294: ◆6osdZ663So 2013/12/16(月) 00:01:26.10 ID:DJWU8gJ6o


モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ



12月某日のお話投下させていただきますー

295: 2013/12/16(月) 00:01:51.95 ID:DJWU8gJ6o

12月某日

小日向宅


美穂「るんるん♪ふふっ」

美穂「あ、肇ちゃん!おはよう!」

肇「おはようございます、美穂さん」

肇「?」

肇「今日はご機嫌ですね?いい夢でも見れましたか?」

美穂「えっ、やっぱりわかっちゃうかな?」

肇「ふふっ、美穂さんは顔に出やすいですから」

肇「どんな夢だったんですか?」

美穂「あっ、その……夢を見れたからご機嫌だったってわけじゃなくって」

肇「なるほど、他にご機嫌になる理由があると言うことですね」

母「誕生日なのよ、今日は」

肇「誕生日?」

肇「もしかして美穂さんのですか?」

美穂「えへへ、そうなんだ♪」

肇「それはおめでとうございます」

美穂「ありがとう!肇ちゃん!」


美穂「……って話してたらもうこんな時間!」

美穂「学校行ってくるね!」

----------------------------------------



それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

~中略~

「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。




296: 2013/12/16(月) 00:02:37.05 ID:DJWU8gJ6o

母「……いいわねぇ、まだまだ誕生日を素直に喜べて」

母「年をとるとそう言うので喜べなくなっちゃって」

肇「いえいえ、美穂さんのお母さんもまだまだお若いかと」

母「あら、お上手。ふふっ、肇ちゃんありがとう♪」

肇「……」

母「ん?どうしたの?思いつめた顔しちゃって」

肇「あの……まさか今日が美穂さんのお誕生日だと露知らず」

母「あー」

母「プレゼントを用意できてないとか?」

肇「はい……どうしましょう……」

母(そんなの気にしなくてもいいのに)

母(肇ちゃんがただお祝いしてくれるだけでも喜ぶんだから、あの子は)

母(……)

母(ちょっと悪戯しちゃおうかしら)

297: 2013/12/16(月) 00:04:39.18 ID:DJWU8gJ6o

母「困ったわねー」

肇「はい……」

母「肇ちゃんからプレゼントがもらえないと美穂、すっごくガッカリしちゃうかも」

肇「うっ……」

肇「い、今からでも何か探してっ……!」

肇「あ、でもこの後お仕事ですし……時間が……」

肇「うーん……」

母(悩んでる肇ちゃん可愛い)

母(こんなに慕ってくれてるなんて幸せね、あの子)

母「ふふっ肇ちゃん、そんなに悩まなくても……」

ガタッ!

肇「あの!!急いで今日中にお誕生日プレゼント用意します!!」

肇「お仕事行ってきます!!」

ドタドタドタ……


母「……行っちゃったわ」

母「んー、焚き付けすぎちゃったかしら……」

298: 2013/12/16(月) 00:05:12.09 ID:DJWU8gJ6o

――

――

メイド喫茶『エトランゼ』


アーニャ「デイェーニ ラジュディエーニェ、誕生日ですか」

肇「はい……」

キヨラ「お友達の誕生日、それはめでたいですね」

肇「ええ……」

亜季「しかし、それでどうして顔が優れないので?」

肇「……お誕生日プレゼントを用意できていないんです」

肇「いつもお世話になっているので、こう言うときこそお礼を用意したいのですが……」

肇「直前まで気づかずに過ごしてしまったのは失態でした……」

アーニャ「あー……品物より気持ちが大切なのでは?」

アーニャ「祝ってもらえるだけで、その子も嬉しいと思います」

肇「はい……アーニャさんの言うとおりなのだとは思います」

肇「美穂さんはきっと、どんな形でのお祝いでも喜んでくれるのだと」

肇「ですが……その」

キヨラ「ふふっ、ちゃんとした形でも渡したいのよね」

キヨラ「記念品だとか思い出になる様なものを」

肇「……お恥ずかしながら」

キヨラ「恥ずかしがることはないと思うわ、いいんじゃないかしら」

キヨラ「プレゼントを渡したいと思える相手が居るのは素敵な事だから」

亜季「ならば、迷う事などありませんな」

亜季「すぐにでもプレゼントを用意しましょう!」

肇「だけど問題は……どんな物をプレゼントすればいいかなんです」

299: 2013/12/16(月) 00:06:07.04 ID:DJWU8gJ6o

アーニャ「……どんな物をプレゼントすれば良いか、ですか」

亜季「やはり、貰って嬉しい物では?」

肇「美穂さんが貰って、嬉しいものってどんな物でしょう?」

キヨラ「年頃の女の子が貰ってうれしいもの……」

アーニャ「……」

亜季「……」

肇「……」

キヨラ「うーん、残念だけど世間一般の普通の女の子が欲しがりそうな物って言うと」

キヨラ「私には、わからないですね」 (←魔界の天使)

アーニャ「参考になりそうな意見は出せないですね……」 (←軍人上がり)

亜季「むむむ、世間一般のと言うと……少々管轄外かもしれません」(←平行世界のサイボーグ)

肇「……弱りました」 (←鬼の里出身)

「ふっふっふ」

肇「!」

亜季「この声は」


みく「おやおやぁ?皆さん何やらお困りのようですにゃあ?」 ニャーン!

「「「「みくさん(ちゃん)っ!!」」」」

300: 2013/12/16(月) 00:06:48.25 ID:DJWU8gJ6o

みく「ふふっ!女の子のことなら、みくに任せるニャ!」

みく「肇チャンの悩み、エトランゼ1女子力の高いと噂のみくがお答えしてあげるよ♪」


肇「お、おおっ!」

アーニャ「なんだか今日はみくが輝いて見えますね」

キヨラ「後光が差してるわ……」

亜季「眩しいっ、眩しすぎますっ!」


みく「あれ?なんか一週回って、みくに失礼な気がするにゃ?」

肇「気のせいですよ」

みく「そうなのかにゃあ……?」

みく「ま、いっか」

301: 2013/12/16(月) 00:07:17.46 ID:DJWU8gJ6o

みく「結局みんな難しく考えすぎにゃ♪女の子は可愛い物がすきなのっ♪」

みく「そこには種族も世界もきっと関係ないはず、ってみくは思うけどにゃ」

肇「おお……なるほどっ……」

キヨラ「確かに……」

亜季「一理ありますね!」

みく「そこでっ!!」

みく「肇ちゃんにはこれを渡しておくにゃ」 スッ

肇「……こ、これは!!」


アーニャ「……ネコミミですね」

亜季「ネコ耳ですな」

キヨラ「猫耳ですか」

肇「みくさん!これはどう言う……」

みく「肇チャン……この全世界全宇宙に共通の真理があるとするなら、それは」


みく「ネコが可愛いってことだにゃっ!!!」 ニャーン!!

