…

澪「…」ﾁｮｷﾝ

澪「うーん…なんか上のバランスが悪い」


ｶﾞﾁｬ　ﾁｬﾘﾝﾁｬﾘｰﾝ

唯「ただいまー！」

澪「あ、お帰りー」


唯「お腹すいたよー」ﾍﾀｯ ﾄﾞｻ

澪「これ仕上げたらお昼にしようか」ﾁｮｷﾝ

唯「ええー…もうダメだよおお」

唯「」ﾊﾞｻｯ


澪「？」

澪「何これ」

唯「あっ！」ﾊﾞｯ

澪「あ、なんで取るんだよ！？」

唯「なんでもない！なんでもないよぉ～」

澪「見せなさいっ！」

ｶﾞﾁｬ　ﾁｬﾘﾁｬﾘｰﾝ


純「あの、すみませーん」

澪「あ、はい！はい！い、いらっしゃいませっ！」ﾌﾞﾝｯ

唯「うぎゃ」ﾖﾛﾖﾛ

唯「いらっしゃいませー」


純「あの、猫を探してほしくて来たんですけど…」

澪「は？」

唯「…さっそくのチラシ効果だよ！」ﾎﾞｿ

澪「え、ええ…猫ですか…？」

澪「ウチは花」

純「あ、この前ラーメン屋さんで」ｽｯ

澪「？」

澪（うちのチラシじゃ…）

澪（！？）

澪（フラワーあきやまの下に…）

澪（『困った時の秋山探偵事務所！』！？）

澪（なんか書き足してあるし！）

純「それでですね、そちらの方が『何かあったらここに来てね！』ってこれを」

澪「…」

唯「はい！こちらへどうぞどうぞ！」

澪「…」ｷﾞﾛｯ

唯「さ、さぁどうぞー！」冷汗ﾀﾞﾗｯ

………

澪「え、えーと、ご用件は猫を…」

純「あ、はい。えっとですね、私が買ってる猫がいなくなったんですよ」

澪「ええ」

純「…お腹を空かせてこの大都会を彷徨っていると考えるだけで」ﾖﾖﾖ

澪「そうですね…猫ちゃんの写真なんかはありますか？」

純「はい…こちらのSDカードに入れておきましたので…」

澪「ちょっと見せて頂いてもよろしいでしょうか？」

純「あ、どうぞどうぞ」


PC　ｶﾘｶﾘｶﾘ

澪「…この子ですか？」ｶﾁｶﾁ

唯「かわいいねぇ～」ﾎﾟｴｯ

純「かわいいですよねぇ～」ﾎﾟｴｯ

澪「データをこちらにコピーさせていただいても？」

純「どうぞどうぞ」

澪「」ｶﾁｶﾁ

PC　ｼﾞｼﾞｼﾞ

澪「その間に詳しくいなくなったことについてお聞かせ頂いても」

純「はい」

………

澪「ではいなくなったのは４日前」

澪「家の中で飼っていた猫だったんですか」

純「そうです。でも家の中から出た様子もないんですが…」

澪「…ええ」

澪「自分で探してみたｈ」唯「それでそれで、心当たりとかないんですか！？」

純「いえ…」

純「ここしばらく冷え込んでるし…」

唯「そうですよね…心配ですよね！絶対見つけますから」ｶﾞｼｯ

澪「」

澪（…もう逃げられない）

澪（…ううううううう）

澪（もう知らない！知らない！）

澪「」ｽｸｯ　ｶﾞﾗｯ　ﾍﾟﾘｯ

唯「？」

澪「では、申し訳ありませんがこちらの書類に…」ｽｯ

純「注文書？フラワーあきやま？」

澪「事情がございまして」

澪「こちらにお名前ご住所をお願いしますあと着手金として２万円頂きますけどよろしいですか」ﾍﾟﾗﾍﾟﾗ

唯「え？み、澪ちゃん、開店記念セールでむりょぎゅ」澪「成功報酬は３万円から他に実費が掛かりますので」ｷﾞｭｲｷﾞｭｲ

純「もちろんそれはお支払いします…猫が見つかるならいくらかかっても」

澪「あとですね着手させていただきましたらキャンセルはできませんので！」ﾍﾟﾗﾍﾟﾗ

……

純「よろしくお願いします」ﾍﾟｺｯ

澪「いえこちらこそよろしくお願いいたします」ﾍﾟﾗﾍﾟﾗ　ﾍﾟｺ

唯「必ず見つけます！」ﾌﾝｽ

ｶﾁｬ　ﾁｬﾘﾝﾁｬﾘﾝ　ﾊﾟﾀﾝ


澪「…」ｾﾞｰｾﾞｰﾊｧﾊｧﾊｧ

唯「さー！初めての仕事だよ澪ちゃん！」

澪「」ｷｯ

澪「でいっ」ｽｯﾊﾟｰﾝ!

唯「ぎゃ！？」

唯「す、すごくいだいよ！？」

澪「痛くて当たり前！」

唯「なんで怒ってるの！？」

澪「怒るよ！」

唯「」

澪「私は探偵なんてやりたくないんだよぉ！」ﾌﾞﾜｯ

唯「えー…だって約束したじゃん…」

澪「いいぃぃ…」

澪「でももうここは花屋さんなの！」ﾊﾞﾝ

唯「私は探偵事務所がいいの！」

澪「花屋さん！」

唯「探偵！」

純「あのー」

唯澪「！？」ﾋﾞｸｯ

澪「ななな、なんですか？！」

澪（いつの間に…）

純「あ、えっと、思い出したことがあって…」

澪「は、はい」

純「あの、うちの子首輪にGPSが…」

澪「えっ？」

純「あの、それ携帯で見られるんで…」ｽｯ

純「これログイン用のIDとパスワードです」

澪「あ、ええ…はい」

澪「では、こちらも受領させて頂きます…」

澪「終わりましたらこちらは責任を持って破棄させていただきますので」

純「あ、それではお願いします」

澪「はい」


純「では、よろしくお願いします」ﾍﾟｺｯ

ｶﾁｬ　ﾁｬﾘﾝﾁｬﾘﾝ　ﾊﾟﾀﾝ

―　夜・商店街


唯「寒いよぉ…」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

澪「うう…寒い…」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

唯「画面じゃこの辺なのになんでいないの…？」ｽﾞﾋﾞｽﾞﾋﾞﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

澪「GPSには誤差があるんだよ…猫はじっとしてないだろうし…」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

唯「澪ちゃん寒いよおおおお」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

澪「絞り込めたんだから…この辺で…ひっくし！」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

澪「猫が好きそうな暖かい場所を…ぴっくし！」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

唯「でも何も…夜探さなくてもいいじゃん…」

澪「何言ってんだ…昼間はお花があるだろ…」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

澪「お店を閉めてから探すしかないだろ…ふぇっ……くし！」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

