511: ◆6osdZ663So 2013/12/28(土) 05:03:26.77 ID:L/U3Ebl6o
モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです
前回はコチラ
512: 2013/12/28(土) 05:04:24.71 ID:L/U3Ebl6o
鳩「ぽっぽー、くるっぽー」
一羽の鳩が、翼を大仰に広げて、そして大きく首を振る。
そのジェスチャーは『仕事の完了』を主人に報告するためのものである。
聖來「はい、ご苦労様」
鳩「ぽっぽー♪」
主人から労いの言葉を受けとると、純白の鳩は再び大空へと飛び立っていくのだった。
聖來「これで、サクライさんの方はよし」
紗南「……さくらさんに頼んじゃっていいのかな?」
聖來「『君の知るエージェントは好きに使ってくれていい』」
聖來「そう言ったのはサクライさんだよ?」
紗南「……だからセイラさんがさくらさんを使ってサクライさんを探すのも」
聖來「うん♪全然問題なしだよね?」
もちろんそれは詭弁ではある。
しかし、せっかく指揮権を譲渡されているのだから、
先を見越して、打てる手は打っておくべきと考え、
セイラはさくらに『サクライPの居所の探索』を依頼したのだった。
----------------------------------------
それは、なんでもないようなとある日のこと。
それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。
~中略~
「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。
513: 2013/12/28(土) 05:05:38.07 ID:L/U3Ebl6o
紗南「問題なしって……セイラさん……問題あるから財閥の端末じゃなくって伝書鳩使って連絡してるんじゃあ……」
聖來「あっはっは、まあそうなんだけどねぇ」
先ほど飛び立った伝書鳩は、そのような経緯で聖來におつかいを頼まれていたのである。
紗南「でも、さくらさんに見つけられるのかなぁ……」
聖來「……」
紗南「……」
聖來「とりあえず今は、さくらちゃんに賭けるしかないかな……」
こと探索における彼女の実力は折り紙つきではあるものの、
それでも少々不安は残るのだった。
聖來「けどま、きっと大丈夫だよっ」
聖來「二兎を追う者は一兎も得ず、なんて言うけどさ」
聖來「それは一人の手で、二羽の兎を追った場合だよね」
聖來「アタシも紗南ちゃんたちにも手伝ってもらえるならさ」
聖來「兎だって逃すことはない!のかもよ?」
紗南「……へへっ、協力プレーだねっ!」
聖來「だねっ!」
514: 2013/12/28(土) 05:06:40.56 ID:L/U3Ebl6o
聖來「……っと、紗南ちゃん」
聖來「例の教会は、もうすぐそこなのかな?」
紗南「あ、うん」
紗南「この雑木林の道を抜けたら、もうすぐだよ」
財閥の病院からこの近辺まではバスがあったのだが、
バス停から教会までの交通手段はこれと言ってなく。
そこからは、2人は徒歩で教会へと向かっていた。
聖來「そっか。もうすっかり暗くなってきたし、急がないとね」
季節柄、日が落ちるのもだんだんと早くなってきた。
聖來達の歩く道は、人通りもなく、
そのうえ雑木林で挟まれているせいで、より一層と暗く感じる。
不均一に並ぶ外灯も、その間隔は広く、わずかな範囲を照らすばかりである。
聖來「……道間違えないようにしないとね」
紗南「うん、ちょっと待って!今、タウンマップ確認するから」
聖來(タウンマップって……)
紗南「とくれせんたぼーびっと!」
聖來「しかもそれ違うゲームのコマンドじゃないの?」
515: 2013/12/28(土) 05:07:22.91 ID:L/U3Ebl6o
紗南「えっと、アタシ達の居る場所が今ここだから……」
紗南「……」
ゲームを起動して、能力を使い周囲から獲得した地理情報を確認していた紗南の表情が強張る。
聖來「紗南ちゃん?」
紗南「……セイラさん」
聖來「?」
紗南「何か……いるよ」
聖來「……」
紗南の言葉に、セイラは辺りを見回した。
2台の車がギリギリすれ違える程度の広さの舗装された道。
両側は乱雑に細長い樹木が並び立つ。
街の賑わいから少し外れた地点であるせいか、周囲はとても静かであった。
わずかに聞こえるのは風が木々を揺らす音だけ。
木々の影が揺れる度、辺りには落ち葉がぱらぱらと舞う。
516: 2013/12/28(土) 05:08:03.58 ID:L/U3Ebl6o
聖來「動物では……無いね」
聖來が持つ能力『カリスマ』は周囲から人外を惹き付けてしまう能力。
動物の類を惹き付けてしまうのは、日常茶飯事であるため、
彼女はある程度その気配を察知することができる。
聖來(気のせいかもってくらい小さいけれど)
聖來(何かに見られてるような気配は確かにある……)
感じられるその気配は普通の動物のものではなかった。
彼らならば、聖來の能力に惹き付けれられてすぐ傍まで寄ってくるし、
そうでなくとも、人を警戒してじっと隠れ潜んでいるのが普通だ。
今の様に”まるで獲物を狙うようにねっとりとした視線”を感じる事はないはずなのだ。
聖來「正体はわかりそう?」
紗南「……ちょっと調べてみるね」
再び、紗南がゲーム画面に集中する。
紗南の能力『情報獲得』であるならば、相手が”計り知れない何か”でない限りは、
その正体を暴くことができるはずである。
517: 2013/12/28(土) 05:08:31.65 ID:L/U3Ebl6o
