……トム!君からもらったからかもしれんがね!えぇ?』

リドル『おそれいります、先生。先生が一番お好きなメーカーから取り寄せて正解でした』

スラグホーン『ハッハッハ!そんなことまでどうやって知ったのか、是非ともアルバスに一杯食わせるために教えて欲しいものだね!』

リドル『…………俺様だってできるものならあいつにそうしてやるところですが』

スラグホーン『うん?』

リドル『なんでもありません、先生』


ハニー「……これあなたたちが鈍すぎただけなんじゃないの?」

ダンブルドア「いやこれはほら、どんな小さな呟きでも逃さぬあれじゃよ、『憂いの篩』の摩訶不思議パワーじゃて」

ハニー「魔法の世界で摩訶不思議なんて、変な話だわ」


リドル『ところで先生、メリーソート先生が退職なさるというのは、本当ですか?』

スラグホーン『おいおい、トム。全く本当に、どこから聞いてくるのかね!トム、トム、そればかりは本当でも教えてあげることは出来ないよ、困った子だ』


ハニー「……言葉の割りにウィンクまでして、嬉しそうだわ」


スラグホーン『教師の半数より情報通だね、君は。皆も彼を見習いなさい?』

リドル『恐れ入ります』

スラグホーン『もっとも、ここにいる者は皆彼と友人なわけだ!お互いに高めあい、トムのようになれるように――』

リドル『あ?』

スラグホーン『うん?』

リドル『なんでもありません先生!さぁ、パイナップルをどうぞ』


ハニー「……今の一瞬見せた蛇のような眼光は」

ダンブルドア「ほら、ホラスって眼が悪いんじゃよ」

ハニー「知らないけれど……握り締めた拳に、あの指輪が見えるわね……そう、このときには両親を……こんな、平気な顔して。信じられないわ」

160: 2013/10/14(月) 00:11:53.33 ID:w3QfndwN0
スラグホーン『思慮深く、勤勉で。才能に溢れ』

スラグホーン『知るべきではないことを知ると言う、謎の能力を持ち』

スラグホーン『そして恐ろしく気が利き、大事な人間を喜ばせる心遣いを持っている!』

リドル『そんな、先生。褒めすぎですよ』


ハニー「……心の中ではまだまだ足りないだろう、って言ってるわねこれ」


スラグホーン『全く、トム。君のような優秀な生徒は、私の教師人生でも初めてだよ。そして恐らく今後、君ほどの人間は現れないことと確信するね』

リドル『それは―――

サァァァァァッ

ハニー「ほんと、どれだけ褒めちぎるのかしら…………なぁに、これ」

――いいか、覚えておきなさい――

ハニー「急に、辺りが白い霧で覆われて……この、声は?スラグホーンの……?」

――君は悪の道に染まるだろう。私のこの言葉をよく覚えておきなさい――

スゥゥゥゥッ

リドル『――それで、メリーソート先生の部屋はどうやらこのままだと空き教室になるそうですが?』

スラグホーン『ハッハッハ!トム、トム!だからどうして、私があの教室を使いたがっていると知っているね?え?まったく、君と言う子は!』


ハニー「……誰も、今の霧について触れないわ……ねぇ」

ダンブルドア「もうしばし待っておくれ、ハニー。まだ少し先がある」

161: 2013/10/14(月) 00:37:47.53 ID:w3QfndwN0
スラグホーン『なんと、もう十一時か!楽しい時間はあっと言う間だね、え?』

リドル『まったくです先生』

スラグホーン『ハッハッハ!さぁ、寮に戻りなさい。レストレンジ、レポートは明日まで。この最終期限はこれ以上延ばせんよ。エイブリー、君もだ』

レストレンジ『おっす』

エイブリー『うっす』

スラグホーン『返事だけはいいな君達は。さぁ、お帰り!みなおやすみ!』

ガタガタッ
 ゾロゾロ ガヤガヤ


ハニー「生徒達が、帰っていくわ……リドルを除いて」

ハニー「なにか、わざとぐずぐずしてこの部屋の最後の一人になりたがっている、みたいね……スラグホーンと、二人に」

ハニー「……」


スラグホーン『これこれ、トム。なにをしてるね?言っておくがその『幸福薬』のラベルがはってある瓶は不完全品だ。飲んでも飛べるような気になって大怪我するのが関の山だよ』

リドル『いえ……ただ、それでも先生はこれを「作れる」と言えるだけの才をお持ちなのだな、と。再確認しました』

スラグホーン『ふーむ、毎度と言うわけではない。そいつは作れること自体がそもそも「幸運」と言えるな、うん』

リドル『それでも、凡人……いえ、並大抵の魔法使いではその幸運を掴むチャンスにさえ到達できません。尊敬しますよ』

スラグホーン『ハッハッハ、私を褒めても君からもらったパイナップルしか出せんよ?それか、今夜の外出時間をすこーしだけ伸ばしてやるだけだがね』

リドル『それは、すぐに帰ります。ですが先生、何かいただけるのならば、一つだけ教えていただきたいことがあるんです』

スラグホーン『ほーう? なにかね。私が答えられるものなら、喜んで答えよう。他でもない、監督生の君なのだから!』

リドル『先生、ご存知でしょうか……先生ほどの魔法使いなら、きっとお聞きになったことがあるんじゃないかと……ホークラックス、のことですが』

サァァァァァァァッ

ハニー「……また、あの霧だわ」

――ホークラックスのことは何も知らん!!!知っていても、君のような人間には教えたりはせん!!!―

ハニー「……ホーク、ラックス」

――さぁ、すぐにここを出て行くんだ! そんな話は二度と聞きたくない!出て行け!!――

ハニー「……霧が、晴れ……ないわ」

ダンブルドア「そうじゃろうのう、ここで終わりなのじゃ」

ハニー「……ちんぷんかんぷんだわ」

ダンブルドア「そこが問題でのう。さぁ、わしの遺言タイムが始まる前にもどって二人で話し合うとしようぞ、ハニー」

162: 2013/10/14(月) 00:52:17.35 ID:w3QfndwN0
校長室

ハニー「さっきの記憶は、どうしてあんなに……その、変てこだったのかしら」

ダンブルドア「言いえて妙じゃのう。そう、変てこじゃった。それもこれも、あの記憶に手がくわえられておるからじゃ」

ハニー「……手がくわえられてる?」

ダンブルドア「そうじゃ。スラグホーン先生は自分自身の記憶に干渉し、その記憶をわしによこしたのじゃ。あんにゃろう」

ハニー「抑えなさい……でも、どうしてそんなこと」

ダンブルドア「恥じたのじゃよ、自分の記憶を。自分がしてしまったことを。自分をよりよく見せようとして、わしに見られたくない部分を消し去り記憶を修正しようとした。見たとおり、大変粗雑なやり方でのう」

ハニー「……あの霧の向こう側に、本当の記憶が隠れてる」

ダンブルドア「そうじゃ。それが明確であるという点でみれば、あのやり方に感謝できる。さて、そこでじゃハニー。わしは君に――宿題を出そうと思う」

ハニー「……なぁに?この私が取り組むのだもの、こなせないわけ、ないけれど」

ダンブルドア「それは勇ましい言葉じゃ」

ハニー「やめて。賞賛の言葉は高貴で可憐で儚げで、伝説的で道徳的で家庭的で模範的、知っているでしょう?」

ダンブルドア「まっこと、その才を信じて。君には、スラグホーン先生を説得して本当の記憶を明かさせてほしいのじゃ」

ハニー「…………そんなの」

ダンブルドア「一応言うておくが、その君の素晴らしい目がある限り彼は君の豚にはならんじゃろうて。アイマスクしてくかね?その時は一応、セブルスの研究室に厳重な封印をしておくがのう」

ハニー「なんの用心なのそれは一体……そうじゃなくって。私が、そんなことをしなくっても……『真実薬』があるでしょう?それに、あなたが『開心術』をつかえば、すぐ……」

ダンブルドア「スラグホーン先生は幸いなことに魔法薬の名手でのう。わしが件の記憶を提出させて以来、真実薬の解毒剤を持ち歩いておる。そして、彼はあれ以来腕を磨き『閉心術』の名手にもなったのじゃ。わしとて、うむ。ちょっとキツイ」

ハニー「……ちょっと頑張りなさいよ」

163: 2013/10/14(月) 01:01:41.52 ID:w3QfndwN0
ダンブルドア「いやいや、いや。ハニー。彼から力ずくで真実を引き出そうとすることは、百害あって一利なしじゃ。わしは彼に今後も城におってほしいからのう」