「「「「にゃ、にゃんだってー!!」」」」

302: 2013/12/16(月) 00:07:54.39 ID:DJWU8gJ6o

みく「だからネコミミっ!ネコミミをつければ猫の可愛さがワンタッチで……」

みく「いや!ニャンタッチで手に入っちゃうにゃ♪」

みく「ネコミミを装着すれば可愛さがなんと95割増し!(当社比)」

みく「おまけにネコチャンの気持ちもわかって一石二鳥にゃ!」

みく「そしてメリットがあるのは装着者だけじゃないのにゃ!」

みく「ネコミミを見る人たちも、溢れる癒しのオーラに包まれて心が温かくなるのにゃ!」

みく「つまり相手にプレゼントしても良し!装着して見せてあげても良し!」

みく「あなたの発想次第でネコミミの可能性は無限大にゃっ!!」

みく「だから誕プレ(誕生日プレゼントの略)にはネコミミこそが最適で、来年の流行間違いな……」

コツンッ

みく「うに゙ゃ、痛いにゃっ!」

チーフ「何を布教しているのかな」

肇「あ、チーフ。おはようございます」

チーフ「ん、おはよう」

303: 2013/12/16(月) 00:08:25.21 ID:DJWU8gJ6o

チーフ「肇、早速で悪いけど」

肇「は、はい!」

チーフ「今日はもうあがりな」

肇「えっ……?」

チーフ「そんな悩んだ顔でいたら、悪戯にご主人様を心配させるだけだぞー?」

肇「……はい」

チーフ「今日はその友達のためにやれるだけの事をしっかりやって」

チーフ「そうしたら明日からは、すっきりした顔でちゃんと御奉仕するんだよ?いいね?」

肇「チーフ……」

チーフ「今日は肇の分も、みくがしっかり働くから」

みく「なんでそこでみくピンポなんだにゃ」

肇「みくさん!お願いします!」

みく「……しょうがないにゃあ」

みく「みくは出来る子だからね!肇チャンは大船に乗ったつもりでいるにゃ♪」

304: 2013/12/16(月) 00:09:13.70 ID:DJWU8gJ6o

――

エトランゼ 控え室


肇「チーフやみくさん達のおかげで」

肇「どうにかお誕生日プレゼントを用意する時間を頂けました」

肇「しかもチーフの計らいで、こちらでお誕生日会も開いてもらえるみたい」

肇「あとはプレゼントを用意するだけなんだけど……」

肇「美穂さんの欲しい物…」

肇「心のこもった贈り物…」

肇「手作りとか……?」

肇「うぅ、難しい……」


肇「誰かに相談してみるのも手だとは思うけど」

肇「こう言うとき相談できる相手と言うのが私には少な…」

肇「……あの人なら?」

305: 2013/12/16(月) 00:10:14.83 ID:DJWU8gJ6o

――


エトランゼ 客席


肇「お電話だけで相談するつもりが」

肇「わざわざ来ていただいてすみません」

肇「拓海さん」

拓海「別に構わねーよ、今日は空いてたし…たまたま近くだったしな」

美世「あれ?心配だから顔見たいって言ってなかったっけ?」

拓海「言ってねーよ」

美世「顔に書いてたよ?」

拓海「か、書いてねーよ」

肇「…そちらの方は?」

拓海「ああ、こっちは美世。アタシの相棒だ」

美世「原田美世って言うの。よろしくね」

肇「藤原肇です。よろしくお願いします」 ペコリ


拓海「それにしても……こうして会うのはあの時以来か?」

肇「そうですね。連絡だけはたまにさせていただいてましたが」

拓海「ま、元気そうで何よりだ。しっかり働き口も見つけてたみたいだしな」

美世「拓海も安心だね」

拓海「おう、そうだな」

306: 2013/12/16(月) 00:10:57.11 ID:DJWU8gJ6o

拓海「肇、こっちでの生活は楽しいか?」

肇「…はいっ!」

拓海「ならいい、アタシからあえて言う事は何もねーよ」

美世「保護者?」

拓海「ちげえ」

美世「でも今のお父さんっぽかったよね?」

肇「ふふっ、そうですね」

拓海「……せめてお母さんとかにはなんねぇのか」

美世「頼り甲斐があるってことだよ、姉御」

肇「はい、姉御」

拓海「姉御か……まあそれなら悪い気はしないけどな」

307: 2013/12/16(月) 00:11:33.70 ID:DJWU8gJ6o

拓海「それはそうと、肇の相談を聞く為に来たんだったな」

美世「あ、そっか。えっとお友達の誕生日プレゼントを用意したいんだったっけ?」

肇「はい、その人は美穂さんと言って」

肇「こちらで出来た私の大切なお友達なのですが」

肇「?」

肇「あの…拓海さん美世さんニコニコしてるようですけど…私何か面白いこと言いました?」

拓海「いや、気にすんな」

美世「拓海があまり心配する事もなかったのかもね」

拓海「だな」

肇「??」

拓海「ま、つまりはその美穂って奴があっと驚くくらいに喜ぶプレゼントを用意したいわけだな」

肇「はい、そうなんです!」

308: 2013/12/16(月) 00:12:07.85 ID:DJWU8gJ6o

美世「肇ちゃん、その子ってどんな子なの?」

肇「そうですね……美穂さんはとても可愛らしい方です」

肇「穏やかで優しくて、少し……いや、かなり恥かしがりやさんですけれど」

肇「それでも目標や夢に向かって確かな一歩を踏み出せる、そんな強さのある方ですね」

美世「……のろけるね?」

肇「え、あっ…いえ、確かに大切な人ですがそう言う事ではなくてですね!」

肇「私にとっては…どこか眩しくて憧れの人なんです」

美世「ふふっ、そうなんだ」

拓海「憧れか、なるほどな」

拓海「いくつくらいなんだ?その美穂って言うのは?肇とタメか?」

肇「いえ、少し年上の方ですね。17歳と聞いています」

拓海「じゃあ今日誕生日ってことは、18になるわけか」

肇「え?」

拓海「え?」

美世「え?」

「「「…」」」

拓海「わかった、あえて何歳になるのかに触れるのはやめよう」

309: 2013/12/16(月) 00:12:56.22 ID:DJWU8gJ6o


拓海「けど、まあそう言うわけでもあるのか」

拓海「アタシに相談しようと思ったのはよ」

拓海「同じくらいの年だからな」