紗南が忙しなく指を動かしている間にも、
聖來は周囲を警戒して見回し、とくに木々の間に注視する。
気配の主が、こちらを見ているのであれば、
それをこちらからも視認できる可能性は充分にあるからだ。
聖來「……」
木枯らしが、道の上に立つ2人の間をすり抜けて、
高く冷えた空に広がる枝葉がざわめく。
ふと、そのシルエットが揺れ動くわずかな隙間に、
聖來は何かの影を見つけた。
聖來「…あれは?」
518: 2013/12/28(土) 05:09:00.41 ID:L/U3Ebl6o
1本の樹の枝の上に、小さな動物らしき影。
聖來(リス……?いや違う……)
辺りは暗く、遠目ではその姿はよくわからないが、
ただはっきりと分かるのは、それが白いと言う事。
季節を先取りした雪のように、真っ白な……暗闇の中に栄える何か。
紗南「おっ、みつけたよっ!」
聖來がそれの存在を確認するのと、ほぼ同時に紗南が声をあげる。
彼女が操作するゲーム上の画面には、うさぎのような生き物らしき何かの姿が捕捉されていた。
紗南「それじゃ、早速詳しい情報を……」
ザザッ――
プツンッ
紗南「えっ!?」
紗南がさらにコマンドを入れようとした途端に、画面が突如としてブラックアウトする。
ザザッ――
そして、画面が再び写ったと思うと……
ゲーム機から音声が漏れ出した。
――『きさま、見ているな』
519: 2013/12/28(土) 05:09:48.36 ID:L/U3Ebl6o
聖來「紗南ちゃん!!危ないっ!!」
紗南「わっ!!」
聖來は妖刀『月灯』を取り出すと、
鞘に納めたままの刀を素早く振りぬいて、
紗南の手に持つ携帯ゲーム機を弾き飛ばす。
少女の手から、空中に放り出されたそれは、
綺麗な放物線を描き、数mほど離れた地面に落ちる筈であるが、
その直前に、その画面の中から白濁とした何かが蠢き、泥の様にこぼれだした。
紗南「ひっ!何アレ!?」
聖來「……」
まるでホラー映画のような光景にも、聖來は慌てず、
『月灯』の力で、瞬時に『小春日和』のレプリカを用意して構え、白い泥の動きをその目で追った。
「――やっ―ぱ便利な―力だ――なコレ」
白く濁るそれは徐々に、はっきりとしたフォルムを形成して……
「――――うん、なかなか悪くない」
一匹の真っ白な兎の姿となった。
520: 2013/12/28(土) 05:10:36.91 ID:L/U3Ebl6o
紗南「……喋った」
「喋った?当然だろ。喋るくらいするさ」
少女の目に映るのは奇妙な生き物。
白い泥が形を織り成して存在するウサギのような小動物。
人の言葉を理解し、話すことのできる謎めいた何か。
聖來「あなたは……何?」
あまりに常識から外れたそれに対して、聖來は問う。
言葉を喋るのであれば、その問いかけにも
まともな答えが返ってくるのではないかと期待してのことだ。
白兎「何かだって?」
白兎「それはこっちのセリフだ」
白兎「お前達は何だ。なぜここに居て、どこに向かおうとしている?」
白兎「アタシの敵か?」
白兎と呼ばれるその存在が学園祭からの帰りがけに、教会に向かおうとしている聖來達の発見し、
その動向をずっと伺っていたのは、彼女達の目的を探るためであった。
(いったいこいつらが、この先にある教会に何の用があると言うのか。)
事の次第によっては警戒の対象となり得ると考え、じっと見張っていたのだ。
521: 2013/12/28(土) 05:11:22.09 ID:L/U3Ebl6o
聖來「……この先になにか守りたいものでもあるのかな?」
白兎「……質問を質問で返すなよ」
聖來「あはは、それは悪かったね」
聖來「でも、あなたの事を聞かせてもらえないと」
聖來「”敵”かどうかは答えられないかな」
聖來は、真剣に射抜くような目でそれを見つめて、言葉を返した。
彼女の手に握られた刀は相変らず、白兎に向けられている。
左手に握られる刀の名は『月灯』、右手に握られる刀の名は『小春日和』。
両の手に鬼の打った刀を持つその構えに、一切の隙は無い。
白兎「……」
白兎「はあ……まあ、どっちでもいいか」
白兎「敵だとしても敵じゃないとしても……」
白兎「消せば一緒だしな」
表情が無いはずの兎の口角が一瞬だけ、つりあがったように見えた。
522: 2013/12/28(土) 05:11:57.62 ID:L/U3Ebl6o
聖來「紗南ちゃん下がってて!」
紗南「う、うんっ!」
聖來の呼びかけで、紗南はすぐさま距離をとる。
手元にゲーム機が無い今、彼女にできる事はないだろう。
木陰に隠れて、ポケットに仕舞っていた”ある装置”を起動する。
すると途端に紗南の姿が消えてしまい、見えなくなった。
『ステルスデバイス』と呼ばれるそれは、非戦闘員である彼女に、
財閥から手渡された、緊急避難用の”姿を隠す”事のできるアイテムである。
白兎「見えなくなる能力か……?めんどくさいな」
聖來「あなたの相手はアタシだよ」
白兎の視線から紗南を庇うように、聖來は立ち塞がった。
白兎「……どうせ視覚的には見えなくなっても、その他の情報を全部消せるわけじゃないんだろ」
白兎「音か、匂いか、熱か……まあ、後でゆっくり探すか」
独り言のように呟いて、白兎は聖來へと向き合う。
523: 2013/12/28(土) 05:12:54.84 ID:L/U3Ebl6o
白兎「さてと、これはテストだ」
白兎「地球人の能力者の力って言うのがどれほどのもんか」
白兎「練習を兼ねた実験って奴だな、あははー」
バチバチと擦れるような音が鳴り、白い兎の小さな身体を巡るように青白い光が迸る。
その様子に聖來は目を見開き、驚愕した。
聖來(スパーク!?)
