75: ◆llXLnL0MGk 2013/11/25(月) 13:30:02.14 ID:bwLCtBjc0


76: 2013/11/25(月) 13:32:31.55 ID:bwLCtBjc0

憤怒の街、地下。

カイ「このっ、てやっ!」

もう何体ものカースを討ち、カイはぜえぜえと苦しげに息を吐く。

カイ「ちょっと、多すぎない……?」

討っても討っても、カースは目の前の水路の奥からわらわらと湧いてくる。

カイ「シャーク・インパクトは……アイツが防いじゃうしなあ……」

カイの視線の先には、リクガメを思わせる体躯の獣型カース。

『ギャウウウウウ!!』

先ほどからシャーク・インパクトでの一掃を何度も試みたが、全てあのカースに弾かれてしまっている。

カイ「潜れたら楽なんだろうけど……何でか潜れなくなってるし……」

地下水道全体に、カースの体と同質の泥が薄く広がっている。

これが、アビスナイトの固有能力である物体潜航を阻害しているのだ。

そしてその泥は、前方のリクガメ型カースの足先から際限なく広がり続けている。

カイ「いや……ちょっと難易度ルナティック過ぎない……?」

『ギギィーッ!』『ギャオオオオ!』

カイの呟きをよそに、リクガメ型カースの背後から別のカースが襲いかかる。

カイ「あーもう、こうなりゃ意地だ! トコトンまでやってあげるよっ!!」

カイが自らを奮い立たせ、ガントレットの刃を構えた、その時。

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それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

~中略~

「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。




77: 2013/11/25(月) 13:33:22.36 ID:bwLCtBjc0





??「伏せたまえ、カイ君! 『~~、~~~』」


カイ「へっ? うわわっ!!」

背後からの声と共に謎の熱気を感じ取ったカイは、大慌てでその場に伏せた。

直後、カイの頭上を青い炎が走り、カースを焼き尽くしていく。

『ギェエエエー!?』『グアアアア!?』

カイ「すっご……今の声って……」

カイは立ち上がり、後ろを振り向く。

そこに立っていたのは、先ほど知り合ったばかりの女性。

カイ「やっぱりキバさん!」

キバ「早い再会だったね、カイ君。もしかして、いらん世話を焼いてしまったかな?」

カイ「いえ、助かりました! ありがとうございます、キバさん!!」

カイはキバに駆け寄り、勢いよく頭を下げた。

その姿はまるで、飼い主に懐く子犬のようだ。

78: 2013/11/25(月) 13:34:54.42 ID:bwLCtBjc0
キバ「助けになったなら良かったよ」

キバは軽く笑みを浮かべ、カイの肩をポンと叩く。

カイ「あっ……でも、キバさんはどうしてここに? 別の用事があったはずじゃ……」

キバ「ああ、どうにも『懐かしい気配』がしてね……」

カイ「気配、ですか?」

キバ「ああ。だが、『奴』はあの時確かに氏んだはず……」

見れば、キバは顎に手を当て、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべている。

カイ「うーん……でもこんな世界ですから、氏んだ人間が生き返るもの不思議じゃないんじゃないですか?」

キバ「それもそうかもね。……まあ、奴も私も人間ではないがな……」

キバはポツリと呟いた。

カイ「えっ、何か言いました?」

79: 2013/11/25(月) 13:35:37.94 ID:bwLCtBjc0
キバ「いや、何でもないよ。気配はこの先からだな。……カイ君、危険だから君はここで待っているといい」

キバはそう言って水路の奥へと進んでいく。

カイ「あ、あたしだって戦えます! それに、今の恩返しもさせて下さい!」

カイは去るキバの手を取り、バイザー越しの熱い目を向けた。

キバ「…………しかし」

カイ「お願いします、キバさん!」

カイの手に、さらに力がこもる。

キバ「…………そこまで言うなら。ただし、自分の命は自分で護るんだよ」

キバはそう言い、僅かに燃え残ったリクガメ型カースの核を踏み砕いて先へ進んだ。

カイ「…………ありがとうございますっ!」

カイもそれに続いて、地下水路の奥へと進んだ。

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80: 2013/11/25(月) 13:37:00.97 ID:bwLCtBjc0
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キバとカイが進む地下水路の奥。その更に奥。