肇「えっ?」

拓海「…」

肇「あっ…」

肇「ああっ!は、はいそうです!そうですともっ!」

拓海「お前、今の今までアタシの事もっと年が上だと思ってただろ」

拓海「アタシはまだじゅう……いや、年齢に触れるのはやめとくか」

拓海「とにかくそいつと同じくらいだっつの」

肇「す、すみません……」

美世「あはは、まあ拓海は同じくらいの女の子よりはちょっと大人びて見えるからね」

美世「可愛い系よりもカッコイイ系だし?」

拓海「まあな」

美世「まあ、あたしは拓海のこと可愛いとも思うけれど」

拓海「からかってんじゃねーよ」

肇「ふふっ」

拓海「なっ、笑ってんじゃねーよ、くそっ」

310: 2013/12/16(月) 00:13:31.75 ID:DJWU8gJ6o

拓海「とにかくよっ!」

拓海「そいつに喜んでもらえるようなプレゼントって言うのを考えればいいんだろ?」

肇「はいっ!何かいい案はあるでしょうか?」

拓海「そうだな…」

拓海「ぬいぐるみとかいいんじゃねーか」

肇「ぬいぐるみ…」

美世「可愛いね、拓海」

拓海「それはぬいぐるみがって事でいいんだよな」

美世「ううん、その発想がちゃんと出てくる拓海が」

拓海「ちくしょう」

311: 2013/12/16(月) 00:13:57.34 ID:DJWU8gJ6o

拓海「確かにアタシのキャラじゃねーけどよっ!」

拓海「今日中に用意してえって話だ。つまり時間もあまりないんだから」

拓海「何か買うとしたらそれくらいだろ」

拓海「後は……ストラップとかどうだ?」

美世「可愛いね」

拓海「ああ可愛いな!くそうっ!」

肇「ですが……女の子は可愛いものが好きと言うお話にも合致します!」

肇「そうですよね!みくさん!」


席の近くを通りがかったみく「ああ、うん……」


拓海「……おい、猫メイド何か言いたそうだな」

みく「…」

みく「…なんか普通」

拓海「あんっ?」

肇「……どう言うことでしょう?みくさん」

みく「よく考えるにゃ」

みく「美穂チャンは今、学校に言ってるそうにゃ」

みく「つまり…」

312: 2013/12/16(月) 00:14:32.28 ID:DJWU8gJ6o


――


卯月「ジャーン!」

卯月「見てください美穂ちゃん!このストラップ!」

美穂「!!」

美穂「わあ!くまもん!!」

卯月「この間ショッピングに行ったときに見つけたんです!」

卯月「美穂ちゃん好きって聞いてましたから!」

卯月「お誕生日プレゼントです!どうぞ!」

美穂「いいの!?卯月ちゃん!えへへっ、ありがとー!」

卯月「ぴにゃこら太ストラップも近くにあって」

卯月「どっちがいいのかなって迷ったんですけど」

美穂「くまもんで」

卯月「だよねえ」


茜「ふっふっふ」

美穂「茜ちゃん?」

313: 2013/12/16(月) 00:15:18.66 ID:DJWU8gJ6o

茜「じゃじゃーん!」

美穂「!!」

美穂「わ、わあ!えっとぬいぐるみ?」

茜「はい!!熊です!美穂ちゃん好きって聞いてましたからっ!!」

美穂(見えない……)

美穂「でも……手作りなんだね」

茜「熊のぬいぐるみがあったので買おうか迷ったんですが」

茜「勢いで作ってしまいました!!」

茜「ちょ、ちょっとヘタクソ……だったかもしれないですけれど」

美穂「……ふふっ」

美穂「そんな事無いよ、すごく嬉しい」

美穂「ありがとう、茜ちゃん♪」


美穂「えっと…二人とも!素敵な誕生日プレゼントをありがとうっ!」

卯月「えへへ」

茜「えへへ」

314: 2013/12/16(月) 00:15:46.76 ID:DJWU8gJ6o

――


みく「入念に下調べができて、好みも知っている学校の友達と同じ物を渡して」

みく「果たして美穂チャンは、あっと驚くほどに喜べるのかにゃあ?」

拓海「……」

美世「……」

肇「……」

拓海「た、たしかに被りはまずいっ!!」

美世「思い出に残るのかって言うと微妙なのかもっ!」

肇「思っていた以上に難題かもしれませんっ!」
 

315: 2013/12/16(月) 00:16:15.23 ID:DJWU8gJ6o

みく「みくは思うにゃ…」

みく「プレゼントには個性が大事だってね」

みく「はい、アーニャン」 サッ

通りがかりのアーニャ「?」 スチャ

ネコミミアーニャ「ダー……確かに…個性は大事かもしれないですにゃ?」

アーニャ「どうぞ、キヨラ」

通りがかりのキヨラ「あら?」 スチャ

ネコミミキヨラ「そうですねぇ、贈り物にその人の事を感じられると言うのは」

ネコミミキヨラ「とても素敵なことですから…にゃあ」

キヨラ「次は、亜季ちゃん」

通りがかりの亜季「おや?」 スチャ

ネコミミ亜季「ふむ、心に炸裂する個性……確かに思い出に残らぬはずがありませんにゃ」

亜季「肇殿!」

肇「!」 スチャ

316: 2013/12/16(月) 00:16:43.04 ID:DJWU8gJ6o

ネコミミ肇「皆さんの言うとおりかもしれません……にゃ」

ネコミミ肇「贈り物の中に私の個性、私自身を込める……」

ネコミミ肇「なかなか……思いつかないことでしたにゃ」

肇「では、拓海さん」 スッ

拓海「ちょっと待て、なんでアタシにそれ回ってきた」

肇「えっと、つい流れで…?」

拓海「さも当然の様に不自然なことすんなっ!!」

みく「まあまあ、サービスのネコミミですにゃ♪」

拓海「いらんっ!!」


みく「えぇぇ、拓海お嬢様は意地悪だニャ」

みく「他のご主人様はノリノリでつけてくれるのにゃあ」

美世「拓海、空気、読もう」

拓海「空気って言ってもよ……」

みく「ちらっ」(期待のまなざし)

拓海「……ちっ、仕方ねえ。やればいいんだろやれば」

拓海「特攻隊長拓海、ここで覚悟を決めなきゃ名が廃るってもんだ」

拓海「……」

拓海「よしっ!やるぞ!!」

317: 2013/12/16(月) 00:17:35.86 ID:DJWU8gJ6o


ネコミミ拓海「た、たくみゃんだにゃ♪」 ニャン!


