1: 2012/05/05(土) 00:16:06 ID:KsRyeJWQ0
唯「和ちゃん!いいところに来たね!」

和「いいところって私忙しいんだからね」

唯「忙しいなんてどうだっていいからほらこっち来て」グイグイ

和「もう、なんなのよ」

律「おっ、きたきた待ってたぞ和」

和「ちょっとこれどういうこと?」

唯「役者は揃ったね!それではこれより第一回!けいおん部対抗校内ケイドロ大会開催!」

律澪紬梓憂純さわ子「ワーーーーーー!!!」
けいおん!Shuffle 3巻 (まんがタイムKRコミックス)
2: 2012/05/05(土) 00:23:28 ID:19WZ2IEs0
和「はあ?ケイドロ?」

唯「和ちゃんもやるよね!?」

和「ごめん私生徒会行くね」

唯「そんな殺生な~ここまで来たんだからやろうよ~」ガシッ

和「忙しいって言ったでしょ!」

唯「それじゃルールを説明するね!」

和「スルーされるなんてね」

澪「すまない和…」

唯「今からここにいる全員を二チームに、つまり泥棒と警察に分けて鬼ごっこをするよ!」

3: 2012/05/05(土) 00:30:55 ID:rnj7/huw0
和「まあケイドロだからそうなるわね。…ん?ちょっと待って、今ここには、唯、澪、律、ムギ、憂、梓ちゃん、鈴木さん、山中先生、私も含めて9人いるけど、それだと人数合わないじゃない」

唯「あーそれなら大丈夫。さわちゃんは大人っていうことで不参加だから」

さわ子「ちなみに発案したのは私でーっす!」

和「はた迷惑な先生ですね」

さわ子「みんなに楽しんでもらえるように考えたの」

唯「活動範囲は桜校内だけだよ!外には出ちゃいけないよ!もし出たら…酷いよ」

和「何が酷いのよ」

4: 2012/05/05(土) 00:36:43 ID:CMTQ6gHM0
唯「警察の拠点、牢屋はこの軽音部の部室こと音楽室!」

和「なるほどね」

唯「しかし勝利チームに何も褒美が出ないのはおかしいよね!?そこで勝利チームにはなーんと!好きな人を指名してデートに誘うことが出来ちゃいまーす!」

和「デ、デート!?」

唯「女の子同士でデートっていうのもなんか変だけどね」

紬「あら、女の子同士でデートなんて素敵だと思うわ!むしろ女の子同士じゃなくちゃダメだと思うわ!」フンス!

梓「ムギ先輩…」

唯「もしケイドロにだれちゃったら途中で適当に打ち切っちゃっても全然大丈夫だよ」

憂「メタ発言するお姉ちゃんかわいい!」

5: 2012/05/05(土) 00:41:08 ID:RMpbkwuo0
唯「ありがと憂、まあこんなところかな。なんか質問とかあったら言ってね」

和「特にないわ。じゃあチーム分けをしましょうか」

唯「要領いいね流石和ちゃん!じゃあチーム分けは安価で決めようか」

純「皆さんよろしくお願いします!」

唯「同じ人が出たら再安価で対処するよ!」

泥棒チーム>>6>>8>>10>>12

警察チーム>>7>>9>>11>>13

12: 2012/05/05(土) 00:48:07 ID:2T/J0UQQ0
和ちゃんが泥棒なら、唯は当然敵方に

15: 2012/05/05(土) 01:10:48 ID:IXwHKxDs0
唯「出揃ったね、まず泥棒チームがりっちゃんに憂に和ちゃんに…えっとこれは私?」

和「>>12さんは私の敵に唯って言ってるけど」

唯「でももう私以外出揃っちゃってるし…」オロオロ

和「じゃあしょうがないわね。唯は泥棒チームね」

唯「うん!そして警察チームが澪ちゃんあずにゃん純ちゃんムギちゃんでーす!」

16: 2012/05/05(土) 01:14:49 ID:YiRPej0Y0
唯「これでチーム分けはオッケーだね」

律「よろしくな唯、和、憂ちゃん」

憂「お姉ちゃんと一緒のチームかあ、頑張らなくちゃ!」

唯「和ちゃんも頑張ろうね!」

和「適当に頑張るわ」

17: 2012/05/05(土) 01:18:59 ID:3vLtypWc0
警察チーム

澪「えっと、頑張ろうか」

梓「はい!絶対に全員取っ捕まえてやるです!」

純「澪先輩と同じチーム…どうしよう緊張してきた…」

紬「頑張ろうねみんな!」

18: 2012/05/05(土) 01:25:50 ID:IXwHKxDs0
唯「あ、ごめん、ルールの追記、制限時間は1時間で、時間内に警察が泥棒を全員捕まえたら警察の勝利。逆に逃げ切れば泥棒の勝利だよ」

