13: ◆FukjVeEpgA 2012/02/11(土) 20:44:28 ID:GRn1V.yY0


『ドリームウォーズ』

14: 2012/02/11(土) 20:45:34 ID:GRn1V.yY0

梓「はあ、はあ・・・」タッタッタ

姫子「なかなか逃げ足の早い子ね」スタスタスタ

梓「だ、誰か・・・っ!助けて・・・」タッタッタ

姫子「無駄だよ。もうどこにも逃げられない!!」バッ!

梓「きゃあああああああ!」
けいおん!Shuffle 3巻 (まんがタイムKRコミックス)

15: 2012/02/11(土) 20:46:27 ID:GRn1V.yY0
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数時間前 2年生 教室

純「ねえねえ、2人とも将来の夢ってある?」

憂「夢?」

梓「どうしたの?いきなり?」

純「いやー、なんか昨日眠れなくてさ・・・いろいろ考えてたんだ」

憂「あーわかる!眠れないときってすごく難しいこと考えたりするよね」

純「そうそう、それで私って具体的な将来な夢を持ってないなーって思って」

梓「ふーん」

純「で、2人は将来の夢あるの?」

憂「私は・・・あるといえばあるかな。でもちょっと恥ずかしくて言えない//」

純「なんとなく想像つくわ」

憂「あ、梓ちゃんは?」

梓「私は・・・」

16: 2012/02/11(土) 20:47:45 ID:GRn1V.yY0
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純「はあ」トボトボ

純「二人ともちゃんと夢があるんだなあ。私なんて、せいぜい『カッコよくなりたい』とか漠然な夢しかないし」

純「いいなあ」

姫子「夢が・・・欲しいのかい?」

純「!?えっと、誰?」

姫子「私は、そうね・・・『夢商人』とでも呼んでもらいましょうか」

純「はあ??」

姫子「あなたは『夢』が無くてお困りですね。私が『夢』を売ってあげましょうか?」

純「本当ですか!?」

姫子「ええ、どのような夢をご希望で?」

純「えっと、なんというか向上心のある、目標に向かって努力できる感じの・・・」

姫子「かしこまりました。料金は後払いで結構です。明日の同じ時間、この場所に来てください。では」サッ

純「何者なんだろう・・・」

17: 2012/02/11(土) 20:48:11 ID:GRn1V.yY0
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澪「今日は久々に練習できたな」

梓「はい!あ、すいませんちょっと教室に忘れ物しちゃったんで、みなさん先に帰っててください」


廊下

梓「ふう、遅くなっちゃったな」

姫子「すいません、ちょっと」

梓「え、はい?」

姫子「あなたの『夢』・・・もらうわ!」バッ

梓「ええええええ!?」

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現在

梓「う、うう」

姫子「おとなしくしなさい。痛くないから、ね」ガシッ

ギュウウウウイイイイイイン!!

梓「あああぁあああぁあ!」

姫子「ふふふ、これであなたの夢は私の物・・・」

18: 2012/02/11(土) 20:48:57 ID:GRn1V.yY0
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次の日

姫子「では、夢をあたなに移します」

ギュアアアアアアン!

純「あぁん!はあぁ!」

姫子「これでこの夢はあなたの物」

純「はぁ、はぁ、すごい・・・これが向上心のある夢!全身からやる気が溢れてくるよう」

姫子「またのご利用をお持ちしてます」ニコッ

19: 2012/02/11(土) 20:50:00 ID:GRn1V.yY0

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軽音部 部室

梓「・・・」ポケー

唯「なんか今日のあずにゃん、ずっとボーっとしてるね」

律「梓ー!いつものやる気はどうしたー!」

梓「・・・なんか、やる気が起きません」ポケー

澪「そういえばムギは?」

律「委員会で遅れるってさ」

トントン ガチャ

和「ちょっと?例によってまた軽音部の書類が出てないんだけど」

律「ああ!ごめん!」

梓「・・・」ポケー

和「あら、梓ちゃん何かあったの?」

唯「今日ずっとこんな感じなんだよー」

澪「昨日までは普通だったのにな」

和「!」ハッ

和「ちょっと梓ちゃん借りていくわ!」ガシッ グイッ

梓「?」

スタスタ バタン

唯「和ちゃん!?」

20: 2012/02/11(土) 20:50:56 ID:GRn1V.yY0
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和「梓ちゃん、あなたの夢を言ってみて」