唯「ひっくし！」ﾌﾞﾙｯ

澪「さ…寒い…」ﾌﾞﾙｯ

唯「…ふぇ」鼻水ﾀﾞﾗﾀﾞﾗ　ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

猫「ﾆｬｰﾝ」

澪「あっ！いた！」

唯「ま、待てぇ！」ﾀﾞｯ

―　「フラワーあきやま」


ｶﾁｬｶﾁｬ　ﾁｬﾘﾝﾁｬﾘﾝ　ﾊﾟﾀﾝ　ｶﾁｬﾘ

澪「うう…」ﾌﾞﾙｯ

唯「寒かったよおおお…」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

麻袋「ﾆｬｰ゛ﾆ゛ｬﾌｰ！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

唯「今出してあげるからねー」ｽﾞﾋﾞｰ

澪「ストーブストーブ…」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

ﾋﾟｯ　ﾌﾞｲｲｲｲｲﾝ

澪「あれ？飾ってたピンポンマムが折れてる…」

澪「なんでだろ…ぶつかったかな」

唯「よいこよい…わわっコラ！ダメだよ！」

猫「ﾆｬｰﾝ！」ｶﾞｯﾀｰﾝ

澪「うわ！」

ｶﾀｰﾝ　ﾊﾟｼｬｯ

澪「唯！」

唯「ごめん！逃げられちゃった！」

猫「ﾌﾆｬｰ！」ﾀﾞﾀﾞｯ

唯「こらー！」

澪「とりあえずピンポンマムを…」　

澪「かわいそうに」ﾋﾛｲ

澪「お水だよ」ﾎﾟﾁｬ

唯「よーし！じっと―」

猫「ﾌｰｯ」ﾊﾞﾘﾊﾞﾘ　唯「ぎゃああ」

唯「うわああん！引っ掛かれたよおおおお」
澪「唯、何してるん―」

猫「ﾌｼｰｯ」ﾊﾞｯ
澪「うわっ」

猫「ｼｬｰ」ｽﾄｯ
澪「待てっこのっ！」ﾊﾞｯ

猫「ﾆｬ」ｻｯ
澪「わっ、とっ」

ｶﾞﾁｬｰﾝ

………
……
…

唯「はーいよい子よい子」

猫「ﾆｬｰﾝ」

澪「と、とりあえずこの猫は早く鈴木さんに返そう」

澪「店の中めちゃめちゃだよ…」

唯「よしよし」

猫「ﾌﾆｬ」

澪「あ、夜分遅くに申し訳ございません。フラワーあきやまです」

………

純「もうもうもう、なんとお礼を申し上げていいのやら」ﾍﾟｺﾍﾟｺ

澪「いえいえ」ﾌﾘﾌﾘ

唯「よかったですねー」ﾆｺﾆｺ

純「もう逃げちゃだめだぞ」ﾑｷﾞｭｯ

猫「ﾌﾆｬｰﾝ」

純「本当にありがとうございます！こんなすぐ見つけてもらえるなんて！」ﾍﾟｺﾍﾟｺ

澪「私どもとしても猫ちゃんが御無事でよかったです」

純「本当にありがとうございます…では…」


ｶﾁｬﾘ　ﾊﾟﾀﾝ　ﾁｬﾘﾝﾁｬﾘﾝ


唯「初仕事…終わったんだね！」

澪「そうだな…」

唯「思ったよりらｋ澪「」ｷﾞﾛ

唯「な、なんでもないです…ところで澪ちゃん」

澪「ん？」
唯「もらったお金でごｈ」ﾍﾟﾁｰﾝ

澪「…」

唯「な、何ゆえ澪ちゃん！？」ﾌﾙﾌﾙ

澪「これっきりだぞ！」

唯「ええー！？」

澪「さっきだって寒い寒い言ってたのは唯だろ！もう忘れたのか！？」

澪「探偵なんてやったらそれこそ寒空の下ずっとうろうろしたりずっとジッとしてたり！」

澪「それでもいいのか！？」

唯「…」ｺﾞｸﾘ

唯「いくないです…」

澪「オーケー。そういうことだ唯。もう探偵ごっこは終わり！明日から私たちはまたお花屋さん！」

唯「じゃ、じゃあとりあえずご飯食べにいこー？」

澪「その」ｸﾞｳ

澪「…そうしようか」

唯「わーい！」


第一話　「初仕事！」　糸冬

＞第二話　「お手柄！」

―　アパート

テレビ『髪を切られるなどしましたが、女性にけがはありませんでした。

警察では同一犯の犯行と見て犯人の行方を追っています』

澪「よし。綺麗に焼けたな」ｼﾞｭｰ　ｽﾄｯ

唯「ふんふんふふーん」ﾌﾞｲｨｰﾝ

テレビ『続いてのニュース。鉄鋼大手ＪＳＣ室蘭精錬所で起きた』

澪「…おみそ汁は」ﾄﾝﾄﾝﾄﾝ

唯「澪ちゃん今日は区民センターのお花活けるん日だよね？」ﾌﾞｲｨｰﾝ

澪「そうだよ。唯は留守番ね」ｽｽｯ

澪「…お、ちょうどイイ塩加減」

澪「朝ご飯にしようか」

唯「はーい♪」ﾌﾞｲｲﾝ　ｶﾁ

……

……

澪「唯。あのチラシは全部回収したんだろうな」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

唯「も、もちろんだよ～」ﾊﾟｸﾊﾟｸ

唯（何箇所か置いた場所忘れちゃったんだよなぁ…）

澪「ならいいけど…」

唯（ま、大丈夫だよね）

………
……
…

―　午前１１時　フラワーあきやま

唯「あああ…キリがないよう…」

唯「１００個も売れないよう…置く場所ないよ…」

唯「数字入れ間違えただけだよう…」

（澪「唯いいいいいい！！！！な、なんでミニサボテンが１００個もあるんだ！！？？？」）

唯「でも売らないと澪ちゃんに殺されるよ…」

唯「」ﾁｸﾁｸ

唯「うう…」

……

……

唯「あと８７個もあるよ…」

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾙﾙ ﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾙﾙ

唯「はっ！電話！」
ｶﾁｬ
唯「はい！フラワーあきやまです！」

唯「あ、組合の！はい！お世話になってます！」

唯「あ、えっ、あの…その…探偵の方はちょっと…」

唯「え？防犯パトロール？」

唯「え？はい！はい！大丈夫ですよ～」

唯「澪ちゃ…じゃなかった店長も夕方でしたら店におりますので！はい！お待ちしてます～」

唯「失礼します～」ｶﾁｬ

唯「おお！お仕事だよ…」

唯「」ﾊｯ

唯（澪「これっきりだぞ！」）

唯「…」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

唯「え、でも防犯パトロールは違うよね？」

唯「商店街のお仕事だから探偵じゃないよね！？」ｱﾀﾌﾀ

―　夕方　フラワーあきやま


とみ「という訳でね、防犯パトロールを始めるのよ」

澪「商店街持ち回りでこの辺りを巡回すると…」

とみ「そうそう。最近は駅前で若い子が遅くまで集まってたりしてよくないでしょ？」

澪「ま、まぁそうですね…」

澪（あの辺の人達とは関わりたくないよ…）

とみ「それに最近は商店街も閉めるお店が増えたからねぇ」

澪「ええ」

とみ「それでねぇ防犯パトロールを始めようってことにしたのよ」

とみ「あきやまさんとこ先週の夜会議に来てなかったもんねぇ。

その時決まったのよ。ほらあの電器屋のね、あの人。あの人がまた言い出してねぇ」

澪「ははは…」

澪（あ、あの時は猫探しか…）

………
……
…

澪「うう…何の因果で夜中に防犯パトロール…」

唯「澪ちゃん見て見て！」

澪「？」

唯「これが貴重なゲロンちゃん人形だよ！」ﾋﾞｼｯ

澪「なんだそれ…」

唯「前に薬局のおじさんに要らなくなったら下さいって言ってたんだ～」

澪「それがなんでここにあるんだ」

唯「さっき買い物に行ったとき、お前達がパトロール隊第一号だからとくれました」ﾋﾞｼｯ

澪「…商店街の仕事なのに？」

唯「さらにこっちの段ボールは…」ﾋﾞﾘｯ　ｶﾞｻｺﾞｿ

唯「なんと！すごい！お菓子がいっぱい！」ｷﾗｷﾗ

澪「なんで？」

唯「いやぁ…なんででしょうねぇ…」

澪「唯。なんか隠してないか？」

唯「隠してないよぉ！これは普段からのお付き合いの成果だもん！」ﾋﾞｸﾋﾞｸ

澪「はぁ…」

唯「ねぇねぇ！ゲロちゃんに看板持ってもらおうよ！」

澪「また使えもしない物が増えた…」ﾁﾗｯ

―　次の日　午後　あきやまフラワー


澪「うーん…」ｶﾀｶﾀ

唯「ふんふふん～ふふん♪お水だよー」ｼﾞｬﾊﾞｰ

ｶﾞﾁｬ　ﾁｬﾘﾝﾁｬﾘｰﾝ

信代「こんにちはー中島酒店です！」

唯「あ、信代ちゃーん」

信代「やっやっ。唯も働いてるねぇ」

澪「あ、注文の花かごできてるよ」ｷｨｯ　ｶﾞﾀｯ

信代「あ、もう出来たんだ。悪かったね。無理して貰っちゃって」

澪「花かご位ならすぐだよ」

信代「オレンジのバラなんて変わってるなぁ」

澪「スプレーバラを多く入れたから使ってみたんだ」

信代「綺麗だなー」

信代「あ、そうそう。この前付けてくれた詩の意味って何？」

澪「え、えーっとどのカードだろ？」

信代「えーとねぇ」

澪「あ、やっぱりいいよ」ｱﾀﾌﾀ

信代「はははっ」

信代「あ、そうだ、ウチ明後日から四日間臨時休業するわ」

澪「臨時休業？」

信代「うん。前から行きたかった温泉の予約が取れてさ」

澪「へええ。どこに行くの？」

信代「聞いて驚くなよー？秘湯だぞ秘湯」

…

―　２日後の夜・アパート

テレビ『停滞する低気圧の影響で気温が上がらず、全国的に真冬日となった今日は―』

唯「うう…よりによってこんな日に…」ﾌﾞﾙｯ

澪「はぁ…」ﾓｿﾓｿ

澪「暖かくして行かないと風邪ひくぞ」

唯「うん。あ、カイロ持ってこ」

………

―　深夜・商店街入口


ﾋｭｳｳｳｳ　ﾋﾞｭｳｳｳｳ…

澪「ううっ…寒い」ﾌﾞﾙｯ

唯「なんでこういう時に限って寒いの…」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

男「あ、すみませんお待たせして」ﾀｯﾀｯ

澪「あ、楽器屋さんの。こんばんは」

唯「店長さんこんばんは」

澪「店長さん？」

男「あ、そうなんですよ。僕店長になりました。げほっ…ぐふっ！」

澪（この人最初はただの店員さんだったよね…出世したんだなぁ…）

男「いやそ…さ、寒いで…ふぇっ…くしょん！！」

男「で、そうそう。これ、夜光ベストと青い誘導灯…ふえっくしょい！」

唯「おおっ！ビームサーベル！」ﾋﾟｶﾋﾟｶ

澪「…ところでお風邪ですか？」
唯「ほっ」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

唯「おおっ！」ﾊﾟｯﾊﾟｯ　ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ
男「いや、大したことないよ！」

澪「なら無理せず帰った方が…」
唯「ふぉーすをかんじろっ！」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

