410: ◆zvY2y1UzWw 2013/12/17(火) 01:51:42.39 ID:vQSFpbeH0


モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ



さくらの話の翌日の時間軸です
411: 2013/12/17(火) 01:52:10.43 ID:vQSFpbeH0
「ユズ、ユズ!ユズは居るか!?」

「ユズさんただいまー…!」

神崎家、ブリュンヒルデこと昼子と、蘭子が、帰宅するなり階段を駆け上がっていく。

まだ学園祭前。色々な準備もあって帰るのは遅くなるが、母親も父親も仕事で帰っては来ていない。

ユズの部屋の扉を開くと、携帯ゲームを操作しながら机に向かっているユズがいた。

「ユズ、またゲームばかりして…」

「…姫さまっ!前も言いましたけどこれは大事な魔術開発のアイデア回収の為でして!なんでそんな目で見るんですかっ!!」

なんだか哀れな者を見る目でユズを見る昼子の横から、ゲームを貸した張本人である蘭子が問いかける。

「ユズさん、どこまで進みました?」

「あ、3個目のダンジョンクリアしたところです!結構強かったなぁ…精神的にもきつくて…」

「…あーそのボスはキツイですよね…」

「うん…」

「阻害の術か…(無視された…)」

ちょっとそのゲームをやりたくなった昼子だった。

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それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

~中略~

「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。




412: 2013/12/17(火) 01:53:38.16 ID:vQSFpbeH0
気を取り直して昼子は腕を組んでユズに詰め寄る。

「だがなユズ、その魔術とやらはできているのか?それが出来てなければ我は怒るぞ」

「…できてますヨ。うん」

「ならば我らの眼にその術を焼き付けてみよ!」

「…やらなきゃダメですか?」

少し気まずそうに指をもじもじ動かし、ユズはあまりやりたくないとアピールする。

「やれ」

「かしこまりました…」

ユズは手の平のあたりに意識を少し向け、魔力を集める。

魔力は半透明のカードの形となって、手のひらの上で回っている。

「これは…!」

それを見た蘭子が目を輝かせる。

―カッ!!

そのカードを勢いよく握りつぶすと、背後からぷちユズが出現した。

「みみー!」

「…」

―ブリュンヒルデの生暖かい視線!

―ユズは土下座した

413: 2013/12/17(火) 01:54:53.01 ID:vQSFpbeH0
「姫さま…アタシ…徹夜テンションで存在価値がよくわからない魔術作っちゃって…っ!」

「ユズ、もう良い、お前は疲れているのだ…」

昼子はポンポンと頭を撫でる。

「…あ!昼子ちゃん、ユズさんに教えないといけないことがあったよね!?」

「ム!すっかり忘れていた…」

「…ん?なにかあったんですか?」

「不審者情報ですよ!なんでも黒い服を着た女性が公園で奇妙な行動をしていたらしくて…」

プリントを見ると、そこには『黒い服を着た女性が公園で魔法陣を書き牛乳をぶちまける事案が発生』と書かれていた。

それはその女性(少女)がとある婦警に注意されるほんの少し前の目撃者が学校に連絡した結果であり、見た目の詳細情報は黒い服を着ていた…という程度だったのだが。

…人払いもせずにコンビニの近くの公園という普通に人が通る場所で目立つ格好で目立つ魔法を使っていたさくらの、知らないうちに起きた失敗であった。

「…魔法陣…?」

「まさか大罪の悪魔がこんなマヌケをやらかすとは思えぬが、念には念をという事でな…」

「…蘭子様、そこはどこの公園ですか?」

「えっと…確かあのコンビニの近くだから…それほど遠くないですよ」

「…ちょっと見てきます」

「ユズ、我らも連れていけ。命令だ」

「えー…仕方ないですね、でもそのあたりを見てきたらさっさと帰りますからね?」


しっかり鍵をかけ、一応結界のチェックを済ませると、神崎家から3人はその公園へ向かった。

414: 2013/12/17(火) 01:56:13.48 ID:vQSFpbeH0
「…あ、あそこですね、本当に微妙ですけど魔法に使われた魔力の痕跡が残ってます」

「…少し臭うな。なんだこの臭い」

「…やっぱり牛乳…?」

ほとんど日も沈みかけている公園の一角。そこでユズは缶バッジを杖に変える。

「流石に魔法陣自体は消されているよね…あ、そうだ一度やってみよっかな?」

独り言を呟くと、魔法陣があったらしい場所に片手を向けて意識を集中させる。

体に管理塔の魔術書の文字を刻み込み、生きる魔術書と化したユズは自身の中から『検索』する。

「…」

体の表面に、ゆっくり刺青のように文字が浮かび上がり、肌の上を流れていく。その文字はユズには理解できない文字。だけどそれが検索のキーワード。

「こ、これは…詠唱…?」

その文字列を、あらゆる言語の解読者である蘭子は無意識に目で追っていた。

『意識の泉に吐き捨てられし言葉たち 無意識の海に沈み飲まれし言葉たち いま、再び私の前に沸きあがれ 言葉の探知魔法 スプリングワード』

その文字は、魔力の痕跡に残る発動者であるさくらの唱えた(無意味な)詠唱。それをキーワードにして、ユズの中で検索されていく。

415: 2013/12/17(火) 01:57:26.47 ID:vQSFpbeH0
「…見えたっ!!」

杖を突き立てて、脳内に鮮明に浮かび上がる魔法陣を、腕に浮かび上がったのと同じような光の線で地面に浮かび上がらせる。

「ぜぇ…ぜぇ…はぁ…はぁ…ふう…割と疲れますねこれ」

「ユズ、無茶をするでない!後でしっかり生命維持の休息をとるのだぞ!?」

「あはは、流石にアタシも休みたくなりましたよ…」

僅かな痕跡と(無意味な)詠唱だけを手がかりに、かなり詳細な魔法陣を『検索』するのは、それなりにユズを疲労させた。

目の前で発動すればある程度の『属性』程度なら疲労もせずに見破る自身はあるが…今回は少し頭がくらくらする。

(アタシもまだまだ鍛錬が足りないなぁ…サタン様に顔向けできないよ)