梓「夢・・・えーっと、思い出せないです」

和「やっぱり、『夢商人』・・・別名ドリームハンターに夢を奪われたみたいね」

梓「はい?」

和「最近、生徒たちが夢を奪われて無気力になる事件が多発しているの。夢はやる気の原動力だから」

和「昨日、何かおかしなことは無かった?」

梓「昨日・・・そういえば、人に話しかけられて・・・それからの記憶が無いです!」

和「その人、誰だかわかる?」

梓「確か、唯先輩の隣に座ってた人・・・ですかね。ルーズソックスの」

和「姫子・・・やっかいな子に捕まったわね。でも大丈夫。私が梓ちゃんの夢を取り返すから」

梓「和先輩はいったい何者なんですか?」

和「私は、彼女と同じ・・・人の夢を奪ったり与えたりすることができる能力の持ち主よ」

梓「・・・!」

和「でも安心して。私は彼女みたいに人の夢を奪ったりはしない。あなたのような被害者のために夢を取り返すことが仕事よ。
  ドリームハンターたちから生徒を守る。ドリームガーディアン、ってところかしら」

梓「よ、よくわからないけど頼もしいです」

和「さて、あなたの夢が売り飛ばされないうちに姫子を追い詰めましょう。梓ちゃんにも協力してもらうわ」

21: 2012/02/11(土) 20:51:58 ID:GRn1V.yY0

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憂「じゃあ、また明日ね」

純「ねえ!せっかくだしどっかで遊ばない?」

憂「え、でも夕飯の準備しないといけないし」

純「いいじゃんいいじゃん、遊ぼうよ!ね!遊ぼう!」

憂「今日の純ちゃんはやけに元気だね」

22: 2012/02/11(土) 20:52:47 ID:GRn1V.yY0

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3年 教室

ガララッ

姫子「あら、和じゃない。どうしたの?」

和「あなた、『力』を悪用したわね」

姫子「・・・もう気づかれちゃったか」

和「闇取引とは落ちぶれたものね。姫子」

姫子「仕方なかったんだよ・・・」

和「夢を奪うだけならまだしも、それを他人に渡したらどれだけ危険かわかってるでしょう?」

姫子「・・・」

和「話しても無駄みたいね。来なさい、教室じゃ戦うには狭すぎるわ」

姫子「いいけど・・・私に勝てるとでも思っているの?夢商人を引退したあなたが」

和「わかってるわ・・・夢商人は、持っている夢の数だけ強くなる。私は他人の夢を持っていない・・・でも!」

和「力を悪用したあなたを放っておくわけにはいかない!」

23: 2012/02/11(土) 20:53:26 ID:GRn1V.yY0
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梓「」ソーッ

梓「和先輩、うまくおびき出してくれたみたい」

梓「あとは言われた通り、姫子って人のカバンを漁って」ゴソゴソ

梓「これはiPad?きっとこれが和先輩の言ってた・・・」

(和「おそらくあなたの夢はすでに誰かに売られているわ。私が姫子をおびき出すから、あなたは姫子の顧客リストを見つけて。
   絶対に売買記録を残しているはずだから」)

梓「よし、えーっと・・・帳簿のアプリ!これだ!」

梓「最新の記録は・・・ターゲット:中野梓 売却先:鈴木純 」

梓「そんな、私の夢を純に売ったの?」

梓「いや、純ならすぐに連絡できるし、かえって良かった・・・!」

カチッカチ プルルルルル カチャ

梓「もしもし、純?」

憂『梓ちゃん!私、憂だよ!』

梓「純にかけたんだけどなんで憂が?」

憂『今、純ちゃんと一緒にいるんだけど。純ちゃん、すごい汗かいて苦しそうにしてるの!」

梓「遅かったか・・・」

憂『え?何?どういうこと?』

梓「説明する時間はないから、とにかく純を学校に連れてきて!そうすれば助かるから!」

憂『わ、わかった!』

24: 2012/02/11(土) 20:54:49 ID:GRn1V.yY0
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体育館

和「『夢』は人格に大きく影響するもの・・・他人の夢を植え付けられれば、人格が不安定になり拒否反応を起こす!」

ドカッ

姫子「うん、私たちのように訓練をつんでいなければそうなるね」

バキッ

和「わかっているのならなぜそんなことを!夢商人は、本来は夢を持て余して困っている人を助けるための仕事!
  それなのに、その強力な能力に溺れ、多くの夢商人があなたのようなドリームハンターになってしまった」

ゲシッ

姫子「怖いのよ・・・自分の力を使い続けないと・・・!自分が自分じゃなくなりそうで!」

フォカッ

和「それがあなたがドリームハンターになった理由・・・!でもそれじゃあ、『あの人』の二の舞になるわ!」

姫子「っ!!私を『あの人』と一緒にしないで!私はちゃんと自制心を持ってる!」

ボキィ!