美世「……」

肇「……」

みく「……」

アーニャ「……」

キヨラ「……」

亜季「……」


拓海「……」

拓海「おい、どうすんだ、この空気」

美世「拓海……」

318: 2013/12/16(月) 00:18:09.58 ID:DJWU8gJ6o

美世「気合い入れすぎてて逆にドン引き!」

拓海「あんっ?!ちくしょう!!どんな罠だよっ!!」


みく「いやいや、可愛かったでございますよ」

拓海「目反らしながら言ってんじゃねーっ!つかなんだその語尾!」


肇「本当に可愛かったですよ」

拓海「真顔で言われても困るわっ!!」


チーフ「なあ君、よかったらこの店で」

拓海「働くかああっ!!!」


キヨラ「あらあら、キレのある突っ込み」

亜季「4連コンボですな」

アーニャ「ハラショー……お見事…ですね?」

319: 2013/12/16(月) 00:18:37.35 ID:DJWU8gJ6o

拓海「ぜえ……ぜえ……」

拓海「わりい、熱くなりすぎた。話戻そう」

美世「贈り物の中に個性を……かぁ」

美世「それを意識したら確かに、学校のお友達と被ることはないかもね」

拓海「肇の個性ねえ、って言うとやっぱり」

肇「…刀ですねっ!」

肇「鬼匠・藤原一心の孫娘!刀匠見習い藤原肇!」

肇「刀作りには自身があります!」 ドンッ

美世「う、うーん……だけどプレゼントに刀を貰って喜ぶ女の子が居たらあたしは嫌かなあ……」

拓海「つか、今から作る時間ねーだろ」

肇「あ……そうですよね……」 シュン


拓海「ところで、美世は何か案はねーのかよ」

美世「あたしミニカー!!」

拓海「それ貰って喜ぶ女の子もなんか嫌だろ!!」

320: 2013/12/16(月) 00:19:22.80 ID:DJWU8gJ6o

……

……

……


拓海「……」

美世「……」

肇「……まずいです」

美世「ここまで良い案が出ないなんて……」

拓海「17歳女子って言うのはこんなに難しいモンだったのか…」

美世「もう!拓海、同じ年頃って言ってたのに!」

拓海「だーっ!だからキャラじゃねーって言ってるだろ!」

拓海「可愛い系の女の子とかアタシにはわかんねーよ!」

拓海「だいたい美世も良い案なかっただろ!」

肇「い、いえお二人の責任では……」

拓海「あ、いや待て」

拓海「居るじゃねーか」

肇「えっ?」

美世「居るって?」


拓海「アタシらの知り合いによ、可愛い系で売ってる17歳が」

321: 2013/12/16(月) 00:19:53.02 ID:DJWU8gJ6o




拓海「……と言う訳なんだ」

拓海「あんたを17歳の可愛い系の女子と見込んで聞きたい!」

拓海「あんたくらいの年の女の子が貰って喜ぶもんって何だ?」

拓海「教えてくれ!」


拓海「菜々!!」


菜々『 』


拓海「?……通信の電波わりぃのかな?」

拓海「何も聞こえねえ」


菜々(試されてる……)

菜々(試されていますよ……ナナ……)

322: 2013/12/16(月) 00:20:18.38 ID:DJWU8gJ6o

菜々『あぁ、ええっと…ですねぇ…』

菜々『17歳の女の子が欲しい物ですか……』

拓海「ああ?わかんねぇか?」

菜々『そ、そそそそそんな事あるわけないじゃないですかっ!』

菜々『ナナはラブリー17歳ですからねっ!きゃはっ♪』

拓海「菜々が欲しい物でも構わないんだ」

菜々『ほ、欲しい物……』

菜々『さ、最新の炊飯ジャーとか……』

拓海「すいはん…なんだって?」

菜々『じゃなくってっ!!!』

菜々『はっ!』

菜々『か、可愛いストラップなんかいいんじゃないですかねぇ♪』

菜々『女の子は幾つになっても可愛いものが好きですし♪』

菜々(これはきっと17歳っぽいですよ!)

拓海「………そうか……やっぱそうなるよな……」

菜々(ふぇっ?!なんかガッカリされてますぅっ!!?)

323: 2013/12/16(月) 00:20:47.12 ID:DJWU8gJ6o


菜々『あ、あぁ…今ノハ違ウクッテデスネ……』

夕美『ストラップかぁ……』

菜々『夕美ちゃん?』

拓海「お、夕美もそっち居るのか」

菜々『夕美ちゃんは、ストラップになにか思うところが?』

夕美『ううん、そうじゃないんだけどね』

夕美『菜々ちゃんの限定グッズとか女の子にもよく売れてるよね』

菜々『あっ』

菜々『あぁっ、確かに売れてます売れてますよ!』

菜々『アイドルヒーロー同盟の限定グッズ!女の子にも人気なんですよぉ!』

菜々『ナナのはすぐになくなっちゃうらしくって、嬉しいですよねぇっ!』

拓海「……アイドルヒーロー同盟の限定グッズか、そうかそう言う手もあるな」

美世「限定品って言うと確かに貰って嬉しいかも」


肇「……アイドルヒーロー同盟?」

324: 2013/12/16(月) 00:21:50.77 ID:DJWU8gJ6o

拓海「あ、言ってなかったか?そう言えば」

美世「て言うかテレビで見た事無いのかな?あたし達の事」

肇「えっと…話の流れからするともしかして拓海さん達は?」

拓海「まあ、流れでやってるんだけどよ」

拓海「アイドルヒーローなんだ、アタシら」

肇「!!」

肇「だとしたら…」

肇「はっ!」

肇「で、では!今通話しているナナさんと言うのはもしかして!!」

美世「うん、ラビッツムーンだよ」

美世「てか、これ言っちゃっていいのかな?」

拓海「……多少は大丈夫だろ」

肇「……」

肇「拓海さん、美世さん!無理を言うようなのですが……お願いがあります!」

325: 2013/12/16(月) 00:22:19.38 ID:DJWU8gJ6o

……

……

……


美穂「肇ちゃんにエトランゼにお呼ばれしちゃった」

美穂「エトランゼかぁ…文化祭の時に立ち寄った時の肇ちゃんの衣装可愛かったよね」

美穂「……」

美穂「お呼ばれしちゃうって事は、やっぱりお祝いなのかな?」

美穂「ふふっ、そうだとしたら嬉しいな♪」

美穂「あっ、と……たしかこの通りだったよね」


美穂「あったあった、エトランゼ…間違いなし」

美穂「それじゃあ、お邪魔しまーす」


カランカラン

326: 2013/12/16(月) 00:22:47.64 ID:DJWU8gJ6o



肇「お帰りなさいませ、美穂お嬢様」


美穂「…」

美穂(美少女メイドにお出迎えされる、なう)