かつて、鍛錬を好むキバに対抗していたら鍛錬大好きになっていたというサタンの鍛錬脳に影響されている彼女はそう考えて、息を整えると魔法陣を確認し始めた。

416: 2013/12/17(火) 01:58:17.75 ID:vQSFpbeH0
「…えっと…これは人間の魔法カナ?魔法をいくつもかけ合わせて、それを儀式魔法に昇華させた類の魔法陣。詠唱は…わかんないなぁ…」

「ユズさん…えっと詠唱…みたいな文字、私読めました!」

「蘭子様それ本当ですかっ!?…まさかあの文字も読めるなんて…能力者侮りがたしだね…」

後半はほぼ独り言のようにユズが驚愕しながらも蘭子の手を両手で握る。

「えっと、内容は…」

解読した詠唱を、一字一句間違えることなく告げる。それを聞いて、ユズは少し不可解な表情を浮かべた。

「ふむふむ…んー、でもこれ詠唱いらない系のやつじゃ…?」

「…詠唱は雰囲気とかもあるから…私も、呪文いらなくても呪文は唱えたいなーって…」

「蘭子、その感覚、我はよくわからんぞ」

「…これをやったのは…蘭子様と同じくらいの歳の人かな?」

「ふむ、つまり人間の学生か…敵ではなさそうか…?」

「断定は油断を生みますよ姫様。…まぁ少し適当そうな人だとは思いますが」

「え、なんでですか?」

「詠唱時はどんな人でも魔族でも一人称は基本『我』で統一されていますから。『私』は使わないですよ。結果に大きく影響するわけじゃないですけど…」

「教科書通り、教えられた通りにやれば『我』と唱えるだろうな。我は元から『我』だが」

「そしてこの魔法、どう考えても独学のものじゃないですから…教えた人が適当でなければその人が…ちょーっと適当な性格かと」

「なるほど…そんな分析もできるんだ…」

417: 2013/12/17(火) 02:02:02.45 ID:vQSFpbeH0
「…まぁ魔法の完成度自体は高いので、油断できる魔法使いじゃないですね…姫様たちのことが調べられた可能性もありますから…」

「どうするのだ?」

「ユズ…ガンバリマス」

ちょっと遠い目で過労神は呟いた。

「よせ、無茶をするでない!!」

もうとっくに居場所は嫉妬と強欲の悪魔にバレているのだが、ユズは生憎それを知らない。

(知らないとしてもいい度胸してるよね、アタシがいるこの周辺で探査魔法を使うなんて…)

腹が立つ。ブリュンヒルデを守るのも彼女の使命。だから探査をされて彼女のことが調べられたらと思うと…イラつく。

魔力の痕跡を杖に覚えさせる。僅かな痕跡は魂の波動ほどしっかりしたものではないが、もし出会ったなら…ちょっと調べさせてもらおうか。

…幸い、この魔術は彼女達を探るものではなかったが…ユズは思案する。もっと守るために頑張らなくてはと。

彼女達に近づくならば、調べるならば容赦はしないと。

418: 2013/12/17(火) 02:03:24.14 ID:vQSFpbeH0
・使い魔召喚カード魔法
ユズがとあるゲームに影響され、徹夜テンションで作った、カッこいいだけの召喚魔法。
魔力でカードを作り上げ、それを破壊した瞬間召喚する。
本人曰く失敗らしいが、言葉を発することなく召喚でき、時間差召喚も可能であったり、割と便利だったりする。
ちなみに他人に割らせることは不可能である。

・魔術書を刻み込んだ者
肉体に焼き付けた魔術書の文字は、魔界でも人間界でも天界でも使用されていない言語の物。
ユズは魔術・魔法関係ならば僅かな痕跡から比較的短時間で『検索』可能。ただし複雑さに比例してかなりの体力と精神力を消耗する。
詠唱は解読不可能だが、現在判明している限りでは蘭子のみ、ユズの体に浮かび上がる文字から解読可能。

419: 2013/12/17(火) 02:04:49.22 ID:vQSFpbeH0
方針
・喜多見柚、ガンバリマス!(白目)

以上です
ユズちゃんはたまに娯楽を満喫して、たまに使命に燃えすぎる生活を送っています

さくらが人払いする描写がなかったのでちょっとユズの魔術書を肉体に刻み込んだ者としての描写に利用させていただきました。
だってどう見ても不審者だからしょうがない!(目逸らし)
染み付いた牛乳の匂いはキツイから気をつけるんだゾ!

420: 2013/12/17(火) 02:17:49.55 ID:k3W62A9M0
乙ー

さくらにげてー!柚ちゃんが怒ってるよー!
なんか、亜子を追いかけるさくらを追いかける柚の鬼ごっこが脳裏によぎった……




【次回に続く・・・】


引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part8