ハニー「……けれど」

ダンブルドア「スラグホーン先生といえども、わしらと同じく弱みがある。そこを突き動かせるのは、君だけなのじゃ。わしは」

ハニー「……」

ダンブルドア「わしは、君がわしを信じてくれるように。君のことを信じておるよ」

ハニー「! ……かわいい豚の、期待には。答えてあげないと、いけないわ」

ダンブルドア「あぁ、わしは幸せものじゃのう」

ハニー「……私にしか、出来ないことなのね?」

ダンブルドア「うむ」

ハニー「……あなたが、わたしに。託してくれるのね?」

ダンブルドア「そうじゃ」

ハニー「……記憶どころか、スラグホーンそのものをひっぱってきてあげるわ。楽しみにしてなさい」

ダンブルドア「期待しておるよ、ハニー。あぁ、それでこそ君じゃ。真実を、その重要さを求めることを、忘れるでないぞ?」

ハニー「当然よ。私を誰だと思っているの?」

ダンブルドア「ヒンヒン! さて、もう遅い。おやすみ、ハニー。また会えることじゃろう」

ハニー「えぇ、おやすみなさい。そうね、またすぐ、だわ」

キィィィィッ

バタンッ

ハニー「……」


 フィニアス『……ダンブルドア。あの子が君より上手くやれるという理由が、私には分からんね』

 ダンブルドア『フィニアス。わしも、君に分かるとは思わぬよ』


ハニー「……よし」

ハニー「頑張るわよ……わたし!」

179: 2013/10/20(日) 14:38:24.88 ID:WDEILPKm0
魔法薬の授業

グツグツグツグツ

ロン「あぁハニー!僕のハニーまったく、大なべのやつめ何がぐつぐつだよ僕の持ち物ならヒンヒンたぎってみせろよな!」

ハニー「えぇ、そうね。万物が発する音まで私に向けられるのは当然のことだ、けれど……問題なのはなべの中身のほう、よ」

グツグツグツグツグツグツ

ハニー「……なぁにこれ」

ロン「君が作ったものなら僕ら豚はいくらでも飲めるよ。なぁネビル……あ、そうか、ネビルのやつこの授業いないんだった、マーリンの髭。なんのためにスネイプの野郎で鍛えられたんだか」

ハニー「あの教師の話はしないで頂戴……それよりも、まずいわ」

ロン「君が作ったものが不味いはずがない、って、そういやあの一等星もよく言t痛い!ありがとう!」

ハニー「……今日はいつものように課題をしっかり仕上げて、スラグホーンの機嫌を良くさせたところに……あのことを、聞こうと思っていたのに」

ロン「君に話しかけられただけで僕らは有頂天のあまりなんでもペラペラしゃべっちまうけどね。知ってる、ハニー?君って世界一だよ。何がって?全部さ」

ハニー「当たり前でしょうこの私だもの」


ハーマイオニー「……」

アーニー「え、えーっと、ハーマイオニー?あの、あんまりその材料は刻む必要ないと思うよ?あのさ、あの、気になるならツッコミに、いえ、なんでもないです」


ハニー「……この私でもわかりそうにない、難解な授業があたってしまうだなんて」

ロン「道理で僕の大なべの中身はなんだかよくわからない髭の塊のようなものになってるわけだよな、あぁ。なんで僕Newtの授業に入れたんだろ、奇跡かな。ハニーのおかげで」

ハニー「しっかり崇めなさい……ハーマイオニーは、あなたといると話をしてくれそうもないし」

ロン「あー、それはごめんよ本当……まったくあいつ、どこまで強情なんだろうね。マーリンの髭」

ハニー「ロン」

ロン「ヒンヒン!オーケーハニー!この髭を一気だね!もちのロンさ!ネビルに遅れはとらないよなんてったって僕ぁ君の一番の豚ゴッゴッゴッゴッゴッゴ」

スラグホーン「さぁさぁ、続々解毒剤はできたかね……み、ミスター・ウィーズリー!?まだ早いしそれはなんだね私でもまだ見たことのない毒ぶ、み、ミスター・ウィーズリーーーー!?」

181: 2013/10/20(日) 14:52:26.85 ID:WDEILPKm0
ロン「いやぁ氏ぬかと思った。毒で氏に掛けるのはこれっきりにしてほしいなぁ」

ハニー「毒でというよりはのどにひっかけて窒息のほうだったけれど。生きて私を見られることに感謝しなさい」

ロン「そんなのいつだってしてるけどさ。それにしても、ハニー。そのホークなんとか。あのじいさんから聞くしか手段はないのかい?」

ハニー「そうよ……ホークラックス。ハーマイオニーでさえ、聞いたこともないんですって」

ロン「おやおや、そりゃ図書館もお手上げだよな……僕ぁ奴さんの声自体最近碌に聞いてないけど」

ハニー「私は毎朝聞いてるわね。かわいい艶声を」

ロン「先生!薬で女の子になる手段はないんですかっ!!!!」


スラグホーン「あ、頭に毒が回ったかねミスター・ウィーズリー……?さ、さぁさあ諸君、作業はそろそろ大詰めかな?」


ロン「そりゃ大詰めだよな。あとは大なべ磨くだけだもん僕ぁ。あぁハニー!君と同じだなんて不可能だけどそれを目指すくらいピッカピカに磨き上げてみせるよ!ヒンヒン!」

ハニー「志の高い豚は好きよ……え、っと。スラグホーン先生?今日の課題のこと、もう一度、説明をお願いしてもいいかしら?」


スラグホーン「ハッハッハ、君ほどの生徒なら復習する必要もないだろうに!いいだろう、もう一度!ゴルバロットの第三の法則とは――」


ロン「…………ハッ!あぁ、眠っちまってたよまったく……あれ?この世のものとは思えないくらいの美少女がいる、まだ夢の中なのかな?」

ハニー「いつだって夢見心地でしょうね、えぇ……」


スラグホーン「――『スカーピンの暴露呪文』で分析された毒薬の成分を正確に同定し、その成分に対する解毒剤を選び、また追加する成分を選び抜かねばならず――」


ロン「……例の王子様の本はどうだい?」

ハニー「……何も書かれていないわ。どうやらプリンスは、この原理を苦もなく理解したみたい……」

ロン「つくづくできる野郎だよな。世が世なら、いい君の豚になれただろうに。マーリンの髭」


183: 2013/10/20(日) 15:08:50.08 ID:WDEILPKm0

ハニー「……スラグホーンを、この私に跪かせることは。恐らく簡単だわ」

ロン「こんな風にね。なんてったって君だからそりゃぁあくびが出るほど簡単さ」

ハニー「けれど……ダンブルドアが任せたのは。わたしに任せてくれた、のは。そういうことじゃないはずなの」

ロン「……」

ハニー「ママの面影に、頼るんじゃなく。無理やり、聞き出すんじゃなく……私が、説得しないといけない」

ハニー「どうすれば、いいかしら……もう、残りの時間もほとんど……」

ロン「こういうのはどうだい、ハニー」

ハニー「なぁに?」

ロン「僕に毒薬を飲ませて、君を見てればみるみる回復するさまを見せ付ける、つまりは君自身がどんな毒をも解毒しっちまうまるでベゾアール石みたいな特効薬なんだ、っていう」

ハニー「いつまでもふざけるなら首輪を締めるけれど?」

ロン「ごめんなさいありがとう!ヒンヒン!」

ハニー「……ベゾアール石?」

ロン「ヒンヒン! 一年のときにあのベタベタ髪野郎が『目の色を変える薬を飲んで不運にもハシバミ色になってしまった愚か極まりない生徒は即刻こちらにこい。あらゆる薬に効き目のあるこのベゾアール石を口に叩き込む。そしてポッター貴様は何故緑色の薬が完成しない20点減点』って、言ってたことあったろ?」

ハニー「……あぁ、あの教師もどきもあれでなかなか、教師していたのね……確かに、あったわ。プリンスの教科書……毒物のリストの最後のページ!『ベゾアール石をのどにつっこめ!』これよ!」

ロン「おったまげー!こんなに有能なプリンスと似ても似つかないベタベタ野郎が同意見なんて、あれであいつも人類なんだなぁ!マーリンの髭!」

184: 2013/10/20(日) 15:25:22.99 ID:WDEILPKm0







スラグホーン「ハッハッハッハッハ!なんと不敵極まりないだろうね、えぇ!?」

ハニー「えぇ、そうね。いまさらだわ、この私だもの」

スラグホーン「まさか『ベゾアール石』とは!あぁ、そう。これは用意した毒物のすべてに効き目がある!しかしなんたる度胸!そこは眼鏡か!なんてこった!」

ハニー「微妙にうるさいわ」


ハーマイオニー「……それで?ハニー、あなたはそれを自分ひとりの考えで思いついたのね?どこぞの王子様じゃないのよね?」

ロン「こっちを見向きもしなかった誰かさんがなn――」

ハーマイオニー「アーニー?鍋はしっかり支えてないと危ないと思うわ」

アーニー「えっ?あれ?僕の失敗した解毒薬入った大なべ……ろ、ローーーーーン!!!」


スラグホーン「しかしまぁ、これを思いついたのはまさしくリリーの才能!そっちを見よう、うん!魔法薬つくりを直感的に把握する生徒だったよ」

ハニー「それはそうでしょうね。私のママだもの」

スラグホーン「ベゾアール石は確かに万能だ。今回の課題においては優等、ただし必ずしもすべての毒物に効くわけではない、それはよーく覚えておきなさい。だが、失礼千万にグリフィンドールに十点をやろう!」

ハニー「……点数よりも、ほしいものがあるけれど」

スラグホーン「うん?なんだねハニー、ハッハッハ!頼まれてもせいぜいパイナップルしか出せないが……おっと、終業時間だ!みな荷物をまとめ……う、ウィーズリー?大なべは頭にでなく手に持っていけばどうだね?え?」

186: 2013/10/20(日) 15:51:20.48 ID:WDEILPKm0
スラグホーン「いやいやまったく、いいものをみた……この記憶ならアルバスに頼んで保管してもらってもいいかもしれない……私も随分と」