男「でもホラ男手が…ふぇええくしょい！！！」ﾌﾞﾊﾞｯ
澪「」

澪「…」ﾍﾞﾄｯ

澪「あの…私達２人ですし…大丈夫だと」

男「もう熱が出てて…だから早く終わら…うぉぇゲホゴホ」
澪「帰ってください」


………

―　桜が丘駅前


ﾋｭｳｳｳｳ

唯「…」ﾋﾟｶﾋﾟｶ

澪「…」ﾋﾟｶﾋﾟｶ

唯「今日は誰もいないね…」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

澪「やっぱり寒いしな…」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

澪「戻ったらすぐ寝よう…私達まで風邪ひきそう…」

唯「うん…」

澪「交番があるのに治安が悪いのもどうなんだろ…」

唯「おまわりさん仕事してないね！」ﾌﾝｽ

唯「交番暖かそうだよぉ…」ﾌﾞﾙｯ

澪「そういえばこの交番、いつも誰もいないよね」

唯「そうかな？たまにいない？」

澪「たまにじゃ役に立たないよ」

唯「今日はいるかな？」ﾋｮｲ

澪「今日もいないな」

ﾋｭｳｳｳｳ

澪「寒っ…」ﾌﾞﾙｯ

唯「い、行こうよ澪ちゃん」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

………

―　商店街


ﾋｭｳｳｳｳｳ

唯「誰もいないね…」

澪「…この時間じゃな」

澪「帰ったらお茶でも淹れようか…」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

唯「雪が降りそうだよ…」

唯「あふっ」ｽﾞﾃｯ　ｶﾗﾝｶﾗﾝ

澪「唯！？」

唯「いたたた…」

唯「つまづいたよう…」ﾊﾟｯﾊﾟｯ

澪「気をつけなきゃ…ほら…裾」ﾊﾟﾌﾊﾟﾌ

唯「あ、ビームサーベル…」

澪「？」

唯「ビームサーベルどっかに転がっちゃった」ﾀﾀｯ

澪「ええ？」

唯「探して来る！」ﾀﾀｯ

…

唯「あ、あったあった」ﾋﾟｶﾋﾟｶ

男「」ｷｮﾛｷｮﾛ

澪「ん？」

男「！」ｺﾞｿｺﾞｿ　ｻｯ

唯（今の人…）

澪「唯！」

唯「ごめーん。あったよう」ﾖｯｺﾗ

唯「あれ？ここって信代ちゃんとこだよね？」

澪「ああ、もうここまで来てたんだ…」

唯（信代「ウチ明後日から四日間臨時休業するわ」）

唯「…信代ちゃんとこって今日からお休みだよね？」

澪「そうだよ」

唯「うーん…」

澪「さ、寒いし帰ろう？」

唯「うん」ﾀﾀｯ

……

―アパート


澪「はー…寒かった…」

澪「お茶でも淹れよ…」

唯「ね、ね、澪ちゃん！」

澪「ん？」

唯「さっき信代ちゃんのところに変な男の人いたんだよ！」

澪「なんでさっき言わないんだ…」

唯「…ちょっとタイミングが」

澪「でもまぁたまたま…」

澪「たまたま…」

唯「？」

澪「…」

澪「一応見てくるか…気づいてるのに何もしないのはちょっと気が引けるし…」

唯「うん！」

澪「あそこ貼り紙してあったから臨時休業はバレバレだしな…まさかとは思うけど」

………

―　商店街　中島酒店近く


唯「あの人！」

澪「んー？」

唯「ほらほら！」

澪「どこだよ」

唯「あれあれ！あそこ！」

澪「どれ？」

唯「ほら信代ちゃんちと隣のお店のとこに立ってる…」

澪「ああ…あの会社帰りみたいな人？」

唯「信代ちゃんちの人じゃないよあの人…」

澪「た、確かに見たことない…」

男「」ｺﾞｿｶﾞｻ

澪「ライト使って家に入る家族はいない…」ﾋｿﾋｿ

唯「カバンからなんか出した！」

男「…」ﾄﾞﾗｲﾊﾞｰ　ﾋｭﾝ　ｶﾞｯｶﾞｯ
ﾊﾟｼｯ　ﾋﾟｼﾋﾟｼﾐｼﾐｼ…ﾊﾞﾘｯ…ｶﾞｼｬ、ﾊﾞﾘﾊﾞﾘ、ｶﾞﾁｬ

澪「ドライバーだ…」ﾎｿﾋｿ

唯「警察に電話しようよ！」ﾋｿﾋｿ

澪「…う、うん」ﾋﾟｯﾋﾟｯﾎﾟｯ

澪「あ、警察ですか？…ええと、事件です…」

澪「留守の店にガラスを割って侵入しようとしている―」


男「網入りガラスじゃちょろいんだよ…」ｶﾞﾁｬｶﾞﾁｬ


唯「…ああん！もう割れちゃったよ！」ﾋｿﾋｿ


男「…ああ！？」

唯澪「！？」ﾋﾞｸｯ

男「くそ！ボロい店のくせに何個鍵あんだよ！」ｶﾁｬｶﾁｬｶﾁｬ

澪「…も、もう店の中に入られそうなんですが！」ﾋｿﾋｿ
唯「…澪ちゃん！店に入られちゃうよ」ﾋｿﾋｿ

澪「大至急パトカーを！」

唯「ああああ…！」

男「よーしよし」ｶﾞﾁｬ　ｷｲｲｲ

男「さて―唯「ど、どろぼー！」ｶﾞﾀｯ
澪「唯、バっ！？」

男「くそ！？」ﾀﾞｯ

唯「あっ！」ﾋﾞｰﾙｹｰｽ ｶﾞﾀｰﾝ
澪「あ」

男「女！？」

男「…そうかそうか」ｻﾞｯ

澪「唯！」ｻﾞｯ　ｸﾞｲｯ
唯「！」

男「あれ？２人か…ふふん…」

男「見られちゃ仕方ないなぁー」ﾆﾔﾆﾔ　ｻﾞｯ

男「ダメだよぉ？女の子が２人でこんな夜中に」ﾆﾀﾆﾀ

澪「…」ｷﾞｭｯ
唯「…澪ちゃ―」

ﾊﾟｯ　ｳｳーｯ！！



男「！？」

ｳーｯ　ｷｭｷｭｷｭｷｭｯ

澪「パトカー…来た！」

パトカー 　ｳｩー　ｷｷｯ ｶﾁｬ

男性警官「おいコラ！」

男「くっそ！」ﾀﾞｯ

ドア　ｶﾞﾁｬｯ
女性警官「待ちなさい！」ﾀﾞｯ

男性警官「コラァ！」

男「くっ」ﾀｯﾀｯ

澪「こっち来た！」ｱﾀﾌﾀｱﾀﾌﾀ
唯「わわっ！？」ﾊﾞｯ

女性警官「待てって言ってるだろっ！」ﾀﾞｯ!ﾋﾟｮﾝ!ｹﾞｼｯ!
男「おぼぁ！？」ｽﾞｻｻｻｯ

澪「あわわっ！」ﾋｮｲ
唯「わっ！」ﾋｮｲ

男性警官「どりゃ！」ﾄﾞｶｯ
男「うぐ！」

女性警官「はいはい諦めろ諦めろ！」腕ｺﾞｷﾞｺﾞｷﾞ

男「…」ｶﾞｸｯ

男性警官「はいはい、まずは住居侵入の現行犯で逮捕ね。田井中手錠！」

女性警官「２３時４７分住居侵入の現行犯で逮捕します」ｶﾁｬﾘ

唯「おおお…」ﾍﾀｯ

澪「うう…怖かった…」ﾍﾅﾍﾅ


……

ｳｳｳー　ｳｳｳー

無線『―』ｶﾞﾔｶﾞﾔ

警察官「慣れてんなー」

警察官2「ドライバーって…あれか？あの、この前の―」

ｻﾞﾜｻﾞﾜｶﾞﾔｶﾞﾔ

パトカー　ｳｳーｳｳｳー　ﾌﾞｵｵｵﾝ

ｻﾞﾜｻﾞﾜｻﾞﾜ

澪「…結局私たちなんだったんだろ」

唯「うえええ…怖かった…」


男性警官「あ、悪いんだが、お話を聞かせて貰えるかな？」

女性警官「通報された秋山さんはどちらでしょうか？」

澪「あ、私です」


………
……
…

………


地域面『お手柄防犯パトロール！空き巣逮捕に貢献－地域－』

＞桜が丘署は２６日、窃盗未遂及び住居侵入の疑いで藤東市南線東、自称会社員の男（３７）を現行犯逮捕した。

２６日深夜、男が桜が丘市本町にある酒店の裏口から店内に侵入しようとした所を、

巡回中だった桜が丘駅前商店街防犯パトロール隊の女性２人が発見し、１１０番通報した。

２人は携帯電話で１１０番通報した後、大声を出すなどして周囲に泥棒と知らせ、




『市で防犯パトロール中の女性が空き巣を発見、見事逮捕に貢献しました―』

『お花屋さん探偵がお手柄です。桜丘市本町の店舗に空き巣に入ろうとした－』

『２６日夜、桜丘市本町の店舗兼住宅へ空き巣のため侵入しようとした男を―』

『余罪があるとみて、警察では引き続き捜査しています―』

『桜が丘署によると女性らは男の注意を引いてパトカーが到着するまでの―』

『男は「身に覚えがない、誤解だな」などと容疑を否認しており、』

『この女性らは花屋の傍ら探偵業も営んでいるということで―』


………
……
…

―　３日後　フラワーあきやま


とみ「お手柄だったねぇ」

信代「うちの店を守ってくれて…もうなんて感謝していいか…」ｷﾞｭﾑ

唯「えへへ…大したことはしてませんが」

澪「運が良かっただけだと思うよ…」

信代「ガラス１枚で済んだんだよ！あれで店の中に入られてたらどうなってたか…」

信代「もうほんとにありがとう！」ｷﾞｭｷﾞｭ

澪「ぎゃ！」

とみ「いやホントに名探偵さんだよぉ。澪ちゃんも唯ちゃんも大したものだわぁ」

澪「あ、いえ、たまたまなだけで…」

とみ「そうそう、今朝の朝刊に載ってるわよ大きく」

澪「え？」ﾊﾞｻﾊﾞｻ

澪「うわ…」

唯「おお！新聞に載ってるよ！」

澪（こんな事でいいんだろうか…）

信代「今朝のテレビにも出てたよ」

澪「ええ！？知らないよ！」

唯「い、いつの間に！インタビュー来なかったよ！？」

信代「そういえば出てなかったね」

信代「にしてもさ、もしかしたら警察に表彰されるんじゃない！？」

澪「ははは…」

唯「いやーびっくりだね！澪ちゃん！」

澪「…ん、ああ」

澪（…お手柄か）

唯「どしたの？」

澪「なんでもないよ。さ、配達行くよ！唯！」

唯「はーい！」




―　第２話　「お手柄！」　糸冬

―　第三話「表彰！」

ｼﾞｬｰｼﾞｬﾊﾞｼﾞｬﾊﾞ
唯「ふいー」

澪「…ふんふふー♪」ｶﾀｶﾀｶﾀｶﾀ

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾙ　ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ
澪「ん」ｶﾁｬ

