607: ◆llXLnL0MGk 2014/01/03(金) 16:01:19.39 ID:1r9LaYCG0


モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ



「ライラさん、アイドルヒーローになる・後編」
はじまるよー

608: 2014/01/03(金) 16:02:49.04 ID:1r9LaYCG0

拓海「オイ爛! どういうことだよこれは!?」

アイドルヒーロー同盟事務所のロビーに、拓海の怒号が響き渡る。

拓海以外にも、ロビーにはそこそこの人数が集まっている。

爛「どういうことって……何がだよ?」

拓海「お前らが連れてきた新人のことだよ!」

そう言って拓海は爛の後ろに立っている少女、ライラに目を向けた。

ライラ「……? わたくしがどうかしましたか?」

拓海「そのデケエ銀の魚! それと両脇のイワシのロボット! こいつウェンディ族じゃねえのか!?」

海底都市。ウェンディ族。神の洪水計画。

これらの情報は既に、アイドルヒーロー同盟に通達されている。

親衛隊サヤに襲撃されたナチュルスター、及びイヴ非日常相談所によって。

シャルク「……らんどの。どうもおはなしがちがうようですが」

シャルクがそっと爛に耳打ちする。

爛「あー、まあ多少はな。今クールPが上に話しにいってっけど……」

爛もそれにひそひそと返す。

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それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

~中略~

「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。




609: 2014/01/03(金) 16:03:58.51 ID:1r9LaYCG0
ライラ「はいです。ライラさんはウェンディ族ですよー」

拓海「スパイに来たにしちゃああっさりしてやがんな……何が目的だ?」

ライラ「ライラさんはここへお金を貰いに来ましたです」

菜々「銀行強盗ならぬ同盟強盗ですか!?」

菜々が思わず大声を上げた。

夕美「落ち着いて菜々ちゃん、そんな言葉無いから」

ガルブ「ライラさまはクールピーどのにスカウトされ、アイドルヒーローとしてデビューするために
   こちらへやってまいりました」

ガルブが事情を説明すると、周囲は更にざわつきだした。

モブアイドル「あ、え、新人って……ホントに?」

モブP「いや待て、罠かも……」

スタッフ「で、でも、それならあの子を連れてきた爛サン達もスパイってことになるんじゃ……」

爛(ドキッ)

拓海「…………悪いが、簡単には信用できねえ」

ざわつきの中、拓海が腕組みしたまま口を開いた。

ライラ「では、どうすれば信じてもらえますですか?」

610: 2014/01/03(金) 16:05:02.74 ID:1r9LaYCG0
クールP「ああ、予想した通りの騒ぎになってるね」

美世「あ、あれがウェンディ族……? 普通の人とあんまり変わらないんだ……」

そこへ、人の波を掻き分けながらクールPと美世がやってきた。

爛「おせえぞクールP」

クールP「いや、ごめんごめん。ちょっと手間取ってね」

拓海「美世……?」

美世「拓海、ちょっと遠出になるよ! 準備しててね」

爛「……何が始まるんだ?」

クールP「第三次……っと、ジョークは置いといて。駐車場まで来てくれるかな。ちょっと移動するから」

車のキーを指先でクルクルと回しながら、クールPはライラを誘導するように歩いていった。

ライラ「?」

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611: 2014/01/03(金) 16:05:58.42 ID:1r9LaYCG0
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クールPが運転する車と、美世が運転する車がある場所にたどり着いた。

そこは、とある採石場。

仮面のバイク乗りが戦ったり、五色の秘密チームが戦ったりする例のアレである。

爛「うおっ、こんなトコあったのか」

クールP「上層部に掛け合って、ちょっとお借り出来たんだよ」

ライラ「で、ここで何をするのでしょう?」

クールP「まあ、簡単に言えば拓海君と殴り合ってもらう」

シャルク「なぜです? かのじょはいずれライラさまとどうりょうになるにんげんなのでは……」

クールP「君達は分からないと思うがね、彼女のようなタイプは、拳を通じて語り合うものなのさ」

ガルブ「いまいちよくわかりませんが……ここはクールピーどのにしたがいましょう」

ライラ「かしこまりました。では、頑張りましょうカンタロー」

『ゴトトン』

612: 2014/01/03(金) 16:07:00.82 ID:1r9LaYCG0
ライラがカンタローを抱えて車を降りると、拓海もバイクを準備していた。

拓海「…………」

ライラ「…………」

二人は一瞬だけお互いを見やり、そして、

拓海「 転 身 !! 」

ライラ「オリハルコン、セパレイショーン」

同時に変身の掛け声を挙げ、採石場の中央へと駆け出した。

カミカゼ「……覚悟完了、カミカゼ参上!」

ライラ「アビスカル、ウェイクアップですよー」

鋼の鎧を纏った二人が今、対峙した。

613: 2014/01/03(金) 16:07:54.86 ID:1r9LaYCG0
クールP「あー二人とも。先に言っておくけれど、お互いにギガフラッシュと固体潜航は使用禁止だからね」