ハニー「そのことについてだけれど」

スラグホーン「おっと!? おやおや、ハニー。まだ残っていたのかね。放課後は有意義に使いなさい」

ハニー「今の私にとってこれ以上有意義なことは、そうね、7、8個というところかしら」

スラグホーン「ハッハッハ!それは光栄だ。それで、どうしたね?」

ハニー「聞きたいことがあるの。さっきの点数を、なしにしてもいいわ。どうしても」

スラグホーン「ハニー、ハニー。君と私の仲だろう……遠慮なく聞きたまえ、遠慮なく!」

ハニー「そう……それじゃ」

スラグホーン「ハーピーズの選手と会いたいのかね?それとも自伝の出版の話?いいとも、いいとも!ぜひ段取りをつけよう!その代わり、君とアルバスのお話を少し――」

ハニー「ホークラックス、のこと」

スラグホーン「」

ハニー「なのだけれど……」

スラグホーン「……」

ハニー「……」

スラグホーン「……いかしたフォークのことかね?」

ハニー「まじめに」

187: 2013/10/20(日) 16:02:05.23 ID:WDEILPKm0
スラグホーン「ハッハッハ、ハニ、ハッハッハ」

ハニー「……」

スラグホーン「フォークラックス?うん?なんのことやら、それは、確かになんだか私の名前と語感が似ているがねぇ!」

ハニー「……」

スラグホーン「そんなもの、聞いたことも!ハッハッハ、こりゃ傑作で!」

ハニー「……」

スラグホーン「ハッハッハ!ハッハ!ハ……は、ハ」

ハニー「……」

スラグホーン「……ダンブルドアだな?」

ハニー「……えぇ」

スラグホーン「……ダンブルドアが、君にあの記憶を見せたのだな?」

ハニー「えぇ、そうよ。だって、あれは」

スラグホーン「『その記憶こそが奴を挫く手がかりとなるはずなのじゃ』!?そんな文句はすでに聞いている!それで!!」

ハニー「……」

スラグホーン「それが間違っていたことは記憶を見た君がよーーーーく知っているはずだろう!!私は、私は確かにあの生徒に!!あぁ、すこーしばかり特別扱いをしていたことがあったかもしれんが!」

スラグホーン「何も教えていない!!!何も、だ!!!!何も知らない!それが事実だろう!」

ハニー「あの記憶には、不足している部分があったわ」

スラグホーン「そうかね?そう思うかね!?残念だ、君は母上の頭脳に似ていると思っていた!君は間違っている!私は、間違えてなどいない!!!」

ドタバタドタバタ!

バターーーン!

ハニー「……」

ハニー「……あの顔」

ハニー「……あの時の、シリウスと。同じ、だわ」

188: 2013/10/20(日) 16:21:04.24 ID:WDEILPKm0
放課後

図書館

ハーマイオニー「あなたも魔法薬の先生もびっくり!な回答も、記憶を聞きだす手段にはならなかった、というわけね。ご愁傷様」

ハニー「拗ねてる顔もそそられるけれど、まじめに聞いて頂戴……」

ハーマイオニー「あなたと一緒でいつだって大真面目よ、私は。今だって、ホークラックスについて探しているところだもの」

ハニー「あなた、在学中にこの図書館の本すべて読んでしまうつもり?」

ハーマイオニー「夜が空いていたらそれも可能だったかもしれないわね。いい、ハニー。ホークラックスのことは、どうやってもスラグホーンから聞き出すしかないようよ」

ハニー「そう……やっぱり、どこにもないの」

ハーマイオニー「たった一言だけ、『もっとも邪悪なる呪文』の序章に……『ホークラックス、魔法の中で最も邪悪なる発明なり。我らはそれを語りもせず、説きもせず――』じゃあどうしてわざわざ書くのかしら!まったくもう!」

ハニー「……マーリンの?」

ハーマイオニー「言わないわよ、言うもんですか! とにかく、ハニー。スラグホーンに警戒されたなら、しばらくおとなしくして様子を見たほうがいいわ」

ハニー「おとなしく、ねぇ」

ハーマイオニー「そうよ。具体的には、授業でもあまり目立たないように、ほら。あのプリンスの教科書はしまっておく、とか……きゃぁ!?」

ハニー「えぇ、そうね。ハーマイオニー?あまり目立ってはいけないもの、こんなことも今後、おおっぴらにはできないのかしら……?」

ハーマイオニー「あっ、ちょ、ハニー。そんな、そもそもこれは、人前でやっていいものじゃないって何度……あぁ、でも、今は誰も……違うわ、そんな、チズパーフルみたいに隠れた場所で、なんて、あぁ……」




談話室

ロン「つ づ け て !!!」

ネビル「うわっ、びっくりした! ろ、ロン?その鍋頭から取れば?反響してうるさいよ……えっ!?いまどうぞるような状況なのかい!?もう、なんで君こんなところにいるのさ!一番豚の名が泣くよ!!!」

ロン「髭!!!」

ネビル「うるさいよ!」

ロン「い や ミ ス タ ー ほ ら 貝 の 君 に 言 わ れ た く な い け ど ね ! 」

190: 2013/10/20(日) 16:38:44.00 ID:WDEILPKm0
二月

放課後 大広間

ガヤガヤガヤガヤ

ハニー「……私がこの特別授業を受けても、テストを受けられるのは17歳になる来年度だわ」

ハーマイオニー「受けて損をするわけじゃないでしょう? スラグホーンの方がどうにもならないんだし、気分を変えてみればいいじゃない」

ハニー「私が気分を変える方法は『姿くらまし』じゃなくてあなたとどこかあっちの暗がりにくらますことよ」


ロン「つづ……」

ラベンダー「ウォン-ウォン!がんばりましょうね!使えるようになったら私と愛の逃避行、きゃっ♪」

ロン「あ、鍋忘れっちまった。マー髭」


ハーマイオニー「……他人の姿をくらませる魔法って何があるかしら」

ネビル「き、君ならたくさん知ってそうだよね、うん」


マクゴナガル「みなさん静粛に!静粛に!こちらは、魔法省からいらっしゃった『姿あらわし』呪文の訓練官、ウィルキー・トワイクロスさんです!」

ザワザワザワザワ

ハニー「……どこかしら」

ハーマイオニー「ハニー、何を言ってるの?マクゴナガル先生の隣……あら?あ、いたわ……えっ?消え、あら?」


トワ―クロ―「どう――みなさん。私は十二週間かけ――みなさんの指――」

マクゴナガル「トワイクロス!!!姿をはっきりおさせなさい!!!!」

トワイクロス「ハッ!!! あ、あぁ。すみませんマクゴナガル女史。いやぁ、ハハ……この呪文の訓練官なんて仕事をずっとしていますと、なんですか」

トワイクロ――「自分がどこにいるんだk――姿がこう――曖昧」

マクゴナガル「トワイクロス!!!」

トワイクロス「ハッ!!あ、はは。それで?ここはジャパンのマホウトコロでしたっけ?」



ハニー「……やっぱりやめたいわ、この呪文習うの」

ハーマイオニー「み、みんながみんなあぁなるわけじゃない、はずよ。えぇ」

191: 2013/10/20(日) 16:59:14.38 ID:WDEILPKm0
トワイクロス「改めましてこんにちわ。呼ばれて飛び出て、トワイクロスです」

マクゴナガル「無駄に印象づけなくてよろしい」

トワイクロス「十二週間かけ、みなさんがこの呪文のテストに通るよう指導させていただきます。このように――」

クルッ サッ

パッ

トワイクロス「身を翻して姿をくらまし、異なる場所に姿をあらわす。私が今行ったように、マクゴナガル女史の隣から」



トワイクロス「このように、大変美しいお嬢さんの足元に寝そべることも可能でぐふぁああーーーー!!!」

ロン「させると思うかこの野郎!!おい豚ども!!!こいつとっ捕まえろ!!ハニーの下着を盗み見ようなんてこの野郎が屠殺ですむと思うなヒンヒンヒーーン!」

ヒンヒーーン! ヒーーーーーン!
 コロセェーーーーーー!!

ハニー「……やっぱりやめたいわ」

ハーマイオニー「あー……そうね、えぇ……でも、便利で……あー」

ハニー「便利なのは私の豚さんたちだけで十分だもの」


トワイクロス「待ちなさい諸君!私は実演して見せただけです!なんです!?何を怒ることがあるんです!?」

トワイクロス「こんな魔法が使えて悪用しないほうがおかしいでしょう!?違いますか!?え!?」

トワイクロス「みなさんは考えたことがありませんか!?今あのアングルで上を見られれば、今あの部屋に入って中をのぞけたら!」

トワイクロス「私は!魔術のもつ!!我々野郎の根幹に関わる欲求を!!!実現する手段としてのこの魔法のすばらしさを――」


マクゴナガル「えぇ、そしてトワイクロス。いつもいつも、その結果どのような制裁が待っているか、生徒たちによーく分からせるための実演、ご苦労様です」

スネイプ「」バチバチバチバチバチ

トワイクロス「お、おや、どうしていつもはそんな知らぬ存ぜぬくだらないって体のスネイプ教授まで――あぁ、これ、私、本当に消えてしまうのでは――儚い人生だった」

ロン「あんたの存在感くらいにね。マーリンの髭」

220: 2013/11/03(日) 16:26:24.24 ID:xYO/scGQ0
トワイクロス「ゴフッ、この、ゲフッ、私が逃げられなかったように、この城では本来、姿あらわしの魔法は使えません」