澪「ありがとうございます。フラワーあきやまです」

澪「は、はい？え？警察…ええ…ええ…は、はい？感謝状ですか？」

―　数日後、金曜日　桜が丘警察署３階・署長室

署長「感謝状。秋山澪様。あなたは平素から警察活動に深い理解を示され、

平成２Ｘ年２月２６日、桜が丘市本町にて発生した事件の犯人逮捕に於いて多大な協力をされました。

ここに感謝の意を表します。平成２Ｘ年３月１０日、桜が丘警察署長」ﾋﾞｼｯ

澪「あ、ありがとうございます！」ﾍﾟｺｯ

署長「感謝状。平沢唯様。あなたは平素から警察活動に深い理解を示され、


平成２Ｘ年２月２６日、桜が丘市本町にて発生した事件の犯人逮捕に於いて多大な協力をされました。

ここに感謝の意を表します。平成２Ｘ年３月１０日、桜が丘警察署長」ﾋﾞｼｯ

唯「ありがとうございますっ！」


地方紙記者「あ、すみません！○○新聞です！三人で並んでもらえますか！？」

署長「さ、じゃあ賞状を持ってこう二人並んで…」

澪「は、はい！？」ｶﾞﾁｶﾞﾁ
唯「はい！」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

記者「はいじゃー撮りまーす、はいチーズ！」
ｶｼｬｯ

記者「あ、あの時のお話をお聞かせいただいてもよろしいですか？」
唯「え、えーと」ﾁﾗｯ

澪「…」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

唯「…」

唯「あ、そ、そのー、取材とかダメです…」ﾁﾗｯ

澪「…」ﾌﾝｽ！

地方紙記者「いやいやいや」

唯「いやいやいや！」

記者「ね？ダメです？秋山さん？」
澪「…あの、では…匿名なら。あ、あと写真も載せないで貰えませんか？」
記者「いや、大丈夫です！ありがとうございます！じゃあまず―」

―　次の日・土曜日　地方紙朝刊・第三社会面

『＜お手柄お花屋さん、警察から表彰＞

○○県警桜が丘署は１０日、防犯パトロール中に空き巣現場に遭遇し、犯人逮捕に協力した生花店経営秋山澪さん、平沢唯さんに感謝状を贈った。

秋山さんらは先月２６日２３時半ごろ、桜丘市内の路上で、休業中の店舗裏口をこじ開け侵入しようとしている男（３７）を発見。

　店舗は事前に休業と聞いていたため、不審に思い様子を見ていたところ、男が裏口をこじ開け始めたため、平沢さんと協力して警察に通報し、早期逮捕につながった。』

澪「な、名前が出てる！？て、写真もじゃないか！」
唯「わお！有名人だよ澪ちゃん！」ｷｬｲｷｬｲ

澪「な…なんで名前が…」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ
唯「すごいねすごいね澪ちゃ」澪「」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

唯「…」ﾎﾟｶｰﾝ

―　同　午前　フラワーあきやま

ﾜｲﾜｲﾜｲｻﾞﾜｻﾞﾜ
「お願いしまーす」
澪「４５０円です。千円お預かり致します。５５０円のお返しです。ありがとうございます」ﾁｬｶﾁｬｶ
「これ欲しいんですけど」
唯「あ、ごめんなさい！これは売り物じゃないです！」

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾙ　ｶﾁｬ
澪「はいフラワーあきやまです」

澪「え、探偵ですか？あれは間違いでして…はい。はい。ああ、あの、そう仰られましても…」

「すみませーん！」
唯「はい！はいはい！」ﾊﾟﾀﾊﾟﾀ

………
……
…

―　夜

澪「…」電卓ｶﾀｶﾀｶﾀ ｶﾁ

澪「…売上、過去最高記録」
唯「すごーい…けど…疲れたよぉ…」ｸﾞｯﾀﾘ

澪「私もだ…」ｸﾞｯﾀﾘ

唯「恐ろしい…恐ろしいことだよぉ」

澪「…新聞に載るって怖いな」

唯「でもサボテン全部売れたよ…」

澪「多分一番買いやすかったんだろうなぁ…」

澪「うちは三階だから一度入ったら手ぶらじゃ出れないし…」

唯「好きで買ってくれる人に買って欲しかったよう…」

唯「みんな大事に育ててね…」ﾖﾖﾖ

澪「大丈夫だよ」

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾙ
信代『あ、もしもし澪？あのさ、澪んとこネットに書かれてるらしいぞ』