白兎「ウェルダンに焼いてやるよ、その方が食べた時おいしいかもだしな?」
そう言って跳躍したうさぎのその白いシルエットが、
瞬間的に大きく輝いて、閃光の矢が聖來に向けて放たれる!!
紗南(じゅ、十万ボルト!?)
後方で、観察していた紗南には、
白兎から放たれた枝分かれする光が、どうやら放電によるものだと理解できた。
まるで某黄色いねずみのように、小さな身体から放たれるは強烈な電撃!
紗南(セイラさんっ!)
524: 2013/12/28(土) 05:13:26.60 ID:L/U3Ebl6o
白兎「……」
やがて、電撃による発光が収まって、周囲の様子がはっきりと見えるようになる。
白兎「電気を作り出して、溜め込んで、放つ。この3つの動作にそれぞれタイムラグがあるな」
白兎「使いこなせば瞬間的に大量の電気の作り出して即座に放つこともできるはずだけど」
白兎「こればかりは要練習かなぁ?」
白兎「さて……」
独り言を呟いた後、白兎はその実験結果を確認する。
聖來「……」
果たして聖來の姿は先ほどと変わらず無事にそこにあった。
紗南(ほっ……)
後方に隠れる少女が安心して大きく息をつく。
白兎「なるほど、そんな風に防いだのか面白いな」
代わりに聖來と白兎の間には、
夥しい数の刀が絡み合い連なって格子の様に存在していた。
電撃によって焼け焦げたその刃達は、次の瞬間には砕け散り、
その内側からはボロボロになった枯れ葉が数枚現われる。
妖刀『月灯』の分身たる刃。
聖來は『月灯』の特性を使って、道に落ちていた枯れ葉を刀に変じさせていた。
白兎の電撃は聖來には届かず、その前方に存在する刀の群れにぶつかると突き刺さる地へと注がれて、
聖來は無傷で電撃をやり過ごすことができたのだ。
525: 2013/12/28(土) 05:14:04.40 ID:L/U3Ebl6o
白兎「けど解せないな、いくらタイムラグがあるって言ってもさぁ」
白兎「初見でその隙を突いて即座にそんな反応ができるもんか?」
兎は沸きあがった疑問を投げかける。
白兎「まるで何をしてくるか、わかってたみたいな対応だぞ?」
聖來「……似たような能力を持ってる人を知ってたからね」
その疑問に対して聖來は、どこか悲しげな表情で答えた。
聖來「こっちこそ質問」
聖來「その能力は、どこで手に入れたのかな」
白兎「……へえ、気づくもんなんだ」
その質問をされた事に、白兎はほんの少し驚きの声をあげる。
聖來「あなたは最初、ゲーム機から現われた」
聖來「それは紗南ちゃんのゲーム機から発せられていた電波に介入して」
聖來「さらに自身の肉体を電子化した後、電波を通り道にこちらまで移動してきたから」
聖來「違う?」
白兎「……」
能力の性質を既に知っていたかのような推察。
それが彼女にできたのは、
聖來「そしてさっきの電撃……この能力は……元はあなたの物じゃないはずだよね」
その能力が、彼女の仲間である『エージェント』の1人が持つ能力であったからだ。
526: 2013/12/28(土) 05:14:45.87 ID:L/U3Ebl6o
白兎「なるほどねぇ、知り合いだったのか」
白兎「それはお気の毒なことだな」
どこか嘲るような声で、兎は言葉を放つ。
聖來「……彼に何をしたの」
そんな兎を聖來は睨みつけて、問いかける。
その声は、怒りを隠そうとはしていない。
白兎「おっと、勘違いしてもらったら困るな」
白兎「あのクビナシは、アタシが発見した時にはとっくに活動を停止してたんだ」
白兎「アタシはただ落ちていた物を拾っただけ」
白兎「筋違いな逆恨みはやめてくれよな」
聖來「……」
聖來「はぁ……」
心を落ち着ける為に、目を瞑り大きく息を吐く。
聖來「そっか、まあ恨むってわけじゃないけどさ」
聖來「さっきの質問に答えを返すよ……」
聖來「あなたはアタシの敵だっ!!」