トワイクロス「この訓練の日に限り校長がその措置を解除してくださるので、で、実際一回出来たので今回こそ、いけるかな、とおもったのですが」

トワイクロス「だめでした。くそぅ。目が痛い、凄く目が痛い誰か凄く眼を呪ってきた」

マクゴナガル「進めなさい早く」

トワイクロス「よろしい――みなさんこちらを」

パッ

ハーマイオニー「床にたくさん、フラフープのような輪が現れたわね」

ハニー「移動するときのあのグルグルする感覚でも体感させるのかしら」


トワイクロス「本日はその輪の中に姿現しする練習です。一人一つずつ、輪の前に立ってください。前に――」

マクゴナガル「トワイクロス!!」

トワイクロス「ハッ! あぁ、びっくりした。輪を頭の上に浮かばせてる人たちの前にいたような気がする」


ザワザワザワザワ バタバタ

ハニー「みんな押し合いへし合いして移動し始めたわね……私は帰りたいけれど」


フリットウィック「みんな落ち着きなさい!レイブンクロー生、一番前でなくともちゃんと教えてもらえますよ!」

マクゴナガル「グリフィンドール!!回して遊ばない!!!紳士たる態度をとりなさい!」

スプラウト「みんな、頑張りなさいな!」

スネイプ「ポッター、不真面目な態度に五点減点」

ハニー「生徒見てなさいよあなた」

222: 2013/11/03(日) 16:37:24.85 ID:xYO/scGQ0
マクゴナガル「全くですセブルス!寮監の仕事をおやりなさい……ミスター・マルフォイ!」

マルフォイ「いいか、お前たちが何を言おうと……はい、『先生』」

マクゴナガル「いつまでも広間の隅におらずに移動しなさい!学ぶ意思はおありなのでしょうね!」

マルフォイ「チッ……フォーイ」

マクゴナガル「……ふざけているのか本当にただ返事をしているのか判断に迷うのが困ったところです。グリフィンドール!輪投げを始めない!!」

ガヤガヤガヤガヤ

ハニー「……マルフォイの奴……取り巻きと何か、話していたわね」

ハーマイオニー「ハニー、私達も早く行きましょう?えっと、いい?一人一つの輪よ?先手を打っておくわ!いい?」

ハニー「それはそれは俄然楽しそうに思えるけれど……ハーマイオニー、私、ちょっと行ってくる……あっちでも何か、コソコソ話しているもの」

ハーマイオニー「? ちょっと、ハニー?どこに……」

ハニー「しっかり身につけて、寂しい夜には私のところにあなたから、来られるようにしてね」

ハーマイオニー「この術を身につけなくったって、いつもそう……ハニー!?」


ネビル「……ロンがいないと二人の話がダダ流れで大変だなぁ。ツッコミって凄い」

ラベンダー「ウォーンウォン!一緒の輪使いましょ?ねっ!きゃっ♪」

ロン「ちょ、離してくれよ!なんだかどうぞれる雰囲気が、くそぅ!マー髭!」

224: 2013/11/03(日) 17:02:25.09 ID:xYO/scGQ0
ザワザワザワ

ハニー「中々移動の騒ぎは収まらないみたい……好都合だわ。マルフォイは、未だに話続けて居るようだもの」

ハニー「……」

ハニー「なんだか反抗的な顔をしてる、クラッブ、ゴイルと」

ハニー「……調教が済んでいなかったのかしら、ね」

ハニー「……後ろに回って、聞き耳を……この私がコソコソするだなんて、癪だけれど」



マルフォイ「いいか!あとどのくらいかかるか、僕だってわからないんだ!」

クラッブ「ゴアッ!!」

ゴイル「ウホウホォ!」

マルフォイ「あんな格好するのも、待たされるのも懲り懲りだって!?分かってる!だけど仕方ないだろう!考えていたより時間がかかっているんだ!」

クラッブ「……能無s」ボソッ

マルフォイ「うん?そうだな、あのノータリンなボージンのせいだまったく、困ルフォイ」

ゴイル「……どの口が」ボソッ

マルフォイ「うん?あぁ、これ以上待たせるようなら、あいつにはグレイバックの口が待って居るだろうさ」

ハニー「……」

マルフォイ「とにかく、いいか?お前たちは黙って見張りだけやっていろ!僕が中で何をやっていようが、お前たちには関係が――」

ハニー「私なら、友達に見張りを頼むなら自分の目的を話すけれど」

マルフォイ「!! この――」


マクゴナガル「静かに!!!!鼠に変身して私とミセス・ノリスの暇つぶしになりたいですか!?!?!?」


ハニー「……」

マルフォイ「……黙るフォイ」

228: 2013/11/03(日) 17:17:44.30 ID:xYO/scGQ0
トワイクロス「『姿現し』で大切なことは三つのDです!」

トワイクロス「『どこへ』『どうしても』『どういう意図で』!」

トワイクロス「リピートアフタミー!『どこへ――」

マクゴナガル「『どこへ』行くんですトワイクロス!!!!」

トワイクロス「ハッ!あぁ、ハハハ。少し常夏の国に意識が言っていたせいで頭がボーっと……ごフォん。『どこへ』!」

どこへ!

トワイクロス「『どうしても』!」

どうしても!

トワイクロス「『どういう意図で』!」

どういう意図で!

トワイクロス「つまりは、おにゃのこのツンパを拝みたいな、という気持ちさえあれば余裕と言うことです野郎諸君」

マクゴナガル「まだ脳が湯だって居るようですね。セブルス」

スネイプ「『アグアメンティ』」

231: 2013/11/03(日) 17:31:10.98 ID:xYO/scGQ0
ハニー「(『どこへ』『どうしても』『どういう意図で』ね……あぁ、全く頭に入らないわ。マルフォイは……何のことを話していたの?)」


トワイクロス「ゴホッ、ゴホッ、ゲホッ。どうも」

スネイプ「礼に及ばん。物足りぬなら我輩の懐から水よりも頭の冷えるものを差し上げますがな?」

トワイクロス「結構、結構……それでは、みなさん。目の前の輪を見ながら、第一ステップ。『どこへ』に集中を!」


ハニー「(どこへ……輪っか……丸い輪……マルフォイは、『見張り』とはっきり言ったわ。それに、ボージンの名前も)」


トワイクロス「第二のステップ!『どうしても』という気持ちを、目的の空間に集中させる!」


ハニー「(つまり……やっぱりあそこで企んでいたことを、この城で……どうしても、成し遂げる気で)」


トワイクロス「第三のステップ!私が号令をかけた瞬間に、その場で回転する!無の中に入り込む感覚で、『どういう意図で』行くかを慎重に考えながら!」


ハニー「(さっぱり、集中できないわね……私が、行きたいところなんて……どうしても、行きたいのは……聖マンゴくら――うるさいわ)」


トワイクロス「では!いーち――にー――さん!」


クルッ

パッ


ドサドサドサドサッ!!!!

ハニー「……だめね。あの意地悪豚なら、こことあの病室なら移動させてくれるかと少し、すこーしだけ期待したけれ……あら、豚さんたち?どうして私の前の輪の中で折り重なっているのかしら。言われる前から跪くのは見上げた姿勢だけれど」

ネビル「ヒンヒン!ああハニー!!!すごいや!!僕達、君のとこにいきたいなぁっておもったら!」

シェーマス「なんだかすごく集中できて!気づいたらこの輪にヒンヒン!」

アーニー「あぁ!ハニーは僕らの希望の光だなぁ!ヒンヒン!」

ジャスティン「ヒンヒン!」

ヒンヒンヒーーーーーン!!!



トワイクロス「――あー、今年の生徒さんたちは、あー、素質大、ですね?とくにグリフィンドールは」

マクゴナガル「……何の素質かは聞きません。聞くものですか」


ロン「……」

ハーマイオニー「……輪を間違えておいでのようですけど」

ロン「あ、あぁ、まったく!僕ぁこの呪文に限っちゃチャーリー兄貴譲りらしいよ!もちのロンでね!ヒンヒン!ごめんよハニー!」

ハニー「ロン」

ロン「なんだいハニー!」

ハニー「心から褒めてあげるわ」

232: 2013/11/03(日) 17:48:19.67 ID:xYO/scGQ0







トワイクロス「一部生徒さんの中で『バラけ』も見られましたが、寮監のみなさんのおかげでなんとかなりました」

トワイクロス「個人的にはその女生徒をどうして専門家である私に見させてくれなかったのか不満タラタラですが」

マクゴナガル「素行の一言です」

トワイクロス「儚いなぁ世の中って。ではみなさん、次の訓練で会いましょう――」

スゥゥゥッ

ハニー「……今度こそ本当に消えたわ」

ロン「何度でも消えOちまえばいいのにな、あぁ。えーっとさ、ハニー……い、行こうか」

ハニー「あら?私の豚は、放課後はラベンダーとの時間をとらせているはずだけれど?」

ロン「僕の時間は生涯君に向けられてるけどさ……あー、分かるだろ?あのさ、えーっと、ちょっと……」


ラベンダー「ハニーなら、まだいいわ。仕方ないもの!でもどうして!ウォン-ウォンは!あなたの前に出てきたの!!なんなの!」

ハーマイオニー「私に言わないで。被害者よこっちは」

ラベンダー「嘘!あなた、ウォン-ウォンに色目を使ってたんだわ!それでウォン-ウォンは」

ハーマイオニー「ウォンウォンウォンウォンうるさいわね。バイクか何かなの、ラベンダーって」


ロン「……僕は黙ってろ、って」

ハニー「……当事者たちに、任せましょうか。丁度いいわ……ロン」

ロン「ヒンヒン!オーケーハニー、何か急ぎみたいだね!乗りなよ!」

ハニー「話が早くて本当に助かるわ……マルフォイ達が、揃って大広間を出て行ってる……急ぎなさい」

ロン「あいつらをつけるのかい?足音がフォイフォイ言ってるから簡単だけどさ」

ハニー「いいえ……私達の談話室に。直に見張るよりもっと、いい手段があるもの」

ロン「了解!急ぎなら迷わずこっちの近道――おっと!」


ピーブズ「ヘェーーーーッヘヘヘェーーーーーーーー!通してほーしけりゃテメェーのズボンに火ぃつーけなーーぁ!」

ハニー「ロン」

ロン「オーケーハニー!そーれ『インセンディオ』!!!」ボォオオオオオオオオ!