少し開けた空間で、不気味に鼓動を続ける繭が、無数に天井からぶら下がっている。

『ルロロロロロ……』『オオオオオオン……』『ショアアアアア……』

そしてその繭から、次々とカースが生まれてくる。

ここは、無数にカースを生み出し、地下水路や地上に送り込む、いわばカースのプラントだ。

コマンドカース『サア、ユケイかーすドモォ! ニンゲンドモヲジュウリンシツクスノダ!!』

そして、新たに生まれたコマンドカースがその指揮を執る。

コマンドカースの指揮に従い、カースたちは四方の水路から出て行く。

そのまま水路をさ迷うもの、地上をうろつくもの、『学校』の防衛にあたるもの……。

多少ヒーローや能力者に倒されても、特に問題はない。

このプラントさえ無事なら、カースはいくらでも生み出せる。

そしてプラント自体を壊されようと、深く濃厚な呪いの塊である『プラントの核』が無事なら、プラントはまた再生される。

天井に張り付いたプラントの核が不気味に揺らめき、またカースが生まれる。

コマンドカース『フフフ、スベテハジュンチョウ! コノママイッキニニンゲンドモヲ……』

81: 2013/11/25(月) 13:38:04.45 ID:bwLCtBjc0
??「よーぉ、やってるか?」

コマンドカース『ッ!?』

突然背後から声をかけられ、コマンドカースは驚いて振り向く。

コマンドカース『コッ、コレハてぃあまっとサマ! ワザワザぷらんとヘ、ナンノゴヨウデショウカ!』

憤怒P「なーに、ちょっと様子見に来ただけだ」

そこに立っていたのは、彼らの主である憤怒Pこと、邪龍ティアマットだった。

憤怒P「プラントはちゃーんと動いてるみてぇだな」

コマンドカース『ムロンデス! コノフカキショウキデウミダサレタぷらんと二、ソウソウフグアイナド……』

その時。

一つの繭が、不自然にドクン、と揺れた。

憤怒P「あん?」

コマンドカース『ムッ!?』

繭の鼓動は、なおも続く。

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82: 2013/11/25(月) 13:38:59.01 ID:bwLCtBjc0
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バーニングダンサーが学校に突入するより前のこと。

岡崎泰葉は学校の図書館にいた。

懐かしむような顔で、辺りを見渡す。

ふと、誘われるように一冊の本を手に取る。

表紙には、「昆虫図鑑」の文字。

何気なく、ぱらぱらとめくる。

……こんな物を見て、私はどうするというんだろう。

どこを開いても、載っているのは虫けら。虫けら。虫けら。

今まで葬った人間や、これから叩き潰すヒーロー達と大差ない、ただの虫けら。

しかし、それでも。虫けらの中にも、妙な「能力」で歯向かってくるものはいる。

83: 2013/11/25(月) 13:40:03.24 ID:bwLCtBjc0
それは「浄化の雨」であり、「猛毒の針」である。

それは「植物の使役」であり、「強烈な脚力」である。

それは「旧支配者との共生」であり、「頑丈な甲殻」である。

それは「未知の金属生命体」であり、「高熱のガス」である。

それは「固体への潜航」であり、「頑強な顎」である。

――鬱陶しい。

貧弱な、脆弱な、虚弱な虫けらが、小手先の能力だけで歯向かってくる。

鬱陶しい。鬱陶しい。鬱陶しい! 鬱陶しい! 鬱陶しい!! 鬱陶しい!!

泰葉の内に、みるみると憤怒が広まっていく。

広まった憤怒は姿を泥と変え泰葉の足元から現われ、泰葉が手に持つ図鑑を飲み込む。

やがて泥は図鑑を吐き出す。

パラリとめくれたその図鑑は、完全な白紙となっていた。

泥はそのままずぶずぶと床に沈んでいく。

泰葉はそれを気にも留めず、図書館を後にした。

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84: 2013/11/25(月) 13:41:14.22 ID:bwLCtBjc0
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そして現在、カースのプラント。

