820: ◆tsGpSwX8mo 2014/01/27(月) 23:23:56.23 ID:BxJyJNgzo


モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ



投下します。時系列は学園祭二日目です。学園祭に旧大罪の悪魔が(白目)

821: 2014/01/27(月) 23:24:29.65 ID:BxJyJNgzo
多くの人で賑わう秋炎絢爛祭。

その上空を飛ぶ影がひとつ。

茶色がかかった髪をなびかせ、白いコートを羽織った影、バアル・ペオルは、人々の喧騒を空から見下ろしていた。

「…………」

空からは様々なものが見えた。

友人と笑いあう少年少女、子供のてを握って歩く両親、威勢よく声を張り上げる売り子の姿。

そこには笑顔が溢れ、希望に満ちていた。

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それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

~中略~

「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。




822: 2014/01/27(月) 23:25:06.65 ID:BxJyJNgzo
それらを眺めているバアル・ペオルは、口の端を吊り上げるようにして、にぃ、と笑った。

バアル・ペオルは想像した。

あの笑顔が恐怖に歪む光景を。絶望し逃げ惑う姿を。

「ふふふ、ふふ。ははははは」

そしてバアル・ペオルはとうとう声を出して笑いだした。両手に一つづつ怠惰のカースの核が握られている。

「…いや」

しかし、その核はバアル・ペオルの手から放たれることなく消滅した。

「もう少し人の集まるところでカースを作ろうかしら。そうすればもっと……。ふふふふ、そうときまれば、早速」

バアル・ペオルは元々は怠惰の悪魔である。しかし、自らを満足させるためには努力を惜しまないのだ。どれだけ面倒な作業でも耐えることができる。

そうして、バアル・ペオルは地上へ降りた。

823: 2014/01/27(月) 23:25:47.15 ID:BxJyJNgzo
場所はかわり地上。

「………」

一心に人の集まる場所を探すバアル・ペオル。

「お、そこのお姉さん!よってかない?」

髪を染めた男が声をかける。

「ソーセージ安いよ安いよ!買ってきな!」

「わかるわ!わかるわ!」

筋骨粒々の男と小動物が声をかける。

「………」

しかし、それをバアル・ペオルはすべて無視した。

いちいち返答するのが面倒と考えているからである。自分の興味が向いたものにはどこまでも真摯なくせに、こういう些細な行動を面倒くさがるところは怠惰らしい。

(………それにしても)

バアル・ペオルは思案する。

(どこもかしこも、人だらけねぇ)

首を回し辺りを見渡す。

物珍しそうに屋台を覗く女の子、二人組の少女、眼鏡をかけた三人組の女性、本を小脇に抱えた大学生。他にも様々な人間がバアル・ペオルの視界に入った。

(これなら空の上からカースを放って眺めた方が楽だったわね……)

そんなことを考えながら、ふと考えた。

(そうだわ。いいことを思い付いた。この学園全体に結界を張りましょう。そしてその中に大量のカースを放って眺める……)

ふふふ、とバアル・ペオルの口から笑い声がもれた。頭に逃げ惑う人々の姿が浮かぶ。

(結界は簡単に壊れないような丈夫なものを作りましょう。簡単に壊れてしまっては、人間が逃げてしまう。そんなことはさせないわ。この場にいる人間は私を楽しませるための人形。そしてこの学園は人形を閉じ込める為の箱庭……)

バアル・ペオルはこの学園を見渡すための場所を求めて再びあるきだした。

824: 2014/01/27(月) 23:26:43.12 ID:BxJyJNgzo
さらに場所はかわり裏山。

そこから京華学院を見下ろす。

(さて、結界を張ろうかしら。大きさは……適当でいいわね)