和「もう逃げていいの?」

唯「警察は一分待っててね!」

澪「ああ、わかった」

さわ子「それじゃ私がゴングを鳴らすわね」

和「ゴングって…」

さわ子「それじゃ位置について…よーい…」

さわ子「スターーート!!! 」

唯「それ逃げろー!」

20: 2012/05/05(土) 09:07:49 ID:bIoEJb36O

和律憂「にげろー」

どひゅん



澪「じゃあ今のうちに作戦でも立てようか」

紬「おー!」

純「さすが澪せんぱい!しっかりしてる」

梓「よく考えたら、わたしたち頭脳派チームですね!純はあれですけど」

純「いやあんたも別にあれでしょ。なに一頭脳派を気どってるの」

澪「うーん、向こうはみんな足速そうだなぁ」

紬「効率的に追いつめないと…」

梓「唯先輩がいちばん捕まえやすそうだから、まずは唯先輩を優先的に狙っていきましょう」

澪「そうだな」

純「唯先輩ならお菓子あげたらすぐ捕まりそうな気がする……」

澪「!!それだ!ムギ!」

紬「はい!チョコレートパフェです!」サッ

純「えっ…ムギ先輩、まさかそれ持って探すんですか?」

澪「唯を捕まえるためさ」

純「えっ、でも」

紬「がんばろうね!」

純「あ、はい」

21: 2012/05/05(土) 09:08:36 ID:bIoEJb36O

さわ子「はい、警察もスタート!」チン

澪「いくぞー!」

紬「おー!」

梓「うおー!」

22: 2012/05/05(土) 09:09:17 ID:bIoEJb36O

……10分後。

タッタッタ

梓「くっ、まだ1人も見つからない…なんて逃げ足だ」

澪「どこだー」

梓「あ、澪先輩!唯先輩いましたか?」

澪「いや、まだ見つからない。憂ちゃんならいたんだけどな」

憂『お姉ちゃんに遅くならないよう伝えておいてください』

澪「って言ってた」

梓「そうですか」

澪「…あれ?そういえば憂ちゃんのタイ、青かったような…」

梓「!ばっかもーん!そいつが唯先輩だ!」

澪「おい中野」クイッ

梓「はゔっ」

紬(別に憂ちゃんを見逃す必要はないんじゃ…)

純(ていうか唯先輩はなんで変装したの)

23: 2012/05/05(土) 09:10:07 ID:bIoEJb36O

……20分後。

紬「はぁ、はぁ、ちょっと休憩しよう…」

梓「ムギせんぱーい」

紬「あ、梓ちゃん。誰か見つかった?」

梓「いえ、まだ…。じゃあムギ先輩も」

紬「うん」

梓「思ったより捕まらないですね」

紬「みんなどこに隠れてるのかしら」

梓「……あれ?ムギ先輩?」

紬「?」

梓「ほっぺにクリームが…」

紬「あ…//」

梓「…」

紬「…つまみ食いしてたの、ばれちゃった」

梓「…ぷっ、あはははは」

紬「//」

梓「ムギ先輩ってなんかかわいいでs

純「いやさっさと探せよ!!」

24: 2012/05/05(土) 09:10:45 ID:bIoEJb36O

……30分後。

タッタッタ

梓「マテー」

和「はぁはぁ」

和(もうだめ…捕まっちゃう)

和(つらい、苦しい…やめたい…)

和(そもそも、どうしていきなりケイドロなんて…)

和(…あれ?ドロケイだったかしら?)

和(いやそんなことどうでもいい)

和(それよりどうしてわたしがこんなことを…)タッタッ

和「…!」

和(この廊下…)

和(そういえば、生徒会に入った日もこの道を走った)

和(なにかしなきゃって思いながら。なにをすれば…)