ピーブズ「!?!?ば、バカかテメェら!!!!!!!!」

236: 2013/11/03(日) 18:06:47.11 ID:xYO/scGQ0
談話室

ロン「足だけ焼き豚になっちまったよ、マーリンの髭」

ハニー「出来る豚は好きよ。それと、さっきのとってもステキな『姿あらわし』を褒めてあげないといけなかったわね」フーッ

ロン「うひゃぁヒンヒン!ありがとう!失敗してよかった!!!」

ハニー「大成功だとおもうけれど……さて、持ってきたわ」

ロン「世界の平和と安寧を?」

ハニー「えぇ、そうね。常に携えているわ。これよ……『忍びの地図』」

ロン「あぁ、城中でどこで誰がなにしてるか分かる地図で、君のお父さんとかミスターチョコレートとか裏切りネズ公とか君の旦那とかがつく痛い!!ありがとう!ヒンヒン」

ハニー「そうだけれどやめなさい……『我、ここに誓う。我、よからぬ事を企む者なり』 少なくともマルフォイは、企んでいるわ」

スゥゥゥゥゥゥ

ロン「あぁ、まーた奴さんのことなんだねハニー……おっ、ご親切にスリザリン寮がアップになってる。豚かな?あ、ちがうか。ハニーのむk痛い!」

ハニー「しつこい豚は嫌いよ……クラッブ、ゴイル、パーキンソン、ザビニと一緒ね」

ロン「マルフォイが真ん中、ゴリラ二頭が真ん前、パグ犬はマルフォイのすぐ後ろ?ザビニの野郎は壁際にいるところを見ると、もたれて足くんで最高にザビニってるんだろうね、もちのロンで」

ハニー「まだ使うのね、それ……今日は何もしないのかしら。流石に談話室で事を起こそうとするはずは、ないもの……」

ロン「僕らの会議は深夜のここでやってるけどね。なぁハニー、なんのことだい?君の考えが間違ってるなんてこと天地がひっくりかえってもないけどさ」

ハニー「えぇ、そうね。間違いのない事実だもの……きめたわ。これからは休み時間、マルフォイから……目を離して、やらないんだから」

ロン「…………あいつを羨ましいと思う日がくるだなんてね。マーリンの髭!!!髭!!!!」

239: 2013/11/03(日) 18:31:05.22 ID:xYO/scGQ0
二月終盤

放課後 図書室

ハニー「……また、いなくなってるわ」

ハーマイオニー「……ねぇハニー?あの教科書のことが落ち着いたと思ったら、今度はその地図にご熱心で……宿題をしましょうよ」

ハニー「私にとっては何よりの課題だもの。ねぇ、ハーマイオニー?ホグズミート休暇でもないのに城から抜け出すなんてこと、可能かしら……」

ハーマイオニー「少し前なら、それも有り得たかもしれないわ。でも、今の厳戒態勢ではとても無理よ」

ハニー「そう、よね……マルフォイなんかが、パパたちの知らない抜け道なんてものを知っているはずがないし」

ハーマイオニー「でも、マルフォイなんて名前見逃すはずがないわ。いやでも目立つもの」

ハニー「クラッブ、ゴイルはここにいるわね。二人で……廊下に」

ハーマイオニー「腰巾着二人を置いて、マルフォイはどこに……あー、私までそっちが気になってきたわ」

ハニー「……みんな成長してしまった、ってことかしら……あなたとロンみたいに……中々進展はしないけれど」

ハーマイオニー「なんのことかしら!よ!オホン その地図が間違ってる、ということは?」

ハニー「ありえない、って昔、リーマスが言ってたわ」

ハーマイオニー「スリザリン寮までカバーしているものね、その地図……どういうことなのかしら今更だけど」

ハニー「……あの鼠?」

ハーマイオニー「……あー」

ハニー「考えるのはやめましょう。今度リーマスに聞けばいいわ……シリウスにでも、ね」

ハーマイオニー「そうね、えぇ。すぐに聞けると思うわ……さぁハニー、お婿さんが起きた時に立派な大人でいられるよう、しっかり勉強を……きゃぁ!?」

ハニー「えぇ、そうねハーマイオニー。しっかり女を磨かなきゃ、そうでしょ?でも私、どうすればいいのか分からないの。おしえて、くれる……?」

ハーマイオニー「っちょ、ハニー、だから、誰もいないからって図書館で、だめ、あぁ、そんなこと、あなたにかかれば、ナールとハリネズミの見分け方くらい、簡単なこと、じゃない……」

バサバサッ

パラッ

本『つづけて』

本2『どうぞ』

247: 2013/11/03(日) 20:20:10.16 ID:xYO/scGQ0
三月一日

グリフィンドール男子寮

コンコンッ

ガチャッ

ハニー「入るわよ、ロン」

ロン「あぁハニー!僕のハニー!朝から君の顔をそれもこの寝室で見られるなんて僕ぁなんて光栄なんだろう!ヒンヒン!」

ハニー「出来る豚さんの誕生日だもの、飼い主としてこれくれいはしてあげるのが当然、そうでしょ?」

ロン「ヒンヒーーーン!」

ハニー「ネビルにディーン、それにシェーマスはどうしたのかしら」

ロン「ネビルは、休日だってのにスプラウトんとこで自主補習だってさ。ディーンはジニーと会うとかなんとか髭。シェーマスは朝食に行っちまったよ。おしい奴らだよな、すぐ後にその扉から幸運が人の姿を模した存在が現れるとも知らずに」

ハニー「それはそれは残念でしょうね、えぇ。さ、プレゼントよ。もっとも、随分たくさんもらっているようだけれど?」

ロン「とんでもない!!とんでも!!!君からの贈り物がもらえるならその他なんて髭以下だよマーリンの!なんだこのカード!」

ポイッ、 パカッ

『愛してる~~~♪ウォンウォ~~~ン♪』

ハニー「……」

ロン「……僕、もう参っちまったよ……そりゃ、最初はノリがいいし、その、楽しい部分もあったけどさ……なんていうんだろうな」

ハニー「……(私からはもう何も助言しないわ、こじらせるわけにもいかないもの)」

ハニー「……でも、少し手助けを、するくらいなら」

ロン「? なんだいハニー!思案する横顔も最高だね!」

ハニー「知ってるわ。はい、これは私から」

ロン「! ハニー色のクィディッチグローブだ!!!やった!!!!ありがとうハニー!あぁでももったいなさすぎてこれでクァッフルを掴むなんて……ハニー色のグローブでハニー色のクァッフルを掴む!!!なんて豪華なんだ!!!豚でよかった!!ヒンヒーーーーン!」

ハニー「……パパも同じようなグローブつけてたのかしら、もしかして」

ロン「なんのことだい?」

ハニー「こっちの話よ」

248: 2013/11/03(日) 20:33:32.68 ID:xYO/scGQ0
ハニー「それで……もう一つあるのだけれど」

ロン「本当かいハニー!なんてこった!僕もしかして生まれたこの日に氏ぬんじゃないかな!」

ハニー「物騒なことを言うんじゃないの」

ロン「それくらい幸福すぎるってことさ!あぁでもそしたら僕ぁ毎日氏ぬような目に合わなきゃな、君のクッションで要られるなんてね今みたいに」

ハニー「座りごごちのいい貴方のそれは義務だと思うけれど」

ロン「もちのロンさ!そ、それで、その箱……」

ハニー「誰からか、は。言わないわ」

ロン「……」

ハニー「いい匂いがするでしょう?きっと、お菓子でしょうね。あなた好みの?」

ロン「あー……あの、それってもしかして」

ハニー「味わってから自分で判断しなさい、いいわね?」

ロン「……さ、最後に開けていいかな!あー、うん!ほら、残り物にはなんとやら、ってさ!」

ハニー「そうしたいなら、そうさせてあげるわ」


ハニー「(ハーマイオニーも、本当に。素直じゃないんだから)」

ハニー「(昨日の晩、イロイロ済ませた後「明日ロンにバースデープレゼントを渡しにいくけれど、一緒にどう?」って聞いたら)」

ハニー「(「折角の幸せな気分に水を差す名前をだすのはやめて」だなんて、そっぽを向いておいて)」

ハニー「(朝になったら、私の枕元にあの箱があるんだもの)」

ハニー「(ふふっ……これでロンが……うまくいけばいい、けれど)」




ハニー「(それにしても……ハーマイオニーにしては随分思い切った包装よね……ピンク地に赤いハート柄……?まるで、他の人みたい)」

ハニー「……(でも恋は人を変える、って、聞いたことがあるわ、えぇ!)」

251: 2013/11/03(日) 20:52:04.81 ID:xYO/scGQ0
ハニー「さて、丁度いいわ。あなたと私以外誰もいないし、ロンがプレゼントを開けている間、私はここでマルフォイの観察をしようかしら」