と、結界を張ろうとしたその瞬間。

「オンナ!オンナ!!ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!」

と、どこから沸いて出てきたのか、蠍のような姿の色欲のカースが現れた。

「うわあああああ!!」

そしてそれから逃げる一人の少女。

「オカサセロ,オカサセロ!!!」

「嫌だあ!パパ、ママ!どこぉ?!助けてえええええ!!」

しかし、バアル・ペオルはまったく動じない。正確には聞こえているのだが、面倒なので無視した。

そして同じくバアル・ペオルの姿に気づかない少女とカース。

「オオット!ツカマエタ!!」

「うわあああああ!嫌だあ!」

そしてとうとう捕まってしまった少女。

「ゲヘヘヘヘヘヘヘ。イタダキマース」

色欲のカースが触手を使って少女の体をまさぐる。

「ひぃ?!やだ、やだ!やだぁ!!」

「ギャハハハハ!ナケナケモットナケ!!」

「あああああああ!!」

少女の恐怖が最高潮まで達したそのとき、

(五月蝿いわねぇ……)

とうとうバアル・ペオルがカースの方に向いた。

ゆるりと色欲のカースに近づくと、中指の先に少量の魔力を集める。そして、放出した。

「ギャ」

それだけでカースの体は弾け、核を砕いた。

「はっ!雑魚のゴミムシの癖に私の邪魔をするなんて百兆年早いのよ!」

最早跡形もなくなったカースに向かっていい放つ。

825: 2014/01/27(月) 23:27:32.77 ID:BxJyJNgzo
それを見た少女は思う。この人はヒーローだ。私を助けてくれたのだ。

「……あ、ありがとう、ござい、ま、す」

色欲のカースに襲われていた少女が口を開く。いくらバアル・ペオルにその気がなかったからといって、助けられたのだ。お礼を言うのは当たり前である。だが、バアル・ペオルはそんな少女を見下ろすと、

「ん?あら、まだゴミムシがいたのね」

「え?」

826: 2014/01/27(月) 23:28:19.19 ID:BxJyJNgzo
「はぁ。五月蝿くてとても集中できないわねぇ」

なんでかは解らないがとにかく怒っているのかと思って、少女は頭を下げる。

「え、あ、ごめんなさ」

「五月蝿い」

そう呟き、先程と同じように指先に魔力を集める。

顔をあげた少女に指を突きつけ、魔力を放とうとした、その時。

「はい。ストーップ」

827: 2014/01/27(月) 23:29:01.95 ID:BxJyJNgzo
時子の真後ろから声が聞こえた。

「?」

指を下げてそちらを向く。普段なら無視するだろうが、その時は何となく、そちらを向く気になったのだ。

そこには、スキンヘッドの大男がいた。サングラスをかけ腰には人形が括りつけてある。

「いやぁ、さっきのは凄かったな。あのカースを一撃で葬るなんてな」

にやにやと笑いながら近づく男。

「………何のよう?」

バアル・ペオルが男に向き直ったとき、少女が全力で逃げたが、その時は既に少女に対して興味を失っていたのでほうっておいた。

ちなみに、男が声をかけたのはその女の子を逃がすためでもあったのだが、それをバアル・ペオルは知らない。

変質者のような男はバアル・ペオルに近づき、こう言った。

「ねぇ君、ちょっと話いいかな?」

無言で、問答無用で魔力を込めた指先を向ける。

「あ、ちょ、ちょっと待って!別に怪しいものじゃないから!嘘じゃないから!」

828: 2014/01/27(月) 23:29:41.21 ID:BxJyJNgzo
「どう見たって怪しいわよ」

そして魔力を放った。が、

「……!」

息を飲むバアル・ペオル。そこには既に男は存在せず、バアル・ペオルのすぐ右側にいた。

「あ、あぶねぇ。気を付けてくれよ。あんなのくらったら氏んじまう」

バアル・ペオルは男を見つめて考えた。

(この男、ただ者じゃない…)

そしてニヤリと笑った。

(こいつの話を聞く方が楽しめそうね)

バアル・ペオルは話を聞く事にした。

かくして、バアル・ペオルの学園祭をめちゃくちゃにする計画は奇しくも男のお陰で阻止されたのだった。

829: 2014/01/27(月) 23:30:19.18 ID:BxJyJNgzo
「おお!話を聞いてくれる気になったか!」

「えぇ。でもつまらない話だったら頃すわよ」

「うん、そういう直球なところもいいな!やはり俺の目に狂いはなかった」

一人でうんうんと頷く男。

「……あなた何者なの?」

「あ、俺か?俺は、こう言うものだ」

男は懐から紙を出してバアル・ペオルに手渡した。それは名刺であり、こう書かれていた。

『アイドルヒーロー同盟プロデューサー パップ』

「アイドルヒーロー同盟………?」

バアル・ペオルは目を見開いて名刺を見た。そしてすぐさま名刺を破り捨てた。

830: 2014/01/27(月) 23:31:05.65 ID:BxJyJNgzo
「おいおい、替えはいくらでもあるけど破くのはやめてくれよ。勿体ないじゃないか」