和「ぐあっ!?」

姫子「ふふっ、自分の夢しかもっていないのに、ずいぶん頑張ってくれたね。さすがは元最強の夢商人。
   だけど私は自分の夢を含めて5つの夢を持っている」

和「そうなんだ、でも十分よ・・・これだけ足止めできれば」

姫子「!?」

25: 2012/02/11(土) 20:56:09 ID:GRn1V.yY0
バンッ

梓「和先輩!夢を植え付けられたのは純でした!連れてきたから助けてあげてください!」

純「はあ、はあ」グッタリ

憂「えっと、これはどういう状況?」


姫子「私の・・・顧客リストをっ!返せ!」

梓「それ以上近づいたら!このiPadを壊しますよ!」

姫子「くっ・・・!」

和「憂、梓。純ちゃんをこっちに」

憂「あ、はいっ」

姫子「なんで!あなたの夢は私が奪って・・・そっちの子に渡したのに。夢を奪わらたらやる気が一切なくなるはずなのに・・・!
   どうしてあなたはそんなに行動力があるの?中野梓!」

和「私の夢を梓ちゃんに貸したからよ」

姫子「はっ!?」

和「今の私の夢は・・・0よ」

姫子「そんな・・・夢のないあなたがあれだけの戦闘力を」

和「人を動かす原動力は夢だけじゃないわ。何かを守りたいって気持ちでも人は動く。

  あなたは文字通り夢を見すぎていたようね」

姫子「うああああ!」

26: 2012/02/11(土) 20:56:50 ID:GRn1V.yY0
和「さて、梓ちゃん、純ちゃん、頭を私の手に当てて。今から純ちゃんの持つ梓ちゃんの夢を梓ちゃんに。
  梓ちゃんの持つ私の夢を私に戻す。それを同時に行うわ」

ギュイィィィイィィン

和「はい、おわりよ」

純「・・・あれ?私なにやってるんだろ」

憂「純ちゃん!良かったあ」ダキッ

梓「ふう、すっきりした」

和「姫子、あなたが持っている人から奪った夢、持ち主に返すから。頭を出しなさい」

姫子「・・・っ」ダッ!

和「ちょっと!待ちなさい!」

梓「iPadがどうなってもいいんですか!」

姫子「もうそんなものどうでも良い!私の力を失う方が怖いわ!」

27: 2012/02/11(土) 20:58:21 ID:GRn1V.yY0
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校庭

梓「姫子さん、どこに行ったんでしょうか」

和「そう遠くまでは行けないはず・・・あ!いたわ!」

姫子「・・・」

和「追い詰めたわよ。観念して・・・」ハッ

梓「どうしたんですか?」

姫子「・・・」ポケー

和「夢を全部・・・奪われてる・・・!」

梓「そんな!一体誰が!?」

和「ドリームハンターは複数いるけど・・・ハンター同士がぶつかり合うことは稀だわ。
  それに姫子がそう簡単にやられるとは思えない」

姫子「・・・び、あの人、モンスター、が・・・」ポケー

和「ば、馬鹿な・・・!」

28: 2012/02/11(土) 20:58:46 ID:GRn1V.yY0
さわ子「おしゃべりが過ぎるわよ。立花さん」

梓「あ、さわ子先生」

和「梓ちゃん!!逃げて!!」

さわ子「ふっ」ドカッ

和「ぐはぁあっ!!」

さわ子「うふふ・・・強力な夢商人同士のぶつかり合いを感じて、目覚めちゃった」

梓「さ、さわ子先生?」

和「そいつはもうあなたの知っているさわ子先生じゃないわ・・・!
  若さを求め、女子高生の夢をひたすら奪っていく!!伝説の怪物、ドリームモンスター!!」

29: 2012/02/11(土) 20:59:36 ID:GRn1V.yY0
梓「えええ??」

さわ子「くくく・・・梓ちゃんの夢、とっても若々しそうね!!」

和「さわ子先生は、この学校の初代夢商人であり、私や姫子の世代に夢を操る術を教えてくれた師匠でもある」

梓「え、でもモンスターって」

和「さわ子先生は私たちを育てるうちに、若かった頃の夢が恋しくなってしまったみたいで、暴走してしまったの」

和「私や姫子、他の弟子たちは協力してなんとかさわ子先生の凶暴性を封じ込めた。
  だけど師匠を失った私たち夢商人はバラバラになってしまった。そのうち姫子のように力を悪用して他人の夢を奪う子が現れた。
  私はそんなドリームハンターから生徒を守るために、ドリームガーディアンになったの」

さわ子「あなた達がバラバラになってくれたおかげで封印が緩くなった!そしてさっきの激突で私は完全に目覚めた!
    おぉおおおおお!お前の夢をいただくぜえええ!!」

梓「きゃっ!!」

ガキィイイ

和「こ、ここは私が抑えるから・・・あなたは早く逃げて!」

さわ子「だったらお前の夢から奪ってやるよ!!」

ギュアアアアア

和「うぁああああああ!」

梓「和先輩!」

さわ子「次はお前の番だ!!きぇえええい!」

30: 2012/02/11(土) 21:00:15 ID:GRn1V.yY0
紬「やめてください!さわ子先生!!」

ゴキィイン!