元アイドルヒーローは強く言い放った。
白兎「そうかいっ!じゃあ消さないとなっ!」
聖來の叫びに白兎が応え、戦いの火蓋が切って落とされる。
527: 2013/12/28(土) 05:15:21.14 ID:L/U3Ebl6o
バチバチとまた何かが擦れるような音がして、再び兎の身体が発光する。
光を放ちながらその獣は、軽やかに駆けはじめた。
兎の纏う電気エネルギーは、その疾走のスピードをさらに加速させる。
白兎「さて、アンタの能力は小さな物体を剣に変える能力ってとこか?」
聖來「どうだろうね」
白兎「落ち葉はそこらに山ほど落ちてるからな」
白兎「さっきみたいに防がれる事を考えたら迂闊に攻撃はできないな」
白兎は、安易に近づくことはしない。
付かず離れずの距離を保ち、隙を伺うようにしながらぐるぐると聖來の周囲を疾駆する。
対して、聖來は跳び回る光の線を見失わないように、その軌道を目で追った。
白兎の放つ電撃は、聖來の持つ『月灯』の作り出す刀によって防がれてしまう。
しかし『月灯』の作り出す刀による防御は落ち葉を利用する性質上、一定の距離が必要となる。
だから接近戦になったならば、聖來は簡単に電撃を防ぐことはできないであろう。
しかし、白兎が聖來にそれほどまでに接近すると言う事は、同時に聖來の刀の攻撃が届く位置に入り込むことになる。
接近時における攻撃の速度は、おそらくは聖來の方が速い。
お互いにうまく隙を見つけ、先に攻撃を当てる方法を探りあう。
528: 2013/12/28(土) 05:16:15.99 ID:L/U3Ebl6o
白兎「剣を作り出したところで、それを手で持って使う奴がいなかったら攻撃にはならない」
白兎「つまりお前の攻撃は、接近しないとこっちには通らない」
白兎「でも、こっちはお前に近づかなくてもいいんだ」
聖來「!」
先に攻撃を当てるための一手を思いついたのは白兎。
疾走を続けながらも、その白い塊はボコボコと蠢き、
その背に突起物を作り出す。
二本の突起は木の枝のようにバキボキと折れ曲がり、支柱となる骨格へと変形、
それに肉付けをして、体毛を作り出し、さらに羽毛で覆う。
わずかな時間でそれは鳥の翼へと変形し、
疾走の勢いのままに跳躍、そのまま飛翔を開始した。
聖來「……昔の人は兎は鳥の仲間なんて言ったそうだけど」
聖來「本当の事だったのかな?」
冷や汗をかきながら聖來は呟く。
白兎「なんだ、くだらない冗談を吐く余裕があるのかよ」
白兎「それじゃあ……こっちもくだらない事教えてやるか」
白兎「落ち葉ってさ、地面に落ちてるから落ち葉って言うんだ」
聖來「……」
白兎「高い位置から放つ電撃は、どうやって防ぐんだろうな?楽しみだ」
ニヤリと兎が笑った気がした。
現在、空中に居る白兎と、地上に立つ聖來の間には、
落ち葉の様な、『月灯』の幻想を被せるための物体が存在しない。
つまり、放たれる電撃の進路上に刃の障害物を置く事はできず、
電撃は何にも邪魔されることなくまっすぐと、聖來の身体を頭上から貫くこととなる。
529: 2013/12/28(土) 05:17:20.76 ID:L/U3Ebl6o
空中に居る白兎には、刀による攻撃は届きそうにはない。
それでも聖來は『小春日和』と『月灯』、2本の妖刀を真っ直ぐと白兎に向けて構えた。
白兎「無駄だよ、お前の攻撃はここまで届かない」
白兎「一方でアタシはと言えば、後は安全圏から電撃を放つだけの簡単な仕事さ」
翼を大きくはためかせ滞空するその獣は、
バチバチと音を鳴らしながら発光し、電気を生み出していく。
聖來「……砕けろ」
その言葉を合図に、彼女の持つ刀は両方とも砕け散った。
白兎「なっ…?」
聖來「騙しちゃったみたいで悪いね、でもこの状況ならまず当てられる」
聖來の両手には、二丁の銃が握られている。
白兎「お前っ!」
バンッ!ババンッ!