ポン

梓「捕まえました。先輩ってけっこう足遅いですね」

和「そうね」

25: 2012/05/05(土) 09:11:34 ID:bIoEJb36O

……40分後。

純「3―2の教室、封鎖できません!!」

26: 2012/05/05(土) 09:12:44 ID:bIoEJb36O

……50分後。

紬「はぁ、はぁ、まさか和ちゃんしか捕まらないなんて…」

梓「まだ時間はあります!がんばりましょう!」

澪「よし、じゃあここで秘策を使おう」

純「ひ、秘策!?」

紬「澪ちゃんすごい!」

澪「フフ、…前に『かがやけりっちゃん作戦』というものが存在したことは知ってるだろ?」

純「しらないです」

梓「ああ、律先輩がかわいくなりたいとか言ってたあれですか」

澪「ああ、実は、あれ以降律には光源に集まる習性がついたんだ」

純「へ?ど、どういう…」

澪「だから照明を設置して、律が寄ってきたところを捕まえよう」

27: 2012/05/05(土) 09:13:20 ID:bIoEJb36O


……

律「くそー」

澪「観念しろ」

梓「ほんとに捕まった…」

純「なんか憂も捕まりました」

憂「うう…」

梓「いやなんで捕まったの」

純「U&I流してたら寄ってきた」

28: 2012/05/05(土) 09:14:12 ID:bIoEJb36O


紬「よし、残るは唯ちゃんだけ!」

純「でもあと5分しかないです!」

澪「いったいどんな結末を迎えるんだ!」

梓「……あ!いました!唯先輩です!」


澪「いくぞみんなー!」

紬梓純「おー!」

32: 2012/05/05(土) 17:02:03 ID:slbLX7pE0
【数分前】


澪「あと一人、唯だけか」

和「あー、もう疲れたわ」
憂「お姉ちゃんがんばって~♪」
律「ちくしょー!助けに来てくれ唯~」

純「他の3人は無事逮捕しましたもんね」

梓「唯先輩、意外と見つかりませんね。最後に姿を見たのって憂に変装した時でしたっけ?」

紬「時間もあと7~8分。油断出来ないわよっ」ふんすっ

純「そうですね。ケイドロのルール上、仲間が来てタッチすれば脱走ができますから」

梓「難しいと思うけどね。部室のドアの前に一人立ってればすむ話だし」

さわ子「制限時間1時間で学校全体を設定するのには無理があったかしら?次回の課題ね」

純「またやるんですかぁ!?」
律「もうちょいマシな企画をさー」
憂「私は楽しいと思うけどなぁ」

さわ子「もう、文句の多い子たちねぇ」

紬「ふふっ♪さ、もうひと頑張りよ!」

澪「…………。」

紬「澪ちゃん?」

33: 2012/05/05(土) 17:14:44 ID:slbLX7pE0
澪「……唯ってこんなに隠れるの上手だろうか?」

梓「えっ?」

紬「澪ちゃん、どういう事?」

澪「憂ちゃんに変装して、堂々と現れた唯。その割に現在までいっこうに姿を表さない唯。あっさりと捕まえたれた憂ちゃん……」

純「まさかっ!」

憂「……あぅ」

澪「梓、揉めっ!!」

梓「はいです澪先輩!!」

もみもみもみもみもみもみもみもみっ

憂「ひゃあっ!?///や、やめっ、あずにゃっ///」ふにゅんふにゅん

梓「ん?今『あずにゃん』って。それにこの感触はっ」もみもみ

澪「やっぱりか……!」

34: 2012/05/05(土) 17:27:00 ID:slbLX7pE0
もみもみもみもみもみもみもみもみもみもみ

憂?「あ、あずにゃんっ、もういいよぉ///」ふにゅんふにゅん

澪「こいつは憂ちゃんじゃない、憂ちゃんに変装した唯だー!」ばばーん!

純「すごっ!澪先輩、探偵みたいですよっ!」

澪「ふふー♪」どやっ

紬「さっき見たのは唯ちゃんが憂ちゃんに変装したんじゃなくて、タイを交換しただけの憂ちゃんなのね?」

澪「……一度姿を現す事で『赤いタイをしていれば本物』だと錯覚させようとしたんだ」

律「マジかよ?全然知らなかった」
和「本当。よく見ればこの子唯だわ」

もみもみもみもみもみもみもみもみ

唯「あずにゃんっ、もうわかったでしょ?んんっ///」ふにゅんふにゅん

梓「この感触、間違いなく唯先輩ですっ!」もみもみ

澪「そ、そうか」

純(澪先輩に言われた瞬間、一切迷わず揉みにいったなこの女)