ロン「あぁ全く、奴さんも毎日幸福だよな君に注目されるだなんてさ。企みとやらがボカスカ上手くいくんじゃないかな」

ハニー「やめなさい。ほら、お母様からのプレゼントはなんだったの?」

ロン「なんだろうね、やけに重いけど君から世界中への愛情くらい……ワァーオ!マーリンの髭!すっげぇや、こんな時計、ママったらどうやって買ったんだろ!!」

ハニー「なぁに?……まぁ……とっても綺麗な、金時計ね。星が針の変わりに、クルクル動いてるわ」

ロン「なんだっけな、成人した魔法使いには時計を送るなんとかがあるんだよ、うん。おったまげー……来年もう一回成人したいなぁ」

ハニー「お母様にはしっかりとお礼を言いなさい? 『我、ここに誓う。我、よからぬ事を企む者なり』」

スゥゥゥゥゥッ

ロン「ハグリッドからは……大鍋ケーキだ。手づくりじゃないよな?手づくりは、あー、一つで十分だよ、うん」

ハニー「そうでしょうね……マルフォイが消えてるわ」

ロン「この世界から?そりゃいいや」

ハニー「それはそれで、私の悩み事が減るでしょうけれど」

253: 2013/11/03(日) 21:21:40.59 ID:xYO/scGQ0
ハニー「マルフォイが地図から消える理由……どういうことなの、かしら」


ロン「まったく今年は大収穫だ……さ、さて、と」


ハニー「大広間のどこにも、どのトイレにも、スネイプの研究室にだって……クラッブとゴイルは、また二人でいるみたいだわ」


ロン「最後に、こいつ……なんだよこの、あー、頭が幸せそうな箱。ハニーとナニかした後に袋詰めでもしたのかな、まったく……」


ハニー「この地図に載らずにいられる、方法……一番いいのは、『透明マント』を使ってマルフォイをずーっと尾行することなんでしょうけれど」


ロン「……カップケーキだ」


ハニー「でもそれじゃ、私が授業に出ていないことなんかが問題になるもの……現実的ではないわね」


ロン「く、クリームで、『愛するあなたへ』!?ま、マーリンの髭!なんの冗談だかねまったく!このカップケーキ、薬でも盛られっちまってるんじゃないか!?」


ハニー「何か、方法……豚のみんなに……いいえ、あまり吹聴するのも……」


ロン「……」

パクッ

ハニー「……はぁ。考えても仕方ないわね。ロン、プレゼントはもう開け終わったのかしら? 朝食に……えぇ、あなたはいろんな意味でお腹一杯かもしれないけれど」

ロン「……うん……胸いっぱいだよ、ハニー」

ハニー「そうでしょうね。さぁ、大広間に――」

ロン「僕、気づいたんだ……彼女のこと、愛してる!」

ハニー「!」

ロン「どうしても彼女のことを考えOちまう!なんてことだ、僕は君の豚なのに!あぁ、豚、豚ってなんだろう、そもそもブヒブヒ鳴くのが豚じゃ、オラッ!」バキャッ!!!

ハニー「!?ど、どうして自分を殴るの、ロン!?じ、自分を大事にしない豚は、あの」

ロン「バカヤロウ豚はヒンヒン鳴くんだそれが僕のハニーの決定ででもあぁ僕、僕は彼女がふざけろこの豚、あ、あぁ……!」

ハニー「ろ、ロン……?言ったでしょう?私はあなたの飼い主だけれど、あなたの想いまで私のせいで我慢することはないわ」

ロン「ハニー……」

ハニー「素直になって。ね? 気づいたんでしょう? そうよね?」

ロン「そうなんだ……僕……愛してるんだ!」

ハニー「えぇ、おめでとう!!」

ロン「ロメルダ・ベインを!!!!」

ハニー「……………………え」

255: 2013/11/03(日) 21:27:22.73 ID:xYO/scGQ0
×ロメルダ
○ロミルダ
マーリンの髭

258: 2013/11/03(日) 21:37:49.39 ID:xYO/scGQ0
ハニー「ろ、ロミルダ……?って、二つ下の学年の……」

ロン「あぁ、彼女が君に熱い視線送ってるのは知ってるよ!同胞じゃないけど、それに近いものに僕は何時の間にか惹かれっちまったんだきっと!」

ハニー「そ、そう、なの?けれど……」

ロン「あの流れるような黒髪!絹のようになめらか、あぁ、もちろん君には劣、なに言ってんだロミルダの方が、オラ!」バキャッ!!

ハニー「」ビクッ

ロン「ふざけろハニーと比べんなでもさ彼女もね素晴らしい髪の毛がさ、ハニー!分かってくれるよね!」

ハニー「え、えぇ、あの……なんだか、様子が」

ロン「それにあのぱっちりした目!素晴らしいよな、あぁ……」

ハニー「えーっと、ロン?そもそもあなたは、あの……ロミルダと話したこと、は?」

ロン「ないよ?」

ハニー「……ラベンダーは友達だしあなたとも仲があったから何も言わなかったけれど、そんな相手は容認しかねるわ」

ロン「ヒンヒン!君が言うなら何だよハニーそんなの僕の好きにオラァッ!」バキャッ!!

ハニー「」ビクッ

ロン「あぁ、ごめんよハニーどうしちまったんだろ僕ってば君に口答えあぁハニーあぁ、ロミルダ……ロミルダ、ハニー、キャノンズ、ハニー、ハーマ……マー髭」ブツブツブツブツブツ

ハニー「……」

スッ

ハニー「……包装の中にはいってた、カード」


『愛するハニーへ 素敵な隠し味をどうぞ   ロミルダ・ベイン』


ハニー「……ロン。ロミルダに、会わせてあげるわ。ついてきなさい」

ロン「!君も最高だねハニ、オラッ!」バキャッ!

ハニー「」ビクッ

260: 2013/11/03(日) 22:15:43.27 ID:xYO/scGQ0
スラグホーンの研究室

ドンドンドン!

ハニー「先生、いらっしゃるかしら!スラグホーン先生!」

ロン「ハニー、こんなとこに何の用があるんだい?早くロミルダに、いや、君と歩けるだけでも、おらっ!」バキャッ!

ハニー「いい加減にしないと顔面が私色になるわよ、ロン! 先生!」

ガチャッ

スラグホーン「なんだね騒々しい……うわ惨劇だ」

ハニー「そのことで困って居るの。ロンが……あー、多分」

ロン「ロミルダ、あぁロミルダ……あの子は声もステキだなぁ。声聞いた事ないけど」

スラグホーン「……愛の妙薬かね?」

ハニー「……だと、思うわ。先生、解毒の薬をお願いできないかしら」

スラグホーン「ふむ……君ほどの魔法薬の名手なら、ハニー。容易いこととおもうがね?」

ハニー「……えーっと」

ロン「あぁ僕はなんて今までバカだったんだろう、彼女の素晴らしさに気づかなかったなんて!なにがハニ、おらっ!!!」バキャッ!!

ハニー「っ、この通りだもの、私は、ロンを見ておかないと、って。ロン!やめなさい!命令よ!」

ロン「ヒン、何がヒンだよ豚は、ぶ、おらっ!」バキャッ!!

ハニー「ロン!!!」

スラグホーン「……あい分かった。少し待ちなさい……ただし、アルバスの話は無しだ。いいね?」

266: 2013/11/03(日) 22:41:07.58 ID:xYO/scGQ0
ハニー「一体どうやって、ロミルダはこんな効果のある薬を……あー……そういえば双子の店で、そのコーナーのあたりで見かけた、わね」

スラグホーン「ちょいと唾液を拝借するよ、あー、ウェーザビー。なぁに、君と彼女にぴったりな薬を作ってやろうと思ってね」

ロン「ほんと!マーリンの髭!何リットルくらいいるかな!」

スラグホーン「このかき混ぜ棒の先に触れるだけでいいなんだね何リットルって君そんな真似できるのかね」

ハニー「私が命令すれば、あるいは」

スラグホーン「……どっちに似たのかなそれは。ふむ、なるほどなるほど……あー……どうやら随分、生成されてから時間を置いたもののようだ」

ハニー「……ロミルダも流石に、こんな手段に出るのは迷ったのかしら」

スラグホーン「それが仇となったのだろうね、この薬は時間が経てば経つほど強力になる。そう、秘めた重いが年を重ねる毎に膨れ上がるがごとく、ね」

ロン「君の一等星みたいだよなハニ痛い!ありがとう!」

ハニー「なんでそういうところは普通なのよ!もう!」

268: 2013/11/03(日) 23:03:39.46 ID:xYO/scGQ0
スラグホーン「ほーれ、出来た出来た!ホラス特製の、あー……イケメンニナールだ!」

ハニー「いくらなんでも……」

ロン「すごい!!ください!!!!それをのめばぼくもろみるだに!!!」

ハニー「……今のロンには、無駄のようだわ」

スラグホーン「ハハハ、慌てない慌てない。これは君専用なのだからね」

ロン「フォんとう!?」

スラグホーン「そうとも!聞き及んだが、君は今日が誕生日だそうじゃないか!うん、ウィーズリー家に恩を売っておくのは悪くない……」

ハニー「無駄な策略をめぐらせないでさっさと渡しなさい」

スラグホーン「……その目はやめてください寿命が縮まる。ほら、一気に飲みなs」

ロン「もちロンさ!!ゴッゴッゴッゴ・・・・・」

ハニー「……」

スラグホーン「……」

ロン「……先生」

スラグホーン「うん?」

ロン「その大鍋、まだ煮えたぎって熱いままですか?」

スラグホーン「あぁ、そうだなぁ。週明けに生徒に見せようと思っていた薬を煎じているから、きっと相当」

ロン「それはよかった。ハニー。今までありがマー髭!!!!!!!」

バシャァアアアアアアアン!!!