閃光が撃ち落される前に、二発の銃撃音が鳴った。
530: 2013/12/28(土) 05:18:05.20 ID:L/U3Ebl6o
先に攻撃を当てたのは聖來であった。
『月灯』によって幻想を被せていた二丁の銃による狙撃。
地上を高速で駆け回っていた時と違って、
空中で、攻撃行動に移るために停止していたそれに狙いを定めるのは容易であった。
銃弾は二発とも見事に命中し、真っ白な空飛ぶ獣は、
真紅の血を流しながら地面へと墜落する。
白兎「がっ……」
白兎「あぁっ……」
重力によって、地面に叩きつけられたそれは、
血溜まりの中でしばらく痙攣していたか、
「……」
聖來「……」
やがて、ピタリと動きを止めて、それっきり動かなくなった。
紗南「……」
紗南「……やったの?」
後方で、様子を見ていた紗南が安心して聖來に近づこうとするが、
聖來「動いちゃだめだよ、紗南ちゃん」
紗南「えっ?」
彼女はそれを制止した。
531: 2013/12/28(土) 05:18:39.19 ID:L/U3Ebl6o
聖來「トドメはまださせてないかもしれないからね」
そう言いながら、聖來は銃口をもう動かなくなった白い塊に向けて、
バン!ババン!バン!バン!バン!ババン!
さらに6発、肉塊に弾丸を放つ。
一発当るたびにそれは拉げて、辺りに血が飛び散る。
紗南(セイラさん、ちょっとグロいです……)
聖來「……」
聖來は冷静に弾丸を撃ち込んだ物体の様子を観察する。
脚部に3発、頭部に2発、背部と右翼部に1発ずつ、そして心臓部にも1発。
計8発。放った弾丸は全て問題なく命中しており、
ヒットした部分は見るも無残に砕け散っているか、ぽっかりと穴が穿たれて血が流れ出ている。
これならば、まず動くことはないだろう。
それが生き物ならば、動いてはならないはずだ。
532: 2013/12/28(土) 05:19:16.84 ID:L/U3Ebl6o
白い肉塊は、完全に静止してしまっている。
それでも、聖來は警戒は緩めない。
先ほどまで蠢いていたこの生き物は、明らかに普通の存在ではなかった。
異常な何かを相手取るならば、こちらも異常なまでに警戒しなければならない。
聖來「……」
両手に握られた2つの銃口の向きを、その白い獣からは決して離さず、
少しずつ、近づいていく。
肉塊が動く気配はやはりない。
そして、一定の距離まで接近したところで、
聖來の背後から、
「悪いな、これでアタシの勝ちだ」
”背後から”、そいつの声が聞こえた。
聖來「くっ!」
慌てて声の方向に振り向いて、
そこに存在するものに目を向ける。
533: 2013/12/28(土) 05:19:55.21 ID:L/U3Ebl6o
聖來は目を向けてしまった。
声を発するゲーム機に。
聖來「…しまっ!」
慌てて振り向いてしまったのが、ミスであった。
視界の外で何かが発光する。
慌てて銃の引き金を引くが、
聖來「ぁがあっ―――!?!?!」
それより先に彼女の肉体に強烈な電撃が浴びせられた。
その衝撃で、銃口はぶれて弾丸は見当違いの方向へと飛んでいく。
白兎「おっと、危ないな」
ありえないはずの声がする。
血に塗れて、脚は弾けて、翼は?げて、頭を半分失いながら、
その肉塊は生きていた。
534: 2013/12/28(土) 05:20:35.56 ID:L/U3Ebl6o
白兎「普通さぁ、動かなくなった相手に6発もぶち込むもんかなぁ?」
白兎「我慢して声をあげないのも結構大変なんだぞ……くそっ、まだヒリヒリする」
白兎「まあ、でもやっと隙を見せて近づいてきてくれたよなっ!」
聖來「―――あっ――ががっ―!!?」
能力によるゲーム機の遠隔操作。
それによって地に転がっていたゲーム機から音声を発生させて、
白兎は、聖來に致命的な隙を作り出すことに成功した。
そして、これほどまでに接近しているのならば、
ほんのわずかな隙に対応する暇を与えず、電撃を当てることができる。
白兎「どっちが攻撃を先に当てようが、アタシの勝ちは最初から揺るがなかったんだ」
白兎「だって、アタシは何を喰らっても氏なないんだからさ」
血を流していた肉塊はボコボコと蠢きながら、そのフォルムを修復する。
何発も銃弾を打ち込まれ、その肉体がどれだけ破損したところで、白兎はものともしない。
本来形無き泥は、どれだけ崩れ去ったとしても再生することができるのだから。
聖來「…………っあ……」
強烈な電撃を受けたことで、聖來は地に倒れ伏した。
535: 2013/12/28(土) 05:21:35.77 ID:L/U3Ebl6o
白兎「……」
白兎「……興味深い奴だったけど、なんて事はないな」
紗南「う……あっ……セイラさん」
同行者の惨状をその目で見て、少女は思わず声を出してしまった。
白兎「あぁ……そうだ、もう一人居たんだったけ」
頼りになるヒーローが敗北し、残されたのは紗南一人。
紗南「ひっ……こ、来ないで」
『ステルスデバイス』によって発生する光学迷彩フィールドは、
あくまで静止状態にある者の姿を隠す程度の事しか出来ない。
白兎「なるほど、動いたら位置がよくわかるな」
動的状態にある者の姿を完全に隠す事はできないのだった。
怪物が、少女に向かって少しずつ迫ってくる。
その白くしなやかなフォルムが、狂気じみた威圧感を放ち少女の恐怖を煽る。
536: 2013/12/28(土) 05:22:17.07 ID:L/U3Ebl6o
白兎「情報獲得能力か」
白兎「こいつの能力も食えば、それはアタシのものになるんだし……」
白兎「さっそく頂くとす」
ザクッ!