35: 2012/05/05(土) 17:39:04 ID:slbLX7pE0
唯「ううっ、私は唯だよー」

梓「いやー。確実に見分けるにはこの方法しかありませんものね?澪先輩の指示じゃ仕方ないですっ!」ホクホク

澪「まあ、そうだけどさ///」かぁぁぁ

紬「すなわち、残りの一人は憂ちゃんね!」

純「しかし、何の為に憂は変装したんでしょうね?」

澪「それは……残り5分で相手が唯一人ってのと、相手が憂ちゃんではこっちの気合が……」

梓「……残り5分?」
紬「相手は憂ちゃん?」
純「学校全体が逃げ場で?」

澪「……うわっ!?」

純「は、話を整理しましょう?」

紬「よし、残るは唯ちゃんだけ!」

純「でもあと5分しかないです!」

梓「違う違う!残るは憂ですっ!」

澪「いったいどんな結末を迎えるんだ!?」

紬「まずは探しましょ?憂ちゃん探さないとっ」

梓「……あ!いました!唯先輩です!」

純「だから違うって梓!憂だよ憂!」

紬「どうしてっ!?自分から姿を現わしたわ!?」

澪「いくぞみんなー!捕まえろー!!」

紬梓純「おー!」ダッ

36: 2012/05/05(土) 17:47:08 ID:slbLX7pE0
澪「まてー!憂ちゃーん!」タッタッタ

梓「ういー!もうバレてるぞー!」タッタッタ

純「しかし、すっかり混乱させられましたね」

紬「完全に憂ちゃんの思惑通りってとこかしら?」

澪「思惑通り……って!」

梓「ああ!!全員で来ちゃいましたよ!?」

純「そうだっ!『脱走』のルール!」

紬「これが狙いだったのね!?混乱に乗じて泥棒メンバー全員を開放する。完全勝利よ!」

純「私、すぐ戻りますっ!」

梓「私も行く!」

澪(もはや憂ちゃんの手の上だ。憂ちゃんはきっと更なる策を用意しているはず)

紬「ど、どうしましょう……?」

澪「考えるんだ、考えろっ」

37: 2012/05/05(土) 18:01:08 ID:slbLX7pE0
澪「憂ちゃんの狙い、目的、それは泥棒チームの勝利。そのための作戦。そのための変装。確実な勝利」

紬「……確実性、ね。私たちが全員で憂ちゃんを追いかけるかはわからなかったはずよ?」

澪「それもそうだな」

紬「混乱に乗じて何かするつもりではあったのだろうけど。部室のドアに見張りを立てられたら憂ちゃん計画はお終いよ。
私たちは憂ちゃんの目的を誤解してるかもしれないわ」

澪「……!! いや、やっぱり憂ちゃんの狙いは脱走だ!」

紬「え?でも……」

澪「憂ちゃん、まさか窓から……っ!?」

紬「ええっ!?」

澪「それならドアの前に見張りを立てられても全員を開放できる!
むしろ見張りを一人にするために私たちの前にわざと姿を見せて誘導したとしたら?」

紬「大変!危ないわ、すぐに部室へ行きましょう!」

澪「ああ!」ダッ

38: 2012/05/05(土) 18:09:12 ID:slbLX7pE0
澪「梓、純ちゃん!憂ちゃんは!?」

梓「やられました、澪先輩!」

純「全員部室に居ません!!」


さわ子「やっほー♪」


紬「さわ子先生だけ!?」

澪「ま、窓の外は!?」

純「窓、ですか?」

さわ子「やぁねー澪ちゃん。窓から出入りしようなんて、そんなの見たら私が止めるに決まってるじゃない?」

澪「……ぁ」

紬「じゃ、じゃあ、憂ちゃんは始めからドアから侵入するつもりだったのかしら?
それともドアに誰もいないのを見て、ドアから……」

さわ子「……。」

純「ともかく、全員いませんっ!」

澪「探すんだ!あと2分しかない!!全員で探すんだー!!」

紬梓純「了解ですっ!!」

39: 2012/05/05(土) 18:15:59 ID:slbLX7pE0




カーン!

さわ子「時間でーす。4人全員が逃走完了で、泥棒チームの勝利~!」

澪「あぁ……」へなへな
純「やられたー!」
紬「やられた~♪」
梓「憂に完っ璧にしてやられましたね」

唯「えへへー憂~。憂のおかげで勝てたよ~」ぎゅー
憂「お姉ちゃーん♪」ぎゅー
律「ははは、確かに憂ちゃんの大活躍だったな」
和「いつの間にあんな作戦を立てたやら。何にせよ勝ちは勝ちね」


澪「なぁ憂ちゃん。結局どんな作戦で私たちを翻弄したんだ?」

紬「もうどこまでが憂ちゃんの作戦だったのかわけがわかんなくなっちゃって」

純「あ、私も聞きたい」

梓「唯先輩もどこまで知ってたんですか?」

憂「えーっと、それじゃあ説明しますね?」

40: 2012/05/05(土) 18:24:53 ID:slbLX7pE0
憂「私はゲームが始まると、まずお姉ちゃんとタイを交換しました。お姉ちゃんの髪型を私と同じにして」