「アイドルヒーロー同盟ですって?」

パップの言葉は無視していい放つ。その声には若干怒気が含まれていた。

「あぁ。君は美人だし、おまけに強い。需要は高いと思うんだけどな」

パップはバアル・ペオルが怒っていることに気づいてないのか、それとも気づいててわざと無視してるのかは解らないが、言った。

「だから、アイドルヒーロー、やってみない?」

831: 2014/01/27(月) 23:32:08.38 ID:BxJyJNgzo
「………冗談じゃないわ」

「どうして?」

完全にキレたバアル・ペオルはパップに叩きつけるように言葉を放った。

「私は!混沌が好きなのよ!ゴチャゴチャしてて、濁ってて、混ざってて、泥々してる、混沌が何よりも好き!なのに、この私に、秩序を守るためのアイドルヒーローになれですって?ふざけるのも大概にしなさい!!」

憤慨するバアル・ペオルにさすがに気圧されたらしいパップ。だがそれで諦める彼ではない。

「混沌が好き、か。でも、アイドルヒーローにも色々な人種がいてね?その種類の豊富さといったらまさに混沌と呼んでいいくらいさ」

「はっ!アイドルヒーローが、何をやってもこの私に敵うはずがないわ!」

何をいってもアイドルヒーローになるきはないらしいな、とパップは思案する。

「はぁ。やめよ、やめ。こんなの時間の無駄よ。じゃあね、あなたの話はとても退屈だったわ」

バアル・ペオルはパップの前から立ち去ろうとしたとき、パップは名案を思い付いた。

「あ、そうだ!なぁ、俺と戦わないか」

832: 2014/01/27(月) 23:32:57.24 ID:BxJyJNgzo
「……戦う?貴方と?」

足を止めパップに顔を向ける。

「あぁ。俺も実は、あんたの好きな混沌をこの身に宿している」

そう言って胸の辺りをさするパップ。

「それで、俺と戦って俺が勝ったら君はアイドルヒーローになる。それでどうだ?」

「……私が勝ったら?」

パップを見つめる。

「…君の願いを何でも聞こう」

それを聞いて、バアル・ペオルは吹き出した。そして、それは徐々に大きくなって大気を震わせる。

「ぷっ、ふふ、ふふふふふふふふふふ!はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!」

ひとしきり笑った後、バアル・ペオルは向き直った。

「いいわよ。面白い!貴方が負けたらあなたは私の奴隷よ!」

パップを指差し高らかに宣言する。

「はは、俺が負けることが君のなかではもう決定してるんだな。でも俺も負けるわけにはいかないんでね」

833: 2014/01/27(月) 23:34:00.88 ID:BxJyJNgzo
「そうこなくてはね!その意気込みに免じて私に触れることが出来たら勝ちにしてあげる」

「そりゃどうも」

そして、パップは自信の混沌を解放させた。腕が虎のような縞模様に、両手が鉄の爪に変異する。

「へぇ。それがあなたの混沌?」

「あぁ。その通りだ」

相手に飛びかかる姿勢で喋るパップ。

「CO……ハングリー・タイガー…」

その姿を見て、

「カースド・オズ……?この感じはもしかして暴食……」

「あぁ、その通りだ!」

834: 2014/01/27(月) 23:34:48.73 ID:BxJyJNgzo
その瞬間、バアル・ペオルに飛びかかり、一気に肉薄し、体に触れる。筈だった。