図鑑を飲み込んだ泥が繭の一つに溶け込み、不自然な鼓動を促した。

コマンドカース『コ、コレハナニゴトカ!?』

憤怒P「黙ってみてな。……面白ぇ事が起きそうだな、ククッ」

鼓動は次第に速くなり、繭自体も膨張を始めた。

コマンドカース『オ、オオオオ……!?』

憤怒P「……来るか!」

やがて巨大な鎌が、繭を突き破って顔を見せた。

さらにもう一本。

繭を麻のようにビリビリと引き裂いて、ようやくその全貌が現われた。

コマンドカース『ナ、ナント……!!』

憤怒P「クッ、ククク……予想外のイレギュラーが産まれたようだなぁ……」

黒く光沢を持った体躯、鎌のようになった前足、異常に発達した後足、巨大な複眼……。

まるで子供が描いたような、「昆虫の合体生物」がそこにいた。

憤怒P「さあて、お前さんには……地上の掃除でもしてもらうかな」

憤怒Pの言葉に従い、巨大な昆虫はグッと身を屈め……

85: 2013/11/25(月) 13:42:18.60 ID:bwLCtBjc0


ゴォッ


コマンドカース『ヌォォッ!?』

轟音を残し、一瞬にしてその場を去った。

憤怒P「面白い結果を見せてくれよ……なぁ、『蟲の王《キング・オブ・バグズ》』」

含み笑いを見せる憤怒P、未だに呆然とするコマンドカース、我関せずと湧き続けるカース。

そんな光景に、突如として乱入した者がいた。

カイ「うわっ、カースが……こんなに……!?」

キバ「やはり、この気配はお前だったか……」

カイと、キバだ。

コマンドカース『ムムッ、アレナルハあびすないと! サテハコノぷらんとヲカギツケタカ!』

憤怒P「ん~? おやおやおやぁ~?」

憤怒Pはキバを見るなり、下品な笑みを顔面いっぱいに浮かべた。

憤怒P「久しぶりじゃあねえの、お互い狭苦しい身体に入っちまったもんだよなぁ、キバちゃんよぉ?」

彼の言葉を受けて、キバは拳を震わせ激昂した。

キバ「貴様が、貴様が何故生きている……答えろ、邪龍ティアマットォ!!」

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86: 2013/11/25(月) 13:43:07.63 ID:bwLCtBjc0
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蟲の王と名づけられたそれは、鋭い鉤爪を持つ中足で地面を掘り進み、ついに地上へ到達した。

周囲を見渡すと、人影が見える。

三人……それに、人ではないがもう一つ、何かあるようだ。

蟲の王は穴から這い出し、ゆっくりと人影に近づく。

やがて、人影が蟲の王の存在に気付いた。

拓海「……ッ!? 何か来るぞ!」

有香「あ、あれは一体……!?」

星花「……なんと禍々しい……あれも、カースなのでしょうか……!」

精霊の祝福を受けた樹の下で鍛錬を続ける拓海と有香、そして星花とストラディバリ。

蟲の王は、初戦の相手を彼女たちに定めた。

続く

87: 2013/11/25(月) 13:44:08.61 ID:bwLCtBjc0
・リクガメ型カース
地下水道に出現した獣型カース。
特殊な磁場で自分より後方への攻撃を全て引き受ける能力と、
足先から泥を広げ相手の機動力を阻害する能力を持つ。
ただし、自分の耐久力を超える攻撃に関しては受けきれずそのまま通してしまう。

・蟲の王《キング・オブ・バグズ》
泰葉の足元から生まれた泥が昆虫図鑑を飲み込み、そこから得た情報で作った新型カース。
4mを越える体躯に《クロカタゾウムシ》の硬い甲皮、《サバクトビバッタ》の脚力、
《メダカハネカクシ》のジェット噴射による高速移動、《ミイデラゴミムシ》の高温ガス噴射、
《オオスズメバチ》の毒針、《オニヤンマ》の複眼、《グンタイアリ》の顎、
《オケラ》の中足、《オオカマキリ》の前足を備えている。


・イベント追加情報
カイとキバがカースプラントにて憤怒Pと遭遇しました。

イレギュラーカース『蟲の王』が出現、拓海達に接触しました。

88: 2013/11/25(月) 13:44:52.08 ID:bwLCtBjc0
以上です
某漫画読んでたらどうしてもやりたくなった蟲の王、後悔はしていない。じょうじ

キバ、憤怒P、泰葉、拓海、有香お借りしました。

89: 2013/11/25(月) 13:53:50.21 ID:XJYdicfK0
おつー

憤怒Pをティアマット様と言う事は…このカースは先輩じゃなく憤怒Pに直接つくられたのか

誰かがナウシカごっこをする姿が目に浮かんだ…

90: 2013/11/25(月) 14:20:28.24 ID:9BNV5H5y0
乙です
蟲の王強い(確信)
先輩の怒りもどんどん強くなってらっしゃる




【次回に続く・・・】


引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part8