唯「この時点で憂が二人だね!」

憂「私はお姉ちゃんに『一つだけ指示を出し』ました。そのあとはお姉ちゃんの自由行動ですね」

唯「私は普通に逃げてたよー。でもU&Iの曲が聴こえてきて、何だろうな?って思って近づいたら捕まっちゃった」

澪「その指示っていうのは、その段階ではまだ?」

唯「うん。捕まったあとの話だよー」

憂「私の話に戻りますね。私はお姉ちゃんと分かれたあと、誰かに姿を見せて逃げるつもりでウロウロしてました」

紬「そうして澪ちゃんに見つかった、と」

憂「はい。澪さん全然追っかけて来ないから話かけちゃいました♪」

律「澪、どうして憂ちゃん捕まえようとしんかったんだ?」

澪「ちょっとチーム分けを勘違いしてたんだよ」

41: 2012/05/05(土) 18:31:47 ID:slbLX7pE0
和「私や律はこの作戦は全く聞いてなかったわ」

律「ああ。例の『唯が言われた指示』を聞くまではな」

梓「どんな指示でどの段階で発動したの?」

憂「うん。つづけるね」
憂「そのあとはひたすら潜伏してました。残り5分で、他のメンバーの大半が捕まることを見越して」

澪「残り5分……」

純「私たちが唯先輩の変装に気付いた時間帯ですね」

憂「それは偶然だけど、おおよそ焦り始める時間を狙いました。
変装はさらに混乱を煽るために、念のためです。最終盤に無駄に時間を使わせる狙いもありました」

梓「まんまとハマったけどね」

紬「完全に混乱させられたわ!」

澪「うん。残り5分って気付いた時は焦った」

42: 2012/05/05(土) 18:40:01 ID:slbLX7pE0
憂「その辺りでわざと皆さんの前に現れて逃げました。見張りを遠ざけるためにです」

澪「やっぱり!そこまでは間違ってないんだ?」

憂「はい♪見張りがドアの前に一人立つと思ってましたが、全員で追っかけて来ましたね。どちらでも作戦は変わりませんでしたが」

唯「ここからが私が憂に言われた事だよー!」

律「よっ!待ってましたー!」
紬「ひゅーひゅー!」

澪「どんな指示だったんだ?」

唯「私は憂から『見張りが全員部室から出たら、みんなで倉庫に隠れて』って言われたんだよー」

梓「……倉庫!?」

唯「そう、部室の倉庫。音楽準備室っていうのかな?」

澪「じゃ、じゃあ。憂ちゃん追いかけた後に、4人で部室に戻ってきた時には?」

和「私と律と唯はすぐそばに隠れていたわけね」

澪「うわぁ、そんなぁ~」へなへな

43: 2012/05/05(土) 18:52:49 ID:slbLX7pE0
憂「混乱の最中、部室がからっぽになっていて泥棒が全員逃げたと錯覚する。混乱に混乱を重ねるわけですね。」

律「倉庫から見てたけど、手玉に取られてたなーほんと」ニヤニヤ

澪「うわー。うわ~」へなへな

憂「この段階で残り数分か、時間切れで私の逃走完了です。
そうなると、警察チームは全員で部室を離れて逃げた泥棒メンバーを探しに行きますよね?」

紬「憂ちゃん策士ねぇ」くすっ

憂「あとは皆さんの目を逃れて部室のお姉ちゃんたちを開放するだけです!以上が私の作戦でした♪」

紬「完敗ね、澪ちゃん」

澪「まったくだよ。憂ちゃんの思惑通りじゃないか」

純「憂やべぇ!」

憂「えへへ///」

唯「えへー///」

梓「どうして唯先輩が照れるんですか……」

44: 2012/05/05(土) 18:57:35 ID:slbLX7pE0
さわ子「さて、これで泥棒チームが勝ったわけだけど?」

澪紬梓純「参りました~!」

唯「ご褒美だね!」

梓「あ、そんなルールでしたね」

律「デートかー。誰を誘おうかなー?」

憂「泥棒チームの人を好きに誘えるって事ですよね?」

和「私はどうしようかしら」

紬「はいはい!私は誰でも嬉しいでーす!」ぴょんぴょん

純(私はほとんどの人が知り合いレベルなんだが……)

澪「まぁ、勝った方で好きに決めてくれよ」

唯「それじゃあねー」

46: 2012/05/06(日) 03:36:41 ID:4pHbyq2g0
唯「私は澪ちゃんと!」

澪「ええっ!?なんで私なんだ?てっきり梓を選ぶかと思った」

唯「なんとなーく」

澪「特に理由は無しか……わかったよ。で、他の人はどうする?」

憂「私は純ちゃんかなぁ……」

律「憂ちゃんちょっとちょっと……」

憂「はい?なんですか?」

律「みたくないか?」

憂「……?何をですか?」

律「純ちゃんと和がデートするところ。気にならないか?どんな空気になるのか……」

憂「言われてみれば……」

純(いやいやいやいや!)