少女に迫っていた白兎の背に、何かが突き刺さった。
聖來「ぜぇ……はぁ……」
息も絶え絶えになりながらも、聖來は1本のナイフを投擲し兎の背に命中させたのだ。
白兎「……しぶといなぁ」
聖來「くだ……け……」
その言葉を合図に、白兎に突き刺さったナイフが砕け、その内側から長剣が露出する。
突き刺さるナイフが瞬時に剣に変わった事で、白兎の肉体はさらに大きく切り開かれた。
白兎「長剣を投擲に適したナイフに変えておいて、命中したら長剣の形に戻すか」
白兎「ふん、効果的かもしれないけれど、アタシには無意味だな」
剣によって、その身体を貫かれていても白兎は平然としている。
白兎「いやいや、まあこれでも痛くはあるんだけどな?」
537: 2013/12/28(土) 05:23:03.11 ID:L/U3Ebl6o
白兎「しかし……そっちの方も電撃浴びたくせに随分、元気そうじゃないか」
白兎「お前あれか、マサラ人か?」
聖來「あはは……そうだね」
聖來「ヒーローは……それくらいタフじゃないと……勤まんないかな」
白兎(……)
白兎(おかしい……)
その敵対者の様子に、白兎は首をかしげる。
聖來「はぁ……はぁ……」
電撃の命中はたしかに確認した。防御したわけではないはず。
だから服はところどころ焼け焦げているし、体力も相当に消耗しているようだ。
だがそれにしては聖來の外傷は少ない。
いや、それどころか
白兎「傷が再生しているのか?」
聖來「……まあね、ちょっとしたチートを使わせてもらっててさ」
気づけば息も整っていた、表情も妙に晴れ晴れとしている。
聖來「……ふぅ、よしっ!」
静かに息をついて、姿勢を整える。
聖來「お待たせ、仕切りなおしと行こうかっ」
傷を癒したヒーローが再び、立ち上がった。
白兎「……やめだ」
その姿を見て、白兎は呟いた。
538: 2013/12/28(土) 05:23:57.01 ID:L/U3Ebl6o
聖來「……やめ?」
白兎「不氏身対不氏身、いつまでも決着の付かない泥沼はごめん被るってこと」
白兎「これ以上は続けてもアタシに何の特にもならない」
白兎「長期戦になって、騒ぎを聞きつけた人間が寄ってきたり……なにより援軍が到着したら困るのはアタシだしな」
聖來「……」
白兎「こっちに向かって走ってくる気配が複数ある。あんたの仲間だろ?」
白兎「だったらこのまま戦闘を続けるわけにはいかないね」
聖來「……この場から逃がすと思う?」
白兎「思うね、そっちにだってアタシをどうこうする手段なんてないだろう?」
聖來「あるよ、2つくらい」
白兎「キシャシャ、嘘付け」
聖來(やっぱバレるか)
白兎「大人しくしとけよ、今回は見逃してやるって言ってるんだからさ」
聖來「……」
539: 2013/12/28(土) 05:24:51.52 ID:L/U3Ebl6o
白兎「おま―え達の力はなか――なか興味―深かったよ」
言いながら、傷ついた兎はその形をアイスクリームのようにグチュグチュに変える。
突き刺さっていた剣が抜け落ちて、口のような部位を作り出すと体内に残っていた7つの塊をペッと吐き出した。
白兎「だけど――その使い手―自身は――どうなんだろうな」
流れ出た血さえも巻き込んで、そろ泥はさらに形を大きく変形させた。
紅が混じりあい、その表面になんとも醜い色合いを映すが、
変形していくうちに、それらの色はすべて白に飲み込まれる。
やがてその形は収束し、
白兎「――兎も角」
元の真っ白な兎の形となる。
白兎「アタシが拾ったこの能力はそこそこには使えるな」
白兎「いい練習になった、お前の同僚の能力は大事に使ってやるよ…キシャシャ」
聖來「……」
白兎「それじゃあな、元アイドルヒーローさん!バイビー!」
再び電気を纏いながら、兎は雑木林に駆け込み闇の中へと消えていく。
木々の間をしなやかに高速で走り抜ける獣に、追いつくことは難しいだろう。
白の姿は見えなくなり、後には二人の人間が残される。
540: 2013/12/28(土) 05:25:52.56 ID:L/U3Ebl6o
聖來「……」
紗南「……」
薄暗い夜道。やはり人通りは無く、辺りは静寂に包まれていた。
聖來「はぁっ!」
聖來の声が、その静寂を破った。
聖來「あっぶなかったぁっ!」
張り詰めた緊張感が解けて、聖來は地面へと仰向けに倒れこむ。
聖來「本当ごめんね、紗南ちゃん危ない目に合わせちゃって」
紗南「ううん、でも本当に殺されるのかと思っちゃった……」
紗南もまた力が抜けてその場にへたり込む。
こんな危険な目に合うのは、憤怒の街以来であった。
聖來「だね……命があっただけ幸運だったってことで」
紗南「うん……良かったよ本当に」
541: 2013/12/28(土) 05:26:29.39 ID:L/U3Ebl6o