ハニー「!?ろ、ローーーーーーーン!?」

スラグホーン「魔法薬ーーーーーーー!?!?!?!?」

271: 2013/11/03(日) 23:26:20.12 ID:xYO/scGQ0
ロン「もう僕氏にたい」

スラグホーン「いやあの温度の魔法薬に突っ込んで無事なことがまず奇跡だがね……魔法薬ぅ」

ハニー「滅多なことを言わないの、ロン」

ロン「だって、ハニー。僕、僕ぁ、君の豚なのに、あんなことを口走って……」

ハニー「抵抗する意思は何度も見ていたわ」

ロン「ビクってなりながらね痛い!ありがとう!そのまま圧氏させてください!」

ハニー「この私が許すと言っているのだけれど? それに……素直な名前も、少しだけ聞いたわ」

ロン「? 上機嫌な君も最高だね!いつだってだけど!」

スラグホーン「は、ハッハッハ!もう自棄だ!どーれ、ウィーズリー!君に気付けのためにいい酒を開けてやろう!」

ハニー「お酒?」

スラグホーン「失恋の痛手を拭うのはそれは一番だ! さぁて、バタービール、オーク樽製ハチミツ酒……こいつは贈り物の予定だったが、まあ……知らなければ残念とも思わないだろう」

トクトクトクトク……

スラグホーン「そーら、こいつも一気にやりなさい!」

ハニー「いいの、かしら……バタービールならまだしも、これって普通のお酒で。そういうのは……」

ロン「それじゃ先ずは僕は飲んでみるよ、ハニー!ほら、ハハハ!毒見もかねてね!ゴッゴgg」

パリーン!

スラグホーン「ハッハッハ、まだ誕生日おめでとうも言っていないのに…………うん?どうしたね、グラスが落ち……」

バタンッ

ハニー「ロン?そんなにこのお酒、強……ロン……ロン!?!?!?」

ロン「」ガタガタガタガタガタガタガタガタガタ

ハニー「ロン、ロン!?!?なんで、どうして、痙攣、ロン!?!?!?」

ロン「ブクブクブクブクブクブクヒゲブクブクブクブウブク」ガタガタガタガタガt

274: 2013/11/03(日) 23:46:07.57 ID:xYO/scGQ0
ハニー「口から、泡、せ、先生!スラグホーン、先生!!」

スラグホーン「まさか、何故……これは……」

ハニー「助けて!誰か、誰か……毒を、解毒する方法、なんて……私、わたし」

ハニー「……っ!!」

ガタッ!! バタバタバタバタッ

ロン「」ガクガクガクガクガクガク

ハニー「待ってなさい、ロン!!! ここに、あの時、は!ここに……」

ゴソゴソ ガタガタ

ハニー「! あった……『ベゾアール石』!!!ロン!!」

ロン「」ガクガクガクガクビクビクビクビクビク

ハニー「これを!!口に入れて!ロン!!言うこと、きいて!!ロン……ロン!」

グイッ 

ロン「」ガタガタガタガタガタガタ……ピタッ

ハニー「あ、あぁ……震え、が……止まって……?」

ロン「……」

ハニー「ろ、ロ、ン?」

ロン「……ハニーの指舐めらっしゃァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

ハニー「」ビクッ

ロン「」バタッ

ハニー「……もう」

スラグホーン「……どうして、こんなことに」

ハニー「そういうのは、後にしましょう。先生……ロンを、医務室に」

276: 2013/11/04(月) 00:00:29.07 ID:OiIu6PDG0
夕方

医務室前

フレッド「僕らの想定してたこいつの成人祝いとは、随分違うもんになっちまったなぁ」

ジョージ「あぁ。少なくとも思い描いてたのは、こいつの意識がある姿だったもんなぁ」

ハニー「……二人とも、ホグズミートで待っていたのね」

フレッド「そうともさ。ところがどっこい君達どころか村に生徒はだぁれも来やしないし」

ジョージ「なにごとかと思ってにゃんこ女史に連絡してみれば、この騒動だったってわけ」

ジニー「びっくりしたわ……ディーンをうっちゃってここに来たけど、まだ面会できないのね。ハニーがいるのにまったくもう」

ハニー「仕方がないわ。だって、本当に……」

ハーマイオニー「……ぐすっ」

フレッド「……えーっと?そこでしおらしく座ってらっしゃるのは、もしかしなくてもミス・グレンジャー?」

ジョージ「どうしたい我らが才女様。僕らと一緒に件の毒盛り犯人を突き止めるための推理をしないのかな?」

ハーマイオニー「ハーマイとるわよ……ぐすっ」

フレッド「こっえー、自覚したらどうなっちまうんだか」

ジョージ「彼女はずーっとこの有様ってわけかい?え?」

ハニー「……そうね」

ジニー「自分のせいだって取り乱すハニーに『絶対あなたのせいじゃないわ。むしろあなたはロンの命を救ったのじゃなきゃぁ!あぁ(略)』って言った後は、えぇ……」

フレッド「それはそれは、どんな時でも仲のよろしいこって」

ジョージ「奴さんが飛び起きなかったのがおかしいこったね」

279: 2013/11/04(月) 00:25:34.17 ID:OiIu6PDG0
フレッド「君がベゾアール石を思いついてくれてラッキーだったぜ。お陰でロニーは命拾いだった」

ジョージ「ほんとほんと。ハニー、君、いつから得意科目が女王学から魔法薬学になったんだい?」

ハニー「……私はもとからどんな科目だって得意どころか極めているけれど?」

フレッド・ジョージ「「違いねぇや」」

ジニー「ハニーは完璧だものね、うん。それで、スラグホーンがくれた飲み物に、毒は入ってたのよね?」

ハニー「そう、だと思うわ。あれを口にした瞬間、ロンは……」

ハーマイオニー「……ぐすっ」

ハニー「……あぁなって、しまったんだもの」

フレッド「スラグホーンってのは初めてみたけど、なんだかこうしょぼくれた爺さんだったなぁ」

ハニー「随分とショックを受けていたから、かしらね。普段は快活よ、無駄に」

ジョージ「そんなもんかい? ロンをそいつが狙ったって訳じゃぁないのかな、君の見立てじゃ」

ハニー「違うと思うわ。スラグホーン自身驚いて、うろたえていたもの」

ジニー「グラスを間違えた、とか……ハニーに渡そうとして……ちょっとコウモリの鼻くそまみれにしてくる」

ハニー「落ち着きなさい。有り得ないわよ、あの人が私にそんなことをしよう、だなんて」

フレッド「どうしてそういえるんだ?氏喰い人(爆)かもしれないじゃないか」

ジョージ「そうそう、新任教師が闇の陣営(失笑)はお決まりだろう?ってね」

ハニー「どこの世界のお決まりかしらないけれど。それよりはむしろ、スラグホーン自身が狙われた可能性の方があるわね……えーっと、ダンブルドアにとって、あの人は必要な人材だもの」

ジニー「でも、誰かに贈るつもりだった。そう言ってなかった?ハニーの紡がれる言の葉は全てが金言な高貴な唇が」

ハニー「……そう、だったわね。えぇ……」

フレッド「結局、誰が何がなんだか、さっぱり検討つかないってとこか。僕らだけだとさ」

ジョージ「名探偵さんがだんまりだとなぁ。ヘイお嬢さん、ロニーショックは抜けたかい」

ハーマイオニー「私、無言呪文も覚えたの」

フレッド「ごめんなさい」

ジョージ「僕らが黙るよ」

282: 2013/11/04(月) 00:46:23.74 ID:OiIu6PDG0
フレッド「そういや、親父とおふくろはもう着いたのか?」

ジニー「二人より一時間くらい前に。今は、校長先生のところでお話し中だと思う」

ジョージ「そりゃ長引くといいな……よし、俺達は帰るよ」

ハニー「……どうして?まだ、ロンと面会できていないでしょう?」

フレッド「いや、いや。男ってのはさ、ハニー。一々顔を合わせなくったって」

ジョージ「無事だってことが分かればそれでいいのさ。そんじゃ、また……あ」

ハニー「?」

モリー「ハニー、あぁ、ハニー!!」

ハニー「お母様!さっきは、話す余裕がなかったけれど、あの……あっ」

ギュゥゥゥゥッ

モリー「校長先生に全部聞きましたよ!あぁ、ハニー!あなたは、ジニーも、アーサーの命も助けてくれたのに……あぁ、今度はロンまで救ってくれて!あぁ、なんてお礼を、言えばいいのか!」

ハニー「あ、あの、お母様……私」

アーサー「考えてみれば、家族の半分近くは君に命を救われてる……ハニー、君には本当に感謝しなくてはいけない」

フレッド「あれ?親父ってば、数を間違えてないか?」

ジョージ「だよな。九人中三人を半分ってのはなぁ?」

モリー「お前たち二人を除いてです」

フレッド「……あー」

ジョージ「……うん」

アーサー「……そもそもこんな事態になった大元のこと、だがね。どうやらある女生徒が……とある筋から薬を入手した、と?」

フレッド「……」

ジョージ「……」

ハニー「えっと、お、お母様、お父様。だから、私が余計なことをしなければ、その……」

ハーマイオニー「」バチバチバチバチバチバチ

ハニー「……」

フレッド「……せめて、さ」

ジョージ「慈悲ある裁きを」

ハーマイオニー「お生憎、手加減は出来かねるわ」

283: 2013/11/04(月) 01:03:20.85 ID:OiIu6PDG0
医務室

マダム・ポンフリー「双子被害者専用ベッドが、まさかあなたたちが卒業した後、しかもあなたたちで使うことになるなんてねぇ」

フレッド「僕らもおったまげーですよマダム。へいロニー、元気かぁ?」

ジョージ「お前の兄貴達はひっでぇ紫色のブツブツに参ってるけどな!」

ハーマイオニー「自業自得よ……あぁ、ロン」

ハニー「……ロン」

ロン「……」

モリー「ひどい顔色だわ……でも、生きてる。えぇ、それが重要で……あぁ、よかった」

アーサー「ハニー。ロンが君の足元に跪いた瞬間こそ、ウィーズリー家にとって幸運な日だったことだろう」

ハニー「……もう少し感動のシーンを選んでほしかった、けれど」

バターン!