和「わかったわ。私は鈴木さんとデートって事ね」

47: 2012/05/06(日) 03:40:32 ID:4pHbyq2g0
純「ええっ!?いいんですか?」

和「別にいいわよ」

律「じゃあ決定な!変更は出来ないからな!」

純「わ、わかりました……」

律「んじゃあ私は梓と組むからムギは憂ちゃんとなー」

紬「はーい!」

憂「よろしくお願いします」

紬「えぇよろしくね憂ちゃん」

律「じゃあ行くか!」

澪「今からデートなのか!?」

律「そりゃあそうだろ、んじゃ梓いくぞー」

梓「んもう、強引なんですから……」

48: 2012/05/06(日) 03:46:02 ID:4pHbyq2g0
唯「じゃあ私達も行こっか」

澪「そうだな。じゃあ先に行ってるよ」

紬「えぇ行ってらっしゃい」

憂「お姉ちゃん達行きましたけどどこでデートするのかなぁ……」

和「デートって行っても散歩するだけだと思うからそんなに遠くに行かないと思うわ」

憂「そっかぁ~」

紬「思えば憂ちゃんと二人っきりって初めてよね?」

憂「そうですね!」

紬「ふふっ凄く楽しみ。そろそろ私達も行く?」

憂「はい!それじゃあ純ちゃんいってくるねー」

純「う、うん!」

和「気を付けてね」

49: 2012/05/06(日) 03:53:26 ID:GePZLLQE0
唯「あ!澪ちゃんあれ見てー猫だよかわいー」

澪「そうだなぁー首輪つけてるから飼い猫かな?」

唯「おいでーおいでー」

澪「チッチッチッチッチッ」

唯「????」

澪「チッチッチッチッチッチッチッチッチッチッ」

唯「なにやってるの?」

澪「チッチッってしたら猫がくるんだ。知らないのか?」

唯「へーそうなんだー。チッチッチッチッチッチッ」

澪「チッチッチッチッチッ」

唯「あ、逃げた……」

澪「唯が近寄りすぎるからだぞ」

唯「違うよー猫に舌打ちしたから怒ったんだよ」

澪「唯もやってだろ」

唯「そうだったーえへへ」

50: 2012/05/06(日) 04:10:29 ID:GePZLLQE0
菫「あ、紬お嬢様だ……」コソコソ

紬「この前、唯ちゃんが梓ちゃんに教わりながらギターの弦を交換してたんだけどかわいかったわー」

憂「それお姉ちゃんから聞きました!ビクビクしながらギターの弦を交換したんですよね!」

菫「あれは紬お嬢様が友達とお話中だ!だとしたら邪魔しちゃいけない……」コソコソ

紬「そうなの。あのときの唯ちゃんかわいかったわー。あ、そう言えばこの前りっちゃんと唯ちゃんがホラー映画見てたの」

憂「あ、お姉ちゃんから聞きました!あまりにも怖くて律さんがお姉ちゃんに抱き付いたんですよね!」

紬「うんうん!昨日なんか唯ちゃん授業中に……」

憂「居眠りしてたんですよね?昨日お姉ちゃんが言ってました。授業中に居眠りしてたらトンちゃんの鼻からピーナッツが出た夢を見たって」

紬「私もそういう変な夢見てみたい!」

菫「昨日、もう食べられないわーって寝言を言ってましたよ紬お嬢様……」ボソボソ

51: 2012/05/06(日) 04:18:26 ID:GePZLLQE0
律「なぁなぁ梓」ボソボソ

梓「はい?」ボソボソ

律「あの二人、全く話さないな」ボソボソ

純「………………ゴホン」

和「……………………」

梓「そ、そうですね……」

純「あ、鳥!と、鳥だー」

和「本当ね。あれはカラスよ」

純「へ、へぇーそーですかー」

梓「助けに行きましょうよ」

律「まだだ……まだ慌てるな」

和「今日は月がいつもより大きく見える日らしいわ」

純「ど、どのくらい大きく見えるんですか?」

和「さぁ?」

純「よ、夜がたのしみだなー」

和「………………」

純「………………」

52: 2012/05/06(日) 04:24:40 ID:GePZLLQE0
純(次なにを話そう次なにを話そう……)