紗南「セイラさん、身体は……大丈夫なの?」
肉体を焼くほどに強烈な電撃。
その攻撃を受けて、今聖來がこうして無事で居ることが紗南には不思議でならない。
聖來「まあね……財閥から支給されてた装備である程度軽減できてたのはあるけど」
聖來「一番はやっぱりそれのおかげかな」
寝込みながら、聖來はその場に落ちている1本の剣を指差す。
紗南「ナイフから出てきた剣だよね」
紗南「……どっかで見たような?」
その剣の装飾に紗南は見覚えがあるような気がした。
聖來「『紅月の剣』だよ」
紗南「あっ」
以前、祟り場と呼ばれる結界の中で遭遇した吸血鬼の一行の装備。
聖來は彼らとの戦闘の際に、その装備を拝借していた。
聖來「いわく『吸収攻撃』ができる超☆レア装備だそうだからね」
聖來「うまく相手に突き刺せたから、アタシの傷を回復できたってわけ」
紗南「……じゃあセイラさんの見せてた『不氏身』って」
聖來「剣があの兎に突き刺さってた、あの一回限定だね」
今にして思えば綱渡りだったと思う、ナイフを回避されてたらそこで終わっていたし、
剣の力に気づかれていても終わっていた。
542: 2013/12/28(土) 05:27:17.10 ID:L/U3Ebl6o
聖來「だけどまあ……やっぱり敗北は敗北かな」
聖來「最後の言葉、たぶん情報を取られちゃったんだろうし」
紗南「……あ、そっか……電気への干渉能力」
聖來「あの能力なら、紗南ちゃんのゲーム機の中に残ってるデータを読み取るくらいは朝飯前だろうね」
聖來「戦闘中にもずっとゲーム機に干渉してたみたいだから……」
聖來「それも敵が音声機能を使ってきたから気づけたんだけどね」
聖來「はぁ、もっと早くに気づいておくべきだったなぁ……」
おそらくは遭遇した時から聖來との戦闘中も、ずっとデータの読み取り作業をしていたのだろう。
遭遇時点で気づいていれば、先にゲーム機を破壊しておくなり対応が出来たはずだ。
もっとも、強力な電撃攻撃の方を真っ先に警戒しなければならないため、
気づいていても、それを考慮に入れて対応する余裕があったかは疑問ではあったが。
相手もそれをわかっていてうまく戦闘に持ち込んだ節がある。
聖來「……怒りと焦りで周りが見えなくなってたかも、反省しなきゃ」
聖來「どのくらいの情報を盗られたのかな?」
聖來は紗南に確認をとる。
紗南「一応小まめにメモリーカードは交換してるから、たくさんの情報を盗られちゃったわけじゃないと思う」
紗南「病院を出発する前に一度交換したし……でも……」
聖來「アタシ達2人のことくらいは、知られちゃってるわけか」
聖來「能力と立場、それに何を目指していたかも……」
先ほどの白兎はこちらの正体を探っていたのだから、まんまと目的を果たされた形である。
543: 2013/12/28(土) 05:28:15.93 ID:L/U3Ebl6o
紗南「あのさ、セイラさん……ちょっと言いづらいんだけどさ」
紗南「えと…アタシの能力ね」
聖來「ん?」
紗南「たぶんしばらく使えそうにない……と思う」
聖來「えっ、どうして?」
紗南「あの白いのの事を調べようとしちゃったから……メモリが壊れちゃってると思う……」
聖來「それは、また新しいのを用意すれば……」
紗南「一回ね、極端に大きな情報を探ってメモリをパンクさせちゃうと能力自体が使えなくなっちゃうんだ」
聖來「……うそ、それどれくらいの期間?」
紗南「わかんない……憤怒の街でパンクさせちゃった時は2日くらいでまた使えるようになったけど……」
聖來「……」
彼女の能力は、元は怠惰の悪魔ベルフェゴールの能力だ。
しかし、その質は元の能力よりも遥かに劣る。
ベルフェゴールの場合は、どれほど不可思議で莫大な情報であっても探れたし、
ゲーム機内に専用の記憶媒体を用意する必要などなかった。
紗南の『情報獲得』は、悪魔の能力を人の身に落とし込んだ際に、その質をかなり落さなければならなかったのだろう。
聖來(能力が一時的に使えなくなるのも、きっとベルフェゴールにはなかったリスク)
聖來(それが必要なのは、紗南ちゃん自身の心を壊しちゃわないためなんだろうね)
混沌めいた情報を調べてメモリをパンクさせた結果、能力が一時的に使用不可能になるのは、
触れてはならないコトに触れてしまい、精神が壊れてしまう事を回避するための防衛機能。
すなわちリミッターのようなものだろうと聖來は考えた。
544: 2013/12/28(土) 05:29:23.88 ID:L/U3Ebl6o
聖來「うーん、もう少し早く教えてくれれば良かったかな」
紗南「う……ご、ごめんなさい」
聖來「あ、攻めてるわけじゃないんだよ」
聖來「聞かなかったアタシも悪いし、仕方ない仕方ない」
紗南「……」