ハグリッド「ロンが毒盛られて氏にかけた上ハニーの指を舐めただって!え!?!?」

ハニー「騒がしい豚は嫌いよ」

ハグリッド「ヒンヒン!」

ハーマイオニー「というか最後はどういうことなの、聞いてないわ。泣いて損して……泣いてはいないけど」

ジニー「ハーマイオニー、気持ちは分かるしあとでそのことは定例会議にかけるからロンの側頭部の髪をむしるのはやめてあげて」

アーサー「鬼だ……鬼嫁だぁ」

ハニー「気が早いわ、お父様」

287: 2013/11/04(月) 01:23:49.89 ID:OiIu6PDG0
ハグリッド「ひでぇ話だ……誰がロンを苦しめようだなんて思う?妬む豚だってここまではしねぇ」

ハーマイオニー「さらっと手前くらいまではしかねないって言わないで。すごくわかるけど」

ハグリッド「アラゴグの具合が悪くってよぉ……昔よう読んでやった絵本を読ませに森におったんだが、グロウプが『なんだか城が騒がしいですよ、兄さん』ってなぁ」

ハニー「……何も言わないわ」

ハグリッド「ロンの寝顔をみてみろ……なぁ、モリー。ロンを傷つけようだなんて思う奴はいねぇ、なんかの間違いだ」

モリー「あり、ありがとう、ハグリッド……えぇ、ロンはむかしっから、かわいいロニーちゃんで」

ハグリッド「おぉ、ボウトラックルくれぇかわいかったろうな、うん。城中、ロンが毒でぶっ倒れたっちゅう話でもちきりだったぞ」

ジニー「私がマクゴナガル先生に知らされるまでは、ロンがついに一番豚の称号を狙ったネビルと一騎打ちして下された、って筋書きだったわ」

ハーマイオニー「尾ひれつくのが早すぎよホグワーツ」

ハニー「……と、なれば。ロンが面会できる状態になった、っていうのも……きっと、彼女に」

バターーーーン!!

ラベンダー「私のウォン-ウォンはどこ!?!?」

ハニー「……やっぱり」

ポンフリー「どうでもいいですがどうして医務室の扉は勢いよく開けるという風潮がまかり通って居るんですかねまったく!」

290: 2013/11/04(月) 01:36:23.76 ID:OiIu6PDG0
ラベンダー「……おかしいわ!ハニーと、それに家族なジニーたちはまだ分かるわ!でも!」

ハーマイオニー「……」

ラベンダー「どうしてハーマイオニー、あなたがもうここにいるの!?私は、面会時間まで廊下で待たせてももらえなかったのに!!」

ハーマイオニー「どうして、って……」


フレッド「なんだこの面白い雰囲気」

ジョージ「おいピーブズ、何だこれ」

ピーブズ「かくかくしかじか」

フレッド「バっカじゃねぇのロニー坊や」

ジョージ「おったまげた脳みそしてるな」

ハニー「……医務室にいるべきじゃない混沌さんは帰りなさい」


ラベンダー「ロンのガールフレンドは、私なのよ!!!」

アーサー「えっ」

モリー「えっ」

ラベンダー「えっ、って!なに!誰なのこの二人!」

アーサー「ロンの父です」

モリー「母親よ」

ラベンダー「……愛さえあれば両親の反感なんて!!!」

ハーマイオニー「色々、勝手に盛り上がらないでくれる? 前にも、言ったけど。私はただ……ロンの、と、友達、として」

ラベンダー「友達!へーぇ!何週間も口を利いてないのに!?」

ハーマイオニー「……それは」

ラベンダー「ロンがちょっと面白いことになったからって、近寄らないで!」

ハーマイオニー「……今なんて言ったの!?」

ロン「うー、ん……うー」

ラベンダー「! ほらみて!!私の声が聞こえたから、きっとウォン-ウォンは……!」

ロン「うー、ん…………ハ、ニー」

ラベンダー「…………」

ハーマイオニー「…………」

ハニー「…………あの。なんか……えぇっと」

ラベンダー「ううん、分かってた。大丈夫」

ハーマイオニー「平気よハニー、予想してたから、大丈夫。問題は二人目よ、えぇ」


フレッド「才女様、もはや隠す気もねぇよなあれ」

ジニー「ロンをとりあってる、っていうね」

ジョージ「野暮なこと言うなよな面白いんだから」

292: 2013/11/04(月) 01:49:58.46 ID:OiIu6PDG0
ロン「うーん……」

ラベンダー「ウォン-ウォン!私とのあの熱い夜を思い出して!!」

ロン「うー……」

ハーマイオニー「……」

ロン「ハーマイ、オニー」

ラベンダー「……」

ハーマイオニー「! あ、わ……嘘……」

ロン「ハーマイオニー……愛してる」

ラベンダー「」

ハーマイオニー「!?」

ハニー「!」

フレッド「今の、録音は?相棒」

ジョージ「してないと思うか?」


ロン「愛してる……ハーマイ、オニー」

ハーマイオニー「ちょ、ちょっと、何を、あの、言って!」

ラベンダー「……恋愛のバカヤローーーーーーーー!!」

バターン!

パーバティ「お、おかえりラベンダー!色んな意味で!!!」


294: 2013/11/04(月) 01:56:10.63 ID:OiIu6PDG0
ジニー「駆け抜けて行っちゃったわ……でも、驚いた」

ハニー「そうね……ねぇ、ハーマイオニー?」

ハグリッド「よがったなぁ、よかった!なぁ!えぇ!?」

ハーマイオニー「や、やめてよ!ニヤニヤしないで!こ、これはきっと、なにか、えぇ!間違いで!」

ロン「愛してる……ハーマイオニー」



ロン「だなんて……HAHAHA、何だよ、この、カード……ドッキリなら……もっと上手く……やれよな……むにゃ」

ハーマイオニー「」

モリー「……ロンの部屋からマクゴナガル先生が持ってきたカードに……そういえば?」

アーサー「……書かれていたね、あぁ」

ハニー「…………マダム?」

ポンフリー「あー、えーっと……処方した薬は、えぇ……前後の記憶が、少しその、混濁するわねぇ」

ジニー「……それじゃ、ロンはあれが、えっと……ハーマイオニーからだと思ったまま?」

ハグリッド「……ロン……おめぇさんは」

フレッド「……おい相棒、俺の頬をつねれよ。お前よりすこしばかりイケメンな、な、っく」

ジョージ「……俺の方も頼むぜ相棒。お前よりちょいと男前な俺の頬を、な……っぷ、っく」

ピーブズ「ゲラゲラゲラゲラゲラゲラ!!!!!」

ハーマイオニー「………………ちょっと、お手洗い。泣いて損したわ……まったく、もう!!!!!」

バターーーーン!

ポンフリー「だから扉!!!」

ハニー「……はぁ……ロン……あなたはどうして、そう」

ロン「だからさ……ハーマイオニー……うーん」


ロン「そういうのは男の……僕から……このくらい言えなくて、ハニーの豚は……うーん」

ハニー「……今のは?」

フレッド「きっちりばっちりクリアに録音済みさ、我らがハニー。でもさ」

ジョージ「こいつはロニーが本当に伝えられるまで、とっておくとしよう」

ハニー「えぇ、そうしましょう……ロン?私の一番の豚のあなたなら……ふふっ。出来るわね?」

ロン「うーん……ヒン、ヒン!もちの、僕さ! むにゃむにゃ」

295: 2013/11/04(月) 01:58:11.81 ID:OiIu6PDG0
今回はここまで
ラベンダーはラベンダーだった
続きは来週日曜
じゃあの!

296: 2013/11/04(月) 02:00:12.71 ID:s0A2aPRho
お疲れ様でした

297: 2013/11/04(月) 02:02:21.23 ID:FDGylBNI0
乙です!

298: 2013/11/04(月) 02:06:24.52 ID:+oZqTN+50
お疲れさまでしたー!
ハニーが何だか丸くなってきたというか、素が出て来るようになりましたね
楽しみにしてます!

ハニー・ポッター「どうして、スネイプなんかを……」【後編】

引用: ハニー・ポッター「どうして、スネイプなんかを……」