和(夜が楽しみね……)

律「手に取るようにわかる」

梓「何がですか?」

律「純ちゃんは話す話題を必氏に考えてる」

梓「それは私にだってわかります」

和「ねぇ……」

純「は、はい!?」

和「お手洗い行かない?」

純「そ、そうですね!」

律「お、動くぞ」

梓「まだ尾行するんですか……仕方ないですねー」

律「とか言ってあの二人の会話に興味あるくせにー」

純(尽きた……話す話題が尽きた……)

53: 2012/05/06(日) 04:31:55 ID:GePZLLQE0
純「ええっ!?トイレが三階しか使えない!?」

和「困ったわね」

さわ子「そうみたいなの。一階二階のトイレが今パイプの清掃中なの」

和「仕方ないわね。じゃあ三階に行きましょう」

純「は、はい!」

梓「もうそろそろみんな帰ってきたんじゃないですか?」

律「じゃないのか?」

和(本当に困ったわね)

純(何を話そう……困った)

54: 2012/05/06(日) 04:35:50 ID:GePZLLQE0
和「ふぅ……」

純「どうしたんですか?顔色悪いですよ?」

律「和、顔色悪いな大丈夫か?」

梓「ちょっと律先輩、嫌な予感が……虫の知らせって言うんですかね」

律「気のせいだろ」

和「大丈夫よ。早くトイレに行きましょ…………」

チョロロロロロロロ

純「!?」

律「!?」

梓「……あぁ」

和「……///」カァァ

純(………………話す話題が出来た)