本当に申し訳なさそうな顔をする紗南。
へたり込んだまま落ちているゲーム機への方へと近づき、手を伸ばしてそれを拾う。
コマンドを入力し、能力を使って起動させようとするが画面にはやはり何も映らない。
紗南「うぅ……」
聖來「……紗南ちゃんの能力でも計り知れない存在か」
紗南「何だったんだろうあいつ……嫉妬の悪魔の手先だったのかな?」
聖來「……たぶん違うかな、断定はできないけれど」
紗南「えっ、どうして?」
聖來「アタシ達の目的を探っておいて、それを見逃したから」
聖來「つまりアタシ達を敵だとは判断しなかった事からかな」
聖來「そうだね……邪魔になりそうならいつでも排除できる、あるいは泳がして利用するべき奴らだって思ったんじゃない?」
紗南「……じゃあ……なおさら何だったんだろう……」
聖來「……カースに似てたけど、絶対的に違う正体不明の何か」
彼女達を襲おうとした白い獣の正体は、闇の中。
545: 2013/12/28(土) 05:30:45.99 ID:L/U3Ebl6o
聖來「……」
だが、例え少しでも正体を掴む為に、
聖來はあの怪物の言葉を思い出す。
「さてと、これはテストだ。地球人の能力者の力って言うのがどれほどのもんか」
聖來「地球人って言い方……それにウサギ……」
紗南「セイラさん?」
聖來「……まさかね、考えすぎかな」
聖來は目を瞑って手で地面に押すと、スッと勢いよく立ち上がる。
聖來「さて、もうすぐ救援が来るし」
聖來「教会を尋ねるって感じでもなくなっちゃったから」
聖來「一旦帰ろっか」
紗南「……いいの?」
聖來「うん、態勢を立て直すためにもね」
今回ばかりは一旦引いて、準備を整え改めて、教会を尋ねた方が良いと判断する。
聖來「紗南ちゃんは能力がいつ戻るのかもわからないし」
紗南「う…」
聖來「あっと…紗南ちゃん、気にしない気にしない♪」
聖來「とりあえず、こっちの事はいいからさ。普通に文化祭楽しんでおいで」
そう言って、ニッコリと少女に微笑む。
紗南「……うんっ」
少女もまた柔らかに微笑み返した。
月明かりが照らす夕闇の道での出来事であった。
おしまい
546: 2013/12/28(土) 05:32:23.33 ID:L/U3Ebl6o
『ステルスデバイス』
どっかの機関の超技術によって作られた光学迷彩フィールド発生装置。
起動後は一定時間、使用者の姿を視認できなくする。
発生する光学迷彩フィールドは映像を投影し透明化するカメレオン型であり、
静止状態の人間を隠す事には非常に高い性能を発揮するものの、
少しでも動作を行えば、投影される映像の遅延によって結構簡単にバレる。
紗南は「まるでスマデ○にも登場したあのアイテムみたいだね」と評した。
『月灯・刀剣形態零式「月灯」』
妖刀『月灯』によって作り出される『月灯』の再現レプリカ。
この幻想だけは『月灯』の特性を完璧に再現しており、本物と寸分狂わない。
本体同様刀としてはまるで役に立たず、
その刀身に写る物に、記憶にある刃の幻想を被せるだけである。
『月灯・刀剣形態漆式「ナイフ」』
妖刀『月灯』によって作り出される『投擲用ナイフ』の再現レプリカ。
現在『月灯』の作り出せる幻影の中では、最小サイズの刃。
『月灯』の幻影は、不思議な事に、被せる対象となる物体の重量や形状に関わり無く、幻影の内側に納めることが出来る。
つまり、『月灯』の刀身に写りきる物限定ではあるが、幻影の刃の中に”収納する”と言う使い方ができる。
これを利用して色々な物を携帯しやすいナイフの形にして、聖來は持ち歩いている。
547: 2013/12/28(土) 05:33:51.78 ID:L/U3Ebl6o
と言う訳で
白兎と遭遇して口リ島さんと会いにいくどころじゃなくなったお話
当初の目的は紗南ちゃんの能力制限のはずだったんだが……
どうしてこうなった
白兎と因縁ができたわけですが
紗南ちゃんこのまま文化祭に行っちゃったら逆に危なくね?とも思います
どうにか自衛してもらわないと
白兎お借りしましたー、……こんな感じで大丈夫だったろうか
549: 2013/12/28(土) 08:28:09.75 ID:WM7HASwZ0
お二人とも乙です
サヤ誕生日おめ!
敵同士でもやっぱり幼馴染みの関係が優先される3人…これからどうなるのか
白兎が楽しそうでなによりです
そして疑われるウサミン星人
…やっぱり敵にすると怖いわ(今更)
サヤ誕生日おめ!
敵同士でもやっぱり幼馴染みの関係が優先される3人…これからどうなるのか
白兎が楽しそうでなによりです
そして疑われるウサミン星人
…やっぱり敵にすると怖いわ(今更)
【次回に続く・・・】
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