澪「え？ネット？」

信代『まちチャンネルの桜が丘スレッドってのに書いてあるらしい。

お客さんが教えてくれたんだけどさ、こっちじゃ見れなくて』

澪「う、うん。見てみる」

………

729 名前： 名無しの市民 投稿日： 2017/03/12(日) 10:12:33 ID:
昨日の朝刊に載ったお手柄花屋さんってどこの？

730 名前： 名無しの市民 投稿日： 2017/03/12(日) 19:11:41 ID:
商店街のフラワーあき○ま

731 名前： 名無しの市民 投稿日： 2017/03/12(日) 02:24:04 ID:
あそこの店員さん可愛いよね

732 名前： 名無しの市民 投稿日： 2012/07/12(日) 04:43:17 ID:
若いよね２人とも

733 名前： 名無しの市民 投稿日： 2017/03/12(日) 06:51:17 ID:
昨日前通ったけど新聞載ったせいか店めっちゃ混んでてわろた

734 名前： 名無しの市民 投稿日： 2017/03/12(日) 08:22:01 ID:
花言葉ポエム甘々すぎｗｗｗｗｗｗｗ

735 名前： 名無しの市民 投稿日： 2017/03/12(日) 13:22:49 ID:
見てきたけどヘアピンの子が好みでした

736 名前： 名無しの市民 投稿日： 2017/03/12(日) 13:39:26 ID:
７３５
黒髪ロング店長かわいいでしょ

737 名前： 名無しの市民 投稿日： 2017/03/12(日) 15:16:11 ID:
キモス↑

738 名前： 名無しの市民 投稿日： 2017/03/12(日) 15:22:53 ID:
てか見に行く連中も見に行く連中だよね。一過性だろうけど

739 名前： 名無しの市民 投稿日： 2017/03/12(日) 15:34:16 ID:
ミニサボテンが安売りされてたから５個買ってきた

740 名前： 名無しの市民 投稿日： 2017/03/12(日) 17:22:38 ID:
普通の花屋だったな。俺もサボテン買ってきた。250円。

741 名前： 名無しの市民 投稿日： 2017/03/12(日) 17:59:08 ID
ポエムに才能を感じる件。かゆかゆとかじゃないぞこれ

742 名前： 名無しの市民 投稿日： 2017/03/12(日) 19:03:00 ID

澪「」ｶﾞﾀｰﾝ

唯「澪ちゃん？」ﾋｮｺ

唯「？」

唯「」ｶﾞﾀｰﾝ

澪「…もうやだ」ｼｸｼｸ
唯「外出るの怖い」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

澪「～ッ！」ﾋﾟｯﾋﾟｯﾎﾟｯﾊﾟｯ

澪「もしもし！？社会部まち地域局の安田さんはいらっしゃいますか！？」

澪「え！？いない！？お休みですか！？」

澪「出社してない！？いやあの、匿名でなら載せていいという話が、ええ。実名で載ってるんですけど！」

澪「いや安田さんがいるとかいないとかそういう話ではなくて…」

…

澪「」ｶﾁｬﾘ

唯「…」ﾎﾞｰｾﾞﾝ

澪「嫌な予感しかしない…」

澪「開いた口には戸は立たぬだ…」ｶﾞｸｯ

―　ネット

シャワートイレ速報：お手柄花屋コンビかわいすぎｗｗｗｗｗｗｗｗ

転載元　ＮＥＷＳ速報(嫌儲)

『＜お手柄お花屋さん、警察から表彰＞○○県警桜が丘署は１０日、防犯パトロール中に空き巣現場に遭遇し、犯人逮捕に協力した生花店経営秋山澪さん、平沢唯さんに感謝状を贈った。秋山さんらは先月２６日２３時半ごろ、桜丘市内の路上で、休業中の店舗裏口をこじ開け侵入しようとしている男（３７）を発見。

　店舗は事前に休業と聞いていたため、不審に思い様子を見ていたところ、男が裏口をこじ開け始めたため、平沢さんと協力して警察に通報し、早期逮捕につながった。』



13 名前：番組の途中ですがサイトへの転載は禁止です　投稿日：2017/03/12(日) 18:35:05.07 ID:7GZdb8fL0 1回目
ノーチェンジ


24 名前：番組の途中ですがサイトへの転載は禁止です　投稿日：[3G] 2017/03/12（日） 18:36:19.19 ID:
ヘアピンの方から漂うほわほわ感がヤバい

―　数時間後

澪「…怖いけど」ｶﾀｶﾀ　ｶﾀ

唯「『あきやまフラワーの検索結果』…12万件！？」

澪「『お手柄花屋コンビかわいすぎｗｗｗｗｗｗｗｗ』？」ｶﾁｯ

澪「」
唯「」

澪「」ｶﾞｸｯ

唯「ＯＨ」ｶﾞﾀーﾝ



…………
………

―　日曜日　朝　フラワーあきやま

澪「」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙｶﾞｸｶﾞｸ

澪「…」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

唯「」ﾌﾙﾌﾙﾌﾙﾌﾙ

ＣＬＯＳＥ→ＯＰＥＮｸﾙｯ

唯「」ﾋﾞｸﾋﾞｸ

澪「」ﾋﾞｸﾋﾞｸ

ｶﾁｬ　ﾁｬﾘﾝﾁｬﾘﾝﾁｬﾘﾝ
澪「い、いらっしゃいませ」ﾋﾞｸﾋﾞｸ

唯「いらっしゃいませ」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

澪「…そんな意識することじゃないとは思うんだけど」ﾋﾞｸﾋﾞｸ

唯「で、でも水やりに出るのも怖いよね…」

澪「と、とりあえず行ってくるよ」

ｶﾁｬ　ﾁｬﾘﾝﾁｬﾘﾝ　ﾊﾟﾀﾝ

…

ﾊﾟｼｬｯ

澪「！？」

ｶﾞﾁｬ　ﾁｬﾘﾝﾁｬﾘﾝｯ！ﾊﾞﾀｰﾝ
澪「うう…誰かに写真撮られた…怖い…」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