「あらぁ……。変身して思考まで獣みたいになっちゃったのかしらねぇ……」

だがしかしパップの伸ばした腕はバアル・ペオルに届かなかった。

パップの体が天から延びた巨大な腕に取り押さえられたかのように、叩きつけられ地面にめり込んだからである。

「ぐっ!……なんだ、この重さは……!」

地面に這いつくばるパップを見下ろし嗜虐的な笑みを浮かべるバアル・ペオル。

「ふふふ……。あなたの重さを10倍にしてあげたわ。それじゃあ動くこともままならないでしょうねぇ」

「ぐ……くぅ!」

余りの重さに苦悶の表情を浮かべるパップ。

「ま、でもさすがにこれじゃあ勝負にならないわねぇ…」

835: 2014/01/27(月) 23:35:48.50 ID:BxJyJNgzo
と、パップを見下ろし近づく。

そしてパップのすぐ近くで腰を下ろし顎を持ち上げ目をあわさせる。

「ねぇあなた。『家畜以下の私の重さを元に戻してください』ってお願いしてごらんなさいよ。そしたら、戻してあげなくもないわ」

余裕の表情を見せた。

「……ぅ」

パップの口から声が漏れた。それを聞いて顔を近づける。

「あらぁ?よく聞こえないわねぇ。ハキハキ喋りなさいよ虫じゃないんだからさぁ!」

さらに顔を近づけ、

「があああああああ!!!」

そしてすぐに後ろに飛び退き距離をとった。

「なっ………!!」

今度はバアル・ペオルが驚愕する番だった。なんとパップは立ち上がったのだ。

「そんな、私の魔術の影響下で立ち上がるなんて……!!」

「魔術…?」

立ち上がり、しかし依然辛そうな表情のパップ。

836: 2014/01/27(月) 23:36:32.49 ID:BxJyJNgzo
「へぇ。それが、あんたの、能力、ってわけか……。流石にきついな……」

最初は驚いていたバアル・ペオル。だがしかし、それはすぐに喜びの笑顔になった。

「いいわ、いいわよあなた!最高よ!もっと、もっと私を楽しませなさい!」

指先を向けると今度は炎の槍が飛び出した。

避けることができず、肩と足に直撃する。

「うふふはははははははははははは!!どうしたの?立ち上がれてもその場から動けないのかしらぁ?!」

「ぐっ……。言いたい放題の、やりたい放題だな、あんた……。でも、そういう、ところも、人気出そうだな……」

なんとか立ち続け、思案するパップ。

(しかし厄介だな……。こう自分の体が重いと本当に一歩も動けねぇ……。次に倒れたら間違いなく立ち上がれない……)

837: 2014/01/27(月) 23:37:11.15 ID:BxJyJNgzo
「ほら、次よ!」

次は指先から延びる水の鞭だった。

動けないパップを鞭で無茶苦茶に叩く。その度にパップの体には水に叩きつけられたような衝撃が走った。皮膚はさけ、骨は砕ける。

(ぐぅっ!痛ぇ……!ヤバイな、なにか突破口は……)

ヒントはないかとバアル・ペオルや回りを見る。と、あることに気づいた。

(はっ……!よく見たら俺だけじゃなく、草や葉っぱも地面に沈んでめり込んでるじゃねえか!それに……)

パップの耳にミシミシとなにかが沈む音が届いた。

(木も!)

パップは気が地面に沈んでいくのを視認した。

(なら……!)