さわ子「!?」

梓「ムギ先輩!?」

紬「憂ちゃんから話は聞いたわ!大丈夫、私も和ちゃんと同じ」

梓「ドリームガーディアン・・・!」

紬「軽音部のみんなの夢を借りてきたわ!今からこれを梓ちゃんに流し込む!」

梓「え、ちょ」

ギュァアアアン

梓「こ、これは、先輩方の夢が流れ込んでくる!」

さわ子「はっ!!今更たった5個程度の夢で私に勝てるか!!」

さわ子「私の所持する夢は132個!!1学年の生徒分の夢を持っているのよ!!」

31: 2012/02/11(土) 21:01:35 ID:GRn1V.yY0
紬「夢は・・・本人が持っていてこそ本来の力を発揮する!あなたが他人の夢をいくら借りたところで梓ちゃんには勝てない!」

さわ子「何言ってる!!他人の夢を使っているのはそっちも同じはず!!」

梓「いえ、違います」

さわ子「なに!?」

梓「私たち・・・軽音部の夢は5人で1つ!!みんなでずっとバンドをやり続けること!!!」

紬「私たちの夢がシンクロして、もっとも若くてエネルギーを持っている梓ちゃんが膨張させ!!
  誰にも負けない大きな1つの夢になる!!」

梓「うおおおおお!!!!!行きますよさわ子先生!!私が、いえ私たちが!あなたを止めます!!」

さわ子「若造があああああああ!!」

ドォオオオオオン

32: 2012/02/11(土) 21:02:07 ID:GRn1V.yY0
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さわ子「」

梓「はあ、はあ」

紬「梓ちゃん!大丈夫?」

梓「はい・・・でもちょっと疲れました」フラッ

和「おっと」ガシ

紬「和ちゃん!」

和「私は大丈夫よ。それより、早くこの子から唯たちの夢を取り出しましょう。シンクロしているとはいえ何か影響があるかも」

紬「そうね!私がやるから、和ちゃんは先生から自分の夢を返してもらって」

和「ええ」

唯「おーい!」

律「大丈夫かー!」

澪「よかった、梓もムギも和も無事みたいだ」

33: 2012/02/11(土) 21:02:48 ID:GRn1V.yY0
和「みんな!なんでそんな元気なの?今夢は梓ちゃんの中にあるはずなのに」

律「うーん、なんかさっき突然元気が出てなあ」

唯「うんうん。軽音部みんなの気持ちが1つになったみたいな」

澪「不思議な感覚だったな」

紬「そういえば、変な感じ。夢が無いのにむしろ大きな夢があるような感覚」

和「まさか、梓ちゃんが軽音部とシンクロして、軽音部で1つの夢を本当に共有するようになったかも」

唯「和ちゃんもムギちゃんも、さっきから何言ってるのかわかんないよー」

澪「今度はちゃんと説明してくれないか?」

紬「うん。もちろん。梓ちゃんも休ませたいし、部室に行こう?」



和「(もしかしたら・・・この子たち軽音部の力があれば、夢商人たちを再びまとめることができるかもしれない)」

唯「和ちゃーん!早く来てよー!」

和「うん!今いく!」

34: 2012/02/11(土) 21:03:53 ID:GRn1V.yY0
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姫子「・・・!」

いちご「・・・よく眠れた?」

風子「災難だったね」

姫子「あなたたち!さわ子先生はどうなったの?」

エリ「また封印されたよ。軽音部によってね」

信代「いいものが見られたよ。あの軽音部の力を手に入れることができれば、目障りなドリームガーディアンをぶっ倒せる」

いちご「・・・私たちの時代」

エリ「ふふ、和ちゃん、ムギちゃん、今のうちに良い夢を見ておくことだね」

風子「始めましょう。私たちの戦争を」



『ドリームウォーズ』




おわり

35: 2012/02/11(土) 21:04:18 ID:GRn1V.yY0
終わりです 次の方どうぞ

引用: 紬「みんなの夢が知りたいな」