唯「そ、外にいたの！？見に来た人」

澪「ゆ、唯…悪いけど外見て」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

唯「…」ｿｰｯ　ｶｼｬﾝ

唯「！？」

ｻﾞﾜｻﾞﾜ…
「噂の花屋なう」「澪ちゃんﾏﾀﾞｰ」「唯ちゃんﾊｧﾊｧ」

唯「なんかめっちゃ人多いよ！？」ﾋﾞｸｩ

唯「怖いよぉ…どうしよう…」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

澪「…」ﾋﾟｯﾋﾟｯ

唯「の、信代ちゃんに怒って貰ったら…」

澪「そ、それだ。き、きっと私たちじゃ袋叩きにされる」

澪「あ…もしもしあきやまフラワーです」

信代『おはよー。どした？』

澪「あ、いや、店の前がなんか…」

……

……

信代『ええ？何でそんなことに！？』

澪『もう私にも何が何だか…』

信代『行ってあげたいけど私今出てるんだよ…』

信代『とにかく夕方には行くから！それまで頑張れ！とりあえず店は閉めろ！』

澪「うううう。そ、そうする！店閉めるよ！」

信代『ファイトだ澪！』

澪「じゃあ…」ｶﾁｬｯ



唯「の、信代ちゃんは！？」

澪「夕方まで来れないって…店閉めよう今日…」

唯「く、クローズにしてくる！」

澪「…う、うん…ああ…どうしよう…」

…

―　店入口前


ｶﾞﾁｬ　ﾁｬﾘﾝﾁｬﾘﾝ　ﾊﾟﾀﾝ

唯「うう…」ﾀﾀﾀｯ

唯（早く閉めないと…）ｱﾀﾌﾀ

ヲタ「あ！あの！」

唯「な、なんでしょう！？」ﾋﾞｸｯ

唯（うわあああん！もういたよう！？）

ヲタ「あ、あの平沢唯さんですよね！？」

唯「そ、そうですけど…」

ヲタ「あの、写真とか…ダメですか？」ﾌｼｭｰﾌｼｭｰ

唯「や、や、や、ヤメ、ヤメじゃなかっ、ダメです！」
ヲタ「そ、そんな事言わずにせっかく来たんで」ﾌﾋｰ

女性警官「何してるんですかー？」

ヲタ「ん？」ｸﾙ

女性警官「…」ﾃﾞｰﾝ
ヲタ「け、警察！？」
女性警官「なんか揉めてたみたいですが」
ヲタ「い、いやなんでもないですよ！」

女性警官「いやなんでもあるでしょ。ちょっとお話を聞かせてもらえます？」

ヲタ「あ、いや、ね、あ僕忙しいんで」ﾀﾞｯ

女性警官「あ、待ちなさい！」

ｻﾞﾜｻﾞﾜ…ｿﾞﾛｿﾞﾛ…
「警察来た…」「やべぇｗｗｗ」「撤退撤退」「警察登場なう」

女性警官「な、なんだコイツら…？」ﾎﾞｰｾﾞﾝ

ｼｰﾝ
女性警官「だ、誰もいなくなった…」ﾎﾞｰｾﾞﾝ

唯「は、お、おまわりさん！ありがとうございます」ｳﾙｳﾙ

女性警官「あ、ああ、ええ、こんにちは」

律「あ、私駅前交番の田井中です。定期巡回に来ました」

唯「た、助かりましたぁあああ」ﾖﾖｯ
律「いえいえ」ﾃﾚﾃﾚ

律「ところで何がどうしたんでしょうか？」ｷﾘｯ
唯「しゃ、写真撮られたりして怖いんです！」ｶﾞﾀｯ

………
……
…

ｶﾁｬ ﾁｬﾘﾝﾁｬﾘﾝ
唯「ただいまー」
律「ただいまー」

澪「！？」ﾋﾞｸｯ

澪「なんで警察官！？」

唯「りっちゃんだよ！」

律「田井中律だよーおまわりさんだよー」ﾃﾃﾃﾚ

唯「おまわりっちゃんだね！」

澪「あ、この前の時の」

律「あ、気づきました！？カッコよく犯人を逮捕した私に！」

澪「ところでどういった御用でしょうか」
律「あ、一応単なる巡回だったんですが…」

律「元々はですけど。なんかトラブルがあったみたいですが？」

澪「あの…実はインターネットに掲載されて変な人が店の周りに…」

律「一応その話、お聞かせいただいても…」

………
……
…

………
……
…

律「ほれほれ巡査部長だぞー」

唯「おおっ！本物の警察手帳だ！」
澪「…本物だな」

唯「ねぇねぇりっちゃん！ピストル見せてピストル！」ｷﾗｷﾗ

律「いくら私でもダメなんだなそれは」

唯「えー！お菓子あげたじゃん」

律「それはアレだ。警察官としてのだな…アレだ。アレなんだ」

唯「アレって何ー？」ﾌﾞｰ

澪「…」ｽﾀｽﾀ　ｷﾞｯ　ｶﾁ　ｶﾀｶﾀｶﾀ

澪「せっかく親身に乗ってくれる警察官だと思ったのに実際は不良警官だった」ｶﾀｶﾀ

律「ちょっとそこ！ネットに何を書き込む気だ！？」

澪「あまりにも目に余るから」

律「さっきインターネットが怖いとか言ってたのは誰だ！」

澪「ぐっ…」ｶﾞｸｶﾞｸ
唯「澪ちゃんがまたトラウマに蝕まれた！」

律「にしても居心地いいなーここ」ﾀﾞﾗﾀﾞﾗｸﾞｯﾀﾘ

律「コーヒー美味しいし」

唯「澪ちゃんが淹れてるんだよ！すごい美味しいでしょ！？」

律「うん。んまい！」

澪「で、何もしないならそろそろ帰って欲しいんですが」

律「うん」ｸｯｷｰﾊﾞﾘﾎﾞﾘ

澪「一般市民からお菓子もらって食べるのが仕事か！」ｸﾜｯ

律「ぶっ！？ゴホッゲホッ」

唯「りっちゃんをいじめたらダメだよ澪ちゃん！」

律「げほっ。そ、そうだそうだ！」
澪「鼻からビスケット出てるぞ」

律「はっ！？えっ！？ほっ！？」

律「えほっ！げほっ！げぼっ！」

律「覚えておけよ…私をいじめた罪は…」
澪「よく聞こえなかったな？おまわりさん？」ﾆﾔﾆﾔ

律「いえ、なんでもありません」

唯「りっちゃんってどっかであった事あるみたいだよね」

澪「…確かになんか」
唯「澪ちゃんがこんなすぐ仲良くなれた人ってあんまりいないよね！」

澪「ぶっ！？」

律「私もなんか懐かしい感じがしてさー。２人ともが…」ﾀﾞﾗﾀﾞﾗ
無線『桜が丘から駅前３』

律「なんかさ、昔の友達みたいな」

唯「うん」

無線『桜が丘から駅前３』
澪「確かに―」
律「おおう！？駅前３って私か！」
唯「ほえ？」
澪「ん？」
律「しーっ。しーっ！」ｶﾁｯ

律「駅前３ですどうぞ」

律「」
無線『本町７丁目のレコード店日野ミュージック前にて高校生と見られる若い女同士が掴みあいの喧嘩と同所から通報。えー、駅前３も本件扱い願いたい』ｶﾞｯ

律「駅前３了解、商店街東５丁目より臨場します」ｶﾁ

律「…」ｶﾁ

律「ふっ…」ｶﾁｬ　ﾊﾟﾁ

律「どっこいしょ」ﾄﾞｻｯ

律「ふう…コーヒーがウマい」ｽﾞｽﾞｰ

澪「早く行けよ」

―　アパート

信代「へぇー。駅前交番のねぇ」ｽﾞｽﾞｯ

澪「とりあえずパトロール増やしてくれるってさ…」

信代「よかったよかった。話聞いてたらどうなることかと思ったよ」

唯「でもこんなに大騒ぎになるなんて思わなかったよ…」

信代「不気味だよなぁ。ネットって。うちも通販やるのは先送りだなぁ」

澪「一番気になるのは安田さんって記者なんだ」

信代「安田？」

唯「私たちのニュースを新聞に載せた人なんだよー」

澪「あれ以来連絡が取れないらしいんだ」

信代「はぁ？なんで？」

澪「わからない。新聞社で謝罪に来るとか言ってたんだけど、本人とまだ連絡がつかないって」

信代「澪と唯の事を新聞に書いてそのまま行方不明ってこと？」

唯「どこ行っちゃったんだろうねー」

―　火曜日　１８時２０分


常連客「じゃあねー」

澪「ありがとうございまーす！」

ｶﾁｬ　ﾊﾟﾀﾝ　ﾁｬﾘﾝﾁｬﾘﾝﾁｬﾘﾝﾁｬﾘﾝ


澪「見慣れないお客さん、ほとんど来なくなったな」

唯「警察ってすごいね～」

澪「…怖いくらいにね」

（律「市民を守るのがおまわりさんだからな！」ﾌﾝｽ）

―　時間は戻って午前９時

ﾔｼﾞｳﾏ　ｿﾞﾛｿﾞﾛ