力を振り絞り両腕を上げる。

「ふふふ、なにする気?そんな距離じゃ私に届かないわよ!」

バアル・ペオルとパップの距離は確かに離れており、目測で十メートルは離れていた。

しかし、

「距離?……関係ない。でも、できれば使いたくなかったよ……」

それをきき、バアル・ペオルは素早く土から壁を作り自分を守った。

その次の瞬間、パップが腕を振るうと、土の壁に大きな爪痕が出来た。あっという間に壁が崩れ落ちる。

「なにっ?貴方なにをした!」

しかし、そこにはもうすでにパップはいなかった。

838: 2014/01/27(月) 23:37:57.02 ID:BxJyJNgzo
「いない……逃げたのかしら。いや、違うわね」

よくよく見ると地面には何かを転がしたようなあとがあった。

「動けないから転がって逃げたのね……逃がさないわよ」

跡を追った。

839: 2014/01/27(月) 23:38:47.48 ID:BxJyJNgzo
「はぁ、はぁ……」

斜面を転がるパップ。はたからみれば滑稽に見えるかもしれないが、やつの攻撃から逃げるにはこれしか思い付かなかったのだ。

そして、それは正しかった。

「おっ!」

地面を蹴りジャンプして立ち上がるパップ。

「ふぅ~。やっと戻った……」

首をぱきぱきと鳴らす。

「あの魔術は、俺単体にかけるものではなく、あいつの周りにあるものすべてにかかる物だと思ったが、どうやら正解のようだ」

後ろから迫る足音。

「へぇ、よくわかったわね。正解よ」

パップの背に声をかけるバアル・ペオル。

「あぁ。花丸を貰えて嬉しいよ。ついでにもうひとつ。その魔術は使ったあとにクールダウンが必要なんだろ?そうでなきゃ今使ってるよな?」

そこまで推理して見せたパップに向かって笑顔を向けるバアル・ペオル。

「ふふふ、正解よ。大正解!あの魔法を受けた者は大抵私に屈服するか何をされたかわからないまま氏ぬのにね。貴方みたいなのは久しぶりよ!」

840: 2014/01/27(月) 23:39:36.36 ID:BxJyJNgzo
「そうか。さて、答え合わせもすんだし続きといくか」

「えぇ」

パップは飛びかかる。しかし、一直線にバアル・ペオルに飛びかかるのではなく、バアル・ペオルを撹乱するように飛び回る。

パップが先程使った、CO『ハングリー・タイガー』の持つ空間切断能力は使わなかった。女性で、しかも自分がスカウトする相手を傷つける訳にはいかなかったからだ。先程は、自分が宣言してからならバアル・ペオルは必ず何らかの方法で防ぐと思ったから、流石に命の危険を感じたからやむ無く使用したが。

「鬼さんこちら!手のなる方へ!」

たっぷり撹乱し、そしてバアル・ペオルの体に触れようとする。

841: 2014/01/27(月) 23:41:09.27 ID:BxJyJNgzo
「はいタッチ……」

しかし、パップがバアル・ペオルの体に触れることはまたしても失敗した。バアル・ペオルの姿がパップが触れる瞬間に消えたのである。

「あら残念。こっちよ、虎さん」

ギュオオオ!

そして、パップの右側に表れたバアル・ペオルの魔術によって生まれた突風を受けて吹っ飛ぶ。

「うおぉ!」

受け身をとり、うまく着地。すぐさま体制を整える。

「へぇ。こんどは瞬間移動か……」

見ればわかることだった。この手の能力を使う人ならごまんと見た。なのですぐにバアル・ペオルが使ったのが瞬間移動だと解った。

「その通り!あなたは私に触れることは最初から不可能だったのよぉ!」

842: 2014/01/27(月) 23:41:46.82 ID:BxJyJNgzo
「いや、俺は必ずあんたに触れて見せる!そしてあんたをアイドルヒーローにする!」

そのときバアル・ペオルは見た。そして、目を見開いた。パップの目に宿る諦めないという強い意思を。

バアル・ペオルは問う。

「貴方……。これだけ力のさを見せつけられて、なぜ諦めない?」

バアル・ペオルはそれが解らなかった。今まで自分を前にした人間は一人残らず絶望し、諦め、氏んでいった。

「そこまでして、私にアイドルヒーローになってほしいの?」

勿論バアル・ペオルはパップを頃す気で戦っている。それでも諦めないパップに、バアル・ペオルは疑問に思った。

「何でかって?それは…」

一呼吸おいて。

「それは……?」

843: 2014/01/27(月) 23:43:02.09 ID:BxJyJNgzo
「それは!」

「それは……?!」

そしてついにパップはいった。諦めない理由を。

「あんたは美人だ!」

………二人の間に沈黙が流れる。

「……え?」

「そう、あんたは美人だ!おまけに強い!」

さらに語気を強めていった。

「俺はあんたに惚れた!その強気な目線!艶やかな髪!妖艶な雰囲気!全てに惚れた!」

予想を超えたパップの言動に身動きがとれない。

ボロボロに痛め付けられた体で、強く地面を踏みしめみ、バアル・ペオルに近づく。

「だから俺以外の人にも見てほしい、あんたの凄さを、あんたの強さを。みんなに見てもらって認めてほしい。この喜びを、俺だけじゃなく複数の人間と共有したい。だから俺はあんたをアイドルヒーローにしたい」