カミカゼ「ああ」

ライラ「了解でございます」

二人はクールPを一瞥もせず、ただお互いを見据えている。

クールP「ならいいや。よし……始め」

クールPがパンと手を叩くと、まずはカミカゼが飛び出した。

カミカゼ「先手ッ、必勝ォッ!!」

強烈な右ストレートがライラを襲う。が、

ライラ「グランパ直伝、《骨挽》」

ライラはそれを左手でパシッと受け、カミカゼのパンチの勢いを利用して裏拳を叩き込む。

カミカゼの横顔へ一直線に進んだ裏拳は、すんでの所でカミカゼの左手に抑えられた。

カミカゼ「ッ! ……やるじゃねえか……」

ライラ「お互い様です」

614: 2014/01/03(金) 16:08:46.32 ID:1r9LaYCG0
クールP「……美世君、ちゃんと撮れてるかな?」

クールPは戦場から視線を逸らし、隣で大きな機械を操作する美世に話しかけた。

美世「あ、はい。バッチリ出来てますよ」

クールP「それは良かった。ここの使用、『同盟の新しいプロモに使えそうな映像撮って来い』って条件付だったからね。
    撮れてなかったら大目玉を喰らってしまうよ」

美世「まともに映像が撮れないからギガフラッシュが、絵的に映えないから固体潜航がそれぞれ禁止でしたっけ」

肩をすくめるクールPと、苦笑する美世。

それを見て、シャルクとガルブはポツリとつぶやいた。

シャルク「いわゆる、おとなのじじょうというものですか」

ガルブ「やはりふくざつなのですね」

615: 2014/01/03(金) 16:09:42.12 ID:1r9LaYCG0
ライラ「グランパ直伝、《大堕威骨》」

カミカゼ「させるかっ!」

ライラの廻し蹴りをカミカゼが右手でガッシリと受け止める。

ライラ「あっ」

カミカゼ「でぇいっ!」

ライラは脚を掴まれた状態で、地面に大振りで叩きつけられた。

ライラ「ぅっ……」

カミカゼ「まだだ!」

続けてカミカゼが、仰向けのライラへ踵落としをしかける。

616: 2014/01/03(金) 16:10:32.85 ID:1r9LaYCG0
ライラ「ッ、グランパ直伝、《六骨》」

ライラはすかさず六発のパンチを繰り出してそれを弾き返した。

カミカゼ「んなっ!?」

踵落としという不安定な体勢でそれを喰らったカミカゼは、大きくよろめいた。

その隙にライラは立ち上がり、カミカゼへ手刀を振り下ろす。

ライラ「グランパ直伝、《剣鋼骨》」

カミカゼ「ちぃっ!」

ギリギリで踏ん張ってガードしたカミカゼだったが、手甲に長い傷跡が刻まれた。

カミカゼ「だぁっ!!」

ライラ「うあっ」

カミカゼのローキックで、ライラが再び地に伏した、かに見えた。

617: 2014/01/03(金) 16:11:29.17 ID:1r9LaYCG0
ライラ「《六骨》、《六骨》、《六骨》」

カミカゼ「ぐああっ!?」

ライラは地面に向けて六骨を二度放ち、その反動で急速に体勢を整えた。

そして六骨をもう一度放ち、無防備なカミカゼの胴へと直撃させたのだ。

カミカゼ「ぐっ……!」

ライラ「すぅーっ……《大堕威骨》」

鋭い廻し蹴りが、カミカゼの体を高速で天高く打ち上げる。

ライラ「とぉー」

そして、ライラが大ジャンプでそれに追いつく。

大技、《堰終》を決めるためだ。

しかし、上空でカミカゼに追いついたライラが見たものは……

618: 2014/01/03(金) 16:12:27.83 ID:1r9LaYCG0
カミカゼ「……よぉ」

ライラ「…………!」

大堕威骨をガッチリとガードし、空中で体勢を整えていたカミカゼの姿だった。

ライラ「わわっ、と、ぐ、グランパ直伝、《堰終》っ」

ライラは大慌てでカミカゼの体を掴み、勢いをつけて落下を始める。

カミカゼ「させるか!」

地面に叩きつけられてたまるかと、カミカゼはグッと体を起こし、ライラの上になった。

ライラ「さ、させませんです」

負けじとライラも体をよじらせる。

上下がめまぐるしく入れ替わりながらも、二人はドンドンと落下していく。

そして、

619: 2014/01/03(金) 16:13:33.01 ID:1r9LaYCG0





ズゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン





轟音と共に、採石場全体に土煙が舞う。

クールP「うわっ、これは……」

爛「洒落なんねえぞ、今の……」

美世「た、拓海!?」

シャルク・ガルブ「「ライラさま!」」

五人は撮影を放って落下地点へと駆け出す。

620: 2014/01/03(金) 16:14:16.66 ID:1r9LaYCG0
五人がたどり着く頃には土煙も消え、その場に大の字で倒れる二人の姿があった。

カミカゼ「ぜぇっ……はぁっ……」

ライラ「ケホッ……エホッ……」

どちらの鎧もひどく損傷し、顔を隠すバイザーもヒビだらけになっている。

美世「拓海、大丈夫!? ……鎧!」

カミカゼ「鎧かよ!」

美世の発言に、カミカゼは勢いよく上体を起こして突っ込んだ。

美世「冗談冗談。でもその様子なら大丈夫そうだね」

シャルク「ライラさま、ごぶじですか!?」

ライラ「は、はいです。どうにか生きてますですよ……」

ライラも上体をゆっくり起こしてシャルクに答えた。

ガルブ「ごぶじでなによりです」

621: 2014/01/03(金) 16:15:44.90 ID:1r9LaYCG0
カミカゼ「…………おい」

気付けば、カミカゼはジッとライラを睨み付けている。

ライラ「はい?」

カミカゼ「……ん」

カミカゼはライラへ向けてぐっと右手を伸ばした。

ライラ「……ええと、こう、ですか?」

カミカゼが伸ばしてきた手を、ライラはぎこちなく握る。

直後、カミカゼはライラの手を強く握り返してきた。

622: 2014/01/03(金) 16:16:54.29 ID:1r9LaYCG0
カミカゼ「……悪かったな、疑って。戦ってみて分かったぜ、お前は悪人でもなきゃ、嘘をつけるほど器用でもねえ」

ライラ「……わたくしも、タクミさんのことがよく分かった気がしますです。とてもとても熱くて、まっすぐな方でございます」

カミカゼ「……へへっ」

ライラ「……ふふ」

どちらからともなく、自然と笑みがこぼれる。

カミカゼ「これから『仲間』としてよろしくな、ライラ、シャルク、ガルブ」

ライラ「こちらこそよろしくです、タクミさん、ミヨさん」

シャルク「カミカゼのじつりょく、しかとはいけんしました」

ガルブ「ライラさまともども、これからおせわになります」

カミカゼとライラはお互いに最高の笑顔を見せ、お互いのパートナーの助けを得て立ち上がった。

623: 2014/01/03(金) 16:18:07.60 ID:1r9LaYCG0
クールP「いやあ、うまくいって良かったよ」

少し離れた所で、クールPは顎に手を当てうんうんと頷いた。

爛「アイドルヒーロー同盟でも有数の実力を持つカミカゼ……そいつに認められたとあっちゃあ、
 ほかの奴らもそうそう疑いはしねえだろうな」

クールP「そうだね。まあ、彼女を疑っても意味は無いよね。本当にスパイじゃないんだから」

爛「まあその分、ライラと一緒に行動する俺らも動きやすくなるってわけだ」

クールP「怖いくらいに順調だね。……さあ皆、そろそろ帰ろうか」

クールPが少し声を張って、拓海達へ呼びかけた。

拓海「おう」

美世「帰ったらすぐ修理してあげないと……」

ライラ「カンタローも看病してあげますです」

『ゴトンゴトン』

シャルク「しゃいんしょうのようなものももらえるのでしょうか」

ガルブ「なんだかわくわくしますね、シャルク」

皆が一様に車へ向かう中、クールPは突然立ち止まって考え込んだ。

爛「……どした?」

クールP「……いや、彼女のヒーロー名だけど…………『仮面ライラー』って、どうかな?」

爛「……フツーにアビスカルでいいだろ」

続く

624: 2014/01/03(金) 16:20:16.15 ID:1r9LaYCG0
以上です
拳と拳で語り合うのは定番ですよね

拓海、美世、菜々、夕美お借りしました

625: 2014/01/03(金) 17:44:57.59 ID:YNPhzMtH0
乙です
ライラさん無事にアイドルヒーローに加入か
殴り愛って素敵だよね




【次回に続く・・・】


引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part8