肇「?」

美穂「あ、ううん。やっぱりその服肇ちゃんにすごく似合ってるなと思って」

肇「ふふっ、だいぶ慣れましたけど、まだ少しだけ照れくさいですね」

美穂「可愛いメイドさん、お出迎えありがとう♪」

肇「も、もう。からかわないでください美穂さん」

美穂「えへへ、でも本当に可愛いよ?」

肇「う、うぅ…その…お、お席はこちらです」

美穂(恥ずかしがらせちゃった)

美穂(いつもとは立場が逆だから、ちょっと新鮮かな、ふふ) 

 ↑ なお、今回彼女の余裕はここまでの模様

327: 2013/12/16(月) 00:23:21.68 ID:DJWU8gJ6o


肇「こっちの席です、美穂さん」

美穂「ありがとう、肇ちゃ……」

拓海「よう」

美世「こんにちはー」

美穂「あ、こんに……」

拓海「……」

美穂「ちは……?」

美世「……」

美穂「……」

肇「美穂さん?」

美穂「……」

美穂「 ふ ぁ っ ! ? !」

美穂「えっ!?な、ななななななんでっ?!えっ!?」

美穂「う、うそ?!ゆめっ!?えっ?!」

拓海「すごい取り乱し方だな、おい」

328: 2013/12/16(月) 00:23:50.13 ID:DJWU8gJ6o

美穂「ど、どどどどどどどどどうして!」

美穂「あ、アイドルヒーローのか、かカミカゼさんがここにっ!?」

美穂「それにメカニックの美世さんまでっ?!」

美世「ふふっ、良かったね拓海。あたし達の事知ってくれてるみたいだよ」

拓海「……ま、有名になったのは良いことなのかもな。複雑な気分ではあるけどよ」

美穂「え、えと!あのっ!お、お二人のご活躍はテレビでも良く見てて!」

美穂「うぅー…あ、あのっ!憤怒の街でのお話も!す、すっごくカッコよかったです!!」

拓海「……おう」

美世「拓海、ちょっと照れてない?」

拓海「う、うっせぇ!」


美穂「は、肇ちゃん!どうして二人がここに!?」

肇「話せば長くなるのですが、拓海さんは私の恩人でして……」

肇「……」

肇「色々あってこちらまで来ていただきました」

拓海「えらく省略したな」

329: 2013/12/16(月) 00:24:31.91 ID:DJWU8gJ6o

肇「えっと、とりあえずご紹介を」

肇「拓海さん、美世さん。こちらが私のお友達の美穂さんです」

美穂「こ、ここここひ小日向っ!小日向美穂ですっ!!」

美穂「あ、あの!ふ不束者ですがっ!よろしくおねがいしますっ!」

美穂「……って、あ!な、なんか暴走しちゃってますよね!」

美穂「すみません!興奮しちゃってて!そのっ!」

美穂「えと、そうじゃなくって、そその…ううぅー!」

拓海「おう、わかった、とりあえず落ち着け」

美世「深呼吸する?」

美穂「は、はい!すみません!ちょ、ちょっと!待っててください!」

美穂「すぅー……はぁー……すぅー……はぁ……」

肇「美穂さん、どうぞお水です」

美穂「あ、ありがと、肇ちゃん」

美穂「ごくごく……ぷはっ」

美穂「……」

美穂「お、お待たせしました。も、もう大丈夫です」

330: 2013/12/16(月) 00:25:09.07 ID:DJWU8gJ6o

拓海「じゃ、改めて自己紹介すっか」

拓海「カミカゼこと向井拓海だ、まあ知ってたみたいだけどよ」

美世「拓海の専属メカニック原田美世!あたしの事も知ってくれてたんだね!」

美穂「は、はい!お二人は有名なので!」

拓海「だけど有名って言うなら、お前もだろ」

美世「うんうん、あたし達も活躍は聞いてるよ」

美穂「……」

美穂「ちょっと待ってくださいね」

美穂「たぶん、いつもの流れなので心の準備だけさせてください」

拓海「おう」

美世「わかった」

美穂「……」

美穂「お、おっけーです、どうぞ」

拓海・美世「「ひなたん星人」」

美穂「……ふっ」

美穂「もう大丈夫ですよ、ええもう慣れましたとも……(震え声)」

肇(美穂さん、遠い目をしてます……どうやらまだ慣れてはいないみたいです……)

331: 2013/12/16(月) 00:25:44.79 ID:DJWU8gJ6o

肇「拓海さんたちも美穂さんのこと知ってたんですね」

美世「うん、まあそれに気づいたのはついさっきなんだけどね」

拓海「肇が、『美穂もヒーローをやってる』って話してたときだな」

美世「商売敵と言うか……同業者の事は色々と知っておくべきってあたし達のプロデューサーも言ってたしね」

拓海「あいつも熱心って言うか、真面目って言うか、神経質って言うかよ」

美世「まあまあ、覚えておいて損はないんだけどね」

拓海「とにかく、そう言うわけだな。アタシらがひなたん星人の事を知ってたのは」

美世「結構活躍の噂を耳にするもんね」

肇「なるほど、そうでしたか」


美穂「……熊本に帰っちゃおうかなぁ……ぶつぶつ」

肇「美穂さん、こっちに帰ってきてください」

332: 2013/12/16(月) 00:26:22.77 ID:DJWU8gJ6o

拓海「ま、挨拶もそこそこによ、主役も来たことだし始めるとするか」

美世「だね」

美穂「えっ?はじめるって……」

肇「決まってますよ、美穂さん」

美穂「……もしかして」

肇「はい!もちろん!」


肇「お誕生日祝いです!」


♪~

美穂(肇ちゃんの合図とともに音楽がなり始めて)


みく「お誕生日ケーキお待ちどうさまにゃ♪」 コトッ


美穂(テーブルの上に大きなケーキが運ばれてきました)

333: 2013/12/16(月) 00:27:33.33 ID:DJWU8gJ6o

美穂(ケーキの上には、私の年の数だけ蝋燭が立っていて)

美穂(それぞれの頭に小さな炎が揺らめいています)

蝋燭(こんなカワイイぼくを吹き消すなんてできるはずがありませんよ!フフン!)