56: 2012/05/06(日) 21:11:08 ID:/bdq01CQ0
和「こら、静かにしてなさい」

チョロロロロロロロロロロ

純「」ジィッ

和「はぁ・・・見つかっちゃったわね」

純「・・・・・・えっとそれ、雀ですか?」

チョロロロロ、チョロロロロロ

57: 2012/05/06(日) 21:11:53 ID:/bdq01CQ0

和「目の周りに白い輪っかがあるでしょう? メジロじゃないかしら」

純「へー、かわいいですね!」

和「可愛いんだけど、ほら」

純「あ、足ケガしてる」

和「たぶん、猫か、カラスの仕業ね」

58: 2012/05/06(日) 21:12:43 ID:/bdq01CQ0

純「おお!そこを、通りがかった和先輩が助けたという訳ですね。さすがです!」

和「ふふっ。そんな都合のいい話じゃないわよ」

純「へ?そうなんですか」

和「2組の生徒が見つけて、昼休みに生徒会室に連れてきたのよ」

純「はぁ。なるほど」

59: 2012/05/06(日) 21:13:36 ID:/bdq01CQ0

和「放課後になったら動物病院へ連れて行くつもりだったのだけど・・・」

純「けいおん部に捕まってしまった、と?」

和「そういうこと。先生たちに見つかるとやっかいだし」

和「唯たちの誘いも、無碍には断れなくって」

チョロロロロロ、チョロロロロロロロロ

60: 2012/05/06(日) 21:14:59 ID:/bdq01CQ0

純「すっかり和先輩になついてますね」

純「でも、和先輩、ずっとこの子を連れてけいどろやってたんですか」

和「連れてこられるなり、いきなりけいどろ大会だもの。さすがに驚いたわ」

純「それで何とかしちゃうんだから、すごいです!」

和「何とかしたのは憂だもの。私は何もしてないわよ」

純「憂もすごいですけど・・・尊敬します、憧れます!」

和「大げさね、ふふっ」

61: 2012/05/06(日) 21:29:59 ID:/bdq01CQ0

純「いえ! 私、和先輩みたいな人、すてきだと思います」

和「あら。鈴木さんは澪に憧れてる、って聞いてるわよ?」

純「あ。それは、はい。澪先輩は、かっこよくてベースも上手で、あこがれの人です」

和「澪は同性からみても、華があるわね」

62: 2012/05/06(日) 21:30:46 ID:/bdq01CQ0

純「はい。でも、和先輩はその、いつも冷静で落ち着いてて、その、クールビューティ?」

和「あら、そんなふうに見えるなら嬉しいわ。私だってけっこうヘマするのよ?」

純「そうなんですか? とてもそんなふうには・・・」

チョロロロロロロロロロロロ

純「あ、これからどうします?この子」

和「そうね・・・とりあえずお水を飲ませてあげたいから、三階に行きましょう」

63: 2012/05/06(日) 21:31:30 ID:/bdq01CQ0
純「あ、それでトイレを探してたんですね」

チュチュ...チュチュチュ

純「美味しそうに飲んでますね」

和「きっとノドが乾いてたんだと思うわ。ごめんね、チッチちゃん」

純「チッチちゃん?」

和「はっ」//

純「名前付けてたんですね・・・(可愛い!)」

65: 2012/05/06(日) 22:35:36 ID:2szcgjjM0
純「そういえば和先輩、お手洗いはいいんですか?」

和「そうだったわ。行きましょう」

スタスタ

律「……」

梓「……」

律「帰ろうか。部室に」

梓「はい」


バサバサッ

純「あ、さっきのカラス。まだ上飛んでますね」

和「まさか……」

純「?」

和「チッチちゃんを怪我させたのはあのカラスなんじゃ」

純「はっ!ということはさっきから私たちの上を飛んでるのはこの子にとどめを刺すため?」

和「守らないと……!」

66: 2012/05/06(日) 22:36:26 ID:2szcgjjM0
唯「話は」

澪「ぜ、全部」

紬「聞かせて」

憂「もらっ」

律「たぜ」

梓「!」

ザザザザザザザッ


和「何やってるのみんな」

純「びっくりするからいきなり現れないで!」

67: 2012/05/06(日) 22:37:21 ID:2szcgjjM0
唯「和ちゃん、チッチちゃんのこと知らずに誘ったりしてごめんね」

和「いや、そんなことより」

律「お詫びに、私たちもチッチちゃんを守るのに協力するよ!」


カラス「カァーカァー」

律「カラスめー、チッチちゃんは渡さないぞ!」

紬「おー!」

澪「チッチちゃん、かわいい……」

チョロロロロロロ

68: 2012/05/06(日) 22:38:09 ID:2szcgjjM0
さわ子「待ちなさい」

唯「さわちゃん!」

さわ子「正義感に燃えるのは良いけど、カラスの気持ちにもなってみなさい」

澪「どういうことですか?」

カラス「カァー カァー」

さわ子「あのカラスにも家族がいるのかもしれない。家ではお腹の減った妻と子供が待っていて、今にも飢え氏にしそうになってるかもしれない」

唯「うわーーん!可愛そう!」

さわ子「ま、これは例え話だけど。とにかく自然界は弱肉強食。可愛そうだっていうだけで片方に味方するのは良くないわ」

律「でもそんな言い方……!」

和「いいのよ律。私も薄々感じてた。この子をずっと守り続けるわけにもいかないし」

69: 2012/05/06(日) 22:41:07 ID:2szcgjjM0
紬「じゃ、じゃあ私が飼う!責任もってペットととして買うなら問題ないでしょう?!」

さわ子「鳥獣保護法っていうのがあってね。メジロを飼うことは違法なのよ」

紬「そんな……!」

和「ムギ。ありがとう……だけど、法律的にもこの子は自然に返さないといけない。どんな結果になろうとも」

さわ子「偉いわね。和ちゃん、辛いでしょうけど……」

唯「和ちゃんはそれでいいの?チッチちゃんがカラスに食べられちゃってもいいの!?」

和「唯。社会にはちゃんとしたルールがある。大人は自分勝手な感情でルールを破るわけにはいかないの」

さわ子「その通りよ、さあ、じゃあその子を」

70: 2012/05/06(日) 22:41:32 ID:2szcgjjM0

和「だけど先生、私はまだ自分勝手な子供なんです!ごめんなさい!」


ダッシュッ!

さわ子「!?」


唯・憂・紬「和ちゃん!」

ダッ!

律・澪「和……!」

ダッ!

梓・純「和先輩!」

ダッ!


さわ子「ちょっとみんな!待ちなさい!」

71: 2012/05/06(日) 22:42:33 ID:2szcgjjM0
唯「和ちゃん、私信じてたよ!」

和「みんなごめんね、私につき合わせちゃって」

澪「いいんだよ。私たちはみんな、和と一緒にチッチちゃんを守るって決めたんだから」

和「これからさわ子先生が追ってくる。厳しい戦いになるわよ」

律「望むところ!ここからが本当のケイドロだ!」

梓「私達は泥棒と、犯罪者と呼ばれようとも、和先輩と一緒に戦います!」

紬「頑張りましょう!」

和「ありがとう……!みんな……!」ポロッ


タッタッタッタッタ

72: 2012/05/06(日) 22:43:03 ID:2szcgjjM0
純「あの、和先輩、トイレは……」

和「あっ」

チョロロロロロロロロロロロロ



おわり(?)

74: 2012/05/06(日) 22:51:12 ID:x.gMwgps0
素晴らしいオチ!乙でした!

引用: 和「・・・なに?これからお祭りでも始まるの?」