「唯ちゃんﾊｧﾊｧ」「澪ちゃんのポエム買って支援しよう図ｗｗｗｗ」「花屋なうｗｗｗｗ」

通行人「なんだ。売り出しでもやってんのか？」ｼﾞﾛｼﾞﾛ

通行人「最近の若者は昼間からフラフラと…」ﾌﾞﾂｸｻ

ﾊﾟﾄｶｰ２台　ｷｯ
ｶﾞﾁｬｯｶﾞﾁｬｯ

警察官１「さくら１０２現着」

律「駅前４現着」

野次馬共達「「「「「！？」」」」」

野次馬Ａ「やべぇ！警察来たｗｗｗｗ」ｶﾁｶﾁ

男性警官「おはよう。警察なんだけど。君らはここで何やってんのー？」

野次馬Ａ「別にｗｗｗｗただここにいるだけだしｗｗｗｗ」

野次馬Ｂ「そうだよな。誰にも迷惑かけてねーしｗｗｗｗ」

男性警官「君達はこの喫茶店に用事があるの？」

野次馬Ｂ「あ、ま、まぁそんな感じ。関係ねーじゃん？ｗ」

男性警官「いやこの喫茶店は閉店してるんだよね。教えようかと思って一応声かけたの」

野次馬ＡＢ「」
野次馬Ａ「い、いや２階の…」

男性警官「２階と４階も空きだよここは」ｼﾞｰ
野次馬Ｂ「いや、別に俺ら悪いことしてないし」

男性警官「まぁ一応形式的なことだからね、君達の身分証明書とか見せてもらえるかな」


野次馬Ｃ「今警察が職質を始めました。ちょっとこれは僕も絡まれそうなので―」

律「ねぇねぇ。君はパソコンで何してんのかな？私にも見して見して」ﾃﾃｯ

野次馬Ｃ「あ、あの今ニヤ生やってんで、ちょ、あの、えー今警察官に絡まれました」

律「え、ちょっ、絡まれてるってどういう」ｽﾞｲｯ
律「…生主黒ジャンバーが例の花屋に来てみた生放送？」

野次馬Ｃ「あ、え、いや、今生放送中なんで」

律「いや、生放送はわかったんだけど何コレ？」

警察官１「おいコラそのチャリどっから持ってきた！？」

野次馬Ｄ「え、駅前で、と、友達に借りた…」

警察官１「後ろの鍵壊れてるよね。悪いけどちょっとその友達の名前教えて貰える？」

野次馬Ｄ「番号とかわかんない…」

警察官１「いやいや、友達でしょ？わかんないってことないでしょ？」

野次馬ＥＦＧ「…」ｼｮﾎﾞｰﾝ
警察官２「お前ら中学生じゃねぇか！学校どうした学校！？まだ春休みじゃないよな？」
野次馬ＥＦＧ「…」ｼｮﾎﾞｰﾝ
警察官２「今から帰って着替えて学校行け！補導するぞお前ら！」

ｷﾞｬｰｷﾞｬｰｻﾞﾜｻﾞﾜ！

………
……
…

澪「…あれもちょっと…」

唯「うん…」

澪「興味津々みたいな感じで来られるのも嫌だけど…」

澪「ああいう結果になるのもなぁ」

唯「りっちゃんはおまわりさんだもんね…」

澪「手加減とか容赦というものは一切感じなかった」

澪（律「澪ー！全員追っ払ったぞ♪」ﾆｯｺﾆｺ）

澪「報告しに来た時の田井中さんの笑顔が目に焼き付いてる」

唯「世の中ってなんとかかんとかだね…」

澪「閉めるか…」

ｶﾁｬ　ﾁｬﾘﾝﾁｬﾘﾝ

澪「…！」

澪「いらっしゃいませ」

ミホコ「あの…すみません…」ﾄﾞﾖｰﾝ

澪「はい？」

唯「はーい？」

ミホコ「…浮気調査を依頼したいんですが」

澪「え、あの、申し訳ございません。うちは花屋です」

ミホコ「お願いします！どうか！あきやまフラワーさんの事はネットで…」

澪「あの…いや…誤解させてしまってるようですが本当に私たち花屋なんです…」

ミホコ「お願いします！なんとか！」ﾍﾟｺﾍﾟｺ

澪「うう…」

………

ミホコ「どこの調査会社に頼んでも思った結果が出なくて…」

澪「思った結果というのは浮気しているということですか？」

ミホコ「はい！主人は絶対浮気しているんです！」

ミホコ「結婚して４年…最初は仕事も休んでくれてましたけど…」

ミホコ「今じゃ仕事だの付きあいだのなんだのって…」

ミホコ「平日はもう全然話もしてくれませんし…私は…私は主人の事…」ｸﾞｽｸﾞｽ

澪「あの、まずですね…そもそもどうして浮気だと…今の話では…」

ミホコ「ボロを出さないんです！でもあんな冷たいなんて絶対そうなんです！」

ミホコ「…プロに頼んだのに浮気だってはっきりしませんし！」ﾊﾞﾝﾊﾞﾝ

澪（聞いてない…）

唯「あの落ち着いて…」

澪「ええ、どこも結果は浮気していないということだったんですか？」

ミホコ「はい！」ﾌｼｭｰﾌｼｭｰ

澪（…本当に浮気してるなら）

澪（どこも同じ結果って考えにくいな）

澪「調査結果の書類なんかはまだお持ちですか？」

ミホコ「捨てちゃいました…」ｼｮﾎﾞﾝ

澪「そうでしたか…」

澪（下手に断るとこの人ご主人に何するかわからなさそうだな…）

澪「…私たちもあなたの意に沿う結果が出せるとは限りません」

ミホコ「受けてもらえるんですか！？」ｶﾞﾀｯ

澪「最低でも実費は頂きますが…」

ミホコ「もちろんです！友達にもこんなこと相談できないし…もう私は…」

ミホコ「…もしあきやまさんでも同じ結果なら私の考え過ぎだと思うことにしようと」

澪「…では状況の整理とどういう形で調査を行うか決めていきましょう」

澪（これは最初で最後の仕事…）

唯（…浮気調査ってどうやってやればいいのかなー？）

澪（この人のご主人が潔白だと証明する仕事…）

唯（やっぱり尾行かな！？聞き込みじゃバレちゃうよね！？）

……

澪「浮気調査かぁ…」ｶﾞｻﾞｺﾞｿ

澪（ホームズは浮気じゃなくて難事件を調査するけど…）

澪（私は知らない人の浮気を調べるのか…）

澪「…あ、カメラあった」ｶﾞｻｺﾞｿ

澪「久しぶりだなー。これ」

唯「あ。おっきい方のカメラだ」

澪「ちゃんと動くかな？」ｳｨｰﾝ

唯「私はお弁当作ればいいかな！？」

澪「一日車に乗りっ放しだと思うから食べ物飲み物は多めに持ってくよ」

唯「うん。じゃあ買い出しに行って来るよぉ」

澪「私は車借りてくるから。よろしくね」

―　水曜日　朝

澪「店は定休日」

澪「車も借りてきた」

澪「…調査は対象者の行動確認」ﾉｰﾄﾊﾟﾗﾊﾟﾗ

澪「さて…」

唯「わー！レンタカーだ！」ﾃﾃｯ

澪「さ、行こう」

唯「お弁当は持ったよ！」

………
……
…

―　水曜日　夜


ﾌﾞﾛﾛﾛﾛ

澪「ケイスケさん…無実だったね」

唯「…嬉しそうに奥さんにプレゼント買ってたね」

澪「奥さんもかわいそうだよね」

澪「最初はそんなことなかったんだろうけど…」

唯「ずっとほっとかれて悪いことばっかり考えるようになっちゃった…」

澪「また仲良くなれればいいな…」

唯「大丈夫だよ！きっと」

澪「ねぇ唯。私たちは本当に探偵に向いてないと思うんだ」

唯「うん…」

澪「…もう探偵はやめよう」

唯「えー？」

澪「えー？」

唯「…うん」

澪「私たちはホームズにはなれないよ…」

澪「ホームズはモリアーティ教授と対決してライヘンバッハの滝に消えた…」

澪「私たちはそんな覚悟だって持たず…探偵ごっこやってるだけじゃ…」

唯「…」

澪「…唯。お店休んでどっか行かない？」

唯「え？」

澪「一日二日休んでもこの前の売上と今回ので回せるし」

唯「大丈夫かな…？」
澪「唯のサボテンも全部売れただろ？大丈夫」

唯「そうなの？」
澪「そうだよ」

澪「どこに行こう」

唯「どこがいいかな～」




921 名前： 名無しの市民 投稿日： 2017/03/19(水) 09:00:00 ID
この前買ったサボテンに花が咲いた


―　第三話「表彰！」糸冬

乙
サボテン、俺もいつか買うことがあったら大事に育てるよ

結構向いてそうじゃないか

ところで続きは