肇「それでは美穂さん、一息にどうぞ」

美穂「う、うん!」

美穂「ふ、ふぅ~~」

蝋燭(にぎゃあ)

美穂「良かった、一息で吹き消せて……私、毎年よく失敗しちゃうから」


パパァン!!

美穂「わわっ!」

美穂(色とりどり、クラッカーから紙ふぶきが飛び散ります)


肇「美穂さん、お誕生日おめでとうございます!」

美穂「……えへへ」

美穂「ありがとう!」

334: 2013/12/16(月) 00:28:02.70 ID:DJWU8gJ6o


みく「はっぴーばすでーとぅにゃあ!!」

美穂「えっ、にゃ、にゃあ?」

みく「むむっ、なかなかいい返しだね♪」

みく「そんな美穂チャンには、みくからこれをご進呈にゃ!」 スッ

美穂「…ネコミミ?」

肇(あ、それ結局渡すんだ)


みく「ちらっちらっ」(期待のまなざし)

美穂「あ、あの……?」

美穂「……」

美穂「……」 スチャ

ネコミミ美穂「にゃ…にゃあ?」

みく「……みくは、またとんでもない逸材を掘り起こしてしまったかもしれないにゃ」

美穂(いつもやってる事に比べれば、このくらいは大したことじゃないよね)

美穂(……何か変な方向に慣れてしまってる気がしますけれど)

みく「それは、エトランゼからの誕生日プレゼントって事で美穂チャンにさしあげるにゃ」

みく「良かったら時々使って、ねこチャンの気持ちになってね♪」

美穂「は、はい、ありがとうございます?」

みく「それじゃあ、みくはこれで!あとは肇チャンのご奉仕をうけてゆっくりしていって欲しいにゃ!」

肇「み、みくさん…!」

みく「にゃは♪じゃあねえ!」 スタコラ


拓海「なんつーか……やりたいことだけやっていったな」

肇「そこがみくさんらしくて良いところなんですけれどね」

335: 2013/12/16(月) 00:28:54.36 ID:DJWU8gJ6o

拓海「……そんじゃあ、次はアタシらの番だな」

美穂「えっ?」

美世「あたし達からの美穂ちゃんへの贈り物」

美穂「ふぇっ!?!」

美穂「えっ!いや!あ、あのっ!」

美穂「お、お二人からなんて!ま、まだ初対面ですし!そこまでしてもらっちゃうのも!」

美穂「そ、それにそんな凄そうなものいただけませんっ!」

拓海「ははっ、おいおい何を貰うつもりでいるんだよ、そんな大したもんじゃねーって」


拓海「アタシらから贈るのは言葉だけだ」

美穂「言葉ですか?」

美世「うん、アイドルヒーローの先輩として美穂ちゃんに贈る言葉だよ」

336: 2013/12/16(月) 00:29:25.78 ID:DJWU8gJ6o

拓海「肇から聞いたけどよ、美穂はアイドルヒーローを目指してるんだってな」

美穂「は、はい!その……一応は!」

拓海「一応って何だ、そこは強く胸を張っておけよ」

美穂「す、すみません!」

美世「あはは、まあまあ」

美世「けど、そんな美穂ちゃんに何かあたし達がアドバイスができたらいいんじゃないかなってね」

拓海「ってな感じの事を言い出したのは肇なんだけどな」

美穂「肇ちゃん……」

肇「……差し出がましい事だったかもしれませんが」

肇「少しでも美穂さんの夢の応援が出来たらなと……」

美穂「ううん、ありがとう」

美穂「私はすごく嬉しいよ、肇ちゃん!」

肇「美穂さん……!」


拓海「な、なんつーか……すげえ眩しい笑顔だな」

美世「どうするの拓海、これアドバイスとかいるのかな?」

美世「このままで充分アイドルとして通用しそうなかんじだけど」

拓海「大丈夫だろ……こういうのは的確なアドバイスかどうかより」

拓海「”何か言ってやった”って事自体が大事なんだよ、たぶんな!」

337: 2013/12/16(月) 00:30:08.96 ID:DJWU8gJ6o


拓海「……」

拓海「まあ、アタシもアイドルヒーローとしてはまだまだヒヨっ子だからよ」

拓海「大した事は言えねーけど」

美穂「は、はい!」

拓海「まあ、アレだ」

美穂「……」

拓海「……」

拓海「なるようになるだろ」

美穂「なるようになる…ですか」

拓海「おう」

美穂「……」

肇「……」

美世「……拓海」

美世「それ本当に大したこと言ってない」

拓海「だぁぁっ!アタシになんか良い感じの事とか言えっかよっ!」

338: 2013/12/16(月) 00:30:34.89 ID:DJWU8gJ6o

拓海「アタシなんてよ、ヒーローなんて言うのもただ何となく始めた事だし」

拓海「今アイドルヒーローやってるのも流されてやってるようなもんだ」

拓海「つまり夢とか、憧れなんてものは最初はなくってだな」

拓海「何か目指して頑張ってるような奴の参考になるような事は言えねーよ」

美穂「……」

拓海「けどまあ、成り行きではじめたことだが」

拓海「結構性に合ってるのか、悪くねぇなって思うことが……」

美世「うんうん」

拓海「……がああ!くそっ!」

拓海「なんだっ!うまく言えねーけど!」

拓海「こんなアタシでもやっていけてるんだからっ」

拓海「マジで目指してる奴なら大丈夫だろ!」

拓海「夢を見続ければ叶うなんて甘い世界じゃないのは当然だけどよ」

拓海「正面から向き合って、努力できる奴の夢は、きっとそいつを裏ぎらねえだろうよ」

拓海「以上っ!!」

339: 2013/12/16(月) 00:31:19.10 ID:DJWU8gJ6o

美穂「拓海さん……貴重なお話ありがとうございます」

拓海「……ちっ、なんか小っ恥ずかしいこと言っちまった……」

拓海「やっぱ忘れろ、今の」

美世「良い感じの事言えたんだから恥ずかしがらなくたっていいのに」

拓海「うっせ!うっせぇ!」

美世「ふふっ、拓海もちょっと照れ屋なところあるけれど」

美世「それでも今日までうまくやってこれたから、美穂ちゃんもきっと大丈夫だよ」

美穂「……はいっ!」

美世「……」

美世「『正面から向き合って、努力できる奴の

拓海「繰り返すんじゃねーよ!!ちくしょうっ!!」

美穂「あははっ」


拓海「ちっ、つい偉そうに説教じみたこと言っちまうなんて」

拓海「いつからアタシはそんなに偉くなったんだ……」

拓海「やっぱりアドバイスって言うのは大先輩に言ってもらうに限るだろ」

美世「ふふっ、本人は大先輩って言われるの嫌がりそうだけどね」

美穂「?」

340: 2013/12/16(月) 00:31:54.85 ID:DJWU8gJ6o

ミミミン!ミミミン!ウーサミン!