そして、バアル・ペオルの顔にそっと触れた。

「俺の勝ちだ。なってもらうぞ。アイドルヒーロー」

それをきき、今の自分の状況を認識して、そしてバアル・ペオルは…。

844: 2014/01/27(月) 23:43:42.17 ID:BxJyJNgzo
「ふ、ふふふふ…」

笑った。とても楽しそうに。とても嬉しそうに。

「ふふふ、ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ!!はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!!!」

845: 2014/01/27(月) 23:44:22.98 ID:BxJyJNgzo
盛大に笑った。ゲラゲラと、悪魔のように。

「ふふふ、ふふふ…。こんなに笑ったの久しぶりよ、本当に……」

バアル・ペオルは未だに腹を抱えて笑っている。

「ふふふ、いいわよ。面白いじゃない!いいわ、なってあげる!アイドルヒーローに!正義の味方になってあげわるわ!」

こうしてバアル・ペオルはアイドルヒーローになり、自分が殺めた人数と同じくらいの人間を救うが、それはまた別の話……。

846: 2014/01/27(月) 23:46:58.57 ID:BxJyJNgzo
C・O(カースドオズ)

的場梨沙の母親が研究所からくすねた金属生命体OZにカースの大罪の核を取り込ませる事により、更なる進化をほどこしたもの。

普通のOZと同じく生物に寄生し、みるみるとその生物のパーツに擬態し、独自に進化をしていき、その生物の身体を金属生命体にあう身体に徐々に侵食させていく。

最初は研究所でもCOの研究をしていた。
ただ、初期段階でその核の大罪にあった感情が倍に膨れ上がり、大抵の生物はそれに耐えられずカースドヒューマンに成り下がり狂い氏んでしまう為、OZ適合者より確率が低いと言われている為凍結し終わってしまった。

だが、梨沙の母親は独自にそれを研究し、CO適合者を完成させた。

普段は核の大罪の感情は抑えられてるが、段階を上がるごとに感情も大きくなりCOの強さも大きくあがる。

適合者にはその大罪にあった感情を抑え込む精神力と生への執着が必要とされる。


≪ハングリータイガー≫

パップに移植されたCO。
第一段階を発動すると、両腕が縞模様の獣のようなフォルムてま、5つの鋭い爪のような刃が生えた異形の腕に変化。それは金属でできている。

この姿になると、物資だけではなく、空間を斬る空間切断能力をもっている。その為離れた場所でも目に見える範囲なら斬りつける事はできる。
胸の部分に移植された場所は胸。

第二段階になると、巨大な四足歩行の虎のような異形に変化する。
この状態だと、空間切断能力に加えて、その口から生えた牙で、物資だけではなく空間を食べて、削り取る能力を得る。

暴食の核の力もあわさり、その食欲は無限で食べたものは無限消化機関≪タルタロス≫へといき消滅する。

略称魔術
(スキップ・スペル)
バアル・ペオルの能力。魔術を使うためには詠唱を行うことが必要だが、彼女はこの詠唱なしで魔術を使えるのだ。威力はそのままで、そのうえ出が早いのでバアル・ペオルは重宝している。ちなみに、この能力は魔術の詠唱を面倒くさがったバアル・ペオルがやってみたら一発でできた代物であるとはあまり知られていない。

847: 2014/01/27(月) 23:49:06.25 ID:BxJyJNgzo
ここまでです。
なんだかパップがかませ犬っぽくなっちゃったかな……。すいません。お目汚し失礼しました。

イベント情報
・時子さまがアイドルヒーローになるよ!やったねパップ!

848: 2014/01/27(月) 23:51:51.14 ID:4p2vx2NpO
乙ー

パップカッコイイ……ありがとうございます!
そして、トキコさまやっぱり強い(確信
面倒くさいから無詠唱やったらできたとか流石、怠惰だ!

849: 2014/01/28(火) 00:04:08.58 ID:UNs2DMiR0
乙です
やだ、パップ普通にイケメンじゃないか
アイドルヒーローって確かに混沌だよねー


面倒くさいで無詠唱ができる初代大罪クオリティ
ユズちゃんはその域に行けるのだろうか




【次回に続く・・・】


引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part8