美穂「あっ!あわわ、すみません!」

美穂「携帯に電話が掛かってきたみたいでその」

美世「噂をすれば、いいタイミングだね♪」

美穂「?」

拓海「構わねぇから、電話出てみな」 ニヤリ

美穂(なんだろう?)

美穂(……?知らない電話番号からだ)

ポチッ

美穂「はい、もしもし?」

『あっ、こんにちはー』

『えっと、小日向美穂ちゃんの電話であってますよね?』

美穂「……」

美穂「えっ」

341: 2013/12/16(月) 00:32:22.59 ID:DJWU8gJ6o

『あれ、違ってました?おかしいですね……確かに教えてもらった電話番号を……』

美穂「いやっ、あのっ!」

美穂「あああのっ!わわたしが、こ、ここここ小日向みみほですっ!!」

『良かった!間違いなかったですね!』

美穂「えっ、嘘っ!!ええっっ!!?だって貴女は?!!」

『うふふっ、私が誰かわかりますか?』

美穂「……」

美穂「……」

美穂「な、菜々ちゃん……」


菜々『はいっ☆はじめましてですねっ!なっなでーす!!キャハッ♪』

342: 2013/12/16(月) 00:32:48.27 ID:DJWU8gJ6o

美穂「……」

菜々『……』

美穂「……」

菜々『……』

美穂「……」

菜々『……あ、あれ?もしかして引いちゃってます?』

美穂「……ぐずっ、いえっ、そ、そうじゃないんですけど……ぐすっ」

菜々『!?って、あれ!?泣いてっ?!』

美穂「すみません…な、なんだか…感激しちゃってそれで……」

菜々『……そうでしたか』

菜々『大丈夫ですよ♪美穂ちゃんが落ち着くまでナナは待ってますからね!』

美穂「ありがどうございます……」

肇「美穂さん、お水です」

美穂「肇ちゃん、ありがとう…ぐすっ」


――


夕美「いいのかなぁ、事務所通さずにこう言うことしちゃってて」

菜々「ちょーっとまずいですけど……ば、バレなかったら大丈夫ですよっ!」

菜々「それにナナに憧れてアイドルヒーローを目指してくれてるなんて嬉しいじゃないですか」

菜々「だから内緒にしててくださいね♪」

夕美「んー、まあいいけど……」

343: 2013/12/16(月) 00:33:29.31 ID:DJWU8gJ6o

――

美穂「すみませんっ!お待たせしました…っ!」

菜々『いえいえー』

美穂「あのっ、本当にっ」

美穂「本当に本当にっ、菜々ちゃんなんですよねっ?!」

菜々『はい♪正真正銘のラビッツムーンこと菜々ですよ♪』

美穂「私っ、菜々ちゃんの大ファンでっ!」

美穂「すっごく憧れてて、あんな風にみんなを笑顔に出来たらいいなって思ってて」

美穂「それで、ヒーローになりたいなって思って……」

美穂「あははっ……また、変な事言っちゃってますね私……ぐすっ」

菜々『変な事なんてないですよ、ナナも憧れる側でしたからその気持ちわかります♪』

菜々『美穂ちゃんも、ヒーローをやってるそうですね』

菜々『ヒーロー、楽しいですか?』

美穂「……はいっ、誰かにお礼を言われるのは恥ずかしいですけど……」

美穂「すごくあたたかいですっ」

菜々『ふふっ、そうですか♪』

344: 2013/12/16(月) 00:34:11.39 ID:DJWU8gJ6o

菜々『……アイドルヒーローは一見、華やかに見える世界ですけれど』

菜々『時には辛いこともたくさんあります』

菜々『ですが、その温かい気持ちを忘れなければどんな逆境もきっと乗り越えられますから』

菜々『是非、素敵なアイドルヒーローになってくださいね♪」

美穂「はいっ!!」

菜々『お誕生日♪おめでとうございます、美穂ちゃん!』

美穂「はっ!」

美穂「あ、ああありがとうございますっ!!」

菜々『それにしてもお誕生日祝いですか……いいですねぇ』

菜々『この年になるとお誕生日で素直に喜べなく……』

美穂「えっ?」

菜々『じゃなくってっ!!!』

菜々『な、菜々もお誕生日祝い楽しみだなーって、あはっ☆』


肇「……良かったです。美穂さんが喜んでくれているみたいで」

美世「うんうん、お誕生日祝い大成功だね」

拓海「……いや、これで終わりじゃないだろ」

美世「?」

拓海「なあ、肇?」

肇「……はい」

拓海「後はしっかりやれよ」

345: 2013/12/16(月) 00:34:59.25 ID:DJWU8gJ6o

……

……

……


帰り道


美穂「うっ、寒っ」

美穂「この時間になると冷え込むね……」

肇「すみません、こんな時間まで待っていただいて」

美穂「ううん、大丈夫だよ」

美穂「それより私のお誕生日会を開いてくれて…」

美穂「本当にありがとう肇ちゃんっ!」

肇「……いえ」

肇「美穂さんに喜んでいただけたなら幸いです」

美穂「うん、本当に素敵なお誕生日だった」

美穂「今日は一生忘れられない日になりそう」

肇「そう思っていただけたなら……何よりです」

美穂「うんっ!」

346: 2013/12/16(月) 00:35:27.87 ID:DJWU8gJ6o

肇「……」

美穂「……」

肇「……」

美穂「……」

肇「……」

美穂「ねえ、肇ちゃん」

肇「!」

肇「なんでしょう、美穂さん?」

美穂「ちょっとだけ温まって行こうか」

347: 2013/12/16(月) 00:35:53.42 ID:DJWU8gJ6o

……

……


美穂「はい、肇ちゃんの分」

肇「ありがとうございます、あつつ」

美穂「あ、気をつけてね」

肇「……屋外でも温かいお茶が飲めるのは便利な社会ですね」

美穂「そうだね、あまり意識はした事無いけれど……」

美穂「鬼の里には、自動販売機も無いんだよね?」

肇「はい、機械の類は全然です」

美穂「そっかぁ……」

肇「……」

美穂「……」

肇「……真冬の夜でもこの公園は暖かいですね」

美穂「うん、暖かいからこうしてベンチに座ってるだけで眠くなっちゃう」

肇「はい、まるで日溜まりの中に居るかのようです」

348: 2013/12/16(月) 00:36:27.26 ID:DJWU8gJ6o

美穂「肇ちゃんと、初めて会ったのもこの公園だったよね」

肇「ふふっ、あの時も美穂さん眠ってましたね」

美穂「ううん、最初に眠ってたのは肇ちゃんの方だったよ」

肇「えっ」

美穂「ヒヨちゃんに出会った日、私この公園に来てたから」

美穂「その時このベンチで眠ってる肇ちゃんを見つけて……」

美穂「だから私がはじめて会ったとき、眠っていたのは肇ちゃんの方なんですよ」

肇「そうだったんですね、まさかあの時見られていたとは……」

美穂「ふふっ、肇ちゃんの寝顔可愛かったよ」

肇「み、美穂さんの方こそ」

美穂「……」

肇「……」

美穂「な、なんか熱くなってきたね?」

肇「そ、そうですね?」

349: 2013/12/16(月) 00:36:53.75 ID:DJWU8gJ6o

美穂「……」

肇「……」

美穂「……」

肇「……よし」

美穂「……」 ウツラウツラ

肇「あ、あのっ!!美穂さんっ!!」

美穂「ふぇっ!?あっ!!はい!!すみませんっ!!寝てません!!」

肇「……」

美穂「……」

肇「……寝てました?」

美穂「……寝てました、すみません」

350: 2013/12/16(月) 00:37:21.37 ID:DJWU8gJ6o

肇「ふふっ」

美穂「え、えと……どうしたのかな、肇ちゃん?」

肇「あの、これ受け取って下さい」 スッ

美穂「……これは?」

肇「お誕生日プレゼントです」

肇「……先ほどのお誕生日会で渡そうと思っていたのですが」

肇「なかなか取り出すタイミングが掴めなくて……」

美穂「……えへへ、肇ちゃんありがとうっ」

肇「こ、光栄です」

美穂「……開けてもいい?」

肇「ど、どうぞ」

ガサゴソ

美穂「あっ」

美穂「これ湯飲み?」

肇「はい、湯飲みです。市販の品物ですが……」

351: 2013/12/16(月) 00:37:50.31 ID:DJWU8gJ6o

肇「美穂さんには、どんなプレゼントを渡そうかずっと悩んでいたんです」

肇「みくさん達や拓海さん達には、その事で相談していたのですが……」

肇「なかなかいいイメージが出てこなくて……」

肇「結局、直感でそれを選んでしまいました……」

美穂「……」

肇「すみません、それより良い物を思いつけなくて……」

美穂「……」

美穂「肇ちゃん、これ早速使ってもいいかな?」

肇「え?」

美穂「えっと、こうして移し変えて」

美穂「……」

美穂「よしっ、それじゃあいただきます」

美穂「ごくごく」

肇「……」

美穂「ふふっ、暖かいよ。肇ちゃん」

肇「はいっ」

352: 2013/12/16(月) 00:38:24.82 ID:DJWU8gJ6o

美穂「……」

肇「……」

美穂「……」

肇「……」

美穂「肇ちゃんはいつか帰っちゃうんだよね」

肇「……はい、今はこちらでやるべき事がありますが」

肇「やるべき事を全て果した時」

肇「そう遠くない未来だと思います……」

肇「……その時は……鬼の里に戻ります……」

美穂「そっか」

美穂「寂しくなっちゃうね」

肇「……はい」

肇(出会いがあれば、別れがある)

肇(それが世の常です)

肇(いつかお別れの時が来たとしても)

肇(思い出があれば、寂しくないのかな)

肇(忘れられない今日が、形のある思い出となるのならきっと……)

353: 2013/12/16(月) 00:38:56.03 ID:DJWU8gJ6o

美穂「肇ちゃん」

肇「は、はい。なんでしょう?」

美穂「もうすぐ私、冬休みだけど」

美穂「もし良かったら、肇ちゃんの故郷に行ってもいいかな?」

肇「えっ」

美穂「肇ちゃんの家の事、知っておきたくて」

美穂「ダメかな?」

肇「……もちろん大丈夫です、是非きてください」

肇「家族もきっと喜びます」

美穂「うん、それじゃあ約束だね」

肇「はいっ、約束です」

354: 2013/12/16(月) 00:39:27.05 ID:DJWU8gJ6o

美穂「……」

肇「……」

美穂「あ……」

肇「雪ですね」

美穂「振ってきちゃったね」

肇「暖かい公園に雪が降る様は、少し奇妙ですね」

美穂「うん。だけど桜と雪が一緒に振ってくる光景はすごくいいかも」

肇「はい」

美穂「……」

肇「……」

美穂「ふふっ、暖かいね」

肇「はい、今日は暖かい日です」

355: 2013/12/16(月) 00:39:52.29 ID:DJWU8gJ6o

……

……

……


小日向家


母(肇ちゃん、今頃うまくやってるのかしら)

父「なあ、お母さん……美穂がこんな時間まで帰ってこないんだけど」

母「そうねぇ」

父「どうしよう、お誕生日なのに……ぐすん」

母「はいはい」

父「もしかして……彼氏が出来たとか……」

父「う、うおおおおおおおお!!」

父「そんなの許さん!!絶対許さんぞおおおおお!!」

母「はぁ……まったくこの人は」



おしまい

356: 2013/12/16(月) 00:41:23.58 ID:DJWU8gJ6o

と言う訳で美穂ちゃん誕生日のお話でした
小日向ちゃん誕生日おめでとー

亜季ちゃんも誕生日おめでとー
作中で触れようかと思ったのだけど、やはり難しくここで…

たくみんと菜々さんとの面識を持たせさせていただきました
美穂ちゃんは順調にアイドルヒーローオタク化してる気がします

みくさん、亜季ちゃんとたくみんやウサミン達って憤怒の街で会ってたりすんのかなーとか
その辺わかんなかったんで、割りと適当にどうとでも取れるように

みく、アーニャ、キヨラ、亜季、拓海、美世、卯月、茜、菜々、夕美お借りしましたー
結構借りたな……

357: 2013/12/16(月) 00:58:20.61 ID:zzPDHbGy0
乙です
17歳さんが試されすぎて吹いたww
というか全体的に吹いたww

アイドルヒーローに祝ってもらうとかすっごい贅沢だなひなたん!!おめでとう!
年齢はね、うん、触れたら負けよ(遠い目)
そして二人きりのしんみりした雰囲気もステキ
…肇ちゃんはやっぱりいつか帰るのか…




【次回に続く・・・】


引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part8